説明

印刷機の電子機器用中継箱

【課題】 製造コストの低減を図るとともに、ケーブル配線の作業性を向上させる。
【解決手段】 電子機器用中継箱の一部を構成する支持部材5には、コネクタ2の鍔16を支持する第1および第2の支持部30,31とセパレータ4を支持する第3の支持部32とが設けられている。コネクタ2は、プラグ10がリセプタクル12の上側に接続された状態で鍔16が第1の支持部30に支持され、プラグ10がリセプタクル12の下側に接続された状態で鍔16が第2の支持部31に支持されるという二つの使用態様がある。プラグ10から導出されたケーブルは、セパレータ4によって束ねられることなく互いが間隔をおいて保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルシャワーの環境下で使用される印刷機の電子機器用中継箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器用中継箱では、印刷機の印刷ユニット内に設けられた多くのモータやセンサ等の電子機器と制御装置との間をケーブルを介して中継して電気的に接続するようにしている。これらの電子機器と制御装置とを接続するには、各印刷ユニットの中央部に電子機器用中継箱を配置し、印刷ユニットに設けた複数の電子機器から引き出された各ケーブルを電子機器用中継箱内の端子台またはコネクタに電気的に接続し、端子台またはコネクタから引き出された別のケーブルを束ねて印刷ユニット内の一隅に配置された一つの制御装置に電気的に接続するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような印刷ユニット内に設けられる電子機器用中継箱は、オイルシャワーの環境下に設置されているため、防油処理を施す必要があり構造が複雑になったり、シール部材等の部品点数が増加することにより製造コストが嵩むといった問題があった。また、各電子機器から引き出されたケーブルを電子機器用中継箱内の端子台またはコネクタに電気的に接続するとき、電子機器用中継箱を印刷ユニットに取り付けた状態で行うため、作業スペースが狭い等の理由により作業性が悪いといった問題もあった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、製造コストの低減を図るとともに、ケーブル配線の作業性を向上させるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、印刷機内に設けた電子機器から引き出された第1のケーブルを中継して第2のケーブルを介して制御装置に電気的に接続する印刷機の電子機器用中継箱において、前記第1のケーブルが電気的に接続される第1のコネクタと、前記第2のケーブルが電気的に接続される第2のコネクタと、前記第1のケーブルを束ねることなく保持し、下側に空間がある状態で前記第2のコネクタを支持し、前記第1のコネクタが前記第2のコネクタの上側に接続された状態で前記第2のコネクタを支持する第1の支持部と、前記第1のコネクタが前記第2のコネクタの下側に接続された状態で前記第2のコネクタを支持する第2の支持部とを備え、下部に前記第1および第2のケーブルを導入・導出するケーブル導入・導出口が設けられた支持部材と、前記第2のケーブルを前記下側の空間内に導入するチューブ部材と、前記第1および第2のコネクタならびに前記下側の空間を、上側に空間がある状態で覆うカバーとからなるものである。
【0006】
本発明は、前記発明において、前記第2のコネクタを前記第1および第2の支持部に挿抜自在に支持し、前記第1のケーブルを束ねることなく保持するセパレータを備え、前記支持部材に前記セパレータを挿抜自在に支持する第3の支持部を設けるとともに、当該支持部材に、前記第1ないし第3の支持部に前記第1のコネクタおよび前記セパレータを挿抜するための挿抜用開口部を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カバーのケーブル導入口から導入した第1のケーブルを互いの間隔をおくように束ねることなく保持したため、ケーブルどうしの隙間から表面張力によってオイルが電子機器用中継箱の内部に浸入するのを防止することができる。また、カバーによって第1および第2のコネクタが覆われているため、電子機器用中継箱の上方から滴下するオイルが電子機器用中継箱の内部に浸入するようなことがない。また、第1のコネクタの下方に空間が設けられていることにより、第1および第2のコネクタがカバーのケーブル導入・導出口から浮き上がった構造となっているため、仮に、カバー内にオイルが浸入したとしても、第1および第2のコネクタ内へのオイルの浸入を規制することができる。さらに、防油構造としてオイルの浸入経路を長くするための構造を必要としないとともに、パッキンやスポンジ等のシール材を必要としないため部品点数を削減することができるから製造コストを低減することができる。また、第1のコネクタが第2のコネクタの下側に接続された状態で第2のコネクタを支持する第2の支持部を備えことにより、第1のケーブルの芯線に付着したオイルが第2のケーブルに転移することがない。このため、第2のケーブルの芯線を介して電子機器用中継箱の外側にオイルが漏れるようなことがない。
【0008】
前記発明のうちの一つの発明によれば、電子機器用中継箱を装置から取り外すとともに、第1および第2のコネクタならびにセパレータを電子機器用中継箱から取り外した状態で、第1のコネクタと各電子機器との間の配線作業および第2のコネクタと制御装置との間の配線作業を行うことができるため、これらの配線作業を広いスペースで行うことができるから作業性が向上する。また、コネクタを第1および第2の支持部に挿抜する挿抜用開口部およびセパレータを第3の支持部に挿抜する挿抜用開口部が支持部材に設けられているため、コネクタおよびセパレータの支持部材への組付け作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電子機器用中継箱を分解して示す斜視図である。
【図2】本発明に係る電子機器用中継箱の第1の使用態様を示す正面図である。
【図3】本発明に係る電子機器用中継箱の第2の使用態様を示す正面図である。
【図4】本発明に係る電子機器用中継箱におけるコネクタの斜視図である。
【図5】本発明に係る電子機器用中継箱の外観を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る電子機器用中継箱におけるカバーを示し、同図(A)は正面側から視た斜視図、同図(B)は底面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
【0011】
図1に全体を符号1で示す電子機器用中継箱は、コネクタ2と、アース端子板3と、セパレータ4と、これらコネクタ2、アース端子板3、セパレータ4を支持する支持部材5と、これらコネクタ2、アース端子板3、セパレータ4、支持部材5を覆うカバー6(図6参照)とからなる。
【0012】
コネクタ2は、図4に示すように、第1のコネクタとしてのプラグ10と、このプラグ10が着脱自在に嵌合される凹部11が設けられ、プラグ10が嵌合されることにより互いに導通する第2のコネクタとしてのレセプタクル12とによって構成されている。13は印刷ユニット等に取り付けられたセンサやモータ等の電子機器から導出される第1のケーブルであって、プラグ10の端子(図示せず)に電気的に接続される。なお、センサやモータ等の電子機器から導出されるケーブルは、通常、二〜三本のケーブルが一つにまとまっているが、ここでは一つにまとまっている状態のケーブルおよびそれらを一本ずつに分けた状態のケーブルの両方の状態のケーブルを総称して、第1のケーブル13と呼ぶことにする。
【0013】
14はレセプタクル12の端子(図示せず)に電気的に接続される第2のケーブルであって、この第2のケーブル14はレセプタクル12から複数本導出され、チューブ15によって束ねられて図示していない制御装置に電気的に接続される。したがって、プラグ10をレセプタクル12の凹部11に嵌合させることにより、これらプラグ10およびレセプタクル12の各端子(図示せず)間が点接触によって電気的に接続され、これらプラグ10およびレセプタクル12の各端子および第1および第2のケーブル13,14を介してそれぞれのセンサやモータ等の電子機器と制御装置とが電気的に接続される。レセプタクル12の外周部には鍔16が全周にわたって突設されており、この鍔16を介して、後述するようにコネクタ2が支持部材5の第1または第2の支持部30,31に選択的に支持される。
【0014】
アース端子板3は、図1に示すように導電性を有する金属板からなり、正面部18とこの正面部18の両端部を直角に折曲形成した両側部19,19とによって断面がコ字状に形成されている。正面部18には、5個のねじ孔18aが一列に設けられており、このうちの一つのねじ孔18aに螺合されたねじ20aによって、外部のアース端子(図示せず)から導出されたアース線21a(図2参照)がアース端子板3に電気的に接続され、他のねじ孔18aに螺合されたねじ20bによって、電子機器から導出されたアース線21bがアース端子板3に電気的に接続される。なお、図2においては、説明の便宜上、第1のケーブル13を部分的に図示を省略するとともに、アース線21bの一部の図示を省略している。また、外部のアース端子から導出されたアース線21aは、前記した第2のケーブル14とともにチューブ15によって束ねられて電子機器用中継箱1に導入される。
【0015】
セパレータ4は、図1に示すように金属板によって偏平な直方体に形成されており、矢印A方向の端縁には、開口幅がW1に形成された五個のU字状の溝23が一列に設けられ、矢印B方向の端縁には、開口幅がW1よりも大きいW2に形成された三個のU字状の溝24が一列に設けられている。
【0016】
支持部材5は、図1に示すように背面板26と互いに対向する両側板27,27とによって断面がコ字状に形成されており、上部に開口部28が設けられ、正面に挿抜用開口部29が設けられている。両側板27,27には、互いの対向する面が開口され断面がコ字状で前後方向(矢印A−B方向)に水平な溝状に延在するコネクタ支持部としての第1および第2の支持部30,31およびセパレータ支持部としての第3の支持部32ならびにアース端子板支持部としての端子板支持部33が設けられている。
【0017】
このうち、支持部材5の上部側に設けられた第1および第2の支持部30,31の溝状部には、レセプタクル12の鍔16が支持部材5の挿抜用開口部29から選択的に挿入されることにより、コネクタ2が支持部材5内に収容されてこれら第1または第2の支持部30,31に支持される。支持部材5の下部側に設けられた第3の支持部32の溝状部には、セパレータ4が支持部材5の挿抜用開口部29から挿入されることにより、セパレータ4が支持部材5内に収容されて第3の支持部32に支持される。第2および第3の支持部31,32間に設けられた端子板支持部33の溝状部には、アース端子板3が支持部材5の挿抜用開口部29から挿入されることにより、アース端子板3が支持部材5内に収容されて端子板支持部33に支持される。
【0018】
支持部材5の下端部には、断面コ字状の袴部35が下方に向かって一体に突設されており、この袴部35の上端部には全周に亘って鍔36が設けられ、下端部にはケーブル導入・導出口37が開口されている。また、袴部35の背面部には、図5に示すように、後述するカバーの係合孔46に係合する係合突起38が突設されている。
【0019】
カバー6は、図6に示すように、上面部41と角筒状の囲い壁42とによって底部に開口部43を有する箱状に形成されており、囲い壁42の下部に段部44を介して袴部45が設けられている。袴部45には、上述した支持部材5の係合突起38が係合する係合孔46が設けられている。
【0020】
このように形成されたカバー6を、図2に示すコネクタ2を支持する支持部材5の上方から支持部材5に被せると、カバー6の段部44が支持部材5の鍔36に係止されるとともに、袴部45が弾性変形して係合孔46に支持部材5の係合突起38が係合することにより、カバー6が支持部材5に取り付けられる。
【0021】
この状態で、図2に示すようにコネクタ2の下端とセパレータ4との間に第1の空間51が形成されるとともに、コネクタ2の上端とカバー6の上面部41との間に第2の空間52が形成され、これらコネクタ2、支持部材5、第1および第2の空間51,52がカバー6によって覆われる。このように、カバー6を支持部材5に着脱させるのに、袴部45の弾性変形を利用して、係合孔46と係合突起38との係合および係合の解除を行うようにしたため、工具を必要とせずに容易に行うことができる。
【0022】
次に、このように構成された電子機器用中継箱において、第1および第2のケーブル13,14およびアース線21a,21bを配線する方法について説明する。先ず、図1に示すように支持部材5からカバー6、コネクタ2、アース端子板3、セパレータ4を取り外しておくとともに、図4に示すようにレセプタクル12から各プラグ10を取り外しておく。
【0023】
この状態で、印刷ユニットの所定の位置に取り付ける以前のセンサやモータ等(いずれも図示せず)の電子機器から導出した各ケーブルをバラバラにほぐした複数本の第1のケーブル13のそれぞれの先端部を図4に示すようにプラグ10に挿入し、第1のケーブル13をプラグ10の端子に電気的に接続する。同様に、印刷ユニットの所定の位置に取り付ける以前の制御装置(図示せず)から導出した複数本の第2のケーブル14が束ねられたチューブ15の先端部を図4に示すように切り取り、バラバラになった複数の第2のケーブル14の先端部を個別にレセプタクル12の各挿入部に挿入し、第2のケーブル14をレセプタクル12の端子に電気的に接続する。しかる後、同図に示すように、プラグ10をレセプタクル12の凹部11に嵌合させ、プラグ10とレセプタクル12との各端子間を点接触によって電気的に結合しコネクタ2を形成する。
【0024】
次いで、外部のアース端子から導出した第2のケーブル14の中のアース線21aの先端部をねじ20aによってアース端子板3に電気的に接続するとともに、各電子機器から導出したアース線21bの先端部をねじ20bによってアース端子板3に電気的に接続する。
【0025】
次に、図1に示すように、プラグ10がレセプタクル12の上側に接続された状態で鍔16を支持部材5の挿抜用開口部29から第1の支持部30に挿入することにより、コネクタ2を第1の支持部30に支持させ、各プラグ10から導出された第1のケーブル13を、図2に示すように折り返して下方に向かって垂下させるとともに、レセプタクル12から導出された第2のケーブル14およびアース線21aのチューブ15を下方に向かって垂下させる。また、アース端子板3の両側部19,19を、図1に示すように支持部材5の挿抜用開口部29から端子板支持部33に挿入することにより、アース端子板3を端子板支持部33に支持させ、アース線21bを、図2に示すように下方に向かって垂下させる。
【0026】
セパレータ4の溝24を、図1に示すように支持部材5側に指向させた状態で、セパレータ4を支持部材5の挿抜用開口部29から第3の支持部32に挿入することにより、セパレータ4を第3の支持部32に支持させる。このとき、セパレータ4の三個の溝24のそれぞれに第2のケーブル14のチューブ15、アース線21bを係入させるとともに、第1のケーブル13を束ねることなく互いに間隔をおいて保持するように五個の溝23のそれぞれに第1のケーブル13を係入させる。
【0027】
このように、リセプタクル12の鍔16を第1または第2の支持部30,31に挿抜するまたはアース端子板3を端子板支持部33に挿抜するあるいはセパレータ4を第3の支持部32に挿抜するための共通の挿抜用開口部29が支持部材5に設けられているため、コネクタ2およびアース端子板3ならびにセパレータ4の支持部材5への組付け作業が容易になる。しかも、コネクタ2およびアース端子板3ならびにセパレータ4は、いずれも同じ方向である矢印B方向から第1ないし第3の支持部30,31,32および端子板支持部33に挿入され、かつ同じ方向である矢印A方向に抜き取られるようにしたことにより作業性が向上する。
【0028】
これら第1のケーブル13、チューブ15、アース線21bを支持部材5のケーブル導入・導出口37を通す。この状態で、図2に示すようにカバー6を支持部材5に被せると、第2の空間52にプラグ10から導出された第1のケーブル13の折り返し部が収容されるとともに、ケーブル導入・導出口37を通した第1のケーブル13、チューブ15、アース線21bが、図5に示すようにカバー6の開口部43から外部に導出される。
【0029】
次いで、モータやセンサ等の電子機器と制御装置とを印刷ユニット等の所定の位置に取り付けた後、コネクタ2が取り付けられた上述の電子機器用中継箱1を、印刷ユニット等の所定位置に取り付ける。
【0030】
このように、電子機器用中継箱1を装置から取り外し、かつコネクタ2およびアース端子板3を電子機器用中継箱1から取り外した状態で、コネクタ2およびアース端子板3に第1および第2のケーブル13,14およびアース線21a,21bを電気的に接続するため、これらの配線作業を広いスペースで行うことができるから作業性が向上する。
【0031】
また、カバー6の開口部43から第1の空間51に導入した第1のケーブル13を互いの間隔をおいた状態としているため、ケーブルどうしの隙間から表面張力によってオイルが電子機器用中継箱1の内部に浸入するのを防止することができる。また、カバー6によってコネクタ2が覆われているため、電子機器用中継箱1の上方から滴下するオイルがコネクタ2内に浸入するようなことがない。
【0032】
また、リセプタクル12の下方に第1の空間51が設けられていることにより、コネクタ2がカバー6の開口部43から浮き上がった構造となっているため、仮に、開口部43からカバー6内にオイルが浸入したとしても、コネクタ2内へのオイルの浸入を規制することができる。さらに、防油構造としてオイルの浸入経路を長くするための構造を必要とせず、パッキンやスポンジ等のシール材を必要としないため部品点数を削減することができるから製造コストを低減することができる。また、支持部材5の下部に設けた袴部35によって、滴下するオイルの跳ね返りによる電子機器用中継箱1への横方向からのオイルの浸入を防止することができる。
【0033】
また、アース端子板3をコネクタ2とは別に設けたことにより、プラグ10をリセプタクル12から抜くときや抜いた後もアース線21a,21bが接続された状態が保持される。
【0034】
次に、図3を用いて、本発明に係る電子機器用中継箱の第2の使用態様について説明する。なお、図3においては、説明の便宜上、第1のケーブル13を部分的に図示を省略するとともに、アース線21bの一部の図示を省略している。この第2の使用態様は、電子機器から導出される第1のケーブル13の芯線にオイルが浸入した場合、このオイルが毛細管現象により第2のケーブル13の芯線を介して制御装置に浸入するのを防止する構造を提供するものである。
【0035】
仮に、上述した第1の使用態様のようにプラグ10がリセプタクル12の上側に接続された状態であると、第1のケーブル13の芯線にオイルが浸入した場合、浸入したオイルはコネクタ2内において、プラグ10とリセプタクル12の各端子を介して自重により第2のケーブル14の芯線に滴下され、この第2のケーブル14の芯線を伝わり、制御装置に浸入するおそれがある。
【0036】
そこで、第2の使用態様においては、図3に示すように、コネクタ2の上下方向を反転させ、プラグ10がリセプタクル12の下側に接続された状態として鍔16を支持部材5の第2の支持部31に支持させたものである。この第2の使用態様においても、第1の支持部30の下方に位置付けた第2の支持部31を設けたことにより、コネクタ2の上端とカバー6の上面部41との間に第2の空間52が形成される。したがって、リセプタクル12から導出された第2のケーブル14およびアース線21aを束ねるチューブ15を下方に向かって折り返すだけのスペースが確保される。
【0037】
このように、第1のケーブル13を第2のケーブル14の下側に位置付けた状態で、コネクタ2内で電気的に接続されるため、仮に、第1のケーブル13の芯線にオイルが浸入したとしても、プラグ10およびリセプタクル12のそれぞれの端子間が点接触であることにより、この端子間での毛細管現象によるオイルの受け渡しが阻止されるため、重力に抗してオイルが第2のケーブル14の芯線に伝わるようなことがない。したがって、第1のケーブル14の芯線を介して電子機器用中継箱1の外側にオイルが漏れるようなことがなく、制御装置にオイルが浸入するようなこともない。なお、この第2の使用態様において、コネクタ2の上下方向を反転させたが、必要に応じて前後方向も反転させてもよく、その場合は、第1および第2のケーブル13,14の配線を考慮して、セパレータ4の前後方向を反転させ、溝23を支持部材5側に指向させて第3の支持部32に支持させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…電子機器用中継箱、2…コネクタ、3…アース端子板、4…セパレータ、5…支持部材、6…カバー、10…プラグ(第1のコネクタ)、12…リセプタクル(第2のコネクタ)、13…第1のケーブル、14…第2のケーブル、15…チューブ、16…鍔、21a,21b…アース線、29…挿抜用開口部、30…第1の支持部(コネクタ支持部)、31…第2の支持部(コネクタ支持部)、32…第3の支持部、33…端子板支持部、35…袴部、37…ケーブル導入・導出口、43…開口部、51…第1の空間、52…第2の空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機内に設けた電子機器から引き出された第1のケーブルを中継して第2のケーブルを介して制御装置に電気的に接続する印刷機の電子機器用中継箱において、
前記第1のケーブルが電気的に接続される第1のコネクタと、
前記第2のケーブルが電気的に接続される第2のコネクタと、
前記第1のケーブルを束ねることなく保持し、下側に空間がある状態で前記第2のコネクタを支持し、前記第1のコネクタが前記第2のコネクタの上側に接続された状態で前記第2のコネクタを支持する第1の支持部と、前記第1のコネクタが前記第2のコネクタの下側に接続された状態で前記第2のコネクタを支持する第2の支持部とを備え、下部に前記第1および第2のケーブルを導入・導出するケーブル導入・導出口が設けられた支持部材と、
前記第2のケーブルを前記下側の空間内に導入するチューブ部材と、
前記第1および第2のコネクタならびに前記下側の空間を、上側に空間がある状態で覆うカバーと、
からなることを特徴とする印刷機の電子機器用中継箱。
【請求項2】
前記第2のコネクタを前記第1および第2の支持部に挿抜自在に支持し、
前記第1のケーブルを束ねることなく保持するセパレータを備え、
前記支持部材に前記セパレータを挿抜自在に支持する第3の支持部を設けるとともに、当該支持部材に、前記第1ないし第3の支持部に前記第1のコネクタおよび前記セパレータを挿抜するための挿抜用開口部を設けたことを特徴とする請求項1記載の印刷機の電子機器用中継箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−109134(P2012−109134A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257501(P2010−257501)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000184735)株式会社小森コーポレーション (403)
【Fターム(参考)】