説明

印刷装置及び印刷方法

【課題】装置サイズの増大及び機構の複雑化を抑制しつつ、処理効率を向上することが可能な印刷装置及び印刷方法を提供する。
【解決手段】被転写媒体に付与された固有の識別情報を読み取る第1読取手段と、前記第1読取手段により読み取られた識別情報を含む印刷データに基づいて中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、被転写媒体を取り込む取込手段と、前記取込手段により取り込まれた被転写媒体を搬送する搬送路上に設置され、搬送された被転写媒体の識別情報を読み取る第2読取手段と、前記第1読取手段により読み取った識別情報と、前記第2読取手段により読み取った識別情報とを照合し、前記取込手段により取り込まれた被転写媒体の正当性を判定する判定手段と、前記印刷手段により中間転写媒体に印刷された所定情報を、前記判定手段により正当と判定された被転写媒体に対して転写する転写手段と、を備えた印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カード類や通帳類などの被転写媒体に対して印刷を行う印刷装置の一つとして、中間転写フィルムを用いる中間転写印刷装置が知られている。中間転写フィルムに対する印刷と被転写媒体に対する転写とを並行して行なう場合、印刷データを予め作成し、被転写媒体への転写に先行して、当該被転写媒体に転写すべき画像の中間転写フィルムへの印刷を行う必要がある。
【0003】
近年、被転写媒体の固有情報を印刷データに反映させ、印刷データと物理的な被転写媒体の紐付けを行なう運用が増えつつある。そのため、被転写媒体の固有情報を予め読み取らなければ印刷データを作成できず、中間転写フィルムへの印刷を開始できないという制約が生じている。印刷と転写の並行動作を実現するために、予め複数の被転写媒体を印刷装置内に取り込み、被転写媒体の固有情報を読み取って印刷データを作成し、中間転写フィルムに対する印刷を複数画像分を先行させる場合、印刷装置内に取り込んだ複数の被転写媒体を待機させる場所が必要になる。このため、印刷装置内に長い搬送路を設ける必要があり、印刷装置のサイズ増大、あるいは、サイズ増大を抑えるために搬送路を折り曲げることなどによる搬送機構の複雑化を生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−074557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、装置サイズの増大及び機構の複雑化を抑制しつつ、処理効率を向上することが可能な印刷装置及び印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、
被転写媒体に付与された固有の識別情報を読み取る第1読取手段と、前記第1読取手段により読み取られた識別情報を含む印刷データに基づいて中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、被転写媒体を取り込む取込手段と、前記取込手段により取り込まれた被転写媒体を搬送する搬送路上に設置され、搬送された被転写媒体の識別情報を読み取る第2読取手段と、前記第1読取手段により読み取った識別情報と、前記第2読取手段により読み取った識別情報とを照合し、前記取込手段により取り込まれた被転写媒体の正当性を判定する判定手段と、前記印刷手段により中間転写媒体に印刷された所定情報を、前記判定手段により正当と判定された被転写媒体に対して転写する転写手段と、を備えたことを特徴とする印刷装置が提供される。
【0007】
本実施形態によれば、
被転写媒体に付与された固有の識別情報を読み取り、読み取った識別情報を含む印刷データに基づいて中間転写媒体に所定情報を印刷し、被転写媒体を取り込んで識別情報を読み取り、被転写媒体を取り込む前に読み取った識別情報と、被転写媒体を取り込んでから読み取った識別情報とを照合し、取り込んだ被転写媒体の正当性を判定し、正当と判定された被転写媒体に対して中間転写媒体に印刷された所定情報を転写する、ことを特徴とする印刷方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態に係る印刷装置の構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した印刷装置における主制御部の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態の印刷装置における印刷動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、本実施形態の印刷装置における転写動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5の(a)乃至(d)は、図1に示した転写部による中間転写フィルム上の所定情報を被転写媒体に転写する転写動作を説明するための図である。
【図6】図6は、中間転写フィルム28の上に印刷された所定情報が被転写媒体1の上に転写される様子を模式的に示す図である。
【図7】図7は、本実施形態の印刷装置による印刷と転写との並行動作のシーケンスを示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の印刷装置に適用可能なスタック機構の構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、本実施形態の印刷装置の構成例を概略的に示す図である。
【0011】
本実施形態の印刷装置20は、例えば、平板状のカード類や冊子状の通帳類などの被転写媒体1に対して所定情報を印刷する中間転写方式の印刷装置である。なお、被転写媒体1がユニークであることを保証するため、被転写媒体1には固有の識別情報が付与されている。例えば、識別情報とは、被転写媒体1の各々に付与されるユニークな番号などである。
【0012】
印刷装置20は、主として、印刷手段として機能する印刷部3、転写手段として機能する転写部4、第1読取手段として機能する第1読取部51、第2読取手段として機能する第2読取部52、取込手段として機能する取込部60、判定手段として機能するとともに各部を制御する主制御部10などを備えている。
【0013】
印刷部3は、中間転写媒体として機能する中間転写フィルム28に対して、印刷データに基づいて所定情報、すなわち固有の識別情報や顔画像情報などの所定情報を印刷するものである。この印刷部3は、サーマルヘッド5、このサーマルヘッド5に対向配置され正逆に自由回転するプラテンローラ6などを備えて構成された熱溶融転写印刷方式を採用している。なお、印刷部3は、例えば、インクジェット方式のような他の印刷方式を採用しても良い。
【0014】
サーマルヘッド5とプラテンローラ6との間には、例えばイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の溶融インクをダンダラ状に有したインクリボン7及び中間転写フィルム28が介在されている。この印刷部3では、このようなインクリボン7を用いてカラー画像や黒色文字の印刷が可能である。なお、インクリボン7としては、単色インクのみのリボンでも良く、また、紫外線によって発光する蛍光顔料インク、さらに、光沢面も持つ印刷用の金属薄膜(アルミ蒸着)層、或いは、印刷用のホログラム層等の機能を有するリボン材料を有していても良い。
【0015】
サーマルヘッド5は、所定の印刷位置において、中間転写フィルム28の印刷開始位置から所定情報を印刷する。プラテンローラ6は、弾性材料、例えば硬質のゴム材料を巻きつけることによって構成されている。インクリボン7は、その一端部が送出軸8に巻き付けられ、その他端部が巻取軸9に巻き付けられている。送出軸8及び巻取軸9の少なくとも一方は、正逆両方向に独立に駆動可能である。送出軸8から送出されたインクリボン7の中途部は、ガイドシャフト21,22に掛け渡されている。
【0016】
搬送機構30は、所定情報を有する中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。この搬送機構30は、第1軸31A及び第2軸31Bを有し、一方の軸から他方の軸に向かって中間転写フィルム28を搬送可能である。すなわち、中間転写フィルム28は、その一端側が印刷部3の上部側に設けられた第2軸31Bに巻き付けられ、その他端側が印刷部3の下部側に設けられた第1軸31Aに巻き付けられている。
【0017】
第1軸31A及び第2軸31Bは、それぞれ駆動モータM1及びM2によって駆動され、正逆両方向に独立に駆動可能である。また、これらの第1軸31A及び第2軸31Bを駆動する駆動モータM1及びM2は、印刷部3における印刷位置及び転写部4における転写位置に向けて中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。
【0018】
中間転写フィルム28を順方向Aに搬送する際(順搬送)には、第1軸31Aが中間転写フィルム28を巻き取り、第2軸31Bが中間転写フィルム28を送出する。また、中間転写フィルム28を逆方向Bに搬送する際(逆搬送)には、第2軸31Bが中間転写フィルム28を巻き取り、第1軸31Aが中間転写フィルム28を送出する。
【0019】
また、搬送機構30は、プラテンローラ6と転写部4との間に配置された搬送ローラ32を備えている。この搬送ローラ32は、印刷部3にて所定情報を印刷された中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送するものであり、正逆両方向に駆動可能である。この搬送ローラ32は、5相ステッピングモータ32A、タイミングベルト32B、及び、プーリ32Cによる減速機構を組み合わせて、正確な搬送速度で中間転写フィルム28を搬送する。
【0020】
第2軸31B及び第1軸31Aとの間では、中間転写フィルム28の中途部がガイドシャフト31a〜31cに掛け渡され、ほぼ一定のテンションに維持されている。ガイドシャフト31cは、ヒートローラ26を通過した後に中間転写フィルム28と被転写媒体1とを剥離する剥離ガイドとして機能する。
【0021】
テンション機構80は、搬送ローラ32と転写部4との間に配置されている。このテンション機構80は、搬送機構30によって搬送される中間転写フィルム28に対して所定テンションを付与する。すなわち、テンション機構80は、搬送される中間転写フィルム28にたるみが生じても、中間転写フィルム28に対して所定のテンションを付与して、たるみを改善する。
【0022】
転写部4は、中間転写フィルム28に印刷された所定情報を、被転写媒体1に対して転写するものである。この転写部4は、ヒートローラ26、このヒートローラ26に対向配置されたバックアップローラ27などを備えている。このヒートローラ26とバックアップローラ27との間には、中間転写フィルム28が介在されている。ヒートローラ26は、DCサーボモータもしくはステッピングモータにより正確な一定速度で駆動可能である。回転自在なバックアップローラ27は、ヒートローラ26との間に所定の圧力がかかるようにコイルバネ27Cによって付勢されている。
【0023】
このヒートローラ26は、転写時にのみ回転し、中間転写フィルム28に接触する。すなわち、中間転写フィルム28への印刷動作に伴って、中間転写フィルム28は、ヒートローラ26及びバックアップローラ27に接触することなく搬送される。転写時には、これらのヒートローラ26及びバックアップローラ27は、転写位置(ヒートローラ26とバックアップローラ27とが接触している位置)において、中間転写フィルム28と被転写媒体1とを被転写媒体1の厚さによらず一定の圧力で圧着しつつヒータ65からの熱によって加熱することにより、中間転写フィルム28の転写開始位置から中間転写フィルム28上に印刷された所定情報を被転写媒体に転写する。
【0024】
装置本体70には、取込口70A及び排出口70Bが形成されている。このような装置本体70の内部には、取込口70Aから排出口70Bに亘り、被転写媒体1を搬送するための搬送路11が設けられている。
【0025】
取込部60は、取込口70Aから、挿入された被転写媒体を装置本体70の内部に取り込むものである。この取込部60は、搬送ローラ対60Aなどを備えている。被転写媒体1が冊子状の通帳類である場合には、取込部60は、所定の頁を開いた状態で取込口70Aから手差しされた通帳類を取り込む。排出部62は、被転写媒体1を装置本体70から外部に排出するものである。この排出部62は、搬送ローラ対62Aなどを備えている。
【0026】
搬送路11には、取込部60から取り込まれた被転写媒体1を排出部62に向けて搬送する第1搬送ローラ対13A、第2搬送ローラ対13B、及び、第3搬送ローラ対13Cが設けられている。第1搬送ローラ対13Aは、転写部4より搬送方向上流側、つまり、取込部60側に配置されている。第2搬送ローラ対13B及び第3搬送ローラ対13Cは、転写部4より搬送方向下流側、つまり、排出部62側に配置されている。被転写媒体1が冊子状の通帳類である場合には、搬送路11上の被転写媒体1は、その綴目1Xの延出方向(図面の法線方向)に対して直交する方向に沿って搬送される。
【0027】
中間転写フィルム28の供給経路上には、第1センサS1及び第2センサS2が配置されている。これらの第1センサS1及び第2センサS2は、中間転写フィルム28の有効領域の外側に配置された位置マークを検知するための出力信号を出力する。また、被転写媒体1の搬送路11上には、第3センサS3及び第4センサS4が配置されている。これらの第3センサS3及び第4センサS4は、挿入された被転写媒体1の有無を検知するための出力信号を出力する。
【0028】
第1読取部51及び第2読取部52は、被転写媒体1に付与された固有の識別情報を読み取るものである。固有の識別情報が被転写媒体1のICチップに記憶されたデータである場合、第1読取部51及び第2読取部52は、例えば非接触式のICリーダによって構成される。固有の識別情報が被転写媒体1に印刷されたバーコードである場合には、第1読取部51及び第2読取部52は、バーコードリーダーによって構成される。固有の識別情報が被転写媒体1に印刷された機械読取可能な文字である場合には、第1読取部51及び第2読取部52は、光学式文字読取装置(あるいは、光学式文字認識装置と称する場合もある)(OCR)によって構成される。
【0029】
第1読取部51は、取込部60から転写部4までの搬送路外に設置されている。例えば、第1読取部51は、装置本体70の外側に設置されている。なお、この第1読取部51は、取込部60から繋がる搬送路2とは別の位置であれば、装置本体70の内部に設置されていても良い。このような第1読取部51は、取込部60から被転写媒体1を取り込む前に、印刷データを作成するのに必要な被転写媒体1に固有の識別情報を読み取るもの(印刷データ作成用)である。
【0030】
第2読取部52は、装置本体70の内部において、取込部60と転写部4との間の搬送路2上に設置されている。このような第2読取部52は、搬送路2上を搬送されている被転写媒体1の識別情報を読み取るものであって、より具体的には、中間転写フィルム28上に印刷された所定情報を被転写媒体1に転写するに際して、所定情報と被転写媒体1との正当性(すなわち、識別情報を含む所定情報が対応する識別情報の被転写媒体1に転写されるか否か)を判定するのに必要な被転写媒体1に固有の識別情報を読み取るもの(確認用)である。
【0031】
主制御部10は、例えば、詳述しないがキーボードなどの入力装置や、表示手段として機能する表示装置などを備えたコンピュータによって構成され、その詳細については、以下に説明する。
【0032】
図2は、図1に示した主制御部10の構成例を概略的に示すブロック図である。
【0033】
主制御部10は、メインCPU100を備えている。このメインCPU100には、メモリ部101、インターフェース部102、サーマルヘッド制御回路103、インクリボン搬送制御回路104、ヒータ温度制御回路105、ヒートローラ回転制御回路106、モータ制御回路107、媒体搬送制御回路108、センサ入力回路109、印刷データ生成部110、判定部111、入力装置112、表示装置113などが接続されている。
【0034】
メモリ部101は、装置全体の駆動を制御するのに必要な制御プログラムなどを記憶している。また、このメモリ部101は、第1読取部51及び第2読取部52によって読み取った識別情報や、印刷データを一時的に記憶する。インターフェース部102は、ホストコンピュータや、スキャナなどの各種データ入力装置といった外部機器などと接続され、これらの外部機器から印刷に必要なデータなどを受信する。また、このインターフェース部102は、第1読取部51及び第2読取部52と接続され、これらの第1読取部51及び第2読取部52によって読み取った識別情報を受信する。
【0035】
サーマルヘッド制御回路103は、印刷データに基づいてサーマルヘッド5の印刷動作を制御する。インクリボン搬送制御回路104は、印刷部3の送出軸8及び巻取軸9の駆動を制御する。ヒータ温度制御回路105は、ヒートローラ26内部のヒータ65を駆動して、ヒートローラ26を所定の温度に維持するよう制御する。ヒートローラ回転制御回路106は、ヒートローラ26の回転駆動を制御する。
【0036】
モータ制御回路107は、搬送機構30の第1軸31A、第2軸31B、及び、搬送ローラ32の駆動を制御する。媒体搬送制御回路108は、取込部60の搬送ローラ対60A、搬送路11上の搬送ローラ対13A、13B、13C、及び、排出部62の搬送ローラ対62Aの駆動を制御する。センサ入力回路109は、第1センサS1及び第2センサS2から出力信号に基づいて中間転写フィルム28の位置マークを検知する。また、センサ入力回路109は、第3センサS3及び第4センサS4から出力信号に基づいて被転写媒体1の有無を検知する。
【0037】
印刷データ生成部110は、第1読取部51により読み取られた識別情報や、外部機器などから入力された各種データに基づいて印刷データを生成する。判定部111は、装置本体70に取り込む前の被転写媒体1から第1読取部51により読み取った識別情報と、装置本体70に取り込んだ被転写媒体1から第2読取部52により読み取った識別情報とを照合し、取り込んだ被転写媒体1の正当性を判定する。入力装置112は、印刷データの作成に必要なデータの入力、印刷開始を指示する入力、転写開始を指示する入力などを行うためのものである。表示装置113は、第1読取部51及び第2読取部52で読み取った識別情報、入力装置112から入力されたデータなどを表示するものである。
【0038】
次に、本実施形態の印刷装置20における印刷部3での印刷動作について説明する。
【0039】
図3は、本実施形態の印刷装置20における印刷動作を説明するためのフローチャートである。
【0040】
まず、第1読取部51は、被転写媒体1から識別情報を読み取る(ST11)。そして、第1読取部51は、主制御部10との間での通信により、読み取った識別情報を主制御部10に送信する(ST12)。メインCPU100は、第1読取部51から受信した識別情報をメモリ部101に記憶する一方で、印刷データ生成部110を制御して、印刷データを生成する(ST13)。その後、メインCPU100は、印刷開始指示を受信したのに基づいて、印刷動作を開始する(ST14)。
【0041】
すなわち、メインCPU100は、モータ制御回路107を制御して、搬送機構30としての第1軸31A及び第2軸31B、及び、搬送ローラ32を駆動し、中間転写フィルム28を送出する。そして、メインCPU100は、センサ入力回路109を介して第1センサS1からの出力信号に基づいて送出された中間転写フィルム28の印刷位置を示す位置マークを検知する。位置マークは、例えば、中間転写フィルム28上に予めプレ印刷される黒や白あるいはホロ柄などのマークであり、マーク検知結果を用いて中間転写フィルム28を印刷開始の位置に制御する。
【0042】
続いて、メインCPU100は、インクリボン搬送制御回路104を制御して送出軸8及び巻取軸9を駆動するとともに、印刷データ生成部110によって生成された印刷データに基づいてサーマルヘッド制御回路103を制御してサーマルヘッド5を駆動し、インクリボン7のインクを中間転写フィルム28の受像兼接着層の表面に転写してカラーまたは黒色の所定情報を印刷する。印刷された所定情報は、反転画像であるという特徴がある。
【0043】
すなわち、サーマルヘッド5は、中間転写フィルム28が順方向Aに搬送されている間に印刷データに基づいて発熱することにより、インクリボン7のインクが溶融されて中間転写フィルム28の表面に転写される。複数色の重ね合わせ印刷の場合には、中間転写フィルム28は、重ね合わせる色数と同じ回数だけサーマルヘッド5の元を往復することで行われる。つまり、カラー印刷を行う場合、中間転写フィルム28への複数の色のうちの第1色目の印刷動作が完了した後、中間転写フィルム28を逆方向Bに搬送し、中間転写フィルム28における印刷開始位置をサーマルヘッド5による印刷位置に整合させ、中間転写フィルム28への第2色目の印刷動作を行う。そして、必要に応じて複数の色を順次重ね合わせる。
【0044】
ここで顔画像情報などの所定情報をカラー印刷する場合には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の三原色に加えて黒の4色を重ね合わせる。但し、文字画像情報を印刷する色よりもイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)などの色の重ね合わせ印刷を優先して行う。文字画像情報を印刷する色、例えば黒色(K)は、最後に重ね合わせられる。なお、重ね合わせるインクとしては、上記の4色の印刷色に加えて、蛍光顔料を含んだインクや接着性を高める機能性インクなどを付与してもよい。
【0045】
上述したような印刷動作によって中間転写フィルム28上に印刷された所定情報は、印刷部3における印刷位置と転写部4における転写位置との間に少なくとも1画像分ストックされる。図1に示した例は、中間転写フィルム28の印刷予定エリアI0に所定情報を印刷する前の状態であり、印刷部3による印刷位置と転写部4による転写位置との間にストックされた印刷済みの所定情報I1が1つある場合を示している。
【0046】
次に、本実施形態の印刷装置20における転写部4での転写動作について説明する。
【0047】
図4は、本実施形態の印刷装置20における転写動作を説明するためのフローチャートである。
【0048】
本実施形態では、印刷部3で印刷された所定情報を有する中間転写フィルム28の印刷面(接着層面)と被転写媒体1である通帳類の印刷対象頁とを重ね合わせて、ヒートローラによる加圧・加熱を行い、所定情報とともに接着層を通帳類上に同時に転写する。なお、セキュリティ性を高めるために、中間転写フィルム28にホログラム層を加えることも可能である。
【0049】
まず、メインCPU100は、媒体搬送制御回路108を制御して、取込口70Aから被転写媒体1を取り込む(ST21)。すなわち、第1読取部51において識別情報が読み取られた被転写媒体1は、所定の頁を開いた状態で取込口70Aから手差し挿入される。被転写媒体1が通帳類である場合、取込口70Aから手差しされた通帳類は、取込部60より装置本体70の内部に取り込まれる。取り込まれた被転写媒体1は、搬送路11上を第2読取部52に向けて搬送される。そして、第2読取部52は、被転写媒体1から識別情報を読み取る(ST22)。第2読取部52は、読み取った識別情報をメインCPU100に送信する。
【0050】
そして、メインCPU100は、第1読取部51により読み取った識別情報、より具体的にはメモリ部101に記憶されている被転写媒体1の識別情報と、第2読取部52により読み取った識別情報と、に基づいて、取り込んだ被転写媒体1の正当性を判定する(ST23)。すなわち、メインCPU100は、判定部111を制御して、取込部60により取り込んだ被転写媒体1の識別情報が、既に中間転写フィルム28に印刷済みであって転写待ちでストックされている所定情報(図1に示した例では、印刷予定エリアI0に印刷予定の所定情報よりも先行して印刷された所定情報I1)に付与した識別情報と一致するか否かを判定する。
【0051】
そして、メインCPU100は、判定部111により、取り込んだ被転写媒体1が正当ではないと判定した場合には(ST23,NO)、媒体搬送制御回路108を制御して、被転写媒体1を逆方向に搬送して取込部60により取込口70Aから被転写媒体1を排出する、あるいは、被転写媒体1を順方向に搬送して排出部62により排出口70Bから被転写媒体1を排出する(ST25)。一方で、メインCPU100は、判定部111により、取り込んだ被転写媒体1が正当であると判定した場合には(ST23,YES)、取り込んだ被転写媒体1が正しい印刷対象物であるため、被転写媒体1を転写部4に向けて搬送し、転写開始指示を受信したのに基づいて、転写動作を開始する(ST24)。
【0052】
図5の(a)乃至(d)は、図1に示した転写部4による中間転写フィルム28上の所定情報を被転写媒体1に転写する転写動作を説明するための図である。
【0053】
まず、図5の(a)に示すように、待機時においては、ヒートローラ26は、そのカット面26Aが搬送路11に対して略平行に対向するように配置されている。これにより、ヒートローラ26とバックアップローラ27との間には、被転写媒体1を挿入可能な隙間が形成されている。このとき、中間転写フィルム28は、ヒートローラ26及びバックアップローラ27に接触していない。
【0054】
メインCPU100は、モータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動し、印刷部3において所定情報が印刷された中間転写フィルム28を順方向Aに向けて送出する。そして、メインCPU100は、センサ入力回路109を介して第2センサS2からの出力信号に基づいて送出された中間転写フィルム28の位置マークを検知する。これにより、中間転写フィルム28は、その転写開始位置がヒートローラ26による転写位置に到達するまで送出される。
【0055】
一方、メインCPU100は、媒体搬送制御回路108を制御し、第1搬送ローラ対13A及び第2搬送ローラ対13Bを駆動し、被転写媒体(印刷頁を開いた状態で取り込まれた通帳類)1を転写部4における転写位置まで搬送する。
【0056】
続いて、図5の(b)に示すように、メインCPU100は、センサ入力回路109を介して第3センサS3からの出力信号に基づいて、媒体搬送制御回路108を制御し、被転写媒体1上における転写開始位置を転写部4における転写位置に整合させる。このとき、被転写媒体1は、ヒートローラ26が回転した際に、ヒートローラ26におけるカット面26Aのエッジ部が被転写媒体1の綴目1Xの近傍に当接されるよう位置決めされる。
【0057】
続いて、図5の(c)に示すように、メインCPU100は、所定のタイミングでヒートローラ回転制御回路106を制御して、ヒートローラ26を回転させる。すなわち、互いに位置決めされた中間転写フィルム28及び被転写媒体1は、円周の一部が切り欠かれた形状のカット面26Aを有するヒートローラ26の回転とともに重ね合わされる。このとき、中間転写フィルム28の供給方向に直交する幅方向に対して、被転写媒体1の綴目1Xが略平行となるよう互いに重ね合わせて転写を開始する。これと同時に、搬送ローラ対13A及び13Bによる被転写媒体1の搬送と、搬送機構30による中間転写フィルム28の搬送とが行われ、ヒートローラ26により、中間転写フィルム28及び被転写媒体1は、加圧されながら加熱される。その後、被転写媒体1に対して60°〜110°の角度をもって中間転写フィルム28が引き上げられて、被転写媒体1に所定情報が転写される。
【0058】
このときの様子は、図6に示されている。すなわち、中間転写フィルム28のベース層28Aが引き上げられるのに伴って、所定情報Iが印刷された受像兼接着層28C及びホログラム層28Bが被転写媒体1の所定のページ上に転写される。
【0059】
続いて、図5の(d)に示すように、メインCPU100は、媒体搬送制御回路108を制御して、第1搬送ローラ対13A及び第2搬送ローラ対13Bを駆動し、転写が完了した被転写媒体を排出する。
【0060】
以上が、被転写媒体1の基本的な印刷手順である。
【0061】
このような印刷装置20によれば、第1読取部51により予め被転写媒体1の識別情報を読み取って印刷データを生成し、複数個の被転写媒体1に対応した所定情報の中間転写フィルム28への印刷を先行して行うことにより、装置本体70の内部に複数の被転写媒体の待機機構を設ける必要がない。このため、取込部60から転写部4までの搬送路長を拡大したり機構を複雑化したりすることはなく、装置サイズの増大及び機構の複雑化を抑制することが可能となる。
【0062】
しかも、上述した印刷装置20では、印刷部3における中間転写フィルム28に対する印刷と転写部4における被転写媒体1に対する転写との各動作時間をできるだけ重ね合わせるように並行動作を行うことが可能である。すなわち、印刷部3による印刷動作の少なくとも一部は、印刷位置と転写位置との間にストックされた少なくとも1画像分の所定情報の転写部4による転写動作と並行して行われる。つまり、印刷部3が中間転写フィルム28に所定情報を印刷するのと並行して、転写部4は、印刷部3によって中間転写フィルム28に先行して印刷された所定情報の被転写媒体1への転写を行う。これにより、処理時間の短縮が可能となり、処理効率を向上することが可能となる。
【0063】
上述したような印刷装置20では、印刷部3において処理に要する時間が最も長く、この処理時間内に転写部4における転写動作を重ね合わせることが望ましい。例えば、印刷部3が中間転写フィルム28に複数の色(例えば、4色以上の色)を順次重ね合わせて所定情報を印刷する場合、転写部4は、印刷部3が中間転写フィルム28に所定情報を印刷するに際して最後の色を重ね合わせる印刷動作と並行して、転写動作を行う。
【0064】
このように、重ね合わせる最後の色の印刷動作と同時に転写動作を行うことにより、印刷部3による重ね合わせ印刷のために印刷部3に向けて中間転写フィルム28を逆搬送する必要がなくなる。図1に示した例では、中間転写フィルム28の印刷予定エリアI0への複数の色の重ね合わせ印刷を行い、最後に重ね合わせられる色すなわち黒色の印刷動作時に、印刷位置と転写位置との間にストックされた所定情報I1を被転写媒体1に転写する転写動作をほぼ同時に行う。
【0065】
このような並行動作を可能とする制御は、特に複数の被転写媒体1に対して連続的に所定情報を転写する場合に有利である。図7を参照しながらより具体的に説明する。
【0066】
図7は、本実施形態の印刷装置20による印刷と転写との並行動作のシーケンスを示す図である。
【0067】
図中の左側の列は、第1読取部51による識別情報の先読みシーケンスを示しており、ここでは、所定情報が転写される前の5冊の被転写媒体1からそれぞれ固有の識別情報を読み取るシーケンスを示している。図中の中央の列は、印刷部3による印刷シーケンスを示しており、5冊の被転写媒体1のそれぞれに対応した所定情報がシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に4色重ね合わせ印刷されるシーケンスを示している。なお、ここに示した印刷シーケンスには、印刷動作と並行して行われる転写動作についても示されている。図中の右側の列は、被転写媒体1の処理シーケンスを示している。
【0068】
図示した例では、まず、第1読取部51において1冊目の被転写媒体1Aの識別情報が読み取られた後、印刷部3において当該被転写媒体1Aに印刷すべき所定情報の印刷動作が開始される。また、その一方で、当該被転写媒体1Aは、取込部60から装置本体70の内部に取り込まれ、
第1読取部51において2冊目の被転写媒体1Bの識別情報が読み取られた後、当該被転写媒体1Bは、取込部60から取り込まれることはなく、図示しないスタック機構にスタックされる。同様に、第1読取部51において3冊目の被転写媒体1Cの識別情報が読み取られた後、当該被転写媒体1Cは、図示しないスタック機構にスタックされる。さらに、第1読取部51において4冊目の被転写媒体1Dの識別情報が読み取られた後、当該被転写媒体1Dはスタック機構にスタックされ、その後、第1読取部51において5冊目の被転写媒体1Eの識別情報が読み取られた後、当該被転写媒体1Eはスタック機構にスタックされる。このとき、スタック機構では、例えば、後からスタックされる被転写媒体が順次上方に積み重ねられる。
【0069】
印刷部3においては、被転写媒体1Aに印刷すべき所定情報が中間転写フィルム28の上に印刷された後に、中間転写フィルム28が順搬送され、被転写媒体1Bに印刷すべき所定情報が中間転写フィルム28の上に印刷される。そして、2冊目の被転写媒体1Bに印刷すべき所定情報のブラック(K)の印刷動作とともに、1冊目の被転写媒体1Aに対して、先行して印刷されていた所定情報が転写される。そして、所定情報を転写済の被転写媒体1Aが排出された後に、2冊目の被転写媒体1Bがスタック機構から装置本体70の内部に取り込まれる。
【0070】
同様にして、3冊目の被転写媒体1Cに印刷すべき所定情報のブラック(K)の印刷動作とともに、2冊目の被転写媒体1Bに対して、先行して印刷されていた所定情報が転写される。そして、所定情報を転写済の被転写媒体1Bが排出された後に、3冊目の被転写媒体1Cがスタック機構から装置本体70の内部に取り込まれる。
【0071】
同様にして、4冊目の被転写媒体1Dに印刷すべき所定情報のブラック(K)の印刷動作とともに、3冊目の被転写媒体1Cに対して、先行して印刷されていた所定情報が転写される。そして、所定情報を転写済の被転写媒体1Cが排出された後に、4冊目の被転写媒体1Dがスタック機構から装置本体70の内部に取り込まれる。
【0072】
同様にして、5冊目の被転写媒体1Eに印刷すべき所定情報のブラック(K)の印刷動作とともに、4冊目の被転写媒体1Dに対して、先行して印刷されていた所定情報が転写される。そして、所定情報を転写済の被転写媒体1Dが排出された後に、5冊目の被転写媒体1Eがスタック機構から装置本体70の内部に取り込まれる。そして、この被転写媒体1Eは、転写部4にて所定情報が転写された後に、排出され、一連の処理が終了する。
【0073】
図示したように、印刷と転写との並行動作を行うためには、印刷を少なくとも1画面以上は先行させて行わなくてはならない。印刷を行うための印刷データは、被転写媒体1の識別情報を得てからでないと生成できないため、第1読取部51において、先行して識別情報を読み取る必要がある。第1読取部51において識別情報を読み取った順に印刷部3において所定情報の印刷が行われるため、被転写媒体1を装置本体70に挿入する順序もそれに合わせる必要がある。
【0074】
人為的なミスにより、挿入順序に誤りが出る可能性もあるが、第2読取部52における読取結果と照合することで、挿入順序の整合性を維持することができる。なお、図7のシーケンス図においては、2冊目の印刷と1冊目の転写を並行動作させる例で記述されているが、3冊目の印刷と1冊目の転写、あるいは4冊目の印刷と1冊目の転写を並行に行っても良い。
【0075】
また、本実施形態においては、印刷装置20の表示装置113は、取込部60から取り込むべき被転写媒体1の識別情報を表示するように構成しても良い。すなわち、作業者が被転写媒体1を取込口70Aから挿入する際、転写待ちでストックされている所定情報の識別情報(あるいは、挿入すべき順序の被転写媒体1に対応する識別情報)が挿入ガイダンスとして表示装置113に表示されることにより、前述した人為的なミスによる挿入順序の誤りを抑制することが可能となる。
【0076】
図8は、本実施形態の印刷装置20に適用可能なスタック機構200の構成例を概略的に示す図である。
【0077】
スタック手段として機能するスタック機構200は、第1読取部51により識別情報が読み取られた被転写媒体1を順次上方に積み重ねるものである。このスタック機構200では、例えば、被転写媒体1が所定の頁を開いた状態で積み重ねられている。最上部に積み上げた被転写媒体1に対しては、一定の質量を有する錘201を載置し、積み上げた被転写媒体1を抑え、浮きを防止している。
【0078】
取出手段として機能するピッカー210は、スタック機構200に積み重ねられた被転写媒体1のうち、最下方の被転写媒体1を取り出すものである。ピッカー210は、鍵爪のような形状を有する機構であり、被転写媒体1を引っ掛けて取り出す。
【0079】
図示した例では、被転写媒体1の綴目1Xの延出方向をX方向とし、被転写媒体1を取込部に向けて搬送する方向をY方向としとき、所定の頁を開いた状態の被転写媒体1は、X−Y平面内にあるものとする。なお、これらのX方向及びY方向は互いに直交する方向である。被転写媒体1は、X−Y平面に直交するZ方向に積み重ねられる。
【0080】
このような構成においては、第1読取部で識別情報が読み取られ所定の頁を開いた状態の被転写媒体1は、錘201が上がっている状態で最上部から挿入され、錘201が下がることで浮きが防止される。これにより、被転写媒体1は、スタック機構200に積み上げられる。そして、最下部の被転写媒体1は、ピッカー210により取り出される。このとき、ピッカー210は、被転写媒体1の綴目1Xの端部付近に鍵爪を引っ掛け、綴目1Xの延出方向に平行な方向つまりX方向に被転写媒体1を取り出す。取り出された被転写媒体1は、Y方向に搬送され、取込部60の搬送ローラ対60Aに押し当てられ、取り込まれる。
【0081】
これにより、スタック機構200に積み重ねた順に被転写媒体1を取込口に向けて取り込むことにより、人為的なミスによる被転写媒体1の挿入順序の誤りを防ぐことが可能である。また、錘201により被転写媒体1の浮きが防止されるため、取り出しの安定化を図ることが可能となる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態によれば、装置サイズの増大及び機構の複雑化を抑制しつつ、処理効率を向上することが可能な印刷装置及び印刷方法を提供することが可能となる。
【0083】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0084】
以下に、本発明を付記する。
【0085】
(1) 被転写媒体に付与された固有の識別情報を読み取る第1読取手段と、
前記第1読取手段により読み取られた識別情報を含む印刷データに基づいて中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
被転写媒体を取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込まれた被転写媒体を搬送する搬送路上に設置され、搬送された被転写媒体の識別情報を読み取る第2読取手段と、
前記第1読取手段により読み取った識別情報と、前記第2読取手段により読み取った識別情報とを照合し、前記取込手段により取り込まれた被転写媒体の正当性を判定する判定手段と、
前記印刷手段により中間転写媒体に印刷された所定情報を、前記判定手段により正当と判定された被転写媒体に対して転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【0086】
(2) 前記印刷手段が中間転写媒体に所定情報を印刷するのと並行して、前記転写手段は、前記印刷手段により中間転写媒体に先行して印刷された所定情報の被転写媒体への転写を行うことを特徴とする(1)に記載の印刷装置。
【0087】
(3) 前記印刷手段は、中間転写媒体に複数の色を順次重ね合わせて所定情報を印刷することを特徴とする(1)または(2)に記載の印刷装置。
【0088】
(4) 前記転写手段は、前記印刷手段が中間転写媒体に所定情報を印刷する際に最後の色を重ね合わせる印刷動作と並行して、前記印刷手段により中間転写媒体に先行して印刷された所定情報の被転写媒体への転写を行うことを特徴とする(3)に記載の印刷装置。
【0089】
(5) さらに、前記第1読取手段により識別情報が読み取られた被転写媒体を順次上方に積み重ねるスタック手段を備え、
前記取込手段は、前記スタック手段に積み重ねられた被転写媒体のうち、最下方の被転写媒体を取り込むことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0090】
(6) 前記スタック手段は、所定の頁を開いた状態の被転写媒体を積み重ね、
前記取出手段は、被転写媒体の綴目の延出方向に平行な方向に被転写媒体を取り出すことを特徴とする(5)に記載の印刷装置。
【0091】
(7) さらに、前記取込手段から取り込むべき被転写媒体の識別情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0092】
(8) 前記第1読取手段及び前記第2読取手段の各々は、ICリーダ、バーコードリーダー、光学式文字読取装置(OCR)のいずれかであることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の印刷装置。
【符号の説明】
【0093】
20…印刷装置
3…印刷部
4…転写部
28…中間転写フィルム
51…第1読取部 52…第2読取部
60…取込部
62…排出部
70…装置本体 70A…取込口 70B…排出口
10…主制御部
100…メインCPU 101…メモリ部
110…印刷データ生成部 111…判定部
112…入力装置 113…表示装置
200…スタック機構 201…錘 210…ピッカー
1…被転写媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被転写媒体に付与された固有の識別情報を読み取る第1読取手段と、
前記第1読取手段により読み取られた識別情報を含む印刷データに基づいて中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
被転写媒体を取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込まれた被転写媒体を搬送する搬送路上に設置され、搬送された被転写媒体の識別情報を読み取る第2読取手段と、
前記第1読取手段により読み取った識別情報と、前記第2読取手段により読み取った識別情報とを照合し、前記取込手段により取り込まれた被転写媒体の正当性を判定する判定手段と、
前記印刷手段により中間転写媒体に印刷された所定情報を、前記判定手段により正当と判定された被転写媒体に対して転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷手段が中間転写媒体に所定情報を印刷するのと並行して、前記転写手段は、前記印刷手段により中間転写媒体に先行して印刷された所定情報の被転写媒体への転写を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷手段は、中間転写媒体に複数の色を順次重ね合わせて所定情報を印刷することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記転写手段は、前記印刷手段が中間転写媒体に所定情報を印刷する際に最後の色を重ね合わせる印刷動作と並行して、前記印刷手段により中間転写媒体に先行して印刷された所定情報の被転写媒体への転写を行うことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
被転写媒体に付与された固有の識別情報を読み取り、
読み取った識別情報を含む印刷データに基づいて中間転写媒体に所定情報を印刷し、
被転写媒体を取り込んで識別情報を読み取り、
被転写媒体を取り込む前に読み取った識別情報と、被転写媒体を取り込んでから読み取った識別情報とを照合し、取り込んだ被転写媒体の正当性を判定し、
正当と判定された被転写媒体に対して中間転写媒体に印刷された所定情報を転写し、
中間転写媒体に所定情報を印刷するのと並行して、中間転写媒体に先行して印刷された所定情報を被転写媒体に転写する、
ことを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−28122(P2013−28122A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166779(P2011−166779)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】