説明

厚さプロファイル測定装置、及び厚さプロファイルの測定方法

【課題】 被測定物の厚さプロファイル測定装置において、測定空間に置かれる窓の厚さムラの影響を補正して、窓厚さムラの影響をなくした厚さプロファイル測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 被測定物11を挟んで対向する一方のCフレーム5腕部に設けられるX線発生器1と、他方の前記Cフレーム腕部に設けられ、被測定物を透過した透過X線を検出する多チャンネルX線検出器2と、X線発生器及び多チャンネル検出器を予め所定の被測定物の端部位置に設定する検出器設定手段(3、7、8)と、被測定物の公称厚さに相当する校正サンプル板を有しる厚さ校正サンプル板設定手段(4、6、8)と、予め所定の校正サンプル板を幅方向の測定端部位置に設定して、Cフレームの幅方向の窓厚さを予め求め、測定した前記被測定物の厚さプロファイルから窓厚さを補正する測定部9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動する板状の被測定物に放射線を照射して、被測定物を透過した透過放射線の強度から被測定物の幅方向の厚さ(プロファイル)を測定する厚さプロファイル測定装置、及び厚さプロファイル測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延機の圧延ロールによって圧延される板状の鋼板の厚さの制御と圧延方向と直交する板幅方向の断面形状の制御とは、鋼板の厚さ品質を保証する上で重要な制御である。
【0003】
このような制御を行うためには、圧延される鋼板の板幅方向の厚さ分布(以下、厚さプロファイルと称する)を連続して、高速で測定する厚さプロファイル測定装置が必要である。
【0004】
一般に、鋼板の場合、圧延機で圧延された鋼板の厚さプロファイルは、圧延ロールが剛体でないことから圧延荷重を受けたときにたわみが生じることによって鋼板の板幅の中央部が厚く、端部に行くに従って緩やかに薄く変化するクラウン形状となっている。
【0005】
この厚さプロファイルの品質保証は、公称厚さに対する上下限の許容差が定められており、被測定物の幅方向、長さ方向の全長においてその許容差を保証することが求められている。
【0006】
このような目的に使用される従来の厚さプロファイル測定装置は、板幅中央部の厚さを1チャンネルの検出器で、また、幅方向の厚さを複数の多チャンネルX線検出器として、異種の検出器を組み合わせて測定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この厚さ測定の原理は、鋼板に所定のビーム形状のX線を照射するX線発生器と、鋼板を透過した透過X線の強度を一つの電離箱や、多チャンネルの電離箱等の放射線検出センサで検出し、照射したX線ビームの減衰量から鋼板の厚さを求めるものである。
【0008】
ここで、μを、鋼板の吸収係数、Tを鋼板の厚さ、Iを鋼板が無い時のX線線量、Iを鋼板がある場合の透過X線線量とすると、透過X線線量Iと厚さTとには、下記式の関係があることが知られている。
I=I×e−μ・T ・・・(1)
したがって、厚さTは、
T=1/μ×(logI−logI) ・・・(2)
として求められる。
【0009】
このような厚さ測定原理を使用した、厚さプロファイル測定装置は、実際には、圧延された鋼板のプロファイルの変化量が鋼板の両端部に集中することから、中央部の最も厚い部分の厚さと、幅方向には所定寸法(通常、鋼板の端部から50mm〜140mm)の厚さ分布を細かく測定することで対応するようにしている(例えば、非特許文献1参照)。
【0010】
このような幅方向の厚さプロファイルを詳細に測定する多チャンネル検出器には、Xeガスを封入した多数の電離箱が円弧状に一体成型された多チャンネル検出器や、シンチレータとホトダイオードアレイとを組み合わせた半導体多チャンネル検出器が使用されている。
【0011】
この多チャンネル検出器には、チャンネル間で感度の低下、もしくは感度の無い部分をなくすようにするため、鋼板の移動方向に対して円筒型の電離筒を所定角度傾斜させて配列した円筒傾斜型多チャンネル検出器を使用した多点計測厚み計(以後、厚さプロファイル測定装置と称す)がある(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
通常、鋼板の幅は、500mmから2000mmまで変化するため、鋼板の板幅に応じてその測定端部位置に一対のX線発生器と多チャンネル検出器とからなる検出器を予め鋼板の端部位置に設定して測定する様にしている。
【0013】
この多チャンネルX線検出器の一般的なスペクトル感度特性について図7を参照して説明する。75(a)は、鋼板の厚さが薄い場合(例えば、0.5mm)、図7(b)は、鋼板の厚さが厚い場合(例えば、5.0mm)の鋼板を透過したX線スペクトルの特性を示す。実線は、鋼板が無い場合で、破線は、鋼板がある場合を示す。
【0014】
一般に、鋼板を透過する透過X線線量は、照射したX線のエネルギーの低い方から減衰し、鋼板が厚くなるにしたがって、高いエネルギー方へ減衰が移動するスペクトル感度特性を示す。
【0015】
また、電離箱のX線スペクトル感度特性は、図7(c)に示すように、一般に低エネルギーの方で感度が高くなる傾向を示す。
【0016】
したがって、電離箱からの出力は、この図7(a)または図7(b)に示される透過X線線量のスペクトル特性と図7(c)に示される電離箱のスペクトル感度特性の積であらわされるから、図7の1点破線で示される低エネルギーの領域で、即ち、鋼板の厚さが薄くなる方向で検出感度が高くなる特性を有する。
【0017】
ところで、非特許文献1に示されるような厚さプロファイル測定装置においては、一対の検出器を鋼板の板幅に応じてその端部位置に移動して厚さプロファイルを測定する。
【0018】
そして、この種の厚さプロファイル測定装置は、装置の置かれる測定環境から検出器を保護するため、金属の剛体からなるCフレームを備え、Cフレームの一方下部腕部に備えるX線発生器および他方の上部腕部に備える多チャンネル検出器に、夫々保護用の窓が設けられる。
【0019】
ところが、厚さプロファイル測定装置は、鋼板が存在しない時のX線線量Iの値を基準として鋼板が存在した時の透過X線線量Iから厚みを求めるので、この窓の厚さが場所によって微妙に変わると、X線線量Iの値が変化し、測定誤差が大きくなる問題がある。
【0020】
さらに、この窓厚さのムラによる測定誤差は、図7に示したように、測定する鋼板の厚さ及び材質によって、透過X線のスペクトル特性が変わる。そのため、窓厚さを透過する透過X線も変わり、窓厚さムの値が変わってくる。
【0021】
また、鋼板が薄くなると窓の場所による厚さのムラによる測定誤差が大きくなる問題がある。
【特許文献1】米国特許4633420号明細書(第4ページ、図2)
【特許文献2】特開2002−328016号公報(第2ページ、図2)
【非特許文献1】小原 哲著、計測技術「静止型プロファイル計」、日刊工業新聞社出版、2003年1月号、p46−48
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
非特許分文献1に開示された厚さプロファイル測定装置は、透過X線を検出する検出器の測定空間おかれる窓を含む厚さのムラによって、誤差が発生する問題がある。
【0023】
さらに、この誤差は、透過X線線量のスペクトル分布が、測定する鋼板の厚さによっても変化する問題がある。
【0024】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、被測定物の厚さプロファイル測定装置において、測定空間に置かれる窓の厚さムラの影響を補正して、高精度の厚さプロファイル測定を可能にした厚さプロファイル測定装置、及び厚さプロファイル測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、本発明による厚さプロファイル測定装置は、移動する被測定物に放射線を照射して、被測定物を透過した透過放射線の強度から被測定物の板幅方向の厚さの分布を測定する厚さプロファイル測定装置であって、前記被測定物を挟んで対向する一方のCフレーム腕部に設けられるX線発生器と、他方の前記Cフレーム腕部に設けられ、前記X線発生器から照射されたX線が前記被測定物を透過した透過X線を検出する多チャンネルX線検出器と、前記被測定物の走行方向に対し、直交する幅方向に移動させる移動機構を有し、前記X線発生器及び前記多チャンネル検出器を予め所定の前記被測定物の端部位置に設定する検出器設定手段と、前記X線発生器から前記多チャンネルX線検出器に入射される間の前記X線の光路上に置かれ、前記被測定物の公称厚さに相当する種類の校正サンプル板を有し、前記移動機構に固定される厚さ校正サンプル板設定手段と、前記校正サンプル板を幅方向の測定端部位置に設定して、前記Cフレームの幅方向の窓厚さを予め求め、測定した前記被測定物の端部の厚さプロファイルから前記窓厚さを補正する測定部とを備えたことを特徴とする。
【0026】
上記目的を達成するために、本発明による厚さプロファイル測定方法は、放射線検出器が固定された窓の背後で移動して、この窓の前方におかれる被測定物を透過した透過X線の強度から厚さを測定する厚さプロファイル測定方法であって、前記被測定物の厚さに相当する校正サンプル板を備え、前記校正サンプル板を置いた状態で、予め前記窓の厚さを測定し、測定した前記被測定物の厚さ測定値から、前記窓の厚さを補正するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
以上述べた様に、本発明によれば、被測定物の公称厚さに相当する校正サンプル板を置いて予め幅方向の窓の厚さを求め、測定した厚さを補正するようにしたので、高精度の厚さプロファイル測定を可能にした厚さプロファイル測定装置、及び厚さプロファイル測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、本発明による厚さプロファイル測定装置の構成図である。
【0029】
ここでは、この厚さプロファイル測定装置の例としては、例えば、高速度で圧延される冷延鋼板を被測定物11(以後、鋼板と称す)とし、この両端部の厚さプロファイルを測定する場合について説明する。
【0030】
厚さプロファイル測定装置は、装置を構成する各部について、厚さプロファイルの測定条件を設定する設定部8と、設定部8で設定された測定条件において、被測定物11の所定の両端部位置から所定のエネルギーのX線を照射し、透過したX線線量を検出する検出部10と、検出部10の検出信号から被測定物11厚さを求める測定部9とからなる。
【0031】
次に、検出部10は、被測定物11をその移動方向側面から上下を挟むCフレーム5と、このCフレーム5の腕部下部内部に設けられ、被測定物11の一方の端部にX線ビームを照射するX線発生器1a、これと対抗して腕部上部内部に設けられ、被測定物11を透過したX線ビームを検出する複数の電離箱で構成される多チャンネルX線検出器2aとからなる。
【0032】
さらに、このCフレーム5の腕部下部内部に設けられ、被測定物11の他方の端部にX線ビームを照射するX線発生器1b、腕部上部内部にこれと対向して設けられ、被測定物11を透過したX線ビームを検出する複数の電離箱で構成される多チャンネルX線検出器2bとからなる。
【0033】
このX線発生器1aと多チャンネルX線検出器2aとで一方の端部の厚さプロファイルを検出する一対の検出器を、また、X線発生器1bと多チャンネルX線検出器2bとで他方の端部の厚さプロファイルを検出する一対の検出器を構成する。
【0034】
さらに、一対の検出器を被測定物11の所定の端部幅位置に設定する、ボールネジ等の回転送り機構からなる下部腕部内部に設けられる検出器機構設定部3a及び上部腕部内部に設けられる検出器機構設定部3bと、これらを駆動し所定の幅方向位置に夫々の検出器を設定する検出器設定駆動部8とからなる。
【0035】
下部腕部の検出器機構設定部3aには、X線発生器1aとX線発生器1b、上部腕部の検出器機構設定部3aには、多チャンネルX線発生器2aと多チャンネルX線発生器2bとが、夫々、被測定物11の板幅中心に対し左右に設けられ、一対の左右の検出器を被測定物11の所定の端部幅位置に左右対称に、または、左右独立に設定する。
【0036】
さらに、X線発生器1a及びX線発生器1bのX線ビームの照射口上部位置で、設定部8で指定された校正サンプル板を挿入する駆動信号を制御する校正サンプル板駆動部6と、校正サンプル板駆動部6で制御され、指定された校正サンプル板をX線ビーム光路上の所定の位置に設定する校正サンプル板設定機構部4a及び校正サンプル板設定機構部4bとからなる。
【0037】
そして、校正サンプル板設定機構部4a及び校正サンプル板設定機構部4bは、X線発生器1a及びX線発生器1bと、夫々が一体で幅方向に移動できるように、検出器機構設定部3a及び検出器機構設定部3bに固定される。
【0038】
また、Cフレーム5の下部及び上部のX線ビームの測定空間との境界は、夫々、外部の測定環境からCフレーム5の内部を保護するためのアルミニューム板等からなる下部窓部材5a、上部窓部材5bが設けられる。
【0039】
次に、測定部9の構成について図2を参照して説明する。測定部9は、多チャンネルX線検出器2aから出力される検出信号をデジタル信号に変換するADC9a、及び多チャンネルX線検出器2aから出力される検出信号をデジタル信号に変換するADC9bと、これらのADC出力と、予め設定部8から設定される被測定物11の形状や材質等の設定情報から、予め作成された窓厚さムラ補正テーブルを抽出し、厚さを補正して両端部の厚さプロファイルを求める演算部9cと、この窓厚さ補正テーブルを記憶する記憶部9dとからなる。
【0040】
次に、この窓厚さムラ補正テーブルの構成について図3を参照して説明する。図3(a)は、被測定物11の厚さと材質によって、予め測定する窓厚さムラ補正テーブルの構成を示す一覧テーブルである。
【0041】
窓厚さムラ補正テーブルは、下部窓部材5a及び上部窓部材5bの窓の厚さムラ補正が必要となる被測定物11について、例えば、厚さ、材質については、m種類の窓厚さムラ補正テーブルTBL1乃至TBLmで構成される。
【0042】
この厚さムラ補正テーブルの種類に対応する校正サンプル板が校正サンプル板設定機構部4a及び校正サンプル板設定機構部4bで設定され、窓厚さムラ補正テーブルの厚さ補正値が予め採取される。
【0043】
次に、窓厚さムラ補正テーブルの作成について説明する。図3(b)乃至図3(e)、及び図4を参照して説明する。図4は、一方の端部の厚さプロファイルを測定する検出器の設定位置を説明する図である。
【0044】
一点破線で示す位置p1からpnは、X線検出器1a及び多チャンネルX線検出器2aからなる一対の検出器の測定範囲を示す。この検出器を被測定物11がない状態でp1乃至pnの各位置に設定し、図3(a)に示したm種類の窓厚さムラ補正テーブルTBL1乃至TBLmを作成する。
【0045】
この時、対応する、例えば、校正サンプル板4aiを校正サンプル板設定機構部4aでp1乃至pnの設定し、多チャンネルX線検出器2aの中心位置の1つの検出器2aiで検出し、この検出信号から窓厚さムラ補正テーブルTBLiを作成する。
【0046】
この検出信号から、補正値は下記のようにして求められる。前述した厚さ測定の演算式(2)に示したように、検出器の設定位置pi点において、所定の校正サンプル板2aiが設定された状態で、窓の厚さTwpiが下記式で求められる。
Twpi=1/μ×(logI00−logI) ・・・(3)
ここで、μを被測定物11の吸収係数、Twpiをpi点の鋼板の厚さ、I00を被測定物11及び窓が無い時のX線線量、Iを窓があり、且つ、被測定物11がない場合の透過X線線量とする。この時、吸収係数は測定時に使用する吸収係数と同じ値としておく。
【0047】
そして、図3(b)乃至図3(m)に示す厚さムラ補正テーブルは、検出器を所定の測定範囲、所定ピッチでp1からpnまで移動して、その窓の厚さムラの補正値Twpiを演算より求め、記憶部9dに予め記憶させておく。
【0048】
ところで、下部窓部材5a及び上部窓部材5bとしては、通常、軽量なアルミニューム板などの金属が使用されるので、その厚さムラは比較的緩やかに変化するので、その測定ピッチは、10mm乃至50mmピッチで測定すれば充分である。
【0049】
また、この窓厚さムラの測定は、多チャンネルX線検出器2a内の1つの同じチャンネルで測定しても良いし、全てのチャンネルを使用して測定し、個々のチャンネルで測定するようにしても良い。
【0050】
そして、被測定物11の厚さプロファイルを測定する場合、測定位置piでの測定される厚さをTaiとすると、この検出信号には、被測定物11のみの厚さTciと被測定物11の厚さに近い公称厚さの校正サンプル板4aiを挿入した時の窓の厚さTwpiとが加算された厚さとなっているので、下記式のように予め記憶された窓の厚さムラ補正テーブルTBLiから補正値を抽出し、下記式で補正して実際の厚さを求める。
Tci=Tai−Twpi ・・・(4)
【0051】
次に、このように構成された厚さプロファイル測定装置による厚さ測定について図5を参照して説明する。
【0052】
先ず、厚さ測定の条件が、設定部8から、検出部10及び測定部9に被測定物11の厚さ、幅、材質等の設定情報が送信される(s1)。検出部10では、送信された被測定物11の板幅から対応する位置に検出器が検出器設定駆動部7を駆動して所定の位置に設定される(s2)。
【0053】
また、測定部10、被測定物11の厚さ、材質が送信され、この設定情報に対応する窓厚さムラ補正テーブルが記憶部9dから選択抽出される(s2)。
【0054】
そして、この設定が完了し、被測定物11が検出部10内に走行すると、厚さ測定を開始し、多チャンネルX線検出器2a(2bで求めた厚さデータに対し、その位置に対応する窓厚さ補正値で補正して、実際の厚さを出力する(s4)。
【0055】
以上説明したように、本発明によれば、Cフレーム5上下の腕部に設けられる下部窓部材5a上部窓部材5bの窓の厚さムラを、予め校正サンプル4aをおいて透過X線のスペクトルを測定時のスペクトルと近似するようにして窓の厚さムラを補正するようにしたので、窓の厚さムラによる測定誤差の影響を受けない厚さプロファイル測定装置を提供することが出来る。
【0056】
また、鋼板の厚さプロファイル測定装置には、サブミクロンオードの厚さ測定精度が要求されるが、窓厚さの均一な材料を選定することや悪環境に置かれる窓厚さに経時変化があっても、定期的に窓厚さムラ補正データを採取することで、窓の汚れ等の影響も除くことがで、保守が容易に出来る効果も得られる。
【0057】
本発明は、上述したような各実施例に何ら限定されるものではなく、X線発生器と、多チャンネルX線検出器間の測定空間に置かれる被測定物11に対応する校正サンプル板を設定して、厚さ測定時の透過X線発のスペクトルを一致させて、予め測定空間に置かれる被測定物11以外のX線吸収部材の厚さムラを補正するようにしたものであれば良く、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による厚さプロファイル測定装置の構成図。
【図2】本発明による厚さプロファイル測定装置の測定部の構成図。
【図3】窓厚さ補正テーブルの例。
【図4】窓厚さの測定の説明図。
【図5】厚さ補正テーブルの測定方法を説明するフローチャート。
【図6】X線エネルギースペクトルの吸収特性の説明図。
【符号の説明】
【0059】
1a、1b X線発生器
2a、2b 多チャンネルX線検出器
2ai i番目の検出器
3a、3b 検出器設定機構部
4a、4b 校正サンプル板設定機構部
4ai i番目の校正サンプル板
5 Cフレーム
5a 上部窓部材
5b 下部窓部材
6 校正サンプル板駆動部
7 検出器設定駆動部
8 設定部
9 測定部
9a、9b ADC
9c 演算部
9d 記憶部
10 検出部
11 被測定物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する被測定物に放射線を照射して、被測定物を透過した透過放射線の強度から被測定物の板幅方向の厚さの分布を測定する厚さプロファイル測定装置であって、
前記被測定物を挟んで対向する一方のCフレーム腕部に設けられるX線発生器と、
他方の前記Cフレーム腕部に設けられ、前記X線発生器から照射されたX線が前記被測定物を透過した透過X線を検出する多チャンネルX線検出器と、
前記被測定物の走行方向に対し、直交する幅方向に移動させる移動機構を有し、前記X線発生器及び前記多チャンネル検出器を予め所定の前記被測定物の端部位置に設定する検出器設定手段と、
前記X線発生器から前記多チャンネルX線検出器に入射される間の前記X線の光路上に置かれ、前記被測定物の公称厚さに相当する種類の校正サンプル板を有し、前記移動機構に固定される厚さ校正サンプル板設定手段と、
前記校正サンプル板を幅方向の測定端部位置に設定して、前記Cフレームの幅方向の窓厚さを予め求め、測定した前記被測定物の端部の厚さプロファイルから前記窓厚さを補正する測定部と
を備えたことを特徴とする厚さプロファイル測定装置。
【請求項2】
放射線検出器が固定された窓の背後で移動して、この窓の前方におかれる被測定物を透過した透過X線の強度から厚さを測定する厚さプロファイル測定方法であって、
前記被測定物の厚さに相当する校正サンプル板を備え、
前記校正サンプル板を置いた状態で、予め前記窓の厚さを測定し、
測定した前記被測定物の厚さ測定値から、前記窓の厚さを補正するようにしたことを特徴とする厚さプロファイルの測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−3060(P2008−3060A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175642(P2006−175642)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】