説明

印刷装置及び搬送制御方法

【課題】ウェブの種類によらずにバッファプレートの角度を適正範囲内に収める。
【解決手段】ウェブに像を形成する印刷部と、印刷部においてウェブを搬送する印刷搬送部と、印刷部よりも搬送方向下流側でウェブを搬送する定着搬送部と、バッファプレートを有し、当該バッファプレートを動作させて、印刷搬送部と定着搬送部との搬送差によって生じるウェブの弛みを吸収するバッファ部と、ウェブの搬送停止契機になると、ウェブの搬送速度を減速させる減速動作を印刷搬送部に行わせる印刷搬送制御部と、ウェブの搬送停止契機になると、ウェブの搬送速度を減速させる第1減速動作を定着搬送部に行わせるとともに、所定時間が経過するまでの間、定着搬送部によるウェブの搬送量を計測し、当該搬送量に基づいて、定着搬送部に行わせている第1減速動作を第2減速動作に変更させる定着搬送制御部112と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び搬送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブ(例えば、巻取紙)に印刷を行う印刷装置では、印刷搬送部と定着搬送部との2つの搬送部でウェブの搬送が行われるが、それぞれ駆動源が異なるため、ウェブの搬送量に差が生じる。このため、このような印刷装置では、一方向に反力を発生しかつ円弧動作するバッファプレートを有するバッファ部を、印刷搬送部と定着搬送部との間に設け、バッファプレートの角度を変更することで、ウェブの搬送量の差を吸収する。
【0003】
バッファプレートは、自身の角度が一定範囲を超えるとウェブを破断する恐れがあり、自身の角度が一定範囲よりも小さくなると張力不足よりウェブの搬送不良を生じさせる恐れがある。このため、このような印刷装置では、バッファプレートの角度が一定範囲に収まるようにウェブの搬送を制御する必要がある。
【0004】
但し、印刷搬送部では、印刷部においてウェブの定められた位置にトナー像を転写させるようにウェブを搬送する必要がある。このため、このような印刷装置では、通常、定着搬送部において、バッファプレートの角度が一定範囲に収まるようにウェブを搬送する。
【0005】
ここで、ウェブの搬送を停止する場合、定着搬送部は、バッファプレートの角度が一定範囲に収まる状態でウェブの搬送を停止させるようにブレーキ力を発生させる必要があるが、発生させるブレーキ力の最適値は、定着搬送部に対するウェブの摩擦負荷やウェブ(用紙)負荷によって異なる。
【0006】
例えば特許文献1には、ウェブの搬送停止時のバッファプレートのバッファ量から、次回のウェブの搬送を停止させる際に用いるブレーキ力を決定する技術が開示されている。
【0007】
また、例えば特許文献2には、ウェブの搬送を減速させている際の微小単位時間毎の搬送量の変化から、ブレーキ力を調整する技術が開示されている。
【0008】
また、例えば特許文献3には、駆動源の回転により発生するエンコーダパルスの発生周期を検出し、検出したエンコーダパルスの発生周期に応じてブレーキ力を決定し、決定したブレーキ力を発生させ、ウェブの搬送を減速・停止させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、最適なブレーキ力が反映されるのは、次回のウェブの搬送停止時であるため、例えばウェブを交換した場合など、バッファプレートを適正範囲内に停止できない可能性がある。
【0010】
また特許文献2に開示された技術では、例えばウェブが停止しやすい場合としにくい場合となど、微小単位時間毎の搬送量の変化を識別することが困難な場合もあり、バッファプレートを適正範囲内に停止できない可能性がある。
【0011】
また特許文献3に開示された技術では、例えばウェブ負荷に相違がある場合、バッファプレートを適正範囲内に停止できない可能性がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ウェブの種類によらずにバッファプレートの角度を適正範囲内に収めることができる印刷装置及び搬送制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる印刷装置は、ウェブに像を形成する印刷部と、前記印刷部において前記ウェブを搬送する第1搬送部と、前記印刷部よりも搬送方向下流側で前記ウェブを搬送する第2搬送部と、バッファプレートを有し、当該バッファプレートを動作させて、前記第1搬送部と前記第2搬送部との搬送差によって生じる前記ウェブの弛みを吸収するバッファ部と、前記ウェブの搬送停止契機になると、前記ウェブの搬送速度を減速させる減速動作を前記第1搬送部に行わせる第1搬送制御部と、前記ウェブの搬送停止契機になると、前記ウェブの搬送速度を減速させる第1減速動作を前記第2搬送部に行わせるとともに、所定時間が経過するまでの間、前記第2搬送部による前記ウェブの搬送量を計測し、当該搬送量に基づいて、前記第2搬送部に行わせている前記第1減速動作を第2減速動作に変更させる第2搬送制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の別の態様にかかる搬送制御方法は、印刷装置で実行される搬送制御方法であって、前記印刷装置は、ウェブに像を形成する印刷部と、前記印刷部において前記ウェブを搬送する第1搬送部と、前記印刷部よりも搬送方向下流側で前記ウェブを搬送する第2搬送部と、バッファプレートを有し、当該バッファプレートを動作させて、前記第1搬送部と前記第2搬送部との搬送差によって生じる前記ウェブの弛みを吸収するバッファ部と、を備え、第1搬送制御部が、前記ウェブの搬送停止契機になると、前記ウェブの搬送速度を減速させる減速動作を前記第1搬送部に行わせる第1搬送制御ステップと、第2搬送制御部が、前記ウェブの搬送停止契機になると、前記ウェブの搬送速度を減速させる第1減速動作を前記第2搬送部に行わせるとともに、所定時間が経過するまでの間、前記第2搬送部による前記ウェブの搬送量を計測し、当該搬送量に基づいて、前記第2搬送部に行わせている前記第1減速動作を第2減速動作に変更させる第2搬送制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウェブの種類によらずにバッファプレートの角度を適正範囲内に収めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態の印刷装置の機械的構成の一例を示す摸式図である。
【図2】図2は、本実施形態の印刷装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、汎用紙であるウェブの搬送を停止する場合の印刷搬送部及び定着搬送部によるウェブの搬送量の一例を示す説明図である。
【図4】図4は、コーティング紙であるウェブの搬送を停止する場合の印刷搬送部及び定着搬送部によるウェブの搬送量の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、ウェブの搬送停止後のバッファプレートの角度の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、ウェブの搬送を停止する場合の定着搬送部によるウェブの搬送速度及び搬送量の一例をウェブの種類毎に示す説明図である。
【図7】図7は、本実施形態の定着搬送制御部による制御例を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の定着搬送制御部による所定時間以降のブレーキ力の決定方法の一例の説明図である。
【図9】図9は、本実施形態の定着搬送制御部の回路構成の一例を示す回路図である。
【図10】図10は、本実施形態の定着搬送制御部のタイミングチャートの一例を示すタイミングチャート図である。
【図11】図11は、ウェブの搬送を停止する場合の定着搬送部によるウェブの搬送速度及び搬送量の一例を搬送速度毎に示す説明図である。
【図12】図12は、実施形態及び変形例の印刷装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる印刷装置及び搬送制御方法の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の印刷装置Pの機械的構成の一例を示す摸式図である。図1に示すように、印刷装置Pは、印刷部100と、印刷搬送部8(第1搬送部の一例)と、定着搬送部13(第2搬送部の一例)と、バッファ部12とを、備える。
【0019】
印刷部100は、ウェブWにトナー像を形成する。印刷部100は、感光体ドラム101と、帯電器102と、露光装置103と、現像装置104と、転写器105と、トナー付着量センサ106とを、有する。なお本実施形態では、ウェブWは、巻取紙であるものとするが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、印刷装置Pの印刷部100は、電子写真方式による構成にて説明するがこれに限られるものではなく、例えば、インクジェット方式(例えば、ライン型ヘッド)によるインク(液滴)吐出方式であっても構わない。インクジェット方式による印刷構成の場合でも、定着搬送部13としては本実施形態の構成を適用可能であり、定着搬送部13は、ウェブ面のインクに対し加熱加圧処理を行ってウェブへ定着させる。
【0020】
感光体ドラム101は、回転駆動される。帯電器102は、感光体ドラム101に電荷を付与する。露光装置103は、印刷データに基づく露光パターンを感光体ドラム101に照射する。これにより、感光体ドラム101上に静電潜像が形成される。現像装置104は、感光体ドラム101上に形成されている静電潜像を現像する。これにより、感光体ドラム101上にトナー像が形成される。転写器105は、感光体ドラム101上に形成されたトナー像を、印刷搬送部8により搬送されるウェブW上に転写する。なお、トナー像の形成条件は、トナー付着量センサ106の出力に応じて補正される。
【0021】
印刷搬送部8は、印刷部100においてウェブWを搬送する。印刷搬送部8は、ウェブ搬送モータ8mを有しており、ウェブ搬送モータ8mが伝達駆動系を介して転写器105の上流及び下流に配置された搬送ローラを駆動することにより、ウェブWを搬送する。
【0022】
定着搬送部13は、ウェブWを搬送し、当該ウェブWに形成されているトナー像を定着する。定着搬送部13は、ヒートロールモータ13m(DCサーボモータの一例)と、ヒートロール13bと、プレヒータ13aと、加圧ローラ13cと、エンコーダ13eとを、有する。定着搬送部13は、ヒートロールモータ13mが伝達駆動系を介してヒータを内蔵したヒートロール13bを駆動することにより、ウェブWを搬送する。プレヒータ13aは、トナー像が形成されているウェブWを負圧吸引で密着し、トナー樹脂の転移温度付近まで加熱する。ヒートロール13b及び加圧ローラ13cは、ウェブW上に形成されているトナー像をウェブWに溶融固着する。エンコーダ13eは、ヒートロールモータ13mの回転を検出してパルスを出力する。
【0023】
このように、本実施形態の印刷装置Pでは、印刷搬送部8と定着搬送部13とでウェブWを搬送するが、それぞれ駆動源が異なるため(印刷搬送部8ではウェブ搬送モータ8m、定着搬送部13ではヒートロールモータ13m)、ウェブWの搬送量に差が生じる。
【0024】
バッファ部12は、印刷搬送部8と定着搬送部13との間に設けられている。バッファ部12は、一方向に反力を発生しかつ円弧動作するバッファプレート12aと、バッファプレート12aの角度を検出するバッファ量センサ12bとを、有する。バッファ部12は、バッファプレート12aを動作させて、印刷搬送部8と定着搬送部13との搬送差によって生じるウェブWの弛みを吸収する。
【0025】
ここで、バッファプレート12aの角度が一定範囲内で円弧動作すれば、一定の張力をかけた状態でウェブWを保持できるが、バッファプレート12aの角度が一定範囲を超えるとウェブWが破断する恐れがあり、バッファプレート12aの角度が一定範囲よりも小さくなると張力不足よりウェブWの搬送不良が生じる恐れがある。このため、本実施形態の印刷装置Pでは、バッファプレート12aの角度が一定範囲に収まるように、ウェブの搬送を制御する。
【0026】
図2は、本実施形態の印刷装置Pの機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、印刷装置Pは、印刷搬送制御部111(第1搬送制御部の一例)と、定着搬送制御部112(第2搬送制御部の一例)とを、備える。
【0027】
印刷搬送制御部111は、印刷搬送部8を制御する。例えば、印刷搬送制御部111は、ウェブWの搬送停止契機になると、ウェブWの搬送速度を減速させる減速動作を印刷搬送部8に行わせる。ここで、印刷搬送部8では、印刷部100においてウェブWの定められた位置にトナー像を転写させるようにウェブWを搬送する必要がある。このため、印刷搬送制御部111は、ウェブWを搬送する場合、ウェブ搬送モータ8mの単位時間あたりの回転量を予め定められた量に制御する。この結果、印刷搬送部8でのウェブWの搬送量は、ウェブWの材質(種類)によらず一定となる。なお、印刷搬送制御部111は、ウェブWの加速搬送、定速搬送、及び減速搬送のいずれの場合も、ウェブ搬送モータ8mの単位時間あたりの回転量を制御する。
【0028】
定着搬送制御部112は、定着搬送部13を制御する。具体的には、定着搬送制御部112は、ウェブWの搬送中にバッファ量センサ12bにより検出されたバッファプレート12aの角度が一定範囲に収まるように、ヒートロールモータ13mの回転速度を制御する。
【0029】
例えば、ウェブWの搬送速度を減速させる場合、定着搬送制御部112は、バッファプレート12aの角度が一定範囲に収まるように、ヒートロールモータ13mにブレーキ力を発生させる。本実施形態では、定着搬送制御部112は、ヒートロールモータ13mに定期的にブレーキ電流を流すことにより、ヒートロールモータ13mの回転を減速させ、ウェブWの搬送速度を減速させる。なお、ブレーキ電流とは、例えば、ウェブWを定速で搬送している場合のヒートロールモータ13mの回転方向がCWであれば、ヒートロールモータ13mをCCW方向に回転させる電流である。
【0030】
但し、ブレーキ力(ブレーキ電流)の最適値は、定着搬送部13(プレヒータ13a)に対するウェブWの摩擦負荷やウェブ(用紙)負荷、即ち、ウェブWの材質(種類)によって異なる。従って、ウェブWの搬送停止時において、定着搬送部13に発生させるブレーキ力(ブレーキ電流)をウェブWの種類によらず固定した場合、バッファプレート12aの角度を一定範囲に収めることができない場合がある。
【0031】
図3は、汎用紙であるウェブWの搬送を停止する場合の印刷搬送部8及び定着搬送部13によるウェブWの搬送量の一例を示す説明図であり、図4は、コーティング紙であるウェブWの搬送を停止する場合の印刷搬送部8及び定着搬送部13によるウェブWの搬送量の一例を示す説明図である。図3及び図4に示す例では、定着搬送部13に発生させるブレーキ力(ブレーキ電流)を同一値にしているものとする。図5は、図3及び図4においてウェブWの搬送停止後のバッファプレート12aの角度の一例を示す説明図である。
【0032】
ウェブWが汎用紙である場合、図3に示すように、印刷搬送部8によるウェブWの搬送量L1(ウェブ搬送モータ8mの制動距離)と定着搬送部13によるウェブWの搬送量L1(ヒートロールモータ13mの制動距離)とが、一致する。この結果、図5に示すように、バッファプレート12aの角度はAとなり、バッファプレート12aの角度が一定範囲に収まる。
【0033】
一方、ウェブWがコーティング紙である場合、図4に示すように、印刷搬送部8によるウェブWの搬送量L1(ウェブ搬送モータ8mの制動距離)よりも、定着搬送部13によるウェブWの搬送量L2(ヒートロールモータ13mの制動距離)の方が大きくなっている。これは、コーティング紙の場合、汎用紙よりも用紙平滑度が大きく摩擦負荷が小さいためである。この結果、図5に示すように、バッファプレート12aの角度はBとなり、バッファプレート12aの角度が一定範囲に収まらなくなる可能性がある。
【0034】
実際の動作では、バッファプレート12aの角度が一定範囲を超える前にウェブWの搬送を一旦停止し、バッファプレート12aの角度が最適な角度となるようにリカバリ動作を行い、ウェブWの搬送を再開するが、このような動作を行うと、スループットが低下してしまう。
【0035】
本実施形態では、ウェブWの種類によらずにバッファプレート12aの角度を適正範囲内に収めるため、定着搬送制御部112は、ウェブWの搬送停止契機になると、ウェブWの搬送速度を減速させる第1減速動作を定着搬送部13に行わせるとともに、所定時間が経過するまでの間、定着搬送部13によるウェブWの搬送量を計測する。そして定着搬送制御部112は、計測した搬送量に基づいて、定着搬送部13に行わせている第1減速動作を第2減速動作に変更させる。
【0036】
具体的には、第2減速動作は、第1減速動作よりもウェブWの搬送速度を減速させる動作であり、定着搬送制御部112は、計測した搬送量が閾値よりも大きい場合、定着搬送部13に行わせている第1減速動作を第2減速動作に変更させる。なお定着搬送制御部112は、定着搬送部13によるウェブWの搬送量として、エンコーダ13eが出力するパルス数を計測する。
【0037】
つまり本実施形態では、定着搬送部13に第1減速動作を行わせた後のウェブWの搬送量(速度変化)がウェブWの種類によって異なる点に着目し、第1減速動作によるウェブWの搬送量が閾値よりも大きく、搬送速度の更なる減速が必要な場合には、第1減速動作によるウェブWの搬送量に応じた第2減速動作を定着搬送部13に行わせる。
【0038】
図6は、ウェブWの搬送を停止する場合の定着搬送部13によるウェブWの搬送速度及び搬送量の一例をウェブWの種類毎に示す説明図である。図6に示す例では、ウェブWの種類は、汎用紙(実線)とコーティング紙(一点鎖線)であるものとする。また、図6に示す例では、定着搬送部13に発生させるブレーキ力(ブレーキ電流)は、汎用紙とコーティング紙とで同一値であり、ウェブWの搬送が停止するまで一定であるものとする。
【0039】
図6において、時間Tは、所定時間を表す。時間Tは、実験により予め求められる値であり、ここでは50msとするがこれに限定されるものではない。また図6に示すように、ウェブWの搬送停止契機になってから時間Tが経過するまでの定着搬送部13(ヒートロールモータ13m)によるウェブWの搬送量は、ウェブWが汎用紙、コーティング紙のいずれの場合であっても、ウェブWの搬送停止契機になってからウェブWの搬送が停止するまでの定着搬送部13(ヒートロールモータ13m)によるウェブWの搬送量の70%程度を占めている。そして、時間Tが経過するまでのウェブWの搬送量は、ウェブWの搬送が停止するまでのウェブWの搬送量にほぼ比例している。従って、定着搬送制御部112は、時間Tが経過するまでのウェブWの搬送量から、定着搬送部13に発生させるブレーキ力(ブレーキ電流)が足りているか足りていないかを判断することができる。
【0040】
例えば、図6に示すように、ウェブWの搬送停止契機になった際(ウェブWの定速搬送時)の定着搬送部13(ヒートロールモータ13m)によるウェブWの搬送速度がV(インチ/秒)であったとする。そして定着搬送制御部112が定着搬送部13に減速動作を行わせた結果(ブレーキ力を発生させた結果)、時間Tの時点でのウェブWの搬送速度が、汎用紙の場合はV1(インチ/秒)、コーティング紙の場合はV2(インチ/秒)になったとする。
【0041】
この場合、時間Tの時点でのウェブWの搬送量(インチ)は、汎用紙の場合は((V+V1)/2)×T、コーティング紙の場合は((V+V2)/2)×Tとなる。そして、エンコーダ13eの分解能(ウェブWを1インチ搬送するあたりのエンコーダパルス数)をPとして、ウェブWの搬送量をエンコーダパルス数に換算すると、汎用紙の場合のパルス数は、P1=P×((V+V1)/2)×Tとなり、コーティング紙の場合のパルス数は、P2=P×((V+V2)/2)×Tとなる。ここで、時間TにおけるウェブWの搬送速度はV1<V2であるため、P1<P2となる。
【0042】
本実施形態では、定着搬送制御部112は、図6で説明したように、時間Tが経過するまでのウェブWの搬送量として時間Tが経過するまでのパルス数を計測し、計測したパルス数を閾値と比較する。そして定着搬送制御部112は、計測したパルス数が閾値よりも大きく、定着搬送部13に発生させているブレーキ力(ブレーキ電流)が足りていない場合、定着搬送部13に発生させるブレーキ力(ブレーキ電流)を増加させる。
【0043】
例えば、閾値PT=P1であるとすれば、定着搬送制御部112は、汎用紙の場合は時間T以降においてもブレーキ力(ブレーキ電流)を変更する必要はない。一方、定着搬送制御部112は、コーティング紙の場合、閾値PT<P2となるため、図7に示すように、時間T以降においてブレーキ力(ブレーキ電流)を増加させ(実線、破線は変更しなかった場合の従来制御の場合)、ウェブWの搬送が停止するまでのウェブWの搬送量を減少する。
【0044】
図8は、本実施形態の定着搬送制御部112による時間T以降のブレーキ力の決定方法の一例の説明図である。図8に示す例では、定着搬送制御部112は、ブレーキ時間を変更することでブレーキ力を制御しているが、ブレーキ力の制御方法はこれに限定されるものではない。
【0045】
ウェブWの搬送停止契機になってから時間Tが経過するまでに定着搬送部13に定期的に発生させたブレーキ時間をB1とした場合、定着搬送制御部112は、時間Tにおけるパルス数が閾値PT以下であれば、時間T以降のブレーキ時間もB1とする。
【0046】
一方、定着搬送制御部112は、時間Tにおけるパルス数がP2(P2>閾値PT)であれば、時間T以降のブレーキ時間をB2(B2=B1+ΔB)とする。つまり、定着搬送制御部112は、時間Tにおけるパルス数が閾値PTを超えていれば、当該パルス数と閾値PTとの差分値ΔPに比例して、ブレーキ時間の補正量ΔBを大きくする。
【0047】
但し、ブレーキ時間を大きくし過ぎると、ヒートロールモータ13mが逆転し、定着搬送部13において画質低下を招く恐れがあるため、本実施形態では、ブレーキ時間に上限を設定している。このため、時間Tにおけるパルス数が一定値を超えると、ブレーキ時間は上限値に維持される。
【0048】
ここで、本実施形態の定着搬送制御部112についてより詳細に説明する。
【0049】
定着搬送制御部112は、第1ブレーキ信号に基づいて第1減速動作を定着搬送部13に行わせる。また定着搬送制御部112は、計測した搬送量に基づく第2ブレーキ信号を生成し、第1ブレーキ信号と第2ブレーキ信号とを合成した合成ブレーキ信号に基づいて第2減速動作を定着搬送部13に行わせる。
【0050】
なお第1ブレーキ信号及び第2ブレーキ信号は、エンコーダ13eが所定数のパルスを出力する毎に出力されるものとするが、第1ブレーキ信号及び第2ブレーキ信号の出力タイミングはこれに限定されるものではない。また、第2ブレーキ信号の出力時間は、第1ブレーキ信号の出力時間よりも長く、定着搬送制御部112は、第1ブレーキ信号が出力されている間、定着搬送部13に第1減速動作を行わせ、合成ブレーキ信号が出力されている間、定着搬送部13に第2減速動作を行わせる。また、第2ブレーキ信号は、搬送量が閾値よりも大きいほど出力時間が長くなるが、その出力時間は、上限値以下となる。
【0051】
図9は、本実施形態の定着搬送制御部112の回路構成の一例を示す回路図であり、図10は、本実施形態の定着搬送制御部112のタイミングチャートの一例を示すタイミングチャート図である。図9に示すように、定着搬送制御部112は、カウンタ31と、ラッチ32と、カウンタ33と、ラッチ34と、OR35と、ドライバ36とを、有する。なお、本実施例では、図9に示すように、主に使用される第1ブレーキ信号はソフトウェア的に生成し、急制動時に用いられる第2ブレーキ信号は所定時間T(図6)が例えば50ms程度と短く高速処理を要求されることから、第2ブレーキ信号はハードウェア回路により生成される構成としている。
【0052】
CPU(Central Processing Unit)40は、回転信号をカウンタ31に出力する。またCPU40は、回転信号が“H”レベルから“L”レベルに変わると、第1ブレーキ信号を生成し、カウンタ33、ラッチ34、及びOR35に出力する。これにより、印刷装置Pは、印刷動作から印刷停止動作に移行し、定速で回転していたヒートロールモータ13mは減速動作を開始する。
【0053】
エンコーダ13eは、ヒートロールモータ13mの回転を検出するとエンコーダパルス信号をカウンタ31に出力する。
【0054】
カウンタ31は、回転信号が“H”レベルから“L”レベルに変わると、メモリ41から閾値PTをロードするとともに、エンコーダパルス信号からパルス数のカウントを開始する。そしてカウンタ31は、カウントしたパルス数P2と閾値PTとの差分値ΔP(ΔP=P2−PT)をラッチ32に出力する。但しカウンタ31は、差分値ΔPが上限値を超えている場合、差分値ΔPとして上限値をラッチ32に出力する。
【0055】
回転信号が“L”レベルに変わってから時間Tが経過すると、ラッチ32に入力されているカウント終了信号が“L”レベルから“H”レベルに変わるので、ラッチ32は、カウンタ31から入力された差分値ΔPをラッチし、ブレーキ補正データとしてカウンタ33に出力する。
【0056】
カウンタ33は、ラッチ32からブレーキ補正データ(差分値ΔP)をロードし、第1ブレーキ信号が“H”レベルになるとブレーキ補正データをクロック信号が入力される毎にカウントダウンし、“0”になると、ラッチ34に出力しているB出力を“H”レベルにする。
【0057】
ラッチ34は、第2ブレーキ信号をOR35に出力し、第1ブレーキ信号が“H”レベルになると、第2ブレーキ信号を“H”レベルにし、B出力が“H”レベルになると、第2ブレーキ信号を“L”レベルにする。
【0058】
OR35は、第1ブレーキ信号と第2ブレーキ信号とのORをとることで、第1ブレーキ信号と第2ブレーキ信号とを合成した合成ブレーキ信号を生成し、ドライバ36に出力する。
【0059】
ドライバ36は、合成ブレーキ信号が“H”レベルの間、ヒートロールモータ13mにブレーキ電流を流し、ウェブWの搬送を減速させる。
【0060】
この結果、時間Tまでのブレーキ時間は、第1ブレーキ信号が“H”レベルとなる時間B1となり、時間T以降のブレーキ時間は、第2ブレーキ信号が“H”レベルとなる時間B2となる。
【0061】
なお図9及び図10に示す例では、定着搬送制御部112は、エンコーダパルス信号を3回検出する毎に第1ブレーキ信号を“H”レベルに変え、第1ブレーキ信号が“H”レベルに変わると、第2ブレーキ信号も“H”レベルに変えているが、これは動作例の1つに過ぎず、第2ブレーキ信号を“H”レベルにするタイミング及び周期はこれに限定されるものではない。
【0062】
以上のように本実施形態によれば、第1減速動作によるウェブWの搬送量に応じて第2減速動作を定着搬送部13に行わせるので、定着搬送部13による搬送停止時のウェブWの搬送量がウェブWの種類によらず一定になり、バッファプレート12aの角度を適正範囲内に収めことができる。このため、ウェブWが平滑度の大きいコーティング紙であっても汎用紙であっても、定着搬送部13による搬送停止時の搬送量を一定にでき、バッファプレート12aの角度を適正範囲内に収めることができる。
【0063】
また本実施形態では、CPUにより生成される第1ブレーキ信号が“H”レベルとなる周期を変更するのではなく、第1ブレーキ信号と回路により生成される第2ブレーキ信号と合成した合成信号を生成することで、ブレーキ時間を変更するようにした。このため、本実施形態によれば、第1ブレーキ信号が“H”レベルとなる周期を変更する方法よりも、ブレーキ時間の補正を高速化することができる。
【0064】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態において、定着搬送部13による搬送開始時のバッファプレート12aの角度に応じて、第1ブレーキ信号のブレーキ時間(“H”レベルになる周期)を変えるようにしてもよい。これにより、ヒートロールモータ13mの停止制御をより精度よく行うことができる。
【0066】
また例えば、印刷装置Pが2種類以上の印刷速度を切り替え可能な印刷装置であれば、定着搬送制御部112は、閾値として印刷速度設定に応じた閾値を用いるようにしてもよい。
【0067】
図11は、ウェブWの搬送を停止する場合の定着搬送部13によるウェブWの搬送速度及び搬送量の一例を搬送速度毎に示す説明図である。図11に示す例では、ウェブWは汎用紙であり、ウェブWの搬送速度は高速と低速であるものとする。また、図11に示す例では、定着搬送部13に発生させるブレーキ力(ブレーキ電流)は、ウェブWの搬送が停止するまで一定であるが、高速、低速いずれの場合も同一時間でウェブWの搬送を停止するようにするため、高速と低速とで異なっているものとする。
【0068】
図11に示すように、ウェブWの搬送停止契機になった際の定着搬送部13(ヒートロールモータ13m)によるウェブWの搬送速度が、高速時の場合はVH(インチ/秒)、低速時の場合はVL(インチ/秒)であったとする。そして定着搬送制御部112が定着搬送部13に減速動作を行わせた結果(ブレーキ力を発生させた結果)、時間Tの時点でのウェブWの搬送速度が、高速時の場合はVH1(インチ/秒)、低速時の場合はVL1(インチ/秒)であったとする。この場合、時間Tの時点でのウェブWの搬送量(インチ)をエンコーダパルス数に換算すると、高速時の場合のパルス数は、PH=P×((VH+VH1)/2)×Tとなり、低速時の場合のパルス数は、PL=P×((VL+VL1)/2)×Tとなる。
【0069】
このように、ウェブWが同一であっても、高速時と低速時とでパルス数は異なるため、変形例では、例えば、高速時の閾値をPTH(PTH=PH)、低速時の閾値をPTL(PTL=PL)とする。なお、クロック信号の周期を高速時と低速時とで切り替えることで、第2ブレーキ信号の補正量(図8におけるΔB/ΔP)を変えることもできる。
【0070】
また、図11に示すように、定着搬送部13による搬送停止時のウェブWの搬送量は、高速時よりも低速時の方が少なくなる。このため、低速時において、高速時と同じタイミングでヒートロールモータ13mの減速を開始すると、高速時よりもバッファプレート12aの停止位置が上がってしまう。このため、実際には、CPU40は、低速時の場合、回転信号を“L”レベルにするタイミングを高速時よりも遅らせる。
【0071】
以上より、2種類以上の印刷速度を切り替え可能な印刷装置においても、ウェブWが平滑度の大きいコーティング紙であっても汎用紙であっても、定着搬送部13による搬送停止時の搬送量を一定にでき、バッファプレート12aの角度を適正範囲内に収めることができる。
【0072】
また上記実施形態では、第2搬送部の一例として定着搬送部13について説明したが、第2搬送部はこれに限定されるものではなく、印刷部100よりも搬送方向下流側でウェブの搬送(ニップ搬送)を行う搬送機構であればよい。
【0073】
このようにすれば、印刷装置の機械的構成が例えば特許文献4に開示されているような構成、即ち、排出ローラ及び押圧ロールなどで搬送されたウェブをフラッシュ定着やオーブン定着などの非接触定着で定着するような構成であっても、本発明を適用できる。この場合、排出ローラ及び押圧ロールなどの搬送機構を第2搬送部とすればよい。
【0074】
また、このようにすれば、定着機構と搬送機構とを別々に備える機械的構成を採用するインクジェット方式の印刷装置や、定着機構を備えない機械的構成を採用するインクジェット方式の印刷装置であっても、本発明を適用できる。
【0075】
(ハードウェア構成)
図12は、上記実施形態及び変形例の印刷装置Pのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0076】
図12に示すように、印刷装置Pは、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ910は、印刷装置Pの全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、又は4ドラムカラープロッタ等のプリンタエンジンなどである。エンジン部960には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。
【0077】
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
【0078】
CPU911は、印刷装置Pの全体制御を行うものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0079】
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGPバス915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0080】
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0081】
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0082】
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)940、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース(I/F)950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
【0083】
MEM−C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0084】
AGPバス915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【符号の説明】
【0085】
P 印刷装置
W ウェブ
8 印刷搬送部
8m ウェブ搬送モータ
12 バッファ部
12a バッファプレート
12b バッファ量センサ
13 定着搬送部
13a プレヒータ
13b ヒートロール
13c 加圧ローラ
13e エンコーダ
13m ヒートロールモータ
100 印刷部
101 感光体ドラム
102 帯電器
103 露光装置
104 現像装置
105 転写器
106 トナー付着量センサ
111 印刷搬送制御部
112 定着搬送制御部
31 カウンタ
32 ラッチ
33 カウンタ
34 ラッチ
35 OR
36 ドライバ
40 CPU
41 メモリ
910 コントローラ
911 CPU
912 システムメモリ
912a ROM
912b RAM
913 ノースブリッジ
914 サウスブリッジ
915 AGPバス
916 ASIC
917 ローカルメモリ
918 ハードディスクドライブ
920 操作表示部
940 USB
950 IEEE1394インタフェース
960 エンジン部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2011−170324号公報
【特許文献2】特開2007−316411号公報
【特許文献3】特開昭61−098373号公報
【特許文献4】特開2007−156315号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブに像を形成する印刷部と、
前記印刷部において前記ウェブを搬送する第1搬送部と、
前記印刷部よりも搬送方向下流側で前記ウェブを搬送する第2搬送部と、
バッファプレートを有し、当該バッファプレートを動作させて、前記第1搬送部と前記第2搬送部との搬送差によって生じる前記ウェブの弛みを吸収するバッファ部と、
前記ウェブの搬送停止契機になると、前記ウェブの搬送速度を減速させる減速動作を前記第1搬送部に行わせる第1搬送制御部と、
前記ウェブの搬送停止契機になると、前記ウェブの搬送速度を減速させる第1減速動作を前記第2搬送部に行わせるとともに、所定時間が経過するまでの間、前記第2搬送部による前記ウェブの搬送量を計測し、当該搬送量に基づいて、前記第2搬送部に行わせている前記第1減速動作を第2減速動作に変更させる第2搬送制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第2減速動作は、前記第1減速動作よりも前記ウェブの搬送速度を減速させる動作であり、
前記第2搬送制御部は、前記搬送量が閾値よりも大きい場合、前記第2搬送部に行わせている前記第1減速動作を前記第2減速動作に変更させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第2搬送制御部は、第1ブレーキ信号に基づいて前記第1減速動作を前記第2搬送部に行わせ、前記搬送量に基づく第2ブレーキ信号を生成し、前記第1ブレーキ信号と前記第2ブレーキ信号とを合成した合成ブレーキ信号に基づいて前記第2減速動作を前記第2搬送部に行わせることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第2搬送部は、前記ウェブの搬送の駆動源となるDCサーボモータと、当該DCサーボモータの回転を検出してパルスを出力するエンコーダと、を有し、
前記第2搬送制御部は、前記第2搬送部による前記ウェブの搬送量として、前記エンコーダが出力するパルス数を計測することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1ブレーキ信号及び前記第2ブレーキ信号は、前記エンコーダが所定数のパルスを出力する毎に出力されることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第2ブレーキ信号の出力時間は、前記第1ブレーキ信号の出力時間よりも長く、
前記第2搬送制御部は、前記第1ブレーキ信号が出力されている間、前記第2搬送部に前記第1減速動作を行わせ、前記合成ブレーキ信号が出力されている間、前記第2搬送部に前記第2減速動作を行わせることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第2ブレーキ信号は、前記搬送量が前記閾値よりも大きいほど、出力時間が長くなることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第2ブレーキ信号の出力時間は、上限値以下であることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第2搬送制御部は、前記閾値として印刷速度設定に応じた閾値を用いることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1つに記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷装置で実行される搬送制御方法であって、
前記印刷装置は、
ウェブに像を形成する印刷部と、
前記印刷部において前記ウェブを搬送する第1搬送部と、
前記印刷部よりも搬送方向下流側で前記ウェブを搬送する第2搬送部と、
バッファプレートを有し、当該バッファプレートを動作させて、前記第1搬送部と前記第2搬送部との搬送差によって生じる前記ウェブの弛みを吸収するバッファ部と、を備え、
第1搬送制御部が、前記ウェブの搬送停止契機になると、前記ウェブの搬送速度を減速させる減速動作を前記第1搬送部に行わせる第1搬送制御ステップと、
第2搬送制御部が、前記ウェブの搬送停止契機になると、前記ウェブの搬送速度を減速させる第1減速動作を前記第2搬送部に行わせるとともに、所定時間が経過するまでの間、前記第2搬送部による前記ウェブの搬送量を計測し、当該搬送量に基づいて、前記第2搬送部に行わせている前記第1減速動作を第2減速動作に変更させる第2搬送制御ステップと、
を含むことを特徴とする搬送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−75765(P2013−75765A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125337(P2012−125337)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】