説明

印刷用塗工紙

【課題】高白色、高不透明性を有する脱墨パルプ含有印刷用塗工紙を製造する方法を提供する。
【解決手段】塗工層の少なくとも1を、紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を含有する塗工液をカーテン塗工して形成する工程を含む方法で、原紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量が、全パルプの絶乾重量を基準として60重量%以上であり、JIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定においてb値が−10以上−0.5未満である印刷用塗工紙を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン塗工方式による印刷用塗工紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷用塗工紙は通信販売等のカタログ印刷物などに用いられるため、視覚的に強力な印象を与えられる白さが求められる傾向が著しい。
上質系の原料を用いた印刷用塗工紙は、主として晒しクラフトパルプを原料としたパルプが用いられるため着色異物も少なく白色度が高いが、不透明度が低い。一方、中質系の原料を用いた印刷用塗工紙は、晒しクラフトパルプに加えて再生パルプや機械パルプが多く配合されるため、上質系の印刷用塗工紙と比較して、不透明度は高いものの、白色度が低いという問題がある。また、資源を有効活用するという観点から、再生パルプをより多く含有する印刷用塗工紙が求められているが、このような印刷用塗工紙は白色度がより低下するという問題がある。
【0003】
これまで、白色度と不透明度の両立を求める場合、屈折率の高い酸化チタンを内外添する、中空プラスチックピグメントを塗工層に配合するなどして塗工層に適度なサイズの空隙を設ける、またこれらを組み合わせるなどの方法が開示されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、いずれも高価な原料であり、コスト高になる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−336593号公報
【特許文献2】特公昭52−118116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、高白色、高不透明性を有する、再生パルプ含有印刷用塗工紙を製造する方法が求められているが、未だ満足のゆく製造方法はなかった。以上を鑑み、本発明は、高白色、高不透明性を有する、再生パルプ含有印刷用塗工紙を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は検討の結果、紫、青色を有する色材をいずれか1種類以上含有する塗工液をカーテン塗工することで、白色度が高く、高不透明度の印刷用塗工紙を製造できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、上記課題は以下の本発明:
原紙および1以上の塗工層を備える印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記塗工層の少なくとも1を、紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を含有する塗工液をカーテン塗工して形成する工程を含む、
原紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量が、全パルプの絶乾重量を基準として60重量%以上であり、
JIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定においてb値が−10以上−0.5未満である、印刷用塗工紙の製造方法により解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高白色、高不透明性の両方の物性を有する、再生パルプ含有印刷用塗工紙を効率よく製造できる。特に、本発明によれば、見た目の白さが強く、機器で測定する白色度よりも白さが際立って見え、さらに、印刷面感、印刷光沢にも優れ、平滑度が高く、インクの着肉性も優れ、印刷適性に優れた印刷用塗工紙が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】L色相系における色材添加後の色相の変化
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の製造方法は、色材を含む塗工液をカーテン塗工する。本発明によれば、高い白色度と不透明度を両立した印刷用塗工紙が製造できる。
本発明で製造された印刷用塗工紙は色材を含有するカーテン塗工層を備える。本発明においては、例えば、印刷用塗工紙を構成するカーテン塗工層のいずれか1層に後述する色材を存在させることができる。この場合、比較的簡便に印刷用塗工紙を製造できるという利点がある。カーテン塗工層が2層以上の場合、色材はいずれかの層に含まれていてもよいし、すべての層に含まれていてもよい。
【0010】
不透明度および白色度は紙表層あるいは紙層内部での光の反射と紙層内における吸収により影響される。JIS P 8149に定められた不透明度は同一試料において、単一シート視感反射率R0を固有視感反射率R∞に対する比率で表した値であり、塗工紙のZ軸方向(厚み方向)において色材がいずこに存在していてもほとんど影響されない。一方、JIS P 8148に定められた白色度は測定される反射率に変化がないように十分な枚数を重ねた試料の反射率(固有反射率)であるため、最外層に含まれる顔料により影響を受ける。このため、色材が複数の層に存在する場合、最外層である塗工層に存在する色材の比率を高くすることによって効率良く本発明の効果を得ることができる。よって、本発明においては、最外層を特定の色材を含むカーテン塗工により形成することが好ましい。
【0011】
また、色材を複数のカーテン塗工層に存在させると、印刷用塗工紙の見た目の白色度や不透明度を安定して向上させることができ、印刷用塗工紙の色むらをより一層抑制することができる。2以上のカーテン塗工層に色材を存在させる態様は、特に裏抜けなどの問題が生じやすい低坪量の印刷用塗工紙、すなわち坪量が70g/m以下の印刷用塗工紙において効果を発揮しやすい。
【0012】
さらに2以上のカーテン塗工層に色材が存在する場合、各層に存在する色材の比率は特に制限されないが、最外層に存在する色材の比率を高くすることによって少量の色材で効率よく発明の効果を得ることができる。例えば、より外側の層に存在する色材の量を、より内側の層に存在する色材の量より多くすることが好ましい。
【0013】
また、原紙に含まれる脱墨パルプの割合が高い場合は、脱墨パルプに由来する機械パルプ等が多く含まれているので、印刷用紙の不透明度は高いが、そのままでは黄ばんだ色となりやすい。このため、本発明においては、他の層よりも原紙層に存在する色材の比率を高くすることが好ましい。このようにすることによって過度の青白さを抑制でき、また機械パルプを多く含むことに起因する、黄ばんだ色を効率的に抑制することができ、高い不透明度と高い白色度を達成できるので好ましい。
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明する。本明細書において「〜」は両端の値を含む。
1.製造方法
本発明の製造方法は、原紙および1以上の塗工層を備える印刷用塗工紙の製造方法であって、紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を含有する塗工液をカーテン塗工して前記塗工層の少なくとも1を形成する工程を含む。すなわち本発明においては、1層の塗工層を有する印刷用塗工紙を製造する場合、前記塗工液を用いてカーテン塗工により当該層を形成する。また、複数層の塗工層を有する印刷用塗工紙の場合は、前記塗工液を用いてカーテン塗工により1層以上を形成する。この場合、その余の層は前記色材を含まない塗工液でカーテン塗工して形成してもよく、あるいは前記色材を含むまたは含まない塗工液を用いてカーテン塗工以外の塗工方式で形成してもよい。前述のとおり、本発明においては、色材を含む塗工液でカーテン塗工して最外層を形成することが好ましいので、以下、このようなカーテン塗工により形成された最外層について詳述する。なお、紫色顔料および青色顔料以外の顔料(以下「白色顔料」ともいう)を含む塗工液で形成されたカーテン塗工層を顔料塗工層、白色顔料を含まない塗工液で形成されたカーテン塗工層をクリア塗工層ということがある。
【0015】
1−1.カーテン塗工液
本発明においては、特定の色材を含むカーテン塗工液を用いる。塗工液とは溶媒としての水と接着剤(バインダー)と白色顔料を含む液である。
【0016】
(1)色材
色材とは、白色以外の有色の顔料または染料をいう。紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を用いる。顔料とは、水や油や有機溶剤などに不溶または難溶性または分散状態で存在する白色あるいは有色の粉体であり、無機顔料と有機顔料がある。本発明においては、前記色材として、無機顔料、有機顔料のいずれを用いてもよい。染料とは、可視光線を選択吸収または反射して固有の色を持つ有機色素のうち、適当な染色法により繊維や顔料等に染着する有機色素をいう。染料は溶媒(水や有機溶剤など)に可溶である。本発明においては、染料を併用してもよい。本発明において、「青色顔料および/または紫色顔料を使用する」とは、青色顔料と紫色顔料の双方を使用する場合、あるいは青色顔料と紫色顔料のいずれか一方を使用する場合をいう。また、本発明において「青色顔料および/または紫色顔料」を「青色・紫色顔料」と表記することがある。
【0017】
市販されている青色顔料としては、例えば、EMT−ブルーDS−18 東洋インキ製造(株)社製などが挙げられ、市販されている紫色顔料としては、例えば、SAバイオレットC12896 御国色素(株)社製などが挙げられる。青色顔料を単独で、または紫色顔料を単独で使用してもよいが、両者を併用してもよい。不透明度を向上させるには、紫色顔料を使用することが好ましい。また、本発明においては、必要に応じて、黒、赤、黄などの、青、紫以外の色材を添加してもよい。
【0018】
青色顔料、紫色顔料としては、前述のとおり無機顔料および有機顔料のいずれも使用できる。青色顔料の具体例としては、例えば、ウルトラマリン、アズライト、プロシアブルー(紺青)、群青、スマルト、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)、セルリアンブルー(錫酸コバルト)、コバルトクロムブルー、コバルト・アルミ・珪素酸化物、コバルト・亜鉛・珪素酸化物、マンガンブルー、フタロシアニンが挙げられる。また、紫色顔料の具体例としては、例えば、コバルトバイオレット(砒酸コバルト、燐酸コバルト、コバルト・リチウム・燐酸化物、含水燐酸アンモニウムコバルト、ホウ酸コバルトなど)、紫群青、酸化鉄紫、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレットなどの無機顔料、インジゴイド系、キナクリドン系、オキサジン系、アントラキノン系、カルボニウム系、キサンテン系の有機顔料が挙げられる。
【0019】
本発明においては、印刷用塗工紙に前記色材を一定量含有するカーテン塗工層を設けることによって色相を後述する範囲とすることにより、印刷用塗工紙の表面色を青白くし、見た目の白さを増強すると共に、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止することができる。後述するように、特に前記色材を含有する塗工層をカーテン塗工により設けることで、見た目の白さおよび不透明度をより一層向上させる。
【0020】
本発明において色材を添加すると、図1に示す方向へ紙の色相を変化させることができる。図1は、L表色系をもとに、本発明の色材を含有しない紙と、含有させた後の紙の色相の変化を示す。色相を、a値の(+)方向を0°、(−)方向を180°b値(+)方向を90°、(−)方向を270°として表記した場合、添加前の紙を原点ゼロの位置とすると、青色の色材を添加すると、「青味」と図1に示してある210°以上280°未満の部分に添加後の紙の色相が変化し、紫色の色材を添加すると、「紫味」と図1に示してある280°以上335°未満の部分に添加後の紙の色相が変化するということを表している。
【0021】
本発明で用いる色材は、色材合計量が印刷用塗工紙1mあたり0.4〜3.5mgであることが好ましく、0.9mg〜3.0mgであることがより好ましい。一般に、前記量が0.4mgより少ないと、色材による光の吸収が少ないため、不透明度に寄与する隠蔽性が不足するので好ましくない。また、一般に、前記量が3.5mgより多いと、色材による光の吸収量が多く、不透明度向上に大きく寄与するものの、色相が0点から大きく外れ、白色とは感じられなくなるため、好ましくない。色材の含有量は、上記範囲内で、原料あるいは原紙などの白色度により適宜調節できる。
【0022】
また、後述するとおり、本発明においては原紙中に特定の染料を含有させてもよいが、この場合は、原紙層以外の層に含有される色材の合計量は、0.4mg〜2.5mgであることが好ましく、0.5〜2.0mgがより好ましい。
【0023】
前記色材は、例えば、印刷用塗工紙が原紙層、サイズプレス層およびカーテン塗工層を含む場合、各層に含まれていてもよい。この場合、色材合計量は各層の色材含有量を合計した値であり、下式によって求められる。下式においては、色材として青色顔料および紫色顔料を用いた場合を示す。
【数1】

【0024】
(2)接着剤
本発明で使用する接着剤(バインダー)は特に制限されず、塗工紙に従来から用いられている接着剤を使用できる。例えば、好ましい接着剤として、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用できる。
【0025】
本発明に使用する接着剤の量は、白色顔料100重量部当たり5〜30重量部、より好ましくは8〜20重量部程度の範囲で使用される。5重量部より少ないと十分な表面強度が得難く、30部より多いと塗工層中の白色顔料粒子間の空隙が接着剤で満たされ、塗工層の光散乱性が劣るため、不透明度が劣る。
【0026】
本発明の塗工液には、顔料と接着剤の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
【0027】
(3)粘性改良剤
カーテン塗工液は、重量平均分子量400万〜5000万のポリカルボン酸系共重合体の水溶液が有機溶媒に分散しているW/O型エマルションからなる粘性改良剤を含むことが好ましい。以下、この粘性改良剤を「W/O型エマルション粘性改良剤」ともいう。粘性改良剤とは系の粘度を変化させるために用いる薬剤である。
【0028】
ポリカルボン酸系共重合体とは、カルボキシル基を含有するモノマーまたはその誘導体を重合して得られる重合体をいう。カルボキシル基を含有するモノマーの例には、アクリル酸、マレイン酸、およびメタクリル酸が含まれる。また、カルボキシル基を含有するモノマーの誘導体の例には、これらのモノマーの、モノまたはジアルカリ土類金属塩、モノまたはジエステル、アミド、イミド、および無水物が含まれる。前記モノマーとしてマレイン酸、メタクリル酸、またはこれらの誘導体を用いると、重合体の分子構造に分岐鎖が導入されるので、得られる塗工液の曳糸性が十分でないことがある。一方、前記モノマーとしてアクリル酸またはこの誘導体を用いると重合体の分子構造が直鎖になり、得られる塗工液の曳糸性がより効率よく向上する。このため、本発明においては、前記モノマーとしてアクリル酸またはアクリル酸誘導体を用いることが好ましい。また、本発明においてポリカルボン酸系共重合体はW/O型エマルションの状態で用いられることが好ましい。よって、W/O型エマルションを生成しやすいという観点から、前記モノマーは、アクリル酸のナトリウム塩およびアクリルアミドが好ましい。これらのモノマーの比率は任意としてよいが、モル比にして、50:50〜5:95であることが好ましい。
【0029】
W/O型エマルション粘性改良剤は、例えば以下のようにして製造できる。1)有機溶剤に、界面活性剤を室温にて添加し均一混合する、2)この混合物に水に溶解したモノマーを加えプレエマルションを調製する、3)このプレエマルションに重合開始剤を加え、高温で攪拌してモノマーを重合する。有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ケロシン、イソパラフィン等の公知の有機溶媒が使用できる。また、界面活性剤もソルビタンモノステアレート等の公知の界面活性剤が使用できる。W/O型エマルション粘性改良剤における固形分は20〜60重量%が好ましい。
【0030】
上記ポリカルボン酸系共重合体の重量平均分子量は400万〜5000万が好ましい。重量平均分子量が400万より小さいと塗工液に十分な曳糸性が与えられないことがある。また重量平均分子量が5000万より大きいと塗工液への増粘効果が強すぎて塗工液の送液が困難になることがある。曳糸性と送液性等のバランスを考慮すると、重量平均分子量は1000万〜3000万がより好ましい。重量平均分子量は、重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析し、ポリスチレン換算して求められる。
【0031】
ポリカルボン酸系共重合体は、印刷用塗工紙の分野において増粘剤あるいは保水剤として一般的に用いられているが、通常用いられている当該共重合体の重量平均分子量は数万〜数十万の範囲である。本発明においては、一般に用いられていない、重量平均分子量が前記のとおり非常に大きいポリカルボン酸系共重合体を用いることが好ましい。このような粘性改良剤を用いると、塗工液の曳糸性を向上させ、カーテン塗工におけるクレーターを抑制できる。曳糸性とは塗工液の伸びやすさであり破断時間により評価できる。粘性改良剤を含む塗工液の破断時間は200ms以上であることが好ましい。破断時間の大きい塗工液ほど、曳糸性の高い塗工液となる。破断時間が200msより短いと、カーテン膜の落下速度と原紙の進行速度との差により、カーテン膜が原紙に接触した際に瞬時に起こる伸長に、塗工液が追従しにくくなる。このため、塗膜が破断して、クレーターが発生しやすくなる。また、破断時間の上限は特に限定されないが、500msより長いと、塗工液の流動性が悪化し、塗料の送液が困難になるため好ましくない。この場合、流動性を改善するために塗工液の固形分を下げることも考えられるが、塗工液の原紙への過剰な浸透により塗工紙の品質が悪化するので好ましくない。
【0032】
本発明において破断時間は伸長粘度計で測定される。具体的には、破断時間は、1)同軸かつ軸が垂直になるように配置された一対の直径8mmの円形プレートを備える粘度計を用いて、前記プレート間(ギャップ1mm)に液温が30℃の塗工液を封入し、2)上方のプレートを400mm/秒の速度で8mm垂直に引き上げてそのまま保持し、3)前記プレートの引き上げ開始時点から塗工液フィラメントが破断するまでの時間を測定して求められる。フィラメントが破断する前の時間は、レーザーで測定することが好ましく、この際の時間分解能は2ms程度が好ましい。このような測定が可能な粘度計の例には、サーモハーケ社製伸長粘度計(機種名:CaBER1)が含まれる。粘性改良剤を含む塗工液は、30℃におけるB型粘度が500〜3000mPa・sであることが好ましく、1000〜3000mPa・sであることがより好ましい。塗工液のB型粘度は、No.4のローターを用いて、60rpmの回転速度で測定される。塗工液の破断時間が200ms以上であっても、B型粘度が500mPa・sより低いと、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が低下するため好ましくない。またB型粘度が3000mPa・sより大きいと、塗工液の流動性が悪化し、塗工液の送液が困難になるため好ましくない。
【0033】
前記粘性改良剤により、クレーターの発生が抑制できる理由は限定されないが、次のように推察される。
W/O型エマルション粘性改良剤においては、共重合体が分散相である水相内に閉じ込められた状態で存在するため、分子鎖が広がらず分子鎖同士の絡み合いが少ない。このため、前述したような非常に高い分子量の共重合体を含んでいても、粘性改良剤自体の粘性は高すぎず、取り扱い性に優れる。しかし、W/O型エマルション粘性改良剤は、水と混合されて塗工液とされると、分散相であった水相が連続相となる転相が生じ、共重合体の分子鎖が広がって絡み合いを起こすために増粘効果を発現する。
【0034】
一方、O/W型エマルション粘性改良剤は、共重合体が分散相に存在するので分子鎖が絡み合って存在しており、粘性改良剤自体の粘性が高い。特に共重合体の重量平均分子量が100万以上である場合は、粘度がかなり高く取り扱い性が極めて困難となる。さらに、このような粘性改良剤は、均一に塗工液に混合しにくいので、塗工液を均一に増粘させることも困難である。このため、塗工液の送液性等の取り扱い性を著しく損ない、さらには塗工液に十分な曳糸性を付与できない。
【0035】
クレーターの発生を抑制するという観点から、前記粘性改良剤の添加量は、白色顔料100重量部当たり0.03〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.2重量部程度の範囲で使用される。0.03重量部より少ないと塗工液に十分な曳糸性を付与することができない場合がある。また0.5重量部より多いと、クレーターの発生は抑制できるものの塗工液の粘度が高くなりすぎ前記添加量が0.5重量部より多いとクレーターの発生は抑制できるものの塗工液の粘度が高くなりすぎ、塗工液の固形分濃度を大幅に下げざるを得ず、塗工液が原紙へ過剰に浸透し塗工紙の品質低下を招くことがある。
【0036】
(4)白色顔料
本発明で用いる青色・紫色顔料以外の顔料(白色顔料)の種類は、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができる。例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。白色顔料の種類としては、高い白色度の観点から、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウムが好ましい。本発明で製造される印刷用塗工紙は脱墨パルプを含むので、脱墨パルプ由来の填料により不透明度が比較的高い。したがって、本発明においては白色顔料として、より高い白色度を与えられる重質炭酸カルシウムを用いることが特に好ましい。塗工液に重質炭酸カルシウムを配合する場合、その含有量は、白色顔料100重量部中、50重量%以上が好ましく、75重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。また、原紙上に均一な塗工層を形成させる観点の点から平均粒子径は、Malvern社製Mastersizer Sなどのレーザー回折式粒度分布測定機で測定した値で0.2〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
【0037】
本発明においては、塗工紙品質や塗工液の脱泡性の点から、板状の形状を有する顔料よりも球状の形状に近い顔料を塗工液に配合することが好ましい。具体的には、以下に定義される扁平率が2.0以下の顔料を使用することが好ましく、1.5以下の顔料を使用することがより好ましい。
【0038】
扁平率は、BET法で求めた顔料の比表面積を、レーザー回析式で測定した粒度分布から顔料粒子が完全球体であると仮定して算出して求めた比表面積で除した値で定義され、以下の式で表される。
【0039】
扁平率=BET法で求めた比表面積/レーザー回析式粒度分布から顔料粒子が完全球体であると仮定して算出した比表面積
扁平率の数値が高いほど顔料の扁平度が高く、扁平率の数値が1に近いほど顔料が完全球体に近いことを意味する。扁平率が2.0以下の顔料を用いると塗工紙品質が良好になる理由の詳細は明らかでないが、以下のように推察される。非接触式の塗工方式であるカーテン塗工は、接触式の塗工方式と比較して、扁平な顔料を使用した場合に顔料が原紙の進行方向へ配向しづらい傾向がある。そのため、扁平な顔料を多く使用すると顔料が規則的に配向できず、塗工紙表面の平滑性が低下し、また、塗工層の空隙が多くなり、印刷時におけるインキの浸透が激しくなり、印刷光沢度が低下すると考えられる。ただし、本発明はこの考察に拘束されない。
【0040】
扁平率が2.0以下の顔料を使用すると、塗工液の脱泡性が向上し、クレーターの発生も抑制される。すなわち、扁平率が2.0を超える扁平な顔料を使用すると、脱泡する際に扁平な顔料によって泡の移動が妨げられるため脱泡性が低下しやすいが、扁平率が2.0以下の球状に近い顔料を使用すると泡の移動が阻害されにくく、脱泡性が低下しにくい。
【0041】
(5)界面活性剤
本発明で用いるカーテン塗工液は界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤はカーテン膜の幅方向のプロファイルを均一にする、および塗工液の原紙への濡れ性を高める等によりカーテン塗工によるクレーターの発生を抑制する。界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が存在するが、本発明においてはアニオン性界面活性剤が好ましい。カチオン性界面活性剤は塗工液中の白色顔料を凝集させやすくなる。また、ノニオン性界面活性剤は塗工液に十分な濡れ性を与えにくい。アニオン性界面活性剤の例には、スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤およびカルボン酸系界面活性剤が含まれる。これらの中でも、塗工液の濡れ性をより良好とできるため、スルホン酸系界面活性剤が好ましく、特にアルキルスルホコハク酸が好ましい。
上記アニオン性界面活性剤の添加量は、白色顔料100重量部当たり0.05〜2重量部、より好ましくは0.2〜1重量部程度の範囲で使用される。0.05重量%より少ないと、塗工液の原紙への濡れ性が不十分となることがある。また前記添加量が2重量部より多いと、塗工液の原紙への過剰な濡れ性により、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が悪化することがある。上記の界面活性剤は単独で使用できるが、二種以上を併用してもよい。
【0042】
(6)助剤
本発明で用いるカーテン塗工液は、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
【0043】
(7)カーテン塗工液の特性
本発明で用いるカーテン塗工液の粘度および破断時間等の特性は、塗工液の固形分濃度や前述の粘性改良剤の量によって調整できる。前者の場合、固形分濃度を高くすると塗工液中の顔料粒子やその他の配合物の間に相互作用が生じやすくなり塗工液の破断時間を長くできる。塗工液の固形分濃度が高いと塗工紙の印刷品質も向上する。後者の場合は既に説明したとおりである。
【0044】
塗工液の固形分濃度は、58重量%以上が好ましく、62重量%以上がより好ましい。固形分が58重量%より低いと、塗工液の原紙への過剰な浸透により塗工紙の品質が低下することがある。一方、固形分濃度の上限は特に制限されないが、送液性等を考慮すると、75重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。
【0045】
本発明に用いる塗工液は、流動状態における動的な表面張力、すなわち動的表面張力が25〜45mN/mであることが好ましい。動的表面張力とは、液体表面が新たに生じた場合に液体表面と内部が平衡状態に達する途中の表面張力をいい、塗工液の流動状態における濡れ性の指標である。濡れ性とは、塗工液の基材表面への広がりやすさを表す指標である。濡れ性が大きいということは、一般に塗工液が基材の表面に広がりやすいことを示す。すなわち、動的表面張力が前記範囲にある塗工液は、紙と接した直後から良好な濡れ性を示すため、クレーターの発生を抑制しやすい。
【0046】
本発明において動的表面張力は、最大泡圧法により求められる。最大泡圧法とは、液体中に挿した半径rのプローブから気泡(界面)を連続的に発生させ、気泡の半径がプローブの半径rと同じになったときの気泡にかかる圧力(最大泡圧)から、以下の式により表面張力を求める方法をいう。
【0047】
表面張力γ=△P×r/2 (△Pは、最大泡圧と最小泡圧(大気圧)との差)
具体的に動的表面張力は、プローブ先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧となるまでの時間(ライフタイム)を変化させながら、各ライフタイムにおける動的表面張力を測定する。このように短時間における動的表面張力を測定することで、流動または攪拌状態にある液体の濡れ性が評価できる。つまり、ライフタイムが短いほどより流動状態に近い、ごく初期の状態における動的表面張力が測定できる。本発明においては、測定精度の観点から、ライフタイムを100msとした場合における表面張力の値を動的表面張力とすることが好ましい。この動的表面張力は自動動的表面張力計(「BP−D5」協和界面化学社製)等用いて測定することができる。
【0048】
本発明に用いる塗工液の動的表面張力は、界面活性剤の添加により調整できる。クレーターの発生を抑制するという観点から、本発明に用いる塗工液の動的表面張力は、45mN/m以下であることが好ましい。動的表面張力が45mN/mより大きいと、塗工液の原紙への濡れ性が不十分となるため、クレーター発生を十分に抑制できないことがある。一方、動的表面張力が25mN/mより小さいと、クレーターの抑制はできるものの、塗工液の原紙への過剰な濡れ性により、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が低下することがある。以上から、本発明に用いる塗工液の動的表面張力は、25〜45mN/mが好ましく、25〜35mN/mがより好ましい。
【0049】
1−2.カーテン塗工工程
(1)カーテン塗工
本発明においてカーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。カーテン塗工は、塗工液を原紙に塗布した後、ブレード等により過剰な塗工液を掻き落して所望の塗工量に仕上げるブレード塗工とは異なり、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工である。このため、前記色材を含有する嵩高い塗工層を形成でき、不透明度および白色度が極めて高い印刷用塗工紙を製造できる。また、カーテン塗工はいわゆる前計量方式であるため塗工量の制御も容易である。さらにカーテン塗工は、ブレード塗工等の接触式塗工方式とは異なり、非接触式塗工方式であるので、原紙にかかる負荷が小さく、断紙を抑制できるので、生産性にも優れる。
【0050】
本発明においては、原紙の両面ないし片面に、カーテン塗工で単層ないし多層塗工を行なう。前述のとおり、多層塗工においていずれかの層の塗工には、カーテン塗工装置以外の塗工装置の使用も可能であり、例えば、ブレード塗工をおこなった後にカーテン塗工を行ったりしてもよい。また、下層塗工部を乾燥せずに上層塗工を行なうウェットオンウェット塗工をおこなってもよい。
【0051】
本発明における塗工液の塗工量は、片面あたり固形分で2〜15g/mが好ましく、5〜12g/mがより好ましく、5〜10g/mがさらに好ましい。本発明においては、塗工量が少なくても、より不透明度を向上させる効果が発揮できる。塗工層が多層で構成されている場合も、片面あたり30g/m以下の塗工量とすることが好適である。
【0052】
また、本発明においては、カーテン塗工に用いられる公知の装置を使用することができる。例えば、塗工液を送液するためのポンプ、塗工液を脱気するための脱泡装置等を用いることができる。
【0053】
本発明において、特に前述の粘性改良剤を用いた場合は高速でカーテン塗工する場合に、より顕著な効果が得られる。特に、カーテンの塗工速度が1000m/分より速い場合に、より効果的にクレーターの発生を抑制することができる。
【0054】
本発明の塗工紙は、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理してもよい。好ましい態様において、製造後の塗工紙水分が3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%程度となるように調整して仕上げられる。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
【0055】
(1)原紙
本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよい。本発明の原紙が多層構造を有している場合、原紙を構成する複数の層のいずれか1層以上に前記色材を含有させてもよい。色材を原紙層に存在させるためには、色材を含有する抄紙原料から原紙を抄紙すればよい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。
【0056】
本発明においては、原紙に青色染料、紫色染料、または赤色染料を含有させることがより好ましい。前述のとおり、染料は繊維や顔料等に染着するので、原紙を染色しやすい。また、染料は経時による変色を引き起こすことがあるが、最内層の原紙層に染料を含有させることで、このような変色を抑制できる。さらに、本発明において多くの脱墨パルプを用いる場合、仮に染料による変色が起こっても、見た目の白色度の低下がそれほど大きくならない。
【0057】
本発明においては、前記染料によって、原紙の色相を、JIS P 8150の方法による紫外線を含む測定においてb値が−10以上−0.5未満、より好ましくは−3.0以上−0.5未満に調整すると、より本発明の効果を奏しやすい。
【0058】
一方、色相が上記範囲外の原紙を用いる場合、所望の白色度を得るためには、カーテン塗工層に含まれる色材の量を多くする必要がある。このため、銘柄抄き変え時に塗工液中の顔料が配管内に残りやすくなり、操業ロスが大きくなりやすい。しかし、色相が上記範囲内の原紙を用いると、このようなことを回避できる。さらに、色相が前記範囲外の原紙を用いると、印刷用紙の青味が強くなりすぎたときに、見た目の白さの低下や白色度が低下する可能性があり調整が比較的難しいという傾向がある。しかしながら、色相が上記範囲にある原紙を用いると、このようなことを回避しやすい。
【0059】
さらにまた、原紙の色相が上記範囲内の原紙であっても、b値が比較的低めの原紙を用いるとカーテン塗工層等に含まれる色材の量が少なくても所望の色相を得られるため、上記操業ロスなどがより起こりにくい。
【0060】
原紙層のa値は、印刷用紙の白色度や不透明度には大きく寄与しないため、特に限定されないが、通常は、−1以上7未満が好ましく、−1以上5未満がより好ましく、−1以上3未満がさらに好ましい。前記範囲を外れると、印刷用紙の色が白に見えなくなってしまうことがあるため好ましくない。
【0061】
(1−1)原紙に含まれる染料
染料には直接染料、酸性染料、塩基性染料、建染染料、分散染料、反応染料などのタイプがあるが、セルロース系繊維に良く用いられる染料としては塩基性染料、直接染料、建染染料が挙げられる。塩基性染料は、イオン間のクーロン力、水素結合、ファン・デル・ワールス力などにより被染色物に結合し、直接染料は、水素結合、ファン・デル・ワールス力などで被染色物に結合する。中でも染着力が大きく、色調が鮮やかな塩基性染料が好ましい。塩基性染料としては、アゾ染料、ジフェニルおよびトリフェニルメタン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料などが挙げられる。また、直接染料としては、ジトリジン、ジアニシジンからのアゾ染料などが挙げられる。建染染料としてはインジゴ・チオインジゴ系、アントラキノン系、フタロシアニン系に分類されものが挙げられる。
【0062】
本発明では、青色、紫色、または赤色染料を使用できる。青色の染料としては、例えば、アイゼンベーシックペーパーブルーRHリキッド 保土ヶ谷化学工業(株)社製などが挙げられ、赤色の染料としては、例えば、アストラフロキシンGリキッド ケミラ社製などが挙げられる(いずれも塩基性染料)。
【0063】
青・紫色染料は、青・紫色顔料と同様の作用により、印刷用紙の色相を特定の範囲とし、印刷用紙の表面色を青白くし、見た目の白さを増強すると共に、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止する。一方、赤色染料は、若干ではあるがb値を下げる効果がある。また青色染料だけではa値がマイナス方向にシフトする、すなわち色相が緑にシフトすることがあるので、赤色染料は、これを抑制して、a値を−1以上7以下の範囲にしやすくする。
【0064】
本発明においては、青色、紫色、または赤色染料を単独で使用してもよく、これらを併用してもよい。しかしながら、不透明度を高めるという観点からは、青色染料を使用することが好ましい。また、原紙層は、必要に応じて、黒、黄などの、青、赤以外の色材を含んでいてもよい。
【0065】
原紙中の前記染料の添加量は特に限定されないが、例えば、全パルプの絶乾重量を基準として、塩基性染料は0.001〜0.01重量%、直接染料は0.015〜0.15重量%とすることができる。
【0066】
(1−2)原料パルプ
本発明で用いる原紙の原料パルプは、脱墨パルプ(DIP)を含む。脱墨パルプ(DIP)としては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプを使用できる。また、本発明において、脱墨パルプとして、上質紙を中心に選別した高白色度のパルプを使用すると、より白色度の高い印刷用紙が得られる。しかし、本発明においては、紫・青色顔料を用いるので、脱墨パルプとして上質紙由来でないパルプを使用しても、白色度の高い印刷用紙が得られる。
【0067】
脱墨パルプ以外の原料パルプは特に限定されない。例えば、化学パルプ、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。化学パルプとしては、クラフトパルプ法により製造したものと、亜硫酸パルプ法により製造されたものがあり、本発明においてはその両方を使用することができるが、クラフト法により製造した化学パルプ(以下、本明細書において、単にクラフトパルプ、ということがある)が生産コストの面から好適である。一般に化学パルプは、その製造過程において木材由来成分のリグニンを除去していることから、パルプの白色度が高いが、その反面、製造した紙の不透明度が低くなる傾向があり、特に化学パルプを使用した低坪量の印刷用紙では不透明度を向上させることが大きな課題であったところ、本発明によれば、不透明度を向上させることができる。
【0068】
原料パルプに占める脱墨パルプ(DIP)の含有量は、全パルプの絶乾重量(脱墨パルプの絶乾重量と他のパルプの絶乾重量の合計)を基準として50重量%が好ましく、60重量%以上がより好ましく、65重量%以上がさらに好ましく、70重量%以上が特に好ましい。DIPの配合量が60重量%未満であると不透明度の点で不利となる場合がある。脱墨パルプの重量とは、脱墨パルプの重量と脱墨パルプに付着している分離不可能な填料等の重量との合計量である。一般に、脱墨パルプを含有する紙は白色度が低下する傾向にあるが、前述のとおり本発明においては、前記色材を含むカーテン塗工層を設けるので、見た目の白さや裏抜けを向上させることができる。
【0069】
(1−3)填料
本発明においては、原紙の填料として公知の填料を任意に使用でき、例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱酸による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用または併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが不透明度向上のためにも好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40固形分重量%が好ましく、10〜35固形分重量%がさらに好ましい。
【0070】
本発明においては、公知の製紙用添加剤を使用することができる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、各種紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。乾燥紙力向上剤としてはポリアクリルアミド、カチオン化澱粉が挙げられ、湿潤紙力向上剤としてはポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどが挙げられる。これらの薬品は地合や操業性などの影響の無い範囲で添加される。中性サイズ剤としてはアルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤などが挙げられる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
【0071】
(1−4)抄紙方法・抄紙機
本発明における原紙の抄紙方法は特に限定されず、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン等を用いて行なうことができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
【0072】
(1−5)原紙の坪量
本発明で用いる原紙の坪量は特に限定されないが、製造または輸送等のコスト削減という観点からは、低いことが好ましく、具体的には60g/m以下が好ましく、より好ましくは20〜60g/m、更に好ましくは20〜40g/mである。一般に、坪量が高い紙は、紙厚もあり不透明度が高いのに対して、坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。したがって、原紙が低坪量であるほど、本発明の効果は顕著となる。また本発明により塗工紙を製造する場合は、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより、塗工工程の前に、予め平滑化しておいてもよい。
【0073】
(1−6)原紙の灰分
本発明で用いる原紙の紙中灰分は、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは15重量%以上である。原紙の紙中灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しない。
【0074】
2−3.乾燥工程
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法は制限されない。例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いられる。
【0075】
3.本発明で製造される印刷用塗工紙
(1)坪量
本発明で製造される印刷用塗工紙の坪量は、特に限定されないが、製造または輸送等のコスト削減という観点から、70g/m以下が好ましい。一般に、坪量が高い紙は、紙厚もあり不透明度が高いが、坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。したがって、本発明は、坪量が低い領域で効果を発揮しやすい。より効果が現れやすいのは、坪量が60g/m以下の場合である。
【0076】
(2)灰分
本発明で製造される印刷用塗工紙の紙中灰分は、30重量%以上であることが好ましい。印刷用紙の灰分が30重量%より少ないと不透明度が十分に向上しないことがある。
【0077】
(3)色相
本発明で製造される印刷用塗工紙の色相は、JIS P 8150に規定される紫外線を含む測定においてb値が−15以上−0.5未満であるが、b値が−6以上−1未満であることがより好ましい。このようにb値を比較的低くすることによって、印刷用紙の見た目の白さを増強できるとともに、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止することができる。また、同測定におけるa値は、印刷用紙の白色度や不透明度には大きく寄与しないため、特に限定されないが、通常は、−1以上7未満が好ましく、−1以上5未満がより好ましく、−1以上3未満がさらに好ましい。前記範囲を外れると、印刷用紙の色が白に見えなくなってしまうことがあるため好ましくない。
【0078】
(4)白色度および不透明度
本発明で製造される印刷用塗工紙は、蛍光増白強度が5.5以下であっても十分な白色度を得ることができるが、白色度を向上させる観点から蛍光増白強度は1.0以上であることが好ましい。本発明で製造される印刷用塗工紙の不透明度は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
【0079】
(5)密度
本発明においては、比較的嵩高いカーテン塗工層を形成でき、このことにより白色度および不透明度をより一層高めることができる。よって、本発明により製造される印刷用塗工紙の密度は1.0〜1.2g/cmが好ましい。
【実施例】
【0080】
以下に実施例および比較例を挙げて、より詳細に本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されない。例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
[品質評価方法]
(1)坪量:JIS P8124「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
(2)密度:JIS P8118「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(3)色相(a、b):JIS P8150に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、紫外光を含む光源にて測定した。
(4)ISO白色度測定方法:JIS P8148に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、紫外光を含む光源にて測定した。
(5)不透明度:JIS P8149に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて測定した。
(6)見た目の白さ:印刷用塗工紙表面の白さを室内蛍光灯照明下で目視にて評価した。色の白さについては白色度が必ずしも人の目で見たときの白さと相関しているわけではないためである。目視の評価は4段階とした。◎:とても白い、○:白い、△:ややくすんで見える、あるいはやや黄ばんで見える、×:くすんで見える、あるいは黄ばんで見える。
(7)印刷時の裏抜け:オフセット輪転機で片面に墨ベタ印刷を施した印刷用塗工紙を、印刷裏側から観察し、裏抜けを目視にて評価した。目視の評価は4段階とした。◎:裏の印刷部が殆ど認識できない、○:裏の印刷部が目立たない、△:印刷部がやや目立つ、×:印刷部が目立ち、裏面の画質或いは見た目を劣化させている。
(8)破断時間:サーモハーケ社製伸長粘度計(機種名:CaBER1)を用い、1)前記粘度計の同軸かつ軸が垂直になるように配置された一対の直径8mmの円形プレート間(ギャップ1mm)に液温が30℃の塗工液を封入し、2)上方のプレートを400mm/秒の速度で8mm垂直に引き上げてそのまま保持し、3)前記プレートの引き上げ開始時点から塗工液フィラメントが破断するまでの時間を測定した。
(9)動的表面張力:自動動的表面張力計(「BP−D5」協和界面化学社製)を用いて、塗工液中に挿したプローブ(細管)から気泡を連続的に発生させたときの最大圧力(最大泡圧)を最大泡圧法により測定し、表面張力を求めた。具体的には、ライフタイム(プローブ先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧となるまでの時間)が100msである場合の表面張力の値を動的表面張力とした。
(10)クレーター発生の程度:塩化アンモニウムを2.5重量%、イソプロピルアルコールを47.5重量%含む水溶液に塗工紙を浸し、過剰な溶液をウェスでふき取った後に自然乾燥させ、200℃に熱した乾燥機に入れて30分間燃焼させた。その後、画像解析装置により白く残った塗工層と、黒く炭化した原紙(パルプ繊維)の割合よりクレーターの発生状況を確認し、印刷用塗工紙としての品質を備えているかを判断した。評価は目視により行い、その基準は以下のとおりとした。
◎:クレーターが全くない、○:クレーターがほとんどない(1個〜2個/cm)、△:クレーターが少ない(3〜10個/cm)、×:クレーターが多い(11個〜100個/cm
【0081】
(実施例1)
[材料]
塗工液に配合した各材料は以下のとおりである。
1.顔料
・微粒重質炭酸カルシウム(FMT75 ファイマテック社製 扁平率1.0)
・微粒カオリン(ハイドラグロス CaMin社製)
2.色材
・青色顔料(EMT−ブルーDS−18 東洋インキ製造(株)社製)
・紫色顔料(SAバイオレットC12896 御国色素(株)社製)
・黒色顔料(SAブラックA035 御国色素(株)社製)
・青色染料(ブルーRHリキッド アイゼンベーシックペーパー社製)
・赤色染料(アストラフロキシンGリキッドケミラ社製)
3.接着剤
・スチレン−ブタジエン系合成高分子ラテックス
4.水溶性高分子
・尿素リン酸エステル化澱粉(日本食品化工(株)製スターコート16)
5.脱墨パルプ(DIP)
・新聞用紙および雑誌古紙を主原料として、水中に離解した後、スクリーニング工程で除塵して、フローテーターを用いて脱墨処理し、その後漂白、洗浄して製造した、白色度55%程度、白色度60%〜70%、白色度70%以上の脱墨パルプスラリーを組み合わせ、白色度66%〜73%の脱墨パルプとして用いた。
【0082】
[紙料の調成]
針葉樹クラフトパルプ(NBKP)23%と脱墨パルプ(DIP)77%を配合し、パルプスラリーを調整した。このパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:アルバカー5970、メーカー;Specialty Minerals Inc.社製 )を紙中に15%となるように添加し、内添紙力剤としてカチオン性紙力増強剤(ポリアクリルアミド)を対パルプ0.5%添加して紙料を調成した。
【0083】
[カーテン塗工用顔料塗工液の調整]
顔料として、微粒軽質炭酸カルシウム(平均粒子径0.8μm)75部、微粒カオリン(KaMin社製、ハイドラグロス)25部からなる顔料100重量部に対し、モノマー組成が主にスチレンおよびブタジエンである合成高分子ラテックス7部、リン酸エステル化澱粉(日本食品化工(株)製、スターコート#16)4.5部、アニオン性界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol 291PG)0.2部、青色顔料(EMT−ブルーDS−18 東洋インキ製造(株)社製)0.003部、紫色顔料(SAバイオレットC12896 御国色素(株)社製)0.01部を添加し、固形分濃度68重量%の塗工液を得た。塗工液のB型粘度は1000mPa・s、動的表面張力は35mN/mであった。
【0084】
[印刷用紙の製造]
上記の紙料を用いて、抄紙速度が1100m/分にて、ツインワイヤーを有する抄紙機で抄紙して、坪量35g/mの原紙を得た。
【0085】
[顔料塗工液の塗工]
上記の原紙に対し、上記の顔料塗工液をカーテンコーターにて片面あたり8.0g/m塗工し、51.0g/mの塗工紙を得た。
【0086】
[カレンダー処理]
上記の塗工紙を、高温ソフトニップカレンダーで2ニップ、最高処理温度200℃、最高処理線圧250kN/mの条件で表面処理して印刷用塗工紙を得た。
【0087】
以上、抄紙、塗工、カレンダー処理を連続して行ったため、抄紙速度、塗工速度、カレンダー処理速度はいずれも800m/分であった。
【0088】
(実施例2)
実施例1において、顔料塗工液にさらに粘性改良材として、平均分子量が2000万であるポリカルボン酸系共重合体のW/Oエマルジョン(ソマール社製、ソマレックス530)を顔料100重量部あたり0.2部添加し、水で希釈して固形分濃度62%の塗工液とし、抄紙からカレンダー処理までの速度を1200m/minに変更した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液のB型粘度は1000mPa・sであった。
【0089】
(比較例1)
実施例1において、顔料塗工液に青顔料、紫顔料のいずれも添加しない以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
【0090】
(比較例2)
実施例1において、顔料塗工液に界面活性剤を添加せず、顔料塗工液を塗工する際のコーターをカーテンコーターからブレードコーターに変更した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。塗工液の動的表面張力は55mN/mであった。
【0091】
【表1】

【0092】
表に示す通り、実施例1では、顔料塗工液に青顔料および紫顔料を添加し、色相を適切な範囲に調整することにより、不透明度が高く、見た目の白さも良好な印刷用塗工紙が得られた。また塗工層の不透明性が増すことによって、印刷時の裏抜けも良好となった。さらにカーテン塗工を行なうことによって、塗工層の光散乱性が高く、より高い不透明度が得られた。また実施例2では、粘性改良剤をさらに添加することにより、塗工液の破断時間が長くなったので、実施例1よりも高速で製造してもクレーターの発生程度は低く良好であった。
【0093】
一方、比較例1では、塗工液中に青顔料および紫顔料を添加せず、印刷用紙の色相が適切な範囲外であるため、実施例1に比べ白色度はやや高いが不透明度が大きく劣り、見た目の白さが低下し、印刷時の裏抜けも顕著となった。また、比較例2では、実施例1においてカーテン塗工からブレード塗工に変更したため、クレーターは発生しなかったが、塗工層の光散乱性が劣ることにより不透明度、白色度ともに低下した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙および1以上の塗工層を備える印刷用塗工紙の製造方法であって、
紫色顔料、紫色染料、青色顔料、および青色染料からなる群より選択される1種以上の色材を含有する塗工液をカーテン塗工して前記塗工層の少なくとも1を形成する工程を含む、
原紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量が、全パルプの絶乾重量を基準として60重量%以上であり、
JIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定においてb値が−10以上−0.5未満である、
印刷用塗工紙の製造方法。
【請求項2】
前記色材を含有する層が、最外層のカーテン塗工層である、請求項1に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
【請求項3】
前記最外層のカーテン塗工層が、扁平率が2.0以下の白色顔料を含む、請求項1または2に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
【請求項4】
前記塗工液が粘性改良剤を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記粘性改良剤が、重量平均分子量が400万〜5000万のポリカルボン酸系共重合体の水溶液が有機溶媒に分散しているW/O型エマルションからなる粘性改良剤である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記塗工液の破断時間が200ms以上であり、かつ30℃におけるB型粘度が500〜3000mPa・sである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記原紙が青色染料、紫色染料、または赤色染料を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記印刷用紙の坪量が70g/m以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−211416(P2012−211416A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77860(P2011−77860)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】