説明

印字機

【課題】現在の日付や時刻を印字する場合、手動で数字を設定するゴム印は印字の都度行う設定がわずらわしく、印字のためにはスタンプ台が別途必要となる。印字用の数字が自動で設定されるプリンターはシステムが複雑になり、インクやインクリボンを必要とする。簡単な構造で手軽に正しい日時を印字できる印字機がない。
【解決手段】日付・時刻をデジタル表示する時計部とそれぞれ複数セグメントの発熱体から形成される数字及び記号を印字するための感熱印字ヘッド部を備え、時計用ICから日時表示部へ送られる表示用信号を感熱印字セグメントの発熱体選択信号として利用し、感熱テープに現在の日時をワンタッチで印字する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用ICからの日時表示信号を使用した印字機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の日付や時刻を印字する場合、ゴムベルト上に形成された一列の連続する文字の組み合わせや、単独に形成された文字の組み合わせを手動で行い、設定したゴム印にスタンプ台でインクをつけた後に押印する方法が長らく使われている。この場合、押印するたびにゴム印の日付や時刻を最新の状態に手動で設定し直すというわずらわしさがあり、また設定し忘れや設定の間違いが生じることがある。
【0003】
手動による煩雑な日付印の設定をなくすため、計時回路により定時間毎に電動モータを駆動することにより減速機構やベルト送り車を介して印字用無端ベルトを順次送り、自動的に日付印の設定ができるようにしたものが考えられている。しかし複数の印字用無端ベルトをそれぞれ連動して送るための機構は非常に複雑なものになる(特許文献1参照。)。
【0004】
一方、押印面において複合セグメント構造の数字によって可変文字を構成し、時計回路からの信号に基づいて制御することにより自動的に印字用数字が設定されるものが考えられている。各数字はそれぞれ7個のセグメントにより構成されており、所要のセグメントが電気信号に基づいた磁力やばね力により押印面に押し出されることにより目的の数字が形成される構造となっている。このような機械的駆動構造を持つため小型化には限界があり、耐久性にも問題が生じやすい(特許文献2参照。)。
【0005】
さらに、現時刻および月日を計時する時計機能部からの計時データに基づき、分割子により数字を形成する発熱体をCPUにて制御し溶融液化したインクを押印面に向け浸透させることにより印字する装置が考えられている。この場合、数字を形成する分割子ごとに発熱体により適量のインクを溶融液化し押印面に浸透させる構造は複雑となり、インクの供給方法なども考慮すると、上記印字装置同様に小型化には限界があり、また印刻部材の分割子溝におけるインクの詰まりなどが生じる恐れもある(特許文献3参照。)。
【0006】
また、上位装置からの印字データを印刷する印字装置に日時をカウントするタイマを備え、タイマの示す日時を日時印字データに変換し行メモリに送信する変換制御部を有し日時も印刷できる印字装置も考えられている。日時以外のデータも印刷できる点は便利であるが、日時を印字するためのシステムが複雑になる(特許文献4参照。)。
【特許文献1】公開実用新案公報 平2−108059号
【特許文献2】公開実用新案公報 昭56−66451号
【特許文献3】特開平8−132719号公報
【特許文献4】特開平5−173736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、現在の日付や時刻を印字するためのさまざまな方法があるが、印字するたびにゴムベルト上に刻まれた数字を現在の日時に手動で設定するのは非常に煩雑である。一方、それらの設定が時計からのデータに基づき自動で行われるものでも、機械的駆動構造が複雑であるため小型化に限界があったり耐久性に問題があったりする。また、これらの印字手段は押印に際してスタンプ台や朱肉などを別途必要とする。さらに、時計からの計時データに基づき分割子により数字を形成する発熱体をCPUにて制御し、溶融液化したインクを押印面に浸透させることにより印字するものもあるが、構造が複雑であり上記印字装置同様に小型化には限界がある。また、印字機構部におけるインクの詰まりなどの問題も考えられる。上位装置からの印字データと合わせて日時の印字ができる印字装置は印字の自由度は増すもののシステムが複雑となる。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、自動的に現在の日時情報に基づいて所要な印字セグメント用発熱体が設定され、ワンタッチでスタンプ台や朱肉を必要とせず感熱印字シートに印字できる簡単なシステムの印字機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印字機では、時計用ICから日付・時刻表示部へ送られる表示用信号を、数字・記号を形成する感熱印字セグメントの発熱体選択信号として利用し印字する。
【0009】
前記印字機において、数字・記号を形成する感熱印字セグメントの一部の発熱体を時計用ICから送られる表示用信号にかかわらず、別に選択できる機能を持ってもよい。
【0010】
前記印字機において、印字シートが感熱紙または感熱テープであってもよい。
【0011】
日付・時刻をデジタル表示する時計部とそれぞれ7セグメントの発熱体から形成される数字および複数セグメントの発熱体から形成される記号を印字するための感熱印字ヘッド部を備えた前記印字機。
【0012】
日付・時刻をデジタル表示する時計部とそれぞれ複数セグメントの発熱体から形成される数字および記号を印字するための感熱印字ヘッド部を備えた前記印字機。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、日時を印字するための感熱印字ヘッドは内臓のデジタル時計により常に現在の日時に自動で設定されているため、特別な操作なしにワンタッチで正しい日時が印字できるという便利さがある。一例として食品を冷蔵庫や冷凍庫に保存する場合、現在の日時を時計等で確認した上で保存開始日などをペンで紙に書き、それを容器や袋に粘着テープで貼り付ける作業をしているが、感熱粘着テープを本印字機に使用すれば即座に日時が印字されたテープが得られそのまま貼り付けるだけで済み、大幅な時間と労力の削減が図れる。
【0014】
同じように日時を印字したテープを得る場合に、ゴム印などを使用する場合はたとえ印字用の数字が自動的に設定されたとしても印字のためのスタンプ台や朱肉が必要となる。また、印字の方法にはインクジェット方式やドットインパクト方式があるが、いずれも点の組み合わせによって所要の数字を形成するためのシステムが複雑になり、別途インクやインクリボンが必要となる。感熱方式のものでもインクを使用するものはインクリボンが必要となる。
【0015】
印字される側のシートが圧力によって発色する感圧方式のものや熱によって発色する感熱方式のものは印字のためにインクなどを別途必要とはしない。しかし感圧方式の場合、印字後に不要な圧力が加わると印字内容と無関係な線や傷跡などが現れ見づらくなる。一方この感熱方式のものは、印字後に印字内容がよく保持される。
【0016】
食品を保存する場合のみならず、電話の応対メモを取ったり書類の授受などの際にも本発明による印字機を使うことにより手軽に正確な日時の表示が可能となる。また、賞味期限や消費期限が長いものでも一旦開封してしまうと、その安全期限は自己管理下にゆだねられる。その場合にも、正確な日時を開封時に表示できれば食中毒などの防止にも役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の各実施形態を説明する。この発明の印字機は図1及び図2に示すように、日付・時刻をデジタル表示する時計部とそれぞれ複数セグメントの発熱体から形成される数字及び記号を印字するための感熱印字ヘッド部から構成される。図3は可変文字印字用セグメントと固定記号用セグメントである。図4は印字モードを切り替えた場合の印字例である。図5から図8は本発明による印字機全体の構成図である。
【0018】
図1に示されるデジタル時計の日付・時刻表示部101は時計用IC102からの表示用信号により、表示に必要なセグメントが選択され現在の日時が表示される。時計の各表示セグメントに対応するような感熱印字用の発熱体からなるセグメントで数字や記号を構成103すれば、時計表示用の信号をそのまま発熱体選択用信号Aとして利用できる。
【0019】
印字モード選択スイッチにより図4の(A)月日表示、(B)時刻表示、(C)年月日表示及び(D)年月日と時刻表示などの印字パターンを選択する。図3の可変文字用セグメント305は所要の数字に合わせて選択され、記号用セグメントのスラッシュ306aは月日表示時に、コロン306bは時刻表示時に印字モードの切り替えに連動して固定セグメントとして選択される。
【0020】
図2に示される記号セグメント用発熱体204は日時の印字とは別に担当者の名前やマークなどの印字したい形状を発熱体選択用信号Bで設定する。
【0021】
図5は本発明の印字機507の構成図であり、日時表示部508、時計部設定用のSETボタン509、日付や時刻を戻すためのDOWNボタン510、日付や時刻を進めるためのUPボタン511、印字のモードを選択するMODEボタン512、印字用発熱セグメントが入っている印字ヘッド部513、印字される感熱粘着テープ514、テープを切るためのテープカッター515を備えている。
【0022】
図6に示すように感熱粘着テープ614は印字機607の内部に装着される。印字する場合は図7に示すように印字ヘッド部713を押し下げることにより、連動して印字に必要なセグメントの発熱体に通電され、図8に示されるように感熱粘着テープ814に印字される。印字された時刻816はその一例である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例において、印字のための日付・時刻セグメント用発熱体をデジタル時計の表示用信号を利用して制御するブロック図である。
【図2】同じく印字のための日付・時刻セグメント用発熱体をデジタル時計の表示用信号を利用して制御し、記号セグメント用発熱体を時計の表示用信号とは別に制御するブロック図である。
【図3】同じく可変文字印字用セグメントと固定記号用セグメントである。
【図4】同じく印字モードを切り替えた場合の印字例である。
【図5】本発明の実施例を示す印字機全体の構成図である。
【図6】同じく印字機の内部に感熱粘着テープを装着した図である。
【図7】同じく印字ヘッド部を印字のために押下げたときの図である。
【図8】同じく印字ヘッドにより時刻が印字されたときの図である。
【符号の説明】
【0024】
101,201 日付・時刻表示部
102,202 時計用IC
103,203 日付・時刻セグメント用発熱体
204 記号セグメント用発熱体
305 可変文字用セグメント
306a,306b 記号用セグメント
507,607,707,807 印字機
508 日時表示部
509 SETボタン
510 DOWNボタン
511 UPボタン
512 MODEボタン
513,613,713,813 印字ヘッド部
514,614,714,814 感熱粘着テープ
515 テープカッター
816 印字された時刻







【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計用ICから日付・時刻表示部へ送られる表示用信号を、数字・記号を形成する感熱印字セグメントの発熱体選択用信号として利用し印字することを特徴とする印字機。
【請求項2】
数字・記号を形成する感熱印字セグメントの一部の発熱体を時計用ICから送られる表示用信号にかかわらず、別に選択できる機能を持った請求項1に記載の印字機。
【請求項3】
印字シートが感熱紙または感熱テープである請求項1または請求項2に記載の印字機。
【請求項4】
日付・時刻をデジタル表示する時計部とそれぞれ7セグメントの発熱体から形成される数字および複数セグメントの発熱体から形成される記号を印字するための感熱印字ヘッド部を備えた請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の印字機。
【請求項5】
日付・時刻をデジタル表示する時計部とそれぞれ複数セグメントの発熱体から形成される数字および記号を印字するための感熱印字ヘッド部を備えた請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の印字機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−15349(P2010−15349A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174232(P2008−174232)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(504384011)株式会社テクノサイエンス (6)
【Fターム(参考)】