説明

印刷機の稼働状態分析拠点選択装置

【課題】印刷機のユーザーに対して、速やかに印刷機の稼働状態の分析結果を知らせること。
【解決手段】印刷機の稼働状態分析拠点選択装置20は、記憶部23と、分析拠点選択部22bとを有する。記憶部23には、印刷機1の稼働状態分析作業が可能なサービスセンターA、B、C等の拠点情報と、サービスセンターA、B、Cの拠点IDとが対応付けられて格納される。分析拠点選択部22bは、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻において記憶部13に格納されている拠点IDを取得し、取得した拠点IDに対応するサービスセンターA、B、C等の拠点情報に基づき、取得された拠点IDに対応する少なくとも一つのサービスセンターへ、通信回線15を介して分析要求を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機の稼働状態を分析できる拠点を選択するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機の生産管理のためには、印刷機の稼働状況を把握し、その結果を分析する必要がある。例えば、特許文献1には、印刷機毎に、積算電力計、ガス流量計、水道流量計及び各種のインキ吐出弁を設け、それぞれに単位使用量当りのパルス信号発生機構を付設し、さらに各印刷機に回転数検出機構を設け、これらの各回転数検出機構に連動させて各パルス信号を取り込むとともにデータ収集装置を介してパルス信号回数を総使用量に変換して積算、集計するコンピュータを備える印刷機械のユーティリティ管理装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−47904号公報(0006、0007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷機のサービスセンターがユーザーからの依頼を受けて、ユーザーから提供された印刷機の稼働状態に関する情報に基づき、印刷機の稼働状態を分析し、コメントを加えた報告書を作成して、ユーザーに提供することがある。しかし、サービスセンターの営業時間が終了した後にユーザーからの依頼があり、かつ、ユーザーが緊急で分析結果の報告を入手したい場合、これまでは対応が困難であった。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷機のユーザーに対して、速やかに印刷機の稼働状態の分析結果を知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る印刷機の稼働状態分析拠点選択装置は、印刷機の稼働状態分析作業が可能な拠点の拠点情報と、前記拠点の拠点IDとが対応付けられて格納される記憶部と、所定の時間毎に、通信回線を介して前記稼拠点の拠点情報及び当該拠点の拠点IDを取得して、前記記憶部に格納されている拠点情報及び拠点IDを、取得した拠点情報及び拠点IDに書き換える作業可能拠点情報更新部と、所定の印刷機の稼働状態の分析要求と、前記所定の印刷機の印刷機IDとを、通信回線を介して取得し、前記分析要求及び前記印刷機IDを取得した時刻において前記記憶部に格納されている拠点IDを取得し、取得した拠点IDに対応する拠点の拠点情報に基づき、取得された拠点IDに対応する少なくとも一つの拠点へ前記通信回線を介して前記分析要求を送信する分析拠点選択部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る印刷機の稼働状態分析拠点選択装置は、印刷機の稼働状態分析作業が可能な拠点の拠点情報と、前記拠点の拠点IDとが対応付けられて格納される記憶部と、 所定の時間毎に、通信回線を介して前記稼拠点の拠点情報及び当該拠点の拠点IDを取得して、前記記憶部に格納されている拠点情報及び拠点IDを、取得した拠点情報及び拠点IDに書き換える作業可能拠点情報更新部と、所定の印刷機の稼働状態の分析要求と、前記所定の印刷機の印刷機IDとを、通信回線を介して取得し、前記分析要求及び前記印刷機IDを取得した時刻において前記記憶部に格納されている拠点IDを取得し、取得した拠点IDに対応する拠点の拠点情報を、前記通信回線を介して前記分析要求の発信元へ送信する分析拠点選択部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る印刷機の稼働状態分析拠点選択装置は、印刷機の稼働状態を分析する複数の拠点の営業時間帯と、それぞれの拠点IDとが対応付けられて格納される記憶部と、所定の印刷機の稼働状態の分析要求と、前記所定の印刷機の印刷機IDとを、通信回線を介して取得し、前記記憶部から前記営業時間帯を読み出して、前記分析要求及び前記印刷機IDを取得した時刻に所定の時間を加算した時刻が含まれる営業時間帯を検索し、検索された営業時間帯に対応する拠点IDを取得して、取得した拠点IDに対応する少なくとも一つの拠点へ前記通信回線を介して前記分析要求を送信する分析拠点選択部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る印刷機の稼働状態分析拠点選択装置は、印刷機の稼働状態を分析する複数の拠点の営業時間帯と、それぞれの拠点IDとが対応付けられて格納される記憶部と、所定の印刷機の稼働状態の分析要求と、前記所定の印刷機の印刷機IDとを、通信回線を介して取得し、前記記憶部から前記営業時間帯を読み出して、前記分析要求及び前記印刷機IDを取得した時刻に所定の時間を加算した時刻が含まれる営業時間帯を検索し、検索された営業時間帯に対応する拠点IDを取得して、取得した拠点IDに対応する拠点の拠点情報を、前記通信回線を介して前記分析要求の発信元へ送信する分析拠点選択部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、通信回線に接続される、印刷機の稼働状態を分析する複数の拠点から、印刷機の稼働状態を分析できる拠点を選択する。これによって、印刷機の稼働状態を分析する拠点から、印刷機のユーザーに対して、速やかに印刷機の稼働状態の分析結果を知らせることができる。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、前記印刷機の稼働状態分析拠点選択装置において、前記分析要求には、前記印刷機の稼働状態に関する情報が含まれることが望ましい。これによって、選択された拠点は、分析要求とともに、印刷機の稼働状態を分析する際に必要な情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、印刷機のユーザーに対して、速やかに印刷機の稼働状態の分析結果を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下において説明する内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に説明する構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。なお、本発明を適用できる印刷機の種類は問わない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る印刷機の稼働状態分析拠点選択装置と、印刷機の制御装置と、分析拠点とが通信回線で接続された、印刷機の稼働状態分析システムの概略図である。印刷機の稼働状態分析システム(以下、稼働状態分析システムという)100は、印刷機の稼働状態分析拠点選択装置(以下、拠点選択装置という)20と、印刷機制御装置10と、サービスセンターA、B、C等の端末装置40A、40B、40C等とを、通信回線15で接続して構成される。
【0014】
印刷機1は、印刷機制御装置10によって制御される。印刷機制御装置10は、入出力部11と、処理部12と、記憶部13とを有しており、入出力部11を介して通信回線15と接続される。通信回線15には、稼働状態分析拠点選択装置20が接続される。
【0015】
拠点選択装置20は、入出力部21と、処理部22と、記憶部23とを有しており、入出力部21が通信回線15と接続される。処理部22は、作業可能拠点情報更新部22aと、分析拠点選択部22bとを含んで構成される。これらが、本実施形態に係る印刷機の稼働状態分析拠点選択方法(以下、拠点選択方法という)を実行する。記憶部23は、印刷機1の稼働状態分析作業が可能な拠点であるサービスセンターA、B、C等についての情報であるの拠点情報と、拠点IDとが対応付けられて格納される。作業可能拠点情報更新部22aは、所定の時間毎に、通信回線15を介して印刷機1の稼働状態を分析する拠点の拠点情報及びその拠点の拠点IDを取得して、記憶部13に格納されている拠点情報及び拠点IDを、取得した拠点情報及び拠点IDに書き換える。分析拠点選択部22bは、所定の印刷機1の稼働状態の分析要求と、所定の印刷機1の印刷機IDとを、通信回線15を介して取得し、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻において記憶部23に格納されている拠点IDを取得し、取得された拠点IDに対応する拠点の拠点情報に基づき、取得された拠点IDに対応する少なくとも一つのサービスセンターA、B、C等へ通信回線15を介して分析要求を送信する。
【0016】
なお、分析拠点選択部22bは、少なくとも一つのサービスセンターA、B、C等へ分析要求を送信する代わりに、取得された拠点IDに対応する拠点の拠点情報を、通信回線15を介して分析要求の発信元、すなわち、印刷機1の稼働状態の分析要求を発信した印刷機制御装置10へ送信してもよい。ここで、分析要求には、印刷機1の稼働状態に関する情報が含まれる。印刷機1の稼働状態とは、印刷機1自体がどのような状態にあるかということと、印刷機1の作業者が印刷機1に対してどのような作業を実行しているかということとをいう。また、印刷機1の稼働状態に関する情報は、例えば、印刷機1自身が実行する作業や、印刷機1の作業者が印刷機1に対して実行した作業に要する時間である。
【0017】
また、上記構成に代えて、拠点選択装置20の処理部22及び記憶部23を次のように構成してもよい。記憶部23に、印刷機1の稼働状態を分析する複数のサービスセンターA、B、C等の営業時間帯と、それぞれの拠点IDとを対応付けて格納する。そして、分析拠点選択部22bは、所定の印刷機1の稼働状態の分析要求と、所定の印刷機1の印刷機IDとを、通信回線15を介して取得し、記憶部23から前記営業時間帯を読み出して、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻に所定の時間を加算した時刻が含まれる営業時間帯を検索し、検索された営業時間帯に対応する拠点IDを取得して、取得された拠点IDに対応する少なくとも一つのサービスセンターA、B、C等へ通信回線15を介して分析要求を送信する。なお、分析拠点選択部22bは、分析要求を少なくとも一つのサービスセンターA、B、C等へ送信する代わりに、取得された拠点IDに対応する拠点の拠点情報を、通信回線15を介して分析要求の発信元へ送信してもよい。
【0018】
処理部22は、CPUで構成されており、記憶部23上に存在するプログラム(コンピュータプログラム)と呼ぶ命令列を順に読み込み、解釈し、その結果に従ってデータを移動したり加工したりする。なお、処理部22は、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。また、処理部22の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本実施形態に係る、拠点選択方法の処理手順を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
【0019】
「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROMなどの可搬媒体、あるいはコンピュータシステムに内蔵されるハードディスクのような記録装置のことをいう。さらに、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットや電話回線等の通信回線を介してコンピュータプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にコンピュータプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間コンピュータプログラムを保持しているものを含むものとする。また、上記コンピュータプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0020】
なお、本実施形態に係る拠点選択方法は、予め用意されたコンピュータプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現できる。このコンピュータプログラムは、インターネット等の通信回線を介して配布することができる。また、このコンピュータプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって前記記録媒体から読み出されることによって実行されるようにしてもよい。
【0021】
通信回線15には、印刷機1の稼働状態を分析する拠点であるサービスセンターA、B、C等の端末装置40A、40B、40C等が接続される。これによって、拠点選択装置20と、印刷機制御装置10と、端末装置40A、40B、40C等とは、通信回線15を介して、相互に情報を送受信できる。なお、端末装置を示す符号40に付される文字A、B、Cは、サービスセンターA、B、Cに対応した端末装置であることを示すものであり、それぞれの端末装置を区別する必要がない場合には、必要に応じて文字A、B、Cを付さずに端末装置40という。次に、印刷機1及び印刷機制御装置10について説明する。
【0022】
図2は、本実施形態に係る印刷機及び印刷機制御装置を含む印刷システムを示す模式図である。印刷システム5は、印刷機1と、印刷機制御装置10と、コントロールパネル14とで構成される。印刷機1は、例えば、オフセット印刷機の枚葉印刷機であり、給紙部2と、印刷部3と、排紙部4とを有する。給紙部2は、セットされた紙(枚葉紙)を繰り出して複数の印刷ユニット3a、3b、3c、3dで構成される印刷部3に供給する。それぞれの印刷ユニット3a、3b、3c、3dは、版胴32と、ブランケット胴33と、圧胴34とを有し、供給された紙にオフセット印刷する。
【0023】
印刷部3は、例えばカラー印刷用の印刷機であればK、C、M、Yの各印刷色に対応した4つの印刷ユニット3a、3b、3c、3dが連結された構成となっており、紙は圧胴34及び中間胴40やチェーングリッパ等により給紙部2から印刷部3、排紙部4の順に搬送される。
【0024】
版胴32の外周部には刷版が装着されており、インキ供給部からインキが供給される。前記刷版には、インキによる印刷画像が形成される。前記印刷画像は、ブランケット胴33に転写された後、紙に転写される。圧胴34は、搬送された紙をブランケット胴33に押し当てることにより、紙に前記印刷画像が転写される。すべての印刷ユニット3a、3b、3c、3dで印刷された紙は、排紙部4に送られる。排紙部4は、印刷部3で印刷された紙を積層状態に積み上げる。
【0025】
印刷機制御装置10は、印刷機1の動作を制御するとともに、本実施形態に係る印刷機の稼働状態特定方法(以下稼働状態特定方法という)を実行する。このように、印刷機制御装置10は、本実施形態に係る印刷機の稼働状態特定装置(以下稼働状態特定装置という)として機能する。印刷機制御装置10は、コンピュータであり、入出力部(I/O)11と、処理部12と、記憶部13とを備えて構成される。印刷機制御装置10は、いわゆるパーソナルコンピュータを利用して構成してもよいし、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを組み合わせて構成してもよい。
【0026】
処理部12は、入出力部11を介して印刷機1の制御対象に制御信号を送って印刷機1の動作を制御し、また、印刷機1のセンサ類から印刷機1の制御に用いる情報や印刷機1の稼働状態に関する情報を受け取る。印刷機1の制御に用いる情報や印刷機1の稼働状態に関する情報は、電気信号の形で印刷機制御装置10の処理部12へ送られる。処理部12は、CPUで構成されており、記憶部13上に存在するプログラム(コンピュータプログラム)と呼ぶ命令列を順に読み込み、解釈し、その結果に従ってデータを移動したり加工したりする。
【0027】
なお、処理部12は、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。また、処理部12の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本実施形態に係る稼働状態特定方法の処理手順を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
【0028】
「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROMなどの可搬媒体、あるいはコンピュータシステムに内蔵されるハードディスクのような記録装置のことをいう。さらに、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットや電話回線等の通信回線を介してコンピュータプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にコンピュータプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間コンピュータプログラムを保持しているものを含むものとする。また、上記コンピュータプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0029】
なお、本実施形態に係る稼働状態特定方法は、予め用意されたコンピュータプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現できる。このコンピュータプログラムは、インターネット等の通信回線を介して配布することができる。また、このコンピュータプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって前記記録媒体から読み出されることによって実行されるようにしてもよい。
【0030】
処理部12は、信号取得部12aと、制御条件判定部12bと、稼働状態特定部12cと、所要時間演算部12dと、印刷機稼働状態候補提示部12eと、印刷機稼働状態候補表示部12fと、印刷機動作制御部12gと、分析要求発信部12iとを備える。これらのうち、信号取得部12a及び制御条件判定部12b及び稼働状態特定部12c及び所要時間演算部12d及び印刷機稼働状態候補提示部12e及び印刷機稼働状態候補表示部12fが、本実施形態に係る稼働状態特定装置を構成する。なお、本実施形態に係る稼働状態特定装置の機能は、少なくとも信号取得部12a及び制御条件判定部12b及び稼働状態特定部12cによって実現される。
【0031】
信号取得部12aは、入出力部11を介して、印刷機1の稼働状態に関する電気信号を取得する。制御条件判定部12bは、信号取得部12aが取得した前記電気信号に対応する印刷機1の稼働状態が一意に決定されるか否かを判定する。稼働状態特定部12cは、信号取得部12aが取得した前記電気信号に対応する印刷機1の稼働状態が一意に決定されない場合には、複数の前記電気信号の組み合わせに基づいて印刷機1の稼働状態を確定する。また、稼働状態特定部12cは、信号取得部12aが取得した前記電気信号に対応する印刷機1の稼働状態が一意に決定される場合には、その状態を印刷機1の稼働状態であると推定する。
【0032】
所要時間演算部12dは、稼働状態特定部12cが確定した印刷機1の稼働状態が継続した時間を演算し、印刷機の状態と関連付けたデータの形式で記憶部13に格納する。同じ状態が時間をおいて複数回発生した場合、所要時間演算部12dは、当該状態の時間を積算する。印刷機稼働状態候補提示部12eは、前記電気信号に対応する印刷機1の稼働状態が一意に決定されない場合、印刷機1の稼働状態の候補を単数又は複数提示する。そして、印刷機稼働状態候補提示部12eは、入出力部11に接続される入出力手段であるコントロールパネル14の表示手段であるディスプレイ14Dに単数又は複数の前記候補を表示させる。
【0033】
印刷機稼働状態候補表示部12fは、稼働状態特定部12cが推定した印刷機1の稼働状態を、ディスプレイ14Dに表示された他の候補とは異なる態様で表示される。例えば、稼働状態特定部12cが推定した印刷機1の稼働状態を点滅させたり、他の候補とは異なる色で表示させたりする。印刷機動作制御部12gは、印刷機1の動作、例えば、メンテナンスに必要な動作や印刷作業に必要な動作を制御する。分析要求発信部12iは、ユーザーからの指令、あるいは自動的に、サービスセンターA、B、C等に印刷機の稼働状態を分析させるための指令である分析要求を、入出力部11を介して通信回線15へ発信する。コントロールパネル14には、印刷機1の動作を制御するための指令を入力する入力手段14Cが設けられる。本実施形態において、コントロールパネル14は、タッチパネル形式のディスプレイ14Dを備える。したがって、本実施形態においては、入力手段14Cの他にも、ディスプレイ14Dを用いてコントロールパネル14に対して入力できる。なお、ディスプレイ14Dは、タッチパネル式に限定されるものではない。
【0034】
記憶部13は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリやROM(Read Only Memory)のような不揮発性のメモリ、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体、あるいはこれらを組み合わせて構成される。記憶部13には、本実施形態に係る稼働状態特定方法を実現するためのコンピュータプログラムやデータ、あるいは印刷機1の制御を実現するための制御用コンピュータプログラムや制御データが格納されている。処理部12は、これらのコンピュータプログラムやデータを用いて、本実施形態に係る稼働状態特定方法を実現したり、印刷機1の動作を制御したりする。なお、記憶部13は、通信回線15に接続される他の装置(例えばデータサーバー)に設けられていてもよい(以下の例でも同様)。この場合、印刷機制御装置10は、通信回線15を介した通信によって他の装置の記憶部へアクセスする。
【0035】
入出力部11は、通信回線15に接続される。これによって、印刷機制御装置10の処理部12は、入出力部11を介して通信回線15に接続される。通信回線15は、例えばインターネットである。通信回線15には、印刷機1の稼働状態を集計する集計装置として機能する端末装置40や、上述した拠点選択装置20が接続されている。
【0036】
端末装置40は、通信回線15に接続される入出力部17と、CPUで構成される処理部16cと、ROMやRAMで構成される記憶部16mとで構成される。端末装置40は、いわゆるパーソナルコンピュータを利用して構成される。処理部16cは、集計部12hを備える。集計部12hは、通信回線15を介して印刷機制御装置10から取得した、印刷機1の稼働状態及びその状態が継続した時間との関係から、印刷機1の稼働状態を集計する。次に、本実施形態に係る拠点選択方法の手順を説明する。
【0037】
図3は、本実施形態に係る拠点選択方法の手順を示すフローチャートである。図4、図5は、本実施形態に係る拠点選択方法に用いる分析要求の一例を示す模式図である。図6は、本実施形態に係る拠点選択方法に用いる拠点情報が記述された拠点情報テーブルの一例を示す模式図である。図7は、作業報告の一例を示す図である。本実施形態に係る拠点選択方法は、図1に示す拠点選択装置20が実行する。
【0038】
印刷機1のユーザーが、印刷機1の稼働状況を所定のサービスセンターで分析させるにあたり、ステップS101において、拠点選択装置20の分析拠点選択部22bは、印刷機1の稼働状態の分析要求と、印刷機1の印刷機IDとを、通信回線15を介して取得する。印刷機1の稼働状態の分析要求は、例えば、印刷機1のユーザー(作業者や管理者)が、印刷機制御装置10のコントロールパネル14を操作して、印刷機制御装置10の分析要求発信部12iに通信回線15へ発信させる。また、一日の作業が終了した場合には、自動的に分析要求発信部12iが分析要求を発信するように構成してもよい。
【0039】
本実施形態における分析要求は、例えば、図4に示すように、印刷機1の稼働状態に関する情報に、分析要求命令DC及び印刷機1のID(印刷機ID)及び印刷機制御装置10のアドレスを付した分析情報テーブル50で構成される。なお、分析情報テーブル50は、印刷機1のアドレスを記述しなくてもよい。また、本実施形態において、分析要求は、少なくとも分析要求命令DCを含んでいればよい。分析情報テーブル50は、印刷機1の稼働状態(印刷機稼働状態)が複数記述されるともに、それぞれの印刷機稼働状態に要した作業時間がジョブ毎に記述されている。なお、作業時間は、作業の実行毎に記述されるようにしてもよい。
【0040】
図5に示す分析情報テーブル51は、印刷機稼働状態が複数記述されるともに、それぞれの印刷機稼働状態に要した作業時間の所定期間(例えば一日)における積算値(積算作業時間)がジョブ毎に記述されている。このように、所定期間における積算作業時間を作業毎に記述した分析情報テーブル51を用いてもよい。分析情報テーブル50、51は、例えば、一日毎に作成されてもよいし、所定のジョブが終了したら作成されるようにしてもよい。なお、分析情報テーブル50、51は、作業者や管理者が作成してもよいが、本実施形態においては、印刷機制御装置10の所要時間演算部12dが作成する。
【0041】
分析拠点選択部22bが印刷機1の稼働状態の分析要求及び印刷機ID、すなわち、分析情報テーブル50を取得したら、分析拠点選択部22bは、取得した分析情報テーブル50を記憶部13へ格納して、ステップS102へ進む。ステップS102において、分析拠点選択部22bは、分析要求を取得した時点の時刻を取得する。この時刻は、拠点選択装置20に内蔵される時計から取得してもよいし、通信回線15から時刻情報を取得してもよい。次に、ステップS103へ進み、分析拠点選択部22bは、図6に示す拠点情報テーブル52を用いて、印刷機1の稼働状態を分析できる拠点、すなわちサービスセンターを決定する。まず、拠点情報テーブル52を説明する。
【0042】
図6に示す拠点情報テーブル52には、印刷機1の稼働状態を分析するサービスセンター(拠点)と、そのサービスセンターのID(拠点ID)と、そのアドレスと、その営業中フラグF1と、その作業者フラグF2と、その作業可能フラグF3と、そのサービスセンターの営業が終了する時刻(終業時刻)とが記述されている。営業中フラグF1は、そのサービスセンターが営業中であるか否かを示し、作業者フラグF2は、そのサービスセンターに印刷機1の稼働状態を分析できる作業者(分析作業者)がいるか否かを示し、作業可能フラグF3は、そのサービスセンターで印刷機1の稼働状態を分析できるか否かを示す。
【0043】
拠点情報テーブル52は、拠点選択装置20の記憶部23に格納される。すなわち、記憶部23には、印刷機1の稼働状態を分析するサービスセンター(拠点)と、その拠点IDと、そのアドレスと、その営業中フラグF1と、その作業者フラグF2と、その作業可能フラグF3と、その終業時刻とが格納される。ここで、本実施形態において、図1に示す通信回線15には、複数の国のサービスセンターの端末装置40A、40B、40C等が接続されている。したがって、拠点情報テーブル52には、複数の国のサービスセンターの情報が記述される。そして、拠点情報テーブル52の終業時刻は、印刷機1及び印刷機制御装置10が設置されている国の時間に変換されている。
【0044】
営業中フラグF1は、そのサービスセンターが営業中である場合には1となり、営業中でない場合には0となる。作業者フラグF2は、そのサービスセンターに分析作業者がいる場合は1となり、分析作業者がいない場合には0となる。作業可能フラグF3は、営業中フラグF1と作業者フラグF2との論理積であり、そのサービスセンターで印刷機1の稼働状態を分析できる場合に1となり、分析できない場合は0となる。したがって、作業可能フラグF3は、そのサービスセンターが営業中であり、かつそのサービスセンターに分析作業者がいる場合のみに1となる。すなわち、サービスセンターが営業中であってもそのサービスセンターに分析作業者がいない場合は、印刷機1の稼働状態の分析はできないので、作業可能フラグF3は0になる。なお、サービスセンターに分析作業者がいても、そのサービスセンターが営業中でない場合は、本実施形態においては印刷機1の稼働状態の分析はできないとする。
【0045】
作業可能拠点情報更新部22aは、所定の時間毎に、通信回線を介して稼働状態分析作業が可能なサービスセンターの拠点情報及びそのサービスセンターの拠点IDを取得して、記憶部13に格納されている拠点情報及び拠点IDを、取得した拠点情報及び拠点IDに書き換える。これにともなって、作業可能フラグF3も書き換えられる。これによって、拠点情報テーブル52には、最大限前記所定の時間前までにおいて、印刷機1の稼働状態を分析できるサービスセンターの情報が記述されることになる。このため、前記所定の時間は、拠点選択装置20の処理負担が増加しない範囲において、できる限り短くすることが好ましい。ここで、拠点情報は、すなわち拠点情報テーブル52のサービスセンター及び拠点ID及びアドレス及びサービスセンターが営業中であるか否かの情報及び分析作業者がいるか否かの情報であるが、少なくとも拠点ID及びアドレス及びサービスセンターが営業中であるか否かの情報及び分析作業者がいるか否かの情報を含んでいればよい。
【0046】
サービスセンターが営業中であるか否かの情報は、原則として営業時間帯でもよいが、臨時に営業時間帯が変更されることを考慮して、実際にサービスセンターが営業しているか否かを確認し、営業中フラグF1を更新することが好ましい。サービスセンターが営業しているか否かは、例えば、サービスセンターの端末装置40の記憶部に、現在営業中であるか否かの情報(営業情報)を格納しておき、通信回線15を介して作業可能拠点情報更新部22aが営業情報を取得するようにしてもよい。また、分析作業者がいるか否かの情報も、サービスセンターの端末装置40の記憶部に、分析作業者がいるか否かの情報(分析作業者情報)を格納しておき、通信回線15を介して作業可能拠点情報更新部22aが分析作業者情報を取得するようにしてもよい。
【0047】
なお、分析作業者情報は、分析作業者が出勤しているか否か、例えば電子勤怠管理(電子タイムカード)の打刻情報を用いることができる。また、分析作業者が出勤していたとしても、印刷機1の稼働状態の分析に割ける時間がない場合には、分析作業ができないので、実際に作業できる分析作業者がいるか否かの情報を、サービスセンターの端末装置40の記憶部に格納しておくことが好ましい。
【0048】
分析拠点選択部22bが印刷機1の稼働状態を分析できるサービスセンターを決定する場合、分析拠点選択部22bは、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻において、記憶部に格納されている拠点IDを取得する。具体的には、分析拠点選択部22bは、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻において、拠点選択装置20の記憶部23から拠点情報テーブル52を読み出す。そして、分析拠点選択部22bは、拠点情報テーブル52の作業可能フラグF3が1になっている拠点IDを取得する。
【0049】
分析拠点選択部22bは、通常、ユーザーが印刷機制御装置10の分析要求発信部12iから分析要求及び印刷機IDを通信回線15へ発信させると、ほとんど時間差なしに、分析要求及び印刷機IDを取得する。したがって、分析拠点選択部22bが分析要求及び印刷機IDを取得した時刻は、分析要求及び印刷機IDの発信時とみなしてよい。したがって、分析拠点選択部22bが分析要求及び印刷機IDを取得した時刻において、拠点情報テーブル52の作業可能フラグF3が1になっているサービスセンターは、分析要求及び印刷機IDの発信時において、印刷機1の稼働状態の分析が可能なサービスセンターである。このようにして、印刷機1の稼働状態の分析が可能なサービスセンターを選択できる。
【0050】
そして、ステップS104において、分析拠点選択部22bは、取得した拠点IDに対応するサービスセンターの拠点情報に基づき、取得した拠点IDに対応する少なくとも一つの拠点へ通信回線15を介して、ステップS101で取得した分析要求を送信する。すなわち、分析拠点選択部22bは、取得した拠点IDに対応するサービスセンターのアドレスへ、通信回線15を介して、ステップS101で取得した分析要求、例えば、分析情報テーブル50を記憶部13から読み出して送信する。これによって、分析拠点選択部22bによって選択されたサービスセンターの端末装置40は、分析要求を取得する。
【0051】
サービスセンターの端末装置40は、通信回線15を介して受け取った分析要求を、図2に示す記憶部16mへ格納するとともに、集計部12hが分析要求、すなわち分析情報テーブル50に記述された複数の印刷機稼働状態に要した作業時間を集計して、図7に示す作業報告60を作成する。作業報告60は、印刷機1の稼働状態を分析した結果が記述される。作業報告60は、例えば、時間情報テーブル61と、印刷時間情報テーブル62と、損紙情報テーブル63と、能率情報テーブル64と、非印刷時間情報テーブル65と、コメント欄66とで構成される。作業報告60は、図2に示す端末装置40の表示装置41に表示される。
【0052】
サービスセンターの作業者は、表示装置41に表示された作業報告60に記述された情報を分析し、必要に応じて、入力装置42を用いて作業報告60のコメント欄66にコメントを記述して、作業報告60が完成する。コメントの記入は作業者に任されるので、作業報告60の完成に対してコメントの記入は必ずしも必須ではない。すなわち、コメントの記入がない場合でも、作業報告60は完成する。集計部12hは、分析情報テーブル50に記述されている印刷機制御装置10のアドレスに、通信回線15を介して完成した作業報告60を送る。なお、印刷機1のユーザーが他の装置、例えば、印刷機1の生産管理用コンピュータを作業報告60の送信先に指定している場合、作業報告60は、そのアドレスに送られる。印刷機制御装置10は、通信回線15を介して作業報告60を取得し、記憶部13に格納する。そして、印刷機動作制御部12gは、コントロールパネル14のディスプレイ14Dに作業報告60を表示したり、プリンタ18へ出力したりする。これによって、印刷機1のユーザーは、作業報告60を検討することができる。
【0053】
なお、分析拠点選択部22bは、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻(分析要求及び印刷機IDの発信時に相当する)が、サービスセンターの終業時刻まで、予め設定した所定の時間よりも前のサービスセンターを選択してもよい。すなわち、分析拠点選択部22bは、取得した拠点IDに対応する終業時刻と、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻との差を計算し、その結果が前記所定の時刻よりも大きい拠点IDに対応するサービスセンターのアドレスへ、通信回線15を介して、ステップS101で取得した分析要求を送信する。これによって、印刷機1の稼働状態をより確実に分析できるサービスセンターを選択できる。ここで、所定の時間は、作業者が印刷機1の稼働状態を分析するために必要な時間とすることができる。
【0054】
分析拠点選択部22bが取得した拠点IDが複数ある場合、すべての拠点IDに対応するサービスセンターへ分析要求を送信してもよいし、一つのサービスセンターへ分析要求を送信してもよい。複数のサービスセンターから一つを選択する場合、例えば、分析拠点選択部22bは、取得した拠点IDに対応する終業時刻と、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻との差を計算し、その差が最も大きい拠点IDに対応するサービスセンターのアドレスへ、通信回線15を介して、ステップS101で取得した分析要求を送信する。これによって、分析作業に要する時間に一番余裕のあるサービスセンターを選択できる。
【0055】
上述した手法において、サービスセンターの終業時刻を用いる場合、拠点情報テーブル52の終業時刻を、サービスセンターの端末装置40A、40B、40Cが設置されている国の時間で記述しておき、終業時刻を用いる場合に、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻又は終業時刻をサービスセンターの端末装置40A、40B、40Cが設置されている国の時間に変換してもよい。この場合、拠点情報、例えば、サービスセンターの端末装置40A等のアドレスに記述される、国を識別する記号を用いて、サービスセンターの端末装置40A、40B、40Cが設置されている国を判別してもよい。
【0056】
ここで、上述したステップS104において、分析拠点選択部22bは、取得した拠点IDに対応する拠点の拠点情報を、通信回線15を介して分析要求の発信元へ送信してもよい。分析要求の発信元は、印刷機1の印刷機制御装置10であるが、例えば、印刷機1のユーザー(作業者や管理者)が、例えば、印刷機1の生産管理用コンピュータを用いて分析要求を発信した場合には、分析拠点選択部22bは、拠点情報を前記生産管理用コンピュータへ送信する。拠点情報を受信した分析要求の発信元は、拠点情報に含まれているサービスセンターのアドレスへ、通信回線15を介して、分析に必要な情報、すなわち、それぞれの印刷機稼働状態と、それぞれの印刷機稼働状態に要した作業時間とを送信する。分析要求の発信元が取得した拠点情報が複数ある場合、印刷機1の作業者や管理者は、取得した拠点情報から一つを選択して分析に必要な情報を送信してもよい。
【0057】
印刷機1のユーザーが有する印刷機制御装置10等から、分析に必要な情報が送信されたサービスセンターの端末装置40は、分析要求を取得する。サービスセンターの端末装置40は、通信回線15を介して受け取った分析要求を、図2に示す記憶部16mへ格納するとともに、集計部12hが分析要求、すなわち分析情報テーブル50に記述された複数の印刷機稼働状態に要した作業時間を集計して、図7に示す作業報告60を作成する。そして、端末装置40は、作成された作業報告60を、印刷機制御装置10等へ送信する。
【0058】
拠点情報が複数ある場合、分析拠点選択部22bは、上述した手法によって、複数の拠点IDの中から一つを選択して、選択された拠点IDに対応する拠点の拠点情報を分析要求の発信元へ送信してもよい。このように、分析要求の発信元へ、分析可能なサービスセンターの拠点情報を送信することで、印刷機1のユーザーは、印刷機1の稼働状態を分析させたいサービスセンターを選択できる。
【0059】
図8は、本実施形態に係る拠点選択方法に用いる拠点情報が記述された拠点情報テーブルの他の例を示す模式図である。図1に示す拠点選択装置20の記憶部23には、図8に示す拠点情報テーブル53が格納されている。拠点情報テーブル53には、印刷機1の稼働状態を分析するサービスセンター(拠点)と、そのサービスセンターのID(拠点ID)と、そのアドレスと、その始業時間と、その終業時間とが記述される。拠点情報テーブル53は、記憶部23へ格納されるので、記憶部23には、印刷機1の稼働状態を分析する複数のサービスセンターの営業時間帯(始業時間と終業時間)と、それぞれの拠点IDとが対応付けられて格納されることになる。
【0060】
拠点情報テーブル53を用いて本実施形態に係る拠点選択方法を実行する場合、拠点選択装置20に作業可能拠点情報更新部22aは不要である。印刷機1の稼働状況を分析させるにあたり、ステップS101において、拠点選択装置20の分析拠点選択部22bは、印刷機1の稼働状態の分析要求と、印刷機1の印刷機IDとを、通信回線15を介して取得する。次に、ステップS102において、分析拠点選択部22bは、分析要求を取得した時点の時刻を取得する。
【0061】
次に、ステップS103へ進み、分析拠点選択部22bは、図8に示す拠点情報テーブル53を用いて、印刷機1の稼働状態を分析できる拠点、すなわちサービスセンターを決定する。この場合、分析拠点選択部22bは、記憶部23に格納されている拠点IDを取得する。具体的には、分析拠点選択部22bは、分析要求及び印刷機IDを取得したら、拠点選択装置20の記憶部23から拠点情報テーブル53を読み出す。そして、分析拠点選択部22bは、拠点情報テーブル53から、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻に所定の時間を加算した時刻が含まれる営業時間帯を検索し、検索された営業時間帯に対応する拠点IDを取得する。
【0062】
例えば、分析要求及び印刷機IDが取得された時刻が13:00である場合、分析要求及び印刷機IDが取得された時刻は、営業時間帯が6:00から15:30に含まれるので、この営業時間帯が検索される。そして、営業時間帯が6:00から15:30に対応する拠点IDはefgなので、分析拠点選択部22bは、この拠点IDを取得する。分析要求及び印刷機IDを取得した時刻に所定の時間を加算した時刻は、例えば、印刷機1の稼働状態を分析するために要する時間とする。これによって、分析が中途で終了するおそれを低減できる。
【0063】
ここで、本実施形態において、図1に示す通信回線15には、複数の国のサービスセンターの端末装置40A、40B、40C等が接続されている。拠点情報テーブル53の始業時刻及び終業時刻は、印刷機1及び印刷機制御装置10が設置されている国の時間に変換されている。なお、始業時刻及び終業時刻をサービスセンターの端末装置40A、40B、40Cが設置されている国の時間で記述しておき、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻が含まれる営業時間帯を検索する際に、分析要求及び印刷機IDを取得した時刻をサービスセンターの端末装置40A、40B、40Cが設置されている国の時間に変換してもよい。この場合、拠点情報、例えば、サービスセンターの端末装置40A等のアドレスに記述される、国を識別する記号を用いて、サービスセンターの端末装置40A、40B、40Cが設置されている国を判別してもよい。
【0064】
次に、ステップS104へ進み、分析拠点選択部22bは、取得した拠点IDに対応するサービスセンターの拠点情報に基づき、取得した拠点IDに対応する少なくとも一つの拠点へ通信回線15を介して、ステップS101で取得した分析要求を送信する。すなわち、分析拠点選択部22bは、取得した拠点IDに対応するサービスセンターのアドレスへ、通信回線15を介して、ステップS101で取得した分析要求、例えば、分析情報テーブル50を記憶部13から読み出して送信する。これによって、分析拠点選択部22bによって選択されたサービスセンターの端末装置40は、分析要求を取得する。サービスセンターの端末装置40は、通信回線15を介して受け取った分析要求を、図2に示す記憶部16mへ格納するとともに、集計部12hが分析要求、すなわち分析情報テーブル50に記述された複数の印刷機稼働状態に要した作業時間を集計して、図7に示す作業報告60を作成する。
【0065】
本実施形態では、上述した手法によって印刷機1の稼働状態を分析するサービスセンターを選択する。通信回線15には、複数の国のサービスセンターが接続されているので、ある国において分析要求が発信された時刻においては、その国のサービスセンターで分析できない場合でも、他の国で分析できるサービスセンターを選択できるので、迅速に印刷機1の稼働状態を分析して、印刷機1のユーザーへ作業報告60を送信できる。その結果、印刷機1のユーザーは、速やかに印刷機1の稼働状態の分析結果を知ることができる。また、サービスセンターに印刷機1の稼働状態を分析できる作業者がいるか否かを判断することにより、一つの国においても、印刷機1のユーザーが通常利用しているサービスセンターに、印刷機1の稼働状態を分析できる作業者がいない場合には、印刷機1の稼働状態を分析できる作業者のいるサービスセンターへ分析要求を発信できる。これによって、一つの国においても、印刷機1のユーザーは、速やかに印刷機1の稼働状態の分析結果を知ることができる。
【0066】
図9は、本実施形態に係る稼働状態特定方法の手順を示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係る稼働状態特定方法において、一意に決定できる印刷機の状態と一意に決定できない印刷機の状態とを示す図表である。図11は、本実施形態に係る稼働状態特定方法のタイミングチャートの一例を示す説明図である。図12は、本実施形態に係る稼働状態特定方法において、印刷機の状態の候補をディスプレイに表示させる状態を示す模式図である。
【0067】
本実施形態に係る稼働状態特定方法を実行するにあたり、ステップS201において、図2に示す印刷機制御装置10の処理部12が備える信号取得部12aは、印刷機1のセンサ類や印刷機1の制御対象に対する制御信号等から、印刷機1の稼働状態に関する電気信号(以下印刷機稼働状態電気信号という)を取得する。印刷機稼働状態電気信号は、印刷機制御装置10が生成する印刷機1に対する制御信号や、印刷機1のセンサ類(例えば、ドアの開閉センサや可動部の動作を制限するリミットセンサ等)が検出する信号等である。
【0068】
ステップS202において、図2に示す印刷機制御装置10の処理部12が備える制御条件判定部12bは、ステップS201において取得された印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態が一意に決定されるか否かを判定する。一意に決定されるとは、取得された印刷機稼働状態電気信号と、これに対応する印刷機1の稼働状態とは一対一に対応していることをいい、印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態が一意に、すなわち単一に決定されると、他の状態はすべて排除される。
【0069】
したがって、一意に決定されないとは、取得された印刷機稼働状態電気信号と、これに対応する印刷機1の稼働状態とが一対一に対応していない、すなわち、取得された印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態は複数存在することをいう。この場合、印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態は一意に、すなわち単一に決定されないので、一つの印刷機稼働状態電気信号に対して存在する印刷機1の稼働状態の候補が複数存在することになる。
【0070】
図10に示すように、例えば、印刷機1で実行される作業が正紙印刷の本刷り、版交換(半自動版交換及び全自動版交換)、洗浄(自動ブランケット洗浄、自動インキ洗浄)、万力による見当合わせである場合、印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態は、これらの作業のうちいずれかに特定される。例えば、印刷機1が備える正紙カウンタの出力がONである場合、印刷機1で実行される作業は正紙印刷であると一意に特定される。また、版交換中を示す信号がONである場合、印刷機1で実行される作業は版交換であると一意に特定される。また、ブランケット洗浄中を示す信号がONである場合、又はインキ洗浄(インキの経路の洗浄)を示す信号がONである場合、印刷機1で実行される作業はブランケット洗浄、又はインキ洗浄であると一意に特定される。
【0071】
また、図11に示すタイミングチャートでは、始業準備J、見当・色合わせ作業及び印刷E、正紙印刷A及び万力による見当合わせFが、それぞれ、印刷機1の電源ONを示す印刷機稼働状態電気信号ES_aのON信号、印刷中を示す印刷機稼働状態電気信号ES_eのON信号、正紙カウンタのONを示す印刷機稼働状態電気信号ES_fのON信号及び万力見当合わせを示す印刷機稼働状態電気信号ES_iのON信号と一対一で対応する印刷機1の稼働状態である。例えば、ステップS201において信号取得部12aが正紙カウンタのONを示す印刷機稼働状態電気信号ES_fのON信号を取得した場合、制御条件判定部12bは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態は、正紙印刷Aであると特定する。また、ステップS201において信号取得部12aが万力見当合わせを示す印刷機稼働状態電気信号ES_iのON信号を取得した場合、制御条件判定部12bは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態は、万力による見当合わせFであると特定する。
【0072】
ステップS202でYesと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが、印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態は一意に決定されると判定した場合、ステップS203へ進む。すなわち、取得された印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態は一種類のみであると制御条件判定部12bが判定した場合、ステップS203へ進む。ステップS203において、図2に示す印刷機制御装置10の処理部12が備える稼働状態特定部12cは、ステップS201で取得した印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態を、印刷機稼働状態電気信号を取得したときにおける印刷機1の稼働状態であると特定する。例えば、ステップS201で取得された印刷機稼働状態電気信号が、正紙カウンタのON信号である場合、稼働状態特定部12cは、正紙カウンタのON信号が取得されたときに印刷機1で実行された作業(印刷機1の稼働状態)は正紙印刷であると一意に特定する。なお、特定された印刷機1の稼働状態は、必要に応じて印刷機制御装置10の記憶部13へ格納される(以下同様)。
【0073】
次にステップS204へ進み、図2に示す印刷機制御装置10の処理部12が備える所要時間演算部12dは、ステップS203で特定された印刷機1の稼働状態が継続した時間(所要時間)を求める。そして、ステップS205において、所要時間演算部12dは、特定された印刷機1の稼働状態とステップS204で求めた所要時間とを関連付けた形式のデータで、印刷機制御装置10の記憶部13へ格納する。次に、ステップS202でNoと判定された場合について説明する。
【0074】
ステップS202でNoと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが、印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態は一意に決定されないと判定した場合、ステップS206へ進む。すなわち、取得された印刷機稼働状態電気信号に対応する印刷機1の稼働状態は、複数存在すると制御条件判定部12bが判定した場合、ステップS206へ進む。この時点では、稼働状態特定部12cは、印刷機1の稼働状態を一意に決定できないので、ステップS206において、稼働状態特定部12cは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときの印刷機1の稼働状態を、「その他」に分類して、記憶部13へ一時的に格納する。
【0075】
次に、ステップS207に進み、印刷機制御装置10の処理部12が備える印刷機稼働状態候補提示部12eは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号を取得したときにおける印刷機1の稼働状態の候補(以下状態候補という)を提示し、コントロールパネル14のディスプレイ14Dに複数表示する。本実施形態では、すべての状態候補がディスプレイ14Dに表示される。なお、ディスプレイ14Dに表示させる状態候補は単数であってもよい。
【0076】
この場合、図12に示すように、ディスプレイ14Dの表示領域DA1には、印刷の準備に分類される作業項目が状態候補SB1〜SB4として表示され、表示領域DA2には、印刷機1のメンテナンスに分類される作業項目が状態候補SB5〜SB11として表示される。ディスプレイ14Dの表示領域DA3には、本実施形態に係る稼働状態特定方法によって稼働状態特定部12cが推定可能な作業項目が状態候補SB15〜SB28として表示される。ディスプレイ14Dの表示領域DA4には、印刷の準備、メンテナンス、推定可能な作業項目(すなわち状態候補)のいずれにも分類されない作業項目が状態候補SB12〜SB14、SB0として表示される。なお、表示領域DA4に表示される状態候補SB0は、「その他」であり、状態候補SB1〜SB28のいずれにも分類されない印刷機1の稼働状態である。
【0077】
状態候補がディスプレイ14Dに表示されたら、ステップS208において、制御条件判定部12bは、作業者の入力、すなわち、作業者がディスプレイ14Dに表示された複数の状態候補の中から印刷機1の稼働状態として一つを選択したか否かを判定する。ステップS208でYesと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが作業者の入力があったと判定した場合、ステップS209へ進む。
【0078】
ステップS209において、稼働状態特定部12cは、入力された状態候補を、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態として特定する。その後、上述したステップS204及びステップS205が実行され、ステップS209で特定された印刷機1の稼働状態とステップS204で求めた所要時間とを関連付けた形式のデータが、印刷機制御装置10の記憶部13へ格納される。次に、ステップS208でNoと判定された場合を説明する。
【0079】
ステップS208でNoと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが作業者の入力はないと判定した場合、ステップS210に進む。ステップS210において、信号取得部12aは、印刷機1のセンサ類や印刷機1の制御対象に対する制御信号等から、印刷機稼働状態電気信号を取得する。そして、稼働状態特定部12cは、ステップS201及びステップS210で取得した印刷機稼働状態電気信号に基づいて、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態を推定する。これは、例えば、次のようにして推定する。
【0080】
まず、複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせと、この組み合わせに対応する印刷機1の稼働状態との対応関係を予め状態推定用データマップに記述して記憶部13へ格納しておく。そして、稼働状態特定部12cが前記状態推定用データマップを参照して、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態を推定する。すなわち、稼働状態特定部12cは、前記状態推定用データマップから、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける、複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせに対応する印刷機1の稼働状態を取得し、これを推定された印刷機1の稼働状態とする。
【0081】
稼働状態特定部12cが前記状態を推定できる場合、稼働状態特定部12cは、状態推定可能フラグを0から1にするとともに、推定した印刷機1の稼働状態を、記憶部13へ一時的に格納しておく。稼働状態特定部12cが前記状態を推定できない場合、稼働状態特定部12cは、状態推定可能フラグを0にするとともに、印刷機1の稼働状態を、「その他」とする。
【0082】
例えば、図10の「一意に決定不可」の項目に示すように、印刷機停止を示す印刷機稼働状態電気信号、及び版交換開始の印刷機稼働状態電気信号がこの順序で取得された場合には、印刷機1の稼働状態(印刷機稼働状態)が版待ちであると推定される。同様に、印刷中を示す印刷機稼働状態電気信号、及び印刷機停止を示す印刷機稼働状態電気信号、及びある印刷ユニットが安全モードを示す印刷機稼働状態電気信号、及び版ブランケットカバー開を示す印刷機稼働状態電気信号、及び寸胴・逆寸を示す印刷機稼働状態電気信号、及び版ブランケットカバー閉を示す印刷機稼働状態電気信号、及び運転モードに復帰を示す印刷機稼働状態電気信号がこの順序で取得された場合には、印刷機1の稼働状態は版手入れ(ゴミ取り)であると推定される。図10に示す手動圧胴洗浄、休憩、湿しメンテナンス、ブランケット洗浄装置メンテナンス、給油についても同様である。
【0083】
図11に示すタイミングチャートでは、ステップS201において信号取得部12aがジョブ中を示す印刷機稼働状態電気信号ES_bのON信号を取得した場合、印刷機1の稼働状態は一意に決定できない。したがって、この場合には、稼働状態特定部12cは、印刷機1の稼働状態として、その他Mを記憶部13に格納する。そして、ステップS210で信号取得部12aが、版交換を示す印刷機稼働状態電気信号ES_cのON信号を取得した場合、稼働状態特定部12cは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態は、版待ちGであると推定する(図11の(A))。
【0084】
また、ステップS201において信号取得部12aが印刷の終了を示す印刷機稼働状態電気信号ES_eのOFF信号を取得した場合、印刷機1の稼働状態は一意に決定できない。この場合には、稼働状態特定部12cは、印刷機1の稼働状態として、その他Mを記憶部13に格納する。そして、ステップS210で信号取得部12aが、印刷中を示す印刷機稼働状態電気信号ES_eのON信号を取得した場合、稼働状態特定部12cは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態は、見当・色合わせ作業Eであると推定する(図11の(B))。
【0085】
次に、ステップS211において、制御条件判定部12bは、取得した複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせから、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態が推定できるか否かを判定する。例えば、制御条件判定部12bは、上述した状態推定可能フラグが1であった場合に、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態を推定できると判定し、状態推定可能フラグが0である場合には、印刷機1の稼働状態は推定できないと判定する。
【0086】
ステップS211においてYesと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが、取得された複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせから、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態が推定できると判定した場合、ステップS212へ進む。ステップS212において、印刷機稼働状態候補提示部12eは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号を取得したときにおける状態候補を、コントロールパネル14のディスプレイ14Dに複数表示する。本実施形態では、すべての状態候補がディスプレイ14Dに表示される。
【0087】
このとき、印刷機稼働状態候補表示部12fは、複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせに基づいて稼働状態特定部12cが推定した、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態を、他の候補とは異なる態様でディスプレイ14Dに表示させる。ステップS212において、他の候補とは異なる態様で表示されるものは、例えば、図10の「作業者の選択によるもの」における印刷機稼働状態のうち、版待ち、版手入れ、手動圧胴洗浄、休憩、湿しメンテナンス、ブランケット洗浄装置メンテナンス、給油のうち、複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせに基づいて稼働状態特定部12cが推定したものである。
【0088】
複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせに基づいて推定された印刷機の状態を、他の候補とは異なる態様で表示させる場合、例えば、図12に示す状態候補SB15が稼働状態特定部12cによって推定されたものである場合、印刷機稼働状態候補表示部12fは、状態候補SB15を他の状態候補SB0〜SB14、SB16〜SB28とは異なる色で表示したり、状態候補SB15のみを点滅させたりする。これによって、作業者が選択しやすいように誘導できる。
【0089】
状態候補がディスプレイ14Dに表示されたら、ステップS213において、制御条件判定部12bは、作業者の入力、すなわち、作業者がディスプレイ14Dに表示された複数の状態候補の中から印刷機1の稼働状態として一つを選択したか否かを判定する。ステップS213でYesと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが作業者の入力があったと判定した場合、ステップS209へ進む。ステップS209以後の手順は上述した通りなので、説明を省略する。
【0090】
ステップS213でNoと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが作業者の入力はないと判定した場合、ステップS214へ進む。ステップS214において、稼働状態特定部12cは、ステップS210で推定した印刷機1の稼働状態を、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態とする。ステップS210で推定された印刷機1の稼働状態は、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態として確実なものであるので、作業者の入力がない場合には、ステップS210で推定された印刷機1の稼働状態を、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態とするのが妥当だからである。
【0091】
ステップS214で印刷機1の稼働状態が特定されたら、上述したステップS204及びステップS205が実行され、ステップS214で特定された印刷機1の稼働状態とステップS204で求めた所要時間とを関連付けた形式のデータが、印刷機制御装置10の記憶部13へ格納される。次に、ステップS211でNoと判定された場合を説明する。ステップS211においてNoと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが、取得された複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせから、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態が推定できないと判定した場合、ステップS215へ進む。
【0092】
ステップS215において、制御条件判定部12bは、印刷機1の現在のジョブが終了したか否かを判定する。ステップS215でYesと判定された場合、すなわち制御条件判定部12bが印刷機1の現在のジョブが終了したと判定した場合、ステップS216へ進む。例えば、上記ステップS211で信号取得部12aがジョブの終了を示す印刷機稼働状態電気信号ES_bのOFF信号を取得した場合、制御条件判定部12bは、印刷機1の現在のジョブが終了したと判定する。この場合、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号を取得したときにおける印刷機1の稼働状態は一意に決定できない。このため、ステップS216へ進み、印刷機稼働状態候補提示部12eは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号を取得したときにおける状態候補を、コントロールパネル14のディスプレイ14Dに複数表示する。次に、ステップS217へ進み、制御条件判定部12bは、作業者の入力、すなわち、作業者がディスプレイ14Dに表示された複数の状態候補の中から印刷機1の稼働状態として一つを選択したか否かを判定する。
【0093】
ステップS217でYesと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが作業者の入力があったと判定した場合、ステップS218へ進む。ステップS218において、稼働状態特定部12cは、入力された状態候補を、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態として特定する。
【0094】
図11に示すタイミングチャートでは、信号取得部12aがジョブの終了を示す印刷機稼働状態電気信号ES_bのOFF信号を取得した場合、稼働状態特定部12cは、印刷機1の稼働状態として、その他Mを記憶部13に格納する。ステップS218で、信号取得部12aが作業者の入力Lを取得した場合、稼働状態特定部12cは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態は、作業者がディスプレイ14Dに表示された状態候補から選択し、かつ入力した状態候補を、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態として特定する(図11の(C))。その後、上述したステップS204及びステップS205が実行され、ステップS218で特定された印刷機1の稼働状態とステップS204で求めた所要時間とを関連付けた形式のデータが、印刷機制御装置10の記憶部13へ格納される。
【0095】
ステップS217でNoと判定された場合、すなわち、制御条件判定部12bが作業者の入力はないと判定した場合、ステップS219へ進む。ステップS219において、稼働状態特定部12cは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態をその他に特定し、記憶部13へ格納する。取得された複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせからは、ステップS201で印刷機稼働状態電気信号が取得されたときにおける印刷機1の稼働状態が推定できず(ステップS211:No)、かつ複数の状態候補の中から印刷機1の稼働状態が選択されず(ステップS217:No)、かつジョブが終了した場合、このジョブ中においては印刷機1の稼働状態を特定できないからである。
【0096】
ステップS219で印刷機1の稼働状態がその他に特定されたら、上述したステップS204及びステップS205が実行され、ステップS219で特定された印刷機1の稼働状態(すなわちその他)とステップS204で求めた所要時間とを関連付けた形式のデータが、印刷機制御装置10の記憶部13へ格納される。次に、ステップS215でNoと判定された場合を説明する。ステップS215でNoと判定された場合、すなわち制御条件判定部12bが印刷機1の現在のジョブが終了したと判定した場合、ステップS210〜ステップS219を繰り返す。上述した手順により、印刷機1の稼働状態が特定される。特定された印刷機1の稼働状態(印刷機稼働状態)は、その状態が継続した時間(所要時間)と関連付けられて、図4に示す分析情報テーブル50、あるいは図5に示す分析情報テーブル51に記述され、印刷機制御装置10の記憶部13へ格納される。なお、図4に示す分析情報テーブル50、あるいは図5に示す分析情報テーブル51を作成する手法は、上述した稼働状態特定方法に限定されるものではない。
【0097】
このような手法により、印刷機稼働状態電気信号や作業者によっては、印刷機の状態が一意に決定されない場合には、複数の印刷機稼働状態電気信号の組み合わせに基づいて、印刷機の状態を推定する。これによって、不明な印刷機の状態を低減できるので、印刷機の状態を集計した情報は、より細かい部分まで正確になる。その結果、印刷機の稼働状態等をより正確に把握して、印刷機の稼働状態をより正確に分析できる。また、印刷機の状態は、コンピュータによって自動的に推定されるので、推定に要する手間を低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明に係る印刷機の稼働状態分析拠点選択装置は、印刷機の稼働状態を分析することに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施形態に係る印刷機の稼働状態分析拠点選択装置と、印刷機の制御装置と、分析拠点とが通信回線で接続された、印刷機の稼働状態分析システムの概略図である。
【図2】本実施形態に係る印刷機及び印刷機制御装置を含む印刷システムを示す模式図である。
【図3】本実施形態に係る拠点選択方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る拠点選択方法に用いる分析要求の一例を示す模式図である。
【図5】本実施形態に係る拠点選択方法に用いる分析要求の一例を示す模式図である。
【図6】本実施形態に係る拠点選択方法に用いる拠点情報が記述された拠点情報テーブルの一例を示す模式図である。
【図7】作業報告の一例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る拠点選択方法に用いる拠点情報が記述された拠点情報テーブルの他の例を示す模式図である。
【図9】本実施形態に係る稼働状態特定方法の手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る稼働状態特定方法において、一意に決定できる印刷機の状態と一意に決定できない印刷機の状態とを示す図表である。
【図11】本実施形態に係る稼働状態特定方法のタイミングチャートの一例を示す説明図である。
【図12】本実施形態に係る稼働状態特定方法において、印刷機の状態の候補をディスプレイに表示させる状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0100】
1 印刷機
2 給紙部
3 印刷部
4 排紙部
5 印刷システム
10 印刷機制御装置
11 入出力部
12、22 処理部
12a 信号取得部
12b 制御条件判定部
12c 稼働状態特定部
12d 所要時間演算部
12e 印刷機稼働状態候補提示部
12f 印刷機稼働状態候補表示部
12g 印刷機動作制御部
12h 集計部
12i 分析要求発信部
13、23 記憶部
14 コントロールパネル
14D ディスプレイ
14C 入力手段
15 通信回線
16c 処理部
16m 記憶部
17 入出力部
18 プリンタ
20 印刷機の稼働状態分析拠点選択装置(拠点選択装置)
21 入出力部
22 処理部
22a 作業可能拠点情報更新部
22b 分析拠点選択部
23 記憶部
40、40A、40B、40C 端末装置
41 表示装置
42 入力装置
50、51 分析情報テーブル
52、53 拠点情報テーブル
60 作業報告
61 時間情報テーブル
62 印刷時間情報テーブル
63 損紙情報テーブル
64 能率情報テーブル
65 非印刷時間情報テーブル
66 コメント欄
100 印刷機の稼働状態分析システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機の稼働状態分析作業が可能な拠点の拠点情報と、前記拠点の拠点IDとが対応付けられて格納される記憶部と、
所定の時間毎に、通信回線を介して前記稼拠点の拠点情報及び当該拠点の拠点IDを取得して、前記記憶部に格納されている拠点情報及び拠点IDを、取得した拠点情報及び拠点IDに書き換える作業可能拠点情報更新部と、
所定の印刷機の稼働状態の分析要求と、前記所定の印刷機の印刷機IDとを、通信回線を介して取得し、
前記分析要求及び前記印刷機IDを取得した時刻において前記記憶部に格納されている拠点IDを取得し、
取得した拠点IDに対応する拠点の拠点情報に基づき、取得された拠点IDに対応する少なくとも一つの拠点へ前記通信回線を介して前記分析要求を送信する分析拠点選択部と、
を備えることを特徴とする印刷機の稼働状態分析拠点選択装置。
【請求項2】
印刷機の稼働状態分析作業が可能な拠点の拠点情報と、前記拠点の拠点IDとが対応付けられて格納される記憶部と、
所定の時間毎に、通信回線を介して前記稼拠点の拠点情報及び当該拠点の拠点IDを取得して、前記記憶部に格納されている拠点情報及び拠点IDを、取得した拠点情報及び拠点IDに書き換える作業可能拠点情報更新部と、
所定の印刷機の稼働状態の分析要求と、前記所定の印刷機の印刷機IDとを、通信回線を介して取得し、
前記分析要求及び前記印刷機IDを取得した時刻において前記記憶部に格納されている拠点IDを取得し、
取得した拠点IDに対応する拠点の拠点情報を、前記通信回線を介して前記分析要求の発信元へ送信する分析拠点選択部と、
を備えることを特徴とする印刷機の稼働状態分析拠点選択装置。
【請求項3】
印刷機の稼働状態を分析する複数の拠点の営業時間帯と、それぞれの拠点IDとが対応付けられて格納される記憶部と、
所定の印刷機の稼働状態の分析要求と、前記所定の印刷機の印刷機IDとを、通信回線を介して取得し、
前記記憶部から前記営業時間帯を読み出して、前記分析要求及び前記印刷機IDを取得した時刻に所定の時間を加算した時刻が含まれる営業時間帯を検索し、検索された営業時間帯に対応する拠点IDを取得して、
取得した拠点IDに対応する少なくとも一つの拠点へ前記通信回線を介して前記分析要求を送信する分析拠点選択部と、
を備えることを特徴とする印刷機の稼働状態分析拠点選択装置。
【請求項4】
印刷機の稼働状態を分析する複数の拠点の営業時間帯と、それぞれの拠点IDとが対応付けられて格納される記憶部と、
所定の印刷機の稼働状態の分析要求と、前記所定の印刷機の印刷機IDとを、通信回線を介して取得し、
前記記憶部から前記営業時間帯を読み出して、前記分析要求及び前記印刷機IDを取得した時刻に所定の時間を加算した時刻が含まれる営業時間帯を検索し、検索された営業時間帯に対応する拠点IDを取得して、
取得した拠点IDに対応する拠点の拠点情報を、前記通信回線を介して前記分析要求の発信元へ送信する分析拠点選択部と、
を備えることを特徴とする印刷機の稼働状態分析拠点選択装置。
【請求項5】
前記分析要求には、前記印刷機の稼働状態に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷機の稼働状態分析拠点選択装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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