説明

印刷装置

【課題】用紙トレイにセットされている記録紙としての各種封筒への、郵便暗号や宛先、宛名の印刷位置の確認が事前に可能な印刷装置の提供。
【解決手段】印刷装置1は、用紙トレイにセットされた封筒に少なくともあて先を印刷するもので、用紙トレイにセットされた封筒の宛先印刷面をスキャンし読み取った宛先印刷面の画像に基づいて封筒のサイズを検知する封筒サイズ検知部41と、読み取った封筒のサイズに応じてあて先の印刷位置を定める印刷位置設定部42と、読み取ったあて先印刷面の画像とあて先の画像を、印刷位置設定部42で定められた位置で合成するデータ合成処理部43と、を備え、表示部33に合成された封筒の宛先印刷画像をプレビュー表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙としての封筒に印刷を行なう印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の印刷装置の分野において、A4,B4等の定型サイズの用紙だけでなく、葉書、封筒、名刺といった不定型のサイズの用紙へも画像を印刷可能なものは従来より知られている。このような複写機やプリンタで、葉書や封筒に郵便番号、宛先、宛名を印刷する場合、記録紙としての葉書や封筒を用紙トレイにセットする際、その印刷面(表裏)や向き(上下)を適切にする必要があり、セットミスしていた場合、正しく印刷できない。
【0003】
特許文献1には、セットされた葉書を給紙した際に葉書面をスキャンして解析し、葉書のセット状態を判断することで、葉書の印刷面や向きを間違ってセットした場合には、ユーザが印刷前に葉書を正しい方向にセットし直すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−240382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1には、記録紙が封筒の場合の郵便番号や宛先、宛名の印刷位置の位置合わせについて何ら記載されていない。記録紙がはがきの場合、許容される大きさに関しては通常サイズ(官製はがきと往復はがき)と、大判サイズの2種類の規格が定められている。しかし、封筒については、任意の大きさのものが許容されている。そのため、郵便番号や宛先、宛名の印刷位置の位置合わせが必要となる。さらに、封筒を印刷装置にセットする際、封筒のふたを開けた状態にするか閉じた状態にするかによっても、郵便番号等の印刷位置を位置合わせしなければならない。このような問題に対し、特許文献1は、何ら開示するものではない。
【0006】
本発明は、上述のような実情を鑑み、用紙トレイにセットされている記録紙としての各種封筒への、郵便暗号や宛先、宛名の印刷位置の確認が事前に可能な印刷装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、用紙トレイにセットされた封筒に少なくともあて先を印刷する印刷装置であって、セットされた前記封筒の宛先印刷面をスキャンし読み取った宛先印刷面の画像に基づいて封筒のサイズを検知する封筒サイズ検知部と、前記読み取った封筒のサイズに応じてあて先の印刷位置を定める印刷位置設定部と、前記読み取ったあて先印刷面の画像とあて先の画像を、前記印刷位置設定部で定められた位置で合成する画像合成部と、を備え、表示装置に前記合成された封筒の宛先印刷画像をプレビュー表示することを特徴としたものである。
【0008】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記読み取った前記あて先印刷面の画像を表示装置にプレビュー表示することを特徴としたものである。
【0009】
本発明の第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記印刷位置設定部が、前記あて先印刷面の領域を所定の割合で配分して前記あて先の印刷位置を定めることを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第4の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記印刷位置設定部が、前記あて先印刷面の読み取り画像の解析部を有し、郵便番号記入欄の記載が確認された場合、郵便番号の印刷位置を前記解析された郵便番号記入欄の位置に定めることを特徴としたものである。
【0011】
本発明の第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段において、前記プレビューされた封筒のあて先印刷画像におけるあて先印刷位置を修正することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の印刷装置によれば、用紙トレイにセットされている記録紙としての各種封筒への、郵便暗号や宛先、宛名の印刷位置の確認が事前にできるので、封筒への印刷ミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の印刷装置の一例の外観図である。
【図2】封筒スキャン部の一例を説明する図である。
【図3】封筒スキャン部の他の例を説明する図である。
【図4】図1の印刷装置の機能要素の回路構成例を示すブロック図である。
【図5】図2の印刷装置が行うプレビュー表示の際に表示される画面の一例を説明する図である。
【図6】図4の印刷装置における封筒スキャン処理の一例を説明する図である。
【図7】図4の印刷装置における印刷処理の一例を説明する図である。
【図8】図7のステップS13のプレビュー表示処理の一例を説明する図である。
【図9】図7のステップS14の印刷処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の印刷装置の一例の外観図である。本発明の印刷装置は、図の参照符号1で例示するように、用紙として封筒がセットされる用紙トレイTを備え、該用紙トレイTにセットされた封筒に少なくともあて先を印刷するものである。この印刷装置1は、その特徴の1つとして、用紙トレイTにセットされた封筒のあて先印刷面をスキャンする封筒スキャン部を備える。
【0015】
図2及び図3は、封筒スキャン部の例を説明する図である。
図2の例の封筒スキャン部は、封筒Fがセットされた用紙トレイTの全体を覆うように載置され、用紙トレイTの内部を走査するスキャナユニット21から構成されている。
図3の例の封筒スキャン部は、封筒Fがセットされた用紙トレイTから印刷部へ通じる用紙搬送路P中に設けられたイメージセンサ22から構成されている。
スキャンされた封筒の画像は後述のようにプレビュー表示に用いられる。図3の構成では、プレビュー表示前に1枚給紙する必要がある。
【0016】
図4は、図1の印刷装置1の機能要素の構成例を示すブロック図である。
印刷装置1は、図4に示すように、例えば、有線LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して、PC(Personal Computer)10と接続されている。PC10は、データ印刷要求部11を介してユーザから受け付けた指示に従って、送信部12を介して印刷要求を印刷装置1に送信する。
印刷装置1は、PC10から受信した印刷要求に基づいて、印刷を行うプリンタであり、封筒スキャン部2と装置本体部3より成る。
【0017】
封筒スキャン部2は、用紙トレイにセットされた封筒のあて先印刷面をスキャンするもので、封筒がセットされた用紙トレイの内部を走査するスキャナユニット21(図2参照)等から構成される画像読取部(以下、画像読取部21という)と、読み取った封筒の画像に基づき画像データを生成する画像データ生成部23と、画像データを信号線Lに適合した形態のコマンドに変換するコマンド生成部24と、を備え、インタフェース25を介して、信号線Lを通じて上記コマンドを装置本体部3に送信する。
【0018】
装置本体部3は、制御部31と、HDD/メモリ32と、表示部33と、操作部34と、要求処理部35と、受信部36と、印刷処理部37と、コマンド解析部38と、インタフェース39と、情報解析部40と、封筒サイズ検知部41と、印刷位置設定部42と、データ合成処理部43と、を備える。
【0019】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、HDD/メモリ32に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行することにより、装置本体部3の各種動作及び制御を行う。HDD/メモリ32は、印刷装置1を動作させる為の各種データやプログラムなどを記憶する。
表示部33は、各種情報を表示するもので、液晶ディスプレイ等から成る。操作部34は、各種指示操作を受け付けるもので、キー群や、液晶ディスプレイと共にタッチパネルを構成するタッチセンサから成る。
【0020】
要求処理部35は、受信部36を介して受信した印刷要求を処理して印刷画像を生成し、HDD(Hard Disk Drive)/メモリ32に記憶する。印刷処理部37は、HDD/メモリ32に記憶の印刷画像を用紙トレイから給紙された記録紙上に印刷する。
【0021】
コマンド解析部38は、封筒スキャン部2から信号線Lを通じてインタフェース39を介して受信したコマンドを解析し画像データを生成する。情報解析部40は、コマンド解析部38が生成した画像データに基づいて、封筒のあて先印刷面の画像(以下、あて先印刷面画像という)を生成し、HDD/メモリ32に記憶する。
封筒サイズ検知部41は、あて先印刷面画像に基づいて、用紙トレイにセットされた封筒のサイズを検知する。
印刷位置設定部42は、封筒サイズ検知部41により検知された封筒のサイズに応じてあて先の印刷位置を定める。
【0022】
データ合成処理部43は、封筒へのあて先の印刷を指示する印刷要求を印刷装置1が受信したときに、HDD/メモリ32に一旦記憶されている印刷画像すなわちあて先画像と同様に記憶されている封筒のあて先印刷面画像とを、印刷位置設定部42で定められた位置で合成する画像合成部である。合成されたプレビュー画像は、表示部33に表示される。
【0023】
図5は、印刷装置1が行うプレビュー表示の際に表示される画面の一例を説明する図である。
【0024】
GUI画像50は、あて先画像と封筒のあて先印刷面画像とが合成されたプレビュー画像51をGUI画像に組み込んで表示している。ユーザは、このプレビュー画像51により、用紙トレイにセットされている封筒への、郵便暗号や宛先、宛名の印刷位置の確認が事前にできる。
また、GUI画像50には、印刷開始キー52が表示されており、ユーザはこの印刷開始キー52を操作することによって、印刷処理部37による、封筒の印刷位置設定部42で定められた位置へのあて先画像の印刷が開始される。
【0025】
さらに、プレビュー画像において封筒の郵便番号記入欄と宛名が重なってしまっていて印刷位置が不適当な場合等に、ユーザがGUI画像を見ながらGUI画像に対して操作を行なったり操作部34のキー群の操作を行なったりすることにより、あて先印刷位置の調整が可能である。このようなあて先印刷位置の調整操作は、操作部34が受け付け、印刷位置の調整情報は、HDD/メモリ32に記憶される。
あて先印刷位置の調整操作の後に印刷を行なう場合、印刷装置1では、HDD/メモリ32に記憶の印刷位置の調整情報に従って、印刷処理部37があて先画像をズラした印刷画像を生成し、すなわち、ズラした位置に封筒への印刷を行なう。
【0026】
また、印刷位置設定部42においてあて先の印刷位置を定める方法は、例えば、あて先印刷面の領域を所定の割合で配分してあて先の印刷位置を定める方法である。より具体的には、例えば、中央の20%の領域を宛名用に割当て、右上の10%の領域を郵便番号用の領域に割当て、右の15%の領域を住所欄に割り当てる方法である。
【0027】
さらに、印刷位置設定部42が、あて先印刷面の読取り画像の解析部(不図示)を備え、解析の結果、郵便番号記入欄が確認された場合、印刷位置設定部42は、郵便番号の印刷位置を解析された郵便番号記入欄の位置に定めるようにしてもよい。
【0028】
図6は、図4の印刷装置1における封筒スキャン処理の一例を説明する図である。
印刷装置1は、図示するように、用紙トレイへ封筒がセットされたことが検出されると(ステップS1)、用紙トレイにセットされた封筒のあて先印刷面を封筒スキャン部2でスキャンする(ステップS2)。そして、スキャンにより得られたあて先印刷面の画像は、情報解析部40等を経てHDD/メモリ32に封筒画像として記憶される(ステップS3)。
【0029】
図7は、図4の印刷装置1における印刷処理の一例を説明する図である。
印刷装置1は、図示するように、封筒へのあて先の印刷を指示する印刷要求をPC10から受信すると(ステップS11)、要求処理部35により印刷要求を処理してあて先画像を生成し、HDD/メモリ32に記憶する(ステップS12)。そして、HDD/メモリ32に記憶のあて先印刷面の画像とあて先画像とに基づいてデータ合成処理部41や表示部33により後述の図8で例示するプレビュー表示処理を行ない(ステップS13)、印刷処理部37により後述の図9で例示する印刷処理を行なう(ステップS14)。
【0030】
図8は、図7のステップS13のプレビュー表示処理の一例を説明する図である。
印刷装置1は、図示するように、まず、あて先印刷面画像に基づいて、用紙トレイにセットされた封筒のサイズを封筒サイズ検知部41により検知する(ステップS21)。そして、封筒サイズ検知部41により検知された封筒のサイズに応じてあて先の印刷位置を印刷位置設定部42により定め(ステップS22)、HDD/メモリ32に記憶のあて先画像とあて先印刷面画像とを印刷位置設定部42で定められた位置でデータ合成処理部41により合成しプレビュー画像として表示部33に表示する(ステップS23)。
【0031】
そして、操作部34を介して印刷位置の調整操作がなされたか否か判定する(ステップS24)。印刷位置の調整操作がない場合(NOの場合)、ステップS27に直接進むが、印刷位置の調整操作があった場合(YESの場合)、印刷位置の調整情報をHDD/メモリ32に記憶し、データ合成処理部41により、当該印刷位置の調整情報に従ってあて先画像をシフトさせてプレビュー画像を再合成/作成し(ステップS25)、表示部33に表示してから(ステップS26)、ステップS27に移行する。
ステップS27では、図5のGUI画像50に対する印刷開始キー52への操作の有無に基づいて、印刷開始要求があったか否か判定する。印刷開始要求がない場合(NOの場合)、ステップS42に戻り、印刷開始要求があった場合(YESの場合)、図7のステップS12に処理が移行する。
【0032】
図9は、図7のステップS14の印刷処理の一例を説明する図である。
印刷装置1は、図示するように、まず、印刷位置の調整情報がHDD/メモリ32に記憶されているか否かに基づいて印刷位置の調整操作がなされたか否か判定する(ステップS31)。
印刷位置の調整操作がない場合(NOの場合)、印刷処理部37は、HDD/メモリ32に記憶のあて先画像を、封筒の印刷位置設定部42で定められた位置へ印刷し(ステップS32)、一方、印刷位置の調整操作があった場合(YESの場合)、封筒の印刷位置設定部42で定められた位置からHDD/メモリ32に記憶の印刷位置の調整情報に従ってズラした位置に、HDD/メモリ32に記憶の印刷画像を印刷する(ステップS33)。
【0033】
なお、印刷装置1では、封筒へのあて先の印刷要求が入力されるまでの間、用紙トレイにセットされている封筒のあて先印刷面の画像を表示部33に表示するようにしてもよい。ユーザは、この画像を見ることにより、封筒が上下逆にして用紙トレイにセットされていないか等、封筒が用紙トレイに正しくセットされているかを確認することができる。
【0034】
以上では、本発明を、PCから入力された画像の印刷を行なうプリンタとして構成した例で説明したが、本発明は、複写機として構成された印刷装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…印刷装置、2…封筒スキャン部、21,22…画像読取部、3…装置本体部、41…印刷位置設定部、42…封筒サイズ検知部、43…データ合成処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙トレイにセットされた封筒に少なくともあて先を印刷する印刷装置であって、
セットされた前記封筒の宛先印刷面をスキャンし読み取った宛先印刷面の画像に基づいて封筒のサイズを検知する封筒サイズ検知部と、
前記読み取った封筒のサイズに応じてあて先の印刷位置を定める印刷位置設定部と、
前記読み取ったあて先印刷面の画像とあて先の画像を、前記印刷位置設定部で定められた位置で合成する画像合成部と、を備え、表示装置に前記合成された封筒の宛先印刷画像をプレビュー表示することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記読み取った前記あて先印刷面の画像を表示装置にプレビュー表示することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷位置設定部は、前記あて先印刷面の領域を所定の割合で配分して前記あて先の印刷位置を定めることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷位置設定部は、前記あて先印刷面の読み取り画像の解析部を有し、郵便番号記入欄の記載が確認された場合、郵便番号の印刷位置を前記解析された郵便番号記入欄の位置に定めることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記プレビューされた封筒のあて先印刷画像におけるあて先印刷位置を修正する操作部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−82156(P2013−82156A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224607(P2011−224607)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】