説明

卵包装用容器

【課題】 卵を収容する収容凹部が曲面状である卵包装用容器を対象として、平面上に安定して水平載置することができる卵包装用容器を提供すること。また、安定的にフックに吊り下げができる容器でありながら、フックへの吊り下げ、取外しが容易な卵包装用容器を提供すること。
【解決手段】 合成樹脂素材から成形した容器本体1と蓋体2とからなる卵包装用容器であって、容器本体1は、卵を収容する曲面状の収容凹部11を備え、曲面状の収容凹部11には外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起3が形成された構成としたこと。また、容器本体1と蓋体2のそれぞれの周縁から一体的に外方に向けて突出させた第一舌片13と第二舌片23とを備え、閉蓋姿勢においてこれら第一舌片12と第二舌片22とがそれぞれの先端部で重合することにより、吊り下げ用のフック穴4が形成される構成としたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂成形された容器本体と蓋体とからなる卵包装用容器であって、より詳しくは、卵を収容する曲面状の収容凹部を備えた卵包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からある卵の収容凹部の形態としては、容器本体と蓋体とで合わせて、卵型の収容凹部を形成し、収容凹部の側面や底面にリブを設けて収容凹部の補強を図りながら、収容凹部の底面に平坦な面あるいは平坦に近い面を形成して、これを載置面との接面として安定して載置することができるようにしたものが多数ある。
【0003】
例えば、実公昭63−40475号公報に見られるように、本発明者は以前、ゆで卵を収容できる卵収納用凹入部を4つ備え、容器本体の側壁にリブを形成し、底部に連続した平坦な面を形成している包装用容器を開発して周知となっている。
【0004】
また、本発明者は以前、アウトドアーで購入する温泉卵容器であって、容器には卵をガタツキなく保持するための収納凹部が形成され、同時に容器の補強のための大小のリブや凹凸が前記収納凹部分や壁面並びに上下面に設けられていて、底部を平坦面とした容器を開発し、特許を受けている。(特許2706911号公報)
【0005】
この種の容器の収容凹部は、底部に平坦な面を設けたり、複雑な凹凸に富んだリブを形成したりしているために、収容卵を収容凹部の何点かで部分接触させて収容するものとなっている。これは、この種の容器はそのほとんどが殻付の卵を収容することを想定したものであり、収容卵を収容凹部の複数点で部分接触させて収容する容器であっても、複雑な凹凸リブを有する容器であっても、卵が殻で覆われているため、収容卵が容器との接触部から受ける押圧はそれほど考慮する必要がなかったのである。
【0006】
しかしながら、近年コンビニや駅のキオスク等で、購入して手軽に食することができる殻を除去したゆで卵、燻製卵等の加工卵の販売が要望されており、前述の容器では、凹凸リブによる押圧や収容凹部の部分接触部からの押圧により、殻を除去した加工卵は変形したり、損傷を受けたりするおそれがあった。
【0007】
そこで、収容凹部との接触部からの押圧を減殺するために、卵型の曲面の収容凹部、あるいは卵型の曲面に近い収容凹部を備えた卵包装用容器に殻を除去した加工卵を収容することが考えられる。
【0008】
他方、近年コンビニや駅のキオスク等では、平面上に載置販売するだけでなく、吊り下げフックを形成して空間に吊り下げ販売することが要請されてきているが、従来のフックとしては、実公平2−23847号公報には、商品吊り下げ用としてではあるが、クエスチョン形のフックや、特開2001−180292号公報には、自動車の太陽遮蔽板収納具としてではあるが、丸穴のフックを備えたものが周知である。
【特許文献1】実公昭63−40475号公報
【特許文献2】特許第2706911号公報
【特許文献3】実公平2−23847号公報
【特許文献4】特開2001−180292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、収容凹部の形態として、前者の事例のように、卵型の曲面の収容凹部、あるいは卵型の曲面に近い収容凹部を備えた卵包装用容器とすると、殻を除去したゆで卵、燻製卵等の加工卵や、その他殻付の卵であっても、収容凹部が卵型、あるいは卵型に近い曲面であるので、収容卵が収容凹部から局所的な押圧を受けることなく、形態の保全性において優れたものであるが、他方では、曲面状の収容凹部を有する、より詳しくは、収容凹部の底面が曲面状であるが故に、平面上の載置面に対して安定して載置することができず、乱雑に載置すると内容物が視認しづらいという課題を抱えている。
【0010】
また、吊り下げ用フックの形態として、後者の事例のように、クエスチョン形のフックとすると、フック棒への吊り下げ、取外しが容易であるが、クエスチョン形の隙間から、フック棒が外れてしまいやすく、閉鎖された円形の孔のフックとすると、吊り下げ状態は安定しているが、フック棒への吊り下げは、フック棒の先端にフック穴を合わせてフック穴にフック棒を挿通させる動作を行う必要があり、また、フック棒からの取り外しは、フック棒の先端にまで容器を移動させてフック棒から容器を取り外す動作を行う必要があり、フック棒への吊り下げ、取外しに手間がかかるという点においてそれぞれ課題を抱えている。
【0011】
そこで、本発明は、卵を収容する収容凹部が曲面状である卵包装用容器を対象として、平面上に安定して水平載置することができる卵包装用容器を提供するものである。また、安定的にフックに吊り下げができる容器でありながら、フックへの吊り下げ、取外しが容易な卵包装用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するために講じた本発明の構成を、実施例を示す図面に使用した符号を用いて説明すると、本発明の卵包装用容器は、合成樹脂素材から成形した容器本体1と蓋体2とからなる卵包装用容器であって、前記容器本体1は、卵を収容する曲面状の収容凹部11を備え、前記曲面状の収容凹部11には外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起3が形成された構成としたものである。
【0013】
また、本発明の別の構成は、合成樹脂素材から成形した容器本体1と蓋体2とからなる卵包装用容器であって、前記容器本体1と前記蓋体2のそれぞれの周縁から一体的に外方に向けて突出させた第一舌片13と第二舌片23とを備え、閉蓋姿勢においてこれら第一舌片12と第二舌片22とがそれぞれの先端部で重合することにより、吊り下げ用のフック穴4が形成される構成としたものである。
【0014】
また、本発明のさらに別の構成は、合成樹脂素材から成形した容器本体1と蓋体2とからなる卵包装用容器であって、前記容器本体1は、卵を収容する曲面状の収容凹部11を備え、前記曲面状の収容凹部11には外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起3が形成され、前記容器本体1と前記蓋体2のそれぞれの周縁から一体的に外方に向けて突出させた第一舌片13と第二舌片23とを備え、閉蓋姿勢においてこれら第一舌片12と第二舌片22とがそれぞれの先端部で重合することにより、吊り下げ用のフック穴4が形成される構成としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によれば、容器本体の曲面状の収容凹部に外面側に突出する水平載置姿勢維持突起が形成され、容器の水平載置姿勢を維持することができる構成としたから、販売時においては平面上に整然とした配置で並べることができ、使用時においても平面上に安定して水平載置しながら使用することができ、何れの場合においても一定の水平載置姿勢を保つことができるので内部の収容卵の様子が視認しやすく容易にその状態を確認することができる。また、その製造においても金型を使って外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起を容器の他の部分とともに一体的に成形できるので、労力、コストの面においても従来の容器とほとんど変わらず成形することができる。
【0016】
本発明の請求項2によれば、容器本体と蓋体のそれぞれの周縁から一体的に外方に向けて突出させた第一舌片と第二舌片とを備え、閉蓋姿勢においてこれら第一舌片と第二舌片とがそれぞれの先端部で重合することにより、吊り下げ用のフック穴が形成される構成としたものであるから、形成されたフック穴を利用して吊り下げ販売ができるので、平面だけでなく空間を有効利用して販売を行うことができる。また、その作用効果は、フック棒で第一舌片と第二舌片のどちらか一方あるいは両方に押圧をかけ、第一舌片と第二舌片を互いに離れる方向に作動させて隙間を形成し、形成された隙間からフック棒を滑り込ませて、フック棒をフック穴に挿通させた状態にすることができるので、フック棒の先端にフック穴を合わせてフック穴にフック棒を挿通させる動作を行う必要がなく、簡便迅速にフック棒に容器を吊り下げることができる。この際、第一舌片と第二舌片の重合部分を開裂して形成される隙間は、フック棒Bの押圧による一時的なものであり、フック棒Bが隙間を通ってフック穴まで移動すると、第一舌片と第二舌片は復元力により互いに密着する方向に作動するので、吊り下げ時に第一舌片と第二舌片が開裂してフック棒から外れることのない強固で安定的な吊り下げ用のフックとして使用することができる。さらに、容器がフック棒に吊り下げられた状態から、容器を左右水平方向の何れかにひねることにより、第一舌片と第二舌片の重合部分に隙間を形成することができ、その隙間からフック棒を外すことができるので、フック棒の先端にまで容器を移動させてフック棒から容器を取り外す動作を行う必要がなく、簡便迅速にフック棒から容器を取り外すことができる。これにより例えば、フック棒に多数の容器が吊り下げられている場合であって、奥の方に新たに容器を吊り下げたい場合であっても、フックの先端に近い側に吊り下げられている容器をいちいち取り外すことなく好きな場所に簡単に容器を吊り下げることができるし、また、奥の方に欲しい容器がある場合でも、それよりフックの先端に近い側に吊り下げられている容器をいちいち取り外すことなく欲しい容器を簡単に取り外すことができる。
【0017】
本発明の請求項3によれば、容器本体の曲面状の収容凹部に外面側に突出する水平載置姿勢維持突起が形成され、容器の水平載置姿勢を維持することができる構成としたから、販売時においては平面上に整然とした配置で並べることができ、使用時においても平面上に安定して水平載置しながら使用することができ、何れの場合においても一定の水平載置姿勢を保つことができるので内部の収容卵の様子が視認しやすく容易にその状態を確認することができる。また、その製造においても金型を使って外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起を容器の他の部分とともに一体的に成形できるので、労力、コストの面においても従来の容器とほとんど変わらず成形することができる。加えて、容器本体と蓋体のそれぞれの周縁から一体的に外方に向けて突出させた第一舌片と第二舌片とを備え、閉蓋姿勢においてこれら第一舌片と第二舌片とがそれぞれの先端部で重合することにより、吊り下げ用のフック穴が形成される構成としたものであるから、形成されたフック穴を利用して吊り下げ販売ができるので、平面だけでなく空間を有効利用して販売を行うことができる。また、その作用効果は、フック棒で第一舌片と第二舌片のどちらか一方あるいは両方に押圧をかけ、第一舌片と第二舌片を互いに離れる方向に作動させて隙間を形成し、形成された隙間からフック棒を滑り込ませて、フック棒をフック穴に挿通させた状態にすることができるので、フック棒の先端にフック穴を合わせてフック穴にフック棒を挿通させる動作を行う必要がなく、簡便迅速にフック棒に容器を吊り下げることができる。この際、第一舌片と第二舌片の重合部分を開裂して形成される隙間は、フック棒Bの押圧による一時的なものであり、フック棒Bが隙間を通ってフック穴まで移動すると、第一舌片と第二舌片は復元力により互いに密着する方向に作動するので、吊り下げ時に第一舌片と第二舌片が開裂してフック棒から外れることのない強固で安定的な吊り下げ用のフックとして使用することができる。さらに、容器がフック棒に吊り下げられた状態から、容器を左右水平方向の何れかにひねることにより、第一舌片と第二舌片の重合部分に隙間を形成することができ、その隙間からフック棒を外すことができるので、フック棒の先端にまで容器を移動させてフック棒から容器を取り外す動作を行う必要がなく、簡便迅速にフック棒から容器を取り外すことができる。これにより例えば、フック棒に多数の容器が吊り下げられている場合であって、奥の方に新たに容器を吊り下げたい場合であっても、フックの先端に近い側に吊り下げられている容器をいちいち取り外すことなく好きな場所に簡単に容器を吊り下げることができるし、また、奥の方に欲しい容器がある場合でも、それよりフックの先端に近い側に吊り下げられている容器をいちいち取り外すことなく欲しい容器を簡単に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するにあたって、曲面状の収容凹部11に形成される外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起3の形状、構造、数等は、収容卵が収容凹部から局所的な押圧を受けることがなく、かつ、収容凹部11と水平載置姿勢維持突起3とで、あるいは、水平載置姿勢維持突起3で水平載置姿勢を維持することができるという作用効果を満たす範囲内において適宜最良と思われる形態で実施すればよいが、水平載置するという観点から、収容凹部11と水平載置姿勢維持突起3とで水平載置姿勢を維持する場合は、外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起3の突出端は、水平載置姿勢で収容凹部11の最深部11aと同じ深さの位置となるように実施し、水平載置姿勢維持突起3のみで水平載置姿勢を維持する場合は、水平載置姿勢で各水平載置姿勢維持突起の突出端を同じ深さの位置となるように実施する。なお、請求項2の構成で実施するときは、水平載置姿勢維持突起3は必ずしも必須の構成ではなく、実施するか否かは任意である。
【0019】
また、本発明を実施するにあたって、素材は特に限定されるものではないが、安価で、成形しやすく、かつ、請求項2の構成で実施するときは、第1舌片13と第2舌片23に適度な弾力性を持たせることができる素材を用い、また、第1舌片13と第2舌片23に適度な弾力性を持たせることができる成形条件下で実施する。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例を図示例と共に説明する。図1乃至図7は本願発明の第1実施例を示す図であって、図1は開蓋状態の斜視図、図2は閉蓋状態の斜視図、図3は開蓋状態の平面図、図4は開蓋状態の側面図、図5は水平載置姿勢維持突起3の拡大斜視図、図6は第1舌片13と第2舌片23の重合部分を開裂した部分拡大図、図7はフック棒に吊り下げた状態の斜視図、図8は平面上に載置した閉蓋状態の側面図である。
【0021】
該第1実施例の卵包装用容器は、容器本体1と蓋体2を折り曲げ部5を介して一体的に成形したものである。素材は成形のし易さやコストの面を考慮して、多種ある合成樹脂素材の中からポリエチレンテレフタレート樹脂をシート状に加工したものを使用し、周知のブロー成形手段やバキューム成形手段を用いて成形している。
【0022】
容器本体1は、図1に示すように、周形状が略長方形状の平坦面14に、卵を横向きに寝かした状態で下半部を面接触で収容することができるような滑らかな曲面状の収容凹部11を2つ一体成形してあり、略長方形状の平坦な面の外周には、断面形状が略逆Uの字状の環状突条部15を形成し、該略逆Uの字状の環状突条部15の最外縁から外方に向けてフランジ部12を突出成形してある。そして、容器本体1の遊端側のフランジ部12の中央部からやや幅方向にずれた位置から、三角形状の第1舌片13をフランジ部12と一体的に外方に向かって延長し、突出成形してある。
【0023】
収容凹部11は、図3の平面視で見て、卵形の開口部であり、本実施例では、卵を横向きに寝かした状態で卵の頭を遊端側に向けて収容するが、卵の頭を連結側に向けて収容する構成、すなわち、後述するように容器を吊り下げたときに卵の頭が下になる構成であってもよい。また、収容凹部11は、図4の側面視で見て、卵の収容面は遊端側の底面が上方に反り上がった形状としてある。それから、所定幅の水平載置姿勢維持突起3が収容凹部11の遊端側寄りの幅方向中央部分から外面側に突出成形してある。水平載置姿勢維持突起3は、図4および図5に示すように収容凹部11の最深部11aから遊端側に向けて、所定幅の底面3aが延び、その遊端側終端から同幅で上方に立ち上げられ、上方に反り上がった遊端側の卵の収容面と連結してある立ち上げ面3bと、略三角形状の両側面3cとからなり、底面3aの長尺部を容器の長手方向に配設した構造としている。
【0024】
蓋体2には、図1に示すように、その外周に閉蓋姿勢において容器本体1のフランジ部12と重合するフランジ部22が形成してあり、その内周側の端縁から内周側に閉蓋姿勢において容器本体1の環状突条部15を受け入れる嵌合段部25が形成してあり、さらにその内周側には、蓋体2の補強のために、容器の内部側に突出した環状の補強リブ24が形成してある。蓋体2の遊端側のフランジ部22の中央部からやや幅方向にずれた位置から、鉤型に形成した第2舌片23をフランジ部22と一体的に外方に向かって突出成形してある。該第2舌片23にはその外周と縮小同形の補強リブ23aが形成してある。
【0025】
而して、図2に示すように、閉蓋姿勢において、容器本体1のフランジ部12に形成された略三角形状の第1舌片13の先端部13bと、蓋体2のフランジ部22に形成された鉤型の第2舌片23の先端部23bが重合し、第1舌片13、第2舌片23、容器本体1のフランジ部12および蓋体2のフランジ部22で囲まれた領域に、吊り下げ販売用のフックを挿通するフック穴4が形成される。該フック穴4は、吊り下げたときの左右のバランスが取れるように、幅方向の中央部に位置するように定められ、これに従い容器本体1のフランジ部12に対する第1舌片13および蓋体2のフランジ部22に対する第2舌片23の位置、形状が定められている。
【0026】
閉蓋直後は、容器本体1のフランジ部12に形成された第1舌片13(の先端部13b)が下部で、蓋体2のフランジ部22に形成された第2舌片23(の先端部23b)が上部になっているが、図2に示すように、第2舌片23の先端部23bを第1舌片13の先端部13bの下に交差させて重合することにより(すなわち、第1舌片13と第2舌片23の重合部分を交差させることにより)、上部に交差させた第1舌片13の先端部13bの下方へ戻ろうとする作用と、下部に交差させた第2舌片23の先端部23bの上方へ戻ろうとする作用がそれぞれ働き、第1舌片13と第2舌片23の重合部分が互いに密着して環状のフック穴4が形成される。
【0027】
このように形成されたフック穴4にフック棒Bを挿通するには、フック棒Bの下部から、第1舌片13と第2舌片23を交差させ重合させた部分を近づけ、図6に示すように、フック棒Bで第2舌片23(および第1舌片13)を押圧して交差側に押し込んで、第1舌片13と第2舌片23の重合部分を開裂して隙間を形成し、形成された隙間にフック棒Bを滑り込ませるように容器を動かし、フック穴4にまでフック棒Bを移動させ、容器を放すと、図7に示すように、交差側に押し込まれた第2舌片23(および第1舌片13)は復元力により再び互いに密着する方向に作用し、強固で安定的なフックが再び形成される一方で、フック穴4にフック棒Bが挿通して容器が吊り下げられた状態が実現される。
【0028】
逆に、このように容器が吊り下げられた状態から、容器を左右方向の何れかにひねることにより、第1舌片13と第2舌片23の重合部分が開裂して隙間ができ、この隙間からフック棒Bを抜き取ることにより、容器をフック棒Bから取り外した状態が実現される。
【0029】
図8は容器を平面上に載置した図であるが、前述したように、卵の収容面は遊端側の底面が上方に反り上がった形状となっており、水平載置姿勢維持突起3が形成されていない状態の容器を平面上に載置すると容器は前のめりに倒れるが、収容凹部11の最深部11aと同じ深さ位置となるように水平載置姿勢維持突起3の底面3aが形成してあるので、収容凹部11の最深部11aと水平載置姿勢維持突起3の底面3aとで支えられ、安定して水平載置できる構造となっている。他方で、図3に示すように、水平載置姿勢維持突起3を形成したがために、卵の収容凹部11の収容面が一部切り取られた構造となるが、収容卵の一部に非接触部が形成されるのみで、そこに部分的に押圧がかかるわけでもなく、卵の収容に特別不利になるものでもない。
【0030】
図9は、第2実施例の卵包装用容器の開蓋状態の斜視図であって、第1実施例の卵包装用容器と異なるのは、第1舌片13と第2舌片23を形成していない(すなわち閉蓋姿勢において吊り下げ用のフック穴4を形成しない)点であり、その他の構造は第1実施例と同様である。なお、本実施例とは逆に、第1舌片13と第2舌片23を形成し、水平載置姿勢維持突起3を省略した構成とすることも可能である。
【0031】
図10は、第3実施例の卵包装用容器の開蓋状態の斜視図であって、第1実施例の卵包装用容器と異なるのは、曲面状の収容凹部11は1つだけ形成し、これに伴い、容器の幅方向の長さを小さくしている。また、水平載置姿勢維持突起3は、図11の側面視で、収容凹部11の遊端側の上方に反り上がった底面部分から、第1実施例の水平載置姿勢維持突起3を90度水平方向に回転して横向きにしたような配置、すなわち、底面3aの長尺部を容器の幅方向に配設した略直方体状の構造で、外面側に突出成形してある。本実施例のように、曲面状の収容凹部11が1つだけ形成されている容器の場合は、第1実施例のように水平載置姿勢維持突起3の底面3aの長尺部を容器の長手方向に配設すると容器が幅方向に横転しやすく不安定であるが、底面3aの長尺部を容器の幅方向に配設することにより、容器の幅方向への横転の虞を少なくし、図11に示すように、容器の長手方向も収容凹部11の最深部11aと、収容凹部11の最深部11aと同じ深さで形成された水平載置姿勢維持突起3の底面3aとの2箇所で支えられ、安定して水平載置できる構造となっている。その他の構造は第1実施例とおおよそ同様である。
【0032】
図12は第4実施例の卵包装用容器の開蓋状態の斜視図であって、第3実施例の卵包装用容器と異なるのは、第1舌片13と第2舌片23を形成していない(すなわち閉蓋姿勢において吊り下げ用のフック穴4を形成しない)点であり、その他の構造は第3実施例と同様である。なお、本実施例とは逆に、第1舌片13と第2舌片23を形成し、水平載置姿勢維持突起3を省略した構成とすることも可能である。
【0033】
以上本発明の代表例と思われる実施例について説明したが、本発明は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、水平載置姿勢維持突起3は実施例に示した構成以外に、収容凹部11の正面側、背面側にそれぞれ設ける構成等であってもよく、その他本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ本発明にいう目的を達成し、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の卵包装用容器は、曲面状の収容凹部を備えた卵包装用容器を対象として、平面上に水平載置できる構成とし、また、安定的かつ容易に吊り下げできる点で画期的であり、従来品に取って代わる容器となりうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施例の開蓋状態の斜視図。
【図2】同閉蓋状態の斜視図。
【図3】同開蓋状態の平面図。
【図4】同開蓋状態の側面図。
【図5】同水平載置姿勢維持突起3の拡大斜視図。
【図6】同第1舌片と第2舌片の重合部分を開裂した部分拡大図。
【図7】同フックに吊り下げた状態の斜視図。
【図8】同平面上に載置した閉蓋状態の側面図。
【図9】第2実施例の開蓋状態の斜視図。
【図10】第3実施例の開蓋状態の斜視図。
【図11】同開蓋状態の側面図。
【図12】第4実施例の開蓋状態の斜視図。
【符号の説明】
【0036】
1 容器本体
11 収容凹部
11a 最深部
12 フランジ部
13 第1舌片
13b 先端部
14 平坦面
15 環状突条部
2 蓋体
22 フランジ部
23 第2舌片
23a 補強リブ
23b 先端部
24 補強リブ
25 嵌合段部
3 水平載置姿勢維持突起
3a 底面
3b 立ち上げ面
3c 側面
4 フック穴
5 折り曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂素材から成形した容器本体(1)と蓋体(2)とからなる卵包装用容器であって、
前記容器本体(1)は、卵を収容する曲面状の収容凹部(11)を備え、
前記曲面状の収容凹部(11)には外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起(3)が形成された卵包装用容器。
【請求項2】
合成樹脂素材から成形した容器本体(1)と蓋体(2)とからなる卵包装用容器であって、
前記容器本体(1)と前記蓋体(2)のそれぞれの周縁から一体的に外方に向けて突出させた第一舌片(13)と第二舌片(23)とを備え、
閉蓋姿勢においてこれら第一舌片(12)と第二舌片(22)とがそれぞれの先端部で重合することにより、吊り下げ用のフック穴(4)が形成されることを特徴とする卵包装用容器。
【請求項3】
合成樹脂素材から成形した容器本体(1)と蓋体(2)とからなる卵包装用容器であって、
前記容器本体(1)は、卵を収容する曲面状の収容凹部(11)を備え、
前記曲面状の収容凹部(11)には外面側に向かって突出する水平載置姿勢維持突起(3)が形成され、
前記容器本体(1)と前記蓋体(2)のそれぞれの周縁から一体的に外方に向けて突出させた第一舌片(13)と第二舌片(23)とを備え、
閉蓋姿勢においてこれら第一舌片(12)と第二舌片(22)とがそれぞれの先端部で重合することにより、吊り下げ用のフック穴(4)が形成されることを特徴とする卵包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−1551(P2006−1551A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176388(P2004−176388)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000124166)
【Fターム(参考)】