説明

印字ラベル作成システム

【課題】印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルを作成するときにおいて、操作者の労力負担を低減することができる印字ラベル作成システムを提供する。
【解決手段】情報を記憶するIC回路部150と情報の送受信を行うタグアンテナ151とが設けられた無線タグ回路素子Toに対し、無線通信を介し情報送受信を行うためのアンテナ203を介して情報読み取りを行いIC回路部150に記憶されたシリアル番号を取得すると共に、その無線タグ回路素子Toに対し情報読み取りが行われるたびに、1ずつ繰り上げたシリアル番号に対応する印字データを順次生成し、その生成した印字データの印字を行って印字ラベルLを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル媒体又は被印字媒体に対し印字を行うことにより印字ラベルを作成する印字ラベル作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープをロール状にカートリッジ内に収納し、ロールよりテープを繰り出しつつ所望の文字を印刷してラベルを作成するラベル作成システムが既に提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術においては、剥離紙を備えた基材テープを巻回したロールと、この基材テープに貼り合わされる被印字媒体(カバーフィルム)を巻回したロールとを備えている。これら2つのロールから上記基材テープ及び上記被印字媒体をそれぞれ繰り出しつつ被印字媒体に所定の印字を行い、印字後の被印字媒体と上記基材テープとを貼り合わせて印字済みラベル用テープとする。そして、この印字済みラベル用テープを切断手段で所定長さに切断して印字ラベルを作成する。
【0004】
このとき、上記ラベル作成装置には、有線を用いたネットワーク(通信回線)を介し操作端末が接続されている。操作者は、この操作端末を用い、ラベル作成装置に対する印刷指示を行う。その操作者による印刷指示に対応した信号は、ネットワークを介してラベル作成装置に読み込まれ、この読み込まれた信号に基づき、上記印刷指示に沿った印字が行われる。
【特許文献1】特開2005−254566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにして、ラベル作成装置に対し装置外の操作端末を用いて印刷指示を行うとき、印刷指示の内容によっては操作端末での(キーやボタンやスイッチを用いた)操作が煩雑となる場合がある。例えば各ラベルに続き番号をそれぞれ印字する場合のように、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルを作成する場合、操作端末を用いて各ラベルの印字内容を1つ1つマニュアル操作で設定を行うとすれば、操作者の労力負担は著しく増大する。このような場合に、操作端末に代わる別の簡便な手段によって同等の動作指示を行えるようにすれば操作者の操作労力を低減できて便利である。しかしながら、上記従来技術では、そのような操作者の労力負担の低減については特に配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルを作成するときにおいて、操作者の労力負担を低減することができる印字ラベル作成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1発明の印字ラベル作成システムは、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとが設けられた無線タグ回路素子に対し、無線通信を介し情報送受信を行うための装置アンテナと、前記装置アンテナを介して前記無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行い、前記IC回路部に記憶された情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段で前記無線タグ回路素子に対し情報読み取りが行われるたびに、所定の規則性に沿って順次異なる印字用識別子を生成する識別子生成手段と、ラベル媒体を搬送するための搬送手段と、前記搬送手段で搬送される前記ラベル媒体か、若しくは、前記ラベル媒体に貼り合わされる被印字媒体に対し、前記識別子生成手段で生成した前記印字用識別子の印字を行い、印字ラベルを作成する印字手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、操作者が、例えば無線タグ回路素子を備えた無線タグを装置アンテナにかざす等により、情報取得手段で無線タグ回路素子への情報読み取りを行わせると、識別子生成手段で印字用識別子が生成される。そして印字手段によってラベル媒体(又は被印字媒体)に対し印字用識別子が印字され、印字ラベルが作成される。
【0009】
このとき、識別子生成手段は、上記情報取得手段による情報読み取りが行われるたびに、互いに異なる印字用識別子を所定の規則性に沿って順次生成するようになっている。これにより、上記のようにして操作者が情報読み取り操作を行うだけで、所定の規則性に沿う異なる印字を備えた印字ラベルが、自動的に順次作成されることとなる。したがって、このような印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルを作成するときにおいて、各ラベルの印字内容を1つ1つマニュアル操作で設定する煩わしさがなくなるので、操作者の労力負担を低減することができる。
【0010】
第2発明の印字ラベル作成システムは、上記第1発明において、前記情報取得手段で1回の前記情報読み取りが行われたら、これに対応して1つの前記印字ラベルを作成するように、前記識別子生成手段、前記搬送手段、及び前記印字手段を連携して制御する連携制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
これにより、操作者が情報読み取り操作を1回行うごとに、確実に1枚の印字ラベルを自動的に作成することができる。このように操作者の1操作につき1枚の印字ラベル作成という1対1の対応関係とすることにより、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルを予め一括して作成する場合と異なり、作成したいときに作成したい枚数だけ、リアルタイムで効率よくラベル作成を行うことができる。
【0012】
第3発明の印字ラベル作成システムは、上記第1又は第2発明において、前記識別子生成手段は、前記情報取得手段で前記無線タグ回路素子に対し情報読み取りが行われるたびに、所定の偏差により順次繰り上がる若しくは順次繰り下がる数値情報を、前記印字用識別子として生成することを特徴とする。
【0013】
これにより、10,9,8,…や、300,200,100…のように順次繰り下がる数値情報や、1,2,3…や、50,55,60…のように順次繰り上がる数値情報を印刷した印字ラベルを、操作者による読み取り操作に応じて順次作成することができる。
【0014】
第4発明の印字ラベル作成システムは、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部は、印字ラベルを作成するための作成用情報を記憶しており、前記情報取得手段は、前記装置アンテナを介し、前記IC回路部より前記作成用情報を取得し、前記識別子生成手段は、前記情報取得手段で前記作成用情報が取得されるたびに、前記規則性に沿って新たな印字用識別子を順次生成し、前記印字手段は、前記新たな印字用識別子に対応した印字を行い、前記印字ラベルを作成することを特徴とする。
【0015】
これにより、操作者が無線タグ回路素子の読み取り操作を行ったときに、その読み取った内容(=IC回路部の記憶内容)に対応した内容の印字を備えた印字ラベルを作成することができる。
【0016】
第5発明の印字ラベル作成システムは、上記第4発明において、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部は、前記印字用識別子に係わる前記所定の規則性と同等の規則性を設定可能な前記作成用情報を記憶していることを特徴とする。
【0017】
これにより、無線タグ回路素子から読み取った内容に直結した、同等の規則性を備えた印字の印字ラベルを作成することができる。さらに、印字内容を、無線タグ回路素子の記憶内容によって適宜に種々変更することも可能となり、種々の無線タグ回路素子を用意して使い分けることで、簡単に複数種類の印字ラベルを作成することもできる。
【0018】
第6発明の印字ラベル作成システムは、上記第5発明において、前記識別子生成手段で生成される前記新たな印字用識別子に対応した新たな前記作成用情報を、前記装置アンテナを介し、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込む情報書込手段を有することを特徴とする。
【0019】
本願第6発明においては、識別子生成手段で新たな印字用識別子が生成されるたびに、対応して新たな作成用情報を生成し、無線タグ回路素子のIC回路部に書き込むようにする。このようにして、無線タグ回路素子の記憶内容を順次更新しておくことにより、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルを確実に順次作成することができる。
【0020】
第7発明の印字ラベル作成システムは、上記第4発明において、最初に前記情報取得手段で前記作成用情報が取得されたとき、対応して最初に前記識別子生成手段で生成された前記印字用識別子を記憶する識別子記憶手段を有し、前記識別子生成手段は、前記識別子記憶手段へ最初に前記印字用識別子が記憶された後は、前記情報取得手段で前記作成用情報が取得されるたびに、前記識別子記憶手段に記憶された前記印字用識別子に基づいて新たな印字用識別子を順次生成することを特徴とする。
【0021】
これにより、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルを順次作成する際にも、無線タグ回路素子のIC回路部には、作成用情報を固定的に(内容不変に)記憶しておくだけで足りる。この結果、無線タグ回路素子の記憶容量を小さく抑制することが可能となる。また、無線タグ回路素子から異なる情報を繰り返し読み取ったり、無線タグ回路素子への情報書き込みや上書き更新を行う必要がなくなるので、印字ラベル作成時の信頼性を向上することができる。
【0022】
第8発明の印字ラベル作成システムは、上記第4発明において、前記識別子生成手段は、前記情報取得手段で前記作成用情報が取得されるたびに、前記印字ラベルの作成開始時に用いるために予め設定記憶された前記印字用識別子の初期値に基づいて新たな印字用識別子を順次生成することを特徴とする。
【0023】
これにより、無線タグ回路素子のIC回路部に別途特別な情報を作成用情報として記憶させなくても、タグ識別情報等、通常既に無線タグ回路素子に格納されている一般的な情報を作成用情報として流用することで、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルを順次作成することができる。これにより、無線タグ回路素子は既存の一般的なものをそのまま用いることができるので、システムの汎用性が高まり、利便性を向上することができる。
【0024】
第9発明の印字ラベル作成システムは、上記第4乃至第8発明のいずれかにおいて、前記装置アンテナ、前記情報取得手段、及び、前記情報取得手段で取得した前記作成用情報を転送する情報転送手段を備えた読み取り装置と、前記搬送手段、前記印字手段、及び、前記読み取り装置の前記情報転送手段から転送された前記作成用情報を入力する情報入力手段を備えたラベル作成装置とから構成されることを特徴とする。
【0025】
これにより、操作者が、例えば無線タグを読み取り装置において装置アンテナにかざす等により情報読み取りを行わせることで、識別子生成手段で印字用識別子が生成され、ラベル作成装置の印字手段によって印字用識別子が印字され、印字ラベルを作成することができる。またこのとき、読み取り装置で読み取った作成用情報をラベル作成装置へと直接転送させることにより、(読み取り装置やラベル作成装置に)パソコンやサーバ等を接続することなく、印字ラベルを作成することができる。
【0026】
第10発明の印字ラベル作成システムは、上記第9発明において、前記識別子生成手段は前記ラベル作成装置に備えられており、前記情報入力手段で入力した作成用情報に基づき前記印字用識別子を順次生成することを特徴とする。
【0027】
これにより、読み取り装置で情報取得手段による情報読み取りが行われるたびに、ラベル作成装置において識別子生成手段で印字用識別子を順次生成し、所定の規則性に沿った印字を備えた印字ラベルを自動的に順次作成することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、操作者の労力負担を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の印字ラベル作成システムを製品のシリアル番号をそれぞれ印字した複数の印字ラベルの作成に適用した場合の例である。
【0030】
図1に、本実施形態の印字ラベル作成システムLSの全体構成を示す。
【0031】
図1において、印字ラベル作成システムLSは、搬送されるラベルテープ303(ラベル媒体。後述の図2参照)に対し所望の印字を行い、印字ラベルLを作成するラベル作成装置300と、無線タグTに設けられ、情報を記憶するIC回路部150と情報の送受信を行うタグアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子To(詳細は後述の図4参照)に対し、アンテナ203(装置アンテナ)を介して情報読み取り及び情報書き込みが可能なリーダライタ200(読み取り装置)とを有している。
【0032】
上記ラベル作成装置300とリーダライタ200は、接続手段2(例えばUSBケーブル等。無線でもよい)を介して情報送受信可能に接続されており、リーダライタ200のアンテナ203を介して読み取られた情報(タグID等)は、ラベル作成装置300に接続手段2を介して送信されるようになっている。
【0033】
図2に、印字ラベル作成システムLSの機能構成を示す。
【0034】
図2において、リーダライタ200は、上記無線タグTが有する無線タグ回路素子Toに対し無線通信を介し情報送受信を行うための上記アンテナ203と、このアンテナ203を介して無線タグ回路素子Toに対し情報読み取りを行い、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を取得すると共に、アンテナ203を介して無線タグ回路素子Toに対し情報書き込みを行い、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に情報を記憶させる高周波回路204と、ラベル作成装置300との間で接続手段2を介し情報通信(シリアル通信等)を行うためのインターフェース205とを有している。
【0035】
またラベル作成装置300は、ラベルテープ303(ラベル媒体)を巻回したラベルテープロール304(本来は渦巻であるが簡略化して同心円で図示している)と、このラベルテープロール304から繰り出されたラベルテープ303の対応する印字領域S(後述の図9参照)に所定の印字を行う印字ヘッド305(印字手段)と、ラベルテープ303を搬送するための搬送ローラ308(搬送手段)と、印字が終了したラベルテープ303を所定の長さに切断して前述の印字ラベルLとするカッタ307と、上記リーダライタ200と接続手段2を介し情報通信を行うためのインターフェース309と、以上の印字ヘッド305、カッタ307、搬送ローラ308等の制御を行う制御回路311とを有している。
【0036】
図3に、上記リーダライタ200の高周波回路204の詳細構成を示す。なお、この図3では、リーダライタ200の高周波回路204とラベル作成装置300の制御回路311との間のインターフェース205,309及び接続手段2については図示省略している。
【0037】
この図3において、高周波回路204は、上記アンテナ203を介し無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報へアクセスするものであり、またラベル作成装置300の制御回路311は無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すと共に無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするための各種コマンドを生成するものである。
【0038】
高周波回路204は、アンテナ203を介し無線タグTの無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部142と、リーダアンテナ203により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部143と、送受分離器144とから構成される。
【0039】
送信部142は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスするための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部142は、周波数の基準信号を出力する水晶振動子145Aと、ラベル作成装置300の制御回路311の制御により水晶振動子145Aの出力を分周/逓倍して所定周波数の搬送波を発生させるPLL(Phase Locked Loop)145B及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)145Cと、上記制御回路311から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路311からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路146(振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路146により変調された変調波を増幅(この例では制御回路311からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)して所望の質問波を生成する可変送信アンプ147とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯(又はマイクロ波帯、あるいは短波帯でもよい)の周波数を用いており、上記可変送信アンプ147の出力は、送受分離器144を介しアンテナ203に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号(変調波)に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0040】
受信部143は、アンテナ203で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波とを乗算して復調するI相受信乗算回路148と、そのI相受信乗算回路148の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのI相バンドパスフィルタ149と、このI相バンドパスフィルタ149の出力を増幅するI相受信アンプ162と、このI相受信アンプ162の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するI相リミッタ163と、上記アンテナ203で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波が移相器167により位相を90°遅らせた信号とを乗算するQ相受信乗算回路172と、そのQ相受信乗算回路172の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのQ相バンドパスフィルタ173と、このQ相バンドパスフィルタ173の出力を増幅するQ相受信アンプ175と、このQ相受信アンプ175の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するQ相リミッタ176とを備えている。そして、上記I相リミッタ163から出力される信号「RXS−I」及びQ相リミッタ176から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路133に入力されて処理される。
【0041】
また、I相受信アンプ162及びQ相受信アンプ175の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路178にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路311に入力される。これにより、ラベル作成装置300では、無線タグ回路素子Toとの通信時における当該無線タグ回路素子Toからの信号の受信強度を検出することが可能となっている。
【0042】
図4に、上記無線タグTに備えられる無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を示す。
【0043】
この図4において、無線タグ回路素子Toは、上述したようにリーダライタ200のアンテナ203と非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0044】
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグアンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介し上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
【0045】
変復調部156は、タグアンテナ151により受信された上記リーダライタ200のアンテナ203からの質問波の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
【0046】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出し、当該クロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0047】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0048】
図5に、上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155の記憶内容の一例を概念的に示す。
【0049】
図5において、メモリ部155には、タグ識別情報としてのタグIDと、ラベル作成装置300に対しラベルテープ303に所望の印字を行って印字ラベルLを作成するように指示するためのコマンドと、ラベルテープ303に印字されるシリアル番号とが記憶されている。このシリアル番号は各製品に対応した数値情報であり、リーダライタ200で無線タグ回路素子Toに対し情報読み取りが行われるたびに、所定の規則性に沿って順次異なる番号となるように(本実施形態ではシリアル番号が1ずつ順次繰り上がるように)新規シリアル番号が生成され、メモリ部155に上書きして記憶されるものである(詳細は後述)。なお、上記シリアル番号が、特許請求の範囲各項記載の印字ラベルを作成するための作成用情報を構成する。
【0050】
図6に、印字ラベルLの作成時にラベル作成装置300の制御回路311によって実行される制御内容を示す。
【0051】
ステップS310では、制御回路311は、インターフェース309、接続手段2、及びインターフェース205を介してリーダライタ200の高周波回路204に制御信号を送信し、アンテナ203を介し無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るためのタグ読み取り信号を生成して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。
【0052】
ステップS320では、制御回路311は、上記タグ読み取り信号に対応し無線タグTの無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号をアンテナ203、高周波回路204、インターフェース205、接続手段2、及びインターフェース309を介し受信したか否かを判定する。無線タグTからリプライ信号が受信されていなければ判定が満たされずにステップS310に戻り、再びタグ読み取り信号の送信を繰り返す。一方、無線タグTからリプライ信号を受信した場合には、判定が満たされて次のステップS330に移る。
【0053】
ステップS330では、制御回路311は、上記受信したリプライ信号に基づき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID、コマンド、及びシリアル番号を取得する。
【0054】
ステップS335では、制御回路311は、上記取得したシリアル番号に基づき、ラベルテープ303に対する印字内容を表す印字データを生成する。本実施形態では、ラベルテープ303に対し無線タグTから読み取ったシリアル番号を印字するため、本ステップで生成する印字データ(印字用識別子)は、無線タグTから取得した、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたシリアル番号(作成用情報)と実質的に同等となっている。
【0055】
ステップS400では、制御回路311は、上記ステップS330で取得したコマンドに基づき、ラベルテープ303に対し上記生成した印字データの印字を行って印字ラベルLを作成するラベル作成処理を実行する(詳細内容は後述の図8参照)。
【0056】
ステップS340では、制御回路311は、上記取得したシリアル番号に1を加算して、新規シリアル番号を生成する。
【0057】
ステップS350では、制御回路311は、インターフェース309、接続手段2、及びインターフェース205を介してリーダライタ200の高周波回路204に制御信号を送信し、アンテナ203を介し無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に上記生成した新規シリアル番号を書き込むためのタグ書き込み信号を生成し、タグIDを指定して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信する。
【0058】
ステップS360では、制御回路311は、上記新規シリアル番号の無線タグ回路素子Toへの書き込みが正常に完了したか否かを判定する。具体的には、インターフェース309、接続手段2、及びインターフェース205を介してリーダライタ200の高周波回路204に制御信号を送信し、通信結果の可否確認のための確認信号を生成してアンテナ203を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部155内に記憶された情報を確認し、前述の送信した新規シリアル番号と一致するか否かを判定する。書き込みが正常に完了していない場合には、判定が満たされずにステップS350に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、書き込みが正常に完了している場合には、判定が満たされて本フローを終了する。
【0059】
以上の制御により、ラベル作成装置300では、リーダライタ200で無線タグTから1回の情報読み取りが行われたら、これに対応して1つの印字ラベルLが作成されるようになっている。
【0060】
なお、上記において、ステップS310、ステップS320、及びステップS330は、特許請求の範囲各項記載の装置アンテナを介して無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行い、IC回路部に記憶された情報を取得する情報取得手段を構成する。またステップS335は、情報取得手段で無線タグ回路素子に対し情報読み取りが行われるたびに、所定の規則性に沿って順次異なる印字用識別子を生成する識別子生成手段を構成し、このステップS335とステップS400とが、識別子生成手段、搬送手段、及び印字手段を連携して制御する連携制御手段を構成する。
【0061】
また、ステップS350及びステップS360が、識別子生成手段で生成される新たな印字用識別子に対応した新たな作成用情報を、装置アンテナを介し、無線タグ回路素子のIC回路部に書き込む情報書込手段を構成する。
【0062】
図7に、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155の記憶内容(但しタグIDを除く)の一例を示す。図7(a)はシリアル番号「1234567」の印字ラベル作成時の記憶内容を、図7(b)はその印字ラベル作成後の更新された記憶内容を表している。なお、この図7ではASCII(American Standard Code for Information Interchange)表現及び16進数表現の2通りのデータを表示しているが、メモリ部155には少なくともいずれか一方が記憶されていればよい。
【0063】
これら図7(a)及び図7(b)に示すように、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155には、コマンド及びシリアル番号が記憶されている。この例では、上記コマンドとしてESC/P(Epson Standard Code for Printer)コマンドを用いている。
【0064】
シリアル番号「1234567」が印字された印字ラベル作成時には、メモリ部155には、図7(a)に示すようにシリアル番号「1234567」が記憶されており、当該シリアル番号が読み出され対応する印字データが生成されることにより、ラベル作成装置300でシリアル番号「1234567」が印字された印字ラベルLが作成される(後述の図9(a)参照)。印字ラベル作成後には、図7(b)に示すように1が加算された新規シリアル番号「1234568」が生成され、当該新規シリアル番号がメモリ部155に書き込まれる。これにより、次回ラベル作成時には、シリアル番号「1234568」が読み出され、ラベル作成装置300でシリアル番号「1234568」が印字された印字ラベルLが作成される(後述の図9(b)参照)。
【0065】
図8に、上記ステップS400のラベル作成処理の詳細内容を示す。
【0066】
ステップS410では、制御回路311は、搬送ローラ308に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ(図示せず)の駆動力によってラベルテープロール304からラベルテープ303を繰り出す。
【0067】
ステップS420では、制御回路311は、ラベルテープ303が所定量だけ搬送されたか否かを判定する。この所定量とは、例えば印字ヘッド305がラベルテープ303の印字領域Sの先端にほぼ対向する位置に到達するだけの搬送距離である。この搬送距離判定は、例えばラベルテープ303に設けたマーキングを公知のテープセンサ(不図示)で検出することにより行えば足りる。判定が満たされたらステップS430に移る。
【0068】
ステップS430では、制御回路311は、印字ヘッド305に制御信号を出力し、印字ヘッド305によるラベルテープ303の印字領域Sへの上記ステップS335で生成した印字データの印字を開始する。
【0069】
ステップS440では、制御回路311は、ラベルテープ303に対する印字データの印字がすべて完了しているかどうかを確認した後、ステップS450へ移る。
【0070】
ステップS450では、制御回路311は、ラベルテープ303がさらに所定量(例えば、印字領域Sのすべてがカッタ307を所定の長さ(余白量)分越えるだけの搬送距離)だけ搬送されたかどうかを判定する。このときの搬送距離判定も例えば上記ステップS420と同様にすれば足りる。判定が満たされると、ステップS460に移る。
【0071】
ステップS460では、制御回路311は、上記搬送ローラ308に制御信号を出力して上記カートリッジ用モータの駆動を停止し、ラベルテープロール304からのラベルテープ303の繰り出し及び搬送を停止する。
【0072】
ステップS470では、制御回路311は、ソレノイド駆動回路(図示せず)に制御信号を出力してカッター用ソレノイド(図示せず)を駆動し、カッタ307によってラベルテープ303の切断を行う。前述したように、この時点で印字領域Sを含むラベルテープ303のすべてがカッタ307を十分に越えており、このカッタ307の切断によって、印字データの印字が行われた印字ラベルLが生成される。
【0073】
ステップS480では、制御回路311は、別途設けた排出用ローラ(図示せず)を駆動制御し、上記ステップS470でラベル状に生成された印字ラベルLをラベル作成装置300の装置外へと排出する。以上により、本フローを終了する。
【0074】
図9に、上記制御によって作成される印字ラベルLの一例を示す。この例では、印字ラベルLの印字領域Sに、製品名及びシリアル番号が印字されている。
【0075】
無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155にシリアル番号「1234567」が記憶された無線タグTをリーダライタ200に読み取らせると、図9(a)に示すように、ラベル作成装置300でシリアル番号「1234567」が印字された印字ラベルLが作成される。そして、前述したように印字ラベル作成後には、1が加算された新規シリアル番号「1234568」が生成され、メモリ部155に書き込まれる。これにより、次回ラベル作成時には、シリアル番号「1234568」が読み出され、図9(b)に示すように、ラベル作成装置300でシリアル番号「1234568」が印字された印字ラベルLが作成される。このようにして、操作者が無線タグTの情報読み取り操作を連続して行うことにより、シリアル番号が1ずつ順次繰り上がった印字ラベルLが自動的に順次作成されるようになっている。
【0076】
以上説明した実施形態においては、操作者が、無線タグ回路素子Toを備えた無線タグTをリーダライタ200のアンテナ203にかざす等により無線タグ回路素子Toへの情報読み取りを行わせると、ラベル作成装置300において取得されたシリアル番号に対応した印字データが生成される。そして、印字ヘッド305によってラベルテープ303に対し印字データが印字され、印字ラベルLが作成される。
【0077】
このとき、ラベル作成装置300の制御回路311によって実行されるステップS335では、リーダライタ200による情報読み取りが行われるたびに、(1ずつ繰り上げた新規シリアル番号が無線タグ回路素子Toに書き込まれていることから)1ずつ繰り上げたシリアル番号に対応した互いに異なる印字データを順次生成するようになっている。これにより、上記のようにして操作者が情報読み取り操作を行うだけで、1ずつ繰り上げたシリアル番号が印字された印字ラベルLが、自動的に順次作成されることとなる。したがって、このような印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルLを作成するときにおいて、各ラベルの印字内容を1つ1つマニュアル操作で設定する煩わしさがなくなるので、操作者の労力負担を低減することができる。
【0078】
また、本実施形態では特に、操作者がリーダライタ200で無線タグTの情報読み取り操作を1回行うごとに、確実に1枚の印字ラベルLを自動的に作成することができる。このように操作者の1操作につき1枚の印字ラベル作成という1対1の対応関係とすることにより、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルLを予め一括して作成する場合と異なり、作成したいときに作成したい枚数だけ、リアルタイムで効率よくラベル作成を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態では特に、ステップ335で生成する印字データ(印字用識別子)と、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたシリアル番号(作成用情報)とが実質的に同等であるため、メモリ部155に記憶されたシリアル番号によって、ステップS335において生成される印字データに係わる所定の規則性(すなわち1ずつ繰り上がる)と同等の規則性が設定される。これにより、無線タグ回路素子Toから読み取った内容に直結した、同等の規則性を備えた印字の印字ラベルLを作成することができる。さらに、印字内容を、無線タグ回路素子Toの記憶内容によって適宜に種々変更することも可能となり、種々の無線タグ回路素子Toを用意して使い分けることで、簡単に複数種類の印字ラベルLを作成することもできる。
【0080】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0081】
(1)タグより読み出したシリアル番号に1を加算して印字する場合
【0082】
上記実施形態では、無線タグ回路素子Toより読み出したシリアル番号に対応する印字ラベルLの作成を行い、その後読み出したシリアル番号に1を加算した新規シリアル番号を無線タグ回路素子Toに書き込むようにしたが、これに限られない。例えば、無線タグ回路素子Toより読み出したシリアル番号に1を加算して新規シリアル番号を生成した後に対応する印字ラベルLの作成を行い、その後当該新規シリアル番号を無線タグ回路素子Toに書き込むようにしてもよい。
【0083】
図10に、本変形例における印字ラベルLの作成時にラベル作成装置300の制御回路311によって実行される制御内容を示す。なお、前述の図6と同様の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0084】
ステップS310〜ステップS330は前述の図6と同様である。ステップS333では、制御回路311は、上記ステップS330で無線タグ回路素子Toから取得したシリアル番号に1を加算して、新規シリアル番号を生成する。
【0085】
その後のステップS335、ステップS400、ステップS350、及びステップS360は前述の図6と同様である。すなわち、制御回路311は、上記生成した新規シリアル番号に基づき、ラベルテープ303に対する印字内容を表す印字データを生成し、ラベルテープ303に対し当該生成した印字データの印字を行って印字ラベルLを作成するラベル作成処理を実行する。そして、制御回路311は、上記ステップS333で生成した新規シリアル番号を書き込むためのタグ書き込み信号を生成し、タグIDを指定して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、無線タグ回路素子Toへの書き込みが正常に完了した場合には、判定が満たされて本フローを終了する。
【0086】
(2)無線タグ情報を更新しない場合(タグにシリアル番号初期値を記憶)
【0087】
上記実施形態では、無線タグ回路素子Toよりシリアル番号を読み出し印字ラベルLの作成を行う度に、読み出したシリアル番号に1を加算した新規シリアル番号を無線タグ回路素子Toに書き込み無線タグ情報を更新するようにしたが、これに限られない。例えば、無線タグ回路素子Toにシリアル番号の初期値を記憶させておき、最初の情報読み取り時に当該シリアル番号の初期値に対応する印字データをラベル作成装置300側で保存し、その後は無線タグ回路素子Toから情報読み取りを行う度にラベル作成装置300側で保存した印字データに対応するシリアル番号に1を加算して新規シリアル番号を生成し、この生成した新規シリアル番号に対応する印字データに更新するようにしてもよい。
【0088】
図11に、本変形例の印字ラベル作成システムLSの機能構成を示す。なお、前述の図2と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
【0089】
本変形例のラベル作成装置300Aは、最初にリーダライタ200でアンテナ203を介して無線タグ回路素子Toから読み取られた無線タグ情報(ここでは作成用情報としてのタグID、シリアル番号の初期値)が取得されたとき、対応して最初に生成された印字データを記憶する記憶部310(識別子記憶手段。例えばEEPROM等の不揮発性メモリ)を有している。この記憶部310には、タグIDと上記生成された印字データとが関連付けられて記憶されるようになっており、最初に印字データが記憶された後は、リーダライタ200で無線タグ情報が取得されるたびに、記憶部310に記憶された印字データに基づき、対応するシリアル番号が1ずつ繰り上げられて新たな印字データが順次生成され、記憶部310の内容が更新されるようになっている。その他の印字ラベル作成システムLSの構成は、前述の図2と同様である。
【0090】
図12に、本変形例における印字ラベルLの作成時にラベル作成装置300Aの制御回路311によって実行される制御内容を示す。
【0091】
ステップS505〜ステップS515は前述の図6のステップS310〜ステップS330と同様であり、制御回路311は、リーダライタ200の高周波回路204を制御し、無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るためのタグ読み取り信号を生成して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子Toに送信する。これに対応し無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号を受信すると、当該リプライ信号に基づき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID、コマンド、及びシリアル番号の初期値を取得する。
【0092】
ステップS520では、制御回路311は、上記無線タグTからの情報読み取りが最初の読み取りが否かを判定する。この判定は、制御回路311が、上記ステップS515で取得したタグID及びこれに対応する印字データが記憶部310に記憶されているか否かを判定することにより行われる。タグID及びこれに対応する印字データが記憶部310に記憶されていない場合には、最初の情報読み取りであるとみなし、判定が満たされてステップS525に移る。
【0093】
ステップS525では、制御回路311は、図6のステップS335と同様に、上記ステップS515で取得したシリアル番号の初期値に基づき、対応する印字データを生成する。ここでは、上述した実施形態と同様に、ラベルテープ303に対し無線タグTから読み取ったシリアル番号の初期値を印字するため、本ステップで生成する印字データ(印字用識別子)は、無線タグTから取得した、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたシリアル番号の初期値(作成用情報)と実質的に同等となっている。
【0094】
ステップS400では、制御回路311は、上記ステップS515で取得したコマンドに基づき、ラベルテープ303に対し上記生成した印字データの印字を行って印字ラベルLを作成するラベル作成処理を実行する(前述の図8参照)。
【0095】
ステップS530では、制御回路311は、タグIDと上記ステップS525で生成した印字データとを関連付けて記憶部310に記憶させる。そして、本フローを終了する。
【0096】
一方、上記ステップS520において、タグID及びこれに対応する印字データが記憶部310に記憶されている場合には、最初の情報読み取りでないとみなし、判定が満たされずにステップS535に移る。
【0097】
ステップS535では、制御回路311は、上記ステップS515で取得したタグIDに対応する印字データを記憶部310から読み出す。
【0098】
ステップS540では、前述の図6のステップS340と同様に、制御回路311は、上記読み出した印字データに対応するシリアル番号に1を加算して、新規シリアル番号を生成する。
【0099】
ステップS545では、図6のステップS335と同様に、上記生成した新規シリアル番号に基づき、対応する印字データを生成する。本ステップでは、上記ステップS540で生成した新規シリアル番号に対応する印字データを生成するため、上述した実施形態とは異なり、本ステップで生成する印字データ(印字用識別子)は、無線タグTから取得した、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたシリアル番号の初期値(作成用情報)とは異なっている。
【0100】
ステップS400では、制御回路311は、上記ステップS515で取得したコマンドに基づき、ラベルテープ303に対し上記生成した印字データの印字を行って印字ラベルLを作成するラベル作成処理を実行する(前述の図8参照)。
【0101】
ステップS550では、制御回路311は、記憶部310にタグIDと関連付けられて記憶された印刷データを、上記ステップS545で生成した新規シリアル番号に対応した印刷データに更新する。そして、本フローを終了する。
【0102】
なお、上記において、ステップS505、ステップS510、及びステップS515は、特許請求の範囲各項記載の装置アンテナを介して無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行い、IC回路部に記憶された情報を取得する情報取得手段を構成する。またステップS525及びステップS545は、情報取得手段で無線タグ回路素子に対し情報読み取りが行われるたびに、所定の規則性に沿って順次異なる印字用識別子を生成する識別子生成手段を構成し、これらステップS525又はステップS545とステップS400とが、識別子生成手段、搬送手段、及び印字手段を連携して制御する連携制御手段を構成する。
【0103】
上記変形例によれば、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルLを順次作成する際にも、無線タグ回路素子ToのIC回路部150には、シリアル番号の初期値を固定的に(内容不変に)記憶しておくだけで足りる。この結果、無線タグ回路素子Toの記憶容量を小さく抑制することができる。また、無線タグ回路素子Toから異なる情報を繰り返し読み取ったり、無線タグ回路素子Toへの情報書き込みや上書き更新を行う必要がなくなるので、印字ラベル作成時の信頼性を向上することができる。
【0104】
なお、上記変形例では、最初の情報読み取り時には無線タグ回路素子Toから読み出したシリアル番号の初期値に対応する印字データを記憶部310に記憶し、その後情報読み取りを行う度に記憶部310より読み出した印字データに対応するシリアル番号に1を加算して新規シリアル番号を生成した後に対応する印字ラベルLの作成を行うようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば前述の実施形態と同様に、最初の情報読み取り時に無線タグ回路素子Toから読み出したシリアル番号の初期値に1を加算して新規シリアル番号を生成し、これに対応する印字データを記憶部310に記憶するようにし、その後情報読み取りを行う度に記憶部310より読み出した印字データに対応する印字ラベルLの作成を行い、その後読み出した印字データに対応するシリアル番号に1を加算して新規シリアル番号を生成し、記憶部310の内容を生成した新規シリアル番号に対応する印字データに更新するようにしてもよい。後述する変形例(3)〜(6)についても同様である。
【0105】
また、上記では、記憶部310にタグIDと印字データとを関連付けて記憶させるようにしたが、これに限られず、タグIDとシリアル番号自体を関連付けて記憶させるようにしてもよい。
【0106】
(3)無線タグ情報を更新しない場合(タグにIDを記憶)
【0107】
上記変形例(2)では、無線タグ回路素子Toにシリアル番号の初期値を記憶させておき、最初の情報読み取り時に当該シリアル番号の初期値に対応する印字データをラベル作成装置300側で保存するようにしたが、これに限られず、予めラベル作成装置300側にシリアル番号の初期値に対応する印字データを記憶させておき、無線タグ回路素子ToからタグIDの情報読み取りを行う度にラベル作成装置300側で保存した印字データに対応するシリアル番号に1を加算して新規シリアル番号を生成し、当該生成した新規シリアル番号に対応した印字データに更新するようにしてもよい。
【0108】
本変形例におけるラベル作成システムLSの構成は、前述の図11と同様であるので説明を省略する。
【0109】
図13に、本変形例における印字ラベルLの作成時にラベル作成装置300Aの制御回路311によって実行される制御内容を示す。なお、前述の図12と同様の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0110】
ステップS505及びステップS510は図12と同様であり、制御回路311は、リーダライタ200の高周波回路204を制御し、無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るためのタグ読み取り信号を生成して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子Toに送信する。これに対応し無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号を受信すると、ステップS515Aに移る。
【0111】
ステップS515Aでは、制御回路311は、上記受信したリプライ信号に基づき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID及びコマンドを取得する。
【0112】
ステップS520は図12と同様であり、制御回路311は、上記無線タグTからの情報読み取りが最初の読み取りが否かを判定する。最初の情報読み取りである場合には、判定が満たされてステップS523に移る。
【0113】
ステップS523では、制御回路311は、上記ステップS515Aで取得したタグIDに対応する印字データの初期値を記憶部310から読み出す。なお、本変形例では、ラベル作成装置300Aの記憶部310に、印字ラベルLの作成開始時に用いるための印字データの初期値(シリアル番号の初期値に対応する印字データ。以下同様)が、各無線タグTのタグIDと関連付けられて予め設定記憶されている。
【0114】
ステップS400では、制御回路311は、上記ステップS515Aで取得したコマンドに基づき、ラベルテープ303に対し上記読み出した印字データの印字を行って印字ラベルLを作成するラベル作成処理を実行する(前述の図8参照)。
【0115】
一方、上記ステップS520において、タグID及びこれに対応する印字データが記憶部310に記憶されている場合には、最初の情報読み取りでない場合には、ステップS535に移る。このステップS535〜ステップS550は、前述の図12と同様であるので説明を省略する。なお、本変形例のステップS545では、上記ステップS540で生成した新規シリアル番号に対応する印字データを生成するため、上述した変形例(2)と同様に、本ステップで生成する印字データ(印字用識別子)は、無線タグTから取得した、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID(作成用情報)とは異なっている。
【0116】
なお、上記において、ステップS505、ステップS510、及びステップS515Aは、特許請求の範囲各項記載の装置アンテナを介して無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行い、IC回路部に記憶された情報を取得する情報取得手段を構成する。またステップS523及びステップS545は、情報取得手段で無線タグ回路素子に対し情報読み取りが行われるたびに、所定の規則性に沿って順次異なる印字用識別子を生成する識別子生成手段を構成し、これらステップS523又はステップS545とステップS400とが、識別子生成手段、搬送手段、及び印字手段を連携して制御する連携制御手段を構成する。
【0117】
上記変形例によれば、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に別途特別な情報を記憶させなくても、タグIDのように通常既に無線タグ回路素子Toに格納されている一般的な情報を流用することで、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルLを順次作成することができる。これにより、無線タグ回路素子Toは既存の一般的なものをそのまま用いることができるので、システムの汎用性が高まり、利便性を向上することができる。
【0118】
(4)リーダライタ200でシリアル番号の繰り上げを行う場合
上記実施形態では、ラベル作成装置300において無線タグ回路素子Toから読み出したシリアル番号の繰り上げ処理を行うようにしたが、これに限られず、リーダライタ200において処理するようにしてもよい。
【0119】
図14に、本変形例の印字ラベル作成システムLSの機能構成を示す。なお、前述の図2と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
【0120】
本変形例のリーダライタ200A(読み取り装置)は、上記アンテナ203、高周波回路204、及びインターフェース205の他に、適宜の情報を記憶する記憶部206(識別子記憶手段。例えばEEPROM等の不揮発性メモリ)と、リーダライタ200A全体の制御を行う制御回路207とを有している。なお、ラベル作成装置300を含む印字ラベル作成システムLSのその他の構成は、前述の図2と同様である。
【0121】
図15に、本変形例における印字ラベルLの作成時にリーダライタ200Aの制御回路207によって実行される制御内容を示す。
【0122】
ステップS610〜ステップS630は、前述の図6のステップS310〜ステップS330と同様である。すなわち、制御回路207は、高周波回路204に制御信号を送信し、アンテナ203を介し無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るためのタグ読み取り信号を生成して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。そして、上記タグ読み取り信号に対応し無線タグTの無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号をアンテナ203、高周波回路204を介し受信したか否かを判定する。無線タグTからリプライ信号が受信されていなければ判定が満たされずにステップS610に戻り、再びタグ読み取り信号の送信を繰り返す。一方、無線タグTからリプライ信号を受信した場合には、制御回路207は、上記受信したリプライ信号に基づき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID、コマンド、及びシリアル番号を取得する。
【0123】
ステップS635では、制御回路207は、上記取得したシリアル番号及びコマンドをインターフェース205、接続手段2、及びインターフェース309を介してラベル作成装置300の制御回路311に転送する。これにより、ラベル作成装置300では印字ラベルLの作成処理が実行される(後述の図16参照)。
【0124】
その後のステップS640〜ステップS660は、前述の図6のステップS340〜ステップS360と同様である。すなわち、制御回路207は、上記ステップS630で取得したシリアル番号に1を加算して、新規シリアル番号を生成する。そして、高周波回路204に制御信号を送信し、アンテナ203を介し無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に上記生成した新規シリアル番号を書き込むためのタグ書き込み信号を生成し、タグIDを指定して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信する。その後、上記新規シリアル番号の無線タグ回路素子Toへの書き込みが正常に完了したか否かを判定する。書き込みが正常に完了していない場合には、判定が満たされずにステップS650に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、書き込みが正常に完了している場合には、判定が満たされて本フローを終了する。
【0125】
なお、上記において、ステップS610、ステップS620、及びステップS630は、特許請求の範囲各項記載の装置アンテナを介して無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行い、IC回路部に記憶された情報を取得する情報取得手段を構成する。また、ステップS635は、情報取得手段で取得した作成用情報を転送する情報転送手段を構成する。さらに、ステップS650及びステップS660が、識別子生成手段で生成される新たな印字用識別子に対応した新たな作成用情報を、装置アンテナを介し、無線タグ回路素子のIC回路部に書き込む情報書込手段を構成する。
【0126】
図16に、本変形例における印字ラベルLの作成時にラベル作成装置300の制御回路311によって実行される制御内容を示す。なお、前述の図8と同様の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0127】
ステップS403では、制御回路311は、リーダライタ200の制御回路207から転送されたシリアル番号及びコマンド(図15中ステップS635参照)を接続手段2及びインターフェース309を介して入力し取得する。
【0128】
ステップS405では、制御回路311は、上記取得したシリアル番号に基づき、ラベルテープ303に対する印字内容を表す印字データを生成する。本変形例では、ラベルテープ303に対し無線タグTから読み取ったシリアル番号を印字するため、本ステップで生成する印字データ(印字用識別子)は、無線タグTから取得した、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたシリアル番号(作成用情報)と実質的に同等となっている。
【0129】
その後のステップS410〜ステップS480は、前述の図8と同様であり、制御回路311は、ラベルテープ303の印字領域Sへの上記ステップS405で生成した印字データの印字を行い印字ラベルLの作成を行う。
【0130】
上記において、ステップS403は、特許請求の範囲各項記載の読み取り装置の情報転送手段から転送された作成用情報を入力する情報入力手段を構成する。またステップS405は、情報取得手段で無線タグ回路素子に対し情報読み取りが行われるたびに、所定の規則性に沿って順次異なる印字用識別子を生成する識別子生成手段を構成し、このステップS405〜ステップS480が、識別子生成手段、搬送手段、及び印字手段を連携して制御する連携制御手段を構成する。
【0131】
以上説明した変形例においては、操作者が、無線タグTをリーダライタ200Aにおいてアンテナ203にかざす等により情報読み取りを行わせることで、ラベル作成装置300で印字データが生成され、印字ヘッド305によって印字データが印字され、印字ラベルLを作成することができる。またこのとき、リーダライタ200Aで読み取ったシリアル番号をラベル作成装置300へと直接転送させることにより、リーダライタ200Aやラベル作成装置300にパソコンやサーバ等を接続することなく、印字ラベルLを作成することができる。
【0132】
なお、上記変形例においては、無線タグ回路素子Toにラベル作成装置300に対し印字ラベルLを作成するように指示するためのコマンドが記憶されており、当該コマンドをシリアル番号等と共に読み出してリーダライタ200Aからラベル作成装置300に転送するようにしたが、本変形例では、無線タグ回路素子Toにコマンドを必ずしも記憶させておく必要はない。すなわち、リーダライタ200Aでコマンドを生成し、無線タグ回路素子Toから読み出したシリアル番号と共にラベル作成装置300に送信するようにしてもよい。
【0133】
また、上記変形例では、記憶部310にタグIDとシリアル番号とを関連付けて記憶させるようにしたが、これに限られず、上記変形例(2)又は(3)のようにタグIDと(シリアル番号に対応する)印刷データを関連付けて記憶させるようにしてもよい。
【0134】
(5)無線タグ情報を更新しない場合(タグにシリアル番号初期値を記憶)
【0135】
上記変形例(4)のようにリーダライタ200でシリアル番号の繰り上げを行う場合において、前述した変形例(2)のように、無線タグ回路素子Toにシリアル番号の初期値を記憶させておき、最初の情報読み取り時に当該シリアル番号の初期値をリーダライタ200A側で保存し、その後は無線タグ回路素子Toから情報読み取りを行う度にリーダライタ200A側で保存したシリアル番号に1を加算して新規シリアル番号を生成し、記憶部の内容を更新するようにしてもよい。
【0136】
本変形例におけるラベル作成システムLSの構成は、前述の図14と同様であるので説明を省略する。
【0137】
図17に、本変形例における印字ラベルLの作成時にリーダライタ200Aの制御回路207によって実行される制御内容を示す。
【0138】
ステップS705〜ステップS520は前述の図12のステップS505〜ステップS520と同様であり、制御回路207は、高周波回路204を制御し、無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るためのタグ読み取り信号を生成して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子Toに送信する。これに対応し無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号を受信すると、当該リプライ信号に基づき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID、コマンド、及びシリアル番号の初期値を取得する。そして、上記無線タグTからの情報読み取りが最初の読み取りが否かを判定する。最初である場合には、判定が満たされてステップS725に移る。
【0139】
ステップS725では、制御回路207は、上記ステップS715で取得したシリアル番号の初期値及びコマンドを、インターフェース205、接続手段2、及びインターフェース309を介してラベル作成装置300の制御回路311に転送する。
【0140】
ステップS730では、制御回路207は、上記ステップS715で取得したタグIDとシリアル番号(初期値)とを関連付けて記憶部206に記憶させる。そして、本フローを終了する。
【0141】
一方、上記ステップS720において、タグID及びこれに対応するシリアル番号が記憶部206に記憶されている場合には、最初の情報読み取りでないとみなし、判定が満たされずにステップS735に移る。
【0142】
ステップS735では、制御回路207は、上記ステップS715で取得したタグIDに対応するシリアル番号を記憶部206から読み出す。
【0143】
ステップS740では、制御回路207は、上記読み出したシリアル番号に1を加算して、新規シリアル番号を生成する。
【0144】
ステップS745では、制御回路207は、上記生成した新規シリアル番号を、インターフェース205、接続手段2、及びインターフェース309を介してラベル作成装置300の制御回路311に転送する。
【0145】
ステップS750では、制御回路207は、記憶部206にタグIDと関連付けられて記憶されたシリアル番号を、上記ステップS740で生成した新規シリアル番号に更新する。そして、本フローを終了する。
【0146】
なお、上記において、ステップS705、ステップS710、及びステップS715は、特許請求の範囲各項記載の装置アンテナを介して無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行い、IC回路部に記憶された情報を取得する情報取得手段を構成する。また、ステップS725及びステップS745は、情報取得手段で取得した作成用情報を転送する情報転送手段を構成する。
【0147】
上記変形例においても、前述の変形例(2)と同様に、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルLを順次作成する際にも、無線タグ回路素子ToのIC回路部150には、シリアル番号の初期値を固定的に(内容不変に)記憶しておくだけで足りる。この結果、無線タグ回路素子Toの記憶容量を小さく抑制することができる。また、無線タグ回路素子Toから異なる情報を繰り返し読み取ったり、無線タグ回路素子Toへの情報書き込みや上書き更新を行う必要がなくなるので、印字ラベル作成時の信頼性を向上することができる。
【0148】
(6)無線タグ情報を更新しない場合(タグにIDを記憶)
【0149】
上記変形例(5)では、無線タグ回路素子Toにシリアル番号の初期値を記憶させておき、最初の情報読み取り時に当該シリアル番号の初期値をリーダライタ200A側で保存するようにしたが、前述の変形例(3)のように、予めリーダライタ200A側にシリアル番号の初期値を記憶させておき、無線タグ回路素子ToからタグIDの情報読み取りを行う度にリーダライタ200A側で保存したシリアル番号に1を加算して新規シリアル番号を生成し、当該生成した新規シリアル番号に更新するようにしてもよい。
【0150】
本変形例におけるラベル作成システムLSの構成は、前述の図14と同様であるので説明を省略する。
【0151】
図18に、本変形例における印字ラベルLの作成時にリーダライタ200Aの制御回路207によって実行される制御内容を示す。
【0152】
ステップS705〜ステップS720は図13のステップS505〜ステップS520と同様であり、制御回路207は、高周波回路204を制御し、無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るためのタグ読み取り信号を生成して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子Toに送信する。これに対応し無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号を受信すると、当該受信したリプライ信号に基づき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID及びコマンドを取得する。そして、上記無線タグTからの情報読み取りが最初の読み取りが否かを判定する。最初の情報読み取りである場合には、判定が満たされてステップS723に移る。
【0153】
ステップS723では、制御回路207は、上記ステップS715Aで取得したタグIDに対応するシリアル番号の初期値を記憶部206から読み出す。なお、本変形例では、リーダライタ200Aの記憶部206に、印字ラベルLの作成開始時に用いるためのシリアル番号の初期値が、各無線タグTのタグIDと関連付けられて予め設定記憶されている。
【0154】
ステップS725では、制御回路207は、上記ステップS715Aで取得したタグID及びコマンドを、インターフェース205、接続手段2、及びインターフェース309を介してラベル作成装置300の制御回路311に転送する。そして、本フローを終了する。
【0155】
一方、上記ステップS720において、最初の情報読み取りでない場合には、ステップS735に移る。このステップS735〜ステップS750は、前述の図17と同様であるので説明を省略する。
【0156】
なお、上記において、ステップS705、ステップS710、及びステップS715Aは、特許請求の範囲各項記載の装置アンテナを介して無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行い、IC回路部に記憶された情報を取得する情報取得手段を構成する。
【0157】
上記変形例によれば、前述の変形例(3)と同様に、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に別途特別な情報を記憶させなくても、タグIDのように通常既に無線タグ回路素子Toに格納されている一般的な情報を流用することで、印字内容に連続的な関連性のある複数の印字ラベルLを順次作成することができる。これにより、無線タグ回路素子Toは既存の一般的なものをそのまま用いることができるので、システムの汎用性が高まり、利便性を向上することができる。
【0158】
(7)その他
以上では、所定の規則性の一例として1ずつ数値が繰り上がる場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば複数おきに繰り上がったり(1,3,5…や、50,55,60…等)、あるいは10,9,8,…や、300,200,100…のように繰り下がる場合であってもよい。また、例えば数でなくアルファベット順あるいは50音順等の規則性に沿って文字を変えていく等でもよい。
【0159】
また以上では、本発明の印字ラベル作成システムを製品のシリアル番号をそれぞれ印字した複数の印字ラベルの作成に適用した場合を説明したが、本発明の適用対象はこれに限られない。例えば、学校授業や講習会、セミナー等において受講者の人数をカウントする必要がある場合に、受講者が教室に入る際に無線タグTをリーダライタ200にかざすことにより、そのたびに数字が1ずつ繰り上がって印字された印字ラベルLが作成され、受講者の人数をカウントすることができる。このように、本発明は種々の場面に適用することが可能である。
【0160】
また、以上において、印字の終了した印字済みのラベルテープ303をカッタ307で切断して印字ラベルLを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッタ307で切断しなくても、テープが排出口から排出されてきた後にラベル台紙(対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がして印字ラベルLを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
【0161】
また、以上においては、ラベルテープ303に備えられた被印字テープ層(図示せず)に印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)を例にとって説明したが、これに限られず、ラベルテープ303とは別のカバーフィルムに印字を行ってこれらを貼り合わせる方式(いわゆるラミネートタイプ)に本発明を適用してもよい。
【0162】
さらに、以上は、ラベルテープ303がリール部材の周りに巻回してロール304を構成し、そのロール304からラベルテープ303が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックして(例えばトレイ状のものに平積み積層して)カートリッジ化し、このカートリッジをラベル作成装置300側のカートリッジホルダに装着して、上記収納部から移送、搬送して印字及び書き込みを行い印字ラベルを作成するようにしてもよい。
【0163】
さらには上記ロールを直接ラベル作成装置300側に着脱可能に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートをラベル作成装置300内へ供給する構成も考えられ、さらにはカートリッジのようなラベル作成装置300本体側に着脱可能なものにも限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型としてラベルテープロール304を設けることも考えられる。この場合も同様の効果を得る。
【0164】
なお、以上において、図2、図3、図4等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0165】
また、図6、図8、図10等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0166】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0167】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本実施形態の印字ラベル作成システムの全体構成を表すシステム構成図である。
【図2】印字ラベル作成システムの機能構成を表す機能ブロック図である。
【図3】リーダライタの高周波回路の詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図4】無線タグに備えられる無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図5】無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部の記憶内容の一例を概念的に表す図である。
【図6】印字ラベルの作成時にラベル作成装置の制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図7】無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部の記憶内容の一例を表す図である。
【図8】ステップS400のラベル作成処理の詳細内容を表すフローチャートである。
【図9】作成される印字ラベルの一例を表す図である。
【図10】タグより読み出したシリアル番号に1を加算して印字する変形例における印字ラベルの作成時にラベル作成装置の制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図11】無線タグ情報を更新しない場合(タグにシリアル番号初期値を記憶)の変形例の印字ラベル作成システムの機能構成を表す機能ブロック図である。
【図12】無線タグ情報を更新しない場合(タグにシリアル番号初期値を記憶)の変形例における印字ラベルの作成時にラベル作成装置の制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図13】無線タグ情報を更新しない場合(タグにIDを記憶)の変形例における印字ラベルの作成時にラベル作成装置の制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図14】リーダライタでシリアル番号の繰り上げを行う変形例の印字ラベル作成システムの機能構成を表す機能ブロック図である。
【図15】リーダライタでシリアル番号の繰り上げを行う変形例における印字ラベルの作成時にリーダライタの制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図16】リーダライタでシリアル番号の繰り上げを行う変形例における印字ラベルの作成時にラベル作成装置の制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図17】無線タグ情報を更新しない場合(タグにシリアル番号初期値を記憶)の変形例における印字ラベルの作成時にリーダライタの制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図18】無線タグ情報を更新しない場合(タグにIDを記憶)の変形例における印字ラベルの作成時にリーダライタの制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0169】
150 IC回路部
151 タグアンテナ
200A リーダライタ(読み取り装置)
203 アンテナ(装置アンテナ)
206 記憶部(識別子記憶手段)
300 ラベル作成装置
303 ラベルテープ(ラベル媒体)
305 印字ヘッド(印字手段)
308 搬送ローラ(搬送手段)
310 記憶部(識別子記憶手段)
311 制御回路(連携制御手段)
L 印字ラベル
LS 印字ラベル作成システム
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとが設けられた無線タグ回路素子に対し、無線通信を介し情報送受信を行うための装置アンテナと、
前記装置アンテナを介して前記無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行い、前記IC回路部に記憶された情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で前記無線タグ回路素子に対し情報読み取りが行われるたびに、所定の規則性に沿って順次異なる印字用識別子を生成する識別子生成手段と、
ラベル媒体を搬送するための搬送手段と、
前記搬送手段で搬送される前記ラベル媒体か、若しくは、前記ラベル媒体に貼り合わされる被印字媒体に対し、前記識別子生成手段で生成した前記印字用識別子の印字を行い、印字ラベルを作成する印字手段と
を有することを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項2】
請求項1記載の印字ラベル作成システムにおいて、
前記情報取得手段で1回の前記情報読み取りが行われたら、これに対応して1つの前記印字ラベルを作成するように、前記識別子生成手段、前記搬送手段、及び前記印字手段を連携して制御する連携制御手段を有する
ことを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の印字ラベル作成システムにおいて、
前記識別子生成手段は、
前記情報取得手段で前記無線タグ回路素子に対し情報読み取りが行われるたびに、所定の偏差により順次繰り上がる若しくは順次繰り下がる数値情報を、前記印字用識別子として生成する
ことを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印字ラベル作成システムにおいて、
前記無線タグ回路素子の前記IC回路部は、
印字ラベルを作成するための作成用情報を記憶しており、
前記情報取得手段は、
前記装置アンテナを介し、前記IC回路部より前記作成用情報を取得し、
前記識別子生成手段は、
前記情報取得手段で前記作成用情報が取得されるたびに、前記規則性に沿って新たな印字用識別子を順次生成し、
前記印字手段は、
前記新たな印字用識別子に対応した印字を行い、前記印字ラベルを作成する
ことを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項5】
請求項4記載の印字ラベル作成システムにおいて、
前記無線タグ回路素子の前記IC回路部は、前記印字用識別子に係わる前記所定の規則性と同等の規則性を設定可能な前記作成用情報を記憶している
ことを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項6】
請求項5記載の印字ラベル作成システムにおいて、
前記識別子生成手段で生成される前記新たな印字用識別子に対応した新たな前記作成用情報を、前記装置アンテナを介し、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込む情報書込手段を有する
ことを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項7】
請求項4記載の印字ラベル作成システムにおいて、
最初に前記情報取得手段で前記作成用情報が取得されたとき、対応して最初に前記識別子生成手段で生成された前記印字用識別子を記憶する識別子記憶手段を有し、
前記識別子生成手段は、
前記識別子記憶手段へ最初に前記印字用識別子が記憶された後は、前記情報取得手段で前記作成用情報が取得されるたびに、前記識別子記憶手段に記憶された前記印字用識別子に基づいて新たな印字用識別子を順次生成する
ことを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項8】
請求項4記載の印字ラベル作成システムにおいて、
前記識別子生成手段は、
前記情報取得手段で前記作成用情報が取得されるたびに、前記印字ラベルの作成開始時に用いるために予め設定記憶された前記印字用識別子の初期値に基づいて新たな印字用識別子を順次生成する
ことを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項9】
請求項4乃至請求項8のいずれか1項記載の印字ラベル作成システムにおいて、
前記装置アンテナ、前記情報取得手段、及び、前記情報取得手段で取得した前記作成用情報を転送する情報転送手段を備えた読み取り装置と、
前記搬送手段、前記印字手段、及び、前記読み取り装置の前記情報転送手段から転送された前記作成用情報を入力する情報入力手段を備えたラベル作成装置と
から構成されることを特徴とする印字ラベル作成システム。
【請求項10】
請求項9記載の印字ラベル作成システムにおいて、
前記識別子生成手段は前記ラベル作成装置に備えられており、前記情報入力手段で入力した作成用情報に基づき前記印字用識別子を順次生成する
ことを特徴とする印字ラベル作成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−67009(P2010−67009A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232724(P2008−232724)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】