説明

印刷装置および印刷システム

【課題】フォーム合成印刷を行なう際に、実態に即したカラー/モノクロ印刷の判別を行なえるようにする。
【解決手段】複数色の画像形成材を用いてカラー印刷を行なう印刷装置であって、フォームデータを格納するフォーム格納手段と、印刷データに基づく画像とフォームデータに基づく画像とを重ねて印刷するフォーム合成印刷を制御するフォーム処理手段と、フォーム合成印刷の際に、複数色の画像形成材のうち、印刷データに基づく画像で用いられる色と、フォームデータに基づく画像で用いられる色とから、フォーム合成印刷で用いられる色を判断し、用いられる色が単色であれば、フォーム合成印刷がモノクロ印刷であると判別し、用いられる色が複数色であれば、フォーム合成印刷がカラー印刷であると判別するカラー/モノクロ判別手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷システムに係り、特に、印刷装置および印刷システムにおけるフォーム合成印刷の際のカラー印刷およびモノクロ印刷の取り扱いに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、フォーム合成機能を備えた印刷装置が知られている。フォーム合成機能は、あらかじめ印刷装置に登録されたフォームを、PCから送られてきた原稿画像やスキャナで読み取られた原稿画像に重ねて印刷する機能である。一般に、印刷装置に登録するフォームは、カラー/モノクロのいずれかで作成することができ、PCあるいは、スキャナから印刷装置に送る原稿画像もカラー/モノクロのいずれかで作成することができる。
【0003】
特許文献1には、フォーム合成印刷を行なう際に、原稿画像がモノクロであれば、フォームがカラーで作成されていてもモノクロで印刷されてしまうことを防ぐために、原稿画像およびフォームのいずれかがカラーで作成されていれば、カラー印刷を行なう印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−175651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷処理に対して課金を行なっている場合には、モノクロ印刷/カラー印刷によって単価を異ならせることが多い。すなわち、カラー印刷を行なうためには、複数色のインク、トナー等の画像形成材が必要になるため、単色の画像形成材で印刷を行なうモノクロ印刷よりも一般に単価を高くするようにしている。
【0006】
従来、モノクロ印刷で単色の印刷を行なう場合には、黒のインクのみが用いられることが想定されていたため、フォーム合成印刷を行なう際の課金では、原稿画像、フォームとも単色であれば、モノクロ印刷として扱われることになっていた。
【0007】
しかしながら、黒以外にもマゼンタやシアンを用いた単色印刷も行なうことができるとすると、原稿画像、フォームとも単色であっても、重ね合わせた結果は、必ずしも単色とはならないことが起こり得る。このため、適正な課金処理を行なう場合には、より実態に即したカラー/モノクロ印刷の判断を行なう必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、フォーム合成印刷を行なう際に、実態に即したカラー/モノクロ印刷の判断を行なえるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である印刷装置は、複数色の画像形成材を用いてカラー印刷を行なう印刷装置であって、フォームデータを格納するフォーム格納手段と、印刷データに基づく画像と前記フォームデータに基づく画像とを重ねて印刷するフォーム合成印刷を制御するフォーム処理手段と、フォーム合成印刷の際に、前記複数色の画像形成材のうち、前記印刷データに基づく画像で用いられる色と、前記フォームデータに基づく画像で用いられる色とから、前記フォーム合成印刷で用いられる色を判断し、用いられる色が単色であれば、前記フォーム合成印刷がモノクロ印刷であると判別し、用いられる色が複数色であれば、前記フォーム合成印刷がカラー印刷であると判別するカラー/モノクロ判別手段とを備える。
【0010】
本発明では、印刷データに基づく画像とフォームデータに基づく画像のそれぞれが単色であっても、重ね合わせた場合に複数色となる場合には、カラー印刷であると判定するようにしている。これにより、複数色用いられる印刷がモノクロ印刷と判別されることを防ぐことができるため、より実態に即したカラー/モノクロ印刷の取り扱いができるようになる。
【0011】
ここで、前記カラー/モノクロ判別手段の判別結果に応じて単価を異ならせた課金処理を行なう課金処理手段をさらに備えることができる。あるいは、課金処理手段をさらに備え、前記カラー/モノクロ判別手段は、さらに、前記フォーム合成印刷で用いられる色の数を取得し、前記課金処理手段は、前記取得した色の数に応じて単価を異ならせた課金処理を行なうようにしてもよい。また、前記複数色の画像形成材は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のインクとすることができる。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である印刷システムは、複数色の画像形成材を用いてカラー印刷を行なう印刷装置と、前記印刷装置に印刷データを出力する印刷制御装置とを備えた印刷システムであって、前記印刷制御装置は、ユーザからの指示に基づいて、出力する前記印刷データに、前記複数色の画像形成材のうち、単色のみを用いて印刷を行なう旨の情報を含めるドライバ手段を備え、前記印刷装置は、フォームデータを格納するフォーム格納手段と、前記印刷制御装置から出力された印刷データに基づく画像と前記フォームデータに基づく画像とを重ねて印刷するフォーム合成印刷を制御するフォーム処理手段と、フォーム合成印刷の際に、前記複数色の画像形成材のうち、前記印刷データに基づく画像で用いられる色と、前記フォームデータに基づく画像で用いられる色とから、前記フォーム合成印刷で用いられる色を判断し、用いられる色が単色であれば、前記フォーム合成印刷がモノクロ印刷であると判別し、用いられる色が複数色であれば、前記フォーム合成印刷がカラー印刷であると判別するカラー/モノクロ判別手段とを備える。
【0013】
ここで、前記複数色の画像形成材は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のインクであり、前記印刷制御装置のドライバ手段は、前記単色のみを用いて印刷を行なう旨の情報として、シアン、マゼンタのいずれかの色の指定を含めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フォーム合成印刷を行なう際に、実態に即したカラー/モノクロ印刷の判断を行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】カラーモードの受付メニューについて説明する図である。
【図3】カラーモードの受付メニューで選択された項目に対応して生成されPC送られる印刷データの内容を示す図である。
【図4】出力先選択メニューについて説明する図である。
【図5】フォーム合成印刷設定メニューについて説明する図である。
【図6】印刷条件設定部が受け付けた印刷条件に基づいて印刷データ生成部が生成する印刷データの構成例を示す図である。
【図7】PCから印刷データを受け付けた場合の印刷装置の本実施形態における特徴的な処理について説明するフローチャートである。
【図8】カラー印刷であるかモノクロ印刷であるかの判別を行なう処理について説明するフローチャートである。
【図9】フォームのカラーモードと原稿のカラーモードとから使用色数を算出する処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。本図に示すように、印刷システムは、印刷装置10と、印刷制御装置として機能するパーソナルコンピュータ(PC)20とを備えて構成される。印刷装置10とPC20とは、本図に示すように、LAN(Local Area Network)70に接続し、複数台のPC20が印刷装置10を共用する形態とすることができる。ただし、印刷装置10とPC20とが1対1で接続されたローカル接続であってもよいし、WAN(Wide Area Network)接続等であってもよい。
【0017】
印刷装置10は、複数色の画像形成材を用いてカラー印刷を行なうことができるカラープリンタである。本実施形態では、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、黒)のインクを備え、印字ヘッドからインクを吐出して印刷を行なうインクジェット方式のカラープリンタとすることができる。ただし、他の印刷方式のカラープリンタであってもよい。また、印刷装置10は、フォーム合成機能を備えている。
【0018】
本図に示すように印刷装置10は、通信処理部110、操作パネル120、印刷制御部130、印刷実行部140、課金処理部150、フォーム格納部160を備えている。
【0019】
通信処理部110は、PC20との通信を行ない、登録するフォームを受信したり、印刷データを受け付けたりする。操作パネル120は、例えば、タッチパネル方式の表示装置を用いることができ、操作メニューや印刷装置10の設定内容を表示したり、テンキーや操作メニューを介してユーザから指示を受け付けたりする。
【0020】
印刷制御部130は、PC20から受信した印刷データに基づく印刷処理を制御する。印刷制御部130は、CPU、メモリ、画像処理装置等を用いて構成することができる。また、印刷制御部130は、フォーム合成印刷が指示された場合に、フォーム合成印刷処理を行なうフォーム処理部131と、印刷処理がカラー印刷であるかモノクロ印刷であるかを判別するカラー/モノクロ判別部132とを備えている。
【0021】
フォーム処理部131は、フォーム格納部160に格納されたフォームとPC20から送られた印刷データに基づく原稿画像とを重ね合わせた画像を生成する。このとき、カラー/モノクロ判別部132は、重ね合わせた画像に用いられるインク色数を判断し、その印刷がカラー印刷であるかモノクロ印刷であるかを判別する。この際の具体的な判別方法について後述する。
【0022】
また、フォーム処理部131は、PC20からフォーム登録の指示を受け付けると、指示の際に送られてきたフォームデータをフォーム格納部160に格納する。フォーム格納部160は、例えば、ハードディスク装置で構成することができる。
【0023】
印刷実行部140は、印刷制御部130の制御に従って印刷用紙に対する画像形成を実行する。上述のように、本実施形態では、インクジェット方式によりインクを印刷用紙に吐出することで画像形成を行なう。
【0024】
課金処理部150は、印刷処理に対する課金処理を行なう。本実施形態では、あらかじめ定められた用紙サイズ、カラー印刷/モノクロ印刷等ごとの単価に従って印刷枚数に応じた課金処理を行なうものとする。特に、フォーム合成印刷が実行された場合は、カラー/モノクロ判別部132が、その印刷がカラー印刷であるかモノクロ印刷であるかを判別して、その判別結果に基づいて課金処理が行なわれる。一般に、同じ用紙サイズであれば、カラー印刷の単価はモノクロ印刷の単価よりも高く設定される。
【0025】
PC20は、印刷装置10に対応して開発されたプリンタドライバプログラムがインストールされており、このプログラムをPC20のCPUが実行することにより、プリンタドライバ部210が形成される。また、フォームを作成するために用いるグラフィックアプリケーションプログラムがインストールされており、このプログラムをPCのCPUが実行することにより、アプリケーション部220が形成される。さらに、PC20は、印刷装置10との通信処理を行なうための通信処理部230を備えている。
【0026】
プリンタドライバ部210は、ユーザからの指示に基づいて、印刷対象となる原稿の印刷データを生成して、印刷装置10に出力する処理を行なう。この処理を行なうため、プリンタドライバ部210は、印刷条件設定部211と印刷データ生成部212とを備えている。印刷条件設定部211は、印刷品質、印刷枚数、用紙サイズ、用紙向き、用紙種類、カラーモード、出力先、フォーム合成指示等の印刷条件の設定をユーザから受け付ける。印刷データ生成部212は、印刷対象として指定されたドキュメントと、印刷条件設定部211で受け付けた印刷条件の設定とに基づいて印刷データを生成し、印刷装置10に出力する。
【0027】
以下に、本実施形態で特徴的な印刷条件の設定について説明する。図2は、カラーモードの受付メニューについて説明する図である。本図に示すように、印刷条件設定部211は、カラーモード選択メニュー500において、「カラー」「白黒」「シアン」「マゼンタ」「オート」のいずれかを選択的に受け付けることができる。
【0028】
図3は、カラーモード選択メニュー500においてそれぞれの項目が選択された場合に、印刷データ生成部212が生成してPC20に送られる印刷データの内容を示す図である。
【0029】
カラーモードとして「カラー」が選択された場合には、原稿で使用されている色に関わらず、カラーの印刷データがPC20に送られる。このとき、原稿が黒しか用いられていない場合であっても、CMYKのそれぞれに値を持ったデータとなる。ただし、CMYについては各値とも0となる。
【0030】
カラーモードとして「白黒」が選択された場合は、原稿に使用されている色にかかわらず、グレースケールの印刷データがPC20に送られる。原稿がカラーで生成されていてもグレースケールに変換される。このため、カラーの印刷データよりもデータサイズが小さくなる。
【0031】
また、本実施形態では、カラーモードとして「シアン」「マゼンタ」を指定することができる。「シアン」あるいは「マゼンタ」が選択された場合は、原稿に使用されている色にかかわらず、「シアン」あるいは「マゼンタ」の単色で印刷が行なわれる。このとき、「シアン」あるいは「マゼンタ」のみ値を持つCMYKのデータとしてもよいが、本実施形態ではグレースケールの印刷データを作成し、印刷データのヘッダ部にカラーモードが「シアン」あるいは「マゼンタ」である旨の情報を付加するようにする。これにより、印刷データのデータサイズを小さくすることができる。
【0032】
「シアン」「マゼンタ」のカラーモードは、印刷装置10で用いられるインク色に合わせたものであり、これらのカラーモードが選択された場合は、1つのインク色で印刷することができる。例えば、色付の印刷用紙に「シアン」「マゼンタ」のカラーモードで印刷することで印刷内容が目立つ印刷効果が得られ、広告、チラシ等に好適である。なお、印刷装置10で用いられるインク色である「イエロー」は視覚効果に乏しいため、ここではカラーモードから省くようにしている。
【0033】
カラーモードとして「オート」が選択された場合は、原稿に使用されている色に従った印刷データがPC20に送られる。すなわち、原稿に複数色が使用されている場合にはカラーの印刷データが送られ、原稿に黒のみが使用されている場合にはグレースケールの印刷データがPC20に送られ、原稿に「シアン」あるいは「マゼンタ」のみが使用されている場合には、「シアン」「マゼンタ」のカラーモードと同様の印刷データがPC20に送られる。
【0034】
なお、カラーモードは、原稿の印刷時のみならず、後述するフォームの登録時にも指定することができる。すなわち、登録するフォームについて、カラーで登録するか、白黒で登録するか、シアンあるいはマゼンタで登録するかを任意に指定することができる。
【0035】
図4は、出力先選択メニュー520について説明する図である。本実施形態では、印刷条件設定部211は、出力先として「印刷」「フォーム登録」のいずれを選択的に受け付けることができる。例えば、アプリケーション部220を用いて作成した原稿を、出力先として「印刷」を選択して印刷を実行すると、印刷装置10において原稿画像の印刷が行なわれる。また、出力先として「フォーム登録」を選択して印刷を実行すると、印刷装置10のフォーム格納部160にフォームとして格納される。この際に、任意のフォーム名を付してフォーム格納部160に格納することができる。また、上述のようにフォームの登録に際してもカラーモードを選択することができる。なお、出力先として、例えば、印刷データを印刷装置10で保持するための項目等を追加するようにしてもよい。
【0036】
図5は、フォーム合成印刷設定メニュー540について説明する図である。本図に示すように、印刷条件設定部211は、フォーム合成印刷の指示および重ね合わせるフォームの指示を受け付けることができる。なお、フォームを重ね合わせる態様に複数の種類を用意し、それらの種類を選択できるようにしてもよい。
【0037】
図6は、印刷条件設定部211が受け付けた印刷条件に基づいて印刷データ生成部212が生成する印刷データの構成例を示す図である。本図に示すように、印刷データは、ヘッダ部と、画像データ部とを含んでおり、ヘッダ部には、例えば、上述のメニューで設定されたカラーモード、フォーム合成印刷設定等の情報が含まれる。
【0038】
次に、PC20から印刷データを受け付けた場合の印刷装置10の本実施形態における特徴的な処理について図7のフローチャートを参照して説明する。なお、印刷装置10のフォーム格納部160には、ユーザによって複数のフォームが登録されているものとする。
【0039】
本処理は、PC20から印刷データを受信することで開始する(S101)。印刷データを受信すると、印刷制御部130は、印刷データのヘッダ部を参照して、フォーム合成印刷が指定されているかどうかを判断する(S102)。
【0040】
その結果、フォーム合成印刷が指定されている場合(S102:Yes)には、印刷制御部130のカラー/モノクロ判別部132は、印刷データのヘッダ部に記録されているカラーモードを参照し、原稿画像で設定されているカラーモードを取得する(S103)。このとき、画像データ部の各画素を参照し、CMYKのうち実際に用いられている色を取得するようにしてもよい。
【0041】
次に、カラー/モノクロ判別部132は、フォーム格納部160を参照して、フォーム合成印刷で指定されているフォームで設定されているカラーモードを取得する(S104)。この場合もフォームを構成する各画素を参照し、CMYKのうち実際に用いられている色を取得するようにしてもよい。
【0042】
そして、カラー/モノクロ判別部132は、取得した原稿画像のカラーモードと、取得したフォームのカラーモードに基づいて、フォーム合成印刷がカラー印刷であるかモノクロ印刷であるかを判別する(S105)。
【0043】
カラー印刷であるかモノクロ印刷であるかの判別は、例えば、図8に示すフローチャートにしたがって行なうことができる。すなわち、原稿画像とフォームとを重ね合わせて印刷する際の使用色が単色であるかどうかを判断し(S201)、使用色が単色であれば(S201:Yes)、モノクロ印刷であると判別し(S202)、使用色が複数色であれば(S201:No)、カラー印刷であると判別する(S203)。ここで、使用色の数は、印刷装置10の画像形成材として用いられている色についての使用数である。
【0044】
例えば、フォームのカラーモード、原稿のカラーモードとも「シアン」であれば、図9(a)に示すように、フォームの使用色は「C」単色となり、原稿の使用色も「C」単色となる。この結果、重ね合わせた場合に使用する色は「C」単色となるため、モノクロ印刷であると判別することができる。なお、図9は、フォームと原稿とでそれぞれ使用する色を「1」で表わし、フォームの使用色と原稿の使用色とのOR(論理和)を取ることにより、重ね合わせたときに使用する色を算出している。
【0045】
一方、フォームのカラーモードが「シアン」であり、原稿のカラーモードが「マゼンタ」であれば、図9(b)に示すように、フォームの使用色は「C」単色となり、原稿の使用色は「M」単色となる。この結果、重ね合わせた場合に使用する色は「C」と「M」の複数色になるため、カラー印刷であると判別することができる。このように、本実施形態では、フォームと原稿のそれぞれが単色であっても、重ね合わせた場合に複数色となる場合には、カラー印刷であると判定することにより、より実態に即したカラー/モノクロ印刷の取り扱いができるようになる。
【0046】
上述の手順にしたがってモノクロ印刷であるかカラー印刷であるかの判別を行なうと、フォーム処理部131が、原稿画像に指定されたフォームを重ねて印刷するフォーム合成印刷を実行する(S106)。そして、カラー/モノクロ判別部132によるモノクロ印刷であるかカラー印刷であるかの判別に基づいて課金処理部150が課金処理を行ない(S110)、印刷処理を終了する。
【0047】
ここで、課金処理は、カラー/モノクロに応じた課金でもよいが、使用色数に応じた課金とするようにしてもよい。例えば、カラーであっても、使用色数が2色のとき、使用色数が3色のとき、使用色数が4色のとき等で課金の際の単価を異ならせるようにすることができる。これにより、使用色数に応じた適切な課金を行なうことができるようになる。
【0048】
この場合、処理(S105)においてフォーム合成印刷がカラー印刷であるかモノクロ印刷であるかを判別する際に、使用色数を取得するようにする。
【0049】
フォーム合成印刷が指定されていない場合(S102:No)には、カラー/モノクロ判別部132は、印刷データのヘッダ部に記録されているカラーモードを参照し、原稿画像で設定されているカラーモードを取得する(S107)。このとき、画像データ部の各画素を参照し、CMYKのうち実際に用いられている色を取得するようにしてもよい。
【0050】
そして、取得した印刷データのカラーモードに応じて、カラー印刷であるかモノクロ印刷であるかを判別する(S108)。この場合は、カラーモードが「白黒」「シアン」「マゼンタ」のように単色を使用するものであればモノクロ印刷であると判別し、カラーモードが「カラー」のように複数色を使用するものであればカラー印刷であると判別することができる。
【0051】
そして、印刷制御部130が印刷データに基づいて通常印刷を実行する(S109)。その後、モノクロ印刷であるかカラー印刷であるかの判別に基づいて課金処理部150が課金処理を行ない(S110)、印刷処理を終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、フォーム合成印刷を行なう際に、実態に即したカラー/モノクロ印刷の判別を行なうことができる。
【符号の説明】
【0053】
10…印刷装置
110…通信処理部
120…操作パネル
130…印刷制御部
131…フォーム処理部
132…カラー/モノクロ判別部
140…印刷実行部
150…課金処理部
160…フォーム格納部
210…プリンタドライバ部
211…印刷条件設定部
212…印刷データ生成部
220…アプリケーション部
230…通信処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の画像形成材を用いてカラー印刷を行なう印刷装置であって、
フォームデータを格納するフォーム格納手段と、
印刷データに基づく画像と前記フォームデータに基づく画像とを重ねて印刷するフォーム合成印刷を制御するフォーム処理手段と、
フォーム合成印刷の際に、前記複数色の画像形成材のうち、前記印刷データに基づく画像で用いられる色と、前記フォームデータに基づく画像で用いられる色とから、前記フォーム合成印刷で用いられる色を判断し、用いられる色が単色であれば、前記フォーム合成印刷がモノクロ印刷であると判別し、用いられる色が複数色であれば、前記フォーム合成印刷がカラー印刷であると判別するカラー/モノクロ判別手段とを備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記カラー/モノクロ判別手段の判別結果に応じて単価を異ならせた課金処理を行なう課金処理手段をさらに備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
課金処理手段をさらに備え、
前記カラー/モノクロ判別手段は、さらに、前記フォーム合成印刷で用いられる色の数を取得し、
前記課金処理手段は、前記取得した色の数に応じて単価を異ならせた課金処理を行なうことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記複数色の画像形成材は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のインクであることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
複数色の画像形成材を用いてカラー印刷を行なう印刷装置と、前記印刷装置に印刷データを出力する印刷制御装置とを備えた印刷システムであって、
前記印刷制御装置は、
ユーザからの指示に基づいて、出力する前記印刷データに、前記複数色の画像形成材のうち、単色のみを用いて印刷を行なう旨の情報を含めるドライバ手段を備え、
前記印刷装置は、
フォームデータを格納するフォーム格納手段と、
前記印刷制御装置から出力された印刷データに基づく画像と前記フォームデータに基づく画像とを重ねて印刷するフォーム合成印刷を制御するフォーム処理手段と、
フォーム合成印刷の際に、前記複数色の画像形成材のうち、前記印刷データに基づく画像で用いられる色と、前記フォームデータに基づく画像で用いられる色とから、前記フォーム合成印刷で用いられる色を判断し、用いられる色が単色であれば、前記フォーム合成印刷がモノクロ印刷であると判別し、用いられる色が複数色であれば、前記フォーム合成印刷がカラー印刷であると判別するカラー/モノクロ判別手段とを備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷システムであって、
前記複数色の画像形成材は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のインクであり、
前記印刷制御装置のドライバ手段は、前記単色のみを用いて印刷を行なう旨の情報として、シアン、マゼンタのいずれかの色の指定を含めることができることを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−234683(P2010−234683A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85986(P2009−85986)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】