説明

卵代替組成物およびこれを使ったベーカリー製品の製造方法

コレステロール含有率が低く、ベーカリー製品の製造に使用することができる卵代替組成物を提供する。この組成物は、乾燥物を基準として計算して、タンパク質を35〜85重量%、植物油を10〜50重量%、ステアロイル乳酸塩を0.5〜5重量%、炭水化物を0.5〜15重量%含み、かつ、任意選択で植物レシチンを、リン脂質として表して3重量%以下の量で含む。コレステロール含有率は0.5重量%未満である。このタンパク質は、大豆タンパク質および卵白タンパク質を含み、タンパク質の少なくとも半分は大豆タンパク質である。PDIは少なくとも60%である。卵黄および卵黄粉を含まず、小麦粉と、乾燥物を基準として表して1〜25重量%の卵代替組成物とを含む生地を調製する工程、およびこの生地をオーブンで焼く工程、によるベーカリー製品の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステロール含有率が低く、ベーカリー製品の製造に使用することができる卵代替組成物に関し、さらに、この卵代替組成物を含むベーカリー製品に関する。
【背景技術】
【0002】
卵は、多用途の食品および食品成分である。卵の重要な用途は、ベーカリー製品の製造にある。特に、例えばケーキおよびマフィン等の製品の製造は、卵の機能的または官能的な寄与に依存するところが大きい。しかし、卵のコレステロール含有率が懸念されている。さらに、飽和脂肪酸含有率およびサルモネラ菌汚染の危険性の点で健康問題がある。また、卵の限られた保存期間および高いコストも、懸念されている。このような問題に取り組むために、卵の代替となる多くの組成物が提案されてきた。
【0003】
米国特許第4072764号は、脂肪分の高い大豆粉、穀物粉、レシチン、さらなる乳化剤、および湿潤剤を含む卵黄増量剤を記載している。この組成物は、ベーカリー製品(例えば、ケーキ類)の製造に使用することができる。
【0004】
米国特許第4103038号は、限外濾過の乳清タンパク質、脂肪、および乳化剤をベースにした卵代替組成物を開示している。
【0005】
米国特許第4120986号は、タンパク質を25〜55%、脂肪を5〜15%、炭水化物を25〜50%含む、タンパク質含有率の高い材料の調製物であって、さらに次に乳化剤、レシチン、アルファ化でんぷん、およびガムとともに加工すると卵代替品が得られる調製物を記載している。この組成物は、ケーキの製造に使うことができる。
【0006】
米国特許第4182779号は、卵黄を増量するために使用することができる組成物を記載している。これは、PDIが60未満の脱脂した大豆粉、穀物粉、レシチン、およびガムを含有する。この組成物は、例えばケーキの製造に使うことができる。
【0007】
米国特許第4296134号は、脂肪の含有率が1.25重量%未満であり、卵白を60〜96pbw、水を0〜18pbw、タンパク質代替品を2〜10.5pbw、ならびに少量の安定剤、香料、および着色料を含む液状の卵配合物を記載している。
【0008】
米国特許第4360537号および英国特許第1533084号は、様々な食品製品で卵黄の代替として使用することができる大豆分離物をベースとしたリポタンパク質のエマルション系の調製物を開示している。この調製物には、可溶性の炭水化物およびレシチンが多量に含まれている。この調製物は、例えば、ケーキ類の製造に使用することができる。
【0009】
米国特許第5725899号は、水中で再構成されると乳様タンパク質飲料を形成する、大豆粉および大豆油由来の組成物の調製について記載している。
【特許文献1】米国特許第4072764号
【特許文献2】米国特許第4103038号
【特許文献3】米国特許第4120986号
【特許文献4】米国特許第4182779号
【特許文献5】米国特許第4296134号
【特許文献6】米国特許第4360537号
【特許文献7】英国特許第1533084号
【特許文献8】米国特許第5725899号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
熱心な努力にも関わらず、卵代替製品は、期待していたほど成功していない。解決されていない問題の1つは、使用する際、そのレオロジー特性が卵のレオロジー特性から大幅に逸脱することが多いことである。別の問題は、卵代替製品を使用したベーカリー製品の製造において、そのベーカリー製品の調理法を変更する必要がある場合が多いことである。調理法の変更は、ベーカリー産業界では容易には受け入れられない。得られる焼成製品のきめ(表面の感じ)が許容できない可能性がある。他の問題は、提案される卵代替製品の調製が、時には高価な設備を要する複雑な加工、および/または容易には入手できずもしくは高価な成分の使用を必要とすることから起こる。また、特定の成分または加工工程に起因する異味に関する問題もある。
【0011】
本発明者らの、同時係属している国際特許出願第2004/073423号および米国特許出願第2004/0166230号は、コレステロール含有率が低い卵代替組成物に関連している。これは、例えば、オムレツの製造に使用することができる。この組成物は、タンパク質、油、および限定された量の炭水化物の組合せを含んでいる。
【0012】
本発明者らは、ベーカリー製品の製造において卵、卵黄、または卵粉の代替品として使用することができる卵代替組成物を見出した。この組成物は、他のコレステロールを含まない卵代替製品と比較して、上述した問題の少なくともいくつかに関して改良をもたらす。通常、この組成物は、ベーカリー製品の調理法の変更を必要としない。この卵代替組成物は、良好なレオロジー特性および官能的性質をもたらす。この組成物は、容易に入手できる材料から簡単に調製することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、乾燥物を基準として計算して、タンパク質を35〜85重量%、植物油を10〜50重量%、ステアロイル乳酸塩を0.5〜5重量%、炭水化物を0.5〜15重量%、コレステロールを0.5重量%未満含み、かつ、任意選択で植物レシチンを、リン脂質として表して3重量%以下の量で含む卵代替組成物であって、前記タンパク質が大豆タンパク質と卵白タンパク質とを含み、前記タンパク質の少なくとも50重量%が大豆タンパク質であり、かつ、PDIが少なくとも60%である、卵代替組成物を提供する。
【0014】
本発明の卵代替組成物は、特に、ベーカリー製品の調理法中の卵または卵粉の一部又は全部を代替することを意図している。好ましくは、この卵代替組成物を使用して、あらゆる卵および/または卵粉を完全に代替する。重要な目的は、焼成製品のコレステロールの含有率を低減することであり、したがって、主要な目的は、卵黄または卵黄粉を置換することである。卵白自体はコレステロールを含有しないからである。
【0015】
本発明はまた、小麦粉と、乾燥物を基準として表して好ましくは1〜25重量%の本発明の卵代替組成物とを含むベーカリー製品を提供する。ベーカリー製品中の卵代替組成物の量は、乾燥物を基準として表して、より好ましくは1〜15重量%、最も好ましくは2〜10重量%である。ベーカリー製品中の卵代替組成物の量は、乾燥物を基準として表す。言い換えれば、この量の決定において、水分は卵代替組成物からも焼成製品全体からも考慮から除外する。焼成製品は、通常の材料を含んでいてよい。例えば、焼成製品は、砂糖、脂肪、バニラシュガー、チョコレートパウダー、レモンの皮、および他のよく使用される材料、ならびにこれらの組合せを含んでいてよい。しかし、このベーカリー製品は卵黄および卵黄粉を含まないことが好ましい。本発明はまた、卵黄および卵黄粉を含まず、小麦粉と、乾燥物を基準として表して1〜25重量%の卵代替組成物とを含む生地を調製する工程、およびこの生地をオーブンで焼く工程、によるベーカリー製品の製造方法を提供する。この方法で使用する卵代替組成物の量は、乾燥物を基準として表して好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
好ましい実施形態では、卵代替組成物は、含水率が低い濃縮物である。好ましくは、この卵代替組成物は、乾燥物 90〜99重量%および水分 1〜10重量%を含む。この実施形態では、組成物の貯蔵安定性が非常に良好になり得る。この組成物は、ベーカリー製品の製造において卵粉の代替品としてそのまま使用することができる。液状の卵代替品として即座に使用できる濃縮物を準備するためには、水に分散する必要があるだけである。本明細書において、乾燥物 90〜99重量%および水分 1〜10重量%を含むこの実施形態の、本発明の卵代替組成物は、濃縮物とも称される。
【0017】
別の好ましい実施形態では、卵代替組成物は、乾燥物 16〜30重量%および水分 70〜84重量%を含む。この実施形態では、組成物は典型的には液体であり、ベーカリーの調理法中の全卵の1対1の代替品として使用することができる。本明細書において、この実施態様は、液状卵代替品または液状卵代替組成物とも称される。
【0018】
卵または卵粉の機能的および官能的な寄与が重要となるベーカリー製品の例には、マフィンおよびパウンドケーキがある。
【0019】
ステアロイル乳酸塩乳化剤の存在は、本発明の重要な側面である。ステアロイル乳酸塩の量は、乾燥物を基準として計算して0.5〜5重量%であるべきである。この量には、ステアロイル乳酸塩調製物の活性成分のみが含まれる。すなわち、例えば乳酸等のいずれの成分もこの量の計算から除外する。一方、陽イオン(例えばナトリウムまたはカルシウム)は、ステアロイル乳酸塩の量の計算に含む。この乳化剤は、ベーカリー用途における卵代替品の構造化特性、とりわけ焼成時に空気を保持して結果として得られる焼成製品にボリュームをもたせる能力に寄与する。この乳化剤はまた、焼成製品のいわゆる「バンク(bank)」(湿った部分)を避けるのに役立つ。好ましくは、ステアロイル乳酸塩は、ステアロイル乳酸ナトリウム(SSL)もしくはステアロイル乳酸カルシウム(CSL)、またはこれらの組合せである。最も好ましくは、本組成物中にはSSLが存在する。ステアロイル乳酸塩の量は、好ましくは、卵代替組成物の乾燥物を基準として計算して1〜4重量%である。好ましいステアロイル乳酸塩調製物の例には、オランダのQuest International社から入手可能なAdmul SSL 2012、デンマークのDanisco社から入手可能なGrindsted SSL P55がある。
【0020】
卵代替組成物は、好ましくは、少量の第二の乳化剤をも含む。特に、組成物が植物レシチン、特に大豆レシチンおよび/またはヒマワリレシチンを含むことが好ましい。一般に入手可能なレシチン材料、例えば、油 30〜45重量%およびリン脂質類 50〜65重量%を含有する材料を使用することができる。第二の乳化剤の量は、好ましくは、卵代替組成物の乾燥物を基準として計算して0.05〜3重量%である。ここでも、乳化剤の量は、乳化剤それ自体、すなわち、担体オイルを除外したリン脂質類を表す。より好ましくは、卵代替組成物は、レシチンを0.1〜1重量%、特に0.15〜0.3重量%の量で含む。他の乳化剤も、それ自体で、またはレシチンとの組合せで、ステアロイル乳酸塩に加える第二の乳化剤として使用することができる。採用する乳化剤は少なくとも8のHLB値を有することが好ましい。第二の乳化剤としてレシチンとともにまたはレシチンの代わりに使用することができる乳化剤の例は:
・リゾレシチン、例えば、Max Emul 322(Central Soya社から:米国、Fort Wayne)、
・レシチンのホスファチジル・コリンに富む画分、例えば、LeciCholine(Lucas Meyer社から:オランダ)、
・ポリソルベート、例えば、Tween 60、および
・これらの2種以上の組合せ、
である。
【0021】
第二の乳化剤は、液状卵代替品の調製の容易性およびその安定性に寄与し得る。レシチンは、特に、所望の粘度の液体形態の卵代替品を得ることをも容易にする。低いレシチン含有率では、液状卵代替品はより高粘度となる。しかし、高い乳化剤含有率は、卵代替品で製造された最終食品の食味および食感に悪影響を及ぼす可能性がある。また、焼成商品の構造に悪影響を及ぼす可能性もある。したがって、指示した乳化剤の量の上限を超えないことが好ましい。
【0022】
タンパク質の量および配合は、本発明の別の重要な側面である。良好なレオロジー特性を得るために、タンパク質の全含有率は比較的高くなければならず、かつ、そのタンパク質は大豆タンパク質と卵白タンパク質とを含み、少なくともタンパク質の半分が大豆タンパク質でなければならない。
【0023】
卵代替組成物用のタンパク質を供給するために採用するタンパク質材料は、その機能性の大半を保持しているタンパク質を含むべきである。我々は、実際にこのことが20℃で測定したPDI(Protein Dispersibility Index;タンパク質分散指数)と相関関係があることを発見した。PDIは、少なくとも60%であるべきである。好ましくは少なくとも65%であり、より好ましくは少なくとも70%である。PDIは、20℃で、AOCS Ba 10〜65(99)の方法に従って測定することができる。
【0024】
卵代替組成物中に含める予定の個々のタンパク質材料のPDIが分かっている場合は、卵代替組成物中のタンパク質のPDIを、通常、組成物に含める予定の材料の量に基づいて平均値を計算することによって概算することができる。組成物に含める予定の各タンパク質材料のPDIは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%であることが好ましい。
【0025】
組成物中に大豆タンパク質を供給するために使用する材料は、好ましくは大豆濃縮物または大豆分離物であり、大豆分離物が好ましい。このような大豆タンパク質材料のタンパク質含有率は、典型的には、約80重量%以上である。適切な大豆タンパク質材料の例としては、オランダのADM社から入手可能であるPro Fam 974、Pro Fam 892、およびPro Fam 891、オランダのLucas Meyer社から入手可能であるNewpro TSが挙げられる。卵代替組成物中の大豆タンパク質の含有率は、乾燥物を基準として計算して、好ましくは25〜50重量%、より好ましくは25〜50重量%である。
【0026】
組成物中に卵白タンパク質を供給するために使用する材料は、卵白粉末であることが好ましい。卵白粉末は、通常、約75重量%以上のタンパク質含有率を有する。適切な卵白粉末の例として、オランダのNive社製の乾燥卵白粉末、およびベルギーのBelovo社製のEAP-Rが挙げられる。卵白粉末は、いくらか炭水化物を含んでよい。これは、例えば、グルコースを約5%含んでよい。卵代替組成物中の卵白タンパク質の量は、乾燥物を基準として計算して、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%である。
【0027】
卵代替組成物は、さらに乳タンパク質を含むことが好ましい。組成物中の乳タンパク質は、主に乳清タンパク質であることが好ましい。乳タンパク質の70〜100重量%が乳清タンパク質であることがより好ましい。乳清タンパク質は、例えば乳清タンパク質の濃縮物または分離粉末を使用することによって、組成物中に供給することができる。例えば、結晶化によりラクトースを部分的に除去することにより調製した乳清タンパク質の濃縮物の粉末、および、乳清の限外濾過によって調製した乳清タンパク質分離物は、卵代替組成物の調製に適切に使用することができる。分画した乳清タンパク質(例えば、β−ラクトグロブリンに富む画分)を、より一般的な乳タンパク質材料の代わりにまたはそれと組み合わせて使用することができる。乳清タンパク質供給源に変えて、またはこれと組み合わせて、例えば脱脂乳粉末を使用することもできる。適切な乳タンパク質材料の例としては、オランダのBorculodomo社製の乳清タンパク質濃縮物であるDomovictus 835、オランダのMD Foods社が供給するデンマークのDanmark Protein社製のLacprodan 80およびLacprodan 70、ならびに、オランダのLithos Food BV社製の乳清タンパク質分離物であるUltra Whey 99が挙げられる。卵代替組成物の乳タンパク質含有率は、乾燥物を基準として計算して、好ましくは0.5〜6重量%、より好ましくは1.0〜5重量%である。
【0028】
組成物中に乳タンパク質を供給するために使用する乳タンパク質材料は、適切には、約30〜約90重量%のタンパク質含有率を有していてよい。このような材料は、通常、かなりの量、例えば5〜60重量%のラクトースを含む。組成物中に適度な量のラクトースを使用すると、液状卵代替品の粘度が高くなりすぎるのを防止するのに役立つ可能性がある。何らかの理由でラクトースを使用しないこと、または、その含有率を低くすることが好ましい場合は、粘度を制御する同様の効果は、他の糖、例えば、グルコース、フルクトース、サッカロースまたはデキストロース当量の大きなデンプン加水分解産物を使用して得ることができる。
【0029】
卵代替組成物のタンパク質含有率は、乾燥物を基準として計算して、35〜85重量%であるべきである。これは、好ましくは45〜70重量%、より好ましくは50〜63重量%である。卵代替組成物中の大豆タンパク質と卵白タンパク質との重量比は、好ましくは1:1から5:1の間、より好ましくは1.5:1から3.5:1の間である。卵代替組成物中の卵白タンパク質と乳タンパク質との重量比は(乳タンパク質が存在する場合には)、好ましくは少なくとも2:1、より好ましくは少なくとも4:1である。このことは、特に、乳タンパク質の大部分が乳清タンパク質である場合に当てはまる。
【0030】
タンパク質類の量およびタイプは、流体学的性質に多大な影響を及ぼす。卵を代替するために使用される液状組成物は、比較的低い粘度を有するべきである。パン職人がそれをさらに使用する前に数時間それを放置する場合、粘度は過度に増大すべきではなく、代替品は実質的にゲル化すべきではない。放置すると粘度の上昇またはゲル化が起こる場合は、その構造は、例えば手動でまたはミキサーで泡立てることによって簡単に壊れ、流動性が回復されるべきである。タンパク質のPDIが低いと、液状卵代替組成物の粘度が高くなる原因となることが多く、放置するとさらに粘度が上昇することがある。通常、タンパク質含有率が高いほど、粘度は高くなる。同様に、脱脂乳粉末から得た乳タンパク質を使用すると、通常、粘度は、組成物中に乳清タンパク質を使用する場合より高くなる。しかし、液状卵代替組成物は過度に希薄であるべきでもない。
【0031】
使用するタンパク質の組み合わせは、食用の製品のさらなる調製の間の構造の発達、および、結果として得られるベーカリー製品のきめにも影響する。官能的性質もまた、このタンパク質組成の影響を受ける。
【0032】
卵代替組成物のタンパク質の好ましくは55〜80重量%、さらに好ましくは60〜75重量%は、大豆タンパク質である。特に好ましい実施形態では、卵代替組成物は、乾燥物を基準として計算して、大豆タンパク質を25〜50重量%、乳清タンパク質を1〜5重量%、さらに卵白タンパク質を10〜25重量%含む。
【0033】
卵代替組成物は、乾燥物を基準として計算して、植物油を10〜50重量%さらに含むべきである。好ましくは、この油の含有率は、20〜40重量%、特に25〜35重量%である。魚または他の動物由来の脂肪または油は、例えば乳タンパク質供給源に由来する少量の動物性脂肪は許容され得るが、意図的には含めないことが好ましい。動物性の脂肪または油を使用すると、製品のコレステロール含有率の上昇を引き起こすことがあり、また、脂肪または油の由来次第で異味を引き起こすことがある。卵代替組成物中に使用する植物油は、いくらかの固体は許容され得るが、常温で液状であることが好ましい。植物油の35℃における固形脂肪含有率は、好ましくは6重量%未満、より好ましくは0〜3重量%である。5℃では、この液状油の固形脂肪含有率は、好ましくは30重量%未満、より好ましくは0〜10重量%である。最も好ましくは、固形脂肪含有率は5℃で0〜2重量%である。固形脂肪含有率は、NMR法によって、N値として適切に測定することができる。好ましいタイプの植物油は、ヒマワリ油 、ピーナッツ油、オリーブ油、ベニバナ油、大豆油、低エルカ酸ナタネ油、コーン油、綿実油、およびこれらの2種以上の組み合わせである。このような油類は、飽和脂肪酸の含有率が低い。本発明の組成物では、ヒマワリ油が特に好ましい。例えば、オレイン酸残基に富むタイプのヒマワリ油である、いわゆるHigh Oleic Sunflower Oil(HOSF)が好ましい。パーム油および分画したパームオレインを、前述の油の代わりに、または、それらの1種もしくは複数との組合せで、卵代替組成物中の植物油として使用してよい。
【0034】
卵代替組成物中に植物油が存在すると、卵代替品およびそれを使用して製造したベーカリー製品の流体学的性質に影響が及ぶ。卵代替組成物を調製する間、卵代替品中の油滴を非常に細かく分散させるような特殊な処置は、避けることが好ましい。微細な油敵の分散が卵代替品の粘度を上昇させることがあり、消費されることとなる食品の食感に悪影響を及ぼすことがある。液状卵代替組成物では、油滴の体積平均粒径は、好ましくは1〜50ミクロン、より好ましくは2〜30ミクロンである。体積平均粒径(D4.3)は、英国、LutonのCoulter Electronics社製のCoulter Counter Multisizer IIを用いて測定することができる。
【0035】
卵代替組成物の炭水化物含有率は、乾燥物を基準として計算して、0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜7重量%であるべきである。一部の炭水化物は、組成物を構成するために使用されるタンパク質材料から供給することができる。乳タンパク質材料が、ラクトースを含んでいてもよい。大豆タンパク質材料が、いくつかのオリゴ糖類および/または多糖類を含んでいてもよい。一部の炭水化物、例えば、例えばガムやデンプンを、製品のきめを最適にするために意図的に含めてよい。可溶性の炭水化物、特に糖類は、液状卵代替組成物の粘度の過度な増大の防止に寄与し得る。しかし、糖含有率が高いと、その粘度が低くなりすぎる可能性がある。デンプン、ガム、および他の多糖類等の炭水化物の量が多いと、液状卵代替組成物が粘稠になりすぎ、また、最終食品の製造前に放置しておくとより粘稠になる。炭水化物の量が多いと、最終製品の味およびきめに悪影響を及ぼすこともある。卵代替組成物中の可溶性炭水化物、特に糖類の量は、乾燥物を基準として計算して、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%である。卵代替組成物中のオリゴ糖類および多糖類の量は、好ましくは乾燥物の0〜6重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。特に、卵代替組成物中の増粘性の多糖類、例えばデンプンおよびガム(例えば、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、キサンタン・ガム、およびグアー・ガム等)の量は、好ましくは組成物の乾燥物の1重量%未満である。しかし、このようなガムは、少量存在する場合には、例えば空気の安定化に好ましく貢献する。
【0036】
卵代替組成物を使用して製造した最終のベーカリー製品は、卵または卵黄を用いて製造した対応する製品と比較して大幅にコレステロール含有率が低減されているはずである。卵のコレステロール含有率は、乾燥物を基準として表して、典型的には約2重量%である。卵代替組成物のコレステロール含有率は、乾燥物を基準として計算して、0.5重量%未満であるべきである。これは、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満である。低いコレステロール含有率は、コレステロール含有率の高い材料(例えば、卵黄粉および乳脂肪等)の混入を避けることによって、容易に実現することができる。本発明の組成物はさらに、多量の飽和脂肪酸を避けることにより、また、大豆タンパク質を含めることにより、高レベルの血中コレステロールを回避するように設計された規定食にも役立つ。
【0037】
卵代替組成物は、着色料、香料製剤、調味料、食塩、酸味料、保存料など微量の添加成分を含んでよい。微量成分の合計量は、乳化剤および炭水化物のような上述した成分以外に、乾燥物を基準として計算して、5重量%を超えないことが好ましく、より好ましくは0.3〜3重量%、特に0.5〜2重量%である。例えば、グリシン、ビタミンC、およびトコフェロールなどの材料は、組成物の酸化安定性を改善することがあり、少量含めると有益となることがある。
【0038】
卵代替組成物は、容易に調製することができる。例えば、低水分の濃縮物を調製するために、これに含めるいずれの粉末材料も乾式混合することができる。油性の材料、例えばレシチンおよびトコフェロールミックスを使用する場合は、それらを植物油中に分散させることができる。使用する植物油が常温での固体を含む場合は、加熱してそれを融解させるのが適切である。このように得た油相を、粉末混合物の上に噴霧することができる。油が良く分散するまで混合を続ける。得られた濃縮物は、使用した材料の量およびタイプに応じて粉末またはペーストになり得る。
【0039】
卵代替濃縮物を構成するための材料の混合物を、有利には、ローラーミルを通して処理することができる。このような処理は、タンパク質粉末の粒径を小さくし、油の表面結合を増やす。これにより、その後の液状卵代替組成物の調製を容易にできる。
【0040】
卵代替濃縮物の高い貯蔵安定性を得るために、濃縮物の含水率が7重量%を超えないことを確実にすることが好ましい。含水率は、5重量%未満であることがより好ましい。これは、濃縮物に含ませる材料に含水率が十分に低いものを選ぶことによって、また、製造前の原料および製造後の調製された濃縮物の適切な包装材料および貯蔵条件を選ぶことによって、容易に実現することができる。濃縮物中の水分の大半は、使用するタンパク質材料に由来している可能性がある。好ましくは、本発明の濃縮物用に選択するタンパク質材料の含水率は、9重量%未満、特に7重量%未満である。原料を適切に選択することおよび衛生的に作業を遂行することにより、容易に、濃縮物が優れた微生物学的性質を有すること、特にサルモネラ汚染の全くないことを確実にすることができる。
【0041】
好ましくは乾燥物 16〜30重量%および水分 70〜84重量%を含む、所望の組成の液状卵代替組成物は、上述した濃縮物を水と混合することによって容易に調製することができる。混合比の決定において、濃縮物の含水率を考慮すべきである。混合は、例えば、フードプロセッサ中で、台所で普通に利用できるハンドミキサーを用いて、または、調製場所で利用可能な別の混合用装置を用いて行うことができる。産業施設で製造する場合は、例えばシルバーソンミキサーを備えた攪拌タンクまたはコロイドミルを使用して、濃縮物を水中に分散させて液状卵代替組成物を得ることができる。このようにして得られた液状卵代替組成物を、焼成製品の製造のための所望の調理法に従って、全卵の代わりに使用することができる。例えば、パウンドケーキ、マフィンなどの焼成製品を製造するのにこれを使用する事ができる。卵代替濃縮物とともに使用する水の最適な量は、前述した卵代替濃縮物の正確な組成に応じてある程度変わる。これは、最初に比較的少量の水を使用することによって容易に決定することができる。液状卵代替品の粘度がそのとき所望のものより高い場合には、さらにいくらか水を混ぜ込むことができる。
【0042】
液状卵代替組成物の粘度は、通常、20℃、0.15s−1で、少なくとも150mPa・sである。粘度は、20℃、0.15s−1で、好ましくは300〜20000mPa・s、より好ましくは400〜8000mPa・s、特に500〜5000mPa・sである。最も好ましくは、3000mPa・s未満である。液状卵代替組成物の粘度は、20℃の温度で置いておいた場合に、卵代替濃縮物から液状卵代替組成物を調製した後、少なくとも1時間の間これらの範囲内であることが好ましく、少なくとも2時間これらの範囲内であることがより好ましい。再現性のある粘度の測定値を得るためには、好ましくは、液状卵代替品への空気の混入を避けるべきである。
【0043】
したがって、このような場合、液状卵代替品を、真空ミキサーを(例えば、Stephanミキサーを900rpmで5分間)使用して、卵代替濃縮物および水から適切に調製することができる。粘度は、ブルックフィールド粘度計(DV-II+モデル)を使用し、T−DスピンドルまたはS04スピンドルを使用して10rpmで、適切に測定することができる。
【0044】
液状卵代替組成物のpHは、好ましくは6.0〜8.0、より好ましくは6.0〜7.5、最も好ましくは6.2〜7.0である。高pHでは、液状卵代替品の粘度が高くなりすぎる。低めのpHは、タンパク質が凝固する温度を上昇させ、かつ、その温度を卵を使用する場合に凝固が起こる温度により近づけるという理由からも、幾分低めのpHの方が有利となり得る。しかし、pHが低すぎると、回避することが好ましいタンパク質の変性を引き起こすことがある。卵代替濃縮物の組成に応じて、それから調製する液状卵代替品のpHを、所望する場合には、少量の酸性成分またはアルカリ性成分を卵代替濃縮物中に含めることによって、適合させることができる。pHを低くするためには、酸味料(例えば、乳酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸等)、またはこのような酸の2つ以上の組み合わせを使用することができる。pHは、例えば、リン酸三ナトリウム、オルトリン酸二ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、または別の食品用アルカリ化剤を用いて上昇させることができる。
【0045】
上述したように濃縮物から液状卵代替組成物を調製することが好ましいが、これは必須ではない。所望する場合、液状卵代替組成物を直接調製することができる。例えば、粉末材料を適切な量の水に溶解または分散して水性相組成物を得る。油性材料を混合し、必要であれば加熱して油相組成物を得る。その後、例えばフードプロセッサまたはコロイドミルを用いて油相組成物を水性相組成物中に分散する。
【0046】
ベーカリー製品の生地を調製するために使われる卵代替組成物は、濃縮物であっても液状卵代替組成物であってもよい。これらは、卵粉および全卵とそれぞれ1:1の重量比で代替することができる。しかし、所望する場合は、例えば全卵または卵黄を使用する調理法において、対応する量の卵代替濃縮物を、その調理法と異なる液体の含有率(おそらく含水率)を採用しつつ使用してもよい。しかし、好ましくは、既存の調理法において、全卵を液体卵代替品と1:1の重量ベースで代替することが好ましく、卵粉または卵黄粉を卵代替濃縮物と1:1の重量ベースで代替することが好ましい。
【0047】
本明細書の全部分を通じて、百分率および比は、別段に示さない限り、重量比である。「乾燥物」または「乾燥含有物」は、組成物中に含有された水を除く全ての含有物を意味する。実施例および比較例を除いては、または、別段に明確に示さない限りは、本明細書の記述において材料の量を示すすべての数量は、「約」という語がつくものと理解されたい。
【0048】
「含む(comprising)」という用語は、その後に述べられる任意の要素のみに限定しているのではなく、機能的な重要性の大小に関わらず特定されていない要素も包含することを意味する。言い換えると、記載した工程、要素、または選択肢は網羅的である必要はない。「含む(including)」または「有する(having)」という用語を使用しているときは常に、これらの語は、上記に定義した「含む(comprising)」と同等のことを意味する。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
卵代替品のベース組成物2種を、表1に列挙した成分から調製した。
【表1】

【0050】
使用したレシチンは、リン脂質の含有率が60重量%の大豆レシチンペーストである、Topcithin NGMである(オランダ、Degussa社より)。Pro Fam 974は、大豆タンパク質分離物である(タンパク質含有率91重量%、PDIは20℃で75%)。使用した卵白粉末は、泡立てできない乾燥卵白粉末である(オランダ、Nive社より)(タンパク質含有率81%、PDIは100%)。乳清タンパク質濃縮物は、Domovictus 835である(オランダ、Borculodomo社より)(タンパク質含有率35重量%、PDIは100%)。クリーマーパウダーは、オランダ、DMV International社より入手したDP644である。これは、植物油 78重量%および乳固形分 22重量%(ラクトース 15重量%およびタンパク質 6.5重量%)を含有していた。低メトキシペクチンは、LM-101-ASである(デンマーク、CPKelco社より)。
【0051】
これらの相の成分をそれぞれ混合し、次いでこの2つの混合物を一緒にし、ホバート(Hobart)ミキサーで5分間混合した。得られた卵代替濃縮物は乾燥したペーストであった。
【0052】
得られた卵代替濃縮物のそれぞれについて、含水率は約3重量%であった。組成物Aの炭水化物含有率は、乾燥物を基準として計算して、約3重量%であった。組成物Bの炭水化物含有率は、乾燥物を基準として約6重量%であった。コレステロール含有率はそれぞれの場合において0.001重量%未満であった。PDIは、両組成物とも約83%であった。大豆タンパク質と卵白タンパク質との重量比は、両組成物とも2.2であった。大豆タンパク質によって構成されるタンパク質の割合は、組成物Aおよび組成物B中で、それぞれ69重量%および66重量%であった。組成物B中の、卵白タンパク質と乳清タンパク質との重量比は、8.3であった。
【0053】
次に、組成物AおよびBを使用して、表2に記載されたようにSSLを含有する、一連の卵代替濃縮物を調製した。この表の「SSL 2012」は、オランダのQuest International社から入手したステアロイル乳酸ナトリウム調製品である、Admul SSL 2012である。これは、ステアロイル乳酸ナトリウムを65%、酪酸を35重量%含む。表示した量の組成物AまたはBを、ホバートミキサー中速度1で5分間、SSLと混合した。
【0054】
液状卵代替組成物は、ステファンミキサー中900rpmで、濃縮物と水とを表2に表示した量で混合することによって調製した。乾燥物を基準として計算した、各組成物中の、ステアロイル乳酸塩、大豆タンパク質、卵白タンパク質、乳清タンパク質の量、およびタンパク質の全量を、同様に表2に示した。
【0055】
【表2】

【0056】
各組成物を使用して、以下の調理法を用いてケーキを製造した。
調理法:
砂糖 225pbw
バニラシュガー 25pbw
ケーキマーガリン(Trio super、オランダ、Unipro社より) 190pbw
表2に示した液状卵代替組成物 250pbw
水 25pbw
ケーキ用小麦粉(Ibris、オランダ、Meneba社より) 250pbw
ベーキングパウダー 8pbw
【0057】
マーガリンは27℃に加温した。このマーガリンと砂糖をボール中ホバートミキサーでワイヤー式泡立て器を使用して速度3で3分間クリーム状にした。液状卵代替組成物および水を加えた。混合を速度3で1分間継続した。ベーキングパウダーと小麦粉を共にふるいにかけ、このボールに加え、組成物を速度1で1分間混合し、さらに速度3で2分間混合した。この生地をケーキ焼き型に詰め、このケーキを、オーブン中、170℃で60分間焼成した。このケーキの比容積を各調理法について2回測定した。生地の比容積およびケーキの平均比容積も、表2に示した。生地中およびベーカリー製品中の卵代替組成物の量は、乾燥物と基準として表して、全てのサンプルについて8重量%〜9重量%の間であった。
【0058】
SSLを含まないサンプルについては、得られたケーキの容積は所望のものより低かった。SSLの含有率が高い、サンプルB−4、特にA−4は、ケーキは、オーブンから取り出したときに崩壊する傾向があった。サンプルB−4、特にA−4はまた、ケーキ中にいくらかの密度の高い、生焼けの層があった。サンプルA−2,A−3、B−2、およびB−3は全て、許容できる結果を与えた。SSLの量がより少ないサンプルは、SSLの量が高いサンプルよりも好ましかった。乳清タンパク質を含むサンプルは、乳清タンパク質を含まないサンプルよりも好ましかった。
【0059】
比較のために、サンプルB−3をSSL 2012の代わりにDatem ester 1936を使用すること以外は同じ条件で調製した。Datem ester 1936も、オランダのQuest International社のものである。結果は不良であった。生地は密度が濃く、粘度が高く、比容積は1.12ml/gであった。ケーキの比容積は、1.88ml/gであった。
【0060】
[実施例2]
卵代替組成物を、表3に示した配合を用いて、実施例1に記載と同様に調製した。
【表3】

【0061】
使用した成分は、βカロチンがオランダ、DSM社からのもの、卵白粉末がベルギー、Belovo社からのもの、ポリソルベート60がオランダ、Quest社からのもの、および香料がデンマーク、Danisco社からのものであることを除いて、実施例1と同じである。
【0062】
卵代替濃縮物の、乾燥物を基準として表した、レシチンの含有率(リン脂質として)および炭水化物含有率を、表4に示した。液状卵代替品のpHも、表4に示した。
【0063】
【表4】

【0064】
各濃縮物を用いて、液状卵代替品を、1pbwの濃縮物と3pbwの水とをステファンミキサー中900rpmで混合することにより調製した。
【0065】
各液状卵代替品で、以下の材料を使用して、実施例1に記載した方法と同じ方法で、パウンドケーキを製造した。
材料:
液状卵代替品 400pbw
ケーキマーガリン 320bpw
グラニュー糖 400pbw
バニリン 0.5pbw
ベーキングパウダー 15pbw
ケーキ用小麦粉 400pbw
【0066】
生地および焼成したケーキの比容積を表4に示した。実施例2のケーキは、良好な色、きめ、味、および甘味を有していた。全体として良好なケーキであった。サンプルC−1およびC−2のケーキは質が悪く明らかに許容できないものであった。その色は茶色であり、味は苦かった。きめが粗く、特にC−2は乾燥していた。サンプルC−2のケーキは甘すぎた。サンプルC−3の結果は、C−1およびC−2の結果より良かったが、なお許容できるものではなかった。これは甘すぎ、きめも十分満足できるものではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥物を基準として計算して、タンパク質を35〜85重量%、植物油を10〜50重量%、ステアロイル乳酸塩を0.5〜5重量%、炭水化物を0.5〜15重量%、コレステロールを0.5重量%未満含み、かつ、任意選択で植物レシチンを、リン脂質として表して3重量%以下の量で含む、卵代替組成物であって、前記タンパク質が大豆タンパク質と卵白タンパク質とを含み、前記タンパク質の少なくとも50重量%が大豆タンパク質であり、かつ、PDIが少なくとも60%である、卵代替組成物。
【請求項2】
大豆タンパク質と卵白タンパク質との重量比が1:1から5:1の間である、請求項1に記載の卵代替組成物。
【請求項3】
前記タンパク質が乳タンパク質を含む、請求項1または2に記載の卵代替組成物。
【請求項4】
前記乳タンパク質が乳清タンパク質である、請求項3に記載の卵代替組成物。
【請求項5】
前記卵代替組成物の前記タンパク質の55〜80重量%が大豆タンパク質である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の卵代替組成物。
【請求項6】
乾燥物を基準として計算して、大豆タンパク質を25〜50重量%、乳清タンパク質を1〜5重量%、および卵白タンパク質を10〜25重量%含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の卵代替組成物。
【請求項7】
前記ステアロイル乳酸塩がステアロイル乳酸ナトリウムである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の卵代替組成物。
【請求項8】
植物レシチンを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の卵代替組成物。
【請求項9】
前記植物油含有率が、乾燥物を基準として計算して20〜40重量%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の卵代替組成物。
【請求項10】
前記炭水化物含有率が、乾燥物を基準として計算して1〜10重量%である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の卵代替組成物。
【請求項11】
水分 1〜10重量%および乾燥物 90〜99重量%を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の卵代替組成物。
【請求項12】
乾燥物 16〜30重量%および水分 70〜84重量%を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の卵代替組成物。
【請求項13】
ベーカリー製品の製造における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の卵代替組成物の使用。
【請求項14】
卵黄および卵黄粉を含まず、小麦粉と、乾燥物を基準として表して1〜25重量%の請求項1〜12のいずれか一項に記載の卵代替組成物とを含む生地を調製する工程、およびこの生地をオーブンで焼く工程、によるベーカリー製品の製造方法。

【公表番号】特表2007−521824(P2007−521824A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552492(P2006−552492)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000790
【国際公開番号】WO2005/079605
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】