印刷装置及び印刷方法
【課題】スケーラビリティに優れた印刷装置及び印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷装置は、前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、前記1以上のエンジンは、インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールと、上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理する1以上のデータ転送制御部と、前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御部と、を備える。
【解決手段】印刷装置は、前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、前記1以上のエンジンは、インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールと、上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理する1以上のデータ転送制御部と、前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式の印刷装置において、印刷制御を高速化する目的で、ヘッドのインク吐出順序に合わせて画像データを画素単位で並び替える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年の印刷システムでは、画像データを印刷する印刷装置と分離して、画像データを生成する上位装置を設けることにより、画像データの生成時間を短縮し、印刷を高速化するものがある。このような印刷システムの印刷装置では、プリンタエンジンの取り付け台数を変更できるものがあるが、プリンタエンジンの取り付け台数を変更した場合、インク吐出対象のヘッドが変化し、インク吐出順序も変化する。
【0004】
このため、このような印刷装置に、特許文献1に開示されたような技術を適用した場合、プリンタエンジンの取り付け台数に応じてプリンタエンジンを作り変える必要がある。つまり、プリンタエンジンの取り付け台数毎に、当該取り付け台数に応じたインク吐出順序に合わせて画像データの並び替えを行うプリンタエンジンを用意しなければならず、スケーラビリティに欠けてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スケーラビリティに優れた印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる印刷装置は、前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、前記1以上のエンジンは、インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールと、上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理する1以上のデータ転送制御部と、前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる印刷方法は、印刷装置で実行される印刷方法であって、前記印刷装置は、前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、前記1以上のエンジンは、インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールを備え、1以上のデータ転送制御部が、上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理するデータ転送制御ステップと、出力制御部が、前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スケーラビリティに優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1実施形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、上位装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、上位装置の機能を示す一例の機能ブロック図である。
【図4】図4は、プリンタ装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、プリンタコントローラの一例の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、データ転送制御部の一例の構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】図7は、データ転送制御部の一例の構成をより詳細に示すブロック図である。
【図8】図8は、画像出力部の一例の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、第1実施形態のヘッドモジュールと印刷対象の1ページ分の画像データとの関係の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、第1実施形態のヘッドモジュールのインク吐出タイミング例を示すタイミングチャート図である。
【図11−1】図11−1は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−2】図11−2は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−3】図11−3は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−4】図11−4は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−5】図11−5は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−6】図11−6は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図12】図12は、第1実施形態に適用可能な用紙の搬送系を含めたプリンタ装置の一例の構造を概略的に示す略線図である。
【図13】図13は、上位装置とプリンタ装置のプリンタコントローラとの間で送受信される制御情報の一例を示す略線図である。
【図14】図14は、第1実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。
【図15】図15は、第1実施形態におけるSEQ119aの処理の詳細例を示すシーケンス図である。
【図16】図16は、第1実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図17】図17は、第1実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図18】図18は、第1実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図19】図19は、第2実施形態のプリンタ装置の詳細構成例を示すブロック図である。
【図20】図20は、第2実施形態のヘッドモジュールと印刷対象の1ページ分の画像データとの関係の一例を示す説明図である。
【図21】図21は、第2実施形態のヘッドモジュールのインク吐出タイミング例を示すタイミングチャート図である。
【図22−1】図22−1は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−2】図22−2は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−3】図22−3は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−4】図22−4は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−5】図22−5は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−6】図22−6は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−7】図22−7は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−8】図22−8は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図23】図23は、第2実施形態における図14のSEQ119aの処理の詳細例を示すシーケンス図である。
【図24】図24は、第2実施形態における図14のSEQ119aの処理の詳細例を示すシーケンス図である。
【図25】図25は、第3実施形態に適用される転送管理テーブルの一例を示す図である。
【図26】図26は、第3実施形態において転送管理テーブルを用いたデータ転送制御部と制御部間の通信例を示すシーケンス図である。
【図27】図27は、第3実施形態のヘッドモジュールの具体的な構造例を示す図である。
【図28−1】図28−1は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−2】図28−2は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−3】図28−3は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−4】図28−4は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−5】図28−5は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−6】図28−6は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−7】図28−7は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−8】図28−8は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図29】図29は、第3実施形態の出力制御部による制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる印刷装置及び印刷方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施形態の印刷装置は、インクジェット方式により印刷用紙に対して画像を形成するものとする。
【0011】
また、以下の各実施形態の印刷装置では、プリンタエンジンの着脱が可能となっており、印刷装置に取り付けられたプリンタエンジンは、インク吐出順序に合わせて画像データを画素単位で並び替える。ここで、インク吐出順序は、プリンタエンジンの取り付け台数に応じて異なるため、以下の各実施形態のプリンタエンジンは、その取り付け台数に応じたインク吐出順序に合わせて、画素単位での画像データの並び替えパターンを切り替える。
【0012】
このため、以下の各実施形態では、プリンタエンジンの取り付け台数に応じてプリンタエンジンを作り変える必要がない。例えば、取り付け台数1台用のインク吐出順序に合わせた画像データの並び替えを行うプリンタエンジン、及び取り付け台数4台用のインク吐出順序に合わせた画像データの並び替えを行うプリンタエンジンを用意するなど、プリンタエンジンの取り付け台数毎に、当該取り付け台数に応じたインク吐出順序に合わせた画像データの並び替えを行うプリンタエンジンを用意する必要がない。従って、以下の各実施形態によれば、スケーラビリティに優れた印刷装置を提供できる。
【0013】
以下では、第1、3実施形態で、印刷装置に1台のプリンタエンジンが取り付けられている例を説明し、第2実施形態で、印刷装置に4台のプリンタエンジンが取り付けられている例を説明するが、プリンタエンジンの取り付け台数はこれに限定されるものではない。
【0014】
先ず、理解を容易とするために、各実施形態による印刷システムが適用されるプロダクションプリンティングについて、概略的に説明する。プロダクションプリンティングでは、短時間に大量の印刷を行うことを基本的な考え方としている。そのために、プロダクションプリンティングでは、印刷の高速化を図ると共に、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うために、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。
【0015】
各実施の形態による印刷システムは、プロダクションプリンティングのワークフローにおける、印刷を実行する部分に関わるもので、RIP(Raster Image Processor)処理と、RIP処理により得られたビットマップデータの印刷とを別の装置で行う。RIP処理は、印刷処理の中でも最も処理時間を要し、RIP処理を行う装置と、印刷処理を行う装置とを分離することで、印刷の高速化が可能となる。
【0016】
(第1実施形態)
前述したように、第1実施形態では、印刷装置に1台のプリンタエンジンが取り付けられている例について説明する。
【0017】
(印刷システムの概要)
図1は、本実施形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示す。この印刷システムは、上位装置10と、画像形成装置としてのプリンタ装置13とが、複数のデータ線11と、制御線12とで接続されて構成される。ホスト装置5は、例えばコンピュータであって、印刷画像データと、印刷設定情報とを含む印刷ジョブデータを生成する。
【0018】
印刷ジョブデータは、例えばページ記述言語(PDL)によるデータ(以下、PDLデータと呼ぶ)を含む。このPDLデータを解釈することで、印刷を行うビットマップイメージからなる印刷画像データと、印刷の際のページ情報、レイアウト情報、印刷部数を示す情報など、印刷の設定に関わる印刷設定情報とが生成される。
【0019】
上位装置10は、ホスト装置5から供給される印刷ジョブデータに従ってRIP処理を行い、印刷画像データである各色毎のビットマップデータを作成する。それと共に、上位装置10は、当該印刷ジョブデータやホスト装置5からの情報などに基づき、印刷動作を制御するための制御情報を作成する。
【0020】
上位装置10で作成された各色毎の印刷画像データは、複数のデータ線11をそれぞれ介してプリンタ装置13の図示されないプリンタエンジン部に供給される。また、上位装置10とプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して、印刷を制御するための制御情報の送受信が行われる。プリンタコントローラ14は、この制御情報の送受信に基づきプリンタエンジン部を制御して印刷媒体に対する画像形成を行い、印刷ジョブに従った印刷を実行する。なお、この制御情報の具体的な例については、図16〜図18を用いて後述する。
【0021】
印刷方式は特に限定されないが、各実施形態では、印刷媒体として印刷用紙を用い、インクジェット方式により印刷用紙に対して印刷画像を形成する。これに限らず、各実施形態を、トナーを用いて印刷用紙に対して印刷画像を形成する印刷装置にも適用可能である。また、印刷用紙は、切断可能なミシン目が所定間隔で打たれた連続紙である連帳紙(連続帳票)を用いるものとする。プロダクションプリンティングでは、印刷用紙としてこの連帳紙を用いることが多い。勿論、これに限らず、A4サイズ、B4サイズなど、サイズが固定的とされたカット紙を印刷用紙として用いてもよい。なお、連帳紙において、ページは、例えば所定間隔で打たれたミシン目で挟まれる領域をいうものとする。
【0022】
なお、各実施形態による印刷システムが印刷対象とする印刷媒体は、紙の印刷用紙に限定されない。すなわち、各実施形態に適用される印刷方式により印刷が可能で、且つ、ロールとして提供可能な印刷媒体であれば、他の印刷媒体を用いてもよい。例えば、プラスチックフィルムや布などを印刷媒体として用いてもよい。
【0023】
(上位装置)
図2は、上位装置10の一例の構成を示す。バス100に対してCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ハードディスクドライブ(HDD)104が接続される。バス100に対して、さらに、外部I/F110、制御情報用I/F111および印刷画像データ用I/F112が接続される。バス100に接続されたこれら各部は、バス100を介して互いに通信可能とされている。
【0024】
ROM102およびHDD104は、CPU101が動作するためのプログラムが予め格納される。RAM103は、CPU101のワークメモリとして用いられる。すなわち、CPU101は、ROM102およびHDD104に格納されるプログラムに従い、RAM103をワークメモリとして用いて、この上位装置10の全体の動作を制御する。
【0025】
外部I/F110は、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に対応し、ホスト装置5との通信を制御する。制御情報用I/F111は、制御情報の通信を制御する。また、印刷画像データ用I/F112は、印刷画像データの通信を制御するもので、複数のチャネルを有する。例えば、上位装置10において作成された、色Y(Yellow)、C(Cyan)、M(Magenta)およびK(Black)による各色の印刷画像データは、これら複数のチャネルからそれぞれ出力される。印刷画像データ用I/F112は、高速な転送速度が要求されるため、例えばPCI Express(Peripheral Component Interconnect Bus Express)が用いられる。制御情報用I/F111の方式は特に限定されないが、ここでは、印刷画像データ用I/F112と同様に、PCI Expressを用いるものとする。
【0026】
このような構成において、ホスト装置5から送信された印刷ジョブデータが、上位装置10の外部I/F110に受信され、CPU101を介してHDD104に格納される。CPU101は、HDD104から読み出した印刷ジョブデータに基づきRIP処理を行い、各色のビットマップデータを生成してRAM103にそれぞれ書き出す。例えば、CPU101は、RIP処理によりPDL(Page Description Language)データをレンダリングして各色のビットマップデータを生成してRAM103に書き出す。CPU101は、RAM103に書き出された各色のビットマップデータを圧縮符号化してHDD104に一旦格納する。
【0027】
CPU101は、例えばプリンタ装置13において印刷動作が開始される際に、HDD104から圧縮符号化された各色のビットマップデータを読み出して圧縮符号を復号し、伸張された各色のビットマップデータをRAM103にそれぞれ書き込む。そして、CPU101は、RAM103からこれら各色のビットマップデータを読み出して、各色の印刷画像データとして印刷画像データ用I/F112の各チャネルからそれぞれ出力させ、プリンタ装置13に対して供給する。また、CPU101は、印刷動作の進行などに応じて、印刷を制御するための制御情報の送受信を、プリンタ装置13との間で制御情報用I/F111を介して行う。
【0028】
図3は、上位装置10の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。上位装置10は、インターフェイス(I/F)120、123および125、RIP部121、記憶部122、ならびに、制御部124を含む。インターフェイス120、123および125は、それぞれ図2における外部I/F110、印刷画像データ用I/F112および制御情報用I/F111に対応する。RIP部121および制御部124は、図2におけるCPU101上で動作するプログラムにより構成される。また、記憶部122は、図2におけるRAM103またはHDD104のうち少なくとも一方に対応する。
【0029】
ホスト装置5でPDLデータを含む印刷ジョブデータが作成され、上位装置10に対して送信される。この印刷ジョブデータは、インターフェイス120に受信されてRIP部121に供給される。RIP部121は、供給された印刷ジョブデータに含まれるPDLデータに基づきレンダリングを行い、Y、C、M、K各色のビットマップデータによる印刷画像データを生成する。RIP部121は、生成したY、C、M、K各色の印刷画像データを、記憶部122に順次格納する。
【0030】
制御部124は、インターフェイス125を介してプリンタ装置13のプリンタコントローラ14と通信を行う。例えば、制御部124は、ホスト装置5からインターフェイス120を介して供給された印刷ジョブデータに基づき、プリンタ装置13における印刷を制御するための制御情報を生成する。この制御情報は、制御部124からインターフェイス125を介してプリンタコントローラ14に送信される。
【0031】
インターフェイス123は、記憶部122に記憶されるY、C、M、K各色の印刷画像データにそれぞれ独立してアクセスできるようになっている。また、インターフェイス123は、Y、C、M、K各色に対応する複数のデータ線11を介してプリンタ装置13に接続され、この複数のデータ線11を介して、プリンタ装置13との間でY、C、M、K各色の印刷画像データ転送に関する制御情報のやりとりや、Y、C、M、K各色の印刷画像データの転送を行う。
【0032】
(プリンタ装置)
図4は、プリンタ装置13の一例の構成を示す。プリンタ装置13は、プリンタコントローラ14およびプリンタエンジン15を有する。プリンタコントローラ14は、制御線12が接続され、上位装置10との間で制御線12を介して制御情報の送受信を行って印刷動作の制御を行う。プリンタエンジン15は、複数のデータ線11a、11b、11cおよび11dがそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14の制御に従い、これらデータ線11a、11b、11cおよび11dをそれぞれ介して上位装置10から転送された各色の印刷画像データによる印刷処理を行う。
【0033】
プリンタコントローラ14およびプリンタエンジン15について、より詳細に説明する。プリンタコントローラ14は、制御情報送受信部20、制御信号送受信部21、用紙搬送制御部22および制御部23を有する。
【0034】
制御情報送受信部20は、上位装置10との間で、印刷を制御するための制御情報の送受信を制御線12を介して行う。制御信号送受信部21は、後述するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのそれぞれと、エンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dにより接続される。制御信号送受信部21は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間で、それぞれ個別に制御信号の送受信を行う。用紙搬送制御部22は、後述する搬送制御部51と搬送制御線41により接続され、搬送制御部51との間で用紙搬送を制御するための制御信号の送受信を行う。
【0035】
制御部23は、例えばCPU、ROMおよびRAMを有し、ROMに予め記憶されるプログラムに従い、RAMをワークメモリとして用いてプリンタコントローラ14の各部の制御を行う。また、制御部23は、上位装置10から送信され制御情報送受信部20により受信された制御情報を解釈して、制御信号送受信部21や用紙搬送制御部22に渡す。
【0036】
なお、制御情報送受信部20、制御信号送受信部21および用紙搬送制御部22は、制御部23に制御されるハードウェアとして構成してもよいし、制御部23上で動作されるプログラムのモジュールとして構成してもよい。
【0037】
図5は、プリンタコントローラ14の一例のハードウェア構成を示す。プリンタコントローラ14は、CPU321、インターフェイス(I/F)322、RAM323およびROM324を有し、これらCPU321、インターフェイス322、RAM323およびROM324が互いに通信可能にバス325に接続される。バス325には、図示されない通信I/Fを介して制御線12も接続される。CPU321は、ROM324に格納されるプログラムに従いRAM323をワークメモリとして用いて動作し、プリンタ装置13の全体の動作を制御する。インターフェイス322には、ハードウェア的に構成されたロジック回路が含まれ、プリンタコントローラ14と、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30d、ならびに、搬送制御部51との通信を制御する。
【0038】
このような構成において、例えば、図4における制御信号送受信部21および用紙搬送制御部22の機能は、I/F322により実現される。制御部23の機能は、CPU321上で動作するプログラムにより実現される。また、制御情報送受信部20の機能は、図示されない通信I/Fおよびバス325により実現される。
【0039】
図4の説明に戻り、プリンタエンジン15は、同一の構成による複数のデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを有すると共に、印刷画像データに基づく画像を用紙に出力し画像形成を行う画像出力部50と、印刷用紙の搬送を制御する搬送制御部51とを有する。
【0040】
データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれデータ線11a、11b、11cおよび11dが接続される。また、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dを含み、上位装置10から、データ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送された各色の印刷画像データを、ヘッド仕様に合わせて多値又は2値データに変換し、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dに格納する。データ線11a、11b、11c、及び11dは、それぞれ、色Y、C、M及びKに対応する。但し、データ線11a、11b、11c、及び11dと各色との関係は、この例に限られない。
【0041】
そして、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれメモリ31a、31b、31c、及び31dに格納した画像データを画素単位で管理し、メモリ格納報告を、それぞれデータ線33a、33b、33c、及び33dを介して画像出力部50の出力制御部55(後述。図8参照)に通知する。またデータ転送制御部30a、30b、30c、及び30dのそれぞれは、出力制御部55からインク吐出順序に合わせた画素順序で画像データの転送が要求されると、要求された画素順序で画像データを出力制御部55に転送する。なお、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dのそれぞれは、画像データの転送後に、メモリ31a、31b、31c、及び31dに格納している画像データを消去してもよい。また、消去のタイミングは、1ドット転送後、1吐出分転送後、1ラスタ転送後など、いずれであってもよい。
【0042】
これらメモリ31a、31b、31cおよび31dは、例えば同一のメモリ容量と、アドレス構成とを有する。また、メモリ31a、31b、31cおよび31dのそれぞれは、好ましくは少なくとも3ページ分の印刷画像データを格納可能な容量を有する。3ページ分の印刷画像データは、例えば、上位装置10から転送中のページの印刷画像データと、現在出力中のページの印刷画像データと、次のページの印刷画像データとに対応する。これに限らず、メモリ31a、31b、31cおよび31dのそれぞれは、2ページ分以下の印刷画像データを格納可能であってもよい。
【0043】
さらに、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dにより制御信号送受信部21と接続される。制御信号送受信部21は、これらエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dを介して、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間でそれぞれ個別に制御信号の送受信を行うことができる。
【0044】
図6は、データ転送制御部30aの一例の構成を概略的に示す。なお、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、共通の構成が適用されるので、図6では、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを代表してデータ転送制御部30aの構成を示す。
【0045】
データ転送制御部30aは、メモリ31aおよびロジック回路32aを含む。ロジック回路32aに対して、エンジンI/F制御線40aおよびデータ線11aが接続される。ロジック回路32aは、制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、上位装置10からデータ線11aを介して転送された印刷画像データをメモリ31aに対して格納する。同様に、ロジック回路32aは、制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、メモリ31aから印刷画像データを読み出して、出力線33aを介して後述する画像出力部50に供給する。
【0046】
なお、論理回路などの組み合わせによりハードウェア的に構成されたロジック回路32aによる制御は、プログラムに対する割り込みにより処理を分岐させる、CPUを用いた制御に対してより高速な処理が可能であるという利点がある。ロジック回路32aは、例えば、エンジンI/F制御線40aを介して受け取った、ビット列による制御信号に対して論理判定を行い、実行する処理を決定する。これに限らず、ロジック回路32aと同等の機能を、CPUを用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0047】
データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dからそれぞれ出力された各色の印刷画像データは、画像出力部50に供給される。画像出力部50は、各色の印刷画像データによる印刷を実行する。なお、各実施形態では、印刷画像データによる印刷を、ヘッドに設けられたノズルからインクを射出して印刷を行う、インクジェット方式により行う。勿論、印刷方式はインクジェット方式に限られず、例えばレーザプリンタ方式などを用いてもよい。
【0048】
図7は、データ転送制御部30aの一例の構成をより詳細に示す。なお、図7において、上述した図6と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。データ転送制御部30aは、メモリ31a、メモリコントローラ132a、データ転送DMA(Direct Memory Access)133aおよび134a、ならびに、データ転送制御部コントローラ135aを有する。これらのうち、メモリコントローラ132a、データ転送DMA(Direct Memory Access)133aおよび134a、ならびに、データ転送制御部コントローラ135aが、図6におけるロジック回路32aに含まれる。
【0049】
メモリコントローラ132aは、メモリ31aに対するアクセスを制御する。データ転送DMA133aは、上位装置10から印刷画像データを受信し、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aに書き込む。データ転送DMA134aは、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aからデータを読み出し、出力線33aを介して画像出力部50に転送する。データ転送制御部コントローラ135aは、プリンタコントローラ14内の制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して送信される制御情報を受信し、受信した制御情報に従いデータ転送DMA133aおよび134aを制御する。
【0050】
例えば、制御信号送受信部21から送信されたデータ転送の開始要求が、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部コントローラ135aに受信されると、データ転送制御部コントローラ135aは、この要求に従い、データ転送DMA133aに対してデータ転送の開始を指示する。データ転送DMA133aは、この指示に従い、データ転送要求をデータ線11aを介して上位装置10に送信する。この要求に従い上位装置10から送信されたデータは、例えばデータ転送DMA133aに受信され、メモリコントローラ132aを介して、メモリ31aの所定のアドレスに書き込まれる。
【0051】
また、制御信号送受信部21から送信された印刷指示が、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部コントローラ135aに受信されると、データ転送制御部コントローラ135aは、データ転送DMA134aに対して、メモリ31aからのデータ読み出しを指示する。データ転送DMA134aは、この指示に応じて、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aからデータを読み出す。そして、データ転送DMA134aは、読み出したデータを、出力線33aを介して画像出力部50に転送する。
【0052】
図8は、画像出力部50の一例の構成を示す。画像出力部50は、出力制御部55と、色Y、C、MおよびK各色のヘッドモジュール57,58,59,60とを含む。出力制御部55は、データ転送制御部30から受信した印刷画像データを一時的に保存するバッファ56を備えている。
【0053】
第1実施形態のように、プリンタ装置13に1台のプリンタエンジンが取り付けられている例では、プリンタエンジンは、4つのデータ転送制御部と、4つのヘッドモジュールとを、有するものとする。また、4つのデータ転送制御部と、4つのヘッドモジュールとは、それぞれ1対1で対応するものとする。但し、プリンタ装置13に1台のプリンタエンジンが取り付けられている場合のプリンタエンジンの構成はこれに限定されるものではない。なお、プリンタエンジン15が有するデータ転送制御部及びヘッドモジュールの個数は、変更可能である。
【0054】
なお、各色とヘッドモジュール57、58,59および60との関係は、この例に限られない。出力制御部55は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dそれぞれの印刷画像データが出力される各出力線33a、33b、33cおよび33dと、ヘッドモジュール57、58,59および60との接続を制御する。すなわち、出力制御部55は、各ヘッドモジュール57、58,59および60に対して、それぞれ各出力線33a、33b、33cおよび33dから1を選択して接続するように経路を設定することができる。
【0055】
例えば、本実施形態では、出力制御部55は、各出力線33a、33b、33cおよび33dと、各ヘッドモジュール57、58,59および60とを、1対1に接続するように設定している。また例えば、出力線33aに対して、各ヘッドモジュール57、58,59および60を接続する、というように、出力線33a、33b、33cおよび33dと、ヘッドモジュール57、58,59および60とを、1対多に接続するように設定できる。
【0056】
各出力線33a、33b、33cおよび33dと各ヘッドモジュール57、58,59および60とを接続する経路は、例えばディップスイッチなどを用いてユーザ操作により設定することができる。これに限らず、当該経路を、制御信号送受信部21からの制御信号により設定してもよい。
【0057】
ヘッドモジュール57、58、59及び60は、それぞれ、データ線62、63、64及び65で出力制御部55と接続され、インクを吐出する複数のヘッドを有する。ここで、ヘッドとは、ひとまとまりのインクノズル列を持ったブロックであり、ヘッドモジュールは、1ラスタ分の長さを印刷できるようにヘッドを複数個並べたものである。ヘッドモジュール57、58、59、及び60は、それぞれ、後述の搬送制御部51から通知される吐出契機信号に従い、出力制御部55に吐出データの転送を要求し、転送された吐出データに基づいて吐出対象のヘッドにインクを吐出させる。ここで、吐出契機信号とは、例えば、SYNC信号であり、1ラスタ毎にアソートされる。吐出データとは、1画素毎の多値又は2値データであり、インク濃度を示す。なお、ヘッドモジュール57、58、59及び60と搬送制御部51とは、それぞれ制御線61a、61b、61c、61dで接続されている。
【0058】
上述したように、各実施形態によるプリンタ装置13では、上位装置10からの印刷画像データの転送と、当該印刷画像データによる印刷を制御する制御信号の上位装置10とプリンタ装置13との間の送受信とが、異なる経路を介して行われる。また、上位装置10から、各色の印刷画像データがそれぞれ異なるデータ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送されると共に、これらデータ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送された各色の印刷画像データが、互いに独立して制御され、共通の構成を持つデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dにそれぞれ供給される。さらに、画像出力部50において、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの出力と各色のヘッドモジュール57、58,59および60との接続経路をユーザ操作などにより設定可能とされている。
【0059】
したがって、各実施形態によるプリンタ装置13は、印刷画像データの色数(Y、C、MおよびKの4色、または、K色のみ、など)や、画像出力部50において用いるヘッド数に応じて、プリンタエンジン15の構成を容易に変更することが可能である。このとき、プリンタエンジン15に対して、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのうち、要求される構成に応じて必要とされるものだけを設けるようにできる。
【0060】
例えば、色Y、C、MおよびKの4色でフルカラーの印刷を行いたい場合は、プリンタエンジン15に対してデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを全て設け、出力制御部55において、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの各出力を、それぞれヘッドモジュール57、58,59および60に接続すればよい。また例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、装置コスト優先として、それぞれ1のデータ転送制御部30aおよびヘッドモジュール57のみを設け、出力制御部55においてデータ転送制御部30aの出力をヘッドモジュール57に接続することができる。さらに例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、印刷速度優先として、1のデータ転送制御部30aと4のヘッドモジュール57、58,59および60とを設け、出力制御部55においてデータ転送制御部30aの出力をヘッドモジュール57、58,59および60にそれぞれ接続することができる。この場合、同一色を複数回、重ねて印刷することになるため、例えば、各ヘッドモジュール57、58,59および60でのインクの噴出時間を通常の1/4とし、印刷用紙の搬送速度を通常の4倍として高速印刷を行うことが考えられる。
【0061】
図4に戻り、搬送制御部51は、用紙搬送制御部22と搬送制御線41により接続され、ヘッドモジュール57、58、59、及び60により画像データに基づく画像が形成される用紙の搬送を制御する。
【0062】
図9は、第1実施形態のヘッドモジュール57と印刷対象の1ページ分の画像データ320との関係の一例を示す説明図であり、図10は、ヘッドモジュール57のインク吐出タイミングの一例を示すタイミングチャート図である。なお、図9及び図10に示す内容(特に、ヘッドモジュール57及び1ページの画像データの構成)は、説明のために簡略化して示したものであり、これに限定されるものではない。また、図9及び図10の説明内容は、ヘッドモジュール58、59、及び60についても適用できるため、ここでは、ヘッドモジュール58、59、及び60についての説明は省略する。
【0063】
図9に示す例では、ヘッドモジュール57は、ヘッド301a、301b、301c、及び301dを有する。ヘッド301a、301b、301c、及び301dは、それぞれ、中央部に1穴のノズル311a、311b、311c、及び311dを有し、それぞれ、ノズル311a、311b、311c、及び311dからインクを1回吐出させることで、印刷用紙300に1画素を形成することができるものとする。
【0064】
また、印刷用紙300の所定の印刷位置に印刷される1ページ分の画像データ320は、4×4画素のデータとする。画像データ320のうち、画素#1、#2、#3、#4を1ラスタ目とし、1ラスタ目の画素#1、#2、#3、#4が印刷される印刷用紙300上の位置をPとする。また画像データ320のうち、画素#5、#6、#7、#8を2ラスタ目とし、画素#9、#10、#11、#12を3ラスタ目とし、画素#13、#14、#15、#16を4ラスタ目とする。
【0065】
また、P1〜P6は、搬送制御部51により印刷用紙300が矢印a方向に搬送された場合のPの位置を示しており、この位置で、ヘッド301a、301b、301c、及び301dの少なくともいずれかによるインク吐出が行われる。なお、P1〜P6それぞれの間隔は、印刷用紙300の搬送速度を一定とした場合に、当該搬送速度で正確にインクを吐出して画像を印刷できる最小間隔であるものとする。このため、P1〜P6それぞれの間隔は均等になっている。
【0066】
図10に示すタイミングチャート図では、縦軸がヘッド301a、301b、301c、及び301dを示し、横軸がPの位置を示しており、PがP1〜P6に位置した場合のヘッド301a、301b、301c、及び301dそれぞれの吐出タイミングを矩形波で示している。
【0067】
具体的に説明すると、まず、PがP1に位置すると、ヘッド301a、301bは、それぞれ、1ラスタ目の画素#1、#3と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、1回目(P=P1)の吐出データであるヘッド301a及び301bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301a及び301bにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#1、#3である。
【0068】
続いて、PがP2に位置すると、ヘッド301a、301bは、それぞれ、2ラスタ目の画素#5、#7と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、2回目(P=P2)の吐出データであるヘッド301a及び301bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301a及び301bにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#5、#7である。
【0069】
続いて、PがP3に位置すると、ヘッド301c、301dは、それぞれ、1ラスタ目の画素#2、#4と重なるとともに、ヘッド301a、301bは、それぞれ、3ラスタ目の画素#9、#11と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、3回目(P=P3)の吐出データであるヘッド301a、301b、ヘッド301c、及び301dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301a、301b、301c、及び301dにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#9、#2、#11、#4である。
【0070】
続いて、PがP4に位置すると、ヘッド301c、301dは、それぞれ、2ラスタ目の画素#6、#8と重なるとともに、ヘッド301a、301bは、それぞれ、4ラスタ目の画素#13、#15と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、4回目(P=P4)の吐出データであるヘッド301a、301b、ヘッド301c、及び301dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301a、301b、301c、及び301dにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#13、#6、#15、#8である。
【0071】
続いて、PがP5に位置すると、ヘッド301c、301dは、それぞれ、3ラスタ目の画素#10、#12と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、5回目(P=P5)の吐出データであるヘッド301c及び301dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301c及び301dにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#10、#12である。
【0072】
続いて、PがP6に位置すると、ヘッド301c、301dは、それぞれ、4ラスタ目の画素#14、#16と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、6回目(P=P6)の吐出データであるヘッド301c及び301dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301c及び301dにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#14、#16である。
【0073】
出力制御部55は、データ線32a、32b、32c、及び32dが接続されるとともに、データ線62、63、64、及び65が接続され、バッファ56を有する。出力制御部55は、プリンタ装置13に取り付けられているプリンタエンジンの台数に基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dのうちの転送要求対象のデータ転送制御部に対して画像データの転送を要求する。そして出力制御部55は、要求した画素順序で転送された画像データを当該画素順序でヘッドモジュール57、58、59、及び60のうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して印刷用紙にインクを吐出させる。
【0074】
具体的には、出力制御部55は、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dのいずれかからメモリ格納報告が通知されると、プリンタエンジン15の台数に基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、メモリ格納報告が通知されたデータ転送制御部に画像データの転送を要求し、要求した画素順序で転送された画素を順次バッファ56に格納する。そして出力制御部55は、ヘッドモジュール57、58、59、及び60のうちの吐出対象のヘッドモジュールからの転送要求に従い、バッファ56に格納した画像データをデータ転送制御部から転送された画素順序で吐出対象のヘッドモジュールに転送する。ここで、画像データの画素ごとの位置情報は、上述のメモリ格納報告で指定する他、後述の第3実施形態における転送管理テーブルで指定するように構成してもよい。
【0075】
なお、出力制御部55は、FPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されており、FPGAの回路構成をプリンタエンジンの取り付け台数に応じた回路構成に切り替え可能となっている。つまり第1実施形態では、FPGAの回路構成は、プリンタエンジンの取り付け台数が1台である場合の回路構成となっている。
【0076】
この場合、出力制御部55は、データ線32a、32b、32c及び32dと、色C、M、Y、及びK各色のヘッドモジュール57、58、59、及び60とを、1対1に接続するように設定する。これにより、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dと、ヘッドモジュール57、58、59、及び60とが、それぞれ1対1で対応する。またこの場合、出力制御部55は、プリンタエンジンの取り付け台数が1台の場合のインク吐出順序として、1色につき1台のヘッドモジュールでインク吐出を行う場合のインク吐出順序が設定される。なお、どのような画像データが印刷対象であったとしても、ヘッドモジュールが有するヘッド及び当該ヘッドが有するノズルの形状が同一であれば、ヘッドモジュールのインク吐出順序は同一である。従って、1色につき使用するヘッドモジュールが決まればインク吐出順序をパターン化できる。
【0077】
なお、FPGAの回路構成は、例えばディップスイッチなどを用いたユーザ操作に基づいて、切り替えるものとする。但し、これに限られず、FPGAの回路構成をプリンタコントローラ14の制御部23からの制御信号(図示省略)に切り替えるようにしてもよい。
【0078】
図11−1〜図11−6は、第1実施形態の画像データの転送順序の一例を示す説明図であり、図9及び図10で説明したインク吐出順序でヘッドモジュール57にインク吐出を行わせるための転送順序を示している。なお、図11−1〜図11−6に示す内容も、説明のために簡略化して示したものであり、これに限定されるものではない。ここでは、図11−1〜図11−6に示すように、メモリ31aには、画像データ320(図9参照)を構成する画素#1〜#16が格納されているものとする。また図11−1〜図11−6に示す例では、出力制御部55は、プリンタエンジンの取り付け台数が1台の場合のインク吐出順序として、図10のタイミングチャート図で示したようなインク吐出順序が設定されているものとする。
【0079】
この場合、まず、出力制御部55は、図11−1に示すように、PがP1に位置したタイミングでインクが吐出される画素#1、#3(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#1、#3をバッファ56に格納する。ここでは、出力制御部55は、1度に転送を要求する画素が複数ある場合、ヘッド301aがインクを吐出する画素、ヘッド301bがインクを吐出する画素、ヘッド301cがインクを吐出する画素、ヘッド301dがインクを吐出する画素の順番で転送を要求し、当該順番で転送されるものとする。
【0080】
続いて、出力制御部55は、図11−2に示すように、PがP2に位置したタイミングでインクが吐出される画素#5、#7(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#5、#7をバッファ56に格納する。
【0081】
続いて、出力制御部55は、図11−3に示すように、PがP3に位置したタイミングでインクが吐出される画素#9、#2、#11、#4(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#9、#2、#11、#4をバッファ56に格納する。
【0082】
続いて、出力制御部55は、図11−4に示すように、PがP4に位置したタイミングでインクが吐出される画素#13、#6、#15、#8(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#13、#6、#15、#8をバッファ56に格納する。
【0083】
続いて、出力制御部55は、図11−5に示すように、PがP5に位置したタイミングでインクが吐出される画素#10、#12(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#10、#12をバッファ56に格納する。
【0084】
続いて、出力制御部55は、図11−6に示すように、PがP6に位置したタイミングでインクが吐出される画素#14、#16(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#14、#16をバッファ56に格納する。
【0085】
このようにしてバッファ56に格納された画像データがヘッドモジュール57からの転送要求に応じて順次ヘッドモジュール57に転送される。
【0086】
図12は、第1実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置200の一例の構造を概略的に示す。既に述べたように、各実施形態では、プリンタ装置200は、印刷用紙として連帳紙を用いる。
【0087】
印刷用紙201は、印刷用紙補給部210から電源操作ボックス220を介して第1搬送部230に供給される。印刷用紙201は、第1搬送部230において、搬送制御部51の搬送制御により複数のローラなどを介して搬送されて位置合わせなどがなされ、上述のプリンタエンジン15に対応するプリンタエンジン部240および250に供給される。
【0088】
プリンタエンジン部240および250は、上述の出力制御部55及びヘッドモジュール57、58、59、60に対応する印刷部241において、第1搬送部230から供給された印刷用紙201に対して印刷画像データに従った印刷を行う。印刷が終了した印刷用紙201は、搬送制御部51の搬送制御によりプリンタエンジン部250から排出され、第2搬送部260に供給される。印刷後の印刷用紙201は、第2搬送部260の内部で所定に搬送されて排出され、裁断部270に供給される。印刷後の印刷用紙201は、裁断部270によりミシン目に従い裁断され各ページを分離される。
【0089】
ここで、プリンタ装置200は、ページが連続した連続紙である印刷用紙201に印刷を行うため、プリンタエンジン部240および250における印刷用紙201への印刷後、当該印刷用紙201が第2搬送部260から排出されるまでの経路にも、印刷用紙201が絶えず存在することになる。
【0090】
なお、第1搬送部230、プリンタエンジン部240および250、ならびに、第2搬送部260からなる構成をもう一組用意して、前側の第2搬送部260から排出された印刷後の印刷用紙201を表裏反転して後側の第1搬送部230に供給することで、印刷用紙201に対する両面印刷が可能となる。
【0091】
(第1実施形態に適用可能な印刷処理の詳細)
次に、第1実施形態に適用可能な印刷処理について、より詳細に説明する。図13は、上位装置10とプリンタ装置13のプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して送受信される制御情報の一例を示す。なお、図13において、上位装置10をDFE(Digital Front End Processor)、プリンタコントローラ14をPCTLとして示している。制御情報は、大まかには、(1)ジョブ(JOB)情報と、(2)プリンタ状態および印刷プロセスを示す情報と、(3)印刷条件を示す情報と、(4)接続を示す情報とが含まれる。
【0092】
(1)のジョブ情報は、ジョブ(JOB)開始とジョブ終了とを通知する。ジョブ開始は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対するジョブ開始の通知と、当該通知に対するプリンタ装置13から上位装置10への応答が含まれる。ジョブ終了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する、ジョブ開始により要求した全印刷プロセスの終了の通知と、当該通知に対するプリンタコントローラ14から上位装置10への応答が含まれる。これらジョブ開始およびジョブ終了における応答の際に、ジョブを識別するためのジョブ識別子(JOBID)がプリンタコントローラ14から上位装置10に対して送信される。
【0093】
(2)のプリンタ状態および印刷プロセスを示す情報には、印刷プロセス受け付け開始と、プリンタ情報の要求および通知と、印刷プロセス開始と、印刷プロセス要求と、データ転送完了と、データ受信完了と、印刷プロセス完了と、プロセス状態報告と、SC(Service Control)通知と、エラー発生および解除とを通知する。
【0094】
印刷プロセス受け付け開始は、プリンタコントローラ14が印刷プロセスの受け付けが可能となったことをプリンタ装置13から上位装置10に対して通知する。プリンタ情報の要求および通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する必要なプリンタ情報の要求と、当該要求に対するプリンタコントローラ14から上位装置10に対する応答とが含まれる。
【0095】
印刷プロセス開始は、印刷画像データの準備が完了した旨の上位装置10からプリンタコントローラ14に対する通知と、当該通知に対するプリンタ装置13から上位装置10に対する応答を含む。印刷画像データの準備完了通知は、印刷画像データの出力順およびページ(プロセス)単位に行われる。ページは、一連の印刷動作で印刷が行われる印刷単位であるといえる。
【0096】
印刷プロセス要求は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対する印刷プロセスの通知と、当該通知に対する上位装置10からプリンタコントローラ14に対する応答とが含まれる。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス要求により、印刷を行う色Y、C、MおよびKをそれぞれ示す色情報(Yellow, Cyan, Magenta or Black)、プロセス識別番号processIDおよびプレーン識別番号を上位装置10に対して通知する。なお、プレーンは、1ページに印刷される各色の印刷画像データによる画像それぞれに対応するものとする。プリンタコントローラ14は、プレーン単位およびエンジンすなわちデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの要求順に従い、これらの情報を通知する。すなわち、ビットマップデータからなる印刷画像データは、プリンタエンジン15側から上位装置10に取りに行くことになる。
【0097】
データ転送完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して要求されたプレーンの印刷画像データの転送完了が通知される。データ受信完了は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、要求したプレーンの印刷画像データの受信完了が通知される。印刷プロセス完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して、全ページ(プロセス)の印刷要求の完了が通知される。プロセス状態報告は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、ページ(プロセス)の印刷状態が通知される。このとき、プリンタコントローラ14は、プリンタエンジン15から給紙、排紙および印刷開始に関する情報を取得し、取得したこれらの情報を当該通知に付加して上位装置10に送信する。
【0098】
SC通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対してプリンタ装置13の障害情報の取得が要求されると共に、当該要求に対して取得された障害情報がプリンタコントローラ14から上位装置10に対して通知される。エラー発生および解除は、上位装置10側でのエラー発生および当該エラーの解除が上位装置10からプリンタコントローラ14に対して通知される。
【0099】
(3)の印刷条件を示す情報は、印刷条件の設定、すなわち、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する印刷条件の通知と、当該通知に対するプリンタコントローラ14の応答とを含む。印刷条件の例としては、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷データサイズ、解像度および階調、ならびに、色情報などを含む。
【0100】
印刷形態は、例えば印刷用紙201に対して両面印刷および片面印刷のうち何れを行うかを示す。印刷種別は、印刷画像データが存在しておりそれを印刷するのか、印刷画像データが存在しておらず白紙ページとするのかを示す。給排紙情報は、印刷用紙201の給紙元および排紙先のスタッカなどの識別情報を示す。印刷面順は、印刷用紙201に対して表面から裏面へと印刷するのか、裏面から表面へと印刷するのかを示す。印刷用紙サイズは、例えば印刷用紙201として連帳紙を用いる場合、印刷を行うページの印刷用紙201の搬送方向の長さを示す。印刷データサイズは、印刷画像データのデータサイズを示す。すなわち、印刷データサイズは、1ページ分の印刷画像データのサイズを示す。解像度および階調は、印刷画像データを印刷用紙201に印刷する際の解像度および階調を示す。また、色情報は、例えば印刷を色Y、C、MおよびK各色を用いたフルカラーで行うのか、色Kのみを用いた単色で行うかを示す。
【0101】
(4)の接続を示す情報は、登録および解除を含み、上位装置10およびプリンタコントローラ14のそれぞれで、互いの情報の登録および登録された情報の解除を行う。
【0102】
(印刷シーケンス)
次に、第1実施形態に適用可能な印刷処理について説明する。図14は、各実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。ここでは、色Y、C、MおよびKの各色を用いたフルカラー印刷を行うものとする。プリンタコントローラ14は、上位装置10から制御情報として印刷用紙201に関する情報を受信したら(SEQ100)、受信した情報に基づき搬送制御部51に対して用紙送り長を設定する(SEQ110)。用紙送り長は、例えば搬送方向における1ページのサイズである。
【0103】
プリンタコントローラ14は、上位装置10から1ページ目(ページ#1)のジョブ開始を示す制御情報を受信したら(SEQ101)、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのそれぞれに対して、色Y、C、MおよびK各色について1ページ目のデータ転送を開始するように要求する(SEQ110a、110b、110cおよび110d)。データ転送制御部30aは、この要求に従い、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yの1ページ目の印刷画像データを要求し、この要求に応じて上位装置10から転送された色Yの1ページ目の印刷画像データをメモリ31aに格納する。
【0104】
各データ転送制御部30b、30cおよび30dについても同様に、SEQ110b、110cおよび110dの要求に従い、データ線11b、11cおよび11dを介して上位装置10に対して各色C、MおよびKの1ページ目の印刷画像データをそれぞれ要求する。各データ転送制御部30b、30cおよび30dは、この要求に応じて上位装置10から転送された各色C、MおよびKの1ページ目の印刷画像データを、それぞれメモリ31b、31cおよび31dに格納する。
【0105】
一方、この図14の例では、プリンタコントローラ14から各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して1ページ目のデータ転送が要求されている間に、プリンタコントローラ14は、上位装置10から送信された次の2ページ目のジョブ開始を示す制御情報を受信する(SEQ102)。受信された制御情報は、例えばRAM323に保持される。
【0106】
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、上位装置10からの各色の1ページ目の印刷画像データの転送が終了したら、それぞれ、その旨をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ111a、111b、111cおよび111d)。プリンタコントローラ14は、当該通知にそれぞれ応答して、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対してそれぞれ2ページ目(ページ#2)のデータ転送を開始するように要求する(SEQ112a、112b、112cおよび112d)。
【0107】
この要求に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、上位装置10に対して各色の2ページ目の印刷画像データをそれぞれ要求し、この要求に応じて上位装置10から転送された各色の2ページ目の印刷画像データを、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dに格納する。
【0108】
なお、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、転送された印刷画像データのデータ量に基づきデータ転送の終了を知ることができる。1ページ分の印刷画像のデータ量を示す情報は、例えば各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対するデータ転送開始時に、上位装置10が印刷画像データの先頭などに付加して送信する。また、印刷画像データを所定単位毎に転送する場合に、上位装置10が、1ページの最後の印刷画像データの転送単位に対して1ページ分の転送終了を示す終了情報を付加するようにしてもよい。さらに、上位装置10が、1ページ分の印刷画像データの転送直後などに、1ページ分の印刷画像データの転送終了を示す情報を印刷画像データとは別途に、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して送信することもできる。
【0109】
一方、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの全てから1ページ目のデータ転送終了の通知を受信したら、搬送制御部51に対して用紙搬送開始を要求する(SEQ113)。搬送制御部51は、この要求に応じて印刷用紙201の所定速度での搬送を開始する。また、プリンタコントローラ14は、搬送制御部51に対して用紙搬送開始の要求を行うと共に、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、1ページ目の印刷の開始を指示する(SEQ114)。
【0110】
搬送制御部51は、例えば印刷用紙201が所定位置に到達したら、印刷可能状態である旨をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ117)。例えば、用紙の搬送速度が定速になり、印刷用紙201の所定位置がプリンタエンジン15により検知されたら、搬送制御部51は、印刷可能状態である旨をプリンタコントローラ14の制御部23に対して通知する。プリンタコントローラ14は、この搬送制御部51からの印刷可能状態報告に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して印刷の先頭位置を指示する(SEQ118)。
【0111】
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、印刷先頭指示に応じて印刷を開始する。この例では、印刷用紙201の搬送方向に沿って各色Y、C、MおよびKのヘッドモジュールがヘッドモジュール57,58,59,60の順に並べられているものとする。この場合、印刷用紙201における1ページ目の印刷の先頭位置がヘッドモジュー57による印刷位置に達したら、先ずデータ転送制御部30aにおいて、メモリ31aからの1ページ目の印刷画像データの読み出しが開始される。メモリ31aから読み出された色Yの印刷画像データは、画像出力部50に転送される。そして、印刷画像データが出力制御部55を介してヘッドモジュール57に供給され、印刷用紙201に対する印刷が行われる(SEQ119a)。色Yの1ページ目の印刷が終了すると、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120a)。
【0112】
続けて、印刷用紙201における1ページ目の印刷の先頭位置がヘッドモジュール58による印刷位置に達したら、データ転送制御部30bにおいて、メモリ31bからの1ページ目の印刷画像データの読み出しが開始される。メモリ31bから読み出された色Cの印刷画像データは、画像出力部50に転送される。そして、出力制御部55を介してヘッドモジュール58に供給され、印刷用紙201に対する印刷が開始される(SEQ119b)。色Cの1ページ目の印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120b)。
【0113】
以下同様にして、色MおよびKの印刷が順次開始され(SEQ119c、119d)、印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120cおよび120d)。
【0114】
一方、上述のSEQ112a〜112dで開始された2ページ目の各色の印刷画像データの転送が終了すると、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、その旨をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ115)。プリンタコントローラ14は、このデータ転送完了の通知に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、2ページ目の印刷の開始をそれぞれ指示する(SEQ116)。
【0115】
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、1ページ目の印刷の終了後に、それぞれ2ページ目の印刷を開始する。例えば、データ転送制御部30aは、1ページ目の印刷が完了(SEQ120a)した後、印刷用紙201における2ページ目の印刷の先頭位置がヘッドモジュール57による印刷位置に達したら、メモリ31aから2ページ目の色Yの印刷画像データを読み出して画像出力部50に供給し、印刷用紙201に対する印刷を開始する(SEQ121a)。色Yの印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ122a)。
【0116】
各データ転送制御部30b、30cおよび30dにおいても、同様にして、2ページ目の先頭位置がヘッドモジュール58,59,60による印刷位置に達したら、メモリ31b、31cおよび31dから各色の印刷画像データを読み出し、印刷用紙201に対する印刷を開始する(SEQ121b〜121d)。各色の印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対してそれぞれ通知される(SEQ122b〜122d)。
【0117】
プリンタコントローラ14は、2ページ目の色Kの印刷終了通知をデータ転送制御部30dから受け取ると、印刷ジョブによる最終ページの印刷が終了したとして、搬送制御部51に対して印刷用紙201の搬送の停止を要求する(SEQ123)。搬送制御部51は、この要求に応じて印刷用紙201の搬送を停止させ、その旨をプリンタコントローラ14に対して報告する(SEQ124)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
【0118】
図15は、第1実施形態における図14のSEQ119aの処理の詳細の一例を示すシーケンス図であり、図11−1〜図11−6で説明した画像データの転送順序、並びに図9及び図10で説明したインク吐出順序のシーケンス図である。
【0119】
まず、データ転送制御部30aは、上位装置10から色Cの1ページ目の画像データが転送され(SEQ130)、転送された色Cの1ページ目の画像データのメモリ31aへの格納が完了すると、出力制御部55に対して色Cの1ページ目(ページ#1)のメモリ格納報告を通知する(SEQ131)。
【0120】
続いて、出力制御部55は、データ転送制御部30aに対して、ヘッドモジュール57の1回目(P=P1)の吐出データである画素#1、#3データの転送要求を行い(SEQ135)、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出され、転送された画素#1、#3データをバッファ56に格納する(SEQ136)。そして、出力制御部55は、バッファ56に画素#1、#3データを格納すると、ヘッドモジュール57に対して、1回目の吐出データのバッファ格納報告を通知する(SEQ137)。
【0121】
第1実施形態では、インク吐出順序に合わせて画像データの画素順序が並び替えられているため、バッファ格納報告では、1回目の吐出データは、ヘッド301a及びヘッド301bが吐出対象であること(図10参照)を通知すれば足り、いずれの画素データかまで通知する必要はない。このバッファ格納報告により、ヘッドモジュール57は、1回目の吐出データの吐出が可能な状態になったと判断できる。
【0122】
以下、出力制御部55は、ヘッドモジュール57の2〜6回目(P=P2〜P6)の吐出データについても、SEQ135〜SEQ137と同様の処理を繰り返す(SEQ138〜SEQ152)。
【0123】
続いて、ヘッドモジュール57は、搬送制御部51による印刷用紙の搬送によりPがP1に位置し、搬送制御部51から最初の吐出契機信号が通知されると(SEQ153)、出力制御部55に1回目の吐出データの転送要求を行う(SEQ154)。そしてヘッドモジュール57は、出力制御部55によりバッファ56から読み出され、転送された1回目の吐出データを基に対応するヘッドにインクを吐出させる(SEQ155、SEQ156)。また、出力制御部55は、ヘッドモジュール57への転送が完了すると、データ転送制御部30aに対して、画素#1、#3の吐出完了報告を通知する(SEQ157)。
【0124】
以下、ヘッドモジュール57及び出力制御部55は、ヘッドモジュール57の2〜6回目(P=P2〜P6)の吐出データについても、SEQ153〜SEQ157と同様の処理を繰り返す(SEQ158〜SEQ182)。
【0125】
図16〜図18は、第1実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。なお、図16〜図18において、符号A〜Fは、異なる図面間で対応する符号に処理が移行することを示す。また、以下では、印刷ジョブは、全2ページの印刷を行うものであるとする。
【0126】
図16を参照し、先ず、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して制御線12を介してジョブ開始の制御情報が送信される(SEQ200)。プリンタコントローラ14は、この制御情報に対して、ジョブ識別子jobID=1を応答する制御情報を、制御線12を介して上位装置10に送信する(SEQ201)。それと共に、プリンタコントローラ14は、ジョブの開始に伴いジョブを実行するためのリソースを獲得する。そして、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷プロセス受け付け開始を示す制御情報を制御線12を介して送信する(SEQ202)。
【0127】
次に、上位装置10は、プリンタコントローラ14に対して、印刷条件を設定する制御情報を制御線12を介して送信する(SEQ203)。プリンタコントローラ14に対して設定される印刷条件は、図13を用いて説明したように、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷画像データのデータサイズ、解像度および階調、ならびに、色情報が含まれる。また、印刷を行うページ数の情報も、印刷条件に含ませることができる。この制御情報がプリンタコントローラ14に受信されると、受信した制御情報に含まれる各種の印刷条件が、例えばプリンタコントローラ14のレジスタなどに書き込まれ、印刷条件が設定される。
【0128】
次に、上位装置10は、1ページ目の印刷プロセス開始の制御情報を、制御線12を介してプリンタコントローラ14に送信する(SEQ204)。この制御情報は、当該プロセスを識別するためのプロセス識別番号processID=1と、1ページ目を構成する画像を示す画像識別番号imageID=1とを含む。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス開始に対する応答である印刷プロセス開始の制御情報を上位装置10に返す(SEQ205)。
【0129】
次に、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷プロセス要求の制御情報を送信し、印刷画像データを要求する。この印刷プロセス要求は、色Y、C、MおよびKの各色について、プリンタエンジン15における色の並び順に従って、順次行われる。この例では、印刷用紙201の搬送方向に沿って各色Y、C、MおよびKのヘッドモジュールがヘッドモジュール57,58,59,60の順に並べられているものとする。
【0130】
先ず、プリンタコントローラ14は、色Yの印刷画像データを要求する印刷プロセス要求の制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(SEQ206)。この制御情報は、プロセスを指定するプロセス識別番号processID=1と、色Yを指定する色情報Yellowとが含まれる。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号imageID=1を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(SEQ207)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、色Yに対応するデータ転送制御部30aに対して印刷画像データの転送を開始するよう要求する(SEQ208)。このとき、プリンタコントローラ14は、例えば、転送の開始を要求する印刷画像データのデータサイズを、この要求と共にデータ転送制御部30aに送信する。
【0131】
データ転送制御部30aは、この要求を受けて、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの印刷画像データを要求し(SEQ209A)、この要求に応じて、上位装置10からデータ転送制御部30aに対して、色Yの印刷画像データが転送される(SEQ209)。転送された印刷画像データは、データ転送制御部30aのメモリ31aにおける、1ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される。
【0132】
以下、他の各色C、MおよびKについても、上述のSEQ206、SEQ207、SEQ208、SEQ209AおよびSEQ209と同様の処理が繰り返され、各色の印刷画像データが上位装置10から各データ線11b、11cおよび11dを介してデータ転送制御部30b、30cおよび30dにそれぞれ転送され、メモリ31b、31cおよび31dそれぞれの、1ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される(SEQ210〜SEQ221)。
【0133】
また、上位装置10は、1のプレーンの印刷画像データの転送が終了すると、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する。プリンタコントローラ14は、この制御情報に応じて、印刷画像データの受信完了の制御情報を上位装置10に送信する。
【0134】
例えば、上位装置10は、色Yのプレーンの印刷画像データの転送が終了すると、画像識別番号imageID=1と色情報Yellowとを含むデータ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ222)。一方、データ転送制御部30aは、上位装置10からデータ線11aを介しての印刷画像データの転送が終了すると、その旨示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ223)。プリンタコントローラ14は、この通知に応じて、画像識別番号imageID=1と、色情報Yellowとを含むデータ受信完了の制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ224)。
【0135】
以下、他の各色C、MおよびKについても、各印刷画像データの転送終了に伴い上述のSEQ222〜SEQ224と同様の処理が繰り返され、上位装置10に対してデータ受信完了の制御情報が送信される(SEQ225〜SEQ233)。
【0136】
プリンタコントローラ14は、SEQ233で、1ページ目の最後の印刷画像データ(すなわち色Kの印刷画像データ)についてのデータ受信完了の制御情報を上位装置10に送信した後に、搬送制御部51に対して印刷の準備を指示する。搬送制御部51は、この指示に従い印刷用紙201の印刷位置への搬送を開始する。
【0137】
説明は図17に移り、1ページ目の各色の印刷画像データの転送が完了すると、上位装置10は、2ページ目の印刷プロセス開始の制御情報を、制御線12を介してプリンタコントローラ14に送信する(SEQ234)。この制御情報は、当該2ページ目のプロセスを識別するプロセス識別番号processID=2と、2ページ目を構成する画像を示す画像識別番号imageID=2とを含む。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス開始に対する応答である印刷プロセス開始の制御情報を上位装置10に返す(SEQ235)。
【0138】
例えば全2ページの印刷を行う場合には、このSEQ234およびSEQ235の処理で印刷プロセス開始要求が完了することになる。そのため、上位装置10は、SEQ235で2ページ目の印刷プロセス開始要求に対する応答を受け取ると、SEQ236で、ジョブ識別子jobID=1が指定されたプロセス開始要求完了の制御情報を、プリンタコントローラ14に対して送信する。
【0139】
次に、上述したSEQ206〜SEQ221と同様にして、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して印刷プロセス要求の制御情報を送信し、印刷画像データを要求する。この印刷プロセス要求は、色Y、C、MおよびKの各色について、プリンタエンジン15における色の並び順に従って、順次行われる。
【0140】
先ず、プリンタコントローラ14は、色Yの印刷画像データを要求する印刷プロセス要求の制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(SEQ237)。この制御情報は、プロセスを指定するプロセス識別番号processID=2と、色Yを指定する色情報Yellowとが含まれる。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号imageID=2を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(SEQ238)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、色Yに対応するデータ転送制御部30aに対して印刷画像データの転送を開始するよう要求する(SEQ239)。
【0141】
データ転送制御部30aは、この要求を受けて、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの印刷画像データを要求し(SEQ240A)、この要求に応じて、上位装置10からデータ転送制御部30aに対して、色Yの印刷画像データが転送される(SEQ240)。転送された印刷画像データは、データ転送制御部30aのメモリ31aにおける2ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される。
【0142】
以下、他の各色C、MおよびKについても、上述のSEQ237、SEQ238、SEQ239、SEQ240AおよびSEQ240と同様の処理が繰り返され、各色の印刷画像データが上位装置10から各データ線11b、11cおよび11dを介してデータ転送制御部30b、30cおよび30dにそれぞれ転送され、メモリ31b、31cおよび31dそれぞれの2ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される(SEQ244〜SEQ251、SEQ255〜SEQ258)。
【0143】
また、上述と同様に、上位装置10は、1のプレーンの印刷画像データの転送終了毎に、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する。プリンタコントローラ14は、この制御情報に応答して、印刷画像データの受信完了の制御情報を上位装置10に送信する。
【0144】
図17の例では、上位装置10は、SEQ240で転送された色Yの印刷画像データの転送が終了されると、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ252)。データ転送制御部30aは、上位装置10からデータ線11aを介しての印刷画像データの転送が終了すると、その旨示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ253)。プリンタコントローラ14は、この通知に応答して、画像識別番号imageID=2と、色情報Yellowとを含むデータ受信完了の制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ254)。
【0145】
以下、他の各色C、MおよびKについても、各印刷画像データの転送終了に伴い上述のSEQ252〜SEQ254と同様の処理が行われ、上位装置10に対してデータ受信完了の制御情報が送信される(SEQ259〜SEQ267)。
【0146】
なお、図17の例では、上述したSEQ234の直前における搬送制御部51に対する印刷準備の指示に対する、搬送制御部51からの印刷準備が完了した旨の応答が、SEQ240の直後に、搬送制御部51からプリンタコントローラ14に対して通知されている。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、それぞれプロセス識別番号processID=1およびプロセス識別番号processID=2とした、印刷プロセス開始の2の制御情報を、上位装置10に対して送信する(SEQ241、SEQ243)。これにより、上位装置10に対して、1ページ目および2ページ目の印刷が可能となった旨が通知される。
【0147】
また、SEQ241の時点で、1ページ目の各色の印刷画像データのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dへの転送が完了している。そのため、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、1ページ目の印刷を行う印刷指示をそれぞれ通知する(SEQ242)。この印刷指示は、例えば各データ転送制御部30a、30b,30cおよび30dにおいて、メモリ31a,31b,31cおよび31dにそれぞれ格納されるなどにより保持される。この印刷指示に従った実際の印刷動作は、後続するページの印刷動作などとタイミングを合わせて実行される。
【0148】
さらに、図17の例では、プリンタコントローラ14において、SEQ241およびSEQ243の印刷プロセス開始の制御情報の送信により、2番目に転送が開始される色Cのプレーンの印刷画像データの上位装置10に対する要求が遅延している(SEQ244参照)。そして、この遅延に伴い、最初に転送が開始された色Yのプレーンの印刷画像データの転送が、色Kのプレーンの印刷画像データの転送が開始される前に完了してしまっている(SEQ253参照)。さらにまた、色Yのプレーンの印刷画像データの転送完了の通知処理(SEQ253)の後に、色Kのプレーンの印刷画像データの転送が開始されている(SEQ257、SEQ258)。
【0149】
図16に示す1ページ目のデータ転送処理では、各色の印刷画像データの転送が各色の順序で行われ、印刷画像データの転送が終了した後に、データ転送の終了処理が各色の順序で行われている。これに対して、図17に示す2ページ目のデータ転送処理では、各色の印刷画像データの転送が終了しないうちに、データ転送の終了処理が開始してしまっている。
【0150】
上述のように、各色Y、C、MおよびKのデータ転送を制御するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dがそれぞれ独立した構成とされ、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとそれぞれ独立して通信を行うことができ、また、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれ独立して処理を実行する。そのため、このように、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dによる一連の処理の途中に他の処理が割り込んできても、それぞれの処理を変更する必要が無い。
【0151】
SEQ267で、プリンタコントローラ14が上位装置10に対して色Kのプレーンの印刷画像データの転送が完了したことを通知すると、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して2ページ目の印刷を行う印刷指示をそれぞれ通知する(SEQ268)。
【0152】
説明は図18に移り、プリンタエンジン15においてSEQ242の印刷指示に従い1ページ目の印刷が実行され、印刷用紙201の給紙が開始される。プリンタエンジン15は、この1ページ目の給紙開始をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ269)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=1として、1ページ目の給紙が開始されたことを示す制御情報を送信する(SEQ270)。それと共に、プリンタコントローラ14は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、互いに同期して印刷を実行するよう、印刷指示を送信する。この印刷指示に従い、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、各メモリ31a、31b、31cおよび31dから各色Y、C、MおよびKの印刷画像データをそれぞれ読み出し、印刷用紙201に対する1ページ目の各プレーンの印刷を順次行う。
【0153】
同様に、プリンタエンジン15は、1ページ目の印刷が完了し、2ページ目の印刷に移行すると、2ページ目の給紙開始をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ271)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=2として、2ページ目の給紙が開始されたことを示す制御情報を送信する(SEQ272)と共に、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、互いに同期して印刷を実行するよう、印刷指示を送信する。この印刷指示に従い、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、各メモリ31a、31b、31cおよび31dから各色Y、C、MおよびKの印刷画像データをそれぞれ読み出し、印刷用紙201に対する2ページ目の各プレーンの印刷を順次行う。
【0154】
また、プリンタエンジン15は、1ページ目の各色の印刷が終了し印刷用紙201の1ページ目が排紙されると、その旨をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ273)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=1として、1ページ目の印刷用紙201が排紙されたことを示す制御情報を送信する(SEQ274)。同様に、プリンタエンジン15は、2ページ目の各色の印刷が終了し、印刷用紙201の2ページ目が排紙されると、その旨をプリンタコントローラ14に通知し(SEQ275)、プリンタコントローラ14は、この通知に応じてプロセス識別番号processID=2として2ページ目の印刷用紙201が排紙されたことを示す制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ276)。
【0155】
上位装置10は、プリンタコントローラ14から、例えばSEQ203で印刷条件の設定の制御情報に含まれる、印刷ページ数を示す情報に対応する排紙報告を受信したら、SEQ200で開始を通知したジョブによる印刷が終了したとして、ジョブ識別番号jobID=1としたジョブ終了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ277)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、ジョブ識別番号jobID=1として、応答の制御情報を上位装置10に送信する(SEQ278)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
【0156】
このように本実施形態によれば、色Y、C、M、及びKのデータ転送を制御するデータ転送制御部30a、30b、30c、及び30dがそれぞれ独立した構成とされている。それと共に、プリンタコントローラ14と各データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dとがエンジンI/F制御線40a、40b、40c、及び40dでそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14とデータ転送制御部30a、30b、30c、及び30dとの間の通信は、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dそれぞれで独立して行われる。また、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれ独立して処理を実行する。
【0157】
このため、上述の例えばSEQ237〜SEQ266のように、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dによる一連の処理の途中に他の処理が割り込んできても、それぞれの処理を変更する必要が無い。また、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dの処理が独立しているため、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dの追加や削除を容易に行うことができ、システム構成の様々なバリエーションを共通の構成で提供することができる。
【0158】
(第2実施形態)
前述したように、第2実施形態では、印刷装置に4台のプリンタエンジンが取り付けられている例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0159】
図19は、第2実施形態のプリンタ装置13の詳細構成の一例を示すブロック図である。図19に示すように、プリンタ装置13は、プリンタコントローラ14と、プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dと、搬送制御部51とを、備える。
【0160】
プリンタコントローラ14(制御部23)は、エンジンI/F制御線40a、40b、40c、及び40dそれぞれを介して、プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dの印刷動作の制御を行う。
【0161】
プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dは、それぞれ、データ線11a、11b、11c、及び11dが接続され、プリンタコントローラ14の制御に従い、それぞれ、データ線11a、11b、11c、及び11dを介して上位装置10から転送された各色の画像データによる印刷処理を行う。
【0162】
プリンタエンジン15aは、データ転送制御部30aと、出力制御部55aと、C色のヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aと、データ転送制御部30aと出力制御部55aとを接続するデータ線32aと、出力制御部55aとC色のヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aとを接続する複数のデータ線62a、63a、64a、及び65aとを、有する。但し、色とヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aとの関係は、この例に限られない。
【0163】
プリンタエンジン15bは、データ転送制御部30bと、出力制御部55bと、M色のヘッドモジュール57b、58b、59b、及び60bと、データ転送制御部30bと出力制御部55bとを接続するデータ線32bと、出力制御部55bとM色のヘッドモジュール57b、58b、59b、及び60bとを接続する複数のデータ線62b、63b、64b、及び65bとを、有する。但し、色とヘッドモジュール57b、58b、59b、及び60bとの関係は、この例に限られない。
【0164】
プリンタエンジン15cは、データ転送制御部30cと、出力制御部55cと、Y色のヘッドモジュール57c、58c、59c、及び60cと、データ転送制御部30cと出力制御部55cとを接続するデータ線32cと、出力制御部55cとY色のヘッドモジュール57c、58c、59c、及び60cとを接続する複数のデータ線62c、63c、64c、及び65cとを、有する。但し、色とヘッドモジュール57c、58c、59c、及び60cとの関係は、この例に限られない。
【0165】
プリンタエンジン15dは、データ転送制御部30dと、出力制御部55dと、K色のヘッドモジュール57d、58d、59d、及び60dと、データ転送制御部30dと出力制御部55dとを接続するデータ線32dと、出力制御部55dとK色のヘッドモジュール57d、58d、59d、及び60dとを接続する複数のデータ線62d、63d、64d、及び65dとを、有する。但し、色とヘッドモジュール57d、58d、59d、及び60dとの関係は、この例に限られない。
【0166】
第2実施形態のように、プリンタ装置13に4台のプリンタエンジンが取り付けられている例では、プリンタエンジンは、1つのデータ転送制御部と、4つのヘッドモジュールとを、有するものとする。また、1つのデータ転送制御部と4つのヘッドモジュールとが対応するものとする。但し、プリンタ装置13に4台のプリンタエンジンが取り付けられている場合のプリンタエンジンの構成はこれに限定されるものではない。なお、データ転送制御部及びヘッドモジュールは、プリンタエンジンに着脱可能であるものとする。
【0167】
なお、プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dは、共通の構成を適用することができるので、以下では、プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dを代表してプリンタエンジン15aについて説明する。
【0168】
ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aは、それぞれ、データ線62a、63a、64a、及び65aが接続され、インクを吐出する複数のヘッドを有する。ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aは、それぞれ、搬送制御部51から通知される吐出契機信号に従い、後述の出力制御部55aに吐出データの転送を要求し、転送された吐出データに基づいて吐出対象のヘッドにインクを吐出させる。なお、ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aそれぞれと搬送制御部51とは、図示せぬ制御線で接続されているものとする。
【0169】
図20は、第2実施形態のヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aと印刷対象の1ページ分の画像データ320との関係の一例を示す説明図であり、図21は、ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aのインク吐出タイミングの一例を示すタイミングチャート図である。なお、図20及び図21に示す内容は、第1実施形態同様、説明のために簡略化して示したものであり、これに限定されるものではない。また、図20及び図21の説明内容は、ヘッドモジュール57b、58b、59b、及び60b、ヘッドモジュール57c、58c、59c、及び60c、並びにヘッドモジュール57d、58d、59d、及び60dについても適用できるため、ここでは、これらのヘッドモジュールについての説明は省略する。
【0170】
図20に示す例では、ヘッドモジュール57aは、ヘッド302a、302b、302c、及び302dを有する。ヘッド302a、302b、302c、及び302dは、それぞれ、中央部に1穴のノズル312a、312b、312c、及び312dを有し、それぞれ、ノズル312a、312b、312c、及び312dからインクを1回吐出させることで、印刷用紙300に1画素を形成することができるものとする。ヘッドモジュール58a、59a、及び60aについても同様の構成であるものとする。つまり、ヘッドモジュール58aは、それぞれ中央部に1穴のノズルを有するヘッド303a、303b、303c、及び303dを有する。ヘッドモジュール59aは、それぞれ中央部に1穴のノズルを有するヘッド304a、304b、304c、及び304dを有する。ヘッドモジュール60aは、それぞれ中央部に1穴のノズルを有するヘッド305a、305b、305c、及び305dを有する。
【0171】
また、P1〜P8は、搬送制御部51により印刷用紙300が矢印a方向に搬送された場合のPの位置を示しており、この位置で、少なくともいずれかのヘッドによるインク吐出が行われる。
【0172】
図21に示すタイミングチャート図では、縦軸がヘッドを示し、横軸がPの位置を示しており、PがP1〜P8に位置した場合のヘッドそれぞれの吐出タイミングを矩形波で示している。
【0173】
具体的に説明すると、まず、PがP1に位置すると、ヘッド302a、302bは、それぞれ、4ラスタ目の画素#13、#15と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール57aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57aは、出力制御部55aに対して、1回目(P=P1)の吐出データであるヘッド302a及び302bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド302a及び302bにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#13、#15である。
【0174】
続いて、PがP2に位置すると、ヘッド302c、302dは、それぞれ、4ラスタ目の画素#14、#16と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール57aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57aは、出力制御部55aに対して、2回目(P=P2)の吐出データであるヘッド302c及び302dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド302c及び302dにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#14、#16である。
【0175】
続いて、PがP3に位置すると、ヘッド303a、303bは、それぞれ、3ラスタ目の画素#9、#11と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール58aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール58aは、出力制御部55aに対して、3回目(P=P3)の吐出データであるヘッド303a及び303bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド303a及び303bにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#9、#11である。
【0176】
続いて、PがP4に位置すると、ヘッド303c、303dは、それぞれ、3ラスタ目の画素#10、#12と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール58aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール58aは、出力制御部55aに対して、4回目(P=P4)の吐出データであるヘッド303c及び303dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド303c及び303dにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#10、#12である。
【0177】
続いて、PがP5に位置すると、ヘッド304a、304bは、それぞれ、2ラスタ目の画素#5、#7と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール59aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール59aは、出力制御部55aに対して、5回目(P=P5)の吐出データであるヘッド304a及び304bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド304a及び304bにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#5、#7である。
【0178】
続いて、PがP6に位置すると、ヘッド304c、304dは、それぞれ、2ラスタ目の画素#6、#8と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール59aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール59aは、出力制御部55aに対して、6回目(P=P6)の吐出データであるヘッド304c及び304dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド304c及び304dにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#6、#8である。
【0179】
続いて、PがP7に位置すると、ヘッド305a、305bは、それぞれ、1ラスタ目の画素#1、#3と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール60aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール60aは、出力制御部55aに対して、7回目(P=P7)の吐出データであるヘッド305a及び305bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド305a及び305bにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#1、#3である。
【0180】
続いて、PがP8に位置すると、ヘッド305c、305dは、それぞれ、1ラスタ目の画素#2、#4と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール60aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール60aは、出力制御部55aに対して、8回目(P=P8)の吐出データであるヘッド305c及び305dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド305c及び305dにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#2、#4である。
【0181】
出力制御部55aは、データ線32aが接続されるとともに、データ線62a、63a、64a、及び65aが接続され、バッファ56aを有する。出力制御部55aは、プリンタ装置13に取り付けられているプリンタエンジンの台数に基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、データ転送制御部30aに対して画像データの転送を要求する。そして出力制御部55aは、要求した画素順序で転送された画像データを当該画素順序でヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して印刷用紙にインクを吐出させる。
【0182】
具体的には、出力制御部55aは、データ転送制御部30aからメモリ格納報告が通知されると、プリンタエンジンの台数に基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、メモリ格納報告が通知されたデータ転送制御部30aに画像データの転送を要求し、要求した画素順序で転送された画素を順次バッファ56aに格納する。そして出力制御部55aは、ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aのうちの吐出対象のヘッドモジュールからの転送要求に従い、バッファ56aに格納した画像データをデータ転送制御部から転送された画素順序で吐出対象のヘッドモジュールに転送する。
【0183】
なお、出力制御部55aは、第1実施形態同様、FPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されており、FPGAの回路構成をプリンタエンジンの取り付け台数に応じた回路構成に切り替え可能となっている。つまり第2実施形態では、FPGAの回路構成は、プリンタエンジンの取り付け台数が4台である場合の回路構成となっている。
【0184】
この場合、出力制御部55aは、データ線32aと、C色のヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aとを、接続するように設定する。これにより、データ転送制御部30aと、ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aとが、対応する。またこの場合、出力制御部55aは、プリンタエンジンの取り付け台数が4台の場合のインク吐出順序として、1色につき4台のヘッドモジュールでインク吐出を行う場合のインク吐出順序が設定される。
【0185】
図22−1〜図22−8は、第2実施形態の画像データの転送順序の一例を示す説明図であり、図20及び図21で説明したインク吐出順序でヘッドモジュール57a、58a、59a、60aにインク吐出を行わせるための転送順序を示している。なお、図22−1〜図22−8に示す内容も、説明のために簡略化して示したものであり、これに限定されるものではない。ここでは、図22−1〜図22−8に示すように、メモリ31aには、画像データ320(図20参照)を構成する画素#1〜#16が格納されているものとする。また図22−1〜図22−8に示す例では、出力制御部55aは、プリンタエンジンの取り付け台数が4台の場合のインク吐出順序として、図21のタイミングチャート図で示したようなインク吐出順序が設定されているものとする。
【0186】
この場合、まず、出力制御部55aは、図22−1に示すように、PがP1に位置したタイミングでインクが吐出される画素#13、#15(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#13、#15をバッファ56aに格納する。
【0187】
続いて、出力制御部55aは、図22−2に示すように、PがP2に位置したタイミングでインクが吐出される画素#14、#16(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#14、#16をバッファ56aに格納する。
【0188】
続いて、出力制御部55aは、図22−3に示すように、PがP3に位置したタイミングでインクが吐出される画素#9、#11(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#9、#11をバッファ56aに格納する。
【0189】
続いて、出力制御部55aは、図22−4に示すように、PがP4に位置したタイミングでインクが吐出される画素#10、#12(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#10、#12をバッファ56aに格納する。
【0190】
続いて、出力制御部55aは、図22−5に示すように、PがP5に位置したタイミングでインクが吐出される画素#5、#7(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#5、#7をバッファ56aに格納する。
【0191】
続いて、出力制御部55aは、図22−6に示すように、PがP6に位置したタイミングでインクが吐出される画素#6、#8(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#6、#8をバッファ56aに格納する。
【0192】
続いて、出力制御部55aは、図22−7に示すように、PがP7に位置したタイミングでインクが吐出される画素#1、#3(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#1、#3をバッファ56aに格納する。
【0193】
続いて、出力制御部55aは、図22−8に示すように、PがP8に位置したタイミングでインクが吐出される画素#2、#4(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#2、#4をバッファ56aに格納する。
【0194】
このようにしてバッファ56aに格納された画像データがヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aそれぞれからの転送要求に応じて順次ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aに転送される。
【0195】
図23、図24は、第2実施形態における図14のSEQ119aの処理の詳細の一例を示すシーケンス図であり、図22−1〜図22−8で説明した画像データの転送順序、並びに図20及び図21で説明したインク吐出順序のシーケンス図である。なお、図23、図24において、符号G〜Iは、異なる図面間で対応する符号に処理が移行することを示す。
【0196】
まず、データ転送制御部30aは、上位装置10から色Cの1ページ目の画像データが転送され(SEQ300)、転送された色Cの1ページ目の画像データのメモリ31aへの格納が完了すると、出力制御部55aに対して色Cの1ページ目(ページ#1)のメモリ格納報告を通知する(SEQ311)。
【0197】
続いて、出力制御部55aは、データ転送制御部30aに対して、ヘッドモジュール57aの1回目(P=P1)の吐出データである画素#13、#15データの転送要求を行い(SEQ315)、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出され、転送された画素#13、#15データをバッファ56aに格納する(SEQ316)。そして、出力制御部55aは、バッファ56aに画素#13、#15データを格納すると、ヘッドモジュール57aに対して、1回目の吐出データのバッファ格納報告を通知する(SEQ317)。
【0198】
以下、出力制御部55aは、ヘッドモジュール57aの2回目(P=P2)の吐出データ、ヘッドモジュール58aの3〜4回目(P=P3〜4)の吐出データ、ヘッドモジュール59aの5〜6回目(P=P5〜6)の吐出データ、及びヘッドモジュール60aの7〜8回目(P=P7〜8)の吐出データについても、SEQ315〜SEQ317と同様の処理を繰り返す(SEQ318〜SEQ338)。
【0199】
続いて、図24に移り、ヘッドモジュール57aは、搬送制御部51による印刷用紙の搬送によりPがP1に位置し、搬送制御部51から最初の吐出契機信号が通知されると(SEQ339)、出力制御部55aに1回目の吐出データの転送要求を行う(SEQ340)。そしてヘッドモジュール57aは、出力制御部55aによりバッファ56aから読み出され、転送された1回目の吐出データを基に対応するヘッドにインクを吐出させる(SEQ341、SEQ342)。また、出力制御部55aは、ヘッドモジュール57aへの転送が完了すると、データ転送制御部30aに対して、画素#13、#15の吐出完了報告を通知する(SEQ343)。
【0200】
以下、ヘッドモジュール57a及び出力制御部55aは、ヘッドモジュール57aの2回目(P=P2)の吐出データについても、SEQ339〜SEQ343と同様の処理を繰り返す(SEQ344〜SEQ348)。
【0201】
同様に、ヘッドモジュール58a及び出力制御部55aは、ヘッドモジュール58aの3〜4回目(P=P3〜4)の吐出データについても、SEQ339〜SEQ343と同様の処理を繰り返す(SEQ349〜SEQ358)。
【0202】
同様に、ヘッドモジュール59a及び出力制御部55aは、ヘッドモジュール59aの5〜6回目(P=P5〜6)の吐出データについても、SEQ339〜SEQ343と同様の処理を繰り返す(SEQ359〜SEQ368)。
【0203】
同様に、ヘッドモジュール60a及び出力制御部55aは、ヘッドモジュール60aの7〜8回目(P=P7〜8)の吐出データについても、SEQ339〜SEQ343と同様の処理を繰り返す(SEQ369〜SEQ378)。
【0204】
上記第1、2実施形態のように、プリンタ装置13では、プリンタエンジンのデータ転送制御部とヘッドモジュールとの間に出力制御部を配置し、プリンタエンジンの取り付け台数に応じた画像データの並べ替えパターンを出力制御部で管理する。この画像データの並べ替えパターンは、プリンタエンジンの取り付け台数に応じて定まるインク吐出順、詳細には、プリンタエンジンの取り付け台数で定まる1色当たりのヘッドモジュールの数に応じて定まるインク吐出順に合わせて、出力制御部で切り替え可能となっている。そして、出力制御部は、データ転送制御部で画像データを吐出順に並び替えて転送するのではなく、出力制御部が吐出部分の画素データをデータ転送制御部に要求し、データ転送制御部は要求された画像データをメモリから読み出し、出力制御部へ転送する。従って、第1、2実施形態によれば、データ転送制御部は、画像データの並べ替えに関与しないため、プリンタエンジンの取り付け台数が異なっても作り変える必要がない。また、画像データの並べ替えパターンは、1色当たりのヘッドモジュールの数に応じて出力制御部で切り替えることができるため、出力制御部もプリンタエンジンの取り付け台数が異なっても作り変える必要がない。このように第1、2実施形態によれば、データ転送制御部を作り変える必要がないため、スケーラビリティに優れたプリンタエンジンを提供でき、これによりスケーラビリティに優れたプリンタ装置を提供できる。
【0205】
(第3実施形態)
第1実施形態、第2実施形態では、画像データの並べ替えパターンの元となるインク吐出順は、プリンタエンジンの取り付け台数に応じて予め定められ、すなわち、プリンタエンジンの取り付け台数で定まる1色当たりのヘッドモジュールの数に応じて予め定められていた。この第3実施形態では、プリンタエンジンの取り付け台数以外の要素、例えばヘッドモジュールの仕様によりインク吐出順が定まり、かつ、出力制御部でインク吐出順に応じて画像データの並べ替えを行うものである。
【0206】
第3実施形態の印刷システムの基本構成は、図1〜8で説明した第1実施形態と同様である。従って、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、印刷装置に1台のプリンタエンジンが取り付けられている例である。
【0207】
第3実施形態では、転送管理テーブルを用いている。この転送管理テーブルは、データ転送制御部30a〜30dによるデータ転送処理や、画像出力部50における印刷処理を管理するために用いられる。プリンタコントローラ14において、制御部23は、上位装置10から送信された印刷ジョブ、用紙情報、ならびに、図13を用いて説明した(3)印刷条件を示す情報などに基づきこの転送管理テーブルを作成して保持する。具体的には、CPU321が転送管理テーブルを作成して、RAM323に記憶する。
【0208】
また、制御部23は、各データ転送制御部30a〜30dに対してデータ転送の開始要求や印刷指示などを行う際に、転送管理テーブルの情報のうち必要な情報を、各データ転送制御部30a〜30dに保持させる。例えば、制御部23は、当該情報を制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40a〜40dを介して各データ転送制御部30a〜30dに対して送信し、これら各データ転送制御部30a〜30dが有するレジスタなどの記憶手段に書き込む。
【0209】
データ転送制御部30aを例にとって、より具体的な例を説明する。制御部23は、転送管理テーブルの情報のうち必要な情報を、制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部30aに送信し、データ転送制御部30aにおけるロジック回路32a(データ転送制御部コントローラ135a)が有するレジスタに書き込む。
【0210】
各データ転送制御部30a〜30dは、このレジスタに書き込まれた転送管理テーブルの情報に従い、上位装置10に対する印刷画像データの転送要求や、画像出力部50に対する印刷指示を出す。なお、転送管理テーブルには、ページを識別するページ識別子が含まれ、各データ転送制御部30a〜30dは、このページ識別子に基づき転送管理テーブルの情報を選択し、データ転送および印刷処理を実行する。
【0211】
図25は、第3実施形態に適用される転送管理テーブルの一例を示す。転送管理テーブルは、C、M、Y、K各色に共通の情報と、各色毎の情報とを含む。また、各色共通の情報および各色毎の情報は、それぞれ、上位装置10からの印刷画像データの転送のために用いるデータ転送用の情報と、画像出力部50に対する印刷指示に関する情報である印刷用の情報とを含む。なお、転送管理テーブルに含まれる各情報は、テーブル形式で管理されるのに限られず、他のデータ管理形式で管理されるようにしてもよい。
【0212】
第3実施形態による各色共通の情報について説明する。図25に例示されるように、第3実施形態による転送管理テーブルでは、各色に共通の情報は、ページ識別子PBIDおよび1ページ当たりのデータ数を含むと共に、印刷用の情報として、解像度、階調、用紙送り長、用紙幅および印刷面を含む。また、各色で転送される印刷画像データのサイズが異なるため、各色に共通の情報は、データ転送用の情報を含まない。
【0213】
第3実施形態による各色毎の情報について説明する。各色毎の情報において、Color識別子が含まれると共に、データ転送用の情報と、印刷用の情報とが含まれる。第3実施形態に適用される各色毎の情報におけるデータ転送用の情報は、データ転送要否、データ転送元アドレス、データ転送先アドレスおよびデータ転送サイズを含む。
【0214】
第3実施形態に適用される各色毎の情報における印刷用の情報は、印刷要否、印刷不可領域(上、下、左および右)、ならびに、画像情報を含む。
【0215】
また、画像情報は、X方向有効サイズおよびY方向有効サイズを含む。
【0216】
図26は、第3実施形態において転送管理テーブルを用いたデータ転送制御部30aと制御部23間の通信例を示すシーケンス図である。図26では、図14のSEQ114以降について、転送管理テーブル及びデータの流れに着目して示している。なお、ここでは1色に限定する。
【0217】
まず、プリンタコントローラ14は、データ転送制御部30aに対してページ#1印刷開始指示を通知する(SEQ2630)。ページ#1印刷開始指示を受信したデータ転送制御部30aは、同様に出力制御部55にページ#1印刷開始指示を通知する(SEQ2631)。さらに、データ転送制御部30aは、メモリ31aからページ#1の転送管理テーブルを読み出し(SEQ2632)、読み出したページ#1の転送管理テーブルを出力制御部55に転送する(SEQ2633)。ここで、出力制御部55は、印刷する順にデータ転送制御部30aから印刷ページの転送管理テーブルを転送されるので、出力制御部55で転送管理テーブル全てを管理する必要がなく、制御の負荷を軽減することができる。
【0218】
そして、出力制御部55は、ヘッド形状等により予め規定されているインク吐出順序に基づき、データ転送制御部31aに対して、利用するデータ順にページ#1ラスタデータ転送要求を行う(SEQ2634)。転送要求を受信したデータ転送制御部30aは、要求されたラスタデータをメモリ31aから読み出し(SEQ2635)、読み出したラスタデータを出力制御部55に転送する(SEQ2636)。
【0219】
ラスタデータを受信した出力制御部55は、ラスタデータをインク吐出順序に並び替え、ヘッドモジュール57に順次転送する。SEQ2634からSEQ2636までの処理は、次のラスタデータに関しても同様に実行される(SEQ2637〜2639)。全てのラスタデータの転送を終了すると、出力制御部55は、データ転送制御部30aに対してページ#1印刷終了報告を行い(SEQ2640)、データ転送制御部30aはプリンタコントローラ14に対して同様にページ#1印刷終了報告を行う(SEQ2641)。
【0220】
次に、本実施形態のヘッドモジュールの構造について説明する。図27は、第3実施形態のヘッドモジュール57の具体的な構造例を示す図である。図27において、白抜き矢印は、用紙の搬送方向、すなわち副走査方向を示し、黒矢印は主走査方向を示す。なお、他のヘッドモジュールについても図26と同様の構造となっている。
【0221】
各ヘッドモジュール57,58,59,60には、ヘッド350及びヘッド351のように、複数のヘッドが千鳥状に配置されている。各ヘッド350,351は、ノズル列352〜355のように、4列のノズル列を備えている。そして、主走査方向に同位置に配置されたノズル列は同時に吐出を行う。
【0222】
また、例えば、ヘッド350のノズル列352とヘッド351のノズル列356のように、ヘッド内の同位置に存在するノズル列が、同一直線を印刷形成する。このため、ヘッドモジュール57,58,59,60において、ノズル列352と主走査方向に同位置に存在するノズル列で印刷後、用紙搬送のタイミングを合わせて、ノズル列356と主走査方向に同位置に存在するノズル列で印刷することで、1ラスタを形成できる。
【0223】
出力制御部55では、用紙搬送速度やノズル列の間隔に基づいて各ノズル列の吐出の順序が特定されるため、ヘッドモジュール57,58,59,60の仕様が異なれば、吐出順序も変化する。
【0224】
図28−1〜28−8は、図27に示したヘッドモジュール57を使用して、各ノズル列が印刷用紙385にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。図28−1〜28−8では、16ラスタの画像データを印刷する例を示している。
【0225】
なお、ノズル列の吐出順序に関しては、各ヘッドのノズル列が、左からN、N+2、N+1、N+3ラスタ目を吐出するものと仮定する(N=1,5,9,13)。図28−1〜28−8において、白抜き矢印は用紙の搬送方向(すなわち、副走査方向)を示し、黒矢印は主走査方向を示す。
【0226】
図28−1に示すタイミングでは、ノズル列373やノズル列377と主走査方向に同位置にあるノズル列は、1ラスタ目を吐出する。ただし、千鳥状のヘッド配置により、この時点では未印刷の箇所も存在する。
【0227】
図28−2に示すタイミングでは、ノズル列374やノズル列378と主走査方向に同位置にあるノズル列は、1ラスタ目がノズル列の下を通過後、3ラスタ目の位置にインクを吐出する。
【0228】
なお、ノズル列の間隔によっては、ノズル列373やノズル列377と主走査方向に同位置にあるノズル列は、先に5ラスタ目以降の吐出を順次行うことも可能である。ただし、図28−2のタイミングでは、吐出地点に未到達と仮定する。
【0229】
図28−3に示すタイミングでは、ノズル列375やノズル列379と主走査方向に同位置にあるノズル列は、2ラスタ目を吐出する。また、図28−3のタイミングまでに、ノズル列373やノズル列377と主走査方向に同位置にあるノズル列は5ラスタ目及び9ラスタ目を吐出し、ノズル列374やノズル列378と主走査方向に同位置にあるノズル列は7ラスタ目を吐出する。
【0230】
図28−4に示すタイミングでは、ノズル列376やノズル列380と主走査方向に同位置にあるノズル列は、4ラスタ目を吐出する。また、図28−4のタイミングまでに、ノズル列373やノズル列377と主走査方向に同位置にあるノズル列は13ラスタ目を吐出し、ノズル列374やノズル列378と主走査方向に同位置にあるノズル列は11ラスタ目を吐出する。
【0231】
図28−5に示すタイミングでは、ノズル列381と主走査方向に同位置にあるノズル列は、1ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。この時点で、1ラスタ目は完全に印刷される。また、図28−5のタイミングまでに、ノズル列374やノズル列378と主走査方向に同位置にあるノズル列は15ラスタ目を吐出し、ノズル列375やノズル列379と主走査方向に同位置にあるノズル列は6ラスタ目を吐出する。
【0232】
図28−6に示すタイミングでは、ノズル列382と主走査方向に同位置にあるノズル列は、3ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。この時点で、3ラスタ目は完全に印刷される。また、図28−6のタイミングまでに、ノズル列376やノズル列380と主走査方向に同位置にあるノズル列は8ラスタ目を吐出する。
【0233】
図28−7に示すタイミングでは、ノズル列383と主走査方向に同位置にあるノズル列は、2ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。この時点で、2ラスタ目は完全に印刷される。また、図28−7のタイミングまでに、ノズル列375やノズル列379と主走査方向に同位置にあるノズル列は10ラスタ目と14ラスタ目を吐出し、ノズル列376やノズル列380と主走査方向に同位置にあるノズル列は12ラスタ目と16ラスタ目を吐出する。
【0234】
同様に、ノズル列381と主走査方向に同位置にあるノズル列は、5ラスタ目と9ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出し、ノズル列382と主走査方向に同位置にあるノズル列は、11ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。このため、5、9、11ラスタ目も完全に印刷される。
【0235】
図28−8に示すタイミングでは、ノズル列384と主走査方向に同位置にあるノズル列は、4ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。この時点で、4ラスタ目は完全に印刷される。また、図28−8のタイミングまでに、ノズル列381と主走査方向に同位置にあるノズル列は、13ラスタ目の未印刷の箇所に、ノズル列382と主走査方向に同位置にあるノズル列は、11ラスタ目の未印刷の箇所に吐出する。ゆえに、11、13ラスタ目も完全に印刷される。
【0236】
その後、ノズル列384と主走査方向に同位置にあるノズル列が、16ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出すると、16ラスタ目は完全に印刷され、所望の画像が形成される。
【0237】
次に、上記のようなインク吐出を行うため、出力制御部55がデータ転送制御部30aからラスタデータを受信してから、白データの挿入、データの並び替え、ヘッドモジュール57への吐出データ転送までの処理について説明する。図29は、出力制御部55がデータ転送制御部30aからラスタデータを受信してから、白データの挿入、データの並び替え、ヘッドモジュール57への吐出データ転送までの制御処理の手順を示すフローチャートである。図29では、出力制御部55がデータ転送制御部30aからラスタデータを受信した場合を例にあげて説明しているが、他のデータ転送制御部30b、30c、30dからラスタデータを受信した場合も同様である。
【0238】
出力制御部55は、データ転送制御部30aに対して、予めヘッド形状に合わせて定められている吐出順序ごとにラスタデータを転送要求し、データ転送制御部30aから該当データを受信する(ステップS2901)。
【0239】
次に、出力制御部55は、受信したラスタデータのX方向サイズの確認と白データの挿入を行う。すなわち、出力制御部55は、転送管理テーブルを参照して、転送管理テーブル登録されているラスタデータのX方向有効サイズがX方向印刷可能領域より小さいか否かを判定する(ステップS2902)。ここで、X方向印刷可能領域は、「用紙幅−[印刷不可領域(左)+印刷不可領域(右)]」であり、用紙幅、印刷不可領域(左),印刷不可領域(右)はいずれも転送管理テーブルに登録されているので、出力制御部55は、これを参照して取得する。
【0240】
そして、ラスタデータのX方向有効サイズがX方向印刷可能領域より小さい場合には(ステップS2902:Yes)、出力制御部55は、空き領域に白データを挿入してバウンダリ調整を実施する(ステップS2903)。
【0241】
ヘッドが千鳥状に配置されているヘッドモジュール57では、バウンダリ調整されたラスタデータ1列を一度に吐出することができないため、出力制御部55は、ラスタデータをヘッド配列に合わせて分割し、吐出タイミングごとに並び替える(ステップS2904)。
【0242】
そして、搬送制御部51から送出される吐出契機信号を契機として、ヘッドモジュール57は吐出データ転送要求を出力制御部55に転送し、出力制御部55は、吐出データ転送要求に応じて、並び替えたデータをヘッドモジュール57に転送し、印刷が実行される。
【0243】
ただし、吐出契機信号は、用紙搬送に同期して1ラスタ間隔で出力されるが、ヘッド間やノズル列間に特定の距離がある以上、1ラスタ間隔で吐出するデータが存在するとは限らない。そこで、出力制御部55は、ヘッドモジュール57からの吐出データ転送要求のタイミングに対応する吐出データが存在するか否かを判定する(ステップS2905)。
【0244】
そして、対応する吐出データが存在する場合には(ステップS2905:Yes)、出力制御部55はデータを転送する(ステップS2906)。一方、対応する吐出データが存在しない場合には(ステップS2907:No)、出力制御部55は吐出なしを意味する白データを転送する(ステップS2907)。
【0245】
このように本実施形態では、出力制御部55がヘッドモジュールの仕様により定まるインク吐出順に応じて画像データの並べ替えを行っているので、スケーラビリティに優れたプリンタエンジンを提供でき、これによりスケーラビリティに優れたプリンタ装置を提供できる。
【0246】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0247】
10 上位装置
11,11a,11b,11c,11d データ線
12 制御線
13 プリンタ装置
14 プリンタコントローラ
15 プリンタエンジン
20 制御情報送受信部
21 制御信号送受信部
22 用紙搬送制御部
30a,30b,30c,30d データ転送制御部
31a,31b,31c,31d メモリ
40a,40b,40c,40d エンジンI/F制御線
41 搬送制御線
50 画像出力部
51 搬送制御部
55 出力制御部
56、56a、56b、56c、56d バッファ
57、57a、57b、57c、57d、58、58a、58b、58c、58d、59、59a、59b、59c、59d、60、60a、60b、60c、60d ヘッドモジュール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0248】
【特許文献1】特開2008−183884号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式の印刷装置において、印刷制御を高速化する目的で、ヘッドのインク吐出順序に合わせて画像データを画素単位で並び替える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年の印刷システムでは、画像データを印刷する印刷装置と分離して、画像データを生成する上位装置を設けることにより、画像データの生成時間を短縮し、印刷を高速化するものがある。このような印刷システムの印刷装置では、プリンタエンジンの取り付け台数を変更できるものがあるが、プリンタエンジンの取り付け台数を変更した場合、インク吐出対象のヘッドが変化し、インク吐出順序も変化する。
【0004】
このため、このような印刷装置に、特許文献1に開示されたような技術を適用した場合、プリンタエンジンの取り付け台数に応じてプリンタエンジンを作り変える必要がある。つまり、プリンタエンジンの取り付け台数毎に、当該取り付け台数に応じたインク吐出順序に合わせて画像データの並び替えを行うプリンタエンジンを用意しなければならず、スケーラビリティに欠けてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スケーラビリティに優れた印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる印刷装置は、前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、前記1以上のエンジンは、インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールと、上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理する1以上のデータ転送制御部と、前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる印刷方法は、印刷装置で実行される印刷方法であって、前記印刷装置は、前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、前記1以上のエンジンは、インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールを備え、1以上のデータ転送制御部が、上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理するデータ転送制御ステップと、出力制御部が、前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スケーラビリティに優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1実施形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、上位装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、上位装置の機能を示す一例の機能ブロック図である。
【図4】図4は、プリンタ装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、プリンタコントローラの一例の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、データ転送制御部の一例の構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】図7は、データ転送制御部の一例の構成をより詳細に示すブロック図である。
【図8】図8は、画像出力部の一例の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、第1実施形態のヘッドモジュールと印刷対象の1ページ分の画像データとの関係の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、第1実施形態のヘッドモジュールのインク吐出タイミング例を示すタイミングチャート図である。
【図11−1】図11−1は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−2】図11−2は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−3】図11−3は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−4】図11−4は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−5】図11−5は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図11−6】図11−6は、第1実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図12】図12は、第1実施形態に適用可能な用紙の搬送系を含めたプリンタ装置の一例の構造を概略的に示す略線図である。
【図13】図13は、上位装置とプリンタ装置のプリンタコントローラとの間で送受信される制御情報の一例を示す略線図である。
【図14】図14は、第1実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。
【図15】図15は、第1実施形態におけるSEQ119aの処理の詳細例を示すシーケンス図である。
【図16】図16は、第1実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図17】図17は、第1実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図18】図18は、第1実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図19】図19は、第2実施形態のプリンタ装置の詳細構成例を示すブロック図である。
【図20】図20は、第2実施形態のヘッドモジュールと印刷対象の1ページ分の画像データとの関係の一例を示す説明図である。
【図21】図21は、第2実施形態のヘッドモジュールのインク吐出タイミング例を示すタイミングチャート図である。
【図22−1】図22−1は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−2】図22−2は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−3】図22−3は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−4】図22−4は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−5】図22−5は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−6】図22−6は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−7】図22−7は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図22−8】図22−8は、第2実施形態の画像データの転送順序例を示す説明図である。
【図23】図23は、第2実施形態における図14のSEQ119aの処理の詳細例を示すシーケンス図である。
【図24】図24は、第2実施形態における図14のSEQ119aの処理の詳細例を示すシーケンス図である。
【図25】図25は、第3実施形態に適用される転送管理テーブルの一例を示す図である。
【図26】図26は、第3実施形態において転送管理テーブルを用いたデータ転送制御部と制御部間の通信例を示すシーケンス図である。
【図27】図27は、第3実施形態のヘッドモジュールの具体的な構造例を示す図である。
【図28−1】図28−1は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−2】図28−2は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−3】図28−3は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−4】図28−4は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−5】図28−5は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−6】図28−6は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−7】図28−7は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図28−8】図28−8は、各ノズル列が印刷用紙にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。
【図29】図29は、第3実施形態の出力制御部による制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる印刷装置及び印刷方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施形態の印刷装置は、インクジェット方式により印刷用紙に対して画像を形成するものとする。
【0011】
また、以下の各実施形態の印刷装置では、プリンタエンジンの着脱が可能となっており、印刷装置に取り付けられたプリンタエンジンは、インク吐出順序に合わせて画像データを画素単位で並び替える。ここで、インク吐出順序は、プリンタエンジンの取り付け台数に応じて異なるため、以下の各実施形態のプリンタエンジンは、その取り付け台数に応じたインク吐出順序に合わせて、画素単位での画像データの並び替えパターンを切り替える。
【0012】
このため、以下の各実施形態では、プリンタエンジンの取り付け台数に応じてプリンタエンジンを作り変える必要がない。例えば、取り付け台数1台用のインク吐出順序に合わせた画像データの並び替えを行うプリンタエンジン、及び取り付け台数4台用のインク吐出順序に合わせた画像データの並び替えを行うプリンタエンジンを用意するなど、プリンタエンジンの取り付け台数毎に、当該取り付け台数に応じたインク吐出順序に合わせた画像データの並び替えを行うプリンタエンジンを用意する必要がない。従って、以下の各実施形態によれば、スケーラビリティに優れた印刷装置を提供できる。
【0013】
以下では、第1、3実施形態で、印刷装置に1台のプリンタエンジンが取り付けられている例を説明し、第2実施形態で、印刷装置に4台のプリンタエンジンが取り付けられている例を説明するが、プリンタエンジンの取り付け台数はこれに限定されるものではない。
【0014】
先ず、理解を容易とするために、各実施形態による印刷システムが適用されるプロダクションプリンティングについて、概略的に説明する。プロダクションプリンティングでは、短時間に大量の印刷を行うことを基本的な考え方としている。そのために、プロダクションプリンティングでは、印刷の高速化を図ると共に、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うために、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。
【0015】
各実施の形態による印刷システムは、プロダクションプリンティングのワークフローにおける、印刷を実行する部分に関わるもので、RIP(Raster Image Processor)処理と、RIP処理により得られたビットマップデータの印刷とを別の装置で行う。RIP処理は、印刷処理の中でも最も処理時間を要し、RIP処理を行う装置と、印刷処理を行う装置とを分離することで、印刷の高速化が可能となる。
【0016】
(第1実施形態)
前述したように、第1実施形態では、印刷装置に1台のプリンタエンジンが取り付けられている例について説明する。
【0017】
(印刷システムの概要)
図1は、本実施形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示す。この印刷システムは、上位装置10と、画像形成装置としてのプリンタ装置13とが、複数のデータ線11と、制御線12とで接続されて構成される。ホスト装置5は、例えばコンピュータであって、印刷画像データと、印刷設定情報とを含む印刷ジョブデータを生成する。
【0018】
印刷ジョブデータは、例えばページ記述言語(PDL)によるデータ(以下、PDLデータと呼ぶ)を含む。このPDLデータを解釈することで、印刷を行うビットマップイメージからなる印刷画像データと、印刷の際のページ情報、レイアウト情報、印刷部数を示す情報など、印刷の設定に関わる印刷設定情報とが生成される。
【0019】
上位装置10は、ホスト装置5から供給される印刷ジョブデータに従ってRIP処理を行い、印刷画像データである各色毎のビットマップデータを作成する。それと共に、上位装置10は、当該印刷ジョブデータやホスト装置5からの情報などに基づき、印刷動作を制御するための制御情報を作成する。
【0020】
上位装置10で作成された各色毎の印刷画像データは、複数のデータ線11をそれぞれ介してプリンタ装置13の図示されないプリンタエンジン部に供給される。また、上位装置10とプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して、印刷を制御するための制御情報の送受信が行われる。プリンタコントローラ14は、この制御情報の送受信に基づきプリンタエンジン部を制御して印刷媒体に対する画像形成を行い、印刷ジョブに従った印刷を実行する。なお、この制御情報の具体的な例については、図16〜図18を用いて後述する。
【0021】
印刷方式は特に限定されないが、各実施形態では、印刷媒体として印刷用紙を用い、インクジェット方式により印刷用紙に対して印刷画像を形成する。これに限らず、各実施形態を、トナーを用いて印刷用紙に対して印刷画像を形成する印刷装置にも適用可能である。また、印刷用紙は、切断可能なミシン目が所定間隔で打たれた連続紙である連帳紙(連続帳票)を用いるものとする。プロダクションプリンティングでは、印刷用紙としてこの連帳紙を用いることが多い。勿論、これに限らず、A4サイズ、B4サイズなど、サイズが固定的とされたカット紙を印刷用紙として用いてもよい。なお、連帳紙において、ページは、例えば所定間隔で打たれたミシン目で挟まれる領域をいうものとする。
【0022】
なお、各実施形態による印刷システムが印刷対象とする印刷媒体は、紙の印刷用紙に限定されない。すなわち、各実施形態に適用される印刷方式により印刷が可能で、且つ、ロールとして提供可能な印刷媒体であれば、他の印刷媒体を用いてもよい。例えば、プラスチックフィルムや布などを印刷媒体として用いてもよい。
【0023】
(上位装置)
図2は、上位装置10の一例の構成を示す。バス100に対してCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ハードディスクドライブ(HDD)104が接続される。バス100に対して、さらに、外部I/F110、制御情報用I/F111および印刷画像データ用I/F112が接続される。バス100に接続されたこれら各部は、バス100を介して互いに通信可能とされている。
【0024】
ROM102およびHDD104は、CPU101が動作するためのプログラムが予め格納される。RAM103は、CPU101のワークメモリとして用いられる。すなわち、CPU101は、ROM102およびHDD104に格納されるプログラムに従い、RAM103をワークメモリとして用いて、この上位装置10の全体の動作を制御する。
【0025】
外部I/F110は、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に対応し、ホスト装置5との通信を制御する。制御情報用I/F111は、制御情報の通信を制御する。また、印刷画像データ用I/F112は、印刷画像データの通信を制御するもので、複数のチャネルを有する。例えば、上位装置10において作成された、色Y(Yellow)、C(Cyan)、M(Magenta)およびK(Black)による各色の印刷画像データは、これら複数のチャネルからそれぞれ出力される。印刷画像データ用I/F112は、高速な転送速度が要求されるため、例えばPCI Express(Peripheral Component Interconnect Bus Express)が用いられる。制御情報用I/F111の方式は特に限定されないが、ここでは、印刷画像データ用I/F112と同様に、PCI Expressを用いるものとする。
【0026】
このような構成において、ホスト装置5から送信された印刷ジョブデータが、上位装置10の外部I/F110に受信され、CPU101を介してHDD104に格納される。CPU101は、HDD104から読み出した印刷ジョブデータに基づきRIP処理を行い、各色のビットマップデータを生成してRAM103にそれぞれ書き出す。例えば、CPU101は、RIP処理によりPDL(Page Description Language)データをレンダリングして各色のビットマップデータを生成してRAM103に書き出す。CPU101は、RAM103に書き出された各色のビットマップデータを圧縮符号化してHDD104に一旦格納する。
【0027】
CPU101は、例えばプリンタ装置13において印刷動作が開始される際に、HDD104から圧縮符号化された各色のビットマップデータを読み出して圧縮符号を復号し、伸張された各色のビットマップデータをRAM103にそれぞれ書き込む。そして、CPU101は、RAM103からこれら各色のビットマップデータを読み出して、各色の印刷画像データとして印刷画像データ用I/F112の各チャネルからそれぞれ出力させ、プリンタ装置13に対して供給する。また、CPU101は、印刷動作の進行などに応じて、印刷を制御するための制御情報の送受信を、プリンタ装置13との間で制御情報用I/F111を介して行う。
【0028】
図3は、上位装置10の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。上位装置10は、インターフェイス(I/F)120、123および125、RIP部121、記憶部122、ならびに、制御部124を含む。インターフェイス120、123および125は、それぞれ図2における外部I/F110、印刷画像データ用I/F112および制御情報用I/F111に対応する。RIP部121および制御部124は、図2におけるCPU101上で動作するプログラムにより構成される。また、記憶部122は、図2におけるRAM103またはHDD104のうち少なくとも一方に対応する。
【0029】
ホスト装置5でPDLデータを含む印刷ジョブデータが作成され、上位装置10に対して送信される。この印刷ジョブデータは、インターフェイス120に受信されてRIP部121に供給される。RIP部121は、供給された印刷ジョブデータに含まれるPDLデータに基づきレンダリングを行い、Y、C、M、K各色のビットマップデータによる印刷画像データを生成する。RIP部121は、生成したY、C、M、K各色の印刷画像データを、記憶部122に順次格納する。
【0030】
制御部124は、インターフェイス125を介してプリンタ装置13のプリンタコントローラ14と通信を行う。例えば、制御部124は、ホスト装置5からインターフェイス120を介して供給された印刷ジョブデータに基づき、プリンタ装置13における印刷を制御するための制御情報を生成する。この制御情報は、制御部124からインターフェイス125を介してプリンタコントローラ14に送信される。
【0031】
インターフェイス123は、記憶部122に記憶されるY、C、M、K各色の印刷画像データにそれぞれ独立してアクセスできるようになっている。また、インターフェイス123は、Y、C、M、K各色に対応する複数のデータ線11を介してプリンタ装置13に接続され、この複数のデータ線11を介して、プリンタ装置13との間でY、C、M、K各色の印刷画像データ転送に関する制御情報のやりとりや、Y、C、M、K各色の印刷画像データの転送を行う。
【0032】
(プリンタ装置)
図4は、プリンタ装置13の一例の構成を示す。プリンタ装置13は、プリンタコントローラ14およびプリンタエンジン15を有する。プリンタコントローラ14は、制御線12が接続され、上位装置10との間で制御線12を介して制御情報の送受信を行って印刷動作の制御を行う。プリンタエンジン15は、複数のデータ線11a、11b、11cおよび11dがそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14の制御に従い、これらデータ線11a、11b、11cおよび11dをそれぞれ介して上位装置10から転送された各色の印刷画像データによる印刷処理を行う。
【0033】
プリンタコントローラ14およびプリンタエンジン15について、より詳細に説明する。プリンタコントローラ14は、制御情報送受信部20、制御信号送受信部21、用紙搬送制御部22および制御部23を有する。
【0034】
制御情報送受信部20は、上位装置10との間で、印刷を制御するための制御情報の送受信を制御線12を介して行う。制御信号送受信部21は、後述するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのそれぞれと、エンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dにより接続される。制御信号送受信部21は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間で、それぞれ個別に制御信号の送受信を行う。用紙搬送制御部22は、後述する搬送制御部51と搬送制御線41により接続され、搬送制御部51との間で用紙搬送を制御するための制御信号の送受信を行う。
【0035】
制御部23は、例えばCPU、ROMおよびRAMを有し、ROMに予め記憶されるプログラムに従い、RAMをワークメモリとして用いてプリンタコントローラ14の各部の制御を行う。また、制御部23は、上位装置10から送信され制御情報送受信部20により受信された制御情報を解釈して、制御信号送受信部21や用紙搬送制御部22に渡す。
【0036】
なお、制御情報送受信部20、制御信号送受信部21および用紙搬送制御部22は、制御部23に制御されるハードウェアとして構成してもよいし、制御部23上で動作されるプログラムのモジュールとして構成してもよい。
【0037】
図5は、プリンタコントローラ14の一例のハードウェア構成を示す。プリンタコントローラ14は、CPU321、インターフェイス(I/F)322、RAM323およびROM324を有し、これらCPU321、インターフェイス322、RAM323およびROM324が互いに通信可能にバス325に接続される。バス325には、図示されない通信I/Fを介して制御線12も接続される。CPU321は、ROM324に格納されるプログラムに従いRAM323をワークメモリとして用いて動作し、プリンタ装置13の全体の動作を制御する。インターフェイス322には、ハードウェア的に構成されたロジック回路が含まれ、プリンタコントローラ14と、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30d、ならびに、搬送制御部51との通信を制御する。
【0038】
このような構成において、例えば、図4における制御信号送受信部21および用紙搬送制御部22の機能は、I/F322により実現される。制御部23の機能は、CPU321上で動作するプログラムにより実現される。また、制御情報送受信部20の機能は、図示されない通信I/Fおよびバス325により実現される。
【0039】
図4の説明に戻り、プリンタエンジン15は、同一の構成による複数のデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを有すると共に、印刷画像データに基づく画像を用紙に出力し画像形成を行う画像出力部50と、印刷用紙の搬送を制御する搬送制御部51とを有する。
【0040】
データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれデータ線11a、11b、11cおよび11dが接続される。また、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dを含み、上位装置10から、データ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送された各色の印刷画像データを、ヘッド仕様に合わせて多値又は2値データに変換し、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dに格納する。データ線11a、11b、11c、及び11dは、それぞれ、色Y、C、M及びKに対応する。但し、データ線11a、11b、11c、及び11dと各色との関係は、この例に限られない。
【0041】
そして、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれメモリ31a、31b、31c、及び31dに格納した画像データを画素単位で管理し、メモリ格納報告を、それぞれデータ線33a、33b、33c、及び33dを介して画像出力部50の出力制御部55(後述。図8参照)に通知する。またデータ転送制御部30a、30b、30c、及び30dのそれぞれは、出力制御部55からインク吐出順序に合わせた画素順序で画像データの転送が要求されると、要求された画素順序で画像データを出力制御部55に転送する。なお、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dのそれぞれは、画像データの転送後に、メモリ31a、31b、31c、及び31dに格納している画像データを消去してもよい。また、消去のタイミングは、1ドット転送後、1吐出分転送後、1ラスタ転送後など、いずれであってもよい。
【0042】
これらメモリ31a、31b、31cおよび31dは、例えば同一のメモリ容量と、アドレス構成とを有する。また、メモリ31a、31b、31cおよび31dのそれぞれは、好ましくは少なくとも3ページ分の印刷画像データを格納可能な容量を有する。3ページ分の印刷画像データは、例えば、上位装置10から転送中のページの印刷画像データと、現在出力中のページの印刷画像データと、次のページの印刷画像データとに対応する。これに限らず、メモリ31a、31b、31cおよび31dのそれぞれは、2ページ分以下の印刷画像データを格納可能であってもよい。
【0043】
さらに、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dにより制御信号送受信部21と接続される。制御信号送受信部21は、これらエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dを介して、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間でそれぞれ個別に制御信号の送受信を行うことができる。
【0044】
図6は、データ転送制御部30aの一例の構成を概略的に示す。なお、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、共通の構成が適用されるので、図6では、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを代表してデータ転送制御部30aの構成を示す。
【0045】
データ転送制御部30aは、メモリ31aおよびロジック回路32aを含む。ロジック回路32aに対して、エンジンI/F制御線40aおよびデータ線11aが接続される。ロジック回路32aは、制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、上位装置10からデータ線11aを介して転送された印刷画像データをメモリ31aに対して格納する。同様に、ロジック回路32aは、制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、メモリ31aから印刷画像データを読み出して、出力線33aを介して後述する画像出力部50に供給する。
【0046】
なお、論理回路などの組み合わせによりハードウェア的に構成されたロジック回路32aによる制御は、プログラムに対する割り込みにより処理を分岐させる、CPUを用いた制御に対してより高速な処理が可能であるという利点がある。ロジック回路32aは、例えば、エンジンI/F制御線40aを介して受け取った、ビット列による制御信号に対して論理判定を行い、実行する処理を決定する。これに限らず、ロジック回路32aと同等の機能を、CPUを用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0047】
データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dからそれぞれ出力された各色の印刷画像データは、画像出力部50に供給される。画像出力部50は、各色の印刷画像データによる印刷を実行する。なお、各実施形態では、印刷画像データによる印刷を、ヘッドに設けられたノズルからインクを射出して印刷を行う、インクジェット方式により行う。勿論、印刷方式はインクジェット方式に限られず、例えばレーザプリンタ方式などを用いてもよい。
【0048】
図7は、データ転送制御部30aの一例の構成をより詳細に示す。なお、図7において、上述した図6と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。データ転送制御部30aは、メモリ31a、メモリコントローラ132a、データ転送DMA(Direct Memory Access)133aおよび134a、ならびに、データ転送制御部コントローラ135aを有する。これらのうち、メモリコントローラ132a、データ転送DMA(Direct Memory Access)133aおよび134a、ならびに、データ転送制御部コントローラ135aが、図6におけるロジック回路32aに含まれる。
【0049】
メモリコントローラ132aは、メモリ31aに対するアクセスを制御する。データ転送DMA133aは、上位装置10から印刷画像データを受信し、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aに書き込む。データ転送DMA134aは、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aからデータを読み出し、出力線33aを介して画像出力部50に転送する。データ転送制御部コントローラ135aは、プリンタコントローラ14内の制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して送信される制御情報を受信し、受信した制御情報に従いデータ転送DMA133aおよび134aを制御する。
【0050】
例えば、制御信号送受信部21から送信されたデータ転送の開始要求が、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部コントローラ135aに受信されると、データ転送制御部コントローラ135aは、この要求に従い、データ転送DMA133aに対してデータ転送の開始を指示する。データ転送DMA133aは、この指示に従い、データ転送要求をデータ線11aを介して上位装置10に送信する。この要求に従い上位装置10から送信されたデータは、例えばデータ転送DMA133aに受信され、メモリコントローラ132aを介して、メモリ31aの所定のアドレスに書き込まれる。
【0051】
また、制御信号送受信部21から送信された印刷指示が、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部コントローラ135aに受信されると、データ転送制御部コントローラ135aは、データ転送DMA134aに対して、メモリ31aからのデータ読み出しを指示する。データ転送DMA134aは、この指示に応じて、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aからデータを読み出す。そして、データ転送DMA134aは、読み出したデータを、出力線33aを介して画像出力部50に転送する。
【0052】
図8は、画像出力部50の一例の構成を示す。画像出力部50は、出力制御部55と、色Y、C、MおよびK各色のヘッドモジュール57,58,59,60とを含む。出力制御部55は、データ転送制御部30から受信した印刷画像データを一時的に保存するバッファ56を備えている。
【0053】
第1実施形態のように、プリンタ装置13に1台のプリンタエンジンが取り付けられている例では、プリンタエンジンは、4つのデータ転送制御部と、4つのヘッドモジュールとを、有するものとする。また、4つのデータ転送制御部と、4つのヘッドモジュールとは、それぞれ1対1で対応するものとする。但し、プリンタ装置13に1台のプリンタエンジンが取り付けられている場合のプリンタエンジンの構成はこれに限定されるものではない。なお、プリンタエンジン15が有するデータ転送制御部及びヘッドモジュールの個数は、変更可能である。
【0054】
なお、各色とヘッドモジュール57、58,59および60との関係は、この例に限られない。出力制御部55は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dそれぞれの印刷画像データが出力される各出力線33a、33b、33cおよび33dと、ヘッドモジュール57、58,59および60との接続を制御する。すなわち、出力制御部55は、各ヘッドモジュール57、58,59および60に対して、それぞれ各出力線33a、33b、33cおよび33dから1を選択して接続するように経路を設定することができる。
【0055】
例えば、本実施形態では、出力制御部55は、各出力線33a、33b、33cおよび33dと、各ヘッドモジュール57、58,59および60とを、1対1に接続するように設定している。また例えば、出力線33aに対して、各ヘッドモジュール57、58,59および60を接続する、というように、出力線33a、33b、33cおよび33dと、ヘッドモジュール57、58,59および60とを、1対多に接続するように設定できる。
【0056】
各出力線33a、33b、33cおよび33dと各ヘッドモジュール57、58,59および60とを接続する経路は、例えばディップスイッチなどを用いてユーザ操作により設定することができる。これに限らず、当該経路を、制御信号送受信部21からの制御信号により設定してもよい。
【0057】
ヘッドモジュール57、58、59及び60は、それぞれ、データ線62、63、64及び65で出力制御部55と接続され、インクを吐出する複数のヘッドを有する。ここで、ヘッドとは、ひとまとまりのインクノズル列を持ったブロックであり、ヘッドモジュールは、1ラスタ分の長さを印刷できるようにヘッドを複数個並べたものである。ヘッドモジュール57、58、59、及び60は、それぞれ、後述の搬送制御部51から通知される吐出契機信号に従い、出力制御部55に吐出データの転送を要求し、転送された吐出データに基づいて吐出対象のヘッドにインクを吐出させる。ここで、吐出契機信号とは、例えば、SYNC信号であり、1ラスタ毎にアソートされる。吐出データとは、1画素毎の多値又は2値データであり、インク濃度を示す。なお、ヘッドモジュール57、58、59及び60と搬送制御部51とは、それぞれ制御線61a、61b、61c、61dで接続されている。
【0058】
上述したように、各実施形態によるプリンタ装置13では、上位装置10からの印刷画像データの転送と、当該印刷画像データによる印刷を制御する制御信号の上位装置10とプリンタ装置13との間の送受信とが、異なる経路を介して行われる。また、上位装置10から、各色の印刷画像データがそれぞれ異なるデータ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送されると共に、これらデータ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送された各色の印刷画像データが、互いに独立して制御され、共通の構成を持つデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dにそれぞれ供給される。さらに、画像出力部50において、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの出力と各色のヘッドモジュール57、58,59および60との接続経路をユーザ操作などにより設定可能とされている。
【0059】
したがって、各実施形態によるプリンタ装置13は、印刷画像データの色数(Y、C、MおよびKの4色、または、K色のみ、など)や、画像出力部50において用いるヘッド数に応じて、プリンタエンジン15の構成を容易に変更することが可能である。このとき、プリンタエンジン15に対して、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのうち、要求される構成に応じて必要とされるものだけを設けるようにできる。
【0060】
例えば、色Y、C、MおよびKの4色でフルカラーの印刷を行いたい場合は、プリンタエンジン15に対してデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを全て設け、出力制御部55において、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの各出力を、それぞれヘッドモジュール57、58,59および60に接続すればよい。また例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、装置コスト優先として、それぞれ1のデータ転送制御部30aおよびヘッドモジュール57のみを設け、出力制御部55においてデータ転送制御部30aの出力をヘッドモジュール57に接続することができる。さらに例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、印刷速度優先として、1のデータ転送制御部30aと4のヘッドモジュール57、58,59および60とを設け、出力制御部55においてデータ転送制御部30aの出力をヘッドモジュール57、58,59および60にそれぞれ接続することができる。この場合、同一色を複数回、重ねて印刷することになるため、例えば、各ヘッドモジュール57、58,59および60でのインクの噴出時間を通常の1/4とし、印刷用紙の搬送速度を通常の4倍として高速印刷を行うことが考えられる。
【0061】
図4に戻り、搬送制御部51は、用紙搬送制御部22と搬送制御線41により接続され、ヘッドモジュール57、58、59、及び60により画像データに基づく画像が形成される用紙の搬送を制御する。
【0062】
図9は、第1実施形態のヘッドモジュール57と印刷対象の1ページ分の画像データ320との関係の一例を示す説明図であり、図10は、ヘッドモジュール57のインク吐出タイミングの一例を示すタイミングチャート図である。なお、図9及び図10に示す内容(特に、ヘッドモジュール57及び1ページの画像データの構成)は、説明のために簡略化して示したものであり、これに限定されるものではない。また、図9及び図10の説明内容は、ヘッドモジュール58、59、及び60についても適用できるため、ここでは、ヘッドモジュール58、59、及び60についての説明は省略する。
【0063】
図9に示す例では、ヘッドモジュール57は、ヘッド301a、301b、301c、及び301dを有する。ヘッド301a、301b、301c、及び301dは、それぞれ、中央部に1穴のノズル311a、311b、311c、及び311dを有し、それぞれ、ノズル311a、311b、311c、及び311dからインクを1回吐出させることで、印刷用紙300に1画素を形成することができるものとする。
【0064】
また、印刷用紙300の所定の印刷位置に印刷される1ページ分の画像データ320は、4×4画素のデータとする。画像データ320のうち、画素#1、#2、#3、#4を1ラスタ目とし、1ラスタ目の画素#1、#2、#3、#4が印刷される印刷用紙300上の位置をPとする。また画像データ320のうち、画素#5、#6、#7、#8を2ラスタ目とし、画素#9、#10、#11、#12を3ラスタ目とし、画素#13、#14、#15、#16を4ラスタ目とする。
【0065】
また、P1〜P6は、搬送制御部51により印刷用紙300が矢印a方向に搬送された場合のPの位置を示しており、この位置で、ヘッド301a、301b、301c、及び301dの少なくともいずれかによるインク吐出が行われる。なお、P1〜P6それぞれの間隔は、印刷用紙300の搬送速度を一定とした場合に、当該搬送速度で正確にインクを吐出して画像を印刷できる最小間隔であるものとする。このため、P1〜P6それぞれの間隔は均等になっている。
【0066】
図10に示すタイミングチャート図では、縦軸がヘッド301a、301b、301c、及び301dを示し、横軸がPの位置を示しており、PがP1〜P6に位置した場合のヘッド301a、301b、301c、及び301dそれぞれの吐出タイミングを矩形波で示している。
【0067】
具体的に説明すると、まず、PがP1に位置すると、ヘッド301a、301bは、それぞれ、1ラスタ目の画素#1、#3と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、1回目(P=P1)の吐出データであるヘッド301a及び301bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301a及び301bにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#1、#3である。
【0068】
続いて、PがP2に位置すると、ヘッド301a、301bは、それぞれ、2ラスタ目の画素#5、#7と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、2回目(P=P2)の吐出データであるヘッド301a及び301bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301a及び301bにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#5、#7である。
【0069】
続いて、PがP3に位置すると、ヘッド301c、301dは、それぞれ、1ラスタ目の画素#2、#4と重なるとともに、ヘッド301a、301bは、それぞれ、3ラスタ目の画素#9、#11と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、3回目(P=P3)の吐出データであるヘッド301a、301b、ヘッド301c、及び301dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301a、301b、301c、及び301dにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#9、#2、#11、#4である。
【0070】
続いて、PがP4に位置すると、ヘッド301c、301dは、それぞれ、2ラスタ目の画素#6、#8と重なるとともに、ヘッド301a、301bは、それぞれ、4ラスタ目の画素#13、#15と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、4回目(P=P4)の吐出データであるヘッド301a、301b、ヘッド301c、及び301dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301a、301b、301c、及び301dにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#13、#6、#15、#8である。
【0071】
続いて、PがP5に位置すると、ヘッド301c、301dは、それぞれ、3ラスタ目の画素#10、#12と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、5回目(P=P5)の吐出データであるヘッド301c及び301dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301c及び301dにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#10、#12である。
【0072】
続いて、PがP6に位置すると、ヘッド301c、301dは、それぞれ、4ラスタ目の画素#14、#16と重なり(図9参照)、吐出タイミングとなるため、搬送制御部51からヘッドモジュール57に吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57は、出力制御部55に対して、6回目(P=P6)の吐出データであるヘッド301c及び301dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55から転送された吐出データを基にヘッド301c及び301dにインクを吐出させる(図10参照)。なお、この際、出力制御部55から転送される吐出データは、画素#14、#16である。
【0073】
出力制御部55は、データ線32a、32b、32c、及び32dが接続されるとともに、データ線62、63、64、及び65が接続され、バッファ56を有する。出力制御部55は、プリンタ装置13に取り付けられているプリンタエンジンの台数に基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dのうちの転送要求対象のデータ転送制御部に対して画像データの転送を要求する。そして出力制御部55は、要求した画素順序で転送された画像データを当該画素順序でヘッドモジュール57、58、59、及び60のうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して印刷用紙にインクを吐出させる。
【0074】
具体的には、出力制御部55は、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dのいずれかからメモリ格納報告が通知されると、プリンタエンジン15の台数に基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、メモリ格納報告が通知されたデータ転送制御部に画像データの転送を要求し、要求した画素順序で転送された画素を順次バッファ56に格納する。そして出力制御部55は、ヘッドモジュール57、58、59、及び60のうちの吐出対象のヘッドモジュールからの転送要求に従い、バッファ56に格納した画像データをデータ転送制御部から転送された画素順序で吐出対象のヘッドモジュールに転送する。ここで、画像データの画素ごとの位置情報は、上述のメモリ格納報告で指定する他、後述の第3実施形態における転送管理テーブルで指定するように構成してもよい。
【0075】
なお、出力制御部55は、FPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されており、FPGAの回路構成をプリンタエンジンの取り付け台数に応じた回路構成に切り替え可能となっている。つまり第1実施形態では、FPGAの回路構成は、プリンタエンジンの取り付け台数が1台である場合の回路構成となっている。
【0076】
この場合、出力制御部55は、データ線32a、32b、32c及び32dと、色C、M、Y、及びK各色のヘッドモジュール57、58、59、及び60とを、1対1に接続するように設定する。これにより、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dと、ヘッドモジュール57、58、59、及び60とが、それぞれ1対1で対応する。またこの場合、出力制御部55は、プリンタエンジンの取り付け台数が1台の場合のインク吐出順序として、1色につき1台のヘッドモジュールでインク吐出を行う場合のインク吐出順序が設定される。なお、どのような画像データが印刷対象であったとしても、ヘッドモジュールが有するヘッド及び当該ヘッドが有するノズルの形状が同一であれば、ヘッドモジュールのインク吐出順序は同一である。従って、1色につき使用するヘッドモジュールが決まればインク吐出順序をパターン化できる。
【0077】
なお、FPGAの回路構成は、例えばディップスイッチなどを用いたユーザ操作に基づいて、切り替えるものとする。但し、これに限られず、FPGAの回路構成をプリンタコントローラ14の制御部23からの制御信号(図示省略)に切り替えるようにしてもよい。
【0078】
図11−1〜図11−6は、第1実施形態の画像データの転送順序の一例を示す説明図であり、図9及び図10で説明したインク吐出順序でヘッドモジュール57にインク吐出を行わせるための転送順序を示している。なお、図11−1〜図11−6に示す内容も、説明のために簡略化して示したものであり、これに限定されるものではない。ここでは、図11−1〜図11−6に示すように、メモリ31aには、画像データ320(図9参照)を構成する画素#1〜#16が格納されているものとする。また図11−1〜図11−6に示す例では、出力制御部55は、プリンタエンジンの取り付け台数が1台の場合のインク吐出順序として、図10のタイミングチャート図で示したようなインク吐出順序が設定されているものとする。
【0079】
この場合、まず、出力制御部55は、図11−1に示すように、PがP1に位置したタイミングでインクが吐出される画素#1、#3(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#1、#3をバッファ56に格納する。ここでは、出力制御部55は、1度に転送を要求する画素が複数ある場合、ヘッド301aがインクを吐出する画素、ヘッド301bがインクを吐出する画素、ヘッド301cがインクを吐出する画素、ヘッド301dがインクを吐出する画素の順番で転送を要求し、当該順番で転送されるものとする。
【0080】
続いて、出力制御部55は、図11−2に示すように、PがP2に位置したタイミングでインクが吐出される画素#5、#7(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#5、#7をバッファ56に格納する。
【0081】
続いて、出力制御部55は、図11−3に示すように、PがP3に位置したタイミングでインクが吐出される画素#9、#2、#11、#4(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#9、#2、#11、#4をバッファ56に格納する。
【0082】
続いて、出力制御部55は、図11−4に示すように、PがP4に位置したタイミングでインクが吐出される画素#13、#6、#15、#8(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#13、#6、#15、#8をバッファ56に格納する。
【0083】
続いて、出力制御部55は、図11−5に示すように、PがP5に位置したタイミングでインクが吐出される画素#10、#12(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#10、#12をバッファ56に格納する。
【0084】
続いて、出力制御部55は、図11−6に示すように、PがP6に位置したタイミングでインクが吐出される画素#14、#16(図10参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#14、#16をバッファ56に格納する。
【0085】
このようにしてバッファ56に格納された画像データがヘッドモジュール57からの転送要求に応じて順次ヘッドモジュール57に転送される。
【0086】
図12は、第1実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置200の一例の構造を概略的に示す。既に述べたように、各実施形態では、プリンタ装置200は、印刷用紙として連帳紙を用いる。
【0087】
印刷用紙201は、印刷用紙補給部210から電源操作ボックス220を介して第1搬送部230に供給される。印刷用紙201は、第1搬送部230において、搬送制御部51の搬送制御により複数のローラなどを介して搬送されて位置合わせなどがなされ、上述のプリンタエンジン15に対応するプリンタエンジン部240および250に供給される。
【0088】
プリンタエンジン部240および250は、上述の出力制御部55及びヘッドモジュール57、58、59、60に対応する印刷部241において、第1搬送部230から供給された印刷用紙201に対して印刷画像データに従った印刷を行う。印刷が終了した印刷用紙201は、搬送制御部51の搬送制御によりプリンタエンジン部250から排出され、第2搬送部260に供給される。印刷後の印刷用紙201は、第2搬送部260の内部で所定に搬送されて排出され、裁断部270に供給される。印刷後の印刷用紙201は、裁断部270によりミシン目に従い裁断され各ページを分離される。
【0089】
ここで、プリンタ装置200は、ページが連続した連続紙である印刷用紙201に印刷を行うため、プリンタエンジン部240および250における印刷用紙201への印刷後、当該印刷用紙201が第2搬送部260から排出されるまでの経路にも、印刷用紙201が絶えず存在することになる。
【0090】
なお、第1搬送部230、プリンタエンジン部240および250、ならびに、第2搬送部260からなる構成をもう一組用意して、前側の第2搬送部260から排出された印刷後の印刷用紙201を表裏反転して後側の第1搬送部230に供給することで、印刷用紙201に対する両面印刷が可能となる。
【0091】
(第1実施形態に適用可能な印刷処理の詳細)
次に、第1実施形態に適用可能な印刷処理について、より詳細に説明する。図13は、上位装置10とプリンタ装置13のプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して送受信される制御情報の一例を示す。なお、図13において、上位装置10をDFE(Digital Front End Processor)、プリンタコントローラ14をPCTLとして示している。制御情報は、大まかには、(1)ジョブ(JOB)情報と、(2)プリンタ状態および印刷プロセスを示す情報と、(3)印刷条件を示す情報と、(4)接続を示す情報とが含まれる。
【0092】
(1)のジョブ情報は、ジョブ(JOB)開始とジョブ終了とを通知する。ジョブ開始は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対するジョブ開始の通知と、当該通知に対するプリンタ装置13から上位装置10への応答が含まれる。ジョブ終了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する、ジョブ開始により要求した全印刷プロセスの終了の通知と、当該通知に対するプリンタコントローラ14から上位装置10への応答が含まれる。これらジョブ開始およびジョブ終了における応答の際に、ジョブを識別するためのジョブ識別子(JOBID)がプリンタコントローラ14から上位装置10に対して送信される。
【0093】
(2)のプリンタ状態および印刷プロセスを示す情報には、印刷プロセス受け付け開始と、プリンタ情報の要求および通知と、印刷プロセス開始と、印刷プロセス要求と、データ転送完了と、データ受信完了と、印刷プロセス完了と、プロセス状態報告と、SC(Service Control)通知と、エラー発生および解除とを通知する。
【0094】
印刷プロセス受け付け開始は、プリンタコントローラ14が印刷プロセスの受け付けが可能となったことをプリンタ装置13から上位装置10に対して通知する。プリンタ情報の要求および通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する必要なプリンタ情報の要求と、当該要求に対するプリンタコントローラ14から上位装置10に対する応答とが含まれる。
【0095】
印刷プロセス開始は、印刷画像データの準備が完了した旨の上位装置10からプリンタコントローラ14に対する通知と、当該通知に対するプリンタ装置13から上位装置10に対する応答を含む。印刷画像データの準備完了通知は、印刷画像データの出力順およびページ(プロセス)単位に行われる。ページは、一連の印刷動作で印刷が行われる印刷単位であるといえる。
【0096】
印刷プロセス要求は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対する印刷プロセスの通知と、当該通知に対する上位装置10からプリンタコントローラ14に対する応答とが含まれる。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス要求により、印刷を行う色Y、C、MおよびKをそれぞれ示す色情報(Yellow, Cyan, Magenta or Black)、プロセス識別番号processIDおよびプレーン識別番号を上位装置10に対して通知する。なお、プレーンは、1ページに印刷される各色の印刷画像データによる画像それぞれに対応するものとする。プリンタコントローラ14は、プレーン単位およびエンジンすなわちデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの要求順に従い、これらの情報を通知する。すなわち、ビットマップデータからなる印刷画像データは、プリンタエンジン15側から上位装置10に取りに行くことになる。
【0097】
データ転送完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して要求されたプレーンの印刷画像データの転送完了が通知される。データ受信完了は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、要求したプレーンの印刷画像データの受信完了が通知される。印刷プロセス完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して、全ページ(プロセス)の印刷要求の完了が通知される。プロセス状態報告は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、ページ(プロセス)の印刷状態が通知される。このとき、プリンタコントローラ14は、プリンタエンジン15から給紙、排紙および印刷開始に関する情報を取得し、取得したこれらの情報を当該通知に付加して上位装置10に送信する。
【0098】
SC通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対してプリンタ装置13の障害情報の取得が要求されると共に、当該要求に対して取得された障害情報がプリンタコントローラ14から上位装置10に対して通知される。エラー発生および解除は、上位装置10側でのエラー発生および当該エラーの解除が上位装置10からプリンタコントローラ14に対して通知される。
【0099】
(3)の印刷条件を示す情報は、印刷条件の設定、すなわち、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する印刷条件の通知と、当該通知に対するプリンタコントローラ14の応答とを含む。印刷条件の例としては、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷データサイズ、解像度および階調、ならびに、色情報などを含む。
【0100】
印刷形態は、例えば印刷用紙201に対して両面印刷および片面印刷のうち何れを行うかを示す。印刷種別は、印刷画像データが存在しておりそれを印刷するのか、印刷画像データが存在しておらず白紙ページとするのかを示す。給排紙情報は、印刷用紙201の給紙元および排紙先のスタッカなどの識別情報を示す。印刷面順は、印刷用紙201に対して表面から裏面へと印刷するのか、裏面から表面へと印刷するのかを示す。印刷用紙サイズは、例えば印刷用紙201として連帳紙を用いる場合、印刷を行うページの印刷用紙201の搬送方向の長さを示す。印刷データサイズは、印刷画像データのデータサイズを示す。すなわち、印刷データサイズは、1ページ分の印刷画像データのサイズを示す。解像度および階調は、印刷画像データを印刷用紙201に印刷する際の解像度および階調を示す。また、色情報は、例えば印刷を色Y、C、MおよびK各色を用いたフルカラーで行うのか、色Kのみを用いた単色で行うかを示す。
【0101】
(4)の接続を示す情報は、登録および解除を含み、上位装置10およびプリンタコントローラ14のそれぞれで、互いの情報の登録および登録された情報の解除を行う。
【0102】
(印刷シーケンス)
次に、第1実施形態に適用可能な印刷処理について説明する。図14は、各実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。ここでは、色Y、C、MおよびKの各色を用いたフルカラー印刷を行うものとする。プリンタコントローラ14は、上位装置10から制御情報として印刷用紙201に関する情報を受信したら(SEQ100)、受信した情報に基づき搬送制御部51に対して用紙送り長を設定する(SEQ110)。用紙送り長は、例えば搬送方向における1ページのサイズである。
【0103】
プリンタコントローラ14は、上位装置10から1ページ目(ページ#1)のジョブ開始を示す制御情報を受信したら(SEQ101)、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのそれぞれに対して、色Y、C、MおよびK各色について1ページ目のデータ転送を開始するように要求する(SEQ110a、110b、110cおよび110d)。データ転送制御部30aは、この要求に従い、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yの1ページ目の印刷画像データを要求し、この要求に応じて上位装置10から転送された色Yの1ページ目の印刷画像データをメモリ31aに格納する。
【0104】
各データ転送制御部30b、30cおよび30dについても同様に、SEQ110b、110cおよび110dの要求に従い、データ線11b、11cおよび11dを介して上位装置10に対して各色C、MおよびKの1ページ目の印刷画像データをそれぞれ要求する。各データ転送制御部30b、30cおよび30dは、この要求に応じて上位装置10から転送された各色C、MおよびKの1ページ目の印刷画像データを、それぞれメモリ31b、31cおよび31dに格納する。
【0105】
一方、この図14の例では、プリンタコントローラ14から各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して1ページ目のデータ転送が要求されている間に、プリンタコントローラ14は、上位装置10から送信された次の2ページ目のジョブ開始を示す制御情報を受信する(SEQ102)。受信された制御情報は、例えばRAM323に保持される。
【0106】
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、上位装置10からの各色の1ページ目の印刷画像データの転送が終了したら、それぞれ、その旨をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ111a、111b、111cおよび111d)。プリンタコントローラ14は、当該通知にそれぞれ応答して、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対してそれぞれ2ページ目(ページ#2)のデータ転送を開始するように要求する(SEQ112a、112b、112cおよび112d)。
【0107】
この要求に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、上位装置10に対して各色の2ページ目の印刷画像データをそれぞれ要求し、この要求に応じて上位装置10から転送された各色の2ページ目の印刷画像データを、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dに格納する。
【0108】
なお、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、転送された印刷画像データのデータ量に基づきデータ転送の終了を知ることができる。1ページ分の印刷画像のデータ量を示す情報は、例えば各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対するデータ転送開始時に、上位装置10が印刷画像データの先頭などに付加して送信する。また、印刷画像データを所定単位毎に転送する場合に、上位装置10が、1ページの最後の印刷画像データの転送単位に対して1ページ分の転送終了を示す終了情報を付加するようにしてもよい。さらに、上位装置10が、1ページ分の印刷画像データの転送直後などに、1ページ分の印刷画像データの転送終了を示す情報を印刷画像データとは別途に、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して送信することもできる。
【0109】
一方、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの全てから1ページ目のデータ転送終了の通知を受信したら、搬送制御部51に対して用紙搬送開始を要求する(SEQ113)。搬送制御部51は、この要求に応じて印刷用紙201の所定速度での搬送を開始する。また、プリンタコントローラ14は、搬送制御部51に対して用紙搬送開始の要求を行うと共に、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、1ページ目の印刷の開始を指示する(SEQ114)。
【0110】
搬送制御部51は、例えば印刷用紙201が所定位置に到達したら、印刷可能状態である旨をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ117)。例えば、用紙の搬送速度が定速になり、印刷用紙201の所定位置がプリンタエンジン15により検知されたら、搬送制御部51は、印刷可能状態である旨をプリンタコントローラ14の制御部23に対して通知する。プリンタコントローラ14は、この搬送制御部51からの印刷可能状態報告に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して印刷の先頭位置を指示する(SEQ118)。
【0111】
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、印刷先頭指示に応じて印刷を開始する。この例では、印刷用紙201の搬送方向に沿って各色Y、C、MおよびKのヘッドモジュールがヘッドモジュール57,58,59,60の順に並べられているものとする。この場合、印刷用紙201における1ページ目の印刷の先頭位置がヘッドモジュー57による印刷位置に達したら、先ずデータ転送制御部30aにおいて、メモリ31aからの1ページ目の印刷画像データの読み出しが開始される。メモリ31aから読み出された色Yの印刷画像データは、画像出力部50に転送される。そして、印刷画像データが出力制御部55を介してヘッドモジュール57に供給され、印刷用紙201に対する印刷が行われる(SEQ119a)。色Yの1ページ目の印刷が終了すると、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120a)。
【0112】
続けて、印刷用紙201における1ページ目の印刷の先頭位置がヘッドモジュール58による印刷位置に達したら、データ転送制御部30bにおいて、メモリ31bからの1ページ目の印刷画像データの読み出しが開始される。メモリ31bから読み出された色Cの印刷画像データは、画像出力部50に転送される。そして、出力制御部55を介してヘッドモジュール58に供給され、印刷用紙201に対する印刷が開始される(SEQ119b)。色Cの1ページ目の印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120b)。
【0113】
以下同様にして、色MおよびKの印刷が順次開始され(SEQ119c、119d)、印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120cおよび120d)。
【0114】
一方、上述のSEQ112a〜112dで開始された2ページ目の各色の印刷画像データの転送が終了すると、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、その旨をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ115)。プリンタコントローラ14は、このデータ転送完了の通知に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、2ページ目の印刷の開始をそれぞれ指示する(SEQ116)。
【0115】
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、1ページ目の印刷の終了後に、それぞれ2ページ目の印刷を開始する。例えば、データ転送制御部30aは、1ページ目の印刷が完了(SEQ120a)した後、印刷用紙201における2ページ目の印刷の先頭位置がヘッドモジュール57による印刷位置に達したら、メモリ31aから2ページ目の色Yの印刷画像データを読み出して画像出力部50に供給し、印刷用紙201に対する印刷を開始する(SEQ121a)。色Yの印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ122a)。
【0116】
各データ転送制御部30b、30cおよび30dにおいても、同様にして、2ページ目の先頭位置がヘッドモジュール58,59,60による印刷位置に達したら、メモリ31b、31cおよび31dから各色の印刷画像データを読み出し、印刷用紙201に対する印刷を開始する(SEQ121b〜121d)。各色の印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対してそれぞれ通知される(SEQ122b〜122d)。
【0117】
プリンタコントローラ14は、2ページ目の色Kの印刷終了通知をデータ転送制御部30dから受け取ると、印刷ジョブによる最終ページの印刷が終了したとして、搬送制御部51に対して印刷用紙201の搬送の停止を要求する(SEQ123)。搬送制御部51は、この要求に応じて印刷用紙201の搬送を停止させ、その旨をプリンタコントローラ14に対して報告する(SEQ124)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
【0118】
図15は、第1実施形態における図14のSEQ119aの処理の詳細の一例を示すシーケンス図であり、図11−1〜図11−6で説明した画像データの転送順序、並びに図9及び図10で説明したインク吐出順序のシーケンス図である。
【0119】
まず、データ転送制御部30aは、上位装置10から色Cの1ページ目の画像データが転送され(SEQ130)、転送された色Cの1ページ目の画像データのメモリ31aへの格納が完了すると、出力制御部55に対して色Cの1ページ目(ページ#1)のメモリ格納報告を通知する(SEQ131)。
【0120】
続いて、出力制御部55は、データ転送制御部30aに対して、ヘッドモジュール57の1回目(P=P1)の吐出データである画素#1、#3データの転送要求を行い(SEQ135)、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出され、転送された画素#1、#3データをバッファ56に格納する(SEQ136)。そして、出力制御部55は、バッファ56に画素#1、#3データを格納すると、ヘッドモジュール57に対して、1回目の吐出データのバッファ格納報告を通知する(SEQ137)。
【0121】
第1実施形態では、インク吐出順序に合わせて画像データの画素順序が並び替えられているため、バッファ格納報告では、1回目の吐出データは、ヘッド301a及びヘッド301bが吐出対象であること(図10参照)を通知すれば足り、いずれの画素データかまで通知する必要はない。このバッファ格納報告により、ヘッドモジュール57は、1回目の吐出データの吐出が可能な状態になったと判断できる。
【0122】
以下、出力制御部55は、ヘッドモジュール57の2〜6回目(P=P2〜P6)の吐出データについても、SEQ135〜SEQ137と同様の処理を繰り返す(SEQ138〜SEQ152)。
【0123】
続いて、ヘッドモジュール57は、搬送制御部51による印刷用紙の搬送によりPがP1に位置し、搬送制御部51から最初の吐出契機信号が通知されると(SEQ153)、出力制御部55に1回目の吐出データの転送要求を行う(SEQ154)。そしてヘッドモジュール57は、出力制御部55によりバッファ56から読み出され、転送された1回目の吐出データを基に対応するヘッドにインクを吐出させる(SEQ155、SEQ156)。また、出力制御部55は、ヘッドモジュール57への転送が完了すると、データ転送制御部30aに対して、画素#1、#3の吐出完了報告を通知する(SEQ157)。
【0124】
以下、ヘッドモジュール57及び出力制御部55は、ヘッドモジュール57の2〜6回目(P=P2〜P6)の吐出データについても、SEQ153〜SEQ157と同様の処理を繰り返す(SEQ158〜SEQ182)。
【0125】
図16〜図18は、第1実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。なお、図16〜図18において、符号A〜Fは、異なる図面間で対応する符号に処理が移行することを示す。また、以下では、印刷ジョブは、全2ページの印刷を行うものであるとする。
【0126】
図16を参照し、先ず、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して制御線12を介してジョブ開始の制御情報が送信される(SEQ200)。プリンタコントローラ14は、この制御情報に対して、ジョブ識別子jobID=1を応答する制御情報を、制御線12を介して上位装置10に送信する(SEQ201)。それと共に、プリンタコントローラ14は、ジョブの開始に伴いジョブを実行するためのリソースを獲得する。そして、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷プロセス受け付け開始を示す制御情報を制御線12を介して送信する(SEQ202)。
【0127】
次に、上位装置10は、プリンタコントローラ14に対して、印刷条件を設定する制御情報を制御線12を介して送信する(SEQ203)。プリンタコントローラ14に対して設定される印刷条件は、図13を用いて説明したように、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷画像データのデータサイズ、解像度および階調、ならびに、色情報が含まれる。また、印刷を行うページ数の情報も、印刷条件に含ませることができる。この制御情報がプリンタコントローラ14に受信されると、受信した制御情報に含まれる各種の印刷条件が、例えばプリンタコントローラ14のレジスタなどに書き込まれ、印刷条件が設定される。
【0128】
次に、上位装置10は、1ページ目の印刷プロセス開始の制御情報を、制御線12を介してプリンタコントローラ14に送信する(SEQ204)。この制御情報は、当該プロセスを識別するためのプロセス識別番号processID=1と、1ページ目を構成する画像を示す画像識別番号imageID=1とを含む。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス開始に対する応答である印刷プロセス開始の制御情報を上位装置10に返す(SEQ205)。
【0129】
次に、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷プロセス要求の制御情報を送信し、印刷画像データを要求する。この印刷プロセス要求は、色Y、C、MおよびKの各色について、プリンタエンジン15における色の並び順に従って、順次行われる。この例では、印刷用紙201の搬送方向に沿って各色Y、C、MおよびKのヘッドモジュールがヘッドモジュール57,58,59,60の順に並べられているものとする。
【0130】
先ず、プリンタコントローラ14は、色Yの印刷画像データを要求する印刷プロセス要求の制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(SEQ206)。この制御情報は、プロセスを指定するプロセス識別番号processID=1と、色Yを指定する色情報Yellowとが含まれる。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号imageID=1を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(SEQ207)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、色Yに対応するデータ転送制御部30aに対して印刷画像データの転送を開始するよう要求する(SEQ208)。このとき、プリンタコントローラ14は、例えば、転送の開始を要求する印刷画像データのデータサイズを、この要求と共にデータ転送制御部30aに送信する。
【0131】
データ転送制御部30aは、この要求を受けて、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの印刷画像データを要求し(SEQ209A)、この要求に応じて、上位装置10からデータ転送制御部30aに対して、色Yの印刷画像データが転送される(SEQ209)。転送された印刷画像データは、データ転送制御部30aのメモリ31aにおける、1ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される。
【0132】
以下、他の各色C、MおよびKについても、上述のSEQ206、SEQ207、SEQ208、SEQ209AおよびSEQ209と同様の処理が繰り返され、各色の印刷画像データが上位装置10から各データ線11b、11cおよび11dを介してデータ転送制御部30b、30cおよび30dにそれぞれ転送され、メモリ31b、31cおよび31dそれぞれの、1ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される(SEQ210〜SEQ221)。
【0133】
また、上位装置10は、1のプレーンの印刷画像データの転送が終了すると、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する。プリンタコントローラ14は、この制御情報に応じて、印刷画像データの受信完了の制御情報を上位装置10に送信する。
【0134】
例えば、上位装置10は、色Yのプレーンの印刷画像データの転送が終了すると、画像識別番号imageID=1と色情報Yellowとを含むデータ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ222)。一方、データ転送制御部30aは、上位装置10からデータ線11aを介しての印刷画像データの転送が終了すると、その旨示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ223)。プリンタコントローラ14は、この通知に応じて、画像識別番号imageID=1と、色情報Yellowとを含むデータ受信完了の制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ224)。
【0135】
以下、他の各色C、MおよびKについても、各印刷画像データの転送終了に伴い上述のSEQ222〜SEQ224と同様の処理が繰り返され、上位装置10に対してデータ受信完了の制御情報が送信される(SEQ225〜SEQ233)。
【0136】
プリンタコントローラ14は、SEQ233で、1ページ目の最後の印刷画像データ(すなわち色Kの印刷画像データ)についてのデータ受信完了の制御情報を上位装置10に送信した後に、搬送制御部51に対して印刷の準備を指示する。搬送制御部51は、この指示に従い印刷用紙201の印刷位置への搬送を開始する。
【0137】
説明は図17に移り、1ページ目の各色の印刷画像データの転送が完了すると、上位装置10は、2ページ目の印刷プロセス開始の制御情報を、制御線12を介してプリンタコントローラ14に送信する(SEQ234)。この制御情報は、当該2ページ目のプロセスを識別するプロセス識別番号processID=2と、2ページ目を構成する画像を示す画像識別番号imageID=2とを含む。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス開始に対する応答である印刷プロセス開始の制御情報を上位装置10に返す(SEQ235)。
【0138】
例えば全2ページの印刷を行う場合には、このSEQ234およびSEQ235の処理で印刷プロセス開始要求が完了することになる。そのため、上位装置10は、SEQ235で2ページ目の印刷プロセス開始要求に対する応答を受け取ると、SEQ236で、ジョブ識別子jobID=1が指定されたプロセス開始要求完了の制御情報を、プリンタコントローラ14に対して送信する。
【0139】
次に、上述したSEQ206〜SEQ221と同様にして、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して印刷プロセス要求の制御情報を送信し、印刷画像データを要求する。この印刷プロセス要求は、色Y、C、MおよびKの各色について、プリンタエンジン15における色の並び順に従って、順次行われる。
【0140】
先ず、プリンタコントローラ14は、色Yの印刷画像データを要求する印刷プロセス要求の制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(SEQ237)。この制御情報は、プロセスを指定するプロセス識別番号processID=2と、色Yを指定する色情報Yellowとが含まれる。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号imageID=2を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(SEQ238)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、色Yに対応するデータ転送制御部30aに対して印刷画像データの転送を開始するよう要求する(SEQ239)。
【0141】
データ転送制御部30aは、この要求を受けて、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの印刷画像データを要求し(SEQ240A)、この要求に応じて、上位装置10からデータ転送制御部30aに対して、色Yの印刷画像データが転送される(SEQ240)。転送された印刷画像データは、データ転送制御部30aのメモリ31aにおける2ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される。
【0142】
以下、他の各色C、MおよびKについても、上述のSEQ237、SEQ238、SEQ239、SEQ240AおよびSEQ240と同様の処理が繰り返され、各色の印刷画像データが上位装置10から各データ線11b、11cおよび11dを介してデータ転送制御部30b、30cおよび30dにそれぞれ転送され、メモリ31b、31cおよび31dそれぞれの2ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される(SEQ244〜SEQ251、SEQ255〜SEQ258)。
【0143】
また、上述と同様に、上位装置10は、1のプレーンの印刷画像データの転送終了毎に、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する。プリンタコントローラ14は、この制御情報に応答して、印刷画像データの受信完了の制御情報を上位装置10に送信する。
【0144】
図17の例では、上位装置10は、SEQ240で転送された色Yの印刷画像データの転送が終了されると、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ252)。データ転送制御部30aは、上位装置10からデータ線11aを介しての印刷画像データの転送が終了すると、その旨示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ253)。プリンタコントローラ14は、この通知に応答して、画像識別番号imageID=2と、色情報Yellowとを含むデータ受信完了の制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ254)。
【0145】
以下、他の各色C、MおよびKについても、各印刷画像データの転送終了に伴い上述のSEQ252〜SEQ254と同様の処理が行われ、上位装置10に対してデータ受信完了の制御情報が送信される(SEQ259〜SEQ267)。
【0146】
なお、図17の例では、上述したSEQ234の直前における搬送制御部51に対する印刷準備の指示に対する、搬送制御部51からの印刷準備が完了した旨の応答が、SEQ240の直後に、搬送制御部51からプリンタコントローラ14に対して通知されている。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、それぞれプロセス識別番号processID=1およびプロセス識別番号processID=2とした、印刷プロセス開始の2の制御情報を、上位装置10に対して送信する(SEQ241、SEQ243)。これにより、上位装置10に対して、1ページ目および2ページ目の印刷が可能となった旨が通知される。
【0147】
また、SEQ241の時点で、1ページ目の各色の印刷画像データのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dへの転送が完了している。そのため、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、1ページ目の印刷を行う印刷指示をそれぞれ通知する(SEQ242)。この印刷指示は、例えば各データ転送制御部30a、30b,30cおよび30dにおいて、メモリ31a,31b,31cおよび31dにそれぞれ格納されるなどにより保持される。この印刷指示に従った実際の印刷動作は、後続するページの印刷動作などとタイミングを合わせて実行される。
【0148】
さらに、図17の例では、プリンタコントローラ14において、SEQ241およびSEQ243の印刷プロセス開始の制御情報の送信により、2番目に転送が開始される色Cのプレーンの印刷画像データの上位装置10に対する要求が遅延している(SEQ244参照)。そして、この遅延に伴い、最初に転送が開始された色Yのプレーンの印刷画像データの転送が、色Kのプレーンの印刷画像データの転送が開始される前に完了してしまっている(SEQ253参照)。さらにまた、色Yのプレーンの印刷画像データの転送完了の通知処理(SEQ253)の後に、色Kのプレーンの印刷画像データの転送が開始されている(SEQ257、SEQ258)。
【0149】
図16に示す1ページ目のデータ転送処理では、各色の印刷画像データの転送が各色の順序で行われ、印刷画像データの転送が終了した後に、データ転送の終了処理が各色の順序で行われている。これに対して、図17に示す2ページ目のデータ転送処理では、各色の印刷画像データの転送が終了しないうちに、データ転送の終了処理が開始してしまっている。
【0150】
上述のように、各色Y、C、MおよびKのデータ転送を制御するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dがそれぞれ独立した構成とされ、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとそれぞれ独立して通信を行うことができ、また、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれ独立して処理を実行する。そのため、このように、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dによる一連の処理の途中に他の処理が割り込んできても、それぞれの処理を変更する必要が無い。
【0151】
SEQ267で、プリンタコントローラ14が上位装置10に対して色Kのプレーンの印刷画像データの転送が完了したことを通知すると、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して2ページ目の印刷を行う印刷指示をそれぞれ通知する(SEQ268)。
【0152】
説明は図18に移り、プリンタエンジン15においてSEQ242の印刷指示に従い1ページ目の印刷が実行され、印刷用紙201の給紙が開始される。プリンタエンジン15は、この1ページ目の給紙開始をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ269)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=1として、1ページ目の給紙が開始されたことを示す制御情報を送信する(SEQ270)。それと共に、プリンタコントローラ14は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、互いに同期して印刷を実行するよう、印刷指示を送信する。この印刷指示に従い、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、各メモリ31a、31b、31cおよび31dから各色Y、C、MおよびKの印刷画像データをそれぞれ読み出し、印刷用紙201に対する1ページ目の各プレーンの印刷を順次行う。
【0153】
同様に、プリンタエンジン15は、1ページ目の印刷が完了し、2ページ目の印刷に移行すると、2ページ目の給紙開始をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ271)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=2として、2ページ目の給紙が開始されたことを示す制御情報を送信する(SEQ272)と共に、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、互いに同期して印刷を実行するよう、印刷指示を送信する。この印刷指示に従い、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、各メモリ31a、31b、31cおよび31dから各色Y、C、MおよびKの印刷画像データをそれぞれ読み出し、印刷用紙201に対する2ページ目の各プレーンの印刷を順次行う。
【0154】
また、プリンタエンジン15は、1ページ目の各色の印刷が終了し印刷用紙201の1ページ目が排紙されると、その旨をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ273)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=1として、1ページ目の印刷用紙201が排紙されたことを示す制御情報を送信する(SEQ274)。同様に、プリンタエンジン15は、2ページ目の各色の印刷が終了し、印刷用紙201の2ページ目が排紙されると、その旨をプリンタコントローラ14に通知し(SEQ275)、プリンタコントローラ14は、この通知に応じてプロセス識別番号processID=2として2ページ目の印刷用紙201が排紙されたことを示す制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ276)。
【0155】
上位装置10は、プリンタコントローラ14から、例えばSEQ203で印刷条件の設定の制御情報に含まれる、印刷ページ数を示す情報に対応する排紙報告を受信したら、SEQ200で開始を通知したジョブによる印刷が終了したとして、ジョブ識別番号jobID=1としたジョブ終了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ277)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、ジョブ識別番号jobID=1として、応答の制御情報を上位装置10に送信する(SEQ278)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
【0156】
このように本実施形態によれば、色Y、C、M、及びKのデータ転送を制御するデータ転送制御部30a、30b、30c、及び30dがそれぞれ独立した構成とされている。それと共に、プリンタコントローラ14と各データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dとがエンジンI/F制御線40a、40b、40c、及び40dでそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14とデータ転送制御部30a、30b、30c、及び30dとの間の通信は、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dそれぞれで独立して行われる。また、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dは、それぞれ独立して処理を実行する。
【0157】
このため、上述の例えばSEQ237〜SEQ266のように、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dによる一連の処理の途中に他の処理が割り込んできても、それぞれの処理を変更する必要が無い。また、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dの処理が独立しているため、データ転送制御部30a、30b、30c、及び30dの追加や削除を容易に行うことができ、システム構成の様々なバリエーションを共通の構成で提供することができる。
【0158】
(第2実施形態)
前述したように、第2実施形態では、印刷装置に4台のプリンタエンジンが取り付けられている例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0159】
図19は、第2実施形態のプリンタ装置13の詳細構成の一例を示すブロック図である。図19に示すように、プリンタ装置13は、プリンタコントローラ14と、プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dと、搬送制御部51とを、備える。
【0160】
プリンタコントローラ14(制御部23)は、エンジンI/F制御線40a、40b、40c、及び40dそれぞれを介して、プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dの印刷動作の制御を行う。
【0161】
プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dは、それぞれ、データ線11a、11b、11c、及び11dが接続され、プリンタコントローラ14の制御に従い、それぞれ、データ線11a、11b、11c、及び11dを介して上位装置10から転送された各色の画像データによる印刷処理を行う。
【0162】
プリンタエンジン15aは、データ転送制御部30aと、出力制御部55aと、C色のヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aと、データ転送制御部30aと出力制御部55aとを接続するデータ線32aと、出力制御部55aとC色のヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aとを接続する複数のデータ線62a、63a、64a、及び65aとを、有する。但し、色とヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aとの関係は、この例に限られない。
【0163】
プリンタエンジン15bは、データ転送制御部30bと、出力制御部55bと、M色のヘッドモジュール57b、58b、59b、及び60bと、データ転送制御部30bと出力制御部55bとを接続するデータ線32bと、出力制御部55bとM色のヘッドモジュール57b、58b、59b、及び60bとを接続する複数のデータ線62b、63b、64b、及び65bとを、有する。但し、色とヘッドモジュール57b、58b、59b、及び60bとの関係は、この例に限られない。
【0164】
プリンタエンジン15cは、データ転送制御部30cと、出力制御部55cと、Y色のヘッドモジュール57c、58c、59c、及び60cと、データ転送制御部30cと出力制御部55cとを接続するデータ線32cと、出力制御部55cとY色のヘッドモジュール57c、58c、59c、及び60cとを接続する複数のデータ線62c、63c、64c、及び65cとを、有する。但し、色とヘッドモジュール57c、58c、59c、及び60cとの関係は、この例に限られない。
【0165】
プリンタエンジン15dは、データ転送制御部30dと、出力制御部55dと、K色のヘッドモジュール57d、58d、59d、及び60dと、データ転送制御部30dと出力制御部55dとを接続するデータ線32dと、出力制御部55dとK色のヘッドモジュール57d、58d、59d、及び60dとを接続する複数のデータ線62d、63d、64d、及び65dとを、有する。但し、色とヘッドモジュール57d、58d、59d、及び60dとの関係は、この例に限られない。
【0166】
第2実施形態のように、プリンタ装置13に4台のプリンタエンジンが取り付けられている例では、プリンタエンジンは、1つのデータ転送制御部と、4つのヘッドモジュールとを、有するものとする。また、1つのデータ転送制御部と4つのヘッドモジュールとが対応するものとする。但し、プリンタ装置13に4台のプリンタエンジンが取り付けられている場合のプリンタエンジンの構成はこれに限定されるものではない。なお、データ転送制御部及びヘッドモジュールは、プリンタエンジンに着脱可能であるものとする。
【0167】
なお、プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dは、共通の構成を適用することができるので、以下では、プリンタエンジン15a、15b、15c、及び15dを代表してプリンタエンジン15aについて説明する。
【0168】
ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aは、それぞれ、データ線62a、63a、64a、及び65aが接続され、インクを吐出する複数のヘッドを有する。ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aは、それぞれ、搬送制御部51から通知される吐出契機信号に従い、後述の出力制御部55aに吐出データの転送を要求し、転送された吐出データに基づいて吐出対象のヘッドにインクを吐出させる。なお、ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aそれぞれと搬送制御部51とは、図示せぬ制御線で接続されているものとする。
【0169】
図20は、第2実施形態のヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aと印刷対象の1ページ分の画像データ320との関係の一例を示す説明図であり、図21は、ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aのインク吐出タイミングの一例を示すタイミングチャート図である。なお、図20及び図21に示す内容は、第1実施形態同様、説明のために簡略化して示したものであり、これに限定されるものではない。また、図20及び図21の説明内容は、ヘッドモジュール57b、58b、59b、及び60b、ヘッドモジュール57c、58c、59c、及び60c、並びにヘッドモジュール57d、58d、59d、及び60dについても適用できるため、ここでは、これらのヘッドモジュールについての説明は省略する。
【0170】
図20に示す例では、ヘッドモジュール57aは、ヘッド302a、302b、302c、及び302dを有する。ヘッド302a、302b、302c、及び302dは、それぞれ、中央部に1穴のノズル312a、312b、312c、及び312dを有し、それぞれ、ノズル312a、312b、312c、及び312dからインクを1回吐出させることで、印刷用紙300に1画素を形成することができるものとする。ヘッドモジュール58a、59a、及び60aについても同様の構成であるものとする。つまり、ヘッドモジュール58aは、それぞれ中央部に1穴のノズルを有するヘッド303a、303b、303c、及び303dを有する。ヘッドモジュール59aは、それぞれ中央部に1穴のノズルを有するヘッド304a、304b、304c、及び304dを有する。ヘッドモジュール60aは、それぞれ中央部に1穴のノズルを有するヘッド305a、305b、305c、及び305dを有する。
【0171】
また、P1〜P8は、搬送制御部51により印刷用紙300が矢印a方向に搬送された場合のPの位置を示しており、この位置で、少なくともいずれかのヘッドによるインク吐出が行われる。
【0172】
図21に示すタイミングチャート図では、縦軸がヘッドを示し、横軸がPの位置を示しており、PがP1〜P8に位置した場合のヘッドそれぞれの吐出タイミングを矩形波で示している。
【0173】
具体的に説明すると、まず、PがP1に位置すると、ヘッド302a、302bは、それぞれ、4ラスタ目の画素#13、#15と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール57aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57aは、出力制御部55aに対して、1回目(P=P1)の吐出データであるヘッド302a及び302bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド302a及び302bにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#13、#15である。
【0174】
続いて、PがP2に位置すると、ヘッド302c、302dは、それぞれ、4ラスタ目の画素#14、#16と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール57aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール57aは、出力制御部55aに対して、2回目(P=P2)の吐出データであるヘッド302c及び302dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド302c及び302dにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#14、#16である。
【0175】
続いて、PがP3に位置すると、ヘッド303a、303bは、それぞれ、3ラスタ目の画素#9、#11と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール58aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール58aは、出力制御部55aに対して、3回目(P=P3)の吐出データであるヘッド303a及び303bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド303a及び303bにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#9、#11である。
【0176】
続いて、PがP4に位置すると、ヘッド303c、303dは、それぞれ、3ラスタ目の画素#10、#12と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール58aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール58aは、出力制御部55aに対して、4回目(P=P4)の吐出データであるヘッド303c及び303dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド303c及び303dにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#10、#12である。
【0177】
続いて、PがP5に位置すると、ヘッド304a、304bは、それぞれ、2ラスタ目の画素#5、#7と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール59aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール59aは、出力制御部55aに対して、5回目(P=P5)の吐出データであるヘッド304a及び304bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド304a及び304bにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#5、#7である。
【0178】
続いて、PがP6に位置すると、ヘッド304c、304dは、それぞれ、2ラスタ目の画素#6、#8と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール59aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール59aは、出力制御部55aに対して、6回目(P=P6)の吐出データであるヘッド304c及び304dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド304c及び304dにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#6、#8である。
【0179】
続いて、PがP7に位置すると、ヘッド305a、305bは、それぞれ、1ラスタ目の画素#1、#3と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール60aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール60aは、出力制御部55aに対して、7回目(P=P7)の吐出データであるヘッド305a及び305bの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド305a及び305bにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#1、#3である。
【0180】
続いて、PがP8に位置すると、ヘッド305c、305dは、それぞれ、1ラスタ目の画素#2、#4と重なり(図20参照)、吐出タイミングとなるため、後述の搬送制御部51からヘッドモジュール60aに吐出契機信号が通知される。このため、ヘッドモジュール60aは、出力制御部55aに対して、8回目(P=P8)の吐出データであるヘッド305c及び305dの吐出データの転送を要求し、出力制御部55aから転送された吐出データを基にヘッド305c及び305dにインクを吐出させる(図21参照)。なお、この際、出力制御部55aから転送される吐出データは、画素#2、#4である。
【0181】
出力制御部55aは、データ線32aが接続されるとともに、データ線62a、63a、64a、及び65aが接続され、バッファ56aを有する。出力制御部55aは、プリンタ装置13に取り付けられているプリンタエンジンの台数に基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、データ転送制御部30aに対して画像データの転送を要求する。そして出力制御部55aは、要求した画素順序で転送された画像データを当該画素順序でヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して印刷用紙にインクを吐出させる。
【0182】
具体的には、出力制御部55aは、データ転送制御部30aからメモリ格納報告が通知されると、プリンタエンジンの台数に基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、メモリ格納報告が通知されたデータ転送制御部30aに画像データの転送を要求し、要求した画素順序で転送された画素を順次バッファ56aに格納する。そして出力制御部55aは、ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aのうちの吐出対象のヘッドモジュールからの転送要求に従い、バッファ56aに格納した画像データをデータ転送制御部から転送された画素順序で吐出対象のヘッドモジュールに転送する。
【0183】
なお、出力制御部55aは、第1実施形態同様、FPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されており、FPGAの回路構成をプリンタエンジンの取り付け台数に応じた回路構成に切り替え可能となっている。つまり第2実施形態では、FPGAの回路構成は、プリンタエンジンの取り付け台数が4台である場合の回路構成となっている。
【0184】
この場合、出力制御部55aは、データ線32aと、C色のヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aとを、接続するように設定する。これにより、データ転送制御部30aと、ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aとが、対応する。またこの場合、出力制御部55aは、プリンタエンジンの取り付け台数が4台の場合のインク吐出順序として、1色につき4台のヘッドモジュールでインク吐出を行う場合のインク吐出順序が設定される。
【0185】
図22−1〜図22−8は、第2実施形態の画像データの転送順序の一例を示す説明図であり、図20及び図21で説明したインク吐出順序でヘッドモジュール57a、58a、59a、60aにインク吐出を行わせるための転送順序を示している。なお、図22−1〜図22−8に示す内容も、説明のために簡略化して示したものであり、これに限定されるものではない。ここでは、図22−1〜図22−8に示すように、メモリ31aには、画像データ320(図20参照)を構成する画素#1〜#16が格納されているものとする。また図22−1〜図22−8に示す例では、出力制御部55aは、プリンタエンジンの取り付け台数が4台の場合のインク吐出順序として、図21のタイミングチャート図で示したようなインク吐出順序が設定されているものとする。
【0186】
この場合、まず、出力制御部55aは、図22−1に示すように、PがP1に位置したタイミングでインクが吐出される画素#13、#15(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#13、#15をバッファ56aに格納する。
【0187】
続いて、出力制御部55aは、図22−2に示すように、PがP2に位置したタイミングでインクが吐出される画素#14、#16(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#14、#16をバッファ56aに格納する。
【0188】
続いて、出力制御部55aは、図22−3に示すように、PがP3に位置したタイミングでインクが吐出される画素#9、#11(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#9、#11をバッファ56aに格納する。
【0189】
続いて、出力制御部55aは、図22−4に示すように、PがP4に位置したタイミングでインクが吐出される画素#10、#12(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#10、#12をバッファ56aに格納する。
【0190】
続いて、出力制御部55aは、図22−5に示すように、PがP5に位置したタイミングでインクが吐出される画素#5、#7(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#5、#7をバッファ56aに格納する。
【0191】
続いて、出力制御部55aは、図22−6に示すように、PがP6に位置したタイミングでインクが吐出される画素#6、#8(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#6、#8をバッファ56aに格納する。
【0192】
続いて、出力制御部55aは、図22−7に示すように、PがP7に位置したタイミングでインクが吐出される画素#1、#3(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#1、#3をバッファ56aに格納する。
【0193】
続いて、出力制御部55aは、図22−8に示すように、PがP8に位置したタイミングでインクが吐出される画素#2、#4(図21参照)の転送をデータ転送制御部30aに要求し、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出されて転送された画素#2、#4をバッファ56aに格納する。
【0194】
このようにしてバッファ56aに格納された画像データがヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aそれぞれからの転送要求に応じて順次ヘッドモジュール57a、58a、59a、及び60aに転送される。
【0195】
図23、図24は、第2実施形態における図14のSEQ119aの処理の詳細の一例を示すシーケンス図であり、図22−1〜図22−8で説明した画像データの転送順序、並びに図20及び図21で説明したインク吐出順序のシーケンス図である。なお、図23、図24において、符号G〜Iは、異なる図面間で対応する符号に処理が移行することを示す。
【0196】
まず、データ転送制御部30aは、上位装置10から色Cの1ページ目の画像データが転送され(SEQ300)、転送された色Cの1ページ目の画像データのメモリ31aへの格納が完了すると、出力制御部55aに対して色Cの1ページ目(ページ#1)のメモリ格納報告を通知する(SEQ311)。
【0197】
続いて、出力制御部55aは、データ転送制御部30aに対して、ヘッドモジュール57aの1回目(P=P1)の吐出データである画素#13、#15データの転送要求を行い(SEQ315)、データ転送制御部30aによりメモリ31aから読み出され、転送された画素#13、#15データをバッファ56aに格納する(SEQ316)。そして、出力制御部55aは、バッファ56aに画素#13、#15データを格納すると、ヘッドモジュール57aに対して、1回目の吐出データのバッファ格納報告を通知する(SEQ317)。
【0198】
以下、出力制御部55aは、ヘッドモジュール57aの2回目(P=P2)の吐出データ、ヘッドモジュール58aの3〜4回目(P=P3〜4)の吐出データ、ヘッドモジュール59aの5〜6回目(P=P5〜6)の吐出データ、及びヘッドモジュール60aの7〜8回目(P=P7〜8)の吐出データについても、SEQ315〜SEQ317と同様の処理を繰り返す(SEQ318〜SEQ338)。
【0199】
続いて、図24に移り、ヘッドモジュール57aは、搬送制御部51による印刷用紙の搬送によりPがP1に位置し、搬送制御部51から最初の吐出契機信号が通知されると(SEQ339)、出力制御部55aに1回目の吐出データの転送要求を行う(SEQ340)。そしてヘッドモジュール57aは、出力制御部55aによりバッファ56aから読み出され、転送された1回目の吐出データを基に対応するヘッドにインクを吐出させる(SEQ341、SEQ342)。また、出力制御部55aは、ヘッドモジュール57aへの転送が完了すると、データ転送制御部30aに対して、画素#13、#15の吐出完了報告を通知する(SEQ343)。
【0200】
以下、ヘッドモジュール57a及び出力制御部55aは、ヘッドモジュール57aの2回目(P=P2)の吐出データについても、SEQ339〜SEQ343と同様の処理を繰り返す(SEQ344〜SEQ348)。
【0201】
同様に、ヘッドモジュール58a及び出力制御部55aは、ヘッドモジュール58aの3〜4回目(P=P3〜4)の吐出データについても、SEQ339〜SEQ343と同様の処理を繰り返す(SEQ349〜SEQ358)。
【0202】
同様に、ヘッドモジュール59a及び出力制御部55aは、ヘッドモジュール59aの5〜6回目(P=P5〜6)の吐出データについても、SEQ339〜SEQ343と同様の処理を繰り返す(SEQ359〜SEQ368)。
【0203】
同様に、ヘッドモジュール60a及び出力制御部55aは、ヘッドモジュール60aの7〜8回目(P=P7〜8)の吐出データについても、SEQ339〜SEQ343と同様の処理を繰り返す(SEQ369〜SEQ378)。
【0204】
上記第1、2実施形態のように、プリンタ装置13では、プリンタエンジンのデータ転送制御部とヘッドモジュールとの間に出力制御部を配置し、プリンタエンジンの取り付け台数に応じた画像データの並べ替えパターンを出力制御部で管理する。この画像データの並べ替えパターンは、プリンタエンジンの取り付け台数に応じて定まるインク吐出順、詳細には、プリンタエンジンの取り付け台数で定まる1色当たりのヘッドモジュールの数に応じて定まるインク吐出順に合わせて、出力制御部で切り替え可能となっている。そして、出力制御部は、データ転送制御部で画像データを吐出順に並び替えて転送するのではなく、出力制御部が吐出部分の画素データをデータ転送制御部に要求し、データ転送制御部は要求された画像データをメモリから読み出し、出力制御部へ転送する。従って、第1、2実施形態によれば、データ転送制御部は、画像データの並べ替えに関与しないため、プリンタエンジンの取り付け台数が異なっても作り変える必要がない。また、画像データの並べ替えパターンは、1色当たりのヘッドモジュールの数に応じて出力制御部で切り替えることができるため、出力制御部もプリンタエンジンの取り付け台数が異なっても作り変える必要がない。このように第1、2実施形態によれば、データ転送制御部を作り変える必要がないため、スケーラビリティに優れたプリンタエンジンを提供でき、これによりスケーラビリティに優れたプリンタ装置を提供できる。
【0205】
(第3実施形態)
第1実施形態、第2実施形態では、画像データの並べ替えパターンの元となるインク吐出順は、プリンタエンジンの取り付け台数に応じて予め定められ、すなわち、プリンタエンジンの取り付け台数で定まる1色当たりのヘッドモジュールの数に応じて予め定められていた。この第3実施形態では、プリンタエンジンの取り付け台数以外の要素、例えばヘッドモジュールの仕様によりインク吐出順が定まり、かつ、出力制御部でインク吐出順に応じて画像データの並べ替えを行うものである。
【0206】
第3実施形態の印刷システムの基本構成は、図1〜8で説明した第1実施形態と同様である。従って、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、印刷装置に1台のプリンタエンジンが取り付けられている例である。
【0207】
第3実施形態では、転送管理テーブルを用いている。この転送管理テーブルは、データ転送制御部30a〜30dによるデータ転送処理や、画像出力部50における印刷処理を管理するために用いられる。プリンタコントローラ14において、制御部23は、上位装置10から送信された印刷ジョブ、用紙情報、ならびに、図13を用いて説明した(3)印刷条件を示す情報などに基づきこの転送管理テーブルを作成して保持する。具体的には、CPU321が転送管理テーブルを作成して、RAM323に記憶する。
【0208】
また、制御部23は、各データ転送制御部30a〜30dに対してデータ転送の開始要求や印刷指示などを行う際に、転送管理テーブルの情報のうち必要な情報を、各データ転送制御部30a〜30dに保持させる。例えば、制御部23は、当該情報を制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40a〜40dを介して各データ転送制御部30a〜30dに対して送信し、これら各データ転送制御部30a〜30dが有するレジスタなどの記憶手段に書き込む。
【0209】
データ転送制御部30aを例にとって、より具体的な例を説明する。制御部23は、転送管理テーブルの情報のうち必要な情報を、制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部30aに送信し、データ転送制御部30aにおけるロジック回路32a(データ転送制御部コントローラ135a)が有するレジスタに書き込む。
【0210】
各データ転送制御部30a〜30dは、このレジスタに書き込まれた転送管理テーブルの情報に従い、上位装置10に対する印刷画像データの転送要求や、画像出力部50に対する印刷指示を出す。なお、転送管理テーブルには、ページを識別するページ識別子が含まれ、各データ転送制御部30a〜30dは、このページ識別子に基づき転送管理テーブルの情報を選択し、データ転送および印刷処理を実行する。
【0211】
図25は、第3実施形態に適用される転送管理テーブルの一例を示す。転送管理テーブルは、C、M、Y、K各色に共通の情報と、各色毎の情報とを含む。また、各色共通の情報および各色毎の情報は、それぞれ、上位装置10からの印刷画像データの転送のために用いるデータ転送用の情報と、画像出力部50に対する印刷指示に関する情報である印刷用の情報とを含む。なお、転送管理テーブルに含まれる各情報は、テーブル形式で管理されるのに限られず、他のデータ管理形式で管理されるようにしてもよい。
【0212】
第3実施形態による各色共通の情報について説明する。図25に例示されるように、第3実施形態による転送管理テーブルでは、各色に共通の情報は、ページ識別子PBIDおよび1ページ当たりのデータ数を含むと共に、印刷用の情報として、解像度、階調、用紙送り長、用紙幅および印刷面を含む。また、各色で転送される印刷画像データのサイズが異なるため、各色に共通の情報は、データ転送用の情報を含まない。
【0213】
第3実施形態による各色毎の情報について説明する。各色毎の情報において、Color識別子が含まれると共に、データ転送用の情報と、印刷用の情報とが含まれる。第3実施形態に適用される各色毎の情報におけるデータ転送用の情報は、データ転送要否、データ転送元アドレス、データ転送先アドレスおよびデータ転送サイズを含む。
【0214】
第3実施形態に適用される各色毎の情報における印刷用の情報は、印刷要否、印刷不可領域(上、下、左および右)、ならびに、画像情報を含む。
【0215】
また、画像情報は、X方向有効サイズおよびY方向有効サイズを含む。
【0216】
図26は、第3実施形態において転送管理テーブルを用いたデータ転送制御部30aと制御部23間の通信例を示すシーケンス図である。図26では、図14のSEQ114以降について、転送管理テーブル及びデータの流れに着目して示している。なお、ここでは1色に限定する。
【0217】
まず、プリンタコントローラ14は、データ転送制御部30aに対してページ#1印刷開始指示を通知する(SEQ2630)。ページ#1印刷開始指示を受信したデータ転送制御部30aは、同様に出力制御部55にページ#1印刷開始指示を通知する(SEQ2631)。さらに、データ転送制御部30aは、メモリ31aからページ#1の転送管理テーブルを読み出し(SEQ2632)、読み出したページ#1の転送管理テーブルを出力制御部55に転送する(SEQ2633)。ここで、出力制御部55は、印刷する順にデータ転送制御部30aから印刷ページの転送管理テーブルを転送されるので、出力制御部55で転送管理テーブル全てを管理する必要がなく、制御の負荷を軽減することができる。
【0218】
そして、出力制御部55は、ヘッド形状等により予め規定されているインク吐出順序に基づき、データ転送制御部31aに対して、利用するデータ順にページ#1ラスタデータ転送要求を行う(SEQ2634)。転送要求を受信したデータ転送制御部30aは、要求されたラスタデータをメモリ31aから読み出し(SEQ2635)、読み出したラスタデータを出力制御部55に転送する(SEQ2636)。
【0219】
ラスタデータを受信した出力制御部55は、ラスタデータをインク吐出順序に並び替え、ヘッドモジュール57に順次転送する。SEQ2634からSEQ2636までの処理は、次のラスタデータに関しても同様に実行される(SEQ2637〜2639)。全てのラスタデータの転送を終了すると、出力制御部55は、データ転送制御部30aに対してページ#1印刷終了報告を行い(SEQ2640)、データ転送制御部30aはプリンタコントローラ14に対して同様にページ#1印刷終了報告を行う(SEQ2641)。
【0220】
次に、本実施形態のヘッドモジュールの構造について説明する。図27は、第3実施形態のヘッドモジュール57の具体的な構造例を示す図である。図27において、白抜き矢印は、用紙の搬送方向、すなわち副走査方向を示し、黒矢印は主走査方向を示す。なお、他のヘッドモジュールについても図26と同様の構造となっている。
【0221】
各ヘッドモジュール57,58,59,60には、ヘッド350及びヘッド351のように、複数のヘッドが千鳥状に配置されている。各ヘッド350,351は、ノズル列352〜355のように、4列のノズル列を備えている。そして、主走査方向に同位置に配置されたノズル列は同時に吐出を行う。
【0222】
また、例えば、ヘッド350のノズル列352とヘッド351のノズル列356のように、ヘッド内の同位置に存在するノズル列が、同一直線を印刷形成する。このため、ヘッドモジュール57,58,59,60において、ノズル列352と主走査方向に同位置に存在するノズル列で印刷後、用紙搬送のタイミングを合わせて、ノズル列356と主走査方向に同位置に存在するノズル列で印刷することで、1ラスタを形成できる。
【0223】
出力制御部55では、用紙搬送速度やノズル列の間隔に基づいて各ノズル列の吐出の順序が特定されるため、ヘッドモジュール57,58,59,60の仕様が異なれば、吐出順序も変化する。
【0224】
図28−1〜28−8は、図27に示したヘッドモジュール57を使用して、各ノズル列が印刷用紙385にインクを順次吐出するタイミング例を示した図である。図28−1〜28−8では、16ラスタの画像データを印刷する例を示している。
【0225】
なお、ノズル列の吐出順序に関しては、各ヘッドのノズル列が、左からN、N+2、N+1、N+3ラスタ目を吐出するものと仮定する(N=1,5,9,13)。図28−1〜28−8において、白抜き矢印は用紙の搬送方向(すなわち、副走査方向)を示し、黒矢印は主走査方向を示す。
【0226】
図28−1に示すタイミングでは、ノズル列373やノズル列377と主走査方向に同位置にあるノズル列は、1ラスタ目を吐出する。ただし、千鳥状のヘッド配置により、この時点では未印刷の箇所も存在する。
【0227】
図28−2に示すタイミングでは、ノズル列374やノズル列378と主走査方向に同位置にあるノズル列は、1ラスタ目がノズル列の下を通過後、3ラスタ目の位置にインクを吐出する。
【0228】
なお、ノズル列の間隔によっては、ノズル列373やノズル列377と主走査方向に同位置にあるノズル列は、先に5ラスタ目以降の吐出を順次行うことも可能である。ただし、図28−2のタイミングでは、吐出地点に未到達と仮定する。
【0229】
図28−3に示すタイミングでは、ノズル列375やノズル列379と主走査方向に同位置にあるノズル列は、2ラスタ目を吐出する。また、図28−3のタイミングまでに、ノズル列373やノズル列377と主走査方向に同位置にあるノズル列は5ラスタ目及び9ラスタ目を吐出し、ノズル列374やノズル列378と主走査方向に同位置にあるノズル列は7ラスタ目を吐出する。
【0230】
図28−4に示すタイミングでは、ノズル列376やノズル列380と主走査方向に同位置にあるノズル列は、4ラスタ目を吐出する。また、図28−4のタイミングまでに、ノズル列373やノズル列377と主走査方向に同位置にあるノズル列は13ラスタ目を吐出し、ノズル列374やノズル列378と主走査方向に同位置にあるノズル列は11ラスタ目を吐出する。
【0231】
図28−5に示すタイミングでは、ノズル列381と主走査方向に同位置にあるノズル列は、1ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。この時点で、1ラスタ目は完全に印刷される。また、図28−5のタイミングまでに、ノズル列374やノズル列378と主走査方向に同位置にあるノズル列は15ラスタ目を吐出し、ノズル列375やノズル列379と主走査方向に同位置にあるノズル列は6ラスタ目を吐出する。
【0232】
図28−6に示すタイミングでは、ノズル列382と主走査方向に同位置にあるノズル列は、3ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。この時点で、3ラスタ目は完全に印刷される。また、図28−6のタイミングまでに、ノズル列376やノズル列380と主走査方向に同位置にあるノズル列は8ラスタ目を吐出する。
【0233】
図28−7に示すタイミングでは、ノズル列383と主走査方向に同位置にあるノズル列は、2ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。この時点で、2ラスタ目は完全に印刷される。また、図28−7のタイミングまでに、ノズル列375やノズル列379と主走査方向に同位置にあるノズル列は10ラスタ目と14ラスタ目を吐出し、ノズル列376やノズル列380と主走査方向に同位置にあるノズル列は12ラスタ目と16ラスタ目を吐出する。
【0234】
同様に、ノズル列381と主走査方向に同位置にあるノズル列は、5ラスタ目と9ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出し、ノズル列382と主走査方向に同位置にあるノズル列は、11ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。このため、5、9、11ラスタ目も完全に印刷される。
【0235】
図28−8に示すタイミングでは、ノズル列384と主走査方向に同位置にあるノズル列は、4ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出する。この時点で、4ラスタ目は完全に印刷される。また、図28−8のタイミングまでに、ノズル列381と主走査方向に同位置にあるノズル列は、13ラスタ目の未印刷の箇所に、ノズル列382と主走査方向に同位置にあるノズル列は、11ラスタ目の未印刷の箇所に吐出する。ゆえに、11、13ラスタ目も完全に印刷される。
【0236】
その後、ノズル列384と主走査方向に同位置にあるノズル列が、16ラスタ目の未印刷の箇所にインクを吐出すると、16ラスタ目は完全に印刷され、所望の画像が形成される。
【0237】
次に、上記のようなインク吐出を行うため、出力制御部55がデータ転送制御部30aからラスタデータを受信してから、白データの挿入、データの並び替え、ヘッドモジュール57への吐出データ転送までの処理について説明する。図29は、出力制御部55がデータ転送制御部30aからラスタデータを受信してから、白データの挿入、データの並び替え、ヘッドモジュール57への吐出データ転送までの制御処理の手順を示すフローチャートである。図29では、出力制御部55がデータ転送制御部30aからラスタデータを受信した場合を例にあげて説明しているが、他のデータ転送制御部30b、30c、30dからラスタデータを受信した場合も同様である。
【0238】
出力制御部55は、データ転送制御部30aに対して、予めヘッド形状に合わせて定められている吐出順序ごとにラスタデータを転送要求し、データ転送制御部30aから該当データを受信する(ステップS2901)。
【0239】
次に、出力制御部55は、受信したラスタデータのX方向サイズの確認と白データの挿入を行う。すなわち、出力制御部55は、転送管理テーブルを参照して、転送管理テーブル登録されているラスタデータのX方向有効サイズがX方向印刷可能領域より小さいか否かを判定する(ステップS2902)。ここで、X方向印刷可能領域は、「用紙幅−[印刷不可領域(左)+印刷不可領域(右)]」であり、用紙幅、印刷不可領域(左),印刷不可領域(右)はいずれも転送管理テーブルに登録されているので、出力制御部55は、これを参照して取得する。
【0240】
そして、ラスタデータのX方向有効サイズがX方向印刷可能領域より小さい場合には(ステップS2902:Yes)、出力制御部55は、空き領域に白データを挿入してバウンダリ調整を実施する(ステップS2903)。
【0241】
ヘッドが千鳥状に配置されているヘッドモジュール57では、バウンダリ調整されたラスタデータ1列を一度に吐出することができないため、出力制御部55は、ラスタデータをヘッド配列に合わせて分割し、吐出タイミングごとに並び替える(ステップS2904)。
【0242】
そして、搬送制御部51から送出される吐出契機信号を契機として、ヘッドモジュール57は吐出データ転送要求を出力制御部55に転送し、出力制御部55は、吐出データ転送要求に応じて、並び替えたデータをヘッドモジュール57に転送し、印刷が実行される。
【0243】
ただし、吐出契機信号は、用紙搬送に同期して1ラスタ間隔で出力されるが、ヘッド間やノズル列間に特定の距離がある以上、1ラスタ間隔で吐出するデータが存在するとは限らない。そこで、出力制御部55は、ヘッドモジュール57からの吐出データ転送要求のタイミングに対応する吐出データが存在するか否かを判定する(ステップS2905)。
【0244】
そして、対応する吐出データが存在する場合には(ステップS2905:Yes)、出力制御部55はデータを転送する(ステップS2906)。一方、対応する吐出データが存在しない場合には(ステップS2907:No)、出力制御部55は吐出なしを意味する白データを転送する(ステップS2907)。
【0245】
このように本実施形態では、出力制御部55がヘッドモジュールの仕様により定まるインク吐出順に応じて画像データの並べ替えを行っているので、スケーラビリティに優れたプリンタエンジンを提供でき、これによりスケーラビリティに優れたプリンタ装置を提供できる。
【0246】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0247】
10 上位装置
11,11a,11b,11c,11d データ線
12 制御線
13 プリンタ装置
14 プリンタコントローラ
15 プリンタエンジン
20 制御情報送受信部
21 制御信号送受信部
22 用紙搬送制御部
30a,30b,30c,30d データ転送制御部
31a,31b,31c,31d メモリ
40a,40b,40c,40d エンジンI/F制御線
41 搬送制御線
50 画像出力部
51 搬送制御部
55 出力制御部
56、56a、56b、56c、56d バッファ
57、57a、57b、57c、57d、58、58a、58b、58c、58d、59、59a、59b、59c、59d、60、60a、60b、60c、60d ヘッドモジュール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0248】
【特許文献1】特開2008−183884号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、
前記1以上のエンジンは、
インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールと、
上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理する1以上のデータ転送制御部と、
前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記インク吐出順序は、前記エンジンの台数に基づく1色当たりのヘッドモジュールの数に応じて定まることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記インク吐出順序は、前記ヘッドモジュールの仕様に応じて定まることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記データ転送制御部に転送を要求する画素順序を、前記インク吐出順序に応じて切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷装置で実行される印刷方法であって、
前記印刷装置は、
前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、
前記1以上のエンジンは、
インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールを備え、
1以上のデータ転送制御部が、上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理するデータ転送制御ステップと、
出力制御部が、前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御ステップと、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項1】
印刷装置であって、
前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、
前記1以上のエンジンは、
インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールと、
上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理する1以上のデータ転送制御部と、
前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記インク吐出順序は、前記エンジンの台数に基づく1色当たりのヘッドモジュールの数に応じて定まることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記インク吐出順序は、前記ヘッドモジュールの仕様に応じて定まることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記データ転送制御部に転送を要求する画素順序を、前記インク吐出順序に応じて切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷装置で実行される印刷方法であって、
前記印刷装置は、
前記印刷装置に着脱可能であり、記録媒体に画像を印刷する1以上のエンジンを備え、
前記1以上のエンジンは、
インクを吐出する複数のヘッドを有する複数のヘッドモジュールを備え、
1以上のデータ転送制御部が、上位装置から所定の伝送路を介して転送される印刷対象の画像データを画素単位で管理するデータ転送制御ステップと、
出力制御部が、前記印刷装置に取り付けられているエンジンに基づいて定まるインク吐出順序に合わせた画素順序で、転送要求対象のデータ転送制御部に対して前記画像データの転送を要求し、前記画素順序で転送された前記画像データを当該画素順序で前記複数のヘッドモジュールのうちの吐出対象のヘッドモジュールに転送して前記記録媒体にインクを吐出させる出力制御ステップと、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11−1】
【図11−2】
【図11−3】
【図11−4】
【図11−5】
【図11−6】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22−1】
【図22−2】
【図22−3】
【図22−4】
【図22−5】
【図22−6】
【図22−7】
【図22−8】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28−1】
【図28−2】
【図28−3】
【図28−4】
【図28−5】
【図28−6】
【図28−7】
【図28−8】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11−1】
【図11−2】
【図11−3】
【図11−4】
【図11−5】
【図11−6】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22−1】
【図22−2】
【図22−3】
【図22−4】
【図22−5】
【図22−6】
【図22−7】
【図22−8】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28−1】
【図28−2】
【図28−3】
【図28−4】
【図28−5】
【図28−6】
【図28−7】
【図28−8】
【図29】
【公開番号】特開2012−81740(P2012−81740A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191041(P2011−191041)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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