印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラム
【課題】バーコード等の印刷の精度が求められる部分とそれ以外の部分とを含む印刷内容の印刷出力について、精度が求められる部分の精度の低下およびそれ以外の部分の形状の崩れを抑制する。
【解決手段】変換処理部1aは、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する。印刷制御部1bは、変換処理部1aによって変換された変換信号に基づき印刷出力を制御する。印刷出力部1cは、印刷制御部1bによる制御に基づいて印刷媒体3に対して変換信号に基づく印刷出力を実行する。
【解決手段】変換処理部1aは、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する。印刷制御部1bは、変換処理部1aによって変換された変換信号に基づき印刷出力を制御する。印刷出力部1cは、印刷制御部1bによる制御に基づいて印刷媒体3に対して変換信号に基づく印刷出力を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙、布、樹脂性シート等の印刷媒体に対して、文字、図形等をドットと言われる点の集合で描画して印刷するプリンタ等の印刷装置が知られている。
図12は、バーコードを含む印刷内容が印刷された印刷媒体を示す図である。このような印刷装置を用いて、印刷媒体9に図12に示すバーコード93を斜線91や網掛け92と共に印刷する場合、バーの線幅が細いと共に線間距離も短いこと、さらにバーコード93の読み取りミスを防止する必要性から、印刷の制御に高精度が求められている。
【0003】
これに関して、位相の異なる複数のクロックを選択し、画像情報をラッチする事により印刷パターンの縦線の太さを変更する技術が知られている。また、線幅の補正を複数のバーを有する1つのバーコードの1本のバーの中でドット数を可変させて行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−280567号公報
【特許文献2】特開2008−23798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図13は、連続するドットパターンを有する論理的なドットイメージの一例を示す図である。図14は、連続するドットパターンの印刷出力の結果の一例を示す図である。ここで、例えば、図13に示すような論理的なドットを有するバーコードを乾式電子写真方式プリンタ等の印刷装置で印刷するものとする。この場合、図13に示す論理的に定められたバーコードについて印刷を行うと、図14に示すように、バーコードの黒色部分の幅が太くなり、バーコードの間隔が狭くなってしまうことがある。これによってバーコードリーダの読み取りエラーが発生する場合がある。
【0006】
図15は、斜線の印刷出力の結果の一例を示す図である。このバーコード黒色部分の幅が太くなることの対策として、バーコードの黒色部分の領域を少し狭くするために、露光レーザデバイスの光径の絞りこみや、ビデオ信号をロジックにより加工をすることも考えられる。しかし、これらの方法では、バーコード以外の印刷部分も黒色部分の領域が少なくなるため、例えば、図15に示すように、45度に傾斜した1ドット幅の斜線を印刷する場合、ドット同士に隙間が空いて線が途切れたり、線が薄くなったりする可能性がある。
【0007】
具体的には、図12の印刷媒体9の斜線91のように斜線を印刷した場合に、斜線が印刷されないことが考えられる。また、文字を印刷した場合には文字の細い斜線や曲線が繋がらずに途切れてしまい、文字が読み難くなる等の問題点がある。また、図12の印刷媒体9の網掛け92のように網掛けを印刷した場合、網掛けの細い斜線においても線が途切れてしまい、使用する装置によっては、ドット径が小さいため、トナーが紙に転写されず、網掛けが薄くなったり、網掛け自体の認識が困難になったりする等の問題点がある。
【0008】
また、これらのようなバーコード部分の補正による他の部分への影響を回避するために、バーコード部分のみに特殊なデータを付与し、バーコード部分のみ黒色部分の幅を補足することが考えられる。しかし、バーコードを含む領域を他の部分と自動的に識別し、または人間が識別し、印刷装置等に対してバーコードを含む領域を指定する手間等が発生するという問題点がある。
【0009】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、印刷の精度が求められる部分とそれ以外の部分とを含む印刷内容について、精度が求められる部分の精度の低下およびそれ以外の部分の形状の崩れを抑制可能な印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、開示の印刷装置が提供される。開示の印刷装置では、変換処理部は、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する。印刷制御部は、変換処理部によって変換された変換信号に基づき印刷出力を制御する。印刷出力部は、印刷制御部による制御に基づいて印刷媒体に対して変換信号に基づく印刷出力を実行する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、開示の印刷制御方法が提供される。開示の印刷制御方法は、変換処理ステップでは、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する。印刷制御ステップでは、変換処理ステップによって変換された変換信号に基づき印刷出力を制御する。印刷出力ステップでは、印刷制御ステップによる制御に基づいて印刷媒体に対して変換信号に基づく印刷出力を実行する。
【0012】
また、上記課題を解決するために、開示の印刷信号変換プログラムが提供される。開示の印刷信号変換プログラムでは、コンピュータを、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
上記印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラムによれば、印刷の精度が求められる部分とそれ以外の部分とを含む印刷内容について、精度が求められる部分の精度の低下を抑制すると共に、精度が求められる部分以外の部分の形状の崩れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態の印刷装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態のプリンタのハードウェアを示すブロック図である。
【図3】第2の実施の形態のプリンタの機能を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態のドットが連続する部分についての信号の処理を示すタイミングチャートである。
【図5】第2の実施の形態の単独のドットの部分についての信号の処理を示すタイミングチャートである。
【図6】第2の実施の形態のビデオデータ変換処理部の論理回路を示す図である。
【図7】第2の実施の形態の設定画面を示す図である。
【図8】第2の実施の形態のドットが連続する部分の印刷出力の結果の一例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の斜線の印刷出力の結果の一例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の変形例におけるビデオデータ変換処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態の変形例におけるビデオデータ変換処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】バーコードを含む印刷内容が印刷された印刷媒体を示す図である。
【図13】連続するドットパターンを有する論理的なドットイメージの一例を示す図である。
【図14】連続するドットパターンの印刷出力の結果の一例を示す図である。
【図15】斜線の印刷出力の結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の印刷装置を示す図である。例えば、第1の実施の形態に係る印刷装置1として、プリンタ、コピー機、ファクシミリ、複合機、印刷機等の印刷装置が考えられる。
【0016】
印刷装置1は、変換処理部1a、印刷制御部1b、印刷出力部1cを有する。また、印刷装置1は、情報処理装置2と接続されている。印刷装置1は、情報処理装置2から送信された印刷内容に基づいて印刷媒体3に文字3a、図形3b、バーコード3cを印刷する。
【0017】
ここで、印刷信号は、印刷内容をバーコードと平行な方向に分割し、バーコードに直交する方向に沿って順次走査することで1次元情報に変換されたものであるとする。また、バーコード3cの黒色部分(バー)は、走査方向に連続した複数のドットを有するものとする。また、文字3a、図形3bは、細い斜線等の走査方向に単独のドットの部分を含むものとする。バーコードは、例えば、GS1−128を用いることができるが、これに限らず、他の形式のバーコードも使用可能である。また、バーコードに限らず、例えば2次元コード等の他の印刷対象も使用可能である。
【0018】
変換処理部1aは、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する。この変換信号により、バーコード3c等の印刷結果の幅の精度が求められる部分については、ドットが連続する部分の幅が補正されることにより、電子写真プリンタやインクジェットプリンタ等のドットが広がる特性を持つプリンタにおいて、幅の増加が抑制される。その一方、文字3aや図形3b等については、ドット幅が単独の部分の幅を変更しないので、単独のドットの幅が維持されることにより、細い斜線や網掛け等が擦れることなく維持される。
【0019】
ここで、印刷信号は、情報処理装置2から送信された印刷信号をそのまま使用してもよく、印刷内容を示す他の形式のデータを印刷装置1で印刷信号に変換してもよい。
印刷制御部1bは、変換処理部1aによって変換された変換信号に基づき印刷出力を制御する。この印刷制御部1bにより、変換処理部1aで生成された変換信号に基づいて印刷出力部1cが制御される。
【0020】
印刷出力部1cは、印刷制御部1bによる制御に基づいて印刷媒体3に対して変換信号に基づく印刷出力を実行する。この印刷出力部1cにより、印刷制御部1bの制御に基づいて、印刷媒体3に、印刷内容の文字3a、図形3b、バーコード3cが印刷される。
【0021】
このような印刷装置1によれば、印刷の精度が求められるバーコード3c等の部分と印刷の精度は比較的求められない文字3a、図形3b等の部分とを含む印刷内容について、精度が求められる部分の精度の低下およびそれ以外の部分の斜線の擦れ等の形状の崩れを抑制することができる。
【0022】
なお、印刷信号は、印刷内容をバーコードに直交する方向に走査されたものとするが、これに限らず、印刷内容をバーコードに任意の角度で交差する方向に走査したものであってもよく、さらに、縦横2方向の走査等、異なる方式で印刷内容を示すものであってもよい。
【0023】
以下の第2の実施の形態では、第1の実施の形態に係る印刷装置1の応用例として、プリンタを挙げる。ただし、前述の通り、印刷装置1は、プリンタ以外の様々な印刷装置に応用できる。
【0024】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態のプリンタのハードウェアを示すブロック図である。図2に示すプリンタ100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介して記憶部102、印刷部103、表示部104、操作入力部105通信インタフェース106が接続されている。
【0025】
記憶部102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)等を有する。記憶部102には、プリンタの制御や印刷出力の実行等に必要なプログラムおよびデータならびに印刷データの少なくとも一部が格納される。
【0026】
印刷部103は、CPU101の制御により、印刷データに基づいてプリンタ用紙や帳票用紙等の印刷媒体に印刷出力を行う。印刷部103から出力された印刷済の印刷媒体は、図示しない排紙トレイに排出される。
【0027】
表示部104は、CPU101からの命令に従って、画像を図示しない表示パネルの画面に表示させる。操作入力部105は、ユーザによる操作に基づいて図示しない操作部から送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。
【0028】
通信インタフェース106は、LAN10に接続されている。通信インタフェース106は、LAN10を介して、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置との間で印刷データや制御データの送受信を行うことができる。
【0029】
図3は、第2の実施の形態のプリンタの機能を示すブロック図である。なお、図3では、ビデオデータ変換機能以外の機能については記載を省略している。
第2の実施の形態に係るプリンタ100は、ここでは、乾式電子写真方式プリンタとするが、必ずしもこれに限らず、インクジェット方式プリンタ等、印刷するとドットが広がる等により論理的なドットに対してドットの径が変化する特性を持つ様々な印刷装置が考えられる。
【0030】
プリンタ100は、ビデオ生成部111、ビデオデータ記憶部112、ビデオデータ変換処理部113、印刷制御部114、印刷出力部115を有する。また、プリンタ100は、情報処理装置200と接続されている。印刷出力部115は、感光ドラム115aを有する。プリンタ100は、情報処理装置200から送信された印刷内容に基づいて印刷媒体にバーコードと共に文字、図形等を印刷する。
【0031】
ここで、印刷データは、印刷内容をバーコードと平行な方向に分割し、バーコードに直交する方向に沿って順次走査することで1次元情報に変換した信号であるとする。また、バーコードの黒色部分(バー)は、走査方向に連続した複数のドットを有するものとする。また、文字、図形は、細い斜線等の走査方向に単独のドットの部分を含むものとする。印刷データは、印刷信号として機能する。
【0032】
情報処理装置200は、プリンタ100を制御し、プリンタ100で印刷される印刷内容を示す印刷データをプリンタ100に送信する。情報処理装置200は、例えば、パーソナルコンピュータや大型コンピュータ等の情報処理装置である。情報処理装置200は、図7において後述する補正機能設定、プリンタドライバの設定等の必要な設定および印刷データを、LAN10を介してプリンタ100に送信する。
【0033】
ビデオ生成部111は、プリンタ100において通信インタフェース106により情報処理装置200から送信された印刷データ等が受信されると、受信された印刷データをビデオデータ記憶部112に記憶させる。ビデオデータ記憶部112は、ビデオ生成部111の制御に基づいて、プリンタ100で受信した印刷データを記憶する。
【0034】
ビデオデータ変換処理部113は、ビデオデータ記憶部112から印刷データを取得し、印刷制御部114にビデオ信号を出力する。ビデオデータ変換処理部113は、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷データに基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しないビデオ信号を生成する。
【0035】
このビデオ信号により、バーコード等の印刷結果の幅の精度が求められる部分については、ドットが連続する部分の幅が補正されることにより、電子写真プリンタやインクジェットプリンタ等のドットが広がる特性を持つプリンタにおいて、幅の増加が抑制される。その一方、文字や図形等については、ドット幅が単独の部分の幅を変更しないので、単独のドットの幅が維持されることにより、細い斜線や網掛け等が擦れることなく維持される。ビデオ信号は、変換信号として機能する。
【0036】
ビデオデータ変換処理部113は、印刷データに基づいて、ドットが走査方向に連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが走査方向において単独の部分の幅を変更しないことにより、ビデオ信号を生成する。このとき、ビデオデータ変換処理部113は、印刷データを4クロック遅延させたT4(図4において後述)と、印刷データ5クロック遅延させたT5(図4において後述)との論理積に基づくビデオデータ1を生成し、生成したビデオデータ1に基づいてビデオ信号を生成する。ビデオデータ1は、第1の補正信号として機能する。
【0037】
また、ビデオデータ変換処理部113は、印刷データの正負を反転した!(エクスクラメーションマーク)印刷データと、T4との論理積に基づいて、ドットが単独の部分について幅を変更しないビデオデータ2を生成し、生成したビデオデータ2に基づいてビデオ信号を生成する。ビデオデータ2は、第2の補正信号として機能する。
【0038】
なお、ビデオデータ2は、ドットが単独の部分について幅を変更しない信号であれば、上記のように生成されたものに限らず、例えば、ビデオデータ1の終了時点と、その終了部分から1ドット分遡った時点との間の範囲についてドットが存在することを示す信号を使用してもよい。
【0039】
印刷制御部114は、ビデオデータ変換処理部113によって変換されたビデオ信号に基づき印刷出力を制御する。この印刷制御部114により、ビデオデータ変換処理部113で生成されたビデオ信号に基づいて印刷出力部115が制御される。
【0040】
印刷出力部115は、印刷制御部114による制御に基づいてプリンタ用紙や帳票用紙等の印刷媒体に対してビデオ信号に基づく印刷出力を実行する。このとき印刷出力部115は、印刷制御部114の制御に基づいてビデオ信号をレーザ光に変換し、感光ドラム115aにレーザを照射し、レーザが照射された感光ドラム115aを用いて印刷媒体に印刷を行う。この印刷出力部115により、印刷制御部114の制御に基づいて、印刷媒体に、印刷内容の文字、図形、バーコード等が印刷される。
【0041】
このようなプリンタ100によれば、印刷の精度が求められるバーコード等の部分と印刷の精度は比較的求められないが、形状の維持が求められる文字、図形等の部分とを含む印刷内容について、精度が求められる部分の精度の低下およびそれ以外の部分の斜線の擦れ等の形状の崩れを抑制することができる。
【0042】
なお、印刷データは、印刷内容をバーコードに直交する方向に走査されたものとするが、これに限らず、印刷内容をバーコードに任意の角度で交差する方向に走査したものであってもよく、さらに、縦横2方向の走査等、異なる方式で印刷内容を示すものであってもよい。また、バーコードは、例えば、GS1−128等を用いることができるが、これに限らず、他の形式のバーコードも使用可能である。また、バーコードに限らず、例えば2次元コード等の他の印刷対象も使用可能である。
【0043】
なお、本実施の形態のビデオデータ変換処理部113は、走査線上におけるドットの始点を遅らせてバーコードの黒色部分の幅を抑制するが、これに限らず、走査線上におけるドットの終点を早めることによりバーコードの黒色部分の幅を抑制してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、印刷データを情報処理装置200から送信された印刷データをそのまま使用する。しかし、これに限らず、情報処理装置200は、印刷内容を示す他の形式のデータをプリンタ100に送信し、プリンタ100で受信したデータを印刷データに変換してから、ビデオデータ変換処理部113により変換を行ってもよい。
【0045】
図4は、第2の実施の形態のドットが連続する部分についての信号の処理を示すタイミングチャートである。図4に示すタイミングチャートは、プリンタ100に対して、走査線上に5個のドットが連続する論理的ドットイメージ(図4における(a))が入力された場合におけるビデオデータ変換処理による信号処理の様子およびビデオデータ変換処理によって生成される露光レーザイメージ(図4における(b))を示す。
【0046】
論理的ドットイメージは、プリンタ100で印刷される印刷内容について論理的に示されたものを、横方向の走査線により分割し、各走査線をドットの有無により示したものである。例えば、論理的ドットイメージの黒色部分に対応するドットは、プリンタ用紙や帳票用紙等の印刷媒体に印刷される。一方、論理的ドットイメージの白色部分に対応するドットは印刷媒体に印刷されない。
【0047】
論理的イメージでは、プリンタ100等の特性によるドットの変化は考慮されておらず、理想的な印刷結果が示されている。このため、論理的イメージをそのまま印刷した場合には、論理的イメージと実際の印刷結果とは一致しない場合がある(図14および図15参照)。本実施の形態では、以下に示すように論理的イメージに対応する印刷データを補正してビデオ信号に変換することで、論理的イメージと実際の印刷結果との不一致を抑制する。
【0048】
クロック信号は、論理的ドットイメージを変換する基準となるクロック信号の周期を示す。本実施の形態では、クロック信号の周期は、論理的ドットイメージの1ドットに対応する信号の立ち上がりから立ち下りまでを1周期とした場合における1/4周期に相当する時間とするが、必ずしもこれに限らず、任意に設定することができる。
【0049】
印刷データは、論理的ドットイメージを信号化したものである。印刷データは、論理的ドットイメージが黒色(印刷されるドットが「有り」)の場合にハイレベル信号となり、論理的ドットイメージが白色(印刷されるドットが「無し」)のときにロウレベル信号となる。本実施の形態では、印刷データは情報処理装置200から送信されるが、これに限らず、情報処理装置200から印刷内容を示す異なる形式のデータである印刷イメージデータを受信し、プリンタ100において受信した印刷イメージを印刷データに変換してもよい。
【0050】
!印刷データは、印刷データの正負を反転した信号である。!印刷データは、印刷データがロウレベル信号のときにハイレベル信号となり、印刷データがハイレベル信号のときにロウレベル信号となる。!印刷データは、ビデオデータ2の生成に使用する。
【0051】
T1は、印刷データを1クロック(1/4周期)遅延させた信号である。T1は、印刷データの立ち上がりから1クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから1クロック遅延して立ち下がる。
【0052】
T2は、T1を1クロック遅延させた信号である。T2は、印刷データの立ち上がりから2クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから2クロック遅延して立ち下がる。
【0053】
T3は、T2を1クロック遅延させた信号である。T3は、印刷データの立ち上がりから3クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから3クロック遅延して立ち下がる。
【0054】
T4は、T3を1クロック遅延させた信号である。T4は、印刷データの立ち上がりから4クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから4クロック遅延して立ち下がる。
【0055】
T5は、T4を1クロック遅延させた信号である。T4は、印刷データの立ち上がりから5クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから5クロック遅延して立ち下がる。
【0056】
ビデオデータ1は、T4およびT5の論理積を示す信号である。ビデオデータ1は、T5の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、T4の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。
【0057】
ビデオデータ2は、!印刷データおよびT4の論理積を示す信号である。ビデオデータ2は、!印刷データの立ち上がり(印刷データの立ち下がり)と同じタイミングで立ち上がり、T4の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。
【0058】
ビデオ信号は、ビデオデータ1およびビデオデータ2の論理和を示す信号である。ビデオ信号は、図4の例では、ビデオデータ1の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、ビデオデータ1およびビデオデータ2の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。このようにして、ビデオデータ変換処理部113は論理的イメージを示す印刷データを変換してビデオ信号を生成し、生成したビデオ信号を出力する。
【0059】
露光レーザイメージは、ビデオ信号に基づいて印刷制御部114の制御により印刷出力部115が感光ドラム115aにレーザを露光する際のドットのパターンを示す。プリンタ100において、露光レーザイメージの黒色部分はドットが印刷媒体に印刷され、白色部分はドットが印刷媒体に印刷されない。図4の例では、ビデオ信号は、立ち上がりがT4よりも1クロック遅延しているT5と同じタイミングであり、立ち下がりがT4と同じタイミングである。これにより、露光レーザイメージは、図4における(c)に示すように1クロック分だけ短縮される。
【0060】
このように、本実施の形態では、クロック信号の周期に応じて、複数のドットが連続する論理的ドットイメージに対応する露光レーザイメージの幅を狭くすることができる。ここでは、図4における(c)に示すように、露光レーザイメージは、論理的ドットイメージと比較して1/4ドット分だけ、幅が狭くなっている。
【0061】
なお、図4の論理的ドットイメージは、連続する5ドットの幅であるが、これに限らず、任意の個数の複数のドットについても同様である。
図5は、第2の実施の形態の単独のドットの部分についての信号の処理を示すタイミングチャートである。図5に示すタイミングチャートは、プリンタ100に対して、走査線上に単独で1個のドットが存在する論理的ドットイメージ(図5における(d))が入力された場合におけるビデオデータ変換処理による信号処理の様子およびビデオデータ変換処理によって生成される露光レーザイメージ(図5における(e))を示す。また、図5における(d)に示すように、露光レーザイメージは、論理的ドットイメージと同様の1ドット幅となっている。
【0062】
図5の例では、印刷データは、論理的ドットイメージに基づいて1周期となる。また、!印刷データ、T1、T2、T3、T4、T5、ビデオデータ1、ビデオデータ2、ビデオ信号は、ビデオデータ変換処理部113により、印刷データに基づいて図4と同様の手順で図5に示すように生成される。
【0063】
すなわち、ビデオデータ1は、図4の例と同様、T5の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、T4の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。また、ビデオデータ2は、!印刷データおよびT4の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、T4の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。
【0064】
これらに基づいて、ビデオ信号は、ビデオデータ1およびビデオデータ2の論理和であるので、図5における(f)に示すように、ビデオデータ2の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、ビデオデータ1およびビデオデータ2の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。これにより、図5の例の論理的ドットイメージに基づく露光レーザイメージは、図5における(e)に示すように1ドットの幅となる。
【0065】
なお、図4および図5では、各信号は印刷されるドットの有無をハイレベル信号およびロウレベル信号で示し、ハイレベル信号は印刷されるドットの「有り」を示し、ロウレベル信号は印刷されるドットの「無し」を示す。しかし、これに限らず、ロウレベル信号は印刷されるドットの「有り」を示し、ハイレベル信号は印刷されるドットの「無し」を示してもよい。さらに各信号はパルス信号等、他の方式でドットの印刷の有無を示してもよい。
【0066】
図6は、第2の実施の形態のビデオデータ変換処理部の論理回路を示す図である。本実施の形態のビデオデータ変換処理部113は、図6に示す正論理の論理回路を有する。このビデオデータ変換処理部113は、プリンタ100が情報処理装置200からLAN10(図2において前述)を介して送信された印刷データを変換してビデオ信号を生成し、生成したビデオ信号を出力する。
【0067】
ビデオデータ変換処理部113は、フリップフロップ回路113a,113b,113c,113d,113e、NOT回路113f、AND回路113g,113h、OR回路113iを有し、各回路が図6のように配置されている。なお、ビデオデータ変換処理部113および入出力される信号は、図6に示す論理回路および信号に限らず、異なる論理回路や信号により同様の機能を有するものであってもよい。
【0068】
ビデオデータ変換処理部113は、印刷データ等を遅延させる際の基準として使用されるクロック信号、ビデオデータ記憶部112に記憶されている印刷データを入力としてビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号を印刷制御部114に出力する。
【0069】
クロック信号は、ビデオ信号等を生成するために遅延の基準として使用する信号である。ここでは、クロック信号は、図示しないクロック発生回路で発生される信号であり、印刷データの1周期を4等分した信号である。クロック信号は、印刷データを1/4周期ずつ(1/4周期〜5/4周期)遅延させた信号であるT1〜T5を生成するために使用する。
【0070】
印刷データは、印刷要求の内容を示すデータである。本実施の形態では、印刷データは、2次元情報である印刷内容を横方向に所定の間隔で走査することにより分解し、走査して得られた印刷内容の各走査線上の各点について2値で示すデータである。この印刷データは、黒または白の2色について2値で示すモノクロデータとしてもよく、印刷内容を多数の色に分解して各色について2値で示してもよい。さらに、他の方法で印刷内容を示すデータとしてもよい。
【0071】
フリップフロップ回路113aは、印刷データおよびクロック信号を入力として、印刷データを1/4周期遅延させたT1を出力する。フリップフロップ回路113bは、T1およびクロック信号を入力として、T1を1/4周期遅延させたT2を出力する。フリップフロップ回路113cは、T2およびクロック信号を入力として、T2を1/4周期遅延させたT3を出力する。フリップフロップ回路113dは、T3およびクロック信号を入力として、T3を1/4周期遅延させたT4を出力する。フリップフロップ回路113eは、T4およびクロック信号を入力として、T4を1/4周期遅延させたT5を出力する。
【0072】
NOT回路113fは、印刷データを入力として、印刷データの正負を反転させた!印刷データを出力する。AND回路113gは、T4およびT5を入力として、T4およびT5の論理積であるビデオデータ1を出力する。AND回路113hは、!印刷データおよびT4を入力として、!印刷データおよびT4の論理積であるビデオデータ2を出力する。OR回路113iは、ビデオデータ1およびビデオデータ2を入力として、ビデオデータ1およびビデオデータ2の論理和であるビデオ信号を出力する。このビデオ信号に基づいて、印刷出力部115において感光ドラム115aに対して露光レーザイメージが照射される。
【0073】
なお、ビデオデータ変換処理部113は、ビデオデータ1およびビデオデータ2ならびにビデオ信号を、上記説明以外の等価な論理回路により生成してもよい。
図7は、第2の実施の形態の設定画面を示す図である。図7に示す設定画面201は、情報処理装置200(図3において前述)と接続された図示しないモニタに表示される画面である。設定画面201は、プリンタ100による印刷出力の設定を行う設定画面の一例である。
【0074】
設定画面201には、印刷設定領域201a、OKボタン201b、キャンセルボタン201cが設けられている。
印刷設定領域201aは、プリンタ100による印刷出力においてバーコードおよびその他の印刷の設定内容の入力を行う領域である。印刷設定領域201aには、補正機能設定欄201a1が設けられている。
【0075】
補正機能設定欄201a1は、プリンタ100による印刷出力において、ユーザが本実施の形態のビデオデータ変換機能によるドット径の補正を行うか否かを設定する領域である。ユーザは、この補正機能設定欄201a1をチェックしてOKボタン201bを操作することにより、プリンタ100のビデオデータ変換機能を有効にすることができる。また、ユーザは、この補正機能設定欄201a1のチェックを外してOKボタン201bを操作することにより、プリンタ100のビデオデータ変換機能を無効にすることができる。
【0076】
OKボタン201bは、ユーザが設定画面201によって入力した内容で設定を新たに取得し、または更新し、設定画面201の表示を終了するボタンである。キャンセルボタン201cは、ユーザが設定画面201によって入力した設定の内容を無効にし、設定画面201の表示を終了するボタンである。
【0077】
図8は、第2の実施の形態のドットが連続する部分の印刷出力の結果の一例を示す図である。図8に示すように、本実施の形態のプリンタ100は、印刷媒体にバーコードを印刷する際、バーコードの黒色部分の連続するドットの一端(図8の例では左側の端)における論理的なドットイメージに対するはみ出しを抑制する。これにより、バーコードの黒色部分同士の間隔の減少を抑制して精度を向上させ、バーコードの読み取りミスの発生を抑制できる。
【0078】
図9は、第2の実施の形態の斜線の印刷出力の結果の一例を示す図である。図9に示すように、本実施の形態のプリンタ100は、印刷媒体にバーコードと共に、例えば45度に傾斜した1ドット幅の斜線を印刷する際、単独のドットの径は維持するので、斜線が細くなるのを防止すると共に、斜線の各ドットに隙間が発生することを抑制する。これにより、単独のドットを有する斜線が擦れたり細くなったりするなどして印刷が見難くなることを抑制できる。また、これにより、バーコード等のドットが連続する部分の印刷の精度を向上させると共に、他の部分への悪影響を抑制できる。
【0079】
以上、第2の実施の形態によれば、印刷の精度が求められるバーコード等の部分とそれ以外の部分とを含む印刷内容について、バー等のドットが連続する部分の幅の広がりを抑制することで、精度が求められる部分の精度の低下を抑制する。また、単独のドットの幅を変更しないので、精度が求められる部分以外の部分の形状の崩れを抑制することができる。
【0080】
(第2の実施の形態の変形例)
次に、第2の実施の形態の変形例について説明する。上記の第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。本変形例のプリンタ100は、ビデオデータ変換処理部113による印刷データのビデオ信号への変換をソフトウェアで実現している点で、第2の実施の形態と異なる。
【0081】
図10および図11は、第2の実施の形態の変形例におけるビデオデータ変換処理の流れを示すフローチャートである。図10および図11に示すビデオデータ変換処理は、プリンタ100が有するソフトウェアにより実行される処理である。このビデオデータ変換処理は、プリンタ100が情報処理装置200からLAN10(図2において前述)を介して送信された印刷データを変換してビデオ信号を生成し、生成したビデオ信号に基づいて印刷出力を実行する処理である。ビデオデータ変換処理は、プリンタ100の起動に応じて実行が開始され、プリンタ100の動作中は常駐してビデオデータ記憶部112の印刷データの有無を監視する。
【0082】
[ステップS11]ビデオデータ変換処理部113は、ビデオデータ記憶部112に、情報処理装置200から送信された印刷データが記憶されているか否かについて判定する。印刷データが記憶されていれば、ビデオデータ記憶部112から印刷データを取得して、ステップS12に処理が進められる。一方、印刷データが記憶されていなければ、ステップS11の処理が繰り返される。
【0083】
[ステップS12]ビデオデータ変換処理部113は、ビデオデータ記憶部112に記憶されている印刷データを1クロック(1/4周期)遅らせた信号であるT1を生成する。
【0084】
[ステップS13]ビデオデータ変換処理部113は、T1をさらに1クロック遅らせた信号であるT2を生成する。
[ステップS14]ビデオデータ変換処理部113は、T2をさらに1クロック遅らせた信号であるT3を生成する。
【0085】
[ステップS15]ビデオデータ変換処理部113は、T3をさらに1クロック遅らせた信号であるT4を生成する。
[ステップS16]ビデオデータ変換処理部113は、T4をさらに1クロック遅らせた信号であるT5を生成する。その後、処理はステップS21(図11)に進められる。
【0086】
[ステップS21]ビデオデータ変換処理部113は、ステップS15で生成したT4およびステップS16で生成したT5から、ビデオデータ1を生成する。なお、ビデオデータ1は、T4およびT5の論理積である。
【0087】
[ステップS22]ビデオデータ変換処理部113は、ステップS11で取得した印刷データおよびステップS15で生成したT4から、ビデオデータ2を生成する。なお、ビデオデータ2は、印刷データの正負を反転させた!印刷データおよびT4の論理積である。
【0088】
[ステップS23]ビデオデータ変換処理部113は、ステップS21で生成したビデオデータ1およびステップS22で生成したビデオデータ2から、ビデオ信号を生成する。なお、ビデオ信号は、ビデオデータ1およびビデオデータ2の論理和である。
【0089】
[ステップS24]印刷制御部114は、ステップS23で生成されたビデオ信号に基づいて、印刷出力部115を制御する。これに従い、印刷出力部115は、プリンタ用紙や帳票用紙等の印刷媒体に印刷データの印刷出力を行う。その後、処理は終了する。
【0090】
なお、上記説明では、ビデオデータ1を先に生成したが、ビデオデータ2を先に生成してもよく、ビデオデータ1およびビデオデータ2を並行して生成してもよい。ビデオデータ1およびビデオデータ2ならびにビデオ信号は、上記説明以外の等価な論理演算により生成してもよい。
【0091】
また、情報処理装置200がビデオデータ変換処理部113と同等の機能を有して上記ビデオデータ変換処理を実行することにより、情報処理装置200において印刷データをビデオ信号に変換した後、ビデオ信号を印刷装置等に送信して印刷装置に印刷出力させてもよい。
【0092】
以上、第2の実施の形態の変形例によれば、ビデオデータ変換処理に示すソフトウェア制御により第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、プリンタ100が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0093】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記録装置には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD(Compact Disc)−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto - Optical disk)等がある。
【0094】
上記プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータに記憶しておき、ネットワークを通じて、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0095】
上記プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムまたはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に記憶する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0096】
以上、開示の印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラムを、図示の実施の形態に基づいて説明したが、上記については単に本発明の原理を示すものである。開示の技術は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、開示の技術に他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、開示の技術は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。また、開示の技術に対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。
【0097】
以上の第1の実施の形態、第2の実施の形態および第2の実施の形態の変形例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部と、
前記変換処理部によって変換された前記変換信号に基づき印刷出力を制御する印刷制御部と、
前記印刷制御部による制御に基づいて印刷媒体に対して前記変換信号に基づく前記印刷出力を実行する印刷出力部とを有することを特徴とする印刷装置。
【0098】
(付記2) 前記変換処理部は、前記印刷信号に基づいて、前記ドットが走査方向に連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが走査方向において単独の部分の幅を変更しないことにより、前記変換信号を生成することを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0099】
(付記3) 前記変換処理部は、前記印刷信号を第1の所定時間遅延させた第1の遅延信号と、前記印刷信号を前記第1の所定時間よりも大きい第2の所定時間遅延させた第2の遅延信号との論理積に基づく第1の補正信号を生成し、生成した前記第1の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0100】
(付記4) 前記変換処理部は、前記ドットが単独の部分について幅を変更しない第2の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする付記1記載の印刷装置。
(付記5) 前記変換処理部は、前記印刷信号の正負を反転した反転印刷信号と、前記印刷信号を第1の所定時間遅延させた第1の遅延信号との論理積に基づいて前記第2の補正信号を生成し、生成した前記第2の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする付記4記載の印刷装置。
【0101】
(付記6) 前記印刷内容は、バーコードを含み、
前記印刷信号は、前記印刷内容について、前記バーコードのバーに直交する方向に走査され、
前記変換処理部は、前記印刷信号に基づいて、前記ドットが走査方向に連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが走査方向において単独の部分の幅を変更しないことにより、前記変換信号を生成することを特徴とする付記2記載の印刷装置。
【0102】
(付記7) 複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理ステップと、
前記変換処理ステップによって変換された前記変換信号に基づき印刷出力を制御する印刷制御ステップと、
前記印刷制御ステップによる制御に基づいて印刷媒体に対して前記変換信号に基づく前記印刷出力を実行する印刷出力ステップとを有することを特徴とする印刷制御方法。
【0103】
(付記8) コンピュータを、
複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部として機能させることを特徴とする印刷信号変換プログラム。
【符号の説明】
【0104】
1 印刷装置
1a 変換処理部
1b 印刷制御部
1c 印刷出力部
2 情報処理装置
3 印刷媒体
3a 文字
3b 図形
3c バーコード
【技術分野】
【0001】
本件は印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙、布、樹脂性シート等の印刷媒体に対して、文字、図形等をドットと言われる点の集合で描画して印刷するプリンタ等の印刷装置が知られている。
図12は、バーコードを含む印刷内容が印刷された印刷媒体を示す図である。このような印刷装置を用いて、印刷媒体9に図12に示すバーコード93を斜線91や網掛け92と共に印刷する場合、バーの線幅が細いと共に線間距離も短いこと、さらにバーコード93の読み取りミスを防止する必要性から、印刷の制御に高精度が求められている。
【0003】
これに関して、位相の異なる複数のクロックを選択し、画像情報をラッチする事により印刷パターンの縦線の太さを変更する技術が知られている。また、線幅の補正を複数のバーを有する1つのバーコードの1本のバーの中でドット数を可変させて行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−280567号公報
【特許文献2】特開2008−23798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図13は、連続するドットパターンを有する論理的なドットイメージの一例を示す図である。図14は、連続するドットパターンの印刷出力の結果の一例を示す図である。ここで、例えば、図13に示すような論理的なドットを有するバーコードを乾式電子写真方式プリンタ等の印刷装置で印刷するものとする。この場合、図13に示す論理的に定められたバーコードについて印刷を行うと、図14に示すように、バーコードの黒色部分の幅が太くなり、バーコードの間隔が狭くなってしまうことがある。これによってバーコードリーダの読み取りエラーが発生する場合がある。
【0006】
図15は、斜線の印刷出力の結果の一例を示す図である。このバーコード黒色部分の幅が太くなることの対策として、バーコードの黒色部分の領域を少し狭くするために、露光レーザデバイスの光径の絞りこみや、ビデオ信号をロジックにより加工をすることも考えられる。しかし、これらの方法では、バーコード以外の印刷部分も黒色部分の領域が少なくなるため、例えば、図15に示すように、45度に傾斜した1ドット幅の斜線を印刷する場合、ドット同士に隙間が空いて線が途切れたり、線が薄くなったりする可能性がある。
【0007】
具体的には、図12の印刷媒体9の斜線91のように斜線を印刷した場合に、斜線が印刷されないことが考えられる。また、文字を印刷した場合には文字の細い斜線や曲線が繋がらずに途切れてしまい、文字が読み難くなる等の問題点がある。また、図12の印刷媒体9の網掛け92のように網掛けを印刷した場合、網掛けの細い斜線においても線が途切れてしまい、使用する装置によっては、ドット径が小さいため、トナーが紙に転写されず、網掛けが薄くなったり、網掛け自体の認識が困難になったりする等の問題点がある。
【0008】
また、これらのようなバーコード部分の補正による他の部分への影響を回避するために、バーコード部分のみに特殊なデータを付与し、バーコード部分のみ黒色部分の幅を補足することが考えられる。しかし、バーコードを含む領域を他の部分と自動的に識別し、または人間が識別し、印刷装置等に対してバーコードを含む領域を指定する手間等が発生するという問題点がある。
【0009】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、印刷の精度が求められる部分とそれ以外の部分とを含む印刷内容について、精度が求められる部分の精度の低下およびそれ以外の部分の形状の崩れを抑制可能な印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、開示の印刷装置が提供される。開示の印刷装置では、変換処理部は、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する。印刷制御部は、変換処理部によって変換された変換信号に基づき印刷出力を制御する。印刷出力部は、印刷制御部による制御に基づいて印刷媒体に対して変換信号に基づく印刷出力を実行する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、開示の印刷制御方法が提供される。開示の印刷制御方法は、変換処理ステップでは、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する。印刷制御ステップでは、変換処理ステップによって変換された変換信号に基づき印刷出力を制御する。印刷出力ステップでは、印刷制御ステップによる制御に基づいて印刷媒体に対して変換信号に基づく印刷出力を実行する。
【0012】
また、上記課題を解決するために、開示の印刷信号変換プログラムが提供される。開示の印刷信号変換プログラムでは、コンピュータを、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
上記印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラムによれば、印刷の精度が求められる部分とそれ以外の部分とを含む印刷内容について、精度が求められる部分の精度の低下を抑制すると共に、精度が求められる部分以外の部分の形状の崩れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態の印刷装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態のプリンタのハードウェアを示すブロック図である。
【図3】第2の実施の形態のプリンタの機能を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態のドットが連続する部分についての信号の処理を示すタイミングチャートである。
【図5】第2の実施の形態の単独のドットの部分についての信号の処理を示すタイミングチャートである。
【図6】第2の実施の形態のビデオデータ変換処理部の論理回路を示す図である。
【図7】第2の実施の形態の設定画面を示す図である。
【図8】第2の実施の形態のドットが連続する部分の印刷出力の結果の一例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の斜線の印刷出力の結果の一例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の変形例におけるビデオデータ変換処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態の変形例におけるビデオデータ変換処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】バーコードを含む印刷内容が印刷された印刷媒体を示す図である。
【図13】連続するドットパターンを有する論理的なドットイメージの一例を示す図である。
【図14】連続するドットパターンの印刷出力の結果の一例を示す図である。
【図15】斜線の印刷出力の結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の印刷装置を示す図である。例えば、第1の実施の形態に係る印刷装置1として、プリンタ、コピー機、ファクシミリ、複合機、印刷機等の印刷装置が考えられる。
【0016】
印刷装置1は、変換処理部1a、印刷制御部1b、印刷出力部1cを有する。また、印刷装置1は、情報処理装置2と接続されている。印刷装置1は、情報処理装置2から送信された印刷内容に基づいて印刷媒体3に文字3a、図形3b、バーコード3cを印刷する。
【0017】
ここで、印刷信号は、印刷内容をバーコードと平行な方向に分割し、バーコードに直交する方向に沿って順次走査することで1次元情報に変換されたものであるとする。また、バーコード3cの黒色部分(バー)は、走査方向に連続した複数のドットを有するものとする。また、文字3a、図形3bは、細い斜線等の走査方向に単独のドットの部分を含むものとする。バーコードは、例えば、GS1−128を用いることができるが、これに限らず、他の形式のバーコードも使用可能である。また、バーコードに限らず、例えば2次元コード等の他の印刷対象も使用可能である。
【0018】
変換処理部1aは、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する。この変換信号により、バーコード3c等の印刷結果の幅の精度が求められる部分については、ドットが連続する部分の幅が補正されることにより、電子写真プリンタやインクジェットプリンタ等のドットが広がる特性を持つプリンタにおいて、幅の増加が抑制される。その一方、文字3aや図形3b等については、ドット幅が単独の部分の幅を変更しないので、単独のドットの幅が維持されることにより、細い斜線や網掛け等が擦れることなく維持される。
【0019】
ここで、印刷信号は、情報処理装置2から送信された印刷信号をそのまま使用してもよく、印刷内容を示す他の形式のデータを印刷装置1で印刷信号に変換してもよい。
印刷制御部1bは、変換処理部1aによって変換された変換信号に基づき印刷出力を制御する。この印刷制御部1bにより、変換処理部1aで生成された変換信号に基づいて印刷出力部1cが制御される。
【0020】
印刷出力部1cは、印刷制御部1bによる制御に基づいて印刷媒体3に対して変換信号に基づく印刷出力を実行する。この印刷出力部1cにより、印刷制御部1bの制御に基づいて、印刷媒体3に、印刷内容の文字3a、図形3b、バーコード3cが印刷される。
【0021】
このような印刷装置1によれば、印刷の精度が求められるバーコード3c等の部分と印刷の精度は比較的求められない文字3a、図形3b等の部分とを含む印刷内容について、精度が求められる部分の精度の低下およびそれ以外の部分の斜線の擦れ等の形状の崩れを抑制することができる。
【0022】
なお、印刷信号は、印刷内容をバーコードに直交する方向に走査されたものとするが、これに限らず、印刷内容をバーコードに任意の角度で交差する方向に走査したものであってもよく、さらに、縦横2方向の走査等、異なる方式で印刷内容を示すものであってもよい。
【0023】
以下の第2の実施の形態では、第1の実施の形態に係る印刷装置1の応用例として、プリンタを挙げる。ただし、前述の通り、印刷装置1は、プリンタ以外の様々な印刷装置に応用できる。
【0024】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態のプリンタのハードウェアを示すブロック図である。図2に示すプリンタ100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介して記憶部102、印刷部103、表示部104、操作入力部105通信インタフェース106が接続されている。
【0025】
記憶部102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)等を有する。記憶部102には、プリンタの制御や印刷出力の実行等に必要なプログラムおよびデータならびに印刷データの少なくとも一部が格納される。
【0026】
印刷部103は、CPU101の制御により、印刷データに基づいてプリンタ用紙や帳票用紙等の印刷媒体に印刷出力を行う。印刷部103から出力された印刷済の印刷媒体は、図示しない排紙トレイに排出される。
【0027】
表示部104は、CPU101からの命令に従って、画像を図示しない表示パネルの画面に表示させる。操作入力部105は、ユーザによる操作に基づいて図示しない操作部から送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。
【0028】
通信インタフェース106は、LAN10に接続されている。通信インタフェース106は、LAN10を介して、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置との間で印刷データや制御データの送受信を行うことができる。
【0029】
図3は、第2の実施の形態のプリンタの機能を示すブロック図である。なお、図3では、ビデオデータ変換機能以外の機能については記載を省略している。
第2の実施の形態に係るプリンタ100は、ここでは、乾式電子写真方式プリンタとするが、必ずしもこれに限らず、インクジェット方式プリンタ等、印刷するとドットが広がる等により論理的なドットに対してドットの径が変化する特性を持つ様々な印刷装置が考えられる。
【0030】
プリンタ100は、ビデオ生成部111、ビデオデータ記憶部112、ビデオデータ変換処理部113、印刷制御部114、印刷出力部115を有する。また、プリンタ100は、情報処理装置200と接続されている。印刷出力部115は、感光ドラム115aを有する。プリンタ100は、情報処理装置200から送信された印刷内容に基づいて印刷媒体にバーコードと共に文字、図形等を印刷する。
【0031】
ここで、印刷データは、印刷内容をバーコードと平行な方向に分割し、バーコードに直交する方向に沿って順次走査することで1次元情報に変換した信号であるとする。また、バーコードの黒色部分(バー)は、走査方向に連続した複数のドットを有するものとする。また、文字、図形は、細い斜線等の走査方向に単独のドットの部分を含むものとする。印刷データは、印刷信号として機能する。
【0032】
情報処理装置200は、プリンタ100を制御し、プリンタ100で印刷される印刷内容を示す印刷データをプリンタ100に送信する。情報処理装置200は、例えば、パーソナルコンピュータや大型コンピュータ等の情報処理装置である。情報処理装置200は、図7において後述する補正機能設定、プリンタドライバの設定等の必要な設定および印刷データを、LAN10を介してプリンタ100に送信する。
【0033】
ビデオ生成部111は、プリンタ100において通信インタフェース106により情報処理装置200から送信された印刷データ等が受信されると、受信された印刷データをビデオデータ記憶部112に記憶させる。ビデオデータ記憶部112は、ビデオ生成部111の制御に基づいて、プリンタ100で受信した印刷データを記憶する。
【0034】
ビデオデータ変換処理部113は、ビデオデータ記憶部112から印刷データを取得し、印刷制御部114にビデオ信号を出力する。ビデオデータ変換処理部113は、複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷データに基づいて、ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが単独の部分の幅を変更しないビデオ信号を生成する。
【0035】
このビデオ信号により、バーコード等の印刷結果の幅の精度が求められる部分については、ドットが連続する部分の幅が補正されることにより、電子写真プリンタやインクジェットプリンタ等のドットが広がる特性を持つプリンタにおいて、幅の増加が抑制される。その一方、文字や図形等については、ドット幅が単独の部分の幅を変更しないので、単独のドットの幅が維持されることにより、細い斜線や網掛け等が擦れることなく維持される。ビデオ信号は、変換信号として機能する。
【0036】
ビデオデータ変換処理部113は、印刷データに基づいて、ドットが走査方向に連続する部分の幅を細く変更する一方、ドットが走査方向において単独の部分の幅を変更しないことにより、ビデオ信号を生成する。このとき、ビデオデータ変換処理部113は、印刷データを4クロック遅延させたT4(図4において後述)と、印刷データ5クロック遅延させたT5(図4において後述)との論理積に基づくビデオデータ1を生成し、生成したビデオデータ1に基づいてビデオ信号を生成する。ビデオデータ1は、第1の補正信号として機能する。
【0037】
また、ビデオデータ変換処理部113は、印刷データの正負を反転した!(エクスクラメーションマーク)印刷データと、T4との論理積に基づいて、ドットが単独の部分について幅を変更しないビデオデータ2を生成し、生成したビデオデータ2に基づいてビデオ信号を生成する。ビデオデータ2は、第2の補正信号として機能する。
【0038】
なお、ビデオデータ2は、ドットが単独の部分について幅を変更しない信号であれば、上記のように生成されたものに限らず、例えば、ビデオデータ1の終了時点と、その終了部分から1ドット分遡った時点との間の範囲についてドットが存在することを示す信号を使用してもよい。
【0039】
印刷制御部114は、ビデオデータ変換処理部113によって変換されたビデオ信号に基づき印刷出力を制御する。この印刷制御部114により、ビデオデータ変換処理部113で生成されたビデオ信号に基づいて印刷出力部115が制御される。
【0040】
印刷出力部115は、印刷制御部114による制御に基づいてプリンタ用紙や帳票用紙等の印刷媒体に対してビデオ信号に基づく印刷出力を実行する。このとき印刷出力部115は、印刷制御部114の制御に基づいてビデオ信号をレーザ光に変換し、感光ドラム115aにレーザを照射し、レーザが照射された感光ドラム115aを用いて印刷媒体に印刷を行う。この印刷出力部115により、印刷制御部114の制御に基づいて、印刷媒体に、印刷内容の文字、図形、バーコード等が印刷される。
【0041】
このようなプリンタ100によれば、印刷の精度が求められるバーコード等の部分と印刷の精度は比較的求められないが、形状の維持が求められる文字、図形等の部分とを含む印刷内容について、精度が求められる部分の精度の低下およびそれ以外の部分の斜線の擦れ等の形状の崩れを抑制することができる。
【0042】
なお、印刷データは、印刷内容をバーコードに直交する方向に走査されたものとするが、これに限らず、印刷内容をバーコードに任意の角度で交差する方向に走査したものであってもよく、さらに、縦横2方向の走査等、異なる方式で印刷内容を示すものであってもよい。また、バーコードは、例えば、GS1−128等を用いることができるが、これに限らず、他の形式のバーコードも使用可能である。また、バーコードに限らず、例えば2次元コード等の他の印刷対象も使用可能である。
【0043】
なお、本実施の形態のビデオデータ変換処理部113は、走査線上におけるドットの始点を遅らせてバーコードの黒色部分の幅を抑制するが、これに限らず、走査線上におけるドットの終点を早めることによりバーコードの黒色部分の幅を抑制してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、印刷データを情報処理装置200から送信された印刷データをそのまま使用する。しかし、これに限らず、情報処理装置200は、印刷内容を示す他の形式のデータをプリンタ100に送信し、プリンタ100で受信したデータを印刷データに変換してから、ビデオデータ変換処理部113により変換を行ってもよい。
【0045】
図4は、第2の実施の形態のドットが連続する部分についての信号の処理を示すタイミングチャートである。図4に示すタイミングチャートは、プリンタ100に対して、走査線上に5個のドットが連続する論理的ドットイメージ(図4における(a))が入力された場合におけるビデオデータ変換処理による信号処理の様子およびビデオデータ変換処理によって生成される露光レーザイメージ(図4における(b))を示す。
【0046】
論理的ドットイメージは、プリンタ100で印刷される印刷内容について論理的に示されたものを、横方向の走査線により分割し、各走査線をドットの有無により示したものである。例えば、論理的ドットイメージの黒色部分に対応するドットは、プリンタ用紙や帳票用紙等の印刷媒体に印刷される。一方、論理的ドットイメージの白色部分に対応するドットは印刷媒体に印刷されない。
【0047】
論理的イメージでは、プリンタ100等の特性によるドットの変化は考慮されておらず、理想的な印刷結果が示されている。このため、論理的イメージをそのまま印刷した場合には、論理的イメージと実際の印刷結果とは一致しない場合がある(図14および図15参照)。本実施の形態では、以下に示すように論理的イメージに対応する印刷データを補正してビデオ信号に変換することで、論理的イメージと実際の印刷結果との不一致を抑制する。
【0048】
クロック信号は、論理的ドットイメージを変換する基準となるクロック信号の周期を示す。本実施の形態では、クロック信号の周期は、論理的ドットイメージの1ドットに対応する信号の立ち上がりから立ち下りまでを1周期とした場合における1/4周期に相当する時間とするが、必ずしもこれに限らず、任意に設定することができる。
【0049】
印刷データは、論理的ドットイメージを信号化したものである。印刷データは、論理的ドットイメージが黒色(印刷されるドットが「有り」)の場合にハイレベル信号となり、論理的ドットイメージが白色(印刷されるドットが「無し」)のときにロウレベル信号となる。本実施の形態では、印刷データは情報処理装置200から送信されるが、これに限らず、情報処理装置200から印刷内容を示す異なる形式のデータである印刷イメージデータを受信し、プリンタ100において受信した印刷イメージを印刷データに変換してもよい。
【0050】
!印刷データは、印刷データの正負を反転した信号である。!印刷データは、印刷データがロウレベル信号のときにハイレベル信号となり、印刷データがハイレベル信号のときにロウレベル信号となる。!印刷データは、ビデオデータ2の生成に使用する。
【0051】
T1は、印刷データを1クロック(1/4周期)遅延させた信号である。T1は、印刷データの立ち上がりから1クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから1クロック遅延して立ち下がる。
【0052】
T2は、T1を1クロック遅延させた信号である。T2は、印刷データの立ち上がりから2クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから2クロック遅延して立ち下がる。
【0053】
T3は、T2を1クロック遅延させた信号である。T3は、印刷データの立ち上がりから3クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから3クロック遅延して立ち下がる。
【0054】
T4は、T3を1クロック遅延させた信号である。T4は、印刷データの立ち上がりから4クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから4クロック遅延して立ち下がる。
【0055】
T5は、T4を1クロック遅延させた信号である。T4は、印刷データの立ち上がりから5クロック遅延して立ち上がり、印刷データの立ち下がりから5クロック遅延して立ち下がる。
【0056】
ビデオデータ1は、T4およびT5の論理積を示す信号である。ビデオデータ1は、T5の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、T4の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。
【0057】
ビデオデータ2は、!印刷データおよびT4の論理積を示す信号である。ビデオデータ2は、!印刷データの立ち上がり(印刷データの立ち下がり)と同じタイミングで立ち上がり、T4の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。
【0058】
ビデオ信号は、ビデオデータ1およびビデオデータ2の論理和を示す信号である。ビデオ信号は、図4の例では、ビデオデータ1の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、ビデオデータ1およびビデオデータ2の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。このようにして、ビデオデータ変換処理部113は論理的イメージを示す印刷データを変換してビデオ信号を生成し、生成したビデオ信号を出力する。
【0059】
露光レーザイメージは、ビデオ信号に基づいて印刷制御部114の制御により印刷出力部115が感光ドラム115aにレーザを露光する際のドットのパターンを示す。プリンタ100において、露光レーザイメージの黒色部分はドットが印刷媒体に印刷され、白色部分はドットが印刷媒体に印刷されない。図4の例では、ビデオ信号は、立ち上がりがT4よりも1クロック遅延しているT5と同じタイミングであり、立ち下がりがT4と同じタイミングである。これにより、露光レーザイメージは、図4における(c)に示すように1クロック分だけ短縮される。
【0060】
このように、本実施の形態では、クロック信号の周期に応じて、複数のドットが連続する論理的ドットイメージに対応する露光レーザイメージの幅を狭くすることができる。ここでは、図4における(c)に示すように、露光レーザイメージは、論理的ドットイメージと比較して1/4ドット分だけ、幅が狭くなっている。
【0061】
なお、図4の論理的ドットイメージは、連続する5ドットの幅であるが、これに限らず、任意の個数の複数のドットについても同様である。
図5は、第2の実施の形態の単独のドットの部分についての信号の処理を示すタイミングチャートである。図5に示すタイミングチャートは、プリンタ100に対して、走査線上に単独で1個のドットが存在する論理的ドットイメージ(図5における(d))が入力された場合におけるビデオデータ変換処理による信号処理の様子およびビデオデータ変換処理によって生成される露光レーザイメージ(図5における(e))を示す。また、図5における(d)に示すように、露光レーザイメージは、論理的ドットイメージと同様の1ドット幅となっている。
【0062】
図5の例では、印刷データは、論理的ドットイメージに基づいて1周期となる。また、!印刷データ、T1、T2、T3、T4、T5、ビデオデータ1、ビデオデータ2、ビデオ信号は、ビデオデータ変換処理部113により、印刷データに基づいて図4と同様の手順で図5に示すように生成される。
【0063】
すなわち、ビデオデータ1は、図4の例と同様、T5の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、T4の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。また、ビデオデータ2は、!印刷データおよびT4の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、T4の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。
【0064】
これらに基づいて、ビデオ信号は、ビデオデータ1およびビデオデータ2の論理和であるので、図5における(f)に示すように、ビデオデータ2の立ち上がりと同じタイミングで立ち上がり、ビデオデータ1およびビデオデータ2の立ち下がりと同じタイミングで立ち下がる。これにより、図5の例の論理的ドットイメージに基づく露光レーザイメージは、図5における(e)に示すように1ドットの幅となる。
【0065】
なお、図4および図5では、各信号は印刷されるドットの有無をハイレベル信号およびロウレベル信号で示し、ハイレベル信号は印刷されるドットの「有り」を示し、ロウレベル信号は印刷されるドットの「無し」を示す。しかし、これに限らず、ロウレベル信号は印刷されるドットの「有り」を示し、ハイレベル信号は印刷されるドットの「無し」を示してもよい。さらに各信号はパルス信号等、他の方式でドットの印刷の有無を示してもよい。
【0066】
図6は、第2の実施の形態のビデオデータ変換処理部の論理回路を示す図である。本実施の形態のビデオデータ変換処理部113は、図6に示す正論理の論理回路を有する。このビデオデータ変換処理部113は、プリンタ100が情報処理装置200からLAN10(図2において前述)を介して送信された印刷データを変換してビデオ信号を生成し、生成したビデオ信号を出力する。
【0067】
ビデオデータ変換処理部113は、フリップフロップ回路113a,113b,113c,113d,113e、NOT回路113f、AND回路113g,113h、OR回路113iを有し、各回路が図6のように配置されている。なお、ビデオデータ変換処理部113および入出力される信号は、図6に示す論理回路および信号に限らず、異なる論理回路や信号により同様の機能を有するものであってもよい。
【0068】
ビデオデータ変換処理部113は、印刷データ等を遅延させる際の基準として使用されるクロック信号、ビデオデータ記憶部112に記憶されている印刷データを入力としてビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号を印刷制御部114に出力する。
【0069】
クロック信号は、ビデオ信号等を生成するために遅延の基準として使用する信号である。ここでは、クロック信号は、図示しないクロック発生回路で発生される信号であり、印刷データの1周期を4等分した信号である。クロック信号は、印刷データを1/4周期ずつ(1/4周期〜5/4周期)遅延させた信号であるT1〜T5を生成するために使用する。
【0070】
印刷データは、印刷要求の内容を示すデータである。本実施の形態では、印刷データは、2次元情報である印刷内容を横方向に所定の間隔で走査することにより分解し、走査して得られた印刷内容の各走査線上の各点について2値で示すデータである。この印刷データは、黒または白の2色について2値で示すモノクロデータとしてもよく、印刷内容を多数の色に分解して各色について2値で示してもよい。さらに、他の方法で印刷内容を示すデータとしてもよい。
【0071】
フリップフロップ回路113aは、印刷データおよびクロック信号を入力として、印刷データを1/4周期遅延させたT1を出力する。フリップフロップ回路113bは、T1およびクロック信号を入力として、T1を1/4周期遅延させたT2を出力する。フリップフロップ回路113cは、T2およびクロック信号を入力として、T2を1/4周期遅延させたT3を出力する。フリップフロップ回路113dは、T3およびクロック信号を入力として、T3を1/4周期遅延させたT4を出力する。フリップフロップ回路113eは、T4およびクロック信号を入力として、T4を1/4周期遅延させたT5を出力する。
【0072】
NOT回路113fは、印刷データを入力として、印刷データの正負を反転させた!印刷データを出力する。AND回路113gは、T4およびT5を入力として、T4およびT5の論理積であるビデオデータ1を出力する。AND回路113hは、!印刷データおよびT4を入力として、!印刷データおよびT4の論理積であるビデオデータ2を出力する。OR回路113iは、ビデオデータ1およびビデオデータ2を入力として、ビデオデータ1およびビデオデータ2の論理和であるビデオ信号を出力する。このビデオ信号に基づいて、印刷出力部115において感光ドラム115aに対して露光レーザイメージが照射される。
【0073】
なお、ビデオデータ変換処理部113は、ビデオデータ1およびビデオデータ2ならびにビデオ信号を、上記説明以外の等価な論理回路により生成してもよい。
図7は、第2の実施の形態の設定画面を示す図である。図7に示す設定画面201は、情報処理装置200(図3において前述)と接続された図示しないモニタに表示される画面である。設定画面201は、プリンタ100による印刷出力の設定を行う設定画面の一例である。
【0074】
設定画面201には、印刷設定領域201a、OKボタン201b、キャンセルボタン201cが設けられている。
印刷設定領域201aは、プリンタ100による印刷出力においてバーコードおよびその他の印刷の設定内容の入力を行う領域である。印刷設定領域201aには、補正機能設定欄201a1が設けられている。
【0075】
補正機能設定欄201a1は、プリンタ100による印刷出力において、ユーザが本実施の形態のビデオデータ変換機能によるドット径の補正を行うか否かを設定する領域である。ユーザは、この補正機能設定欄201a1をチェックしてOKボタン201bを操作することにより、プリンタ100のビデオデータ変換機能を有効にすることができる。また、ユーザは、この補正機能設定欄201a1のチェックを外してOKボタン201bを操作することにより、プリンタ100のビデオデータ変換機能を無効にすることができる。
【0076】
OKボタン201bは、ユーザが設定画面201によって入力した内容で設定を新たに取得し、または更新し、設定画面201の表示を終了するボタンである。キャンセルボタン201cは、ユーザが設定画面201によって入力した設定の内容を無効にし、設定画面201の表示を終了するボタンである。
【0077】
図8は、第2の実施の形態のドットが連続する部分の印刷出力の結果の一例を示す図である。図8に示すように、本実施の形態のプリンタ100は、印刷媒体にバーコードを印刷する際、バーコードの黒色部分の連続するドットの一端(図8の例では左側の端)における論理的なドットイメージに対するはみ出しを抑制する。これにより、バーコードの黒色部分同士の間隔の減少を抑制して精度を向上させ、バーコードの読み取りミスの発生を抑制できる。
【0078】
図9は、第2の実施の形態の斜線の印刷出力の結果の一例を示す図である。図9に示すように、本実施の形態のプリンタ100は、印刷媒体にバーコードと共に、例えば45度に傾斜した1ドット幅の斜線を印刷する際、単独のドットの径は維持するので、斜線が細くなるのを防止すると共に、斜線の各ドットに隙間が発生することを抑制する。これにより、単独のドットを有する斜線が擦れたり細くなったりするなどして印刷が見難くなることを抑制できる。また、これにより、バーコード等のドットが連続する部分の印刷の精度を向上させると共に、他の部分への悪影響を抑制できる。
【0079】
以上、第2の実施の形態によれば、印刷の精度が求められるバーコード等の部分とそれ以外の部分とを含む印刷内容について、バー等のドットが連続する部分の幅の広がりを抑制することで、精度が求められる部分の精度の低下を抑制する。また、単独のドットの幅を変更しないので、精度が求められる部分以外の部分の形状の崩れを抑制することができる。
【0080】
(第2の実施の形態の変形例)
次に、第2の実施の形態の変形例について説明する。上記の第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。本変形例のプリンタ100は、ビデオデータ変換処理部113による印刷データのビデオ信号への変換をソフトウェアで実現している点で、第2の実施の形態と異なる。
【0081】
図10および図11は、第2の実施の形態の変形例におけるビデオデータ変換処理の流れを示すフローチャートである。図10および図11に示すビデオデータ変換処理は、プリンタ100が有するソフトウェアにより実行される処理である。このビデオデータ変換処理は、プリンタ100が情報処理装置200からLAN10(図2において前述)を介して送信された印刷データを変換してビデオ信号を生成し、生成したビデオ信号に基づいて印刷出力を実行する処理である。ビデオデータ変換処理は、プリンタ100の起動に応じて実行が開始され、プリンタ100の動作中は常駐してビデオデータ記憶部112の印刷データの有無を監視する。
【0082】
[ステップS11]ビデオデータ変換処理部113は、ビデオデータ記憶部112に、情報処理装置200から送信された印刷データが記憶されているか否かについて判定する。印刷データが記憶されていれば、ビデオデータ記憶部112から印刷データを取得して、ステップS12に処理が進められる。一方、印刷データが記憶されていなければ、ステップS11の処理が繰り返される。
【0083】
[ステップS12]ビデオデータ変換処理部113は、ビデオデータ記憶部112に記憶されている印刷データを1クロック(1/4周期)遅らせた信号であるT1を生成する。
【0084】
[ステップS13]ビデオデータ変換処理部113は、T1をさらに1クロック遅らせた信号であるT2を生成する。
[ステップS14]ビデオデータ変換処理部113は、T2をさらに1クロック遅らせた信号であるT3を生成する。
【0085】
[ステップS15]ビデオデータ変換処理部113は、T3をさらに1クロック遅らせた信号であるT4を生成する。
[ステップS16]ビデオデータ変換処理部113は、T4をさらに1クロック遅らせた信号であるT5を生成する。その後、処理はステップS21(図11)に進められる。
【0086】
[ステップS21]ビデオデータ変換処理部113は、ステップS15で生成したT4およびステップS16で生成したT5から、ビデオデータ1を生成する。なお、ビデオデータ1は、T4およびT5の論理積である。
【0087】
[ステップS22]ビデオデータ変換処理部113は、ステップS11で取得した印刷データおよびステップS15で生成したT4から、ビデオデータ2を生成する。なお、ビデオデータ2は、印刷データの正負を反転させた!印刷データおよびT4の論理積である。
【0088】
[ステップS23]ビデオデータ変換処理部113は、ステップS21で生成したビデオデータ1およびステップS22で生成したビデオデータ2から、ビデオ信号を生成する。なお、ビデオ信号は、ビデオデータ1およびビデオデータ2の論理和である。
【0089】
[ステップS24]印刷制御部114は、ステップS23で生成されたビデオ信号に基づいて、印刷出力部115を制御する。これに従い、印刷出力部115は、プリンタ用紙や帳票用紙等の印刷媒体に印刷データの印刷出力を行う。その後、処理は終了する。
【0090】
なお、上記説明では、ビデオデータ1を先に生成したが、ビデオデータ2を先に生成してもよく、ビデオデータ1およびビデオデータ2を並行して生成してもよい。ビデオデータ1およびビデオデータ2ならびにビデオ信号は、上記説明以外の等価な論理演算により生成してもよい。
【0091】
また、情報処理装置200がビデオデータ変換処理部113と同等の機能を有して上記ビデオデータ変換処理を実行することにより、情報処理装置200において印刷データをビデオ信号に変換した後、ビデオ信号を印刷装置等に送信して印刷装置に印刷出力させてもよい。
【0092】
以上、第2の実施の形態の変形例によれば、ビデオデータ変換処理に示すソフトウェア制御により第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、プリンタ100が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0093】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記録装置には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD(Compact Disc)−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto - Optical disk)等がある。
【0094】
上記プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータに記憶しておき、ネットワークを通じて、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0095】
上記プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムまたはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に記憶する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0096】
以上、開示の印刷装置、印刷制御方法および印刷信号変換プログラムを、図示の実施の形態に基づいて説明したが、上記については単に本発明の原理を示すものである。開示の技術は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、開示の技術に他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、開示の技術は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。また、開示の技術に対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。
【0097】
以上の第1の実施の形態、第2の実施の形態および第2の実施の形態の変形例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部と、
前記変換処理部によって変換された前記変換信号に基づき印刷出力を制御する印刷制御部と、
前記印刷制御部による制御に基づいて印刷媒体に対して前記変換信号に基づく前記印刷出力を実行する印刷出力部とを有することを特徴とする印刷装置。
【0098】
(付記2) 前記変換処理部は、前記印刷信号に基づいて、前記ドットが走査方向に連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが走査方向において単独の部分の幅を変更しないことにより、前記変換信号を生成することを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0099】
(付記3) 前記変換処理部は、前記印刷信号を第1の所定時間遅延させた第1の遅延信号と、前記印刷信号を前記第1の所定時間よりも大きい第2の所定時間遅延させた第2の遅延信号との論理積に基づく第1の補正信号を生成し、生成した前記第1の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0100】
(付記4) 前記変換処理部は、前記ドットが単独の部分について幅を変更しない第2の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする付記1記載の印刷装置。
(付記5) 前記変換処理部は、前記印刷信号の正負を反転した反転印刷信号と、前記印刷信号を第1の所定時間遅延させた第1の遅延信号との論理積に基づいて前記第2の補正信号を生成し、生成した前記第2の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする付記4記載の印刷装置。
【0101】
(付記6) 前記印刷内容は、バーコードを含み、
前記印刷信号は、前記印刷内容について、前記バーコードのバーに直交する方向に走査され、
前記変換処理部は、前記印刷信号に基づいて、前記ドットが走査方向に連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが走査方向において単独の部分の幅を変更しないことにより、前記変換信号を生成することを特徴とする付記2記載の印刷装置。
【0102】
(付記7) 複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理ステップと、
前記変換処理ステップによって変換された前記変換信号に基づき印刷出力を制御する印刷制御ステップと、
前記印刷制御ステップによる制御に基づいて印刷媒体に対して前記変換信号に基づく前記印刷出力を実行する印刷出力ステップとを有することを特徴とする印刷制御方法。
【0103】
(付記8) コンピュータを、
複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部として機能させることを特徴とする印刷信号変換プログラム。
【符号の説明】
【0104】
1 印刷装置
1a 変換処理部
1b 印刷制御部
1c 印刷出力部
2 情報処理装置
3 印刷媒体
3a 文字
3b 図形
3c バーコード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部と、
前記変換処理部によって変換された前記変換信号に基づき印刷出力を制御する印刷制御部と、
前記印刷制御部による制御に基づいて印刷媒体に対して前記変換信号に基づく前記印刷出力を実行する印刷出力部とを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記変換処理部は、前記印刷信号に基づいて、前記ドットが走査方向に連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが走査方向において単独の部分の幅を変更しないことにより、前記変換信号を生成することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記変換処理部は、前記印刷信号を第1の所定時間遅延させた第1の遅延信号と、前記印刷信号を前記第1の所定時間よりも大きい第2の所定時間遅延させた第2の遅延信号との論理積に基づく第1の補正信号を生成し、生成した前記第1の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記変換処理部は、前記ドットが単独の部分について幅を変更しない第2の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記変換処理部は、前記印刷信号の正負を反転した反転印刷信号と、前記印刷信号を第1の所定時間遅延させた第1の遅延信号との論理積に基づいて前記第2の補正信号を生成し、生成した前記第2の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理ステップと、
前記変換処理ステップによって変換された前記変換信号に基づき印刷出力を制御する印刷制御ステップと、
前記印刷制御ステップによる制御に基づいて印刷媒体に対して前記変換信号に基づく前記印刷出力を実行する印刷出力ステップとを有することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、
複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部として機能させることを特徴とする印刷信号変換プログラム。
【請求項1】
複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部と、
前記変換処理部によって変換された前記変換信号に基づき印刷出力を制御する印刷制御部と、
前記印刷制御部による制御に基づいて印刷媒体に対して前記変換信号に基づく前記印刷出力を実行する印刷出力部とを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記変換処理部は、前記印刷信号に基づいて、前記ドットが走査方向に連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが走査方向において単独の部分の幅を変更しないことにより、前記変換信号を生成することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記変換処理部は、前記印刷信号を第1の所定時間遅延させた第1の遅延信号と、前記印刷信号を前記第1の所定時間よりも大きい第2の所定時間遅延させた第2の遅延信号との論理積に基づく第1の補正信号を生成し、生成した前記第1の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記変換処理部は、前記ドットが単独の部分について幅を変更しない第2の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記変換処理部は、前記印刷信号の正負を反転した反転印刷信号と、前記印刷信号を第1の所定時間遅延させた第1の遅延信号との論理積に基づいて前記第2の補正信号を生成し、生成した前記第2の補正信号に基づいて前記変換信号を生成することを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理ステップと、
前記変換処理ステップによって変換された前記変換信号に基づき印刷出力を制御する印刷制御ステップと、
前記印刷制御ステップによる制御に基づいて印刷媒体に対して前記変換信号に基づく前記印刷出力を実行する印刷出力ステップとを有することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、
複数のドットの有無により印刷内容を示す印刷信号に基づいて、前記ドットが連続する部分の幅を細く変更する一方、前記ドットが単独の部分の幅を変更しない変換信号を生成する変換処理部として機能させることを特徴とする印刷信号変換プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−148174(P2011−148174A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10780(P2010−10780)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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