説明

印刷装置

【課題】仕様が異なる第1,第2記録材供給容器のいずれか一方が印刷装置本体に装着されても、装着容器を識別できる印刷装置を提供する。
【解決手段】第1記録材供給容器は第1接続検出端子30A2を含む第1端子群30Aを有し、第2記録材供給容器は、第2接続検出端子30B4を含む第2端子群30Bを有し、第1端子群30Aと第2端子群30Bの端子数と端子の配置が同じであり、ピンアサインが異なる。印刷装置本体は、第1端子群及び第2端子群に択一的に接続される端子群110と判定部120とを有する。判定部は、端子群110の中の2つの端子113,114に第1接続検出端子または第2検出端子が接続/非接続となることで変化する少なくとも2つの第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2の各レベルに基づいて、第1記録材供給容器及び第2記録材供給容器の装着/未装着を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1,第2記録材供給容器の少なくとも一方が装着される印刷装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インクジェット方式のプリンターには、インクカートリッジが取り付けられる。このインクカートリッジには、不揮発性メモリーを有する記憶装置が設けられているものがある(例えば、特許文献1,2)。不揮発性メモリーには、製造メーカー、製造年月日等の製造情報、インクカートリッジの容量・種類等の書き換え不要な情報と、インク残量などの書き換え可能な情報とが記憶され、記憶装置は、これらの情報をプリンターとの間で送受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−184856号公報
【特許文献2】特開平8−197748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、プリンターに装着されるインクカートリッジの仕様は1種類であった。しかし、例えば新規プリンターに対して、新タイプのインクカートリッジと旧タイプのインクカートリッジの双方を使用可能に担保する必要性が生ずることがある。この場合、新タイプと旧タイプとでインクカートリッジの仕様、例えば不揮発性メモリーの種類、駆動電圧等が異なることがある。
【0005】
本発明の幾つかの態様は、仕様が異なる第1,第2記録材供給容器のいずれか一方が装着されても、装着容器を識別できる印刷装置等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、
第1記録材供給容器及び第2記録材供給容器の少なくとも一方が装着される印刷装置本体を有する印刷装置であって、
前記第1記録材供給容器は、第1接続検出端子を含む第1端子群を有し、
前記第2記録材供給容器は、第2接続検出端子を含む第2端子群を有し、
前記第1端子群と前記第2端子群の端子数と端子の配置が同じであり、かつ、前記第1記録材供給容器に対する前記第1接続検出端子の相対位置が、前記第2記録材供給容器に対する前記第2接続検出端子の相対位置とは異なり、
前記印刷装置本体は、
前記第1端子群及び前記第2端子群に択一的に接続される端子群と、
前記端子群の中の2つの端子に前記第1接続検出端子または前記第2検出端子が接続/非接続となることで変化する少なくとも2つの第1接続検出ノード及び第2接続検出ノードの各レベルに基づいて、前記第1記録材供給容器及び前記第2記録材供給容器の装着/未装着を判定する判定部と、
を有する印刷装置に関する。
【0007】
本発明の一態様によれば、第1記録材供給容器と第2記録材供給容器とは仕様が異なる。そのため、第1記録材供給容器の第1端子群と第2記録材供給容器の第2端子群とは、端子数と端子の配置が同じであるが、ピンアサインが異なる。少なくとも第1,第2接続検出端子は各容器に対する位置が異なっている。記録装置本体は、第1端子群及び第2端子群に択一的に接続される端子群を有し、その端子群の中の2つの端子に第1接続検出端子または前記第2検出端子が接続/非接続となることで、少なくとも2つの第1接続検出ノード及び第2接続検出ノードの各レベルが変化する。判定部は、第1接続検出ノード及び第2接続検出ノードの各レベルに基づいて、第1記録材供給容器及び第2記録材供給容器の装着/未装着を判定することができる。ここで、端子の位置とは、第1端子群および第2端子群が、プリンター本体の端子と接続する接続部分をさし、相対位置とはその接続部分の相対位置である。
【0008】
(2)本発明の一態様では、前記第1記録材供給容器にて、前記第1接続検出端子を、前記第1端子群の中の第1内部短絡端子と短絡することができる。
【0009】
こうすると、第1記録材供給容器が印刷装置本体に装着された場合には、第1内部短絡端子と短絡された第1接続検出端子の電位が第1接続検出ノードに反映されるので、第1接続検出ノードの電位に基づいて、判定部が第1記録材供給容器の装着を判別することができる。
【0010】
(3)本発明の一態様では、前記第2記録材供給容器にて、前記第2接続検出端子を、前記第2端子群の中の第2内部短絡端子と短絡することができる。
【0011】
こうすると、第2記録材供給容器が印刷装置本体に装着された場合には、第2内部短絡端子と短絡された第2接続検出端子の電位が第2接続検出ノードに反映されるので、第2接続検出ノードの電位に基づいて、判定部が第2記録材供給容器の装着を判別することができる。
【0012】
(4)本発明の一態様では、前記印刷装置本体は、前記端子群と、前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードを含む複数のノードとにそれぞれ接続される切換え回路と、前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードを除く前記複数のノードの電位を設定する電位設定回路と、をさらに有することができる。この場合、前記切換え回路は、前記電位設定回路にて設定される電位に基づいて、前記端子群を前記第1端子群に接続してアクセスする第1アクセス状態と、前記端子群を前記第2端子群に接続してアクセスする第2アクセス状態と、前記第1アクセス状態及び前記第2アクセス状態とは異なる接続検出状態とに切換ることができる。前記判定部は、前記接続検出状態の時の前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードの各レベルに基づいて、第1記録材供給容器及び第2記録材供給容器の装着/未装着を判定することができる。
【0013】
(5)本発明の一態様では、前記接続検出状態の時に、前記電位設定回路より前記切換え回路を介して供給される電位により、前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードに共にHIGHレベルであると検出した時は、前記第1記録材供給容器及び前記第2記録材供給容器が未装着であると判定することができる。さらに、前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードのいずれがLOWレベルであるかを検出することで、前記第1記録材供給容器及び前記第2記録材供給容器のいずれが装着されているかを判定することができる。この場合、第1接続検出ノード及び第2接続検出ノードに共にLOWレベルである状態はエラーとなるが、作為的な装着状態のときにのみノードの一方のLOWレベルを実現することで、エラー状態の発生を低減するとともに誤検出も低減できる。
【0014】
(6)本発明の一態様では、前記第1端子群は第1グランド端子及び第1電源端子を含むことができ、前記第2端子群は第2グランド端子及び第2電源端子を含み、前記第2端子群の中での前記第2グランド端子及び前記第2電源端子の相対位置を前記第1端子群の中での前記第1グランド端子及び前記第1電源端子の相対位置と異ならせることができる。また、前記複数のノードは、前記第1アクセス状態の時に前記1グランド端子と接続される端子を接地制御する第1グランド制御ノードと、前記第1アクセス状態の時に前記1電源端子と接続される端子に電源電圧を供給制御する第1電源制御ノードと、前記第2アクセス状態の時に前記2グランド端子と接続される端子を接地制御する第2グランド制御ノードと、前記第2アクセス状態の時に前記2電源端子と接続される端子に電源電圧を供給制御する第2電源制御ノードと、を含むことができる。この場合、前記電位設定回路は、前記接続検出状態の時に、前記第1グランド制御ノード及び前記第2グランド制御ノードを共にアクティブ電位とし、前記第1電源制御ノード及び前記第2電源制御ノードを共に非アクティブ電位とすることができる。
【0015】
このように、接続検出状態を第1,第2グランド制御ノードを共にアクティブ電位とし、第1,第2電源制御ノードを非アクティブにすることで実現できるので、電源電圧VDDを供給する必要がなくなる。よって、接続検出を低消費電力モードにて実施できる。
【0016】
(7)本発明の一態様では、前記電位設定回路は、前記第1アクセス状態の時に、前記第1グランド制御ノード及び前記第1電源制御ノードをアクティブ電位とし、前記第2グランド制御ノード及び前記第2電源制御ノードを非アクティブ電位とし、前記第2アクセス状態の時に、前記第1グランド制御ノード及び前記第1電源制御ノードを非アクティブ電位とし、前記第2グランド制御ノード及び前記第2電源制御ノードをアクティブ電位とすることができる。
【0017】
このように、第1,第2グランド制御ノードをアクティブ電位と非アクティブ電位とに切換えることで、3つの状態(接続検出状態、第1,第2アクセス状態)を切換えることができる。
【0018】
(8)本発明の一態様では、前記電位設定回路は、前記接続検出状態にて前記第1記録材供給容器及び前記第2記録材供給容器のいずれか一方の装着を検出した後であって、前記第1アクセス状態及び前記第2アクセス状態以外の時に、前記第1アクセス状態または前記第2アクセス状態に対して前記第1電源制御ノード及び前記第2電源制御ノードの双方を非アクティブ電位に変更した待機状態に設定し、前記判定部は、前記待機状態にて、前記第1接続検出ノード及び前記第2の接続検出ノードのうちの一方のレベル変化を監視することができる。
【0019】
第1電源制御ノード及び前記第2電源制御ノードの双方を非アクティブ電位とした低消費電力モードでの待機状態にて、第1接続検出ノード及び第2の接続検出ノードのうちの一方のレベル変化を監視することで、装着されている記録材供給容器の離脱を検出することができる。
【0020】
(9)本発明の一態様では、前記判定部が前記待機状態にて前記第1接続検出ノード及び前記第2の接続検出ノードのうちの一方のレベル変化を検出した時は、前記切換え回路は、前記電位設定回路により設定される電位に基づいて、前記待機状態から前記接続検出状態に切換えることができる。
【0021】
これにより、離脱後に新たに装着される記録材供給容器の種別を判定部にて判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置に装着される第1,第2記録材供給容器の概略斜視図である。
【図2】図2(A)は第1記録材供給容器の第1端子群を搭載した第1基板の正面図であり、図2(B)は第1端子群を搭載する第1基板の側面図である。
【図3】図3(A)は第2記録材供給容器の第2端子群を搭載した第2基板の正面図であり、図3(B)は第2端子群を搭載する第2基板の側面図である。
【図4】第1,第2端子群のピンアサインの相違と、それに基づき2種の記録材供給容器の装着/未装着を検出する原理とを説明する概略説明図である。
【図5】第1,第接続検出2ノードの電位と判定結果との相関を示す図である。
【図6】印刷装置本体のブロック図である。
【図7】図7(A)は第1記録材供給容器の第1端子群を搭載した第1基板の正面図であり、図7(B)は第2記録材供給容器の第2端子群を搭載した第2基板の正面図である。
【図8】図6に示す切換え回路及び複数のノードND1〜NDmの具体例を示す図である。
【図9】接続検出状態の動作フローチャートである。
【図10】接続検出状態(双方未装着)での複数のノードND1〜NDmの電位と切換え回路の回路状態を示す図である。
【図11】図10に示す接続検出状態での装置本体に第1記録材供給容器が装着されている状態を示す図である。
【図12】図11での接続検出状態からアクセス状態に移行する途中の移行状態での複数のノードND1〜NDmの電位と切換え回路の回路状態を示す図である。
【図13】図11の移行状態後のアクセス状態での複数のノードND1〜NDmの電位と切換え回路の回路状態を示す図である。
【図14】第1記録材供給容器が装着されている時の初期状態、接続検出状態及び移行状態のノード及び端子群の電位変化を示すタイミングチャートである。
【図15】図10に示す接続検出状態での装置本体に第2記録材供給容器が装着されている状態を示す図である。
【図16】図15での接続検出状態からアクセス状態に移行する途中の移行状態での複数のノードND1〜NDmの電位と切換え回路の回路状態を示す図である。
【図17】図16の移行状態後のアクセス状態での複数のノードND1〜NDmの電位と切換え回路の回路状態を示す図である。
【図18】第2記録材供給容器が装着されている時の初期状態、接続検出状態及び移行状態のノード及び端子群の電位変化を示すタイミングチャートである。
【図19】記録材供給容器の交換を検出する動作を示すフローチャートである。
【図20】AタイプからAタイプの記録材供給容器の交換を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図21】AタイプからBタイプの記録材供給容器の交換を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図22】BタイプかBBタイプの記録材供給容器の交換を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図23】BタイプからAタイプの記録材供給容器の交換を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0024】
1.インクカートリッジ(記録材供給容器)
図1は、プリンター本体(印刷装置本体)に装着されるインクカートリッジ(広義には記録材供給容器)10を示している。なお、本実施形態では1台のプリンター本体に対して第1インクカートリッジ(第1記録材供給容器)10A及び第2インクカートリッジ(第2記録材供給容器)12Bが択一的に装着できるようになっている。
【0025】
以下、第1インクカートリッジ10A及び第2インクカートリッジ12Bに基本的候補いについて説明する。インクカートリッジ10の内部には、インク(広義には記録材)を収容するための図示しないインク室が形成される。また、インクカートリッジ10には、インク室に連通するインク供給口12が設けられる。このインク供給口12は、インクカートリッジ10がプリンター本体に装着されたときに、印刷ヘッドユニットにインクを供給するためのものである。インクカートリッジ10は、プリンター本体と電気的接続のめたに用いられる回路基板20(広義には基板)を含む。第1インクカートリッジ10Aの第1回路基板20Aと第2インクカートリッジ10Bの第2回路基板20Bは、搭載される端子群のピンアサインが異なっている(例えば、機能の異なる端子があるか、同じ機能の端子でも端子位置が異なる)が、この点については後述する。
【0026】
図2(A)及び図2(B)に第1回路基板20Aを、図3(A)及び図3(B)に第2回路基板20Bを、それぞれ示している。第1回路基板20Aの表面(プリンター本体と接続される面)には、複数例えば第1端子30A1〜第7端子30A7から成る第1端子群30Aが設けられる。同様に、第2回路基板20Bの表面には、複数例えば第1端子30B1〜第7端子30B7から成る第2端子群30Bが設けられる。
【0027】
ここで、第1端子群30Aと第2端子群30Bとは、7端子である端子数が同一である。さらに、第1端子群30Aと第2端子群30とは、全7端子が中心線に対して線対象にて、例えば上段に2つの端子が配置され、下段に5つの端子が配置されるという、配置も同一である。こうして、プリンター本体の端子群(図示せず)に対して、第1インクカートリッジ10A及び第2インクカートリッジ10Bが択一的に装着できるようになっている。
【0028】
なお、図2(B)及び図3(B)に示すように、第1,第2回路基板20A,20Bの裏面(ホスト装置と接続される面の裏側の面)には、記憶装置40A,40Bを設けることができる。この記憶装置20には、インク又は第1,第2インクカートリッジ10A,10Bに関連する種々のデータが格納される。各端子は、例えば矩形状(略矩形状)に形成された金属端子により実現される。そして、各端子は、回路基板20A,20Bに設けられた図示しない配線パターン層やスルホールを介して、記憶装置40A,40Bに接続される。記憶装置40A,40Bは、共に不揮発性メモリーであるが、例えば強誘電体メモリーとSRAMとで相違し、駆動電圧も異なる。
【0029】
記憶装置40A,40Bの格納データには、第1,第2インクカートリッジ10A,10Bを識別するID、製造情報、インク消費量等のデータが含まれる。インク消費量のデータは、インクカートリッジ100内に収容されたインクについて、印刷の実行等に伴い消費されるインク量の累計を示すデータである。このインク消費量のデータは、インクカートリッジ10A,10B内のインク量を示す情報であってもよく、消費したインク量の割合を示す情報であってもよい。例えば図1に示すセンサー50A,50Bは、インク室内のインク残量を検出することができる。センサー50A,50Bは、例えば圧電素子や光学素子等により構成され、インクカートリッジ10A,10Bの内部に固定される。
【0030】
2.ピンアサインの相違とそれを利用したインクカートリッジの装着検出原理
2.1.ピンアサインの相違
図4は、第1端子群30Aと第2端子群30Bのピンアサインの相違と、それを利用した第1,第2インクカートリッジ10A,10Bの装着検出原理を説明するための概略説明図である。図4に示すプリンター本体100には、第1端子群30Aと第2端子群30とに択一的に接続される端子群110を有する。
【0031】
この端子群110が共有される第1端子群30Aと第2端子群30Bとは、ピンアサインが相違する一例として、第1端子群30Aのグランド端子は端子30A2であるのに対して、第2端子群30Bのグランド端子は端子30B5である。つまり、第1端子群30Aと第2端子群30Bとでは、全7端子の中でのグランド端子の位置(広義には第1,第2インクカートリッジ10A,10Bに対する位置)が異なっている。このピンアサインの相違は、第1,第2インクカートリッジ10A,10B間での記憶装置40A,40Bの相違や、センサー50A,50Bの相違に起因して生ずる。図4では図示していないが、クロック端子、データ端子等についてもピンアサインを変更することができる。
【0032】
本実施形態では、第1,第2インクカートリッジ10A,10Bの第1,第2端子群30A,30Bの中の各1本が、接続検出端子として割り当てられる。第1端子群30Aには第1接続検出端子30A3が用意され、第2端子群30Bにて第2接続検出端子30B4が用意されている。第1端子群30Aと第2端子群30Bとでは、全7端子の中での接続検出端子の位置(広義には第1,第2インクカートリッジ10A,10Bに対する位置)が異なっているので、このことからもピンアサインが相違していると言える。
【0033】
2.2.インクカートリッジの装着検出原理
図4に示すように、プリンター本体100は、2つの第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2と、各ノードND1,ND2の電位に基づいて第1,第2インクカートリッジ10A,10Bの装着/未装着を判定する判定部120と、をさらに有する。第1接続検出ノードND1は、端子群110の中の端子113に第1接続検出端子30A3が接続/非接続となることで電位が変化する。第2接続検出ノードND2は、端子群110の中の端子114に第2検出端子30B4が接続/非接続となることで電位が変化する。
【0034】
図4では、第1接続検出ノードND1は、端子群110の中の端子113に第1接続検出端子30A3が非接続状態であるとHIGHとなり、接続状態であるとLOWとなる。一方、第2接続検出ノードND2は、端子群110の中の端子114に第2接続検出端子30B4が非接続状態であるとHIGHとなり、接続状態であるとLOWとなる。この電位変化と判定部120での判定結果を図5に示す。図5に示すように、(ND1,ND2)の組み合わせとして、(H,H)は双方未装着、(L,H)は第1インクカートリッジ10Aが装着、(H,L)は第2インクカートリッジ10Bが装着の各状態であると判定できる。
【0035】
図5の(ND1,ND2)=(H,H)の双方未装着状態では、端子群110の中の2つの端子113,114がオープンである。このとき、第1接続検出ノードND1はプルアップ抵抗R1を介してVDDが供給されてHIGHとなり、第2接続検出ノードND2はプルアップ抵抗R2を介してVDDが供給されてHIGHとなる。
【0036】
図5の(ND1,ND2)=(L,H)の第1インクカートリッジ10Aの装着状態では、端子群110の中の端子113が第1接続検出端子30A3に接続され、端子114がオープンである。このとき、第1接続検出ノードND1は第1接続検出端子30A3を介して接地されてLOWとなり、第2接続検出ノードND2はプルアップ抵抗R2を介してVDDが供給されてHIGHとなる。
【0037】
図5の(ND1,ND2)=(H,L)の第2インクカートリッジ10Bの装着状態では、端子群110の中の端子113がオープンであり、端子114が第2接続検出端子30B4に接続される。このとき、第1接続検出ノードND1はプルアップ抵抗R1を介してVDDが供給されてHIGHとなり、第2接続検出ノードND2は第2接続検出端子30B4を介して接地されてLOWとなる。
【0038】
第1接続検出ノードND1が第1接続検出端子30A3を介して接地されるために、第1インクカートリッジ10Aの第1端子群30Aでのピンアサインを利用することができる。図4では、第1接続検出端子30A3が第1端子群30Aの中のグランド端子30A2と短絡されている。こうすると、第1インクカートリッジ10Aがプリンター本体100に装着された場合には、グランド端子30A2と短絡された第1接続検出端子30A3の電位が第1接続検出ノードND1に反映される。
【0039】
同様に、第2接続検出ノードND2が第2接続検出端子30B4を介して接地されるために、第2インクカートリッジ10Bの第2端子群30Bでのピンアサインを利用することができる。図4では、第2接続検出端子30B4が第2端子群30Bの中のグランド端子30B5と短絡されている。こうすると、第2インクカートリッジ10Bがプリンター本体100に装着された場合には、グランド端子30B5と短絡された第1接続検出端子30B4の電位が第2接続検出ノードND2に反映される。
【0040】
ここで、第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2に共にLOWレベルである状態、つまり(ND1,ND2)=(L,L)とは、第1,第2インクカートリッジ10A,10Bが同時に装着されない限り生じ得ないエラー状態となる。このように、作為的な装着状態のときにのみノードND1,ND2の一方のLOWレベルを実現することで、エラー状態の発生を低減するとともに誤検出も低減できる。
【0041】
なお、図4では第1,第2接続検出端子30A3,30B4とそれぞれ短絡される端子をグランド端子としたが、それに限定されない。図4のグランド端子30A2は第1回路基板20A等の内部にて第1接続検出端子30A3と短絡された第1内部短絡端子30A2と称することができる。同様に、図4のグランド端子30B5は第2回路基板20B等の内部にて第2接続検出端子30B4と短絡された第2内部短絡端子30B5と称することができる。つまり、第1内部短絡端子30A2と短絡された第1接続検出端子30A3の電位が第1接続検出ノードND1に反映されれば良い。同様に、第2内部短絡端子30B5と短絡された第1接続検出端子30B4の電位が第2接続検出ノードND2に反映されれば良い。
【0042】
3.具体的な実施形態
3.1.プリンター本体
図6〜図23は、本発明のより具体的な実施形態を示している。図6はプリンター本体100のブロック図である。図6では、プリンター本体100は、端子群110と、第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2を含む複数ノードND1〜NDmとにそれぞれ接続される切換え回路130と、第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2を除く複数のノードND3〜NDmのそれぞれの電位を設定する電位設定回路140と、さらに有することができる。
【0043】
切換え回路130は、電位設定回路140にて設定される電位に基づいて、端子群110を第1端子群30Aに接続してアクセスする第1アクセス状態と、端子群110を第2端子群30Bに接続してアクセスする第2アクセス状態と、第1アクセス状態及び第2アクセス状態とは異なる接続検出状態に設定する。判定部120は、接続検出状態の時の第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2の各レベルに基づいて、第1,第2インクカートリッジ10A,10Bの装着/未装着状態を判定する。
【0044】
ここで、第1アクセス状態では、電位設定回路140にて設定される電位に基づいて、端子群110が第1端子群30Aのピンアサインに適合した信号、電源が供給できるように、切換え回路130により複数のノードND3〜NDmの一部と第1端子群30Aとが接続される。同様に、第2用状態では、電位設定回路140にて設定される電位に基づいて、端子群110が第2端子群30Bのピンアサインに適合した信号、電源が供給できるように、切換え回路130により複数のノードND3〜NDmの一部と第2端子群30Bとが接続される。
【0045】
また、接続検出状態の時には、電位設定回路140より切換え回路130に供給される電位により、例えば図5と同様に、第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2が共にHIGHレベルであると検出された時は、判定部120は第1インクカートリッジ10A及び第2インクカートリッジ10Bが未装着であると判定することができる。さらに、図5と同様に、第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2のいずれがLOWレベルであるかを検出することで、第1インクカートリッジ10A及び第2インクカートリッジ10Bのいずれが装着されているかを判定することができる。この場合も、第1接続検出ノードND1及び第2接続検出ノードND2に共にLOWレベルである状態はエラーとなるが、作為的な装着状態のときにのみノードND1,ND2の一方のLOWレベルを実現することで、エラー状態の発生を低減するとともに誤検出も低減できる。
【0046】
3.2.第1,第2端子群
図7(A)(B)に、図2(A)及び図3(A)とは異なる配列の第1,第2端子群30A,30Bを示す。図7(A)(B)に示す第1端子群30Aと第2端子群30Bは、中心線に対して線対象に配置される全7端子は、3つの端子が上段に配置され、4つの端子が下段に配置されている。
【0047】
図7(A)に示す第1端子群30Aのピンアサインとして、第1端子30A1は第1グランド(GND))端子、第2端子30A2は入出力(I/O)端子、第3端子30A3はライト/リード(W/R)端子、第4端子30A4は第1電源(VDD)端子、第5端子30A5はクロック(CLK)端子、第6端子30A6はチップセレクト(CS)端子、および第7端子30A7は第1接続検出端子(CO)となっている。第1グランド(GND))端子と第7端子30A7は第1接続検出端子(CO)とは、図示しない配線(短絡線31)で接続されている。
【0048】
図7(B)に示す第2端子群30Bのピンアサインとして、第1端子30B1はデータ(SDA)端子、第2端子30B2は第2電源(VDD)端子、第3端子30B3は接続検出入力(COI)端子、第4端子30B4は第2接続検出端子(COO)端子、第5端子30B5は第2グランド(GND)端子、第6端子30B6はクロック(SCK)端子、および第7端子30B7はリセット(RST)端子となっている。接続検出入力(COI)端子と、第2接続検出端子(COO)端子とは、図示しない配線(短絡線32)で接続されている。
【0049】
3.3.切換え回路と複数のノード
図8は、図6に示す切換え回路130及び複数のノードND1〜NDmの具体例を示している。なお、図8では第1インクカートリッジ10AをAタイプと称し、第2インクカートリッジ10BをBタイプと称している。端子群110は、図7(A)(B)の第1,第2端子群30A,30Bに択一的に接続される7端子が、図7(A)(B)と同一配列にて配置されている。複数のノードND1〜NDmとして、第1,第2接続検出ノードND1,ND2を含む全13ノード(m=13の例)が設けられている。
【0050】
第1,第2端子群30A,30Bの各7端子計14端子のうち、接続検出時のみに用いられる第2端子群30Bの第3端子(接続検出入力端子)30Bに対応するノードとして、第1端子群30Aの第3端子(W/R)30A3に対応するノードTypeA_W/Rが兼用される。これにより、14−1=13個のノードND1〜NDmが設けられている。複数のノードND1〜NDmのうち、ノードTypeA_VDD、TypeB_VDD、TypeA_GND及びTypeB_GNDを除く9つのノードは、端子群110のうち第1,第2端子群30A,30Bのピンアサインと対応する端子に接続されている。
【0051】
図8に示す切換え回路130は、スイッチングトランジスターQ1〜Q4と、インバーターIND1,2と、バッファーBF1〜BF7と、抵抗R1〜R7とを含んでいる。スイッチングトランジスターQ1〜Q4は、接続検出により判明した装着タイプA,Bに応じた電源電圧を第1端子群30Aまたは第2端子群30Bに供給するものである。
【0052】
P型トランジスターQ1は、ノードTypeA_VDDの電位がインバーターIND1を介してゲートに入力され、オン駆動されることで電源電圧VDD1(例えば5V)を端子群110の第4端子を介してタイプA(第1端子群30A)のVDD端子30A4に供給する。P型トランジスターQ2は、ノードTypeB_VDDの電位がインバーターIND2を介してゲートに入力され、オン駆動されることで電源電圧VDD2(例えば3.5V)を端子群110の第2端子を介してタイプB(第2端子群30B)のVDD端子30A4に供給する。N型トランジスターQ3は、ノードTypeA_GND(第1グランド制御ノード)の電位が抵抗R3を介してゲートに入力され、オン駆動されることでグランド電圧(0V)を端子群110の第1端子を介してタイプA(第1端子群30A)のGND端子30A1に供給する。N型トランジスターQ4は、ノードTypeB_GND(第2グランド制御ノード)の電位が抵抗R4を介してゲートに入力され、オン駆動されることでグランド電圧(0V)を端子群110の第5端子を介してタイプB(第2端子群30B)のGND端子30B5に供給する。
【0053】
また、バッファーBF4〜BF7は、第1電源制御ノードTypeA_VDDまたは第2電源制御ノードTypeB_VDDの電位に従って出力ハイインピーダンス(Hi−Z)状態に設定することができ、それにより端子群110側との接続を切断することが可能となっている。それらの切換え動作や、切換え回路130中の他の素子については、動作説明時にて説明する。
【0054】
3.4.初期化、接続検出状態、移行(待機)状態及びアクセス状態
図9は接続検出状態の動作フローチャートである。プリンター本体100の電源がONされると(S1)、ノードND3〜NDmを含む本体側制御信号が初期化される(S2)。その後に接続検出状態に設定され(S3)、第1接続検出ノードND1(TypeA_CO)及び第2接続検出ノードND2(TypeB_CO)のレベルが判断される(S4)。ステップS4の判断結果に従い、図5と同じく装着/未装着が判別され(S5−S7)、接続状態検出後の状態に設定する(S7,S8)。
【0055】
3.4.1.未装着状態
図10は、図9のステップS3に示す接続検出状態(双方未装着)での複数のノードND1〜NDmの電位と切換え回路130の回路状態を示している。図10において、複数のノードND1〜NDmのうち、第1,第2接続検出ノードND1,ND2以外のノードND3〜NDmは、図6に示す電位設定回路140によりHigh、LowまたはHi−z状態に設定されている。なお、図10において、実線が接続状態であり、破線は断線状態を表している。
【0056】
接続検出状態では電源電圧VDD1,VDD2を供給していない。このために、P型トランジスターQ1,Q2は、第1電源制御ノードTypeA_VDD及び第2電源制御ノードTypeB_VDDのLow電位をインバーターIND1,IND2でそれぞれ反転したHigh電位が各ゲートに供給されることでOFFされている。また、第1電源制御ノードTypeA_VDD及び第2電源制御ノードTypeB_VDDが共にLow電位であるから、図10の通りバッファーBF4〜BF6は出力Hi−z状態とされる。
【0057】
接続検出状態では、電位設定回路140によりノードTypeA_GND(第1グランド制御ノード)及びTypeB_GND(第2グランド制御ノード)だけをHighとしている。なお、図9のステップS2に示す初期化状態では、ノードTypeA_GND(第1グランド制御ノード)及びTypeB_GND(第2グランド制御ノード)はLowである。
【0058】
第1接続検出ノードND1(TypeA_CO)及び第2接続検出ノードND2(TypeB_CO)は、第1,第2インクカートリッジ10A,10Bが共に未装着である図10の場合には、図5の通り共にHighに設定される。その理由は、第1接続検出ノードND1(TypeA_CO)は、バッファーBF6が出力Hi−z状態であるので、抵抗R2を介してKKノードTypeA_GND(第1グランド制御ノード)に接続される。TypeA_GND(第1グランド制御ノード)がHighであるので、第1接続検出ノードND1(TypeA_CO)もHighに設定できる。一方、第2接続検出ノードND2(TypeB_CO)は、P型トランジスターQ1がオフ状態であるので、抵抗R1及びバッファーBF7を介してノードTypeB_GND(第2グランド制御ノード)に接続される。ノードTypeB_GND(第2グランド制御ノード)がHighであるので、第2接続検出ノードND2(TypeB_CO)もHighに設定できる。
【0059】
このように、接続検出状態の時に、第1グランド制御ノードTypeA_GND及び前記第2グランド制御ノードTypeB_GNDを共にアクティブ(High)電位とすることで、無駄な電力を要せずにインクカートリッジの未装着状態を検出できる。
【0060】
3.4.2.第1インクカートリッジ(タイプA)の装着状態
図11は、図10に示す接続検出状態でのプリンター本体100に、第1インクカートリッジ(Aタイプ)10Aが装着されている状態を示している。図7(A)に示す第1インクカートリッジ10Aの第1端子群30Aのうち、図11に示すように第1接続検出端子(CO)30A7とグランド端子(GND)30A1とは、短絡線31にて短絡されている。
【0061】
図11において、第1接続検出ノードND1(TypeA_CO)は、接続端子群110の第7端子、第1端子群30Aの第1接続検出端子(CO)30A7及び短絡線31を介してグランド端子(GND)30A1と接続される。グランド端子(GND)30A1は、第1グランド制御ノードTypeA_GNDのHigh電位がゲートに供給されるN型トランジスターQ3がオンしているので接地されている。よって、図11では、図10とは異なり第1接続検出ノードND1(TypeA_CO)がLowとなる。これにより、図9のステップS4での判断に従い、ステップS6にて第1インクカートリッジ10Aが装着されていると判断される。
【0062】
この後、図9のステップS8に従い、接続検出状態(図11)からアクセス状態(図13)に移行する途中の移行状態または待機状態(図12)に切換えられる。このとき、電位設定回路140は、未装着であると検出された第2インクカートリッジ(Bタイプ)10Bの第2グランド制御ノードTypeB_GNDを、図10に示すHighからLowに変化させる(図12)。これにより、図12においてN型トランジスターQ4がOFFされるので、ノードTypeA_CLKを、バッファーBF3を介して端子群110の第5端子を経て第1端子群30AのCLK端子とのみ接続させることができる。さらに、図12において、ノードTypeA_I/OがHi−zからLowに変化される。なお、図12の移行(待機)状態も、図11の接続検出状態と同じく低消費電力モードである。この第1インクカートリッジ10Aが装着されている時の初期状態、接続検出状態及び移行(待機)のノード及び端子群の電位変化は、図14に示すタイミングチャートの通りとなる。
【0063】
図13は、図12の移行(待機)状態後のアクセス状態での複数のノードND1〜NDmの電位と切換え回路の回路状態を示している。アクセス状態では、第1電源制御ノードTypeA_VDDがHighとされてP型トランジスターQ1を介して電源電圧VDD1(5V)が供給される。さらに、ノードTypeA_I/O、TypeA_W/R及びTypeA_CLKがアクセス状況に応じてHigh及びLowに変化され、第1回路基板20Aの記憶装置40Aがプリンター本体100によりアクセスされる。
【0064】
3.4.3.第2インクカートリッジ(タイプB)の装着状態
図15は、図10に示す接続検出状態でのプリンター本体100に、第2インクカートリッジ(Bタイプ)10Bが装着されている状態を示している。図7(B)に示す第2インクカートリッジ10Bの第1端子群30Bのうち、図15に示すように第2接続検出端子(COO)30B4と接続検出入力端子(COI)30B3とは、短絡線32にて短絡されている。
【0065】
図15において、第2接続検出ノードND1(TypeB_CO)は、接続端子群110の第3端子、第2端子群30Bの接続検出入力端子(COI)30B3、短絡線32、第2端子群30Bの第2接続検出端子(COO)30B4、接続端子群110の第4端子及びバッファーBF1,2を介してTtpeA_W/Rノードと接続される。TtpeA_W/RノードはLowに設定されるので、図15では、図10及び図11とは異なり第2接続検出ノードND2(TypeB_CO)がLowとなる。これにより、図9のステップS4での判断に従い、ステップS7にて第2インクカートリッジ10Bが装着されていると判断される。
【0066】
この後、図9のステップS9に従い、接続検出状態(図15)からアクセス状態(図17)に移行する途中の移行状態(図16)に切換えられる。このとき、電位設定回路140は、未装着であると検出された第1インクカートリッジ(Aタイプ)10Aの第1グランド制御ノードTypeA_GNDを、図10に示すHighからLowに変化させる(図16)。これにより、図16においてN型トランジスターQ3がOFFされるので、ノードTypeB_SDAが接地電源ラインから切り離され、端子群110の第1端子を経て第2端子群30BのSDA端子とのみ接続させることができる。さらに、図16において、ノードTypeB_SDAがHi−zからLowに変化される。この第1インクカートリッジ10Aが装着されている時の初期状態、接続検出状態及び移行(待機)状態のノード及び端子群の電位変化は、図18に示すタイミングチャートの通りとなる。
【0067】
図17は、図16の移行状態後のアクセス状態での複数のノードND1〜NDmの電位と切換え回路の回路状態を示している。アクセス状態では、第2電源制御ノードTypeB_VDDがHighとされてP型トランジスターQ2を介して電源電圧VDD2(3.5V)が供給される。さらに、ノードTypeB_SDA及びTypeA_SCKがアクセス状況に応じてHigh及びLowに変化され、第2回路基板20Bの記憶装置40Bがプリンター本体100によりアクセスされる。
【0068】
3.5.インクカートリッジの交換
本実施形態では、プリンター本体100に第1,第2インクカートリッジ10A,10Bが交換された際にも、それを認識することができる。この交換時の検出動作が図19に示すフローチャートと、図20〜図23に示すタイミングチャートに示されている。
【0069】
図19において、インクカートリッジ10A,10Bの交換時の動作(S1)は、図20〜図23に示すように、図12及び図16と同じ移行状態と同一の状態(待機状態)により実施している。
【0070】
図19では、現在装着されているインクカートリッジの種類が判定される(S2)。ステップS2の判定結果は、予め実施されている上述した接続検出結果を記憶することでプリンター本体100は認識している。よって、プリンター本体100は、第1インクカートリッジ(Aタイプ)10Aが装着されていれば、第1接続検出ノード(TypeA_CO)ND1の電位がLow(装着状態)からHigh(未装着状態)に変異するか否かを監視する(S3)。図19のステップS3がYESとなると、図20及び図21のX1に示すように第1接続検出ノードTypeA_COがLow(図12の待機状態)からHighに転ずる。これにより、判定部120は第1インクカートリッジ10Aが離脱されたことが分かる。
【0071】
一方、プリンター本体100は、第2インクカートリッジ(Bタイプ)10Bが装着されていれば、第2接続検出ノード(TypeB_CO)ND2の電位がLow(装着状態)からHigh(未装着状態)に変異するか否かを監視する(S4)。図19のステップS4がYESとなると、図22及び図23のX3に示すように第2接続検出ノードTypeB_COがLow(図16の待機状態)からHighに転ずる。これにより、判定部120は第2インクカートリッジ10Bが離脱されたことが分かる。
【0072】
図19のステップS3またはS4がYESであると、プリンター本体100は図9のステップS3に示す接続検出状態に再設定される。図20のステップS5及びS6の動作は、複数のノードDM3〜DNmの設定電位を、図10に示す接続検出状態に設定していることに他ならない。また、図19のステップS7〜S13は、図9に示すステップS4〜S9の装着タイプの判別ステップと実質的に同じである。つまり、第1,第2グランド制御ノードTypeA_GND、TypeB_GNDを共にHigh(図21〜図23のX2,X4)として、上述した動作に基づき第1,第2接続検出ノードTypeA_CO、TypeB_COの一方がHighからLowに転ずることを検出している(図21〜図23のX5〜X8)。なお、図19のステップ8で未装着状態が検出された場合、ステップS7に戻っていずれのカートリッジが装着される否かの判断が繰り返し実施される。また、図19のステップ8での判断がNOであるときとは、上述した通り(ND1,ND2)=(L,L)となるエラーであると判断される(S9)。
【0073】
本実施形態では、回路基板上の端子の形状を矩形状としたが、端子形状はこれに限定されず、プリンター本体の端子との電気的な接続が可能であればどのような形状でもよい。
【0074】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また印刷装置本体、記録材容器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0075】
10A 第1記録材供給容器(第1インクカートリッジ)、10B 第2記録材供給容器(第1インクカートリッジ)、30A 第1端子群、30B 第2端子群、100 印刷装置本体(プリンター本体)、110 端子群、120 判定部、130 切換え回路、140 電位設定回路、ND1,TypeA_CO 第1接続検出ノード、ND2,TypeB_CO 第2接続検出ノード、TypeA_VDD 第1電源制御ノード、TypeB_VDD 第2電源制御ノード、TypeA_GND 第1グランド制御ノード、TypeB_GND 第2グランド制御ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記録材供給容器及び第2記録材供給容器の少なくとも一方が装着される印刷装置本体を有する印刷装置であって、
前記第1記録材供給容器は、第1接続検出端子を含む第1端子群を有し、
前記第2記録材供給容器は、第2接続検出端子を含む第2端子群を有し、
前記第1端子群と前記第2端子群の数と配置が同じであり、かつ、前記第1記録材供給容器に対する前記第1接続検出端子の相対位置が、前記第2記録材供給容器に対する前記第2接続検出端子の相対位置とは異なり、
前記印刷装置本体は、
前記第1端子群及び前記第2端子群に択一的に接続される端子群と、
前記端子群の中の2つの端子に前記第1接続検出端子または前記第2検出端子が接続/非接続となることで変化する少なくとも2つの第1接続検出ノード及び第2接続検出ノードの各レベルに基づいて、前記第1記録材供給容器及び前記第2記録材供給容器の装着/未装着を判定する判定部と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1記録材供給容器は、前記第1接続検出端子が、前記第1端子群の中の第1内部短絡端子と短絡されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2記録材供給容器は、前記第2接続検出端子が、前記第2端子群の中の第2内部短絡端子と短絡されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1において、
印刷装置本体は、
前記端子群と、前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードを含む複数のノードとにそれぞれ接続される切換え回路と、
前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードを除く前記複数のノードの電位を設定する電位設定回路と、
をさらに有し、
前記切換え回路は、前記電位設定回路により設定される電位に基づいて、前記端子群を前記第1端子群に接続してアクセスする第1アクセス状態と、前記端子群を前記第2端子群に接続してアクセスする第2アクセス状態と、前記第1アクセス状態及び前記第2アクセス状態とは異なる接続検出状態とに切換え、
前記判定部は、前記接続検出状態の時の前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードの各レベルに基づいて判定することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記判定部は、
前記接続検出状態の時に、前記電位設定回路により前記切換え回路を介して供給される電位により、前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードに共にHIGHレベルであると検出した時は、前記第1記録材供給容器及び前記第2記録材供給容器が未装着であると判定し、
前記第1接続検出ノード及び前記第2接続検出ノードのいずれがLOWレベルであるかを検出することで、前記第1記録材供給容器及び前記第2記録材供給容器のいずれが装着されているかを判定することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記第1端子群は第1グランド端子及び第1電源端子を含み、
前記第2端子群は第2グランド端子及び第2電源端子を含み、前記第2端子群の中での前記第2グランド端子及び前記第2電源端子の相対位置が前記第1端子群の中での前記第1グランド端子及び前記第1電源端子の相対位置と異なり、
前記複数のノードは、前記第1アクセス状態の時に前記1グランド端子と接続される端子を接地制御する第1グランド制御ノードと、前記第1アクセス状態の時に前記1電源端子と接続される端子に電源電圧を供給制御する第1電源制御ノードと、前記第2アクセス状態の時に前記2グランド端子と接続される端子を接地制御する第2グランド制御ノードと、前記第2アクセス状態の時に前記2電源端子と接続される端子に電源電圧を供給制御する第2電源制御ノードと、を含み、
前記電位設定回路は、
前記接続検出状態の時に、前記第1グランド制御ノード及び前記第2グランド制御ノードを共にアクティブ電位とし、前記第1電源制御ノード及び前記第2電源制御ノードを共に非アクティブ電位とすることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記電位設定回路は、
前記第1アクセス状態の時に、前記第1グランド制御ノード及び前記第1電源制御ノードをアクティブ電位とし、前記第2グランド制御ノード及び前記第2電源制御ノードを非アクティブ電位とし、
前記第2アクセス状態の時に、前記第1グランド制御ノード及び前記第1電源制御ノードを非アクティブ電位とし、前記第2グランド制御ノード及び前記第2電源制御ノードをアクティブ電位とすることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記電位設定回路は、前記接続検出状態にて前記第1記録材供給容器及び前記第2記録材供給容器のいずれか一方の装着を検出した後であって、前記第1アクセス状態及び前記第2アクセス状態以外の時に、前記第1アクセス状態または前記第2アクセス状態に対して前記第1電源制御ノード及び前記第2電源制御ノードの双方を非アクティブ電位に変更した待機状態に設定し、
前記判定部は、前記待機状態にて、前記第1接続検出ノード及び前記第2の接続検出ノードのうちの一方のレベル変化を監視することを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記判定部が前記待機状態にて前記第1接続検出ノード及び前記第2の接続検出ノードのうちの一方のレベル変化を検出した時は、前記切換え回路は、前記電位設定回路により設定される電位に基づいて、前記待機状態から前記接続検出状態に切換えることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−192553(P2012−192553A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56578(P2011−56578)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】