説明

原料の貯留槽

【課題】 加熱処理をされるべき原料を貯留しつつ加熱炉へ落下供給する貯留槽において、可動部分を一切なくし、完全に外部との流通を遮断できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 粉粒状の原料Mを加熱処理するための加熱炉10の上方位置に配され、原料を外部から受けて所定量だけ貯留しつつ該原料を供給管40を介して上記加熱炉10へ連続落下供給する原料の貯留槽30において、貯留槽30は槽本体の内部空間が仕切壁31により上室32と下室33に仕切られており、該仕切壁31には上室32と下室33とを連通せしめる連通筒37が下室33へ突入して設けられ、上記上室の上部には外部から原料を投入する原料投入口34が設けられ、上記下室33の下端側には原料を加熱炉10へ落下供給する供給管40が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料の貯留槽、特に、外部から受け貯留せる粉粒状の原料を加熱処理するための加熱炉へ該原料を連続落下供給する原料の貯留槽に関する。
【背景技術】
【0002】
原料を加熱処理するための竪型焼成炉へ原料を連続落下供給する貯留槽が特許文献1に開示されている。
【0003】
この貯留槽は、焼成炉の上方位置に配せられ、該焼成炉とは複数の供給管で接続されていて、原料はこの供給管を介して焼成炉の炉床上へ堆積するように連続落下供給される。
【0004】
この特許文献1の貯留槽は、上部貯留槽と下部貯留槽に分離されて別途独立した槽として形成されており、両槽は一つの管で接続されている。この管には気密を保ちながら原料の落下を許容するロータリバルブが設けられている。上部貯留槽は外部から原料を受けるようになっており、この上部貯留槽から上記ロータリバルブを経て下部貯留槽へ原料が所定量だけ供給され、さらに該下部貯留槽から上記供給管を経て焼成炉へ原料が落下供給される。
【0005】
上記下部貯留槽には、ブロワーが接続されていて該下部貯留槽内の上部空間の空気を吸引することにより、該下部貯留槽内の圧力を降下させて焼成炉の炉床上の上部空間の圧力と同程度としている。
【特許文献1】特開平8−337447(図1、段落[0029],[0035])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の貯留槽にあっては、ロータリバルブの回転により原料を上部貯留槽から下部貯留槽へ所定量だけ供給する際、ロータリバルブ内には、常時原料が存在しており、該ロータリバルブより上方に存在する上部貯留槽内の原料と相俟って、下部貯留槽内の空間は大気圧となっている上部貯留槽内の空間とは遮断されるようになっている。
【0007】
一方、焼成炉の炉床上に堆積されている原料より上方の炉内空間は、燃焼後の排ガスが外部へ吸引されるので負圧となっている。上記下部貯留槽内の空間は、大気圧である上部貯留槽内の空間とは遮断されているので、供給管内の原料粒子間の狭空間を経て上記炉床上の空間の負圧を減じて大気圧に近づいてしまうという影響度も小さい筈である。
【0008】
しかしながら、ロータリバルブは、回転機構を有しているため、その機構における気密性が完璧とは言えず、又、バルブ内には仕切羽根の直下に若干の空隙が存在するため、外部の大気が流入してくる傾向が避けられない。したがって、上記の炉床上の負圧も、実際には減じて大気圧に近づいて、炉内から炉床上の原料を通過して上昇する排ガスの流通が悪くなる。
【0009】
さらには、上述のごとく、ロータリバルブは回転機構を有しているので、その回転部分に原料の細かい粒子が噛み込んで、回転が円滑に行われなくなるという事態が生ずることもある。
【0010】
本発明は、このような事態に鑑み、可動部分を一切なくして完全に外部との流通を遮断できる原料の貯留槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る原料の貯留槽は、粉粒状の原料を加熱処理するための加熱炉の上方位置に配され、原料を外部から受けて所定量だけ貯留しつつ該原料を供給管を介して上記加熱炉へ連続落下供給する。
【0012】
かかる原料の貯留槽において、本発明では、貯留槽は槽本体の内部空間が仕切壁により上室と下室に仕切られており、該仕切壁には上室と下室とを連通せしめる連通筒が下室へ突入して設けられ、上記上室の上部には外部から原料を投入する原料投入口が設けられ、上記下室の下端側には原料を加熱炉へ落下供給する供給管が接続されていることを特徴としている。
【0013】
このような構成の本発明では、貯留槽及び該貯留槽と加熱炉とを接続する供給管には可動部が一切無い。又、供給管は外部と完全に遮断されている。
【0014】
可動部がないということは、単に構造が簡単で安価になるということにとどまらず、従来のような可動部への原料粒子の噛み込むような部位がなくなり、又、可動部での隙間がないために外部との遮断が完璧に行われて、外部との空気の流通を防止して内部の負圧が減じないということである。
【0015】
かかる本発明では、原料は外部から貯留槽の上室へ適宜供給され、上室からは連通筒を通じてほぼ定量の原料を連続して下室へ落下する。そして下室からは供給管を通じて原料は加熱炉へ落下供給される。上記下室は該連通筒内部を除いて仕切壁により上部とは完全に仕切られており、又連通筒内及び供給管内は原料が充満しているので下室は完全に外部と遮断されることとなる。
【0016】
本発明において、連通筒は、加熱炉への原料の供給量に応じて、複数設けられていることとすることができ、その場合、複数の連通筒は槽本体の縦方向軸線を中心とした円上で等間隔に設けられていることが好ましい。こうすることにより、原料は下室へ、ひいては加熱炉へ均一に供給される。
【0017】
さらには、本発明において、槽本体は、下室の上部空間と槽外空間とを連通する吸気口が設けられ、槽外に設けられた吸気手段が上記吸気口に接続されていることが好ましい。下室に連通する連通筒そして供給管内それぞれ原料が充満していて、下室は完全に下室外と遮断されている筈であるが、原料の粒子サイズが大きくなると粒子間の隙間を介して外部と通じて若干なりとも下室内の負圧が大気圧に近づくこともあるので、これを確実に一定した負圧とするために、低能力でよいが吸気手段が接続されていることが好ましい。
【0018】
その場合、吸気口は、上下方向にて、仕切壁と連通筒の下端との間に位置していることが好ましい。連通筒の下端より下方に安息角をもって原料が下室の底壁上に堆積されるので、仕切壁と連通筒の下端の間は空間となり、吸引が効果的に行われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のごとく、槽本体を仕切壁により上室と下室に区分し、両室を連通筒で連通せしめることとしたので、可動部分が一切存在しなくなり、槽本体は少なくとも下室において外部とは完全に遮断されて大気の流入はなくなると共に、可動部分での原料の噛み込みによる運転上の不具合もなくなる。さらには、構成が簡単であるので装置が安価に製造でき、故障原因もなく保守がきわめて楽になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面の図1にもとづき、本発明の一実施形態を説明する。
【0021】
図1において、加熱炉10の上方位置に貯留槽30が設けられており、両者は供給管40にて接続されている。
【0022】
本発明において、加熱炉10は、竪型あるいは横型等、その形式に限定はなく、本実施形態では竪型加熱炉として示されている。
【0023】
加熱炉10は回転部11と非回転部12とから成っている。回転部11は縦軸線13を中心として回転する筒状の炉本体14と、該炉本体14の上端から半径外方に拡がる環円板状の炉床15とを一体に有している。炉本体14と炉床15とは、耐熱材料で作られていて、炉床15上で予熱を受けた原料が炉本体14へ落下して、炉本体14内で焼成等の加熱処理を受けるようになっている。この回転部11における構成は、本発明とは直接係り合いがないので、これ以上の説明は省略する。
【0024】
非回転部12は、上記縦軸線13まわりに形成され耐熱材料で作られた外筒部16と、該外筒部16内に半径方向に間隔をもって同心に配された内筒部17と、該内筒部17と一体的に該内筒部17内に設けられた炉蓋18とを有している。
【0025】
上記外筒部16の下端と上記炉床15の外周とは、互の相対回転を許容しつつ両者間の間隙をシールするシール装置、例えば、水シール装置19によりシール接続されている。又、上記外筒部16には、周方向の複数位置に、半径方向に延びるロッド状のプッシャ20がその長手方向(上記半径方向)に往復動可能に設けられており、炉床15上に堆積され予熱を受けた原料を該プッシャ20により逐次炉本体14内へ落下せしめるようになっている。
【0026】
上記内筒体部7は外筒部16と同心をなして配されているが、該内筒部17は高さ方向で外筒部16の中間位置までしか垂下しておらず、その下端に上記炉蓋18が接続している。炉蓋18には、上記縦軸線13上に、バーナ21と燃焼用空気供給管22とが設けられ、また周囲の天板状部分18Aには、周方向の複数位置に原料の供給管40が貫通して設けられている。又、上記天板状部分18Aには、上記供給管40よりも半径方向外側部分に排気管24が接続されている。
【0027】
上記外筒部16と内筒部17、そして炉床15と天板状部分18Aとで包囲される環状空間では、上記供給管40から落下供給された原料Mが炉床15上に堆積層を形成する。この堆積層は内筒部17の下端と炉床15との間で半径内方に開放されている部分で安息角を形成する。
【0028】
貯留槽30は、槽本体が縦方向に延びる筒体をなし、上下方向中間位置で略水平な仕切壁31を有し、この仕切壁31により上壁32と下室33とに区分されている。
【0029】
上室32は上部に原料投入口34が設けられている。又、下室33は、その底壁に上記複数の供給管40が接続されており、上記加熱炉10の炉床15上の空間へ原料を落下供給するようになっている。さらに、上記下室33にはその側壁に吸気口35が仕切壁31の直下位置に設けられ、この吸気口35に外部の吸気手段としてのブロワー36が接続されている。
【0030】
さらに、上記上室32と下室33は、周方向で等間隔位置に、上記仕切壁31を貫通し、上下に開口するように設けられた複数の連通筒37により連通されている。該連通筒37は、上下方向で、下室33の途中位置まで延びている。
【0031】
以上のごとく構成される本実施形態装置では、原料は次の要領で貯留され、加熱炉10へ供給されて加熱処理を受ける。
【0032】
(1)先ず、加熱処理を受けるべき粉粒状の原料Mは、外部から適宜時期に間欠的に、あるいは連続して上記原料投入口34から、貯留槽30の上室32内へ投入される。上室32内では、仕切壁31上に、所定高さまで原料Mが堆積されて連通筒37の上方突出部分を完全に覆う。
【0033】
(2)上室32内の原料Mは、ほぼ定量づつ連続して連通筒37内を落下して下室33へ至り、該下室33内で再び該下室33の底壁上に堆積される。下室33内では、連通筒37の下端から安息角をもって堆積された原料Mの上方、すなわち、上下方向で連通筒37の下端と仕切壁31との間は空間が形成され、この空間はブロワー36の吸気により所定の負圧に維持されている。
【0034】
(3)原料Mは上記下室33から、供給管40を通じて、上記加熱炉10の炉床15上の空間へ落下供給され該炉床15上で堆積され、半径内方の開放側で安息角を形成する。バーナー21からの火炎により広がる燃焼ガスにより、上記回転せる炉床15上の原料は上記安息角の形成面側で予熱を受け、プッシャ20の作用により順次落下せられて炉本体14内へ落下し、ここで加熱処理を受ける。
【0035】
このように、本発明では、加熱炉10への原料の供給に際し、貯留槽30の下室33から供給管40を経て加熱炉10に至るまでの間、外部とは全く遮断されており、ここには可動部もない。したがって、排気管24を経て、燃焼排ガスとしてのCOガスを取り出し、これを再利用する際、外部の大気の流入がなく純度の高いCOが得られると共に、内部の負圧は効果的に維持されてその取り出しも容易に行われる。
【0036】
さらに、可動部が一切ないので、簡単な構造で安価に製作される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 加熱炉
13 縦軸線
30 貯留槽
31 仕切壁
32 上室
33 下室
34 原料投入口
35 吸気口
36 吸気手段
37 連通筒
40 供給管
M 原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒状の原料を加熱処理するための加熱炉の上方位置に配され、原料を外部から受けて所定量だけ貯留しつつ該原料を供給管を介して上記加熱炉へ連続落下供給する原料の貯留槽において、貯留槽は槽本体の内部空間が仕切壁により上室と下室に仕切られており、該仕切壁には上室と下室とを連通せしめる連通筒が下室へ突入して設けられ、上記上室の上部には外部から原料を投入する原料投入口が設けられ、上記下室の下端側には原料を加熱炉へ落下供給する供給管が接続されていることを特徴とする原料の貯留槽。
【請求項2】
連通筒は複数設けられていることとする請求項1に記載の原料の貯留槽。
【請求項3】
複数の連通筒は槽本体の縦方向軸線を中心とした円上で等間隔に設けられていることとする請求項2に記載の原料の貯留槽。
【請求項4】
槽本体は、下室の上部空間と槽外空間とを連通する吸気口が設けられ、槽外に設けられた吸気手段が上記吸気口に接続されていることとする請求項1に記載の原料の貯留槽。
【請求項5】
吸気口は、上下方向にて、仕切壁と連通筒の下端との間に位置していることとする請求項4に記載の原料の貯留槽。

【図1】
image rotate