説明

卵食品の製造方法及びオムライスの製造方法

【課題】油っぽくない卵食品を製造できる卵食品の製造方法、並びにこのような卵食品の製造方法によって製造された卵食品を用いたオムライスの製造方法を提供する。
【解決手段】第1の容器に入れられた約85℃の湯に浮かぶ第2の容器に、液卵を入れ、第2の容器内で10分程度、液卵を加熱し、加熱して液卵が半熟卵になった後に、この半熟卵が入れられた第2の容器を、第3の容器に入れられた約65℃の湯に浮かべて保温し、第2の容器から規定量の半熟卵を取出し、型に半熟卵を入れ、その上から、味付けされた炊飯米を入れ、そして、裏返して皿に盛り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は卵食品の製造方法及びオムライスの製造方法に関する。詳しくは、オムライス料理に使用するための卵食品の製造方法及び、このような卵食品の製造方法によって製造された卵食品を使用したオムライスの製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
卵を主原料とする食品の代表的な例が、オムレツやオムライスである。一般的にオムレツは、液卵を主成分として、これに調味料等を添加し、そのままフライパン等に載せて表面を攪拌しながら形を整えて、挽き肉や玉ねぎのみじん切り等卵以外の具材を加えたり、また加えなかったりして焼き上げられて作られており、内側の卵の部分があまり固まっていない、トロリとしたいわゆる半熟状のオムレツが好まれる。また、オムライスは、オムレツの具材がライスに限定されているだけで、基本的にオムレツと同じである。
【0003】
しかし、従来のオムレツは、作られた直後において、内側の卵部分が完全に固まっていない半熟状のものであっても、これをそのまま保存した後、再加熱した場合には、内側の卵部分が固くなって、作られた直後の柔らかさを失ってしまう可能性がある。
そこで、特許文献1には、通常のオムレツにおける内側の卵部分に相当する具に食用油を所定量含ませ、これを皮で被包した、具と皮とを別々に調製するオムレツ様食品が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−281766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のオムレツ様食品は、具に食用油を含むので、食味が油っぽくなり、また、高カロリーであるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、油っぽくない卵食品を製造できる卵食品の製造方法、並びにこのような卵食品の製造方法によって製造された卵食品を用いたオムライスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の卵食品の製造方法は、第1の容器に入れられた第1の所定温度の液体に浮かぶ第2の容器に液卵を入れることで、同液卵を加熱する工程を備える。
【0008】
ここで、第1の容器に入れられた第1の所定温度の液体に浮かぶ第2の容器に液卵を入れることで、液卵を加熱する工程によって、第1の所定温度の液体を通して液卵を加熱するので、フライパン等に入れられた液卵を加熱する場合に比べて加熱しすぎることがなく、焦げ付き防止のために食用油を第2の容器に加える必要がない。
【0009】
また、本発明の卵食品の製造方法は、液卵が半熟卵になった後に、半熟卵が入れられた第2の容器を、第3の容器に入れられた、第1の所定温度よりも低い第2の所定温度を有する液体に浮かべる工程を備える場合、加熱できるほどの温度である第1の所定温度より低いが第2の所定温度を有する液体に第2の容器をそのまま浮かべるので、簡単に保温できる。
【0010】
また、本発明の卵食品の製造方法において、第1の所定温度は80〜90℃であり、第2の所定温度は60〜70℃である場合、60〜70℃で卵食品を保温するので、卵を固めることなく、また、風味を損なわず、サルモネラ菌などによる汚染も抑制できる。
また、第1の所定温度は80〜90℃なので、液卵の中心温度を70〜75℃にすることができる。
また、保温しているので再加熱する必要がなく、卵食品を迅速に提供できる。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明のオムライスの製造方法は、第1の容器に入れられた第1の所定温度の液体に浮かぶ第2の容器に液卵を入れることで、同液卵を加熱する卵食品製造工程と、該卵食品製造工程によって製造された卵食品を型に入れ、型に入れられた同卵食品に炊飯米を加える工程とを備える。
【0012】
ここで、卵食品製造工程によって製造された卵食品を型に入れ、型に入れられた卵食品に炊飯米を加える工程によって、シート状に形を整える必要がなく、熟練者でなくても簡単にオムライスを製造できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る卵食品の製造方法は、油っぽくない卵食品を製造できる。
本発明に係るオムライスの製造方法は、油っぽくないオムライスを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明に係るオムライスの製造方法の流れの一例を説明するフロー図である。
第1の容器に入れられた約85℃(第1の所定温度の一例である。)の湯(熱した水)に浮かぶ第2の容器に、液卵を入れる(ステップS1)。
ここで、液卵は、30個の卵を割卵して液状にされたものである。
また、液卵としては、液状の卵黄や、液状の卵黄と液状の卵白が混ざり合った液状の全卵等が挙げられる。
また、液卵には、その他の任意の原料や成分を含めることができる。任意の原料や成分としては、例えば清水、ガム質(キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム等)、調味料(食塩、砂糖、グルタミン酸ソーダ、醤油、味噌等)、乳製品(牛乳、生クリーム等)、デンプン、ゼラチン、ブイヨン等が挙げられる。
【0015】
次に、第2の容器内で10分程度、液卵を加熱する(ステップS2)。
ここで、加熱時間は、30個の卵を使った場合の時間であり、卵の量により変動する。
加熱して液卵が半熟卵になった後に、この半熟卵が入れられた第2の容器を、第3の容器に入れられた約65℃(第2の所定温度の一例である。)の湯(熱した水)に浮かべて保温する(ステップS3)。
そして、第2の容器から規定量の半熟卵を取出し、型に半熟卵を入れ、その上から、味付けされた炊飯米を入れる(ステップS4)。
最後に、裏返して皿に盛り付ける(ステップS5)。
【0016】
ここで、第1の容器に入れられた第1の所定温度の液体に浮かぶ第2の容器に液卵を入れることで、液卵を加熱するのであれば、必ずしも第1の所定温度は85℃でなくてもよく、また、必ずしも第2の所定温度は65℃でなくてもよいが、第1の所定温度が80〜90℃であれば、液卵の中心温度を70〜75℃にすることができ、また、第2の所定温度が60〜70℃であれば、卵を固めることなく、また、風味を損なわず、サルモネラ菌などによる汚染も抑制しながら保温できるので好ましい。
【0017】
また、ステップS2から直接、ステップS4へ移行してもよいが、ステップS3のように保温しておくことで、例えば飲食店等においては迅速にかつ大量にオムライスを提供することができる。
【0018】
以上のように、本発明は、第1の容器に入れられた約85℃の湯に浮かぶ第2の容器に液卵を入れることで、液卵を加熱するので、約85℃の湯を通して液卵を加熱するので、フライパン等に入れられた液卵を加熱する場合に比べて加熱しすぎることがなく、焦げ付き防止のために食用油を第2の容器に加える必要がないため、油っぽくない卵食品やこのような卵食品を用いたオムライスを製造できる。
また、本発明の方法は、加熱しすぎないので、柔らかさを維持した半熟状の卵食品を製造できる。
また、製造方法が簡便であり、容器と湯があれば熟練者でなくても卵食品を製造できるので、製造コストを下げることができる。
【0019】
また、本発明は、加熱して液卵が半熟卵になった後に、この半熟卵が入れられた第2の容器を、第3の容器に入れられた約65℃の湯に浮かべて保温するので、簡単に保温でき、更に、卵を固めることなく、また、風味を損なわず、サルモネラ菌などによる汚染も抑制できる。
【0020】
また、第2の容器から規定量の半熟卵を取出し、型に半熟卵を入れ、その上から、味付けされた炊飯米を入れるので、シート状に形を整える必要がなく、熟練者でなくても、冷凍製品を用いることなく、柔らかいオムライスを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るオムライスの製造方法の流れの一例を説明するフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の容器に入れられた第1の所定温度の液体に浮かぶ第2の容器に液卵を入れることで、同液卵を加熱する工程を備える
卵食品の製造方法。
【請求項2】
前記液卵が半熟卵になった後に、同半熟卵が入れられた第2の容器を、第3の容器に入れられた、前記第1の所定温度よりも低い第2の所定温度を有する液体に浮かべる工程を備える
請求項1に記載の卵食品の製造方法。
【請求項3】
前記第1の所定温度は80〜90℃であり、
前記第2の所定温度は60〜70℃である
請求項2に記載の卵食品の製造方法。
【請求項4】
第1の容器に入れられた第1の所定温度の液体に浮かぶ第2の容器に液卵を入れることで、同液卵を加熱する卵食品製造工程と、
該卵食品製造工程によって製造された卵食品を型に入れ、型に入れられた同卵食品に炊飯米を加える工程とを備える
オムライスの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−119334(P2010−119334A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295628(P2008−295628)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(508344017)
【Fターム(参考)】