説明

印刷確認シート作成装置,印刷確認シート,印刷確認シートの作成方法,コンピュータプログラムおよび2次元コード作成装置

【課題】2次元コードが適式に印刷されたかを判定し,印刷機器の印刷パラメータのどれを調整すればよいかを容易に判定することが可能な印刷確認シート作成装置,印刷確認シート,印刷確認シートの作成方法,コンピュータプログラムおよび2次元コード作成装置を提供する。
【解決手段】2次元コードを作成する2次元コード作成部114と,2次元コードを拡大して拡大2次元コードとする拡大2次元コード作成部116と,2次元コードを読み取り困難なまで劣化させて劣化2次元コードとする劣化2次元コード作成部118と,2次元コード,拡大並びに劣化2次元コードを配列して確認シート画像を作成するシート画像作成部120と,シート画像を印刷する印刷部124とを備える印刷確認シート作成装置100,印刷確認シート126,印刷確認シートの作成方法,コンピュータプログラムおよび2次元コード作成装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,印刷確認シート作成装置,印刷確認シート,印刷確認シートの作成方法,コンピュータプログラムおよび2次元コード作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,印刷文書に対して電子透かし技術によって情報を埋め込む(エンコードする)技術が開発されている。この技術は,印刷文書にディジタル情報を追加して管理するためや,印刷文書の改ざん検知を行うためなど,幅広い用途に使用することが可能である。
【0003】
例えば,特許文献1には,印刷文書に文書の管理情報などの秘匿情報を透かし画像として埋め込むための技術が開示されている。この透かし入り文書を受け取った側は,この透かし入り文書をスキャナ装置で読み取って,秘匿情報を取得することが可能である。
【0004】
一般に,印刷媒体の品質は,例えば,印刷機の印刷機構,印刷方式による種類の違いによって変化する。また,同一機種であっても,例えば,トナーの残量,印刷ヘッド部の摩耗などにより,印刷媒体の品質は多様に変化する。さらに,同一の媒体上であっても,媒体上の印刷位置によって印刷品質が異なる場合もある。
【0005】
印刷装置で印刷された印刷媒体であるシートの印刷品質を評価する方法として,例えば特許文献2に開示されている方法がある。引用文献2では,濃度階調パターン,ラインパターン,無地パターンなどを評価シートに印刷し,印刷媒体に印刷された印刷物の品質を評価するものである。
【0006】
電子透かしを印刷媒体上に印刷する場合においては,電子透かしの品質は,上記のような様々な要因によって変化する。特に,透かしは,印刷物に印刷される文字等に比べて大きさの小さいパターンによって印刷されることが多く,印刷品質の差によって透かし情報の読み取り精度に大きく影響を与える。
【0007】
したがって,電子透かしとして高精度の品質を実現するためには,信頼性の高い印刷品質の検査を行い,印刷媒体の電子透かしの読み取り精度が低い場合には,印刷環境によって印刷上のパラメータを調整する必要がある。
【0008】
【特許文献1】特開2003−209676号公報
【特許文献2】特開平5−20437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら,特許文献1に開示されているような技術では,秘匿情報を適式に埋め込むことができたか否かを判定するためには,使用者の知見による部分が大きいという問題があった。
【0010】
また,特許文献2に開示されているような従来の地紋印刷時の印刷調整方法は,地紋を構成する微小なドットが印刷時に正確に再現されることを前提としており,ドットを正確に再現する印刷パラメータの調整には,パラメータの変更ごとに地紋を印刷媒体へ出力し,その出力結果を人為的に検証することが不可欠であり,印刷パラメータの調整に手間が掛かっていた。
【0011】
そのため,電子透かしや2次元バーコードに代表されるような2次元コードが適式に印刷されたか否かを容易に判定することが可能な印刷確認シート作成装置や印刷確認シートが希求されていた。
【0012】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,2次元コードが適式に印刷されたか否かを容易に判定することが可能な,新規かつ改良された印刷確認シート作成装置,印刷確認シート,印刷確認シートの作成方法,コンピュータプログラムおよび2次元コード作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために,本発明の第1の観点によれば,情報がエンコードされた2次元コードが適式に印刷されたかどうかを確認する印刷確認シートを作成する印刷確認シート作成装置であって,印刷確認シート作成装置は,2次元コードを作成する2次元コード作成部と,作成された2次元コードを拡大して拡大2次元コードとする拡大2次元コード作成部と,作成された2次元コードを読み取り困難なまで劣化させて劣化2次元コードとする劣化2次元コード作成部と,2次元コード,拡大2次元コードおよび劣化2次元コードを配列して確認シート画像を作成するシート画像作成部と,シート画像を印刷する印刷部とを備える印刷確認シート作成装置が提供される。
【0014】
かかる構成によれば,2次元コード作成部は,エンコードする情報に基づいて2次元コードを作成し,拡大2次元コード作成部は,2次元コード作成部で作成された2次元コードを拡大して,拡大2次元コードを作成し,劣化2次元コード作成部は,2次元コード作成部により作成された2次元コードを,読み取り困難なまで劣化させて,劣化2次元コードを作成し,シート画像作成部は,作成された2次元コード,拡大2次元コード,および劣化2次元コードを配列して,確認シート画像を作成し,印刷部は,作成されたシート画像を印刷し,印刷確認シートとする。このようにして印刷された印刷確認シートを用いることで,実際の解像度で印刷された2次元コードと,2次元コードを意図的に拡大もしくは劣化させて作成された拡大2次元コートもしくは劣化2次元コードとを比較することで,2次元コードが適式に印刷されたか否かを判別することが可能となる。
【0015】
2次元コードは,ドットの配列パターンで情報を示すものであり,劣化2次元コードは,ドットの一部もしくは全体が消失しているものであってもよい。
【0016】
また,上記の2次元コードは,ドットの配列パターンで情報を示すものであり,劣化2次元コードは,ドットの一部もしくは全体が,複数の異なる色の混色として表現されているものであってもよい。
【0017】
また,上記の2次元コードは,ドットの配列パターンで情報を示すものであり,劣化2次元コードは,ドットの一部もしくは全体が,複数の拡大率または縮小率で表現されたドットから形成されているものであってもよい。
【0018】
上記のシート画像作成部は,印刷部の設定の確認を促す文章を更に記載するようにしてもよい。かかる構成によれば,印刷部の設定の確認を促す文章が,印刷確認シートに併せて記載されるようになる。その結果,実際の解像度で印刷された2次元コードが適式に印刷されていなかった場合に,複数存在する印刷部の設定条件のうち,どの設定条件をどのように修正すればよいかを知ることができる。
【0019】
上記の印刷確認シート作成装置は,シート画像作成部で作成された確認シート画像を表示するシート画像表示部を更に備えてもよい。かかる構成によれば,シート画像表示部は,シート画像作成部で作成された確認シート画像のレイアウトを,例えば液晶パネルなどの画像表示部に表示する。その結果,シート画像を紙などの印刷媒体に実際に印刷することなく,2次元コードが適式に作成されたか否かを確認することができる。
【0020】
上記の2次元コードは,電子透かしであってもよく,2次元バーコードであってもよい。
【0021】
上記課題を解決するために,本発明の第2の観点によれば,情報がエンコードされた2次元コードが適式に印刷されたかどうかを確認する印刷確認シートであって,印刷確認シートには複数の2次元コードが配列され,複数の2次元コードには,同一の情報がエンコードされた,異なる大きさの2つの2次元コードが含まれる印刷確認シートが提供される。
【0022】
かかる構成によれば,同一の情報がエンコードされた異なる大きさの2つの2次元コードを含む複数の2次元コードが,印刷確認シート内に配列される。
【0023】
上記の複数の2次元コードの1もしくは2以上は,エンコードされた情報の読み取りが困難なまで劣化した2次元コードであってもよい。
【0024】
上記の印刷確認シートは,2次元コードを適式に印刷するために必要な印刷確認シート印刷機器の設定の確認を促す文章を更に含むようにしてもよい。かかる構成によれば,印刷機器の設定の確認を促す文章が,印刷確認シートに併せて印刷される。その結果,2次元コードが適式に印刷されなかった場合には,印刷機器の設定をどのように変更すればよいかを,容易に知ることができる。
【0025】
上記課題を解決するために,本発明の第3の観点によれば,情報がエンコードされた2次元コードが適式に印刷されたかどうかを確認する印刷確認シートを作成する印刷確認シートの作成方法であって,(a)2次元コードを作成する工程と,(b)作成された2次元コードを拡大して拡大2次元コードを作成する工程と,(c)作成された2次元コードを劣化させて劣化2次元コードを作成する工程と,(d)2次元コード,拡大2次元コードおよび劣化2次元コードを配列して確認シート画像を作成する工程と,(e)シート画像を印刷する工程とを含む印刷確認シートの作成方法が提供される。
【0026】
かかる構成によれば,(a)工程では,エンコードする情報に基づいて2次元コードが作成され,(b)工程では,(a)工程で作成された2次元コードが拡大された拡大2次元コードが作成され,(c)工程では,(a)工程で作成された2次元コードが読み取り困難なまで劣化させた劣化2次元コードが作成され,(d)工程では,上記の(a)〜(c)工程で作成された2次元コードをそれぞれ配列して,確認シート画像が形成され,(e)工程では,シート画像が印刷機器により印刷される。上記のような工程を経て作成された印刷確認シートを参照することで,2次元コードが適式に作成されたか否かを容易に判定することができる。
【0027】
上記課題を解決するために,本発明の第4の観点によれば,コンピュータを,情報がエンコードされた2次元コードが適式に印刷されたかどうかを確認する印刷確認シートを作成する印刷確認シート作成装置として機能させるコンピュータプログラムであって,印刷確認シート作成装置は,2次元コードを作成する2次元コード作成部と,作成された2次元コードを拡大して拡大2次元コードとする拡大2次元コード作成部と,作成された2次元コードを読み取り困難なまで劣化させて劣化2次元コードとする劣化2次元コード作成部と,2次元コード,拡大2次元コードおよび劣化2次元コードを配列して確認シート画像を作成するシート画像作成部と,シート画像を印刷する印刷部とを含むことを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。
【0028】
かかる構成によれば,コンピュータプログラムは,コンピュータが備える記憶部に格納され,コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより,そのコンピュータを上記の印刷確認シート作成装置として機能させる。また,コンピュータプログラムが記録された,コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は,例えば,磁気ディスク,光ディスクなどである。
【0029】
上記課題を解決するために,本発明の第5の観点によれば,情報がエンコードされた2次元コードを作成し適式に印刷する2次元コード作成装置であって,2次元コード作成装置は,当該2次元コード作成装置を制御する制御部と,2次元コードを作成する2次元コード作成部と,作成された2次元コードを印刷する2次元コード印刷部と,印刷された2次元コードを読み取る2次元コード検出部と,検出した2次元コードを解析し,2次元コードが適式に印刷されなかった場合に,2次元コード印刷部の設定の変更方法を導出する2次元コード解析部とを備え,制御部は,2次元コード解析部の導出結果に基づいて,2次元コード印刷部の設定を自動的に調整することを特徴とする2次元コード作成装置が提供される。
【0030】
かかる構成によれば,制御部は,上記の2次元コード作成装置全体の動作を制御し,2次元コード作成部は,エンコードする情報に基づいて2次元コードを作成し,2次元コード印刷部は,作成された2次元コードを印刷し,2次元コード検出部は,印刷された2次元コードを読み取って,エンコードされた情報が検出できるか否かを判定し,2次元コード解析部は,2次元コード検出部で情報を読み取ることができなかった場合に,印刷された2次元コードを解析して,情報が読み取れなかった原因を検討する。その結果,制御部は,2次元コード解析部の検討結果に基づいて,2次元コード印刷部の設定を自動的に調整することができ,2次元コードの作成を自動化することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば,電子透かしや2次元バーコードに代表されるような2次元コードが適式に印刷されたか否かを容易に判定することが可能な,印刷確認シート作成装置,印刷確認シート,印刷確認シートの作成方法,コンピュータプログラムおよび2次元コード作成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0033】
以下に,図1〜図3を用いて,本発明の第1の実施形態に係る印刷確認シート作成装置100と,印刷確認シート126について,詳細に説明する。図1は,本発明の第1の実施形態に係る印刷確認シート作成装置100の構成を示す説明図であり,図2は,本実施形態に係る印刷確認シート作成装置100の動作を説明するための流れ図であり,図3は,本実施形態に係る印刷確認シート126を説明するための模式図である。
【0034】
本発明の実施形態に係る印刷確認シート作成装置100は,情報がエンコードされた2次元コード128と,この2次元コードを拡大して新たに作成した拡大2次元コード130と,2次元コードを劣化させて新たに作成した劣化2次元コード132,134,136とが配列された印刷確認シート126を作成するための装置である。
【0035】
実際に印刷された2次元コード128が,拡大2次元コード130と劣化2次元コード132,134,136のいずれに類似しているかを比較することにより,2次元コードが適式に印刷されたか否かを容易に判定することができる。
【0036】
以下に示す本発明の実施形態においては,2次元コードとして電子透かしを例にとって説明する。本実施形態に係る電子透かしとは,例えば特許文献1に記載された電子透かしなどのように,紙などの印刷媒体に,秘匿情報を微細なドットの配列パターンからなる模様として印刷するものであるとする。
【0037】
(印刷確認シート作成装置100の構成)
印刷確認シート作成装置100は,図1に示したように,制御機構102と,印刷確認シート作成機構104と,印刷機構106とにより構成される。
【0038】
(制御機構102)
制御機構102は,印刷確認シート作成装置100を制御する制御部110により構成される。制御部110は,本実施形態に係る印刷確認シート作成装置100を構成する印刷確認シート作成機構104と印刷機構106とを制御するものである。制御部110は,印刷確認シート作成装置100の使用者からの指示を受けて,印刷確認シート作成機構104および印刷機構106に対して,処理を開始する旨の指示を出すことができる。
【0039】
(印刷確認シート作成機構104)
印刷確認シート作成機構104は,印刷確認シートを作成する機能を有する箇所であり,図1に示したように,例えば,データ記憶部112と,2次元コード作成部114と,拡大2次元コード作成部116と,劣化2次元コード作成部118と,シート画像作成部120と,シート画像表示部122とから構成される。
【0040】
(データ記憶部112)
データ記憶部112は,電子透かしとしてエンコードされる情報が格納される部分である。記憶される情報としては,例えば,文字,画像,音声などの各種データである。
【0041】
(2次元コード作成部114)
2次元コード作成部114では,データ記憶部112に記憶されたデータに基づいて,実際に印刷される大きさの2次元コードを作成する。作成される2次元コードの種類と,この2次元コードを作成する方法とは,データの種類等に応じて,適宜選択することが可能である。2次元コードの作成が終了すると,2次元コード作成部114は,作成された2次元コードを,後述する拡大2次元コード作成部116と,劣化2次元コード作成部118と,シート画像作成部120とに,それぞれ出力する。
【0042】
(拡大2次元コード作成部116)
拡大2次元コード作成部116では,2次元コード作成部114から入力された2次元コードの物理解像度を小さくすることで,同一の情報を保持したまま2次元コードを拡大して,拡大2次元コードを新たに作成する。拡大2次元コードの作成が終了すると,拡大2次元コード作成部116は,作成した拡大2次元コードを,シート画像作成部120へと出力する。
【0043】
(劣化2次元コード作成部118)
劣化2次元コード作成部118では,2次元コード作成部114から入力された2次元コードを,種々の方法によって機械読み取りが困難なまで劣化させて,劣化2次元コードを新たに作成する。劣化2次元コードの作成が終了すると,劣化2次元コード作成部118は,作成した劣化2次元コードを,シート画像作成部120へと出力する。
【0044】
上記の拡大2次元コード作成部116と,劣化2次元コード作成部118の動作については,以下で詳細に説明する。
【0045】
(シート画像作成部120)
シート画像作成部120では,2次元コード作成部114と,拡大2次元コード作成部116と,劣化2次元コード作成部118とから入力された2次元コードをそれぞれ配列して,印刷確認シートのレイアウトを作成し,シート画像とする。その後,シート画像作成部120は,作成したシート画像を,後述するシート画像表示部122と,印刷部124とへ出力する。
【0046】
(シート画像表示部122)
シート画像表示部122では,シート画像作成部120から入力されたシート画像を,印刷確認シート作成装置100に設けられた表示部に表示する。ここで,印刷確認シート作成装置100に設けられた表示部とは,例えば,液晶パネルやプラズマディスプレイパネルや発光ダイオードパネルなどの,任意の画像表示方法を用いて製造された画像表示装置である。また,印刷確認シート作成装置100に,このシート画像表示部122を設けなくても構わない。
【0047】
(印刷機構106)
印刷機構106は,制御機構102からの指示に基づいて,印刷確認シート作成機構104が作成した印刷確認シートを,印刷媒体に印刷する機能を有する。印刷機構106は,例えば印刷部124を備える。
【0048】
(印刷部124)
印刷部124では,制御部110からの指示に基づき,シート画像作成部120から入力されたシート画像を,印刷機材により紙などの印刷媒体に印刷して,印刷確認シート126とする。上記の印刷機材として,例えば,プリンタ等を使用することが可能である。
【0049】
なお,上記の制御機構102および印刷確認シート作成機構104は,コンピュータ等の端末として構成され,印刷機構106は,この端末に接続されたプリンタ等であってもよい。
【0050】
(印刷確認シート作成装置100の動作)
以下に,図2を用いて,本実施形態に係る印刷確認シート作成装置100の動作について,詳細に説明する。
【0051】
当該動作にあたって,2次元コードを作成したい文字,画像,音声などの各種データが,エンコードされる情報としてデータ記憶部112に記憶される。
【0052】
まず,印刷確認シート作成装置100に使用者が,2次元コードの作成を開始させる旨の指示を出すと,制御部110は,2次元コード作成部114に処理開始の指示を出す。2次元コード作成部114は,制御部110からの指示を受けて,データ記憶部112に記憶されているデータを参照し,予め設定された方法に基づいて,実際に印刷される大きさの2次元コード128を作成する(ステップS101)。
【0053】
2次元コードを作成する方法については,上記のように予め設定された方法のみを使用するようにしてもよく,複数の方法が登録されているなかから,適宜使用者が選択するようにしてもよい。
【0054】
このようにして作成された2次元コード128は,本来印刷されるべき大きさで印刷確認シート126に印刷されるため,印刷機器の設定が適切であるか否かに応じて,様々な形態を取りうる。
【0055】
2次元コード128の作成が終了すると,2次元コード作成部114は,作成した2次元コード128を拡大2次元コード作成部116,劣化2次元コード作成部118およびシート画像作成部120に出力する。
【0056】
続いて,2次元コード作成部114から2次元コード128が入力されると,拡大2次元コード作成部116は,拡大2次元コード130を作成する(ステップS103)。拡大2次元コード130は,2次元コード作成部114で作成された2次元コードと同一の情報を保持した2次元コードである。拡大2次元コード130を作成する方法としては,例えば,2次元コード作成部114で作成された2次元コード128の物理解像度を小さく設定し直す方法を用いることができる。
【0057】
例えば,2次元コード作成部114では,物理解像度を600dpi(dot per inch:解像度の単位であり,1インチあたりのドット数)の大きさで2次元コード128が作成されるとすると,拡大2次元コード作成部116では,物理解像度を300dpiとして拡大2次元コード130を作成する。物理解像度が1/2となると,1つのドットが占める面積の大きさは,4倍に拡大されることとなり,作成される拡大2次元コードも,2次元コードに比べて4倍の大きさとなる。
【0058】
このようにして作成された拡大2次元コード130が,2次元コードが適式に印刷された場合の例に該当する。すなわち,実際の大きさで印刷された2次元コード128が,拡大2次元コード130と類似していれば,印刷確認シート126を見た印刷確認シート作成装置100の使用者は,2次元コードが適式に印刷されており,印刷機器の設定が適切であることを知ることができる。
【0059】
なお,2次元コードを拡大する倍率については,上記の場合に限定されるわけではなく,印刷部124で用いる印刷機器の性能(例えば,物理解像度や分解能など)に応じて設定することが必要である。すなわち,印刷機器の設定が不適切であると,本来1つの点(・)として印刷されるべきものが,複数の微細なドットとして印刷される場合がある。当該ステップで作成される拡大2次元コードは,2次元コードが適式に印刷された場合の例であるため,1つの点として表されるべきものは,1つの点として表されている必要がある。そのため,たとえ印刷機器の設定が不適切な場合であっても,1つの点が1つの点として印刷されるような物理解像度まで,倍率を大きくすることが必要である。
【0060】
拡大2次元コード130の作成が終了すると,拡大2次元コード作成部116は,作成した拡大2次元コード130を,シート画像作成部120に出力する。
【0061】
続いて,劣化2次元コード作成部118は,2次元コード作成部114から入力された2次元コード128に基づいて,複数の劣化2次元コード132,134,136を作成する(ステップS105)。劣化2次元コード132,134,136は,入力された2次元コード128を,上記のステップS103と同様にして拡大した後に,種々の方法により2次元コードにエンコードされた情報が読み取り困難となるまで劣化させて,複数の劣化2次元コードを作成する。
【0062】
2次元コードを読み取り困難なまで劣化させる方法としては,例えば,埋め込まれた情報を表すドットの一部分もしくは全体を消去する方法(以下,劣化方法1と略記する。)や,埋め込まれた情報を表すドットを,複数の異なる色を一部重複させて作成する方法(以下,劣化方法2と略記する。)や,埋め込まれた情報を表すドットを,複数の異なる解像度,すなわち複数の拡大率及び/又は縮小率で配列させる方法(以下,劣化方法3と略記する。)等を用いることが可能である。
【0063】
劣化方法1で作成した劣化2次元コード132は,図3に示したように,適式に印刷された場合に該当する拡大2次元コード130に比べて,ドットの一部が消失した劣化2次元コードとなっており,このように2次元コード128が印刷された場合には,印刷部124の設定が,トナーセーブモードやインク節約モードといった,印刷に使用するトナーやインクの量を節約するようなモードに設定されている場合に該当する。
【0064】
劣化方法2で作成した劣化2次元コード134は,本来モノクロ(白黒)で作成されるべき2次元コードが,カラー(例えば,シアン,イエロー,マゼンダの3色)で印刷されているものであり,このように2次元コード128が印刷された場合には,印刷部124の設定が,カラー印刷モードに設定されている場合に該当する。劣化2次元コード134は,図3に示したように,シアン,イエロー,マゼンダの各トナーが,完全に一致するように重なり合っておらず,略T字形状に重なり合って印刷されたものである。このような2次元コードは,印刷部124で使用する印刷機材が,カラー設定モードで印刷を行う際に,印刷すべき画像を一旦JPEG形式などの方法で画像イメージを圧縮する場合に起こりうるものであり,圧縮の際に生じるノイズが原因となっている場合である。
【0065】
劣化方法3で作成した劣化2次元コード136は,情報を表すドット全体が,ある一定の拡大率または縮小率で配列されていない例であり,図3に示すように,本来生じるはずのない間隔dが生じてしまっているものである。劣化2次元コード136のように2次元コード128が印刷された場合には,印刷部124の印刷解像度の設定が不適切である場合に該当する。
【0066】
劣化2次元コード132,134,136の作成が終了すると,劣化2次元コード作成部118は,作成した劣化2次元コード132,134,136を,シート画像作成部120へと出力する。
【0067】
なお,上記の説明においては,劣化2次元コード作成部118は,2次元コード作成部114から入力された2次元コード128に基づいて,それぞれの劣化2次元コードを作成する場合について説明したが,劣化2次元コード作成部118は,拡大2次元コード作成部116から入力された拡大2次元コード130に基づいて,それぞれの劣化2次元コードを作成してもよい。
【0068】
また,上記の説明においては,劣化2次元コード作成部118は,2次元コードを拡大した後に,エンコードされた情報を読み取り困難なまで劣化させる旨を説明したが,2次元コードの拡大と劣化とを同時に行うようにしてもよい。
【0069】
2次元コード128,拡大2次元コード130および劣化2次元コード132,134,136の作成が終了すると,シート画像作成部120は,これらの2次元コード,拡大2次元コードおよび複数の劣化2次元コードを配列して,印刷確認シートのレイアウト画像であるシート画像を作成する(ステップS107)。
【0070】
このようにして作成されるシート画像においては,実際に印刷される大きさで作成された2次元コード128と,実際に印刷される大きさよりも大きなサイズの2次元コード(拡大2次元コード130および劣化2次元コード132,134,136)とが配列されていることとなる。
【0071】
なお,このステップS107において,シート画像作成部120は,劣化2次元コードを適式に印刷するために必要な,印刷部の設定の変更を促す文章138を,シート画像にあわせて配置してもよい。例えば,劣化方法1により作成された劣化2次元コード132の隣に,「トナーセーブモードになっていないか確認してください。」という文章を配置し,劣化方法2により作成された劣化2次元コード134の隣に,「カラー印刷設定になっていないか確認してください。」という文章を配置し,劣化方法3により作成された劣化2次元コード136の隣に,「印刷解像度の設定を確認してください。」という文章を配置することが可能である。
【0072】
シート画像が作成されると,制御部110は,印刷確認シート作成装置100の使用者に対して,作成されたシート画像を,シート画像表示部122に表示するか否かを質問する(ステップS109)。
【0073】
使用者が,「表示する」という選択を行った場合には,制御部110は,シート画像表示部122に対して,シート画像を表示する旨の指示を与え,シート画像を表示させる(ステップS111)。
【0074】
その後,制御部110は,印刷部124に対して,シート画像作成部120が作成したシート画像を印刷する旨の指示を出し,印刷部124は,シート画像作成部120から入力されたシート画像を,プリンタ等の印刷機器により印刷し,印刷確認シート126とする(ステップS113)。
【0075】
印刷確認シート作成装置100の使用者は,印刷された印刷確認シート126を確認して(ステップS115),印刷された2次元コード128が拡大2次元コードと類似している場合には,2次元コードが適式に印刷されたと判定することができる。
【0076】
また,印刷された2次元コード128が,劣化2次元コード132,134,136のいずれかに類似している場合には,2次元コード128が適式に印刷されなかったと判断し,印刷確認シート126にあわせて印刷されている文章138に基づいて,印刷部124の設定を変更し(ステップS117),2次元コードが適式に印刷されるまで,印刷部124の設定を行うこととなる。
【0077】
なお,コンピュータを,上述したような本実施形態に係る印刷確認シート作成装置100として機能させるためのコンピュータプログラムを作成することも可能である。コンピュータプログラムは,コンピュータが備える記憶部に格納され,コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより,そのコンピュータを上記の印刷確認シート作成装置100として機能させる。また,コンピュータプログラムが記録された,コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は,例えば,磁気ディスク,光ディスクなどである。
【0078】
上記のようにして作成された印刷確認シート126は,2次元コードが適式に印刷されない原因となる印刷部124の設定と,結果的に印刷される2次元コードの特徴を表している劣化2次元コード132,134,136とを対応させたものである。この印刷確認シート126を用いることで,従来は経験的な知見により試行錯誤によって行うしか方法のなかった印刷部124の設定変更を,容易に行うことができ,試行錯誤によるマンパワーや時間の浪費等を削減することができる。
【0079】
続いて,図4および図5を用いて,本発明の第1の実施形態に係る2次元コード作成装置200について説明する。図4は,本実施形態に係る2次元コード作成装置200の構成を示す説明図であり,図5は,本実施形態に係る2次元コード作成装置200の動作を説明するための流れ図である。
【0080】
(2次元コード作成装置200の構成)
本実施形態に係る2次元コード作成装置200は,例えば,制御部202と,データ記憶部204と,2次元コード作成部206と,2次元コード印刷部208と,2次元コード検出部212と,2次元コード解析部214とを備える。
【0081】
(制御部202)
制御部202は,データ記憶部204,2次元コード作成部206,2次元コード印刷部208,2次元コード検出部212および2次元コード解析部214の動作を制御するものである。
【0082】
(データ記憶部204)
データ記憶部204は,2次元コードを作成したい秘匿情報を記憶するものであり,記憶される情報としては,例えば,文字,画像,音声などの各種データがある。
【0083】
(2次元コード作成部206)
2次元コード作成部206は,データ記憶部204に記憶されているデータを参照して,所定の方法により2次元コードを作成する。2次元コード作成装置200における2次元コード作成部206については,印刷確認シート作成装置100における2次元コード作成部114と,機能は同一であり,同様な効果を奏するものであるため,より詳細な説明は,省略する。
【0084】
(2次元コード印刷部208)
2次元コード印刷部208は,2次元コード作成部206で作成された2次元コード210を,プリンタ等の印刷機器を用いて,実際に紙媒体などに印刷する機能を有する。
【0085】
(2次元コード検出部212)
2次元コード検出部212は,2次元コード印刷部208により実際に紙媒体などに印刷された2次元コード210を,スキャナなどの入力装置により取り込んで,エンコードされた情報を表すデータを検出する。続いて,2次元コード検出部212は,検出されたデータを,以下で説明する2次元コード解析部214へと出力する。なお,スキャナなどの入力装置は,例えばプリンタとスキャナの機能を併せ持つ複合機であってもよい。かかる複合機を用いる場合には,2次元コードを印刷する印刷機器と,印刷された2次元コードを取り込む入力装置とを別個に設ける必要がなくなり,2次元コード作成装置200の小型化を図ることが可能である。
【0086】
(2次元コード解析部214)
2次元コード解析部214は,2次元コード検出部212が検出したデータから,エンコードされた情報を復元できるか否かを判定する。2次元コード解析部214に入力されたデータから情報を復元できた場合には,2次元コード解析部214は,制御部202に対して,データの復元ができた旨を通知する。情報が復元できなかった場合は,2次元コード解析部214は,引き続きデータの解析を行い,データの復元ができなかった原因の解析を行い,解析結果を制御部202へと通知する。2次元コード解析部214が行う,データの復元ができなかった場合の原因の解析方法については,以下で詳細に説明する。
【0087】
制御部202に対して,2次元コード解析部214から,データの復元ができなかった旨の通知がなされ,あわせて原因の解析結果が通知された場合には,制御部202は,当該解析結果に基づいて2次元コード印刷部208の設定の変更を自動的に行い,2次元コードが適式に印刷されるようにすることができる。
【0088】
(2次元コード作成装置200の動作)
続いて,図2を参照しながら,本実施形態に係る2次元コード作成装置200の動作について説明する。
【0089】
当該動作にあたって,2次元コードを作成したい文字,画像,音声などの各種データが,エンコードされる情報としてデータ記憶部204に記憶される。
【0090】
まず,制御部202を介して,2次元コードの作成を開始する旨の指示が通達されると,2次元コード作成部206は,データ記憶部204を参照して,2次元コードを作成したい情報を読み取り,この所定の方法によりエンコードして2次元コードを作成する(ステップS201)。2次元コードの作成が終了すると,2次元コード作成部206は,2次元コードの作成が終了した旨を制御部202に送信するとともに,作成した2次元コードを,2次元コード印刷部208へと出力する。
【0091】
続いて,2次元コード印刷部208は,入力された2次元コードを,プリンタ等の印刷機器を用いて,紙媒体などへ実際に印刷する(ステップS203)。
【0092】
このようにして印刷された2次元コード210は,自動的に,もしくは2次元コード作成装置200の使用者によって,2次元コード検出部212へと導入され,2次元コード検出部212は,2次元コード作成部206が使用する2次元コード作成方法に対応する検出方法に基づいて,紙媒体に印刷された2次元コードから,エンコードされた情報に関するデータの検出を行う(ステップS205)。
【0093】
紙媒体から,エンコードされた情報に関するデータが抽出されると,2次元コード検出部212は,抽出したデータを2次元コード解析部214へと出力する。2次元コード解析部214では,入力されたデータから情報が適切に復元できるか否かの判断を行い(ステップS207),情報の復元ができた場合には,その旨を制御部202へと送信する。その後,制御部202は,2次元コード作成装置200の使用者に対して,作成された2次元コードは,適式に印刷されている旨を通知し,処理を終了する。
【0094】
入力されたデータから情報が適切に復元できない場合には,2次元コード解析部214は,情報を復元できなかった原因を解析するための解析処理を行う(ステップS209)。原因を解析するための処理方法については,以下で詳細に説明する。
【0095】
所定の方法により,情報を復元できなかった原因ついての解析結果が得られると,2次元コード解析部214は,原因を解消するために必要な2次元コード印刷部208の設定の改善方法を,制御部202に対して出力する。
【0096】
制御部202に,2次元コード解析部214から,2次元コード印刷部208の設定の改善方法が入力されると,制御部202は,入力された方法に基づいて,2次元コード印刷部208の設定を,自動的に調整し(ステップS211),再度の2次元コードの印刷を,2次元コード印刷部208に対して指示する。
【0097】
以下に,図6を用いて,本実施形態に係る2次元コード解析部214が行う,情報の復元ができなかった場合の解析方法について,詳細に説明を行う。図6は,2次元コード解析部214が行う解析方法を説明するための流れ図である。
【0098】
エンコードされた情報に関するデータが,2次元コード解析部214に入力されると,2次元コード解析部214は,まず,2次元コードの位置を検出する(ステップS221)。
【0099】
(トナーセーブモードであるか否かの解析)
続いて,2次元コード解析部214は,2次元コードが,トナーセーブモードで印刷されたものであるか否かを判定するための処理を行う(ステップS223〜ステップS229)。まず,2次元コード解析部214は,2次元コードを表す画像を,所定の画素単位,例えば,3×3画素単位に平均化する(ステップS223)。
【0100】
その後,2次元コード解析部214は,平均化された2次元コードの画素値に関して,分散を計測する(ステップS225)。このようにして計測される分散を用いて,トナーセーブモードで印刷された2次元コードであるか否かの判定を行う。
【0101】
エンコードされた情報を表すドットの一部もしくは全体の消失が無ければ,ドットはある程度一定の間隔で描画されることとなるため,3×3画素単位の平均化で,ある程度一定のトーンのグレーとなり,分散は小さくなる。しかし,トナーセーブモードで印刷され,ドットの消失が生じている場合には,ドットの間隔が広くなり,白(ドットが存在しない)黒(ドットが存在する)のばらつきが大きくなるため,分散の値は大きくなる。
【0102】
従って,計測された分散がある閾値以上であるかどうかを判定し(ステップS227),閾値以上であった場合は,2次元コード解析部214は,2次元コードがトナーセーブモードで印刷されたものであると判定し(ステップS229),引き続き,以下に説明する解析を続行する。また,分散が閾値未満であった場合には,トナーセーブモードであるとは判定されず,以下に説明する解析を行うこととなる。
【0103】
(カラーモードであるか否かの解析)
トナーセーブモードであるか否かの判定が終了した後に,2次元コード解析部214は,カラーモードで印刷されたものであるか否かの判定を行う(ステップS231〜ステップS239)。
【0104】
2次元コード解析部214は,まず,検出された2次元コードの画像を,シアン,マゼンダ,イエローの各成分に分離する(ステップS231)。
【0105】
続いて,2次元コード解析部214は,各成分をそれぞれ2値化し,ドットの重心の位置を算出する(ステップS233)。ドットの重心は,例えば,各色成分の画素の座標値を用いて,この座標値の平均値として算出することが可能である。
【0106】
さらに,2次元コード解析部214は,上記で得られた各色成分のドットの重心を用いて,各成分間の距離を算出する(ステップS235)。この距離は,例えば,全てのドットの重心位置に対して,異なる色成分の最も近い位置にあるドットの重心位置との距離の平均として算出することができる。
【0107】
続いて,2次元コード解析部214は,上記のようにして算出された距離が,1画素以上であるか否かを判定する(ステップS237)。距離が1画素以上であった場合には,2次元コード解析部214は,カラーモードで印刷されたものと判定し(ステップS239),引き続き,以下で説明する解析を行う。また,距離が1画素未満であると判定した場合には,カラーモードで印刷されたとは判定されずに,以下に説明する解析を行う。
【0108】
(印刷解像度が適切か否かの解析)
カラーモードであるか否かの判定が終了した後に,2次元コード解析部214は,適切な印刷解像度で印刷されたものであるか否かの判定を行う(ステップS241〜ステップS259)。
【0109】
まず,2次元コード解析部214は,2次元コードの画像を垂直方向に所定の画素単位,例えば6画素単位に平均化する(ステップS241)。例えば,2次元コードが180×180画素の大きさである場合には,縦6画素×横180画素の長方形20個に平均化して,以下の処理を行うこととなる。
【0110】
続いて,2次元コード解析部214は,各平均値のなかで,例えば全体(180×180画素)の平均値の120%以上の平均値が存在するか否かを判定する(ステップS243)。120%以上の平均値のものが存在した場合には,2次元コードは水平方向に縮小されたと判定し(ステップS245),以下の処理が続けて行われる。また,120%以上のものが存在しなければ,水平方向の縮小は行われなかったと判定する。
【0111】
続いて,2次元コード解析部214は,各平均値のなかで,例えば全体(180×180画素)の平均値の80%以下の平均値が存在するか否かを判定する(ステップS247)。80%以下の平均値のものが存在した場合には,2次元コードは水平方向に拡大されたと判定し(ステップS249),以下の処理が続けて行われる。また,80%以下のものが存在しなければ,水平方向の拡大は行われなかったと判定する。
【0112】
次に,2次元コード解析部214は,同様にして,2次元コードの画像を水平方向に所定の画素単位,例えば,6画素単位に平均化する(ステップS251)。例えば,2次元コードが180×180画素の大きさである場合には,縦180画素×横6画素の長方形20個に平均化して,以下の処理を行うこととなる。
【0113】
続いて,2次元コード解析部214は,各平均値のなかで,例えば全体(180×180画素)の平均値の120%以上の平均値が存在するか否かを判定する(ステップS253)。120%以上の平均値のものが存在した場合には,2次元コードは垂直方向に縮小されたと判定し(ステップS255),以下の処理が続けて行われる。また,120%以上のものが存在しなければ,垂直方向の縮小は行われなかったと判定する。
【0114】
続いて,2次元コード解析部214は,各平均値のなかで,例えば全体(180×180画素)の平均値の80%以下の平均値が存在するか否かを判定する(ステップS257)。80%以下の平均値のものが存在した場合には,2次元コードは垂直方向に拡大されたと判定し(ステップS259),以下の処理が続けて行われる。また,80%以下のものが存在しなければ,垂直方向の拡大は行われなかったと判定する。
【0115】
このような解析方法を用いることで,2次元コード解析部214は,印刷された2次元コードが,トナーセーブモードで印刷されたものか,または,カラーモードで印刷されたものか,または,不適切な印刷解像度で印刷されたものか,または,これらの組み合わせで印刷されたものかを自動判定することが可能である。
【0116】
なお,コンピュータを,上述したような本実施形態に係る2次元コード作成装置200として機能させるためのコンピュータプログラムを作成することも可能である。コンピュータプログラムは,コンピュータが備える記憶部に格納され,コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより,そのコンピュータを上記の2次元コード作成装置200として機能させる。また,コンピュータプログラムが記録された,コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は,例えば,磁気ディスク,光ディスクなどである。
【0117】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0118】
例えば,上述した実施形態においては,2次元コードが電子透かしである場合について説明したが,2次元コードが2次元バーコードであってもよい。
【0119】
また,上述した実施形態においては,劣化2次元コードとして,「トナーセーブモード」で印刷された2次元コード,「カラーモード」印刷された2次元コード,および「不適切な印刷解像度」で印刷された2次元コードの3種類のみを取り上げたが,2次元コードを印刷する際に用いる印刷機器に生じうる劣化パターンに応じて,作成する劣化2次元コードを適宜変更してもよい。
【0120】
なお,上述した実施形態においては,作成した2次元コードを拡大する例について説明したが,例えば,作成する2次元コードの物理解像度を小さくすることで,2次元コードの縮小を行うことが可能である。例えば,300dpiの物理解像度で作成された2次元コードを,600dpiの物理解像度にすれば,4分の1の大きさに縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷確認シート作成装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る印刷確認シート作成装置の動作を説明するための流れ図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る印刷確認シートを説明するための模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る2次元コード作成装置の構成を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る2次元コード作成装置の動作を説明するための流れ図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る2次元コード作成装置における2次元コード解析部の解析方法を説明するための流れ図である。
【符号の説明】
【0122】
100 印刷確認シート作成装置
102 制御機構
104 印刷確認シート作成機構
106 印刷機構
110 制御部
112 データ記憶部
114 2次元コード作成部
116 拡大2次元コード作成部
118 劣化2次元コード作成部
120 シート画像作成部
122 シート画像表示部
124 印刷部
126 印刷確認シート
128 2次元コード
130 拡大2次元コード
132 トナーセーブモードで印刷された場合の劣化2次元コード
134 カラーで印刷された場合の劣化2次元コード
136 印刷解像度の設定が不適切な場合の劣化2次元コード
138 印刷部の設定の確認を促す文章
200 2次元コード作成装置
202 制御部
204 データ記憶部
206 2次元コード作成部
208 2次元コード印刷部
210 2次元コード
212 2次元コード検出部
214 2次元コード解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報がエンコードされた2次元コードが適式に印刷されたかどうかを確認する印刷確認シートを作成する印刷確認シート作成装置であって:
前記印刷確認シート作成装置は,前記2次元コードを作成する2次元コード作成部と,
作成された前記2次元コードを拡大して拡大2次元コードとする拡大2次元コード作成部と,
作成された前記2次元コードを読み取り困難なまで劣化させて劣化2次元コードとする劣化2次元コード作成部と,
前記2次元コード,前記拡大2次元コードおよび前記劣化2次元コードを配列して確認シート画像を作成するシート画像作成部と,
前記シート画像を印刷する印刷部と,
を備えることを特徴とする,印刷確認シート作成装置。
【請求項2】
前記2次元コードは,ドットの配列パターンで前記情報を示すものであり,
前記劣化2次元コードは,前記ドットの一部もしくは全体が,消失していることを特徴とする,請求項1に記載の印刷確認シート作成装置。
【請求項3】
前記2次元コードは,ドットの配列パターンで前記情報を示すものであり,
前記劣化2次元コードは,前記ドットの一部もしくは全体が,複数の異なる色の混色として表現されていることを特徴とする,請求項1または2に記載の印刷確認シート作成装置。
【請求項4】
前記2次元コードは,ドットの配列パターンで前記情報を示すものであり,
前記劣化2次元コードは,前記ドットの一部もしくは全体が,複数の拡大率または縮小率で表現されたドットから形成されていることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の印刷確認シート作成装置。
【請求項5】
前記シート画像作成部は,前記印刷部の設定の確認を促す文章を更に記載することを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の印刷確認シート作成装置。
【請求項6】
前記印刷確認シート作成装置は,前記シート画像作成部で作成された前記確認シート画像を表示するシート画像表示部を更に備えることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の印刷確認シート作成装置。
【請求項7】
前記2次元コードは,電子透かしであることを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載の印刷確認シート作成装置。
【請求項8】
前記2次元コードは,2次元バーコードであることを特徴とする,請求項1に記載の印刷確認シート作成装置。
【請求項9】
情報がエンコードされた2次元コードが適式に印刷されたかどうかを確認する印刷確認シートであって:
前記印刷確認シートには,複数の2次元コードが配列され,
前記複数の2次元コードには,同一の前記情報がエンコードされた異なる大きさの2つの前記2次元コードが含まれることを特徴とする,印刷確認シート。
【請求項10】
前記複数の2次元コードの1もしくは2以上は,前記エンコードされた情報の読み取りが困難なまで劣化した2次元コードであることを特徴とする,請求項9に記載の印刷確認シート。
【請求項11】
前記印刷確認シートは,前記2次元コードを適式に印刷するために必要な印刷確認シート印刷機器の設定の確認を促す文章を更に含むことを特徴とする,請求項9または10のいずれかに記載の印刷確認シート。
【請求項12】
情報がエンコードされた2次元コードが適式に印刷されたかどうかを確認する印刷確認シートを作成する印刷確認シートの作成方法であって:
(a)前記2次元コードを作成する工程と,
(b)作成された前記2次元コードを拡大して拡大2次元コードを作成する工程と,
(c)作成された前記2次元コードを劣化させて劣化2次元コードを作成する工程と,
(d)前記2次元コード,前記拡大2次元コードおよび前記劣化2次元コードを配列して確認シート画像を作成する工程と,
(e)前記シート画像を印刷する工程と,
を含むことを特徴とする,印刷確認シートの作成方法。
【請求項13】
コンピュータを,情報がエンコードされた2次元コードが適式に印刷されたかどうかを確認する印刷確認シートを作成する印刷確認シート作成装置として機能させるコンピュータプログラムであって:
前記印刷確認シート作成装置は,前記2次元コードを作成する2次元コード作成部と,
作成された前記2次元コードを拡大して拡大2次元コードとする拡大2次元コード作成部と,
作成された前記2次元コードを読み取り困難なまで劣化させて劣化2次元コードとする劣化2次元コード作成部と,
前記2次元コード,前記拡大2次元コードおよび前記劣化2次元コードを配列して確認シート画像を作成するシート画像作成部と,
前記シート画像を印刷する印刷部と,
を含むことを特徴とする,コンピュータプログラム。
【請求項14】
情報がエンコードされた2次元コードを作成し適式に印刷する2次元コード作成装置であって:
前記2次元コード作成装置は,当該2次元コード作成装置を制御する制御部と,
前記2次元コードを作成する2次元コード作成部と,
作成された前記2次元コードを印刷する2次元コード印刷部と,
印刷された前記2次元コードを読み取る2次元コード検出部と,
検出した前記2次元コードを解析し,前記2次元コードが適式に印刷されなかった場合に,前記2次元コード印刷部の設定の変更方法を導出する2次元コード解析部と,
を備え,
前記制御部は,前記2次元コード解析部の導出結果に基づいて,前記2次元コード印刷部の設定を自動的に調整することを特徴とする,2次元コード作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−261166(P2007−261166A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91065(P2006−91065)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】