説明

危険区域への入退管理システム

【課題】作業者の安全を確保できる危険区域への入退管理システムを提供する。
【解決手段】危険区域H1、H2と安全区域S1〜S3の境界に設けたゲートG1〜G8と制御装置17を有する入退管理システム10であり、制御装置17は、ゲートG1〜G8に設けたIDタグリーダ29、30及び表示手段31と、運転室22aに設けた危険区域H1、H2の入場可否を指示する入場是非出力手段35、IDの入力手段34、及びゲート制御手段33を有し、ゲートG1〜G8の開による危険区域H1、H2への入場は、作業者のID認識、入場是非出力手段35が危険区域H1、H2への入場許可信号を発生、車両12〜16停止を条件に、退場は作業者のID認識を条件にして行われ、ゲートG1〜G8による危険区域H1、H2への入退場者数から実際に危険区域H1、H2に存在する作業者数を計算し、作業者が存在する場合、車両12〜16の走行を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が走行する危険区域へ入場する作業者の安全を確保するための危険区域への入退管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製鉄所では、コークス炉設備に並列に配設された複数のコークス炉(炭化室)内に石炭を装入し、この石炭を、蓄熱室からの熱により乾留してコークスを製造している。製造されたコークスは、コークス押出し側で各コークス炉間を移動する押出し機により、コークス炉内から外部へ押出され、コークス出側で各コークス炉間を移動するガイド車を介して消火車へ装入された後、冷却して高炉へ供給されている。
上記したように、コークス炉設備においては、押出し機やガイド車が走行する危険区域が存在するが、この危険区域では作業者が作業(例えば、押出し機やガイド車の乗降、コークス炉の補修作業や清掃作業等)を行う場合があり、安全を確保する必要があった。
一方、例えば、特許文献1には、複数箇所に監視ゲートが設けられた特定領域に対する、予め登録された被監視対象者の入退出を監視する監視システムが提案されている。
また、特許文献2には、特定の権限を有した者のみ、入場や退場を許可する出入口における管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−7841号公報
【特許文献2】特開2006−236183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1の技術は、例えば、ICタグなどの無線発信器から発信されるID情報を含む自他識別信号を検出することにより、被監視対象者の特定領域に対する入退出を管理している。このため、前記したように、危険区域を車両(押出し機やガイド車)が走行する場合、例えば、車両が走行状態にある場合や、また車両がまもなく走行を開始する場合に、作業者が危険区域に入場する恐れがあり、危険である。
また、監視ゲートには、互いに連動して開閉動作が行われる一対のゲート扉が設置されているため、この一対のゲート扉の設置スペースを確保する必要があり、更には、監視ゲートの設置数の増加と共にゲート扉の設置数も増加し、設備コストがかかって不経済である。
【0005】
特許文献2の技術は、入退場口周辺の所定範囲を撮影するカメラを備え、このカメラの画像情報から人物を検出して、通行の可否を判定している。このため、上記した特許文献1と同様、危険区域を車両が走行する場合に、作業者が危険区域に入場する恐れがあり、危険である。
また、全ての入退場口にカメラを設ける必要があるため、入退場口の箇所数の増加と共にカメラの設置数も増加し、設備コストがかかって不経済である。なお、カメラの画像情報は画像処理手段で処理する必要があるため、更に設備コストがかかる。
更に、カメラの設置環境によっては、カメラのレンズに汚れ等が付着する恐れもあり、カメラの清掃作業等を頻繁に行わなければならず、作業性が悪い。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、作業者の安全を確保できる危険区域への入退管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る危険区域への入退管理システムは、1又は複数の車両が軌道上を走行する危険区域と、該危険区域外に設けられた複数の安全区域と、該危険区域と複数の該安全区域の境界それぞれに設けられたゲートと、該ゲートを含む機器の管理を行う制御装置とを有する危険区域への入退管理システムにおいて、
前記制御装置は、前記ゲート又はその近傍に設けられ、前記危険区域への入場者及び該危険区域からの退場者のIDをそれぞれ識別するIDタグリーダ、及び前記ゲート又はその近傍に設けられた表示手段と、
前記車両の運転室に設けられ、該運転室から前記危険区域の入場許可と入場拒否を指示する入場是非出力手段、作業者のIDを事前に登録する入力手段、及び前記ゲートの開閉動作を行うゲート制御手段とを有し、
前記ゲート制御手段による前記ゲートの開による作業者の前記危険区域への入場は、1)前記IDタグリーダで識別された作業者のIDが、前記ゲート制御手段により、前記入力手段で事前に登録されたIDと認識されること、2)前記入場是非出力手段が、作業者の前記危険区域への入場を許可する信号を、前記ゲート制御手段に発生していること、及び3)前記車両の停止信号を前記ゲート制御手段に発信していることのうち、該1)の条件と、該2)又は該3)のいずれか一方又は双方の条件とを満足することで行われ、
前記ゲート制御手段による前記ゲートの開による作業者の前記危険区域からの退場は、前記IDタグリーダで識別された作業者のIDが、前記ゲート制御手段により、前記入力手段で事前に登録されたIDと認識されることを条件にして行われ、
かつ、前記ゲート制御手段により、前記ゲートによって前記危険区域に入場した作業者の数と、該危険区域から退場した作業者の数から、実際に前記危険区域に存在する作業者の数を計算し、前記危険区域に作業者が存在する場合には、前記車両の走行を停止させている。
【0008】
本発明に係る危険区域への入退管理システムにおいて、前記表示手段は、a)前記車両が移動中であること、b)作業者の前記IDが識別中であること、及びc)前記ゲートを通って前記危険区域に入場可能であること、を表示することが好ましい。
また、本発明に係る危険区域への入退管理システムにおいて、前記ゲートには、作業者の前記IDの識別無しで、前記ゲートを開にする非常スイッチが設けられていることが好ましい。
そして、本発明に係る危険区域への入退管理システムにおいて、前記危険区域と前記安全区域の境界には、前記ゲートとは別に、該ゲートより広幅の資材搬入ゲートが設けられてもよい。
【0009】
本発明に係る危険区域への入退管理システムにおいて、前記危険区域及び前記安全区域は、複数のコークス炉を備えたコークス炉設備に設定され、前記車両は、前記コークス炉のコークス押出し側に設けられた押出し機と、該コークス炉のコークス出側に設けられたガイド車であることが好ましい。
また、本発明に係る危険区域への入退管理システムにおいて、前記安全区域は、前記押出し機内及び前記ガイド車内にも設けることができる。
そして、本発明に係る危険区域への入退管理システムにおいて、前記コークス炉設備は、それぞれ複数の前記コークス炉を有する複数の炉団に分離され、特定の該炉団に前記危険区域を設定するに際しては、他の前記炉団を前記危険区域から解除することができる。
更に、本発明に係る危険区域への入退管理システムにおいて、前記特定の炉団への前記危険区域の設定は、開閉可能な機械的ストッパーで行うのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る危険区域への入退管理システムは、制御装置が、ゲート又はその近傍に設けられたIDタグリーダ及び表示手段と、車両の運転室に設けられた入場是非出力手段、IDの入力手段、及びゲート制御手段とを有し、ゲートの開による作業者の危険区域への入場条件に、作業者のID認識のみならず、入場是非出力手段による危険区域への入場を許可する信号の発生、又は車両の停止のいずれか一方又は双方が含まれている。このため、車両の走行状況、例えば、車両が走行状態にある場合や、また車両がまもなく走行を開始する場合も考慮に入れた作業者の危険区域への入場判断を行うことができる。
また、ゲートの開による作業者の危険区域への入場条件を2つ以上にするので、作業者の危険区域への入場を厳格に行うことができ、一方、作業者の危険区域からの退場条件を1つにするので、作業者の危険区域からの退場をスムーズに行うことができる。なお、入場と退場の条件数を変えることで、危険区域への入退管理システムの構成も簡単にできる。
そして、ゲートによって危険区域に入場した作業者の数と、危険区域から退場した作業者の数から、実際に危険区域に存在する作業者の数を計算し、危険区域に作業者が存在する場合、車両の走行を停止させるので、例えば、作業者が、車両が停止状態にある危険区域へ入場した後に、車両が走行することを防止できる。
以上のことから、本発明の危険区域への入退管理システムを使用することで、危険区域へ入場する作業者の安全を確保できると共に、システム構成も簡単にできて経済的である。
【0011】
また、表示手段が、a)車両が移動中、b)作業者の前記IDが識別中、及びc)ゲートを通って危険区域に入場可能、の各状況表示を行う場合、作業者は現在の状況を容易に確認でき、更なる安全の確保が図れる。
そして、ゲートに、作業者のIDの識別無しで、ゲートを開にする非常スイッチが設けられている場合、例えば、作業者が、危険区域でIDを紛失しても、危険区域から退場できる。これにより、緊急時における作業者の安全を、確実に確保できる。
更に、危険区域と安全区域の境界に、ゲートより広幅の資材搬入ゲートが設けられている場合、例えば、道具を持参する作業者が狭幅のゲートを通過することなく、安全区域から危険区域へ、また危険区域から安全区域へ、容易に移動できる。
【0012】
ここで、危険区域への入退管理システムを、複数のコークス炉を備えたコークス炉設備に適用した場合、このコークス炉設備においても、危険区域へ入場する作業者の安全を確保できる。
安全区域を、押出し機内及びガイド車内にも設ける場合、例えば、押出し機(又はガイド車)から降りて、危険区域に入場しようとする作業者が、走行中の他の押出し機(又は他のガイド車)により、危険にさらされる恐れがなくなる。
【0013】
そして、コークス炉設備が複数の炉団に分離され、特定の炉団に危険区域を設定するに際し、他の炉団を危険区域から解除する場合、例えば、各炉団の操業状況に応じた危険区域の設定、即ち、操業中の炉団に危険区域を設定し、反操業(非操業)の炉団を危険区域から解除(安全区域に設定)できるので、危険区域への入退場の管理と作業者の移動制限を最小限にできる。
更に、特定の炉団への危険区域の設定を機械的ストッパーで行う場合、簡単な構成で、危険区域と安全区域の区域分けを実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る危険区域への入退管理システムを設置したコークス炉設備の平面図である。
【図2】同危険区域への入退管理システムの構成の概略を示す説明図である。
【図3】同危険区域への入退管理システムの使用方法を示す説明図である。
【図4】同危険区域への入退管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1〜図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る危険区域への入退管理システム(以下、単に入退管理システムともいう)10は、複数のコークス炉(炭化室)を備えたコークス炉設備11に設けられ、押出し機(車両の一例)12、13、及びガイド車(車両の一例)14〜16が軌道(図示しない)上を走行する危険区域H1、H2と、この危険区域H1、H2外に設けられた複数の安全区域S1〜S3と、危険区域H1、H2と複数の安全区域S1〜S3の境界それぞれに設けられたゲートG1〜G8と、ゲートG1〜G8を含む機器の管理を行う制御装置17とを有するものである。以下、詳しく説明する。
【0016】
コークス炉設備11は、複数のコークス炉を有する複数の炉団18、19に分離され、各炉団18、19には、押出し機12、13とガイド車14〜16の走行方向に、コークス炉と蓄熱室とが1つずつ交互に隣り合って並設されている。なお、炉団の数は、ここでは2つであるが、これに限定されるものではなく、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
並設された複数のコークス炉のコークス押出し側(前方)には、コークスの押出方向と直交する方向に敷設された軌道上を走行可能な上記した押出し機12、13が設けられている。また、押出し機12、13が走行する軌道上には、メンテナンス点検用の点検車両(車両の一例)20も走行可能に設けられている。
【0017】
一方、コークス炉のコークス出側(後方)には、コークスの押出方向と直交する方向に敷設された軌道上を走行可能な上記したガイド車14〜16が設けられている。また、ガイド車14〜16が走行する軌道よりも外側(炉団18、19とは反対側)には、他の軌道が設けられ、ガイド車14〜16を介して落下するコークスを受ける消火車21、22が走行可能に設けられている。
なお、上記した押出し機、点検車両、ガイド車、及び消火車の台数は、これに限定されるものではなく、それぞれ1台でもよく、また2台以上の複数台でもよい。
【0018】
炉団18、19の上方には、コークスの装入対象となるコークス炉の上方位置まで移動して、このコークス炉に上方から石炭を装入する石炭装入車(図示しない)が配置されている。なお、石炭装入車への石炭の供給は、2つの炉団18、19の間に立設された石炭塔から行われる。
以上に示したコークス炉設備11の操業、例えば、押出し機12、13、ガイド車14〜16、点検車両20、消火車21、22、及び石炭装入車の運転や監視は、別途設けられた運転室(中央監視室である車両の運転室)22aから、例えば、監視モニター等を用いて遠隔操作により行われている。
【0019】
このコークス炉設備11の操業に際しては、まず、石炭塔まで石炭装入車を移動させて停止し、石炭塔内の石炭を石炭装入車へ供給する。次に、この石炭装入車を、石炭を装入するコークス炉の上方位置まで移動させ、石炭装入車内の石炭をコークス炉内に装入した後、この石炭を、蓄熱室からの熱により乾留してコークスを製造する。製造したコークスは、コークス炉前方の炉蓋を外し、このコークス炉前方まで移動した押出し機12(又は押出し機13)により、コークス炉内からコークス出側(後方)へ押出すと共に、コークス炉後方まで移動したガイド車14(又はガイド車15、16)を介して消火車21、22へ装入した後、冷却して高炉(図示しない)へ供給する。
【0020】
このように、コークス炉設備11では、コークス炉の前方で押出し機12、13が、また後方でガイド車14〜16が、それぞれ移動している。このため、作業者がコークス炉設備11で作業を行う場合、例えば、押出し機12、13やガイド車14〜16の乗降、コークス炉の補修作業や清掃作業等を行う場合、作業者が押出し機12、13やガイド車14〜16と接触する恐れがある。
また、コークス炉の前方では、点検車両20も、押出し機12、13と同様に移動するため、例えば、コークス炉の補修作業や清掃作業等を行う場合に、作業者が点検車両20と接触する恐れがある。更に、コークス炉の後方では、例えば、作業者が、消火車21、22に乗降するに際し、ガイド車14〜16と接触する恐れもある。
【0021】
そこで、まず、押出し機12、13の移動範囲、即ちコークス炉の前方に、危険区域H1(図1の右上がり斜線部)を、またガイド車14〜16の移動範囲、即ちコークス炉の後方に、危険区域H2(図1の左上がり斜線部)を、それぞれ設定する。これにより、危険区域H1、H2外、即ち炉団18の一方側(図1の左側)に安全区域S1を、炉団18と炉団19の間(石炭塔の下方)に安全区域S2を、炉団19の他方側(図1の右側)に安全区域S3を、それぞれ設定できる。なお、危険区域H1、H2と安全区域S1〜S3の境界には、それぞれ仕切り柵(仕切り壁)23〜28が設けられている。
また、押出し機12、13内やガイド車14〜16内、更には点検車両20内や消火車21、22内も、危険区域H1、H2外となるため、それぞれ安全区域に設定できる。
【0022】
ここで、炉団18の前側の左右両側、即ち危険区域H1と安全区域S1、S2の境界の仕切り柵23、24には、ゲートG1、G2が、炉団18の後側の左右両側、即ち危険区域H2と安全区域S1、S2の境界の仕切り柵25、26には、ゲートG3、G4が、それぞれ設けられている。また、他の炉団19の前側の左右両側、即ち危険区域H1と安全区域S2、S3の境界の仕切り柵24、27には、ゲートG5、G6が、他の炉団19の後側の左右両側、即ち危険区域H2と安全区域S2、S3の境界の仕切り柵26、28には、ゲートG7、G8が、それぞれ設けられている。
このゲートG1〜G8は、作業者が1人ずつ通過可能な構成であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、トライポッド式のゲート等を使用できる。
これにより、作業者は、各ゲートG1〜G8を介して、安全区域S1〜S3から危険区域H1、H2への移動、また危険区域H1、H2から安全区域S1〜S3への移動ができる。
【0023】
上記した危険区域H1、H2と安全区域S2の境界で、ゲートG2とゲートG5との間、及びゲートG4とゲートG7との間には、ゲートG1〜G8とは別に、このゲートG1〜G8より広幅の資材搬入ゲートG9、G10が、それぞれ設けられている。なお、資材搬入ゲートG9、G10は、不要であれば設置する必要はなく、また、必要に応じて設置数を1又は複数にすることもできる。
この資材搬入ゲートG9、G10は、作業者が、安全区域S2へ資材を搬入、また安全区域S2から資材を搬出できる構成であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、安全区域S2側に、0又は0を超え90度(更には180度)の範囲で開閉可能となったゲートを使用できる。
これにより、作業者は、資材搬入ゲートG9、G10を介して、資材の運搬をスムーズにできる。
【0024】
また、危険区域H1、H2と他の安全区域の境界、即ち押出し機12、13、ガイド車14〜16、及び点検車両20の両側にある乗降口には、それぞれゲートG11〜G22が設けられている。また、消火車21、22については、危険区域H2と安全区域の境界である消火車21、22の乗降口に、それぞれゲートG23、G24が設けられている。
このゲートG11〜G22には、例えば、上記したゲートG1〜G8と同じ構成のゲートを使用でき、また、ゲートG23、G24には、例えば、危険区域H2側へ90度の位置から、安全区域側へ90度の位置の範囲まで、開閉可能な扉を使用できるが、これに限定されるものではない。
これにより、作業者は、各ゲートG11〜G24を介して、各車両から危険区域H1、H2への移動、また危険区域H1、H2から各車両への移動ができる。
【0025】
更に、一方の危険区域H1には炉団仕切り柵(機械的ストッパーの一例)G25〜G28が、他方の危険区域H2には炉団仕切り柵(機械的ストッパーの一例)G29〜G32が、それぞれ設けられている。
危険区域H1側の炉団仕切り柵G25、G26は、押出し機12、13、点検車両20の移動方向である炉団18の両側に、また、危険区域H2側の炉団仕切り柵G29、G30は、ガイド車14〜16の移動方向である炉団18の両側に、それぞれ開閉可能に設置されている。また、他の炉団仕切り柵G27、G28、G31、G32も、上記した炉団18と同様に、炉団19の両側に、それぞれ開閉可能に設置されている。
【0026】
なお、炉団18と炉団19との間に位置する炉団仕切り柵G26、G27は、それぞれゲートG2、G5と資材搬入ゲートG9の間に、炉団仕切り柵G30、G31は、それぞれゲートG4、G7と資材搬入ゲートG10の間に、設置されている。これにより、安全区域S2から危険区域H1、H2への移動、また危険区域H1、H2から安全区域S2への移動は、炉団仕切り柵G26、G27、G30、G31を開閉することなく、ゲートG2、G4、G5、G7、又は資材搬入ゲートG9、G10によりできる。
上記した炉団仕切り柵G25〜G32を開閉することで、押出し機12、13、ガイド車14〜16、及び点検車両20の移動範囲を、例えば、炉団18又は炉団19に制限できる。従って、特定の炉団に危険区域を設定するに際しては、炉団仕切り柵G25〜G32を開閉することで、他の炉団を危険区域から解除(安全区域に設定)できる。
【0027】
図2に示すように、前記した各ゲートG1〜G8、G11〜G24にはそれぞれ、IDタグリーダ29、30と、表示ランプ(表示手段の一例)31と、通過認識センサー32とが設けられている。
IDタグリーダ29、30は、各作業者がそれぞれ所持しているIDタグをかざすことで、IDタグに内蔵した作業者のID情報(個人情報)を識別するものである。このIDタグリーダ29、30は、各ゲートG1〜G8、G11〜G24の入り側と出側にそれぞれ設けられ、これにより、危険区域H1、H2への入場者、及び危険区域H1、H2からの退場者のID情報(個人情報)を識別できる。
従って、IDタグリーダ29、30は、IDタグをかざすことが可能な位置であれば、各ゲートG1〜G8、G11〜G24の近傍に設置することもできる。
【0028】
表示ランプ31は、現在の作業安全に関する状況表示を行うものである。この表示ランプ31は、例えば、三色(赤色、黄色、青色)に色分けされた表示器であり、a)車両が移動中であること(赤色)、b)作業者のIDが識別中であること(黄色)、及びc)ゲートを通って危険区域に入場可能であること(青色)、をそれぞれ表示できる。なお、表示ランプの表示の種類はこれに限定されるものではなく、また表示ランプは、作業者が確認できる位置に設置されていれば、各ゲートG1〜G8、G11〜G24の近傍に設置することもできる。
通過認識センサー32は、作業者が各ゲートG1〜G8、G11〜G24を通過したことを検知するセンサーであり、例えば、光ビームが遮断されることにより、作業者の通過を検知する光センサー等を使用できる。なお、各ゲートG1〜G8、G11〜G24に、トライポッド式のゲートを使用する場合、各ゲートのバーが120度回動したことを、リミットスイッチで検知することにより、作業者の通過を認識できる。従って、この場合は、リミットスイッチが通過認識センサーになる。
【0029】
また、各ゲートG1〜G8、G11〜G24には、例えば、電話やインターホン等の連絡手段(図示しない)が設けられていることが好ましい。この連絡手段は、前記した車両の運転室22aの管理者と連絡可能な構成であり、例えば、危険区域H1、H2に入場する作業者が、入場前に管理者に入場したい旨を通知できる。なお、連絡手段は、必ずしも通話する必要はなく、連絡ボタン等でもよい。また、連絡手段は、作業者が使用できる位置に設置されていれば、各ゲートG1〜G8、G11〜G24の近傍に設置することもできる。
そして、危険区域H1、H2と安全区域S1〜S3とを分ける各ゲートG1〜G8には、作業者のID情報の識別無しで、ゲートG1〜G8を開にする非常スイッチが設けられていることが好ましい。これにより、例えば、作業者が、危険区域H1、H2でIDを紛失しても、危険区域H1、H2から安全区域S1〜S3へ退場できる。
【0030】
上記した運転室22aには、コンピュータ(ゲート制御手段の一例)33が設けられている。このコンピュータ33は、例えば、以下の操作を行うことができる。
・作業者のID情報の登録(記憶保存)
・IDタグリーダ29、30からの信号入力、並びに登録情報との照合
・表示ランプ31への信号出力
・通過認識センサー32からの信号入力
・ゲートG1〜G8、資材搬入ゲートG9、G10、ゲートG11〜G24、及び炉団仕切り柵G25〜G32の開閉動作
・車両の動作情報(移動、停止、位置情報)の信号入力と車両の動作の信号出力
【0031】
また、運転室22aには、管理者が操作する、作業者のID情報の入力手段(例えば、キーボード)34と、危険区域H1、H2の入場許可と入場拒否を指示するスイッチ(入場是非出力手段の一例)35が設けられている。
この入力手段34を用いて、管理者が作業者のID情報を入力することで、コンピュータ33に作業者のID情報が登録される。また、管理者がスイッチ35を操作することで、危険区域H1、H2の入場許可と入場拒否の信号を、コンピュータ33に出力できる。
以上に示したIDタグリーダ29、30、表示ランプ31、通過認識センサー32、コンピュータ33、入力手段34、スイッチ35(更には連絡手段、非常スイッチ)等が、制御装置17を構成する。
【0032】
続いて、本発明の一実施の形態に係る危険区域への入退管理システム10の動作について説明する。
まず、作業者が、安全区域S1(安全区域S2、S3も同様)からゲートG1(G2〜G8も同様)を通って危険区域H1(危険区域H2も同様)へ入場する場合について、図1〜図4を参照しながら説明する。
危険区域への入退管理システム10が起動した状態で、安全区域S1内の作業者は、入場しようとするゲートG1に近づき、表示ランプ31の点灯状態を確認する。このとき、押出し機12が走行していれば、表示ランプ31の赤色が点灯するため、作業者は危険区域H1内に入場できない。一方、押出し機12が停止していれば、赤色が点灯していないため、作業者が危険区域H1内に入場できる1つ目の条件が成立する。なお、表示ランプ31の赤色点灯は、押出し機12の動作情報の出力信号(走行信号又は停止信号)が、コンピュータ33に入力されることで表示される(ステップ1(ST1))。
【0033】
次に、作業者は運転室22aの管理者に対し、ゲートG1に設けられた連絡手段により、危険区域H1内に入場したい旨を通知する。なお、作業者が連絡手段を操作することで、管理者には、作業者が入場しようとするゲートG1の位置(又は名称)などが、表示装置(例えば、監視モニター)等により表示される。
このとき、管理者は、危険区域H1内の押出し機12の動作状態に基づいて、例えば、押出し機12がまもなく移動する場合は、上記連絡手段により作業者に入場不許可を伝え、一方、押出し機12が移動する状況にない場合は、この連絡手段により作業者に入場許可を伝える。なお、連絡手段には、作業者と管理者とが直接通話する必要がない前記した連絡ボタン等を使用することもできる。
【0034】
ここで、管理者が連絡手段により作業者に入場許可を伝えた場合、管理者はスイッチ35を操作して、危険区域H1への入場許可の信号を、コンピュータ33に出力する。これにより、作業者が危険区域H1内に入場できる2つ目の条件が成立する。なお、管理者が連絡手段により作業者に入場許可を伝えた場合、管理者はスイッチ35を操作して、危険区域H1への入場拒否の信号を、コンピュータ33に出力する。
また、作業者が、上記した連絡ボタンを使用した場合は、コンピュータ33に連絡ボタンの出力信号が入力され、これを管理者が確認する。これにより、管理者がスイッチ35を操作して、危険区域H1への入場許可の信号、又は危険区域H1への入場拒否の信号を、コンピュータ33に出力する。なお、入場許可と入場拒否の信号は、例えば、ゲートG1に設けられた表示ランプ31に出力され、作業者が確認できる(ステップ2(ST2))。
【0035】
上記したように、連絡手段によって管理者から入場許可の通知を伝えられた作業者(管理者のスイッチ35の操作により、コンピュータ33へ危険区域H1への入場許可の信号が発信された場合)は、所持しているIDタグを、ゲートG1に設けられた入場用のIDタグリーダ29にかざす。これにより、IDタグのID情報と、事前に登録されたID情報とを、コンピュータ33により照合する。このとき、コンピュータ33によって表示ランプ31は黄色が点灯し、作業者のIDが識別中であることを表示する。
ここで、IDタグのID情報が、登録されたID情報に存在しない場合は、コンピュータ33によりゲートG1の閉状態が維持されるため、作業者は危険区域H1内に入場できない。一方、IDタグのID情報が、登録されたID情報と一致すれば、作業者が危険区域H1内に入場できる3つ目の条件が成立する(ステップ3(ST3))。
【0036】
このように、上記した3つの条件、即ち入場するための3条件(以下、入場条件という)が成立した時点で、コンピュータ33によって表示ランプ31は青色が点灯し、作業者がゲートG1を通って危険区域H1に入場可能であること表示する(ステップ4(ST4))。そして、コンピュータ33によりゲートG1が開状態となり、作業者はゲートG1を通って危険区域H1内に入場できる(ステップ5(ST5))。なお、ゲートG1のロック(施錠)は、作業者がゲートG1を通過したことを、通過認識センサー32で検出した後、コンピュータ33により行われる。
一方、危険区域H1内の作業者が、安全区域S1へ退場しようとする場合は、退場しようとするゲートG1に近づき、所持しているIDタグを、ゲートG1に設けられた退場用のIDタグリーダ30にかざすのみでよい。IDタグリーダ30で識別された作業者のIDは、コンピュータ33により、事前に登録されたIDと認識される。この1つの条件、即ち退場するための1条件(以下、退場条件という)のみで、コンピュータ33によってゲートG1が開状態となり、作業者はゲートG1を通って安全区域S1内に退場できる。なお、この場合も、ゲートG1のロックは、作業者がゲートG1を通過したことを、通過認識センサー32で検出した後、コンピュータ33により行われる。
【0037】
上記した作業者の危険区域H1への入退場は、他のゲートG2、G5、G6でも行われるため、実際に危険区域H1内に存在する作業者の数は、把握しずらい。
そこで、作業者が危険区域H1へ入場する場合、作業者がゲートG1、G2、G5、G6を通過する際に通過認識センサー32が検知し、コンピュータ33が危険区域H1に存在している人数をカウントアップ(加算)して記憶する。一方、作業者が危険区域H1から退場する場合、作業者がゲートG1、G2、G5、G6を通過する際に通過認識センサー32が検知し、コンピュータ33が危険区域H1に存在している人数をカウントダウン(減算)して記憶する。これにより、コンピュータ33によって、危険区域H1に入場した作業者の数と、この危険区域H1から退場した作業者の数から、実際に危険区域H1に存在する作業者の数を計算できる。
このように、危険区域H1に作業者が存在する場合(計算数が1以上の場合)は、作業者の安全確保のため、コンピュータ33によって押出し機12、13が走行できないようにする(走行禁止)。
【0038】
なお、上記した方法は、各車両、即ち押出し機12、13、ガイド車14〜16、点検車両20、及び消火車21、22の乗降についても同様に適用できる。
具体的には、作業者が各車両から降りる場合、即ち各車両内の安全区域から、それぞれゲートG11〜G24を通って危険区域H1、H2へ移動する場合については、上記した入場条件の成立が必要である。一方、作業者が各車両へ乗り込む場合、即ち危険区域H1、H2からそれぞれゲートG11〜G24を通って各車両内へ移動する場合については、上記した退場条件の成立が必要である。
更に、上記した方法と同様に、作業者が各車両内から危険区域H1へ移動する場合、コンピュータ33が危険区域H1に存在している人数をカウントアップして記憶し、作業者が危険区域H1から各車両内へ移動する場合、コンピュータ33が危険区域H1に存在している人数をカウントダウンして記憶する。これにより、危険区域H1に実際に存在する作業者の有無を確実に把握できる。
【0039】
次に、炉団仕切り柵G25〜G32を使用して危険区域を設定する場合について説明する。なお、ここでは、危険区域H1側について説明するが、危険区域H2側についても同様である。
各炉団18、19が共に操業状態(石炭の装入作業やコークスの押出し作業を行う状態)にある場合は、押出し機12、13が炉団18、19の全体にわたって移動できるように、コンピュータ33により、各炉団仕切り柵G25〜G28を開状態(図1に示す位置から矢印に示す位置に移動させた状態)にする。このとき、作業者の危険区域H1への入退場は、上記した方法と同様の方法で行われる。
しかし、炉団18、19のいずれか一方の操業を停止する場合、例えば、一方の炉団18の操業を行い、他方の炉団19の操業を停止する場合は、コンピュータ33により、炉団18側の炉団仕切り柵G26を閉状態(図1に示す状態)にする。
【0040】
このように、炉団18側の炉団仕切り柵G26を閉状態にすることで、この出力信号がコンピュータ33に入力され、コンピュータ33は、危険区域H1を、炉団仕切り柵G26を境として2つの領域に分割する。そして、コンピュータ33は、押出し機12(又は押出し機13)の走行位置出力信号により、押出し機12が存在する領域を特定し、押出し機12が存在する領域、即ち炉団18側を危険区域とし、一方、押出し機12が存在しない領域、即ち炉団19側を安全区域とする。
これにより、炉団19側は、押出し機13が停止又は存在しない状態となるため、コンピュータ33は、炉団18に設定した危険区域はそのままで、炉団19を危険区域から解除して安全区域に設定する。
【0041】
このように、炉団18側に危険区域を設定することで、作業者が、安全区域S1、S2から危険区域H1へ移動する場合に、ゲートG1、G2を通過するに際しては、入場条件の成立が必要となる。また、作業者が、危険区域H1から安全区域S1、S2へ移動する場合に、ゲートG1、G2を通過するに際しては、退場条件の成立が必要となる。
一方、炉団19側については、全てが安全区域となる(危険区域が解除される)ため、作業者がゲートG5、G6を通過するに際しては、退場条件である1条件(作業者のID認識)の成立のみでよい。
このように、コンピュータ33で、危険区域への入場可能なゲートと安全区域への入場可能なゲートをそれぞれ特定することで、危険区域への入退場の管理と作業者の移動制限を最小限にできる。
【0042】
最後に、作業者が、安全区域S1(安全区域S2、S3も同様)から資材搬入ゲートG9(資材搬入ゲートG10も同様)を通って危険区域H1(危険区域H2も同様)へ入場する場合について説明する。
まず、資材搬入ゲートG9を使用しようとする作業者は、安全区域S2から、ゲートG2(又はゲートG5)を通って危険区域H1に入場する。なお、このゲートG2の通過は、上記した方法と同様の方法(入場条件の成立)で行う。
これにより、危険区域H1に作業者が存在する(計算数が1以上)ため、コンピュータ33によって押出し機12、13が走行できないようにする(走行禁止)。
【0043】
次に、危険区域H1に入場した作業者は、危険区域H1側から資材搬入ゲートG9のロックを解除し、開放状態にする。このとき、資材搬入ゲートG9が開放されたことの出力信号は、コンピュータ33に出力される。更に、この場合、資材搬入ゲートG9が開放状態となるため、コンピュータ33によって押出し機12、13が走行できないようにする。
資材搬入ゲートG9を開放状態にした後は、作業者が資材を持参して、安全区域S2と危険区域H1の間を相互に移動できる。ここで、資材搬入ゲートG9を開錠した作業者が危険区域H1から退場しても、資材搬入ゲートG9が開放状態であるため、コンピュータ33によって押出し機12、13は走行できない。
【0044】
資材の運搬が終了した後、作業者(ゲートG2(又はゲートG5)から入場した作業者)は、他の作業者全員が危険区域H1から安全区域S2に退場したことを確認した後、資材搬入ゲートG9を閉状態にする。これにより、コンピュータ33によって、資材搬入ゲートG9の開状態による押出し機12、13の走行停止条件が解消される。
そして、作業者は、危険区域H1から、ゲートG2(又はゲートG5)を通って安全区域S2に退場する。なお、このゲートG2の通過は、上記した方法と同様の方法(退場条件の成立)で行う。これにより、コンピュータ33によって、危険区域H1に作業者が存在する(計算数が1以上)ことによる押出し機12、13の走行停止条件も解消される。
以上の方法により、作業者は安全に、資材の搬入と搬出を実施できる。
【0045】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の危険区域への入退管理システムを構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、危険区域への入退管理システムを、コークス炉設備に適用した場合について説明したが、車両が走行する危険区域と安全区域の境界をゲートで分け、この危険区域に作業者が入退場する設備であれば、特に限定されるものではなく、例えば、製鉄所、自動車、化学プラント、食品、加工品等の各種製造工場の設備に適用することもできる。
【0046】
そして、前記実施の形態においては、1)作業者のID認識、2)スイッチが危険区域への入場許可信号を発生、及び3)車両が停止、の3条件を、作業者が安全区域から危険区域へ入場するための条件とした。しかし、少なくとも上記1)の条件が成立していれば、更に上記2)又は上記3)のいずれか一方の条件が成立すること、即ち2条件の成立を、作業者の入場条件とすることもできる。例えば、前提条件として、上記2)のスイッチが危険区域への入場許可信号を常時発生している(常時入場許可としている)場合は、上記1)と上記3)の2条件の成立を、作業者の入場条件とする。
更に、前記実施の形態においては、作業者がゲートを通過するときの方向識別を、各ゲートの入り側と出側に設けられたIDタグリーダの使用状況と、通過認識センサーの認識状況により、行った。しかし、ゲートにトライポッド式のゲートを使用する場合は、各ゲートのバーの回転方向を検知することにより、作業者の通過方向を識別できる。
【符号の説明】
【0047】
10:危険区域への入退管理システム、11:コークス炉設備、12、13:押出し機(車両)、14〜16:ガイド車(車両)、17:制御装置、18、19:炉団、20:点検車両(車両)、21、22:消火車、22a:運転室、23〜28:仕切り柵、29、30:IDタグリーダ、31:表示ランプ(表示手段)、32:通過認識センサー、33:コンピュータ(ゲート制御手段)、34:入力手段、35:スイッチ(入場是非出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の車両が軌道上を走行する危険区域と、該危険区域外に設けられた複数の安全区域と、該危険区域と複数の該安全区域の境界それぞれに設けられたゲートと、該ゲートを含む機器の管理を行う制御装置とを有する危険区域への入退管理システムにおいて、
前記制御装置は、前記ゲート又はその近傍に設けられ、前記危険区域への入場者及び該危険区域からの退場者のIDをそれぞれ識別するIDタグリーダ、及び前記ゲート又はその近傍に設けられた表示手段と、
前記車両の運転室に設けられ、該運転室から前記危険区域の入場許可と入場拒否を指示する入場是非出力手段、作業者のIDを事前に登録する入力手段、及び前記ゲートの開閉動作を行うゲート制御手段とを有し、
前記ゲート制御手段による前記ゲートの開による作業者の前記危険区域への入場は、1)前記IDタグリーダで識別された作業者のIDが、前記ゲート制御手段により、前記入力手段で事前に登録されたIDと認識されること、2)前記入場是非出力手段が、作業者の前記危険区域への入場を許可する信号を、前記ゲート制御手段に発生していること、及び3)前記車両の停止信号を前記ゲート制御手段に発信していることのうち、該1)の条件と、該2)又は該3)のいずれか一方又は双方の条件とを満足することで行われ、
前記ゲート制御手段による前記ゲートの開による作業者の前記危険区域からの退場は、前記IDタグリーダで識別された作業者のIDが、前記ゲート制御手段により、前記入力手段で事前に登録されたIDと認識されることを条件にして行われ、
かつ、前記ゲート制御手段により、前記ゲートによって前記危険区域に入場した作業者の数と、該危険区域から退場した作業者の数から、実際に前記危険区域に存在する作業者の数を計算し、前記危険区域に作業者が存在する場合には、前記車両の走行を停止させていることを特徴とする危険区域への入退管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の危険区域への入退管理システムにおいて、前記表示手段は、a)前記車両が移動中であること、b)作業者のIDが識別中であること、及びc)前記ゲートを通って前記危険区域に入場可能であること、を表示することを特徴とする危険区域への入退管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の危険区域への入退管理システムにおいて、前記ゲートには、作業者のIDの識別無しで、前記ゲートを開にする非常スイッチが設けられていることを特徴とする危険区域への入退管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の危険区域への入退管理システムにおいて、前記危険区域と前記安全区域の境界には、前記ゲートとは別に、該ゲートより広幅の資材搬入ゲートが設けられていることを特徴とする危険区域への入退管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の危険区域への入退管理システムにおいて、前記危険区域及び前記安全区域は、複数のコークス炉を備えたコークス炉設備に設定され、前記車両は、前記コークス炉のコークス押出し側に設けられた押出し機と、該コークス炉のコークス出側に設けられたガイド車であることを特徴とする危険区域への入退管理システム。
【請求項6】
請求項5記載の危険区域への入退管理システムにおいて、前記安全区域は、前記押出し機内及び前記ガイド車内にも設けられていることを特徴とする危険区域への入退管理システム。
【請求項7】
請求項5又は6記載の危険区域への入退管理システムにおいて、前記コークス炉設備は、それぞれ複数の前記コークス炉を有する複数の炉団に分離され、特定の該炉団に前記危険区域を設定するに際しては、他の前記炉団を前記危険区域から解除することを特徴とする危険区域への入退管理システム。
【請求項8】
請求項7記載の危険区域への入退管理システムにおいて、前記特定の炉団への前記危険区域の設定は、開閉可能な機械的ストッパーで行うことを特徴とする危険区域への入退管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71217(P2013−71217A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213037(P2011−213037)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【出願人】(000233697)株式会社日鉄エレックス (51)
【Fターム(参考)】