説明

原子炉の制御セルのセル摩擦測定基準を判定する方法

【課題】セル摩擦を、原子炉サイクル炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視の一部として管理する方法を提供する。
【解決手段】チャネル面高速フルエンス・チャネル面被制御運転パラメータを、すべてのチャネルについて判定する510。総バウ値を、チャネルごとに、チャネル面高速フルエンスおよび/またはチャネル面制御パラメータに基づいて計算する520。チャネル壁圧力降下パラメータを判定し、総バルジ値を、チャネルごとに、チャネル面高速フルエンスパラメータおよびチャネル壁圧力降下パラメータを使用して計算する530。セルの指定されたチャネル軸方向高度での総変形を、総バウ値および総バルジ値に基づいて判定する540。制御ブレード軸方向摩擦力値を、各軸方向高度で、チャネル剛性値およびチャネル−制御ブレード摩擦係数値と共に総変形に基づいて計算する550。最大摩擦値を、セルのセル摩擦測定基準として選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、原子炉の制御セル(control cell)内の制御ブレードの軸方向移動に関するセル摩擦測定基準(cell friction metric)の判定に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、燃料チャネルを示すための例の燃料バンドルの上面図である。沸騰水型原子炉(BWR)では、燃料バンドル110が、通常、比較的薄く長方形の燃料チャネル120に入れられる。グリッド内で、図1に、燃料バンドル110の2次元(2D)レイアウトが示されており、この2Dレイアウトは、この例では、燃料チャネル120に囲まれた棒グリッド位置115の10×10マトリックスからなる。10×10棒グリッド位置の一部は、燃料バンドル110内の異なる構成要素を示す、より大きい円を形成するために組み合わされている。しかし、そのような詳細は、この議論には関連しない。というのは、図1が、単に、燃料バンドル110を囲む燃料チャネル120を示すために提供されているからである。燃料チャネル120は、BWR炉心内の燃料支持板の上に約165インチ延び、約0.10インチの厚さを有する。
【0003】
図2に、BWRの制御ブレードセル200を見下ろす2D上面図を示す。燃料バンドル110を、燃料チャネル120と一緒に、通常は燃料アセンブリ210と称する。図2に示されているように、BWR炉心内では、4つの燃料アセンブリ210が、1つの十字形の制御ブレード230によって制御される形で位置決めされる。4つのブレードウィング235を有する制御ブレード230は、図2に示されているように、4つの燃料アセンブリ210の中心を通過する。この形で、各チャネル220の2つの面225は、個々の制御セル200内の合計8つの面について、必ずブレードウィング235に面する。BWR炉心は、多数のそのような制御セルすなわち、制御ブレード230の周囲の4つの燃料アセンブリ210のグループの繰り返しとして表すことができ、これらの制御セルは、炉心にまたがって多数の位置に配置される。たとえば、BWR炉心は、通常、数百個の制御セル200および数百個の燃料チャネル220からなる。
【0004】
図3に、制御セル内のチャネルゆがみの2つの機構を示す。図示のために、制御セル200は、図3では間隔をおかれた燃料チャネル220を有し、運転中のBWRでの真の寸法を示さない。燃料チャネル220は、運転中のBWR内のさまざまな放射線応答および機械的応答に起因するチャネル変形を受ける。図3には、2つのそのような種類のチャネル変形すなわち、「バウ(bow)」および「バルジ(bulge)」が示されている。図(a1)および(b1)は、炉心内の所与の軸方向高度での制御セル200の2D上面図であり、図(a2)は、大写しの正面図であり、制御ブレードウィング235に関するチャネル面位置に対するチャネルバウ機構の影響を示し、図(b2)は、大写しの正面図であり、制御ブレードウィング235に関するチャネル面位置に対するチャネルバルジ機構の影響を示す。
【0005】
バウ機構では、チャネル面225が、(a2)に示されているように、ブレードウィングに向かってまたはブレードウィング235から離れてのいずれかで変形し、軸方向には全体的に正弦波の形状を有するが、この全体的な形状の多少の変形が発生し得る。図3では、図(a1)のオフセットした線が、この変形を示し、制御セル200内のバウに起因するチャネル220のオフセットを示し、このオフセットは、単にチャネル220の変位である。バルジ機構では、チャネル220は、図3の図(b2)に示されているように膨らむ。このバルジは、図(b1)に示されているように、チャネル220の4つのすべての面225について外向きである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チャネル変形は、BWRの多数の運転パラメータおよび安全パラメータに影響し、したがって、原子炉サイクル炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視の一部として対処されなければならない。チャネル変形は、チャネル−制御ブレード干渉をもたらす可能性があり、このチャネル−制御ブレード干渉は、ブレード移動中のブレードに対する軸方向摩擦負荷(セル摩擦とも称する)をもたらし、この軸方向摩擦負荷は、制御セル200内の制御ブレード230の動作を妨げる場合がある。
【0007】
図4に、制御セル内のセル摩擦を示す。チャネル−制御ブレード干渉は、図4では、2つの制御セルについて示されており、図4には、炉心を見下ろしているかのように、制御セルの上面図が示されている。図4では、4つのチャネル面が、別の図で後に参照するために、1つのチャネルについて1〜4の番号を付けられている。制御ブレードおよびチャネルの寸法は、制御ブレードウィングと隣接するチャネル面との間にギャップを作るように指定される。左側のセル200は、変形が全くない4つのチャネル220を示し、したがって、中央の制御ブレード230は、製造状態のクリアランスを維持し、したがって、炉心に出入りして(すなわち、ページの平面を通って)自由に移動するのに十分なクリアランスを維持する。その一方で、右側の制御セル200’には、実質的な変形を有する4つのチャネル220’が示されており、この変形は、制御ブレードウィングとチャネルとの間の製造状態のギャップを減らす。チャネルに隣接する2つの面のオフセットした線は、410で実際に互いに触れ、制御ブレード230のためのギャップが残されていない。そのような状態は、チャネル−制御ブレード干渉をもたらす可能性があり、このチャネル−制御ブレード干渉は、制御ブレード230’が制御セル200’に出入りして移動される時に制御ブレード軸方向摩擦力をもたらす。この状態を、「セル摩擦」と称する。BWR内の制御ブレードは、原子炉を安全かつ効率的に運転するのに能動的に使用される。制御ブレード動作に対するすべての妨害が、望ましくない緩和処置につながる可能性がある。そのような処置は、たとえば、最大出力運転戦略にペナルティを与え、失われた発電所利用率および/またはこうむられる置換電力コストをもたらす。したがって、セル摩擦を、原子炉サイクル炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視の一部として管理し(査定し、緩和し)なければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例の実施形態は、原子炉の制御セルのセル摩擦測定基準を判定する方法を対象とする。この方法では、チャネル面高速フルエンス(fast fluence)および/またはチャネル面被制御運転パラメータが、制御セルのチャネルについて判定される。総バウ値が、チャネル面高速フルエンスパラメータおよび/またはチャネル面制御パラメータに基づいてチャネルごとに計算される。チャネルごとに、チャネル壁圧力降下パラメータが、判定され、総バルジ値が、チャネル面高速フルエンスパラメータおよびチャネル壁圧力降下パラメータを使用してチャネルごとに計算される。制御セルの指定されたチャネル軸方向高度での総変形が、総バウ値および総バルジ値に基づいて判定される。制御ブレード軸方向摩擦力値が、チャネル剛性値およびチャネル制御ブレード摩擦係数値と共に総変形に基づいて、各軸方向高度で計算される。最大の摩擦力値が、制御セルのセル摩擦測定基準として選択される。
【0009】
本発明のもう1つの実施形態は、複数のセルを有する原子炉炉心の炉心平均セル平均バウ値を判定する方法を対象とする。この方法では、炉心内のセルごとに、セル平均バウ値が、計算された高速フルエンス勾配によって誘導されたバウ値と計算されたシャドウ腐食(shadow corrosion)によって誘導されたバウ値とのうちの一方または両方に基づいて判定される。判定された値をセルごとに統計的に組み合わせて、炉心平均セル平均バウ値と、炉心の炉心平均セル平均バウの不確実性とを得る。
【0010】
本発明の例の実施形態は、本明細書で下で示す詳細な説明および添付図面からより十分に理解されるようになるが、添付図面では、類似する要素が、類似する符号によって表され、添付図面は、例示のみのために与えられ、したがって、本発明の例の実施形態について制限的ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書で使用される制御セルは、「ブレード−センタードセル(blade−centered cell)」とも称するが、燃料バンドルのグループの間で説明できる制御ブレードとして表すことができる。もう1つの例では、セルは、インスツルメント−センタードセル(instrument−centered cell)として理解することができ、このインスツルメント−センタードセルは、燃料バンドルのグループの間で説明できる機器チューブとして表すことができる。したがって、いくつかの実例のセルは、「インスツルメント−センタード」セルまたはブレード−センタードセルと見なすことができる。というのは、BWRにおいて、いくつかの位置が、4つのバンドルによって囲まれたプラント計装チューブを有するからである。
【0012】
図5は、BWR制御セルのセル摩擦測定基準(CFM)を判定する全般的な方法を示す処理流れ図である。CFMは、BWRの運転サイクルごとの仕様の炉心の設計フェーズ、最適化フェーズ、ライセンス付与フェーズ、および/または監視フェーズのうちの1つまたは複数の間に、制御セルの1つまたは複数のチャネル内のチャネルゆがみおよび結果のセル摩擦の影響を査定し、緩和する手段を炉心設計者に提供する。この例の方法は、炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視に使用される既存の方法またはソフトウェア実装にリンクし、かつ/またはそれにコーディングすることができる。1例として、この方法を、BWR炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視に使用されるコンピュータプログラムの組の一部であるコンピュータソフトウェアモジュール内で実装することができる。
【0013】
一般に、制御セルのセル摩擦測定基準を判定する方法には、総変形とも称する総チャネル面変位値を入手するために組み合わせなければならない複数のチャネル変位を計算することが含まれる。次に、計算された総チャネル変位を使用して、制御ブレードウィングと隣接するチャネルとの間の干渉の量を計算する。摩擦負荷は、計算された干渉値と、干渉依存チャネル剛性値と、嵌合するチャネルの材料および制御ブレードの材料の既知のまたは測定された摩擦係数とを使用して計算される。総チャネル変位(変形)値、チャネル−制御ブレード干渉値、および結果の摩擦力は、セルの軸方向高度ごとに計算することができ、その後、セル摩擦力値またはセル摩擦測定基準を判定することができる。例のセル摩擦方法は、たとえばBWR炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視に使用されるプログラムの一部として、対話型最適化プロセスに使用されるコンピュータプログラムのモジュールの一部として実装することができる。
【0014】
方法500では、設計されまたは評価される炉心の1つまたは複数の制御セルごとに、チャネル壁圧力降下(すなわち、チャネルの内側と外側の圧力の差)、チャネル壁高速フルエンス、および被制御運転パラメータを含むがこれらに限定されない、チャネル変形に影響する運転要因を、PANACEA(登録商標)などの炉心シミュレータを使用してそのような放射線応答および機械的応答を定量化することによって判定510することができる。チャネル面の変形または変位(すなわち、520ではバウ値、530ではバルジ値)を、理論的考慮からまたは経験に基づく関係から分析的に導出された既知の数学的表現と共にこれらの計算された運転パラメータを使用して計算することができる。
【0015】
制御セルの複数の軸方向高度のそれぞれでの総(チャネル面)変形値を、総バウ値および総バルジ値に基づいて判定することができる(540)。セル摩擦力値を、総変形および結果のチャネル−制御ブレード干渉に基づいて、軸方向高度のそれぞれで判定することができる。軸方向高度のそれぞれの計算されたセル摩擦力値の最大値を、その制御セルのセル摩擦測定基準として採用する(550)。セル摩擦力の計算された軸方向分布は、実際に達成される正味セル摩擦に寄与するので、この軸方向分布に対処するために、代替の処理を適用することができる。
【0016】
図6〜8に、図5に示された方法のプロセスフロー機能をより詳細に示す。図6では、機能S100からS200は、ユーザまたは炉心設計者の計算オプションに応じて、高速フルエンスパラメータおよび/またはチャネル被制御運転パラメータを計算するプロセスを示す。図6に示された高速フルエンスパラメータおよび被制御運転パラメータの計算は、標準炉心シミュレータアプリケーションの通常の部分として実行することができ、あるいは、必要な情報を、標準炉心シミュレータアプリケーションの通常の部分として実行される計算からたやすく抽出可能とすることができる。図6には示されていないが、ユーザまたは炉心設計者は、熱膨張、製造状態での応力緩和によって誘導されたチャネルバウ、チャネルねじれ/回転、または製造状態での冷間加工によって誘導されたチャネルバウなど、他のチャネル変形機構に関する計算を選択することもできる。
【0017】
例示として、一般化された高速フルエンス蓄積は、式(1)によって例示される。
【0018】
【数1】

【0019】
式(1)において、FLUNCE(k,i,j,n)は、チャネル(i,j)のチャネル面nの軸方向高度kでのチャネル面中性子フルエンス[中性子/cm]である。炉心座標(i,j)は、炉心内のチャネル位置を一意に識別する。FLUNCEt−1(k,i,j,n)は、現在の時間ステップDTの始めでのフルエンスである。時間ステップDTは、出力を作るためのコアバーン(core burn)を追跡する際の時間増分を表す。FLUXS(k,i,j,n)は、「高速」中性子の特徴を表すために指定されたエネルギレベルを超えるチャネル面中性子束[中性子/cm−sec]である。
【0020】
FLUXS(k,i,j,n)計算は、通常の炉心シミュレーションで実行される標準的な計算の結果の単純な産物である。チャネル照射成長は、特定のチャネル材料に関する蓄積された高速フルエンスの既知の関数であるが、集合組織(texture)、残留冷間加工、およびチャネル水素含量などであるがこれらに限定されないチャネル材料特性の関数でもある。チャネル材料に関する照射成長の関係を計算されたチャネル高速フルエンスと共に用いて、対向するチャネル面の総照射成長を計算することができる。高速フルエンス勾配によって誘導されたチャネルバウは、チャネル幾何形状パラメータと共に、対向するチャネル面の差成長からたやすく計算することができる。代替案では、高速フルエンス勾配によって誘導されたチャネルバウを、チャネルバウ測定値と、個々のチャネルにまたがる計算された照射線量勾配の使用によるなどの蓄積された高速フルエンス勾配の近似とから導出される経験的関係から計算することができる。
【0021】
第2の例示として、一般化されたチャネル面被制御運転パラメータは、式(2)によって例示することができる。
【0022】
【数2】

【0023】
式(2)において、ECBE(i,j)は、被制御運転パラメータであり、ECBEt−1(i,j)は、現在の時間ステップの始めまでに蓄積された被制御パラメータである。LENGTH(i,j)は、係数fによって重みを付けられた、現在の時間増分DTに制御されるチャネル長である。係数fは、チャネルの総滞留時間に依存する有効被制御照射線量重み付け係数であり、0.0から1.0までの範囲にわたることができる。fの定義は、測定されたチャネル変形に対する予測されたチャネル変形の比較から決定される。この係数は、制御ブレードに対するチャネル照射線量の相対的な重要性に対処することができる。というのは、この重要性が、たとえば制御ブレードハンドルによるより大きい寄与などの軸方向感度依存性を反映すると同時にチャネル運転寿命中に変化する可能性があり、あるいは、ピーク高速フルエンスの軸方向位置での制御に伴って変化する可能性があるからである。この一般化されたチャネル面被制御運転パラメータを用いると、制御ブレードシャドウ腐食によって誘導されたチャネルバウを、被制御運転パラメータおよびたとえば総蓄積チャネル平均照射線量などの他の重要な性能パラメータの関数としてのチャネルバウの経験に基づく関係から計算することができる。
【0024】
図7では、機能S200からS330は、全体的に、ユーザまたは炉心設計者によって選択された計算オプション(1、2、または3)に応じた、炉心平均セル平均バウ(BOWAVG)値を判定するための高速フルエンス勾配によって誘導されたチャネルバウおよび/または制御ブレードシャドウ腐食によって誘導されたチャネルバウの計算を記述する。これらの計算は、バウ値を判定するための理論に基づくまたは経験に基づく関係と共に、適当な運転中性子パラメータの炉心シミュレータ計算に基づいて実行される。不確実性値または炉心シミュレータ運転パラメータの関数としての不確実性関係は、測定されたチャネル変形に対する、理論に基づくまたは分析に基づくモデルを用いて予測されたチャネル変形の比較から決定される。
【0025】
機能S200は、チャネルの最初の製造状態での(製造された)バウを考慮に入れる。PANACEA(登録商標)炉心シミュレータなどの既知の炉心シミュレータでは、このパラメータは、1つの包括的な値を割り当てるためのチャネルタイプおよびプラントタイプの依存性を反映する複数の包括的な値に基づく。機能S210、S220、およびS230では、高速フルエンス勾配によって誘導されたバウおよび/またはシャドウ腐食によって誘導されたバウの計算が、炉心内のチャネルごとに、各軸方向高度で各チャネル面で実行される。高速フルエンス勾配によって誘導されたバウは、対向するチャネル面の差成長歪みから計算される。図4の番号を付けられたチャネル面からわかるように、面の2つのそのような組すなわち、チャネル面1−3および面2−4がある。チャネル成長歪みは、各チャネル面への高速フルエンスによって誘導される。高速フルエンスの関数としてのジルカロイ照射成長の経験的相関を、下で、理論に基づくまたは経験に基づく関係と共に、中性子パラメータの使用を例示するために式の組(3)に示す。
GROW(k,i,j,n)=C1*G*Max(RL,RH) (3)
ただし、
G=C2+C3*(FLUNCE(k,i,j,n))C4、FLUNCE(k,i,j,n)≦C5 n/cmの場合
=C6+C7*(FLUNCE(k,i,j,n)+C15*(FLUNCE(k,i,j,n))C16
+C8*(FLUNCE(k,i,j,n))C9
それ以外の場合
RL=C10+C11T+C12T2
RH=C13+C14T
上の式の組(3)において、GROW(k,i,j,n)は、無次元成長歪みであり、Tは、照射温度であり、係数C1からC16は、理論的基礎および経験的基礎を有する。無次元成長歪を使用することによって、高速フルエンス勾配によって誘導されたバウを、単純な数学的関係を使用して計算することができる。これらの関係は、原子炉技術の当業者に既知であり、したがって、説明を簡潔にするために省略する。代替案では、高速フルエンス勾配によって誘導されたチャネルバウを、チャネルバウ測定値と、個々のチャネルにまたがる計算された照射線量勾配の使用によるなどの蓄積された高速フルエンス勾配の近似とから導出される経験的関係から計算することができる。
【0026】
シャドウ腐食バウは、PANACEA(登録商標)炉心シミュレータでは、上で示したチャネル面被制御運転パラメータECBE(i,j)に依存する一般化された非線形モデルとして特徴を表される。このモデルの例示が、次の多項式関係である。
【0027】
【数3】

【0028】
式(4)では、μは、シャドウ腐食バウの量であり、蓄積されたチャネル照射線量にも依存する。チャネル照射線量は、そのチャネルが運転中の炉心にどれほど長く滞留したかを表す。この関係の係数A3、A4、A5、...およびチャネル照射線量依存性は、予測されたチャネル変形と測定されたチャネル変形の比較から決定され、異なる原子炉クラス、セル幾何形状、および水の化学的性質の環境について異なる場合がある。
【0029】
炉心平均セル平均バウ(BOWAVG)値は、通常、ブレードウィングに面するすべてのチャネル面のすべての軸方向高度からの最大バウ値を使用して計算される。BOWAVG計算は、当技術分野で周知であり、プラントのライセンス付与に必要である。
【0030】
図8では、チャネル壁圧力降下および総バルジ(弾性およびクリープ)を、PANACEA(登録商標)などの炉心シミュレータで経験的基礎および/または数学的/物理学的基礎と共に諸式を使用して、チャネルバルジ変形に影響する計算された核運転条件および機械的運転条件を直接に反映することによって計算する[S300]ことができる。たとえば、チャネル高速フルエンス、チャネル壁圧力降下、およびチャネル照射線量は、チャネルバルジ変形に影響する計算された核運転条件および機械的運転条件を表す。計算されたチャネル高速フルエンス値、チャネル壁圧力降下値、およびチャネル照射線量値は、バルジの弾性成分およびクリープ成分を計算するのに使用される。総バルジは、弾性成分およびクリープ成分の合計である。
【0031】
S300aに示されているように、各制御セル内で、その制御セルの各軸方向高度で、機能S301からS306を実行する。各軸方向高度で、機能S301からS305bを、その軸方向位置でブレードウィングに面する8つの面(4つのチャネルについて1チャネルあたり2つ)のそれぞれについて実行する。
【0032】
制御セル内の所与の軸方向高度の面ごとに、チャネルゆがみのすべての源(図6のS110、S120、またはS130のうちの1つからの結果と、図7のS213、S223、またはS233のうちの1つからの結果)を、機能S310で組み合わせて、総変形を得る。一般に、図8の機能S302からS307は、この総変形を使用して、変形の不確実性を計算し(図8のS303a、S305b、およびS305d)、公称のおよび統計的な上界チャネル−ブレード干渉ならびに結果の軸方向摩擦力をも計算する(図8のS303、S304、S305、S305b、S305c、およびS306)。セル摩擦力を、すべてのチャネル面について各軸方向高度で計算し(S306)、1つのセル内のすべての軸方向高度からの最大の力を、そのセルのセル摩擦測定基準として採用する(S307)。
【0033】
チャネル高速フルエンスパラメータおよびチャネル被制御運転パラメータの計算(機能S110、S120、およびS130)と、高速フルエンスチャネルバウおよびシャドウ腐食によって誘導されたバウの計算(S210、S220、S230)と、バウの不確実性の計算(S212、S222、S232)と、弾性バルジおよびクリープバルジの計算(S300)と、セル摩擦測定基準の計算(機能S301、S302、S303、S304、S305、S305c、S306、およびS307)と、CFMの不確実性の計算(機能S303a、S305a、S305b、S305d)は、理論的基礎または経験的基礎を有する一般化された式に基づく。そのような式は、原子炉技術の当業者に既知であるか、原子炉技術の当業者によってたやすく導出され、したがって、説明を簡潔にするために省略する。
【0034】
図9は、特定のチャネル応用例に関する支持する技術的基礎の例を示すための、測定されたチャネルバウ対予測された高速フルエンス勾配によって誘導されたバウのグラフである。図9は、予測された核運転条件およびチャネル材料の測定された物理的特性に基づいてPANACEA(登録商標)炉心シミュレータによって予測されたチャネルバウに対する測定されたチャネルバウの比較を表す。図9の実線は、予測値と測定値との間の完全な一致を表す。記号は、チャネル面ごとの予測されたバウと測定されたバウの実際の比較を表し、実線の周囲の記号の散乱は、バウ予測の不確実性を表す。
【0035】
したがって、上で説明したように、使用可能な技術的現状のモデルが、チャネルゆがみの各成分を計算する。この例の方法が、高精度炉心シミュレーションコード(PANACEA(登録商標)炉心シミュレータなど)に結合され、チャネルゆがみ計算への入力と強いて炉心シミュレーション結果を使用するように構成される場合に、改善された頑健性を達成することができる。たとえば、チャネル壁高速フルエンスおよびチャネル壁圧力降下を、チャネルが運転される時に、明確に確立された経験的基礎および/または数学的/物理学的基礎を有する式からなる一般的方法の組を使用して計算することができる。そのような式は、原子炉技術の当業者に周知であり、したがって、説明を簡潔にするために省略する。この例の方法での炉心シミュレーション結果のそのような使用は、計算されたチャネル変形がそのチャネルの実際の運転または計画された運転を反映することを保証する。
【0036】
次に、チャネルゆがみの異なる成分を一緒に加算して、チャネルの各面での総変形の最良の推定値を与えることができる(図8のS301を参照されたい)。この最良の推定値を、それに関連する不確実性と組み合わせて、安全性パラメータの評価用のチャネルゆがみ入力をもたらすことができる。たとえば、炉心平均セル平均バウ(BOWAVG)およびその不確実性が、安全限界最小限界出力比(MCPR)計算への入力のために計算される。もう1つの例では、制御セル内の8つのチャネルのゆがみすなわち、ブレードウィングに面する8つのチャネル面(4つのチャネルについて1チャネルあたり2面)のゆがみを組み合わせて、チャネル−制御ブレード干渉とそのブレードへの結果の軸方向摩擦力を入手することができる。
【0037】
最良の推定チャネル面ゆがみの計算を用いて、公称のまたは期待されるセル摩擦力を計算することができる(図8のS305c)。計算されたパラメータに不確実性を含めることによって(図8のS305b)、セル摩擦力の統計に基づく上界値(図8のS306)を、下の例の式の組(5)に示されているように計算することができる。
Upper =FNominal+Tσ (5)
ただし
Upper =統計に基づく上界制御ブレード摩擦力
Nominal=公称制御ブレード摩擦力
T =統計的係数
σ =セル摩擦の不確実性
式の組(5)では、セル摩擦力の不確実性(σ)を、モンテカルロシミュレーションまたは標準的な誤差の伝搬などの従来の統計的方法を使用して、既知の入力パラメータ不確実性に基づいて判定することができる。統計的係数Tは、所望のレベルの統計的信頼を提供するように選択され、高い摩擦を有する制御ブレードに関する原子炉内の経験の特性記述を基礎として決定することができる。すべての軸方向高度からのセル摩擦力(FUpper)の最大値が、セル摩擦測定基準(CFM)として採用される(図8のS307を参照されたい)。
【0038】
統計的係数Tは、機能S305bおよびS306での計算に含めることができる。統計的係数Tは、この例の方法の結果の表現の統計的信頼を高めるために、高い干渉および高い摩擦を有するブレードに関する使用可能な産業界の経験を利用する。したがって、この例の方法は、干渉および摩擦力の予測について使用可能な最良の態様を利用し、それと同時に、問題制御セルに関する実際の産業界の経験を反映することによって高いレベルの統計的な確かさを提供する。
【0039】
図10Aおよび10Bに、エネルギサイクルを介してBWR炉心が運転される時の炉心平均セル平均バウとその標準偏差とを示す。セル平均バウは、ある制御セル内の8つのチャネル面の最大バウの平均値として計算される。いくつかの例で、セルを、ブレード−センタードセルではなく「インスツルメント−センタード」セルと見なすことができる。というのは、BWRにおいて、いくつかの位置が、4つのバンドルによって囲まれたプラント計装チューブを有するからである。しかし、同一の概念が、インスツルメント−センタードセルにあてはまる。
【0040】
炉心平均セル平均バウは、セル平均バウの統計的サンプリングを行うことによって計算され、ここで、このサンプリングには、制御セル内の8つのチャネル面の最大バウに関する不確実性が含まれる。さらに、このプロセスには、寿命のどの時にも指定された最小値を超えるバンドル出力を有するセルだけが統計的サンプリングに含まれるという要件を含めることができる。図10Aを参照すると、炉心平均セル平均バウBOWAVG(1)および図10Bのその標準偏差BOWAVG(2)は、炉心が燃焼する時のサイクル照射線量の関数として、mil(1インチの1/1000)単位で示されている。サイクルの始め(BOC)での負の約−15milからサイクルの終り(EOC)での正の24milまでのBOWAVG(1)の漸進的な遷移が観察される。それに対応して、BOWAVG(2)は、BOCでの約5milからEOCでの約38milまで増加する。
【0041】
図10Aでは、チャネルバウの「最良推定値」を、関連する不確実性およびその不確実性の中での統計的サンプリングと共に、BOWAVGを得るのに使用することができ、これらの値は、高い度合の統計的な確かさを有する。高速フルエンス勾配によって誘導されたバウとシャドウ腐食によって誘導されたバウの両方を、この分析に含めることができる。これらの値は、原子炉炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視の他の態様に関連する入力である。たとえば、バンドル出力計算を含む、中性子計算に使用される核物質断面は、チャネルバウの関数である。もう1つの例で、安全限界最小限界出力比(MCPR)計算は、高速フルエンス勾配によって誘導されたバウおよびシャドウ腐食によって誘導されたバウの不確実性を利用する。
【0042】
図11に、BWR炉心のセル摩擦を査定する、例の出力表示を示す。この例では、図11は、BWR炉心内のすべての制御セルのセル摩擦測定基準マップを示す。セルは、この図ではレベル0〜3として示されたCFM重大度の異なるレベルを示すために、カラーコーディング(または別の判断基準によって区別)することができる。同一の情報を、制御セルごとに重大度キーを含めることによって表示することができる。
【0043】
1つの例の応用例で、結果データを、ユーザコマンドを介して、査定用の所望の表示結果に出力することができる。もう1つの例で、結果データを、炉心内の全制御セルのあるレベルを超えるCFMを計算し、緩和するための自動化されたプロセスでこの例の方法を実施するように設計されたコンピュータプログラムの組の一部として保管することができる。図11には、水平の棒または垂直の棒によって、運転中に遭遇した実際の問題セルも示されている。この視覚的な例では、水平の棒は、セル摩擦が垂直の棒を有する制御セルと比較してより重大である制御セルを表す。
【0044】
図11を参照すると、各番号は、制限する値に対して正規化された、その制御セルの計算されたCFM値を表す。CFMレベル3は、レベル1より重大である。たとえば、レベル3は、動作不能ブレードの設計限度または重大度閾値とすることができ、レベル1は、安定しないブレード(no−settle blade)の可能性に関する重大度閾値とすることができる。レベル0は、非常に高いレベルの統計的信頼で、その制御セルに高いセル摩擦の危険性がないことを示す、最も重大でないレベルである。
【0045】
図11に示されているように、ユーザまたは炉心設計者は、計算されたCFM値に基づいて、異なるレベルの重大度を有するチャネル(バンドル)をグループ化することができる。そのようなグループ化は、各グループの緩和処置を定式化する際にユーザまたは炉心設計者を援助することができる。たとえば、理論に基づく閾値を使用して、異なるレベルをセットすることができる。ユーザは、たとえばプラント固有運転経験の入手可能性に基づいて、経験に基づく閾値を使用するオプションも有する。理論に基づく閾値は、より高い経験に基づく閾値を使用することに信頼がある時に、ユーザまたは炉心設計者によって調整できる保守的な推定値として採用されるはずである。
【0046】
問題セルの個数を減らすことは、チャネルゆがみの懸念およびセル摩擦の懸念を管理することの経済的側面に重大な影響を有する。これに関して、この例の方法は、ユーザが望む信頼の度合に基づいてそれらの懸念を緩和するための柔軟性を提供する。ユーザは、図11の例では各セルのCFMだけを見るが、CFMに寄与する異なるチャネルゆがみ成分に基づいて1つまたは複数の特定のセルの問題の大きさを査定する、炉心シミュレータ出力ファイル内でユーザが使用でき、アクセスできる詳細な情報がある。
【0047】
たとえば、CFMに関する詳細な軸方向情報が、セルの異なる軸方向高度での問題の重大度を査定するのに利用可能であり、ここで、軸方向高度は、炉心シミュレーションのために事前にセットされている。さらに、CFMに寄与する変形および不確実性に関する詳細な情報が、制御セル内の4つのチャネルのそれぞれについて炉心シミュレータ出力ファイル内で利用可能である。この情報は、原子炉サイクル炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視のさまざまなステージ中に緩和処置を定式化し、実施する際にユーザを援助することができる。1例として、炉心設計ステージ中および/または炉心最適化ステージ中に(ここで、炉心構成が設計されまたはモデル化されつつある)、チャネル(バンドル)を、問題チャネルを単一のセル内に一緒に置くか再チャネル化のために「犠牲セル」を作成するようにセルのグループに置くように配置することができる。代替案では、すべてのセルの干渉および摩擦を最小にする努力において、問題チャネル(バンドル)を炉心全体に分散させることができる。所望の制御ブレード監視戦略を確立するために、この例の方法は、炉心が燃焼する時に、確立された判断基準に基づく単純で柔軟な形で、疑わしいセルを識別する能力を提供することができる(たとえば、図11に示されているように)。
【0048】
したがって、本明細書で説明したように、原子炉の制御セルのセル摩擦測定基準を判定するこの例の方法は、1セル内の1つまたは複数のチャネルからのゆがみの影響を緩和することができる。というのは、このゆがみが、セル制御ブレードとの干渉を生じ、おそらくは制御セル軸方向摩擦と制御ブレード移動を妨げることとにつながるからである。
【0049】
この方法では、特定のチャネル軸方向高度でのチャネル面変位を、チャネルバウおよびチャネルバルジを含むがこれらに限定されない、チャネル材料の既知の物理的特性およびチャネル運転条件から計算することができる。制御セルに関する例では、チャネル面変位を、個々の制御セル内の制御ブレードウィングに隣接する8つのチャネル面のそれぞれについて計算することができる。個々の制御ブレードウィングとその2つの隣接するチャネルとの間の、各軸方向高度での干渉は、その軸方向高度での計算されたチャネル面変位から計算される。チャネル−制御ブレード干渉を、同様に、セル内の制御ブレードウィングごとに計算して、各軸方向高度での総干渉を判定することができる。
【0050】
特定の軸方向高度でのセル摩擦を、その軸方向高度での計算された総チャネル−制御ブレード干渉から、ならびに既知のチャネル剛性と嵌合するチャネル材料および制御ブレード材料の既知の摩擦係数とから、計算することができる。次に、制御セル内の複数の軸方向高度のそれぞれでのそのような総変形、干渉、およびセル摩擦を、判定することができる。すべての軸方向高度での計算されたセル摩擦力の最大値が、その制御セルのセル摩擦測定基準として選択される。
【0051】
したがって、この例の方法は、運転中の原子炉サイクル炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視のさまざまなステージ中にチャネルゆがみの懸念およびセル摩擦の懸念に焦点を合わせる手段を提供することができる。チャネルゆがみおよびセル摩擦の重大度を定量化する(セル摩擦測定基準によって)能力は、炉心設計判断を行うための、ならびに/または計算されたおよび計画されたチャネル運転に基づいて緩和処置を講じるための基礎を提供する。この例の方法を、炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視に使用される既存の方法にリンクし、これにコーディングすることができる。たとえば、この方法を、炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視に使用される既存コンピュータプログラムの組の一部であるコンピュータソフトウェアモジュール内で実装することができる。
【0052】
したがって、本発明の例の実施形態を説明したので、この実施形態を多数の形で変更できることは明白である。そのような変形形態は、本発明のこの例の実施形態の趣旨および範囲からの逸脱と見なされてはならず、当業者に明白な修正形態のすべてが、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】燃料チャネルを示すための例の燃料バンドルを示す上面図である。
【図2】BWRの制御セルを見下ろして示す2D上面図である。
【図3】制御セル内のチャネルゆがみの2つの機構を示す図である。
【図4】制御セル内のセル摩擦を示す図である。
【図5】BWRの制御セルのセル摩擦測定基準を判定する全般的な方法を示す処理流れ図である。
【図6】図5に示された方法のプロセスフロー機能をより詳細に示す図である。
【図7】図5に示された方法のプロセスフロー機能をより詳細に示す図である。
【図8】図5に示された方法のプロセスフロー機能をより詳細に示す図である。
【図9】特定のチャネル応用例に関する支持する技術的基礎の例を示すための、測定されたチャネルバウ対予測された高速フルエンス勾配によって誘導されたバウを示すグラフである。
【図10A】運転サイクル中に炉心が進行する時の炉心平均セル平均バウとその標準偏差とを示す図である。
【図10B】運転サイクル中に炉心が進行する時の炉心平均セル平均バウとその標準偏差とを示す図である。
【図11】原子炉サイクル炉心の設計、最適化、ライセンス付与、および監視中にセル摩擦を査定し、緩和する際に使用される、BWR炉心内のすべての制御セルのセル摩擦測定基準の例の出力表示を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
110 燃料バンドル
115 棒グリッド位置
120 燃料チャネル
200 制御セル
(a1) 制御セルの2D上面図
(b1) 制御セルの2D上面図
200’ 制御セル
210 燃料アセンブリ
220 燃料チャネル
220’ 燃料チャネル
225 チャネル面
(a2) 大写しの正面図
(b2) 大写しの正面図
230 制御ブレード
230’ 制御ブレード
235 ブレードウィング
410 2つの面に隣接するチャネルが接する点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の制御セルのセル摩擦測定基準を判定する方法であって、
前記制御セル内のチャネルごとに、チャネル面高速フルエンスパラメータおよびチャネル面被制御運転パラメータのうちの一方または両方を判定すること(510)と、
前記制御セル内のチャネル面ごとに、複数のチャネル軸方向高度のそれぞれで、総バウ値を計算すること(520)と、
前記制御セル内のチャネル面ごとに、各チャネル軸方向高度で、総バルジ値を計算すること(530)と、
前記制御セルの各チャネル軸方向高度で、前記総バウ値および前記総バルジ値に基づいて、総変形を判定すること(540)と、
前記軸方向高度のそれぞれで、前記総変形に基づいて、セル軸方向摩擦力値を計算すること(550)と、
前記計算されたセル摩擦力値の最大値を、前記制御セルの前記セル摩擦測定基準として選択することと
を含む方法。
【請求項2】
チャネルゆがみと前記セルの制御ブレードの運転に対する結果の制御ブレード軸方向摩擦負荷との重大度を査定するために、複数の重大度閾値に対して前記セル摩擦測定基準を比較することをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
総バウ値を計算することが、炉心内の各セルの計算された高速フルエンス勾配によって誘導されたバウ値(S212)および計算されたシャドウ腐食によって誘導されたバウ値(S222)のうちの一方または両方に基づいて炉心平均セル平均バウ値を判定すること(S233)を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記セル平均バウ値を判定することが、
前記セル内のチャネルごとに高速フルエンス勾配によって誘導されたバウ値を計算すること(S210)と、
総バウ値を得るために、前記高速フルエンス勾配によって誘導されたバウを最初の製造されたバウ値に加算すること(S211)と、
高速フルエンス勾配バウ不確実性値を計算すること(S212)と、
前記セル平均バウ値とセル平均バウの不確実性とを判定するために、前記総バウ値をその計算された不確実性と組み合わせること(S213)と
を含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
セル平均バウ値を判定することが、
前記セル内のチャネルごとにシャドウ腐食によって誘導されたバウ値を計算すること(S220)と、
総バウ値を得るために、前記シャドウ腐食によって誘導されたバウを前記セルの最初の製造されたバウ値に加算すること(S221)と、
シャドウ腐食バウ不確実性値を計算すること(S222)と、
前記セル平均バウ値とセル平均バウの不確実性とを判定するために、前記総バウ値をその計算された不確実性と組み合わせること(S223)とを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項6】
セル平均バウ値を判定することが、
前記セル内のチャネルごとに高速フルエンス勾配によって誘導されたバウ値およびシャドウ腐食によって誘導されたバウ値を計算すること(S230)と、
総バウ値を得るために、前記高速フルエンス勾配によって誘導されたバウ値および前記シャドウ腐食によって誘導されたバウを前記セルの最初の製造されたバウ値に加算すること(S231)と、
高速フルエンス勾配バウ不確実性およびシャドウ腐食バウ不確実性値を計算すること(S232)と、
前記セル平均バウ値とセル平均バウの不確実性とを判定するために、前記総バウ値をその計算された不確実性と組み合わせること(S233)とを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記制御セルの前記総バルジ値を計算することが、
前記制御セルの制御ブレードのブレードウィングに面しているチャネルの面ごとに、各軸方向高度で弾性バルジ値およびクリープ値を計算すること(S300)と、
ブレードウィングに面するチャネル面ごとの各軸方向位置での総変形値を有するために、ブレードウィングに面しているチャネルの各面での軸方向高度ごとに前記総バウ値および前記総バルジ値を加算することを含めるために総変形を判定すること(S301)とを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記軸方向高度のそれぞれでセル摩擦力値を計算することが、
ブレードウィングに面しているチャネルの各面での各軸方向高度で、公称摩擦力値(S303)および摩擦力値の不確実性(S305b)を判定することと、
前記所与の軸方向高度での前記セルの公称上界摩擦力値(S305c)および統計的上界摩擦力値(S306)を判定するために、すべての面の前記公称摩擦力値および前記不確実性を組み合わせることを含むことを特徴とする請求項7記載の方法。と
【請求項9】
公称摩擦力を判定することが、
各軸方向高度で、その軸方向高度での前記総変形に基づいて、所与のチャネル面とそれに面する制御ブレードウィングとの間の公称干渉値を計算すること(S302)と、
各面の前記計算された干渉およびチャネル−制御ブレード摩擦係数に基づいて、チャネル剛性値を使用して、前記計算された公称干渉値を公称摩擦力値に変換すること(S303)とを含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
上界摩擦力を判定することが、
各軸方向高度で、その高度での前記総変形に基づいて、所与のチャネル面とそれに面する制御ブレードウィングとの間の上界干渉値を計算することと、
各面の前記計算された干渉およびチャネル−制御ブレード摩擦係数に基づいて、チャネル剛性値を使用して、前記計算された上界干渉値を上界力値に変換することとを含むことを特徴とする請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−203162(P2008−203162A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41548(P2007−41548)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】