説明

原子力発電所における定期点検工程管理システム

【課題】原子力発電所において、点検工程間の干渉などが生じないよう点検工程を追加または変更するのを支援する定期点検工程管理システムを提供する。
【解決手段】点検工程管理システム40は、点検工程データベース29と、入力手段8aと、追加点検工程データベース9と、点検工程関連付け部4と、工程成立性判定部7と、出力手段8bとを備えている。このうち工程成立性判定部7は、工程成立性判定手段10と、工程成立性保存手段11とを有している。工程成立性判定手段10は、点検工程関連付け部4からの情報に基づき、同一時期に重複して点検対象となる機器があるかどうかを判断し、このような重複して点検対象となる機器があった場合、追加の点検工程が固定点検工程と干渉すると判定する。工程成立性判定手段10における判定結果は工程成立性保存手段11に保存され、工程成立性保存手段11に保存された判定結果は、出力手段8bにより出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数系統からなるプラントを有する原子力発電所の定期点検工程を管理する定期点検工程管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所のようなプラントでは、多くの機器を監視制御するため、ある程度の規模の単位に機器を分割して監視制御を実施しており、これらの単位を系統と呼んでいる。
【0003】
一般に、原子力発電所の点検工程を管理するには、プラントに関する知識、保安規定等に関する知識、プラントで使用される様々な機器に関する知識等の幅広いスキルが必要とされる。また、点検工程の電子化、点検対象機器およびアイソレーション機器のデータベース化が進んでいるものの、データベースと点検工程を関連付ける部分は、いまだに人間が介在しなければならないのが実情である。このため、点検工程の管理に対応可能な人員は限られている。
【0004】
上述した原子力発電所の点検工程管理においては、一つの機器を点検する際、当該機器と他の機器との干渉、プラントの運用を維持する上での最適な点検タイミング、原子力発電所の停止中などに遵守しなければならない保安規定、および当該機器を点検するためにどの機器を同時に停止する必要があるか(アイソレーション)など、様々な事項について検討する必要がある。また、当該機器の点検において当該機器の不適合が発見された場合には、上述の様々な事項を検討した上で他の機器の点検時期を調整しなければならない。さらに、当該機器の点検終了後、当該機器の単体試験および試運転をするためにはどの機器のインサービスが必要かという点も考慮する必要がある。従来、そのような検討、調整は人間が行っており、検討結果、調整結果の妥当性は個人の能力に依存するところが大きかった。このため、例えば原子力発電所で使用される機器の1つである弁の開放点検時に水漏れが発生するという不適合事象や、点検作業同士の干渉により片方の作業が点検工程当日になってキャンセルになるという余分なコストが発生することがあった。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば発電所のポンプを分解点検する際に、配管計装線図のCAD情報に基づき、その関連流路にある水などが当該ポンプに流れこまないように、周囲の弁などを開閉操作して当該弁をその系統から隔離したり、その隔離範囲内にある水などを抜いたりするアイソレーションの計画作成を支援するプラント保守支援CADシステムが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−91327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、点検工程を追加または変更するためには、機器間のアイソレーションだけでなく、点検工程間の干渉、プラント系統間の関連、および保安規定など、様々な事項を総合的に検討する必要がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、原子力発電所において、点検工程間の干渉などが生じないよう点検工程を追加または変更するのを支援する定期点検工程管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数系統からなるプラントを有する原子力発電所において実施される様々な点検工程を管理する点検工程管理システムにおいて、予め予定されている複数の固定点検工程の名称および実施時期に関する情報を予め格納する点検工程データベースと、新たに加わる追加の点検工程の名称および実施時期に関する情報を入力する入力手段と、入力手段により入力された追加の点検工程の名称および実施時期に関する情報を保存する追加点検工程データベースと、原子力発電所において実施されるプラント系統ごとに、各プラント系統において用いられる機器および電源に関する情報を予め格納する系統単位機器データベースと、前記点検工程データベースおよび前記追加点検工程データベースからの情報と、前記系統単位機器データベースからの情報とを対照させることにより、前記固定点検工程および前記追加の点検工程における点検工程ごとに、点検対象となるプラント系統および機器に関する情報を分類する点検工程関連付け部と、前記点検工程関連付け分類手段から得られ、前記固定点検工程および前記追加の点検工程における点検工程ごとに分類された点検対象となるプラント系統および機器に関する情報から、同一時期に重複して点検対象となる機器があるかどうかを判断し、このような重複して点検対象となる機器があった場合、前記追加の点検工程が前記固定点検工程と干渉すると判定する工程成立性判定部と、前記工程成立性判定部による判定結果を含む情報を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする点検工程管理システムである。
【0009】
本発明は、各点検工程において点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検中に当該機器とのアイソレーションのために運用が停止されるその他の機器の停止期間に関する情報を予め格納するアイソレーションデータベースと、各点検工程において点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検後に所定の単体試験または試運転が実施される当該機器およびその他の機器の単体試験期間または試運転期間に関する情報を予め格納する試験データベースと、原子力発電所におけるプラント系統ごとに、所定のプラント系統を運用する上で必要となる所定のプラント系統以外のプラント系統に関する情報を予め格納する系統間関連付けデータベースと、前記点検工程関連付け部から得られた情報と、前記アイソレーションデータベース、前記試験データベースおよび前記系統間関連付けデータベースからの情報とに基づいて、原子力発電所におけるプラント系統ごとに、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、適切な単体試験時期および試運転時期を判定する系統運用判定部と、を更に備え、前記点検工程成立性判定部は、前記系統運用判定部から得られた、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期に関する情報から、原子力発電所を運用する上でプラント系統間の干渉が生じるかどうかを判定することを特徴とする点検工程管理システムである。
【0010】
本発明は、系統運用判定部は、系統運用第1判定手段と系統運用第2判定手段とを有し、系統運用第1判定手段は、前記点検工程関連付け部から得られ、前記固定点検工程および前記追加の点検工程における点検工程ごとに分類された点検対象となるプラント系統および機器に関する情報と、前記アイソレーションデータベースおよび前記試験データベースからの情報とを対照させることにより、点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期を判定し、系統運用第2判定手段は、前記系統運用第1判定手段から得られた判定結果と、系統間関連付けデータベースから得られた、各プラント系統を運用する上で必要となる機器に関する情報とを対照させることにより、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期を判定する系統運用判定部とを判定することを特徴とする点検工程管理システムである。
【0011】
本発明は、原子力発電所に関する保安規定を遵守するために維持される必要のあるプラント系統および機器に関する情報を格納する保安規定条項単位関連系統データベースと、前記保安規定条項単位関連系統データベースからの情報に基づき、前記系統運用判定部により判定された各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期が、保安規定に適合するかどうかを判定する保安規定整合性判定部と、を更に備え、前記点検工程成立性判定部は、前記保安規定整合性判定部から得られた、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期が、保安規定に適合しているかどうかの判定結果から、入力手段により入力された前記追加の点検工程が保安規定に適合するかどうかを判定することを特徴とする点検工程管理システムである。
【0012】
本発明は、出力手段は、工程成立性判定部による判定結果を含む情報の一部または全部をブリンク表示により出力することを特徴とする点検工程管理システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、点検工程管理システムは、点検工程データベース、追加点検工程データベース、および系統単位機器データベースからの情報に基づいて、固定点検工程および追加の点検工程における点検工程ごとに、点検対象となるプラント系統および機器に関する情報を分類する点検工程関連付け部を備えている。このため、工程成立性判定部により、点検工程関連付け部からの情報に基づき、同一時期に重複して点検対象となる機器があるかどうかを判断することができる。このことにより、点検工程の調整を容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1、図2は、本発明の第1の実施の形態における点検工程管理システムを示す図である。このうち図1は、本発明の第1の実施の形態における点検工程管理システムを示す図であり、図2は、本発明の第1の実施の形態における点検工程関連付け部を示す図である。
【0015】
初めに、点検工程管理システム40全体について説明する。図1に示すように、複数系統からなるプラントを有する原子力発電所において実施される様々な点検工程を管理する点検工程管理システム40は、予め予定されている複数の固定点検工程の名称および実施時期に関する情報を予め格納する点検工程データベース29と、新たに加わる追加の点検工程の名称および実施時期に関する情報を入力する入力手段8aと、入力手段8aにより入力された追加の点検工程の名称および実施時期に関する情報を保存する追加点検工程データベース9と、前記固定点検工程および前記追加の点検工程における点検工程ごとに、点検対象となるプラント系統および機器に関する情報を分類する点検工程関連付け部4と、同一時期に重複して点検対象となる機器があるかどうかを判断し、このような重複して点検対象となる機器があった場合、前記追加の点検工程が前記固定点検工程と干渉すると判定する工程成立性判定部7と、前記工程成立性判定部7による判定結果を含む情報を出力する出力手段8bとを備えている。
【0016】
このうち点検工程データベース29には、上述のように予め予定されている複数の固定されている点検工程(固定点検工程)に関する情報が格納されている。すなわち点検工程データベース29には、例えば各点検工程の名称、実施予定時期などの情報が予め格納されている。
【0017】
また入力手段8aは、上述のように、原子力発電所の作業員が、新たに加わる追加の点検工程に関する情報、例えば追加点検工程の名称、実施予定時期などの情報を入力するものである。この入力手段8aにより入力された、追加の点検工程の名称および実施時期などに関する情報は、追加点検工程データベース9に保存される。なお本実施の形態において、入力手段8aは、図1に示すように出力手段8bと一体に入出力手段8として備えられている。
【0018】
図1に示すように、前述の点検工程データベース29および追加点検工程データベース9は、点検工程関連付け部4に接続されている。この点検工程関連付け部4は、図2に示すように、点検工程関連付け手段13と、点検工程項目単位系統データベース15とを有している。このうち点検工程関連付け手段13は、点検工程データベース29および追加点検工程データベース9からの情報と、後述する系統単位機器データベース14からの情報とを対照させることにより、固定点検工程および追加の点検工程における点検工程ごとに、点検対象となるプラント系統および機器に関する情報を分類するものである。点検工程関連付け手段13により分類された情報は、点検工程項目単位系統データベース15に、点検工程A、B、C・・・ごとに保存される(図1参照)。
【0019】
また工程成立性判定部7は、工程成立性判定手段10と、工程成立性保存手段11とを有している。このうち工程成立性判定手段10は、点検工程関連付け部4の点検工程項目単位系統データベース15からの情報に基づき、同一時期に重複して点検対象となる機器があるかどうかを判断し、このような重複して点検対象となる機器があった場合、追加の点検工程が固定点検工程と干渉すると判定するものである。工程成立性判定手段10における判定結果は工程成立性保存手段11に保存される。
【0020】
出力手段8bは、上述のように、工程成立性保存手段11に保存されている、工程成立性判定手段10における判定結果を出力するものである。原子力発電所の作業員は、この出力手段8bを介して、工程成立性判定部7の工程成立性判定手段10における判定結果を確認することができる。
【0021】
また図2に示すように、点検工程関連付け部4には系統判別部2が接続されている。この系統判別部2は、機器・電源選別手段12と、系統単位機器データベース14とを有している。また機器・電源選別手段12には、機器データベース16および電源データベース17が接続されている。
【0022】
機器・電源選別手段12は、機器データベース16および電源データベース17からの情報に基づき、原子力発電所において実施されるプラント系統ごとに、各プラント系統において用いられる機器および電源に関する情報を分類するものである。機器・電源選別手段12により分類された情報は、系統単位機器データベース14に保存される。
【0023】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0024】
点検工程データベース29には、予定されている複数の固定点検工程の名称、実施予定時期に間する情報が予め格納されている。
【0025】
また機器データベース16には、原子力発電所の全ての機器の系統名称と、系統番号と、機器種別と、機器名称と、機器番号、駆動方式等に関する情報が予め格納されており、電源データベース17には、原子力発電所の全ての機器の系統名称と、系統番号と、電源名称と、電源番号と、高圧電源から末端電源までの電源系統に関する情報が予め格納されている。機器データベース16および電源データベース17に格納されている情報は、予め系統判別部2に送られている。
【0026】
系統判別部2の機器・電源選別手段12は、機器データベース16および電源データベース17からの情報に基づき、原子力発電所において実施されるプラント系統ごとに、各プラント系統において用いられる機器および電源に関する情報を予め分類している。機器・電源選別手段12により分類された情報は、系統単位機器データベース14に予め保存されている。
【0027】
また点検工程関連付け部4の点検工程関連付け手段13は、原子力発電所で実施される様々な点検工程において点検対象となる機器に関する情報を、点検工程ごとに予め有している。
【0028】
まず、原子力発電所の作業員は、入力手段8aにより、新たに加わる追加の点検工程に関する情報、例えば追加点検工程の名称、実施予定時期などの情報を入力する。入力された情報は、追加点検工程データベース9に保存される。
【0029】
次に、点検工程関連付け部4の点検工程関連付け手段13において、固定点検工程および追加の点検工程における点検工程ごとに、点検対象となるプラント系統および機器に関する情報が分類される。この場合、点検工程関連付け手段13は、まず系統判別部2の系統単位機器データベース14からの情報と、予め有している様々な点検工程において点検対象となる機器に関する情報とを対照させることにより、原子力発電所で実施されることが想定される全ての点検工程について、点検工程ごとに、点検対象となる機器、その機器の属するプラント系統、およびその機器の電源に関する情報を分類する。次に点検工程関連付け手段13は、点検工程データベース29および追加点検工程データベース9からの情報に基づき、固定点検工程および追加の点検工程における点検工程ごとに、点検対象となる機器、その機器の属するプラント系統、およびその機器の電源に関する情報を分類する。この分類結果は、点検工程関連付け部4の点検工程項目単位系統データベース15に保存される。
【0030】
その後、工程成立性判定部7の工程成立性判定手段10が、点検工程関連付け部4の点検工程項目単位系統データベース15からの情報に基づき、同一時期に重複して点検対象となる機器があるかどうかを判断し、このような重複して点検対象となる機器があった場合、追加の点検工程が固定点検工程と干渉すると判定する。工程成立性判定手段10における判定結果は工程成立性保存手段11に保存される。
【0031】
次に、工程成立性保存手段11に保存された判定結果、例えば点検工程の干渉の有り/無し、干渉の原因、干渉する工程などが、出力手段8bにより出力される。これにより、原子力発電所の作業員は、工程成立性判定手段10における判定結果を確認することができる。この際、追加の点検工程が固定点検工程と干渉すると判定されている場合は、干渉する工程を点滅(ブリンク)表示させることができる。これによって、干渉する工程をより強調して表示させることが可能となる。
【0032】
このように本実施の形態によれば、工程成立性判定手段10は、点検工程関連付け部4の点検工程項目単位系統データベース15からの情報に基づき、同一時期に重複して点検対象となる機器があるかどうかを判断し、このような重複して点検対象となる機器があった場合、追加の点検工程が固定点検工程と干渉すると判定することができる。このため、原子力発電所の作業員は、追加の点検工程が固定点検工程と干渉するかどうかを容易に知ることができる。このことにより、点検工程の調整に要する労力を削減し、原子力発電所の保守に関連するコストを削減することができる。
【0033】
なお、本実施の形態において、工程成立性保存手段11に保存された判定結果、例えば点検工程の干渉の有り/無し、干渉の原因、干渉する工程などが、出力手段8bにより出力される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、出力手段8bは、工程成立性保存手段11に保存された判定結果を出力するとともに、点検工程が干渉すると判定された場合に、追加の点検工程の実施時期を、追加の点検工程が固定点検工程と干渉しないように調整し、その調整結果を出力してもよい。このことにより、追加の点検工程が固定点検工程と干渉するかどうかを容易に知ることができるだけでなく、追加の点検工程を実施可能な時期についても知ることができる。
【0034】
第2の実施の形態
次に、図3乃至図5を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで、図3は、本発明の第2の実施の形態における点検工程管理システムを示す図である。図4(a)は、本発明の第2の実施の形態における系統運用判定部を示す図であり、図4(b)は、本発明の第2の実施の形態における系統運用判定手段を示す図である。図5は、本発明の第2の実施の形態における系統間関連付け部を示す図である。
【0035】
まず、図3および図4により本発明の第2の実施の形態における点検工程管理システム40全体について説明する。図3および図4に示す第2の実施の形態は、点検工程管理システム40が、各点検工程において点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検中に当該機器とのアイソレーションのために運用が停止されるその他の機器の停止期間に関する情報を予め格納するアイソレーションデータベース20と、各点検工程において点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検後に所定の単体試験または試運転が実施される当該機器およびその他の機器の単体試験期間または試運転期間に関する情報を予め格納する試験データベース21と、プラント系統ごとに、所定のプラント系統を運用する上で必要となる所定のプラント系統以外のプラント系統に関する情報の関連付けを行う系統間関連付け部3と、原子力発電所におけるプラント系統ごとに、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、適切な単体試験時期および試運転時期を判定する系統運用判定部5とを更に備えたものであり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。図3乃至図5に示す第2の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0036】
図3に示すように、点検工程管理システム40の系統運用判定部5は、点検工程関連付け部4に接続され、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、適切な単体試験時期および試運転時期を判定する。また系統運用判定部5は、図4(a)に示すように、プラント系統ごとに、所定のプラント系統を運用する上で必要となる所定のプラント系統以外のプラント系統に関する情報の関連付けを行う系統運用判定手段18と、系統運用判定手段18による判定結果を保存する系統運用保存手段19とを有している。このうち系統運用判定手段18は、図4(b)に示すように、点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期を判定する系統運用第1判定手段18aと、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期を判定する系統運用第2判定手段18bとを有している。また図(a)に示すように、系統運用判定手段18には、アイソレーションデータベース20と、試験データベース21と、系統間関連付け部3とが接続されている。
【0037】
このうち系統間関連付け部3は、図5に示すように、プラント系統ごとに、所定のプラント系統を運用する上で必要となる所定のプラント系統以外のプラント系統に関する情報の関連付けを行う系統間関連付け手段22と、系統間関連付け手段22による関連付けの結果を格納する系統間関連付けデータベース23とを有している。また系統間関連付け部3の系統間関連付け手段22には、前述の系統判別部2の系統単位機器データベース14が接続されている。
【0038】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0039】
アイソレーションデータベース20には、各点検工程において点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検中に当該機器とのアイソレーションのために運用が停止されるその他の機器に関する情報が予め格納されている。例えば、運用が停止されるその他の機器の系統番号、系統名称、機器番号、機器名称、隔離状態(弁であれば開閉等)、復旧状態(弁であれば開閉等)、単体試験時状態(弁であれば開閉等)、試運転状態(弁であれば開閉等)、電源隔離状態(ON/OFF等)、電源復旧状態(ON/OFF等)、単体試験電源隔離状態(ON/OFF等)、試運転電源隔離状態(ON/OFF等)、水張り等の系統状態、停止期間に関する情報である。
【0040】
また試験データベース21には、各点検工程において点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検後に所定の単体試験または試運転が実施される当該機器およびその他の機器に関する情報が予め格納されている。例えば、当該機器の単体試験に必要なその他の機器を含む機器の系統番号、系統名称、機器番号、機器名称、運転状態、単体試験準備期間、単体試験期間、試運転期間、水張り等の系統状態に関する情報である。
【0041】
さらに、図5に示すように、系統間関連付け部3の系統間関連付け手段22は、系統判別部2の系統単位機器データベース14に予め保存されている、各プラント系統において用いられる機器および電源に関する情報に基づき、プラント系統ごとに、所定のプラント系統を運用する上で必要となる所定のプラント系統以外のプラント系統に関する情報を予め関連付けている。例えば、中間ループ冷却系統を運転するためには海水系統が必要である、というように、所定の系統とそれ以外の系統の関係に関する情報を予め関連付けている。系統間関連付け手段22により実施された関連付けの結果は、系統間関連付けデータベース23に予め格納されている。
【0042】
まず、図4(b)に示すように、系統運用第1判定手段18aが、点検工程関連付け部4の点検工程項目単位系統データベース15から得られ、固定点検工程および追加の点検工程における点検工程ごとに分類された点検対象となるプラント系統および機器に関する情報と、アイソレーションデータベース20および試験データベース21からの情報とを対照させることにより、点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期を判定する。例えば点検工程項目単位系統データベース15に保存されている1つの点検工程における点検対象である1つの機器について、その1つの機器の点検を実施している間、運用が停止されるその他の機器の系統番号、系統名称、機器番号、停止期間が、アイソレーションデータベース20からの情報に基づき系統運用第1判定手段18aにより判定される。同様に、点検工程項目単位系統データベース15に保存されている1つの点検工程における点検対象である1つの機器について、その1つの機器の点検が終了した後、その1つの機器に対して実施される所定の単体試験または試運転の期間、およびその1つの機器の単体試験または試運転と併せて単体試験または試運転が実施されるその他の機器の系統番号、系統名称、機器番号が、試験データベース21からの情報に基づき系統運用第1判定手段18aにより判定される。
【0043】
次に、系統運用第2判定手段18bは、系統運用第1判定手段18aから得られた判定結果と、系統間関連付けデータベース23から得られた、各プラント系統を運用する上で必要となる機器に関する情報とを対照させることにより、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期を判定する。系統運用第2判定手段18bによる判定結果は、系統運用判定部5の系統運用保存手段19に保存される。
【0044】
その後、点検工程成立性判定部7の工程成立性判定手段10は、系統運用判定部5の系統運用保存手段19から得られた、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期に関する情報から、原子力発電所を運用する上でプラント系統間の干渉が生じるかどうかを判定する。工程成立性判定手段10における判定結果は工程成立性保存手段11に保存される。
【0045】
次に、工程成立性保存手段11に保存された判定結果、例えばプラント系統間の干渉の有り/無しと、干渉する系統(例えば所定の系統において、アイソレーション時期と試運転時期が重複しているなど)とが、出力手段8bにより出力される。これにより、原子力発電所の従業員は、工程成立性判定手段10における判定結果を確認することができる。この際、プラント系統間の干渉が生じると判定されている場合は、干渉するプラント系統をブリンク表示させることができる。これによって、干渉するプラント系統をより強調して表示させることが可能となる。
【0046】
このように本実施の形態によれば、工程成立性判定手段10は、系統運用判定部5から得られた、各プラント系統の運用可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期に関する情報から、原子力発電所を運用する上でプラント系統間の干渉が生じるかどうかを判定することができる。このため、原子力発電所の作業員は、追加の点検工程に起因してプラント系統間の干渉が生じるかどうかを容易に知ることができる。このことにより、点検工程の調整に要する労力を削減し、原子力発電所の保守に関連するコストを削減することができる。
【0047】
なお、本実施の形態において、工程成立性保存手段11に保存された判定結果、例えばプラント系統間の干渉の有り/無しと、干渉する系統とが、出力手段8bにより出力される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、出力手段8bは、工程成立性保存手段11に保存された判定結果を出力するとともに、追加の点検工程に起因してプラント系統間の干渉が生じると判定された場合に、追加の点検工程の実施時期を、プラント系統間の干渉が生じないように調整し、その調整結果を出力してもよい。このことにより、追加の点検工程に起因してプラント系統間の干渉が生じるかどうかを容易に知ることができるだけでなく、追加の点検工程を実施可能な時期についても知ることができる。
【0048】
また、本実施の形態において、工程成立性判定手段10は、系統運用判定部5の系統運用保存手段18から得られた、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期に関する情報から、原子力発電所を運用する上でプラント系統間の干渉が生じるかどうかを判定する例を示した。しかしながら、これに限られることは無く、工程成立性判定手段10は、プラント系統間の干渉が生じるかどうかを判定するのと同時に、第1の実施の形態の場合と同様に、点検工程関連付け部4からの情報に基づき、追加の点検工程が固定点検工程と干渉するかどうかを判定してもよい。これによって、原子力発電所の作業員は、追加の点検工程が固定点検工程と干渉するかどうか、および、追加の点検工程に起因してプラント系統間の干渉が生じるかどうかを容易に知ることができる。
【0049】
次に図6乃至図8を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで、図6は、本発明の第3の実施の形態における点検工程管理システムを示す図であり、図7は、本発明の第3の実施の形態における保安規定整合性判定部を示す図である。図8は、本発明の第3の実施の形態における保安規定関連付け部を示す図である。
【0050】
まず、図6乃至図8により本発明の第3の実施の形態における点検工程管理システム40全体について説明する。図6乃至図8に示す第3の実施の形態は、点検工程管理システム40が、原子力発電所に関する原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定を遵守するために維持される必要のあるプラント系統および機器に関する情報を予め格納する保安規定データベース28と、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定各条項に規定された、原子力発電所の安全を担保するうえで維持される必要のあるプラント系統および機器に関する情報を、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項ごとに予め分類する保安規定関連付け部1と、前記系統運用判定部5により判定された各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期が、保安規定に適合するかどうかを判定する保安規定整合性判定部6と、を更に備えたものであり、他の構成は、図3乃至図5に示す第2の実施の形態と略同一である。図6乃至図8に示す第3の実施の形態において、図3乃至図5に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
図6に示すように、点検工程管理システム40の保安規定整合性判定部6は、系統運用判定部5に接続され、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期が、保安規定に適合しているかどうかを判定する。また保安規定整合性判定部6は、図7に示すように、前記系統運用判定部5により判定された各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期が、保安規定に適合するかどうかを判定する保安規定整合性判定手段24と、保安規定整合性判定手段24による判定結果を保存する保安規定整合性保存手段25とを有している。また、保安規定整合性判定手段24には、保安規定関連付け部1が接続されている。
【0052】
保安規定関連付け部1は、図8に示すように、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定各条項に規定された、原子力発電所の安全を担保するうえで維持される必要のあるプラント系統および機器に関する情報を、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項ごとに予め分類する保安規定関連付け手段26と、保安規定関連付け手段26による分類結果を格納する保安規定条項単位関連系統データベース27とを有している。このうち保安規定条項単位関連系統データベース27は、前述の保安規定整合性判定部6の保安規定整合性判定手段24に接続されている。また保安規定関連付け手段26には、保安規定データベース28と、前述の系統判別部2とが接続されている。
【0053】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0054】
保安規定データベース28には、原子力発電所に関する原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定を遵守するために維持される必要のあるプラント系統および機器に関する情報が予め格納されている。すなわち保安規定データベース28に格納された情報は、例えば、原子力発電所停止時安全管理要領及び保安規定の各条項に規定された、各プラント系統の安全を担保する上で必要な系統の系統番号、系統名称、機器番号、機器名称などに関する情報である。
【0055】
また、図8に示すように、保安規定関連付け部1の保安規定関連付け手段26は、保安規定データベース28からの情報と、系統判別部2の系統単位機器データベース14に予め保存されている、各プラント系統において用いられる機器および電源に関する情報に基づき、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定各条項に規定された、原子力発電所の安全を担保するうえで維持される必要のあるプラント系統および機器に関する情報を、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項ごとに予め分類している。保安規定関連付け手段26により分類された結果は、保安規定条項単位関連系統データベース27に予め格納されている。
【0056】
まず、図7に示すように、保安規定整合性判定部6の保安規定整合性判定手段24は、保安規定条項単位関連系統データベース27からの情報に基づき、系統運用判定部5により判定された各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期が、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項に適合するかどうかを、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項ごとに判定する。保安規定整合性判定手段24による判定結果は、保安規定整合性保存手段25に保存される。
【0057】
次に、点検工程成立性判定部7の工程成立性判定手段10は、保安規定整合性判定部6の保安規定整合性保存手段25から得られた、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項に適合するかどうかの判定結果から、追加の点検工程が原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項に適合するかどうかを原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項ごとに判定する。工程成立性判定手段10による判定結果は工程成立性保存手段11に保存される。
【0058】
次に、工程成立性保存手段11に保存された判定結果、例えば保安規定条項に適合するかどうか、適合しない保安規定条項および点検工程などが、出力手段8bにより出力される。これにより、原子力発電所の従業員は、工程成立性判定手段10における判定結果を確認することができる。この際、保安規定条項に適合しないと判定されている場合は、適合しない保安規定条項、プラント系統および点検工程をブリンク表示させることができる。これによって、適合しない保安規定条項、プラント系統および点検工程をより強調して表示させることが可能となる。
【0059】
このように本実施の形態によれば、工程成立性判定手段10は、保安規定整合性判定部6から得られた、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項に適合するかどうかに関する情報から、原子力発電所を運用する上で原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項を遵守できるかどうかを判定することができる。このため、原子力発電所の作業員は、追加の点検工程に起因して原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項の不適合が生じるかどうかを容易に知ることができる。このことにより、点検工程の調整に要する労力を削減し、原子力発電所の保守に関連するコストを削減することができる。
【0060】
なお、本実施の形態において、工程成立性保存手段11に保存された判定結果、例えば保安規定条項に適合するかどうかに関する情報が、出力手段8bにより出力される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、出力手段8bは、工程成立性保存手段11に保存された判定結果を出力するとともに、追加の点検工程に起因して保安規定条項の不適合が生じると判定された場合に、追加の点検工程の実施時期を、保安規定条項の不適合が生じないように調整し、その調整結果を出力してもよい。このことにより、追加の点検工程に起因して保安規定条項の不適合が生じるかどうかを容易に知ることができるだけでなく、追加の点検工程を実施可能な時期についても知ることができる。
【0061】
また、本実施の形態において、工程成立性判定手段10は、保安規定整合性判定部6の保安規定整合性保存手段25から得られた、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項に適合するかどうかの判定結果から、追加の点検工程が原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項に適合するかどうかを原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項ごとに判定する例を示した。しかしながら、これに限られることは無く、工程成立性判定手段10は、原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項に適合するかどうかを判定するのと同時に、第1の実施の形態の場合と同様に、点検工程関連付け部4からの情報に基づき、追加の点検工程が固定点検工程と干渉するかどうかを判定し、加えて第2の実施の形態の場合と同様に、系統運用判定部5からの情報に基づき、追加の点検工程に起因してプラント系統間の干渉が生じるかどうかを判定してもよい。これによって、原子力発電所の作業員は、追加の点検工程が固定点検工程と干渉するかどうか、追加の点検工程に起因してプラント系統間の干渉が生じるかどうか、および、追加の点検工程に起因して原子力発電所停止時安全管理要領および保安規定条項の不適合が生じるかどうかを容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における点検工程管理システムを示す図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態における点検工程関連付け手段を示す図。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態における点検工程管理システムを示す図。
【図4】図4(a)は、本発明の第2の実施の形態における系統運用判定部を示す図、図4(b)は、本発明の第2の実施の形態における系統運用判定手段を示す図。
【図5】図5は、本発明の第2の実施の形態における系統間関連付け手段を示す図。
【図6】図6は、本発明の第3の実施の形態における点検工程管理システムを示す図。
【図7】図7は、本発明の第3の実施の形態における保安規定整合性判定手段を示す図。
【図8】図8は、本発明の第3の実施の形態における保安規定関連付け手段を示す図。
【符号の説明】
【0063】
1 保安規定関連付け部
2 系統判別部
3 系統間関連付け部
4 点検工程関連付け部
5 系統運用判定部
6 保安規定整合性判定部
7 工程成立性判定部
8 入出力手段
8a 入力手段
8b 出力手段
9 追加点検工程データベース
10 工程成立性判定手段
11 工程成立性保存手段
12 機器・電源選別手段
13 点検工程関連付け手段
14 系統単位機器データベース
15 点検工程項目単位系統データベース
16 機器データベース
17 電源データベース
18a 系統運用第1判定手段
18b 系統運用第2判定手段
19 系統運用保存手段
20 アイソレーションデータベース
21 単体試験・試運転データベース
22 系統間関連付け手段
23 系統間関連付けデータベース
24 保安規定整合性判定手段
25 保安規定整合性保存手段
26 保安規定関連付け手段
27 保安規定条項単位関連系統データベース
28 保安規定データベース
29 点検工程データベース
40 点検工程管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数系統からなるプラントを有する原子力発電所において実施される様々な点検工程を管理する点検工程管理システムにおいて、
予め予定されている複数の固定点検工程の名称および実施時期に関する情報を予め格納する点検工程データベースと、
新たに加わる追加の点検工程の名称および実施時期に関する情報を入力する入力手段と、
入力手段により入力された追加の点検工程の名称および実施時期に関する情報を保存する追加点検工程データベースと、
原子力発電所において実施されるプラント系統ごとに、各プラント系統において用いられる機器および電源に関する情報を予め格納する系統単位機器データベースと、
前記点検工程データベースおよび前記追加点検工程データベースからの情報と、前記系統単位機器データベースからの情報とを対照させることにより、前記固定点検工程および前記追加の点検工程における点検工程ごとに、点検対象となるプラント系統および機器に関する情報を分類する点検工程関連付け部と、
前記点検工程関連付け分類手段から得られ、前記固定点検工程および前記追加の点検工程における点検工程ごとに分類された点検対象となるプラント系統および機器に関する情報から、同一時期に重複して点検対象となる機器があるかどうかを判断し、このような重複して点検対象となる機器があった場合、前記追加の点検工程が前記固定点検工程と干渉すると判定する工程成立性判定部と、
前記工程成立性判定部による判定結果を含む情報を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする点検工程管理システム。
【請求項2】
各点検工程において点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検中に当該機器とのアイソレーションのために運用が停止されるその他の機器の停止期間に関する情報を予め格納するアイソレーションデータベースと、
各点検工程において点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検後に所定の単体試験または試運転が実施される当該機器およびその他の機器の単体試験期間または試運転期間に関する情報を予め格納する試験データベースと、
原子力発電所におけるプラント系統ごとに、所定のプラント系統を運用する上で必要となる所定のプラント系統以外のプラント系統に関する情報を予め格納する系統間関連付けデータベースと、
前記点検工程関連付け部から得られた情報と、前記アイソレーションデータベース、前記試験データベースおよび前記系統間関連付けデータベースからの情報とに基づいて、原子力発電所におけるプラント系統ごとに、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、適切な単体試験時期および試運転時期を判定する系統運用判定部と、を更に備え、
前記点検工程成立性判定部は、前記系統運用判定部から得られた、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期に関する情報から、原子力発電所を運用する上でプラント系統間の干渉が生じるかどうかを判定することを特徴とする請求項1に記載の点検工程管理システム。
【請求項3】
系統運用判定部は、系統運用第1判定手段と系統運用第2判定手段とを有し、
系統運用第1判定手段は、前記点検工程関連付け部から得られ、前記固定点検工程および前記追加の点検工程における点検工程ごとに分類された点検対象となるプラント系統および機器に関する情報と、前記アイソレーションデータベースおよび前記試験データベースからの情報とを対照させることにより、点検対象となる機器ごとに、当該機器の点検時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期を判定し、
系統運用第2判定手段は、前記系統運用第1判定手段から得られた判定結果と、系統間関連付けデータベースから得られた、各プラント系統を運用する上で必要となる機器に関する情報とを対照させることにより、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期を判定する系統運用判定部とを判定することを特徴とする請求項2に記載の点検工程管理システム。
【請求項4】
原子力発電所に関する保安規定を遵守するために維持される必要のあるプラント系統および機器に関する情報を格納する保安規定条項単位関連系統データベースと、
前記保安規定条項単位関連系統データベースからの情報に基づき、前記系統運用判定部により判定された各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期が、保安規定に適合するかどうかを判定する保安規定整合性判定部と、を更に備え、
前記点検工程成立性判定部は、前記保安規定整合性判定部から得られた、各プラント系統の運転可能時期、アイソレーション時期、単体試験時期および試運転時期が、保安規定に適合しているかどうかの判定結果から、入力手段により入力された前記追加の点検工程が保安規定に適合するかどうかを判定することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の点検工程管理システム。
【請求項5】
出力手段は、工程成立性判定部による判定結果を含む情報の一部または全部をブリンク表示により出力することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の点検工程管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−122053(P2010−122053A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295649(P2008−295649)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】