説明

原子層堆積によって形成された無機物コーティング層を有する医療装置

1つ以上の無機物コーティング層を含むコーティングを有する医療装置。無機物コーティング層は原子層堆積のような自己制御的堆積プロセスによって形成され得る。無機物コーティング層は30nm未満の厚さを有する。無機物コーティング層はまた制御放出バリアとして治療薬と組み合わせて用いられ得る。無機物コーティング層は、例えば、亀裂または層剥離に対する耐性、高度な均一性、高度な共形性、および/または低い堆積温度との適合性を含む様々な望ましい特性を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置に関し、とりわけ無機物コーティングを有する医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントにおける無機物コーティングの使用により、医療装置の生体適合性が向上する。例えば、無機物コーティングは、ステントの血管内への埋め込みに関連し得る血栓形成、組織刺激または組織炎症を低減し得る。しかしながら、時にはステント上における無機物コーティングの使用に関連する様々な問題が起こる。そのような問題としては、例えば、ステント留置の間における前記コーティングの亀裂または層剥離、高いプロセス温度の必要性、基材密着性の欠如、可撓性の欠如、均一性の欠如、コーティング工程の信頼性の欠如、またはバッチ処理のための選択肢の欠如が挙げられ得る。それゆえ、ステントのような医療装置における無機物コーティングの改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、改善された無機物コーティング層を有する医療装置を提供する。例えば、本開示の無機物コーティング層は亀裂および/または層剥離に耐性を有し得る。別の例において、本開示の無機物コーティング層は高度に共形(conformal)であり、かつ/または厚さが高度に均一であり得る。別の例において、本開示の無機物コーティング層は生産効率を増大するためにバッチ処理によって施され得る。別の例において、本開示の無機物コーティング層は治療薬の放出の制御のために用いられ得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、本開示はコーティングを有する医療装置を提供する。前記コーティングは、無機材料を含有する無機物コーティング層を含み、前記無機物コーティング層は30nm未満の厚さを有する。
【0005】
別の実施形態において、本開示は医療装置を被覆する方法を提供する。該方法は、治療薬のコーティングを有する医療装置を提供することと、前記治療薬の上に原子層堆積によって無機物コーティング層を堆積させることとを含む。
【0006】
別の実施形態において、本開示は医療処置の方法を提供する。該方法は、無機物コーティング層を含むコーティングを有する医療装置を提供することであって、前記無機物コーティング層は無機材料を含有することと、前記医療装置を患者の体内に埋め込むことと、実質的に前記無機物コーティング層に亀裂が入ったり、前記層が層剥離したりすることなく、前記医療装置を変形させることとを含む。
【0007】
別の実施形態において、本開示は、管腔面、外面およびコーティングを有するステントを提供する。前記コーティングは、ステントの管腔面の上に配置された内部無機物コーティング層と、ステントの外面の上に配置された外部無機物コーティング層とを備え、前記内部コーティング層の厚さと、前記外部コーティング層の厚さとが、実質的に同一であるか、または20%未満の違いがある。一部の例では、前記コーティングはステントの上方において共形である。一部の例では、前記内部無機物コーティング層は30nm未満の厚さを有する。
【0008】
別の実施形態において、本開示はコーティングを有する医療装置を提供する。前記コーティングは、治療薬と、前記治療薬の上に配置された無機物コーティング層とを含み、前記無機物コーティング層は原子層堆積によって形成される。一部の例では、前記無機物コーティング層は治療薬に対して多孔性である。一部の例では、前記医療装置は、前記無機物コーティング層の下に配置された基材コーティング層をさらに備え、前記基材コーティング層は前記治療薬に接しているか、または前記医療装置の表面と前記治療薬との間に配置されている。一部の例では、前記無機物コーティング層は酸化アルミニウムを含有し、前記基材コーティング層は酸化チタンを含有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】原子層堆積によってどのようにコーティングを形成することができるかの例を示す図。
【図1B】原子層堆積によってどのようにコーティングを形成することができるかの例を示す図。
【図1C】原子層堆積によってどのようにコーティングを形成することができるかの例を示す図。
【図1D】原子層堆積によってどのようにコーティングを形成することができるかの例を示す図。
【図1E】原子層堆積によってどのようにコーティングを形成することができるかの例を示す図。
【図2A】酸化アルミニウムコーティングが原子層堆積によってどのように医療装置に形成され得るかを示す図。
【図2B】酸化アルミニウムコーティングが原子層堆積によってどのように医療装置に形成され得るかを示す図。
【図2C】酸化アルミニウムコーティングが原子層堆積によってどのように医療装置に形成され得るかを示す図。
【図2D】酸化アルミニウムコーティングが原子層堆積によってどのように医療装置に形成され得るかを示す図。
【図2E】酸化アルミニウムコーティングが原子層堆積によってどのように医療装置に形成され得るかを示す図。
【図2F】酸化アルミニウムコーティングが原子層堆積によってどのように医療装置に形成され得るかを示す図。
【図3A】原子層堆積によって堆積されたコーティングを有するステントを示す斜視図。
【図3B】原子層堆積によって堆積されたコーティングを有するステントを示す端面図。
【図3C】原子層堆積によって堆積されたコーティングを有するステントを示す、ステントストラット間の角部の拡大図。
【図4A】冠状動脈ステントにおける厚さ5nmの酸化チタンコーティングの顕微鏡画像。
【図4B】冠状動脈ステントにおける厚さ30nmの酸化チタンコーティングの顕微鏡画像。
【図5A】無機物コーティング層が治療薬の上にどのように堆積され得るかの例を示す図。
【図5B】無機物コーティング層が治療薬の上にどのように堆積され得るかの例を示す図。
【図6】ステント上におけるパクリタキセル粒子の画像を示す図。
【図7】薬剤上に20nmのAlコーティング層を備えたパクリタキセル被覆ステントを示す図。
【図8】薬剤上に20nmのSiOコーティング層を備えたパクリタキセル被覆ステントを示す図。
【図9】薬剤上に5nmのTiOコーティング層を備えたパクリタキセルを被覆するステントを示す。
【図10】原子層堆積によって堆積された無機物コーティング層のバリア特性を試験した実験の結果を示す図。
【図11】医療装置上における多層コーティングを示す図。
【図12A】基材コーティング層、治療薬および無機物コーティング層が医療装置上にどのように堆積され得るかの例を示す図。
【図12B】基材コーティング層、治療薬および無機物コーティング層が医療装置上にどのように堆積され得るかの例を示す図。
【図12C】基材コーティング層、治療薬および無機物コーティング層が医療装置上にどのように堆積され得るかの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の医療装置は1つ以上の無機物コーティング層を含むコーティングを有する。本開示の無機物コーティング層は、連続的であってもよいし、または不連続であってもよい(例えば、前記コーティング層はパターン化されていてもよいし、または島または粒子として分散されていてもよい)。特定の実施形態において、1つ以上の無機物コーティング層は自己制限的堆積プロセス(self−limiting deposition process)によって形成される。自己制限的堆積プロセスでは、コーティング層の成長は、十分な量の堆積材料が依然として利用可能であっても、特定の時点後に(例えば、関与する分子の熱力学状態または結合の性質により)停止する。例えば、前記コーティング層は、各単層の成長が次の単層が堆積される前に完了する交互積層(layer−by−layer)プロセスで成長し得る。
【0011】
無機物コーティング層を製造するのに適した様々な種類の自己制限的堆積プロセスが用いられ得る。自己制限的堆積プロセスの例としては、原子層堆積(原子層エピタキシーとしても知られている)、パルスプラズマ強化化学蒸着(pulsed plasma−enhanced chemical vapor deposition )(セマン(Seman)ら、Applied Physics Letters 90:131504(2007年)参照)、分子層堆積および放射線照射誘起蒸着(irradiation−induced vapor deposition)が挙げられる。
【0012】
原子層堆積は、コーティングが自己制限的な表面反応によって基材上に成長する気相堆積プロセスである。原子層堆積は、一般に、2つの半反応に分けられる二成分反応(binary reaction)による二元反応シーケンスを用いて行われる。図1A〜図1Eは、2つの連続した半反応を用いた原子層堆積によってコーティングをどのように形成することができるかの例を概略的に示している。図1Aを参照すると、反応部位261を有する表面を備えた基材260は反応室の内部に配置される。第1半反応では、気相にある第1前駆体種262が反応室に供給される。第1前駆体種262は、反応部位261と反応することによって、基材260の表面上に化学吸着される。図1Bに示すように、前駆体種262の化学吸着は表面が飽和するまで進行し、その時点で反応は自己停止して、単層266を生じる。一旦この半反応が完了すると、付加的な反応物の曝露は単層266のさらなる成長を生じない。次に、第1前駆体種262は反応室から除去される。単層266は、次の前駆体材料と反応するための反応部位265を有する。
【0013】
図1Cに示すように、第2半反応のために、気相にある第2前駆体種264が反応室に供給される。第2前駆体種264は単層266の表面上にある反応部位265と反応する。図1Dに示すように、第2前駆体種264の化学吸着は単層266の飽和まで進行し、その時点で反応は自己停止し、別の単層268を生じる。次に、第2前駆体種264は反応室から除去される。単層268の表面は、第1前駆体種262と反応することができる反応部位269を有し、所望の膜厚が得られるまで付加的な反応サイクルを可能にする。例えば、図1Eは、いくつかの反応サイクルによって形成された一連の単層266,268を有する基材260を示している。
【0014】
図2A〜図2Fは酸化アルミニウムコーティング層が原子層堆積によってどのように医療装置上に形成され得るかを示している。そのプロセスは下記の2つの連続した半反応を伴う。
【0015】
(A) :Al−OH+Al(CH3(g)→:Al−O−Al(CH+CH
(B) :Al−O−Al(CH+2HO→:Al−O−Al(OH)+2CH
前記式中、:AlOHおよび:Al−O−Al(CHは表面種である。これらの2つの半反応は全反応:Al−OH+Al(CH+2HO→:Al−O−Al(OH)+3CHを与える。
【0016】
図2Aは、ネイティブなヒドロキシル基を有するアルミニウム表面を提供する医療装置の一部220を示す。これらのネイティブなヒドロキシル基は、水蒸気によるアルミニウム表面の前処理によって提供され得る。図2Bを参照すると、前記医療装置は反応室の内部に配置され、前記反応室にはAl(CH(トリメチルアルミニウム)ガスが導入される。Al(CH分子はアルミニウム表面上のネイティブなヒドロキシル基と反応して、メチル終端アルミニウム種を形成する。図2C参照すると、すべてのネイティブなヒドロキシル基がAl(CHと反応した後、反応は自己停止して、メチル終端アルミニウムの単層を生じる。次に、過剰なAl(CHガスは反応室から除去される。
【0017】
次に、前記反応室には水蒸気が導入される。図2Dに示したように、水分子224は新たな単層の表面上に懸垂したメチル基と反応して、Al−Oブリッジと表面ヒドロキシル基とを形成する。図2Eを参照すると、すべてのメチル終端アルミニウム種が水分子224と反応した後に反応は自己停止して、水酸化アルミニウム種の単層を生じる。この水酸化アルミニウム種の単層は、次のトリメチルアルミニウムに対する曝露のサイクルのために用意されたヒドロキシル基を有する。図2Fを参照すると、これらの反応は、所望の厚さのコーティングを形成するために周期的に繰り返される。この種の原子層堆積はベネク(Beneq)(フィンランド国ヴァンター)において入手可能である。
【0018】
原子層堆積は、無機材料および有機材料の双方を含む多数の種類の材料を堆積させるために用いることができる。例えば、Alの他に、原子層堆積コーティングスキームは、シリカ(SiO)、窒化ケイ素(Si)、酸化チタン(TiO)、窒化ホウ素(BN)、酸化亜鉛(ZnO)、タングステン(W)他のために設計されてきた。また、イリジウム酸化物コーティングは、230〜290℃の間の温度における(エチルシクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)イリジウムと酸素ガスとの交互の供給を用いた原子層堆積によって堆積され得ることも知られている。原子層堆積を用いて堆積することができる他の無機材料としては、B、Co、Cr、CuO、Fe、Ga、HfO、In、MgO、Nb、NiO、Pd、Pt、SnO、Ta、TaNx、TaN、AlN、TiCrOx、TiN、VO、WO、ZnO、(Ta/Al)N、(Ti/Al)N、(Al/Zn)O、ZnS、ZnSe、ZrO、Sc、Y、Ca10(PO)(OH)(ヒドロキシルアパタイト)および希土類酸化物が挙げられる。原子層堆積はまた、3−(アミノプロピル)トリメトキシシロキサン、および1,2,3,5−ベンゼンテトラカルボン無水物−4,4−オキシジアニリン(PMDA−ODA)および1,2,3,5−ベンゼンテトラカルボン無水物−1,6−ジアミノヘキサン(PMDA−DAH)のようなポリイミドを含む有機材料によって用いられてきた。
【0019】
原子層堆積によって医療装置を被覆することはまた、生産効率および/またはプロセス信頼性を向上させるために、バッチ処理を可能にすることができる。多数の医療装置をコーティング室に配置して、それらの医療装置を原子層堆積によって同時に被覆することができる。また、これは多数の医療装置が同一の堆積条件に晒されることを可能にすることから、各医療装置に対して実質的に同一のコーティングを施すことができるため、プロセス信頼性が改善され得る。
【0020】
無機物コーティング層を形成するために自己停止堆積プロセスを用いることによって、前記コーティング層は、医療装置の異なる領域にわたって厚さのより高い均一性および/または高度な共形性(conformality)を有し得る。本発明は、他の方法ではコーティングの均一性を達成することが困難であり得る空間的に難しい構造(spatially challenging structure)を有する医療装置を被覆する際に有用であり得る。例えば、ステントは、従来のライン・オブ・サイト(line−of−sight)コーティング技術(スプレーコーティングのような)に対して難しい形状を示し得る。スプレーコーティング法によって被覆されたステントは、多くの場合、外面と比較して到達し難い(内側に面した)管腔面において、より薄いコーティングを有することになる(例えば、管腔面のコーティングは外面のコーティングの厚さの3分の1であり得る)。
【0021】
図3A〜図3Cに示される実施形態を参照すると、冠状動脈ステント40は原子層堆積によって堆積された無機物コーティング層を有する。図3Aは、開格子形態にあるステントストラット42から形成されたステント40の斜視図を示している。図3Bの端面図に示すように、ステント40は、ステントストラット42によって画定された内側管腔46を有する。またこの図に見られるように、ステント40は、ステント40の管腔側に内部コーティング層44と、ステント40の外側(すなわち、反内腔側)に外部コーティング層52とを有する。コーティング層の原子層堆積は、ステント上により均一なコーティング厚を提供することができる。それゆえ、内部コーティング層44の厚さは、外部コーティング層52の厚さに比べて、例えば外部コーティング層の厚さの20%未満だけ異なってもよく(例えば、内部コーティング層がより薄い場合がある)、または場合により、10%未満だけ異なってもよく、または場合により、実質的に同一であってもよい。また、ステントストラット42の側壁もまた側壁コーティング層54で被覆されている。外部コーティング層52、内部コーティング層44、および側壁コーティング層54は共に、ステント40のまわりに共形なコーティングを形成する。側壁コーティング層54の厚さは、内部コーティング層44または外部コーティング層52の厚さと比較して、例えば、内部コーティング層または外部コーティング層の厚さの20%未満だけ異なる(例えば、側壁コーティング層54はより薄くなり得る)、または場合により10%未満だけ異なる、または場合により実質的に同一であり得る。
【0022】
また、原子層堆積によって非常に高いアスペクト比構造(深く狭いトレンチまたはナノ粒子など)を一様に被覆することができることも示されている。したがって、本開示による特定の実施形態は、複雑な形状を有する医療装置の上方においてより共形なコーティングを可能にし得る。例えば、ステントでは、ステントストラット同士が交わる、または合わさる角部はコーティングの課題を示し得る。ライン・オブ・サイトコーティングプロセス(例えばスプレーコーティング)によると、角部において被覆域(coverage)の隙間または不均衡に薄いコーティングが存在することがある。これに代わって、浸漬被覆またはゾルゲルのような液相法においては、コーティング液が表面張力によってステントの角部に蓄積し得る。これは、ステント角部におけるコーティングが直線的なストラット部分におけるものよりも不均衡に厚くなることを生じ得る。これらのストラットの角部はステント拡張中にステントが歪みを受ける場所であり得るため、角部において厚すぎるコーティングは、ステント拡張中に亀裂が入ったり、かつ/または層剥離したりする可能性が高い。
【0023】
図3Cは、ステントストラット42によって形成された開格子形態の拡大図を示している。ステントストラット42は異なるストラット42が交わる角部48を形成する。無機物コーティング層50はこれらの角部48において浸透して被覆域を提供する。したがって、無機物コーティング層50はステント40の上方において共形をなす。本願において「共形(conformal)」とは、コーティング層が医療装置の幾何学的形状の輪郭に沿って、医療装置のほぼすべての表面の上を連続的に覆うことを意味する。また、コーティング層50はステント拡張中の角部48における亀裂および/または層剥離に耐えるために十分に薄く、かつ均一である。
【0024】
本開示による無機物コーティング層は、特定用途に応じて、様々な厚さを有し得る。図4Aおよび図4Bについて、冠状動脈ステントは、80℃での原子層堆積によって、酸化チタンで、5nmまたは30nmのいずれかの厚さに被覆された。図4Aは、ステントの拡張後に得られた画像による、厚さ5nmの酸化チタンコーティングを有するステントの顕微鏡画像を示している。ここで見られるように、酸化チタンコーティングの目に見える亀裂または層剥離は存在しなかった。図4Bは、ステントの拡張後に得られた画像による、厚さ30nmの酸化チタンコーティングを有するステントの顕微鏡画像を示している。ここで見られるように、ステントの拡張後に、高い歪み点においていくらかのコーティングの亀裂および層剥離が存在した。これらの結果に基づいて、いくつかの実施形態において、無機物コーティング層の厚さは30nm未満であり、いくつかの場合には20nm未満である。無機物コーティング層は0.5nmほどの薄さであってもよいが、他の厚さも可能である。ゾルゲル技術のような他の種類のコーティングプロセスは、そのような均一な薄さの無機物コーティングを提供することができないことがある。
【0025】
本発明の無機物コーティング層は亀裂および/または層剥離に耐性を有し得るため、無機物コーティング層は留置中に変形を受ける医療装置を被覆するのに有用である。例えば、ステント、ステントグラフト、カテーテル、バルーンカテーテルおよびガイドワイヤーは、留置の間に有意な変形を受け得る。特定の実施形態において、無機物コーティング層は、患者の体内での留置中における医療装置の変形にもかかわらず、亀裂が入ったり、層剥離したりしない。例えば、本発明の無機物コーティング層を有するステントは、ステントの留置の間に、無機物コーティング層の亀裂または層剥離を生じることなく、拡張を受け得る(例えば直径の少なくとも50%の増大を伴う)。
【0026】
その生体適合性、結晶構造、空隙率(例えばナノ空隙率)、安定性(例えば埋め込みの際の分解性または溶解性)、または基材密着性を含む無機物コーティング層の様々な特性は、コーティング層材料および/または堆積条件の選択により変更され得る。上述のように、本開示の実施形態による無機物コーティング層は、無機窒化物、無機酸化物または金属を含む様々な種類の無機材料を含有する。無機酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素または酸化亜鉛が挙げられる。
【0027】
酸化チタンコーティングは非常に生体適合性であり、かつ低血栓形成性を有することが知られており、そのより良好な耐食性のために、酸化チタンコーティングはステンレス鋼よりさらに生体適合性であり得る。また、酸化チタンコーティングは生物学的に安定であり、埋め込み型医療装置上において恒久的なコーティングとして機能し得る。酸化チタンコーティングの生体適合性、空隙率、表面界面(surface interface)、および/または耐食性はまた、その結晶構造に依存し得る。この点に関して、酸化チタンは非晶形または結晶形で存在し得る。原子層堆積において、酸化チタンの結晶性アナターゼ形は、比較的高い堆積温度(例えば250℃超)で優先的に発現するのに対し、酸化チタンの非晶形は比較的低い堆積温度(例えば150℃未満)で優先的に発現する。
【0028】
酸化チタンコーティング層と比較すると、酸化アルミニウムコーティング層は、水溶液中への浸漬または患者の体内における埋め込みにより、より速やかに分解を受け得る。酸化アルミニウムコーティング層はまた、同一の厚さの酸化チタンコーティング層よりも多孔性であり得る。酸化アルミニウムもまた比較的低い堆積温度で堆積することができる。例えば、酸化アルミニウムは、トリメチルアルミニウムおよび水を用いて、約50℃ほどの温度で原子層堆積によって堆積され得る。
【0029】
特定の実施形態において、前記医療装置におけるコーティングはさらに治療薬を含有する。本発明の無機物コーティング層は、治療薬の放出を制御するためのバリア層として治療薬の上に配置される。前記治療薬は、連続層または不連続層を含めた多くの方法で分散され得る(例えば、前記治療薬はパターン化された層であってもよいし、または島または粒子として分散されていてもよい)。前記治療薬の上に無機物コーティング層が堆積される場合、堆積温度は前記治療薬の熱分解を回避または低減するように選択され得る。例えば、125未満℃の堆積温度は、堆積プロセス中の間に治療薬を維持するために有用であり得る。50℃ほどの堆積温度が用いられてもよいが、他の堆積温度も可能である。
【0030】
図5Aおよび図5Bは無機物コーティング層が治療薬の上にどのように堆積され得るかの例を示している。図5Aは、医療装置の一部60を示している。前記医療装置の一部60に治療薬のコーティングが施される。この例において、前記治療薬は液体溶液で施され、乾燥されると、前記治療薬は粒子62に分散されるようになる。一例として、図6はステント上におけるパクリタキセル粒子の画像を示す。図5Bを参照すると、無機物コーティング層64は、原子層堆積によって、医療装置および治療薬粒子62の上に堆積される。ここで見られるように、無機物コーティング層64は、治療薬の粒子62の上を共形的(conformally)に被覆する。これは、表面に緩く結合した任意の粒子62の付着性を向上し得る。代替の実施形態において、粒子62の代わりに、治療薬は連続層として提供されてもよい。
【0031】
無機物コーティング層64の様々な特性は、無機物コーティング層64の空隙率および/または分解性のような、治療薬の放出速度に影響を与えるであろう。無機物コーティング層64の空隙率および/または分解性はその組成に依存し得る。例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛または酸化ケイ素から形成された無機物コーティング層は、同一の厚さの酸化チタンコーティング層よりも、多孔性であり得る、またはより迅速に(例えば水溶液中への浸漬後または患者の体内への埋め込み後の数日または数週間以内に)分解し得る。一部の例では、前記無機物コーティング層は患者の体内における医療装置の埋め込み後、4週間以内に完全に分解する。
【0032】
さらに、本開示による実施形態の例は、原子層堆積によってステント上に形成された無機物コーティング層を示す図7〜図9の画像に示されている。図7について、金属ステントはパクリタキセル粒子で被覆され、前記パクリタキセル粒子の上には、20nmのAlコーティング層が80℃の温度で原子層堆積によって堆積された。図7の画像はステントの緊縮および拡張の後に得られた。ここで見られるように、Alコーティング層の目に見える層剥離または亀裂は存在しなかった。図8について、金属ステントはパクリタキセル粒子で被覆され、前記パクリタキセル粒子上には、20nmのSiOコーティング層が75℃の温度で原子層堆積によって堆積された。図8の画像はステントの緊縮および拡張の後に得られた。ここで見られるように、SiOコーティング層の目に見える層剥離または亀裂は存在しなかった。図9について、金属ステントはパクリタキセル粒子で被覆され、前記パクリタキセル粒子の上には、5nmのTiOコーティング層が80℃の温度で原子層堆積によって堆積された。図9の画像はステントの緊縮および拡張の後に得られた。やはり、TiOコーティング層の目に見える層剥離または亀裂は存在しなかった。図9のTiOコーティング層は非常に薄いため、パクリタキセル粒子がコーティング層を介して目に見える。
【0033】
図10は原子層堆積によって堆積された無機物コーティング層のバリア特性を試験した実験の結果を示している。50nmのAlコーティング層がパクリタキセル被覆ステント上に原子層堆積によって堆積された。前記Al被覆ステントは、対照として未被覆の(無機物コーティング層によって被覆されていない)パクリタキセル被覆ステントと共に、食塩水溶液中に浸漬され、溶出した薬剤の量が経時的に測定された。未被覆のパクリタキセル被覆ステントについては、ほぼすべての薬剤のほとんど即時の放出が起こった。それに比べて、Al被覆ステントについては、若干の薬剤の即時放出が起こり、その後、約1週間にわたるより長期間の薬物放出が生じた。この長期間の薬物放出は、食塩水中におけるAlコーティング層の溶解を伴うものと考えられる。
【0034】
特定の実施形態において、前記医療装置上におけるコーティングは複数の無機物コーティング層を備える。多数の無機物コーティング層を用いることは、コーティングの特性を変化させる際の制御の付加的な程度を可能にし得る。例えば、多数の無機物コーティング層は、治療薬の放出の制御において互いに協働するように設計され得る。図11に示す実施形態を参照すると、多層コーティングが医療装置の一部70の上に提供されている。多層コーティングは、治療薬層72と、前記治療薬の上に多数の無機物コーティング層とを備える。前記治療薬層72の上には15nmのAl層78が堆積される。次に、前記Al層78の上には非常に薄い0.5nmのTiO層74が堆積される。このTiO層74は非常に薄いので、該層は不連続であり、コーティングの島のみが形成される。次に、前記TiO層74の上に、厚さ1nmのAl層76が堆積される。このプロセスは、治療薬層72の上にAl層とTiO層とを交互に形成するために繰り返される。
【0035】
特定の実施形態において、前記治療薬の上の無機物コーティング層に加えて、本開示のコーティングは無機物コーティング層の下に位置する基材コーティング層をさらに備える。前記基材コーティング層は前記治療薬に接していてもよいし、または前記医療装置の表面と前記治療薬との間に配置されていてもよい(すなわち、基材コーティング層の少なくとも一部が治療薬の下に位置する)。この基材コーティング層は、前記治療薬の担体として機能する、前記治療薬の医療装置の表面との付着性を向上させる、前記治療薬の放出を制御する、または、無機物コーティング層が分解されて治療薬が放出された後に医療装置に対して生体適合性表面を提供することを含めた、様々な機能を果たし得る。この基材コーティング層は、医療装置の表面に直接置かれてもよいし、そうでなければ医療装置の表面を覆うように置かれてもよい(すなわち、医療装置の表面と基材コーティング層との間に介在する層が存在してもよい)。
【0036】
前記基材コーティング層は、本開示の自己制限的堆積プロセスまたは他の適当なコーティング技術によって(例えば原子層堆積によって)形成され得る。例えば、「Medical Devices Having Inorganic Particle Layers」と題された米国特許仮出願番号第61/047,495号(キューリング(Kuehling)らにより2008年4月24日に出願)に記載されているように、前記基材コーティング層は無機粒子の高速衝突(high speed impaction)によって施されてもよい。前記特許文献は、参照によって本願に援用される。前記基材コーティング層は無機物であってもよいし、または有機物(例えば、ポリマー)であってもよい。一部の例では、前記基材コーティング層は治療薬の担体として機能してもよい。例えば、前記基材コーティング層は多孔性ナノ粒子を含有し、その多孔性ナノ粒子中に前記治療薬が含まれてもよい。別の例において、前記治療薬はナノ粒子上に被覆されてもよい。一部の例では、前記基材コーティング層は30nm未満の厚さを有し、0.5nmほどの薄さであってもよいが、他の厚さも可能である。
【0037】
図12A〜図12Cに示す実施形態を参照すると、医療装置の一部80は、原子層堆積によって堆積された酸化チタン基材コーティング層82で被覆される。次に、前記基材コーティング層82は治療薬でスプレーコーティングされ、前記治療薬は、基材コーティング層82上に該治療薬の粒子84を形成する。次に、前記粒子84および基材コーティング層82の上に、ナノ多孔性酸化アルミニウムコーティング層86(すなわちバリヤー層)が原子層堆積によって形成される。
【0038】
前記医療装置が患者の体内へ埋め込まれると、前記ナノ多孔性酸化アルミニウムコーティング層86を介した前記治療薬の初期バースト放出が起こり得る。より長期間にわたって、無機物コーティング層86を介した拡散、並びに無機物コーティング層86の分解による治療薬の継続した放出が生じる。前記無機物コーティング層86の分解および治療薬の放出は、酸化チタン基材コーティング層82が残るまで続く。残った酸化チタン基材コーティング層82は前記医療装置に対して生体適合性表面を提供する。
【0039】
特定の実施形態において、前記医療装置上におけるコーティングは、任意のポリマー材料を本質的に含まない(製造工程中に偶発的に導入されることがあるが、当業者が前記コーティングは任意のポリマー材料を含まないと見なす程度の任意の少量のポリマー材料の存在を除く)。
【0040】
特定の実施形態において、無機物コーティング層は、該コーティングが超親水性になるように、光触媒作用を受けることができる材料を含有してもよい。例えば、酸化チタンコーティングは、「Medical Devices With Selective Coating」と題された米国特許出願公開第2008/0004691号(ヴェーバー(Weber)らによる、出願番号第11/763,770号)に記載された技術を用いて、超親水性および/または疎水性にすることができる。前記文献は、参照によって本願に援用される。例えば、酸化チタンコーティング層を医療装置に施した後に、前記医療装置を暗い環境に配置して前記酸化チタンコーティング層を疎水性し、その後、前記コーティング層(またはコーティング層の選択部分)をUV光に曝露して、前記コーティング層(または選択部分)を超親水性に(すなわちコーティング層上の水滴が5°未満の接触角を有するように)する。超親水性コーティング層は、治療薬を担持するため、医療装置により生体適合性の表面を提供するため、および/または医療装置に対する内皮細胞の付着を促進するために有用であり得る。
【0041】
コーティング層のいくつかの部分を他の部分に対して選択的により親水性または疎水性にすることにより、前記医療装置上に、薬剤または他のコーティング材のような他の材料を、これらの他の材料の親水性または疎水性に基づいて、選択的に塗布することが可能であり得る。例えば、図3Bに参照して、内部コーティング層44をステント40の管腔46内に挿入された光ファイバー線によるUV光曝露によって超親水性にしてもよいし、または外部コーティング層52をステント40の外側をUV光に曝露することによって超親水性することができる。次に、前記コーティング層の超親水性部分の上に、治療薬を含有するヒドロゲルコーティングを施すことができる。
【0042】
本発明によって用いられ得る医療装置の非限定的な例としては、ステント、ステントグラフト、カテーテル、バルーンカテーテル、ガイドワイヤー、神経血管動脈瘤コイル、バルーン、フィルタ(例えば大静脈フィルタ)、代用血管(vascular grafts)、管腔内ペービングシステム(intraluminal paving systems)、ペースメーカー、電極、リード、除細動器、関節および骨インプラント、脊椎インプラント、アクセスポート、大動脈内バルーンポンプ、心臓弁、縫合材、人工心臓、神経刺激装置、人工内耳、網膜インプラントおよび治療用コーティングと共に使用することができる他の装置が挙げられる。そのような医療装置は、脈管構造、胃腸管、腹部、腹膜、気道、食道、気管、結腸、直腸、胆管、尿管、前立腺、脳、脊椎、肺、肝臓、心臓、骨格筋、腎臓、膀胱、腸、胃、膵臓、卵巣、子宮、軟骨、眼、骨、関節などのような、身体構造、体腔、または体内管腔において埋め込まれるか、または別の方法で使用される。前記ステントは、生物学的に安定(例えば、ステンレス鋼製)である、生侵食性(例えば、マグネシウム製)である、または生分解性であるものを含む当業において既知のステントのいずれであってもよい。
【0043】
本発明において用いられる治療薬は、任意の医薬として許容される薬剤(医薬品のような)、生体分子、小分子または細胞であり得る。例示的な医薬品としては、パクリタキセル、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス、エベロリムス、バイオリムスおよびゾタロリムスのような抗増殖剤が挙げられる。例示的な生体分子としては、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質;抗体;オリゴヌクレオチド;二重鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNAのような核酸、アンチセンスDNAおよびRNAのようなアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(small interfering RNA)(siRNA)およびリボザイム;遺伝子;炭水化物;増殖因子を含む血管新生因子;細胞周期阻害剤;および抗再狭窄剤が挙げられる。例示的な小分子としては、ホルモン、ヌクレオチド、アミノ酸、糖および脂質、並びに100kD未満の分子量を有する化合物が挙げられる。例示的な細胞としては、幹細胞、始原細胞、内皮細胞、成人の心筋細胞および平滑筋細胞が挙げられる。
【0044】
前述の説明および例は、単に本発明を例証するために示されており、限定するようには意図されない。開示した態様および本発明の実施形態の各々は、個々に検討されてもよいし、または本発明の他の態様、実施形態および変形例と組み合わせて検討されてもよい。さらに、別段の定めがない限り、本発明の方法の工程は、いかなる特定の実施の順序にも限定されない。当業者には、本発明の精神および内容を組み入れた開示した実施形態の改変が想起され得る。そのような改変は本発明の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングを有する医療装置であって、前記コーティングは、
無機材料を含有する無機物コーティング層を含み、前記無機物コーティング層は30nm未満の厚さを有する、医療装置。
【請求項2】
前記無機物コーティング層は前記医療装置を共形的に被覆している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記医療装置はステントであり、前記ステントの管腔面における無機物コーティング層の厚さおよび前記ステントの外面における無機物コーティング層の厚さは、実質的に同一であるか、または前記ステントの外面の無機物コーティング層の厚さの20%未満だけ異なる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記無機物コーティング層は、原子層堆積によって形成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記コーティングは治療薬をさらに含有し、前記無機物コーティング層は前記治療薬を被覆している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記治療薬の少なくとも50%は、水溶液中の浸漬または人体内における埋め込み後7日間で溶出される、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記治療薬は粒子として分散されており、前記無機物コーティング層は前記治療薬の粒子を共形的に被覆する、請求項5に記載の医療装置。
【請求項8】
前記無機物コーティング層の下に配置された基材コーティング層をさらに備え、前記基材コーティング層は前記治療薬に接しているか、または前記治療薬と前記医療装置の表面との間に配置されている、請求項5に記載の医療装置。
【請求項9】
前記無機物コーティング層は酸化アルミニウムを含有し、前記基材コーティング層は酸化チタンを含有する、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
前記コーティングは任意のポリマー材料を本質的に含まない、請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
医療装置を被覆する方法であって、該方法は、
治療薬のコーティングを有する医療装置を提供することと、
前記治療薬の上に無機物コーティング層を原子層堆積によって堆積させることとを含む、方法。
【請求項12】
前記無機物コーティング層は30nm未満の厚さに堆積される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記無機物コーティング層を堆積させることは、125℃未満の堆積温度で行なわれる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記医療装置を提供することは、
前記医療装置に基材コーティング層を堆積させることと、
前記基材コーティング層に治療薬を堆積させることとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記無機物コーティング層は無機酸化物を含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
管腔面、外面およびコーティングを有するステントであって、前記コーティングは、
前記ステントの管腔面に配置された内部無機物コーティング層と、ステントの外面に配置された外部無機物コーティング層とを備え、
前記内部無機物コーティング層の厚さと、前記外部無機物コーティング層の厚さとが、実質的に同一であるか、または前記外部無機物コーティング層の厚さの20%未満だけ異なる、ステント。
【請求項17】
前記コーティングは前記ステントの上方で共形をなす、請求項16に記載のステント。
【請求項18】
前記内部無機物コーティング層は30nm未満の厚さを有する、請求項16に記載のステント。
【請求項19】
コーティングを有する医療装置であって、前記コーティングは、
治療薬と、
前記治療薬の上に配置された無機物コーティング層とを含み、前記無機物コーティング層は原子層堆積によって形成されている、医療装置。
【請求項20】
前記無機物コーティング層は治療薬に対して多孔性である、請求項19に記載の医療装置。
【請求項21】
前記無機物コーティング層の下に配置された基材コーティング層をさらに備え、前記基材コーティング層は前記治療薬に接しているか、または前記医療装置の表面と前記治療薬との間に配置されている、請求項19に記載の医療装置。
【請求項22】
前記無機物コーティング層は酸化アルミニウムを含有し、前記基材コーティング層は酸化チタンを含有する、請求項19に記載の医療装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−500058(P2013−500058A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521669(P2012−521669)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041348
【国際公開番号】WO2011/011207
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】