説明

原稿サイズ検知装置および原稿サイズ検知方法

【課題】迅速に原稿サイズ検知を行うことのできる原稿サイズ検知装置を提供する。
【解決手段】原稿台に載置された原稿に光を照射し、前記原稿台の面に平行な第1方向に走査する光源と、光源からの光が照射される、第1方向に垂直な第2方向の1ラインのうち予め設定された一部の範囲である判定範囲の画像データの読み取りを指示する読取制御部と、判定範囲に入射した光に基づいて、読取制御部から指示された判定範囲の画像データを読み取る読取部と、判定範囲の画像データに基づいて、原稿のサイズを検知するサイズ検知部153とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿サイズ検知装置および原稿サイズ検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イメージスキャナ等の原稿読取装置や、原稿読取装置を備えた複写機、ファクシミリ、印刷装置等の画像形成装置は、コンタクトガラス等の透明な原稿台上に載置された原稿のサイズを自動で判別する機能を有している。
【0003】
原稿サイズを検知する方法としては、B4,A4,B5等の定形の各種原稿サイズに対応した位置に反射型センサを設置して、その反応の組合せから原稿サイズを判定するものが一般に知られている。
【0004】
しかし、近年においては、コストダウンの一環として反射型センサを用いず、原稿読取用のラインセンサを用いて原稿サイズを検知する方式も採用されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ラインセンサを用いた原稿サイズの検知方法では、画像読取装置において、まずCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)で読み取られた原稿の画像信号をデジタル信号に変換し、原稿に対応する画像データを得る。そして、当該画像読取装置において、得られた画像データをラインメモリに格納し、CPUによるメモリアクセスによりラインメモリに記憶されている画像データを参照し、この画像データに基づいて、原稿サイズの判定を行う。
【0006】
図11−1に示すように、CCDにおいては、シフト信号がアサートされたタイミングでフォトダイオードアレイ400からアナログシフトレジスタ401a,401bに電荷が移動する。すなわち、シフト信号のアサート間隔が1ライン当りの露光時間に相当する。この露光時間の経過後に各フォトダイオードに対応して設けられた複数のアナログシフトレジスタ401a,401bそれぞれの電荷が出力バッファ402a,402bに転送され、電荷電圧変換が施された後、外部に出力される。
【0007】
CCDにおいては、原理的に常に全画素の読み出しが基本となる。このため、図11−2に示すように、シフト信号のアサート間隔の間にフォトダイオードアレイ400の全画素数以上の数の転送クロックが入力される必要がある。すなわち、例えばフォトダイオードアレイ400が7300個のフォトダイオードを有する場合には、7300クロックが経過した後に、最終有効画素の電荷が出力される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
原稿サイズを検知するためには、ラインセンサが検知するラインのうち、検知対象とする原稿サイズに対応する所定の範囲の画像データのみが得られればよい。しかしながら、上述のように、従来の画像読取装置のCCDにおいては、ラインの全画素読み出しを行う必要がある。このため、フォトダイオードアレイの全画素数以上の数の転送クロックの経過後でなければ、必要な画像データを得ることができず、原稿サイズ検知処理に時間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、迅速に原稿サイズ検知を行うことのできる原稿サイズ検知装置および原稿サイズ検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原稿台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知装置であって、前記原稿台に載置された原稿に光を照射し、前記原稿台の面に平行な第1方向に走査する光源と、前記光源からの光が照射される、前記第1方向に垂直な第2方向の1ラインのうち予め設定された一部の範囲である判定範囲の画像データの読み取りを指示する読取制御部と、前記判定範囲に入射した光に基づいて、前記読取制御部から指示された前記判定範囲の前記画像データを読み取る読取部と、前記判定範囲の前記画像データに基づいて、前記原稿のサイズを検知するサイズ検知部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、原稿台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知装置で実行される原稿サイズ検知方法であって、前記原稿台の面に平行な第1方向に走査して、前記原稿台に載置された原稿に光を照射する照射ステップと、光が照射される、前記第1方向に垂直な第2方向の1ラインのうち予め設定された一部の範囲である判定範囲の画像データの読み取りを指示する読取制御ステップと、前記判定範囲に入射した光に基づいて、前記読取制御ステップにおいて指示された前記判定範囲の前記画像データを読み取る読取ステップと、前記判定範囲の前記画像データに基づいて、前記原稿のサイズを検知するサイズ検知ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、迅速に原稿サイズ検知を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、スキャナ部の主要構成を示す図である。
【図2】図2は、CMOSセンサおよび信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、原稿サイズ判定テーブルのデータ構成を示す図である。
【図4】図4は、各原稿サイズの判定範囲を示す図である。
【図5】図5は、判定結果書込テーブルのデータ構成を示す図である。
【図6】図6は、原稿サイズ決定テーブルのデータ構成を示す図である。
【図7−1】図7−1は、原稿サイズ検知処理を開始するタイミングを説明するための図である。
【図7−2】図7−2は、原稿サイズ検知処理を開始するタイミングを説明するための図である。
【図8−1】図8−1は、キャリッジポジションを説明するための図である。
【図8−2】図8−2は、キャリッジポジションを説明するための図である。
【図9】図9は、画像形成装置1にかかる原稿サイズ検知処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、判定結果書込テーブルへの書き込み例を示す図である。
【図11−1】図11−1は、CCDのフォトダイオードアレイの主要構成を示す図である。
【図11−2】図11−2は、転送クロックを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、原稿サイズ検知装置および原稿サイズ検知方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本実施の形態においては、原稿サイズ検知装置の一例としての画像形成装置について説明する。本実施の形態にかかる画像形成装置は、原稿読取処理にかかるスキャナ部を備え、スキャナ部により読み取られた画像データに基づいて原稿サイズの検知を行うものである。本実施の形態にかかる画像形成装置はまた、スキャナ部により得られた画像データに基づいて画像を形成することにより、コピー機能を実現する。
【0016】
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置1のスキャナ部の主要構成を示す図である。スキャナ部は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ラインセンサ(以下、CMOSセンサと称する)により原稿画像を読み取り、これをデジタル信号に変換することにより、画像データを得る。
【0017】
画像形成装置1は、読取対象となる原稿200を載置する原稿台としてのコンタクトガラス100と、白基準板102と、光源111と、反射ミラー112〜114と、第1キャリッジ115と、第2キャリッジ116と、レンズユニット117と、センサボード118と、信号ケーブル119と、CMOSセンサ120と、信号処理部130とを備えている。第1キャリッジ115は、光源111および第1反射ミラー112を搭載している。第2キャリッジ116は、第2反射ミラー113および第3反射ミラー114を搭載している。
【0018】
光源111から照射された光は、コンタクトガラス100に載せられた原稿により反射され、反射ミラー112〜114を経由してレンズユニット117に入射し、レンズユニット117により集光され、センサボード118に搭載されたCMOSセンサ120上に結像する。CMOSセンサ120から出力される信号は、信号ケーブル119を経由して信号処理部130に入力される。白基準板102は、原稿読取にかかる光学系等に起因した各種の歪みを補正するために利用される。また、第1キャリッジ115および第2キャリッジ116は、スキャン動作時(走査時)に図示せぬステッピングモータの制御によりコンタクトガラス100の主面に平行な所定の方向(図中矢印Aの方向)に移動する。ここで、第1キャリッジ115および第2キャリッジ116が移動する方向を副走査方向と称する。なお、光源111、反射ミラー112〜114は、主走査方向に延びる形状に形成されている。ここで、主走査方向は、コンタクトガラス100の主面に平行であって、かつ副走査方向に垂直な方向である。
【0019】
図2は、図1において説明したCMOSセンサ120および信号処理部130の構成を示すブロック図である。CMOSセンサ120は、フォトダイオードアレイ121と、スイッチ122と、電荷電圧変換部123と、増幅回路124と、出力バッファ125とを有している。フォトダイオードアレイ121は、主走査方向に沿って、複数のフォトダイオードを有している。この複数のフォトダイオードアレイに対応する主走査方向の範囲を1ラインと称する。
【0020】
スイッチ122、電荷電圧変換部123および増幅回路124は、いずれもフォトダイオードアレイ121が有する複数のフォトダイオードそれぞれに対応して複数設けられている。なお、本実施の形態にかかる画像形成装置1においては、7300画素を1ラインとし、フォトダイオードアレイ121は、7300個のフォトダイオードを有している。
【0021】
各フォトダイオードは、照射される光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオードにおいて発生した電荷は、電荷電圧変換部123において、電圧量に変換される。すなわち、電荷電圧変換部123は、対応するフォトダイオードの感光量に応じた電圧量を生成する。さらに、電荷電圧変換部123から出力された電圧信号は、増幅回路124において、後述のADC131の動作レンジに応じた増幅率で増幅される。増幅後の電圧信号は、出力バッファ125を経由し、信号処理部130に入力される。
【0022】
スイッチ122は、後述の読出制御部134から出力される読出制御信号によりオンオフが制御される。フォトダイオードアレイ121において発生した電荷は、スイッチ122がオンの場合にのみ、各フォトダイオードに対応して設けられた電荷電圧変換部123に移動する。なお、通常の原稿読取動作においては、1画素目のフォトダイオードに対応するスイッチ122から順にオンされる。
【0023】
信号処理部130は、ADC131と、画像処理部132と、サイズ検知制御部133と、読出制御部134と、レジスタ部140と、乗算器150と、平滑化部151と、2値化演算部152と、サイズ検知部153と、タイミング信号生成部154とを有している。
【0024】
ADC131は、CMOSセンサ120から入力された電圧信号を10bitのデジタル画像データに変換する。デジタル画像データは、画像処理部132および乗算器150に出力される。画像処理部132は、デジタル画像データに対し各種画像処理を施す。
【0025】
サイズ検知制御部133は、所定のタイミングでサイズ検知処理を開始する。サイズ検知処理を開始するタイミングについては後述する。サイズ検知制御部133は、具体的には、所定のタイミングにおいて、後述のレジスタ部140に設けられた図示せぬスタートレジスタを有効にすることにより、読出制御部134に原稿サイズ検知のための読出制御信号を出力することを指示し、さらに乗算器150、平滑化部151、2値化演算部152、サイズ検知部153に処理の開始を指示する。
【0026】
CMOSセンサ120等における動作設定は、記憶部としてのレジスタ部140に設定および記憶することができる。レジスタ部140は、動作設定など各種情報を記憶する。ここで、レジスタ部140が記憶する情報について説明する。図3は、レジスタ部140が記憶する原稿サイズ判定テーブル141のデータ構成を示す図である。
【0027】
原稿サイズ判定テーブル141は、後述のサイズ検知部153が原稿サイズを検知するために参照するテーブルである。原稿サイズ判定テーブル141は、具体的には、原稿サイズと、判定範囲の開始アドレスとを対応付けて記憶している。ここで、判定範囲とは、原稿サイズを判定するためにCMOSセンサ120が読み出すべき画素の範囲である。
【0028】
図4は、各原稿サイズの判定範囲301〜305を示す図である。判定範囲301〜305は、いずれも主走査方向(図中矢印Bの方向)に配置された所定数の画素(所定の画素長)の範囲である。なお、判定範囲に含まれる画素の数は任意である。本実施の形態においては、32画素とする。
【0029】
図4に示すように、コンタクトガラス100に読取対象となる原稿を載せる際には、コンタクトガラス100の所定の頂点101に原稿の頂点の1つが一致するように、原稿をコンタクトガラス100上に載せることとする。以下、コンタクトガラス100の頂点101に原稿の頂点が一致するように、原稿をコンタクトガラス100上に載せることを、原稿をセットすると称することとする。
【0030】
コンタクトガラス100にセットされた原稿の原稿サイズが大きいほど、コンタクトガラス100の主走査方向(図中矢印Bの方向)において原稿がコンタクトガラス100を覆う範囲が長くなる。そこで、原稿がコンタクトガラス100にセットされた際に、判定対象となる原稿サイズの原稿が配置される領域であって、かつ判定対象となる原稿サイズよりも小さい原稿サイズの原稿が配置されない領域を対象となる原稿サイズに対する判定範囲として予め設定することとする。
【0031】
例えば、B5ヨコの原稿サイズの判定範囲302は、B5ヨコの原稿サイズの原稿が配置される領域であるが、B5ヨコよりも小さい原稿サイズであるA5ヨコの原稿は配置されない領域である。
【0032】
これにより、所定の原稿サイズの判定範囲において白の画像データが得られた場合、すなわち原稿ありの場合、対応する原稿サイズ以上の原稿がセットされていることがわかる。また、判定範囲において黒の画像データが得られた場合、すなわち原稿なしの場合、対応する原稿サイズ以上の原稿はセットされていないことがわかる。なお、異なる原稿サイズの判定範囲における判定結果を総合することにより、コンタクトガラス100にセットされた原稿の原稿サイズを特定することができる。
【0033】
上述のように、本実施の形態においては、判定範囲の画素長は原稿サイズによらずいずれも32画素である。そこで、レジスタ部140に判定範囲の画素長が32画素であることを予め設定しておき、図3に示す原稿サイズ判定テーブル141には、判定範囲として、判定範囲の開始アドレスのみを記憶することとする。これにより、レジスタ部140の判定範囲の画素長と、原稿サイズ判定テーブル141に記憶されている開始アドレスにより、判定範囲を特定することができる。
【0034】
なお、他の例としては、原稿サイズごとに判定範囲の画素長は異なっていてもよい。また他の例としては、原稿サイズ判定テーブル141は、各原稿サイズに対応付けて、判定範囲として、判定範囲の開始アドレスおよび画素長を記憶してもよい。
【0035】
図5は、レジスタ部140が記憶する判定結果書込テーブル142のデータ構成を示す図である。このように、判定結果書込テーブル142は、各原稿サイズに対し、それぞれ1ビットの書込領域を有している。判定結果書込テーブル142の書込領域は、2値化演算部152により各原稿サイズの判定結果が書き込まれる領域である。具体的には、原稿ありと判断された場合に「1」、原稿なしと判断された場合に「0」が書き込まれる。なお、判定結果書込テーブル142の各原稿サイズに対応する書込領域に書き込まれた値は、小さい原稿サイズから順にBit0〜4の値として処理される。
【0036】
図6は、レジスタ部140が記憶する原稿サイズ決定テーブル143のデータ構成を示す図である。原稿サイズ決定テーブル143は、サイズ検知部153が、原稿サイズを決定するために参照するテーブルである。原稿サイズ決定テーブル143は、評価値と原稿サイズを対応付けて記憶している。なお、評価値は、図5に示す判定結果書込みテーブル142に書き込まれた判定結果に基づいて算出される値である。評価値については、後に詳述する。
【0037】
読出制御部134は、レジスタ部140に記憶されている原稿サイズ判定テーブル141を参照し、A5ヨコの開始アドレスにより定まる判定範囲の画像データの読み出しを指示する読出制御信号をCMOSセンサ120に送出する。読出制御部134は、A5ヨコの原稿サイズと同様に、B5ヨコからA3ヨコ/A4タテまでの各原稿サイズ(原稿サイズ判定テーブル141に記憶されているすべての原稿サイズ)それぞれの判定範囲の読出制御信号を順次送出する。
【0038】
乗算器150は、読出制御部134の制御によりCMOSセンサ120から読み出された判定範囲内の32画素の画像データそれぞれに対し所定の値を乗算することにより、画像データを増幅する。なお、乗算器150において乗算される値は、予め設定された値である。光源111から照射される光量に基づいて任意に設定することができる。平滑化部151は、入力された画像データを平滑化する。平滑化部151は、具体的には、入力された画像データを加算し、平均レベル(A)を算出する。
【0039】
2値化演算部152は、平均レベル(A)と予め設定されている閾値(X)とを比較し、比較結果を2値化する。ここで、閾値(X)は、画像データのフル階調(白)と0階調(白)の間の所定の値とする。なお、閾値(X)は、光源111から照射される光量に基づいて任意に設定することができる。
【0040】
2値化演算部152は、判定結果書込テーブル142の処理対象となる原稿サイズに対応付けられている書込領域に、2値化した値を判定結果として書き込む。具体的には、平均レベル(A)が閾値(X)以上である場合に、原稿なしと判断し、「0」を書き込み、平均レベル(A)が閾値(X)未満である場合に、原稿ありと判断し、「1」を書き込む。
【0041】
サイズ検知部153は、2値化演算部152により判定結果書込テーブル142に書き込まれた各値に基づいて、評価値を得る。サイズ検知部153は、具体的には、判定結果書込テーブル142の各原稿サイズに対応する書込領域に書き込まれた値を2進数におけるBit0〜4の各位とする数を10進数の数に変換し、変換後の値を評価値とする。
【0042】
サイズ検知部153はさらに、原稿サイズ決定テーブル143を参照し、得られた評価値に対応付けられている原稿サイズを特定する。すなわち、サイズ検知部153は、コンタクトガラス100にセットされた原稿の原稿サイズを、特定した原稿サイズとして検知する。
【0043】
タイミング信号生成部154は、外部から取得する基準クロックに基づいて、ADC131をはじめとする画像形成装置1における各部が参照する内部タイミング信号を生成する。ADC131は、この内部タイミング信号にしたがい動作する。
【0044】
画像形成部160は、サイズ検知部153により検知された原稿サイズに基づいて、原稿サイズに適した記録用紙を選択する。画像形成部160は、選択した記録用紙に、画像処理部132により得られた画像データに基づいて画像を形成する。
【0045】
図7−1および図7−2は、原稿サイズ検知処理を開始するタイミングを説明するための図である。画像形成装置1は、コンタクトガラス100を覆う開閉可能な原稿圧板170と、原稿圧板170が閉じられたことを検知する開閉センサ171とを備えている。図7−1に示すように、原稿セット時には、ユーザは原稿圧板170を開け、読取対象となる原稿200をコンタクトガラス100上にセットする。その後、ユーザは、図7−2に示すように原稿圧板170を閉じ、図示せぬ操作部においてスキャン開始を入力する。スキャン開始が入力された状態で、開閉センサ171が原稿圧板170が閉じられたことを検知すると、サイズ検知制御部133は、サイズ検知処理を開始する。
【0046】
図8−1および図8−2は、原稿サイズ検知処理が開始される際のキャリッジポジションを説明するための図である。図8−1に示すように、スキャン動作を行わない待機時は、第1キャリッジ115は、コンタクトガラス100の下の所定の第1ポジションに位置している。そして、ユーザからスキャン開始が入力され、開閉センサ171が原稿圧板170が閉じられたことを検知すると、光源111から光が照射され、サイズ検知処理が開始する。続いて、図8−2に示すように、第1キャリッジ115および第2キャリッジ116は第1キャリッジ115が白基準板102の下に位置するように移動し、第1キャリッジ115は、白基準板102の下の所定の第2ポジションに位置し、その後、原稿の走査が開始される。
【0047】
図9は、画像形成装置1にかかる原稿サイズ検知処理を示すフローチャートである。ユーザにより原稿がセットされ、原稿圧板170が閉じられ、サイズ検知制御部133に開閉センサ171からサイズ検知開始信号が入力されると(ステップS100,Yes)、サイズ検知制御部133は、サイズ検知処理を開始する。具体的には、読出制御部134に処理の開始を指示し、乗算器150など原稿サイズ検知処理を行う各部に処理の開始を指示する。
【0048】
次に、読出制御部134は、レジスタ部140に記憶されている原稿サイズ判定テーブル141を参照し、A5ヨコの開始アドレスを特定する(ステップS102)。読出制御部134は、さらに開始アドレスから読出画素分の判定範囲の画素の読み出しを指示する読出制御信号をCMOSセンサ120に送出する(ステップS104)。
【0049】
次に、CMOSセンサ120においては、判定範囲の画素が読み出される(ステップS106)。すなわち、読出制御信号にしたがい判定範囲のスイッチ122がオンされ、判定範囲のフォトダイオードにおいて発生した電荷が電荷電圧変換部123において電圧量に変換され、さらに増幅回路124において増幅された後、信号処理部130に送出される。
【0050】
信号処理部130においては、ADC131において電圧信号が画像データに変換された後、乗算器150において判定範囲の32画素の画像データを乗算することにより、画像データが増幅される(ステップS108)。
【0051】
次に、平滑化部151は、増幅後の画像データを加算して、平均レベル(A)を算出することにより、画像データを平滑化する(ステップS110)。次に、2値化演算部152は、平均レベル(A)と閾値(X)とを比較することにより、平均レベル(A)を2値化する(ステップS112)。具体的には、平均レベル(A)が閾値(X)以上である場合に0の値を生成し、平均レベル(A)が閾値(X)よりも小さい場合に1の値を生成する。次に、2値化演算部152は、生成した値を判定結果書込テーブル141における対象となる原稿サイズに対応付けられている書込領域に書き込む(ステップS114)。
【0052】
原稿サイズ判定テーブル141に記憶されている各原稿サイズに対して、ステップS102からステップS114までの処理を繰り返し(ステップS116,No)、原稿サイズ判定テーブル141に記憶されているすべての原稿サイズに対し、上記処理が完了すると(ステップS116,Yes)、サイズ検知部153は、2値化演算部152により判定結果書込テーブル142に書き込まれた値に基づいて、原稿サイズを検知する(ステップS118)。以上で原稿検知処理が完了する。
【0053】
ここで、図10を参照しつつ、データ書込み処理(ステップS114)からサイズ検知処理(ステップS118)について詳述する。データ書込み処理(ステップS114)において、2値化演算部152は、まずA5ヨコの原稿サイズに対応する判定範囲に対して生成したデータを、判定結果書込テーブル142のA5ヨコの原稿サイズ(Bit0)に対応する書込領域に書き込む。同様に、2値化演算部152は、Bit1〜Bit4に各原稿サイズに対応する判定範囲に対して生成した判定結果の値を書き込んでいく。
【0054】
サイズ検知処理(ステップS118)においては、サイズ検知部153は、判定結果書込テーブル142を参照し、Bit0〜4に対応する書込領域に書き込まれた値を2進数の各位とする数を10進数の数に変換し、評価値を得る。例えば、図10に示すようにBit0〜4にそれぞれ1,1,1,0,0が書き込まれたとする。この場合には、サイズ検知部153は、評価値7を得る。そして、サイズ検知部153は、原稿サイズ決定テーブル143を参照し、評価値に対応付けられている原稿サイズを、コンタクトガラス100にセットされた原稿の原稿サイズとして検知する。サイズ検知部153は、評価値7が得られた場合には、原稿サイズ決定テーブル143において、評価値7に対応付けられている原稿サイズA4ヨコ/A5タテを特定し、これを原稿サイズとして検知する。
【0055】
このように、本実施の形態にかかる画像形成装置1においては、判定範囲の画素の読み出しのみを行うことにより、コンタクトガラス100にセットされた原稿の原稿サイズを検知することができる。したがって、原稿サイズを検知するために、CCDラインセンサのように主走査方向の1ライン分すべの画素を読み出す必要がなく、原稿サイズ検知処理にかかる処理時間を短縮することができる。
【0056】
なお、上記実施の形態では、原稿サイズ検知装置の一例として画像形成装置について説明したが、原稿サイズ検知装置は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
120 CMOSセンサ
121 フォトダイオードアレイ
122 スイッチ
123 電荷電圧変換部
124 増幅回路
133 サイズ検知制御部
134 読出制御部
140 レジスタ部
150 乗算器
151 平滑化部
152 2値化演算部
153 サイズ検知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2007−60004号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に載せられた原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知装置であって、
前記原稿台に載せられた原稿に光を照射し、前記原稿台の面に平行な第1方向に走査する光源と、
前記光源からの光が照射される、前記第1方向に垂直な第2方向の1ラインのうち予め設定された一部の範囲である判定範囲の画像データの読み取りを指示する読取制御部と、
前記判定範囲に入射した光に基づいて、前記読取制御部から指示された前記判定範囲の前記画像データを読み取る読取部と、
前記判定範囲の前記画像データに基づいて、前記原稿のサイズを検知するサイズ検知部と
を備えたことを特徴とする原稿サイズ検知装置。
【請求項2】
前記読取部は、複数のフォトダイオードを有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ラインセンサであって、前記複数のフォトダイオードのうち前記判定範囲に対応するフォトダイオードに入射した光に基づいて、前記判定範囲の前記画像データを読み取ることを特徴とする請求項1に記載の原稿サイズ検知装置。
【請求項3】
異なる複数の原稿サイズと、各原稿サイズにおける判定範囲とを対応付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記読取制御部は、前記記憶部に記憶されている各判定範囲の前記画像データの読み取りを指示し、
前記読取部は、各判定範囲の前記画像データを読み取り、
前記サイズ検知部は、各判定範囲の前記画像データに基づいて、前記原稿のサイズを検知することを特徴とする請求項1または2に記載の原稿サイズ検知装置。
【請求項4】
前記読取部により得られた前記画像データを平滑化する平滑化処理部をさらに備え、
前記サイズ検知部は、前記平滑化処理部による平滑化後の前記画像データに基づいて、前記原稿サイズを検知することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の原稿サイズ検知装置。
【請求項5】
前記読取部により得られた前記画像データを2値化する2値化処理部をさらに備え、
前記サイズ検知部は、前記2値化処理部による2値化後の値に基づいて、前記原稿サイズを検知することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の原稿サイズ検知装置。
【請求項6】
前記読取部により得られた前記画像データの信号を増幅する増幅処理部をさらに備え、
前記サイズ検知部は、前記増幅処理部による増幅後の前記画像データに基づいて、前記原稿サイズを検知することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の原稿サイズ検知装置。
【請求項7】
原稿台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知装置で実行される原稿サイズ検知方法であって、
前記原稿台の面に平行な第1方向に走査して、前記原稿台に載置された原稿に光を照射する照射ステップと、
光が照射される、前記第1方向に垂直な第2方向の1ラインのうち予め設定された一部の範囲である判定範囲の画像データの読み取りを指示する読取制御ステップと、
前記判定範囲に入射した光に基づいて、前記読取制御ステップにおいて指示された前記判定範囲の前記画像データを読み取る読取ステップと、
前記判定範囲の前記画像データに基づいて、前記原稿のサイズを検知するサイズ検知ステップと
を含むことを特徴とする原稿サイズ検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【公開番号】特開2013−98967(P2013−98967A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243323(P2011−243323)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】