説明

印刷装置、印刷方法、及び、印刷システム

【課題】 媒体から外れたインクの山積みを抑制することにある。
【解決手段】 保湿剤を有する第1の顔料インクと、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクと、を吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるコントローラと、を有する印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷方法、及び、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に向けて液体を吐出して印刷をする印刷装置の1つとして、インクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタは、紙等の媒体に対して液体としてインクを吐出して印刷を施すようになっている。最近、このようなインクジェットプリンタにおいて、媒体の縁、ギリギリに対してインクを打ち込み、媒体から外れたインクを、吸収材を備えたインク受け部に受ける印刷機能が設けられている。
【特許文献1】特開2002−225311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような印刷にあっては、次のような問題があった。すなわち、吐出されるインクの中には、浸透性の低いものや固化し易いものなどがある。このようなインクが媒体から外れて、インク受け部の吸収材の上に到達したときに、吸収材の中になかなか浸透せず、そのまま残留してしまう場合があり得る。このようにインクが蓄積して山積みされると、吸収材の上にインクが順次山積みとなり、最終的には、印刷される媒体を汚す虞があった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、媒体から外れたインクの山積みを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、保湿剤を有する第1の顔料インクと、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクと、を吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるコントローラと、を有する印刷装置である。
【0006】
また、上記目的を達成するための主たる発明は、顔料インクを吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記顔料インクを吐出させるコントローラと、を有する印刷装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0009】
保湿剤を有する第1の顔料インクと、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクと、を吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるコントローラと、を有する印刷装置。
このような印刷装置においては、媒体から外れたインクの山積みを抑制することができる。
【0010】
また、前記受け部は、前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを吸収する吸収材を有することが好ましい。
このような印刷装置においては、吸収材に前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを吸収させることができる。
【0011】
また、前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受けることが好ましい。
このような印刷装置においては、前記媒体の側端部まで余白なしに画像を形成することができる。
【0012】
また、前記受け部は、前記媒体の上下端部に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受けることが好ましい。
このような印刷装置においては、前記媒体の上下端部まで余白なしに画像を形成することができる。
【0013】
また、前記コントローラは、前記媒体の印刷前に前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させることが好ましい。
このような印刷装置においては、予め吸収材が保湿されているので、吸収材の上に堆積するインクの山積みを抑制することができる。
【0014】
また、前記コントローラは、前記媒体の印刷後に前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させることが好ましい。
このような印刷装置においては、吸収材を保湿することができるので、吸収材の上に堆積するインクの山積みを抑制することができる。
【0015】
また、前記コントローラは、ユーザーの設定に応じて、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるか否か決定することが好ましい。
このような印刷装置においては、ユーザーは、第2の顔料インクの消費量を節約するため、受け部に第2の顔料インクを吐出させないように設定することができる。
【0016】
また、前記コントローラは、前記媒体の端部を印刷しない場合、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させないことが好ましい。
このような印刷装置においては、前記媒体の端部を印刷しない場合、前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させない。よって、第2の顔料インクの消費量を節約することができる。
【0017】
また、前記第1の顔料インク及び前記第2の顔料インクは、それぞれ同じ波長の光を吸収し、その吸収量がそれぞれ異なることが好ましい。
このような印刷装置においては、前記第1の顔料インク及び前記第2の顔料インクは、それぞれ同じ色で濃さの異なるインクとなる。
【0018】
また、保湿剤を有する第1の顔料インクと、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクと、を吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるコントローラと、を有し、前記受け部は、前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを吸収する吸収材を有し、前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受け、前記受け部は、前記媒体の上下端部に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受け、前記コントローラは、前記媒体の印刷前に前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させ、前記コントローラは、ユーザーの設定に応じて、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるか否か決定し、前記コントローラは、前記媒体の端部を印刷しない場合、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させず、前記第1の顔料インク及び前記第2の顔料インクは、それぞれ同じ波長の光を吸収し、その吸収量がそれぞれ異なることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0019】
また、印刷領域に媒体がある状態において保湿剤を有する第1の顔料インク、及び、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクがヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受け部にて受け、前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させることを特徴とする印刷方法も実現可能である。
このようにして実現された印刷方法は、従来方法よりも優れた方法となる。
【0020】
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、前記印刷装置は、保湿剤を有する第1の顔料インクと、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクと、を吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるコントローラと、を有することを特徴とする印刷システムも実現可能である。
このようにして実現された印刷システムは、従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0021】
顔料インクを吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記顔料インクを吐出させるコントローラと、を有する印刷装置。
このような印刷装置においては、媒体から外れたインクの山積みを抑制することができる。
【0022】
また、前記コントローラは、前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの量を、前記印刷領域に前記媒体がある状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの量よりも、多くすることが好ましい。
このような印刷装置においては、受け部へ積極的に吐出されたインクの堆積を抑制することができる。
【0023】
また、前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの種類は、前記印刷領域に前記媒体がある状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの種類に含まれていることが好ましい。但し、前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの種類は、前記印刷領域に前記媒体がある状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの種類とは異なっていても良い。
【0024】
また、印刷領域に媒体がある状態において顔料インクがヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記顔料インクを受け部にて受け、前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記顔料インクを吐出させることを特徴とする印刷方法も実現可能である。
このようにして実現された印刷方法は、従来方法よりも優れた方法となる。
【0025】
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、前記印刷装置は、顔料インクを吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記顔料インクを吐出させるコントローラと、を有することを特徴とする印刷システムも実現可能である。
このようにして実現された印刷システムは、従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0026】
===印刷システムの構成===
次に、印刷システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
【0027】
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110を備えている。プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。コンピュータ110は、印刷データを介してプリンタ1を制御するので、印刷制御装置でもある。
【0028】
印刷システム100は、他にも表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを備えている。表示装置120は、ディスプレイを有し、プリンタドライバ等のユーザーインタフェースを表示する。入力装置130は、例えばキーボード130Aやマウス130Bであり、表示装置120に表示されたユーザーインタフェースに沿って、アプリケーションプログラムの操作やプリンタドライバの設定等に用いられる。記録再生装置140は、例えばフレキシブルディスクドライブ装置140AやCD−ROMドライブ装置140Bが用いられる。
【0029】
コンピュータ110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザーインタフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
【0030】
===プリンタとコンピュータの構成===
<プリンタとコンピュータの構成について>
図2は、コンピュータ110とプリンタ1の全体構成のブロック図である。
コンピュータ110は、インターフェース部161と、CPU162と、コンピュータ側メモリ163とを有する。インターフェース部161は、外部装置であるプリンタ1とコンピュータ110との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU162は、コンピュータ110全体の制御を行うための演算処理装置である。コンピュータ側メモリ163は、プリンタドライバ等のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保する記憶素子である。CPU162は、コンピュータ側メモリ163に格納されているプリンタドライバに従って、画像データから印刷データを生成し、印刷データをプリンタ1に送信する。プリンタドライバをコンピュータ110にインストールすることにより、CPU162とコンピュータ側メモリ163は、印刷データを介してプリンタ1を制御するコンピュータ側コントローラとなる。
【0031】
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び、プリンタ側コントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、プリンタ側コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。プリンタ側コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0032】
プリンタ側コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニットである。プリンタ側コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、プリンタ側メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。プリンタ側メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU62は、プリンタ側メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0033】
なお、コンピュータ側コントローラ(CPU162とコンピュータ側メモリ163)とプリンタ側コントローラ60は、印刷システム全体を制御するコントローラとなる。また、コンピュータ側メモリ163に格納されたプリンタドライバは、コンピュータ110に、印刷データを生成させ、印刷データをプリンタ1に送信させる。一方、プリンタ側メモリ63に格納されたプログラムは、印刷データに応じて、搬送ユニット20に紙を搬送させ、キャリッジユニット30にキャリッジを移動させ、ヘッドユニット40にインクを吐出させる。このため、プリンタドライバとプリンタ側のプログラムは、協働して印刷システムに印刷を行わせるプログラムともなる。
【0034】
図3は、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図4は、プリンタ1の全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
【0035】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(以下、搬送方向という)に所定の搬送量で紙を搬送させるためのものである。すなわち、搬送ユニット20は、紙を搬送する搬送部となる。搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。ただし、搬送ユニット20が搬送部として機能するためには、必ずしもこれらの構成要素を全て必要とするわけではない。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に給紙するためのローラである。給紙ローラ21は、D形の断面形状をしており、円周部分の長さは搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて紙を搬送ローラ23まで搬送できる。搬送モータ22は、紙を搬送方向に搬送するためのモータであり、例えばDCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタの外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
【0036】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能である。(これにより、ヘッドが移動方向に沿って移動する。)また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動方向に移動させるためのモータであり、例えばDCモータにより構成される。このキャリッジモータ32は、ヘッド(後述)を移動方向に移動させる移動部となる。
【0037】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、複数のノズルを有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0038】
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が搬送ローラ23に向かって紙を給紙する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。光学センサ54は、光学的に紙の端部を検出するため、機械的な紙検出センサ53よりも、検出精度が高い。
【0039】
<ノズルについて>
図5は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、6個のノズル群が形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では180個)備えている。
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。
各ノズル群のノズルは、搬送方向下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯180)。なお、前述の光学センサ54は、搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル♯180とほぼ同じ位置にある。
各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が吐出される。
【0040】
ところで、インクジェットプリンタでは、紙に印刷画像を形成する場合、多数のドットにより印刷画像を構成する。そして、このようなインクジェットプリンタでは、紙上のドットの密度を変えることにより、印刷画像の階調を表現する。例えば、印刷画像の濃度の濃い部分では、ドットの密度が高く、印刷画像の濃度の淡い部分では、ドットの密度が低い。
印刷画像の濃度の淡い部分では、粒状感が出やすい。例えば、シアンインクのみを用いて淡い水色を印刷する場合、シアンインクによるドットがまばらに形成される結果、印刷画像は、淡い水色と言うよりもシアンの水玉模様のようになってしまう(粒状感)。
【0041】
そこで、本実施形態のヘッド41には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yとともに、ライトシアンインクノズル群LC、及び、ライトマゼンタインクノズル群LMが形成されている。
ライトシアンインクは、シアンインク(濃インク)よりも濃度が淡い。シアンは補色であるレッド光を吸収する性質を持ち、ライトシアンインクにより形成されたライトシアンドット(淡ドット)は、シアンインクにより形成されたドット(濃ドット)よりも、レッド光の吸収量が少ない。
ライトマゼンタインクは、マゼンタインク(濃インク)よりも濃度が淡い。マゼンタは補色であるグリーン光を吸収する性質を持ち、ライトマゼンタインクにより形成されたドット(淡ドット)は、マゼンタインクにより形成されたドット(濃ドット)よりも、グリーン光の吸収量が少ない。
【0042】
そして、本実施形態において淡い水色の画像を印刷する場合、ライトシアンインクを用いてライトシアンドットを紙に形成する。シアンインクのみを用いた場合と比較して、ライトシアンドットにより淡い水色を表現すればドットの数が多くなるので、粒状感を軽減することができる。
【0043】
なお、イエローに関しては、濃度による影響が少ないので、ライトインクは用意されていない。但し、ダークイエローインク(濃インク)を用いれば、印刷画像に深みのある黄色を表現することもできる。なお、イエローは補色であるブルー光を吸収する性質を持つが、ダークイエローインクにより形成されたダークイエロードット(濃ドット)は、イエローインクにより形成されたドット(淡ドット)よりも、ブルー光の吸収量が多い。
【0044】
<各インクの構成について>
ここで、各インクの構成について図6を参照して説明する。各インクは、顔料分、樹脂分、保湿剤、その他の成分、及び、純水から構成される。
【0045】
顔料分とは、色材のことである。染料インクでは色材が溶媒に溶けているが、顔料インクでは、顔料分が液体中に分散して存在している。そして、顔料インクが紙に着弾すると、色材は紙の表面にとどまり、紙へはほとんど浸透しない。このように、顔料分である色材は、紙の表面に色を乗せる機能を有する。このため、色の濃いインクでは顔料分の割合が多くなり、色の淡いインクでは顔料分の割合が少なくなる。例えば、シアンには「カラーインデックスピグメントブルー15:3」の色材が用いられるが、シアンインクでは顔料分が4.0%であるのに対し、ライトシアンインクでは顔料分が1.0%であり、ライトシアンインクの方がシアンインクよりも顔料分が少ない。同様に、マゼンタインクでは顔料分が5.5%であるのに対し、ライトマゼンタインクでは顔料分が1.0%であり、ライトマゼンタインクの方がマゼンタインクよりも顔料分が少ない。
【0046】
樹脂分は、例えば、「レジン」である。樹脂分は、顔料分をコーティングすることによって、分散して存在する顔料分が凝集しないようにする。このように、樹脂分は、分散剤として機能する。樹脂分は顔料分をコーティングするので、顔料分が多くなると樹脂分も多くなり、顔料分が少なくなると樹脂分も少なくなる。例えば、シアンインクでは樹脂分が2.0%であるのに対し、ライトシアンインクでは樹脂分が0.5%であり、ライトシアンインクの方がシアンインクよりも樹脂分が少ない。マゼンタとライトマゼンタについても同様である。
【0047】
保湿剤は、例えば、「グリセリン」等の多価アルコール類である。保湿剤は、インクに含まれる水分の蒸発を防ぐ機能を有する。また、保湿剤は、ノズルにあるインクの水分の蒸発を防ぐことにより、ノズルでのインクの固化を防ぎ、ノズルの目詰まりを防止する。なお、インクには、界面活性剤等のその他の成分、及び、純水も含まれている。
【0048】
次に、インクの粘度の調整について説明する。インクの粘度は、インクに含まれる固形分(主に、顔料分と樹脂分)と保湿剤の量の影響を受ける。例えば、固形分と保湿剤の量が多くなればインクの粘度が増加し、固形分と保湿剤の量が少なくなればインクの粘度が減少する。但し、各色のインクの粘度は等しいことが好ましい。なぜなら、各色のインクの粘度が異なると、それぞれのノズルから吐出されるインクの量が異なってしまうからである。このため、固形分の量が多ければ保湿剤の量を少なくして、固形分の量が少なければ保湿剤の量を多くして、インクの粘度が調整される。
【0049】
ここで、シアンインクとライトインクの保湿剤の量について検討する。ライトシアンインクは、シアンインクよりも淡いインクである。このため、ライトシアンインクは、シアンインクよりも顔料分が少なくなるので、固形分(顔料分と樹脂分)が少なくなる。一方、ライトシアンインクの粘度をシアンインクの粘度と同程度に調整する必要がある。そのため、ライトシアンインクに含まれる保湿剤は、シアンインクに含まれる保湿剤よりも多くなるように、調整される。なお、同様の理由により、ライトマゼンタインクに含まれる保湿剤は、マゼンタインクに含まれる保湿剤よりも、多くなる。
ライトシアンインクは、シアンインクよりも固形分の量が少なく、保湿剤の量が多いので、水分の蒸発によるインクの固化が起こりにくい。同様に、ライトマゼンタインクは、マゼンタインクよりも固形分の量が少なく、保湿剤の量が多いので、水分の蒸発によるインクの固化が起こりにくい。
【0050】
===縁なし印刷===
<縁なし印刷について>
ここで、縁なし印刷について説明する。縁なし印刷とは、紙Sの側端部、及び、上下端部に余白を残さないように印刷する印刷方式である。縁なし印刷が実行されるときには、図7に示されるように、紙Sの大きさよりも広い範囲に向けて、それぞれのノズルからインクが吐出される。これにより、搬送時に紙の位置がずれても、紙の全面に余白を残さずに印刷することができる。
但し、縁なし印刷の際に、紙よりも外側に吐出されるインクが存在する。このインクは、紙Sに着弾しないので、紙Sを支持するプラテン24に着弾する。なお、紙Sに着弾しないインクが着弾する領域を、「打ち漏らし領域」と呼ぶ。
縁なし印刷時にプラテン24に着弾したインクが、次に搬送される紙の裏面に付着すると、その紙を汚すことになる。そこで、縁なし印刷を行うプリンタのプラテン24は、以下に説明するような構造になっている。
【0051】
図8Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図8Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。図8Aに示されるように、プラテン24は、紙Sを支持する支持部242と、支持部よりも低い位置に設けられる溝部244を有している。
縁なし印刷時には、ヘッド41に設けられたノズルから紙Sよりも広い範囲に向けてインクが吐出される。そして、紙Sに着弾しないインクは、溝部244に着弾する。但し、溝部244は支持部242よりも低い位置にあるので、溝部に着弾したインクは、支持部242よりも低い位置にある。これにより、溝部244に着弾したインクが紙の裏面に付着することを防止できる。
なお、溝部244は、打ち漏らし領域が溝部244上に位置するように、予め設計されている(図8Bにおいて、溝部244にインクが着弾している領域が、打ち漏らし領域である)。これにより、溝部244は、縁なし印刷時に紙Sに着弾しないインクを受けるための受け部になる。
ところで、溝部244に多量のインクが着弾すると、溝部244にインクが堆積し、溝部244に固化したインクの山ができてしまう。このインクの山が支持部242の高さに達すると、紙Sの裏面を汚す虞がある。これを防ぐため、溝部244において打ち漏らし領域となる位置には、インクを吸収する吸収材としてスポンジ246が設けられている。
【0052】
<顔料インクの堆積について>
スポンジは、細かい繊維が網の目状に絡み合って構成され、多孔性で吸水性に優れた材質である。但し、顔料インクの場合、色材が溶けている染料インクとは異なり、スポンジ246上に色材が堆積しやすい。
【0053】
図9は、濃いインクがスポンジ246に着弾したときの様子の説明図である。図10は、淡いインクがスポンジ246に着弾したときの様子の説明図である。
濃いインク(例えばシアンインク)は、淡いインク(例えばライトシアンインク)よりも保湿剤の量が少ない。このため、濃いインクがスポンジ246に着弾したとき、保湿剤はスポンジ246の内部深層まで浸透せず、また、スポンジ表面も乾きやすい状態にある。この結果、スポンジ246に着弾した顔料分がスポンジ246の内部まで浸透せず、スポンジ表面の繊維にインクの顔料分が引っかかる。加えて、濃いインクは顔料分の量が多いので、濃いインクがスポンジ246に着弾した場合、スポンジ表面に顔料分が溜まりやすい。
そして、濃いインクがスポンジ246に繰り返し着弾すると、スポンジ表面の繊維に顔料分が溜まり、スポンジ表面の繊維の網目が顔料分で埋まってしまう。こうなると、スポンジ246が吸収材として機能しなくなる。この結果、スポンジ上にインクが堆積しやすくなり、インクの山が高くなりやすい。
【0054】
一方、淡いインク(例えばライトシアンインク)は、濃いインク(例えばシアンインク)よりも保湿剤の量が多い。このため、淡いインクがスポンジ246に着弾したとき、保湿剤がスポンジ246の表面から内部深層まで広く浸透する。すると、スポンジ246に着弾したインクの顔料分は、スポンジ246に浸透している保湿剤によって流動を促され、スポンジ246の内部まで浸透するようになる。この結果、スポンジ表面に溜まる顔料分が減り、スポンジ表面の繊維の網目が顔料分で埋まりにくくなる。加えて、淡いインクは顔料分の量が少ないので、淡いインクがスポンジ246に着弾しても、スポンジ表面に顔料分が溜まりにくい。
【0055】
さらに、スポンジ246の内部深層まで保湿剤が浸透した状態であれば、濃いインクがスポンジ246に着弾しても、顔料分が保湿剤によって流動し、顔料分がスポンジ246の内部まで浸透する。つまり、スポンジ246の内部深層まで保湿剤が浸透した状態であれば、スポンジ表面に顔料分が溜まりにくくなる。
スポンジ表面に顔料分が溜まっていた場合であっても、スポンジ表面の繊維の網目が埋まる前であれば、多量の淡いインクがスポンジに着弾するとスポンジの内部に保湿剤が浸透し、スポンジ表面に溜まっていた顔料分がスポンジの内部に浸透するようになる。つまり、濃いインクがスポンジ246に着弾した後に淡いインクをスポンジ246に着弾させても、スポンジ表面に顔料分が溜まりにくくなる。
【0056】
そこで、本実施形態では、淡いインクをスポンジ246に積極的に吐出して、スポンジの内部まで保湿剤を浸透させることにより、スポンジ246上にインクが堆積することを抑制している。
【0057】
===本実施形態の印刷方法1===
次に、図11を参照して、本実施形態の印刷方法1について説明する。この印刷方法は、メモリ63に記憶されたプログラムに基づいてプリンタ側コントローラ60がプリンタ内の各ユニットを制御することにより、実行される。なお、以下の説明では、スポンジ246に積極的に吐出する淡いインクは、ライトシアンインクとする。但し、ライトシアンインクの代わりに、又はライトシアンインクと共に、ライトマゼンタインクを用いても良い。
【0058】
ステップS101において、プリンタ側コントローラ60は、ユーザーによって、ライトシアンインクの吐出が禁止されているか否かを判断する。初期設定では、禁止設定は解除されているので、ここでは、この判定はNOとする。
ステップS102において、プリンタ側コントローラ60は、印刷方式が「縁なし印刷」であるか否かを判断する。ユーザーは、印刷を指示する際にプリンタドライバ上で「縁なし印刷」を行うか否かを設定するので、プリンタ側コントローラ60は、この設定に基づいて判断する。ここでは、この判定はYESとする。
ステップS103において、プリンタ側コントローラ60は、ヘッド41に対して、溝部244の打ち漏らし領域へ、ライトシアンインクを吐出させる。
【0059】
図12A及び図12Bは、打ち漏らし領域の説明図である。図12Aに示す幅の紙Sを縁なし印刷する場合、図12Bに示す斜線部分が、打ち漏らし領域となる。紙の幅に応じて打ち漏らし領域が異なるので、プリンタ側コントローラ60は、印刷すべき紙の幅に応じて、打ち漏らし領域の位置を決定する。なお、ユーザーは、印刷を指示する際にプリンタドライバ上で紙サイズ(例えば、A4サイズ)を設定するので、プリンタ側コントローラ60は、この設定に基づいて打ち漏らし領域の位置を判断する。
そして、プリンタ側コントローラ60は、ライトシアンインクノズル群が打ち漏らし領域に対向するようにキャリッジ31を移動させ、ヘッド41に対してライトシアンインクノズル群からライトシアンインクを吐出させる。これにより、打ち漏らし領域にライトシアンインクが塗布され、打ち漏らし領域のスポンジ246の内部に保湿剤が浸透する。
【0060】
なお、本印刷方法では、給紙処理(S104)の前に、ライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出している。このため、このときには印刷領域に紙がない状態なので、吐出されるライトシアンインクが紙に着弾することはない。
【0061】
ステップS104において、プリンタ側コントローラ60は、給紙処理を行う。給紙処理とは、印刷すべき紙をプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。プリンタ側コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき紙Sを搬送ローラ23まで送る。プリンタ側コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた紙Sを印刷開始位置に位置決めする。紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、紙Sは、ヘッド41の少なくとも一部のノズルと対向可能な位置になる。つまり、給紙処理を終えたとき、紙Sは印刷可能な位置(印刷領域)に到達する。
【0062】
ステップS105において、プリンタ側コントローラ60は、ドット形成処理を行う。ドット形成処理とは、移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、紙S上にドットを形成する処理である。プリンタ側コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動方向に移動させる。そして、プリンタ側コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッドからインクを吐出させる。ヘッドから吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙S上にドットが形成される。なお、ドット形成処理の際にヘッド41からインクが吐出される領域が、「印刷領域」と呼ばれる領域である。
【0063】
縁なし印刷時のドット形成処理では、図8で説明した通り、紙Sに着弾しないインクがスポンジ246に着弾する。但し、紙Sに着弾しないインクが着弾する領域(打ち漏らし領域)には、ステップS103において既にライトシアンインクが塗布されているので、スポンジ246の内部まで保湿剤が浸透した状態になっている。このため、縁なし印刷におけるドット形成処理の際に、濃いインク(例えばシアンインクやマゼンタインク)がスポンジ246に着弾しても、顔料分がスポンジ246の内部まで浸透する。
【0064】
ステップS106において、プリンタ側コントローラ60は、搬送処理を行う。搬送処理とは、紙Sをヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。プリンタ側コントローラ60は、搬送モータを駆動し、搬送ローラを回転させて紙Sを搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0065】
ステップS107において、プリンタ側コントローラ60は、印刷中の紙Sの排紙の判断を行う。印刷中の紙Sに印刷するためのデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、処理はステップS105に戻り、プリンタ側コントローラ60は、印刷するためのデータがなくなるまでドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に紙Sに印刷する。印刷中の紙Sに印刷するためのデータがなくなれば、処理はステップS108に進む。
【0066】
ステップS108において、プリンタ側コントローラ60は、排紙処理を行う。プリンタ側コントローラ60は、排紙ローラを回転させることにより、印刷した紙を外部に排出する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
【0067】
ステップS109において、プリンタ側コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の紙に印刷を行うのであれば、処理はステップS101に戻る。次の紙に印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
【0068】
本実施形態では、ドット形成処理(ステップS105)の前に、ステップS103においてライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出している。これにより、縁なし印刷時のドット形成処理(S105)の際に紙に着弾しないインクが溝部244に着弾しても、顔料分がスポンジ246内部に浸透し、スポンジ上にインクが堆積しなくなる。
【0069】
但し、インクの消費を抑えたいユーザーが、印刷に関係のないインクの吐出を望まない場合もある。このような場合、ユーザーは、プリンタドライバ上で、ステップ103におけるライトシアンインク等の吐出を禁止するように設定することができる。そして、ユーザーがライトシアンインク等の吐出を禁止するように設定した場合、プリンタ側コントローラは、ステップ103の処理を省略し(ステップS101でYES)、印刷を開始する(ステップS104)。この結果、スポンジ上にインクが堆積しやすくなるが、代わりにインクの消費を抑えることができる。また、スポンジ上にインクが堆積しても、少量であればインクの山の高さは低いので、紙Sの裏面を汚さない。
【0070】
また、縁なし印刷を行わない場合、溝部244にはインクが着弾することはない。このような場合にまでステップS103の処理を行うと、インクを無駄に消費することになる。そのため、ステップS102において、プリンタ側コントローラ60が「縁なし印刷」ではないと判断した場合、プリンタ側コントローラ60は、ステップS103の処理を省略し(ステップS102でNO)、印刷を開始する(ステップS104)。
【0071】
===本実施形態の印刷方法2===
次に、図13を参照して、本実施形態の印刷方法2について説明する。
前述の印刷方法では、ドット形成処理の前に、ライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出している。一方、本印刷方法では、ドット形成処理の後に、ライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出している。本印刷方法の各処理の内容は、前述の印刷方法の各処理の内容と同様なので、説明を省略する。
【0072】
本印刷方法では、ドット形成処理(ステップS202)の際に、スポンジ表面に顔料分が溜まる虞がある。但し、1枚の印刷中にスポンジ246に着弾するインクの量(打ち漏らし量)は少ないので、スポンジの表面の繊維の網目までは埋まっていない。また、印刷直後であれば、スポンジ表面のインクも乾燥していない。このようなスポンジの状態のときに、ライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出しているので(ステップS208)、スポンジ表面に溜まっている顔料をスポンジ内部に浸透させることができる。
しかしながら、印刷方法1のように印刷を実行する前に、ライトシアンインクを溝部244に吐出させる方が、予め溝部244を保湿することができるので、溝部244に着弾するインクが堆積するのをより効果的に抑制することができる。
【0073】
なお、本印刷方法では、排紙処理(S205)の後に、ライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出している(ステップS208)。このため、ステップS208のときには、印刷領域に紙がない状態なので、吐出されるライトシアンインクが紙に着弾することはない。
【0074】
===本実施形態の印刷方法3===
縁なし印刷時には、主に写真画像が紙に印刷される。一方、写真画像の印刷では、全ての画素にドットが形成されることは少なく、ドットは分散して形成される(例えば、空の色などの淡い画像部分では、ドットが分散して形成される)。したがって、縁なし印刷時に打ち漏らし領域に着弾するインク量は、比較的少ない。ところで、スポンジに着弾したインク量が少ない場合、インク量に対するインクの表面積が多くなり、インクの水分が蒸発し易く、スポンジ表面が乾き易い状態になる。このため、縁なし印刷時には、打ち漏らし領域に着弾するインク量が少ないので、スポンジ246に着弾したインクが乾き易い状態になり、顔料分がスポンジ246の内部に浸透しにくくなる。この結果、図9に示すように、縁なし印刷時に顔料分がスポンジ246の表面に溜まってしまう。特に、濃いインクは保湿剤の量が少なく顔料分の量が多いので、濃いインクが分散してスポンジ246に着弾すると、インクの水分が蒸発し易く、顔料分がスポンジ表面に溜まり易い。このような理由のため、前述の印刷方法では、保湿剤の多いインク(ライトシアンインク)を、ドット形成処理の前後に積極的に打ち漏らし領域に吐出しているのである(図11のS103、図13のS208参照)。
【0075】
但し、前述の印刷方法のように、積極的に打ち漏らし領域に吐出するインクの種類は、保湿剤の多いインクに限られるものではない。要するに、スポンジ246の表面を乾きにくくすれば、顔料分がスポンジ表面に溜まりにくくなると考えられる。
【0076】
例えば、前述のS103やS208において、プリンタ側コントローラが、ライトシアンインクよりも濃いシアンインクを、打ち漏らし領域に積極的に吐出しても良い。但し、このとき吐出されるシアンインクが、縁なし印刷時と同様に分散して打ち漏らし領域に着弾すると、顔料分の堆積を抑制するどころか、むしろ顔料分の堆積を促進してしまう。このため、前述のS103やS208においてシアンインクを積極的に吐出する場合、プリンタ側コントローラは、少なくとも縁なし印刷時に吐出されるインク量よりも多くインクを吐出して、スポンジ246の表面をびしょ濡れにさせる。これにより、インク量に対するインクの表面積が少なくなり、シアンインクであってもスポンジ表面が乾きにくくなり、縁なし印刷時に着弾するインクの顔料分がスポンジ246の内部にまで浸透して、スポンジ表面に顔料分が溜まりにくくなる。なお、「インク量が多い」とは、スポンジを乾きにくくするという目的を鑑みれば、単位時間及び単位面積当たりのインク量が多いことを意味している。
【0077】
なお、積極的に打ち漏らし領域に吐出されるインクの種類(印刷領域に紙がない状態においてスポンジ246に吐出されるインクの種類)は、縁なし印刷時に吐出されるインクの種類(印刷領域に紙がある状態においてスポンジ246に吐出されるインクの種類)に含まれている必要性はない。例えば、縁なし印刷時に吐出されるインクの種類がブラックインクを除くカラーインクだけの場合に、打ち漏らし領域に積極的にブラックインクを吐出するようにしても良い。
【0078】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0079】
<ヘッドについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
また、前述の実施形態では、ヘッドはキャリッジに設けられていた。しかし、キャリッジに着脱可能なインクカートリッジにヘッドが設けられても良い。
【0080】
<縁なし印刷について>
本実施の形態においては、縁なし印刷として紙Sの側端部に余白を残さないように印刷をする場合を例にとって説明した。但し、紙Sの上下端部に余白を残さないように印刷をする場合にも、打ち漏らし領域が存在するので、この領域に積極的にライトシアンインク(又はライトマゼンタインク)を吐出させても良い。以下、紙Sの上端部の縁なし印刷について説明する(下端部の縁なし印刷については、上端部の縁なし印刷とほぼ同様なので、説明を省略する)。
【0081】
図14Aは、紙の上端部の縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図14Bは、紙の上端部の縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。
紙の上端部の縁なし印刷時には、紙Sに対向しないノズルからもインクが吐出され、紙Sよりも広い範囲に向けてインクが吐出される。このため、紙Sに対向しないノズル(図中の搬送方向下流側のノズル)から吐出されたインクは、紙Sに着弾せずに、溝部244のスポンジ246に着弾する(このインクが着弾する領域が打ち漏らし領域となる)。
そこで、給紙処理(S104)の前又は排紙処理(S205)の後に、搬送方向下流側のノズルからライトシアンインクを吐出することにより、上端部の縁なし印刷時の打ち漏らし領域にライトシアンインクを吐出するようにしても良い。これにより、上端部の縁なし印刷時の打ち漏らし領域にインクが堆積するのを抑制することができる。
但し、紙の上端部の縁なし印刷時のインクの打ち漏らし量は、紙の側端部の縁なし印刷時のインクの打ち漏らし量と比較して、少ない。このため、紙の側端部の打ち漏らし領域に対してのみ積極的にライトシアンインクを吐出させ、紙の上下端部の打ち漏らし領域に対しては積極的にライトシアンインクを吐出させなくても良い。
【0082】
===まとめ===
(1)前述のプリンタは、保湿剤を有する顔料インクであるシアンインク(第1の顔料インク)と、シアンインクよりも多くの保湿剤を有する顔料インクであるライトシアンインク(第2の顔料インク)とを吐出するヘッド41を有する。
このプリンタが縁なし印刷を行うとき、紙に着弾しないインクが存在し、このインクが紙の裏面に付着すると、紙を汚す虞がある。そこで、前述のプリンタには、印刷時(印刷領域に紙がある状態)にヘッド41から吐出されるインクを受けるため、プラテン24に溝部244が設けられている。
そして、この溝部244に濃い顔料インクが多量に着弾すると、溝部244に顔料分が堆積し、インクの山ができる。そして、このインクの山が支持部242よりも高くなると、紙の裏面を汚す虞がある。
そこで、前述のプリンタ側コントローラ60では、ヘッド41に対し、保湿剤を多く含むライトシアンインクを積極的に吐出させている。これにより、シアンインクの顔料分が堆積しにくくなり、インクの山が高くなりづらいので、紙の裏面を汚さずに済む。
【0083】
なお、印刷領域に紙がある状態でライトシアンインクが吐出されると、紙にライトシアンインクが着弾する虞がある。そこで、前述のプリンタ側コントローラ60は、印刷領域に紙のない状態で、ライトシアンインクを吐出させている。
【0084】
(2)前述の溝部244は、吸収材としてスポンジ246が設けられている。特に、溝部244の打ち漏らし領域となるところに、スポンジ246が設けられている。
スポンジ246は、多孔性で吸収性に優れた材質であるが、スポンジ表面の繊維の網目が顔料分によって埋まってしまうと、スポンジ246が吸収材として機能しなくなり、スポンジ上にインクの山ができやすくなる。そこで、前述のプリンタ側コントローラは、ヘッド41に対し、スポンジ246に向かって積極的にライトシアンインクを吐出させている。
ところで、前述の実施形態では、溝部244の打ち漏らし領域には、スポンジ246が設けられていた。しかし、吸収材がスポンジに限られないことは言うまでもない。また、打ち漏らし領域に吸収材がなくても良い。このような場合であっても、ライトシアンインクが打ち漏らし領域に吐出されれば、濃いインクの顔料分を保湿剤で流すことができ、堆積するインクの山を崩すことが可能である。
【0085】
(3)前述の実施形態では、紙Sの側端部の縁なし印刷時に、紙Sの側端部に着弾しないインクを溝部244が受けている(図8B参照)。そして、前述のプリンタによれば、紙Sの側端部の縁なし印刷時に、打ち漏らし領域でインクの山が高くならずに済む。
【0086】
(4)前述の実施形態では、紙Sの上下端部の縁なし印刷時に、紙Sの上下端部に着弾しないインクを溝部244が受けている(図14B参照)。そして、前述のプリンタによれば、紙Sの上下端部の縁なし印刷時に、打ち漏らし領域でインクの山が高くならずに済む。
【0087】
(5)前述の印刷方法1(図11参照)では、印刷前に、プリンタ側コントローラ60がヘッド41に対して溝部244にライトシアンインクを吐出させている。言い換えると、前述の印刷方法1では、ドット形成処理(S105)の前に、ステップS103の処理が行われる。これにより、縁なし印刷時に打ち漏らし領域にインクが着弾する前に、予め保湿剤を溝部244に塗布することができ、顔料分の堆積を予防することができる。
【0088】
(6)前述の印刷方法2(図13参照)では、印刷後に、プリンタ側コントローラ60がヘッド41に対して溝部244にライトシアンインクを吐出させている。言い換えると、前述の印刷方法2では、ドット形成処理(S202)の後に、ステップS208の処理が行われる。印刷後であっても、溝部244のインクが乾燥する前であれば、ライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出することにより、インクの堆積を抑制することができる。
【0089】
(7)前述の実施形態では、ユーザーの設定に応じて、ライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出する処理を省略している(S101又はS206参照)。これにより、ユーザーの希望に応じて、インクの消費を抑えることができる。
【0090】
(8)前述の実施形態では、縁なし印刷を行わない場合、ライトシアンインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出する処理を省略している(S102又はS207参照)。縁なし印刷を行わないのであれば、溝部244にインクが着弾しないので、インクが堆積する虞がないからである。これにより、インクの無駄な消費を抑えることができる。
【0091】
(9)前述のシアンインクとライトシアンインクは、ともにレッドの光を吸収する。但し、シアンインクとライトシアンインクとでは、色材である顔料分の量が異なるので、レッドの光の吸収量が異なる。このような濃淡の異なるインクを用いることにより、印刷画像の粒状性を改善することができる。
【0092】
ところで、シアンインクはライトシアンインクよりも濃いインクであるため、顔料分の量が多い。顔料分の量が多くなると、樹脂量の量も多くなり、固形分の量が多くなる。一方、固形分の量が多くなると、インクの粘度を調整するため、保湿剤の量が少なくなる。つまり、シアンインクは、ライトシアンインクよりも、保湿剤の量が少ない。
保湿剤の少ないシアンインクが溝部244に着弾すると、顔料分が溜まりやすく、インクの山が形成されやすい。一方、保湿剤の多いライトシアンインクが溝部244に着弾しても、顔料分は溜まらず、むしろ、顔料分の堆積を抑制する効果がある。
そこで、濃淡の異なるインクのうちの淡い方のインクであるライトシアンインクを積極的に溝部244に吐出し、インクの山の形成を抑制することにしている。
【0093】
(10)上記の実施形態の全ての要素を含めれば、全ての効果を奏することができるので望ましい。但し、インクの山積みを抑制するという効果を得るためには、必ずしも全ての要素が必要な訳ではないことは言うまでもない。
【0094】
(11)なお、前述の実施形態では、プリンタの開示だけでなく、印刷方法の開示があることは言うまでもない。
【0095】
(12)また、前述の実施形態では、プリンタの開示だけでなく、印刷システムの開示もあることは言うまでもない。
【0096】
(13)なお、ドット形成処理の前後において積極的に打ち漏らし領域に吐出するインクの種類は、保湿剤の多いインクに限られるものではない。例えば、ライトシアンインクよりも濃いシアンインクを吐出しても良い。このような印刷装置であっても、インクの山積みを抑制するという効果を得ることができる。
【0097】
(14)但し、縁なし印刷時と同様に分散して打ち漏らし領域に着弾すると、顔料分の堆積を抑制するどころか、むしろ顔料分の堆積を促進してしまう。このため、シアンインクを積極的に吐出する場合、プリンタ側コントローラは、少なくとも縁なし印刷時に吐出されるインク量よりも多くインクを吐出して、スポンジ246の表面をびしょ濡れにさせる必要がある。
【0098】
(15)なお、ドット形成処理の前後において積極的に打ち漏らし領域に吐出されるインクの種類(印刷領域に媒体がない状態においてヘッドから吐出されるインクの種類)は、縁なし印刷時に吐出されるインク(印刷領域に媒体がある状態においてヘッドから吐出されるインクの種類)に含まれていても良い。
【0099】
(16)但し、これに限られる必要はなく、ドット形成処理の前後において積極的に打ち漏らし領域に吐出するインクの種類は、縁なし印刷時に吐出されるインクの種類とは異なっていても良い。例えば、縁なし印刷時に吐出されるインクの種類がブラックインクを除くカラーインクだけの場合に、ブラックインクを積極的に打ち漏らし領域に吐出するようにしても良い。
【0100】
(17)なお、積極的に打ち漏らし領域にインクを吐出する印刷方法によれば、インクの山積みを抑制するという効果を得ることができることは明らかである。
【0101】
(18)また、積極的に打ち漏らし領域に積極的に吐出する印刷システムによれば、インクの山積みを抑制するという効果を得ることができることも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】印刷システムの外観構成を示した説明図である。
【図2】コンピュータ110とプリンタ1の全体構成のブロック図である。
【図3】プリンタ1の全体構成の概略図である。
【図4】プリンタ1の全体構成の横断面図である。
【図5】ノズルの配列を示す説明図である。
【図6】各インクの構成について説明する説明図である。
【図7】縁なし印刷時のインク吐出範囲について説明する説明図である。
【図8】図8Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図8Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。
【図9】濃いインクがスポンジに着弾したときの様子の説明図である。
【図10】淡いインクがスポンジに着弾したときの様子の説明図である。
【図11】印刷方法1について説明する説明図である。
【図12】図12Aは印刷時の紙Sとプラテンとの位置関係を説明する説明図である。図12Bは打ち漏らし領域について説明する説明図である。
【図13】印刷方法2について説明する説明図である。
【図14】図14Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図14Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。
【符号の説明】
【0103】
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、
24 プラテン、
242 支持部、244 溝部、246 スポンジ、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 プリンタ側コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 プリンタ側メモリ、
64 ユニット制御回路、
100 印刷システム、110 コンピュータ、120 表示装置、
130 入力装置、130A キーボード、130B マウス、
140 記録再生装置、
140A フレキシブルディスクドライブ装置、
140B CD−ROMドライブ装置、
161 インターフェース部、162 CPU、163 コンピュータ側メモリ、
S 紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保湿剤を有する第1の顔料インクと、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクと、を吐出するヘッドと、
印刷領域に媒体がある状態において前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける受け部と、
前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるコントローラと、
を有する印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記受け部は、前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを吸収する吸収材を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置において、
前記受け部は、前記媒体の上下端部に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置において、
前記コントローラは、前記媒体の印刷前に前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置において、
前記コントローラは、前記媒体の印刷後に前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の印刷装置において、
前記コントローラは、ユーザーの設定に応じて、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるか否か決定する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の印刷装置において、
前記コントローラは、前記媒体の端部を印刷しない場合、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させない
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の印刷装置において、
前記第1の顔料インク及び前記第2の顔料インクは、それぞれ同じ波長の光を吸収し、その吸収量がそれぞれ異なる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
保湿剤を有する第1の顔料インクと、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクと、を吐出するヘッドと、
印刷領域に媒体がある状態において前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける受け部と、
前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるコントローラと、
を有し、
前記受け部は、前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを吸収する吸収材を有し、
前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受け、
前記受け部は、前記媒体の上下端部に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受け、
前記コントローラは、前記媒体の印刷前に前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させ、
前記コントローラは、ユーザーの設定に応じて、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるか否か決定し、
前記コントローラは、前記媒体の端部を印刷しない場合、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させず、
前記第1の顔料インク及び前記第2の顔料インクは、それぞれ同じ波長の光を吸収し、その吸収量がそれぞれ異なる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
印刷領域に媒体がある状態において保湿剤を有する第1の顔料インク、及び、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクがヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受け部にて受け、
前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させる
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項12】
コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、
前記印刷装置は、保湿剤を有する第1の顔料インクと、前記第1の顔料インクよりも多くの保湿剤を有する第2の顔料インクと、を吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記第1の顔料インク、及び、前記第2の顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記第2の顔料インクを吐出させるコントローラと、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項13】
顔料インクを吐出するヘッドと、
印刷領域に媒体がある状態において前記顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記顔料インクを受ける受け部と、
前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記顔料インクを吐出させるコントローラと、
を有する印刷装置。
【請求項14】
請求項13に記載の印刷装置であって、
前記コントローラは、前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの量を、前記印刷領域に前記媒体がある状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの量よりも、多くする
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の印刷装置であって、
前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの種類は、前記印刷領域に前記媒体がある状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの種類に含まれていることを特徴とする印刷装置。
【請求項16】
請求項13又は14に記載の印刷装置であって、
前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの種類は、前記印刷領域に前記媒体がある状態において前記ヘッドから前記受け部へ吐出される前記顔料インクの種類とは異なることを特徴とする印刷装置。
【請求項17】
印刷領域に媒体がある状態において顔料インクがヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記顔料インクを受け部にて受け、
前記印刷領域に前記媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記顔料インクを吐出させる
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項18】
コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、
前記印刷装置は、顔料インクを吐出するヘッドと、印刷領域に媒体がある状態において前記顔料インクが前記ヘッドから吐出されたときに、前記媒体に着弾しない前記顔料インクを受ける受け部と、前記印刷領域に媒体がない状態において前記ヘッドに対し前記受け部に前記顔料インクを吐出させるコントローラと、
を有することを特徴とする印刷システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−76288(P2006−76288A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224620(P2005−224620)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】