説明

印字ユニット及び現金自動取引装置

【課題】明細票の用紙を無駄にすることなく題字印字エリアへの印字内容の変更を可能とした印字ユニット及び該印字ユニットを備えた現金自動取引装置を得る。
【解決手段】前記印字ユニットは、ロール紙14、印字ヘッド20、カッター21、排出口17がこの順に配置されて構成されており、取引時に印字される明細票は、該明細票の先頭に位置する題字印字エリアに印字する固定的(本発明では変更可能)な内容と、題字印字エリアに続く取引印字エリアに印字する取引内容とを有している。1つの取引時に、明細票の題字印字エリアへの印字の後、取引印字エリアへの印字を行い、明細票1枚分でカットして、カットした明細票を前記排出口から排出し、明細票の抜き取りが検知された後に、ロール側の明細票の先端をカッター位置から印字ヘッド部分に戻す方向に搬送し、次の取引に対する待ち状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATM等の現金自動取引装置に使用して好適な印字ユニット及び該印字ユニットを備える現金自動取引装置に係り、特に、現金自動取引装置で実行された取引処理の内容を印字した明細票を発行する明細票発行機構の印字ユニット及び該印字ユニットを備える現金自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動取引装置から発行される明細票のフォーマットは、固定的な語句や金融機関商号等を印字する用紙の先頭に設けられる題字エリアと、その後段に設けられ当該取引内容を印字をする取引印字エリアとにより構成されるのが一般的である。このようなフォーマットに印字される印字内容は、取引印字エリアに印字される取引内容以外の題字印字エリアに印字される内容が固定的である。このため、現金自動取引装置が備える明細票発行機構は、前述の固定的な印字内容を予め機構内部に保持しておいて、保持されている印字内容を印字するように構成されていることが多い。
【0003】
一方、昨今、金融機関統合や名称(商号・店舗名)変更が行われる場合が増加しており、このために、明細票のフォーマット面の増設や変更要求が増加している。前述で説明したように、明細票のフォーマットは、明細票発行機構の内部に保持している場合が多く、現金自動取引装置を新規に開発する場合であれば、前述したような要求に従って明細票のフォーマット面の増設等のフォーマットの構成を変更することは容易である。しかし、既存の装置を改造することにより、前述したような明細票のフォーマット面を増設することは、明細票発行機構が備えるメモリ資源が限られたものであるため、多くの場合実現することが困難である。
【0004】
また、明細票のフォーマットの変更は、明細票の先頭に位置する題字印字エリアの変更が主であり、取引内容に応じて題字印字エリアの印字内容を変更したいという要望もある。しかし、明細票発行機構の構造は、明細票の搬送路長を短くするために明細票の用紙を切断するカッターの手前の明細票ロール側に印字ヘッドを装備しており、次の用紙の先頭にある題字印字エリアは、物理的にカッターと印字ヘッドとの間に位置することになり、題字印字エリアへの印字を次の取引よりも先に行っておく必要がある。このため、題字印字エリアへの印字は、固定的な印字内容にしなければならない事情がある。このような事情から、仮に、取引時どうしても題字印字エリアへの印字内容の変更が必要な際には、1シート分をカットして、その1シートを回収する対応を実施している。
【0005】
題字印字エリアの長さは、通常、20mm程度であり、この部分だけを切断して回収することもできるが、搬送機構の機能面からこの程度の長さの切断片を回収のために搬送することが困難であるため、実祭には、題字印字エリアと取引印字エリアとを含むことが可能な1シート分が切断されて回収されている。
【0006】
なお、連続用紙に文字等を印字して発行する現金自動取引装置等に使用可能な印字装置に関する従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。
【特許文献1】特開2002−172828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述で説明した従来技術による明細票を発行する印字ユニットを備える現金自動取引装置は、題字印字エリアへの印字内容の変更を行う場合に、1シート分をカットして、その1シートを回収しなければならないため、明細票の用紙が無駄になり、かつ、回収ボックスの容量の面においても不利であり、さらに、回収動作のための処理時間が増加してしまうという問題点を有している。
【0008】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、明細票の用紙を無駄にすることなく題字印字エリアへの印字内容の変更を可能とした印字ユニットを備える現金自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば前記目的は、明細票を発行する機構を備えた取引装置における明細票発行機構の印字ユニットにおいて、前記印字ユニットは、ロール紙、印字ヘッド、カッター、排出口がこの順に配置されて構成されており、前記明細票は、固定的な内容が印字される題字印字エリアと、該題字印字エリアに続く取引内容が印字される取引印字エリアとを有しており、1つの取引時に、明細票の題字印字エリアへの印字の後、取引印字エリアへの印字を行い、明細票1枚分でカットして、カットした明細票を前記排出口から排出し、明細票の抜き取りが検知された後に、ロール側の明細票の先端をカッター位置から印字ヘッド部分に戻す方向に搬送し、次の取引に対する待ち状態となることにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、明細票の用紙を無駄にすることなく題字印字エリアへの印字内容を取引内容等に応じて変更することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による現金自動取引装置の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態による現金自動取引装置の構成を示す斜視図、図2は本発明の一実施形態による現金自動取引装置の機能構成を説明するブロック図である。
【0013】
本発明の実施形態による現金自動取引装置は、図1、図2に示すように、CPU、RAM、HDD等の記憶装置等を備えて装置全体を制御する本体制御部2と、表示装置上に設けられるタッチパネル等により構成される操作部3と、カード挿入口41を有するカード取り扱い装置4と、明細票排出口17を有する明細票発行機構5と、現金入出金口61を有する現金取り扱い装置6と、通帳挿入口71を有する通帳印字装置7と、回線制御部8と、外部入出力装置9とを備えて構成されている。
【0014】
前述において、カード取り扱い装置4は、利用者がカート挿入口41から挿入したカードを取り込み、カードに記録された利用者情報を読み出して本体制御部2へ報告し、また、本体制御部2から指示されたデータをカードに書き込んでカード挿入口41から排出する。操作部3は、顧客が入力した取引の種類や取引金額を本体制御部2へ連絡する。現金取り扱い装置6は、本体制御部2の指示により現金入出金口61に現金を出金したり、利用者が預け入れた現金を現金入出金口61から取り込んで計数して本体制御部2へ報告する。明細票発行機構5は、本体制御部2の指示により取引データを明細票に印字して明細票排出口17から利用者へ排出する。通帳印字装置7は、利用者が通帳挿入口71から挿入された通帳を取り込み、本体制御部2の指示により取引データを通帳に印字して通帳挿入口71から利用者へ排出する。回線制御部8は、暗証番号、取引金額、口座番号、振込み先情報等の取引情報をセンタ1へ送信したり、センタ1の処理結果を受信して本体制御部2へ連絡したりするものである。センタ1は、回線制御部8から受信した暗証番号、取引金額、口座番号、振込み先情報等の取引情報を確認し、確認結果を回線制御部8へ送信したりする。外部入出力装置9は、CD−ROM、DVD−ROM等の外部記録媒体用の入出力装置であり、本体制御部2内の記憶装置に格納されているソフトウェアの入れ替え、更新等のために利用される。なお、この外部入出力装置9は、通信回線に接続されてソフトウェアの入れ替え、更新等のための情報を通信回線を介して外部から受け取ることが可能なものであってもよい。
【0015】
図3は明細票発行機構5の構成例を示す概略図である。なお、本発明の実施形態では、明細票は、ロール状に巻かれた明細票ロール紙を利用して作成するものとし、個々の明細票は、必要な印字を行った後に、明細票ロール紙を切断して提供される。
【0016】
明細票発行機構5は、明細票排出口17から明細票ロール紙14を保持するホッパ部13までの間に、図示しない搬送モータ等を有する駆動装置により駆動される搬送ベルト16が設けられ、この搬送ベルト16に沿って、明細票排出口17に近い側から抜き取りセンサ12、排出センサ11、カッタ21、搬送路入口センサ18、分離部15が配置されて構成される印字ユニットを備えている。また、明細票ロール14の径の大きさを検知して明細票であるロール紙の残量を検出するロール紙残量センサ19が備えられている。
【0017】
次に、図3を参照して、現金自動取引装置の電源オン、その後の明細票ローディング動作、印字動作、カット動作及び排出動作について説明する。
【0018】
現金自動取引装置の稼働を開始させるため、係員により現金自動取引装置の電源が入れられると、明細票発行機構5は、復旧動作を開始し、搬送ベルト16を回転させる。現金自動取引装置の稼働開始時には、通常、明細票ロール紙14がセットされていないため、搬送路入口センサ18及び排出センサ11が明細票10を検知することができず、異常であると検出される。
【0019】
異常の原因は、搬送路に明細票がないためであり、係員が明細票ロール紙14をホッパ部13にセットしローディング動作を開始させる。図示しない搬送モータの駆動により明細票ロール紙14が回転させられ、明細票ロール紙14の先端は、分離部15を通過し搬送ベルト16上に進入する。搬送モータは、搬送路入口センサ18が明細票ロール紙14の先端を検知した後、所定量搬送した後に停止し、利用者による取引が開始されるのを待つことになる。
【0020】
利用者による取引が開始され、取引データを印字するために印字動作を開始する時点となると、明細票発行機構5は、搬送モータを起動し搬送ベルト16を駆動して明細票10を排出口17の方向に向けて搬送する動作を開始する。そして、印字ヘッド20は、搬送されてきた明細票10の所定の位置に取引データ等を印字する。また、印字終了後、明細表のカット動作を開始する時点になると、明細票発行機構5は、搬送モータを起動して明細票10を排出口17側へ搬送ベルト16により搬送し、印字開始の位置から所定の量(長さ)の明細表10を搬送して停止させる。このとき、明細票発行機構5は、排出センサ11が明細票10の存在を検知しなければ用紙ジャムと見なしてエラー処理を行う。
【0021】
その後、明細票発行機構5は、カッタ21が明細票10をミシン目の位置でカットすると、カットされて単票となった明細表10を排出準備位置へ搬送するため搬送モータを起動する。明細票発行機構5は、搬送ベルト16により搬送された明細票10が抜き取りセンサ12の位置まで搬送されたことを検知した後、明細表10をさらに所定量搬送して搬送動作を停止する。前述の搬送動作で、単票となった明細表10は、抜き取りセンサ12が明細表10の存在を検知していて、かつ、排出センサ11が明細表の存在を検出していない位置まで搬送されることになり、明細表10先端が排出口17から外部に突出した状態になる。明細票発行機構5は、この状態で利用者が明細表を抜き取るのを待ち、抜き取りセンサ12により明細表の抜き取りが検知された後に、ロール紙残量センサ19による明細票ロール紙14の径の大きさの検知結果により明細票ロール紙の残量を検出するロール紙残量のチェック、すなわち、明細票残長のチェックを行う。
【0022】
図4は明細票発行機構の機能構成を示すブロック図である。明細票発行機構5は、明細票発行機構全体を制御する明細票制御部22、回線制御部28、センサ制御部23、搬送モータ制御部24、カッタ制御部25、印字ヘッド制御部26、印字編集制御部27、印字バッファ29を備えて構成されている。
【0023】
前述において、回線制御部28は、本体制御部2から明細票用紙のローディング、用紙への印字、用紙のカットまたは排出等の指示情報を受信して明細票制御部22へ連絡し、また、処理結果を明細票制御部22から受け取って本体制御部2へ送信する。センサ制御部23は、搬送路16上の明細票10の通過、残留及びアクチェータ等の定位置を監視している複数のセンサからの情報を読み取り、明細票制御部22へ連絡する。搬送モータ制御部24は、明細票制御部22からの指示により明細票10を搬送する図示しない搬送モータをON/OFF制御する。カッタ制御部25は、明細票制御部22からの指示により明細票10をカットするカッタ21を動作させる。印字ヘッド制御部26は、明細票制御部22からの指示により印字ヘッド20を制御して印字バッファ29に格納されている内容である取引データを明細票10に印字させる。印字編集制御部27は、明細票制御部22からの指示により取引データを編集し、編集結果を印字バッファ29に格納する。
【0024】
図5は本発明の実施形態による現金自動取引装置(以下、ATMという)全体の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、ここでの処理は、図1、図2に示した本体制御部2により行われる処理である。
【0025】
(1)ATMは、取引が開始されたか否かを判定し、取引が開始されない場合、装置本体の電源オフにかかる入力が行われたか否かを判定し、取引が開始されず、また、電源オフも行われない場合、取引開始及び電源オフの入力を待つ処理を続ける(ステップS1、S2)。
【0026】
(2)ステップS2での判定で、電源オフにかかる入力があった場合、ATMは、各ユニットの動作を停止する等の電源オフ処理を行って、ここでの処理を終了する(ステップS3)。
【0027】
(3)ステップS1での判定で、取引の開始にかかる入力があった場合、ATMは、利用者が操作部3を操作することによるこれから処理する取引の種別、その取引にかかる情報(暗証番号、出金金額等)の入力を受け付け、カード取扱機構4や通帳取扱機構7で取引に用いるキャッシュカードや通帳等の媒体の挿入を受け付ける。キャッシュカードや通帳等の媒体については、取引の種類によって必須でない場合もあり、利用者が挿入しないこともある。さらに、これから実行する取引の種別が入金処理や振込処理であれば、利用者により現金入出金口に投入された紙幣や硬貨を現金取扱機構6で受け付ける。カード取扱機構4及び通帳取扱機構7は、挿入されたキャッシュカードや通帳に記録されている口座番号等のカード情報や通帳情報を読み取る。また、現金取扱機構6は、投入された紙幣や硬貨を1枚ずつ鑑別し、投入金額を算出する。本体制御部2は、前述で入力された取引の種別、キャッシュカードや通帳から読み取られた情報に基づいて、後述する明細表発行時の印字モードを、題字印字エリアの印字内容を取引の都度変更する題字都度変更モードとするか、題字印字エリアの印字内容を固定したものとする題字固定モードとするかを判定し、その印字モードを記憶しておく。この印字モードは、例えば、自行のキャッシュカード、通帳が使用された場合、題字固定モードと判定し、他行のキャッシュカードが使用された場合、題字都度変更モードと判定する等として判定される(ステップS4)。
【0028】
(4)その後、ATMは、回線制御部8を介して取引の認証要求をセンタに送信し、センタからの認証結果を受信する。ここでセンタに送信する認証要求には、取引の種別、口座番号、暗証番号、取引金額等のステップS4で入力された情報が含まれている(ステップS5、S6)。
【0029】
(5)ATMは、受信した認証結果が、今回の取引を許可するものであるか否かを判定すると共に、実行する取引の種別が入金処理や入金を伴う振込処理であるか否かを判定し、認証結果が、今回の取引を許可しないというものであった場合、今回の取引で挿入されたキャッシュカードや通帳等の媒体を利用者に返却する返却処理等を行う。また、明細票にセンタからの取引拒否のメッセージを印字して排出させる(ステップS7、S8)。
【0030】
(6)ステップS7の判定で、取引が許可されていた場合、明細票発行機構5に明細票を発行させる必要があるか否かを判定する。この判定は、例えば、今回の取引が入金であり、通帳が挿入されていれば、取引内容を通帳に印字し、明細票を発行しなくてよい場合があるので、このために行われる判定である(ステップS9)。
【0031】
(7)ステップS9の判定で、明細票を発行する必要があると判定された場合、ATMは、明細票発行機構5に、明細票を発行させる明細票発行処理を行わせる。この明細票発行処理の詳細については、図6に示すフローにより後述する(ステップS10)。
【0032】
(8)ATMは、ステップS10での明細票発行処理が完了した場合、または、ステップS9の判定で明細票発行機構5に明細票を発行させる必要がないと判定し、通帳に取引内容を印字させた後、今回の取引で挿入されたキャッシュカードや、通帳等の媒体を利用者に返却する返却処理を行うと共に、利用者が指定した金額の現金を放出する出金処理や、利用者が投入した紙幣や硬貨を金種毎に対応するカートリッジに収納する入金処理等を行う(ステップS11)。
【0033】
(9)ATMは、ステップS11での処理が完了した場合、または、ステップS8での処理の後、今回の取引で明細票ロール紙14が用紙切れになったか否か、すなわち、ロール紙の補充が必要か否かを、明細票発行機構5から用紙切れが通知されているか否かにより判定し、明細票ロール紙14が用紙切れになっていなかった場合、ステップS1からの処理に戻って処理を続ける(ステップS12)。
【0034】
(10)ATMは、ステップS12の判定で、用紙切れとなっていてロール紙の補充が必要と判定すると、ATMの本体を取扱中止状態に移行させ、保守者等による明細票ロール紙14の交換を待ち、明細票ロール紙14が交換されると、取扱中止状態を解除してステップS1からの処理に戻って処理を続ける(ステップS13〜S15)。
【0035】
前述した処理において、ステップS12以降の処理は、取引の後処理として実行される処理であり、利用者は、ステップS11、あるいは、ステップS8の処理で放出された媒体を全て受け取った時点で、ATMから離れることができる。また、ATMは、ステップS14の処理で明細票ロール紙14の交換を待っているときに、電源がオフされたときには、電源オフ処理を行いここでの処理を終了する。
【0036】
また、ATMは、前述で説明した取引処理の途中で、何らかの異常、例えば、挿入されたキャッシュカードや通帳の搬送異常等が生じた場合には、ATM本体の動作を停止する異常終了処理を行う。この異常終了処理が行われたときには、係員が発生した異常の復旧作業を行う。
【0037】
なお、発行する明細票の長さは、取引の種類等にかかわらず一定であってもよいし、取引の種類等で異なっていてもよい。また、ここで言う明細票の長さは、明細票ロール紙14の搬送方向の長さである。
【0038】
前述した処理において、ステップS4の処理で、本体制御部2が、入力された取引の種別、キャッシュカードや通帳から読み取られた情報に基づいて、明細表発行時の印字モードを、題字印字エリアの印字内容を取引の都度変更する題字都度変更モードとするか、題字印字エリアの印字内容を固定したものとする題字固定モードとするかを判定するとしたが、本発明は、次取引分の明細票の題字エリアの印字を、当該取引で行うか、次取引時に行うかの指示を、現金自動取引装置から明細票発行機構へ現金自動取引装置の電源オン又は変更が必要なときに行うようにすることができる。そして、次取引分の明細票の題字エリアの印字を次取引時に行う選択をすると、次取引き開始で明細票の題字エリア及び取引印字エリアの印字を行い、次の次取引分の明細票の題字エリアの印字をせず、明細票1枚分でカットして排出し、抜き取り検知待ちとなり、抜き取りを検知した後に、次の取引分の明細票の先端を印字ヘッド部分に戻し搬送する際、客交替復旧コマンド等のデータ処理的なコマンドと戻し搬送とが並行して行われる。
【0039】
図6は図5に示して説明したフローのステップS10での明細票発行処理の動作を説明するフローチャート、図7は明細票発行機構が明細票発行処理を行う途中でのロール紙の先端位置を説明する図であり、次に、これらについて説明する。
【0040】
まず、図7を参照して、明細票発行機構が明細票発行処理を行う途中でのロール紙の先端位置について説明する。
【0041】
明細票発行機構5が明細票発行処理を開始する前の待機状態のとき、明細票ロール紙14の待機位置は、ロール紙14の先端が図7(a)に示すように、題字印字開始位置に位置している場合と、図7(b)に示すように、取引印字開始位置に位置している場合とがある。図7(a)に示す待機位置は、明細票カッター21により明細票ロール紙14をカットした後に、ロール紙14の先端を印字ヘッド20の位置まで戻す搬送を行った位置である。すなわち、図7(a)に示す待機位置は、印字ヘッド20により明細票の題字印字を即座に開始することができる位置である。また、図7(b)に示す待機位置は、明細票カッター21により明細票ロール紙14をカットした位置である。すなわち、図7(b)に示す待機位置は、印字ヘッド20で明細票の取引印字を即座に開始することができる位置である。
【0042】
図7(a)または図7(b)の位置にある明細票ロール紙に、所定の印字が行われると、明細票ロール紙は、所定量排出口17側に搬送され、図7(c)に示すように、所定の位置でカッタ21により切断される。切断された排出口17側のロール紙が、題字印字、取引印字が行われた明細票10であり、この明細票10は、さらに所定量だけ排出口17の方向に搬送され、図7(d)に示すように、明細票10の先端が排出口17から突出させられる。
【0043】
次に、図6を参照して、明細票発行処理の動作を説明する。ここでの処理は、図4により説明した明細表制御部22により行われる処理である。
【0044】
(1)処理が開始されると、明細票発行機構5の明細票制御部22は、まず、印字モードが題字を取引の都度変更する題字都度変更モードか否かを判定する。この判定は、ATMの本体制御部2から題字の印字を固定とする題字固定モードか、題字都度変更モードかを示す印字モードの指示を確認することにより行われる(ステップS101)。
【0045】
(2)ステップS101の判定で、印字モードが題字の印字を取引の都度変更する指示である題字都度変更モードと確認した場合、印字ヘッド20に明細票ロール紙14に題字を印字させる(ステップS102)。
【0046】
(3)ステップS101の判定で、印字モードが題字都度変更モードでなかった場合、すなわち、印字モードが題字印字を固定とする題字固定モードの指示であると確認し場合には題字の印字を行わない。この場合、題字印字は、前回印字時に印字済みである。
【0047】
(4)ステップS102で題字の印字を行った後、あるいは、ステップS101の判定で、印字モードが題字固定モードであって、題字がすでに印字されていた場合、取引種別や取扱金額等を印字する取引印字を行う。なお、題字印字都度変更モードか否かの情報、及び、明細表の題字印字エリアと取引印字エリアとへ印字する印字内容は、本体制御部2から回線制御部28介して受け取っている。このとき、搬送モータ制御部24は、明細票ロール紙14の先端を明細票排出口17側に搬送し、明細票ロール紙14に印字ヘッド20が当接する位置すなわち印字位置を調整する(ステップS103)。
【0048】
(5)ステップS103の処理で取引の印字が終了した後、印字モードが題字都度変更モードか否かを再度確認し、題字都度変更モードであった場合、題字の印字を行わず、明細票ロール紙14の取引印字エリアの後端が、カット位置(図8により後述)に達するのを待って、明細票ロール紙14の搬送を停止させる(ステップS104、S105)。
【0049】
(6)ステップS104の確認で、印字モードが題字都度変更モードでなく題字固定モードであった場合、題字印字エリアに印字を行い、明細票ロール紙14の取引印字エリアの後端が、カット位置(図8により後述)に達するのを待って、明細票ロール紙14の搬送を停止させる(ステップS106)。
【0050】
(7)その後、明細票発行機構5は、明細票カッター21により取引内容を印字した部分をカットする(図7(c)参照)。ここでの処理でカットされた部分が、今回の取引で発行される明細票である(ステップS107)。
【0051】
(8)次に、搬送モータ制御部24は、明細票ロール紙14からカットされた部分を明細票排出口17に搬送する。このとき、明細票ロール紙14のロール側の部分は、明細票排出口17側に引き出さないように制御される。搬送モータ制御部24は、前述したように、セット位置にセットされている明細票ロール紙14の搬送と、明細票ロール紙14からカットされた部分の搬送とを個別に行うことができる。すなわち、搬送モータ制御部24は、明細票ロール紙14を引き出して搬送する搬送ベルトを停止し、明細票ロール紙14からカットされた部分を搬送する搬送ベルトを駆動することにより、明細票ロール紙14からカットされた部分のみを明細票排出口17に搬送する。搬送モータ制御部24は、明細票ロール紙14からカットされた部分である明細票を、その一部が明細票排出口17から外側に突出する位置(図7(d)参照)まで搬送すると、明細票の搬送を停止する。このとき、排出センサ11や抜取センサ12で明細票の通過が検知できなかった場合、搬送異常が発生したと判断し、その旨を本体制御部2に通知する。本体制御部2は、明細票発行機構5から搬送異常が通知されたことにより、本体の動作を停止する異常終了処理を行う(ステップS108)。
【0052】
(9)明細票発行機構5は、明細票排出口17に排出した明細票が利用者により抜き取られたことが抜き取りセンサ12により検知されたか否かを判定する。この判定は、抜取センサ12が明細票を検知していない状態に変化したときに、明細票が抜き取られたと判断することにより行われる(ステップS109)。
【0053】
(10)その後、明細票ロール紙14の残量が次回の取引時に明細票を発行できる量であるかどうか否かを確認するため、ロール紙残量センサ19が、明細票ロール紙14の径の大きさからロール紙残量少を検知しているか否かを確認する(ステップS110)。
【0054】
(11)ステップS110の確認でロール紙残量センサ19がロール紙残量少を検知していた場合、残量確認を行う。この残量確認は、搬送モータ制御部24で搬送ベル16を明細票排出口17側へ一定量搬送させて、搬送路入り口センサ18が明細票ロール紙14を検知しているか否かをチェックし、搬送路入り口センサ18が明細票ロール紙14を検知していた場合に、次の取引時に使用する明細票の残量があると確認することにより行われる。なお、ステップS110の確認でロール紙残量センサ19がロール紙残量少を検知していなかった場合、明細票ロール紙14の残量は十分なため、ここでの残量確認は必要としない(ステップS111)。
【0055】
(12)その後、明細票発行機構5は、再度、印字モードが題字都度変更モードか否かを確認し、題字都度変更モードであった場合、題字印字分の戻し搬送を行って、ここでの処理を終了する。この戻し搬送は、前述で説明したように、明細票ロール紙14の先端が印字ヘッド20の位置となる題字印字開始位置(図7(a)参照)まで戻すように搬送することである。すなわち、印字ヘッド20が明細票の題字印字を直ちに開始することができる位置に先端を搬送することである。また、印字モードが題字都度変更モードか否かの確認で、題字都度変更モードでなく題字固定モードであった場合、前述の戻し搬送を行わずに、ここでの処理を終了する。この場合、明細票ロール紙14の先端は、カッタ21の位置(図7(b)参照)に留まることとなる(ステップS112、S113)。
【0056】
図8は明細票の印字フォーマットの例を示す図である。図8に示すように、明細票は、題字印字エリア81と取引印字エリア82とにより構成されている。図8に示す例では、1枚の明細票の長さ(題字印字エリア81の長さと取引印字エリア82の長さとの和)が一定であるものとし、これらの明細票の複数がロール状に巻かれ、カットする箇所にミシン目が入れられている。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述で説明した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、本発明は、現金自動取引装置のみならず、ロール紙を明細票の発行に使用可能な種々の取引装置に適用することができる。
【0058】
前述した本発明の実施形態での各処理は、プログラムにより構成し、本発明が備えるCPUに実行させることができ、また、それらのプログラムは、FD、CDROM、DVDROM等の記録媒体に格納して提供することができ、また、ネットワークを介してディジタル情報により提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態による現金自動取引装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による現金自動取引装置の機能構成を説明するブロック図である。
【図3】明細票発行機構の構成例を示す概略図である。
【図4】明細票発行機構の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態による現金自動取引装置全体の処理動作を制御するフローチャートであ。
【図6】図5に示すフローのステップS10での明細票発行処理の動作を説明するフローチャートである。
【図7】明細票発行機構が明細票発行処理を行う途中でのロール紙の先端位置を説明する図である。
【図8】明細票の印字フォーマットの例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 センタ
2 本体制御部
3 操作部
4 カード取扱機構
5 明細票発行機構
6 現金取扱機構
7 通帳取扱機構
8 回線制御部
9 外部入出力装置
10 明細票
11 排出センサ
12 抜き取りセンサ
13 ホッパ部
14 明細票ロール
15 分離部
16 搬送ベルト
17 明細票排出口
18 搬送路入口センサ
19 ロール紙残量センサ
20 印字ヘッド
21 明細票カッタ
22 明細票制御部
23 センサ制御部
24 搬送モータ制御部
25 カッタ制御部
26 印字ヘッド制御部
27 印字編集制御部
28 回線制御部
29 印字バッファ
81 題字印字エリア
82 取引印字エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細票を発行する機構を備えた取引装置における明細票発行機構の印字ユニットにおいて、
前記印字ユニットは、ロール紙、印字ヘッド、カッター、排出口がこの順に配置されて構成されており、前記明細票は、固定的な内容が印字される題字印字エリアと、該題字印字エリアに続く取引内容が印字される取引印字エリアとを有しており、
1つの取引時に、明細票の題字印字エリアへの印字の後、取引印字エリアへの印字を行い、明細票1枚分でカットして、カットした明細票を前記排出口から排出し、明細票の抜き取りが検知された後に、ロール側の明細票の先端をカッター位置から印字ヘッド部分に戻す方向に搬送し、次の取引に対する待ち状態となることを特徴とする印字ユニット。
【請求項2】
前記題字印字エリアに印字する固定的な内容は、取引の都度、その内容を変更することが可能であることを特徴とする請求項1記載の印字ユニット。
【請求項3】
前記題字印字エリアへの印字を、1つの取引時に行うか、前記1つの取引の前の取引の終了後に行うかが取引装置から明細票発行機構に対して指示されることを特徴とする請求項1または2記載の印字ユニット。
【請求項4】
明細票の抜き取りの検知は、前記明細票発行機構自身が行うことを特徴とする請求項1記載の印字ユニット。
【請求項5】
明細票を発行する明細票発行機構を備えた現金自動取引装置において、前記明細票発行機構は、請求項1ないし4のうちいずれか1記載の印字ユニットを備えて構成されたことを特徴とする現金自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−265995(P2009−265995A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115566(P2008−115566)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】