原位置試料を採取する装置、方法並びに採取管及び蓋体の組合せ体
【課題】採取した改良土等の原位置試料について、品質の改竄を防止する。
【解決手段】改良土等の原位置試料を採取するための装置であって、改良土等に挿入するロッド本体4と、ロッド本体4に設けられ、少なくとも上端又は下端が開口する採取管30を支持する管支持部6と、採取管30の開口を蓋体31で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構5と、ロッド本体4を改良土等に挿入して、原位置における試料を採取管30で採取し、採取管30及び蓋体31を閉じた状態で固定する固定機構9と、を備えている。
【解決手段】改良土等の原位置試料を採取するための装置であって、改良土等に挿入するロッド本体4と、ロッド本体4に設けられ、少なくとも上端又は下端が開口する採取管30を支持する管支持部6と、採取管30の開口を蓋体31で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構5と、ロッド本体4を改良土等に挿入して、原位置における試料を採取管30で採取し、採取管30及び蓋体31を閉じた状態で固定する固定機構9と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝固材を使用した改良土等の原位置試料を採取する際、試料の品質の改竄を防止できる原位置試料採取装置、方法並びに採取管及び蓋体の組合せ体に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤に土木構造物や建築物を構築するとき、軟弱地盤の支持強度を向上するために、セメント系固化材等の凝固材を混合して地盤改良を行い、改良土を生成する。この改良土の支持強度を確認するため、改良土の硬化前における所定のタイミングで、改良土の所定位置における原位置試料を採取する。そして、この試料について試験場で一軸圧縮試験等を行い、改良土の品質を管理する。改良土等の試料を採取する装置として、特許文献1等に示すものがある。
【0003】
ところで、従来から、改良土等の品質を改竄する施工業者が存在する。これらの施工業者が、従来における特許文献1等の装置を使用する場合、試料を採取・充填した仮採取管から、その試料を、試験するための本採取管に詰め替えていた。その際、所定の強度が確保されるように、良好な品質の試料に差し替えたり、好適な品質になるよう凝固材や水等を追加する等の偽装・改竄をして、試験場で一軸圧縮試験等を行う。
【特許文献1】特開平8−135361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、原位置で採取した改良土等の原位置試料について、偽装・改竄できないように、採取した試料を原位置で自動で封入して、適切な品質管理をすることができる原位置試料採取装置、方法並びに採取管及び蓋体の組合せ体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明に係る装置は、改良土等の原位置試料を採取するための装置であって、
改良土等に挿入するロッド本体と、
ロッド本体に設けられ、少なくとも上部又は下部が開口する採取管を支持する管支持部と、
採取管の開口を蓋体で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構と、
ロッド本体を改良土等に挿入して、原位置における試料を採取管で採取し、採取管及び蓋体を閉じた状態で固定する固定機構と、
を備えている。
【0006】
なお、「少なくとも上部又は下部が開口する」とは、採取管の上端又は下端が開口することは勿論、上部又は下部の側面が開口する場合も含むことを意味する。
【0007】
好ましくは、採取管及び蓋体は、それぞれが係合部分を有しており、採取管を蓋体で閉じると、係合部分が係合して固定し、その後に、蓋体を採取管から取り外して開けると、係合部分の全部又は一部が破損するように構成されている。
【0008】
好ましくは、採取管は、開口の周縁に沿って外側に突設する第一突出部を備え、蓋体は、採取管の開口を閉じる部分の周縁に沿って内側に突設する第二突出部を備え、係合部が、第一突出部と第二突出部とからなる。
【0009】
好ましくは、採取管及び蓋体は、嵌着・固定する構造であって、固定機構は、採取管の開口に蓋体を押圧して嵌着・固定するための押圧機構を備えている。
【0010】
好ましくは、固定機構は、押圧機構の押圧動作を規制するための規制機構を備える。
【0011】
好ましくは、採取管及び蓋体は、ネジ構造によって固定するようになっている。
【0012】
好ましくは、採取管の深度を計測する深度計と、採取管に搭載されたICタグとを備えている。
【0013】
好ましくは、蓋開閉機構は、蓋体を保持して開閉可能な開閉レバーを備え、開閉レバーは、改良土等に挿入されたロッド本体の回転による土圧によって開閉しやすいように、ロッド本体に沿って延在する羽部を備える。
【0014】
好ましくは、蓋開閉機構は、蓋体を保持して開閉可能な開閉レバーを備え、開閉レバーは、蓋体を収納保持する蓋体収納部を備え、蓋体収納部は、開閉レバーに対して着脱自在である。
【0015】
好ましくは、押圧機構は、ボルト部材を備え、ボルト部材は、採取管及び蓋体の双方又は一方を押圧する。
【0016】
また、本発明に係る方法は、改良土等の原位置試料を採取するための方法であって、
ロッド本体と、ロッド本体に設けられ、少なくとも上部又は下部が開口する採取管を支持するための管支持部と、採取管の開口を閉じる蓋体を保持し、採取管の開口を蓋体で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構と、採取管と蓋体とを固定するための固定機構とを備えた原位置試料採取装置を準備する工程と、
蓋開閉機構で採取管の開口を閉じた状態で、ロッド本体を改良土等に挿入する工程と、
蓋開閉機構で原位置において採取管の開口を開いて、採取管に試料を充填する工程と、
蓋開閉機構で原位置において採取管の開口を閉じ、固定機構で採取管と蓋体とを固定する工程とを備える。
【0017】
好ましくは、原位置試料採取装置は、採取管の深度を計測する深度計と、採取管に搭載されたICタグとを備え、
深度計で採取管の試料採取深度を計測する工程と、
この深度をICタグに記録する工程とを備える。
【0018】
また、本発明に係る採取管及び蓋体の組合せ体は、改良土等の原位置試料を採取するためのものであって、採取管は、少なくとも一方が開口し、開口周縁に沿って外側に突設する第一突出部を備え、蓋体は、採取管の開口を閉じる部分の周縁に沿って内側に突設する第二突出部を備え、第一突出部と第二突出部とが係合して、採取管及び蓋体が嵌着・固定するように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、原位置において、採取管で試料を採取して、固定機構によって、採取管の開口を蓋体で閉じて固定することができる。これにより、試料を採取・充填した採取管から、蓋体を取り外すことはできない。そして、原位置において採取した試料を自動で封入することができる。従って、この発明を使用する施工業者は、採取管の試料を差し替え等して試料の品質を改竄することができず、第三者に対して、試験結果に対する高い信頼性を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明について詳細に説明する。
【0021】
[第一実施形態]
先ず、第一実施形態について説明する。原位置試料採取装置の構造について説明する。
【0022】
[原位置試料採取装置]
図1は、本発明に係る原位置試料採取装置の使用状態を示す全体正面図である。原位置試料採取装置1は、クローラクレーン40等に取り付けて用いる。本実施形態では、クローラクレーン40は、ブーム46及びアーム47を備えている。
【0023】
クローラクレーン40は、ブーム46及びアーム47を介して、鉛直方向に延在するリーダ41を備えている。ガイドレール42は、リーダ41に沿って並設される。リーダ41には、エンドレスチェーン44が設けられている。
【0024】
クローラクレーン40は、モータドライブ45を備えている。モータドライブ45は、エンドレスチェーン44を上下走行する駆動源となる。クローラクレーン40は、リーダ41に沿って昇降駆動する昇降フレーム43を備えている。
【0025】
昇降フレーム43は、ガイドレール42に沿って昇降可能に支持されている。また、昇降フレーム43は、エンドレスチェーン44の上下走行によって昇降する。昇降フレーム43には、駆動装置10が設けられている。
【0026】
駆動装置10は、原位置試料採取装置1に接続され、原位置試料採取装置1の種々の機構を駆動する。クローラクレーン40は、制御手段48を備えている。制御手段48は、モータドライブ45や駆動装置10等の動作を制御する。
【0027】
クローラクレーン40は、改良土Sの試料を採取する際、原位置試料採取装置1の下端が試料採取の対象となる改良土Sの直上位置に移動する。その位置で、クローラクレーン40は、原位置試料採取装置1をリーダ41に沿って垂下する。
【0028】
図2は、原位置試料採取装置の一部を拡大して示す正面図である。図2に示す通り、原位置試料採取装置1は、長尺な円柱状のロッド本体4を備えている。原位置試料採取装置1は、ロッド本体4の下端が尖鋭状で、改良土Sに挿入し易いようになっている。
【0029】
原位置試料採取装置1は、ロッド本体4に、長さ方向(上下方向)に沿って所定間隔を置いて、複数のサンプラー部2を備えている。本実施形態では、上部用、中間用、先端用の3つのサンプラー部2を備えている。この間隔は、改良土S等の採取対象によって、変更する。また、上部、中間部、先端部のそれぞれの箇所において、サンプラー部2をロッド本体4の周囲に複数個備えていても良い。
【0030】
本実施形態では、初めから、複数のサンプラー部2が、ロッド本体4に装着されている。別の実施形態では、ロッド本体4を改良土等Sに挿入しながら、サンプラー部2を装着してもよい。即ち、図1のように、リーダ41の下部にロッド本体4のぶれを防止するための環状のブレ止め部材400が設けられているとき、このブレ止め部材400よりも下方にサンプラー部2を装着しなければ、ロッド本体4を改良土Sに挿入できないから、ロッド本体4を改良土等Sに挿入しながら、サンプラー部2を装着する。
【0031】
[サンプラー部]
図3〜図6は、サンプラー部を拡大して示す図である。図3〜図6は、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図である。
【0032】
サンプラー部2には、ロッド本体4に一対の支持アーム6,6’(管支持部)が固着されている。それぞれの支持アーム6,6’は、採取管30の上部及び下部を支持する。各支持アーム6,6’は、ロッド本体4の長さ方向(上下方向)に所定間隔を置いて設けられている。
【0033】
支持アーム6,6’は、上下方向に貫通する挿入孔6aを有する。後述するが、採取管30は、上端周縁に沿って外側に突設する第一突出部30aを備えている(図7)。挿入孔6aの径は、採取管30の径と略同一である。そして、挿入孔6aの上端が大径であり、採取管30の第一突出部30aが係止する。
【0034】
採取管30は、支持アーム6,6’に挿入して位置固定される。採取管30は、ロッド本体4と平行に配置される。この状態で、採取管30の上端は、上側の支持アーム6の上面より突出しないようになっており、本実施形態では略面一となる。
【0035】
原位置試料採取装置1は、ロッド本体4に沿って延在する回転駆動軸8(蓋開閉機構)を備えている(図2)。駆動装置10は、ロッド本体4の回転駆動、回転駆動軸8の回転や上下動を駆動する(図1)。
【0036】
サンプラー部2には、開閉レバー5(蓋開閉機構)が設けられている。開閉レバー5は、収納部5aに蓋体31を保持する。開閉レバー5の下面は、上側支持アーム6の上面に接している。
【0037】
開閉レバー5は、回転駆動軸8で回転駆動する。それによって、収納部5aに収納された蓋体31が、採取管30の直上位置(図3、図5、図6)(以下、「閉じた位置」又は「第1位置」という。)と、直上位置から離れた位置(図2)(以下、「開いた位置」又は「第2位置」という。)とに移動可能になっている。
【0038】
開閉レバー5が回転しても、開閉レバー5の下面が支持アーム6の上面に接地しているので、収納部5aに収納される蓋体31は、落下することなく、開閉レバー5で保持される。なお、開閉レバー5は、永久磁石5bを有し、この磁力でも蓋体31を保持する。
【0039】
原位置試料採取装置1は、ロッド本体4に沿って延在する上下駆動軸9(固定機構・押圧機構)を備えている(図2)。駆動装置10は、上下駆動軸9の上下動を駆動する(図1)。
【0040】
サンプラー部2には、押圧レバー7(押圧機構)を備える。押圧レバー7は、採取管30を上方に押圧して押し上げる。押圧レバー7は、ロッド本体4に固着された第一回転軸70で回転支持されている。
【0041】
押圧レバー7は、第一回転軸70を中心に、上下方向に回転する。押圧レバー7は、凸状の押圧部7aが採取管30の直下に配置されている。押圧レバー7は、他端部7bが、第二回転軸71を介して、上下駆動軸9に回転支持されている。
【0042】
上下動駆動軸9を上下方向に移動することにより、押圧レバー7が、第一回転軸70を中心に回転駆動する。そして、上下駆動軸9を下方向に移動して、押圧レバー7の押圧部7aで採取管30を押し上げる。
【0043】
サンプラー部2には、移動レバー50及び規制レバー51(規制機構)を備える。移動レバー50は、開閉レバー5の直上に配置されている。規制レバー51は、移動レバー50に垂下して固着している。移動レバー50は、回転駆動軸8で回転駆動する。
【0044】
移動レバー50が、図3のとき、規制レバー51の下端が、押圧レバー7の一端部7cの直上に配置される。この配置により、規制レバー51は、押圧レバー7の上方移動を規制する。これにより、誤操作等によって、押圧レバー7が採取管30を押圧して、蓋体31を固定しないようになっている。
【0045】
移動レバー50が、図4〜図6のとき、規制レバー51は、押圧レバー7の一端部7cの直上から離れる。この配置により、規制レバー51による、押圧レバー7の上方への移動規制が解除される。
【0046】
[採取管及び蓋体の組合せ体]
図7は、採取管を示しており、(a)は斜視図、(b)は蓋体が開いた状態の一部断面正面図、(c)は蓋体が閉じた状態の一部断面正面図である。採取管30は、円筒形で上端に開口部30bを有し、下端が閉じている。本実施形態では、採取管30は、長さ寸法が直径寸法の約2倍となっている。
【0047】
採取管30は、上端開口部30bの周縁に沿って外側に突設する第一突出部30aを有する。第一突出部30aは、例えば、採取管30の上端に所定長の複数の切込部30cを設け、バナナの皮を剥くように外側に円弧状に開いて形成する。
【0048】
蓋体31は、採取管30の開口部30bを閉じる。蓋体31は、下端が開口している。蓋体31は、下端開口の周縁に沿って内側に突設する第二突出部31aを有する。この第二突出部31aも、第一突出部30aと同様に、内側に押し込んで形成する。
【0049】
第一突出部30aは、上面が円弧状になっており、第二突出部31aは、下面が円弧状になっている。さらに、第一突出部30aと第二突出部31aとは、上下方向に略一致して配置されている。
【0050】
従って、採取管30に蓋体31を嵌め込む際、採取管30を蓋体31に近づけると、第一突出部30aと第二突出部31aとが衝突し、さらに、採取管30を蓋体31に押し付けることにより、第一突出部30aが蓋体31の内部に入り、第一突出部30aと第二突出部31aとが係合して、採取管30と蓋体31とが嵌着・固定される(図7(c))。
【0051】
さらに、採取管30は、略全長に延設された切り欠き部30dを備える。本実施形態では、一対の平行する切り欠き部30d,30dが、互いに対向して設けられている(図7(a))。これにより、採取管30に試料を充填した後、切り欠き部30dに沿って剥いて、採取管30から試料を取り出し易いようになっている。
【0052】
採取管30は、公知技術の深度計32とICタグ33とを備える。深度計32は、採取管の深度を計測できる。ICタグ33が、この計測結果を記録する。
【0053】
次に、原位置試料採取装置を用いて原位置試料を採取する方法について説明する。
【0054】
[原位置試料採取方法]
図1の通り、原位置試料採取装置1をクローラクレーン40に取り付ける。原位置試料採取装置1を、リーダ41に沿って立設し、上端を駆動装置10に取り付ける。原位置試料採取装置1には、サンプラー部2に採取管30及び蓋体31を取り付ける。
【0055】
図2及び図3の通り、採取管30を支持アーム6,6’に、蓋体31を開閉レバー5に取り付ける。駆動装置10で回転駆動軸8を操作し、開閉レバー5及び移動レバー51を閉じた位置(第1位置)にする(図3)。
【0056】
そして、クローラクレーン40を移動して、原位置試料採取装置1を改良土Sの直上に配置する。試料採取の対象は、地盤改良が施された改良土Sや、既製杭の根固め部、軟弱土、混合土等である。
【0057】
駆動装置10でロッド本体4を回転駆動しながら、昇降フレーム43で原位置試料採取装置1を降下する。ロッド本体4の回転により、スムーズに原位置試料採取装置1を改良土Sに挿入できる。
【0058】
なお、上記したように、開閉レバー5及び移動レバー50が閉じた位置(第1位置)になっているので、採取管30内に改良土Sが浸入しない。さらに、規制レバー51により、採取管30と蓋体31も固定されない。
【0059】
各サンプラー部2(採取管30)が所定の深度に到達した際に、駆動装置10でロッド本体4の回転を停止すると共に、昇降フレーム43による原位置試料採取装置1の降下を停止する。
【0060】
図4の通り、駆動装置10で回転駆動軸8を操作し、開閉レバー5及び移動レバー51を開いた状態(第2位置)にする。各レバー5,51は、採取管30の一部に重なるように配置される(図4(b))。これにより、採取管30の上方移動を阻止する。
【0061】
そして、クローラクレーン40自体やブーム46、昇降フレーム43等を操作して、原位置試料採取装置1を上下動する。この上下動により、改良土Sの原位置試料が、採取管の開口部30bから採取管30内に充填される。
【0062】
改良土Sは粘度が高いので、原位置試料採取装置1を上下あるいは左右に振動させることにより、採取管30内に改良土Sが入りこみ充填される。なお、開閉レバー5は、採取管の開口部30bを完全に塞がないように、採取管30の一部にのみ重なる。
【0063】
その後、図5の通り、駆動装置10で回転駆動軸8を操作し、開閉レバー5を閉じた位置(第1位置)にする。なお、移動レバー50は、バネ力などを利用した係止機構(図示略)により、開いた位置(第2位置)にある(図5(b))。
【0064】
これによって、採取管30と蓋体31とが重なって配置される(図5)。また、規制レバー51は、押圧レバー7から離れる。
【0065】
そして、図6の通り、駆動装置10で上下駆動軸9を下げ、押圧レバー7を回転軸70を中心に回転する。これにより、押圧レバー7の押圧部7aが、採取管30を押し上げ、採取管30を蓋体31に嵌着・固定する。即ち、採取管の第一突出部30aと蓋体の第二突出部31aとが係合して、採取管30と蓋体31とが嵌着・固定される(図7)。
【0066】
そして、それぞれの採取管30に搭載された深度計32が、試料を採取した深度を計測する。この計測結果が、ICタグ33に送信され記録される。これにより、リーダー(図示略)を用いて、それぞれの採取管30について、試料を採取した深度を確認することができる。
【0067】
その後、ロッド本体4を静止又は回転しながら原位置試料採取装置1を上昇し、改良土Sから取り出す。そして、各採取管30を支持アーム6,6’から取り外す。各採取管30は、蓋体31が嵌着・固定されている。そのため、施工業者等は、蓋体31を取り外して、試料を改竄することができない。また、無理に蓋体31を取り外すと、各突出部30a,31aが破損するため、改竄したことが分かるようになっている。
【0068】
さらに、各採取管30には、試料を採取した深度が記録されたICタグ33が搭載されているので、適当な場所で良好な試料を充填できない。よって、この原位置試料採取装置1で採取した試料は、非常に高い信頼性を与える。
【0069】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一構成については、説明を省略する。第二実施形態は、サンプラー部2が第一実施形態と異なる。
【0070】
図8〜図11は、サンプラー部を拡大して示す図である。図8〜図11は、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図である(一部省略)。
【0071】
[構造説明]
サンプラー部2は、ロッド本体4に支持アーム6,6’を備える。支持アーム6,6’は、採取管30を支持する。開閉レバー5は、蓋体31を保持する。開閉レバー5は、ロッド本体4に平行な垂直方向の回転軸80を中心に回転自在である。
【0072】
支持アーム6は、ストッパー81が固着されている。後述するように、ストッパー81は、開閉レバー5の余分な回転を規制する。
【0073】
保持体72は、ロッド本体4に固着している。保持体72は、押圧レバー7を保持する。押圧レバー7は、水平方向の回転軸70を中心に回転自在である。保持体72は、規制レバー51を保持する。規制レバー51は、垂直方向の回転軸52を中心に回転自在である。
【0074】
押圧レバー7は、上方に突設した押圧部7aを有する。押圧部7aの直上に、押上ロッド73が配置されている。押上ロッド73は、採取管30の直下に配置している。押上ロッド73は、上下方向に移動自在である。
【0075】
サンプラー部2は、バネ75を備える。バネ75は、上端が押圧レバー7に連結され、下端がロッド本体4に連結されている。バネ75は、下方に向けて付勢している。これにより、押圧レバー7は、回転軸70を中心に回転付勢されている。
【0076】
押圧レバー7は、水平方向に窪んだ凹部74を備える。規制レバー51が凹部74に係合することにより、押圧レバー7は、回転を規制される。
【0077】
[動作説明]
図8の通り、ロッド本体4を地中に挿入する際、ロッド本体4を正方向4aに回転する(図8(b)の時計方向)。この回転による改良土Sの抵抗(土圧)によって、開閉レバー5は、逆回転(反時計方向)し、ロッド本体4に当たった状態で位置停止する。また、規制レバー51も、押圧レバー7の凹部74に当たった状態で位置停止する。
【0078】
これにより、蓋体31が採取管30の直上に位置して(閉じた位置)、採取管30内に改良土Sが入ることなく、ロッド本体4が地中に挿入される。また、規制レバー51が押圧レバー7を位置固定する。
【0079】
図9の通り、ロッド本体4が所定位置まで挿入されると、ロッド本体4を逆方向4bに回転する(図9(b)の反時計方向)。この回転による改良土Sの抵抗(土圧)によって、開閉レバー5は、正回転(時計方向)に回転し、ストッパー81に当たり位置停止する。これにより、蓋体31は、採取管30を開口する(開いた位置)。
【0080】
また、規制レバー51も、正回転(時計方向)し、保持体72に当たり位置停止する(図9(c))。このとき、規制レバー51は、押圧レバー7の凹部74から外れている。
【0081】
しかし、開閉レバー5は、採取管30の一部に重なっている。これにより、採取管30は、押圧レバー7によって押し上げられることなく位置固定(上方規制)される。
【0082】
そして、ロッド本体4を上下動する。この上下動により、改良土Sの原位置試料を採取管の開口部30bから採取管30内に充填する。
【0083】
図10の通り、試料を採取した後、ロッド本体4を正回転4aする。この回転による改良土Sの抵抗によって、開閉レバー5は、回転してロッド本体4に当たり位置停止する(閉じた位置)。なお、規制レバー51は、バネ力などを利用した係止機構(図示略)により、凹部74から外れた位置に位置固定している(図10(c))。
【0084】
図11の通り、蓋体31は、採取管30に重なるので(閉じた位置)、採取管30は、上方へ移動可能になっている。従って、バネ75の付勢力により、押圧レバー7は回転軸70を中心に回転する。
【0085】
押圧レバー7の回転により、押圧部7aが上方へ移動して、押上ロッド73を押し上げる。この押上により、採取管30を蓋体31に嵌着・固定する。即ち、採取管の第一突出部30aと蓋体の第二突出部31aとが係合する。
【0086】
また、押圧レバー7は、下方に水平方向の抵抗プレート76を有する。この抵抗プレート76に改良土Sの圧力がかかるので、押圧レバー7が急に回転することなく、ワンクッション置いて回転する。これにより、採取管30は、蓋体31にスムーズに係合して嵌着される。
【0087】
[変形例]
図12は、押圧機構の変形例を示す正面図である。押圧レバー7は、ロッド本体4に軸70を介して上下方向に回転自在になっている。押圧レバー7は、一端部7cが長さ方向7eに対して傾斜するテーパ部7dを有する。押圧機構は、押圧レバー7のテーパ部7dに対して、進退移動するスライド部材77を備える。
【0088】
そして、スライド部材77が、テーパ部7dに当接しながら矢印方向へ移動することにより、押圧レバー7は、軸70を中心に上方へ回転する(二点鎖線)。これにより、押圧レバー7の押圧部7aが、採取管30を押し上げて上方へ移動することができる。
【0089】
[第三実施形態]
図13は、第三実施形態を説明する図であり、(a)はサンプラー部を示す正面図、(b)は採取管及び蓋体の概略断面平面図である。サンプラー部2には、ロッド本体4に対して回転自在(回転フリー)な回転体4aが設けられている。ロッド本体4は、上下方向に一対の受部4b,4bが固着されている。受部4b,4bが、回転体4aの、上下方向の移動を規制しつつ、ロッド本体4を中心に回転自在にする。
【0090】
採取管30は、支持筒60に挿入されている。支持筒60は、下側の受部4bに連結している。採取管30は、支持筒60に対して上下移動自在である。押圧ロッド78は、上下方向に延設されている。押圧ロッド78は、下端に押圧部78aを備える。押圧部78aは、採取管30の底部を支持する。押圧ロッド78は、上端がアクチュエータ78bに接続されている。アクチュエータ78bは、押圧ロッド78を上下方向に移動する。
【0091】
蓋体31は、回転ロッド82に連結されている。回転ロッド82は、下端に連結部82aを備える。連結部82aは、磁石等で蓋体31を着脱自在に保持する。回転ロッド82は、上端が回転モータ82bに接続されている。回転モータ82bは、回転ロッド82を回転する。蓋体31は、連結部82cを介して回転体4aに連結されている。
【0092】
採取管30は、外周に第一ネジ部(雄ネジ)34を備え、蓋体31は、内周に第二ネジ部(雌ネジ)35を備える。各ネジ部34,35によって、採取管30及び蓋体31は、螺合して固定される。
【0093】
回転体4a及び蓋体31は、ロッド本体4を中心に回転自在である。従って、ロッド本体4が地中(所定位置)に挿入されると、蓋体31は、周囲の土圧によって、ロッド本体4が回転しても、位置固定される。それに対し、受部4b及び採取管30は、ロッド本体4に連結している。従って、ロッド本体4が地中に挿入されて、ロッド本体4が回転すると、採取管30もロッド本体4と共に回転する。
【0094】
試料を採取する動作について説明する。採取管30の直上に蓋体31を位置して、採取管30に改良土Sが浸入しないようにする。その状態で、ロッド本体4を所定位置まで挿入する。ロッド本体4を少し回転して、採取管30の直上位置から蓋体31をずらして、採取管30の開口部30bを開ける。なお、蓋体31は、土圧によって位置固定されている。そして、ロッド本体4を上下動して、採取管30に試料を充填する。
【0095】
そして、ロッド本体4を少し回転して、採取管30の直上に蓋体31を位置する。アクチュエータ78bにより、押圧ロッド78を上方駆動する。これにより、押圧部78aを介して、採取管30を押し上げ上方移動する。これと同期して、回転モータ82bにより、回転ロッド82を回転駆動する。これにより、蓋体31を回転する。そして、採取管30と蓋体31とが、各ネジ部34,35によって、螺合して固定される。
【0096】
図13(b)の通り、採取管30は、第一ネジ部34の終端に、第一係合爪34aを備える。蓋体31は、第二ネジ部35の終端に、第二係合爪35aを備える。各係合爪34a,34bは、板バネ部材等である。蓋体31が採取管30に対して閉じる方向に回転するとき(回転方向34b)、各係合爪34a,35aは、互いに係合せずスムーズに回転するようになっている。そして、蓋体31が採取管30に対して開く方向に回転するとき(回転方向34c)、各係合爪34a,35aは、互いに係合して破損するようになっている。
【0097】
従って、採取管30に試料を充填して、蓋体31を閉じた後に、蓋体31を取り外すと、各係合爪34a,35aが破損して、改竄したことが分かる。
【0098】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態について説明する。なお、上記各実施形態と同一構成については、説明を省略する。
【0099】
図14及び図15は、サンプラー部を拡大して示す斜視図である。図14は、上方から観た図、図15は、下方から観た図である。
図16〜図18は、サンプラー部を拡大して示す図である。図16〜図18は、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図、(d)は(a)のIII−III線断面図である(一部省略)。
【0100】
[構造説明]
サンプラー部2は、ロッド本体4に支持ホルダー6を備える。支持ホルダー6は、採取管30を挿入して支持する。開閉レバー5は、蓋体31を収納して保持する。開閉レバー5は、蓋体収納部53を備える。
【0101】
蓋体収納部53は、開閉レバー5に対して螺合によって着脱自在である。蓋体収納部53は、蓋体31を嵌め込んで保持する(図14)。蓋体収納部53は、2本のボルト501が螺合して貫通可能な2つのボルト孔501aを有する。
【0102】
開閉レバー5は、回転軸80を中心に回転自在である。開閉レバー5は、改良土等に挿入されたロッド本体4の回転による土圧によって開閉しやすいように、ロッド本体4の方向に突設する羽部500を備える。支持ホルダー6は、ストッパー81を備える。ストッパー81は、開閉レバー5の余分な回転を規制する。
【0103】
サンプラー部2は、押圧レバー7を備える。押圧レバー7は、採取管30を押し上げる機能を有する。保持アーム72は、ロッド本体4に固着している。保持アーム72は、押圧レバー7を保持する。押圧レバー7は、回転軸70を中心に回転自在である。押圧レバー7は、上方に押上プレート710を備える。押上プレート710は、採取管30の下方に配置している。押上プレート710は、2本のボルト701が螺合して貫通可能になっている。
【0104】
サンプラー部2は、スライド部材77を備える。スライド部材77は、押圧レバー7を押し上げる機能を有する。スライド部材77は、回転軸80を中心に回転自在である。スライド部材77は、改良土等に挿入されたロッド本体4の回転による土圧によって開閉しやすいように、ロッド本体4の方向に突設する羽部700を備える。
【0105】
サンプラー部2は、規制レバー51を備える。規制レバー51は、スライド部材77の余分な回転を規制する機能を有する。規制レバー51は、水平方向の回転軸510を中心に回転自在である。回転軸510は、ロッド本体4に支持されている。
【0106】
規制レバー51は、先端部に切欠き部51aを有する。スライド部材77は、先端部に鉤部77aを有する。スライド部77は、鉤部77aが規制レバー51の切欠き部51aに係合して回転規制される。
【0107】
[動作説明]
図16の通り、ロッド本体4を改良土Sの地中に挿入する際、ロッド本体4を正方向4aに回転する(図16(b)の時計方向)。この回転による改良土Sの抵抗(土圧)によって、開閉レバー5は、逆回転(反時計方向)に付勢され、ロッド本体4に当たった状態で位置停止する。
【0108】
また、スライド部材77も、規制レバー51に当たった状態で位置停止する。このとき、スライド部材77の鉤部77aが、規制レバー51の切欠き部51aに係合している(図15)。
【0109】
これにより、蓋体31が採取管30の直上に位置して(閉じた状態)、採取管30内に改良土Sが入ることなく、ロッド本体4が地中に挿入される。また、スライド部材77は、押圧レバー7を押し上げることなく、押上プレート710は採取管30の下方に配置される。
【0110】
図17の通り、ロッド本体4が所定位置まで挿入されると、ロッド本体4を逆方向4bに回転する(図17(b)の反時計方向)。この回転による改良土Sの抵抗(土圧)によって、開閉レバー5は、正回転(時計方向)に回転し、ストッパー81に当たり位置停止する。これにより、蓋体31は、採取管30を開口する(開いた位置)。
【0111】
また、スライド部材77も、正回転(時計方向)し、ロッド本体4に当たり位置停止する。これにより、規制レバー51は、スライド部材77の係合から外れて、回転軸510を中心に回転して、ぶら下がった状態になる(図17(a))。
【0112】
なお、このとき、スライド部材77は、開閉レバー5よりも大きく回転した位置で停止するように設定される。これにより、後述するが、再びロッド本体4を正回転したときに、先ず、開閉レバー5が採取管30を蓋体31で閉じて、その後に、スライド部材77が押圧レバー7を押し上げるようにタイミング設定されている。
【0113】
開閉レバー5は、採取管30の一部に重なっている。これにより、採取管30は、上方への移動が規制される。そして、ロッド本体4を上下動する。この上下動により、改良土Sの原位置試料を採取管の開口部30bから採取管30内に充填する。
【0114】
図18の通り、試料を採取した後、ロッド本体4を正回転4aする。この回転による改良土Sの抵抗によって、開閉レバー5は、逆回転(反時計方向)してロッド本体4に当たり位置停止する(閉じた位置)。蓋体31は、採取管30に重なる。
【0115】
開閉レバー5と同様に、スライド部材77も逆回転するが、上記の通り、スライド部材77は、開閉レバー5より大きく回転していたので、開閉レバー5が先にロッド本体4に当たり、その後に、スライド部材77がさらに回転する。
【0116】
このスライド部材77の移動によって、スライド部材77に設けられたテーパ部77dが、押圧レバー7のテーパ部7dに沿って移動して、押圧レバー7は、軸70を中心に回転しつつ上方へ押し上げられる(図18(d))。これにより、後述で詳説するように、押上プレート710が、支持ホルダー6から下方へ突出した採取管30を、上方へと押し上げる。
【0117】
即ち、開閉レバー5が、採取管30を蓋体31で閉じた後に、スライド部材77が、押圧レバー7で採取管30を押し上げるようなタイミングになっている。
【0118】
そして、蓋体収納部53に設けたボルト501を下方に螺合して、蓋体31を下方へ押圧する。さらに、押上プレート710に設けたボルト701を上方に螺合して、採取管30を上方へ押圧する(図20)。
【0119】
図19は、支持ホルダーの下部を示す一部断面拡大図である。支持ホルダー6は、下部に嵌め込み孔600を備える。嵌め込み孔600は、押上プレート710が位置ずれを生じないように押し上げるための一手段である。押上プレート710は、嵌め込み孔600に嵌め込まれて、位置ずれすることなく上方へ移動して、採取管30を押し上げることができる。
【0120】
図20は、上記動作における、採取管と蓋体との位置関係等を示す断面図である。図20(a)は、図16及び図17の状態に対応する。図20(b)及び(c)は、図18の状態に対応する。
【0121】
この実施形態では、図20(a)の通り、採取管30の上端は、若干外側に広がっている。そして、図18における押上プレート710によって、採取管30を押し上げることにより、図20(b)の通り、蓋体31に採取管30が嵌めこまれる。なお、採取管30の上端は、若干外側に広がっているだけなので、比較的弱い力で、採取管30を蓋体31に嵌め込むことができる。
【0122】
そして、ボルト501による蓋体31の下方への押圧と、ボルト701による採取管30の上方への押圧とにより、採取管30の上端は、外側へ押し広げられて、第一突出部30aが形成される。そして、採取管30の第一突出部30aと蓋体31の第二突出部31aとにより、採取管30及び蓋体31は嵌着固定される。
【0123】
[改良例]
なお、採取管30を蓋体31に押圧する機構は、ワイヤー等を使用したものでもよい。また、蓋体31を上下動して、採取管30に押圧する機構でもよい。さらに、それぞれのサンプラー部2ごとに、蓋体31を開閉したり、採取管30を上下駆動するようにしてもよい。
【0124】
開閉レバー5を長くすることにより、掘削孔にロッド本体4より大きな径の拡径部(周壁の部分的な拡大部分)を形成できる。そして、本発明の装置で、拡径部の試料を採取できる。
【0125】
また、複数のサンプラー部2は、ロッド本体4に対して着脱自在であって、所望の箇所に装着して、所望の位置の試料を採取することもできる。複数のサンプラー部2をロッド本体4を中心に千鳥状(周方向に重ならないようにずらした位置)に配置することにより、全長全位置における試験、いわゆる全長コア抜きが可能である。
【0126】
さらに、ソイル柱を施工する公知の装置(例えば、特許第3443596号)について、シャフト(ロッド)等に本発明のサンプラー部2を着脱するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明に係る原位置試料採取装置の使用状態を示す全体正面図である。
【図2】原位置試料採取装置の一部を拡大して示す正面図である。
【図3】サンプラー部を拡大して示し、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図である。
【図4】図3に続く図である。
【図5】図4に続く図である。
【図6】図5に続く図である。
【図7】採取管を示しており、(a)は斜視図、(b)は開いた状態の一部断面正面図、(c)は閉じた状態の一部断面正面図である。
【図8】第二実施形態におけるサンプラー部を拡大して示し、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図である。
【図9】図8に続く図である。
【図10】図9に続く図である。
【図11】図10に続く図である。
【図12】押圧機構の変形例を示す正面図である
【図13】第三実施形態を説明する図であり、(a)はサンプラー部を示す正面図、(b)は採取管及び蓋体の断面平面図である。
【図14】サンプラー部を拡大して示す斜視図である。
【図15】サンプラー部を拡大して示す斜視図である。
【図16】サンプラー部を拡大して示し、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図、(d)は(a)のIII−III線断面図である。
【図17】図16に続く図である。
【図18】図17に続く図である。
【図19】支持ホルダーの下部を示す一部断面拡大図である。
【図20】採取管と蓋体との位置関係等を示す断面図である。
【符号の説明】
【0128】
1 原位置試料採取装置
2 サンプラー部
4 ロッド本体
5 開閉レバー(蓋開閉機構)
6,6’ 支持アーム(管支持部)
7 押圧レバー(押圧機構)
9 上下駆動軸(固定機構・押圧機構)
30 採取管
31 蓋体
30a,31a 突出部
34a,35a 係合爪
32 深度計
33 ICタグ
51 規制レバー(規制機構)
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝固材を使用した改良土等の原位置試料を採取する際、試料の品質の改竄を防止できる原位置試料採取装置、方法並びに採取管及び蓋体の組合せ体に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤に土木構造物や建築物を構築するとき、軟弱地盤の支持強度を向上するために、セメント系固化材等の凝固材を混合して地盤改良を行い、改良土を生成する。この改良土の支持強度を確認するため、改良土の硬化前における所定のタイミングで、改良土の所定位置における原位置試料を採取する。そして、この試料について試験場で一軸圧縮試験等を行い、改良土の品質を管理する。改良土等の試料を採取する装置として、特許文献1等に示すものがある。
【0003】
ところで、従来から、改良土等の品質を改竄する施工業者が存在する。これらの施工業者が、従来における特許文献1等の装置を使用する場合、試料を採取・充填した仮採取管から、その試料を、試験するための本採取管に詰め替えていた。その際、所定の強度が確保されるように、良好な品質の試料に差し替えたり、好適な品質になるよう凝固材や水等を追加する等の偽装・改竄をして、試験場で一軸圧縮試験等を行う。
【特許文献1】特開平8−135361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、原位置で採取した改良土等の原位置試料について、偽装・改竄できないように、採取した試料を原位置で自動で封入して、適切な品質管理をすることができる原位置試料採取装置、方法並びに採取管及び蓋体の組合せ体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明に係る装置は、改良土等の原位置試料を採取するための装置であって、
改良土等に挿入するロッド本体と、
ロッド本体に設けられ、少なくとも上部又は下部が開口する採取管を支持する管支持部と、
採取管の開口を蓋体で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構と、
ロッド本体を改良土等に挿入して、原位置における試料を採取管で採取し、採取管及び蓋体を閉じた状態で固定する固定機構と、
を備えている。
【0006】
なお、「少なくとも上部又は下部が開口する」とは、採取管の上端又は下端が開口することは勿論、上部又は下部の側面が開口する場合も含むことを意味する。
【0007】
好ましくは、採取管及び蓋体は、それぞれが係合部分を有しており、採取管を蓋体で閉じると、係合部分が係合して固定し、その後に、蓋体を採取管から取り外して開けると、係合部分の全部又は一部が破損するように構成されている。
【0008】
好ましくは、採取管は、開口の周縁に沿って外側に突設する第一突出部を備え、蓋体は、採取管の開口を閉じる部分の周縁に沿って内側に突設する第二突出部を備え、係合部が、第一突出部と第二突出部とからなる。
【0009】
好ましくは、採取管及び蓋体は、嵌着・固定する構造であって、固定機構は、採取管の開口に蓋体を押圧して嵌着・固定するための押圧機構を備えている。
【0010】
好ましくは、固定機構は、押圧機構の押圧動作を規制するための規制機構を備える。
【0011】
好ましくは、採取管及び蓋体は、ネジ構造によって固定するようになっている。
【0012】
好ましくは、採取管の深度を計測する深度計と、採取管に搭載されたICタグとを備えている。
【0013】
好ましくは、蓋開閉機構は、蓋体を保持して開閉可能な開閉レバーを備え、開閉レバーは、改良土等に挿入されたロッド本体の回転による土圧によって開閉しやすいように、ロッド本体に沿って延在する羽部を備える。
【0014】
好ましくは、蓋開閉機構は、蓋体を保持して開閉可能な開閉レバーを備え、開閉レバーは、蓋体を収納保持する蓋体収納部を備え、蓋体収納部は、開閉レバーに対して着脱自在である。
【0015】
好ましくは、押圧機構は、ボルト部材を備え、ボルト部材は、採取管及び蓋体の双方又は一方を押圧する。
【0016】
また、本発明に係る方法は、改良土等の原位置試料を採取するための方法であって、
ロッド本体と、ロッド本体に設けられ、少なくとも上部又は下部が開口する採取管を支持するための管支持部と、採取管の開口を閉じる蓋体を保持し、採取管の開口を蓋体で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構と、採取管と蓋体とを固定するための固定機構とを備えた原位置試料採取装置を準備する工程と、
蓋開閉機構で採取管の開口を閉じた状態で、ロッド本体を改良土等に挿入する工程と、
蓋開閉機構で原位置において採取管の開口を開いて、採取管に試料を充填する工程と、
蓋開閉機構で原位置において採取管の開口を閉じ、固定機構で採取管と蓋体とを固定する工程とを備える。
【0017】
好ましくは、原位置試料採取装置は、採取管の深度を計測する深度計と、採取管に搭載されたICタグとを備え、
深度計で採取管の試料採取深度を計測する工程と、
この深度をICタグに記録する工程とを備える。
【0018】
また、本発明に係る採取管及び蓋体の組合せ体は、改良土等の原位置試料を採取するためのものであって、採取管は、少なくとも一方が開口し、開口周縁に沿って外側に突設する第一突出部を備え、蓋体は、採取管の開口を閉じる部分の周縁に沿って内側に突設する第二突出部を備え、第一突出部と第二突出部とが係合して、採取管及び蓋体が嵌着・固定するように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、原位置において、採取管で試料を採取して、固定機構によって、採取管の開口を蓋体で閉じて固定することができる。これにより、試料を採取・充填した採取管から、蓋体を取り外すことはできない。そして、原位置において採取した試料を自動で封入することができる。従って、この発明を使用する施工業者は、採取管の試料を差し替え等して試料の品質を改竄することができず、第三者に対して、試験結果に対する高い信頼性を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明について詳細に説明する。
【0021】
[第一実施形態]
先ず、第一実施形態について説明する。原位置試料採取装置の構造について説明する。
【0022】
[原位置試料採取装置]
図1は、本発明に係る原位置試料採取装置の使用状態を示す全体正面図である。原位置試料採取装置1は、クローラクレーン40等に取り付けて用いる。本実施形態では、クローラクレーン40は、ブーム46及びアーム47を備えている。
【0023】
クローラクレーン40は、ブーム46及びアーム47を介して、鉛直方向に延在するリーダ41を備えている。ガイドレール42は、リーダ41に沿って並設される。リーダ41には、エンドレスチェーン44が設けられている。
【0024】
クローラクレーン40は、モータドライブ45を備えている。モータドライブ45は、エンドレスチェーン44を上下走行する駆動源となる。クローラクレーン40は、リーダ41に沿って昇降駆動する昇降フレーム43を備えている。
【0025】
昇降フレーム43は、ガイドレール42に沿って昇降可能に支持されている。また、昇降フレーム43は、エンドレスチェーン44の上下走行によって昇降する。昇降フレーム43には、駆動装置10が設けられている。
【0026】
駆動装置10は、原位置試料採取装置1に接続され、原位置試料採取装置1の種々の機構を駆動する。クローラクレーン40は、制御手段48を備えている。制御手段48は、モータドライブ45や駆動装置10等の動作を制御する。
【0027】
クローラクレーン40は、改良土Sの試料を採取する際、原位置試料採取装置1の下端が試料採取の対象となる改良土Sの直上位置に移動する。その位置で、クローラクレーン40は、原位置試料採取装置1をリーダ41に沿って垂下する。
【0028】
図2は、原位置試料採取装置の一部を拡大して示す正面図である。図2に示す通り、原位置試料採取装置1は、長尺な円柱状のロッド本体4を備えている。原位置試料採取装置1は、ロッド本体4の下端が尖鋭状で、改良土Sに挿入し易いようになっている。
【0029】
原位置試料採取装置1は、ロッド本体4に、長さ方向(上下方向)に沿って所定間隔を置いて、複数のサンプラー部2を備えている。本実施形態では、上部用、中間用、先端用の3つのサンプラー部2を備えている。この間隔は、改良土S等の採取対象によって、変更する。また、上部、中間部、先端部のそれぞれの箇所において、サンプラー部2をロッド本体4の周囲に複数個備えていても良い。
【0030】
本実施形態では、初めから、複数のサンプラー部2が、ロッド本体4に装着されている。別の実施形態では、ロッド本体4を改良土等Sに挿入しながら、サンプラー部2を装着してもよい。即ち、図1のように、リーダ41の下部にロッド本体4のぶれを防止するための環状のブレ止め部材400が設けられているとき、このブレ止め部材400よりも下方にサンプラー部2を装着しなければ、ロッド本体4を改良土Sに挿入できないから、ロッド本体4を改良土等Sに挿入しながら、サンプラー部2を装着する。
【0031】
[サンプラー部]
図3〜図6は、サンプラー部を拡大して示す図である。図3〜図6は、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図である。
【0032】
サンプラー部2には、ロッド本体4に一対の支持アーム6,6’(管支持部)が固着されている。それぞれの支持アーム6,6’は、採取管30の上部及び下部を支持する。各支持アーム6,6’は、ロッド本体4の長さ方向(上下方向)に所定間隔を置いて設けられている。
【0033】
支持アーム6,6’は、上下方向に貫通する挿入孔6aを有する。後述するが、採取管30は、上端周縁に沿って外側に突設する第一突出部30aを備えている(図7)。挿入孔6aの径は、採取管30の径と略同一である。そして、挿入孔6aの上端が大径であり、採取管30の第一突出部30aが係止する。
【0034】
採取管30は、支持アーム6,6’に挿入して位置固定される。採取管30は、ロッド本体4と平行に配置される。この状態で、採取管30の上端は、上側の支持アーム6の上面より突出しないようになっており、本実施形態では略面一となる。
【0035】
原位置試料採取装置1は、ロッド本体4に沿って延在する回転駆動軸8(蓋開閉機構)を備えている(図2)。駆動装置10は、ロッド本体4の回転駆動、回転駆動軸8の回転や上下動を駆動する(図1)。
【0036】
サンプラー部2には、開閉レバー5(蓋開閉機構)が設けられている。開閉レバー5は、収納部5aに蓋体31を保持する。開閉レバー5の下面は、上側支持アーム6の上面に接している。
【0037】
開閉レバー5は、回転駆動軸8で回転駆動する。それによって、収納部5aに収納された蓋体31が、採取管30の直上位置(図3、図5、図6)(以下、「閉じた位置」又は「第1位置」という。)と、直上位置から離れた位置(図2)(以下、「開いた位置」又は「第2位置」という。)とに移動可能になっている。
【0038】
開閉レバー5が回転しても、開閉レバー5の下面が支持アーム6の上面に接地しているので、収納部5aに収納される蓋体31は、落下することなく、開閉レバー5で保持される。なお、開閉レバー5は、永久磁石5bを有し、この磁力でも蓋体31を保持する。
【0039】
原位置試料採取装置1は、ロッド本体4に沿って延在する上下駆動軸9(固定機構・押圧機構)を備えている(図2)。駆動装置10は、上下駆動軸9の上下動を駆動する(図1)。
【0040】
サンプラー部2には、押圧レバー7(押圧機構)を備える。押圧レバー7は、採取管30を上方に押圧して押し上げる。押圧レバー7は、ロッド本体4に固着された第一回転軸70で回転支持されている。
【0041】
押圧レバー7は、第一回転軸70を中心に、上下方向に回転する。押圧レバー7は、凸状の押圧部7aが採取管30の直下に配置されている。押圧レバー7は、他端部7bが、第二回転軸71を介して、上下駆動軸9に回転支持されている。
【0042】
上下動駆動軸9を上下方向に移動することにより、押圧レバー7が、第一回転軸70を中心に回転駆動する。そして、上下駆動軸9を下方向に移動して、押圧レバー7の押圧部7aで採取管30を押し上げる。
【0043】
サンプラー部2には、移動レバー50及び規制レバー51(規制機構)を備える。移動レバー50は、開閉レバー5の直上に配置されている。規制レバー51は、移動レバー50に垂下して固着している。移動レバー50は、回転駆動軸8で回転駆動する。
【0044】
移動レバー50が、図3のとき、規制レバー51の下端が、押圧レバー7の一端部7cの直上に配置される。この配置により、規制レバー51は、押圧レバー7の上方移動を規制する。これにより、誤操作等によって、押圧レバー7が採取管30を押圧して、蓋体31を固定しないようになっている。
【0045】
移動レバー50が、図4〜図6のとき、規制レバー51は、押圧レバー7の一端部7cの直上から離れる。この配置により、規制レバー51による、押圧レバー7の上方への移動規制が解除される。
【0046】
[採取管及び蓋体の組合せ体]
図7は、採取管を示しており、(a)は斜視図、(b)は蓋体が開いた状態の一部断面正面図、(c)は蓋体が閉じた状態の一部断面正面図である。採取管30は、円筒形で上端に開口部30bを有し、下端が閉じている。本実施形態では、採取管30は、長さ寸法が直径寸法の約2倍となっている。
【0047】
採取管30は、上端開口部30bの周縁に沿って外側に突設する第一突出部30aを有する。第一突出部30aは、例えば、採取管30の上端に所定長の複数の切込部30cを設け、バナナの皮を剥くように外側に円弧状に開いて形成する。
【0048】
蓋体31は、採取管30の開口部30bを閉じる。蓋体31は、下端が開口している。蓋体31は、下端開口の周縁に沿って内側に突設する第二突出部31aを有する。この第二突出部31aも、第一突出部30aと同様に、内側に押し込んで形成する。
【0049】
第一突出部30aは、上面が円弧状になっており、第二突出部31aは、下面が円弧状になっている。さらに、第一突出部30aと第二突出部31aとは、上下方向に略一致して配置されている。
【0050】
従って、採取管30に蓋体31を嵌め込む際、採取管30を蓋体31に近づけると、第一突出部30aと第二突出部31aとが衝突し、さらに、採取管30を蓋体31に押し付けることにより、第一突出部30aが蓋体31の内部に入り、第一突出部30aと第二突出部31aとが係合して、採取管30と蓋体31とが嵌着・固定される(図7(c))。
【0051】
さらに、採取管30は、略全長に延設された切り欠き部30dを備える。本実施形態では、一対の平行する切り欠き部30d,30dが、互いに対向して設けられている(図7(a))。これにより、採取管30に試料を充填した後、切り欠き部30dに沿って剥いて、採取管30から試料を取り出し易いようになっている。
【0052】
採取管30は、公知技術の深度計32とICタグ33とを備える。深度計32は、採取管の深度を計測できる。ICタグ33が、この計測結果を記録する。
【0053】
次に、原位置試料採取装置を用いて原位置試料を採取する方法について説明する。
【0054】
[原位置試料採取方法]
図1の通り、原位置試料採取装置1をクローラクレーン40に取り付ける。原位置試料採取装置1を、リーダ41に沿って立設し、上端を駆動装置10に取り付ける。原位置試料採取装置1には、サンプラー部2に採取管30及び蓋体31を取り付ける。
【0055】
図2及び図3の通り、採取管30を支持アーム6,6’に、蓋体31を開閉レバー5に取り付ける。駆動装置10で回転駆動軸8を操作し、開閉レバー5及び移動レバー51を閉じた位置(第1位置)にする(図3)。
【0056】
そして、クローラクレーン40を移動して、原位置試料採取装置1を改良土Sの直上に配置する。試料採取の対象は、地盤改良が施された改良土Sや、既製杭の根固め部、軟弱土、混合土等である。
【0057】
駆動装置10でロッド本体4を回転駆動しながら、昇降フレーム43で原位置試料採取装置1を降下する。ロッド本体4の回転により、スムーズに原位置試料採取装置1を改良土Sに挿入できる。
【0058】
なお、上記したように、開閉レバー5及び移動レバー50が閉じた位置(第1位置)になっているので、採取管30内に改良土Sが浸入しない。さらに、規制レバー51により、採取管30と蓋体31も固定されない。
【0059】
各サンプラー部2(採取管30)が所定の深度に到達した際に、駆動装置10でロッド本体4の回転を停止すると共に、昇降フレーム43による原位置試料採取装置1の降下を停止する。
【0060】
図4の通り、駆動装置10で回転駆動軸8を操作し、開閉レバー5及び移動レバー51を開いた状態(第2位置)にする。各レバー5,51は、採取管30の一部に重なるように配置される(図4(b))。これにより、採取管30の上方移動を阻止する。
【0061】
そして、クローラクレーン40自体やブーム46、昇降フレーム43等を操作して、原位置試料採取装置1を上下動する。この上下動により、改良土Sの原位置試料が、採取管の開口部30bから採取管30内に充填される。
【0062】
改良土Sは粘度が高いので、原位置試料採取装置1を上下あるいは左右に振動させることにより、採取管30内に改良土Sが入りこみ充填される。なお、開閉レバー5は、採取管の開口部30bを完全に塞がないように、採取管30の一部にのみ重なる。
【0063】
その後、図5の通り、駆動装置10で回転駆動軸8を操作し、開閉レバー5を閉じた位置(第1位置)にする。なお、移動レバー50は、バネ力などを利用した係止機構(図示略)により、開いた位置(第2位置)にある(図5(b))。
【0064】
これによって、採取管30と蓋体31とが重なって配置される(図5)。また、規制レバー51は、押圧レバー7から離れる。
【0065】
そして、図6の通り、駆動装置10で上下駆動軸9を下げ、押圧レバー7を回転軸70を中心に回転する。これにより、押圧レバー7の押圧部7aが、採取管30を押し上げ、採取管30を蓋体31に嵌着・固定する。即ち、採取管の第一突出部30aと蓋体の第二突出部31aとが係合して、採取管30と蓋体31とが嵌着・固定される(図7)。
【0066】
そして、それぞれの採取管30に搭載された深度計32が、試料を採取した深度を計測する。この計測結果が、ICタグ33に送信され記録される。これにより、リーダー(図示略)を用いて、それぞれの採取管30について、試料を採取した深度を確認することができる。
【0067】
その後、ロッド本体4を静止又は回転しながら原位置試料採取装置1を上昇し、改良土Sから取り出す。そして、各採取管30を支持アーム6,6’から取り外す。各採取管30は、蓋体31が嵌着・固定されている。そのため、施工業者等は、蓋体31を取り外して、試料を改竄することができない。また、無理に蓋体31を取り外すと、各突出部30a,31aが破損するため、改竄したことが分かるようになっている。
【0068】
さらに、各採取管30には、試料を採取した深度が記録されたICタグ33が搭載されているので、適当な場所で良好な試料を充填できない。よって、この原位置試料採取装置1で採取した試料は、非常に高い信頼性を与える。
【0069】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一構成については、説明を省略する。第二実施形態は、サンプラー部2が第一実施形態と異なる。
【0070】
図8〜図11は、サンプラー部を拡大して示す図である。図8〜図11は、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図である(一部省略)。
【0071】
[構造説明]
サンプラー部2は、ロッド本体4に支持アーム6,6’を備える。支持アーム6,6’は、採取管30を支持する。開閉レバー5は、蓋体31を保持する。開閉レバー5は、ロッド本体4に平行な垂直方向の回転軸80を中心に回転自在である。
【0072】
支持アーム6は、ストッパー81が固着されている。後述するように、ストッパー81は、開閉レバー5の余分な回転を規制する。
【0073】
保持体72は、ロッド本体4に固着している。保持体72は、押圧レバー7を保持する。押圧レバー7は、水平方向の回転軸70を中心に回転自在である。保持体72は、規制レバー51を保持する。規制レバー51は、垂直方向の回転軸52を中心に回転自在である。
【0074】
押圧レバー7は、上方に突設した押圧部7aを有する。押圧部7aの直上に、押上ロッド73が配置されている。押上ロッド73は、採取管30の直下に配置している。押上ロッド73は、上下方向に移動自在である。
【0075】
サンプラー部2は、バネ75を備える。バネ75は、上端が押圧レバー7に連結され、下端がロッド本体4に連結されている。バネ75は、下方に向けて付勢している。これにより、押圧レバー7は、回転軸70を中心に回転付勢されている。
【0076】
押圧レバー7は、水平方向に窪んだ凹部74を備える。規制レバー51が凹部74に係合することにより、押圧レバー7は、回転を規制される。
【0077】
[動作説明]
図8の通り、ロッド本体4を地中に挿入する際、ロッド本体4を正方向4aに回転する(図8(b)の時計方向)。この回転による改良土Sの抵抗(土圧)によって、開閉レバー5は、逆回転(反時計方向)し、ロッド本体4に当たった状態で位置停止する。また、規制レバー51も、押圧レバー7の凹部74に当たった状態で位置停止する。
【0078】
これにより、蓋体31が採取管30の直上に位置して(閉じた位置)、採取管30内に改良土Sが入ることなく、ロッド本体4が地中に挿入される。また、規制レバー51が押圧レバー7を位置固定する。
【0079】
図9の通り、ロッド本体4が所定位置まで挿入されると、ロッド本体4を逆方向4bに回転する(図9(b)の反時計方向)。この回転による改良土Sの抵抗(土圧)によって、開閉レバー5は、正回転(時計方向)に回転し、ストッパー81に当たり位置停止する。これにより、蓋体31は、採取管30を開口する(開いた位置)。
【0080】
また、規制レバー51も、正回転(時計方向)し、保持体72に当たり位置停止する(図9(c))。このとき、規制レバー51は、押圧レバー7の凹部74から外れている。
【0081】
しかし、開閉レバー5は、採取管30の一部に重なっている。これにより、採取管30は、押圧レバー7によって押し上げられることなく位置固定(上方規制)される。
【0082】
そして、ロッド本体4を上下動する。この上下動により、改良土Sの原位置試料を採取管の開口部30bから採取管30内に充填する。
【0083】
図10の通り、試料を採取した後、ロッド本体4を正回転4aする。この回転による改良土Sの抵抗によって、開閉レバー5は、回転してロッド本体4に当たり位置停止する(閉じた位置)。なお、規制レバー51は、バネ力などを利用した係止機構(図示略)により、凹部74から外れた位置に位置固定している(図10(c))。
【0084】
図11の通り、蓋体31は、採取管30に重なるので(閉じた位置)、採取管30は、上方へ移動可能になっている。従って、バネ75の付勢力により、押圧レバー7は回転軸70を中心に回転する。
【0085】
押圧レバー7の回転により、押圧部7aが上方へ移動して、押上ロッド73を押し上げる。この押上により、採取管30を蓋体31に嵌着・固定する。即ち、採取管の第一突出部30aと蓋体の第二突出部31aとが係合する。
【0086】
また、押圧レバー7は、下方に水平方向の抵抗プレート76を有する。この抵抗プレート76に改良土Sの圧力がかかるので、押圧レバー7が急に回転することなく、ワンクッション置いて回転する。これにより、採取管30は、蓋体31にスムーズに係合して嵌着される。
【0087】
[変形例]
図12は、押圧機構の変形例を示す正面図である。押圧レバー7は、ロッド本体4に軸70を介して上下方向に回転自在になっている。押圧レバー7は、一端部7cが長さ方向7eに対して傾斜するテーパ部7dを有する。押圧機構は、押圧レバー7のテーパ部7dに対して、進退移動するスライド部材77を備える。
【0088】
そして、スライド部材77が、テーパ部7dに当接しながら矢印方向へ移動することにより、押圧レバー7は、軸70を中心に上方へ回転する(二点鎖線)。これにより、押圧レバー7の押圧部7aが、採取管30を押し上げて上方へ移動することができる。
【0089】
[第三実施形態]
図13は、第三実施形態を説明する図であり、(a)はサンプラー部を示す正面図、(b)は採取管及び蓋体の概略断面平面図である。サンプラー部2には、ロッド本体4に対して回転自在(回転フリー)な回転体4aが設けられている。ロッド本体4は、上下方向に一対の受部4b,4bが固着されている。受部4b,4bが、回転体4aの、上下方向の移動を規制しつつ、ロッド本体4を中心に回転自在にする。
【0090】
採取管30は、支持筒60に挿入されている。支持筒60は、下側の受部4bに連結している。採取管30は、支持筒60に対して上下移動自在である。押圧ロッド78は、上下方向に延設されている。押圧ロッド78は、下端に押圧部78aを備える。押圧部78aは、採取管30の底部を支持する。押圧ロッド78は、上端がアクチュエータ78bに接続されている。アクチュエータ78bは、押圧ロッド78を上下方向に移動する。
【0091】
蓋体31は、回転ロッド82に連結されている。回転ロッド82は、下端に連結部82aを備える。連結部82aは、磁石等で蓋体31を着脱自在に保持する。回転ロッド82は、上端が回転モータ82bに接続されている。回転モータ82bは、回転ロッド82を回転する。蓋体31は、連結部82cを介して回転体4aに連結されている。
【0092】
採取管30は、外周に第一ネジ部(雄ネジ)34を備え、蓋体31は、内周に第二ネジ部(雌ネジ)35を備える。各ネジ部34,35によって、採取管30及び蓋体31は、螺合して固定される。
【0093】
回転体4a及び蓋体31は、ロッド本体4を中心に回転自在である。従って、ロッド本体4が地中(所定位置)に挿入されると、蓋体31は、周囲の土圧によって、ロッド本体4が回転しても、位置固定される。それに対し、受部4b及び採取管30は、ロッド本体4に連結している。従って、ロッド本体4が地中に挿入されて、ロッド本体4が回転すると、採取管30もロッド本体4と共に回転する。
【0094】
試料を採取する動作について説明する。採取管30の直上に蓋体31を位置して、採取管30に改良土Sが浸入しないようにする。その状態で、ロッド本体4を所定位置まで挿入する。ロッド本体4を少し回転して、採取管30の直上位置から蓋体31をずらして、採取管30の開口部30bを開ける。なお、蓋体31は、土圧によって位置固定されている。そして、ロッド本体4を上下動して、採取管30に試料を充填する。
【0095】
そして、ロッド本体4を少し回転して、採取管30の直上に蓋体31を位置する。アクチュエータ78bにより、押圧ロッド78を上方駆動する。これにより、押圧部78aを介して、採取管30を押し上げ上方移動する。これと同期して、回転モータ82bにより、回転ロッド82を回転駆動する。これにより、蓋体31を回転する。そして、採取管30と蓋体31とが、各ネジ部34,35によって、螺合して固定される。
【0096】
図13(b)の通り、採取管30は、第一ネジ部34の終端に、第一係合爪34aを備える。蓋体31は、第二ネジ部35の終端に、第二係合爪35aを備える。各係合爪34a,34bは、板バネ部材等である。蓋体31が採取管30に対して閉じる方向に回転するとき(回転方向34b)、各係合爪34a,35aは、互いに係合せずスムーズに回転するようになっている。そして、蓋体31が採取管30に対して開く方向に回転するとき(回転方向34c)、各係合爪34a,35aは、互いに係合して破損するようになっている。
【0097】
従って、採取管30に試料を充填して、蓋体31を閉じた後に、蓋体31を取り外すと、各係合爪34a,35aが破損して、改竄したことが分かる。
【0098】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態について説明する。なお、上記各実施形態と同一構成については、説明を省略する。
【0099】
図14及び図15は、サンプラー部を拡大して示す斜視図である。図14は、上方から観た図、図15は、下方から観た図である。
図16〜図18は、サンプラー部を拡大して示す図である。図16〜図18は、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図、(d)は(a)のIII−III線断面図である(一部省略)。
【0100】
[構造説明]
サンプラー部2は、ロッド本体4に支持ホルダー6を備える。支持ホルダー6は、採取管30を挿入して支持する。開閉レバー5は、蓋体31を収納して保持する。開閉レバー5は、蓋体収納部53を備える。
【0101】
蓋体収納部53は、開閉レバー5に対して螺合によって着脱自在である。蓋体収納部53は、蓋体31を嵌め込んで保持する(図14)。蓋体収納部53は、2本のボルト501が螺合して貫通可能な2つのボルト孔501aを有する。
【0102】
開閉レバー5は、回転軸80を中心に回転自在である。開閉レバー5は、改良土等に挿入されたロッド本体4の回転による土圧によって開閉しやすいように、ロッド本体4の方向に突設する羽部500を備える。支持ホルダー6は、ストッパー81を備える。ストッパー81は、開閉レバー5の余分な回転を規制する。
【0103】
サンプラー部2は、押圧レバー7を備える。押圧レバー7は、採取管30を押し上げる機能を有する。保持アーム72は、ロッド本体4に固着している。保持アーム72は、押圧レバー7を保持する。押圧レバー7は、回転軸70を中心に回転自在である。押圧レバー7は、上方に押上プレート710を備える。押上プレート710は、採取管30の下方に配置している。押上プレート710は、2本のボルト701が螺合して貫通可能になっている。
【0104】
サンプラー部2は、スライド部材77を備える。スライド部材77は、押圧レバー7を押し上げる機能を有する。スライド部材77は、回転軸80を中心に回転自在である。スライド部材77は、改良土等に挿入されたロッド本体4の回転による土圧によって開閉しやすいように、ロッド本体4の方向に突設する羽部700を備える。
【0105】
サンプラー部2は、規制レバー51を備える。規制レバー51は、スライド部材77の余分な回転を規制する機能を有する。規制レバー51は、水平方向の回転軸510を中心に回転自在である。回転軸510は、ロッド本体4に支持されている。
【0106】
規制レバー51は、先端部に切欠き部51aを有する。スライド部材77は、先端部に鉤部77aを有する。スライド部77は、鉤部77aが規制レバー51の切欠き部51aに係合して回転規制される。
【0107】
[動作説明]
図16の通り、ロッド本体4を改良土Sの地中に挿入する際、ロッド本体4を正方向4aに回転する(図16(b)の時計方向)。この回転による改良土Sの抵抗(土圧)によって、開閉レバー5は、逆回転(反時計方向)に付勢され、ロッド本体4に当たった状態で位置停止する。
【0108】
また、スライド部材77も、規制レバー51に当たった状態で位置停止する。このとき、スライド部材77の鉤部77aが、規制レバー51の切欠き部51aに係合している(図15)。
【0109】
これにより、蓋体31が採取管30の直上に位置して(閉じた状態)、採取管30内に改良土Sが入ることなく、ロッド本体4が地中に挿入される。また、スライド部材77は、押圧レバー7を押し上げることなく、押上プレート710は採取管30の下方に配置される。
【0110】
図17の通り、ロッド本体4が所定位置まで挿入されると、ロッド本体4を逆方向4bに回転する(図17(b)の反時計方向)。この回転による改良土Sの抵抗(土圧)によって、開閉レバー5は、正回転(時計方向)に回転し、ストッパー81に当たり位置停止する。これにより、蓋体31は、採取管30を開口する(開いた位置)。
【0111】
また、スライド部材77も、正回転(時計方向)し、ロッド本体4に当たり位置停止する。これにより、規制レバー51は、スライド部材77の係合から外れて、回転軸510を中心に回転して、ぶら下がった状態になる(図17(a))。
【0112】
なお、このとき、スライド部材77は、開閉レバー5よりも大きく回転した位置で停止するように設定される。これにより、後述するが、再びロッド本体4を正回転したときに、先ず、開閉レバー5が採取管30を蓋体31で閉じて、その後に、スライド部材77が押圧レバー7を押し上げるようにタイミング設定されている。
【0113】
開閉レバー5は、採取管30の一部に重なっている。これにより、採取管30は、上方への移動が規制される。そして、ロッド本体4を上下動する。この上下動により、改良土Sの原位置試料を採取管の開口部30bから採取管30内に充填する。
【0114】
図18の通り、試料を採取した後、ロッド本体4を正回転4aする。この回転による改良土Sの抵抗によって、開閉レバー5は、逆回転(反時計方向)してロッド本体4に当たり位置停止する(閉じた位置)。蓋体31は、採取管30に重なる。
【0115】
開閉レバー5と同様に、スライド部材77も逆回転するが、上記の通り、スライド部材77は、開閉レバー5より大きく回転していたので、開閉レバー5が先にロッド本体4に当たり、その後に、スライド部材77がさらに回転する。
【0116】
このスライド部材77の移動によって、スライド部材77に設けられたテーパ部77dが、押圧レバー7のテーパ部7dに沿って移動して、押圧レバー7は、軸70を中心に回転しつつ上方へ押し上げられる(図18(d))。これにより、後述で詳説するように、押上プレート710が、支持ホルダー6から下方へ突出した採取管30を、上方へと押し上げる。
【0117】
即ち、開閉レバー5が、採取管30を蓋体31で閉じた後に、スライド部材77が、押圧レバー7で採取管30を押し上げるようなタイミングになっている。
【0118】
そして、蓋体収納部53に設けたボルト501を下方に螺合して、蓋体31を下方へ押圧する。さらに、押上プレート710に設けたボルト701を上方に螺合して、採取管30を上方へ押圧する(図20)。
【0119】
図19は、支持ホルダーの下部を示す一部断面拡大図である。支持ホルダー6は、下部に嵌め込み孔600を備える。嵌め込み孔600は、押上プレート710が位置ずれを生じないように押し上げるための一手段である。押上プレート710は、嵌め込み孔600に嵌め込まれて、位置ずれすることなく上方へ移動して、採取管30を押し上げることができる。
【0120】
図20は、上記動作における、採取管と蓋体との位置関係等を示す断面図である。図20(a)は、図16及び図17の状態に対応する。図20(b)及び(c)は、図18の状態に対応する。
【0121】
この実施形態では、図20(a)の通り、採取管30の上端は、若干外側に広がっている。そして、図18における押上プレート710によって、採取管30を押し上げることにより、図20(b)の通り、蓋体31に採取管30が嵌めこまれる。なお、採取管30の上端は、若干外側に広がっているだけなので、比較的弱い力で、採取管30を蓋体31に嵌め込むことができる。
【0122】
そして、ボルト501による蓋体31の下方への押圧と、ボルト701による採取管30の上方への押圧とにより、採取管30の上端は、外側へ押し広げられて、第一突出部30aが形成される。そして、採取管30の第一突出部30aと蓋体31の第二突出部31aとにより、採取管30及び蓋体31は嵌着固定される。
【0123】
[改良例]
なお、採取管30を蓋体31に押圧する機構は、ワイヤー等を使用したものでもよい。また、蓋体31を上下動して、採取管30に押圧する機構でもよい。さらに、それぞれのサンプラー部2ごとに、蓋体31を開閉したり、採取管30を上下駆動するようにしてもよい。
【0124】
開閉レバー5を長くすることにより、掘削孔にロッド本体4より大きな径の拡径部(周壁の部分的な拡大部分)を形成できる。そして、本発明の装置で、拡径部の試料を採取できる。
【0125】
また、複数のサンプラー部2は、ロッド本体4に対して着脱自在であって、所望の箇所に装着して、所望の位置の試料を採取することもできる。複数のサンプラー部2をロッド本体4を中心に千鳥状(周方向に重ならないようにずらした位置)に配置することにより、全長全位置における試験、いわゆる全長コア抜きが可能である。
【0126】
さらに、ソイル柱を施工する公知の装置(例えば、特許第3443596号)について、シャフト(ロッド)等に本発明のサンプラー部2を着脱するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明に係る原位置試料採取装置の使用状態を示す全体正面図である。
【図2】原位置試料採取装置の一部を拡大して示す正面図である。
【図3】サンプラー部を拡大して示し、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図である。
【図4】図3に続く図である。
【図5】図4に続く図である。
【図6】図5に続く図である。
【図7】採取管を示しており、(a)は斜視図、(b)は開いた状態の一部断面正面図、(c)は閉じた状態の一部断面正面図である。
【図8】第二実施形態におけるサンプラー部を拡大して示し、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図である。
【図9】図8に続く図である。
【図10】図9に続く図である。
【図11】図10に続く図である。
【図12】押圧機構の変形例を示す正面図である
【図13】第三実施形態を説明する図であり、(a)はサンプラー部を示す正面図、(b)は採取管及び蓋体の断面平面図である。
【図14】サンプラー部を拡大して示す斜視図である。
【図15】サンプラー部を拡大して示す斜視図である。
【図16】サンプラー部を拡大して示し、(a)が正面図、(b)が(a)のI−I線断面図、(c)が(a)の矢視方向IIから観た側面図、(d)は(a)のIII−III線断面図である。
【図17】図16に続く図である。
【図18】図17に続く図である。
【図19】支持ホルダーの下部を示す一部断面拡大図である。
【図20】採取管と蓋体との位置関係等を示す断面図である。
【符号の説明】
【0128】
1 原位置試料採取装置
2 サンプラー部
4 ロッド本体
5 開閉レバー(蓋開閉機構)
6,6’ 支持アーム(管支持部)
7 押圧レバー(押圧機構)
9 上下駆動軸(固定機構・押圧機構)
30 採取管
31 蓋体
30a,31a 突出部
34a,35a 係合爪
32 深度計
33 ICタグ
51 規制レバー(規制機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良土等の原位置試料を採取するための装置であって、
改良土等に挿入するロッド本体と、
前記ロッド本体に設けられ、少なくとも上部又は下部が開口する採取管を支持する管支持部と、
前記採取管の開口を蓋体で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構と、
前記ロッド本体を改良土等に挿入して、原位置における試料を前記採取管で採取し、前記採取管と前記蓋体とを閉じた状態で固定する固定機構と、
を備えていることを特徴とする原位置試料を採取する装置。
【請求項2】
前記採取管及び前記蓋体は、それぞれが係合部分を有しており、前記採取管を前記蓋体で閉じると、前記係合部分が係合して固定し、その後に、前記蓋体を前記採取管から取り外して開けると、前記係合部分の全部又は一部が破損するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記採取管は、前記開口の周縁に沿って外側に突設する第一突出部を備え、
前記蓋体は、前記採取管の開口を閉じる部分の周縁に沿って内側に突設する第二突出部を備え、
前記係合部が、前記第一突出部と前記第二突出部とからなることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記採取管及び前記蓋体は、嵌着・固定する構造であって、前記固定機構は、前記採取管の開口に前記蓋体を押圧して嵌着・固定するための押圧機構を備えていることを特徴とする請求項1〜3に記載の装置。
【請求項5】
前記固定機構は、前記押圧機構の押圧動作を規制するための規制機構を備えていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記採取管及び前記蓋体は、ネジ構造によって固定するようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項7】
前記採取管の深度を計測する深度計と、前記採取管に搭載されたICタグとを備えていることを特徴とする請求項1〜6に記載の装置。
【請求項8】
前記蓋開閉機構は、前記蓋体を保持して開閉可能な開閉レバーを備え、前記開閉レバーは、前記改良土等に挿入された前記ロッド本体の回転による土圧によって開閉しやすいように、前記ロッド本体に沿って延在する羽部を備えることを特徴とする請求項1〜7に記載の装置。
【請求項9】
前記蓋開閉機構は、前記蓋体を保持して開閉可能な開閉レバーを備え、前記開閉レバーは、前記蓋体を収納保持する蓋体収納部を備え、前記蓋体収納部は、前記開閉レバーに対して着脱自在であることを特徴とする請求項1〜8に記載の装置。
【請求項10】
前記押圧機構は、ボルト部材を備え、前記ボルト部材は、前記採取管及び前記蓋体の双方又は一方を押圧することを特徴とする請求項1〜9に記載の装置。
【請求項11】
改良土等の原位置試料を採取するための方法であって、
ロッド本体と、前記ロッド本体に設けられ、少なくとも上部又は下部が開口する採取管を支持するための管支持部と、前記採取管の開口を閉じる蓋体を保持し、前記採取管の開口を前記蓋体で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構と、前記採取管と前記蓋体とを固定するための固定機構とを備えた原位置試料採取装置を準備する工程と、
前記蓋開閉機構で前記採取管の開口を閉じた状態で、前記ロッド本体を改良土等に挿入する工程と、
前記蓋開閉機構で原位置において前記採取管の開口を開いて、前記採取管に試料を充填する工程と、
前記蓋開閉機構で原位置において前記採取管の開口を閉じ、前記固定機構で前記採取管と前記蓋体とを固定する工程と、
を備えていることを特徴とする原位置試料を採取する方法。
【請求項12】
前記原位置試料採取装置は、前記採取管の深度を計測する深度計と、前記採取管に搭載されたICタグとを備え、
前記深度計で前記採取管の試料採取深度を計測する工程と、
この深度を前記ICタグに記録する工程と、
を備えていることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
改良土等の原位置試料を採取するための採取管及び蓋体の組合せ体であって、
前記採取管は、少なくとも一方が開口し、前記開口周縁に沿って外側に突設する第一突出部を備え、
前記蓋体は、前記採取管の開口を閉じる部分の周縁に沿って内側に突設する第二突出部を備え、
前記第一突出部と前記第二突出部とが係合して、前記採取管及び前記蓋体が嵌着・固定するように構成されていることを特徴とする原位置試料を採取する採取管及び蓋体の組合せ体。
【請求項1】
改良土等の原位置試料を採取するための装置であって、
改良土等に挿入するロッド本体と、
前記ロッド本体に設けられ、少なくとも上部又は下部が開口する採取管を支持する管支持部と、
前記採取管の開口を蓋体で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構と、
前記ロッド本体を改良土等に挿入して、原位置における試料を前記採取管で採取し、前記採取管と前記蓋体とを閉じた状態で固定する固定機構と、
を備えていることを特徴とする原位置試料を採取する装置。
【請求項2】
前記採取管及び前記蓋体は、それぞれが係合部分を有しており、前記採取管を前記蓋体で閉じると、前記係合部分が係合して固定し、その後に、前記蓋体を前記採取管から取り外して開けると、前記係合部分の全部又は一部が破損するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記採取管は、前記開口の周縁に沿って外側に突設する第一突出部を備え、
前記蓋体は、前記採取管の開口を閉じる部分の周縁に沿って内側に突設する第二突出部を備え、
前記係合部が、前記第一突出部と前記第二突出部とからなることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記採取管及び前記蓋体は、嵌着・固定する構造であって、前記固定機構は、前記採取管の開口に前記蓋体を押圧して嵌着・固定するための押圧機構を備えていることを特徴とする請求項1〜3に記載の装置。
【請求項5】
前記固定機構は、前記押圧機構の押圧動作を規制するための規制機構を備えていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記採取管及び前記蓋体は、ネジ構造によって固定するようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項7】
前記採取管の深度を計測する深度計と、前記採取管に搭載されたICタグとを備えていることを特徴とする請求項1〜6に記載の装置。
【請求項8】
前記蓋開閉機構は、前記蓋体を保持して開閉可能な開閉レバーを備え、前記開閉レバーは、前記改良土等に挿入された前記ロッド本体の回転による土圧によって開閉しやすいように、前記ロッド本体に沿って延在する羽部を備えることを特徴とする請求項1〜7に記載の装置。
【請求項9】
前記蓋開閉機構は、前記蓋体を保持して開閉可能な開閉レバーを備え、前記開閉レバーは、前記蓋体を収納保持する蓋体収納部を備え、前記蓋体収納部は、前記開閉レバーに対して着脱自在であることを特徴とする請求項1〜8に記載の装置。
【請求項10】
前記押圧機構は、ボルト部材を備え、前記ボルト部材は、前記採取管及び前記蓋体の双方又は一方を押圧することを特徴とする請求項1〜9に記載の装置。
【請求項11】
改良土等の原位置試料を採取するための方法であって、
ロッド本体と、前記ロッド本体に設けられ、少なくとも上部又は下部が開口する採取管を支持するための管支持部と、前記採取管の開口を閉じる蓋体を保持し、前記採取管の開口を前記蓋体で開いた状態と閉じた状態とにする蓋開閉機構と、前記採取管と前記蓋体とを固定するための固定機構とを備えた原位置試料採取装置を準備する工程と、
前記蓋開閉機構で前記採取管の開口を閉じた状態で、前記ロッド本体を改良土等に挿入する工程と、
前記蓋開閉機構で原位置において前記採取管の開口を開いて、前記採取管に試料を充填する工程と、
前記蓋開閉機構で原位置において前記採取管の開口を閉じ、前記固定機構で前記採取管と前記蓋体とを固定する工程と、
を備えていることを特徴とする原位置試料を採取する方法。
【請求項12】
前記原位置試料採取装置は、前記採取管の深度を計測する深度計と、前記採取管に搭載されたICタグとを備え、
前記深度計で前記採取管の試料採取深度を計測する工程と、
この深度を前記ICタグに記録する工程と、
を備えていることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
改良土等の原位置試料を採取するための採取管及び蓋体の組合せ体であって、
前記採取管は、少なくとも一方が開口し、前記開口周縁に沿って外側に突設する第一突出部を備え、
前記蓋体は、前記採取管の開口を閉じる部分の周縁に沿って内側に突設する第二突出部を備え、
前記第一突出部と前記第二突出部とが係合して、前記採取管及び前記蓋体が嵌着・固定するように構成されていることを特徴とする原位置試料を採取する採取管及び蓋体の組合せ体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−74357(P2009−74357A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212986(P2008−212986)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(399026100)株式会社アスク・ネットワーク・ジャパン (2)
【出願人】(501211305)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(399026100)株式会社アスク・ネットワーク・ジャパン (2)
【出願人】(501211305)
【Fターム(参考)】
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