説明

印刷用塗工紙

【課題】本発明の課題は、低坪量かつ低塗工量にもかかわらず、嵩高で白色度が高く、印刷面感に優れ、不透明度が高く、印刷作業性が良好な印刷用塗工紙を提供することである。
【解決手段】
本発明の印刷用塗工紙は、原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工して製造する塗工紙において、原紙に機械パルプを全パルプの乾燥重量に対して10重量%以上50重量%未満含有し、機械パルプとして濾水度が100〜250mlである針葉樹サーモメカニカルパルプを含み、塗工前の原紙灰分が10重量%以上であり、かつ片面塗工量が0.5〜5g/mであり、カレンダ処理後の坪量が50g/m以下、密度が0.70g/cm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷用塗工紙に関する。特に本発明は、低坪量にもかかわらず、嵩高で白色度が高く、印刷面感に優れ、印刷作業性が良好な印刷用塗工紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷用紙においても輸送及び郵送コストの削減などのため軽量化に対する要求が非常に高くなってきている。しかし、単純に軽量化すなわち印刷用紙の坪量を下げると紙の厚さが低下し、冊子のボリューム感が損なわれるため好ましくない。紙ユーザーに求められている軽量化とは、紙重量を低下させながら、紙厚は低下させないこと、より好ましくは紙厚を高くすることであり、紙の軽量嵩高化が近年の重要な技術課題である。
【0003】
一方、印刷物のビジュアル化やカラー化が進み、非塗工印刷用紙に比較し、平滑な塗工層をインキ受理層として有する印刷用塗工紙の需要も年々増加している。しかし、炭酸カルシウムやカオリンなどの無機顔料を主成分とする顔料塗工層は、パルプを主原料とする塗工原紙に比較して比重が重いため、塗工紙の軽量化のためには低塗工量化が有効である。また、嵩高化という観点からは、塗工原紙を嵩高化することが考えられる。
紙の低密度化(嵩高化)の方法の一つとして製紙用パルプに関しての検討があげられる。一般的に製紙用パルプには木材パルプが使用されるが、低密度化を行うためには、化学薬品により木材繊維中の補強材料であるリグニンを抽出した化学パルプよりも、グラインダーで木材を磨り潰す砕木パルプやリファイナーで木材を精砕するリファイナーメカニカルパルプ、またはサーモメカニカルパルプのような機械パルプの方が繊維は剛直で効果的である。しかし、機械パルプのうちサーモメカニカルパルプは比較的繊維長が長く、剛度が高いことから製造した紙の平滑度が低下することが知られている。また、機械パルプを使用した場合には化学パルプと比較しパルプの白色度が低いため、全体として紙の白色度が低下するなどの問題があった。
【0004】
また、抄紙の観点から非塗工紙や塗工原紙を嵩高化(低密度化)する手法として、嵩高剤の使用による方法が知られている。公知の嵩高剤として、例えば、特定のアルコール及び/またはそのポリオキシアルキレン付加物を含有する紙用嵩高剤(特許文献1)、非イオン界面活性剤(特許文献2)、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物からなる紙用嵩高剤(特許文献3)などが知られており、これらの紙用嵩高剤を板紙に応用した技術(特許文献4)も提案されている。
【0005】
また、前述したような輸送コスト削減等の観点から、低坪量塗工紙に対する要望が高くなってきている。低坪量かつ低塗工量にもかかわらず、特に優れた白紙外観および剛度を有し、印刷・製本作業適性を有する低坪量微塗工紙に関する技術が開示されている(特許文献5)。
【0006】
しかし、特許文献5のように、塗工量を少なくすると、塗工面に塗工面の被覆ムラが生じ、特に嵩高原紙のように紙表面の平滑性の低いものの場合、印刷時のインキの着肉ムラに起因する印刷面感の悪化が起こり、また塗工量が多い場合と比較し紙の白色度も低くなる。
さらに低坪量とした場合は、強度が極度に低下し、印刷時の断紙などのトラブルが発生する。
このように、低塗工量かつ、低坪量でありながら、嵩高で白色度が高く印刷面感に優れた印刷用塗工紙を製造することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開98/03730号パンフレット
【特許文献2】特開平11−200283号公報
【特許文献3】特許第2971447号公報
【特許文献4】特許第3041294号公報
【特許文献5】特開2004−124289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この様な状況に鑑みて、本発明の課題は、低坪量かつ低塗工量にもかかわらず、嵩高で白色度が高く、印刷面感に優れ、不透明度が高く、印刷作業性が良好な印刷用塗工紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を一層以上有する塗工紙において、原紙に特定の機械パルプを一定量含み、塗工前の原紙灰分が10重量%以上であり、かつ片面塗工量が0.5〜5g/mであり、カレンダ処理後の坪量が50g/m以下、密度が0.70g/cm以下とすることにより、低坪量かつ低塗工量にもかかわらず、嵩高で白色度が高く、印刷面感に優れ、不透明度が高く、印刷作業性が良好な印刷用塗工紙を製造できることを見出した。
本発明は係る知見に基づくものである。
【0010】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1] 原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を一層以上有する塗工紙において、
(1)原紙に1種類以上の機械パルプを、全パルプの乾燥重量に対して10重量%以上50重量%未満含有し、
(2)前記機械パルプの一つが、濾水度が100〜250mlである針葉樹サーモメカニカルパルプであり、
(3)原紙灰分が10重量%以上であり、
(4)片面塗工量が0.5〜5g/mであり、
(5)カレンダ処理後の坪量が50g/m以下であり、
(6)密度が0.70g/cm以下である
ことを特徴とする印刷用塗工紙。
[2] 前記濾水度が100〜250mlである針葉樹サーモメカニカルパルプを全パルプの乾燥重量に対して、10重量%以上50重量%未満含有することを特徴とする[1]記載の印刷用塗工紙。
[3] 前記カレンダ処理を、線圧30kN/m以下のソフトニップカレンダで行うことを特徴とする[1]または[2]に記載の印刷用塗工紙。
[4] 原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工液を一層以上塗工してオンマシンコーターで製造する塗工紙の製造方法において、ツインワイヤ式フォーマを用いて、原紙に機械パルプを全乾燥重量に対して10重量%以上50重量%未満含有し、機械パルプとして濾水度が100〜250mlである針葉樹サーモメカニカルパルプを含み、紙中灰分が10重量%以上の原紙を抄造し、シリンダドライヤを有する乾燥機で乾燥した後、ゲートロールコーターで片面塗工量が0.5〜5g/mとなるように両面塗工し、密度が0.70g/cm以下となるようにソフトニップカレンダで処理することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、低坪量かつ低塗工量にもかかわらず、嵩高で白色度が高く、印刷面感に優れ、裏抜けが良好で、印刷作業性が良好な印刷用塗工紙を提供することできる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、原紙に低密度(以下、本明細書において嵩高ということもある)な紙を用いた、塗工量が少なく、かつ低坪量である印刷用塗工紙である。
本発明者らは、低密度、低坪量、低塗工量であり、かつ紙の諸品質も優れている塗工紙を開発するという新たな課題を見出し、それを達成するために、3つの要素の相乗効果が見られる条件を見いだすなど、種々の工夫を行った。
まず、低密度と塗工量の関係については、一般的に、塗工原紙を嵩高化すると原紙中に空隙が多くなる。そうすると、塗工時に塗工液が原紙内部に浸透しやすくなり、低塗工量で均一に原紙表面を被覆することが難しい。均一に被覆できないと、印刷時のインキの着肉ムラに起因する印刷面感の悪化が起こる上、塗工量が多い場合と比較し紙の白色度も低くなる。
【0013】
原紙の空隙量を減らすために塗工前に原紙をカレンダ処理すれば、せっかく低密度化した紙がカレンダ処理によって高密度化してしまう。しかし、カレンダ処理をしない場合、紙の層間強度が低下するなどの問題が生じる可能性がある。
また、嵩高剤を用いて、原紙を低密度化する場合、嵩高剤は繊維間結合を阻害し、紙の密度を低くする薬品であるため、低坪量領域では紙の強度が顕著に弱くなる。嵩高剤を添加した低坪量原紙を用いて塗工紙を製造した場合、引張強度は弱くなり、オフセット輪転印刷などで、断紙等のトラブル発生の一因となる。
そこで、原紙については、低密度かつ低坪量でありながら引張強度を維持するために、機械パルプとして一定の濾水度の針葉樹サーモメカニカルパルプを使用することを見出した。一般的にこのようなパルプ配合で作成した低密度な原紙に、少ない塗工量を塗工した場合、原紙への塗料の浸透は顕著になるが、原紙中の灰分含有量を一定量以上にすることにより、塗料による原紙被覆性の低下を顕著に抑制できることを見出した。
【0014】
加えて、カレンダ処理についても、原紙の低密度を維持するために、ソフトカレンダ処理を行うことができる。ソフトニップカレンダによる表面処理は、紙の内層部の高密度化を抑制しつつ、ごく表層部のみを平滑化する技術である。そのため、従来のスーパーカレンダ処理と比較して、紙の表層部だけ緻密化して平滑度を向上させ、紙の内層部は潰れさせないために、ソフトニップカレンダを用いると紙の嵩高さを維持できるとされる。特に特定の条件で原紙を製造し、特定の塗料を特定量塗工した場合、その効果は顕著になる。さらに、印刷適性を向上させつつ低密度を維持するための、ソフトニップカレンダ処理条件を見出した。
【0015】
このように、本発明の塗工紙の品質を達成するために、複数の製造条件あるいは原料についてそれぞれ検討し、低密度、低坪量、低塗工量という通常は両立し得ない相反する品質を兼ね備えた塗工紙を提供することができたものである。
【0016】
パルプ
本発明における印刷用塗工紙の原紙は、パルプ、填料と各種助剤からなる。パルプとしては、化学パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ等を用いることができるが、機械パルプは化学パルプ、半化学パルプに比べ、繊維が剛直なので、機械パルプを多く配合した原紙は抄紙工程でかかる各種の圧力で紙層が潰れることが少なく全体として嵩高になるため、好ましい。
【0017】
本発明において、機械パルプとは、原木を機械的に繊維化しただけのパルプであり、例えば、砕木パルプ、リファイナー砕木パルプ、熱機械パルプ(サーモメカニカルパルプ)などが挙げられる。
【0018】
本発明においては、機械パルプをパルプの全乾燥重量に対して10重量%以上50重量%未満含有することができ、好ましくは15重量%以上45重量%未満であり、より好ましくは20重量%以上40重量%未満である。
【0019】
本発明のカレンダ処理後の塗工紙の坪量が50g/mより低い場合は、機械パルプの配合量が50重量%以上であると、塗工前の原紙にピンホールが発生し、片面塗工量0.5〜5g/mの範囲で顔料塗工した場合、ピンホールを完全に覆うことができず、極端に酷い場合はインキ染み通しが発生し、裏抜けの要因となることがあるため、好ましくない。また、10重量%未満であると、原紙が嵩高にならず、顔料塗工、カレンダ処理を行った後の密度は高くなり、低坪量で十分な不透明性を得ることができないため好ましくない。
【0020】
本発明においては、機械パルプとして、針葉樹サーモメカニカルパルプを一定量含有することが好ましい。針葉樹サーモメカニカルパルプを含有することにより、原紙を嵩高にし、かつ坪量50g/m以下でも断紙などの印刷作業性を両立させることができる。
【0021】
針葉樹サーモメカニカルパルプとは、針葉樹チップをプレヒーターで加熱した後、加圧型リファイナーでリファイニングして得られるパルプをいう。ここでいう針葉樹サーモメカニカルパルプとは、短時間薬品処理した後、プレヒーターで加熱した後、加圧型リファイナーでリファイニングして得られるCTMPなどの各種薬品処理したサーモメカニカルパルプを含むものである。
【0022】
針葉樹サーモメカニカルパルプの濾水度としては、100〜250ml(CSF)とすることができ、100〜200mlがより好ましく、更に好ましくは100〜180mlである。100mlより低い場合は、50重量%未満の配合部数で十分に嵩高な原紙を得ることは難しく、250mlを越えると原紙は嵩高になるが、塗料を片面あたり0.5〜5g/m塗工した場合、塗料は原紙内部に浸透しやすくなり、原紙被覆性が劣るため、印刷光沢度の低下、インキ着肉ムラ発生などの印刷適性が劣ることにつながる。
【0023】
塗工量を少なくするに従って、一般的に塗料による原紙被覆性は低下するが、針葉樹クラフトパルプを50重量%未満配合し、濾水度を100〜250mlにコントロールすることにより、相乗効果として、原紙被覆性の低下をゆるやかにすることができる。
【0024】
針葉樹サーモメカニカルパルプの配合量は、パルプの全乾燥重量に対して、10重量%以上50重量%未満が好ましく、より好ましくは15重量%以上45重量%未満であり、更に好ましくは20重量%以上40重量%未満である。
【0025】
本発明の塗工紙の坪量が50g/mより低い条件においては、針葉樹サーモメカニカルパルプが50重量%以上であると、塗工前の原紙にピンホールが多発し、片面塗工量0.5〜5g/mの範囲で顔料塗工した場合、ピンホールを完全に覆うことができず、極端に酷い場合はインキ染み通しが発生し、裏抜けの要因となるため、配合量に上限がある。
【0026】
本発明においては、機械パルプとして、針葉樹クラフトパルプを含んでもよい。針葉樹クラフトパルプは、砕木パルプ、プレッシャードグラウンドウッドパルプに比べて、強度発現性が良好であるため、坪量50g/m以下の低坪量塗工紙で、印刷作業性を良好にすることができる。
【0027】
針葉樹クラフトパルプ以外の機械パルプとしては、特に制限はなく、広葉樹サーモメカニカルパルプ、砕木パルプなどの各種機械パルプを用いることができる。
【0028】
白色度向上したい場合は、1つ以上の公知の漂白工程によりパルプを漂白した機械パルプを用いることが好ましい。この場合には、過酸化水素、オゾン、過酢酸等の酸化剤あるいはハイドロサルファイト(亜二チオン酸ナトリウム)、硫酸水素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアミジンスルフィン酸(FAS)等の還元剤を用いることができる。
【0029】
本発明において、上記機械パルプを以外のパルプを使用する場合には強度発現の観点から針葉樹化学パルプを用いることが好ましい。
また、資源をリサイクルして環境負荷を低くするという観点から、古紙パルプ(DIP)を配合してもよい。
【0030】
填料
本発明においては、塗工液の原紙への浸透を防止するために、原紙中の填料としての紙中灰分量を多くすることが求められる。
紙中灰分量は、10重量%以上とすることができる。本発明において、上記嵩高なパルプを使用して原紙を製造した場合、原紙中灰分が10重量%以下であると、塗工液を塗工した際の原紙への浸透が著しく、塗工後の塗料の被覆ムラが生じ、印刷面感の悪化を引き起こすため好ましくない。
原紙中灰分を10重量%以上とするためには、原紙重量あたり填料を10重量%以上にすることにより達成できる。
【0031】
原紙灰分を10重量%以上にすることにより、填料が原紙表層の空隙を埋め、塗工量が0.5〜5g/mという原紙被覆性が維持しづらい条件においても塗工適性が良化する。より好ましい原紙灰分量は12重量%以上である。また、原紙密度が高くなること、強度が低下することを考慮すると、原紙灰分が40重量%以下であることが好ましい。
【0032】
本発明のおける原紙中の灰分とは、顔料と接着剤を含有する塗料を塗工する前の紙の灰分をいい、JIS P 8251 「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に則って測定した値である。
【0033】
本発明においては、填料の種類に制限はないが、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、酸化チタン、ゼオライト、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。本発明においては、原紙に用いる填料として軽質炭酸カルシウムを用いることが好ましい。軽質炭酸カルシウムを用いた場合、原料に機械パルプを配合した条件において、特に優れた嵩高、不透明度改善効果、良好な原紙表面性が得られる。
【0034】
軽質炭酸カルシウムは、カルサイト、アラゴナイトのいずれでも良く、また形状についても針状、柱状、紡錘状、球状、立方形状、ロゼッタ型のいずれも使用できるが、ロゼッタ型が好ましい。
なお、ロゼッタ型とは、紡錘状の軽質炭酸カルシウム一次粒子が毬栗状に凝集した形状を指し、他の軽質炭酸カルシウムより高い比表面積と吸油性を示す特徴がある。
【0035】
また、本発明においては、填料として、炭酸カルシウムを含む軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物も使用することができる。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物とは、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物であり、全量または一部に使用することが好ましい。この軽質炭酸カルシウム−シリカ複合粒子を使用することにより、塗工紙密度は低く、十分な剛度を備えた塗工紙を製造することができる。
【0036】
また、カレンダ処理を行った後でも、低密度を維持し高平滑度といった相反する性質を発揮することができる。本発明においては、該軽質炭酸カルシウム−シリカ複合粒子を紙中填料として5〜25固形分重量%の割合で含有していることが好ましく、10〜20固形分重量%がより好ましい。該紙中填料が5固形分重量%未満では、十分な嵩高効果は得られず、25固形分重量%を超えた場合は、塗工紙の引張強度が低下する。
【0037】
また、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム-シリカ複合物は、嵩高性と、印刷時のブランケットへのパイリング抑制のバランスをより良好にするために、軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30であることが好ましい。軽質炭酸カルシウムの固形分重量比が軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70より小さい場合、塗工紙の印刷時の表面強度が劣る傾向にある。軽質炭酸カルシウムの固形分重量比が軽質炭酸カルシウム/シリカ=70/30より多い場合、嵩高性の改善効果が大きくない。また、複合物に使用する軽質炭酸カルシウムについては、針状、柱状、紡錘状、球状、立方形状、ロゼッタ型のいずれでも良いが、この中でも特にロゼッタ型のカルサイト系の軽質炭酸カルシウムを用いた場合に、特に裏抜け、不透明度改善効果が向上する。
【0038】
本発明においては、填料として不透明度、裏抜け向上の点からロゼッタ型の軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を含有することが好ましい。
【0039】
さらに、本発明の印刷用塗工紙には、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の製紙用添加剤も必要に応じて添加することができる。
【0040】
また、本発明の原紙においては、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物である界面活性剤等の嵩高剤(低密度化剤)を使用することができる。パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物(以下、結合阻害剤と略称する)とは、疎水基と親水基を持つ化合物で、例えば、WO98/03730号公報、特開平11−200284号公報、特開平11−350380号公報、特開2003−96694号、特開2003―96695号公報等に示される化合物等が挙げられる。具体的には、高級アルコールのエチレンおよび/またはプロピレンオキサイド付加物、多価アルコール型非イオン型界面活性剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のエチレンオキサイド付加物、あるいは脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミド、あるいはポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロロヒドリン縮合物などを使用することができ、これらを単独あるいは2種以上併用することができる。
本発明の塗工紙においては、抄紙工程における好ましい添加量は、対パルプ0.1〜2%である。
【0041】
抄紙方法
本発明における印刷用塗工紙の抄紙方法については、ツインワイヤ式フォーマを用いることが好ましい。長網式フォーマに比べて、ツインワイヤ式フォーマは両面脱水であるため、本発明のパルプ配合かつ原紙灰分量において、表裏の脱水条件をコントロールすることにより、原紙表面の微細繊維および灰分量をコントロールしやすく、本発明の塗工量領域においても塗料の浸透を抑制し、良好な塗工面を得ることにつながる。本発明において、内添填料をより表層にとどめやすくするためには、オントップハイブリッドフォーマーやギャップフォーマーを使用することが好ましい。
【0042】
抄紙は、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙のいずれの方式で抄紙することができる。本発明の印刷用紙が塗工紙である場合、塗工原紙の坪量は、一般の塗工紙に用いられる20〜49.5g/m程度のものを好適に使用することができる。フォーマ後の乾燥方法として、原紙表面を平滑化処理できるため、シリンダドライヤを含むドライヤで乾燥することが好ましい。シリンダドライヤを含んでいれば、乾燥方法に制限はなく、エアードライヤーなどの他の乾燥装置と組み合わせて使用することができる。
【0043】
本発明においては、必要に応じて、澱粉などの接着剤をサイズプレスなどにより顔料塗工前の原紙にクリア塗工してもよい。クリア塗工に使用される接着剤としては、特に限定されるものでないが、例えば、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酸素変性澱粉などの澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)等を、単独あるいは混合して使用することができる。また、必要に応じて、表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤などの助剤を加えてクリア塗工を行ってもよい。
【0044】
本発明のサイズプレス処理で用いる塗工方式および塗工装置は特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができ、ロッドメタリング式サイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロースコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなどを用いることが好ましい。
【0045】
接着剤
本発明において、原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工層を塗工する際に用いる接着剤としては、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができ、例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などの中から、1種以上を適宜選択して使用することができる。
【0046】
バインダーの好ましい配合部数は、印刷適性、表面強度、塗工適性等の観点から、顔料100重量部あたり20重量部以上、100重量部以下である。さらに好ましくは、30重量部以上、60重量部以下である。また、澱粉をバインダー総量の50重量%以上配合することが好ましい。
【0047】
本発明においては、これらの接着剤の中から澱粉類1種以上を、顔料100重量部に対して、10〜50重量部の範囲で使用される事が好ましく、より好ましくは12〜40重量部である。50重量部を超える場合は塗料粘度が上昇し、各種塗工方式における塗工適性が悪化するため好ましくない。また、10重量部未満の場合は、本発明の範囲で機械パルプを配合した嵩高な原紙に、内添填料を10重量%以上配合した場合においても、十分な原紙被覆性および表面強度が得られず好ましくない。
【0048】
顔料
顔料塗工層に用いる顔料の種類は、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができ、例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。また、顔料の種類としては、カオリン、クレーエンジニアードクレカオリン、デラミネーテッドクレーよりも重質炭酸カルシウムのほうが塗料粘度の上昇を抑えることができ、その結果、塗料濃度を高くすることが可能であり、そのため塗料浸透を抑制することができ、嵩高効果を発現しやすいため好ましい。
【0049】
顔料中の好ましい重質炭酸カルシウム含有量は、顔料100重量部あたり50重量部以上であり、より好ましくは70重量部以上、さらに好ましくは80重量以上である。
【0050】
本発明の顔料および接着剤を含有する塗工層を設ける場合の塗工液には、助剤として分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
【0051】
塗工方法
本発明の印刷用塗工紙の塗工層は、一層以上であればよい。
本発明において顔料塗工層を設ける際の塗工方法については、特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができ、例えば、ブレードコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーターなどが挙げられるが、本発明において好ましい塗工量の範囲を塗工する方式として、低塗工量条件で塗料の原紙への浸透を抑制できるゲートロールコーターに代表されるロールコーターを用いることが好ましい。また、抄紙機、コーターが一体となっているオンマシンコーターの場合、塗工前の原紙温度がオフマシンコーターに比べて熱いため、塗料が原紙に染みこみやすい。本発明のひとつのポイントとして、特定のパルプ配合、特定の原紙灰分にすることにより、低塗工量でも原紙被覆性を良好にすることがあげられる。そのため、オンマシンコーターで塗料が原紙に染みこみやすい条件で塗工した方が、本発明の効果は顕著になる。オンマシンコーターの抄造速度としては、500〜2000m/minであることが好ましい。
【0052】
塗工後の湿潤塗工層を乾燥させるドライヤとしては、一般的なものを使用することができ、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダドライヤ等の通常の装置を用いることができる。
【0053】
本発明における紙の片面あたりの塗工量は0.5〜5g/mとすることができる。塗工量が0.5g/m未満であると、原紙灰分が10重量%以上であっても、顔料塗工時の塗料濃度を低くする必要があり、そのため塗料の浸透が顕著におこり、その結果として塗料の被覆ムラが生じ、印刷面感の悪化を引き起こすため好ましくない。また、塗工量が5.0g/m以上であると塗工紙の密度が上昇し、嵩高塗工紙を製造するのは困難となり好ましくない。本発明におけるより好ましい片面塗工量は0.5〜4.0g/mであり、より好ましくは0.5〜3.0g/mである。
【0054】
以上の様に塗工乾燥された塗工紙は、カレンダ処理することができる。カレンダ処理をすることにより、本発明のように、特定のパルプ配合、特定の原紙灰分にした低密度の原紙に、低塗工量でも原紙被覆性を良好にした場合に、好適な印刷適性を得ることができる。
【0055】
カレンダ処理
カレンダ処理線圧としては、本発明の塗工紙においては、カレンダの処理線圧が低い方が好ましい。30kN/m以下が
好ましい。より好ましくは20kN/m以下、更に好ましくは10kN/m以下である。
【0056】
カレンダ装置は特に限定されるものではなく、例えば、スーパーカレンダ、高温ソフトニップカレンダ、ベルトニップカレンダ、シューカレンダ等で平滑化処理を行うことができるが、印刷品質、作業性に優れ、表面強度が良好でかつ低密度かつ良好な印刷用塗工紙を得るために、ソフトニップカレンダ処理をすることが好ましい。カレンダ処理条件としては、1〜2ニップが好ましく、2ニップで両面処理することがより好ましい。カレンダニップ数が3ニップ以上の場合には塗工紙の密度が上昇し、嵩高塗工紙を製造するのは困難となり好ましくない。カレンダの金属ロールの温度条件としては特に制限されるものではないが、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃、更に好ましくは50〜100℃である。
【0057】
坪量
本発明の塗工紙のカレンダ処理後の坪量は、50g/m以下、より好ましくは、48g/m以下、さらに好ましくは45g/m以下である。本発明の特徴は、前記の坪量において、低塗工量で、原紙被覆性が良好で、インキ着肉性および印刷光沢度などの印刷適性が良好にすることができることである。
【0058】
密度
本発明の塗工紙のカレンダ処理後の密度は、0.70g/cm以下、好ましくは0.65g/cm以下、より好ましくは0.60g/cm以下である。
本発明の効果のひとつとして、嵩高な原紙にもかかわらず、低塗工量領域で十分な原紙被覆性を確保することができるため、カレンダ処理条件が低くても、印刷適性を良好にすることがあげられる。
【実施例】
【0059】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、本明細書において部および%は重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0060】
(評価方法)
塗工液及び得られたオフセット印刷用塗工紙について、以下に示す評価法に基づいて試験を行った。
(1)坪量:JIS P 8124に基づいて測定した。
(2)密度:JIS P 8118に基づいて測定した。
(3)パルプ濾水度:JIS P 8121に基づいて測定した。
(4)密度:JIS P 8118に基づいて測定した。
(5)白色度:JIS P 8148に基づいて測定した。
(6)印刷物面感:東芝製オフセット輪転機B2T−600(4色)にて、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製 レオエックスM)を用いて印刷速度500rpmで印刷し、得られた印刷物の面感(インキの着肉ムラ)を下記の基準で目視にて評価した。
◎:全くムラが見られない ○:ほとんどムラが見られない
△:ややムラが見られる ×:ムラが見られる
(7)裏抜け:印刷物面感:東芝製オフセット輪転機B2T−600(4色)にて、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製 レオエックスM)を用いて印刷速度500rpmで印刷し、得られた印刷物の4色(墨藍紅黄)重ね印刷部の裏面の濃度を指標として下記の基準で目視にて評価した。
◎:裏抜けがほぼ見られない ○:若干見られる
△:裏抜けが目立つ ×:裏抜けが酷い
(8)引張強度:オフセット輪転印刷機における印刷走行性の指標とするために、JIS P 8113に基づいて抄紙方向の引張強度を測定した。
【0061】
[実施例1]
NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)30%、晒GP(CSF70ml)10%、古紙パルプ(CSF180ml)30%のパルプスラリーに、硫酸バンド1.6%、紙力剤(EX−230、ハリマ化成製)0.2%、歩留剤(DR−3600、ハイモ株式会社)200ppmを添加し、内添填料としてロゼッタ型の軽質炭酸カルシウムを10%含有し、デュオフォーマーFD型抄紙機(オントップ型ツインワイヤフォーマ)にて、800m/minの速度で抄紙した、密度0.53g/cm3で坪量38g/mの塗工原紙を用いた。
(塗工液の調製)
顔料スラリーとして微粒重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT-90)100部(固形分)を用い、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移点温度20℃、ゲル含量85%)10部、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(ペンフォード社製 PG295)30部を加えた後、さらに水を加えて固形分濃度30%とし、塗工液を調製した。
上記塗工液を上記原紙に、片面あたりの塗工量が1.0g/mとなるように塗工速度800m/minでゲートロールコーターを用いて両面塗工した後、塗工紙水分が7%となる様に乾燥した。その後、ショア硬度91°の弾性ロールを有する2ロール2スタックのソフトカレンダを使用し、金属ロール表面温度80℃、線圧4kN/mの条件で2ニップのカレンダ処理し、印刷用塗工紙を得た。
【0062】
[実施例2]
パルプ配合として、NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)40%、古紙パルプ(CSF180ml)30%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0063】
[実施例3]
パルプ配合として、NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)45%、晒GP(CSF70ml)3%、古紙パルプ(CSF180ml)22%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0064】
[実施例4]
パルプ配合として、NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)15%、晒GP(CSF70ml)25%、古紙パルプ(CSF180ml)30%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0065】
[実施例5]
パルプ配合として、NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)15%、晒GP(CSF70ml)10%、古紙パルプ(CSF180ml)45%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0066】
[実施例6]
パルプ配合として、NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)5%、晒GP(CSF70ml)35%、古紙パルプ(CSF180ml)30%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0067】
[実施例7]
針葉樹TMPの濾水度を200mlに変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0068】
[実施例8]
片面あたりの塗工量を4.0g/m、原紙坪量を34g/mに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0069】
[実施例9]
原紙灰分を15%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0070】
[実施例10]
カレンダ線圧を15kN/mに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0071】
[実施例11]
カレンダ線圧を25kN/mに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0072】
[実施例12]
原紙坪量を45g/m2に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0073】
[実施例13]
カレンダ線圧を35kN/mに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0074】
[実施例14]
パルプ配合として、NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)30%、古紙パルプ(CSF180ml)40%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0075】
[比較例1]
パルプ配合として、NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)35%、晒GP(CSF70ml)25%、古紙パルプ(CSF180ml)10%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0076】
[比較例2]
パルプ配合として、NBKP(CSF450ml)30%、晒針葉樹TMP(CSF130ml)5%、古紙パルプ(CSF180ml)65%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0077】
[比較例3]
針葉樹TMPの濾水度を300mlに変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0078】
[比較例4]
針葉樹TMPの濾水度を80mlに変更した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0079】
[比較例5]
原紙灰分を5%に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0080】
[比較例6]
片面あたりの塗工量を6.0g/m、原紙坪量を30g/mに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0081】
[比較例7]
片面あたりの塗工量を0.3g/m、原紙坪量を41.4g/mに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0082】
[比較例8]
カレンダ処理を行わなかった以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
【0083】
【表1】

【0084】
表に示すように、本発明にしたがって嵩高で白色度が高く、印刷面感に優れ、裏抜けが良好で、印刷作業性に優れた印刷用塗工紙を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を一層以上有する塗工紙において、
(1)原紙に1種類以上の機械パルプを、全パルプの乾燥重量に対して10重量%以上50重量%未満含有し、
(2)前記機械パルプの一つが、濾水度が100〜250mlである針葉樹サーモメカニカルパルプであり、
(3)原紙灰分が10重量%以上であり、
(4)片面塗工量が0.5〜5g/mであり、
(5)カレンダ処理後の坪量が50g/m以下であり、
(6)密度が0.70g/cm以下である
ことを特徴とする印刷用塗工紙。
【請求項2】
前記濾水度が100〜250mlである針葉樹サーモメカニカルパルプを全パルプの乾燥重量に対して、10重量%以上50重量%未満含有することを特徴とする請求項1記載の印刷用塗工紙。
【請求項3】
前記カレンダ処理を、線圧30kN/m以下のソフトニップカレンダで行うことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用塗工紙。
【請求項4】
原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工液を一層以上塗工してオンマシンコーターで製造する塗工紙の製造方法において、ツインワイヤ式フォーマを用いて、原紙に機械パルプを全乾燥重量に対して10重量%以上50重量%未満含有し、機械パルプとして濾水度が100〜250mlである針葉樹サーモメカニカルパルプを含み、紙中灰分が10重量%以上の原紙を抄造し、シリンダドライヤを有する乾燥機で乾燥した後、ゲートロールコーターで片面塗工量が0.5〜5g/mとなるように両面塗工し、密度が0.70g/cm以下となるようにソフトニップカレンダで処理することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。

【公開番号】特開2011−52330(P2011−52330A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199530(P2009−199530)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】