説明

印刷物生産支援システム及び印刷原稿の色補正方法

【課題】一連のワークフローの中でページ内画像の色補正を可能とし、再補正の容易化並びに補正結果の効率的な活用・管理を実現できる印刷物生産支援システム及び印刷原稿の色補正方法を提供する。
【解決手段】ジョブ管理手段に登録されたジョブに関して、インターネット経由で端末装置から印刷原稿の電子ファイルを受信する入稿受付手段(510)と、入稿受付手段によって受信した印刷原稿のデータを保存するとともに、当該入稿された印刷原稿のページにレイアウトされている画像オブジェクトを抽出し、画像単位でデータ管理を行う素材管理手段(32)と、印刷原稿から抽出された画像オブジェクトに対して色補正を行う色補正処理手段(520)と、補正後の補正画像を含む印刷原稿のデータから出力印刷機に応じたビットマップのラスタイメージデータを色別に生成する分版RIP処理手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷物生産支援システム及び印刷原稿の色補正方法に係り、特に、印刷依頼入試、デザイナー、印刷会社、製版会社等複数の者が協力して1つの印刷物を生産していく過程を支援するのに好適な印刷物生産支援システム及びこれに適用される印刷原稿の色補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷業界において、1つの印刷物を完成させるまでの過程では、複数の者(会社)により分担して行われることが一般的である。例えば、原稿作成者(例えばデザイナー)によって作成された原稿が入稿されると、校正担当者(例えば広告代理店又はクライアント)による校正が行われ、再入稿、校正が繰り返された後、校正作業が完了すると、印刷会社の担当者によって印刷作業が開始される。このように、印刷物の生産プロセスは複数種類の工程から構成されるため、各担当者間でのコミュニケーションを円滑にするワークフロー管理システムの運用ニーズは高まっている。
【0003】
このような印刷物の生産プロセスの円滑化、容易化は重要な技術的課題の1つであり、これまでに様々な提案が行われている(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開平9−90599号公報
【特許文献2】特開2003−36162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で提案されている従来の構成では、原稿のページ内に含まれる画像について明るさや色補正などを行う場合、その都度、別途補正後の差し替え画像をアップロードしなければならず、補正作業が煩雑である。また、従来の補正処理は、ワークフローを管理するシステムとは別の様々な装置(例えば、作業を行う個々のクライアント端末等に組み込まれている画像処理機能)によって実施されるため、補正情報を一元的に管理できず、ワークフローの各工程の部門で情報を共有することが困難であった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、一連のワークフローの中でページ内画像の色補正を可能とし、再補正の容易化並びに補正結果の効率的な活用・管理を実現できる印刷物生産支援システム及び印刷原稿の色補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る印刷物生産支援システム(発明1)は、印刷物生産の一連の工程を進める手順が定められたワークフローにしたがって1つの印刷物を生産する仕事を表すジョブの登録を受け付け、当該登録されたジョブの進捗状況の管理を行うジョブ管理手段と、前記ジョブ管理手段に登録されたジョブに関して、インターネットを介して接続される端末装置から印刷原稿の電子ファイルを受信する入稿受付手段と、前記入稿受付手段によって受信した印刷原稿のデータを保存するとともに、当該入稿された印刷原稿のページにレイアウトされている画像オブジェクトを抽出し、画像単位でデータ管理を行う素材管理手段と、前記印刷原稿から抽出された画像オブジェクトに対して色補正を行う色補正処理手段と、前記色補正処理手段による補正後の補正画像を含む印刷原稿のデータから出力印刷機に応じたビットマップのラスタイメージデータを色別に生成する分版RIP処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、インターネット経由で印刷原稿が入稿されると、当該印刷原稿に含まれる画像オブジェクトが抽出され、データ管理される。そして、印刷原稿から抽出された画像に対して、一連のワークフローの中で色補正を行うことができる。また、再補正が必要な場合でも、既にデータ管理されている元画像について再補正を行うことができるため、再度、補正した画像を再送信する必要がない。
【0008】
本発明の一態様(発明2)として、発明1に記載の印刷物生産支援システムにおいて、前記ジョブ管理手段、前記入稿受付手段、前記素材管理手段及び前記色補正処理手段として機能するリモートサーバと、前記リモートサーバにネットワークを介して接続され、前記分版RIP処理手段として機能するとともに、前記出力印刷機に対して印刷ジョブのデータを出力する印刷処理サーバと、を備えることを特徴とする印刷物生産支援システムを提供する。
【0009】
リモートサーバと印刷処理サーバの組み合わせによって本システムを構成し、リモートサーバ側に色補正処理機能を搭載する態様が可能である。このとき、色補正処理手段は、補正後の画像(補正画像)を出力してもよいし、これに代えて、又はこれと共に補正値の情報を出力してもよい。
【0010】
本発明の他の態様(発明3)として、発明1に記載の印刷物生産支援システムにおいて、前記ジョブ管理手段、前記入稿受付手段、前記素材管理手段として機能するリモートサーバと、前記リモートサーバにネットワークを介して接続され、前記色補正処理手段として機能する画像処理サーバと、前記リモートサーバにネットワークを介して接続され、前記分版RIP処理手段として機能するとともに、前記出力印刷機に対して印刷ジョブのデータを出力する印刷処理サーバと、を備えることを特徴とする印刷物生産支援システムを提供する。
【0011】
発明2の態様に代えて、色補正機能を担う画像処理サーバを設ける態様も可能である。この画像処理サーバは、インターネットを介してリモートサーバに接続されていてもよいし、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を介してリモートサーバに接続されていてもよい。
【0012】
本発明の他の態様(発明4)として、発明1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物生産支援システムにおいて、前記色補正処理手段による補正結果の補正画像及び当該補正結果を示す補正値の情報のうち少なくとも一方が、補正前の元画像のデータとともに、前記素材管理手段に保存され、補正処理の履歴情報を付して管理されることを特徴とする印刷物生産支援システムを提供する。
【0013】
入稿されたオリジナルの画像を残して、色補正の結果を履歴とともに管理することにより、再補正が容易である。また、再補正の処理を行う手段は、本システムに搭載される同じ補正処理手段であるため、補正効果の比較や確認、履歴管理が容易である。
【0014】
本発明の他の態様(発明5)として、発明1乃至4のいずれか1項に記載の印刷物生産支援システムにおいて、前記分版RIP処理手段によって生成された分版画像のデータに基づき、前記端末装置の表示部に当該RIP処理による印刷結果と同様の画像内容を表示させるソフトプループ手段を備えることを特徴とする印刷物生産支援システムを提供する。
【0015】
例えば、ソフトプルーフ手段は、リモートサーバに搭載され、クライアント端末と連携してプルーフ表示を実現する。
【0016】
また、本発明(発明5)に係る印刷原稿の色補正方法は、 印刷物生産の一連の工程を進める手順が定められたワークフローにしたがって1つの印刷物を生産する仕事を表すジョブの登録を行い、当該登録されたジョブの進捗状況の管理を行うジョブ管理工程と、前記ジョブ管理工程により登録されたジョブに関して、インターネットを介して接続される端末装置から印刷原稿の電子ファイルを受信する入稿受付工程と、前記入稿受付工程によって受信した印刷原稿のデータを記憶手段に保存するとともに、当該入稿された印刷原稿のページにレイアウトされている画像オブジェクトを抽出し、画像単位でデータ管理を行う素材管理工程と、前記印刷原稿から抽出された画像オブジェクトに対して色補正を行う色補正処理工程と、前記色補正処理工程による補正結果の補正画像及び当該補正結果を示す補正値の情報のうち少なくとも一方を、補正前の元画像のデータとともに前記記憶手段に保存する補正結果保存管理工程と、前記色補正処理工程による補正後の補正画像を含む印刷原稿のデータから出力印刷機に応じたビットマップのラスタイメージデータを色別に生成する分版RIP処理工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、印刷原稿から抽出された画像に対して、一連のワークフローの中で色補正を行うことができる。また、色補正に関して複数のシステム(補正処理エンジン)を使用しないため、画像データをシステムごとに管理する煩わしさがなく、効率的である。
【0018】
更に、既に入稿されている画像に対して再補正を行うことができるため、再度、補正した画像を再送信する必要がなく、再補正の要求に柔軟に対応できる。本発明によれば、印刷物の生産の共同作業が支援され、印刷物の生産効率が高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷物生産支援システムの全体構成を示した図である。
【0021】
<印刷物生産支援システムの全体構成>
図1に示す印刷物生産支援システム10は、主として、リモートサーバ装置12と、複数の印刷処理サーバ装置14(14A、14B)と、ジョブ作成/管理用端末装置16と、入稿用端末装置18と、校正用端末装置20とから構成される。例えば、リモートサーバ装置12、印刷処理サーバ装置14、及びジョブ作成/管理用端末装置16は印刷会社に配置され、また、入稿用端末装置18はデザイナーが所属する事務所に、校正用端末装置20は広告代理店又はクライアント(会社)にそれぞれ配置されるが、もちろん、本例に限定されるものではない。
【0022】
リモートサーバ装置12は、本システムにおけるワークフロー管理の中核をなす装置であり、インターネット19を介して入稿用端末装置18及び校正用端末装置20に接続されるとともに、LAN(或いはWAN)21を介して各印刷処理サーバ装置14A、14B及びジョブ作成/管理用端末装置16に接続されている。
【0023】
各印刷処理サーバ装置14A、14Bは、それぞれ1又は複数の印刷機に対応して設けられている。図1に示した例では、印刷処理サーバ装置14Aは、オフセット印刷機22及びデジタル印刷機24に対応し、印刷処理サーバ装置14Bは、デジタル印刷機26に対応している。各印刷処理サーバ装置14A、14Bに印刷ジョブが登録されると、オンライン又はオフラインでそれぞれ対応する印刷機で印刷作業が実施される。なお、各デジタル印刷機24、26は、それぞれ印刷処理サーバ装置14A、14Bとオンライン状態で接続されている。
【0024】
次に、図2〜図4を参照しながら、各サーバ装置の機能について説明する。
【0025】
図2は、図1に示したリモートサーバ装置12の構成を示したブロック図である。図2に示すように、リモートサーバ装置12は、制御部30、記憶部32、及び通信処理部34から主に構成されている。実際には、リモートサーバ装置12は、Webサーバやデータベースサーバとして機能するコンピュータに専用のソフトウエアを組み込みことにより実現されるものである。
【0026】
制御部30は、CPUに相当するものであり、記憶部32に記憶されるアプリケーション(プログラム)を実行するアプリ実行部であり、この制御部30によって、ジョブ登録機能、ジョブ管理機能、ユーザ管理機能、原稿保存機能、その他各種機能が実現される。
【0027】
記憶部32は、外部記憶装置(ハードディスクなど)や一次記憶装置(RAMなど)に相当し、制御部30で実行されるアプリケーションや、入稿用端末装置18から入稿されたPDF原稿などの各種データ情報が保存される。
【0028】
通信処理部34は、インターネット19を介して入稿用端末装置18や校正用端末装置20との通信処理を行うインターフェース部や、LAN21を介して印刷処理サーバ装置14やジョブ作成/管理用端末装置16との通信処理を行うインターフェース部である。
【0029】
本例では、後述するように、ジョブ作成/管理用端末装置16がサーバ管理機能を備えており、ジョブ作成/管理用端末装置16からリモートサーバ装置12の各種設定、管理などが行われる。なお、リモートサーバ装置12に操作部36や表示部38を設け、リモートサーバ装置12で各種設定、管理などを直接行うようにしてもよい。
【0030】
図3は、図1に示した印刷処理サーバ装置14の構成を示したブロック図である。図3に示すように、印刷処理サーバ装置14は、上述したリモートサーバ装置12と同様な構成を備えており、制御部42、記憶部44、及び通信処理部46から主に構成されている。実際には、印刷処理サーバ装置14は、Webサーバやデータベースサーバとして機能するコンピュータに専用のソフトウエアを組み込みことにより実現されるものである。
【0031】
制御部42は、CPUに相当するものであり、記憶部44に記憶されるアプリケーション(プログラム)を実行するアプリ実行部であり、この制御部42によって、プレフライト機能、分版RIP機能、その他各種機能が実現される。
【0032】
記憶部44は、外部記憶装置(ハードディスクなど)や一次記憶装置(RAMなど)に相当し、制御部42で実行されるアプリケーションや、リモートサーバ装置12から送信されたPDF原稿などの各種データ情報が保存(又は一次保存)される。
【0033】
通信処理部46は、LANを介して印刷処理サーバ装置14やジョブ作成/管理用端末装置16との通信処理を行うインターフェース部や、印刷処理サーバ装置14に対応して設けられる印刷機との通信処理を行うインターフェース部である。
【0034】
また、本例では、リモートサーバ装置12と同様に、ジョブ作成/管理用端末装置16から印刷処理サーバ装置14の各種設定、管理などが行われるが、印刷処理サーバ装置14に操作部48や表示部50を設け、印刷処理サーバ装置14で各種設定、管理などを直接行うようにしてもよい。
【0035】
図4は、各サーバ装置12、14の機能分担を示した図である。
【0036】
図4に示すように、各サーバ装置12、14は、Webサーバ機能を備えている。例えば、各端末装置16、18、20からリモートサーバ装置12にログインが行われる際、このWebサーバ機能によって端末装置側にログイン画面が提供される。
【0037】
リモートサーバ装置12は、ジョブを登録する機能(ジョブ登録機能)や、ジョブ登録機能によって登録されたジョブの進捗状況を管理する機能(ジョブ管理機能)を備えている。上述したように、ジョブは、1又は複数の作業(タスク)から構成され、1つの印刷物の生産の一連の工程を表すものである。なお、ジョブ作成機能を有する端末装置(ジョブ作成/管理用端末装置16)で作成されたジョブは、リモートサーバ装置12の記憶部32に保存される。
【0038】
また、リモートサーバ装置12は、ジョブ毎に印刷物の生産を協力して行う担当者(デザイナー、広告代理店、クライアント、印刷会社など)のアクセス権限を設定、管理する機能(ユーザ管理機能)を備えており、各端末装置16、18、20を操作する担当者は、ユーザ管理機能によって設定されたアクセス権限の範囲内で操作可能となる。
【0039】
更に、リモートサーバ装置12は、入稿担当者(例えばデザイナー)から入稿されたPDF原稿を保存する機能(原稿保存機能)や、後述するように印刷処理サーバ装置14でプレフライト及び分版RIPが行われた後に、端末装置側でページ操作を行うためにページサムネイル(縮小ページ)を表示するためにサムネイル及びページPDFを作成する機能(サムネイル作成機能、ページPDF作成機能)や、端末装置側でページ操作が行われた履歴情報を保存する機能(ページ操作情報保存機能)、その他各種機能(分版画像送信機能、校正情報保存機能、校正入りPDF作成機能、及びジョブ承認機能)を備えている。原稿送信機能を有する端末装置(入稿用端末装置18)から入稿された原稿(PDF原稿)や、校正機能を有する端末装置(校正用端末装置20)で校正された校正履歴などは、リモートサーバ装置12の記憶部32に保存される。
【0040】
印刷処理サーバ装置14は、リモートサーバ装置12に入稿されたPDF原稿が、印刷に適したデータであるか否か(例えば、指定されたフォントがこのシステムで使用可能なフォントであるか否かなど)を判定するプリフライト処理を実行する機能(プリフライト機能)や、PDF原稿に含まれるR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の画像を、印刷に適したC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の画像に分版した状態でビットマップに変換(ラスター変換)する機能(分版RIP機能)を備えている。また、印刷処理サーバ装置14は、対応する印刷機への印刷ジョブを登録する機能(印刷ジョブ登録機能)を備えている。
【0041】
ここでは、一例として、図4に示した各機能が2つのサーバ装置(リモートサーバ装置12、印刷処理サーバ装置14)に機能分担された構成を例示したが、特にこれに限定されず、1つのサーバ装置で全機能を実現するようにしてもよいし、3つ以上のサーバ装置に機能分担させるようにしてもよい。
【0042】
次に、図5及び図6を参照しながら、各端末装置の機能について説明する。
【0043】
図5は、図1に示した各端末装置16、18、20の構成を示したブロック図である。なお、図5では、説明の便宜上、各端末装置16、18、20で機能分担されている各機能をまとめて表示している。
【0044】
図5に示すように、各端末装置16、18、20は、制御部54、記憶部56、通信処理部58、操作部60、及び表示部62から主に構成されている。実際には、各端末装置16、18、20は、Webブラウザソフトウエアを組み込んだ汎用パソコンにより実現されるものである。
【0045】
制御部54は、CPUに相当するものであり、記憶部56に記憶されるアプリケーション(プログラム)を実行するアプリ実行部であり、この制御部54によって、ジョブ作成機能、原稿送信機能、ページ操作機能、その他各種機能が実現される。
【0046】
記憶部56は、外部記憶装置(ハードディスクなど)や一次記憶装置(RAMなど)に相当し、制御部54で実行されるアプリケーションやリモートサーバ装置12に送信するPDF原稿などが保存される。また、後述するように、リモートサーバ装置12から送信されるサムネイルPDFなども記憶部56に保存される。
【0047】
記憶部56に保存されるアプリケーション(端末プログラム)は、例えば、Java(登録商標)の言語で記述されたプログラムである。この端末プログラムは、各端末装置16、18、20のWeb閲覧機能を利用して、リモートサーバ装置12にログインした後、リモートサーバ装置12からインターネット19を介して端末装置にダウンロード(インストール)される。また、インターネット19を介さずに、外部記憶媒体を利用して端末装置に端末プログラムを直接インストールするようにしてもよい。
【0048】
端末プログラムについては、端末用途毎に異なるプログラムを用いてもよいし、全端末装置で共通のプログラムとしてもよい。前者の場合には、プログラムのバージョンアップ作業を必要最小限の範囲にとどめることができ、ユーザの利便性が向上する。また、後者の場合には、リモートサーバ装置12で管理されるユーザ情報に応じて、各機能の使用可否を選択的に実施できるようにする態様が好ましく、端末プログラムの共通化によってコストダウンを図ることができる。
【0049】
通信処理部58は、インターネット19又はLAN21を介してリモートサーバ装置12との通信処理を行うインターフェース部である。
【0050】
操作部60は、キーボードやマウスなどに相当するものであり、後述する表示部62の表示画面上で各種ファイル操作、コマンド操作などの操作手段として機能する。
【0051】
表示部62は、モニターに相当するものであり、記憶部56に記憶されるアプリケーションによって提供される各種画面(GUI)を表示する手段として機能する。
【0052】
図6は、各端末装置16、18、20の機能分担を示した図である。
【0053】
図6に示すように、各端末装置16、18、20は、リモートサーバ装置12によって公開されるWebページを閲覧する機能を有しており、リモートサーバ装置12から提供されるログイン画面でログインID及びパスワードの入力を行うことにより、リモートサーバ装置12で設定されるアクセス権限の範囲内で各種操作が可能となる。
【0054】
入稿用端末装置18は、PDF原稿をリモートサーバ装置12に送信する機能(原稿送信機能)、リモートサーバ装置12に保存した原稿のページ操作を行う機能(ページ操作機能)、及び校正担当者(広告代理店又はクライアント)による校正結果を確認する機能(校正確認機能)を備えている。
【0055】
校正用端末装置20は、リモートサーバ装置12に入稿されたPDF原稿を校正する機能(校正機能)、及び校正作業が完了(校了)したことを承認する機能(承認機能)を備えている。校正機能には、分版画像合成機能、検版画像作成機能、及び校正情報生成機能が含まれる。
【0056】
ジョブ作成/管理用端末装置16は、ジョブを作成する機能(ジョブ作成機能)、校正担当者(広告代理店又はクライアント)による承認処理が行われた後、リモートサーバ装置12を介して印刷処理サーバ装置14に印刷指示を行う機能(印刷指示機能)、及び各サーバ装置12、14の各種設定や管理を行う機能(サーバ管理機能)を備えている。なお、ジョブ作成機能は、既にリモートサーバ装置12に登録されているジョブを変更又はキャンセルしたり、印刷物の生産を協力して行う担当者(デザイナー、広告代理店、クライアント、印刷会社)のアクセス権限を設定又は変更したりする機能を含む。
【0057】
本例では、図6に示したように、入稿用端末装置18、校正用端末装置20、及びジョブ作成/管理用端末装置16に機能分担させているが、特にこれに限定されるものではなく、端末用途に応じて機能分担を決定すればよい。例えば、入稿用端末装置18及び校正用端末装置20の各機能を1つの端末装置(入稿用/校正用端末装置)に統合して実現するようにしてもよい。また、ジョブ作成担当者が印刷会社以外の担当者(例えば広告代理店の担当者など)である場合には、ジョブ作成/管理用端末装置16の各機能を2つの端末装置(ジョブ作成用端末装置、管理用端末装置)に分割して、ジョブ作成用端末装置はインターネット19経由でリモートサーバ装置12に接続するように構成してもよい。
【0058】
<ワークフローの説明>
次に、図7を参照しながら、ワークフロー管理システム10による全体的なプロセス(ワークフロー)について説明する。ここでは、一例として、ジョブ作成担当者(印刷会社)がジョブ作成を行い、原稿作成者兼入稿担当者(デザイナー)がPDF原稿の入稿を行い、校正担当者(広告代理店又はクライアント)が校正を行い、校正作業が完了(校了)するまで再入稿、校正が繰り返され、校正担当者(広告代理店又はクライアント)による承認が行われた後、印刷指示担当者(印刷会社)が印刷指示を行うものとする。
【0059】
〔ジョブ作成工程〕
まず、ジョブ作成担当者(印刷会社)は、ジョブ作成/管理用端末装置16からリモートサーバ装置12にログインした後、ジョブ作成/管理用端末装置16のジョブ作成機能を利用して、依頼を受けた印刷物の作製に関するジョブを作成する(ステップS10)。上述したように、ジョブは、1又は複数の作業(タスク)から構成され、1つの印刷物の生産の一連の工程を表すものである。このとき、印刷物の生産を協力して行う担当者(デザイナー、広告代理店、クライアント、印刷会社)の指定(アクセス権限の設定)もあわせて行う。このようにして、ジョブ作成/管理用端末装置16でジョブが作成されると、その結果はリモートサーバ装置12に通知され、リモートサーバ装置12でジョブ登録が行われる(ステップS12)。また、これと同時に、各担当者のアクセス権限も設定される。図示は省略したが、リモートサーバ装置12にジョブ登録が行われたとき、登録されたジョブに関連する担当者全員(又はそのうちの一部)に電子メールなどでジョブが登録されたことを通知するようにしてもよい。
【0060】
〔入稿工程〕
次に、印刷物の原稿(PDF原稿)の作成が完了すると、入稿担当者(デザイナー)は、入稿用端末装置18の表示部62に表示されるログイン画面100(図8)で自分のログインID及びパスワードを入力して、リモートサーバ装置12にログインする。ログイン後、入稿用端末装置18にはジョブ一覧画面102A(図9)が表示され、リモートサーバ装置12に登録されているジョブが一覧表示される。
【0061】
このとき、ログイン中の入稿担当者にアクセス権限が割り当てられているジョブのみを表示する態様が好ましい。入稿担当者が、操作部60のマウス操作によって、一覧表示されたジョブの中からPDF原稿のアップロード対象となるジョブを選択して、アップロードボタン104を押すと、入稿用端末装置18の表示部62にはアップロード画面106A(図10)が表示される。入稿担当者は、アップロード画面106Aに一覧表示されるファイル一覧の中からリモートサーバ装置12に送信する1又は複数のファイル(PDF原稿)を選択し、ファイル選択ボタン108を押すと、下段の送信ファイルリストウインドウ110に選択されたファイルが表示される。
【0062】
本例では、3つのPDF原稿(ファイル名「a001.pdf」、「a002.pdf」、「a003.pdf」)が送信ファイルリストウインドウ110に表示されている。なお、各PDF原稿は、それぞれ1又は複数のページから構成される。その後、入稿担当者が、追加アップロードボタン112を押すと、入稿用端末装置18からリモートサーバ装置12へのPDF原稿のアップロード(送信)が開始される(図7のステップS14)。
【0063】
このように本実施形態では、1又は複数のPDF原稿を選択してリモートサーバ装置12にアップロード可能(入稿可能)であるため、全ての原稿ファイル(1又は複数のPDF原稿)を一括入稿することもできるし、一部の原稿ファイルを部分的に入稿することができる。したがって、再入稿する場合には、修正ページのみからなるPDF原稿を選択して部分入稿することもできる。
【0064】
PDF原稿のアップロードが完了すると、入稿用端末装置18の表示部62にはジョブ一覧画面102B(図11)が表示される。ここでは、初回入稿時には、全ての原稿ファイル(PDF原稿)が一括入稿されたものとする(即ち、入稿率100%)。
【0065】
リモートサーバ装置12は、入稿用端末装置18からアップロードされたPDF原稿を記憶部32に保存するとともに、そのPDF原稿を印刷処理サーバ装置14に送信する(図7のステップS16)。
【0066】
印刷処理サーバ装置14は、上述したプレフライト機能及び分版RIP機能によって、リモートサーバ装置12から送信されたPDF原稿のプレフライト処理及び分版RIPを行う(ステップS18)。これにより、入稿されたPDF原稿が、印刷に適したデータであるか否か(例えば、指定されたフォントがこのシステムで使用可能なフォントであるか否かなど)判定されるとともに、PDF原稿に含まれるR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の画像を、印刷に適したC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の画像に分版した状態でビットマップに変換(ラスター変換)される。そして、印刷処理サーバ装置14からリモートサーバ装置12に対して、プリフライト結果を示すレポート(プリフライトレポート)が通知されるとともに、ページ分版画像が送信される。
【0067】
リモートサーバ装置12は、印刷処理サーバ装置14からプレフライトレポート及びページ分版画像を受信すると、入稿用端末装置18に送信完了通知を行う。このとき、プレフライトレポートもあわせて通知される。
【0068】
また、リモートサーバ装置12は、印刷処理サーバ装置14から受信したページ分版画像を基にして、PDF原稿の各ページのPDF(ページPDF)を作成し、記憶部32にページPDFを保存するとともに、ページPDFのサムネイル(ページサムネイル)を作成して、入稿用端末装置18にページサムネイルを送信する(ステップS20)。リモートサーバ装置12から入稿用端末装置18に送信されたページサムネイルは、入稿用端末装置18の記憶部56に保存(又は一次保存)され、後述するように入稿用端末装置18の表示部62の所定のウインドウ内に一覧表示される。
【0069】
ところで、入稿用端末装置18は、リモートサーバ装置12から通知されたプレフライトレポートにエラー又は警告が存在する場合には、ジョブ一覧画面102B(図11)の上部に「プリフライトエラーがあります。ジョブ詳細から確認してください。」というエラーメッセージ114が表示される。このとき、入稿担当者が、操作部60のマウス操作によって、ジョブ詳細表示ボタン116を押すと、ジョブ詳細画面118(図12)が表示される。ここでは、一例として、ジョブ詳細画面118には、入稿されたPDF原稿に対するプレフライト処理の結果として、エラー3件と警告10件が表示されている。更に、ジョブ詳細画面118の詳細確認ボタン120を押すと、プレフライトレポート画面122(図13)が表示され、入稿担当者は、より詳細なエラー情報を確認することができる。
【0070】
PDF原稿の修正後、入稿担当者は、入稿用端末装置18からリモートサーバ装置12に再びログインを行い、入稿用端末装置18の表示部62にはジョブ一覧画面102C(図14)が表示される。入稿担当者は、操作部60のマウス操作によって、一覧表示されたジョブの中からPDF原稿のアップロード対象となるジョブを選択し、アップロードボタン104を押すと、入稿用端末装置18の表示部62にはアップロード画面106B(図15)が表示される。
【0071】
そして、アップロード画面106Bに一覧表示されるファイル一覧の中から修正ページのみからなるPDF原稿(以下、「修正PDF原稿」という。)を選択し、ファイル選択ボタン108を押すと、下段の送信ファイルリストウインドウ110に選択されたファイルが表示される。本例では、修正PDF原稿(ファイル名「b001.pdf」)が選択され、送信ファイルリストウインドウ110に表示されている。その後、入稿担当者が、書き換えアップロードボタン126を押すと、入稿用端末装置18からリモートサーバ装置12への修正PDF原稿のアップロード(送信)が開始される。
【0072】
修正PDF原稿のアップロードが完了すると、初回入稿時と同様に、印刷処理サーバ装置14によって、修正PDF原稿に対するプリフライト処理及び分版RIPが行われる。そして、入稿用端末装置18の表示部62にはジョブ一覧画面102D(図16)が表示される。ここでは、プリフライト処理の結果、修正PDF原稿には、エラー及び警告が存在しなかったものとする(即ち、図16では、図11に示したエラーメッセージ114は表示されていない。)。
【0073】
続いて、入稿担当者が、操作部60のマウス操作によって、ジョブ一覧画面102Dのページ一覧ボタン124を押すと、ページ一覧画面128A(図17)が表示される。ページ一覧画面128Aには、「現在のページ構成一覧」タブ130、及び「ページ操作」タブ132が含まれており、図17では「現在のページ 構成一覧」タブ130が開かれている状態を表している。このとき、ページ一覧画面128Bの上部には、「未割り当てのページがあります。[ページ操作]タブを選択して編集してください。」という警告メッセージ134が表示される。初回入稿時には、印刷物の各ページに対して、入稿された原稿(PDF原稿)の各ページは自動的にページ割り当てが行われるのに対し、再入稿時には、入稿された修正PDF原稿の各ページ(修正ページ)は自動的に割り当てられず、上記のような警告メッセージ134が表示される。
【0074】
このような状態において、入稿担当者が、操作部60のマウス操作によって、「ページ操作」タブ132を開くと、図18に示すページ一覧画面128Bに切り替わり、ページ操作可能な状態となる。このとき、ページ一覧画面128Bの上段の「未割り当てページ一覧」ウインドウ136には、再入稿された修正PDF原稿の各ページが一覧表示され、下段の「割り当て済みページ済み一覧」ウインドウ138には、既にページ割り当てが完了しているPDF原稿の各ページが一覧表示される。
【0075】
このとき、入稿担当者が、操作部60のマウスの操作によって、例えば、「未割り当てページ一覧」ウインドウ136に表示されている修正ページPBをドラッグした状態で、「割り当て済みページ済み一覧」ウインドウ138に表示されているページP2に重なるように移動してドロップすると、ページP2が修正ページPBに置き換えられる。また、修正ページPBをドラッグした状態で、「割り当て済みページ済み一覧」ウインドウ138に表示されている隣接するページP3、P4間に移動してドロップすると、隣接するページP3、P4間に修正ページPBを挿入される。なお、「割り当て済みページ済み一覧」ウインドウ138に割り当てられた修正ページPBは、「未割り当てページ一覧」ウインドウ136から削除される。
【0076】
このように、「未割り当てページ一覧」ウインドウ136に表示されている各ページ(再入稿された原稿の各ページ)を、「割り当て済みページ済み一覧」ウインドウ138に表示されているページと置き換えるか、又は「割り当て済みページ済み一覧」ウインドウ138に表示されているページ間に挿入することによって、再入稿された原稿の各ページに対するページ割り当てが行われる。
【0077】
また、「割り当て済みページ済み一覧」ウインドウ138に表示されている各ページは、操作部60のマウス操作によって、ページ位置変更やページ削除が可能であり、ページの並び順を自由に変更することができる。なお、説明は省略するが、初回入稿時でも、ページ一覧画面から「ページ操作」タブ132を開くことにより、同様なページ編集を行うことができる。
【0078】
「未割り当てページ一覧」ウインドウ136に表示されている全ページのページ割り当てが完了し、入稿担当者が保存ボタン140を押すと、リモートサーバ装置12は、ページ操作情報を記憶部32に保存するとともに、校正用端末装置20に校正準備完了通知を行う。このとき、図19に示すように、ページ一覧画面128Cは、「現在のページ構成一覧」タブ130に切り替わり、「未割り当てのページの編集が完了しました。」というメッセージ142が表示される。
【0079】
なお、「割り当て済みページ済み一覧」ウインドウ138に表示されているページを、「未割り当てページ一覧」ウインドウ136に表示されているページ(再入稿された原稿のページ)に置き換えた場合、置き換え前の古いページは完全に削除されるのではなく、リモートサーバ装置12の記憶部32に保存されており、リモートサーバ装置12のページ操作情報保存機能によってページの履歴管理が行われている。このため、ページの置き換えが行われた後でも、元の状態に復元することが可能である。
【0080】
このようにして、入稿担当者が入稿用端末装置18でページ操作を行い(図7のステップS22)、それが完了すると、リモートサーバ装置12は、ページ操作情報を記憶部32に保存するとともに、校正用端末装置20に校正準備完了通知を行う(ステップS24)。
【0081】
〔校正工程〕
校正用端末装置20は、リモートサーバ装置12から校正準備完了通知を受信すると、校正担当者(広告代理店又はクライアント)による校正が可能な状態となる。このとき、リモートサーバ装置12は、ページ分版画像を校正用端末装置20に送信し(ステップS26)、校正用端末装置20は、リモートサーバ装置12から受信したページ分版画像を記憶部56に保存(又は一次保存)するとともに、校正担当者の端末操作に応じて、ページ分版画像合成や検版画像作成を行う(ステップS28)。
【0082】
次に、校正担当者は、校正用端末装置20の表示部62に表示されるログイン画面200(図20)で自分のログインID及びパスワードを入力して、リモートサーバ装置12にログインする。ログイン後、校正用端末装置20にはジョブ一覧画面202(図21)が表示され、リモートサーバ装置12に登録されているジョブが一覧表示される。このとき、ログイン中の校正担当者にアクセス権限が割り当てられているジョブのみを表示する態様が好ましい。校正担当者が、操作部60のマウス操作によって、一覧表示されたジョブの中から校正対象のジョブを選択し、ジョブ一覧表示ボタン204を押すと、校正用端末装置20の表示部62にはページ一覧画面206A(図22)が表示される。
【0083】
そして、校正担当者が、操作部60のマウス操作によって、ページ一覧画面206Aに表示されたページ一覧の中から校正対象ページを選択して、校正ツールボタン212を押すと、図23に示すような校正ツール画面214が表示される。これにより、校正担当者は、図形/文字ツール群216を利用して、ページ表示ウインドウ218に表示された校正対象ページの校正を行うことができる(図7のステップS30)。図23では、一例として、校正担当者によって、画像の差し替えなどの注釈が校正対象ページ上に付加された状態が示されている。
【0084】
このようにして校正が終了した後、校正担当者が終了ボタン220を押すと、校正用端末装置20の表示部62には、図24に示すページ一覧画面206Bが表示される。校正担当者は、校正対象ページの校正結果がOKである場合には、校正OKボタン222を押し、NGである場合には、校正NGボタン224を押す。ここでは、校正者Bによる校正が行われ、校正対象ページの校正結果がNGであることを表している。
【0085】
その後、校正用端末装置20は、校正者によって行われた校正情報を生成し、リモートサーバ装置12に送信する(図7のステップS32)。そして、リモートサーバ装置12は、校正用端末装置20から受信した校正情報を記憶部32に保存し(ステップS34)、入稿用端末装置18に対して校正完了通知を行う。これと同時に、リモートサーバ装置12は、校正入りPDFを作成し、入稿用端末装置18に送信を行う(ステップS36)。
【0086】
〔校正確認工程〜承認工程〕
入稿担当者は、リモートサーバ装置12から受信した校正入りPDFを表示画面に表示して校正内容を確認する(ステップS38)。そして、入稿担当者は、その校正内容に従ってPDF原稿の修正を行い、入稿用端末装置18から再入稿を行う。
【0087】
続いて、校正担当者が、校正用端末装置20からリモートサーバ装置12に再びログインすると、校正用端末装置20の表示部62にはジョブ一覧画面300A(図25)が表示される。校正担当者は、操作部60のマウス操作によって、一覧表示されたジョブの中から校正対象のジョブを選択し、ページ一覧表示ボタン302を押すと、ページ一覧画面304A(図26)が表示される。更に、ページ一覧画面304Aに表示されたページの中から校正対象ページを選択し、校正ツールボタン310を押すと、校正ツール画面312A(図27)が表示される。
【0088】
そして、校正ツール画面312Aの上部に表示されるプルダウンメニュー314の中から「過去版と比較」を選択すると、図28に示すように、校正ツール画面312Bのページ表示ウインドウ318には、最新版ページ(左側のページ)と過去版ページ(右側のページ)が横に並んで表示される。更に、この状態において、「差分を表示」ボタン316を押すと、図29に示すように、最新版ページと過去版ページの差分が視覚的に理解しやすいように表示される。ここでは、最新版ページ上で、過去版ページからの変更部分のみが常時表示され、未変更部分は一定間隔で点滅表示される。もちろん、差分表示方法はこれに限定されず、変更部分を枠で囲んだり、変更部分に注釈を付加したりしてもよい。
【0089】
これにより、校正担当者は、指示どおり原稿修正が行われたか否か容易に確認することができる。その後、校正担当者が終了ボタン320を押すと、校正用端末装置20の表示部62にはページ一覧画面304B(図30)が表示される。そして、校正結果がOKである場合には、校正OKボタン322を押す。このとき、原稿の全ページの校正が完了している場合には、図30に示すように、「すべてのページの校正が完了しています。」というメッセージ324が表示される。このようにして、原稿の全ページの校正が完了するまで再入稿、校正が繰り返され、全ページの校正が完了(校了)すると(ステップS40)、その結果は、リモートサーバ装置12に通知され、リモートサーバ装置12にジョブ承認が登録される(ステップS42)。
【0090】
〔印刷指示工程〕
印刷指示担当者(印刷会社)が、ジョブ作成/管理用端末装置16からリモートサーバ装置12にログインすると、ジョブ作成/管理用端末装置16の表示部62にはジョブ一覧画面330(図31)が表示される。そして、ジョブ一覧画面330に一覧表示されたジョブの中から印刷指示を行うジョブを選択し、印刷指示ボタン332を押すと、ジョブ作成/管理用端末装置16からリモートサーバ装置12に印刷指示が行われ(ステップS44)、更に、リモートサーバ装置12は、印刷ジョブを作成して、印刷処理サーバ装置14に送信する(ステップS46)。例えば、この印刷ジョブは、JDF対応のPDF/Xに準拠したファイル形式で作成され、印刷処理サーバ装置14に提供される。印刷処理サーバ装置14は、リモートサーバ装置12から印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブを登録する(ステップS48)。
【0091】
このようにして、印刷処理サーバ装置14に対応して設けられる印刷機の印刷準備が完了し、登録された印刷ジョブに従って各印刷機で印刷作業が実施される。図1で説明した各印刷機24、26はJDFに対応した機器であり、印刷処理サーバ装置14から受け取ったJDFの記述に従い、出力までの自動処理を行うことができる。
【0092】
このように本実施形態に係る印刷物生産支援は、印刷会社にとってみれば、上流工程で完全なデータが入稿されるようになるので自動処理が可能となるとともに、各ジョブの進捗状況を容易に把握することができる。また、印刷指示を電子発行することができる。
【0093】
また、校正担当者(広告代理店やクライアントなど)にとってみれば、校正指示をすぐにできるとともに、校正履歴を確認することができ、また、原稿作成者(デザイナーなど)による編集内容をすぐに確認できる。また、承認結果を証拠として残せるメリットもある。
【0094】
特に、本実施形態によれば、印刷物の一部のページを部分的に入稿できるとともに、新たに入稿された原稿の各ページを、既にページ割り当て済みの原稿のページと置き換え、又はページ間に挿入することによって、ページ割り当てを行うことができる。このため、再入稿が必要な場合でも、全ページを入稿せずに、修正ページのみを入稿することができ、入稿後にページの並び順を編集することができる。また、複数の原稿作成者によって印刷物の原稿が作成される場合、各自の担当ページを作成した後、他のページの完成を待たずに入稿することができる。したがって、ページ並び編集を一元的に管理することができ、入稿の作業効率が高まり、迅速な入稿が可能となる。なお、ページの置き換えが行われた場合、古いページはシステムから完全に削除されるのではなく、ページの履歴管理によって復元することができる。
【0095】
<版数(バージョン)の管理について>
また、本実施形態においては、上述した部分入稿を実現するにあたって、印刷物の原稿をページ毎の版管理(バージョン管理)することによって、印刷物の版管理を行っている。即ち、図32に示すように、ページ毎に版数が管理されている。各ページの最新版数は、必ずしも同一である必要はなく、異なっていてもよい。図32では、一例として、各ページの最新版数は、1ページ及び2ページが2版であり、3ページが1版であり、4ページが3版である。なお、各ページの最新版数だけでなく、古い版数のページもページ毎にシステム(リモートサーバ装置12の記憶部32)に保存されている。そして、図33に示すように、印刷物の版管理は、印刷物を構成するページの版の組み合わせ情報として保持される。図33では、一例として、印刷物の初版(1版)は、1ページ(1版)及び2ページ(1版)のみから構成され、その後、ページ毎に部分入稿が行われ、各ページの版数がページ毎に随時更新され、印刷物の5版では、1ページ及び2ページはそれぞれ2版であり、3ページは1版であり、4ページは3版である。
【0096】
このようにページ毎の版管理(バージョン管理)に基づいて印刷物の版管理を行うことにより、上述した部分入稿をより効果的に実現することができる。この結果、原稿の一部のページのみを部分的に修正が必要な場合でも、原稿の全ページを新たに入稿せずに、修正したページのみを部分入稿することができ、入稿作業の迅速化、効率化を図ることが可能となる。
【0097】
<本システムにおける印刷原稿の色補正の方法について>
次に印刷原稿の色補正方法について説明する。
【0098】
本例の印刷物生産支援システム10は、一連のワークフローの中で画像の色補正を行うことができる色補正機能を備えている。例えば、このシステムでは、ワークフローの入稿工程において印刷原稿をWeb経由で入稿するとき、ページにレイアウトされた画像の色補正を行うことができる。色補正は、印刷原稿のページ内に配置された各画像について画像単位で行うことができる。また、同一ページ内における複数枚の画像について一括して色補正を行うことも可能である。
【0099】
印刷原稿は、PDFファイルの形式であり、ページ内における画像オブジェクトと文字オブジェクトとを別々に取り出し、管理することができるものである。画像オブジェクトは「画像データ」として取り扱うことができ、文字の部分は「文字データ」として取り扱うことができる。かかる印刷原稿の電子ファイル(原稿ファイル)がWeb経由で入稿されると、当該印刷原稿のページ内にレイアウトされている画像オブジェクトが自動的に抽出され、画像単位でデータ管理される。以下、色補正に関する具体的な例について説明する。
【0100】
(第1例:色補正用の別アプリを起動して色補正を行う形態)
図34は、印刷原稿における画像の色補正を実施する手段の第1例を示す概念図である。図34におけるWeb入稿アプリ510は、リモートサーバ装置12に組み込まれているアプリケーションであり、クライアント端末(図1で説明した端末装置18、20を総称して「クライアント端末」と呼ぶことにする。)及び印刷処理サーバ装置14A、14Bと連携して、クライアント端末からの印刷原稿の入稿処理とその入稿されたページのプレビューを実現する処理を行う。
【0101】
本実施形態におけるシステムでは、クライアント端末において専用のクライアントアプリケーションをインストールしておくことを要しない。クライアント端末はWebブラウザからログインし、リモートサーバ装置12からJava(登録商標)プログラムがダウンロードされてクライアント端末上で動作する。このような形態により、端末機器の制約なく、どこからでもリモートサーバ装置12にアクセスできるという利点がある。
【0102】
なお、図34では、Web入稿アプリ510上に「印刷原稿を指定する」機能(符号512)や「色補正」の実行を指示する「色補正」ボタン514を描いているが、既に説明したとおり、実際のユーザインターフェースは、インターネットを介して接続されているクライアント端末のGUIであり、クライアント端末からの指令によってリモートサーバ装置12内のWeb入稿アプリ510が動作する。
【0103】
また、このWeb入稿アプリ510が組み込まれたリモートサーバ装置12には、Web入稿アプリ510と連携して動作する画像色補正アプリ520が組み込まれている。
【0104】
画像色補正アプリ520は、入稿された印刷原稿にレイアウトされている画像オブジェクトを抽出し、画像ごとの多様なシーンを解析し、撮影意図を自動的に判断して、最適なRGB画像、又はCMYK画像に変換する自動補正を実行するアプリケーションである。
【0105】
既述のとおり、Web経由で入稿された印刷原稿は、当該リモートサーバ装置12の記憶部32に保管され、当該印刷原稿のページ内にレイアウトされている画像オブジェクトは、画像単位でデータ管理されている。
【0106】
Web経由で入稿された印刷原稿のページを指定して「色補正」ボタン514をクリックすると、画像色補正アプリ520が起動し、この起動された画像色補正アプリ520にて色補正の処理が実行される。
【0107】
すなわち、画像色補正アプリ520起動後、Web入稿アプリ510は、選択に係る印刷原稿のページに含まれる画像を画像色補正アプリ520に渡し、画像色補正アプリ520は、受け取った画像(元画像524)に対して自動色補正処理を行い、補正画像526を作成し、この補正画像526をWeb入稿アプリ510に返す。
【0108】
画像色補正アプリ520に渡される補正前の元画像524は、記憶部32から画像色補正アプリ520に提供される。また、画像色補正アプリ520にて作成された補正画像526のデータは、Web入稿アプリ510に返され、インターネットを経由してクライアント端末の表示装置(ディスプレイ)に表示される。補正後の画像を確認したクライアント端末から「保存」(補正OK)の指示があると、その補正画像は当該元画像と関連付けられて履歴情報(版数管理情報)とともに記憶部32に保存される。このとき、補正前の元画像(オリジナル)524のデータを残して、補正画像526が追加保存されるため、更なる補正処理を行う際には、オリジナルの元画像524から再補正を行うことができる。
【0109】
色補正の形態としては、例えば、自動色補正、元画像に対してR、G、B、C、M、Yの色を加減調整する補正、彩度補正、レベル補正、トーンカーブ補正、或いは、これらの適宜の組み合わせなどが含まれる。また、画像全体に補正を施す態様に限らず、画像の一部分に補正を施す部分補正もあり得る。
【0110】
色補正作業の効率化の観点から、例えば、標準的な自動色補正を全ての画像について施し、かかる自動色補正で十分な結果が得られなかった場合に、個別にパラメータを調整するなど、変換条件を変えて再補正を実施する態様が好ましい。
【0111】
本例の画像色補正アプリ520は、複数の補正方法(画像の変換条件)を「ジョブチケット」として登録することができ、例えば、ジョブチケット1〜4として次のような条件が設定される。
【0112】
「ジョブチケット1」として、標準的な画像最適化エンジンとレンジ補正などを組み合わせたオールラウンドな標準補正モードが登録されている。これにより、画像の種類を選ばずに、ハイコントラストな画像や逆光のシーンなどについて、明るさと色合いを同時に自動最適化することができる。
【0113】
「ジョブチケット2」は、画像最適化エンジンの前処理として、色カブリ補正を付加する機能が登録される。これは、主に商品や物撮り写真に求められる「最適なグレーバランス」が得られる補正を実現する。
【0114】
このように、色カブリ補正だけを処理する機能を備え、この「色カブリ補正機能」と他の機能との組み合わせによって、より柔軟な設定が可能である。これにより、太陽光・室内光、光源設定のミスを問わず、つねに安定した「カブリ除去効果」により、美しく自然な仕上がりが得られる。
【0115】
「ジョブチケット3」は、主に食べ物の写真で好まれる「彩度が高く温かみのある色合い」を再現できるように、各種パラメータの目標値がカスタマイズされている。
【0116】
「ジョブチケット4」は、画像最適化エンジンを通さずに、レンジ補正のみを行う設定とする。ハイライトとシャドーを自動で認識し、適切なレンジになるように画像を補正する。
【0117】
その他、目的に応じて各種パラメータを適宜設定した多様なジョブチケットを登録することができる。
【0118】
また、この色補正アプリ520は、1つの元画像(オリジナル)に対し、どのような補正効果になるのか、実際の補正変換処理が終了する前にクライアント端末の画面上でプレビューできる『プレビュー機能』を備えている。図35は、色補正アプリ520における補正効果のプレビュー画面の一例である。
【0119】
同図は2枚比較表示の例であり、画面左側にオリジナル画像Goが表示され、右側に補正処理のプレビュー画像G’が表示される。このように、一画面内で複数(2枚)の画像を同時に表示することで両者を比較して補正効果を確認することができる。なお、ウインドウ内の上部には、補正対象として選択可能な画像Gr1、Gr2、Gr3・・・・、Gr7がサムネイルで表示される画像選択欄532が設けられている。現在選択中の画像は囲み枠線534などにより強調表示(ハイライト表示)され、補正処理が完了した画像については、チェックマーク536が付される。
【0120】
また、ウインドウの下段には、比較表示の形態を切り替えるコマンドボタンが表示されている。「左右2枚比較表示」ボタン540、「上下2枚比較表示」ボタン542、「4枚ボックス(2×2)比較表示」ボタン544、「4枚横並び比較表示」ボタン546の各ボタンによってプレビュー画像の表示形態を切り替えることができる。
【0121】
図36は、2×2枚比較表示の例である。左上がオリジナル画像Go、残り3枚がそれぞれ変換条件を異ならせた補正プレビュー画像G’、G”、G”’である。このように変換条件について、最大3つの条件を同時に表示でき(オリジナル画像を含めて4枚同時表示)、あらかじめ変換結果を比較検討できることでワークフローの後戻りが防げ、トータルな生産効率を高めることができる。
【0122】
プレビューの中から最適なものを選んで「決定」ボタン548を押し、「補正実行」ボタン550を押すことによって、実際の補正処理が実施される。
【0123】
補正結果は、画像単位で確認することができ、また、ページ単位でも確認することができる。画像単位で個々に色補正を行うことも重要であるが、1ページ内にレイアウトされた複数枚の画像間で、背景色を揃えたり、明るさレベルを調節したりするなど、ページ内の画像を関連付けて色補正を行うことも望ましい。なお、画像の色補正を実施した場合には、改めて分版RIP処理を行い、ページPDFを作成し直す。
【0124】
(第2例:補正データを共有する形態)
図37は、印刷原稿における画像の色補正を実施する手段の第2例を示す概念図である。図37において、図34と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0125】
図34で説明した第1例では、画像色補正アプリ520で作成した補正画像526をWeb入稿アプリ510に提供していたが、図37の第2例では、補正画像526を返すのではなく、かかる補正画像526を得るための補正値528(各種パラメータ)を返すようになっている。Web入稿アプリ510は、画像色補正アプリ520から画像の補正値528を取得し、その取得した補正値528をページのプレビュー及び分版画像作成時に元画像に適用する。
【0126】
補正効果を確認したクライアント端末から「保存」(補正OK)の指示があると、その補正値の情報(補正データ)は当該元画像と関連付けられて履歴情報(版数管理情報)とともに記憶部32に保存される。
【0127】
(第3例:色補正用に別途、画像処理サーバを設置し、Web入稿アプリと連携して入稿原稿を自動補正する形態)
図38は、印刷原稿における画像の色補正を実施する手段の第3例を示す概念図である。図38において、図37と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0128】
図38の第3例は、色補正処理を実施するための画像処理サーバ560を設置する形態である。この画像処理サーバ560は、リモートサーバ装置12とは別にネットワーク上に設置される。画像処理サーバ560は、図1で説明したインターネット19に接続されていてもよいし、LAN21に接続されていてもよい。
【0129】
Web経由で入稿された印刷原稿は、Web入稿アプリ510から自動的に画像処理サーバ560へ渡され、当該印刷原稿内に含まれる画像について自動的に色補正が実行される。画像処理サーバ560は、補正後の画像(補正画像526)、又は、その補正値528をWeb入稿アプリ510に返す。Web入稿アプリ510は、補正画像526を直接利用するか、又は補正値528をページのプレビュー及び分版画像作成時に元画像に適用する。
【0130】
画像処理サーバ560で生成された補正画像526及び/又はその補正値528の情報は、それぞれの元画像と関連付けられて履歴情報(版数管理情報)とともに記憶部32に保存される。
【0131】
第1例〜第3例で説明した画像補正機能によれば、アップロードされた印刷原稿の中から抽出された画像素材を画像色補正アプリ520又は画像処理サーバ560に渡し、当該画像素材(元画像524)に対して補正を行うため、一度アップロードした元画像524に対して、何度でも色再補正を行うことができる。
【0132】
また、本実施形態では、画像色補正の機能が本印刷物生産支援システムに搭載され、一連のワークフローの中で画像の色補正を行うことができるため、補正情報を一元的に管理することができ、再補正が必要な場合でも、再度、補正した画像を再送信する必要がなく、何度でも色再補正を行うことができる。
【0133】
<未割り当てページの編集後における色補正について>
ここで、図19で説明した未割り当てページの編集完了後に、ページ内画像に対する色補正を行う場合を例に説明する。
【0134】
図19に示すように、ページ一覧の画面における[現在のページ 構成一覧]タブを開いたときのツールバーには、色補正ボタン576が表示される。
【0135】
色補正ボタン576は、ページ内の画像に対して、色補正を行うためのコマンドボタンである。未割り当てページの編集が完了した後、「現在のページ 構成一覧」タブ130を開いて、色補正の対象とするページを選択し、「色補正」ボタン576をクリックすると、画像色補正アプリ520が起動し、当該選択に係るページにレイアウトされている画像について色補正を行うことができる。
【0136】
例えば、第3ページを選択して「色補正」ボタン576をクリックしたときの画像色補正アプリウインドウ画面の例を図39に示す。
【0137】
同図に示すウインドウ内における右側が補正前のページ(オリジナル)が表示される領域(補正前表示領域582)であり、左側が補正後のページが表示される領域(補正後表示領域584)である。補正効果を比較表示する形態は、図35,36で説明したように、2枚比較表示の他、4枚比較表示など、多様な形態が可能であり、必要に応じて表示形態を切り替えることができる。
【0138】
当該印刷原稿のページ内には、複数の画像G3-1、G3-2、G3-3がレイアウトされている。画面下の[色の最適化を実施]ボタン586を押すと、当該ページ内の画像G3-1、G3-2、G3-3が抽出され、所定の変換条件(例えば「ジョブチケット1」)による色補正処理が実施される。
【0139】
なお、図示しないが、色補正処理の実行中、ウインドウ画面には処理の進捗状況を示すプログレスバーが表示されるとともに、補正変換の様子を表現したサムネイル画像が表示される。
【0140】
ページ内から抽出された各画像について色補正を行うときのユーザインターフェースは図35,図36で説明したとおりである。ページ内の全画像について色補正が完了すると、図40に示すように、画面右側に補正後のページ内容が表示される。なお、図におけるG’3-1、G’3-2、G’3-3は、補正後の画像を表している。
【0141】
図40のように、補正前の画像(右側)と比較して補正効果を確認することができ、補正効果が十分でなければ、条件を変えて再補正を行うことができる。
【0142】
補正効果を確認後、「完了」ボタン588を押すと、図41に示すページ一覧の画面に戻る。色補正を施したページについては、色補正処理済みであることを示すマーク(補正済みマーク590)が付される。かかる補正済みマーク590の有無により、補正済みページと未補正ページを容易に判別することができる。
【0143】
上述したように、本実施形態によれば、リモートサーバ装置12と印刷処理サーバ装置14(14A,14B)とが連携したシステムによって、印刷原稿の入稿からページ編集、校正、色補正、承認、印刷指示という各工程を一連のワークフローで管理できる。したがって、工程や作業ごとに複数のシステムを個々に使用する必要がなく、印刷原稿のデータを効率的に管理することができる。
【0144】
また、入稿された印刷原稿から抽出された画像の素材に対して、補正、再補正を行うことができるとともに、そのオリジナル素材と補正結果が履歴とともに蓄積されるため、作業に携わる複数の作業者がこれらデータを共有することができ、効率的に作業を進めることができる。
【0145】
本実施形態に係る印刷物生産支援システムは、最終出力する印刷機に対応した印刷処理サーバ装置14がPDF/JDFをネイティブ処理してRIPを行う構成であり、各端末はPDFのソフトプルーフにより、モニター画面上にRIP処理と同様の処理結果を表示させることができる。デバイス依存の処理がすべてRIP側(印刷処理サーバ装置14)で行われるため、その元となるPDF原稿は、最終RIP直前までデバイス依存性のない最適な処理(取り扱い)が行われる。このため、入稿、編集、校正などの各段階においてデバイス依存性のないワークフローが可能である。
【0146】
本実施形態によれば、印刷依頼主(クライアント)、広告代理店、デザイナー、出版会社、印刷会社、製版会社等複数の者が協力して1つの印刷物を効率良く生産していく過程を支援するサーバサイトを提供することができる。なお、上述の実施形態では、JDFに対応したPDFワークフローを提供するシステムを例に説明したが、情報を記述するフォーマットについて、PDF/JDFに限定されるものではなく、他の形式についても本発明を適用することができる。
【0147】
以上、本発明の印刷物生産支援システム及び印刷物生産支援方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0148】
<他の発明に関する言及>
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は多様な技術思想の開示を含んでおり、「課題を解決しようとする手段」の欄に記載した発明の他、例えば、以下に示す発明を提供する。
【0149】
複数のページからなる印刷物を生産するためのワークフロー管理システムであって、1又は複数の作業から構成され、1つの印刷物の生産の一連の工程を表すジョブを登録するジョブ登録手段と、前記印刷物の原稿の少なくとも一部のページを部分的に入稿可能な入稿手段と、前記入稿手段によって入稿された原稿を保存する原稿保存手段と、前記印刷物の各ページに対して、前記入稿手段によって入稿された原稿の各ページを割り当てるページ編集手段と、前記原稿の校正履歴を保存する校正履歴保存手段と、前記原稿の校正が完了した後、前記印刷物の印刷を指示する印刷指示手段と、を備え、前記ページ編集手段は、前記入稿手段によって新たに入稿された原稿が存在する場合には、ユーザの指示に従って、既にページ割り当て済みの原稿のページと置き換えるか、又は既にページ割り当て済みの原稿のページ間に挿入することによって、新たに入稿された原稿の各ページの割り当てを行うことを特徴とするワークフロー管理システム。
【0150】
当該発明に係るワークフロー管理システムよれば、印刷物の一部のページを部分的に入稿できるとともに、新たに入稿された原稿の各ページを、既にページ割り当て済みの原稿のページと置き換え、又はページ間に挿入することによって、ページ割り当てを行うことができる。このため、再入稿が必要な場合でも、全ページを入稿せずに、修正ページのみを入稿することができ、入稿後にページの並び順を編集することができる。この結果、入稿の作業効率が高まり、迅速な入稿が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システムの全体構成を示した図
【図2】リモートサーバ装置の構成を示したブロック図
【図3】印刷処理サーバ装置の構成を示したブロック図
【図4】各サーバ装置の機能分担を示した図
【図5】各端末装置の構成を示したブロック図
【図6】各端末装置の機能分担を示した図
【図7】ワークフロー管理システムによる全体的なプロセスを示した図
【図8】入稿用端末装置のログイン画面を示した図
【図9】入稿用端末装置のジョブ一覧画面を示した図
【図10】入稿用端末装置のアップロード画面を示した図
【図11】入稿用端末装置のジョブ一覧画面を示した図
【図12】入稿用端末装置のジョブ詳細画面を示した図
【図13】入稿用端末装置のプレフライトレポート画面を示した図
【図14】入稿用端末装置のジョブ一覧画面を示した図
【図15】入稿用端末装置のアップロード画面を示した図
【図16】入稿用端末装置のジョブ一覧画面を示した図
【図17】入稿用端末装置のページ一覧画面を示した図
【図18】入稿用端末装置のページ一覧画面を示した図
【図19】入稿用端末装置のページ一覧画面を示した図
【図20】校正用端末装置のログイン画面を示した図
【図21】校正用端末装置のジョブ一覧画面を示した図
【図22】校正用端末装置のページ一覧画面を示した図
【図23】校正用端末装置の校正ツール画面を示した図
【図24】校正用端末装置のページ一覧画面を示した図
【図25】校正用端末装置のジョブ一覧画面を示した図
【図26】校正用端末装置のページ一覧画面を示した図
【図27】校正用端末装置の校正ツール画面を示した図
【図28】校正用端末装置の校正ツール画面を示した図
【図29】校正用端末装置の校正ツール画面を示した図
【図30】校正用端末装置のページ一覧画面を示した図
【図31】ジョブ作成/管理用端末装置のジョブ一覧画面を示した図
【図32】ページ毎の版管理の一例を示した図
【図33】各ページの版を組み合わせた印刷物の版管理を示した図
【図34】色補正の機能を実現する第1例の構成図
【図35】画像色補正アプリにおける2枚比較表示の画面例を示す図
【図36】画像色補正アプリにおける4枚比較表示の画面例を示す図
【図37】色補正の機能を実現する第2例の構成図
【図38】色補正の機能を実現する第3例の構成図
【図39】未割り当てページ編集後の色補正画面の例を示した図
【図40】未割り当てページ編集後の色補正画面の例を示した図
【図41】色補正処理後のページ一覧画面を示した図
【符号の説明】
【0152】
10…印刷物生産支援システム、12…リモートサーバ装置、14…印刷処理サーバ装置、16…ジョブ作成/管理用端末装置、18…入稿用端末装置、20…校正用端末装置、30…制御部、32…記憶部、34…通信処理部、42…制御部、44…記憶部、46…通信処理部、510…Web入稿アプリ、520…画像色補正アプリ、524…元画像、526…補正画像、528…補正値、560…画像処理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物生産の一連の工程を進める手順が定められたワークフローにしたがって1つの印刷物を生産する仕事を表すジョブの登録を受け付け、当該登録されたジョブの進捗状況の管理を行うジョブ管理手段と、
前記ジョブ管理手段に登録されたジョブに関して、インターネットを介して接続される端末装置から印刷原稿の電子ファイルを受信する入稿受付手段と、
前記入稿受付手段によって受信した印刷原稿のデータを保存するとともに、当該入稿された印刷原稿のページにレイアウトされている画像オブジェクトを抽出し、画像単位でデータ管理を行う素材管理手段と、
前記印刷原稿から抽出された画像オブジェクトに対して色補正を行う色補正処理手段と、
前記色補正処理手段による補正後の補正画像を含む印刷原稿のデータから出力印刷機に応じたビットマップのラスタイメージデータを色別に生成する分版RIP処理手段と、
を備えたことを特徴とする印刷物生産支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷物生産支援システムにおいて、
前記ジョブ管理手段、前記入稿受付手段、前記素材管理手段及び前記色補正処理手段として機能するリモートサーバと、
前記リモートサーバにネットワークを介して接続され、前記分版RIP処理手段として機能するとともに、前記出力印刷機に対して印刷ジョブのデータを出力する印刷処理サーバと、を備えることを特徴とする印刷物生産支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷物生産支援システムにおいて、
前記ジョブ管理手段、前記入稿受付手段、前記素材管理手段として機能するリモートサーバと、
前記リモートサーバにネットワークを介して接続され、前記色補正処理手段として機能する画像処理サーバと、
前記リモートサーバにネットワークを介して接続され、前記分版RIP処理手段として機能するとともに、前記出力印刷機に対して印刷ジョブのデータを出力する印刷処理サーバと、を備えることを特徴とする印刷物生産支援システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物生産支援システムにおいて、
前記色補正処理手段による補正結果の補正画像及び当該補正結果を示す補正値の情報のうち少なくとも一方が、補正前の元画像のデータとともに、前記素材管理手段に保存され、補正処理の履歴情報を付して管理されることを特徴とする印刷物生産支援システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷物生産支援システムにおいて、
前記分版RIP処理手段によって生成された分版画像のデータに基づき、前記端末装置の表示部に当該RIP処理による印刷結果と同様の画像内容を表示させるソフトプルーフ手段を備えることを特徴とする印刷物生産支援システム。
【請求項6】
印刷物生産の一連の工程を進める手順が定められたワークフローにしたがって1つの印刷物を生産する仕事を表すジョブの登録を行い、当該登録されたジョブの進捗状況の管理を行うジョブ管理工程と、
前記ジョブ管理工程により登録されたジョブに関して、インターネットを介して接続される端末装置から印刷原稿の電子ファイルを受信する入稿受付工程と、
前記入稿受付工程によって受信した印刷原稿のデータを記憶手段に保存するとともに、当該入稿された印刷原稿のページにレイアウトされている画像オブジェクトを抽出し、画像単位でデータ管理を行う素材管理工程と、
前記印刷原稿から抽出された画像オブジェクトに対して色補正を行う色補正処理工程と、
前記色補正処理工程による補正結果の補正画像及び当該補正結果を示す補正値の情報のうち少なくとも一方を、補正前の元画像のデータとともに前記記憶手段に保存する補正結果保存管理工程と、
前記色補正処理工程による補正後の補正画像を含む印刷原稿のデータから出力印刷機に応じたビットマップのラスタイメージデータを色別に生成する分版RIP処理工程と、
を有することを特徴とする印刷原稿の色補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2009−288450(P2009−288450A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139940(P2008−139940)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】