説明

印刷版胴、缶の印刷装置及び印刷版胴の形成方法

【課題】印刷版胴のプレート印刷版の取り付けを簡便かつ短時間で精度よく行うことができ、生産効率が向上し、既存の装置にも流用可能な印刷版胴、缶の印刷装置及び印刷版胴の形成方法を提供する。
【解決手段】中心軸C周りに回転する版胴本体1と、前記版胴本体1の外周に配置されるプレート印刷版3とを備える印刷版胴10であって、前記版胴本体1の外周に着脱可能に配設されるとともに、前記プレート印刷版3を固定する固定部2aが設けられているスリーブアタッチメント2と、前記版胴本体1、前記スリーブアタッチメント2及び前記プレート印刷版3を相対的に位置決めする位置決め手段18,21,32と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中心軸周りに回転する版胴本体と、前記版胴本体の外周に配置されるプレート印刷版とを備える印刷版胴、該印刷版胴を備える缶の印刷装置及び印刷版胴の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、飲料缶などにおいては、内容物やそのイメージなどの表示や、外観意匠の向上などを目的として、缶胴の外表面に印刷を施している。このような缶を印刷する印刷装置としては、例えば特許文献1,2に開示されるものが知られている。
【0003】
特許文献1の缶の印刷装置は、印刷デザインの施された板状の印刷版(プレート印刷版)を外周に備える略円柱状又は略円筒状の複数の印刷版胴を有しており、これら印刷版胴に各色のインキを供給し、インキの供給されたプレート印刷版がブランケット胴に各々接触し、さらに該ブランケット胴が缶胴に接触してインキを転写してオフセット印刷するようになっている。すなわち、各色のインキのパターンが重なり合って、缶胴に1つの図柄が印刷される。
【0004】
ここで、缶胴の図柄を変更する場合には、印刷版胴の外周のプレート印刷版を剥がして新たな別のプレート印刷版を貼り付けたり、印刷版胴自体を印刷装置から取り外して、別のプレート印刷版を備えた印刷版胴と交換したりすることが行われている。
【0005】
また、近年では、外周に印刷版を一体に配設した円筒状のスリーブ部材を用い、該スリーブ部材を中心軸周りに回転しながら印刷版に直接レーザー加工して印刷デザインを形成した後、スリーブ部材ごと印刷版胴に着脱するCTS(Computer To plate on Sleeve)なる技術が知られている。CTS技術によれば、印刷版の印刷版胴に対する位置調整が容易に精度よく行えるとともに、印刷版に印刷デザインを形成するための作業工程や印刷版の交換(着脱)作業が簡便に行える。
【特許文献1】特開平09−267466号公報
【特許文献2】特開2001−129966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような従来の缶の印刷装置は、以下の課題を有している。
すなわち、缶胴に印刷する図柄を変更する際に、印刷版胴のプレート印刷版を貼り替えて行う場合には、プレート印刷版の貼着位置の精度を確保するために作業者に熟練を要したり、作業に長時間を要したりするという課題がある。また、作業の際にプレート印刷版の一部が伸縮されるなどして印刷デザインが変形した状態で貼着されることがあり、印刷品質を精度よく確保することが難しい。また、作業に長時間を要すると印刷装置をその間停止させることとなるため、生産効率が低下する。
【0007】
また、印刷版胴自体を印刷装置から取り外して、新たなプレート印刷版を備えた別の印刷版胴と交換する場合には、印刷装置を停止させる時間は比較的短くて済むものの、重量のある印刷版胴を交換する作業には多大な労力を要する。またこのような印刷版胴を多数保管するにあたり、保管のために強度の高い棚等が必要となりその分設備費用が嵩む。
【0008】
また、前述のCTS技術では、スリーブ部材の外周に印刷版を設置した状態で、該スリーブ部材を中心軸周りに回転させ印刷デザインを形成することが可能だが、従来のプレート印刷版を使用できなくなってしまうという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、印刷版胴のプレート印刷版の取り付けを簡便かつ短時間で精度よく行うことができ、生産効率が向上し、既存の装置にも流用可能な印刷版胴、缶の印刷装置及び印刷版胴の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち本発明は、中心軸周りに回転する版胴本体と、前記版胴本体の外周に配置されるプレート印刷版とを備える印刷版胴であって、前記版胴本体の外周に着脱可能に配設されるとともに、前記プレート印刷版を固定する固定部が設けられているスリーブアタッチメントと、前記版胴本体、前記スリーブアタッチメント及び前記プレート印刷版を相対的に位置決めする位置決め手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る印刷版胴によれば、版胴本体の外周にはスリーブアタッチメントが着脱可能に配設され、該スリーブアタッチメントの外周にはプレート印刷版が固定部により固定可能とされている。そして、これら版胴本体、スリーブアタッチメント及びプレート印刷版が位置決め手段により相対的に位置決めされるので、プレート印刷版の取り付けを簡便に位置精度よく行うことができる。
【0012】
また、例えば予めプレート印刷版をスリーブアタッチメントに位置決めして固定しておき、該スリーブアタッチメントごと版胴本体に取り付け位置決めすることができるので、従来のように、プレート印刷版を印刷版胴の外周に直接貼り付け、その位置決めに熟練・長時間を要するような作業を行う必要がなく、また、重量のある印刷版胴を装置から取り外して新たなプレート印刷版を備える別の印刷版胴と交換するような手間もなく、作業が簡便かつ短時間で行える。また、作業に長時間を要しないので、印刷装置を停止する時間が短縮されて、生産効率が高められる。
【0013】
また従来は、印刷版胴に直接貼着されたプレート印刷版を剥がした場合に、該プレート印刷版の再利用は不可であったが、本発明では、プレート印刷版の装着されたスリーブアタッチメントごと版胴本体から取り外すことができるので、プレート印刷版を再度版胴本体に取り付けて使用することが可能であり、製造したプレート印刷版に無駄がない。また、このようにスリーブアタッチメントの着脱によってプレート印刷版を装置に配設する場合、プレート印刷版の一部に無理な力が加わるようなことが無く、従来のようにプレート印刷版が伸縮して印刷デザインに影響を与えてしまうことがないので、印刷品質が高められる。
【0014】
また、版胴本体、スリーブアタッチメント及びプレート印刷版が一体とされた状態で、印刷版胴を中心軸周りに回転させながらプレート印刷版に直接レーザー加工を施して印刷デザインを形成することが可能である。このようにしてプレート印刷版に印刷デザインを施した場合には、印刷デザインの形成後にプレート印刷版を取り外して移動したり取り付け時に変形させたりするようなことがないので、印刷精度が飛躍的に向上する。すなわち、例えば従来のように、平板状のプレート印刷版に印刷デザインを形成した後、印刷版胴の外周に沿ってプレート印刷版を湾曲させて取り付け、印刷デザインが伸縮したり位置がずれたりして印刷精度を低減させてしまうようなことがない。よって印刷デザインの精度が良好に確保される。
【0015】
さらに、プレート印刷版を装着した比較的軽量なスリーブアタッチメントを保管しておき、別の図柄を印刷する際に該スリーブアタッチメントを交換することとした場合には、従来のように、重量のある印刷版胴ごと保管する場合に比し、棚等の保管手段に強度を必要としないので設備費用が低減される。
また、このような印刷版胴の構成によれば、従来のプレート印刷版を用いてスリーブシステムによるCTS技術と同様の効果を奏功することができる。すなわち、プレート印刷版の印刷版胴に対する位置調整が容易に精度よく行えるとともに、プレート印刷版に印刷デザインを形成するための作業工程やプレート印刷版の交換(着脱)作業が簡便に行える。
【0016】
また、本発明の印刷版胴において、前記プレート印刷版又は前記スリーブアタッチメントの固定部の少なくとも一方が磁力を生じる磁性材料からなり、前記プレート印刷版は、前記固定部に磁力により固定されることとしてもよい。
【0017】
本発明の印刷版胴によれば、例えばスリーブアタッチメントの外周の少なくともプレート印刷版を固定する位置には、磁力を生じるマグネットシート(磁性材料)からなる固定部が配置され、またプレート印刷版の内周が磁気的に吸引される性質のスチールシート(金属材料)で形成されている。そして、これらスリーブアタッチメント及びプレート印刷版が磁力により互いに吸着し固定されるので、プレート印刷版の着脱が簡便に行え作業性が向上する。
【0018】
また、本発明の印刷版胴において、前記位置決め手段は、前記版胴本体の外周に設けられるピン部材と、前記スリーブアタッチメントに形成され前記ピン部材に係合する第1切り欠き部と、前記プレート印刷版に形成され前記ピン部材に係合する第2切り欠き部と、からなることとしてもよい。
【0019】
本発明の印刷版胴によれば、版胴本体のピン部材に、スリーブアタッチメントの第1切り欠き部とプレート印刷版の第2切り欠き部とが係合して、これら版胴本体、スリーブアタッチメント及びプレート印刷版が相対的に位置決めされ固定されるので、簡便な構成ながらプレート印刷版の位置精度を充分に確保することができる。
【0020】
また、本発明の印刷版胴において、前記ピン部材は、前記版胴本体の外周に出没可能に設けられることとしてもよい。
また、本発明の印刷版胴において、前記ピン部材は、前記版胴本体の外周に着脱可能に設けられることとしてもよい。
【0021】
本発明の印刷版胴によれば、位置決め手段のピン部材は、版胴本体の外周に出没可能或いは着脱可能とされているので、該ピン部材を版胴本体、スリーブアタッチメント及びプレート印刷版の位置決めに用いた後の印刷の際には、版胴本体の外周から径方向外方に突出させないようにすることができる。よって、印刷時に印刷版胴が回転して、突出したピン部材が他の部材にぶつかったり引っ掛かったりするようなことがなく、装置を安定して運転できる。
【0022】
また本発明は、印刷版胴を用いて缶に印刷する印刷装置であって、前述の印刷版胴を用いたことを特徴としている。
本発明に係る缶の印刷装置によれば、印刷の精度及び生産性が向上して、多種多様な缶の印刷の要望に柔軟に対応することが可能である。
【0023】
また本発明は、中心軸周りに回転する版胴本体と、前記版胴本体の外周に着脱可能な円筒状のスリーブアタッチメントと、前記スリーブアタッチメントの外周に着脱可能なプレート印刷版とを備える印刷版胴の形成方法であって、前記版胴本体の外周から突出して設けられたピン部材に、前記スリーブアタッチメントに形成される第1切り欠き部を係合して、前記スリーブアタッチメントを前記版胴本体に対して位置決めした状態で保持する工程と、前記ピン部材に、前記プレート印刷版に形成される第2切り欠き部を係合して、前記プレート印刷版を前記版胴本体及び前記スリーブアタッチメントに対して位置決めした状態で前記スリーブアタッチメントに保持する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る印刷版胴、缶の印刷装置及び印刷版胴の形成方法によれば、印刷版胴のプレート印刷版の取り付けを簡便かつ短時間で精度よく行うことができ、生産効率が向上し、既存の装置にも流用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る印刷版胴の版胴本体の概略構成を示す正面図及び側断面図、図2は本発明の一実施形態に係る印刷版胴の概略構成を示す分解斜視図、図3は本発明の一実施形態に係る印刷版胴の形成手順を説明する部分透過斜視図、図4は本発明の一実施形態に係る印刷版胴を用いた缶の印刷装置を示す概略図である。
【0026】
本実施形態の印刷版胴10は、飲料缶等を印刷の対象とする缶の印刷装置に配設され、印刷装置の印刷の種類としては、凸版印刷、例えばオフセット印刷若しくは低印圧で印刷可能なフレキソ印刷が採用されている。また、印刷版胴10は、例えばその外径がφ200mm程度、中心軸C方向の長さが略190mm程度とされ、回転数が800rpm以下に設定される。
【0027】
図1(a),(b)に示すように、印刷版胴10の本体部分である版胴本体1は、例えば鋼材などで構成され、略円柱状又は略円筒状に形成されている。版胴本体1には、その中心軸C方向の一方側(図1(b)における左側)の端面1aから他方側(図1(b)における右側)の端面1bに向かうに従い漸次縮径する切頭円錐孔状のテーパ孔11が貫通して形成されている。テーパ孔11は、その中心軸が版胴本体1の中心軸Cと同軸に配置されている。
【0028】
また印刷装置には、テーパ孔11に対応するテーパ状若しくは切頭円錐状からなり、駆動モータ等により回転駆動する駆動軸Sが設けられている。そして、駆動軸Sを版胴本体1の一方側から他方側に向かってテーパ孔11に挿入し該版胴本体1に一体に固定して、印刷版胴10が中心軸C周りに回転駆動されるようになっている。
【0029】
また、版胴本体1のテーパ孔11よりも径方向外方には、略円筒孔状若しくは略リング孔状のエア室12が設けられており、このエア室12の他方側の端部には、中心軸C方向に延び端面1bに連通するエア供給孔13が設けられている。また、版胴本体1の他方側の端部近傍には、テーパ孔11及びエア供給孔13を囲む略リング孔状のエア流通溝14が設けられている。エア流通溝14は、版胴本体1の径方向に穿設された供給路15によってエア供給孔13と連通している。またエア流通溝14は、版胴本体1の他方側の端部近傍の外周に周方向均等に配置されて径方向に延びる複数のエア孔17に連通している。また、エア室12と版胴本体1の外周とを連通し径方向に延びる複数の補助エア孔(不図示)が配設されている。
【0030】
また、版胴本体1は、一方側の端部近傍の外周に、径方向に出没可能な複数の略円柱状のピン部材18を備えている。ピン部材18は、例えばその基端部分が雄ネジ加工されており、また版胴本体1には、各々のピン部材18に対応する位置に雌ネジ孔(不図示)が設けられている。そして、これらピン部材18と版胴本体1の雌ネジ孔とが螺合し、該螺合の程度によって、該ピン部材18の先端部分が版胴本体1の外周から径方向外方に突出する長さを調整可能としている。また、ピン部材18を雌ネジ孔に最も深く挿入した際には、該ピン部材18の先端部分が版胴本体1の外周面よりも径方向内方に埋設されるようになっている。
【0031】
また、図2に示すように、印刷版胴10は、前述の版胴本体1と、版胴本体1の外周に配設される略円筒状のスリーブアタッチメント2と、該スリーブアタッチメント2の外周に配設されるプレート印刷版3と、を備えている。
版胴本体1の外周の直径と、スリーブアタッチメント2の内周の直径とは、略同一寸法若しくはスリーブアタッチメント2の内周の直径の方が僅かに小さく設定されており、中心軸C方向に相対的にスライドして嵌め合わされるようになっている。また、版胴本体1に装着したスリーブアタッチメント2を取り外すことも可能である。すなわち、スリーブアタッチメント2は、版胴本体1に着脱可能とされている。
【0032】
スリーブアタッチメント2は、中心軸C方向の外形が版胴本体1よりも長く設定されていて、着脱の際の作業性が良いようになっている。またスリーブアタッチメント2は、例えばその内周部分がプラスチック樹脂製からなり、外周部分が磁力を生じるマグネットシート(固定部)2aからなり、これら内周部分と外周部分とが接着されて一体に形成されている。また、スリーブアタッチメント2の一方側(図2における左側)の端部には、版胴本体1のピン部材18に対応する位置に複数の第1切り欠き部21が設けられている。
【0033】
詳しくは、第1切り欠き部21はその大きさが2種類設定されており、幅狭の第1切り欠き部21aと、幅広の第1切り欠き部21bとを有している。第1切り欠き部21aは、その幅がピン部材18の直径と略同一とされていて、該ピン部材18に嵌め合わされた際に、版胴本体1とスリーブアタッチメント2とを周方向に互いに精度よく位置決めするようになっている。また、第1切り欠き部21bは、その幅がピン部材18の直径よりも若干大きく設定されていて、該ピン部材18が挿入された際には遊嵌状態とされる。すなわち、第1切り欠き部21bは所謂逃がし切り欠きとされていて、版胴本体1とスリーブアタッチメント2とが嵌め合わされた状態で、互いの周方向の位置決めには使用されていない。
【0034】
また、プレート印刷版3は、中心軸C方向の長さがスリーブアタッチメント2よりも短く設定されており、例えば内周部分が磁気的に吸引される性質のスチールシート(金属材料)3aからなり、その外周部分には、樹脂製からなり印刷デザインの施される画像部31が配設されていて、全体が柔軟で変形可能な矩形平板状とされている。そして、プレート印刷版3の内周のスチールシート3aとスリーブアタッチメント2の外周のマグネットシート2aとが磁力により互いに吸着して一体に固定可能とされている。また、スリーブアタッチメント2に吸着したプレート印刷版3を磁力に抗って取り外すことも可能である。すなわち、プレート印刷版3は、スリーブアタッチメント2に着脱可能とされている。
【0035】
ここで、プレート印刷版3がスリーブアタッチメント2に吸着する磁力の大きさについては、実使用に耐えうるよう充分に確保されており、例えばこの印刷版胴10を装置に取り付け2000rpmで回転した際にも、プレート印刷版3がスリーブアタッチメント2に対しその位置をずらしたり剥がれたりするようなことがない。
【0036】
また、プレート印刷版3の一方側の端部には、版胴本体1のピン部材18に対応する位置に複数の第2切り欠き部32が形成されている。第2切り欠き部32は、その幅がピン部材18の直径と略同一とされていて、該ピン部材18に嵌め合わされた際、版胴本体1とプレート印刷版3とを周方向に互いに精度よく位置決めするようになっている。
【0037】
尚、第2切り欠き部32は、プレート印刷版3の位置精度を確保するためにも該プレート印刷版3の一方側の端部の一辺に対して2箇所以上設けられるとともに、夫々の第2切り欠き部32に対向する位置には、夫々のピン部材18が設けられることが好ましい。また、図2ではプレート印刷版3を1枚設置することとして図示しているが、プレート印刷版3を2枚以上用意してスリーブアタッチメント2の外周に周方向均等に配設しても構わない。この場合、夫々のプレート印刷版3の夫々の第2切り欠き部32に対向して、版胴本体1の外周に夫々のピン部材18が配設される。
【0038】
次に、このように構成される印刷版胴10の形成手順について説明する。
まず、図3(a)に示すように、版胴本体1の他方側(図3における右側)の端面1bから中心軸C方向の一方側(図3における左側)の端面1aに向けスリーブアタッチメント2を嵌め込む。
【0039】
ここで、スリーブアタッチメント2をエア孔17を覆う位置まで移動させる際に、コンプレッサ等を用いて版胴本体1のエア供給孔13からエアを注入する。このように版胴本体1にエアを供給すると、エア供給孔13から供給路15及びエア流通溝14を介してエア孔17から高圧エアが噴出される。この高圧エアによって、プラスチック樹脂で形成されたスリーブアタッチメント2の内周面が径方向外方に押し広げられ、版胴本体1との嵌合がスムースに行われる。また、エア室12からも版胴本体1の外周に補助エア孔(不図示)を介して高圧エアが噴出されるので、スリーブアタッチメント2が版胴本体1の中心軸C方向の中央部分まで嵌合されても、この高圧エアによってスリーブアタッチメント2の内周面が押し広げられ、該スリーブアタッチメント2がスムースに嵌合される。
【0040】
このようにスリーブアタッチメント2を版胴本体1の外周に沿って中心軸C方向の一方側へと移動していくと、スリーブアタッチメント2の一方側の端面が、版胴本体1のピン部材18に当接する。ここで、スリーブアタッチメント2を周方向に回転させ、各々のピン部材18と第1切り欠き部21とが対向する位置まで相対的に移動させる。次いで、これらピン部材18と第1切り欠き部21とを係合して嵌め合わせ、版胴本体1とスリーブアタッチメント2とを互いに位置決めする。
【0041】
すなわち、ピン部材18を第1切り欠き部21に挿入していくと、まず版胴本体1とスリーブアタッチメント2との周方向の相対的な位置決めがなされ、さらに該ピン部材18が第1切り欠き部21の他方側の端部まで挿入され突き当てられると、版胴本体1とスリーブアタッチメント2との中心軸C方向の相対的な位置決めがなされるようになっている。
また、位置決めに用いられたピン部材18は、その径方向外方に配置される先端部分がスリーブアタッチメント2の外周よりも外方に突出して配置されている。また、位置決め後の版胴本体1とスリーブアタッチメント2とは、一方側の各々の端面の位置が互いに中心軸C方向に重なるようにして同位置とされている。
【0042】
また、このようにしてスリーブアタッチメント2と版胴本体1との周方向及び中心軸C方向の位置決めが終わった後は、版胴本体1への高圧エアの供給を停止すると、スリーブアタッチメント2の内周が元の内径に復元して該版胴本体1の外周に密着し、版胴本体1とスリーブアタッチメント2とが固定される。
【0043】
次いで、図3(b)に示すように、スリーブアタッチメント2の外周にプレート印刷版3を磁力により装着する。ここでプレート印刷版3のスリーブアタッチメント2への位置決めは、下記のようにして行う。すなわち、プレート印刷版3の夫々の第2切り欠き部32を版胴本体1の夫々のピン部材18に対向して配置し、該第2切り欠き部32にピン部材18を挿入していくと、まず版胴本体1とプレート印刷版3との周方向の相対的な位置決めがなされ、さらに該ピン部材18が第2切り欠き部32の他方側の端部まで挿入され突き当てられると、版胴本体1とプレート印刷版3との中心軸C方向の相対的な位置決めがなされる。また、この位置決め状態で、プレート印刷版3は磁力によりスリーブアタッチメント2に固定される。
【0044】
版胴本体1とスリーブアタッチメント2とは、前述のようにして予め位置決めされ固定されているので、プレート印刷版3が版胴本体1に位置決めされスリーブアタッチメント2に固定されると、版胴本体1、スリーブアタッチメント2及びプレート印刷版3が相対的に位置決め固定された状態となる。このように、版胴本体1のピン部材18と、スリーブアタッチメント2の第1切り欠き部21と、プレート印刷版3の第2切り欠き部32とからなる位置決め手段が構成されている。
【0045】
版胴本体1、スリーブアタッチメント2及びプレート印刷版3が位置決めされ一体に固定された後は、この印刷版胴10を中心軸C周りに回転させながら、プレート印刷版3の画像部31に直接レーザー加工を施して、印刷デザインを形成する。尚、画像部31の印刷デザインは予め前工程において形成しておいてもよく、またレーザー加工以外の方法を用いて形成しても構わない。
【0046】
次いで、ピン部材18の先端部分を版胴本体1の外周よりも径方向内方の位置まで埋設し、この印刷版胴10を中心軸C周りに回転させて印刷を行う。また、印刷作業が終了した後は、図3(c)に示すように、プレート印刷版3が配設されたスリーブアタッチメント2を版胴本体1の中心軸C方向の一方側から他方側へと移動させて該版胴本体1から取り外す。この際、版胴本体1に前述のようにエアを供給すれば簡便に作業を行うことができる。また、取り外したプレート印刷版3付きのスリーブアタッチメント2は、印刷の作業工程や必要に合わせて保管し、再度版胴本体1に取り付けて印刷に用いることができる。
【0047】
次に、本実施形態の印刷版胴10を用いた缶の印刷装置50について説明する。
図4に示すように、この缶の印刷装置50は、インキ付着機構51と、缶移動機構52とを有している。
インキ付着機構51は、印刷される各色それぞれに設けられる複数のインカーユニット55と、各インカーユニット55から転写されたインキをサイズコート膜が形成された略円筒状のワーク(缶)56の外周面(缶胴)に転写するブランケットホイール57とを備えている。
【0048】
インカーユニット55は、印刷される色のインキが充填されたインキ源61と、インキ源61と接触してインキを受け取るダクティングローラ62と、ダクティングローラ62からゴムローラ63にインキを受け渡す複数のローラからなる中間ローラ64と、ゴムローラ63に接触する印刷版胴10とを有する。また印刷版胴10の版胴本体1の外周にはスリーブアタッチメント2が設けられ、さらにスリーブアタッチメント2の外周には画像部31の形成されたプレート印刷版3が設けられている。また、これら印刷版胴10は缶の印刷装置50の駆動軸Sに回転可能に支持されている。
また、ブランケットホイール57の外周面には、印刷版胴10のプレート印刷版3と接触するブランケット66が複数枚設けられている。
【0049】
また、缶移動機構52は、ワーク56を取り入れる缶シュータ67と、缶シュータ67から供給されたワーク56を回転自在に保持するマンドレル68と、このマンドレル68に装着されたワーク56を順次インキ付着機構51方向に回転移動させるマンドレルターレット69とを備える。
【0050】
缶の印刷装置50では、各インカーユニット55のインキ源61からそれぞれ異なる色のインキが、ダクティングローラ62、中間ローラ64及びゴムローラ63を介して印刷版胴10の外周面に配設されるプレート印刷版3に付着する。そして、各インキが、これらプレート印刷版3から回転するブランケットホイール57上のブランケット66にパターンとして乗せられ、このパターンがマンドレル68に保持されたワーク56の缶胴に接触しながら印刷される。そして、これら各色のインキのパターンが重なり合って、缶胴に1つの図柄が印刷されるようになっている。すなわち、缶胴に印刷される図柄は、各色の印刷版胴10のプレート印刷版3の画像部31のパターンが重なり合って形成されている。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の印刷版胴10によれば、版胴本体1の外周にはスリーブアタッチメント2が着脱可能に配設され、該スリーブアタッチメント2の外周のマグネットシート2aにはプレート印刷版3が固定されている。また、このプレート印刷版3はスリーブアタッチメント2に着脱可能とされている。そして、版胴本体1のピン部材18に、スリーブアタッチメント2の第1切り欠き部21とプレート印刷版3の第2切り欠き部32とが夫々係合して、これら版胴本体1、スリーブアタッチメント2及びプレート印刷版3が相対的に位置決めされて固定されるので、簡便な構成ながらプレート印刷版3の位置精度が良好に確保される。
【0052】
また従来は、印刷版胴10に直接貼着されたプレート印刷版を剥がした場合に、該プレート印刷版の再利用は不可であったが、本発明では、プレート印刷版3の装着されたスリーブアタッチメント2ごと版胴本体1から取り外すことができるので、プレート印刷版3を再度版胴本体1に取り付けて使用することが可能であり、製造したプレート印刷版3に無駄がない。また、このようにスリーブアタッチメント2の着脱によってプレート印刷版3を装置に配設する場合、プレート印刷版3の一部に無理な力が加わるようなことが無く、従来のようにプレート印刷版が伸縮して印刷デザインに影響を与えてしまうようなことがない。
【0053】
また、スリーブアタッチメント2の外周が磁力を生じるマグネットシート2aで形成され、プレート印刷版3の内周が磁気的に吸引される性質のスチールシート3aで形成されており、これらスリーブアタッチメント2及びプレート印刷版3が磁力により互いに吸着して固定されるので、プレート印刷版3の着脱が簡便に行え、作業性が向上している。またこの構成によれば、プレート印刷版3を取り外した後、該プレート印刷版3の吸着していた部分には接着の跡が残らず、従来のように固定に用いられた両面テープや接着剤を剥がすような必要がないので、新たな別のプレート印刷版3の取り付けが簡便・迅速かつ精度よく行える。
【0054】
また、版胴本体1、スリーブアタッチメント2及びプレート印刷版3が一体とされた状態で、印刷版胴10を中心軸C周りに回転させながらプレート印刷版3の画像部31に直接レーザー加工を施して印刷デザインを形成することが可能であるので、印刷デザインの形成後に該プレート印刷版3を取り外して移動したり取り付け時に変形させたりするようなことがなく、印刷精度が飛躍的に向上する。
【0055】
すなわち、従来のように、平板状のプレート印刷版に印刷デザインを形成した後、印刷版胴10の外周に沿ってプレート印刷版を湾曲させて取り付け、取り付け時に印刷デザインが伸縮したり位置がずれたりして印刷精度を低減させてしまうようなことがない。従って、プレート印刷版3の印刷版胴10に対する位置精度が充分に確保され、印刷デザインの変形も無く、印刷品質が飛躍的に高められている。また、プレート印刷版3の画像部31に印刷デザインを形成するための作業工程が削減され、作業時間が短縮される。
【0056】
また、プレート印刷版3を備える比較的軽量なスリーブアタッチメント2を保管しておき、別の図柄を印刷する際に該スリーブアタッチメント2を交換して対応することが可能であり、この場合には、従来のように、重量のある印刷版胴10ごと保管して交換する場合に比し、作業が簡便・短時間に行え、作業者の労力が大幅に軽減される。
また、従来のように、プレート印刷版を印刷版胴10の外周に直接貼り付け、その位置決めに熟練・長時間を要するような作業を行う必要がない。
【0057】
また作業に長時間を要しないので、缶の印刷装置50を停止する時間が短縮されて、生産効率が高められる。
また、比較的軽量なスリーブアタッチメント2を保管するにあたっては、保管のための棚等に従来のように印刷版胴10を保管するほどの強度を必要としないので、設備費用が低減される。
また、このような印刷版胴10を用いることにより、印刷の精度及び生産性が向上して、多種多様な缶の印刷の要望に柔軟に対応することが可能である。
【0058】
また、このような印刷版胴10の構成によれば、従来のプレート印刷版3を用いて、スリーブシステムによるCTS技術と同様の効果を奏功することができる。すなわち、既に工場に設置されている従来の缶の印刷装置の印刷版胴を本実施形態の印刷版胴10に交換するだけで、プレート印刷版3の印刷版胴10に対する位置調整が容易に精度よく行えるとともに、プレート印刷版3に印刷デザインを形成するための作業工程やプレート印刷版3の交換(着脱)作業が簡便に行える。
【0059】
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では、ピン部材18を版胴本体1の雌ネジ孔に螺合して該版胴本体1の外周から径方向外方に突出する長さを調整し設定することとして説明したが、これに限られるものではない。
【0060】
すなわち、例えば版胴本体1の外周に径方向に穿設される複数の円柱穴部を設け、該円柱穴部に挿入されるピン部材18の基端部分の端面に対向して圧縮コイルばね等の弾性部材を埋設し、さらにピン部材18の側面部分に当接するストッパー部材等を設けて、このピン部材18を版胴本体1の外周から径方向に出没可能に構成することとしても構わない。
また本実施形態では、印刷前にピン部材18を版胴本体1の内部に埋設することとして説明したが、これに限らずに、ピン部材18を版胴本体1から取り外すこととして着脱可能に構成しても構わない。
【0061】
また、本実施形態では、複数のピン部材18のうち、ピン部材18aをスリーブアタッチメント2の位置決めに用い、ピン部材18bをプレート印刷版3の位置決めに用いることとして説明したが、これに限らず、例えばピン部材18のすべてをスリーブアタッチメント2及びプレート印刷版3の両方の位置決めに用いることとしても構わない。またピン部材18の数量を1つのみとしても構わない。
【0062】
また、本実施形態では、版胴本体1にピン部材18を設け、スリーブアタッチメント2に第1切り欠き部21を形成し、プレート印刷版3に第2切り欠き部32を形成することとして説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、ピン部材18をスリーブアタッチメント又はプレート印刷版3に設けたり、第1切り欠き部21を版胴本体1又はプレート印刷版3に形成したり、第2切り欠き部32を版胴本体1又はスリーブアタッチメント2に形成したりしても構わない。
また、ピン部材18に切り欠き形状の第1、第2切り欠き部21,32を係合させる構成に限らずに、溝形状やそれ以外の形状を係合させる構成としても構わない。
【0063】
また、本実施形態では、スリーブアタッチメント2の外周に磁力を生じるマグネットシート2aを設けて固定部とし、プレート印刷版3の内周に磁気的に吸引される性質のスチールシート3aを設けて、これらマグネットシート2aとスチールシート3aとを磁力により互いに吸着させ固定することとして説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば本実施形態とは逆に、スリーブアタッチメント2の外周にスチールシートを設けて固定部とし、プレート印刷版3の内周にマグネットシートを設けて、これらを吸着して固定することとしても構わない。また、スリーブアタッチメント2の外周及びプレート印刷版3の内周の夫々に、互いに吸引し合う一対のマグネットシートを設けてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、スリーブアタッチメント2の外周がマグネットシート2aからなる固定部で形成されているとして説明したが、固定部の配設される位置は、少なくとも固定するプレート印刷版3に対応する部分のみであってもよい。すなわち、マグネットシート2aは、スリーブアタッチメント2の外周全体に配設されていなくとも構わない。
また、スリーブアタッチメント2とプレート印刷版3とを磁力で固定せずに、両面テープの接着力や接着剤等を用いて固定しても構わない。すなわち、固定方法は本実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷版胴の版胴本体の概略構成を示す正面図及び側断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る印刷版胴の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る印刷版胴の形成手順を説明する部分透過斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る印刷版胴を用いた缶の印刷装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0066】
1 版胴本体
2 スリーブアタッチメント
2a マグネットシート(固定部)
3 プレート印刷版
10 印刷版胴
18(18a,18b) ピン部材
21(21a,21b) 第1切り欠き部
32 第2切り欠き部
50 缶の印刷装置
C 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸周りに回転する版胴本体と、前記版胴本体の外周に配置されるプレート印刷版とを備える印刷版胴であって、
前記版胴本体の外周に着脱可能に配設されるとともに、前記プレート印刷版を固定する固定部が設けられているスリーブアタッチメントと、
前記版胴本体、前記スリーブアタッチメント及び前記プレート印刷版を相対的に位置決めする位置決め手段と、を備えることを特徴とする印刷版胴。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷版胴であって、
前記プレート印刷版又は前記スリーブアタッチメントの固定部の少なくとも一方が磁力を生じる磁性材料からなり、
前記プレート印刷版は、前記固定部に磁力により固定されることを特徴とする印刷版胴。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷版胴であって、
前記位置決め手段は、前記版胴本体の外周に設けられるピン部材と、前記スリーブアタッチメントに形成され前記ピン部材に係合する第1切り欠き部と、前記プレート印刷版に形成され前記ピン部材に係合する第2切り欠き部と、からなることを特徴とする印刷版胴。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷版胴であって、
前記ピン部材は、前記版胴本体の外周に出没可能に設けられることを特徴とする印刷版胴。
【請求項5】
請求項3に記載の印刷版胴であって、
前記ピン部材は、前記版胴本体の外周に着脱可能に設けられることを特徴とする印刷版胴。
【請求項6】
印刷版胴を用いて缶に印刷する印刷装置であって、
前記印刷版胴として、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷版胴を用いたことを特徴とする缶の印刷装置。
【請求項7】
中心軸周りに回転する版胴本体と、前記版胴本体の外周に着脱可能な円筒状のスリーブアタッチメントと、前記スリーブアタッチメントの外周に着脱可能なプレート印刷版とを備える印刷版胴の形成方法であって、
前記版胴本体の外周から突出して設けられたピン部材に、前記スリーブアタッチメントに形成される第1切り欠き部を係合して、前記スリーブアタッチメントを前記版胴本体に対して位置決めした状態で保持する工程と、
前記ピン部材に、前記プレート印刷版に形成される第2切り欠き部を係合して、前記プレート印刷版を前記版胴本体及び前記スリーブアタッチメントに対して位置決めした状態で前記スリーブアタッチメントに保持する工程と、を備えることを特徴とする印刷版胴の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−226648(P2009−226648A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72479(P2008−72479)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(305060154)ユニバーサル製缶株式会社 (219)
【Fターム(参考)】