印刷装置
【課題】被印刷体に関する様々な情報を被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、かかる印刷装置及び印刷装置と接続されるコンピュータ本体を有するコンピュータシステムを実現することを目的とする。
【解決手段】被印刷体に関する様々な情報を被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、かかる印刷装置及び印刷装置と接続されるコンピュータ本体を有するコンピュータシステム等を実現する。被印刷体が、印刷装置による情報の書き込みが可能な素子を有していること等を特徴とする。
【解決手段】被印刷体に関する様々な情報を被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、かかる印刷装置及び印刷装置と接続されるコンピュータ本体を有するコンピュータシステム等を実現する。被印刷体が、印刷装置による情報の書き込みが可能な素子を有していること等を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷体、被印刷体に設けられる素子、印刷装置、及び、コンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(1)被印刷体、すなわちロール紙等の印刷メディアに関する情報を、ロール紙ユニットなどの一部(例えばロール紙の芯部)に設けた記憶素子に保有させ、印刷装置にて読み込むことが行われている。ロール紙などの残量、紙の種類、厚さ、幅などに関する属性情報を、自動的に印刷制御に反映させることにより、高品質の印刷結果を簡単に実現することができる。
【0003】
しかしながら、特に、カット紙などの単票メディアの場合は、大量の枚数のものをまとめてユニットとして扱うわけではなく、互いに異なる属性のものを一枚一枚印刷することが多い。そこで、普通は、パーソナルコンピュータの画面などにおいて、印刷装置のドライバソフトを用いてユーザがいちいち設定している。これは非常に手間がかかる。
【0004】
ところで、近年、平面状のアンテナコイルとコンデンサ、及び超小型ICチップなどから構成される、ごく小型かつ薄型のメモリ素子が多種開発されている。
【0005】
これは、ICカードなどにおいて使用されているものであり、半導体メモリやコンピュータ回路が備えられて、素子自体が演算処理機能を有し、接触式/非接触式の読み書きセンサによりデータの送受信が行われる。バーコード等の印刷情報よりも保有できる情報量が格段に大きく、製造コストも安価になりつつある。
【0006】
そこで、このような小型のメモリ素子を利用して、印刷メディア自体にあらかじめ様々なメディア属性情報を記憶させておくことが考えられる。
【0007】
また、他方で、上記のような印刷メディア自体の属性情報ではなく、印刷結果に関する情報も、のちのち重要となることがある。印刷結果に関する情報とは、例えば、印刷を実行した印刷装置がどのような印刷装置であったか、又は、印刷対象であったデータは、どのようなデータで、コンピュータのハードディスク内のどこに保存されていたものであったか、などである。これらの情報は、後日同じ画像、品質の印刷結果を得る必要があるときなどは、重要な情報である。ところが、単に記憶に頼るのみでは忘れてしまうことが多い。また、印刷装置のドライバソフトにこれらの情報を保存する機能があったとしても、異なる場所で前回とは異なるコンピュータで印刷する場合などは、利用することができない。
【0008】
(2)また、前述したように、被印刷体、すなわちロール紙等の印刷メディアに関する情報を、ロール紙ユニットなどの一部(例えばロール紙の芯部)に設けた記憶素子に保有させ、印刷装置にて読み込むことが行われている。ロール紙などの残量、紙の種類、厚さ、幅などに関する属性情報を、自動的に印刷制御に反映させることにより、高品質の印刷結果を簡単に実現することができる。
【0009】
しかしながら、特に、カット紙などの単票メディアの場合は、互いに異なる属性のものを一枚一枚印刷することが多い。そこで、普通は、パーソナルコンピュータの画面などにおいて、印刷装置のドライバソフトを用いてユーザがいちいち設定している。これは非常に手間がかかる。
【0010】
そこで、単票メディアの場合にも、印刷装置に設けた光学センサにより、被印刷体の種類(普通紙、光沢紙、OHP用紙など)を読み取り、適切な印刷制御を実行することが行われている。また、メディア自体にあらかじめバーコードなどを印刷することにより、被印刷体自体に情報を保有させておくことも知られている。
【0011】
しかしながら、光学センサ等により、メディアの反射光等から読み取ることのできる情報は、紙の光沢や透過性(OHP用紙の場合など)等の非常に限られたものである。また、バーコードなどの印刷された情報に保有させることのできる情報量は非常に小さく、ごく限られた印刷制御に利用することしかできない。また、光学センサなどによる読み取り処理は、ばらつきが大きく、不正確な属性情報を得てしまうことも多い。
【0012】
ところで、近年、平面状のアンテナコイルとコンデンサ、及び超小型ICチップなどから構成される、ごく小型かつ薄型のメモリ素子が多種開発されている。
【0013】
これは、ICカードなどにおいて使用されているものであり、半導体メモリやコンピュータ回路が備えられて、素子自体が演算処理機能を有し、接触式/非接触式の読み書きセンサによりデータの送受信が行われる。バーコード等の印刷情報よりも保有できる情報量が格段に大きく、製造コストも安価になりつつある。
【0014】
(3)さらにまた、デジタルカメラ、デジタルビデオ、デジタルカメラ付き携帯電話等の種々の撮影装置によって撮影を行い、該撮影によって得られた画像データに基づいてインクジェットプリンタ、レーザビームプリンタ等の各種印刷装置によって紙等の被印刷体に印刷が行われる。
【0015】
撮影によって得られた画像データは、パーソナルコンピュータに取り込まれて適宜修正や編集がなされた後に、印刷装置に送られて印刷が行われる場合もあるし、パーソナルコンピュータを介することなく、撮影装置から直接、又は、記録メディアを介して印刷装置に送られて印刷が行われる場合もある。
【0016】
また、近年、平面状のアンテナコイルとコンデンサ、及び超小型ICチップなどから構成される、ごく小型かつ薄型のメモリ素子が多種開発されている。これは、ICカードなどにおいて使用されているものであり、半導体メモリやコンピュータ回路が備えられて、素子自体が演算処理機能を有し、接触式/非接触式の読み書きセンサによりデータの送受信が行われる。バーコード等の印刷情報よりも保有できる情報量が格段に大きく、製造コストも安価になりつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
撮影装置によって生成された画像データに基づいて印刷が行われた被印刷体を後日見た際に、撮影を行った際の撮影条件を知りたい場合がある。例えば、富士山をデジタルカメラで撮影し、インクジェットプリンタで紙に印刷をした場合、富士山の印刷された紙を後日見た際に、何年何月何日に、どのような機種のデジタルカメラを用いて、どの程度のシャッター速度にて撮影したか等の撮影条件を知りたいことがある。
【0018】
このような観点から、被印刷体の印刷面に印刷を行う際に、画像とともに、撮影年月日等の撮影条件をも印刷してしまうことが行われている。
【0019】
しかしながら、画像に重ねて撮影条件を印刷してしまうことは好ましくない。
【0020】
また、画像と重なることなく撮影条件を印刷する場合には、撮影条件を印刷するための領域を画像印刷領域とは別に被印刷体に確保する必要が生じてしまう。
【0021】
そこで、本発明はかかる課題(上記(1)〜(3)に記載の課題)に鑑みてなされたもので、被印刷体に関する様々な情報を被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、かかる印刷装置及び印刷装置と接続されるコンピュータ本体を有するコンピュータシステムを実現することを目的とする。
【0022】
また、本発明は、撮影条件や出力制御情報等を好適に被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、コンピュータシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために、主たる本発明は、印刷装置による情報の書き込みが可能な素子を有していることを特徴とする被印刷体であることを特徴とする。
【0024】
また、前記課題を解決するために、他の主たる本発明は、情報を書き込み可能な素子を有し、撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする。
【0025】
また、前記課題を解決するために、他の主たる本発明は、情報を書き込み可能な素子を有し、印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子には、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする。
【0026】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかにする。
【0027】
以下の開示により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0028】
印刷装置による情報の書き込みが可能な素子を有していることを特徴とする被印刷体。
【0029】
かかる被印刷体によれば、忘れられたり失われたりしやすい、印刷結果に関連する様々な属性情報を、被印刷体に設けられた書き込み可能素子に書き込んで保存しておくことができるので、後日同じデータを印刷する際に重要となるそれらの属性情報を容易に利用することができる。
【0030】
また、前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った印刷装置を特定するための情報が書き込まれることとしてもよい。
【0031】
印刷時の色変換情報など一部の印刷情報は印刷装置種類毎に異なるので、前回使用した印刷装置種類を忘れてしまうと同じ印刷結果を再現することに困難を生ずる。そこで、かかる被印刷体によれば、被印刷体に設けられた書き込み可能素子に、印刷を行った印刷装置を特定する情報を書き込んで保存しておくことができるので、後日同じデータを印刷する際に、前回と同じ印刷装置を容易に特定することができ、その属性情報を容易に利用することができる。
【0032】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを記録する際に使用されたデジタルカメラを特定するための情報が書き込まれることとしてもよい。
【0033】
色補正などの画像処理に関する情報はデジタルカメラ毎に異なるので、画像データを記録したデジタルカメラ種類を忘れてしまうと同じ画像処理結果、ひいては印刷結果を再現することに困難を生ずる。そこで、かかる被印刷体によれば、被印刷体に設けられた書き込み可能素子に、画像データを記録したデジタルカメラを特定する情報を書き込んで保存しておくことができるので、後日同じ画像データを画像処理し、印刷する際に、前回と同じデジタルカメラを容易に特定することができ、その属性情報を容易に利用することができる。
【0034】
また、前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った日付を特定するための情報が書き込まれることとしてもよい。
【0035】
かかる被印刷体によれば、例えば、印刷された画像の時間経過に対する劣化具合を知りたいような場合に、素子に書き込まれた印刷日付情報を読み取ることによって、簡単に印刷日付を調べることができる。
【0036】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを特定するための情報が書き込まれることとしてもよい。
【0037】
かかる被印刷体によれば、印刷対象の画像データを特定するための情報(画像ファイルのファイル名や、コンピュータハードディスクにおけるファイルのパス名など)を、被印刷体に設けられた書き込み可能素子に書き込んで保存しておくことができるので、後日その被印刷体に印刷されている画像の画像データを記憶に頼ることなく容易に特定できる。
【0038】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれることとしてもよい。
【0039】
同じ画像を後日再度印刷したいような場合には、無論、もとの画像が保存されているコンピュータなどから再度印刷装置に出力すればよい。ところが、そのコンピュータが近くにない移動先などにおいて、急に追加印刷が必要になった場合は、印刷できない。印刷結果である被印刷体を携帯していれば、コピー機やスキャナを用いて、印刷画像のイメージ読み取りを行い、複製することはできるが、コピー機やスキャナによる読み取り印刷を繰り返すと画像は次第に劣化する。そこで、かかる被印刷体によれば、当該被印刷体に印刷された画像データそのものを被印刷体の記憶素子に書き込んで保存しておくことができるので、その画像データを何らかの読取手段を用いて読み取った上で印刷すれば、画像劣化のない印刷結果を簡単に得ることができる。
【0040】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが記憶され、記憶された画像データは、画像データ読み取り手段を備えた印刷装置によって印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0041】
かかる被印刷体によれば、当該被印刷体に印刷された画像データそのものが保存された記憶素子の画像データを読み取り、印刷することによって、画像劣化のない印刷結果を簡単に得ることができる。
【0042】
また、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることとしてもよい。
【0043】
このように、例えば厚紙などのように一定以上の厚さを有する被印刷体とすれば、前記素子を埋め込むことが容易である。また、耐変形性を有する柔軟な構造でなく硬質な構造の記憶素子であっても、印刷装置の給紙構造を直線的なものとすれば、印刷実行時の素子の変形、破壊を防止することができる。
【0044】
また、前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることとしてもよい。
【0045】
前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体である場合には、特に効果的に上述した効果が奏される。
【0046】
また、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であり、前記被印刷体に関する情報を記憶するための素子が設けられており、前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った印刷装置を特定するための情報、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを記録する際に使用されたデジタルカメラを特定するための情報、前記被印刷体に印刷を行った日付を特定するための情報、及び、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれ、書き込まれた画像データは、画像データ読み取り手段を備えた印刷装置によって印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0047】
このようにすれば、前記素子を埋め込むことが容易であり、かつ、硬質な構造の記憶素子であっても、変形、破壊されることなく印刷することができる被印刷体であって、色変換情報などの印刷装置毎に異なる印刷属性情報や、色補正などのデジタルカメラ毎に異なる画像処理情報、及び印刷日付情報を容易に利用しつつ、当該被印刷体に印刷された画像データそのものが保存された記憶素子の画像データを読み取り、印刷することができるので、スキャナ読み取りなどによる画像劣化もなく、前回の印刷結果と同じ品質の印刷結果を簡単に得ることができる。
【0048】
被印刷体に関する情報を記憶するための素子が設けられていることを特徴とする被印刷体。
【0049】
かかる被印刷体によれば、光学センサなどを用いて被印刷体自体から読み取ることのできる情報よりも、詳細かつ正確な被印刷体に関する情報を保有させておくことができるので、その情報を取得することにより印刷装置の印字ヘッド制御などをより詳細かつ正確に行うことができる。また、記憶素子を被印刷体そのものに設けたので、ユーザがいちいちパーソナルコンピュータのプリンタ設定画面などから被印刷体に関する詳細な情報を入力する必要が無く、簡単に印刷制御を行うことができる。
【0050】
また、前記被印刷体の、前記印刷装置に挿入される際に先頭となる部分に、前記素子が設けられているようにしてもよい。
【0051】
かかる被印刷体によれば、前記被印刷体の記憶素子に書き込まれた情報を早い時点で読み取ることができ、被印刷体の給紙動作において、逆方向に戻す動作を行う必要が無い。
【0052】
また、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であるようにしてもよい。
【0053】
このように、例えば厚紙などのように一定以上の厚さを有する被印刷体とすれば、前記素子を埋め込むことが容易である。また、耐変形性を有する柔軟な構造でなく硬質な構造の記憶素子であっても、印刷装置の給紙構造を直線的なものとすれば、印刷実行時の素子の変形、破壊を防止することができる。
【0054】
また、前記素子には、前記被印刷体の種類を特定するための情報、前記被印刷体の厚さを特定するための情報、前記被印刷体の幅を特定するための情報、前記被印刷体の製造年月日を特定するための情報、又は、前記被印刷体に応じた色変換を行う際に参照される情報などが記憶されていることとしてもよい。
【0055】
かかる被印刷体によれば、光学センサなどで読み取る場合よりも詳細かつ正確なこれらの情報を、素子に保有させておくことにより、より詳細かつ正確な印刷制御を行うことができ、高品質の印刷結果を実現することができる。
【0056】
また、前記素子に記憶された情報は、前記印刷装置に設けられた読み込み手段によって該印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0057】
かかる被印刷体によれば、従来はパーソナルコンピュータ画面上などにおいて、いちいちユーザが詳細な印刷設定を行っていたものを、印刷装置が直接、被印刷体より印刷情報を読み取って印刷制御に反映させるので、正確かつ詳細な印刷制御を簡単に行うことができ、高品質の印刷結果を得ることができる。
【0058】
また、前記読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることとしてもよい。
【0059】
かかる被印刷体によれば、前記素子と読み取り手段とを接触させる必要が無いので、構成が容易となる。
【0060】
また、前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることとしてもよい。
【0061】
前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体である場合には、特に効果的に上述した効果が奏される。
【0062】
また、前記印刷装置は、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドと、この印刷ヘッドの移動方向と交差する方向に前記被印刷体を搬送して位置決めするための搬送位置決め手段を有し、前記素子に記憶された情報は、前記搬送位置決め手段による前記被印刷体の搬送方向において、該搬送位置決め手段よりも上流側に設けられた読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0063】
かかる被印刷体によれば、記憶素子に記憶された情報を印刷装置において早い時期に読み込むことができるので、印刷制御の設定を正確に行うことができる。
【0064】
また、前記印刷装置は、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドを有し、前記素子に記憶された情報は、該印刷ヘッドとともに移動する読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0065】
かかる被印刷体によれば、被印刷体の形状や寸法が様々に変化しても、臨機応変に記憶素子の情報を読み込むことができ、高度な印刷制御を行うことができる。
【0066】
また、前記素子は、前記被印刷体の、前記印刷装置に挿入される際に先頭となる部分に設けられており、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であり、前記素子には、前記被印刷体の種類を特定するための情報、前記被印刷体の厚さを特定するための情報、前記被印刷体の幅を特定するための情報、前記被印刷体の製造年月日を特定するための情報、及び、前記被印刷体に応じた色変換を行う際に参照される情報が記憶されており、前記素子に記憶された情報は、前記印刷装置に設けられた非接触式の読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0067】
かかる被印刷体によれば、前記被印刷体の記憶素子に書き込まれた情報を早い時点で読み取ることができ、被印刷体の給紙動作において、逆方向に戻す動作を行う必要が無い。また、厚紙などのように一定以上の厚さを有する被印刷体なので、前記素子を埋め込むことが容易であり、耐変形性を有する柔軟な構造でなく硬質な構造の記憶素子であっても、印刷装置の給紙構造を直線的なものとすれば、印刷実行時の素子の変形、破壊を防止することができる。また、光学センサなどで読み取る場合よりも詳細かつ正確な情報を、素子に保有させておくことにより、より詳細かつ正確な印刷制御を行うことができ、高品質の印刷結果を実現することができる。また、構成の容易な非接触式の読み取り手段により読み込まれることにより、ユーザの手入力に代って印刷装置が直接、被印刷体より印刷情報を読み取って印刷制御に反映させるので、正確かつ詳細な印刷制御を簡単に行うことができ、高品質の印刷結果を得ることができる。
【0068】
情報を書き込み可能な素子を有し、撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする被印刷体。
【0069】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に撮影条件を印刷しなくとも、後日撮影条件を容易に知ることができる。
【0070】
また、前記撮影装置は、デジタルカメラであることとしてもよい。
【0071】
かかる被印刷体によれば、デジタルカメラによる前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に撮影条件を印刷しなくとも、後日デジタルカメラにて撮影した際の撮影条件を容易に知ることができる。
【0072】
また、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0073】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の年月日を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に撮影年月日を印刷しなくとも、後日撮影年月日を容易に知ることができる。
【0074】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0075】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に撮影年月日を印刷しなくとも、後日デジタルカメラの機種を容易に知ることができる。
【0076】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0077】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体にシャッター速度を印刷しなくとも、後日シャッター速度を容易に知ることができる。
【0078】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0079】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に絞り値を印刷しなくとも、後日絞り値を容易に知ることができる。
【0080】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0081】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体にISO感度相当値を印刷しなくとも、後日ISO感度相当値を容易に知ることができる。
【0082】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0083】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体にフラッシュ情報を印刷しなくとも、後日フラッシュ情報を容易に知ることができる。
【0084】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれることとしてもよい。
【0085】
同じ画像を後日再度印刷したいような場合には、無論、もとの画像が保存されているコンピュータなどから再度印刷装置に出力すればよい。ところが、そのコンピュータが近くにない移動先などにおいて、急に追加印刷が必要になった場合は、印刷できない。印刷結果である被印刷体を携帯していれば、コピー機やスキャナを用いて、印刷画像のイメージ読み取りを行い、複製することはできるが、コピー機やスキャナによる読み取り印刷を繰り返すと画像は次第に劣化する。そこで、かかる被印刷体によれば、当該被印刷体に印刷された画像データそのものを被印刷体の素子に書き込んで保存しておくことができるので、その画像データを何らかの読取手段を用いて読み取った上で印刷すれば、画像劣化のない印刷結果を簡単に得ることができる。
【0086】
また、前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって非接触状態にて書き込まれることしてもよい。
【0087】
また、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることとしてもよい。
【0088】
このように、例えば厚紙などのように一定以上の厚さを有する被印刷体とすれば、前記素子を埋め込むことが容易である。また、耐変形性を有する柔軟な構造でなく硬質な構造の記憶素子であっても、印刷装置の給紙構造を直線的なものとすれば、印刷実行時の素子の変形、破壊を防止することができる。
【0089】
また、前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることとしてもよい。
【0090】
前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体である場合には、特に効果的に上述した効果が奏される。
【0091】
また、被印刷体の全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて、前記印刷装置によって印刷が行われることしてもよい。
【0092】
被印刷体の全表面を対象として印刷が行われる場合には、撮影条件を被印刷体に印刷してしまうと、撮影条件と画像とが重なって印刷されてしまうという不都合が生じ得る。しかしながら、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことによって、かかる不都合の発生を防止することができる。
【0093】
また、情報を書き込み可能な素子を有し、デジタルカメラよって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子には、前記デジタルカメラによる前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報、及び、前記画像データが、前記印刷装置によって非接触状態にて書き込まれ、厚さが、0.5mm以上であり、前記印刷装置によって切断されることなく、その全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて、前記印刷装置によって印刷が行われることを特徴とする被印刷体も実現可能である。
【0094】
また、情報を書き込み可能な素子を有し、印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子には、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする被印刷体。
【0095】
また、前記印刷装置は、画像データを格納した画像ファイルから前記出力制御情報を読み取り、読み取った該出力制御情報を、前記素子に書き込むこととしてもよい。
【0096】
また、前記出力制御情報は、ガンマ値、色空間、コントラスト、カラーバランス、シャープネス、色補正、および強調色を指定して、前記印刷装置における画像処理を制御するデータであることとしてもよい。
【0097】
また、前記出力制御情報は、印刷メディア、解像度、印刷ヘッドの動作方向を指定して、前記印刷装置における画像出力処理を制御するデータであることとしてもよい。
【0098】
また、前記画像ファイルは、デジタルカメラにおいて生成された画像ファイルであることとしてもよい。
【0099】
また、被印刷体に設けられた素子であって、前記素子は、前記印刷装置による情報の書き込みが可能であることを特徴とする素子も実現可能である。
【0100】
また、被印刷体に設けられる素子であって、前記被印刷体に関する情報が記憶されることを特徴とする素子も実現可能である。
【0101】
また、被印刷体に設けられる素子であって、被印刷体に設けられた後に、撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件が、印刷装置によって書き込まれることを特徴とする素子も実現可能である。
【0102】
また、被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に対して情報を書き込むための書き込み手段を有していることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0103】
また、かかる印刷装置において、被印刷体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有し、前記書き込み手段は、前記被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けられていることしてもよい。
【0104】
前記書き込み手段を、前記被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けることにより、該インク吐出ヘッドによるインク吐出が行われて印刷が実行される前に、素子に対して情報を書き込むことが可能となる。
【0105】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体が印刷装置に対して所定の位置に位置した際に、前記書き込み手段による前記素子に対する情報の書き込みが行われ、該位置において、該素子に記憶された情報の読み込みも可能であることとしてもよい。
【0106】
かかる印刷装置によれば、前記被印刷体が印刷装置に対して所定の位置に位置した状態で、前記素子に対する情報の書き込み、及び、読み込みがともに可能となる。
【0107】
また、かかる印刷装置において、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることとしてもよい。
【0108】
かかる印刷装置によれば、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に対して効果的に情報を書き込むことが可能となる。
【0109】
また、被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に対して画像データを書き込むための書き込み手段と、素子に書き込まれた画像データを読み取るための読み取り手段を有していることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0110】
また、被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に記憶された、該被印刷体に関する情報を読み込むための読み込み手段を有することを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0111】
また、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドと、この印刷ヘッドの移動方向と交差する方向に前記被印刷体を搬送して位置決めするための搬送位置決め手段を有し、前記読み取り手段は、前記搬送位置決め手段による前記被印刷体の搬送方向において、該搬送位置決め手段よりも上流側に設けられていることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0112】
また、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドを有し、前記読み取り手段は、該印刷ヘッドとともに移動することを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0113】
また、前記読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0114】
また、かかる印刷装置において、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることとしてもよい。
【0115】
かかる印刷装置によれば、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられ素子に記憶された情報を効果的に読み込むことが可能となる。
【0116】
また、撮影装置よって生成された画像データに基づいて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込むことを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0117】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置は、デジタルカメラであることとしてもよい。
【0118】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0119】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0120】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0121】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0122】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0123】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0124】
また、かかる印刷装置において、前記素子に、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを書き込むこととしてもよい。
【0125】
また、かかる印刷装置において、前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を非接触状態にて書き込むこととしてもよい。
【0126】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体を切断することなく印刷を行うこととしてもよい。
【0127】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体の全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷を行うこととしてもよい。
【0128】
また、かかる印刷装置において、被印刷体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有し、前記素子に前記撮影条件を書き込むための書き込み手段が、被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けられていることとしてもよい。
【0129】
前記書き込み手段を、前記被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けることにより、該インク吐出ヘッドによるインク吐出が行われて印刷が実行される前に、素子に対して情報を書き込むことが可能となる。
【0130】
また、かかる印刷装置において、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることとしてもよい。
【0131】
かかる印刷装置によれば、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に対して効果的に情報を書き込むことが可能となる。
【0132】
また、画像データに基づいて被印刷体に印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報を書き込むことを特徴とする印刷装置。
【0133】
また、画像データを格納した画像ファイルから前記出力制御情報を読み取り、読み取った該出力制御情報を、前記素子に書き込むこととしてもよい。
【0134】
また、前記出力制御情報は、ガンマ値、色空間、コントラスト、カラーバランス、シャープネス、色補正、および強調色を指定して、前記印刷装置における画像処理を制御するデータであることとしてもよい。
【0135】
また、前記出力制御情報は、印刷メディア、解像度、印刷ヘッドの動作方向を指定して、前記印刷装置における画像出力処理を制御するデータであることとしてもよい。
【0136】
また、前記画像ファイルは、デジタルカメラにおいて生成された画像ファイルであることとしてもよい。
【0137】
また、コンピュータ本体、このコンピュータ本体と接続されて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、前記印刷装置は、前記被印刷体に設けられた素子に対して情報を書き込むための書き込み手段を有していることを特徴とするコンピュータシステムも実現可能である。
【0138】
また、コンピュータ本体、このコンピュータ本体と接続されて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、前記印刷装置は、前記被印刷体に設けられた素子に記憶された、該被印刷体に関する情報を読み込むための読み込み手段を有することを特徴とするコンピュータシステムも実現可能である。
【0139】
また、コンピュータ本体、及び、このコンピュータ本体と接続されて撮影装置よって生成された画像データに基づいて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、前記印刷装置が、前記被印刷体に設けられた素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込むことを特徴とするコンピュータシステムも実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】第一実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの外観を概略的に示す図である。
【図2】第一実施形態に関するものであり、2つの給紙経路を示す、インクジェットプリンタの要部断面図である。
【図3】第一実施形態に関するものであり、被印刷体である、記憶素子を埋め込んだ厚紙の斜視図である。
【図4】第一実施形態に関するものであり、(a)は、記憶素子の構成を示す平面透視図、(b)は、記憶素子及び送受信部の内部構成を示すブロック図である。
【図5】第一実施形態に関するものであり、記憶素子に保存される情報のイメージを示す図である。
【図6】第一実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタのキャリッジ周辺の構成を示した斜視図である。
【図7】第一実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの内部構成を示した図である。
【図8】第一実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの制御回路の内部構成を示したブロック図である。
【図9】第一実施形態に関するものであり、印刷実行時における、プリンタの制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図10】第二実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの外観を概略的に示す図である。
【図11】第二実施形態に関するものであり、2つの給紙経路を示す、インクジェットプリンタの要部断面図である。
【図12】第二実施形態に関するものであり、被印刷体である、記憶素子を埋め込んだ厚紙の斜視図である。
【図13】第二実施形態に関するものであり、(a)は、記憶素子の構成を示す平面透視図、(b)は、記憶素子及び読み取りセンサの内部構成を示すブロック図である。
【図14】第二実施形態に関するものであり、記憶素子に保存される情報のイメージを示す図である。
【図15】第二実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタのキャリッジ周辺の構成を示した斜視図である。
【図16】第二実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの内部構成を示した図である。
【図17】第二実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの制御回路の内部構成を示したブロック図である。
【図18】第二実施形態に関するものであり、印刷実行時における、プリンタの制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図19】第三実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの外観を概略的に示す図である。
【図20】第三実施形態に関するものであり、2つの給紙経路を示す、インクジェットプリンタの要部断面図である。
【図21】第三実施形態に関するものであり、被印刷体である、記憶素子を埋め込んだ厚紙の斜視図である。
【図22】第三実施形態に関するものであり、(a)は、記憶素子の構成を示す平面透視図、(b)は、記憶素子及び送受信部の内部構成を示すブロック図である。
【図23】第三実施形態に関するものであり、記憶素子に保存される情報のイメージを示す図である。
【図24】第三実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタのキャリッジ周辺の構成を示した斜視図である。
【図25】第三実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの内部構成を示した図である。
【図26】第三実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの制御回路の内部構成を示したブロック図である。
【図27】第三実施形態に関するものであり、印刷実行時における、プリンタの制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図28】その他の実施形態に係る画像ファイルの内部構成を概念的に示す説明図である。
【図29】その他の実施形態に関するものであり、Exif(登録商標)ファイル形式にて格納されている第1実施例に係る画像ファイルGFの概略的な内部構造を示す説明図である。
【図30】その他の実施形態に係る画像ファイルGFの詳細な階層構造を示す説明図である。
【図31】その他の実施形態に係る画像ファイルGFを生成可能なディジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0141】
=第1実施形態=
===インクジェットプリンタの概略===
次に、本発明の主な適用対象である印刷装置としてのインクジェットプリンタの概略について説明する。図1は、インクジェットプリンタの概略的な外観を示した図である。
【0142】
ここでは、カラーインクジェットプリンタを示した。このカラープリンタ1010は、カラー画像の出力が可能なインクジェットプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクをカット紙などの被印刷体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。
【0143】
図1に示すように、カラープリンタ1010は、背面側上方から供給されたカット紙を前面から排出する給紙構造を備えている。プリンタ本体1010の前面には操作パネル1011、排紙部1012が備えられ、背面には給紙部1013が備えられている。操作パネル1011には、各種操作ボタン1111、表示ランプ1112が設けられている。排紙部1012は、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー1121が備えられている。
【0144】
給紙部1013には、図示していないカット紙を保持する給紙トレー1131が備えられている。なお、カット紙とは、予め所定の寸法に切断された紙であり、カラープリンタ1010によって切断されることのない単票の印刷メディアである。
【0145】
===給紙機構の構成===
本実施形態のカラープリンタ1010は、特に、ストレートパスと呼ばれるもう1つの給紙経路(図1には示していない)を有する構成のものである。これは、厚紙などの一定の厚さや硬さを有する被印刷体を手差しにより供給する給紙機構である。このストレートパス機構では、CD−Rなどの変則的な寸法、形状の被印刷体に対しても、被印刷体搬送トレー(図示していない)に載置して供給することにより、被印刷体を切断することなく印刷を行うことが可能である。図2は、これら2つの給紙機構について説明するための、プリンタ1010の要部断面図である。
【0146】
カラープリンタ1010には、被印刷体に印刷を行う手段として、摺動軸1044に軸支され、摺動軸方向(主走査方向)に移動するキャリッジ1040が設けられており、このキャリッジ1040には、被印刷体にインクを吐出して印刷を行うヘッドIH1〜IH4が搭載されている。ヘッドIH1〜IH4と対向して、ヘッドIH1〜IH4のヘッド面と被印刷体とのギャップを規定するプラテン1042が設けられている。そして、キャリッジ1040を主走査方向に搬送し、被印刷体をキャリッジ1040とプラテン1042との間で副走査方向Yに間欠的に搬送しながら、ヘッドIH1〜IH4が被印刷体にインクを吐出することによって、被印刷体に印刷が行われる。
【0147】
給紙トレー1131は、例えば普通紙やフォト紙等のカット紙である被印刷体を供給することが可能な構成であり、被印刷体を自動供給するためのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレー1131に設けられた給紙ローラ1132、及び図示していない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ1132は、略D形の横断面形状を有しており、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御される。そして、給紙ローラ1132の回転駆動力と分離パッドの摩擦抵抗によって、複数の被印刷体が一度に給紙されることを防ぐ。
【0148】
そして、矢印Aで示した経路に沿ってASFにより自動給紙された被印刷体は、給紙ローラ1132より副走査方向Yの下流側に配設された被印刷体搬送位置決め手段により、印刷実行領域に向けて、所定の紙送り量で間欠的に搬送される。
【0149】
被印刷体を副走査方向Yに間欠的に搬送し、位置決めする搬送位置決め手段として、搬送駆動ローラ1061と搬送従動ローラ1062が設けられている。搬送駆動ローラ1061は、ステッピング・モータ等の紙送りモータにより回転制御され、被印刷体は搬送駆動ローラ1061の回転により副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ1062は、複数の搬送従動ローラホルダ1621に軸支されている。被印刷体が搬送駆動ローラ1061の回転により搬送される際に、搬送従動ローラ1062は、従動して回転する。
【0150】
また、給紙ローラ1132と搬送駆動ローラ1061との間には、従来技術において公知の技術による紙検出器1063が配設されている。紙検出器1063は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙搬送方向にのみ回動し得るよう被印刷体の搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバー1631を有する。このレバー1631の先端が被印刷体に押されることにより、レバー1631が回動し、それによって被印刷体が検出される構成である。紙検出器1063は、給紙ローラ1132より給紙された被印刷体の始端位置、及び終端位置を検出し、その検出位置に合わせて印刷領域が決定され、印刷が実行される。
【0151】
一方、印刷された被印刷体を排紙する手段として、排紙駆動ローラ1064と排紙従動ローラ1065が設けられている。排紙駆動ローラ1064は、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、排紙駆動ローラ1064の回転により、被記録材は副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ1065は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が被印刷体の記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラであり、それぞれ、被印刷体が排紙駆動ローラ1064の回転により排紙される際に従動して回転する。
【0152】
さらに、プリンタ1010には、上述したASFによる給紙経路(符号Aの矢印で示した経路)とは別に、記憶素子を埋設させた厚紙など、柔軟性の少ない被印刷体などを供給するための給紙路が設けられている。図中、この給紙路を符号Bの矢印で示している。そして、プリンタ1010は、この矢印Bの給紙路から給紙された被印刷体に対しても、前記ASFから給紙された被印刷体と同様に印刷を実行することができる。
【0153】
さらに、プリンタ1010は、図示していないが、搬送従動ローラレリース機構を備えている。被印刷体をセット位置にセットする際に、搬送従動ローラ1062を搬送駆動ローラ1061から離間させた状態(レリース状態)に保持し、被印刷体を給紙路に挿入して印刷セット位置にセットし、印刷セット位置への位置合わせ完了後に、そのレリース状態を解除し、搬送従動ローラ1062が搬送駆動ローラ1061によって付勢される状態に復帰する。ここで、被印刷体が印刷セット位置にセットされる際に、しばらく動作停止状態となるので、この一時停止状態を利用して、記憶素子付きの被印刷体に対しては、記憶素子への情報読み書きを行う。
【0154】
図示していないが、矢印Bの給紙路と矢印Aの給紙路との合流地点付近、すなわち紙検出器1063の付近の上方に、被印刷体の記憶素子に対する読み取り/書き取り手段としての送受信部が設けられている。送受信部は、上記被印刷体が一時停止状態となる位置において、その記憶素子とちょうど対向する箇所に設けられている。送受信部の構成や配置についての詳細は、後述する。
【0155】
なお、符号Bの矢印で示した経路に被印刷体を搬送する給紙機構(搬送手段)は、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送するから、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に対して効果的に情報を書き込むこと又は情報を読み込むことが可能となる。
【0156】
===被印刷体の構成===
図3は、本実施形態における被印刷体の斜視図である。この被印刷体1082は、本体が厚紙であり、矢印Bを給紙方向として本体の先端付近に記憶素子1081が埋設されている。前述のように、記憶素子1081は、被印刷体がY方向給紙路の途中で一時停止状態となる位置において、記憶素子1081と印刷装置に設けられた前記送受信部1080(図4)とがちょうど対向するように位置決めされる。記憶素子1081を埋設する位置としては、送受信部1080を設ける位置にも依存するが、厚紙の後端寄りであると、送受信部1080による読み取りの後で、再び前記セット位置まで被印刷体1082を戻す動作が必要となるので、先端付近とすることが好ましい。
【0157】
記憶素子1081は、NAND型フラッシュROMなどのメモリセルを有する素子であり、アンテナとなるコイルや、制御部や記憶部を有するICチップから構成される、ごく小型かつ薄型のものである。0.5mmほどの厚さを有する厚紙などであれば容易に埋設することができる。また、この記憶素子1081は、非接触式の読み取り/書き込みが可能なタイプのものである。従って、送受信部1080と記憶素子1081とが互いに接触する必要は無く、両者は間隙を有する。記憶素子1081は、送受信部1080から送信される搬送波を整流して必要な電力を生成する。
【0158】
===記憶素子と送受信部の構成===
次に、図4を参照して記憶素子1081と送受信部1080の構成について説明する。
【0159】
図4(a)は、記憶素子1081の構成を示す平面透視図である。記憶素子1081は、送受信部とのデータ送受信可能距離が20cm程度である、近接型の非接触式記憶素子である。全体としてごく小型かつ薄型で、片面に粘着性を持たせてシールとして対象物に貼着させることもできる。メモリタグなどと呼ばれ、多種市販されているものである。
【0160】
記憶素子1081は、非接触ICチップ1811と、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ1812及び平面状コイル1813とがプラスチックフィルム上に実装され、透明なカバーシートにより被覆されている。一方、平面図などは示さないが、送受信部1080は、記憶素子と同様のコイルアンテナ1801と、送受信回路1802とから構成され、電力の供給はプリンタ本体1010の電源ユニットから受ける。
【0161】
図4(b)は記憶素子1081及び送受信部1080の内部構成を示すブロック図である。送受信部1080は、アンテナコイル1801と、後述するプリンタ本体制御回路の周辺機器入出力部(PIO)1054(図8)に接続される送受信回路1802とから構成されている。記憶素子1081のICチップ1811は、整流器1814、信号解析部RF(Radio Frequency)1815、制御部1816、メモリセル1817から構成されている。メモリセル1817は、NAND型フラッシュROMなど電気的に読み書き可能なメモリである。
【0162】
記憶素子1081のアンテナ1813と送受信部1080のアンテナ1801とは、互いに通信し合い、メモリセル1817に保存された情報の読み書きを行う。また、送受信部1080の送受信回路1802で発生された高周波信号は、アンテナ1801を介して高周波磁界として誘起される。この高周波磁界は、記憶素子1081のアンテナ1813を介して吸収され、整流器1814で整流されてICチップ1811内の各回路を駆動する直流電力源となる。
【0163】
===記憶素子に記憶されているデータ===
図5は、記憶素子1081のメモリセル1817におけるデータ配列を示した図である。メモリセル1817の領域は、被印刷体の属性情報が書き込まれた読み取り領域1817Rと、印刷結果に関する情報が書き込まれる書き込み領域1817Wとから成っている。
【0164】
読み取り領域1817R(アドレス:00H〜04H)のデータは、当該記憶素子1081が埋設される厚紙個々の属性を表している。またこれらのデータは、記憶素子1081自体の工場での製造時や、厚紙への埋設工程などにおいて、書き込み処理されることとすればよい。
【0165】
読み取り領域1817Rの各データは、アドレス毎に8ビット情報であり、被印刷体種類、被印刷体厚さ、被印刷体幅、被印刷体製造年月日、及び被印刷体LUTである。被印刷体種類は、被印刷体1082の素材(紙、プラスチック、皮、OHPシートなど)及び紙である場合はその光沢などに関する情報である。被印刷体厚さは、被印刷体1082の厚さを示す情報である。この情報を利用することにより、厚みのある被印刷体1082を印刷する際に、被印刷体1082の印刷セット状態における搬送従動ローラ1062と搬送駆動ローラ1061の離間(レリース状態)間隔を制御することとしてもよい。被印刷体幅は、被印刷体1082の幅を示す情報である。
【0166】
この情報により、A4サイズ、B5サイズといった用紙幅をいちいちプリンタドライバソフトにて設定しなくとも、自動的に制御される。被印刷体LUT(Look Up Table)とは、インデックスカラー方式のインデックス番号と、実際に表示する色の数値情報とを関連付けている色補正表のことである。個々の被印刷体ごとに異なるので、カラー画像の色彩を印刷において高品質に表現するためには重要な情報である。以上示したデータ以外にも、被印刷体1082の属性に関する様々な情報が適宜含まれていてもよい。
【0167】
書き込み領域1817W(アドレス:05H以下)には、印刷結果に関する様々な情報を書き込むことができる。すなわち、印刷を行った印刷装置を特定するための情報や、当該被印刷体1082に印刷された画像データを撮影したデジタルカメラを特定するための情報、印刷を実行した日付、当該被印刷体1082に印刷されたデータを特定するための情報(ファイル名や、ハードディスクディレクトリのパス名など)、及び、当該被印刷体1082に印刷された画像データそのものなどである。これらの情報やデータは、後日同じデータを印刷する際に、同じ印刷結果を容易に再現することができる。
【0168】
なお、読み取り領域1817R、及び書き込み領域1817Wの各アドレスに格納される情報は、必要に応じて8ビットよりも大きいこととしてもよい。また、画像データは通常相当の大きさを有するので、適宜あらかじめ相当の大きさ分のアドレスを確保しておくことが好ましい。
【0169】
===送受信部の配置===
送受信部1080の配置について、本実施形態においては、矢印Aの給紙路と矢印Bの給紙路との合流地点付近、紙検出器1063の付近上方に設けられることとしているが、これに限定されるものではない。
【0170】
送受信部1080は、被印刷体の搬送方向において、印刷ヘッドIH1〜4よりも上流側に設けられていることが好ましい。なぜなら、送受信部1080を、被印刷体の搬送方向において、送受信部1080よりも上流側に設けることにより、印刷ヘッドIH1〜4によるインク吐出が行われて印刷が実行される前に、素子に対して情報を書き込むことが可能となるからである。
【0171】
より好ましくは、被印刷体1082を搬送する搬送位置決め手段(搬送駆動ローラ1061及び搬送従動ローラ1062)よりも給紙の上流であることが好ましい。記憶素子1081に記憶された情報をプリンタ1010本体側で、印刷実行時における早い時点で読み込むことができるので、印刷制御の設定を正確に行うことができるからである。
【0172】
また、記憶素子1081への書き込み処理も、同じ位置において読み取り処理に続けて行うこととすればよい。すなわち、被印刷体がプリンタ1010に対して所定の位置に位置した際に、素子に対する情報の書き込みが行われ、該位置において、該素子に記憶された情報の読み込みも可能であることとしてもよい。このように構成することにより、被印刷体がプリンタ1010に対して所定の位置に位置した状態で、素子に対する情報の書き込み、及び、読み込みがともに可能となる。
【0173】
なお、送受信部1080を、印刷ヘッドIH1〜4のいずれかの下面などに設けて、印刷ヘッドIH1〜4とともに移動できる構成としてもよい。このような構成であれば、被印刷体1082の幅がどのような寸法であっても、印刷ヘッドIH1〜4を走査方向に適切な位置まで移動させて通信することによって、確実に送受信することが可能となる。
【0174】
上記いずれの場合においても、近接型記憶素子1081の送受信可能距離の範囲内で通信できる位置に配置されることが好ましいのは言うまでも無い。また、いずれの場合も、読み書き動作時に、確実に通信が行われるために、被印刷体1082の動作を一時停止させることが好ましい。
【0175】
===キャリッジ周辺の構成===
次にインクジェットプリンタ1010内部のキャリッジ1040及びその周辺の構成について説明する。図6は、そのキャリッジ1040周辺の構成を示した斜視図である。
【0176】
図6に示すように、キャリッジ1040は、駆動ベルト1045によりプーリ1046を介してキャリッジモータ1041に接続され、摺動軸1044に案内されてプラテン1042に平行に移動するように駆動される。キャリッジ1040の印刷紙に対向する面には、ブラックインクを吐出するノズル列及びカラーインクを吐出するノズル列を有するヘッドIH1〜IH4が設けられ、各ノズルはインクカートリッジINC1、INC2からインクの供給を受けて印刷紙にインク滴を吐出し、文字や画像を印刷する。
【0177】
また、キャリッジ1040の非印字領域には、非印字時にヘッドIH1〜IH4のノズル開口を封止するためのキャッピング装置1025と、図示しないポンプモータを有するポンプユニット1026とが設けられている。キャリッジ1040が印字領域から非印字領域に移動すると、図示しないレバーにキャリッジ1040が当接して、キャッピング装置1025が上方に移動し、ヘッドIH1〜IH4を封止する。
【0178】
ヘッドIH1〜IH4のノズル開口列に目詰まりが生じた場合や、インクカートリッジINC1、INC2の交換等を行ってヘッドIH1〜IH4から強制的にインクを吐出する場合は、ヘッドIH1〜IH4を封止した状態でポンプユニット1026を作動させ、ポンプユニット1026からの負圧により、ノズル開口列からインクを吸い出す。これにより、ノズル開口列の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらにはヘッドIH1〜IH4内の気泡がインクとともにキャップ1027に排出される。
【0179】
===インクジェットプリンタの内部構成===
次に、図7を参照してカラーインクジェットプリンタ1010の内部構成について説明する。図7は、本実施の形態に係るプリンタ1010の内部構成を示した図である。
【0180】
プリンタ1010は、図示するように、キャリッジ1040に搭載された印字ヘッドIH1〜IH4を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、このキャリッジ1040をキャリッジモータ1041によってプラテン1042の軸方向に往復動させる機構と、給紙ユニット1131から供給されるカット紙1133や、矢印Bの給紙路から供給される被印刷体を紙送りモータ1043によって搬送する機構と、制御回路1050とを有している。
【0181】
キャリッジ1040をプラテン1042の軸方向に往復動させる機構は、プラテン1042の軸と並行に架設され、キャリッジ1040を摺動可能に保持する摺動軸1044と、キャリッジモータ1041との間に無端の駆動ベルト1045を張設するプーリ1046等から構成されている。
【0182】
被印刷体を搬送する機構は、プラテン1042と、プラテン1042を回転させる紙送りモータ1043と、搬送駆動ローラ1061及び搬送従動ローラ1062(図2)と、紙送りモータ1043の回転をプラテン1042及び上記2つのローラ1061、1062に伝えるギヤ機構1048と、プラテン1042の回転角度を検出するエンコーダ1047と、紙検出器1063(図2)などを有している。また、紙検出器1063付近に設けられた送受信部1080が設けられている。
【0183】
制御回路1050は、プリンタの操作パネル1011や送受信部1080、外部接続されるパーソナルコンピュータ等と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ1043やキャリッジモータ1041、印字ヘッドIH1〜IH4の動きを適切に制御する。給紙ユニット1131や矢印Bのストレートパス給紙路から供給される被印刷体は、プラテン1042と搬送従動ローラ1062の間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン1042の回転角度に応じて所定量ずつ搬送される。
【0184】
キャリッジ1040にはインクカートリッジINC1とインクカートリッジINC2とが装着される。各インクカートリッジINC1、INC2には、インク残量等を記憶する記憶素子ME(図8)が備えられている。インクカートリッジINC1には黒(K)インクが収容され、インクカートリッジINC2には他のインク、すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の3色インクが収納されている。ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ダークイエロ(DY)のインクも収納可能であることは既述の通りである。
【0185】
===制御回路の内部構造===
次に図8を参照してインクジェットプリンタの制御回路1050の内部構成について説明する。図8は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの制御回路1050の内部構成を示したブロック図である。
【0186】
図示するように、制御回路1050の内部には、CPU1051、PROM1052、RAM1053、周辺機器入出力部(PIO)1054、タイマ1055、駆動バッファ1056等が設けられている。
【0187】
PIO1054には、操作パネル1011、パーソナルコンピュータPC、インクカートリッジの記憶素子MEとの接点MEC、キャリッジモータ1041、紙送りモータ1043、エンコーダ1047、及び送受信部1080が接続されている。駆動バッファ1056は、印字ヘッドIH1〜IH4にドット形成のためのオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス1057で接続され、相互にデータのやり取りが可能となっている。また、制御回路1050には、所定周波数で駆動波形を出力する発振器1058、及び発振器1058からの出力を印字ヘッドIH1〜IH4に所定のタイミングで分配する分配出力器1059も設けられている。
【0188】
制御回路1050は、被印刷体1082が印刷セット位置に一時停止した際に、送受信部1080を介して、被印刷体1082の記憶素子1081に対しアクセスする。そして制御回路1050は、記憶素子1081から取得した情報を反映して、印刷処理を制御し、また、印刷結果に関する各種の情報を記憶素子1081に書き込む。
【0189】
印刷実行時には、キャリッジモータ1041や紙送りモータ1043の動きと同期をとりながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ1056に出力する。記憶素子1081に対する読み取り処理、並びに記憶素子1081から取得した情報を利用した印刷処理、及び印刷結果に関する情報の書き込み処理の詳細ついては、後述する。
【0190】
===インクジェットプリンタの動作===
次に、図9を参照して、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ1010の動作について説明する。図9は、ある画像データの印刷実行時にインクジェットプリンタ1010の制御回路1050において実行される処理のフローチャートである。ここでは、送受信部1080は、紙検出器1063の付近の給紙路内上方に、設けられていることとする。
【0191】
制御回路1050は、まず、紙検出器1063から被印刷体1082の位置情報を受信して、被印刷体1082が搬送位置決め手段1061、1062により印刷セット位置にセットされたことを認識する(ステップs1100)。
【0192】
制御回路1050は、次に、送受信部1080を介して、記憶素子1081のメモリセル1817の読み取り領域1817Rに記録された各種情報の読取処理を、アドレスの先頭部から順次シリアルに実行し、取得した情報を一旦、RAM1053に格納する(ステップs1102)。各種情報とはすなわち、被印刷体1082の種類、厚さ、幅、製造年月日、LUTなどである。
【0193】
制御回路1050は、次に、送受信部1080を介して、メモリセル1817の書き込み領域1817Wに、印刷結果に関する各種情報の書き込み処理を行う。まず、印刷装置を特定するための情報の書き込みを行う(ステップs1104)。
【0194】
以降、順次、印刷対象である画像データを撮影したデジタルカメラを特定するための情報(ステップs1106)、印刷日付(ステップs1108)、印刷対象である画像データのファイル名やパス名などの情報(ステップs1110)、及び印刷対象である画像データそのもの(ステップs1112)の書き込みを行う。
【0195】
これらの情報を記憶素子1081に書き込んでおくことによって、後日同じ画像データを印刷し、同じ印刷結果を得たいという際に、色変換情報などの印刷装置毎に異なる印刷属性情報や、色補正などのデジタルカメラ毎に異なる画像処理情報、及び画像データの保存場所やファイル名などの情報を読み取って印刷制御に利用することができるので、記憶に頼ることなく容易に同じ印刷結果を再現することができる。また、印刷日付情報を読み取ることによって、時間経過に伴う印刷画像の画質劣化について調べることなどができる。
【0196】
図9の説明に戻ると、次に制御回路1050は、印刷処理を行う(ステップs1114)。印刷処理は、基本的には公知の処理手順によって実行される。その際、RAM1053に格納した上記の各制御情報を読み出して、キャリッジモータ1041や、紙送りモータ1043、印刷ヘッドIH1〜4の駆動制御を行う。
【0197】
最後に制御回路1050は、印刷の終了を待機し(ステップs1116:No)、印刷が終了したと判定すると(ステップs1116:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0198】
なお、本実施形態の様に、画像データそのものを被印刷体1082の記憶素子1081に書き込んでおいた場合は、後日これを何らかの読み取り装置にて読み取って印刷することができる。この場合、画像データがもともと保存されていたコンピュータがなくとも、被印刷体自体が画像データを保有しているので別のコンピュータ及び印刷装置を用いて簡単に出力することができる。例えば、インクジェットプリンタなどのプリンタを多種販売する店舗の店頭において、サンプル画像をデモ印刷する場合は、ある画像が印刷された被印刷体の画像データを読み取って様々なプリンタで出力することによって、コンピュータ本体などを準備せずとも同じデータによる印刷結果の比較を簡単に行うことができる。その際、読み取り装置は上記実施形態と同様に印刷装置の給紙路途中に設けられていてもよいが、非接触式の読み取りが可能な小型ハンディスキャナのようなものであってもよい。
【0199】
また、以上の実施形態においては、インクジェットプリンタ1010にて被印刷体1082に対し印刷処理、及び画像データなどの書き込み処理を行い、後日、別の印刷装置にてこの画像データの読み取りを行い再印刷することとしたが、インクジェットプリンタ1010は、記憶素子1081への読み取りと書き込みの両方が可能な印刷装置であるので、後日再びインクジェットプリンタ1010にて被印刷体1082から画像データなどを読み取り、印刷してもよい。
【0200】
===その他===
本発明は、カット紙に対して効果的に適用可能であるが、カット紙に限らず、ロール紙についても適用可能である。この場合は、ロール紙ユニットの芯部周囲に巻き付けられた紙等に素子を設ければよい。
【0201】
前述の実施の形態では、被印刷体の本体部として厚紙を例にとって説明したが、プラスチックボード、金属薄板等を用いてもよい。
【0202】
前述の実施形態に係るインクジェットプリンタと、コンピュータ本体、CRT等の表示装置、マウスやキーボード等の入力装置、フレキシブルドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置を備えたコンピュータシステムも実現可能であり、このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0203】
また、前述の実施形態に係るインクジェットプリンタに、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能又は機構の一部を持たせてもよい。例えば、プリンタが、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を有する構成としてもよい。
【0204】
上記各実施の形態では、印刷装置としてインクジェットプリンタ1010を用いたが、カット紙などの単票メディアに対して印刷処理できる印刷装置であれば、これに限られることなく、例えば、モノクロプリンタ、レーザプリンタ、ファクシミリ等に適用しても良い。
【0205】
また、上記各実施の形態では、記憶素子として、非接触ICチップと、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ及び平面状アンテナコイルを備えたものを用いたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば共振用コンデンサは記憶素子の外部に接続されていてもよいし、ICチップとアンテナコイルが離れた場所にそれぞれ配設されて接続されている構成など様々な変形が考えられる。
【0206】
=第2実施形態=
===インクジェットプリンタの概略===
次に、本発明の主な適用対象である印刷装置としてのインクジェットプリンタの概略について説明する。図10は、インクジェットプリンタの概略的な外観を示した図である。
【0207】
ここでは、カラーインクジェットプリンタを示した。このカラープリンタ2010は、カラー画像の出力が可能なインクジェットプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクをカット紙などの被印刷体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。
【0208】
図10に示すように、カラープリンタ2010は、背面側上方から供給されたカット紙を前面から排出する給紙構造を備えている。プリンタ本体2010の前面には操作パネル2011、排紙部2012が備えられ、背面には給紙部2013が備えられている。操作パネル2011には、各種操作ボタン2111、表示ランプ2112が設けられている。排紙部2012は、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー2121が備えられている。
【0209】
給紙部2013には、図示していないカット紙を保持する給紙トレー2131が備えられている。なお、カット紙とは、予め所定の寸法に切断された紙であり、カラープリンタ2010によって切断されることのない単票の印刷メディアである。
【0210】
===給紙機構の構成===
本実施形態のカラープリンタ2010は、特に、ストレートパスと呼ばれるもう1つの給紙経路(図10には示していない)を有する構成のものである。これは、厚紙などの一定の厚さや硬さを有する被印刷体を手差しにより供給する給紙機構である。このストレートパス機構では、CD−Rなどの変則的な寸法、形状の被印刷体に対しても、被印刷体搬送トレー(図示していない)に載置して供給することにより、被印刷体を切断することなく印刷を行うことが可能である。図11は、これら2つの給紙機構について説明するための、プリンタ2010の要部断面図である。
【0211】
カラープリンタ2010には、被印刷体に印刷を行う手段として、摺動軸2044に軸支され、摺動軸方向(主走査方向)に移動するキャリッジ2040が設けられており、このキャリッジ2040には、被印刷体にインクを吐出して印刷を行うヘッドIH1〜IH4が搭載されている。ヘッドIH1〜IH4と対向して、ヘッドIH1〜IH4のヘッド面と被印刷体とのギャップを規定するプラテン2042が設けられている。そして、キャリッジ2040を主走査方向に搬送し、被印刷体をキャリッジ2040とプラテン2042との間で副走査方向Yに間欠的に搬送しながら、ヘッドIH1〜IH4が被記録材にインクを吐出することによって、被印刷体に印刷が行われる。
【0212】
給紙トレー2131は、例えば普通紙やフォト紙等のカット紙である被印刷体を供給することが可能な構成であり、被印刷体を自動供給するためのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレー2131に設けられた給紙ローラ2132、及び図示していない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ2132は、略D形の横断面形状を有しており、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御される。そして、給紙ローラ2132の回転駆動力と分離パッドの摩擦抵抗によって、複数の被印刷体が一度に給紙されることを防ぐ。
【0213】
そして、矢印Aで示した経路に沿ってASFにより自動給紙された被印刷体は、給紙ローラ2132より副走査方向Yの下流側に配設された被印刷体搬送位置決め手段により、印刷実行領域に向けて、所定の紙送り量で間欠的に搬送される。
【0214】
被印刷体を副走査方向Yに間欠的に搬送し、位置決めする搬送位置決め手段として、搬送駆動ローラ2061と搬送従動ローラ2062が設けられている。搬送駆動ローラ2061は、ステッピング・モータ等の紙送りモータにより回転制御され、被印刷体は搬送駆動ローラ2061の回転により副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ2062は、複数の搬送従動ローラホルダ2621に軸支されている。被印刷体が搬送駆動ローラ2061の回転により搬送される際に、搬送従動ローラ2062は、従動して回転する。
【0215】
また、給紙ローラ2132と搬送駆動ローラ2061との間には、従来技術において公知の技術による紙検出器2063が配設されている。紙検出器2063は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙搬送方向にのみ回動し得るよう被印刷体の搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバー2631を有する。このレバー2631の先端が被印刷体に押されることにより、レバー2631が回動し、それによって被印刷体が検出される構成である。紙検出器2063は、給紙ローラ2132より給紙された被印刷体の始端位置、及び終端位置を検出し、その検出位置に合わせて印刷領域が決定され、印刷が実行される。
【0216】
一方、印刷された被印刷体を排紙する手段として、排紙駆動ローラ2064と排紙従動ローラ2065が設けられている。排紙駆動ローラ2064は、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、排紙駆動ローラ2064の回転により、被印刷体は副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ2065は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が被印刷体の記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラであり、それぞれ、被印刷体が排紙駆動ローラ2064の回転により排紙される際に従動して回転する。
【0217】
さらに、プリンタ2010には、上述したASFによる給紙経路(符号Aの矢印で示した経路)とは別に、記憶素子を埋設させた厚紙など、柔軟性の少ない被印刷体などを供給するための給紙路が設けられている。図中、この給紙路を符号Bの矢印で示している。そして、プリンタ2010は、この矢印Bの給紙路から給紙された被印刷体に対しても、前記ASFから給紙された被印刷体と同様に印刷を実行することができる。
【0218】
さらに、プリンタ2010は、図示していないが、搬送従動ローラレリース機構を備えている。被印刷体をセット位置にセットする際に、搬送従動ローラ2062を搬送駆動ローラ2061から離間させた状態(レリース状態)に保持し、被印刷体を給紙路に挿入して印刷セット位置にセットし、印刷セット位置への位置合わせ完了後に、そのレリース状態を解除し、搬送従動ローラ2062が搬送駆動ローラ2061によって付勢される状態に復帰する。ここで、被印刷体が印刷セット位置にセットされる際に、しばらく動作停止状態となるので、この一時停止状態を利用して、記憶素子付きの被印刷体に対しては記憶素子からの情報読み取りを行う。
【0219】
図示していないが、矢印Bの給紙路と矢印Aの給紙路との合流地点付近、すなわち紙検出器2063の付近の上方に、被印刷体の記憶素子から情報を読み取るための読み取り手段としての読み取りセンサが設けられている。読み取りセンサは、上記被印刷体が一時停止状態となる位置において、その記憶素子とちょうど対向する箇所に設けられている。読み取りセンサの構成や配置についての詳細は、後述する。
【0220】
なお、符号Bの矢印で示した経路に被印刷体を搬送する給紙機構(搬送手段)は、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送するから、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に記憶された情報を効果的に読み込むことが可能となる。
【0221】
===被印刷体の構成===
図12は、本実施形態における被印刷体の斜視図である。この被印刷体2082は、本体が厚紙であり、矢印Bを給紙方向として本体の先端付近に記憶素子2081が埋設されている。前述のように、記憶素子2081は、被印刷体がY方向給紙路の途中で一時停止状態となる位置において、記憶素子2081と読み取りセンサ2080(図13)とがちょうど対向するように位置決めされる。記憶素子2081を埋設する位置としては、読み取りセンサ2080を設ける位置にも依存するが、厚紙の後端寄りであると、読み取りセンサ2080による読み取りの後で、再び前記セット位置まで被印刷体2082を戻す動作が必要となるので、先端付近とすることが好ましい。
【0222】
記憶素子2081は、NAND型フラッシュROMなどのメモリセルを有する素子であり、アンテナとなるコイルや、制御部や記憶部を有するICチップから構成される、ごく小型かつ薄型のものである。0.5mmほどの厚さを有する厚紙などであれば容易に埋設することができる。また、この記憶素子2081は、非接触式の読み取りが可能なタイプのものである。従って、読み取りセンサ2080と記憶素子2081とが互いに接触する必要は無く、両者は間隙を有する。記憶素子2081は、読み取りセンサ2080から送信される搬送波を整流して必要な電力を生成する。なお、読み取りセンサ2080を、情報の読み取りだけでなく書き込みも可能な送受信手段とした場合は、印刷装置2010から記憶素子2081に様々な情報を書き込むことも可能である。
【0223】
===記憶素子と読み取りセンサの構成===
次に、図13を参照して記憶素子2081と読み取りセンサ2080の構成について説明する。図13(a)は、記憶素子2081の構成を示す平面透視図である。記憶素子2081は、読み取りセンサ2080とのデータ送受信可能距離が20cm程度である、近接型の非接触式記憶素子である。全体としてごく小型かつ薄型で、片面に粘着性を持たせてシールとして対象物に貼着させることもできる。メモリタグなどと呼ばれ、多種市販されているものである。
【0224】
記憶素子2081は、非接触ICチップ2811と、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ2812及び平面状コイル2813とがプラスチックフィルム上に実装され、透明なカバーシートにより被覆されている。一方、平面図などは示さないが、読み取りセンサ2080は、記憶素子と同様のコイルアンテナ2801と、送受信回路2802とから構成され、電力の供給はプリンタ本体2010の電源ユニットから受ける。
【0225】
図13(b)は記憶素子2081及び読み取りセンサ2080の内部構成を示すブロック図である。読み取りセンサ2080は、アンテナコイル2801と、後述するプリンタ本体制御回路の周辺機器入出力部(PIO)2054(図17)に接続される送受信回路2802とから構成されている。記憶素子2081のICチップ2811は、整流器2814、信号解析部RF(Radio Frequency)2815、制御部2816、メモリセル2817から構成されている。メモリセル2817は、NAND型フラッシュROMなど電気的に読み書き可能なメモリである。
【0226】
記憶素子2081のアンテナ2813と読み取りセンサ2080のアンテナ2801とは、互いに通信し合い、メモリセル2817に保存された情報の読み取り等を行う。また、読み取りセンサ2080の送受信回路2802で発生された高周波信号は、アンテナ2801を介して高周波磁界として誘起される。この高周波磁界は、記憶素子2081のアンテナ2813を介して吸収され、整流器2814で整流されてICチップ2811内の各回路を駆動する直流電力源となる。
【0227】
===記憶素子に記憶されているデータ===
図14は、記憶素子2081のメモリセル2817におけるデータ配列を示した図である。これらのデータは全て、当該記憶素子2081が埋設される厚紙個々の属性を表している。またこれらのデータは、記憶素子自体の工場での製造時や、厚紙への埋設工程などにおいて、書き込み処理されることとすればよい。
【0228】
書き込まれているデータは、アドレス毎に8ビット情報であり、被印刷体種類、被印刷体厚さ、被印刷体幅、被印刷体製造年月日、及び被印刷体LUTである。被印刷体種類は、被印刷体2082の素材(紙、プラスチック、皮、OHPシートなど)及び紙である場合はその光沢などに関する情報である。被印刷体厚さは、被印刷体2082の厚さを示す情報である。この情報を利用することにより、厚みのある被印刷体2082を印刷する際に、被印刷体2082の印刷セット状態における搬送従動ローラ2062と搬送駆動ローラ2061の離間(レリース状態)間隔を制御することとしてもよい。被印刷体幅は、被印刷体2082の幅を示す情報である。この情報により、A4サイズ、B5サイズといった用紙幅をいちいちプリンタドライバソフトにて設定しなくとも、自動的に制御される。被印刷体LUT(Look Up Table)とは、インデックスカラー方式のインデックス番号と、実際に表示する色の数値情報とを関連付けている色補正表のことである。個々の被印刷体ごとに異なるので、カラー画像の色彩を印刷において高品質に表現するためには重要な情報である。記憶素子2081には、上記の情報以外の情報が適宜含まれていてもよい。
【0229】
===読み取りセンサの配置===
読み取りセンサ2080の配置について、本実施形態においては、矢印Aの給紙路と矢印Bの給紙路との合流地点付近、紙検出器2063の付近上方に設けられることとしているが、これに限定されるものではない。だが、下流側の印刷ヘッドIH1〜4へと被印刷体2082を搬送する搬送位置決め手段(搬送駆動ローラ2061及び搬送従動ローラ2062)よりも給紙の上流であることが好ましい。記憶素子2081に記憶された情報をプリンタ2010本体側で、印刷実行時における早い時点で読み込むことができるので、印刷制御の設定を正確に行うことができるからである。
【0230】
なお、読み取りセンサ2080を、印刷ヘッドIH1〜4のいずれかの下面などに設けて、印刷ヘッドIH1〜4とともに移動できる構成としてもよい。このような構成であれば、被印刷体2082の幅がどのような寸法であっても、印刷ヘッドIH1〜4を走査方向に適切な位置まで移動させて読み取りを行うことによって、確実にデータを読み取ることが可能となる。
【0231】
上記いずれの場合においても、近接型記憶素子2081の送受信可能距離の範囲内で読み取り可能な位置に配置されることが好ましいのは言うまでも無い。また、いずれの場合も、読み取り動作時に、確実に読み取りが行われるために、被印刷体2082の動作を一時停止させることが好ましい。
【0232】
===キャリッジ周辺の構成===
次にインクジェットプリンタ2010内部のキャリッジ2040及びその周辺の構成について説明する。図15は、そのキャリッジ2040周辺の構成を示した斜視図である。
【0233】
図15に示すように、キャリッジ2040は、駆動ベルト2045によりプーリ2046を介してキャリッジモータ2041に接続され、摺動軸2044に案内されてプラテン2042に平行に移動するように駆動される。キャリッジ2040の印刷紙に対向する面には、ブラックインクを吐出するノズル列及びカラーインクを吐出するノズル列を有するヘッドIH1〜IH4が設けられ、各ノズルはインクカートリッジINC1、INC2からインクの供給を受けて印刷紙にインク滴を吐出し、文字や画像を印刷する。
【0234】
また、キャリッジ2040の非印字領域には、非印字時にヘッドIH1〜IH4のノズル開口を封止するためのキャッピング装置2025と、図示しないポンプモータを有するポンプユニット2026とが設けられている。キャリッジ2040が印字領域から非印字領域に移動すると、図示しないレバーにキャリッジ2040が当接して、キャッピング装置2025が上方に移動し、ヘッドIH1〜IH4を封止する。
【0235】
ヘッドIH1〜IH4のノズル開口列に目詰まりが生じた場合や、インクカートリッジINC1、INC2の交換等を行ってヘッドIH1〜IH4から強制的にインクを吐出する場合は、ヘッドIH1〜IH4を封止した状態でポンプユニット2026を作動させ、ポンプユニット2026からの負圧により、ノズル開口列からインクを吸い出す。これにより、ノズル開口列の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらにはヘッドIH1〜IH4内の気泡がインクとともにキャップ2027に排出される。
【0236】
===インクジェットプリンタの内部構成===
次に、図16を参照してカラーインクジェットプリンタ2010の内部構成について説明する。図16は、本実施の形態に係るプリンタ2010の内部構成を示した図である。
【0237】
プリンタ2010は、図示するように、キャリッジ2040に搭載された印字ヘッドIH1〜IH4を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、このキャリッジ2040をキャリッジモータ2041によってプラテン2042の軸方向に往復動させる機構と、給紙ユニット2131から供給されるカット紙2133や、矢印Bの給紙路から供給される被印刷体を紙送りモータ2043によって搬送する機構と、制御回路2050とを有している。
【0238】
キャリッジ2040をプラテン2042の軸方向に往復動させる機構は、プラテン2042の軸と並行に架設され、キャリッジ2040を摺動可能に保持する摺動軸2044と、キャリッジモータ2041との間に無端の駆動ベルト2045を張設するプーリ2046等から構成されている。
【0239】
被印刷体を搬送する機構は、プラテン2042と、プラテン2042を回転させる紙送りモータ2043と、搬送駆動ローラ2061及び搬送従動ローラ2062(図11)と、紙送りモータ2043の回転をプラテン2042及び上記2つのローラ2061、2062に伝えるギヤ機構2048と、プラテン2042の回転角度を検出するエンコーダ2047と、紙検出器2063(図11)などを有している。また、紙検出器2063付近に設けられた読み取りセンサ2080が設けられている。
【0240】
制御回路2050は、プリンタの操作パネル2011や読み取りセンサ2080、外部接続されるパーソナルコンピュータ等と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ2043やキャリッジモータ2041、印字ヘッドIH1〜IH4の動きを適切に制御する。給紙ユニット2131や矢印Bのストレートパス給紙路から供給される被印刷体は、プラテン2042と搬送従動ローラ2062の間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン2042の回転角度に応じて所定量ずつ搬送される。
【0241】
キャリッジ2040にはインクカートリッジINC1とインクカートリッジINC2とが装着される。各インクカートリッジINC1、INC2には、インク残量等を記憶する記憶素子ME(図17)が備えられている。インクカートリッジINC1には黒(K)インクが収容され、インクカートリッジINC2には他のインク、すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の3色インクが収納されている。ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ダークイエロ(DY)のインクも収納可能であることは既述の通りである。
【0242】
===制御回路の内部構造===
次に図17を参照してインクジェットプリンタの制御回路2050の内部構成について説明する。図17は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの制御回路2050の内部構成を示したブロック図である。
【0243】
図示するように、制御回路2050の内部には、CPU2051、PROM2052、RAM2053、周辺機器入出力部(PIO)2054、タイマ2055、駆動バッファ2056等が設けられている。
【0244】
PIO2054には、操作パネル2011、パーソナルコンピュータPC、インクカートリッジの記憶素子MEとの接点MEC、キャリッジモータ2041、紙送りモータ2043、エンコーダ2047、及び読み取りセンサ2080が接続されている。駆動バッファ2056は、印字ヘッドIH1〜IH4にドット形成のためのオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス2057で接続され、相互にデータのやり取りが可能となっている。また、制御回路2050には、所定周波数で駆動波形を出力する発振器2058、及び発振器2058からの出力を印字ヘッドIH1〜IH4に所定のタイミングで分配する分配出力器2059も設けられている。
【0245】
制御回路2050は、被印刷体2082が印刷セット位置に一時停止した際に、読み取りセンサ2080を介して、被印刷体2082の記憶素子2081から情報を読み取る。そして制御回路2050は、記憶素子2081から取得した情報を反映して、印刷処理を制御する。印刷実行時には、キャリッジモータ2041や紙送りモータ2043の動きと同期をとりながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ2056に出力する。記憶素子2081に対する読み取り処理、並びに記憶素子2081から取得した情報を利用した印刷処理の詳細ついては、後述する。
【0246】
===インクジェットプリンタの動作===
次に、図18を参照して、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ2010の動作について説明する。図18は、印刷実行時にインクジェットプリンタ2010の制御回路2050において実行される処理のフローチャートである。ここでは、読み取りセンサ2080は、紙検出器2063の付近の給紙路内上方に、設けられていることとする。
【0247】
制御回路2050は、まず、紙検出器2063から被印刷体2082の位置情報を受信して、被印刷体2082が搬送位置決め手段2061、2062により印刷セット位置にセットされたことを認識する(ステップs2100)。
【0248】
制御回路2050は、次に、被印刷体2082の記憶素子2081に記録された各種情報の読取処理を、アドレスの先頭部から順次シリアルに実行し、取得した情報を一旦、RAM2053に格納する。まず、被印刷体の種類を読み取る(ステップs2102)。これにより、披印刷体2082の本体部が厚紙であるか、プラスチックボードであるか、厚紙である場合は更に、普通紙であるか、フォト用紙などの光沢紙であるか、等の情報を取得し、後の印刷処理ステップにおける制御情報とすることができる。
【0249】
次に制御回路2050は、被印刷体2082の厚さ(ステップs2104)、幅(ステップs2106)、製造年月日(ステップs2107)、LUT(ステップs2108)についての情報を順次読み取る。このうち、厚さに関する情報は、前記搬送位置決め手段(搬送駆動ローラ2061及び搬送従動ローラ2062)のレリース機構の制御情報とすることもできる。また、製造年月日に関する情報は、例えば被印刷体2082の種類によって品質保持期限があるときなどに、古いと判断した場合はユーザに対してその旨の警告画面を表示することもできる。これらの情報は、RAM2053に格納される。
【0250】
次に制御回路2050は、印刷処理を行う(ステップs2110)。印刷処理は、基本的には公知の処理手順によって実行される。その際、RAM2053に格納した上記の各制御情報を読み出して、キャリッジモータ2041や、紙送りモータ2043、印刷ヘッドIH1〜4の駆動制御を行う。
【0251】
最後に制御回路2050は、印刷の終了を待機し(ステップs2112:No)、印刷が終了したと判定すると(ステップs2112:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0252】
===その他===
以上、実施の形態に基づき本発明に係る印刷装置等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0253】
本発明は、カット紙に対して効果的に適用可能であるが、カット紙に限らず、ロール紙についても適用可能である。この場合は、ロール紙ユニットの芯部周囲に巻き付けられた紙等に素子を設ければよい。
【0254】
前述の実施の形態では、被印刷体の本体部として厚紙を例にとって説明したが、プラスチックボード、金属薄板等を用いてもよい。
【0255】
前述の実施形態に係るインクジェットプリンタと、コンピュータ本体、CRT等の表示装置、マウスやキーボード等の入力装置、フレキシブルドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置を備えたコンピュータシステムも実現可能であり、このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0256】
また、前述の実施形態に係るインクジェットプリンタに、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能又は機構の一部を持たせてもよい。例えば、プリンタが、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を有する構成としてもよい。
【0257】
また、上記各実施の形態では、印刷装置としてインクジェットプリンタ2010を用いたが、カット紙などの単票メディアに対して印刷処理できる印刷装置であれば、これに限られることなく、例えば、モノクロプリンタ、レーザプリンタ、ファクシミリ等に適用しても良い。
【0258】
また、上記各実施の形態では、記憶素子として、非接触ICチップと、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ及び平面状アンテナコイルを備えたものを用いたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば共振用コンデンサは記憶素子の外部に接続されていてもよいし、ICチップとアンテナコイルが離れた場所にそれぞれ配設されて接続されている構成など様々な変形が考えられる。
【0259】
=第3実施形態=
===インクジェットプリンタの概略===
次に、本発明の主な適用対象である印刷装置としてのインクジェットプリンタの概略について説明する。図19は、インクジェットプリンタの概略的な外観を示した図である。
【0260】
ここでは、カラーインクジェットプリンタを示した。このカラープリンタ3010は、カラー画像の出力が可能なインクジェットプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクをカット紙などの被印刷体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。
【0261】
図19に示すように、カラープリンタ3010は、背面側上方から供給されたカット紙を前面から排出する給紙構造を備えている。プリンタ本体3010の前面には操作パネル3011、排紙部3012が備えられ、背面には給紙部3013が備えられている。操作パネル3011には、各種操作ボタン3111、表示ランプ3112が設けられている。排紙部3012は、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー3121が備えられている。給紙部3013には、図示していないカット紙を保持する給紙トレー3131が備えられている。なお、カット紙とは、予め所定の寸法に切断された紙であり、カラープリンタ3010によって切断されることのない単票の印刷メディアである。
【0262】
===給紙機構の構成===
本実施形態のカラープリンタ3010は、特に、ストレートパスと呼ばれるもう1つの給紙経路(図19には示していない)を有する構成のものである。これは、厚紙などの一定の厚さや硬さを有する被印刷体を手差しにより供給する給紙機構である。このストレートパス機構では、CD−Rなどの変則的な寸法、形状の被印刷体に対しても、被印刷体搬送トレー(図示していない)に載置して供給することにより、被印刷体を切断することなく印刷を行うことが可能である。図20は、これら2つの給紙機構について説明するための、プリンタ3010の要部断面図である。
【0263】
カラープリンタ3010には、被印刷体に印刷を行う手段として、摺動軸3044に軸支され、摺動軸方向(主走査方向)に移動するキャリッジ3040が設けられており、このキャリッジ3040には、被印刷体にインクを吐出して印刷を行うヘッドIH1〜IH4が搭載されている。ヘッドIH1〜IH4と対向して、ヘッドIH1〜IH4のヘッド面と被印刷体とのギャップを規定するプラテン3042が設けられている。そして、キャリッジ3040を主走査方向に搬送し、被印刷体をキャリッジ3040とプラテン3042との間で副走査方向Yに間欠的に搬送しながら、ヘッドIH1〜IH4が被印刷体にインクを吐出することによって、被印刷体に印刷が行われる。
【0264】
給紙トレー3131は、例えば普通紙やフォト紙等のカット紙である被印刷体を供給することが可能な構成であり、被印刷体を自動供給するためのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレー3131に設けられた給紙ローラ3132、及び図示していない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ3132は、略D形の横断面形状を有しており、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御される。そして、給紙ローラ3132の回転駆動力と分離パッドの摩擦抵抗によって、複数の被印刷体が一度に給紙されることを防ぐ。
【0265】
そして、矢印Aで示した経路に沿ってASFにより自動給紙された被印刷体は、給紙ローラ3132より副走査方向Yの下流側に配設された被印刷体搬送位置決め手段により、印刷実行領域に向けて、所定の紙送り量で間欠的に搬送される。
【0266】
被印刷体を副走査方向Yに間欠的に搬送し、位置決めする搬送位置決め手段として、搬送駆動ローラ3061と搬送従動ローラ3062が設けられている。搬送駆動ローラ3061は、ステッピング・モータ等の紙送りモータにより回転制御され、被印刷体は搬送駆動ローラ3061の回転により副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ3062は、複数の搬送従動ローラホルダ3621に軸支されている。被印刷体が搬送駆動ローラ3061の回転により搬送される際に、搬送従動ローラ3062は、従動して回転する。
【0267】
また、給紙ローラ3132と搬送駆動ローラ3061との間には、紙検出器3063が設けられている。紙検出器3063は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙搬送方向にのみ回動し得るよう被印刷体の搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバー3631を有する。このレバー3631の先端が被印刷体に押されることにより、レバー3631が回動し、それによって被印刷体が検出される構成である。紙検出器3063は、給紙ローラ3132より給紙された被印刷体の始端位置、及び終端位置を検出し、その検出位置に合わせて印刷領域が決定され、印刷が実行される。
【0268】
一方、印刷された被印刷体を排紙する手段として、排紙駆動ローラ3064と排紙従動ローラ3065が設けられている。排紙駆動ローラ3064は、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、排紙駆動ローラ3064の回転により、被記録材は副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ3065は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が被印刷体の記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラであり、それぞれ、被印刷体が排紙駆動ローラ3064の回転により排紙される際に従動して回転する。
【0269】
さらに、プリンタ3010には、上述したASFによる給紙経路(符号Aの矢印で示した経路)とは別に、記憶素子を埋設させた厚紙など、柔軟性の少ない被印刷体などを供給するための給紙路が設けられている。図中、この給紙路を符号Bの矢印で示している。そして、プリンタ3010は、この矢印Bの給紙路から給紙された被印刷体に対しても、前記ASFから給紙された被印刷体と同様に印刷を実行することができる。
【0270】
さらに、プリンタ3010は、図示していないが、搬送従動ローラレリース機構を備えている。被印刷体をセット位置にセットする際に、搬送従動ローラ3062を搬送駆動ローラ3061から離間させた状態(レリース状態)に保持し、被印刷体を給紙路に挿入して印刷セット位置にセットし、印刷セット位置への位置合わせ完了後に、そのレリース状態を解除し、搬送従動ローラ3062が搬送駆動ローラ3061によって付勢される状態に復帰する。ここで、被印刷体が印刷セット位置にセットされる際に、しばらく動作停止状態となるので、この一時停止状態を利用して、記憶素子付きの被印刷体に対しては、記憶素子への情報読み書きを行う。
【0271】
図示していないが、矢印Bの給紙路と矢印Aの給紙路との合流地点付近、すなわち紙検出器3063の付近の上方に、被印刷体の記憶素子に対する読み取り/書き取り手段としての送受信部が設けられている。送受信部は、上記被印刷体が一時停止状態となる位置において、その記憶素子とちょうど対向する箇所に設けられている。送受信部の構成や配置についての詳細は、後述する。
【0272】
なお、符号Bの矢印で示した経路に被印刷体を搬送する給紙機構(搬送手段)は、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送するから、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に対して効果的に情報を書き込むこと又は情報を読み込むことが可能となる。
【0273】
===被印刷体の構成===
図21は、本実施形態における被印刷体の斜視図である。この被印刷体3082は、本体が厚紙であり、矢印Bを給紙方向として本体の先端付近に記憶素子3081が埋設されている。前述のように、記憶素子3081は、被印刷体がY方向給紙路の途中で一時停止状態となる位置において、記憶素子3081と印刷装置に設けられた前記送受信部3080(図22)とがちょうど対向するように位置決めされる。記憶素子3081を埋設する位置としては、送受信部3080を設ける位置にも依存するが、厚紙の後端寄りであると、送受信部3080による読み取りの後で、再び前記セット位置まで被印刷体3082を戻す動作が必要となるので、先端付近とすることが好ましい。
【0274】
記憶素子3081は、NAND型フラッシュROMなどのメモリセルを有する素子であり、アンテナとなるコイルや、制御部や記憶部を有するICチップから構成される、ごく小型かつ薄型のものである。0.5mmほどの厚さを有する厚紙などであれば容易に埋設することができる。また、この記憶素子3081は、非接触式の読み取り/書き込みが可能なタイプのものである。従って、送受信部3080と記憶素子3081とが互いに接触する必要は無く、両者は間隙を有する。記憶素子3081は、送受信部3080から送信される搬送波を整流して必要な電力を生成する。
【0275】
===記憶素子と送受信部の構成===
次に、図22を参照して記憶素子3081と送受信部3080の構成について説明する。
【0276】
図22(a)は、記憶素子3081の構成を示す平面透視図である。記憶素子3081は、送受信部とのデータ送受信可能距離が10mm程度である、近接型の非接触式記憶素子である。全体としてごく小型かつ薄型で、片面に粘着性を持たせてシールとして対象物に貼着させることもできる。メモリタグなどと呼ばれ、多種市販されているものである。
【0277】
記憶素子3081は、非接触ICチップ3811と、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ3812及び平面状コイル3813とがプラスチックフィルム上に実装され、透明なカバーシートにより被覆されている。一方、平面図などは示さないが、送受信部3080は、記憶素子と同様のコイルアンテナ3801と、送受信回路3802とから構成され、電力の供給はプリンタ本体3010の電源ユニットから受ける。
【0278】
図22(b)は記憶素子3081及び送受信部3080の内部構成を示すブロック図である。送受信部3080は、アンテナコイル3801と、後述するプリンタ本体制御回路の周辺機器入出力部(PIO)3054(図26)に接続される送受信回路3802とから構成されている。記憶素子3081のICチップ3811は、整流器3814、信号解析部RF(Radio Frequency)3815、制御部3816、メモリセル3817から構成されている。メモリセル3817は、NAND型フラッシュROMなど電気的に読み書き可能なメモリである。
【0279】
記憶素子3081のアンテナ3813と送受信部3080のアンテナ3801とは、互いに通信し合い、メモリセル3817に保存された情報の読み書きを行う。また、送受信部3080の送受信回路3802で発生された高周波信号は、アンテナ3801を介して高周波磁界として誘起される。この高周波磁界は、記憶素子3081のアンテナ3813を介して吸収され、整流器3814で整流されてICチップ3811内の各回路を駆動する直流電力源となる。
【0280】
===記憶素子に記憶されているデータ===
図23は、記憶素子3081のメモリセル3817におけるデータ配列を示した図である。メモリセル3817の領域は、被印刷体の属性情報が書き込まれた読み取り領域3817Rと、印刷結果に関する情報が書き込まれる書き込み領域3817Wとから成っている。
【0281】
読み取り領域3817R(アドレス:00H〜04H)のデータは、当該記憶素子3081が埋設される厚紙個々の属性を表している。またこれらのデータは、記憶素子3081自体の工場での製造時や、厚紙への埋設工程などにおいて、書き込み処理されることとすればよい。
【0282】
読み取り領域3817Rの各データは、アドレス毎に8ビット情報であり、被印刷体種類、被印刷体厚さ、被印刷体幅、被印刷体製造年月日、及び被印刷体LUTである。被印刷体種類は、被印刷体3082の素材(紙、プラスチック、皮、OHPシートなど)及び紙である場合はその光沢などに関する情報である。被印刷体厚さは、被印刷体3082の厚さを示す情報である。この情報を利用することにより、厚みのある被印刷体3082を印刷する際に、被印刷体3082の印刷セット状態における搬送従動ローラ3062と搬送駆動ローラ3061の離間(レリース状態)間隔を制御することとしてもよい。被印刷体幅は、被印刷体3082の幅を示す情報である。この情報により、A4サイズ、B5サイズといった用紙幅をいちいちプリンタドライバソフトにて設定しなくとも、自動的に制御される。被印刷体LUT(Look Up Table)とは、インデックスカラー方式のインデックス番号と、実際に表示する色の数値情報とを関連付けている色補正表のことである。個々の被印刷体ごとに異なるので、カラー画像の色彩を印刷において高品質に表現するためには重要な情報である。以上示したデータ以外にも、被印刷体3082の属性に関する様々な情報が適宜含まれていてもよい。このように、種々の情報を読み取り領域3817Rに持たせることは有用であるが、かかる読み取り領域3817Rを設けずに、メモリセル3817に、印刷結果に関する情報が書き込まれる書き込み領域3817Wのみを設けてもよい。
【0283】
書き込み領域3817W(アドレス:05H以下)には、デジタルカメラ、デジタルビデオ等の各種撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件が、プリンタ3010によって書き込まれる。撮影条件としては、画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報、デジタルカメラの機種を特定するための情報、撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報、撮影時の絞り値を特定するための情報、デジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報、撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報、及び、当該被印刷体3082に印刷された画像データそのものなどがある。また、デジタルカメラの画素数や音声データなども撮影条件として適宜書き込まれる。
【0284】
これらの情報やデータを書き込み領域3817Wに書き込んでおくことにより、デジタルカメラ等の撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件を被印刷体に印刷しなくとも、後日撮影条件を容易に知ることができる。
【0285】
なお、読み取り領域3817R、及び書き込み領域3817Wの各アドレスに格納される情報は、必要に応じて8ビットよりも大きいこととしてもよい。また、画像データは通常相当の大きさを有するので、適宜あらかじめ相当の大きさ分のアドレスを確保しておくことが好ましい。
【0286】
===送受信部の配置===
送受信部3080の配置について、本実施形態においては、矢印Aの給紙路と矢印Bの給紙路との合流地点付近、紙検出器3063の付近上方に設けられることとしているが、これに限定されるものではない。
【0287】
送受信部3080は、被印刷体の搬送方向において、印刷ヘッドIH1〜4よりも上流側に設けられていることが好ましい。なぜなら、送受信部3080を、被印刷体の搬送方向において、送受信部3080よりも上流側に設けることにより、印刷ヘッドIH1〜4によるインク吐出が行われて印刷が実行される前に、素子に対して情報を書き込むことが可能となるからである。
【0288】
より好ましくは、被印刷体3082を搬送する搬送位置決め手段(搬送駆動ローラ3061及び搬送従動ローラ3062)よりも給紙の上流であることが好ましい。記憶素子3081に記憶された情報をプリンタ3010本体側で、印刷実行時における早い時点で読み込むことができるので、印刷制御の設定を正確に行うことができるからである。
【0289】
また、記憶素子3081への書き込み処理も、同じ位置において読み取り処理に続けて行うこととすればよい。すなわち、被印刷体がプリンタ3010に対して所定の位置に位置した際に、素子に対する情報の書き込みが行われ、該位置において、該素子に記憶された情報の読み込みも可能であることとしてもよい。このように構成することにより、被印刷体がプリンタ3010に対して所定の位置に位置した状態で、素子に対する情報の書き込み、及び、読み込みがともに可能となる。
【0290】
なお、送受信部3080を、印刷ヘッドIH1〜4のいずれかの下面などに設けて、印刷ヘッドIH1〜4とともに移動できる構成としてもよい。このような構成であれば、被印刷体3082の幅がどのような寸法であっても、印刷ヘッドIH1〜4を走査方向に適切な位置まで移動させて通信することによって、確実に送受信することが可能となる。
【0291】
上記いずれの場合においても、近接型記憶素子3081の送受信可能距離の範囲内で通信できる位置に配置されることが好ましいのは言うまでも無い。また、いずれの場合も、読み書き動作時に、確実に通信が行われるために、被印刷体3082の動作を一時停止させることが好ましい。
【0292】
===キャリッジ周辺の構成===
次にインクジェットプリンタ3010内部のキャリッジ3040及びその周辺の構成について説明する。図24は、そのキャリッジ3040周辺の構成を示した斜視図である。
【0293】
図24に示すように、キャリッジ3040は、駆動ベルト3045によりプーリ3046を介してキャリッジモータ3041に接続され、摺動軸3044に案内されてプラテン3042に平行に移動するように駆動される。キャリッジ3040の印刷紙に対向する面には、ブラックインクを吐出するノズル列及びカラーインクを吐出するノズル列を有するヘッドIH1〜IH4が設けられ、各ノズルはインクカートリッジINC1、INC2からインクの供給を受けて印刷紙にインク滴を吐出し、文字や画像を印刷する。
【0294】
また、キャリッジ3040の非印字領域には、非印字時にヘッドIH1〜IH4のノズル開口を封止するためのキャッピング装置3025と、図示しないポンプモータを有するポンプユニット3026とが設けられている。キャリッジ3040が印字領域から非印字領域に移動すると、図示しないレバーにキャリッジ3040が当接して、キャッピング装置3025が上方に移動し、ヘッドIH1〜IH4を封止する。
【0295】
ヘッドIH1〜IH4のノズル開口列に目詰まりが生じた場合や、インクカートリッジINC1、INC2の交換等を行ってヘッドIH1〜IH4から強制的にインクを吐出する場合は、ヘッドIH1〜IH4を封止した状態でポンプユニット3026を作動させ、ポンプユニット3026からの負圧により、ノズル開口列からインクを吸い出す。これにより、ノズル開口列の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらにはヘッドIH1〜IH4内の気泡がインクとともにキャップ3027に排出される。
【0296】
===インクジェットプリンタの内部構成===
次に、図25を参照してカラーインクジェットプリンタ3010の内部構成について説明する。図25は、本実施の形態に係るプリンタ3010の内部構成を示した図である。
【0297】
プリンタ3010は、図示するように、キャリッジ3040に搭載された印字ヘッドIH1〜IH4を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、このキャリッジ3040をキャリッジモータ3041によってプラテン3042の軸方向に往復動させる機構と、給紙ユニット3131から供給されるカット紙や、矢印Bの給紙路から供給される被印刷体3082を紙送りモータ3043によって搬送する機構と、制御回路3050とを有している。
【0298】
キャリッジ3040をプラテン3042の軸方向に往復動させる機構は、プラテン3042の軸と並行に架設され、キャリッジ3040を摺動可能に保持する摺動軸3044と、キャリッジモータ3041との間に無端の駆動ベルト3045を張設するプーリ3046等から構成されている。
【0299】
被印刷体を搬送する機構は、プラテン3042と、プラテン3042を回転させる紙送りモータ3043と、搬送駆動ローラ3061及び搬送従動ローラ3062(図20)と、紙送りモータ3043の回転をプラテン3042及び上記2つのローラ3061、3062に伝えるギヤ機構3048と、プラテン3042の回転角度を検出するエンコーダ3047と、紙検出器3063(図20)などを有している。また、紙検出器3063付近に設けられた送受信部3080が設けられている。
【0300】
制御回路3050は、プリンタの操作パネル3011や送受信部3080、外部接続されるパーソナルコンピュータ等と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ3043やキャリッジモータ3041、印字ヘッドIH1〜IH4の動きを適切に制御する。給紙ユニット3131や矢印Bのストレートパス給紙路から供給される被印刷体は、プラテン3042と搬送従動ローラ3062の間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン3042の回転角度に応じて所定量ずつ搬送される。
【0301】
キャリッジ3040にはインクカートリッジINC1とインクカートリッジINC2とが装着される。各インクカートリッジINC1、INC2には、インク残量等を記憶する記憶素子ME(図26)が備えられている。インクカートリッジINC1には黒(K)インクが収容され、インクカートリッジINC2には他のインク、すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の3色インクが収納されている。ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ダークイエロ(DY)のインクも収納可能であることは既述の通りである。
【0302】
===制御回路の内部構造===
次に図26を参照してインクジェットプリンタの制御回路3050の内部構成について説明する。図26は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの制御回路3050の内部構成を示したブロック図である。
【0303】
図示するように、制御回路3050の内部には、CPU3051、PROM3052、RAM3053、周辺機器入出力部(PIO)3054、タイマ3055、駆動バッファ3056等が設けられている。
【0304】
PIO3054には、操作パネル3011、パーソナルコンピュータPC、インクカートリッジの記憶素子MEとの接点MEC、キャリッジモータ3041、紙送りモータ3043、エンコーダ3047、及び送受信部3080が接続されている。駆動バッファ3056は、印字ヘッドIH1〜IH4にドット形成のためのオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス3057で接続され、相互にデータのやり取りが可能となっている。また、制御回路3050には、所定周波数で駆動波形を出力する発振器3058、及び発振器3058からの出力を印字ヘッドIH1〜IH4に所定のタイミングで分配する分配出力器3059も設けられている。
【0305】
制御回路3050は、被印刷体3082が印刷セット位置に一時停止した際に、送受信部3080を介して、被印刷体3082の記憶素子3081に対しアクセスする。そして制御回路3050は、記憶素子3081から取得した情報を反映して、印刷処理を制御し、また、印刷結果に関する各種の情報を記憶素子3081に書き込む。
【0306】
印刷実行時には、キャリッジモータ3041や紙送りモータ3043の動きと同期をとりながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ3056に出力する。記憶素子3081に対する読み取り処理、並びに記憶素子3081から取得した情報を利用した印刷処理、及び印刷結果に関する情報の書き込み処理の詳細ついては、後述する。
【0307】
===インクジェットプリンタの動作===
次に、図27を参照して、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ3010の動作について説明する。図27は、ある画像データの印刷実行時にインクジェットプリンタ3010の制御回路3050において実行される処理のフローチャートである。ここでは、送受信部3080は、紙検出器3063の付近の給紙路内上方に、設けられていることとする。
【0308】
制御回路3050は、まず、紙検出器3063から被印刷体3082の位置情報を受信して、被印刷体3082が搬送位置決め手段3061、3062により印刷セット位置にセットされたことを認識する(ステップs3100)。
【0309】
制御回路3050は、次に、送受信部3080を介して、記憶素子3081のメモリセル3817の読み取り領域3817Rに記録された各種情報の読取処理を、アドレスの先頭部から順次シリアルに実行し、取得した情報を一旦、RAM3053に格納する(ステップs3102)。各種情報とはすなわち、被印刷体3082の種類、厚さ、幅、製造年月日、LUTなどである。なお、前述したように、メモリセル3817に読み取り領域3817Rを設けない構成も可能であり、そのような構成の場合には、このステップ(s3102)を省略すればよい。
【0310】
制御回路3050は、次に、送受信部3080を介して、メモリセル3817の書き込み領域3817W(アドレス:05H以下)に、デジタルカメラによる画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込む。詳しくは、画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報の書き込み処理(s3104)、デジタルカメラの機種を特定するための情報の書き込み処理(s3106)、撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報の書き込み処理(s3108)、撮影時の絞り値を特定するための情報の書き込み処理(s3110)、デジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報の書き込み処理(s3112)、撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報の書き込み処理(s3114)、及び、当該被印刷体3082に印刷された画像データそのものの書き込み処理(s3116)が行われる。なお、これらの書き込み処理(s3104〜s3116)の順番は適宜変更してもかまわない。
【0311】
これらの情報やデータを書き込み領域3817Wに書き込んでおくことにより、デジタルカメラ等の撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件を被印刷体に印刷しなくとも、後日撮影条件を容易に知ることができる。
【0312】
図27の説明に戻ると、次に制御回路3050は、印刷処理を行う(ステップs3118)。印刷処理は、基本的には公知の処理手順によって実行される。その際、RAM3053に格納した上記の各制御情報を読み出して、キャリッジモータ3041や、紙送りモータ3043、印刷ヘッドIH1〜4の駆動制御を行う。
【0313】
最後に制御回路3050は、印刷の終了を待機し(ステップs3120:No)、印刷が終了したと判定すると(ステップs3120:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0314】
なお、本実施形態の様に、画像データそのものを被印刷体3082の記憶素子3081に書き込んでおいた場合は、後日これを何らかの読み取り装置にて読み取って印刷することができる。この場合、画像データがもともと保存されていたコンピュータがなくとも、被印刷体自体が画像データを保有しているので別のコンピュータ及び印刷装置を用いて簡単に出力することができる。例えば、インクジェットプリンタなどのプリンタを多種販売する店舗の店頭において、サンプル画像をデモ印刷する場合は、ある画像が印刷された被印刷体の画像データを読み取って様々なプリンタで出力することによって、コンピュータ本体などを準備せずとも同じデータによる印刷結果の比較を簡単に行うことができる。その際、読み取り装置は上記実施形態と同様に印刷装置の給紙路途中に設けられていてもよいが、非接触式の読み取りが可能な小型ハンディスキャナのようなものであってもよい。
【0315】
また、インクジェットプリンタ3010にて被印刷体3082に対し印刷処理、及び画像データなどの書き込み処理を行い、後日別の印刷装置にてこの画像データの読み取りを行い再印刷することの他、インクジェットプリンタ3010は、記憶素子3081への読み取りと書き込みの両方が可能な印刷装置であるので、後日再びインクジェットプリンタ3010にて被印刷体3082から画像データなどを読み取り、印刷してもよい。
【0316】
===その他===
以上、実施の形態に基づき本発明に係る印刷装置等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0317】
本発明は、カット紙に対して効果的に適用可能であるが、カット紙に限らず、ロール紙についても適用可能である。この場合は、ロール紙ユニットの芯部周囲に巻き付けられた紙等に素子を設ければよい。
【0318】
前述の実施の形態では、被印刷体の本体部として厚紙を例にとって説明したが、プラスチックボード、金属薄板等を用いてもよい。
【0319】
前述の実施形態に係るインクジェットプリンタと、コンピュータ本体、CRT等の表示装置、マウスやキーボード等の入力装置、フレキシブルドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置を備えたコンピュータシステムも実現可能であり、このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0320】
また、前述の実施形態に係るインクジェットプリンタに、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能又は機構の一部を持たせてもよい。例えば、プリンタが、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を有する構成としてもよい。
【0321】
上記各実施の形態では、印刷装置としてインクジェットプリンタ3010を用いたが、カット紙などの単票メディアに対して印刷処理できる印刷装置であれば、これに限られることなく、例えば、モノクロプリンタ、レーザプリンタ、ファクシミリ等に適用しても良い。
【0322】
また、上記各実施の形態では、記憶素子として、非接触ICチップと、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ及び平面状アンテナコイルを備えたものを用いたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば共振用コンデンサは記憶素子の外部に接続されていてもよいし、ICチップとアンテナコイルが離れた場所にそれぞれ配設されて接続されている構成など様々な変形が考えられる。
【0323】
===その他の実施形態===
前述した各実施形態における素子には、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報が、該印刷装置によって書き込まれることしてもよい。ここで、出力制御情報に関して説明する。
【0324】
A.画像ファイルの構成:
まず、図28を参照して画像ファイルの概略構成について説明する。図28は画像ファイルの内部構成を概念的に示す説明図である。
【0325】
画像ファイルGF(4010)は、画像データGDを格納する画像データ格納領域4101と、出力装置(例えば、印刷装置)に対する出力制御情報CIを格納する制御情報格納領域4102を備えている。画像データGDは、例えば、JPEG形式で格納されており、出力制御情報CIはTIFF形式で格納されている。なお、ファイルの構造、データの構造、格納領域といった用語は、ファイルまたはデータ等が記憶装置内に格納された状態におけるファイルまたはデータのイメージを意味するものである。
【0326】
出力制御情報CIは、出力装置が有する画像出力特性を考慮して、最適な画像出力結果を得ることができるように出力装置における画像出力条件、画像出力状態を指定する情報である。出力制御情報CIとして格納される情報には、例えば、画像特性に関連する情報として、ガンマ値、ターゲットとする色空間に関するパラメータ、コントラスト、カラーバランス調整、シャープネス、色補正に関するパラメータが含まれており、プリンタの動作制御に関連する情報として、紙質、解像度、印刷ヘッドの動作方向(片方向印刷であるか、双方向印刷であるか)に関するパラメータが含まれている。
【0327】
上記画像ファイルGFは、例えば、デジタルカメラとしてのデジタルスチルカメラ(DSC)やデジタルビデオカメラ(DVC)、スキャナ等の入力装置(画像ファイル生成装置)によって生成される。
【0328】
画像ファイルGFは、基本的に上記の画像データ領域4101と、制御情報格納領域4102を備えていれば良く、既に規格化されているファイル形式に従ったファイル構造を取ることができる。以下、画像ファイルGFを規格化されているファイル形式に適合させた場合について説明する。
【0329】
画像ファイルGFは、例えば、デジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif(登録商標))に従ったファイル構造を有することができる。Exif(登録商標)ファイルの仕様は、日本電子工業振興協会(JEIDA)によって定められている。画像ファイルGFが、このExif(登録商標)ファイル形式に従うファイル形式を有する場合のファイル内部の概略構造について図29を参照して説明する。図29はExif(登録商標)ファイル形式にて格納されている画像ファイルGFの概略的な内部構造を示す説明図である。
【0330】
Exif(登録商標)ファイルとしての画像ファイル4011は、JPEG形式の画像データを格納するJPEG画像データ格納領域4111と、格納されているJPEG画像データに関する各種情報を格納する付属情報格納領域4112とを備えている。付属情報格納領域4112には、撮影日時、露出、シャッター速度等といったJPEG画像の撮影条件に関する撮影時情報、JPEG画像データ格納領域4111に格納されているJPEG画像のサムネイル画像データがTIFF形式にて格納されている。
【0331】
また、付属情報格納領域4112は、DSC製造者に開放されている未定義領域であるMakernoteデータ格納領域4113を備えており、出力制御情報CIはMakernoteデータ格納領域4113に格納されている。なお、当業者にとって周知であるように、Exif(登録商標)形式のファイルでは、各データを特定するためにタグが用いられており、Makernoteデータ格納領域4113に格納されているデータに対してはタグ名としてMakernoteが割り当てられ、Makernoteタグと呼ばれている。
【0332】
Makernoteデータ格納領域4113の詳細なデータ構造について図30を参照して説明する。図30は画像ファイルGFの詳細な階層構造を示す説明図であり、(a)はMakernoteデータ格納領域4113(画像出力制御データ格納領域)のデータ構造を示し、(b)はMakernoteデータ格納領域4113内に定義されているPrintMatchingデータ格納領域(画像出力制御パラメータ格納部)4114を示す。
【0333】
画像ファイルGFのMakernoteデータ格納領域4113もまた、タグによって格納されているデータを識別できる構成を備えており、出力制御情報CIにはPrintMatchingのタグが割り当てられている。Makernoteデータ格納領域4113の各タグは、Makernoteデータ格納領域4113のトップアドレスからのオフセット値でポインタにより指定される。
【0334】
Makernoteデータ格納領域4113には、トップアドレスにメーカー名(6バイト)、続いて予約領域(2バイト)、ローカルタグのエントリ数(2バイト)、各ローカルタグオフセット(12バイト)の情報が格納されている。メーカー名の後には、文字終端列を示す00×0の終端コードが付されている。
【0335】
PrintMatchingデータ格納領域4114には、PrintMatchingパラメータが格納されていることを示すPrintMatching識別子、指定されているパラメータ数を示すパラメータ指定数、予めパラメータ毎に割り振られているパラメータ番号を指定(識別)する値が格納されるパラメータ番号、指定されたパラメータ番号のパラメータの設定値が格納されているパラメータ設定値の情報が格納されている。パラメータ番号は、例えば、2バイトの領域に格納される情報であり、パラメータ設定値は、4バイトの領域に格納される情報である。パラメータ番号としては、例えば、ガンマ値パラメータに対しては、「1」、シャドウポイントパラメータに対しては「7」、コントラストポイントパラメータに対しては「9」が割り当てられる。出力装置側では、このPrintMatchingタグを指標として出力制御情報CI(各パラメータ値)を取得することができる。
【0336】
このように画像ファイルは、一つのファイル内に画像データGDと出力制御情報CIとを備えているので、1つの画像ファイルのみによって出力装置におけるガンマ値、ターゲット色空間、コントラスト、シャープネス、明るさ等といった画像出力条件を指定することができる。したがって、例えば、出力装置におけるガンマ値を指定することにより、デジタルスチルカメラのモニタにて確認した表示画像とプリンタ等の出力装置にて出力される出力画像との間における明暗、コントラスト等の差異を低減することができる。なお、PrintMatchingデータは、異なる出力特性を有する複数の出力装置に対応させて複数備えられていても良い。
【0337】
また、従来、sRGBに固定されていたターゲット色空間を指定できるので、デジタルスチルカメラがNTSC等のより広い色空間を用いて画像データを表す場合にも、広い色空間を有効に出力することができる。
【0338】
さらに、出力制御情報としてシャープネス、明るさ等といった出力時の好み(画像の特徴)を指定することができるので、別途、フォトレタッチ作業を実施することなく、意図した出力結果をえることができる。また、フォトレタッチのための装置を介在させる必要がないので、この利点は、特に、画像ファイルを単独で処理可能な機能を備える出力装置において有用である。
【0339】
さらにまた、従来はプリンタドライバの設定画面にて設定していた、紙質(紙種)、解像度、印刷ヘッドの動作方向といったプリンタにおける印刷処理条件を、ファイルによって指定することができるので、印刷データの画質特性の補正だけでは解決することができなかった印刷処理条件の設定不備の問題を解決することができる。この結果、画質特性に適切な印刷処理条件にて画像データを印刷することが可能となり、より一層、画像ファイル生成者の意図を反映した印刷結果をもたらすことができる。
【0340】
B.画像ファイルの生成:
次に、画像ファイルの生成について、図31を参照しつつ説明する。図31は画像ファイルGFを生成可能なデジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【0341】
デジタルスチルカメラ4022は、光の情報をデジタルデバイス(CCDや光電子倍増管)に結像させることにより画像を取得するカメラであり、図31に示すように光情報を収集するための光学回路4221、デジタルデバイスを制御して画像を取得するための画像取得回路4222、取得したデジタル画像を加工処理するための画像処理回路4223、各回路を制御する制御回路4224を備えている。
【0342】
デジタルスチルカメラ4022は、取得した画像をデジタルデータとして記憶装置4225に保存する。デジタルスチルカメラ4022における画像データGDの保存形式としては、JPEG形式が一般的であるが、この他にもTIFF形式、GIF形式、BMP形式等の保存形式が用いられ得る。デジタルスチルカメラ4022はまた、出力制御情報CIを選択、設定するための選択・決定ボタン4226を備えている。
【0343】
デジタルスチルカメラ4022は、画像データGDに加えて出力制御情報CIを画像ファイルGFとして記憶装置4225に格納する。出力制御情報CIは、例えば、撮影前にデジタルスチルカメラ4022上で出力予定の出力装置を予め設定しておくことにより、あるいは、任意の出力条件を予め設定しておくことにより、画像データGDを取得した際に、画像データGDと共に画像ファイルGFとして記憶装置4225に自動的に格納される。あるいは、撮影時には、一旦、画像データGDのみを画像ファイルGFとして記憶装置4225に格納しておき、撮影後にデジタルスチルカメラ4022上にて所望の出力条件を任意に、あるいは、プリセット条件を用いて指定することによって、指定した出力条件を出力制御情報CIとして画像ファイルGFに加えても良い。
【0344】
プリセット条件は、例えば、画像ファイルGF中の画像データGDを出力する出力装置に合わせた出力条件、プリンタの製造者毎、あるいは、プリンタの機種毎に最適化した出力条件、明るい、シャープなといった比較的よく用いられ得る汎用出力条件である。このプリセット条件は、ガンマ値、ターゲット色空間コントラスト、シャープネスといった情報としてデジタルスチルカメラ4022の制御回路4224内のメモリ上に保有されている。
【0345】
任意の出力条件は、ユーザによってデジタルスチルカメラ4022(画像処理回路4223)上で設定される出力条件であり、任意に設定されたガンマ値、ターゲット色空間、コントラスト、シャープネスといった情報である。
【0346】
C:出力制御情報の読み取り及び書き込み
次に、出力制御情報の読み取り及び書き込みについて説明する。画像ファイルGFに格納された出力制御情報は、コンピュータや印刷装置等によって読み込まれ、この読み込まれた出力制御情報は、印刷装置(プリンタ)によって、前述した各実施形態における素子に書き込まれる。
【0347】
例えば、デジタルスチルカメラ4022において生成された画像ファイルGFは、ケーブルCV、コンピュータPCを介して、あるいは、ケーブルCVを介してプリンタに送出される。あるいは、デジタルスチルカメラ4022の記憶装置4225が着脱可能な記憶装置である場合には、記憶装置4225が接続されたコンピュータPCを介して、あるいは、記憶装置4225をプリンタに対して直接、接続することによって画像ファイルGFがプリンタに送出される。
【0348】
プリンタは、送られてきた画像ファイルを受け取り、該画像ファイルに設けられた出力制御情報CIを読み取り、読み取った出力制御情報CIを用いて画像データを印刷するとともに、該出力制御情報CIを被印刷体に設けられた素子に書き込む。
【産業上の利用可能性】
【0349】
以上、本発明によれば、被印刷体に関する様々な情報を被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、かかる印刷装置及び印刷装置と接続されるコンピュータ本体を有するコンピュータシステムを実現することができる。
【0350】
また、本発明によれば、撮影条件や出力制御情報を好適に被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、コンピュータシステムを実現することができる。
【符号の説明】
【0351】
1010…プリンタ本体、1011…操作パネル、1012…排紙部、1013…給紙部、1025…キャッピング装置、1026…ポンプユニット、1027…キャップ、1040…キャリッジ、1042…プラテン、1043…紙送りモータ、1044…摺動軸、1045…駆動ベルト、1046…プーリ、1047…エンコーダ、1048…ギヤ機構、1050…制御回路、1051…CPU、1052…PROM、1053…RAM、1054…周辺機器入出力部(PIO)、1055…タイマ、1056…駆動バッファ、1057…バス、1058…発振器、1059…分配出力器、1061…搬送駆動ローラ、1062…搬送従動ローラ、1063…紙検出器、1064…排紙駆動ローラ、1065…排紙従動ローラ、1080…送受信部、1081…記憶素子、1082…被印刷体、1111…操作ボタン、1112…表示ランプ、1121…排紙トレー、1131…給紙ホルダ、1621…搬送従動ローラホルダ、1631…レバー、1801…コイルアンテナ、1802…送受信回路、1811…ICチップ、1813…アンテナコイル、1814…整流、1815…信号解析部、1816…制御部、1817…メモリセル、1817R…読み取り領域、1817W…書き込み領域、PC…パーソナルコンピュータ、INC1,INC2…インクカートリッジ、ME…記憶素子、MEC…接点、IH1,IH2,IH3,IH4…印字ヘッド、2010…プリンタ本体、2011…操作パネル、2012…排紙部、2013…給紙部、2025…キャッピング装置、2026…ポンプユニット、2027…キャップ、2040…キャリッジ、2042…プラテン、2043…紙送りモータ、2044…摺動軸、2045…駆動ベルト、2046…プーリ、2047…エンコーダ、2048…ギヤ機構、2050…制御回路、2051…CPU、2052…PROM、2053…RAM、2054…周辺機器入出力部(PIO)、2055…タイマ、2056…駆動バッファ、2057…バス、2058…発振器、2059…分配出力器、2061…搬送駆動ローラ、2062…搬送従動ローラ、2063…紙検出器、2064…排紙駆動ローラ、2065…排紙従動ローラ、2080…読み取りセンサ、2081…記憶素子、2082…被印刷体、2111…操作ボタン、2112…表示ランプ、2121…排紙トレー、2131…給紙ホルダ、2621…搬送従動ローラホルダ、2631…レバー、2801…コイルアンテナ、2802…送受信回路、2811…ICチップ、2813…アンテナコイル、2814…整流器、2815…信号解析部、2816…制御部、2817…メモリセル、3010…プリンタ本体、3011…操作パネル、3111…操作ボタン、3112…表示ランプ、3012…排紙部、3121…排紙トレー、3013…給紙部、3131…給紙ホルダ、3132…給紙ローラ、3025…キャッピング装置、3026…ポンプユニット、3027…キャップ、3040…キャリッジ、3042…プラテン、3043…紙送りモータ、3044…摺動軸、3045…駆動ベルト、3046…プーリ、3047…エンコーダ、3048…ギヤ機構、3050…制御回路、3051…CPU、3052…PROM、3053…RAM、3054…周辺機器入出力部(PIO)、3055…タイマ、3056…駆動バッファ、3057…バス、3058…発振器、3059…分配出力器、3061…搬送駆動ローラ、3062…搬送従動ローラ、3621…搬送従動ローラホルダ、3063…紙検出器、3631…レバー、3064…排紙駆動ローラ、3065…排紙従動ローラ、3080…送受信部、3801…コイルアンテナ、3802…送受信回路、3081…記憶素子、3811…ICチップ、3813…アンテナコイル、3814…整流、3815…信号解析部、3816…制御部、3817…メモリセル、3817R…読み取り領域、3817W…書き込み領域、3082…被印刷体、4010…画像ファイル、4101…制御情報格納領域、4102…画像データ格納領域、4011…Exif(登録商標)ファイル(画像ファイル)、4111…JPEG画像データ格納領域、4112…付属情報格納領域、4113…Makernote格納領域、4114…PrintPerfectタグ、4022…ディジタルスチルカメラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷体、被印刷体に設けられる素子、印刷装置、及び、コンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(1)被印刷体、すなわちロール紙等の印刷メディアに関する情報を、ロール紙ユニットなどの一部(例えばロール紙の芯部)に設けた記憶素子に保有させ、印刷装置にて読み込むことが行われている。ロール紙などの残量、紙の種類、厚さ、幅などに関する属性情報を、自動的に印刷制御に反映させることにより、高品質の印刷結果を簡単に実現することができる。
【0003】
しかしながら、特に、カット紙などの単票メディアの場合は、大量の枚数のものをまとめてユニットとして扱うわけではなく、互いに異なる属性のものを一枚一枚印刷することが多い。そこで、普通は、パーソナルコンピュータの画面などにおいて、印刷装置のドライバソフトを用いてユーザがいちいち設定している。これは非常に手間がかかる。
【0004】
ところで、近年、平面状のアンテナコイルとコンデンサ、及び超小型ICチップなどから構成される、ごく小型かつ薄型のメモリ素子が多種開発されている。
【0005】
これは、ICカードなどにおいて使用されているものであり、半導体メモリやコンピュータ回路が備えられて、素子自体が演算処理機能を有し、接触式/非接触式の読み書きセンサによりデータの送受信が行われる。バーコード等の印刷情報よりも保有できる情報量が格段に大きく、製造コストも安価になりつつある。
【0006】
そこで、このような小型のメモリ素子を利用して、印刷メディア自体にあらかじめ様々なメディア属性情報を記憶させておくことが考えられる。
【0007】
また、他方で、上記のような印刷メディア自体の属性情報ではなく、印刷結果に関する情報も、のちのち重要となることがある。印刷結果に関する情報とは、例えば、印刷を実行した印刷装置がどのような印刷装置であったか、又は、印刷対象であったデータは、どのようなデータで、コンピュータのハードディスク内のどこに保存されていたものであったか、などである。これらの情報は、後日同じ画像、品質の印刷結果を得る必要があるときなどは、重要な情報である。ところが、単に記憶に頼るのみでは忘れてしまうことが多い。また、印刷装置のドライバソフトにこれらの情報を保存する機能があったとしても、異なる場所で前回とは異なるコンピュータで印刷する場合などは、利用することができない。
【0008】
(2)また、前述したように、被印刷体、すなわちロール紙等の印刷メディアに関する情報を、ロール紙ユニットなどの一部(例えばロール紙の芯部)に設けた記憶素子に保有させ、印刷装置にて読み込むことが行われている。ロール紙などの残量、紙の種類、厚さ、幅などに関する属性情報を、自動的に印刷制御に反映させることにより、高品質の印刷結果を簡単に実現することができる。
【0009】
しかしながら、特に、カット紙などの単票メディアの場合は、互いに異なる属性のものを一枚一枚印刷することが多い。そこで、普通は、パーソナルコンピュータの画面などにおいて、印刷装置のドライバソフトを用いてユーザがいちいち設定している。これは非常に手間がかかる。
【0010】
そこで、単票メディアの場合にも、印刷装置に設けた光学センサにより、被印刷体の種類(普通紙、光沢紙、OHP用紙など)を読み取り、適切な印刷制御を実行することが行われている。また、メディア自体にあらかじめバーコードなどを印刷することにより、被印刷体自体に情報を保有させておくことも知られている。
【0011】
しかしながら、光学センサ等により、メディアの反射光等から読み取ることのできる情報は、紙の光沢や透過性(OHP用紙の場合など)等の非常に限られたものである。また、バーコードなどの印刷された情報に保有させることのできる情報量は非常に小さく、ごく限られた印刷制御に利用することしかできない。また、光学センサなどによる読み取り処理は、ばらつきが大きく、不正確な属性情報を得てしまうことも多い。
【0012】
ところで、近年、平面状のアンテナコイルとコンデンサ、及び超小型ICチップなどから構成される、ごく小型かつ薄型のメモリ素子が多種開発されている。
【0013】
これは、ICカードなどにおいて使用されているものであり、半導体メモリやコンピュータ回路が備えられて、素子自体が演算処理機能を有し、接触式/非接触式の読み書きセンサによりデータの送受信が行われる。バーコード等の印刷情報よりも保有できる情報量が格段に大きく、製造コストも安価になりつつある。
【0014】
(3)さらにまた、デジタルカメラ、デジタルビデオ、デジタルカメラ付き携帯電話等の種々の撮影装置によって撮影を行い、該撮影によって得られた画像データに基づいてインクジェットプリンタ、レーザビームプリンタ等の各種印刷装置によって紙等の被印刷体に印刷が行われる。
【0015】
撮影によって得られた画像データは、パーソナルコンピュータに取り込まれて適宜修正や編集がなされた後に、印刷装置に送られて印刷が行われる場合もあるし、パーソナルコンピュータを介することなく、撮影装置から直接、又は、記録メディアを介して印刷装置に送られて印刷が行われる場合もある。
【0016】
また、近年、平面状のアンテナコイルとコンデンサ、及び超小型ICチップなどから構成される、ごく小型かつ薄型のメモリ素子が多種開発されている。これは、ICカードなどにおいて使用されているものであり、半導体メモリやコンピュータ回路が備えられて、素子自体が演算処理機能を有し、接触式/非接触式の読み書きセンサによりデータの送受信が行われる。バーコード等の印刷情報よりも保有できる情報量が格段に大きく、製造コストも安価になりつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
撮影装置によって生成された画像データに基づいて印刷が行われた被印刷体を後日見た際に、撮影を行った際の撮影条件を知りたい場合がある。例えば、富士山をデジタルカメラで撮影し、インクジェットプリンタで紙に印刷をした場合、富士山の印刷された紙を後日見た際に、何年何月何日に、どのような機種のデジタルカメラを用いて、どの程度のシャッター速度にて撮影したか等の撮影条件を知りたいことがある。
【0018】
このような観点から、被印刷体の印刷面に印刷を行う際に、画像とともに、撮影年月日等の撮影条件をも印刷してしまうことが行われている。
【0019】
しかしながら、画像に重ねて撮影条件を印刷してしまうことは好ましくない。
【0020】
また、画像と重なることなく撮影条件を印刷する場合には、撮影条件を印刷するための領域を画像印刷領域とは別に被印刷体に確保する必要が生じてしまう。
【0021】
そこで、本発明はかかる課題(上記(1)〜(3)に記載の課題)に鑑みてなされたもので、被印刷体に関する様々な情報を被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、かかる印刷装置及び印刷装置と接続されるコンピュータ本体を有するコンピュータシステムを実現することを目的とする。
【0022】
また、本発明は、撮影条件や出力制御情報等を好適に被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、コンピュータシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために、主たる本発明は、印刷装置による情報の書き込みが可能な素子を有していることを特徴とする被印刷体であることを特徴とする。
【0024】
また、前記課題を解決するために、他の主たる本発明は、情報を書き込み可能な素子を有し、撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする。
【0025】
また、前記課題を解決するために、他の主たる本発明は、情報を書き込み可能な素子を有し、印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子には、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする。
【0026】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかにする。
【0027】
以下の開示により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0028】
印刷装置による情報の書き込みが可能な素子を有していることを特徴とする被印刷体。
【0029】
かかる被印刷体によれば、忘れられたり失われたりしやすい、印刷結果に関連する様々な属性情報を、被印刷体に設けられた書き込み可能素子に書き込んで保存しておくことができるので、後日同じデータを印刷する際に重要となるそれらの属性情報を容易に利用することができる。
【0030】
また、前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った印刷装置を特定するための情報が書き込まれることとしてもよい。
【0031】
印刷時の色変換情報など一部の印刷情報は印刷装置種類毎に異なるので、前回使用した印刷装置種類を忘れてしまうと同じ印刷結果を再現することに困難を生ずる。そこで、かかる被印刷体によれば、被印刷体に設けられた書き込み可能素子に、印刷を行った印刷装置を特定する情報を書き込んで保存しておくことができるので、後日同じデータを印刷する際に、前回と同じ印刷装置を容易に特定することができ、その属性情報を容易に利用することができる。
【0032】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを記録する際に使用されたデジタルカメラを特定するための情報が書き込まれることとしてもよい。
【0033】
色補正などの画像処理に関する情報はデジタルカメラ毎に異なるので、画像データを記録したデジタルカメラ種類を忘れてしまうと同じ画像処理結果、ひいては印刷結果を再現することに困難を生ずる。そこで、かかる被印刷体によれば、被印刷体に設けられた書き込み可能素子に、画像データを記録したデジタルカメラを特定する情報を書き込んで保存しておくことができるので、後日同じ画像データを画像処理し、印刷する際に、前回と同じデジタルカメラを容易に特定することができ、その属性情報を容易に利用することができる。
【0034】
また、前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った日付を特定するための情報が書き込まれることとしてもよい。
【0035】
かかる被印刷体によれば、例えば、印刷された画像の時間経過に対する劣化具合を知りたいような場合に、素子に書き込まれた印刷日付情報を読み取ることによって、簡単に印刷日付を調べることができる。
【0036】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを特定するための情報が書き込まれることとしてもよい。
【0037】
かかる被印刷体によれば、印刷対象の画像データを特定するための情報(画像ファイルのファイル名や、コンピュータハードディスクにおけるファイルのパス名など)を、被印刷体に設けられた書き込み可能素子に書き込んで保存しておくことができるので、後日その被印刷体に印刷されている画像の画像データを記憶に頼ることなく容易に特定できる。
【0038】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれることとしてもよい。
【0039】
同じ画像を後日再度印刷したいような場合には、無論、もとの画像が保存されているコンピュータなどから再度印刷装置に出力すればよい。ところが、そのコンピュータが近くにない移動先などにおいて、急に追加印刷が必要になった場合は、印刷できない。印刷結果である被印刷体を携帯していれば、コピー機やスキャナを用いて、印刷画像のイメージ読み取りを行い、複製することはできるが、コピー機やスキャナによる読み取り印刷を繰り返すと画像は次第に劣化する。そこで、かかる被印刷体によれば、当該被印刷体に印刷された画像データそのものを被印刷体の記憶素子に書き込んで保存しておくことができるので、その画像データを何らかの読取手段を用いて読み取った上で印刷すれば、画像劣化のない印刷結果を簡単に得ることができる。
【0040】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが記憶され、記憶された画像データは、画像データ読み取り手段を備えた印刷装置によって印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0041】
かかる被印刷体によれば、当該被印刷体に印刷された画像データそのものが保存された記憶素子の画像データを読み取り、印刷することによって、画像劣化のない印刷結果を簡単に得ることができる。
【0042】
また、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることとしてもよい。
【0043】
このように、例えば厚紙などのように一定以上の厚さを有する被印刷体とすれば、前記素子を埋め込むことが容易である。また、耐変形性を有する柔軟な構造でなく硬質な構造の記憶素子であっても、印刷装置の給紙構造を直線的なものとすれば、印刷実行時の素子の変形、破壊を防止することができる。
【0044】
また、前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることとしてもよい。
【0045】
前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体である場合には、特に効果的に上述した効果が奏される。
【0046】
また、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であり、前記被印刷体に関する情報を記憶するための素子が設けられており、前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った印刷装置を特定するための情報、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを記録する際に使用されたデジタルカメラを特定するための情報、前記被印刷体に印刷を行った日付を特定するための情報、及び、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれ、書き込まれた画像データは、画像データ読み取り手段を備えた印刷装置によって印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0047】
このようにすれば、前記素子を埋め込むことが容易であり、かつ、硬質な構造の記憶素子であっても、変形、破壊されることなく印刷することができる被印刷体であって、色変換情報などの印刷装置毎に異なる印刷属性情報や、色補正などのデジタルカメラ毎に異なる画像処理情報、及び印刷日付情報を容易に利用しつつ、当該被印刷体に印刷された画像データそのものが保存された記憶素子の画像データを読み取り、印刷することができるので、スキャナ読み取りなどによる画像劣化もなく、前回の印刷結果と同じ品質の印刷結果を簡単に得ることができる。
【0048】
被印刷体に関する情報を記憶するための素子が設けられていることを特徴とする被印刷体。
【0049】
かかる被印刷体によれば、光学センサなどを用いて被印刷体自体から読み取ることのできる情報よりも、詳細かつ正確な被印刷体に関する情報を保有させておくことができるので、その情報を取得することにより印刷装置の印字ヘッド制御などをより詳細かつ正確に行うことができる。また、記憶素子を被印刷体そのものに設けたので、ユーザがいちいちパーソナルコンピュータのプリンタ設定画面などから被印刷体に関する詳細な情報を入力する必要が無く、簡単に印刷制御を行うことができる。
【0050】
また、前記被印刷体の、前記印刷装置に挿入される際に先頭となる部分に、前記素子が設けられているようにしてもよい。
【0051】
かかる被印刷体によれば、前記被印刷体の記憶素子に書き込まれた情報を早い時点で読み取ることができ、被印刷体の給紙動作において、逆方向に戻す動作を行う必要が無い。
【0052】
また、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であるようにしてもよい。
【0053】
このように、例えば厚紙などのように一定以上の厚さを有する被印刷体とすれば、前記素子を埋め込むことが容易である。また、耐変形性を有する柔軟な構造でなく硬質な構造の記憶素子であっても、印刷装置の給紙構造を直線的なものとすれば、印刷実行時の素子の変形、破壊を防止することができる。
【0054】
また、前記素子には、前記被印刷体の種類を特定するための情報、前記被印刷体の厚さを特定するための情報、前記被印刷体の幅を特定するための情報、前記被印刷体の製造年月日を特定するための情報、又は、前記被印刷体に応じた色変換を行う際に参照される情報などが記憶されていることとしてもよい。
【0055】
かかる被印刷体によれば、光学センサなどで読み取る場合よりも詳細かつ正確なこれらの情報を、素子に保有させておくことにより、より詳細かつ正確な印刷制御を行うことができ、高品質の印刷結果を実現することができる。
【0056】
また、前記素子に記憶された情報は、前記印刷装置に設けられた読み込み手段によって該印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0057】
かかる被印刷体によれば、従来はパーソナルコンピュータ画面上などにおいて、いちいちユーザが詳細な印刷設定を行っていたものを、印刷装置が直接、被印刷体より印刷情報を読み取って印刷制御に反映させるので、正確かつ詳細な印刷制御を簡単に行うことができ、高品質の印刷結果を得ることができる。
【0058】
また、前記読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることとしてもよい。
【0059】
かかる被印刷体によれば、前記素子と読み取り手段とを接触させる必要が無いので、構成が容易となる。
【0060】
また、前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることとしてもよい。
【0061】
前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体である場合には、特に効果的に上述した効果が奏される。
【0062】
また、前記印刷装置は、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドと、この印刷ヘッドの移動方向と交差する方向に前記被印刷体を搬送して位置決めするための搬送位置決め手段を有し、前記素子に記憶された情報は、前記搬送位置決め手段による前記被印刷体の搬送方向において、該搬送位置決め手段よりも上流側に設けられた読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0063】
かかる被印刷体によれば、記憶素子に記憶された情報を印刷装置において早い時期に読み込むことができるので、印刷制御の設定を正確に行うことができる。
【0064】
また、前記印刷装置は、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドを有し、前記素子に記憶された情報は、該印刷ヘッドとともに移動する読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0065】
かかる被印刷体によれば、被印刷体の形状や寸法が様々に変化しても、臨機応変に記憶素子の情報を読み込むことができ、高度な印刷制御を行うことができる。
【0066】
また、前記素子は、前記被印刷体の、前記印刷装置に挿入される際に先頭となる部分に設けられており、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であり、前記素子には、前記被印刷体の種類を特定するための情報、前記被印刷体の厚さを特定するための情報、前記被印刷体の幅を特定するための情報、前記被印刷体の製造年月日を特定するための情報、及び、前記被印刷体に応じた色変換を行う際に参照される情報が記憶されており、前記素子に記憶された情報は、前記印刷装置に設けられた非接触式の読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることとしてもよい。
【0067】
かかる被印刷体によれば、前記被印刷体の記憶素子に書き込まれた情報を早い時点で読み取ることができ、被印刷体の給紙動作において、逆方向に戻す動作を行う必要が無い。また、厚紙などのように一定以上の厚さを有する被印刷体なので、前記素子を埋め込むことが容易であり、耐変形性を有する柔軟な構造でなく硬質な構造の記憶素子であっても、印刷装置の給紙構造を直線的なものとすれば、印刷実行時の素子の変形、破壊を防止することができる。また、光学センサなどで読み取る場合よりも詳細かつ正確な情報を、素子に保有させておくことにより、より詳細かつ正確な印刷制御を行うことができ、高品質の印刷結果を実現することができる。また、構成の容易な非接触式の読み取り手段により読み込まれることにより、ユーザの手入力に代って印刷装置が直接、被印刷体より印刷情報を読み取って印刷制御に反映させるので、正確かつ詳細な印刷制御を簡単に行うことができ、高品質の印刷結果を得ることができる。
【0068】
情報を書き込み可能な素子を有し、撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする被印刷体。
【0069】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に撮影条件を印刷しなくとも、後日撮影条件を容易に知ることができる。
【0070】
また、前記撮影装置は、デジタルカメラであることとしてもよい。
【0071】
かかる被印刷体によれば、デジタルカメラによる前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に撮影条件を印刷しなくとも、後日デジタルカメラにて撮影した際の撮影条件を容易に知ることができる。
【0072】
また、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0073】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の年月日を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に撮影年月日を印刷しなくとも、後日撮影年月日を容易に知ることができる。
【0074】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0075】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に撮影年月日を印刷しなくとも、後日デジタルカメラの機種を容易に知ることができる。
【0076】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0077】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体にシャッター速度を印刷しなくとも、後日シャッター速度を容易に知ることができる。
【0078】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0079】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体に絞り値を印刷しなくとも、後日絞り値を容易に知ることができる。
【0080】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0081】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体にISO感度相当値を印刷しなくとも、後日ISO感度相当値を容易に知ることができる。
【0082】
また、前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることとしてもよい。
【0083】
かかる被印刷体によれば、前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことができるので、被印刷体にフラッシュ情報を印刷しなくとも、後日フラッシュ情報を容易に知ることができる。
【0084】
また、前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれることとしてもよい。
【0085】
同じ画像を後日再度印刷したいような場合には、無論、もとの画像が保存されているコンピュータなどから再度印刷装置に出力すればよい。ところが、そのコンピュータが近くにない移動先などにおいて、急に追加印刷が必要になった場合は、印刷できない。印刷結果である被印刷体を携帯していれば、コピー機やスキャナを用いて、印刷画像のイメージ読み取りを行い、複製することはできるが、コピー機やスキャナによる読み取り印刷を繰り返すと画像は次第に劣化する。そこで、かかる被印刷体によれば、当該被印刷体に印刷された画像データそのものを被印刷体の素子に書き込んで保存しておくことができるので、その画像データを何らかの読取手段を用いて読み取った上で印刷すれば、画像劣化のない印刷結果を簡単に得ることができる。
【0086】
また、前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって非接触状態にて書き込まれることしてもよい。
【0087】
また、前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることとしてもよい。
【0088】
このように、例えば厚紙などのように一定以上の厚さを有する被印刷体とすれば、前記素子を埋め込むことが容易である。また、耐変形性を有する柔軟な構造でなく硬質な構造の記憶素子であっても、印刷装置の給紙構造を直線的なものとすれば、印刷実行時の素子の変形、破壊を防止することができる。
【0089】
また、前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることとしてもよい。
【0090】
前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体である場合には、特に効果的に上述した効果が奏される。
【0091】
また、被印刷体の全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて、前記印刷装置によって印刷が行われることしてもよい。
【0092】
被印刷体の全表面を対象として印刷が行われる場合には、撮影条件を被印刷体に印刷してしまうと、撮影条件と画像とが重なって印刷されてしまうという不都合が生じ得る。しかしながら、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を、被印刷体に設けられた書き込み可能な素子に書き込んで保存しておくことによって、かかる不都合の発生を防止することができる。
【0093】
また、情報を書き込み可能な素子を有し、デジタルカメラよって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子には、前記デジタルカメラによる前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報、及び、前記画像データが、前記印刷装置によって非接触状態にて書き込まれ、厚さが、0.5mm以上であり、前記印刷装置によって切断されることなく、その全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて、前記印刷装置によって印刷が行われることを特徴とする被印刷体も実現可能である。
【0094】
また、情報を書き込み可能な素子を有し、印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、前記素子には、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする被印刷体。
【0095】
また、前記印刷装置は、画像データを格納した画像ファイルから前記出力制御情報を読み取り、読み取った該出力制御情報を、前記素子に書き込むこととしてもよい。
【0096】
また、前記出力制御情報は、ガンマ値、色空間、コントラスト、カラーバランス、シャープネス、色補正、および強調色を指定して、前記印刷装置における画像処理を制御するデータであることとしてもよい。
【0097】
また、前記出力制御情報は、印刷メディア、解像度、印刷ヘッドの動作方向を指定して、前記印刷装置における画像出力処理を制御するデータであることとしてもよい。
【0098】
また、前記画像ファイルは、デジタルカメラにおいて生成された画像ファイルであることとしてもよい。
【0099】
また、被印刷体に設けられた素子であって、前記素子は、前記印刷装置による情報の書き込みが可能であることを特徴とする素子も実現可能である。
【0100】
また、被印刷体に設けられる素子であって、前記被印刷体に関する情報が記憶されることを特徴とする素子も実現可能である。
【0101】
また、被印刷体に設けられる素子であって、被印刷体に設けられた後に、撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件が、印刷装置によって書き込まれることを特徴とする素子も実現可能である。
【0102】
また、被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に対して情報を書き込むための書き込み手段を有していることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0103】
また、かかる印刷装置において、被印刷体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有し、前記書き込み手段は、前記被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けられていることしてもよい。
【0104】
前記書き込み手段を、前記被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けることにより、該インク吐出ヘッドによるインク吐出が行われて印刷が実行される前に、素子に対して情報を書き込むことが可能となる。
【0105】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体が印刷装置に対して所定の位置に位置した際に、前記書き込み手段による前記素子に対する情報の書き込みが行われ、該位置において、該素子に記憶された情報の読み込みも可能であることとしてもよい。
【0106】
かかる印刷装置によれば、前記被印刷体が印刷装置に対して所定の位置に位置した状態で、前記素子に対する情報の書き込み、及び、読み込みがともに可能となる。
【0107】
また、かかる印刷装置において、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることとしてもよい。
【0108】
かかる印刷装置によれば、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に対して効果的に情報を書き込むことが可能となる。
【0109】
また、被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に対して画像データを書き込むための書き込み手段と、素子に書き込まれた画像データを読み取るための読み取り手段を有していることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0110】
また、被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に記憶された、該被印刷体に関する情報を読み込むための読み込み手段を有することを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0111】
また、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドと、この印刷ヘッドの移動方向と交差する方向に前記被印刷体を搬送して位置決めするための搬送位置決め手段を有し、前記読み取り手段は、前記搬送位置決め手段による前記被印刷体の搬送方向において、該搬送位置決め手段よりも上流側に設けられていることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0112】
また、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドを有し、前記読み取り手段は、該印刷ヘッドとともに移動することを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0113】
また、前記読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0114】
また、かかる印刷装置において、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることとしてもよい。
【0115】
かかる印刷装置によれば、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられ素子に記憶された情報を効果的に読み込むことが可能となる。
【0116】
また、撮影装置よって生成された画像データに基づいて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込むことを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0117】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置は、デジタルカメラであることとしてもよい。
【0118】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0119】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0120】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0121】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0122】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0123】
また、かかる印刷装置において、前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むこととしてもよい。
【0124】
また、かかる印刷装置において、前記素子に、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを書き込むこととしてもよい。
【0125】
また、かかる印刷装置において、前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を非接触状態にて書き込むこととしてもよい。
【0126】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体を切断することなく印刷を行うこととしてもよい。
【0127】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体の全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷を行うこととしてもよい。
【0128】
また、かかる印刷装置において、被印刷体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有し、前記素子に前記撮影条件を書き込むための書き込み手段が、被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けられていることとしてもよい。
【0129】
前記書き込み手段を、前記被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けることにより、該インク吐出ヘッドによるインク吐出が行われて印刷が実行される前に、素子に対して情報を書き込むことが可能となる。
【0130】
また、かかる印刷装置において、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることとしてもよい。
【0131】
かかる印刷装置によれば、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に対して効果的に情報を書き込むことが可能となる。
【0132】
また、画像データに基づいて被印刷体に印刷を行う印刷装置において、前記被印刷体に設けられた素子に、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報を書き込むことを特徴とする印刷装置。
【0133】
また、画像データを格納した画像ファイルから前記出力制御情報を読み取り、読み取った該出力制御情報を、前記素子に書き込むこととしてもよい。
【0134】
また、前記出力制御情報は、ガンマ値、色空間、コントラスト、カラーバランス、シャープネス、色補正、および強調色を指定して、前記印刷装置における画像処理を制御するデータであることとしてもよい。
【0135】
また、前記出力制御情報は、印刷メディア、解像度、印刷ヘッドの動作方向を指定して、前記印刷装置における画像出力処理を制御するデータであることとしてもよい。
【0136】
また、前記画像ファイルは、デジタルカメラにおいて生成された画像ファイルであることとしてもよい。
【0137】
また、コンピュータ本体、このコンピュータ本体と接続されて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、前記印刷装置は、前記被印刷体に設けられた素子に対して情報を書き込むための書き込み手段を有していることを特徴とするコンピュータシステムも実現可能である。
【0138】
また、コンピュータ本体、このコンピュータ本体と接続されて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、前記印刷装置は、前記被印刷体に設けられた素子に記憶された、該被印刷体に関する情報を読み込むための読み込み手段を有することを特徴とするコンピュータシステムも実現可能である。
【0139】
また、コンピュータ本体、及び、このコンピュータ本体と接続されて撮影装置よって生成された画像データに基づいて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、前記印刷装置が、前記被印刷体に設けられた素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込むことを特徴とするコンピュータシステムも実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】第一実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの外観を概略的に示す図である。
【図2】第一実施形態に関するものであり、2つの給紙経路を示す、インクジェットプリンタの要部断面図である。
【図3】第一実施形態に関するものであり、被印刷体である、記憶素子を埋め込んだ厚紙の斜視図である。
【図4】第一実施形態に関するものであり、(a)は、記憶素子の構成を示す平面透視図、(b)は、記憶素子及び送受信部の内部構成を示すブロック図である。
【図5】第一実施形態に関するものであり、記憶素子に保存される情報のイメージを示す図である。
【図6】第一実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタのキャリッジ周辺の構成を示した斜視図である。
【図7】第一実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの内部構成を示した図である。
【図8】第一実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの制御回路の内部構成を示したブロック図である。
【図9】第一実施形態に関するものであり、印刷実行時における、プリンタの制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図10】第二実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの外観を概略的に示す図である。
【図11】第二実施形態に関するものであり、2つの給紙経路を示す、インクジェットプリンタの要部断面図である。
【図12】第二実施形態に関するものであり、被印刷体である、記憶素子を埋め込んだ厚紙の斜視図である。
【図13】第二実施形態に関するものであり、(a)は、記憶素子の構成を示す平面透視図、(b)は、記憶素子及び読み取りセンサの内部構成を示すブロック図である。
【図14】第二実施形態に関するものであり、記憶素子に保存される情報のイメージを示す図である。
【図15】第二実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタのキャリッジ周辺の構成を示した斜視図である。
【図16】第二実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの内部構成を示した図である。
【図17】第二実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの制御回路の内部構成を示したブロック図である。
【図18】第二実施形態に関するものであり、印刷実行時における、プリンタの制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図19】第三実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの外観を概略的に示す図である。
【図20】第三実施形態に関するものであり、2つの給紙経路を示す、インクジェットプリンタの要部断面図である。
【図21】第三実施形態に関するものであり、被印刷体である、記憶素子を埋め込んだ厚紙の斜視図である。
【図22】第三実施形態に関するものであり、(a)は、記憶素子の構成を示す平面透視図、(b)は、記憶素子及び送受信部の内部構成を示すブロック図である。
【図23】第三実施形態に関するものであり、記憶素子に保存される情報のイメージを示す図である。
【図24】第三実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタのキャリッジ周辺の構成を示した斜視図である。
【図25】第三実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの内部構成を示した図である。
【図26】第三実施形態に関するものであり、インクジェットプリンタの制御回路の内部構成を示したブロック図である。
【図27】第三実施形態に関するものであり、印刷実行時における、プリンタの制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図28】その他の実施形態に係る画像ファイルの内部構成を概念的に示す説明図である。
【図29】その他の実施形態に関するものであり、Exif(登録商標)ファイル形式にて格納されている第1実施例に係る画像ファイルGFの概略的な内部構造を示す説明図である。
【図30】その他の実施形態に係る画像ファイルGFの詳細な階層構造を示す説明図である。
【図31】その他の実施形態に係る画像ファイルGFを生成可能なディジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0141】
=第1実施形態=
===インクジェットプリンタの概略===
次に、本発明の主な適用対象である印刷装置としてのインクジェットプリンタの概略について説明する。図1は、インクジェットプリンタの概略的な外観を示した図である。
【0142】
ここでは、カラーインクジェットプリンタを示した。このカラープリンタ1010は、カラー画像の出力が可能なインクジェットプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクをカット紙などの被印刷体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。
【0143】
図1に示すように、カラープリンタ1010は、背面側上方から供給されたカット紙を前面から排出する給紙構造を備えている。プリンタ本体1010の前面には操作パネル1011、排紙部1012が備えられ、背面には給紙部1013が備えられている。操作パネル1011には、各種操作ボタン1111、表示ランプ1112が設けられている。排紙部1012は、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー1121が備えられている。
【0144】
給紙部1013には、図示していないカット紙を保持する給紙トレー1131が備えられている。なお、カット紙とは、予め所定の寸法に切断された紙であり、カラープリンタ1010によって切断されることのない単票の印刷メディアである。
【0145】
===給紙機構の構成===
本実施形態のカラープリンタ1010は、特に、ストレートパスと呼ばれるもう1つの給紙経路(図1には示していない)を有する構成のものである。これは、厚紙などの一定の厚さや硬さを有する被印刷体を手差しにより供給する給紙機構である。このストレートパス機構では、CD−Rなどの変則的な寸法、形状の被印刷体に対しても、被印刷体搬送トレー(図示していない)に載置して供給することにより、被印刷体を切断することなく印刷を行うことが可能である。図2は、これら2つの給紙機構について説明するための、プリンタ1010の要部断面図である。
【0146】
カラープリンタ1010には、被印刷体に印刷を行う手段として、摺動軸1044に軸支され、摺動軸方向(主走査方向)に移動するキャリッジ1040が設けられており、このキャリッジ1040には、被印刷体にインクを吐出して印刷を行うヘッドIH1〜IH4が搭載されている。ヘッドIH1〜IH4と対向して、ヘッドIH1〜IH4のヘッド面と被印刷体とのギャップを規定するプラテン1042が設けられている。そして、キャリッジ1040を主走査方向に搬送し、被印刷体をキャリッジ1040とプラテン1042との間で副走査方向Yに間欠的に搬送しながら、ヘッドIH1〜IH4が被印刷体にインクを吐出することによって、被印刷体に印刷が行われる。
【0147】
給紙トレー1131は、例えば普通紙やフォト紙等のカット紙である被印刷体を供給することが可能な構成であり、被印刷体を自動供給するためのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレー1131に設けられた給紙ローラ1132、及び図示していない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ1132は、略D形の横断面形状を有しており、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御される。そして、給紙ローラ1132の回転駆動力と分離パッドの摩擦抵抗によって、複数の被印刷体が一度に給紙されることを防ぐ。
【0148】
そして、矢印Aで示した経路に沿ってASFにより自動給紙された被印刷体は、給紙ローラ1132より副走査方向Yの下流側に配設された被印刷体搬送位置決め手段により、印刷実行領域に向けて、所定の紙送り量で間欠的に搬送される。
【0149】
被印刷体を副走査方向Yに間欠的に搬送し、位置決めする搬送位置決め手段として、搬送駆動ローラ1061と搬送従動ローラ1062が設けられている。搬送駆動ローラ1061は、ステッピング・モータ等の紙送りモータにより回転制御され、被印刷体は搬送駆動ローラ1061の回転により副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ1062は、複数の搬送従動ローラホルダ1621に軸支されている。被印刷体が搬送駆動ローラ1061の回転により搬送される際に、搬送従動ローラ1062は、従動して回転する。
【0150】
また、給紙ローラ1132と搬送駆動ローラ1061との間には、従来技術において公知の技術による紙検出器1063が配設されている。紙検出器1063は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙搬送方向にのみ回動し得るよう被印刷体の搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバー1631を有する。このレバー1631の先端が被印刷体に押されることにより、レバー1631が回動し、それによって被印刷体が検出される構成である。紙検出器1063は、給紙ローラ1132より給紙された被印刷体の始端位置、及び終端位置を検出し、その検出位置に合わせて印刷領域が決定され、印刷が実行される。
【0151】
一方、印刷された被印刷体を排紙する手段として、排紙駆動ローラ1064と排紙従動ローラ1065が設けられている。排紙駆動ローラ1064は、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、排紙駆動ローラ1064の回転により、被記録材は副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ1065は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が被印刷体の記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラであり、それぞれ、被印刷体が排紙駆動ローラ1064の回転により排紙される際に従動して回転する。
【0152】
さらに、プリンタ1010には、上述したASFによる給紙経路(符号Aの矢印で示した経路)とは別に、記憶素子を埋設させた厚紙など、柔軟性の少ない被印刷体などを供給するための給紙路が設けられている。図中、この給紙路を符号Bの矢印で示している。そして、プリンタ1010は、この矢印Bの給紙路から給紙された被印刷体に対しても、前記ASFから給紙された被印刷体と同様に印刷を実行することができる。
【0153】
さらに、プリンタ1010は、図示していないが、搬送従動ローラレリース機構を備えている。被印刷体をセット位置にセットする際に、搬送従動ローラ1062を搬送駆動ローラ1061から離間させた状態(レリース状態)に保持し、被印刷体を給紙路に挿入して印刷セット位置にセットし、印刷セット位置への位置合わせ完了後に、そのレリース状態を解除し、搬送従動ローラ1062が搬送駆動ローラ1061によって付勢される状態に復帰する。ここで、被印刷体が印刷セット位置にセットされる際に、しばらく動作停止状態となるので、この一時停止状態を利用して、記憶素子付きの被印刷体に対しては、記憶素子への情報読み書きを行う。
【0154】
図示していないが、矢印Bの給紙路と矢印Aの給紙路との合流地点付近、すなわち紙検出器1063の付近の上方に、被印刷体の記憶素子に対する読み取り/書き取り手段としての送受信部が設けられている。送受信部は、上記被印刷体が一時停止状態となる位置において、その記憶素子とちょうど対向する箇所に設けられている。送受信部の構成や配置についての詳細は、後述する。
【0155】
なお、符号Bの矢印で示した経路に被印刷体を搬送する給紙機構(搬送手段)は、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送するから、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に対して効果的に情報を書き込むこと又は情報を読み込むことが可能となる。
【0156】
===被印刷体の構成===
図3は、本実施形態における被印刷体の斜視図である。この被印刷体1082は、本体が厚紙であり、矢印Bを給紙方向として本体の先端付近に記憶素子1081が埋設されている。前述のように、記憶素子1081は、被印刷体がY方向給紙路の途中で一時停止状態となる位置において、記憶素子1081と印刷装置に設けられた前記送受信部1080(図4)とがちょうど対向するように位置決めされる。記憶素子1081を埋設する位置としては、送受信部1080を設ける位置にも依存するが、厚紙の後端寄りであると、送受信部1080による読み取りの後で、再び前記セット位置まで被印刷体1082を戻す動作が必要となるので、先端付近とすることが好ましい。
【0157】
記憶素子1081は、NAND型フラッシュROMなどのメモリセルを有する素子であり、アンテナとなるコイルや、制御部や記憶部を有するICチップから構成される、ごく小型かつ薄型のものである。0.5mmほどの厚さを有する厚紙などであれば容易に埋設することができる。また、この記憶素子1081は、非接触式の読み取り/書き込みが可能なタイプのものである。従って、送受信部1080と記憶素子1081とが互いに接触する必要は無く、両者は間隙を有する。記憶素子1081は、送受信部1080から送信される搬送波を整流して必要な電力を生成する。
【0158】
===記憶素子と送受信部の構成===
次に、図4を参照して記憶素子1081と送受信部1080の構成について説明する。
【0159】
図4(a)は、記憶素子1081の構成を示す平面透視図である。記憶素子1081は、送受信部とのデータ送受信可能距離が20cm程度である、近接型の非接触式記憶素子である。全体としてごく小型かつ薄型で、片面に粘着性を持たせてシールとして対象物に貼着させることもできる。メモリタグなどと呼ばれ、多種市販されているものである。
【0160】
記憶素子1081は、非接触ICチップ1811と、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ1812及び平面状コイル1813とがプラスチックフィルム上に実装され、透明なカバーシートにより被覆されている。一方、平面図などは示さないが、送受信部1080は、記憶素子と同様のコイルアンテナ1801と、送受信回路1802とから構成され、電力の供給はプリンタ本体1010の電源ユニットから受ける。
【0161】
図4(b)は記憶素子1081及び送受信部1080の内部構成を示すブロック図である。送受信部1080は、アンテナコイル1801と、後述するプリンタ本体制御回路の周辺機器入出力部(PIO)1054(図8)に接続される送受信回路1802とから構成されている。記憶素子1081のICチップ1811は、整流器1814、信号解析部RF(Radio Frequency)1815、制御部1816、メモリセル1817から構成されている。メモリセル1817は、NAND型フラッシュROMなど電気的に読み書き可能なメモリである。
【0162】
記憶素子1081のアンテナ1813と送受信部1080のアンテナ1801とは、互いに通信し合い、メモリセル1817に保存された情報の読み書きを行う。また、送受信部1080の送受信回路1802で発生された高周波信号は、アンテナ1801を介して高周波磁界として誘起される。この高周波磁界は、記憶素子1081のアンテナ1813を介して吸収され、整流器1814で整流されてICチップ1811内の各回路を駆動する直流電力源となる。
【0163】
===記憶素子に記憶されているデータ===
図5は、記憶素子1081のメモリセル1817におけるデータ配列を示した図である。メモリセル1817の領域は、被印刷体の属性情報が書き込まれた読み取り領域1817Rと、印刷結果に関する情報が書き込まれる書き込み領域1817Wとから成っている。
【0164】
読み取り領域1817R(アドレス:00H〜04H)のデータは、当該記憶素子1081が埋設される厚紙個々の属性を表している。またこれらのデータは、記憶素子1081自体の工場での製造時や、厚紙への埋設工程などにおいて、書き込み処理されることとすればよい。
【0165】
読み取り領域1817Rの各データは、アドレス毎に8ビット情報であり、被印刷体種類、被印刷体厚さ、被印刷体幅、被印刷体製造年月日、及び被印刷体LUTである。被印刷体種類は、被印刷体1082の素材(紙、プラスチック、皮、OHPシートなど)及び紙である場合はその光沢などに関する情報である。被印刷体厚さは、被印刷体1082の厚さを示す情報である。この情報を利用することにより、厚みのある被印刷体1082を印刷する際に、被印刷体1082の印刷セット状態における搬送従動ローラ1062と搬送駆動ローラ1061の離間(レリース状態)間隔を制御することとしてもよい。被印刷体幅は、被印刷体1082の幅を示す情報である。
【0166】
この情報により、A4サイズ、B5サイズといった用紙幅をいちいちプリンタドライバソフトにて設定しなくとも、自動的に制御される。被印刷体LUT(Look Up Table)とは、インデックスカラー方式のインデックス番号と、実際に表示する色の数値情報とを関連付けている色補正表のことである。個々の被印刷体ごとに異なるので、カラー画像の色彩を印刷において高品質に表現するためには重要な情報である。以上示したデータ以外にも、被印刷体1082の属性に関する様々な情報が適宜含まれていてもよい。
【0167】
書き込み領域1817W(アドレス:05H以下)には、印刷結果に関する様々な情報を書き込むことができる。すなわち、印刷を行った印刷装置を特定するための情報や、当該被印刷体1082に印刷された画像データを撮影したデジタルカメラを特定するための情報、印刷を実行した日付、当該被印刷体1082に印刷されたデータを特定するための情報(ファイル名や、ハードディスクディレクトリのパス名など)、及び、当該被印刷体1082に印刷された画像データそのものなどである。これらの情報やデータは、後日同じデータを印刷する際に、同じ印刷結果を容易に再現することができる。
【0168】
なお、読み取り領域1817R、及び書き込み領域1817Wの各アドレスに格納される情報は、必要に応じて8ビットよりも大きいこととしてもよい。また、画像データは通常相当の大きさを有するので、適宜あらかじめ相当の大きさ分のアドレスを確保しておくことが好ましい。
【0169】
===送受信部の配置===
送受信部1080の配置について、本実施形態においては、矢印Aの給紙路と矢印Bの給紙路との合流地点付近、紙検出器1063の付近上方に設けられることとしているが、これに限定されるものではない。
【0170】
送受信部1080は、被印刷体の搬送方向において、印刷ヘッドIH1〜4よりも上流側に設けられていることが好ましい。なぜなら、送受信部1080を、被印刷体の搬送方向において、送受信部1080よりも上流側に設けることにより、印刷ヘッドIH1〜4によるインク吐出が行われて印刷が実行される前に、素子に対して情報を書き込むことが可能となるからである。
【0171】
より好ましくは、被印刷体1082を搬送する搬送位置決め手段(搬送駆動ローラ1061及び搬送従動ローラ1062)よりも給紙の上流であることが好ましい。記憶素子1081に記憶された情報をプリンタ1010本体側で、印刷実行時における早い時点で読み込むことができるので、印刷制御の設定を正確に行うことができるからである。
【0172】
また、記憶素子1081への書き込み処理も、同じ位置において読み取り処理に続けて行うこととすればよい。すなわち、被印刷体がプリンタ1010に対して所定の位置に位置した際に、素子に対する情報の書き込みが行われ、該位置において、該素子に記憶された情報の読み込みも可能であることとしてもよい。このように構成することにより、被印刷体がプリンタ1010に対して所定の位置に位置した状態で、素子に対する情報の書き込み、及び、読み込みがともに可能となる。
【0173】
なお、送受信部1080を、印刷ヘッドIH1〜4のいずれかの下面などに設けて、印刷ヘッドIH1〜4とともに移動できる構成としてもよい。このような構成であれば、被印刷体1082の幅がどのような寸法であっても、印刷ヘッドIH1〜4を走査方向に適切な位置まで移動させて通信することによって、確実に送受信することが可能となる。
【0174】
上記いずれの場合においても、近接型記憶素子1081の送受信可能距離の範囲内で通信できる位置に配置されることが好ましいのは言うまでも無い。また、いずれの場合も、読み書き動作時に、確実に通信が行われるために、被印刷体1082の動作を一時停止させることが好ましい。
【0175】
===キャリッジ周辺の構成===
次にインクジェットプリンタ1010内部のキャリッジ1040及びその周辺の構成について説明する。図6は、そのキャリッジ1040周辺の構成を示した斜視図である。
【0176】
図6に示すように、キャリッジ1040は、駆動ベルト1045によりプーリ1046を介してキャリッジモータ1041に接続され、摺動軸1044に案内されてプラテン1042に平行に移動するように駆動される。キャリッジ1040の印刷紙に対向する面には、ブラックインクを吐出するノズル列及びカラーインクを吐出するノズル列を有するヘッドIH1〜IH4が設けられ、各ノズルはインクカートリッジINC1、INC2からインクの供給を受けて印刷紙にインク滴を吐出し、文字や画像を印刷する。
【0177】
また、キャリッジ1040の非印字領域には、非印字時にヘッドIH1〜IH4のノズル開口を封止するためのキャッピング装置1025と、図示しないポンプモータを有するポンプユニット1026とが設けられている。キャリッジ1040が印字領域から非印字領域に移動すると、図示しないレバーにキャリッジ1040が当接して、キャッピング装置1025が上方に移動し、ヘッドIH1〜IH4を封止する。
【0178】
ヘッドIH1〜IH4のノズル開口列に目詰まりが生じた場合や、インクカートリッジINC1、INC2の交換等を行ってヘッドIH1〜IH4から強制的にインクを吐出する場合は、ヘッドIH1〜IH4を封止した状態でポンプユニット1026を作動させ、ポンプユニット1026からの負圧により、ノズル開口列からインクを吸い出す。これにより、ノズル開口列の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらにはヘッドIH1〜IH4内の気泡がインクとともにキャップ1027に排出される。
【0179】
===インクジェットプリンタの内部構成===
次に、図7を参照してカラーインクジェットプリンタ1010の内部構成について説明する。図7は、本実施の形態に係るプリンタ1010の内部構成を示した図である。
【0180】
プリンタ1010は、図示するように、キャリッジ1040に搭載された印字ヘッドIH1〜IH4を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、このキャリッジ1040をキャリッジモータ1041によってプラテン1042の軸方向に往復動させる機構と、給紙ユニット1131から供給されるカット紙1133や、矢印Bの給紙路から供給される被印刷体を紙送りモータ1043によって搬送する機構と、制御回路1050とを有している。
【0181】
キャリッジ1040をプラテン1042の軸方向に往復動させる機構は、プラテン1042の軸と並行に架設され、キャリッジ1040を摺動可能に保持する摺動軸1044と、キャリッジモータ1041との間に無端の駆動ベルト1045を張設するプーリ1046等から構成されている。
【0182】
被印刷体を搬送する機構は、プラテン1042と、プラテン1042を回転させる紙送りモータ1043と、搬送駆動ローラ1061及び搬送従動ローラ1062(図2)と、紙送りモータ1043の回転をプラテン1042及び上記2つのローラ1061、1062に伝えるギヤ機構1048と、プラテン1042の回転角度を検出するエンコーダ1047と、紙検出器1063(図2)などを有している。また、紙検出器1063付近に設けられた送受信部1080が設けられている。
【0183】
制御回路1050は、プリンタの操作パネル1011や送受信部1080、外部接続されるパーソナルコンピュータ等と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ1043やキャリッジモータ1041、印字ヘッドIH1〜IH4の動きを適切に制御する。給紙ユニット1131や矢印Bのストレートパス給紙路から供給される被印刷体は、プラテン1042と搬送従動ローラ1062の間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン1042の回転角度に応じて所定量ずつ搬送される。
【0184】
キャリッジ1040にはインクカートリッジINC1とインクカートリッジINC2とが装着される。各インクカートリッジINC1、INC2には、インク残量等を記憶する記憶素子ME(図8)が備えられている。インクカートリッジINC1には黒(K)インクが収容され、インクカートリッジINC2には他のインク、すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の3色インクが収納されている。ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ダークイエロ(DY)のインクも収納可能であることは既述の通りである。
【0185】
===制御回路の内部構造===
次に図8を参照してインクジェットプリンタの制御回路1050の内部構成について説明する。図8は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの制御回路1050の内部構成を示したブロック図である。
【0186】
図示するように、制御回路1050の内部には、CPU1051、PROM1052、RAM1053、周辺機器入出力部(PIO)1054、タイマ1055、駆動バッファ1056等が設けられている。
【0187】
PIO1054には、操作パネル1011、パーソナルコンピュータPC、インクカートリッジの記憶素子MEとの接点MEC、キャリッジモータ1041、紙送りモータ1043、エンコーダ1047、及び送受信部1080が接続されている。駆動バッファ1056は、印字ヘッドIH1〜IH4にドット形成のためのオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス1057で接続され、相互にデータのやり取りが可能となっている。また、制御回路1050には、所定周波数で駆動波形を出力する発振器1058、及び発振器1058からの出力を印字ヘッドIH1〜IH4に所定のタイミングで分配する分配出力器1059も設けられている。
【0188】
制御回路1050は、被印刷体1082が印刷セット位置に一時停止した際に、送受信部1080を介して、被印刷体1082の記憶素子1081に対しアクセスする。そして制御回路1050は、記憶素子1081から取得した情報を反映して、印刷処理を制御し、また、印刷結果に関する各種の情報を記憶素子1081に書き込む。
【0189】
印刷実行時には、キャリッジモータ1041や紙送りモータ1043の動きと同期をとりながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ1056に出力する。記憶素子1081に対する読み取り処理、並びに記憶素子1081から取得した情報を利用した印刷処理、及び印刷結果に関する情報の書き込み処理の詳細ついては、後述する。
【0190】
===インクジェットプリンタの動作===
次に、図9を参照して、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ1010の動作について説明する。図9は、ある画像データの印刷実行時にインクジェットプリンタ1010の制御回路1050において実行される処理のフローチャートである。ここでは、送受信部1080は、紙検出器1063の付近の給紙路内上方に、設けられていることとする。
【0191】
制御回路1050は、まず、紙検出器1063から被印刷体1082の位置情報を受信して、被印刷体1082が搬送位置決め手段1061、1062により印刷セット位置にセットされたことを認識する(ステップs1100)。
【0192】
制御回路1050は、次に、送受信部1080を介して、記憶素子1081のメモリセル1817の読み取り領域1817Rに記録された各種情報の読取処理を、アドレスの先頭部から順次シリアルに実行し、取得した情報を一旦、RAM1053に格納する(ステップs1102)。各種情報とはすなわち、被印刷体1082の種類、厚さ、幅、製造年月日、LUTなどである。
【0193】
制御回路1050は、次に、送受信部1080を介して、メモリセル1817の書き込み領域1817Wに、印刷結果に関する各種情報の書き込み処理を行う。まず、印刷装置を特定するための情報の書き込みを行う(ステップs1104)。
【0194】
以降、順次、印刷対象である画像データを撮影したデジタルカメラを特定するための情報(ステップs1106)、印刷日付(ステップs1108)、印刷対象である画像データのファイル名やパス名などの情報(ステップs1110)、及び印刷対象である画像データそのもの(ステップs1112)の書き込みを行う。
【0195】
これらの情報を記憶素子1081に書き込んでおくことによって、後日同じ画像データを印刷し、同じ印刷結果を得たいという際に、色変換情報などの印刷装置毎に異なる印刷属性情報や、色補正などのデジタルカメラ毎に異なる画像処理情報、及び画像データの保存場所やファイル名などの情報を読み取って印刷制御に利用することができるので、記憶に頼ることなく容易に同じ印刷結果を再現することができる。また、印刷日付情報を読み取ることによって、時間経過に伴う印刷画像の画質劣化について調べることなどができる。
【0196】
図9の説明に戻ると、次に制御回路1050は、印刷処理を行う(ステップs1114)。印刷処理は、基本的には公知の処理手順によって実行される。その際、RAM1053に格納した上記の各制御情報を読み出して、キャリッジモータ1041や、紙送りモータ1043、印刷ヘッドIH1〜4の駆動制御を行う。
【0197】
最後に制御回路1050は、印刷の終了を待機し(ステップs1116:No)、印刷が終了したと判定すると(ステップs1116:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0198】
なお、本実施形態の様に、画像データそのものを被印刷体1082の記憶素子1081に書き込んでおいた場合は、後日これを何らかの読み取り装置にて読み取って印刷することができる。この場合、画像データがもともと保存されていたコンピュータがなくとも、被印刷体自体が画像データを保有しているので別のコンピュータ及び印刷装置を用いて簡単に出力することができる。例えば、インクジェットプリンタなどのプリンタを多種販売する店舗の店頭において、サンプル画像をデモ印刷する場合は、ある画像が印刷された被印刷体の画像データを読み取って様々なプリンタで出力することによって、コンピュータ本体などを準備せずとも同じデータによる印刷結果の比較を簡単に行うことができる。その際、読み取り装置は上記実施形態と同様に印刷装置の給紙路途中に設けられていてもよいが、非接触式の読み取りが可能な小型ハンディスキャナのようなものであってもよい。
【0199】
また、以上の実施形態においては、インクジェットプリンタ1010にて被印刷体1082に対し印刷処理、及び画像データなどの書き込み処理を行い、後日、別の印刷装置にてこの画像データの読み取りを行い再印刷することとしたが、インクジェットプリンタ1010は、記憶素子1081への読み取りと書き込みの両方が可能な印刷装置であるので、後日再びインクジェットプリンタ1010にて被印刷体1082から画像データなどを読み取り、印刷してもよい。
【0200】
===その他===
本発明は、カット紙に対して効果的に適用可能であるが、カット紙に限らず、ロール紙についても適用可能である。この場合は、ロール紙ユニットの芯部周囲に巻き付けられた紙等に素子を設ければよい。
【0201】
前述の実施の形態では、被印刷体の本体部として厚紙を例にとって説明したが、プラスチックボード、金属薄板等を用いてもよい。
【0202】
前述の実施形態に係るインクジェットプリンタと、コンピュータ本体、CRT等の表示装置、マウスやキーボード等の入力装置、フレキシブルドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置を備えたコンピュータシステムも実現可能であり、このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0203】
また、前述の実施形態に係るインクジェットプリンタに、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能又は機構の一部を持たせてもよい。例えば、プリンタが、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を有する構成としてもよい。
【0204】
上記各実施の形態では、印刷装置としてインクジェットプリンタ1010を用いたが、カット紙などの単票メディアに対して印刷処理できる印刷装置であれば、これに限られることなく、例えば、モノクロプリンタ、レーザプリンタ、ファクシミリ等に適用しても良い。
【0205】
また、上記各実施の形態では、記憶素子として、非接触ICチップと、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ及び平面状アンテナコイルを備えたものを用いたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば共振用コンデンサは記憶素子の外部に接続されていてもよいし、ICチップとアンテナコイルが離れた場所にそれぞれ配設されて接続されている構成など様々な変形が考えられる。
【0206】
=第2実施形態=
===インクジェットプリンタの概略===
次に、本発明の主な適用対象である印刷装置としてのインクジェットプリンタの概略について説明する。図10は、インクジェットプリンタの概略的な外観を示した図である。
【0207】
ここでは、カラーインクジェットプリンタを示した。このカラープリンタ2010は、カラー画像の出力が可能なインクジェットプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクをカット紙などの被印刷体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。
【0208】
図10に示すように、カラープリンタ2010は、背面側上方から供給されたカット紙を前面から排出する給紙構造を備えている。プリンタ本体2010の前面には操作パネル2011、排紙部2012が備えられ、背面には給紙部2013が備えられている。操作パネル2011には、各種操作ボタン2111、表示ランプ2112が設けられている。排紙部2012は、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー2121が備えられている。
【0209】
給紙部2013には、図示していないカット紙を保持する給紙トレー2131が備えられている。なお、カット紙とは、予め所定の寸法に切断された紙であり、カラープリンタ2010によって切断されることのない単票の印刷メディアである。
【0210】
===給紙機構の構成===
本実施形態のカラープリンタ2010は、特に、ストレートパスと呼ばれるもう1つの給紙経路(図10には示していない)を有する構成のものである。これは、厚紙などの一定の厚さや硬さを有する被印刷体を手差しにより供給する給紙機構である。このストレートパス機構では、CD−Rなどの変則的な寸法、形状の被印刷体に対しても、被印刷体搬送トレー(図示していない)に載置して供給することにより、被印刷体を切断することなく印刷を行うことが可能である。図11は、これら2つの給紙機構について説明するための、プリンタ2010の要部断面図である。
【0211】
カラープリンタ2010には、被印刷体に印刷を行う手段として、摺動軸2044に軸支され、摺動軸方向(主走査方向)に移動するキャリッジ2040が設けられており、このキャリッジ2040には、被印刷体にインクを吐出して印刷を行うヘッドIH1〜IH4が搭載されている。ヘッドIH1〜IH4と対向して、ヘッドIH1〜IH4のヘッド面と被印刷体とのギャップを規定するプラテン2042が設けられている。そして、キャリッジ2040を主走査方向に搬送し、被印刷体をキャリッジ2040とプラテン2042との間で副走査方向Yに間欠的に搬送しながら、ヘッドIH1〜IH4が被記録材にインクを吐出することによって、被印刷体に印刷が行われる。
【0212】
給紙トレー2131は、例えば普通紙やフォト紙等のカット紙である被印刷体を供給することが可能な構成であり、被印刷体を自動供給するためのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレー2131に設けられた給紙ローラ2132、及び図示していない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ2132は、略D形の横断面形状を有しており、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御される。そして、給紙ローラ2132の回転駆動力と分離パッドの摩擦抵抗によって、複数の被印刷体が一度に給紙されることを防ぐ。
【0213】
そして、矢印Aで示した経路に沿ってASFにより自動給紙された被印刷体は、給紙ローラ2132より副走査方向Yの下流側に配設された被印刷体搬送位置決め手段により、印刷実行領域に向けて、所定の紙送り量で間欠的に搬送される。
【0214】
被印刷体を副走査方向Yに間欠的に搬送し、位置決めする搬送位置決め手段として、搬送駆動ローラ2061と搬送従動ローラ2062が設けられている。搬送駆動ローラ2061は、ステッピング・モータ等の紙送りモータにより回転制御され、被印刷体は搬送駆動ローラ2061の回転により副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ2062は、複数の搬送従動ローラホルダ2621に軸支されている。被印刷体が搬送駆動ローラ2061の回転により搬送される際に、搬送従動ローラ2062は、従動して回転する。
【0215】
また、給紙ローラ2132と搬送駆動ローラ2061との間には、従来技術において公知の技術による紙検出器2063が配設されている。紙検出器2063は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙搬送方向にのみ回動し得るよう被印刷体の搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバー2631を有する。このレバー2631の先端が被印刷体に押されることにより、レバー2631が回動し、それによって被印刷体が検出される構成である。紙検出器2063は、給紙ローラ2132より給紙された被印刷体の始端位置、及び終端位置を検出し、その検出位置に合わせて印刷領域が決定され、印刷が実行される。
【0216】
一方、印刷された被印刷体を排紙する手段として、排紙駆動ローラ2064と排紙従動ローラ2065が設けられている。排紙駆動ローラ2064は、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、排紙駆動ローラ2064の回転により、被印刷体は副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ2065は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が被印刷体の記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラであり、それぞれ、被印刷体が排紙駆動ローラ2064の回転により排紙される際に従動して回転する。
【0217】
さらに、プリンタ2010には、上述したASFによる給紙経路(符号Aの矢印で示した経路)とは別に、記憶素子を埋設させた厚紙など、柔軟性の少ない被印刷体などを供給するための給紙路が設けられている。図中、この給紙路を符号Bの矢印で示している。そして、プリンタ2010は、この矢印Bの給紙路から給紙された被印刷体に対しても、前記ASFから給紙された被印刷体と同様に印刷を実行することができる。
【0218】
さらに、プリンタ2010は、図示していないが、搬送従動ローラレリース機構を備えている。被印刷体をセット位置にセットする際に、搬送従動ローラ2062を搬送駆動ローラ2061から離間させた状態(レリース状態)に保持し、被印刷体を給紙路に挿入して印刷セット位置にセットし、印刷セット位置への位置合わせ完了後に、そのレリース状態を解除し、搬送従動ローラ2062が搬送駆動ローラ2061によって付勢される状態に復帰する。ここで、被印刷体が印刷セット位置にセットされる際に、しばらく動作停止状態となるので、この一時停止状態を利用して、記憶素子付きの被印刷体に対しては記憶素子からの情報読み取りを行う。
【0219】
図示していないが、矢印Bの給紙路と矢印Aの給紙路との合流地点付近、すなわち紙検出器2063の付近の上方に、被印刷体の記憶素子から情報を読み取るための読み取り手段としての読み取りセンサが設けられている。読み取りセンサは、上記被印刷体が一時停止状態となる位置において、その記憶素子とちょうど対向する箇所に設けられている。読み取りセンサの構成や配置についての詳細は、後述する。
【0220】
なお、符号Bの矢印で示した経路に被印刷体を搬送する給紙機構(搬送手段)は、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送するから、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に記憶された情報を効果的に読み込むことが可能となる。
【0221】
===被印刷体の構成===
図12は、本実施形態における被印刷体の斜視図である。この被印刷体2082は、本体が厚紙であり、矢印Bを給紙方向として本体の先端付近に記憶素子2081が埋設されている。前述のように、記憶素子2081は、被印刷体がY方向給紙路の途中で一時停止状態となる位置において、記憶素子2081と読み取りセンサ2080(図13)とがちょうど対向するように位置決めされる。記憶素子2081を埋設する位置としては、読み取りセンサ2080を設ける位置にも依存するが、厚紙の後端寄りであると、読み取りセンサ2080による読み取りの後で、再び前記セット位置まで被印刷体2082を戻す動作が必要となるので、先端付近とすることが好ましい。
【0222】
記憶素子2081は、NAND型フラッシュROMなどのメモリセルを有する素子であり、アンテナとなるコイルや、制御部や記憶部を有するICチップから構成される、ごく小型かつ薄型のものである。0.5mmほどの厚さを有する厚紙などであれば容易に埋設することができる。また、この記憶素子2081は、非接触式の読み取りが可能なタイプのものである。従って、読み取りセンサ2080と記憶素子2081とが互いに接触する必要は無く、両者は間隙を有する。記憶素子2081は、読み取りセンサ2080から送信される搬送波を整流して必要な電力を生成する。なお、読み取りセンサ2080を、情報の読み取りだけでなく書き込みも可能な送受信手段とした場合は、印刷装置2010から記憶素子2081に様々な情報を書き込むことも可能である。
【0223】
===記憶素子と読み取りセンサの構成===
次に、図13を参照して記憶素子2081と読み取りセンサ2080の構成について説明する。図13(a)は、記憶素子2081の構成を示す平面透視図である。記憶素子2081は、読み取りセンサ2080とのデータ送受信可能距離が20cm程度である、近接型の非接触式記憶素子である。全体としてごく小型かつ薄型で、片面に粘着性を持たせてシールとして対象物に貼着させることもできる。メモリタグなどと呼ばれ、多種市販されているものである。
【0224】
記憶素子2081は、非接触ICチップ2811と、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ2812及び平面状コイル2813とがプラスチックフィルム上に実装され、透明なカバーシートにより被覆されている。一方、平面図などは示さないが、読み取りセンサ2080は、記憶素子と同様のコイルアンテナ2801と、送受信回路2802とから構成され、電力の供給はプリンタ本体2010の電源ユニットから受ける。
【0225】
図13(b)は記憶素子2081及び読み取りセンサ2080の内部構成を示すブロック図である。読み取りセンサ2080は、アンテナコイル2801と、後述するプリンタ本体制御回路の周辺機器入出力部(PIO)2054(図17)に接続される送受信回路2802とから構成されている。記憶素子2081のICチップ2811は、整流器2814、信号解析部RF(Radio Frequency)2815、制御部2816、メモリセル2817から構成されている。メモリセル2817は、NAND型フラッシュROMなど電気的に読み書き可能なメモリである。
【0226】
記憶素子2081のアンテナ2813と読み取りセンサ2080のアンテナ2801とは、互いに通信し合い、メモリセル2817に保存された情報の読み取り等を行う。また、読み取りセンサ2080の送受信回路2802で発生された高周波信号は、アンテナ2801を介して高周波磁界として誘起される。この高周波磁界は、記憶素子2081のアンテナ2813を介して吸収され、整流器2814で整流されてICチップ2811内の各回路を駆動する直流電力源となる。
【0227】
===記憶素子に記憶されているデータ===
図14は、記憶素子2081のメモリセル2817におけるデータ配列を示した図である。これらのデータは全て、当該記憶素子2081が埋設される厚紙個々の属性を表している。またこれらのデータは、記憶素子自体の工場での製造時や、厚紙への埋設工程などにおいて、書き込み処理されることとすればよい。
【0228】
書き込まれているデータは、アドレス毎に8ビット情報であり、被印刷体種類、被印刷体厚さ、被印刷体幅、被印刷体製造年月日、及び被印刷体LUTである。被印刷体種類は、被印刷体2082の素材(紙、プラスチック、皮、OHPシートなど)及び紙である場合はその光沢などに関する情報である。被印刷体厚さは、被印刷体2082の厚さを示す情報である。この情報を利用することにより、厚みのある被印刷体2082を印刷する際に、被印刷体2082の印刷セット状態における搬送従動ローラ2062と搬送駆動ローラ2061の離間(レリース状態)間隔を制御することとしてもよい。被印刷体幅は、被印刷体2082の幅を示す情報である。この情報により、A4サイズ、B5サイズといった用紙幅をいちいちプリンタドライバソフトにて設定しなくとも、自動的に制御される。被印刷体LUT(Look Up Table)とは、インデックスカラー方式のインデックス番号と、実際に表示する色の数値情報とを関連付けている色補正表のことである。個々の被印刷体ごとに異なるので、カラー画像の色彩を印刷において高品質に表現するためには重要な情報である。記憶素子2081には、上記の情報以外の情報が適宜含まれていてもよい。
【0229】
===読み取りセンサの配置===
読み取りセンサ2080の配置について、本実施形態においては、矢印Aの給紙路と矢印Bの給紙路との合流地点付近、紙検出器2063の付近上方に設けられることとしているが、これに限定されるものではない。だが、下流側の印刷ヘッドIH1〜4へと被印刷体2082を搬送する搬送位置決め手段(搬送駆動ローラ2061及び搬送従動ローラ2062)よりも給紙の上流であることが好ましい。記憶素子2081に記憶された情報をプリンタ2010本体側で、印刷実行時における早い時点で読み込むことができるので、印刷制御の設定を正確に行うことができるからである。
【0230】
なお、読み取りセンサ2080を、印刷ヘッドIH1〜4のいずれかの下面などに設けて、印刷ヘッドIH1〜4とともに移動できる構成としてもよい。このような構成であれば、被印刷体2082の幅がどのような寸法であっても、印刷ヘッドIH1〜4を走査方向に適切な位置まで移動させて読み取りを行うことによって、確実にデータを読み取ることが可能となる。
【0231】
上記いずれの場合においても、近接型記憶素子2081の送受信可能距離の範囲内で読み取り可能な位置に配置されることが好ましいのは言うまでも無い。また、いずれの場合も、読み取り動作時に、確実に読み取りが行われるために、被印刷体2082の動作を一時停止させることが好ましい。
【0232】
===キャリッジ周辺の構成===
次にインクジェットプリンタ2010内部のキャリッジ2040及びその周辺の構成について説明する。図15は、そのキャリッジ2040周辺の構成を示した斜視図である。
【0233】
図15に示すように、キャリッジ2040は、駆動ベルト2045によりプーリ2046を介してキャリッジモータ2041に接続され、摺動軸2044に案内されてプラテン2042に平行に移動するように駆動される。キャリッジ2040の印刷紙に対向する面には、ブラックインクを吐出するノズル列及びカラーインクを吐出するノズル列を有するヘッドIH1〜IH4が設けられ、各ノズルはインクカートリッジINC1、INC2からインクの供給を受けて印刷紙にインク滴を吐出し、文字や画像を印刷する。
【0234】
また、キャリッジ2040の非印字領域には、非印字時にヘッドIH1〜IH4のノズル開口を封止するためのキャッピング装置2025と、図示しないポンプモータを有するポンプユニット2026とが設けられている。キャリッジ2040が印字領域から非印字領域に移動すると、図示しないレバーにキャリッジ2040が当接して、キャッピング装置2025が上方に移動し、ヘッドIH1〜IH4を封止する。
【0235】
ヘッドIH1〜IH4のノズル開口列に目詰まりが生じた場合や、インクカートリッジINC1、INC2の交換等を行ってヘッドIH1〜IH4から強制的にインクを吐出する場合は、ヘッドIH1〜IH4を封止した状態でポンプユニット2026を作動させ、ポンプユニット2026からの負圧により、ノズル開口列からインクを吸い出す。これにより、ノズル開口列の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらにはヘッドIH1〜IH4内の気泡がインクとともにキャップ2027に排出される。
【0236】
===インクジェットプリンタの内部構成===
次に、図16を参照してカラーインクジェットプリンタ2010の内部構成について説明する。図16は、本実施の形態に係るプリンタ2010の内部構成を示した図である。
【0237】
プリンタ2010は、図示するように、キャリッジ2040に搭載された印字ヘッドIH1〜IH4を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、このキャリッジ2040をキャリッジモータ2041によってプラテン2042の軸方向に往復動させる機構と、給紙ユニット2131から供給されるカット紙2133や、矢印Bの給紙路から供給される被印刷体を紙送りモータ2043によって搬送する機構と、制御回路2050とを有している。
【0238】
キャリッジ2040をプラテン2042の軸方向に往復動させる機構は、プラテン2042の軸と並行に架設され、キャリッジ2040を摺動可能に保持する摺動軸2044と、キャリッジモータ2041との間に無端の駆動ベルト2045を張設するプーリ2046等から構成されている。
【0239】
被印刷体を搬送する機構は、プラテン2042と、プラテン2042を回転させる紙送りモータ2043と、搬送駆動ローラ2061及び搬送従動ローラ2062(図11)と、紙送りモータ2043の回転をプラテン2042及び上記2つのローラ2061、2062に伝えるギヤ機構2048と、プラテン2042の回転角度を検出するエンコーダ2047と、紙検出器2063(図11)などを有している。また、紙検出器2063付近に設けられた読み取りセンサ2080が設けられている。
【0240】
制御回路2050は、プリンタの操作パネル2011や読み取りセンサ2080、外部接続されるパーソナルコンピュータ等と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ2043やキャリッジモータ2041、印字ヘッドIH1〜IH4の動きを適切に制御する。給紙ユニット2131や矢印Bのストレートパス給紙路から供給される被印刷体は、プラテン2042と搬送従動ローラ2062の間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン2042の回転角度に応じて所定量ずつ搬送される。
【0241】
キャリッジ2040にはインクカートリッジINC1とインクカートリッジINC2とが装着される。各インクカートリッジINC1、INC2には、インク残量等を記憶する記憶素子ME(図17)が備えられている。インクカートリッジINC1には黒(K)インクが収容され、インクカートリッジINC2には他のインク、すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の3色インクが収納されている。ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ダークイエロ(DY)のインクも収納可能であることは既述の通りである。
【0242】
===制御回路の内部構造===
次に図17を参照してインクジェットプリンタの制御回路2050の内部構成について説明する。図17は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの制御回路2050の内部構成を示したブロック図である。
【0243】
図示するように、制御回路2050の内部には、CPU2051、PROM2052、RAM2053、周辺機器入出力部(PIO)2054、タイマ2055、駆動バッファ2056等が設けられている。
【0244】
PIO2054には、操作パネル2011、パーソナルコンピュータPC、インクカートリッジの記憶素子MEとの接点MEC、キャリッジモータ2041、紙送りモータ2043、エンコーダ2047、及び読み取りセンサ2080が接続されている。駆動バッファ2056は、印字ヘッドIH1〜IH4にドット形成のためのオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス2057で接続され、相互にデータのやり取りが可能となっている。また、制御回路2050には、所定周波数で駆動波形を出力する発振器2058、及び発振器2058からの出力を印字ヘッドIH1〜IH4に所定のタイミングで分配する分配出力器2059も設けられている。
【0245】
制御回路2050は、被印刷体2082が印刷セット位置に一時停止した際に、読み取りセンサ2080を介して、被印刷体2082の記憶素子2081から情報を読み取る。そして制御回路2050は、記憶素子2081から取得した情報を反映して、印刷処理を制御する。印刷実行時には、キャリッジモータ2041や紙送りモータ2043の動きと同期をとりながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ2056に出力する。記憶素子2081に対する読み取り処理、並びに記憶素子2081から取得した情報を利用した印刷処理の詳細ついては、後述する。
【0246】
===インクジェットプリンタの動作===
次に、図18を参照して、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ2010の動作について説明する。図18は、印刷実行時にインクジェットプリンタ2010の制御回路2050において実行される処理のフローチャートである。ここでは、読み取りセンサ2080は、紙検出器2063の付近の給紙路内上方に、設けられていることとする。
【0247】
制御回路2050は、まず、紙検出器2063から被印刷体2082の位置情報を受信して、被印刷体2082が搬送位置決め手段2061、2062により印刷セット位置にセットされたことを認識する(ステップs2100)。
【0248】
制御回路2050は、次に、被印刷体2082の記憶素子2081に記録された各種情報の読取処理を、アドレスの先頭部から順次シリアルに実行し、取得した情報を一旦、RAM2053に格納する。まず、被印刷体の種類を読み取る(ステップs2102)。これにより、披印刷体2082の本体部が厚紙であるか、プラスチックボードであるか、厚紙である場合は更に、普通紙であるか、フォト用紙などの光沢紙であるか、等の情報を取得し、後の印刷処理ステップにおける制御情報とすることができる。
【0249】
次に制御回路2050は、被印刷体2082の厚さ(ステップs2104)、幅(ステップs2106)、製造年月日(ステップs2107)、LUT(ステップs2108)についての情報を順次読み取る。このうち、厚さに関する情報は、前記搬送位置決め手段(搬送駆動ローラ2061及び搬送従動ローラ2062)のレリース機構の制御情報とすることもできる。また、製造年月日に関する情報は、例えば被印刷体2082の種類によって品質保持期限があるときなどに、古いと判断した場合はユーザに対してその旨の警告画面を表示することもできる。これらの情報は、RAM2053に格納される。
【0250】
次に制御回路2050は、印刷処理を行う(ステップs2110)。印刷処理は、基本的には公知の処理手順によって実行される。その際、RAM2053に格納した上記の各制御情報を読み出して、キャリッジモータ2041や、紙送りモータ2043、印刷ヘッドIH1〜4の駆動制御を行う。
【0251】
最後に制御回路2050は、印刷の終了を待機し(ステップs2112:No)、印刷が終了したと判定すると(ステップs2112:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0252】
===その他===
以上、実施の形態に基づき本発明に係る印刷装置等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0253】
本発明は、カット紙に対して効果的に適用可能であるが、カット紙に限らず、ロール紙についても適用可能である。この場合は、ロール紙ユニットの芯部周囲に巻き付けられた紙等に素子を設ければよい。
【0254】
前述の実施の形態では、被印刷体の本体部として厚紙を例にとって説明したが、プラスチックボード、金属薄板等を用いてもよい。
【0255】
前述の実施形態に係るインクジェットプリンタと、コンピュータ本体、CRT等の表示装置、マウスやキーボード等の入力装置、フレキシブルドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置を備えたコンピュータシステムも実現可能であり、このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0256】
また、前述の実施形態に係るインクジェットプリンタに、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能又は機構の一部を持たせてもよい。例えば、プリンタが、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を有する構成としてもよい。
【0257】
また、上記各実施の形態では、印刷装置としてインクジェットプリンタ2010を用いたが、カット紙などの単票メディアに対して印刷処理できる印刷装置であれば、これに限られることなく、例えば、モノクロプリンタ、レーザプリンタ、ファクシミリ等に適用しても良い。
【0258】
また、上記各実施の形態では、記憶素子として、非接触ICチップと、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ及び平面状アンテナコイルを備えたものを用いたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば共振用コンデンサは記憶素子の外部に接続されていてもよいし、ICチップとアンテナコイルが離れた場所にそれぞれ配設されて接続されている構成など様々な変形が考えられる。
【0259】
=第3実施形態=
===インクジェットプリンタの概略===
次に、本発明の主な適用対象である印刷装置としてのインクジェットプリンタの概略について説明する。図19は、インクジェットプリンタの概略的な外観を示した図である。
【0260】
ここでは、カラーインクジェットプリンタを示した。このカラープリンタ3010は、カラー画像の出力が可能なインクジェットプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクをカット紙などの被印刷体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。
【0261】
図19に示すように、カラープリンタ3010は、背面側上方から供給されたカット紙を前面から排出する給紙構造を備えている。プリンタ本体3010の前面には操作パネル3011、排紙部3012が備えられ、背面には給紙部3013が備えられている。操作パネル3011には、各種操作ボタン3111、表示ランプ3112が設けられている。排紙部3012は、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー3121が備えられている。給紙部3013には、図示していないカット紙を保持する給紙トレー3131が備えられている。なお、カット紙とは、予め所定の寸法に切断された紙であり、カラープリンタ3010によって切断されることのない単票の印刷メディアである。
【0262】
===給紙機構の構成===
本実施形態のカラープリンタ3010は、特に、ストレートパスと呼ばれるもう1つの給紙経路(図19には示していない)を有する構成のものである。これは、厚紙などの一定の厚さや硬さを有する被印刷体を手差しにより供給する給紙機構である。このストレートパス機構では、CD−Rなどの変則的な寸法、形状の被印刷体に対しても、被印刷体搬送トレー(図示していない)に載置して供給することにより、被印刷体を切断することなく印刷を行うことが可能である。図20は、これら2つの給紙機構について説明するための、プリンタ3010の要部断面図である。
【0263】
カラープリンタ3010には、被印刷体に印刷を行う手段として、摺動軸3044に軸支され、摺動軸方向(主走査方向)に移動するキャリッジ3040が設けられており、このキャリッジ3040には、被印刷体にインクを吐出して印刷を行うヘッドIH1〜IH4が搭載されている。ヘッドIH1〜IH4と対向して、ヘッドIH1〜IH4のヘッド面と被印刷体とのギャップを規定するプラテン3042が設けられている。そして、キャリッジ3040を主走査方向に搬送し、被印刷体をキャリッジ3040とプラテン3042との間で副走査方向Yに間欠的に搬送しながら、ヘッドIH1〜IH4が被印刷体にインクを吐出することによって、被印刷体に印刷が行われる。
【0264】
給紙トレー3131は、例えば普通紙やフォト紙等のカット紙である被印刷体を供給することが可能な構成であり、被印刷体を自動供給するためのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレー3131に設けられた給紙ローラ3132、及び図示していない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ3132は、略D形の横断面形状を有しており、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御される。そして、給紙ローラ3132の回転駆動力と分離パッドの摩擦抵抗によって、複数の被印刷体が一度に給紙されることを防ぐ。
【0265】
そして、矢印Aで示した経路に沿ってASFにより自動給紙された被印刷体は、給紙ローラ3132より副走査方向Yの下流側に配設された被印刷体搬送位置決め手段により、印刷実行領域に向けて、所定の紙送り量で間欠的に搬送される。
【0266】
被印刷体を副走査方向Yに間欠的に搬送し、位置決めする搬送位置決め手段として、搬送駆動ローラ3061と搬送従動ローラ3062が設けられている。搬送駆動ローラ3061は、ステッピング・モータ等の紙送りモータにより回転制御され、被印刷体は搬送駆動ローラ3061の回転により副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ3062は、複数の搬送従動ローラホルダ3621に軸支されている。被印刷体が搬送駆動ローラ3061の回転により搬送される際に、搬送従動ローラ3062は、従動して回転する。
【0267】
また、給紙ローラ3132と搬送駆動ローラ3061との間には、紙検出器3063が設けられている。紙検出器3063は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙搬送方向にのみ回動し得るよう被印刷体の搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバー3631を有する。このレバー3631の先端が被印刷体に押されることにより、レバー3631が回動し、それによって被印刷体が検出される構成である。紙検出器3063は、給紙ローラ3132より給紙された被印刷体の始端位置、及び終端位置を検出し、その検出位置に合わせて印刷領域が決定され、印刷が実行される。
【0268】
一方、印刷された被印刷体を排紙する手段として、排紙駆動ローラ3064と排紙従動ローラ3065が設けられている。排紙駆動ローラ3064は、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、排紙駆動ローラ3064の回転により、被記録材は副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ3065は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が被印刷体の記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラであり、それぞれ、被印刷体が排紙駆動ローラ3064の回転により排紙される際に従動して回転する。
【0269】
さらに、プリンタ3010には、上述したASFによる給紙経路(符号Aの矢印で示した経路)とは別に、記憶素子を埋設させた厚紙など、柔軟性の少ない被印刷体などを供給するための給紙路が設けられている。図中、この給紙路を符号Bの矢印で示している。そして、プリンタ3010は、この矢印Bの給紙路から給紙された被印刷体に対しても、前記ASFから給紙された被印刷体と同様に印刷を実行することができる。
【0270】
さらに、プリンタ3010は、図示していないが、搬送従動ローラレリース機構を備えている。被印刷体をセット位置にセットする際に、搬送従動ローラ3062を搬送駆動ローラ3061から離間させた状態(レリース状態)に保持し、被印刷体を給紙路に挿入して印刷セット位置にセットし、印刷セット位置への位置合わせ完了後に、そのレリース状態を解除し、搬送従動ローラ3062が搬送駆動ローラ3061によって付勢される状態に復帰する。ここで、被印刷体が印刷セット位置にセットされる際に、しばらく動作停止状態となるので、この一時停止状態を利用して、記憶素子付きの被印刷体に対しては、記憶素子への情報読み書きを行う。
【0271】
図示していないが、矢印Bの給紙路と矢印Aの給紙路との合流地点付近、すなわち紙検出器3063の付近の上方に、被印刷体の記憶素子に対する読み取り/書き取り手段としての送受信部が設けられている。送受信部は、上記被印刷体が一時停止状態となる位置において、その記憶素子とちょうど対向する箇所に設けられている。送受信部の構成や配置についての詳細は、後述する。
【0272】
なお、符号Bの矢印で示した経路に被印刷体を搬送する給紙機構(搬送手段)は、水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送するから、被印刷体の剛性が高い場合等であっても、該被印刷体に設けられた素子に対して効果的に情報を書き込むこと又は情報を読み込むことが可能となる。
【0273】
===被印刷体の構成===
図21は、本実施形態における被印刷体の斜視図である。この被印刷体3082は、本体が厚紙であり、矢印Bを給紙方向として本体の先端付近に記憶素子3081が埋設されている。前述のように、記憶素子3081は、被印刷体がY方向給紙路の途中で一時停止状態となる位置において、記憶素子3081と印刷装置に設けられた前記送受信部3080(図22)とがちょうど対向するように位置決めされる。記憶素子3081を埋設する位置としては、送受信部3080を設ける位置にも依存するが、厚紙の後端寄りであると、送受信部3080による読み取りの後で、再び前記セット位置まで被印刷体3082を戻す動作が必要となるので、先端付近とすることが好ましい。
【0274】
記憶素子3081は、NAND型フラッシュROMなどのメモリセルを有する素子であり、アンテナとなるコイルや、制御部や記憶部を有するICチップから構成される、ごく小型かつ薄型のものである。0.5mmほどの厚さを有する厚紙などであれば容易に埋設することができる。また、この記憶素子3081は、非接触式の読み取り/書き込みが可能なタイプのものである。従って、送受信部3080と記憶素子3081とが互いに接触する必要は無く、両者は間隙を有する。記憶素子3081は、送受信部3080から送信される搬送波を整流して必要な電力を生成する。
【0275】
===記憶素子と送受信部の構成===
次に、図22を参照して記憶素子3081と送受信部3080の構成について説明する。
【0276】
図22(a)は、記憶素子3081の構成を示す平面透視図である。記憶素子3081は、送受信部とのデータ送受信可能距離が10mm程度である、近接型の非接触式記憶素子である。全体としてごく小型かつ薄型で、片面に粘着性を持たせてシールとして対象物に貼着させることもできる。メモリタグなどと呼ばれ、多種市販されているものである。
【0277】
記憶素子3081は、非接触ICチップ3811と、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ3812及び平面状コイル3813とがプラスチックフィルム上に実装され、透明なカバーシートにより被覆されている。一方、平面図などは示さないが、送受信部3080は、記憶素子と同様のコイルアンテナ3801と、送受信回路3802とから構成され、電力の供給はプリンタ本体3010の電源ユニットから受ける。
【0278】
図22(b)は記憶素子3081及び送受信部3080の内部構成を示すブロック図である。送受信部3080は、アンテナコイル3801と、後述するプリンタ本体制御回路の周辺機器入出力部(PIO)3054(図26)に接続される送受信回路3802とから構成されている。記憶素子3081のICチップ3811は、整流器3814、信号解析部RF(Radio Frequency)3815、制御部3816、メモリセル3817から構成されている。メモリセル3817は、NAND型フラッシュROMなど電気的に読み書き可能なメモリである。
【0279】
記憶素子3081のアンテナ3813と送受信部3080のアンテナ3801とは、互いに通信し合い、メモリセル3817に保存された情報の読み書きを行う。また、送受信部3080の送受信回路3802で発生された高周波信号は、アンテナ3801を介して高周波磁界として誘起される。この高周波磁界は、記憶素子3081のアンテナ3813を介して吸収され、整流器3814で整流されてICチップ3811内の各回路を駆動する直流電力源となる。
【0280】
===記憶素子に記憶されているデータ===
図23は、記憶素子3081のメモリセル3817におけるデータ配列を示した図である。メモリセル3817の領域は、被印刷体の属性情報が書き込まれた読み取り領域3817Rと、印刷結果に関する情報が書き込まれる書き込み領域3817Wとから成っている。
【0281】
読み取り領域3817R(アドレス:00H〜04H)のデータは、当該記憶素子3081が埋設される厚紙個々の属性を表している。またこれらのデータは、記憶素子3081自体の工場での製造時や、厚紙への埋設工程などにおいて、書き込み処理されることとすればよい。
【0282】
読み取り領域3817Rの各データは、アドレス毎に8ビット情報であり、被印刷体種類、被印刷体厚さ、被印刷体幅、被印刷体製造年月日、及び被印刷体LUTである。被印刷体種類は、被印刷体3082の素材(紙、プラスチック、皮、OHPシートなど)及び紙である場合はその光沢などに関する情報である。被印刷体厚さは、被印刷体3082の厚さを示す情報である。この情報を利用することにより、厚みのある被印刷体3082を印刷する際に、被印刷体3082の印刷セット状態における搬送従動ローラ3062と搬送駆動ローラ3061の離間(レリース状態)間隔を制御することとしてもよい。被印刷体幅は、被印刷体3082の幅を示す情報である。この情報により、A4サイズ、B5サイズといった用紙幅をいちいちプリンタドライバソフトにて設定しなくとも、自動的に制御される。被印刷体LUT(Look Up Table)とは、インデックスカラー方式のインデックス番号と、実際に表示する色の数値情報とを関連付けている色補正表のことである。個々の被印刷体ごとに異なるので、カラー画像の色彩を印刷において高品質に表現するためには重要な情報である。以上示したデータ以外にも、被印刷体3082の属性に関する様々な情報が適宜含まれていてもよい。このように、種々の情報を読み取り領域3817Rに持たせることは有用であるが、かかる読み取り領域3817Rを設けずに、メモリセル3817に、印刷結果に関する情報が書き込まれる書き込み領域3817Wのみを設けてもよい。
【0283】
書き込み領域3817W(アドレス:05H以下)には、デジタルカメラ、デジタルビデオ等の各種撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件が、プリンタ3010によって書き込まれる。撮影条件としては、画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報、デジタルカメラの機種を特定するための情報、撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報、撮影時の絞り値を特定するための情報、デジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報、撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報、及び、当該被印刷体3082に印刷された画像データそのものなどがある。また、デジタルカメラの画素数や音声データなども撮影条件として適宜書き込まれる。
【0284】
これらの情報やデータを書き込み領域3817Wに書き込んでおくことにより、デジタルカメラ等の撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件を被印刷体に印刷しなくとも、後日撮影条件を容易に知ることができる。
【0285】
なお、読み取り領域3817R、及び書き込み領域3817Wの各アドレスに格納される情報は、必要に応じて8ビットよりも大きいこととしてもよい。また、画像データは通常相当の大きさを有するので、適宜あらかじめ相当の大きさ分のアドレスを確保しておくことが好ましい。
【0286】
===送受信部の配置===
送受信部3080の配置について、本実施形態においては、矢印Aの給紙路と矢印Bの給紙路との合流地点付近、紙検出器3063の付近上方に設けられることとしているが、これに限定されるものではない。
【0287】
送受信部3080は、被印刷体の搬送方向において、印刷ヘッドIH1〜4よりも上流側に設けられていることが好ましい。なぜなら、送受信部3080を、被印刷体の搬送方向において、送受信部3080よりも上流側に設けることにより、印刷ヘッドIH1〜4によるインク吐出が行われて印刷が実行される前に、素子に対して情報を書き込むことが可能となるからである。
【0288】
より好ましくは、被印刷体3082を搬送する搬送位置決め手段(搬送駆動ローラ3061及び搬送従動ローラ3062)よりも給紙の上流であることが好ましい。記憶素子3081に記憶された情報をプリンタ3010本体側で、印刷実行時における早い時点で読み込むことができるので、印刷制御の設定を正確に行うことができるからである。
【0289】
また、記憶素子3081への書き込み処理も、同じ位置において読み取り処理に続けて行うこととすればよい。すなわち、被印刷体がプリンタ3010に対して所定の位置に位置した際に、素子に対する情報の書き込みが行われ、該位置において、該素子に記憶された情報の読み込みも可能であることとしてもよい。このように構成することにより、被印刷体がプリンタ3010に対して所定の位置に位置した状態で、素子に対する情報の書き込み、及び、読み込みがともに可能となる。
【0290】
なお、送受信部3080を、印刷ヘッドIH1〜4のいずれかの下面などに設けて、印刷ヘッドIH1〜4とともに移動できる構成としてもよい。このような構成であれば、被印刷体3082の幅がどのような寸法であっても、印刷ヘッドIH1〜4を走査方向に適切な位置まで移動させて通信することによって、確実に送受信することが可能となる。
【0291】
上記いずれの場合においても、近接型記憶素子3081の送受信可能距離の範囲内で通信できる位置に配置されることが好ましいのは言うまでも無い。また、いずれの場合も、読み書き動作時に、確実に通信が行われるために、被印刷体3082の動作を一時停止させることが好ましい。
【0292】
===キャリッジ周辺の構成===
次にインクジェットプリンタ3010内部のキャリッジ3040及びその周辺の構成について説明する。図24は、そのキャリッジ3040周辺の構成を示した斜視図である。
【0293】
図24に示すように、キャリッジ3040は、駆動ベルト3045によりプーリ3046を介してキャリッジモータ3041に接続され、摺動軸3044に案内されてプラテン3042に平行に移動するように駆動される。キャリッジ3040の印刷紙に対向する面には、ブラックインクを吐出するノズル列及びカラーインクを吐出するノズル列を有するヘッドIH1〜IH4が設けられ、各ノズルはインクカートリッジINC1、INC2からインクの供給を受けて印刷紙にインク滴を吐出し、文字や画像を印刷する。
【0294】
また、キャリッジ3040の非印字領域には、非印字時にヘッドIH1〜IH4のノズル開口を封止するためのキャッピング装置3025と、図示しないポンプモータを有するポンプユニット3026とが設けられている。キャリッジ3040が印字領域から非印字領域に移動すると、図示しないレバーにキャリッジ3040が当接して、キャッピング装置3025が上方に移動し、ヘッドIH1〜IH4を封止する。
【0295】
ヘッドIH1〜IH4のノズル開口列に目詰まりが生じた場合や、インクカートリッジINC1、INC2の交換等を行ってヘッドIH1〜IH4から強制的にインクを吐出する場合は、ヘッドIH1〜IH4を封止した状態でポンプユニット3026を作動させ、ポンプユニット3026からの負圧により、ノズル開口列からインクを吸い出す。これにより、ノズル開口列の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらにはヘッドIH1〜IH4内の気泡がインクとともにキャップ3027に排出される。
【0296】
===インクジェットプリンタの内部構成===
次に、図25を参照してカラーインクジェットプリンタ3010の内部構成について説明する。図25は、本実施の形態に係るプリンタ3010の内部構成を示した図である。
【0297】
プリンタ3010は、図示するように、キャリッジ3040に搭載された印字ヘッドIH1〜IH4を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、このキャリッジ3040をキャリッジモータ3041によってプラテン3042の軸方向に往復動させる機構と、給紙ユニット3131から供給されるカット紙や、矢印Bの給紙路から供給される被印刷体3082を紙送りモータ3043によって搬送する機構と、制御回路3050とを有している。
【0298】
キャリッジ3040をプラテン3042の軸方向に往復動させる機構は、プラテン3042の軸と並行に架設され、キャリッジ3040を摺動可能に保持する摺動軸3044と、キャリッジモータ3041との間に無端の駆動ベルト3045を張設するプーリ3046等から構成されている。
【0299】
被印刷体を搬送する機構は、プラテン3042と、プラテン3042を回転させる紙送りモータ3043と、搬送駆動ローラ3061及び搬送従動ローラ3062(図20)と、紙送りモータ3043の回転をプラテン3042及び上記2つのローラ3061、3062に伝えるギヤ機構3048と、プラテン3042の回転角度を検出するエンコーダ3047と、紙検出器3063(図20)などを有している。また、紙検出器3063付近に設けられた送受信部3080が設けられている。
【0300】
制御回路3050は、プリンタの操作パネル3011や送受信部3080、外部接続されるパーソナルコンピュータ等と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ3043やキャリッジモータ3041、印字ヘッドIH1〜IH4の動きを適切に制御する。給紙ユニット3131や矢印Bのストレートパス給紙路から供給される被印刷体は、プラテン3042と搬送従動ローラ3062の間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン3042の回転角度に応じて所定量ずつ搬送される。
【0301】
キャリッジ3040にはインクカートリッジINC1とインクカートリッジINC2とが装着される。各インクカートリッジINC1、INC2には、インク残量等を記憶する記憶素子ME(図26)が備えられている。インクカートリッジINC1には黒(K)インクが収容され、インクカートリッジINC2には他のインク、すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の3色インクが収納されている。ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ダークイエロ(DY)のインクも収納可能であることは既述の通りである。
【0302】
===制御回路の内部構造===
次に図26を参照してインクジェットプリンタの制御回路3050の内部構成について説明する。図26は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの制御回路3050の内部構成を示したブロック図である。
【0303】
図示するように、制御回路3050の内部には、CPU3051、PROM3052、RAM3053、周辺機器入出力部(PIO)3054、タイマ3055、駆動バッファ3056等が設けられている。
【0304】
PIO3054には、操作パネル3011、パーソナルコンピュータPC、インクカートリッジの記憶素子MEとの接点MEC、キャリッジモータ3041、紙送りモータ3043、エンコーダ3047、及び送受信部3080が接続されている。駆動バッファ3056は、印字ヘッドIH1〜IH4にドット形成のためのオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス3057で接続され、相互にデータのやり取りが可能となっている。また、制御回路3050には、所定周波数で駆動波形を出力する発振器3058、及び発振器3058からの出力を印字ヘッドIH1〜IH4に所定のタイミングで分配する分配出力器3059も設けられている。
【0305】
制御回路3050は、被印刷体3082が印刷セット位置に一時停止した際に、送受信部3080を介して、被印刷体3082の記憶素子3081に対しアクセスする。そして制御回路3050は、記憶素子3081から取得した情報を反映して、印刷処理を制御し、また、印刷結果に関する各種の情報を記憶素子3081に書き込む。
【0306】
印刷実行時には、キャリッジモータ3041や紙送りモータ3043の動きと同期をとりながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ3056に出力する。記憶素子3081に対する読み取り処理、並びに記憶素子3081から取得した情報を利用した印刷処理、及び印刷結果に関する情報の書き込み処理の詳細ついては、後述する。
【0307】
===インクジェットプリンタの動作===
次に、図27を参照して、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ3010の動作について説明する。図27は、ある画像データの印刷実行時にインクジェットプリンタ3010の制御回路3050において実行される処理のフローチャートである。ここでは、送受信部3080は、紙検出器3063の付近の給紙路内上方に、設けられていることとする。
【0308】
制御回路3050は、まず、紙検出器3063から被印刷体3082の位置情報を受信して、被印刷体3082が搬送位置決め手段3061、3062により印刷セット位置にセットされたことを認識する(ステップs3100)。
【0309】
制御回路3050は、次に、送受信部3080を介して、記憶素子3081のメモリセル3817の読み取り領域3817Rに記録された各種情報の読取処理を、アドレスの先頭部から順次シリアルに実行し、取得した情報を一旦、RAM3053に格納する(ステップs3102)。各種情報とはすなわち、被印刷体3082の種類、厚さ、幅、製造年月日、LUTなどである。なお、前述したように、メモリセル3817に読み取り領域3817Rを設けない構成も可能であり、そのような構成の場合には、このステップ(s3102)を省略すればよい。
【0310】
制御回路3050は、次に、送受信部3080を介して、メモリセル3817の書き込み領域3817W(アドレス:05H以下)に、デジタルカメラによる画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込む。詳しくは、画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報の書き込み処理(s3104)、デジタルカメラの機種を特定するための情報の書き込み処理(s3106)、撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報の書き込み処理(s3108)、撮影時の絞り値を特定するための情報の書き込み処理(s3110)、デジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報の書き込み処理(s3112)、撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報の書き込み処理(s3114)、及び、当該被印刷体3082に印刷された画像データそのものの書き込み処理(s3116)が行われる。なお、これらの書き込み処理(s3104〜s3116)の順番は適宜変更してもかまわない。
【0311】
これらの情報やデータを書き込み領域3817Wに書き込んでおくことにより、デジタルカメラ等の撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件を被印刷体に印刷しなくとも、後日撮影条件を容易に知ることができる。
【0312】
図27の説明に戻ると、次に制御回路3050は、印刷処理を行う(ステップs3118)。印刷処理は、基本的には公知の処理手順によって実行される。その際、RAM3053に格納した上記の各制御情報を読み出して、キャリッジモータ3041や、紙送りモータ3043、印刷ヘッドIH1〜4の駆動制御を行う。
【0313】
最後に制御回路3050は、印刷の終了を待機し(ステップs3120:No)、印刷が終了したと判定すると(ステップs3120:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0314】
なお、本実施形態の様に、画像データそのものを被印刷体3082の記憶素子3081に書き込んでおいた場合は、後日これを何らかの読み取り装置にて読み取って印刷することができる。この場合、画像データがもともと保存されていたコンピュータがなくとも、被印刷体自体が画像データを保有しているので別のコンピュータ及び印刷装置を用いて簡単に出力することができる。例えば、インクジェットプリンタなどのプリンタを多種販売する店舗の店頭において、サンプル画像をデモ印刷する場合は、ある画像が印刷された被印刷体の画像データを読み取って様々なプリンタで出力することによって、コンピュータ本体などを準備せずとも同じデータによる印刷結果の比較を簡単に行うことができる。その際、読み取り装置は上記実施形態と同様に印刷装置の給紙路途中に設けられていてもよいが、非接触式の読み取りが可能な小型ハンディスキャナのようなものであってもよい。
【0315】
また、インクジェットプリンタ3010にて被印刷体3082に対し印刷処理、及び画像データなどの書き込み処理を行い、後日別の印刷装置にてこの画像データの読み取りを行い再印刷することの他、インクジェットプリンタ3010は、記憶素子3081への読み取りと書き込みの両方が可能な印刷装置であるので、後日再びインクジェットプリンタ3010にて被印刷体3082から画像データなどを読み取り、印刷してもよい。
【0316】
===その他===
以上、実施の形態に基づき本発明に係る印刷装置等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0317】
本発明は、カット紙に対して効果的に適用可能であるが、カット紙に限らず、ロール紙についても適用可能である。この場合は、ロール紙ユニットの芯部周囲に巻き付けられた紙等に素子を設ければよい。
【0318】
前述の実施の形態では、被印刷体の本体部として厚紙を例にとって説明したが、プラスチックボード、金属薄板等を用いてもよい。
【0319】
前述の実施形態に係るインクジェットプリンタと、コンピュータ本体、CRT等の表示装置、マウスやキーボード等の入力装置、フレキシブルドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置を備えたコンピュータシステムも実現可能であり、このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0320】
また、前述の実施形態に係るインクジェットプリンタに、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能又は機構の一部を持たせてもよい。例えば、プリンタが、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を有する構成としてもよい。
【0321】
上記各実施の形態では、印刷装置としてインクジェットプリンタ3010を用いたが、カット紙などの単票メディアに対して印刷処理できる印刷装置であれば、これに限られることなく、例えば、モノクロプリンタ、レーザプリンタ、ファクシミリ等に適用しても良い。
【0322】
また、上記各実施の形態では、記憶素子として、非接触ICチップと、金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ及び平面状アンテナコイルを備えたものを用いたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば共振用コンデンサは記憶素子の外部に接続されていてもよいし、ICチップとアンテナコイルが離れた場所にそれぞれ配設されて接続されている構成など様々な変形が考えられる。
【0323】
===その他の実施形態===
前述した各実施形態における素子には、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報が、該印刷装置によって書き込まれることしてもよい。ここで、出力制御情報に関して説明する。
【0324】
A.画像ファイルの構成:
まず、図28を参照して画像ファイルの概略構成について説明する。図28は画像ファイルの内部構成を概念的に示す説明図である。
【0325】
画像ファイルGF(4010)は、画像データGDを格納する画像データ格納領域4101と、出力装置(例えば、印刷装置)に対する出力制御情報CIを格納する制御情報格納領域4102を備えている。画像データGDは、例えば、JPEG形式で格納されており、出力制御情報CIはTIFF形式で格納されている。なお、ファイルの構造、データの構造、格納領域といった用語は、ファイルまたはデータ等が記憶装置内に格納された状態におけるファイルまたはデータのイメージを意味するものである。
【0326】
出力制御情報CIは、出力装置が有する画像出力特性を考慮して、最適な画像出力結果を得ることができるように出力装置における画像出力条件、画像出力状態を指定する情報である。出力制御情報CIとして格納される情報には、例えば、画像特性に関連する情報として、ガンマ値、ターゲットとする色空間に関するパラメータ、コントラスト、カラーバランス調整、シャープネス、色補正に関するパラメータが含まれており、プリンタの動作制御に関連する情報として、紙質、解像度、印刷ヘッドの動作方向(片方向印刷であるか、双方向印刷であるか)に関するパラメータが含まれている。
【0327】
上記画像ファイルGFは、例えば、デジタルカメラとしてのデジタルスチルカメラ(DSC)やデジタルビデオカメラ(DVC)、スキャナ等の入力装置(画像ファイル生成装置)によって生成される。
【0328】
画像ファイルGFは、基本的に上記の画像データ領域4101と、制御情報格納領域4102を備えていれば良く、既に規格化されているファイル形式に従ったファイル構造を取ることができる。以下、画像ファイルGFを規格化されているファイル形式に適合させた場合について説明する。
【0329】
画像ファイルGFは、例えば、デジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif(登録商標))に従ったファイル構造を有することができる。Exif(登録商標)ファイルの仕様は、日本電子工業振興協会(JEIDA)によって定められている。画像ファイルGFが、このExif(登録商標)ファイル形式に従うファイル形式を有する場合のファイル内部の概略構造について図29を参照して説明する。図29はExif(登録商標)ファイル形式にて格納されている画像ファイルGFの概略的な内部構造を示す説明図である。
【0330】
Exif(登録商標)ファイルとしての画像ファイル4011は、JPEG形式の画像データを格納するJPEG画像データ格納領域4111と、格納されているJPEG画像データに関する各種情報を格納する付属情報格納領域4112とを備えている。付属情報格納領域4112には、撮影日時、露出、シャッター速度等といったJPEG画像の撮影条件に関する撮影時情報、JPEG画像データ格納領域4111に格納されているJPEG画像のサムネイル画像データがTIFF形式にて格納されている。
【0331】
また、付属情報格納領域4112は、DSC製造者に開放されている未定義領域であるMakernoteデータ格納領域4113を備えており、出力制御情報CIはMakernoteデータ格納領域4113に格納されている。なお、当業者にとって周知であるように、Exif(登録商標)形式のファイルでは、各データを特定するためにタグが用いられており、Makernoteデータ格納領域4113に格納されているデータに対してはタグ名としてMakernoteが割り当てられ、Makernoteタグと呼ばれている。
【0332】
Makernoteデータ格納領域4113の詳細なデータ構造について図30を参照して説明する。図30は画像ファイルGFの詳細な階層構造を示す説明図であり、(a)はMakernoteデータ格納領域4113(画像出力制御データ格納領域)のデータ構造を示し、(b)はMakernoteデータ格納領域4113内に定義されているPrintMatchingデータ格納領域(画像出力制御パラメータ格納部)4114を示す。
【0333】
画像ファイルGFのMakernoteデータ格納領域4113もまた、タグによって格納されているデータを識別できる構成を備えており、出力制御情報CIにはPrintMatchingのタグが割り当てられている。Makernoteデータ格納領域4113の各タグは、Makernoteデータ格納領域4113のトップアドレスからのオフセット値でポインタにより指定される。
【0334】
Makernoteデータ格納領域4113には、トップアドレスにメーカー名(6バイト)、続いて予約領域(2バイト)、ローカルタグのエントリ数(2バイト)、各ローカルタグオフセット(12バイト)の情報が格納されている。メーカー名の後には、文字終端列を示す00×0の終端コードが付されている。
【0335】
PrintMatchingデータ格納領域4114には、PrintMatchingパラメータが格納されていることを示すPrintMatching識別子、指定されているパラメータ数を示すパラメータ指定数、予めパラメータ毎に割り振られているパラメータ番号を指定(識別)する値が格納されるパラメータ番号、指定されたパラメータ番号のパラメータの設定値が格納されているパラメータ設定値の情報が格納されている。パラメータ番号は、例えば、2バイトの領域に格納される情報であり、パラメータ設定値は、4バイトの領域に格納される情報である。パラメータ番号としては、例えば、ガンマ値パラメータに対しては、「1」、シャドウポイントパラメータに対しては「7」、コントラストポイントパラメータに対しては「9」が割り当てられる。出力装置側では、このPrintMatchingタグを指標として出力制御情報CI(各パラメータ値)を取得することができる。
【0336】
このように画像ファイルは、一つのファイル内に画像データGDと出力制御情報CIとを備えているので、1つの画像ファイルのみによって出力装置におけるガンマ値、ターゲット色空間、コントラスト、シャープネス、明るさ等といった画像出力条件を指定することができる。したがって、例えば、出力装置におけるガンマ値を指定することにより、デジタルスチルカメラのモニタにて確認した表示画像とプリンタ等の出力装置にて出力される出力画像との間における明暗、コントラスト等の差異を低減することができる。なお、PrintMatchingデータは、異なる出力特性を有する複数の出力装置に対応させて複数備えられていても良い。
【0337】
また、従来、sRGBに固定されていたターゲット色空間を指定できるので、デジタルスチルカメラがNTSC等のより広い色空間を用いて画像データを表す場合にも、広い色空間を有効に出力することができる。
【0338】
さらに、出力制御情報としてシャープネス、明るさ等といった出力時の好み(画像の特徴)を指定することができるので、別途、フォトレタッチ作業を実施することなく、意図した出力結果をえることができる。また、フォトレタッチのための装置を介在させる必要がないので、この利点は、特に、画像ファイルを単独で処理可能な機能を備える出力装置において有用である。
【0339】
さらにまた、従来はプリンタドライバの設定画面にて設定していた、紙質(紙種)、解像度、印刷ヘッドの動作方向といったプリンタにおける印刷処理条件を、ファイルによって指定することができるので、印刷データの画質特性の補正だけでは解決することができなかった印刷処理条件の設定不備の問題を解決することができる。この結果、画質特性に適切な印刷処理条件にて画像データを印刷することが可能となり、より一層、画像ファイル生成者の意図を反映した印刷結果をもたらすことができる。
【0340】
B.画像ファイルの生成:
次に、画像ファイルの生成について、図31を参照しつつ説明する。図31は画像ファイルGFを生成可能なデジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【0341】
デジタルスチルカメラ4022は、光の情報をデジタルデバイス(CCDや光電子倍増管)に結像させることにより画像を取得するカメラであり、図31に示すように光情報を収集するための光学回路4221、デジタルデバイスを制御して画像を取得するための画像取得回路4222、取得したデジタル画像を加工処理するための画像処理回路4223、各回路を制御する制御回路4224を備えている。
【0342】
デジタルスチルカメラ4022は、取得した画像をデジタルデータとして記憶装置4225に保存する。デジタルスチルカメラ4022における画像データGDの保存形式としては、JPEG形式が一般的であるが、この他にもTIFF形式、GIF形式、BMP形式等の保存形式が用いられ得る。デジタルスチルカメラ4022はまた、出力制御情報CIを選択、設定するための選択・決定ボタン4226を備えている。
【0343】
デジタルスチルカメラ4022は、画像データGDに加えて出力制御情報CIを画像ファイルGFとして記憶装置4225に格納する。出力制御情報CIは、例えば、撮影前にデジタルスチルカメラ4022上で出力予定の出力装置を予め設定しておくことにより、あるいは、任意の出力条件を予め設定しておくことにより、画像データGDを取得した際に、画像データGDと共に画像ファイルGFとして記憶装置4225に自動的に格納される。あるいは、撮影時には、一旦、画像データGDのみを画像ファイルGFとして記憶装置4225に格納しておき、撮影後にデジタルスチルカメラ4022上にて所望の出力条件を任意に、あるいは、プリセット条件を用いて指定することによって、指定した出力条件を出力制御情報CIとして画像ファイルGFに加えても良い。
【0344】
プリセット条件は、例えば、画像ファイルGF中の画像データGDを出力する出力装置に合わせた出力条件、プリンタの製造者毎、あるいは、プリンタの機種毎に最適化した出力条件、明るい、シャープなといった比較的よく用いられ得る汎用出力条件である。このプリセット条件は、ガンマ値、ターゲット色空間コントラスト、シャープネスといった情報としてデジタルスチルカメラ4022の制御回路4224内のメモリ上に保有されている。
【0345】
任意の出力条件は、ユーザによってデジタルスチルカメラ4022(画像処理回路4223)上で設定される出力条件であり、任意に設定されたガンマ値、ターゲット色空間、コントラスト、シャープネスといった情報である。
【0346】
C:出力制御情報の読み取り及び書き込み
次に、出力制御情報の読み取り及び書き込みについて説明する。画像ファイルGFに格納された出力制御情報は、コンピュータや印刷装置等によって読み込まれ、この読み込まれた出力制御情報は、印刷装置(プリンタ)によって、前述した各実施形態における素子に書き込まれる。
【0347】
例えば、デジタルスチルカメラ4022において生成された画像ファイルGFは、ケーブルCV、コンピュータPCを介して、あるいは、ケーブルCVを介してプリンタに送出される。あるいは、デジタルスチルカメラ4022の記憶装置4225が着脱可能な記憶装置である場合には、記憶装置4225が接続されたコンピュータPCを介して、あるいは、記憶装置4225をプリンタに対して直接、接続することによって画像ファイルGFがプリンタに送出される。
【0348】
プリンタは、送られてきた画像ファイルを受け取り、該画像ファイルに設けられた出力制御情報CIを読み取り、読み取った出力制御情報CIを用いて画像データを印刷するとともに、該出力制御情報CIを被印刷体に設けられた素子に書き込む。
【産業上の利用可能性】
【0349】
以上、本発明によれば、被印刷体に関する様々な情報を被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、かかる印刷装置及び印刷装置と接続されるコンピュータ本体を有するコンピュータシステムを実現することができる。
【0350】
また、本発明によれば、撮影条件や出力制御情報を好適に被印刷体自身に保有させることのできる被印刷体、かかる被印刷体に設けられる素子、かかる被印刷体に対して印刷を行う印刷装置、及び、コンピュータシステムを実現することができる。
【符号の説明】
【0351】
1010…プリンタ本体、1011…操作パネル、1012…排紙部、1013…給紙部、1025…キャッピング装置、1026…ポンプユニット、1027…キャップ、1040…キャリッジ、1042…プラテン、1043…紙送りモータ、1044…摺動軸、1045…駆動ベルト、1046…プーリ、1047…エンコーダ、1048…ギヤ機構、1050…制御回路、1051…CPU、1052…PROM、1053…RAM、1054…周辺機器入出力部(PIO)、1055…タイマ、1056…駆動バッファ、1057…バス、1058…発振器、1059…分配出力器、1061…搬送駆動ローラ、1062…搬送従動ローラ、1063…紙検出器、1064…排紙駆動ローラ、1065…排紙従動ローラ、1080…送受信部、1081…記憶素子、1082…被印刷体、1111…操作ボタン、1112…表示ランプ、1121…排紙トレー、1131…給紙ホルダ、1621…搬送従動ローラホルダ、1631…レバー、1801…コイルアンテナ、1802…送受信回路、1811…ICチップ、1813…アンテナコイル、1814…整流、1815…信号解析部、1816…制御部、1817…メモリセル、1817R…読み取り領域、1817W…書き込み領域、PC…パーソナルコンピュータ、INC1,INC2…インクカートリッジ、ME…記憶素子、MEC…接点、IH1,IH2,IH3,IH4…印字ヘッド、2010…プリンタ本体、2011…操作パネル、2012…排紙部、2013…給紙部、2025…キャッピング装置、2026…ポンプユニット、2027…キャップ、2040…キャリッジ、2042…プラテン、2043…紙送りモータ、2044…摺動軸、2045…駆動ベルト、2046…プーリ、2047…エンコーダ、2048…ギヤ機構、2050…制御回路、2051…CPU、2052…PROM、2053…RAM、2054…周辺機器入出力部(PIO)、2055…タイマ、2056…駆動バッファ、2057…バス、2058…発振器、2059…分配出力器、2061…搬送駆動ローラ、2062…搬送従動ローラ、2063…紙検出器、2064…排紙駆動ローラ、2065…排紙従動ローラ、2080…読み取りセンサ、2081…記憶素子、2082…被印刷体、2111…操作ボタン、2112…表示ランプ、2121…排紙トレー、2131…給紙ホルダ、2621…搬送従動ローラホルダ、2631…レバー、2801…コイルアンテナ、2802…送受信回路、2811…ICチップ、2813…アンテナコイル、2814…整流器、2815…信号解析部、2816…制御部、2817…メモリセル、3010…プリンタ本体、3011…操作パネル、3111…操作ボタン、3112…表示ランプ、3012…排紙部、3121…排紙トレー、3013…給紙部、3131…給紙ホルダ、3132…給紙ローラ、3025…キャッピング装置、3026…ポンプユニット、3027…キャップ、3040…キャリッジ、3042…プラテン、3043…紙送りモータ、3044…摺動軸、3045…駆動ベルト、3046…プーリ、3047…エンコーダ、3048…ギヤ機構、3050…制御回路、3051…CPU、3052…PROM、3053…RAM、3054…周辺機器入出力部(PIO)、3055…タイマ、3056…駆動バッファ、3057…バス、3058…発振器、3059…分配出力器、3061…搬送駆動ローラ、3062…搬送従動ローラ、3621…搬送従動ローラホルダ、3063…紙検出器、3631…レバー、3064…排紙駆動ローラ、3065…排紙従動ローラ、3080…送受信部、3801…コイルアンテナ、3802…送受信回路、3081…記憶素子、3811…ICチップ、3813…アンテナコイル、3814…整流、3815…信号解析部、3816…制御部、3817…メモリセル、3817R…読み取り領域、3817W…書き込み領域、3082…被印刷体、4010…画像ファイル、4101…制御情報格納領域、4102…画像データ格納領域、4011…Exif(登録商標)ファイル(画像ファイル)、4111…JPEG画像データ格納領域、4112…付属情報格納領域、4113…Makernote格納領域、4114…PrintPerfectタグ、4022…ディジタルスチルカメラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置による情報の書き込みが可能な素子、を有していることを特徴とする被印刷体。
【請求項2】
前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った印刷装置を特定するための情報が書き込まれることを特徴とする請求項第1項に記載の被印刷体。
【請求項3】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを記録する際に使用されたデジタルカメラを特定するための情報が書き込まれることを特徴とする請求項第1項又は第2項に記載の被印刷体。
【請求項4】
前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った日付を特定するための情報が書き込まれることを特徴とする請求項第1項乃至第3項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項5】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを特定するための情報が書き込まれることを特徴とする請求項第1項乃至第4項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項6】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれることを特徴とする請求項第1項乃至第5項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項7】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれ、書き込まれた画像データは、画像データ読み取り手段を備えた印刷装置によって印刷装置に読み込まれることを特徴とする請求項第1項乃至第6項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項8】
前記画像データ読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする請求項第7項に記載の被印刷体。
【請求項9】
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることを特徴とする請求項第1項乃至第8項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項10】
前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることを特徴とする請求項第1項乃至第9項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項11】
印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体であって、
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であり、
前記被印刷体に関する情報を記憶するための素子が設けられており、
前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った印刷装置を特定するための情報、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを記録する際に使用されたデジタルカメラを特定するための情報、前記被印刷体に印刷を行った日付を特定するための情報、及び、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれ、
書き込まれた画像データは、非接触式の画像データ読み取り手段を備えた印刷装置によって印刷装置に読み込まれることを特徴とする被印刷体。
【請求項12】
前記素子は、被印刷体に関する情報を記憶可能であることを特徴とする請求項第1項に記載の被印刷体。
【請求項13】
前記被印刷体の、前記印刷装置に挿入される際に先頭となる部分に、前記素子が設けられていることを特徴とする請求項第12項に記載の被印刷体。
【請求項14】
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることを特徴とする請求項第12項又は第13項に記載の被印刷体。
【請求項15】
前記素子には、前記被印刷体の種類を特定するための情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第14項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項16】
前記素子には、前記被印刷体の厚さを特定するための情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第15項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項17】
前記素子には、前記被印刷体の幅を特定するための情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第16項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項18】
前記素子には、前記被印刷体の製造年月日を特定するための情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第17項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項19】
前記素子には、前記被印刷体に応じた色変換を行う際に参照される情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第18項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項20】
前記素子に記憶された情報は、前記印刷装置に設けられた読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることを特徴とする請求項第12項乃至第19項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項21】
前記印刷装置は、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドと、この印刷ヘッドの移動方向と交差する方向に前記被印刷体を搬送して位置決めするための搬送位置決め手段を有し、
前記素子に記憶された情報は、前記搬送位置決め手段による前記被印刷体の搬送方向において、該搬送位置決め手段よりも上流側に設けられた読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることを特徴とする請求項第20項に記載の被印刷体。
【請求項22】
前記印刷装置は、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドを有し、前記素子に記憶された情報は、該印刷ヘッドとともに移動する読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることを特徴とする請求項第20項に記載の被印刷体。
【請求項23】
前記読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする請求項第20項乃至第22項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項24】
前記被印刷体は、印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることを特徴とする請求項第12項乃至第23項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項25】
印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体において、
前記被印刷体に関する情報を記憶するための素子が設けられており、
この素子は、前記被印刷体の、前記印刷装置に挿入される際に先頭となる部分に設けられており、
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であり、
前記素子には、前記被印刷体の種類を特定するための情報、前記被印刷体の厚さを特定するための情報、前記被印刷体の幅を特定するための情報、前記被印刷体の製造年月日を特定するための情報、及び、前記被印刷体に応じた色変換を行う際に参照される情報が記憶されており、
前記素子に記憶された情報は、前記印刷装置に設けられた非接触式の読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることを特徴とする被印刷体。
【請求項26】
情報を書き込み可能な素子を有し、撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、
前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする被印刷体。
【請求項27】
前記撮影装置は、デジタルカメラであることを特徴とする請求項第26項に記載の被印刷体。
【請求項28】
前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項又は第27項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項29】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第28項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項30】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第29項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項31】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第30項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項32】
前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第31項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項33】
前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第32項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項34】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第33項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項35】
前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって非接触状態にて書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第34項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項36】
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることを特徴とする請求項第26項乃至第35項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項37】
前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることを特徴とする請求項第26項乃至第36項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項38】
その全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて、前記印刷装置によって印刷が行われることを特徴とする請求項第26項乃至第37項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項39】
情報を書き込み可能な素子を有し、デジタルカメラよって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、
前記素子には、前記デジタルカメラによる前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報、及び、前記画像データが、前記印刷装置によって非接触状態にて書き込まれ、
厚さが、0.5mm以上であり、
前記印刷装置によって切断されることなく、その全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて、前記印刷装置によって印刷が行われることを特徴とする被印刷体。
【請求項40】
情報を書き込み可能な素子を有し、印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、
前記素子には、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする被印刷体。
【請求項41】
前記印刷装置は、画像データを格納した画像ファイルから前記出力制御情報を読み取り、読み取った該出力制御情報を、前記素子に書き込むことを特徴とする請求項第40項に記載の被印刷体。
【請求項42】
前記出力制御情報は、ガンマ値、色空間、コントラスト、カラーバランス、シャープネス、色補正、および強調色を指定して、前記印刷装置における画像処理を制御するデータであることを特徴とする請求項第40項又は第41項に記載の被印刷体。
【請求項43】
前記出力制御情報は、印刷メディア、解像度、印刷ヘッドの動作方向を指定して、前記印刷装置における画像出力処理を制御するデータであることを特徴とする請求項第40項乃至第42項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項44】
前記画像ファイルは、デジタルカメラにおいて生成された画像ファイルであることを特徴とする請求項第41項に記載の被印刷体。
【請求項45】
被印刷体に設けられた素子であって、
印刷装置による情報の書き込みが可能であることを特徴とする素子。
【請求項46】
被印刷体に設けられる素子であって、
前記被印刷体に関する情報が記憶されることを特徴とする素子。
【請求項47】
被印刷体に設けられる素子であって、
被印刷体に設けられた後に、撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件が、印刷装置によって書き込まれることを特徴とする素子。
【請求項48】
被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に対して情報を書き込むための書き込み手段を有していることを特徴とする印刷装置。
【請求項49】
被印刷体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有し、前記書き込み手段は、前記被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項第48項に記載の印刷装置。
【請求項50】
前記被印刷体が印刷装置に対して所定の位置に位置した際に、前記書き込み手段による前記素子に対する情報の書き込みが行われ、該位置において、該素子に記憶された情報の読み込みも可能であることを特徴とする請求項第48項又は第49項に記載の印刷装置。
【請求項51】
水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることを特徴とする請求項第48項乃至第50項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項52】
被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に対して画像データを書き込むための書き込み手段と、素子に書き込まれた画像データを読み取るための読み取り手段を有していることを特徴とする印刷装置。
【請求項53】
前記画像データ読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする請求項第52項に記載の印刷装置。
【請求項54】
被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に記憶された、該被印刷体に関する情報を読み込むための読み取り手段を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項55】
前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドと、この印刷ヘッドの移動方向と交差する方向に前記被印刷体を搬送して位置決めするための搬送位置決め手段を有し、
前記読み取り手段は、前記搬送位置決め手段による前記被印刷体の搬送方向において、該搬送位置決め手段よりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項第54項に記載の印刷装置。
【請求項56】
前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドを有し、
前記読み取り手段は、該印刷ヘッドとともに移動することを特徴とする請求項第54項に記載の印刷装置。
【請求項57】
前記読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする請求項第54項乃至第56項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項58】
水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることを特徴とする請求項第54項乃至第57項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項59】
撮影装置よって生成された画像データに基づいて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込むことを特徴とする印刷装置。
【請求項60】
前記撮影装置は、デジタルカメラであることを特徴とする請求項第59項に記載の印刷装置。
【請求項61】
前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項又は第60項に記載の印刷装置。
【請求項62】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第61項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項63】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第62項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項64】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第63項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項65】
前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第64項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項66】
前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第65項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項67】
前記素子に、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第66項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項68】
前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を非接触状態にて書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第67項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項69】
前記被印刷体を切断することなく印刷を行うことを特徴とする請求項第59項乃至第68項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項70】
前記被印刷体の全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷を行うことを特徴とする請求項第59項乃至第69項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項71】
被印刷体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有し、
前記素子に前記撮影条件を書き込むための書き込み手段が、被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項第59項乃至第70項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項72】
水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることを特徴とする請求項第59項乃至第71項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項73】
画像データに基づいて被印刷体に印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報を書き込むことを特徴とする印刷装置。
【請求項74】
画像データを格納した画像ファイルから前記出力制御情報を読み取り、読み取った該出力制御情報を、前記素子に書き込むことを特徴とする請求項第73項に記載の印刷装置。
【請求項75】
前記出力制御情報は、ガンマ値、色空間、コントラスト、カラーバランス、シャープネス、色補正、および強調色を指定して、前記印刷装置における画像処理を制御するデータであることを特徴とする請求項第73項又は第74項に記載の印刷装置。
【請求項76】
前記出力制御情報は、印刷メディア、解像度、印刷ヘッドの動作方向を指定して、前記印刷装置における画像出力処理を制御するデータであることを特徴とする請求項第73項乃至第75項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項77】
前記画像ファイルは、デジタルカメラにおいて生成された画像ファイルであることを特徴とする請求項第74項に記載の印刷装置。
【請求項78】
コンピュータ本体、このコンピュータ本体と接続されて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、
前記印刷装置は、前記被印刷体に設けられた素子に対して情報を書き込むための書き込み手段を有していることを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項79】
コンピュータ本体、このコンピュータ本体と接続されて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、
前記印刷装置は、前記被印刷体に設けられた素子に記憶された、該被印刷体に関する情報を読み込むための読み取り手段を有することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項80】
コンピュータ本体、及び、このコンピュータ本体と接続されて撮影装置よって生成された画像データに基づいて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、
前記印刷装置が、前記被印刷体に設けられた素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込むことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項1】
印刷装置による情報の書き込みが可能な素子、を有していることを特徴とする被印刷体。
【請求項2】
前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った印刷装置を特定するための情報が書き込まれることを特徴とする請求項第1項に記載の被印刷体。
【請求項3】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを記録する際に使用されたデジタルカメラを特定するための情報が書き込まれることを特徴とする請求項第1項又は第2項に記載の被印刷体。
【請求項4】
前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った日付を特定するための情報が書き込まれることを特徴とする請求項第1項乃至第3項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項5】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを特定するための情報が書き込まれることを特徴とする請求項第1項乃至第4項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項6】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれることを特徴とする請求項第1項乃至第5項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項7】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれ、書き込まれた画像データは、画像データ読み取り手段を備えた印刷装置によって印刷装置に読み込まれることを特徴とする請求項第1項乃至第6項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項8】
前記画像データ読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする請求項第7項に記載の被印刷体。
【請求項9】
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることを特徴とする請求項第1項乃至第8項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項10】
前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることを特徴とする請求項第1項乃至第9項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項11】
印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体であって、
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であり、
前記被印刷体に関する情報を記憶するための素子が設けられており、
前記素子には、前記被印刷体に印刷を行った印刷装置を特定するための情報、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを記録する際に使用されたデジタルカメラを特定するための情報、前記被印刷体に印刷を行った日付を特定するための情報、及び、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれ、
書き込まれた画像データは、非接触式の画像データ読み取り手段を備えた印刷装置によって印刷装置に読み込まれることを特徴とする被印刷体。
【請求項12】
前記素子は、被印刷体に関する情報を記憶可能であることを特徴とする請求項第1項に記載の被印刷体。
【請求項13】
前記被印刷体の、前記印刷装置に挿入される際に先頭となる部分に、前記素子が設けられていることを特徴とする請求項第12項に記載の被印刷体。
【請求項14】
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることを特徴とする請求項第12項又は第13項に記載の被印刷体。
【請求項15】
前記素子には、前記被印刷体の種類を特定するための情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第14項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項16】
前記素子には、前記被印刷体の厚さを特定するための情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第15項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項17】
前記素子には、前記被印刷体の幅を特定するための情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第16項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項18】
前記素子には、前記被印刷体の製造年月日を特定するための情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第17項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項19】
前記素子には、前記被印刷体に応じた色変換を行う際に参照される情報が記憶されていることを特徴とする請求項第12項乃至第18項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項20】
前記素子に記憶された情報は、前記印刷装置に設けられた読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることを特徴とする請求項第12項乃至第19項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項21】
前記印刷装置は、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドと、この印刷ヘッドの移動方向と交差する方向に前記被印刷体を搬送して位置決めするための搬送位置決め手段を有し、
前記素子に記憶された情報は、前記搬送位置決め手段による前記被印刷体の搬送方向において、該搬送位置決め手段よりも上流側に設けられた読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることを特徴とする請求項第20項に記載の被印刷体。
【請求項22】
前記印刷装置は、前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドを有し、前記素子に記憶された情報は、該印刷ヘッドとともに移動する読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることを特徴とする請求項第20項に記載の被印刷体。
【請求項23】
前記読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする請求項第20項乃至第22項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項24】
前記被印刷体は、印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることを特徴とする請求項第12項乃至第23項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項25】
印刷装置によって切断されることなく印刷が行われる被印刷体において、
前記被印刷体に関する情報を記憶するための素子が設けられており、
この素子は、前記被印刷体の、前記印刷装置に挿入される際に先頭となる部分に設けられており、
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であり、
前記素子には、前記被印刷体の種類を特定するための情報、前記被印刷体の厚さを特定するための情報、前記被印刷体の幅を特定するための情報、前記被印刷体の製造年月日を特定するための情報、及び、前記被印刷体に応じた色変換を行う際に参照される情報が記憶されており、
前記素子に記憶された情報は、前記印刷装置に設けられた非接触式の読み取り手段によって該印刷装置に読み込まれることを特徴とする被印刷体。
【請求項26】
情報を書き込み可能な素子を有し、撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、
前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする被印刷体。
【請求項27】
前記撮影装置は、デジタルカメラであることを特徴とする請求項第26項に記載の被印刷体。
【請求項28】
前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項又は第27項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項29】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第28項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項30】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第29項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項31】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第30項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項32】
前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第31項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項33】
前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報が、前記素子に、前記撮影条件として前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第32項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項34】
前記素子には、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データが書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第33項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項35】
前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件が、前記印刷装置によって非接触状態にて書き込まれることを特徴とする請求項第26項乃至第34項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項36】
前記被印刷体の厚さが、0.5mm以上であることを特徴とする請求項第26項乃至第35項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項37】
前記被印刷体は、前記印刷装置によって切断されることなく印刷が行われることを特徴とする請求項第26項乃至第36項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項38】
その全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて、前記印刷装置によって印刷が行われることを特徴とする請求項第26項乃至第37項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項39】
情報を書き込み可能な素子を有し、デジタルカメラよって生成された画像データに基づいて印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、
前記素子には、前記デジタルカメラによる前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報、及び、前記画像データが、前記印刷装置によって非接触状態にて書き込まれ、
厚さが、0.5mm以上であり、
前記印刷装置によって切断されることなく、その全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて、前記印刷装置によって印刷が行われることを特徴とする被印刷体。
【請求項40】
情報を書き込み可能な素子を有し、印刷装置によって印刷が行われる被印刷体において、
前記素子には、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報が、前記印刷装置によって書き込まれることを特徴とする被印刷体。
【請求項41】
前記印刷装置は、画像データを格納した画像ファイルから前記出力制御情報を読み取り、読み取った該出力制御情報を、前記素子に書き込むことを特徴とする請求項第40項に記載の被印刷体。
【請求項42】
前記出力制御情報は、ガンマ値、色空間、コントラスト、カラーバランス、シャープネス、色補正、および強調色を指定して、前記印刷装置における画像処理を制御するデータであることを特徴とする請求項第40項又は第41項に記載の被印刷体。
【請求項43】
前記出力制御情報は、印刷メディア、解像度、印刷ヘッドの動作方向を指定して、前記印刷装置における画像出力処理を制御するデータであることを特徴とする請求項第40項乃至第42項のいずれかに記載の被印刷体。
【請求項44】
前記画像ファイルは、デジタルカメラにおいて生成された画像ファイルであることを特徴とする請求項第41項に記載の被印刷体。
【請求項45】
被印刷体に設けられた素子であって、
印刷装置による情報の書き込みが可能であることを特徴とする素子。
【請求項46】
被印刷体に設けられる素子であって、
前記被印刷体に関する情報が記憶されることを特徴とする素子。
【請求項47】
被印刷体に設けられる素子であって、
被印刷体に設けられた後に、撮影装置による画像データの生成が行われた際の撮影条件が、印刷装置によって書き込まれることを特徴とする素子。
【請求項48】
被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に対して情報を書き込むための書き込み手段を有していることを特徴とする印刷装置。
【請求項49】
被印刷体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有し、前記書き込み手段は、前記被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項第48項に記載の印刷装置。
【請求項50】
前記被印刷体が印刷装置に対して所定の位置に位置した際に、前記書き込み手段による前記素子に対する情報の書き込みが行われ、該位置において、該素子に記憶された情報の読み込みも可能であることを特徴とする請求項第48項又は第49項に記載の印刷装置。
【請求項51】
水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることを特徴とする請求項第48項乃至第50項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項52】
被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に対して画像データを書き込むための書き込み手段と、素子に書き込まれた画像データを読み取るための読み取り手段を有していることを特徴とする印刷装置。
【請求項53】
前記画像データ読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする請求項第52項に記載の印刷装置。
【請求項54】
被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に記憶された、該被印刷体に関する情報を読み込むための読み取り手段を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項55】
前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドと、この印刷ヘッドの移動方向と交差する方向に前記被印刷体を搬送して位置決めするための搬送位置決め手段を有し、
前記読み取り手段は、前記搬送位置決め手段による前記被印刷体の搬送方向において、該搬送位置決め手段よりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項第54項に記載の印刷装置。
【請求項56】
前記被印刷体に印刷を行うための移動可能な印刷ヘッドを有し、
前記読み取り手段は、該印刷ヘッドとともに移動することを特徴とする請求項第54項に記載の印刷装置。
【請求項57】
前記読み取り手段は、非接触式の読み取り手段であることを特徴とする請求項第54項乃至第56項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項58】
水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることを特徴とする請求項第54項乃至第57項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項59】
撮影装置よって生成された画像データに基づいて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込むことを特徴とする印刷装置。
【請求項60】
前記撮影装置は、デジタルカメラであることを特徴とする請求項第59項に記載の印刷装置。
【請求項61】
前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた年月日を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項又は第60項に記載の印刷装置。
【請求項62】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの機種を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第61項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項63】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時におけるシャッター速度を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第62項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項64】
前記撮影装置としてのデジタルカメラの撮影時の絞り値を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第63項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項65】
前記撮影装置としてのデジタルカメラのISO感度相当値を特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第64項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項66】
前記撮影装置としてのデジタルカメラによる撮影時にフラッシュを使用したか否かを特定するための情報を、前記素子に、前記撮影条件として書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第65項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項67】
前記素子に、前記被印刷体に対する印刷の対象となった画像データを書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第66項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項68】
前記素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を非接触状態にて書き込むことを特徴とする請求項第59項乃至第67項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項69】
前記被印刷体を切断することなく印刷を行うことを特徴とする請求項第59項乃至第68項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項70】
前記被印刷体の全表面を対象として、前記撮影装置よって生成された画像データに基づいて印刷を行うことを特徴とする請求項第59項乃至第69項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項71】
被印刷体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有し、
前記素子に前記撮影条件を書き込むための書き込み手段が、被印刷体の搬送方向において、該インク吐出ヘッドよりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項第59項乃至第70項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項72】
水平状態でセットされた被印刷体を、該水平状態を維持しつつ搬送する搬送手段を有していることを特徴とする請求項第59項乃至第71項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項73】
画像データに基づいて被印刷体に印刷を行う印刷装置において、
前記被印刷体に設けられた素子に、印刷装置における画像データの出力状態を制御する出力制御情報を書き込むことを特徴とする印刷装置。
【請求項74】
画像データを格納した画像ファイルから前記出力制御情報を読み取り、読み取った該出力制御情報を、前記素子に書き込むことを特徴とする請求項第73項に記載の印刷装置。
【請求項75】
前記出力制御情報は、ガンマ値、色空間、コントラスト、カラーバランス、シャープネス、色補正、および強調色を指定して、前記印刷装置における画像処理を制御するデータであることを特徴とする請求項第73項又は第74項に記載の印刷装置。
【請求項76】
前記出力制御情報は、印刷メディア、解像度、印刷ヘッドの動作方向を指定して、前記印刷装置における画像出力処理を制御するデータであることを特徴とする請求項第73項乃至第75項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項77】
前記画像ファイルは、デジタルカメラにおいて生成された画像ファイルであることを特徴とする請求項第74項に記載の印刷装置。
【請求項78】
コンピュータ本体、このコンピュータ本体と接続されて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、
前記印刷装置は、前記被印刷体に設けられた素子に対して情報を書き込むための書き込み手段を有していることを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項79】
コンピュータ本体、このコンピュータ本体と接続されて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、
前記印刷装置は、前記被印刷体に設けられた素子に記憶された、該被印刷体に関する情報を読み込むための読み取り手段を有することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項80】
コンピュータ本体、及び、このコンピュータ本体と接続されて撮影装置よって生成された画像データに基づいて被印刷体に対して印刷を行う印刷装置を有するコンピュータシステムにおいて、
前記印刷装置が、前記被印刷体に設けられた素子に、前記撮影装置による前記画像データの生成が行われた際の撮影条件を書き込むことを特徴とするコンピュータシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
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【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2009−238242(P2009−238242A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146108(P2009−146108)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【分割の表示】特願2003−545483(P2003−545483)の分割
【原出願日】平成14年11月21日(2002.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【分割の表示】特願2003−545483(P2003−545483)の分割
【原出願日】平成14年11月21日(2002.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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