説明

印刷管理プログラム、印刷管理装置、印刷管理方法及び印刷システム

【課題】印刷作業停止時間を削減できる印刷管理プログラム、印刷管理装置、印刷管理方法及び印刷システムを提供することを課題とする。
【解決手段】コンピュータ12を、画像形成装置に設定される印刷能力と一致する印刷ジョブを該画像形成装置にスケュールするスケジュール手段33、画像形成装置の印刷能力を変更する指示を含んだジョブを生成する能力変更ジョブ生成手段34、として機能させ、スケジュール手段33は、能力変更ジョブ生成手段34が生成した能力変更ジョブを画像形成装置にスケジュールした場合、能力変更ジョブにより変更される印刷能力と一致する印刷ジョブを、能力変更ジョブの後にスケジュールさせることを特徴とする印刷管理プログラムにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブを管理する印刷管理プログラム、印刷管理装置、印刷管理方法及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客より印刷物(カタログ、広告等)を受け取り、印刷物から顧客が希望する印刷出力物を生成し、印刷出力物を顧客に納品することで報酬を得る商業印刷業界では、印刷物の受け取りから納品に至るまで、複数の工程を踏んで作業を行っている。印刷物の受け取りから納品に至るまでの工程としては、顧客からの印刷物の入稿、印刷出力物の印刷条件の受付、色修正、レイアウト修正、綴じ位置修正といったプリプレス作業、顧客のプリプレス結果確認の為のプルーフプリント、印刷作業や印刷後の印刷とじ、圧着といった後工程処理、印刷出力物の顧客への納品といったものがあった。なお、印刷物の受け取りから納品に至るまでの工程は、顧客の要望する印刷出力物の印刷条件に伴い増減が発生する。
【0003】
従来の商業印刷業界では、顧客から大量印刷を行う印刷物の受注が多く、前述した工程で印刷出力物の量産に対応していた。また、大量印刷を行う印刷物は、顧客からの印刷出力物の印刷条件が固定化されるケースが多かった。したがって、従来の商業印刷業界では決定した一つの印刷条件で大量印刷を行い、ロットの印刷終了後、印刷条件を変更し再び大量印刷を行うといった印刷サイクルで、顧客の要望する印刷出力物を生成していた。
【0004】
この印刷サイクルにおいて、前述した複数の工程は印刷条件が変更になった場合に発生することが多かった。したがって、印刷条件に変更が無い場合、商業印刷業者は同一の工程での連続印刷が可能であり、効率的な大量印刷作業を行うことができた。
【0005】
近年、商業印刷業界にはPOD(Print On Demand )と呼ばれる、比較的小ロットの印刷物を短納期で顧客に納品するといったPOD市場が出現している。POD市場では複数の顧客からの受注が発生することが多い。結果としてPOD市場では商業印刷業者に入稿される印刷物や、印刷出力物の印刷条件などが多岐にわたることが多い。
【0006】
併せて、近年は印刷物のデジタル化が進み、コンピュータを使用した印刷物生成の為の制御がなされるようになった。例えば印刷物を、ネットワークを介して電子データとして入稿したり、前述した複数の工程を制御したりするワークフローといった技術が現れるようになった。例えば、前述したワークフローでは前述した複数の工程での印刷動作をJDF(Job Definition Format )と呼ばれるジョブチケットで定義し、印刷システムで印刷動作を制御しているものもある。
【0007】
このような印刷環境の変化に伴い、商業印刷業者は受注した印刷物を生成する為に印刷システムのコンピュータ化を進めてきた。一方で、商業印刷業者は顧客からの多岐にわたる印刷出力物の印刷条件などに対応できる印刷システムの構築が併せて必要となってきている。さらに、顧客の要望である多岐にわたる印刷出力物を生成する為に、複数のプリンタ装置やデバイス(周辺)装置の導入といったシステム面の対応や、前述した複数の工程の比較的短いサイクルでの変更といった作業工程面での対応も必要となってきた。
【0008】
商業印刷業者は、前述したような対応が必要となってきたが、利益を産み出す為に更なる業務効率の向上が必要となってくる。業務効率の向上に繋がる施策として、印刷作業停止時間の削減が一つにある。
【0009】
商業印刷業者の印刷システムはネットワーク環境で構築されている場合が多い。商業印刷業者の印刷システム(商業印刷システム)はプリンタ装置と、各印刷設定を行う端末とが離れている。商業印刷システムはプリンタ装置及び端末を一人の作業者が操作するというケースも起こりうる。
【0010】
また、商業印刷システムでは印刷出力物を生成する為にアプリケーションソフトを使用している。商業印刷システムでは印刷出力物毎の印刷ジョブをアプリケーションソフト内で管理、生成する場合が多かった。
【0011】
一般的に、商業印刷システムで扱う印刷ジョブは顧客要求毎に生成される。印刷出力物の印刷条件が多岐にわたることから、作業者は、その印刷条件を満たすため、印刷ジョブ毎に、アプリケーションソフトやプリンタ装置の設定を変更する必要があった。
【0012】
具体例を挙げれば、用紙サイズが異なる印刷出力物の生成を複数の顧客が要求してきた場合、作業者は顧客の要求の度に、プリンタ装置に装着されている用紙を、要求されたサイズの用紙に変更する作業を行わなければならない。
【0013】
通常、プリンタ装置は複数の給紙部を持つ。プリンタ装置は、それぞれの給紙部にサイズの異なる用紙を装着すれば、前述の課題の一部を解決できる。しかし、給紙部の数は限られている。給紙部の数以上に用紙サイズの異なる印刷要求が行われたら、用紙交換作業は必ず必要となる。用紙交換作業を伴うことで、印刷作業は停止する。
【0014】
また、印刷ジョブを生成する順序を考慮して、同一の用紙サイズの印刷ジョブを連続して生成すれば、前述の課題の一部を解決できる。しかし、印刷ジョブの生成順序は作業者自身が管理しなければならず、印刷要求の数が増えるほど、また、用紙サイズの種類が増えるほど、作業者の負担が増大する。なお、ジョブ実行順序を変更する技術は従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
印刷ジョブの生成順序を管理する作業を回避する方法としては、同一の用紙サイズの印刷ジョブを纏めて処理するように、印刷ジョブの処理順序を変更して、用紙交換作業に伴う印刷作業停止時間を極力低減することが考えられる。しかし、商業印刷システムにはプリンタ装置の給紙部に実際に装着(セット)されている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致しないと、印刷ジョブをキュー(Queue)にキューイング(Queueing)できない制御を行っているものがある。
【0016】
このような商業印刷システムでは、プリンタ装置の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとを一致させない限り、印刷ジョブをキューにキューイングできず、用紙交換作業に伴う印刷作業停止時間が発生するという問題があった。
【0017】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、印刷作業停止時間を削減できる印刷管理プログラム、印刷管理装置、印刷管理方法及び印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するため、本発明は、コンピュータを、画像形成装置に設定される印刷能力と一致する印刷ジョブを該画像形成装置にスケュールするスケジュール手段、前記画像形成装置の印刷能力を変更する指示を含んだジョブを生成する能力変更ジョブ生成手段、として機能させ、前記スケジュール手段は、前記能力変更ジョブ生成手段が生成した能力変更ジョブを前記画像形成装置にスケジュールした場合、前記能力変更ジョブにより変更される印刷能力と一致する印刷ジョブを、前記能力変更ジョブの後にスケジュールさせることを特徴とする印刷管理プログラムであることを特徴とする。
【0019】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、印刷作業停止時間を削減できる印刷管理プログラム、印刷管理装置、印刷管理方法及び印刷システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した印刷システムを含む一例のシステム構成図である。
【図2】PCの一例のハードウェア構成図である。
【図3】プリントサーバの一例の処理ブロック図である。
【図4】用紙交換ジョブが無い場合の一般的なキューの状態を示す説明図である。
【図5】好ましいキューの状態を示す説明図である。
【図6】用紙交換ジョブが有る場合のキューの状態を示す説明図である。
【図7】印刷ジョブが新規に投入された場合のキューの状態を示す説明図である。
【図8】印刷ジョブテーブルの一例の構成図である。
【図9】印刷スケジュールテーブルの一例の構成図である。
【図10】用紙交換ジョブを使用してキューイングを行うときの処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図11】用紙交換ジョブを生成するときの処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図12】用紙交換ジョブを使用して、印刷ジョブの印刷を行うときの処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図13】プリントサーバの他の例の処理ブロック図である。
【図14】印刷ジョブテーブルの他の例の構成図である。
【図15】印刷スケジュールテーブルの一例の構成図である。
【図16】スケジュールビュー画面の一例のイメージ図である。
【図17】スケジュールビュー画面を表示して印刷ジョブをプリンタ装置に送信する処理の一例のフローチャートである。
【図18】補助作業内容を編集する処理の一例のフローチャートである。
【図19】補助作業内容編集画面の一例のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。
【0023】
図1は本発明を適用した印刷システムを含む一例のシステム構成図である。図1のシステムはユーザクライアント1と印刷システム2とがインターネット等のネットワーク3を介して接続されている。ユーザクライアント1は顧客が商業印刷業者に対して印刷業務を委託するために使用するコンピュータである。印刷システム2は商業印刷業者などの作業者(オペレータ)が利用するシステムである。
【0024】
また、印刷システム2は管理クライアント11、プリントサーバ12、1台以上のプリンタ装置13、LANなどのネットワーク14を有する。管理クライアント11、プリントサーバ12、プリンタ装置13はネットワーク14を介して接続されている。
【0025】
顧客は、ユーザクライアント1のアプリケーションを操作することで、印刷対象文書のジョブチケットと印刷データとを含む印刷ジョブをプリントサーバ12へ送信する。管理クライアント11は商業印刷業者などの作業者(オペレータ)が、委託された印刷業務を管理するために使用するコンピュータである。
【0026】
オペレータは管理クライアント11からWWWブラウザを用いて、プリントサーバ12のWebユーザインタフェースへアクセスし、印刷する印刷ジョブの検索/印刷開始/印刷停止/削除/印刷システム2の管理などが行える。プリントサーバ12は印刷管理装置の一例である。プリントサーバ12はユーザクライアント1から印刷業務を委託された印刷ジョブを、プリンタ装置13に印刷させる。また、プリントサーバ12は各プリンタ装置13の稼働状況などをリアルタイムに、且つ、グラフィカルに画面に表示する。プリンタ装置13は、プリントサーバ12の制御に従って、印刷ジョブから印刷イメージを生成し、所定の用紙上に印刷する。
【0027】
プリントサーバ12は、例えば図2に示すようなハードウェア構成のPCにより実現される。図2はPCの一例のハードウェア構成図である。PC20はバス29で相互に接続されている入力装置21、出力装置22、記録媒体読取装置23、補助記憶装置24、主記憶装置25、演算処理装置26及びインタフェース装置27を含む。
【0028】
入力装置21はキーボードやマウス等である。入力装置21は各種信号を入力するために用いられる。出力装置22はディスプレイ装置等である。出力装置22は各種ウインドウやデータ等を表示するために用いられる。インタフェース装置27は、モデム,LANカード等である。インタフェース装置27は、ネットワーク14に接続するために用いられる。
【0029】
プリントサーバ12に搭載される印刷管理プログラムは、PC20を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。印刷管理プログラムは、例えば記録媒体28の配布やネットワーク14等からのダウンロードなどによって提供される。
【0030】
記録媒体28はCD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0031】
印刷管理プログラムは、印刷管理プログラムを記録した記録媒体28が記録媒体読取装置23にセットされると、記録媒体28から記録媒体読取装置23を介して補助記憶装置24にインストールされる。ネットワーク14等からダウンロードされた印刷管理プログラムはインタフェース装置27を介して補助記憶装置24にインストールされる。
【0032】
補助記憶装置24はインストールされた印刷管理プログラム、必要なファイル、データ等を格納する。主記憶装置25は印刷管理プログラムの起動時に、補助記憶装置24から印刷管理プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置26は主記憶装置25に格納された印刷管理プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【実施例1】
【0033】
プリントサーバ12は例えば図3に示すような処理ブロックで実現される。図3はプリントサーバの一例の処理ブロック図である。プリントサーバ12は印刷管理プログラムが搭載されている。プリントサーバ12は、印刷管理プログラムを実行することで、Webユーザインタフェース部31、印刷文書入力部32、プリンタ割り当て部33、用紙交換ジョブ制御部34、用紙交換通知部35、データベース管理部36、プリンタインタフェース部37を実現する。
【0034】
Webユーザインタフェース部31は管理クライアント11との通信を制御するインタフェースである。Webユーザインタフェース部31は管理クライアント11からの印刷対象文書などの文書の検索/印刷開始/印刷停止/削除/印刷システム2の管理などの要求を受け付ける。
【0035】
印刷文書入力部32は、ユーザクライアント1から印刷対象文書のジョブチケットと印刷データとを含む印刷ジョブを受信する。印刷文書入力部32は、受信した印刷ジョブの情報をデータベース管理部36に登録する。データベース管理部36に情報が登録された印刷ジョブは後述のようにプリンタ装置13へスケジュールされ、スケジュールされたプリンタ装置13によって印刷が実行される。
【0036】
データベース管理部36は、例えば印刷ジョブテーブル41、印刷スケジュールテーブル42、プリンタテーブル43、用紙テーブル44、用紙交換ジョブテーブル45を有する。
【0037】
データベース管理部36は、印刷文書入力部32、プリンタ割り当て部33、用紙交換ジョブ制御部34、プリンタインタフェース部37などからの依頼を受けて、印刷ジョブテーブル41、印刷スケジュールテーブル42、プリンタテーブル43、用紙テーブル44、用紙交換ジョブテーブル45への書き込みを行う。
【0038】
印刷ジョブテーブル41は、ユーザクライアント1から受信した印刷ジョブの情報を保持するためのテーブルである。なお、印刷ジョブテーブル41の詳細は後述する。印刷スケジュールテーブル42は印刷ジョブテーブル41に情報が保持された各印刷ジョブの印刷予定のプリンタ装置13、現時点での各印刷ジョブの状態、用紙交換ジョブテーブル45に情報が保持された用紙交換ジョブの状態等を保持するためのテーブルである。印刷スケジュールテーブル42の詳細は後述する。
【0039】
プリンタテーブル43はプリンタ装置13の接続に関するIPアドレス等の情報やプリンタ装置13の状態などを保持するテーブルである。用紙テーブル44はプリンタ装置13の給紙部に実際にセットされている用紙サイズ等の情報(Current値)などを保持するテーブルである。用紙交換ジョブテーブル45は、後述の用紙交換ジョブの情報を保持するためのテーブルである。
【0040】
プリンタインタフェース部37はプリンタ装置13との通信を制御する。プリンタインタフェース部37は、プリンタ装置13から印刷ジョブの完了が通知される都度、ジョブスケジュールテーブル42を参照し、次に印刷予定の印刷ジョブ又は用紙交換ジョブを検索する。次に印刷予定の印刷ジョブが検索されると、プリンタインタフェース部37は印刷ジョブテーブル41から印刷ジョブの詳細を取得する。
【0041】
プリンタインタフェース部37は取得した印刷ジョブの詳細に基づき、印刷文書入力部32にある印刷ジョブをプリンタ装置13へ送信する。また、用紙交換ジョブが検索されると、プリンタインタフェース部37はプリンタ装置13から給紙部に実際にセットされている用紙サイズの変更が通知されるまで待機する。
【0042】
また、プリンタインタフェース部37は各プリンタ装置13から所定間隔で送信される状態の情報を受信する。プリンタインタフェース部37は状態の変化したプリンタ装置13について、データベース管理部36に依頼して、プリンタテーブル43が保持するプリンタ装置13の状態を新たな状態に置き換えさせる。さらに、プリンタインタフェース部37は各プリンタ装置13の状態から各印刷ジョブの状態を割り出し、データベース管理部36に依頼して、印刷スケジュールテーブル42が保持する各印刷ジョブの状態を更新させる。
【0043】
プリンタ割り当て部33はプリンタ装置13の割り当てを担当する。プリンタ割り当て部33は印刷ジョブの属性とプリンタ装置13の属性とによって、自動的又は手動によりプリンタ装置13の割り当てを行う。
【0044】
用紙交換ジョブ制御部34はWebユーザインタフェース部31を介して、作業者から用紙交換前後の用紙サイズの指定を受け付ける。用紙交換ジョブ制御部34は指定された用紙交換前後の用紙サイズを利用して後述の用紙交換ジョブを生成する。また、用紙交換ジョブ制御部34は、生成した用紙交換ジョブの情報を用紙交換ジョブテーブル45に登録する。用紙交換通知部35は用紙交換ジョブの処理順序が来たら、Webユーザインタフェース部31を介して、作業者に用紙交換作業を促す用紙交換通知を行う。
【0045】
なお、プリントサーバ12は複数の印刷ジョブを印刷するときに、キューイング制御を行う。キューイング制御は、後から受信した印刷ジョブを前に受信した印刷ジョブの後ろにキューイングして、複数の印刷ジョブを連続して印刷するものである。キューイング制御は後から受信した印刷ジョブを、前に受信した印刷ジョブの後ろにキューイングする処理が基本である。しかし、キューイング制御では、印刷ジョブの移動、割り込みといった制御も可能である。キューイング制御は印刷ジョブだけでなく、用紙印刷ジョブも同様に制御する。
【0046】
ここで、本発明におけるキューイング制御の理解を容易とする為に、用紙交換ジョブが無い場合の一般的なキューイング制御について説明する。なお、データベース管理部36の印刷スケジュールテーブル42は印刷ジョブの状態(ステータス)を、例えば受け付けた状態と、プリンタ装置13へスケジュールされた状態とに分けて管理する。
【0047】
印刷ジョブを受け付けた状態からスケジュールされた状態への遷移は、プリンタ装置13の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと、印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致するときに行われる。
【0048】
図4は用紙交換ジョブが無い場合の一般的なキューの状態を示す説明図である。図4では「ジョブ1」から「ジョブ8」の順に、計8つの印刷ジョブが連続して投入された状態を表している。奇数番目の印刷ジョブはA4用紙への印刷が指定されている。偶数番目の印刷ジョブはA3用紙への印刷が指定されている。一般的には前に投入された印刷ジョブの次に、後から投入された印刷ジョブをキューイングする。このようなキューイング制御を繰り返すことにより、本発明ではA4用紙への印刷の印刷ジョブとA3用紙への印刷の印刷ジョブとが交互にキューイングされる。
【0049】
キューイングは、プリンタ装置13の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致するときに行われる。したがって、図4に示す印刷ジョブを全て印刷する為には、給紙部が一つのプリンタ装置13の場合、1つの印刷ジョブの完了が通知される毎に、A4用紙からA3用紙もしくはA3用紙からA4用紙への用紙交換作業が発生し、印刷作業停止時間が長くなる。
【0050】
図5は好ましいキューの状態を示す説明図である。図4に示した8つの印刷ジョブは図5に示すような順番で連続して投入されれば、A4用紙への印刷の印刷ジョブが4つ纏めてキューイングされる。図5では、A4用紙への印刷の4つの印刷ジョブの完了が通知された後、A4用紙からA3用紙への用紙交換作業が発生する。その後、図5ではA3用紙への印刷の印刷ジョブが4つ纏めてキューイングされるため、A4用紙からA3用紙への用紙交換作業が1回で済み、印刷作業停止時間が短くなる。
【0051】
本発明では図5に示すキューの状態を実現する為に用紙交換ジョブを利用する。図6は用紙交換ジョブが有る場合のキューの状態を示す説明図である。図6ではA4用紙への印刷の印刷ジョブが4つ纏めて実行されたあと、A4用紙からA3用紙への用紙交換を作業者に促す用紙交換ジョブ50が実行される。用紙交換ジョブ50が実行されると、作業者はA4用紙からA3用紙への用紙交換作業を行う。そして、図6ではA4用紙からA3用紙への用紙交換作業のあと、A3用紙への印刷の印刷ジョブが4つ纏めて実行される。
【0052】
図6では印刷ジョブで指定されている用紙サイズがA4用紙からA3用紙に変わる印刷ジョブの境目において用紙交換ジョブ50を実行することで、作業者に用紙交換の必要性を通知することができる。作業者に用紙交換の必要性を認知させる方法としては管理クライアント11、プリントサーバ12のディスプレイ装置などに警告画面を出したり、プリンタ装置13の操作パネルに警告表示を出したりすることが考えられる。
【0053】
用紙交換ジョブ50は用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとを用紙情報として持つ。プリントサーバ12では用紙交換ジョブ制御部34に、作業者が用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとをUIから設定する機能を設けることで、用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとの設定並びに情報保持が実現できる。
【0054】
なお、前述したように、一般的なキューイングではプリンタ装置13の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致していなければ行われない。一方、本発明におけるキューイングは、プリンタ装置13の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致していなくても、用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換後の用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致していれば、行われる。
【0055】
このように、用紙交換ジョブ50はプリンタ装置13の給紙部に実際にセットされている用紙サイズの情報(Current値)の補完機能として働く。また、用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換後の用紙サイズはプリンタ装置13の給紙部に実際にセットされている用紙サイズの情報の補完情報となる。
【0056】
本発明では用紙交換ジョブ50がプリンタ装置13の給紙部に実際にセットされている用紙サイズの情報の補完機能として働くため、図6に示す状態に印刷ジョブがキューイングされる。
【0057】
図6に示すキューの状態から用紙サイズがA4用紙の印刷ジョブ「ジョブ9」と用紙サイズがA3用紙の印刷ジョブ「ジョブ10」とが新規に投入された場合、キューの状態は図7に示すようになる。図7は印刷ジョブが新規に投入された場合のキューの状態を示す説明図である。
【0058】
新規に投入される印刷ジョブは、印刷ジョブで指定されている用紙サイズと、用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換前後の用紙サイズとが比較され、用紙交換ジョブ50の前にキューイングされるか後にキューイングされるかが決定される。
【0059】
用紙交換ジョブ50の前にキューイングされることが決定されると、新規に投入される印刷ジョブは用紙交換ジョブ50の前にキューイングされている印刷ジョブの最後(A4用紙印刷のサブキューの最後)にキューイングされる。図7の例では「ジョブ9」が投入されると、A4用紙印刷のサブキューの最後にキューイングされている「ジョブ7」の後にキューイングされる。
【0060】
用紙交換ジョブ50の後にキューイングされることが決定されると、新規に投入される印刷ジョブは用紙交換ジョブ50の後にキューイングされている印刷ジョブの最後(A3用紙印刷のサブキューの最後)にキューイングされる。図7の例では「ジョブ10」が投入されると、A3用紙印刷のサブキューの最後にキューイングされている「ジョブ8」の後にキューイングされる。このように、用紙交換ジョブ50は印刷ジョブのスケジュールの振り分け機能として働く。
【0061】
図8は印刷ジョブテーブルの一例の構成図である。印刷ジョブテーブル41はジョブID、ジョブ名、コピー部数、両面印刷の有無、ジョブの用紙、ジョブの出力場所、パンチ穴の位置と数、印刷要求するプリンタ、ステープルの位置と数、ジョブの保存期間、ジョブの顧客名称、ジョブに関する記述、入力ファイルのデータフォーマット、入力ファイルサイズ、ジョブのページ数、ジョブのシート枚数、スタッカに出力済みのページ数、スタッカに出力済みのシート数、スタッカに出力済みの部数、再印刷も含めたスタッカに出力済みのページ数、再印刷も含めたスタッカに出力済みのシート数、プリンタがジョブを受信した日時、ジョブのサイズ、ジョブの再印刷回数、ジョブを生成した日時、印刷するページの範囲、ジョブの折りについての情報、ジョブの綴じについての情報を内容とする項目を有する。
【0062】
図9は印刷スケジュールテーブルの一例の構成図である。印刷スケジュールテーブル62はジョブID、ジョブのステータス、ジョブの進捗、待機中の理由、実際に割り当てられたプリンタ、印刷予定のプリンタ、印刷順序を内容とする項目を有する。
【0063】
図10は、用紙交換ジョブを使用してキューイングを行うときの処理手順を表した一例のフローチャートである。なお、作業者が用紙交換ジョブ50を新規に生成する手順については後述する。また、図10では実運用上、最も使われると考えられるケースとして作業者が印刷ジョブを投入する前に、予め用紙交換ジョブ50をジョブ列(キュー)に投入しておき、且つ、プリンタ装置13の給紙部に、用紙交換ジョブ50が保持する用紙交換前の用紙サイズのみがセットされている例で説明する。
【0064】
ステップS1において、用紙交換ジョブ制御部34はWebユーザインタフェース部31を介して、作業者からの用紙交換ジョブ50の生成作業を受け付ける。用紙交換ジョブ制御部34はWebユーザインタフェース部31を介して、作業者から用紙交換前後の用紙サイズの指定を受け付け、用紙交換ジョブ50を生成する。
【0065】
ステップS2において、用紙交換ジョブ制御部34は用紙交換ジョブ50をキューの先頭に配置するように、印刷スケジュールテーブル42及び用紙交換ジョブテーブル45を更新する。
【0066】
ステップS3において、印刷文書入力部32はユーザクライアント1から印刷ジョブを受信する。印刷文書入力部32は受信した印刷ジョブの情報を印刷ジョブテーブル41に登録する。
【0067】
ステップS4において、プリンタ割り当て部33は受信した印刷ジョブで指定されている用紙サイズと、用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換前後の用紙サイズとを比較する。
【0068】
ステップS5において、プリンタ割り当て部33は印刷ジョブで指定されている用紙サイズと、用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換前の用紙サイズとが合致するか否かを判定する。
【0069】
印刷ジョブで指定されている用紙サイズと用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換前の用紙サイズとが合致すれば、プリンタ割り当て部33はステップS6において、用紙交換ジョブ50の前にキューイングされていた最後の印刷ジョブの後にキューイングするように、印刷スケジュールテーブル42を更新する。
【0070】
例えば用紙交換ジョブ50の前に印刷ジョブが存在しない場合は、ステップS3で受信した印刷ジョブがジョブ列の先頭となるようにキューイングされる。用紙交換ジョブ50の前に1つ以上の印刷ジョブが存在する場合は、ステップS3で受信した印刷ジョブが用紙交換ジョブ50の前のジョブ列の最後となるようにキューイングされる。
【0071】
印刷ジョブで指定されている用紙サイズと用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換前の用紙サイズとが合致しなければ、ステップS7において、プリンタ割り当て部33は印刷ジョブで指定されている用紙サイズと、用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換後の用紙サイズとが合致するか否かを判定する。
【0072】
印刷ジョブで指定されている用紙サイズと、用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換後の用紙サイズとが合致すれば、プリンタ割り当て部33はステップS8において、用紙交換ジョブ50の後にキューイングされていた最後の印刷ジョブの後にキューイングするように、印刷スケジュールテーブル42を更新する。
【0073】
例えば用紙交換ジョブ50の後に印刷ジョブが存在しない場合は、ステップS3で受信した印刷ジョブが用紙交換ジョブ50の直後となるようにキューイングされる。用紙交換ジョブ50の後に1つ以上の印刷ジョブが存在する場合は、ステップS3で受信した印刷ジョブが用紙交換ジョブ50の後のジョブ列の最後となるようにキューイングされる。
【0074】
印刷ジョブで指定されている用紙サイズと用紙交換ジョブ50が保持している用紙交換後の用紙サイズとが合致しなければ、ステップS9において、プリンタ割り当て部33は印刷ジョブをキューイングしない。図10のフローチャートに示す処理手順ではステップS6、S8、S9の処理のあと、ステップS3の処理に戻り、次の印刷ジョブの待ち状態となる。
【0075】
図11は、用紙交換ジョブを生成するときの処理手順を表した一例のフローチャートである。用紙交換ジョブ制御部34は、作業者に用紙交換ジョブ50を生成させる手段を提供する。前述したように、用紙交換ジョブ50は用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとを保持している。用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとは任意に設定できるものであるから、用紙交換ジョブ制御部34は用紙情報設定UIを作業者に提供する。
【0076】
用紙情報設定UIから作業者は、用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとを入力する。用紙交換ジョブ制御部34はステップS11において、操作者が設定した用紙交換前の用紙サイズを用紙情報設定UIから受け取る。また、用紙交換ジョブ制御部34はステップS12において、操作者が設定した用紙交換後の用紙サイズを用紙情報設定UIから受け取る。
【0077】
ステップS13において、用紙交換ジョブ制御部34はステップS11で受け取った用紙交換前の用紙サイズと、ステップS12で受け取った用紙交換後の用紙サイズとを比較する。前述したように、用紙交換ジョブ50による印刷ジョブのキューイングは、用紙交換前と用紙交換後とで用紙サイズが異なっていることが前提となる。
【0078】
ステップS14において、ステップS11で受け取った用紙交換前の用紙サイズとステップS12で受け取った用紙交換後の用紙サイズとが異なっていれば、用紙交換ジョブ制御部34はステップS15において、用紙交換ジョブ50を生成する。
【0079】
なお、ステップS14において、ステップS11で受け取った用紙交換前の用紙サイズとステップS12で受け取った用紙交換後の用紙サイズとが異なっていなければ、用紙交換ジョブ制御部34は用紙交換ジョブ50を生成せず、ステップS16において、作業者にエラーを通知する。したがって、用紙交換ジョブ50は不正な用紙交換ジョブ50の生成を回避できる。図11にフローチャートに示す処理手順では、ステップS16の処理のあと、ステップS11の処理に戻り、次の用紙交換前後の用紙サイズの入力待ちの状態となる。
【0080】
用紙交換ジョブ50はジョブという扱いで動作するため、必要な情報を保持したデータ構成を有する。このデータ構成は、作業者に用紙交換を促す方法によって異なる。例えば用紙交換通知をポップアップ画面等で表示させる方式の場合は、管理クライアント11又はプリントサーバ12の画面表示制御に沿ったデータ形式を取れば対応可能である。
【0081】
また、プリンタ装置13の操作パネルに用紙交換表示を行う方式の場合は、プリンタ装置13とのエンジンインタフェース等で表示処理を行うためのデータ形式とすることで対応可能である。何れの方法においても、用紙交換ジョブ50は1つのデータとして存在するため、用紙交換ジョブ50自体の削除、並びに、用紙サイズの変更といった操作が可能である。
【0082】
図12は用紙交換ジョブを使用して、印刷ジョブの印刷を行うときの処理手順を表した一例のフローチャートである。なお、図12では実運用上、多くのパターンが存在するために、前述した具体例で説明する。
【0083】
ステップS21において、用紙交換ジョブ制御部34はWebユーザインタフェース部31を介して、作業者から用紙交換前後の用紙サイズの指定を受け付け、用紙交換ジョブ50を生成する。ここでは、用紙交換前の用紙サイズがA4、用紙交換後の用紙サイズがA3の例を説明する。
【0084】
ステップS22において、印刷文書入力部32はユーザクライアント1から印刷ジョブの印刷要求を受信する。ここでは作業者から「ジョブ1」から「ジョブ10」の印刷要求を受信した例を説明する。なお、奇数番目の印刷ジョブはA4用紙印刷が印刷条件として指定されているとする。偶数番目の印刷ジョブはA3用紙印刷が印刷条件として指定されているとする。
【0085】
ステップS23において、図10のフローチャートに示した処理手順でA4用紙印刷の5つの印刷ジョブは用紙交換ジョブ50の前にキューイングされる。また、A3用紙印刷の5つの印刷ジョブは用紙交換ジョブ50の後にキューイングされる。
【0086】
ステップS24において、作業者はプリンタ装置13の給紙部に用紙交換前の用紙サイズであるA4用紙をセットする。プリンタインタフェース部37はプリンタ装置13から給紙部にA4用紙がセットされたことを通知される。
【0087】
プリンタ装置13から給紙部にA4用紙がセットされたことを通知されると、プリンタインタフェース部37は用紙交換ジョブ50の前にキューイングされたA4用紙印刷の5つの印刷ジョブを実行する。つまり、A4用紙印刷の5つの印刷ジョブはプリンタ装置13によって印刷が実行される。
【0088】
A4用紙印刷の5つの印刷ジョブの印刷が終了すると、プリンタ装置13による印刷は中断する。ステップS26において、用紙交換通知部35は用紙交換ジョブ50の処理順序が来ると、作業者に対して、A4用紙からA3用紙への用紙交換作業を促す用紙交換通知を行う。
【0089】
ステップS27において、作業者はプリンタ装置13の給紙部に用紙交換後の用紙サイズであるA3用紙をセットする。つまり、作業者はプリンタ装置13の給紙部にセットされていたA4用紙をA3用紙に変更する。プリンタインタフェース部37はプリンタ装置13から給紙部にA3用紙がセットされたことを通知される。プリンタインタフェース部37はプリンタ装置13との通信を定期的に行い、プリンタ装置13から給紙部にA3用紙がセットされたことを通知される。
【0090】
ステップS28において、用紙交換ジョブ制御部34はプリンタ装置13の給紙部にA3用紙がセットされると、用紙交換ジョブ50を削除する。プリンタインタフェース部37は用紙交換ジョブ50の後にキューイングされたA3用紙印刷の5つの印刷ジョブを実行する。つまり、A3用紙印刷の5つの印刷ジョブはプリンタ装置13によって印刷が実行される。
【0091】
本発明によれば、どの用紙サイズから、どの用紙サイズへの交換かを作業者に促す用紙交換ジョブ50を生成し、ジョブ列の中の一ジョブとして処理することで、用紙交換作業を低減することができる。用紙交換ジョブ50はジョブの扱いとなる為、キューイングされたジョブ列の中の任意の位置に割り込ませることもできる。用紙交換ジョブ50は、用紙交換前後の印刷ジョブが印刷する用紙サイズ情報を保持している。用紙交換ジョブ50は作業者に用紙交換を行わせる為に実行されるジョブである。
【0092】
したがって、用紙交換ジョブ50の前にキューイングされている印刷ジョブ群が保持する用紙サイズ情報と、用紙交換ジョブ50の後にキューイングされている印刷ジョブ群が保持する用紙サイズ情報とが異なっていたとしても、本発明では用紙交換ジョブ50を実行することにより作業者に用紙交換作業が促される。
【0093】
用紙交換作業が行われると、プリンタ装置13の給紙部にセットされている用紙サイズ情報と、用紙交換ジョブ50の後にキューイングされている印刷ジョブ群の保持する用紙サイズ情報とは合致する。また、用紙交換ジョブ50は、ジョブ列の中の任意の位置に割り込ませることができる。したがって、複数の印刷ジョブを実行する場合において、予め用紙サイズの異なる印刷ジョブを印刷することが分かっている時は、用紙交換作業が発生する印刷ジョブの前に用紙交換ジョブ50を割り込ませることで、作業者により用紙交換作業が行われることになる。
【0094】
また、本発明によれば、プリンタ装置の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致していない用紙サイズアンマッチが発生していても、印刷ジョブをジョブ列にキューイングできる。
【0095】
このように、本発明では、用紙交換作業の回数を低減する為に、印刷ジョブの処理順序が自動で変更され、印刷ジョブの処理順序の変更を作業者が行う必要が無くなる。作業者は用紙交換作業を用紙交換通知のタイミングで実施できるようになる。本発明では、用紙サイズアンマッチが発生していても、印刷ジョブをキューイングでき、印刷システム全体の印刷ジョブの処理効率の向上が期待できる。
【0096】
なお、実施例1では用紙交換ジョブ50を一例として説明したが、用紙交換に限るものではない。例えば用紙交換ジョブ50と同様な仕組みにより、フィニッシャ交換ジョブなども実現できる。フィニッシャ交換ジョブは、パンチ穴あけ機能を利用する印刷ジョブからステープル機能を利用する印刷ジョブに切り替わるタイミングで、パンチ穴あけ機能を実行するプロパンチャと、ステープル機能を実行するステープラとの交換を、作業者に促すことができる。
【実施例2】
【0097】
作業者が行わなければならない印刷ジョブに付随する補助作業は、実施例1に示した用紙交換の他、前処理や後処理など、増加してきている。作業者は用紙、前処理、後処理などの切り替えを、印刷のスケジュールを考慮しつつ、効率的及び正確に行わなければならない。実施例1は補助作業内容を用紙交換ジョブ50で作業者に通知していた。実施例2は補助作業内容を作業者に通知する他の実施例である。
【0098】
図13はプリントサーバの他の例の処理ブロック図である。なお、システム構成図及びプリントサーバ12Aは実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
プリントサーバ12Aは印刷管理プログラムが搭載されている。なお、プリントサーバ12Aは印刷管理プログラムを実行することで、Webユーザインタフェース部31、印刷文書入力部32、プリンタ割り当て部33、データベース管理部36、プリンタインタフェース部37、印刷時間算出部100、印刷補助情報編集部101、印刷補助情報通知部102、スケジュールビュー表示部103を実現する。
【0100】
Webユーザインタフェース部31、印刷文書入力部32は図3のプリントサーバ12と同様であるため、説明を省略する。データベース管理部36は例えば印刷ジョブテーブル41、印刷スケジュールテーブル42、プリンタテーブル43、用紙テーブル44を有する。
【0101】
データベース管理部36は、印刷文書入力部32、プリンタ割り当て部33、プリンタインタフェース部37、印刷時間算出部100、印刷補助情報編集部101などからの依頼を受けて、印刷ジョブテーブル41、印刷スケジュールテーブル42、プリンタテーブル43、用紙テーブル44への書き込みを行う。
【0102】
印刷ジョブテーブル41は、ユーザクライアント1から受信した印刷ジョブの情報を保持するためのテーブルである。なお、印刷ジョブテーブル41の詳細は図14を用いて後述する。印刷スケジュールテーブル42は印刷ジョブテーブル41に情報が保持された各印刷ジョブの印刷予定のプリンタ装置13、現時点での各印刷ジョブの状態、用紙交換ジョブテーブル45に情報が保持された用紙交換ジョブの状態等を保持するためのテーブルである。印刷スケジュールテーブル42の詳細は図15を用いて後述する。プリンタテーブル43、用紙テーブル44は図3のプリントサーバ12と同様であるため、説明を省略する。
【0103】
プリンタインタフェース部37はプリンタ装置13との通信を制御する。プリンタインタフェース部37は、プリンタ装置13から印刷ジョブの完了が通知される都度、ジョブスケジュールテーブル42を参照し、次に印刷予定の印刷ジョブを検索する。次に印刷予定の印刷ジョブが検索されると、プリンタインタフェース部37は印刷ジョブテーブル41から印刷ジョブの詳細を取得する。
【0104】
プリンタインタフェース部37は取得した印刷ジョブの詳細に基づき、印刷文書入力部32にある印刷ジョブをプリンタ装置13へ送信する。プリンタインタフェース部37は各プリンタ装置13から所定間隔で送信される状態の情報を受信する。また、プリンタインタフェース部37は状態の変化したプリンタ装置13について、データベース管理部36に依頼して、プリンタテーブル43が保持するプリンタ装置13の状態を新たな状態に置き換えさせる。
【0105】
さらに、プリンタインタフェース部37は各プリンタ装置13の状態から各印刷ジョブの状態を割り出し、データベース管理部36に依頼して、印刷スケジュールテーブル42が保持する各印刷ジョブの状態を更新させる。
【0106】
プリンタ割り当て部33は図3に示したプリントサーバ12と同様であるため、説明を省略する。印刷時間算出部100はプリンタ装置13で実行される印刷ジョブの印刷時間を算出する。
【0107】
印刷補助情報編集部101はデータベース管理部36の印刷ジョブテーブル41に含まれる「ジョブの補助作業についての情報」の編集を行う。印刷補助情報編集部101はWebユーザインタフェース部31を介して、作業者から印刷ジョブテーブル41に含まれる「ジョブの補助作業についての情報」の編集を受け付ける。
【0108】
印刷補助情報通知部102は印刷ジョブテーブル41に含まれる「ジョブの補助作業についての情報」が編集された印刷ジョブの処理順序が来たら、印刷ジョブをプリンタ装置13に送信する前に、Webユーザインタフェース部31を介して、作業者に補助作業内容を通知する。
【0109】
スケジュールビュー表示部103は、ジョブグラフ表示部111、時間スケール表示部112、ガイドバー表示部113、処理中ジョブ情報表示部114、プリンタ状態表示部115を有する。スケジュールビュー表示部103は作業者が操作を行う画面の表示を担当する。スケジュールビュー表示部103は後述のようなスケジュールビュー画面を表示する。スケジュールビュー表示部103はデータベース管理部36の各テーブルから必要事項を読み出して後述のスケジュールビュー画面を表示する。
【0110】
図14は印刷ジョブテーブルの他の例の構成図である。図14の印刷ジョブテーブル41は図8の印刷ジョブテーブル41の項目に、ジョブの補助作業についての情報を内容とする項目が追加されている。
【0111】
図15は印刷スケジュールテーブルの一例の構成図である。印刷スケジュールテーブル42はジョブID、ジョブのステータス、進捗情報、待機中の理由、ジョブを印刷しているプリンタ、印刷完了予測時間、印刷時間を内容とする項目を有する。
【0112】
図16はスケジュールビュー画面の一例のイメージ図である。スケジュールビュー画面200は各プリンタ装置13に割り当てられた印刷ジョブ(処理中ジョブ)の情報を表示する欄201と、印刷ジョブに付随する補助作業があることを示す補助作業アイコン202と、印刷ジョブをプリンタ装置13に送信可能となったあと、印刷ジョブをプリンタ装置13に送信する前に、作業者に補助作業内容を通知するための補助作業内容通知画面203とを含む構成である。補助作業内容通知画面203は、作業者が補助作業を行ったあとで、印刷ジョブをプリンタ装置13に送信するためのボタン204が含まれる。
【0113】
図17はスケジュールビュー画面を表示して印刷ジョブをプリンタ装置に送信する処理の一例のフローチャートである。ステップS51において、プリンタ割り当て部33は印刷ジョブをプリンタ装置13にスケジュールする。
【0114】
ステップS52において、処理中ジョブ情報表示部114は印刷スケジュールテーブル42が保持する印刷時間に基づき、印刷時間に比例する長さを持つ形状で印刷ジョブの情報を表示する欄201を表示する。
【0115】
ステップS53において、処理中ジョブ情報表示部114は、印刷ジョブテーブル41が保持する「ジョブの補助作業についての情報」が編集されているか、言い換えれば印刷ジョブに補助作業内容が付加されているかを判定する。
【0116】
印刷ジョブに補助作業内容が付加されていなければ、印刷ジョブは処理順序が来たらステップS58において、プリンタ装置13に送信される。一方、印刷ジョブに補助作業内容が付加されていれば、ステップS54において、処理中ジョブ情報表示部114は印刷ジョブの情報を表示する欄201の近傍に、印刷ジョブに付随する補助作業があることを示す補助作業アイコン202を表示する。
【0117】
ステップS55において印刷ジョブがプリンタ装置13で印刷する順番になると、処理中ジョブ情報表示部114はステップS56において、作業者に補助作業内容を通知するための補助作業内容通知画面203を表示する。
【0118】
ステップS57においてボタン(印刷開始ボタン)204が押下されると、プリンタインタフェース部37は印刷ジョブをプリンタ装置13に送信して印刷ジョブの印刷を開始させる。
【0119】
図18は補助作業内容を編集する処理の一例のフローチャートである。ステップS61において、印刷補助情報編集部101はWebユーザインタフェース部31を介して作業者から補助作業内容を付加する印刷ジョブの選択を受け付ける。
【0120】
ステップS62において、印刷補助情報編集部101はWebユーザインタフェース部31を介して、作業者から印刷ジョブに付加する補助作業内容の入力を受け付ける。印刷補助情報編集部101は例えば図19に示すような補助作業内容編集画面300を表示して作業者から印刷ジョブに付加する補助作業内容の入力を受け付ける。
【0121】
ステップS64において、印刷補助情報編集部101はWebユーザインタフェース部31を介して補助作業内容を印刷するか否かの選択を受け付ける。補助作業内容を印刷するか否かの選択は例えば補助作業内容編集画面300から選択可能である。補助作業内容の印刷を選択すると、作業者は補助作業内容の印刷を行うことができる。
【0122】
ステップS64において、印刷補助情報編集部101は補助作業内容編集画面300から受け付けた補助作業内容を印刷ジョブテーブル41が保持する「ジョブの補助作業についての情報」に登録する。
【0123】
図19は補助作業内容編集画面の一例のイメージ図である。図19の補助作業内容編集画面300は、作業者から印刷ジョブに付加する補助作業内容の入力を受け付ける補助作業内容入力欄301と、補助作業内容の印刷の有無を選択するチェックボックス302とを有する。
【0124】
本発明によれば、スケジュールビュー画面200上で印刷ジョブを選択して補助作業内容を付加することができる。補助作業内容を付加した印刷ジョブはスケジュールビュー画面200上で印刷ジョブの情報を表示する欄201の近傍に、補助作業アイコン202を表示することで、補助作業の付随する印刷ジョブであることを容易に認識できる。
【0125】
補助作業の付随する印刷ジョブがプリンタ装置13に送信される順番になると、補助作業内容はスケジュールビュー画面200の前面に表示される補助作業内容通知画面203に表示される。したがって、作業者は印刷ジョブをプリンタ装置13に送信する直前に印刷ジョブに付随する補助作業内容を容易に確認できる。
【0126】
補助作業を要する印刷ジョブがプリンタ装置13に送信される順番が来ても、プリントサーバ12Aは作業者の補助作業が終了するまで、その印刷ジョブ以降にスケジュールされている印刷ジョブの送信を停止するため、プリンタ装置13を占有することなく効率的に印刷ジョブの補助作業を行うことができる。
【0127】
なお、実施例1と実施例2とは組み合わせて実施することもできる。本発明は具体的に開示された実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0128】
特許請求の範囲に記載したスケジュール手段はプリンタ割り当て部33に相当する。能力変更ジョブ生成手段は用紙交換ジョブ制御部34に相当する。能力変更通知手段は用紙交換通知部35に相当する。編集手段は印刷補助情報編集部101に相当する。通知手段は印刷補助情報通知部102に相当する。また、印刷管理装置はプリントサーバ12に相当する。
【符号の説明】
【0129】
1 ユーザクライアント
2 印刷システム
3、14 ネットワーク
11 管理クライアント
12、12A プリントサーバ
13 プリンタ装置
20 PC
21 入力装置
22 出力装置
23 記録媒体読取装置
24 補助記憶装置
25 主記憶装置
26 演算処理装置
27 インタフェース装置
28 記録媒体
29 バス
31 Webユーザインタフェース部
32 印刷文書入力部
33 プリンタ割り当て部
34 用紙交換ジョブ制御部
35 用紙交換通知部
36 データベース管理部
37 プリンタインタフェース部
41 印刷ジョブテーブル
42 印刷スケジュールテーブル
43 プリンタテーブル
44 用紙テーブル
45 用紙交換ジョブテーブル
50 用紙交換ジョブ
100 印刷時間算出部
101 印刷補助情報編集部
102 印刷補助情報通知部
103 スケジュールビュー表示部
111 ジョブグラフ表示部
112 時間スケール表示部
113 ガイドバー表示部
114 処理中ジョブ情報表示部
115 プリンタ状態表示部
200 スケジュールビュー画面
201 印刷ジョブ(処理中ジョブ)の情報を表示する欄
202 補助作業アイコン
203 補助作業内容通知画面
204 ボタン
300 補助作業内容編集画面
301 補助作業内容入力欄
302 チェックボックス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開平9−185473号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
画像形成装置に設定される印刷能力と一致する印刷ジョブを該画像形成装置にスケュールするスケジュール手段、
前記画像形成装置の印刷能力を変更する指示を含んだジョブを生成する能力変更ジョブ生成手段、として機能させ、
前記スケジュール手段は、前記能力変更ジョブ生成手段が生成した能力変更ジョブを前記画像形成装置にスケジュールした場合、前記能力変更ジョブにより変更される印刷能力と一致する印刷ジョブを、前記能力変更ジョブの後にスケジュールさせることを特徴とする印刷管理プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、更に、
前記能力変更ジョブの処理順序が来ると、能力変更作業を促す能力変更通知を行う能力変更通知手段、
として機能させることを特徴とする請求項1記載の印刷管理プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、更に、
前記印刷ジョブに付随する補助作業内容を追加するように前記印刷ジョブの情報を作業者に編集させる編集手段、
前記補助作業内容が追加された前記印刷ジョブの処理順序が来ると、前記印刷ジョブを前記プリンタ装置に送信する前に、前記印刷ジョブに付随する補助作業内容を前記作業者に通知する通知手段、
として機能させる請求項1記載の印刷管理プログラム。
【請求項4】
前記編集手段は、前記印刷ジョブのスケジュールを表示する画面上で、前記補助作業内容が追加されている前記印刷ジョブと対応付けて、補助作業があることを示す
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷管理プログラム。
【請求項5】
画像形成装置に設定される印刷能力と一致する印刷ジョブを該画像形成装置にスケュールするスケジュール手段と、
前記画像形成装置の印刷能力を変更する指示を含んだジョブを生成する能力変更ジョブ生成手段と、を有し、
前記スケジュール手段は、前記能力変更ジョブ生成手段が生成した能力変更ジョブを前記画像形成装置にスケジュールした場合、前記能力変更ジョブにより変更される印刷能力と一致する印刷ジョブを、前記能力変更ジョブの後にスケジュールさせる
ことを特徴とする印刷管理装置。
【請求項6】
コンピュータによって実行される印刷管理方法であって、
前記コンピュータが、
画像形成装置に設定される印刷能力と一致する印刷ジョブを該画像形成装置にスケュールするスケジュールステップと、
前記画像形成装置の印刷能力を変更する指示を含んだジョブを生成する能力変更ジョブ生成ステップと、を実行し、
前記スケジュールステップは、前記能力変更ジョブ生成ステップで生成した能力変更ジョブを前記画像形成装置にスケジュールした場合、前記能力変更ジョブにより変更される印刷能力と一致する印刷ジョブを、前記能力変更ジョブの後にスケジュールさせる
ことを特徴とする印刷管理方法。
【請求項7】
印刷管理装置と画像形成装置とを有する印刷システムであって、
前記印刷管理装置は、
画像形成装置に設定される印刷能力と一致する印刷ジョブを該画像形成装置にスケュールするスケジュール手段と、
前記画像形成装置の印刷能力を変更する指示を含んだジョブを生成する能力変更ジョブ生成手段と、を有し、
前記スケジュール手段は、前記能力変更ジョブ生成手段が生成した能力変更ジョブを前記画像形成装置にスケジュールした場合、前記能力変更ジョブにより変更される印刷能力と一致する印刷ジョブを、前記能力変更ジョブの後にスケジュールさせる
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
コンピュータにより実行可能な請求項1に記載の印刷管理プログラムと、画像形成装置とを有することを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−181775(P2012−181775A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45638(P2011−45638)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】