説明

印刷装置、その印刷装置におけるデータ制御方法およびプログラム

【課題】再印刷する際に印刷データが既に削除されていることを低減する印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、第一の状態で印刷を実行できる場合に、第一の状態で印刷データに基づく印刷を実行し、第一の状態で印刷を実行できない場合に、第一の状態とは異なる第二の状態で印刷データに基づく印刷を実行する。そして、印刷装置は、所定の条件に合致する印刷データを削除する場合に、第一の状態で印刷された印刷データのうち所定の条件に合致する印刷データを削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再印刷を行う印刷装置、その印刷装置におけるデータ制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置内に印刷データを保存しておき、PCから再度の送信をすることなく再印刷が可能なリプリント(再印刷)処理が知られている。そのリプリント処理において、印刷装置は、記憶された印刷データを順次蓄積していくが、保存されている印刷データの総容量が格納のための記憶容量を超えた場合には、古いデータから順次削除して空き容量を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−171617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷データにはデータ受信時の印刷において強制印刷によって印刷されたものがある。例えば、レターサイズの用紙に印刷するように指定された印刷データが印刷装置内にレター用紙がない場合に代替えとしてA4用紙で印刷された場合である。また、トナー残量が少なく警告が出ている状態でトナーの補充を行わずにそのまま印刷されたりする場合である。そのような場合に、ユーザが印刷結果に問題があると判断すると、レター用紙を印刷装置にセットしたりトナーを補充した後に再度印刷が行われる。そのようなことから、強制印刷された印刷データは、通常の再印刷のために保存された印刷データよりも、再印刷される頻度が極めて高いといえる。また、ユーザも印刷結果を取得したり用紙補充やトナー交換のために機器の設置場所に移動しているので、再印刷時には印刷装置から印刷指定を行うことができるリプリント機能を使用する場合が多い。
【0005】
また、印刷データを印刷装置内に一時保存し、ユーザ認証することによって印刷可能とするセキュアプリントにおいて、通常、印刷後に印刷装置内に保存された印刷データは印刷後に破棄される。しかしながら、強制印刷が発生した場合には、セキュアプリントにおいてもユーザが再印刷を行う可能性が高いといえる。また、コピーにおいて、再印刷に備えて画像データを一時保存しておく場合についても上記と同様のことがいえる。
【0006】
特許文献1のように、通常、再印刷用に保存されたデータは記憶領域の空き容量が少なくなると、古い印刷データから順に削除されていく。しかしながら、そのように古い順に削除する方法では、リプリント対象になる可能性が高い印刷データも他の印刷データと同じように、古い順に削除されてしまう。その結果、リプリントする際には既に印刷データが削除されていたという状況を引き起こしてしまう。
【0007】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。本発明は、上記の点に鑑み、再印刷する際に印刷データが既に削除されていることを低減する印刷装置、その印刷装置におけるデータ制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る印刷装置は、印刷データに基づく印刷を実行した後に、記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づいて再印刷可能な印刷装置であって、
第一の状態で印刷を実行できる場合に、前記第一の状態で印刷データに基づく印刷を実行し、前記第一の状態で印刷を実行できない場合に、前記第一の状態とは異なる第二の状態で印刷データに基づく印刷を実行する印刷手段と、
削除すべき印刷データを特定する所定の条件に従って、前記記憶手段に記憶されている印刷データのうち、前記所定の条件に合致する印刷データを特定する特定手段と、
前記第一の状態で印刷された印刷データのうち前記所定の条件に合致する印刷データを削除する削除手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る印刷装置は、印刷データに基づく印刷を実行した後に、記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づいて再印刷可能な印刷装置であって、
前記記憶手段の空き容量が閾値以下であるか否かを判定する容量判定手段と、
前記容量判定手段により前記空き容量が閾値以下であると判定された場合に、前記記憶手段に記憶されている印刷データのうち、最も過去に記憶された印刷データが、指定された設定と異なる設定に従って強制的に印刷された強制印刷データであるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記強制印刷データでないと判定された場合に、前記最も過去に記憶された印刷データを削除する第1の削除手段と、
前記第1の判定手段により前記強制印刷データであると判定された場合に、前記記憶手段に記憶されている印刷データが全て前記強制印刷データであるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により全て前記強制印刷データであると判定された場合に、前記最も過去に保持された印刷データを削除し、前記第2の判定手段により全てが前記強制印刷データではないと判定された場合に、前記強制印刷データではない印刷データのうち最も過去に記憶された印刷データを削除する第2の削除手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、再印刷する際に印刷データが既に削除されていることを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】強制印刷発生時の印刷処理を説明するための図である。
【図2】リプリントのために保存されるリプリント用の印刷データを示す図である。
【図3】印刷装置の制御部の概略構成を示す図である。
【図4】リプリント処理の手順を示す図である。
【図5】印刷データの保存処理の手順を示す図である。
【図6】印刷データの削除処理の手順を示す図である。
【図7】記憶領域に保存されるセキュアプリント用の印刷データを示す図である。
【図8】セキュア印刷処理の手順を示す図である。
【図9】コピー処理の手順を示す図である。
【図10】画像データの保存処理の手順を示す図である。
【図11】画像データの保存処理の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0013】
[実施例1]
図1は、本実施例における強制印刷発生時の印刷処理を説明するための図である。以下、レター用紙で印刷指定された場合において、レター用紙が印刷装置内になく、A4用紙に強制的に印刷された場合を説明する。PCが、ユーザによる印刷指示に従って印刷データを送信した後(1)に、印刷装置は、指定されたレター用紙が印刷装置になかったと判定する(2)。すると、印刷装置は、例えばA4用紙に対して印刷データを強制印刷する(3)。ユーザは、その印刷物を印刷装置に取りに行くかPC上で印刷結果を確認することによって、印刷がA4用紙で行われたことを知る。印刷データは再印刷(リプリント)用に印刷装置に保存される。本実施例においては、強制印刷が行われた印刷データ(強制印刷データ)が削除される順位を低くする(4)。ユーザによってレター用紙が印刷装置内にセットされると(5)、印刷装置は保存しておいた印刷データを再印刷する(6)。本実施例においては、強制印刷が行われた場合に印刷データが削除される順位を低くして次の印刷データが受信された場合でも印刷データが削除されにくくするので、印刷データが再印刷できない状況を低減することができる。
【0014】
図2は、リプリントのために保存された印刷データを示す図である。リプリント用の印刷データは印刷装置内の記憶領域に格納され、リプリント用の印刷データ管理テーブルにより管理される。印刷データ管理テーブルは、印刷データ名、印刷データを受信した時間を含んでいる。また、印刷データ管理テーブルは、強制印刷が行われたか否かを示すフラグ(強制印刷フラグ)、印刷データ格納先へのポインタ、削除する印刷データを決定する際に既に一度検索済みか否かを示すフラグ(検索済みフラグ)を含んでいる。ここで、強制印刷フラグは、強制印刷が行われた場合にONとされる。また、検索済みフラグは、検索対象になったが強制印刷フラグがONのため削除対象にならなかった場合にONとされる。後述するが、検索済みフラグは、全ての格納データを検索したか否かの判定を行う場合に用いられる。
【0015】
図3は、印刷装置の制御部の概略構成を示す図である。本実施例における印刷装置は、印刷データに基づく印刷を実行した後に、記憶されている印刷データに基づいて再印刷可能である。本体301は、印刷装置300のコントローラボードの本体を示す。印刷装置300における一連の処理手順は、ROM305またはハードディスク307内にプログラムとして格納されており、CPU302がそのプログラムを読み出して実行することにより実現される。ネットワークインターフェイス部303は、外部とのネットワーク通信を行う。PDLデータは、ネットワークインターフェイス部303を介して通信される。ネットワークインターフェイス部303は、外部の装置と暗号化通信を行うことができる。NVRAM304は、EEPROM等の不揮発性メモリである。NVRAM304には、不図示の操作パネルで指定されたパネル設定値が記憶される。RAM306は、CPU302の実行時には記憶領域として用いられる。ハードディスク307に動作プログラムが格納されている場合には、CPU302はそのプログラムをRAM上に展開して実行する。ハードディスク307は、印刷データや印刷装置300を動作させるためのプログラム等を格納する。図2に示すリプリント用の印刷データ管理テーブルは、RAM306かハードディスク307に格納される。図2に示す記憶領域は、RAM306かハードディスク307に設けられる。印刷装置300の電源が一度オフした後も印刷データのリプリントができるようにするためには、印刷データ管理テーブルはハードディスク307に格納され、記憶領域はハードディスク307に設けられる。出力インタフェース308は、記録ヘッド等の印刷を行う印刷機構部309とのインタフェースである。
【0016】
図4は、本実施例におけるリプリント処理の手順を示すフローチャートである。図4に示す各ステップは、例えば、印刷装置300のCPU302により実行される。CPU302は、外部のPC等から印刷データを受信する(S401)。CPU302は、受信した印刷データを記憶領域に保存し、印刷データを図2に示す印刷データ管理テーブルに登録する(S402)。次に、CPU302は、受信した印刷データに基づき、印刷処理を行う(S403)。CPU302は、印刷処理中に強制印刷が行われたか否かを判定する(S404)。ここで、強制印刷とは、指定された設定に従って印刷できない場合に、指定された設定とは異なる設定で印刷することである。例えば、レター用紙が指定されていたにも関わらずレター用紙が印刷装置内になく、A4用紙に印刷データを印刷することである。強制印刷が行われたと判定された場合には、CPU302は、図2に示す印刷データ管理テーブルに登録した印刷データについて、強制印刷フラグをONとする(S405)。次に、ユーザによってエラー復帰処理が行われる。例えば、本実施例においては、レター用紙の補給が行われる。CPU302はエラー復帰処理が行われたことを検知する(S406)。その後、CPU302は、リプリント指示が行われたか否かを判定する(S407)。ここで、リプリント指示が行われたと判定された場合には、CPU302は、保存された印刷データを用いてリプリント処理を行う(S409)。リプリント処理の終了後、CPU302は、リプリント指示された印刷データに対応する強制印刷フラグをOFFにする(S410)。一方、予め定められた時間、リプリント指示が行なわれなかった場合には、CPU302は、強制印刷フラグをOFFにする(S408)。
【0017】
図5は、本実施例における印刷データの削除処理(データ制御処理)の手順を示すフローチャートである。図5は、図4のS402に対応する。図5に示す各ステップは、例えば、印刷装置300のCPU302により実行される。CPU302は、印刷データ管理テーブル内の各印刷データについて検索済みフラグをOFFにする(S501)。CPU302は、受信した印刷データを記憶領域に保存した場合に記憶領域に保存される印刷データの容量が予め定められた閾値を超えるか否かを判定する(S502:容量判定の一例)。ここで、予め定められた閾値を超えると判定された場合には、CPU302は、印刷データ管理テーブルから受信時間が最も古い(過去の)印刷データを検索する(S503)。次に、検索で特定した印刷データについて強制印刷フラグがONであるかOFFであるかを判定する(S504:第1の判定の一例)。ここで、OFFであると判定された場合には、CPU302は、検索で特定した印刷データを削除する(S508)。印刷データの削除後、CPU302は、S401において受信された印刷データを、古い印刷データの削除により空いた記憶領域に格納する(S509)。S502において、容量が閾値以下であると判定された場合には、CPU302は、S401において受信された印刷データを記憶領域に格納する(S509)。S509では、図2に示す印刷データ管理テーブルへの印刷データの登録も行われる。
【0018】
一方、S504において、強制印刷フラグがONであると判定された場合に、CPU302は、その印刷データについて検索済みフラグをONとして、次に受信時間が古い印刷データを検索する(S505)。CPU302は、全ての印刷データについて検索されたか否かを判定する(S506:第2の判定の一例)。その判定は、全ての印刷データについて検索済みフラグがONであれば、検索されたと判定する。ここで、全ての印刷データについて検索されていないと判定された場合には、CPU302は、S505において特定した印刷データについてS504の処理を行う。一方、全ての印刷データについて検索されたと判定された場合には、CPU302は、再度、受信時間が最も古い印刷データを検索する(S507)。最初の検索時に、受信時間が最も古い印刷データに別途フラグを立てておくか、受信時間が最も古い印刷データに該当する印刷データ管理テーブル内のアドレスを記憶するようにして、再度検索処理を行わないようにしても良い。CPU302は、S507で特定した印刷データを削除する(S508)。その場合には、強制印刷が行われた印刷データが削除される(第2の削除の一例)。S504において、強制印刷フラグがOFFであると判定された場合には、CPU302は、S505で特定した印刷データを削除する(S508)。その場合には、強制印刷フラグがOFFである印刷データを削除する(第1の削除の一例)
以上のように、本実施例においては、強制印刷が行われて記憶領域に格納された印刷データが印刷履歴の最も古い印刷データであっても、その次に印刷履歴が古い印刷データが強制印刷が行われていない場合には、削除の対象とならない。従って、強制印刷が行われた印刷データをリプリントする際に、その印刷データが既に削除されていたという状況を低減することができる。
【0019】
[実施例2]
図6は、本実施例における印刷データの保存処理の手順を示すフローチャートである。図6では、印刷データを記憶領域に格納した後、記憶領域の空き容量が一定値以下になった場合に印刷データの削除処理を行う。図6は、図4のS402に対応する。図6に示す各ステップは、例えば、印刷装置300のCPU302により実行される。まず、CPU302は、受信した印刷データを記憶領域に格納する(S601)。S601では、印刷データ管理テーブルへの印刷データの登録も行われる。CPU302は、記憶領域の空き容量が一定値以下であるか否かを判定する(S602)。ここで、空き容量が一定値以下でないと判定された場合には、本処理を終了する。
【0020】
一方、空き容量が一定値以下であると判定された場合に、CPU302は、印刷データ管理テーブルから、受信時間が最も古い印刷データを検索する(S603)。CPU302は、検索で特定した印刷データについて、強制印刷フラグがONであるかOFFであるかを判定する(S604)。ここで、OFFであると判定された場合には、CPU302は、検索で特定した印刷データを削除する(S609)。印刷データの削除後、CPU302は、記憶領域の空き容量が一定値以下であるか否かを判定する(S610)。ここで、一定値以下であると判定された場合には、S603に戻る。一方、一定値以下でないと判定された場合には、CPU302は、印刷データ管理テーブル内の各印刷データについて検索済みフラグをOFFにする(S611)。
【0021】
S604において、強制印刷フラグがONであると判定された場合に、CPU302は、検索で特定した印刷データについて検索済みフラグがONであるかOFFであるかを判定する(S605)。ここで、OFFであると判定された場合には、CPU302は、その印刷データについて、検索済みフラグをONとする(S606)。そして、CPU302は、次に受信時間が古い印刷データを検索して(S607)、S604の処理を行う。
【0022】
S605において、検索済みフラグがONであると判定された場合には、CPU302は、強制印刷された印刷データの中で受信時間が最も古い印刷データを検索する(S608)。図6において、S602における一定値と、S610における一定値は同じであっても良いし、または、S610における一定値の方が大きくても良い。両者の値が同じ場合には、多くの印刷データを保存することができるが、次の印刷データが来た場合に、すぐに次の削除処理が行われる場合がある。一方、S610における一定値の方が大きい場合には、次の削除処理を行うまでの時間を多く確保することができる。
【0023】
[実施例3]
セキュアプリントの場合においても、強制印刷が行われると、再印刷される可能性が高い。従って、一定時間の間もしくは再印刷されるまで印刷データを保存するか、または、ユーザに対して削除するか否かを指示させる。
【0024】
図7は、記憶領域に保存されるセキュアプリント用の印刷データを示す図である。セキュアプリント用の印刷データは、印刷装置300内の記憶領域に格納され、セキュアプリント用の印刷データ管理テーブルにより管理される。印刷データ管理テーブルは、印刷データ名、受信した時間、印刷データ格納先へのポインタ、パスワード、実際に印刷された時刻を含む。また、印刷データは暗号化されて記憶領域に格納される。
【0025】
図8は、本実施例におけるセキュア印刷処理の手順を示すフローチャートである。図8に示す各ステップは、例えば、印刷装置300のCPU302により実行される。まず、CPU302は、セキュアプリント用の印刷データを外部のPC等から受信する(S801)。CPU302は、受信した印刷データを図7に示す記憶領域に保存し、印刷データを図7に示す印刷データ管理テーブルに登録する(S802)。次に、CPU302は、ユーザからパスワードを入力する(S803)。
【0026】
CPU302は、入力したパスワードに従ってセキュアプリント処理を行い(S804)、印刷処理中に強制印刷が行われたか否かを判定する(S805)。ここで、強制印刷が行われていないと判定された場合には、印刷終了後、図7に示す記憶領域から印刷データを削除する(S808)。一方、強制印刷が行われたと判定された場合には、ユーザに対して、印刷データの保持を行うか否かを指示させるための画面を表示する(S806)。
【0027】
CPU302は、ユーザより印刷データを保持する指示を受け付けたか否かを判定する(S807)。ここで、ユーザより印刷データを保持する指示を受け付けなかったと判定された場合には、S808に進む。一方、ユーザより印刷データを保持する指示を受け付けたと判定された場合には、CPU302は、印刷データを削除せずに、印刷データの保存を示すメッセージを表示する(S809)。
【0028】
次に、ユーザによってエラー復帰処理が行われる。本実施例においては、例えばレター用紙の補給が行われる。CPU302はエラー復帰処理が行われたことを検知する(S810)。その後、CPU302は、ユーザによりリプリント指示が行われたか否かを判定する(S811)。ここで、リプリント指示が行われたと判定された場合には、CPU302は、リプリント処理を行い(S812)、リプリント終了後、図4に示す記憶領域から印刷データを削除する(S813)。一方、リプリント指示が所定期間行われなかったと判定された場合には、CPU302は、図4に示す記憶領域から印刷データを削除する(S814)。リプリント処理では、パスワードをユーザに再度入力させてもよい。
【0029】
[実施例4]
コピーの場合にスキャンを2度行わずにすむように、画像データを保存しておく場合がある。その場合に、画像データを図2に示す印刷データ管理テーブルで管理する。本実施例においては、図2の受信時間を格納時間に読み替える。CPU302は、画像データを記憶領域に格納した時間を格納時間として印刷データ管理テーブルに登録する。コピーの場合には、用紙交換はコピー開始時に指定されるので、再印刷されることは稀であるが、トナーやインクなどの記録材の不足(以下、トナーLOW)などの場合にコピー結果にかすれ等が発生した場合に再印刷が行なわれる可能性がある。
【0030】
図9は、本実施例におけるコピー処理の手順を示すフローチャートである。図9に示す各ステップは、例えば、印刷装置300のCPU302により実行される。まず、CPU302は、コピー処理を実行する(S901)。コピー処理では、CPU302は、画像データをスキャンするよう図2で不図示のスキャナを制御し、スキャンされた画像データを印刷するよう印刷機構部309を制御する。CPU302は、スキャンされた画像データを図2に示す記憶領域に保存し、画像データを図2に示す印刷データ管理テーブルに登録する(S902)。次に、CPU302は、コピー処理中にトナーLOWが表示されたまま、強制印刷が行われたか否かを判定する(S903)。ここで、強制印刷が行われなかったと判定された場合には本処理を終了する。一方、強制印刷が行われたと判定された場合には、CPU302は、図2に示す印刷データ管理テーブルに登録した画像データについて、強制印刷フラグをONにする(S904)。
【0031】
次に、ユーザによってエラー復帰処理が行われる。本実施例においては、例えばトナーの補給が行われる。CPU302はエラー復帰処理が行われたことを検知する(S905)。CPU302は、その後、ユーザにより再印刷指示が行われたか否かを判定する(S906)。ここで、再印刷指示が行われたと判定された場合には、CPU302は、保存された画像データを用いて再印刷を行い(S907)、再印刷指示された画像データに対応する強制印刷フラグをOFFにする(S908)。一方、再印刷指示が行われなかったと判定された場合には、所定期間後、強制印刷フラグをOFFにする(S909)。
【0032】
図10は、本実施例における画像データの保存処理の手順を示すフローチャートである。図10は、図9のS902に対応する。図10に示す各ステップは、例えば、印刷装置300のCPU302により実行される。CPU302は、印刷データ管理テーブル内の各画像データについて検索済みフラグをOFFにする(S1001)。CPU302は、スキャンされた画像データを記憶領域に保存した場合に記憶領域に保存される画像データの容量が予め定められた閾値を超えるか否かを判定する(S1002)。ここで、閾値を超えると判定された場合に、CPU302は、印刷データ管理テーブルから、格納時間の最も古い画像データを検索する(S1003)。CPU302は、検索で特定した画像データの強制印刷フラグがONであるかOFFであるかを判定する(S1004)。ここで、強制印刷フラグがOFFであると判定された場合に、CPU302は、検索で特定した画像データを削除し(S1008)、今回のコピー処理でスキャンされた画像データを、空いた記憶領域に格納する(S1009)。S1009では、図2に示す印刷データ管理テーブルへの画像データの登録も行われる。一方、強制印刷フラグがONであると判定された場合に、CPU302は、次に格納時間が古い画像データを検索する(S1005)。CPU302は、全ての画像データが検索されたか否かを判定する(S1006)。ここで、全ての画像データが検索されていないと判定された場合には、S1005において特定した画像データについてS1004の処理を行う。一方、全ての画像データが検索されたと判定された場合に、CPU302は、再度、格納時間が最も古い画像データを検索する(S1007)。最初の検索時に、格納時間が最も古い印刷データに別途フラグを立てておくか、格納時間が最も古い印刷データに該当する印刷データ管理テーブル内のアドレスを記憶するようにして、再度検索処理を行わないようにしても良い。
【0033】
[実施例5]
図11は、本実施例における画像データの保存処理の手順を示すフローチャートである。図11では、画像データを記憶領域に格納した後に、記憶領域の空き容量が一定値以下になった場合に画像データの削除処理を行う。図11は、図9のS902に対応する。図11に示す各ステップは、例えば、印刷装置300のCPU302により実行される。まず、CPU302は、スキャンされた画像データを記憶領域に格納する(S1101)。S1101では、図2に示す印刷データ管理テーブルへの画像データの登録も行われる。CPU302は、記憶領域の空き容量が一定値以下であるか否かを判定する(S1102)。ここで、一定値以下でないと判定された場合には、本処理を終了する。
【0034】
一方、一定値以下であると判定された場合には、CPU302は、印刷データ管理テーブルから、格納時間の最も古い画像データを検索する(S1103)。次に、CPU302は、検索で特定した画像データの強制印刷フラグがONであるかOFFであるかを判定する(S1104)。ここで、強制印刷フラグがOFFであると判定された場合に、CPU302は、検索で特定した画像データを削除する(S1109)。そして、CPU302は、画像データの削除後、記憶領域の空き容量が一定値以下であるか否かを判定する(S1110)。ここで、一定値以下であると判定された場合には、S1103に戻る。一方、一定値以下でないと判定された場合には、CPU302は、印刷データ管理テーブルの検索済みフラグをOFFにする(S1111)。
【0035】
S1104において強制印刷フラグがONであると判定された場合に、CPU302は、検索で特定した画像データについて検索済みフラグがONであるかOFFであるかを判定する(S1105)。ここで、検索済みフラグがOFFであると判定された場合に、CPU302は、その画像データについて検索済みフラグをONにする(S1106)。CPU302は、次に格納時間が古い画像データを検索して(S1107)、その画像データについて、S1104の処理を行う。S1105において検索済みフラグがONであると判定された場合に、強制印刷が行われた画像データのうち格納手段が最も古い画像データを検索する(S1108)。そして、CPU302は、その画像データを削除する(S1109)。
【0036】
上記で説明したように、実施例1〜5によれば、印刷装置は、第一の状態で印刷を実行できず、第一の状態とは異なる第二の状態で印刷データに基づく印刷を実行した場合に、第二の状態で印刷された印刷データをできるだけ削除しないようにする。これにより、改めて、第一の状態で印刷データに基づく印刷をできるようにする。
【0037】
実施例1〜5は、第一の状態で印刷できない例として、指定された用紙がない場合及び記録材が不足している場合を挙げた。しかしながら、これらの例に限らず、第一の状態とは異なる第二の状態で印刷した場合に、本発明は適用可能である。
【0038】
実施例1〜5では、削除すべき印刷データを特定する所定の条件の一例として、受信時間や格納時間がより古いという条件を挙げた。しかしながら、この例に限らず、データサイズがより大きいという条件に合致する印刷データを、削除すべき印刷データとして決定してもよい。
【0039】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づく印刷を実行した後に、記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づいて再印刷可能な印刷装置であって、
第一の状態で印刷を実行できる場合に、前記第一の状態で印刷データに基づく印刷を実行し、前記第一の状態で印刷を実行できない場合に、前記第一の状態とは異なる第二の状態で印刷データに基づく印刷を実行する印刷手段と、
削除すべき印刷データを特定する所定の条件に従って、前記記憶手段に記憶されている印刷データのうち、前記所定の条件に合致する印刷データを特定する特定手段と、
前記第一の状態で印刷された印刷データのうち前記所定の条件に合致する印刷データを削除する削除手段と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第一の状態とは、指定された設定に従って印刷を実行することであり、前記第二の状態とは、指定された設定とは異なる設定に従って印刷を実行することである、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第一の状態とは、記録材が足りていることであり、前記第二の状態とは、記録材が不足していることである、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記所定の条件に合致する印刷データとは、より古い印刷データである、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷データに基づく印刷を実行した後に、記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づいて再印刷可能な印刷装置であって、
前記記憶手段の空き容量が閾値以下であるか否かを判定する容量判定手段と、
前記容量判定手段により前記空き容量が閾値以下であると判定された場合に、前記記憶手段に記憶されている印刷データのうち、最も過去に記憶された印刷データが、指定された設定と異なる設定に従って強制的に印刷された強制印刷データであるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記強制印刷データでないと判定された場合に、前記最も過去に記憶された印刷データを削除する第1の削除手段と、
前記第1の判定手段により前記強制印刷データであると判定された場合に、前記記憶手段に記憶されている印刷データが全て前記強制印刷データであるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により全て前記強制印刷データであると判定された場合に、前記最も過去に保持された印刷データを削除し、前記第2の判定手段により全てが前記強制印刷データではないと判定された場合に、前記強制印刷データではない印刷データのうち最も過去に記憶された印刷データを削除する第2の削除手段と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
印刷データに基づく印刷を実行した後に、記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づいて再印刷可能な印刷装置で実行されるデータ制御方法であって、
前記印刷装置の印刷手段が、第一の状態で印刷を実行できる場合に、前記第一の状態で印刷データに基づく印刷を実行し、前記第一の状態で印刷を実行できない場合に、前記第一の状態とは異なる第二の状態で印刷データに基づく印刷を実行する印刷工程と、
前記印刷装置の特定手段が、削除すべき印刷データを特定する所定の条件に従って、前記記憶手段に記憶されている印刷データのうち、前記所定の条件に合致する印刷データを特定する特定工程と、
前記印刷装置の削除手段が、前記第一の状態で印刷された印刷データのうち前記所定の条件に合致する印刷データを削除する削除工程と
を有することを特徴とするデータ制御方法。
【請求項7】
印刷データに基づく印刷を実行した後に、記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づいて再印刷可能な印刷装置で実行されるデータ制御方法であって、
前記印刷装置の容量判定手段が、前記記憶手段の空き容量が閾値以下であるか否かを判定する容量判定工程と、
前記印刷装置の第1の判定手段が、前記容量判定工程において前記空き容量が閾値以下であると判定された場合に、前記記憶手段に記憶されている印刷データのうち、最も過去に記憶された印刷データが、指定された設定と異なる設定に従って強制的に印刷された強制印刷データであるか否かを判定する第1の判定工程と、
前記印刷装置の第1の削除手段が、前記第1の判定工程において前記強制印刷データでないと判定された場合に、前記最も過去に記憶された印刷データを削除する第1の削除工程と、
前記印刷装置の第2の判定手段が、前記第1の判定工程において前記強制印刷データであると判定された場合に、前記記憶手段に記憶されている印刷データが全て前記強制印刷データであるか否かを判定する第2の判定工程と、
前記印刷装置の第2の削除手段が、前記第2の判定工程において全て前記強制印刷データであると判定された場合に、前記最も過去に記憶された印刷データを削除し、前記第2の判定工程において全てが前記強制印刷データではないと判定された場合に、前記強制印刷データではない印刷データのうち最も過去に記憶された印刷データを削除する第2の削除工程と
を有することを特徴とするデータ制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
請求項7に記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−6330(P2013−6330A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139859(P2011−139859)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】