説明

原稿搬送装置、画像読取装置及び原稿搬送方法

【課題】画像読取装置において、シートスルー方式の画像読取りにおける原稿の搬送がスムーズに行なわれることにより、良好な画像データを取得する。
【解決手段】画像読取装置12は、原稿を流し読み取りする読取位置に搬送する上流ローラと、読取位置から原稿を排出する下流ローラと、読取位置に設けた原稿ガラスと、読取位置の下流側に位置する軸部材に回動自在に支持され、上流ローラから搬送される原稿を原稿ガラスとの隙間を経由して下流ローラに案内する搬送ガイドと、搬送ガイドの下流側を原稿ガラス側に付勢する付勢部材とを備える。原稿が読取位置を経由して下流ローラへ搬送されるまで、読取位置付近の搬送ガイドと原稿ガラスの隙間が最も狭くて適正な状態に維持され、かつ、下流ローラが原稿を搬送するに伴って、搬送ガイドの下流側を付勢方向の対向方向に回動する。これにより、搬送ガイドの読取位置より上流側部分が原稿を原稿ガラス側に加圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の原稿を1枚ずつ所定の画像読取位置に供給し、原稿の画像読取り後に排紙トレイに排出する原稿搬送装置を備える画像読取装置、及び原稿搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置の画像読取装置には、原稿を1枚ずつ画像読取位置に搬送する自動原稿搬送装置を有するものがある。原稿搬送装置は、複数枚の原稿を連続して画像読取位置に搬送し、その搬送された原稿を所定の画像読取位置を通過させる。画像読取位置を通過する原稿を1ラインずつ流し読み取りするシートスルー方式を採用する画像読取装置は、画像読取位置に長方形の透明な原稿受け部材(ガラス板)が設けられ、透明の原稿受け部材越しに露光ランプからの光を原稿の画像面に照射し、反射光をレンズで収束させ、収束した光をCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサに投影して読み取る。
【0003】
シートスルー方式を行なう画像形成装置として、画像読取位置においてプラテンローラとガイド部材に接触する透明フィルム部材を設け、原稿の搬送性能を向上させると共に、画像読取位置の清掃や部品の交換等のメンテナンス性に優れた原稿搬送装置を有するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、電子写真装置において、搬送される原稿が画像露光面に密着するように、バネにより下方に付勢されている搬送ガイドを備えるストレートパス型の自動原稿送り装置を有するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−61978号公報
【特許文献2】特開2001−309117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、流し読み取部の原稿を受ける透明の原稿受け部材とガイド部材間の搬送経路の隙間が固定されており、隙間を比較的広くすれば、読取位置の透明の原稿受け部材上で原稿がばたつくため印刷用紙上の画像品質が悪化する。一方、隙間を比較的狭くすれば、透明の原稿受け部材上における原稿のばたつきは改善されるが、原稿のジャム、及び、原稿が隙間に進入する際の原稿の先端のブレ等の原因となる。また、過度に隙間を狭くすれば、原稿がガイド部材に当接する等のスムーズに搬送されなくて、原稿の搬送速度が変動して副走査ピッチ乱れによる読取画質低下の要因となる。
【0007】
また、原稿が同じ速度で搬送されてきて、B(blue)のセンサが黒部分を読取っている瞬間に搬送が乱れた場合、通常黒部分では信号値が低いはずが高い値となり、G(green)やR(red)との差が大きくなる。よって、カラースキャナではCCDのRGB信号値のバランスで色を判断していることから、黒を他の色と判断してしまう。したがって、原稿の搬送速度を乱さないことが重要となる。
【0008】
本発明は、上述のような事情を考慮してなされたもので、原稿の画像の流し読取りにおける原稿の搬送がスムーズに行なわれることにより、良好な画像データを取得できる原稿搬送装置、画像読取装置、及び原稿搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る原稿搬送装置は、上述した課題を解決するために、搬送される原稿の画像を読み取る画像読取位置に前記原稿を搬送する第1の搬送ローラと、前記画像読取位置を通過した前記原稿を搬送する第2の搬送ローラと、前記画像読取位置に配置する透明の原稿受け部材に対向する位置に配置して搬送経路を形成し、前記画像読取位置の下流側に位置する支持軸に回動自在に支持され、前記第1の搬送ローラから搬送される前記原稿を前記第2の搬送ローラに案内する、断面が略円弧状に形成される搬送ガイドと、前記搬送ガイドの下流側を前記原稿受け部材側に付勢する付勢部材と、を備え、前記第2の搬送ローラによる前記原稿の搬送動作に伴って、前記搬送ガイドの下流側が、前記付勢部材の付勢方向に対向する対向方向に前記支持軸を支点に回動する構成とする。
【0010】
本発明に係る画像読取装置は、上述した課題を解決するために、原稿の画像面に露光を照射して画像を読取る画像読取装置において、搬送される前記原稿の画像を流し読み取りする画像読取位置を有する画像読取部と、前記画像読取位置に配置する透明の原稿受け部材と、前記原稿を前記画像読取位置に搬送する第1の搬送ローラと、前記画像読取位置を通過した前記原稿を搬送する第2の搬送ローラと、前記原稿受け部材と対向する位置に配置して搬送経路を形成し、前記原稿の搬送方向と鉛直方向の断面が円弧状に形成され、前記画像読取位置の下流側に位置する支持軸に回動自在に支持され、前記第1の搬送ローラから搬送される前記原稿を前記第2の搬送ローラに案内する搬送ガイドと、前記搬送ガイドの下流側を前記画像読取部側に付勢する付勢部材と、を備え、前記第2の搬送ローラによる前記原稿の搬送動作に伴って、前記搬送ガイドの下流側が、前記付勢部材の付勢方向に対向する対向方向に前記支持軸を支点に回動する構成とする。
【0011】
本発明に係る原稿搬送方法は、上述した課題を解決するために、第1の搬送ローラにより搬送されて画像読取位置を通過する原稿を案内する搬送ガイドと前記画像読取位置に配置する透明の原稿受け部材との隙間を経て、前記原稿が第2の搬送ローラまで搬送されている間、前記搬送ガイドの下流側部分を前記原稿受け部材側に付勢し、前記搬送ガイドが前記付勢の方向の対向方向に回動することで、前記搬送ガイドの上流側部分が前記原稿を前記原稿受け部材側に加圧する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る原稿搬送装置、画像読取装置、及び原稿搬送方法によれば、原稿の画像の流し読取りにおける原稿の搬送がスムーズに行なわれることにより、良好な画像データを取得する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の外観例を示す斜視図。
【図2】本実施形態の画像読取装置の内部構造の例を示す断面図。
【図3】本実施形態の画像読取装置の画像読取位置付近の内部構造を拡大して示す断面図。
【図4】本実施形態の画像読取装置の画像読取位置付近の内部構造を拡大して示す断面図。
【図5】本実施形態の画像読取装置の画像読取位置付近の内部構造を拡大して示す断面図。
【図6】本実施形態の画像読取装置の画像読取位置付近の内部構造を拡大して示す断面図。
【図7】本実施形態の画像読取装置に備える搬送ガイドの支持機構、及び付勢機構の一例を示す分解立体図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
原稿搬送装置、画像読取装置及び原稿搬送方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、画像形成装置の典型例としてのMFP(Multi function Peripheral)の外観例を示す斜視図である。
【0016】
図1は、読取部の位置を固定して流し読みするシートスルー方式と、読取部を往復移動して原稿載置台に載置された静止原稿の画像を読取ることを可能にした画像読取方式とを採用する画像形成装置10を示す。画像形成装置10は、装置本体(画像形成部)11、本実施形態の画像読取装置12、及び手差し給紙部13を備える。装置本体11は、操作部21、給紙カセット22、及び画像形成部23を備える。画像形成装置10は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサを備える。なお、画像形成装置10は、PPC(Plain Paper Copier)複写機、プリンタであってもよい。
【0017】
画像形成装置10は、装置本体11の上部に画像読取装置12を設ける。画像読取装置12は、原稿搬送装置としての両面対応自動原稿搬送装置(RADF:Reversible Auto Document Feeder)121を含む。なお、原稿搬送装置はRADF121に限定されるものではなく、例えば、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)であってもよい。
【0018】
画像形成装置10は、手前側に操作部21を設ける。操作部21は、例えばタッチパネルディスプレイを含んでいる。操作部21は、操作部21における表示内容に基づくユーザの操作及びJobの設定入力を受け付ける操作入力部としての役割も有している。
【0019】
画像形成装置10は、装置本体11の下方部分に、手前側に引き出すことが可能な数段(図1では4段)の給紙カセット22を設ける。給紙カセット22は、それぞれ複数枚の記録用紙を積層収容する。
【0020】
画像形成装置10は、装置本体11の側方に、手差し給紙部13を設ける。手差し給紙部13の手差しトレイ131は、装置本体11に回転軸を支持されることで装置本体11に対して開閉自在な構造を有し、ユーザ操作によって装置本体11に収納可能である。ユーザが手差しトレイ131を装置本体11から開いた状態で記録用紙を手差しトレイ131上に載置することで、手差し給紙部13は、記録用紙を1枚ずつ画像形成部23に供給する。
【0021】
画像形成装置10を用いて、例えば、コピー処理(所定の画像形成)を行なう場合、まず、画像形成装置10は、ユーザによる操作部21への操作入力に基づいて、画像読取装置12のRADF121は、原稿Dを画像読取位置まで自動搬送する。画像読取装置12は、RADF121が搬送する原稿Dの画像を、画像読取位置Rに設ける透明な部材のガラス等で形成される透明の原稿受け部材としての原稿ガラス122(図2乃至図6参照)越しに露光ランプ123(図2参照)からの光を原稿Dの画像面に照射し、その反射光を、反射ミラー124,125,126(図2参照)を介して結像レンズブロック127(図2参照)で収束させ、収束された光をCCD(Charge Coupled Device)センサ128(図2参照)によって光電変換して読み取る。画像読取装置12は、露光ランプ123、反射ミラー124,125,126及びCCDセンサ128等によって構成されるスキャンユニット(後述する画像読取部)を備え、露光ランプ123、反射ミラー124,125,126等を搭載するキャリッジ129(図2参照)を副操作(用紙搬送)方向に移動させることにより、画像読取装置12に備える原稿載置台のプラテンガラス130(図2参照)に載置する静止原稿の画像を読取るモードと、RADF121の所定の画像読取位置Rでキャリッジ129を停止して原稿ガラス122を介して、搬送される原稿Dの画像を流し読取るモード(シートスルー方式)を備えている。
【0022】
そして、操作部21への操作入力に基づいて選択された給紙方法によって、給紙カセット22又は手差し給紙部13は、記録用紙の給紙動作を行なう。給紙カセット22又は手差し給紙部13は、記録用紙を画像形成部23に搬送する。画像形成部23は、記録用紙に対して、画像読取装置12が読み取る画像データに基づく画像形成処理を施し、コピー処理を完了する。
【0023】
図2は、本実施形態の画像読取装置12の内部構造の例を示す断面図である。
【0024】
画像読取装置12は、RADF121に、原稿トレイ31、搬送機構32、排紙トレイ33、搬送ガイド34、及び付勢部材35を備える。原稿トレイ31は、複数の原稿Dを載置可能である。搬送機構32は、原稿Dを原稿トレイ31から排紙トレイ33まで案内する第1のガイド部材(外側ガイド部材)32a及び第2のガイド部材(内側ガイド部材)32bを備える。第1のガイド部材32a及び第2のガイド部材32bの隙間には、原稿Dを搬送する搬送経路Cが形成される。搬送経路Cは、原稿トレイ31及び排紙トレイ33を連結し、原稿トレイ31上の原稿Dを搬送経路Cに沿って排紙トレイ33に搬送する。排紙トレイ33は、搬送機構32が排出する原稿Dを載置する。
【0025】
搬送機構32は、原稿Dの搬送方向の上流側から順に搬送経路Cに沿って、ピックアップローラ32c、さばきローラ32d、レジストローラ32e、中間ローラ32f、第1の搬送ローラ(以降、「上流ローラ」と呼称)32g、第2の搬送ローラ(以降、「下流ローラ」と呼称)32h、排紙・スイッチバックローラ32i、及び反転ローラ32jを備える。
【0026】
ピックアップローラ32cは、原稿トレイ31から原稿Dを1枚ずつピックアップして搬送機構32の搬送経路Cに取り込む。さばきローラ32dは、ピックアップローラ32cが複数枚の原稿群を取り込む場合に、最も上位にある原稿Dのみを通過させ、残りの原稿Dの進行を遮断する。レジストローラ32eは、さばきローラ32dがさばいた原稿Dを搬送経路Cに沿って搬送する。中間ローラ32fは、レジストローラ32e、又は反転ローラ32jを経て搬送される原稿Dを搬送する。上流ローラ32g、及び下流ローラ32hは、画像読取位置Rの上流側及び下流側にそれぞれ配置される。すなわち、上流ローラ32g、及び下流ローラ32hは、原稿Dを搬送して画像読取位置Rを通過させる搬送手段として機能する。
【0027】
排紙・スイッチバックローラ32iは、下流ローラ32hによって搬送された原稿Dを排紙トレイ33に排出するか、下流ローラ32hによって搬送された原稿Dの搬送方向をスイッチバックさせて反転ローラ32jに渡す。反転ローラ32jは、排紙・スイッチバックローラ32iからスイッチバックした原稿Dを搬送経路Cに沿って中間ローラ32fに搬送する。
【0028】
また、搬送機構32は、スルーリード読取部の第2のガイド部材(内側)としての略円弧状に形成された搬送ガイド34、及び付勢部材35を有する。
【0029】
搬送ガイド34は、画像読取位置Rで原稿ガラス122に対向する位置(上方)に設けられ、原稿ガラス122との間に搬送経路を形成する。搬送ガイド34は、用紙搬送方向と鉛直方向との断面が略円弧状に形成され、用紙搬送方向と鉛直方向との断面の直交方向で回動(揺動)自在に支持される。搬送ガイド34は、原稿ガラス122との隙間を経由して上流ローラ32gから搬送される原稿Dを下流ローラ32hに案内する。
【0030】
付勢部材35は、搬送ガイド34の下流側を原稿ガラス122側(矢示の方向E1)に付勢する。
【0031】
また、画像読取装置12の画像読取部は、原稿の画像面に露光を照射する露光ランプ123、第1乃至第3の反射ミラー124,125,126、結像レンズブロック127、画像信号出力手段としてのCCDセンサ(CCD型のラインセンサ)128によって構成される。露光ランプ123、第1乃至第3の反射ミラー124,125,126等を搭載するキャリッジ129は、往復動が自在となっており、キャリッジ129の副操作方向(用紙搬送方向)への往動と露光ランプ123の発光とによって、プラテンガラス130上の原稿を全面にわたって露光走査を行なう。露光走査により得られる原稿Dの反射光像が各反射ミラー124,125,126及び結像レンズブロック127を介して収束されてCCDセンサ128に投影される。CCDセンサ128は、受光量に対応するレベルの画像信号を出力する。
【0032】
画像読取装置12は、画像読取位置Rに対向する位置にキャリッジ129を停止させ、原稿ガラス122を介して搬送される原稿Dに光を照射し、その反射光像を反射ミラー124,125,126、結像レンズブロック127及びCCDセンサ128を介して画像を読取るシートスルー方式と、上述のようにプラテンガラス130に載置される静止原稿Dの画像を読取る方式とを有する。
【0033】
図3乃至図6は、本実施形態の画像読取装置12の画像読取位置R付近の内部構造を拡大して示す断面図である。図3は、原稿Dの画像読取位置Rへの搬送前の状態を示す。図4,図5は、上流ローラ32g及び下流ローラ32hが原稿Dを挟持する状態を示す。図6は、下流ローラ32hのみが原稿Dを挟持する状態を示す。
【0034】
搬送ガイド34は、支持フランジ部34aを介してRADF121の筐体(サイドフレーム)に揺動自在に軸支持されている(図7に参照)。搬送ガイド34の下流側は、一端がRADF121のフレーム部(サイドフレーム)に係止されて他端が付勢フランジ部34bにフックされている引張りスプリングの付勢部材35により下方の原稿ガラス122側に付勢して支持されている。付勢部材35の張力は、搬送ガイド34が自重で支持フランジ部34aを支点に読取位置Rの上流方向に揺動しない重量バランスになる程度の張力に設定すればよい。
【0035】
搬送ガイド34は、搬送ガイド34の上流側であって、搬送ガイド34の回動によって原稿ガラス122と当接可能な位置に上流側突部34cを設ける。搬送ガイド34は、搬送ガイド34の下流側であって、搬送ガイド34の回動によって原稿ガラス122と当接可能な位置に下流側突部34dを設ける。また、搬送ガイド34は、下流側突部34dよりも下流側であって原稿Dが搬送される側に、原稿Dを下流ローラ32hに案内する案内突部34eを設ける。
【0036】
図3に示すように、搬送ガイド34は、画像読取位置Rへの搬送前は、付勢部材35による付勢方向(付勢方向E1)に付勢されている。その場合、搬送ガイド34の支持フランジ部34aは、画像読取位置RよりXmm(X=0.5〜2mm程度)下流側にずらして配置され、搬送ガイド34の過剰の回動を規制する下流側突部34dが原稿ガラス122に当接することで、搬送ガイド34の曲率部と原稿ガラス122との隙間が画像読取位置Rにおいて最も狭くて適正な状態(隙間)で維持されている。つまり、画像読取位置Rにおける隙間は、画像形成装置10の本体の仕様に定める記録媒体の最大用紙厚以上の適正寸法に設定されている。
【0037】
上流ローラ32gから搬送される原稿Dは、搬送ガイド34の曲率部と原稿ガラス122との隙間を搬送され、原稿Dの先端が画像読取位置Rに到達する。次いで、原稿Dの先端は原稿ガラス122に沿って隙間をスムーズに搬送されるので、原稿Dの先端のブレやばたつきが解消される。さらに、図4に示すように、原稿Dの先端は、画像読取位置Rの下流側の第1のガイド部材32aとしてのガイド面32lに沿って徐々に進み、下流ローラ32hのニップ部に到達する。
【0038】
さらに、図5に示すように、下流ローラ32hのニップ部が原稿Dを挟持する(引き込む)と、原稿Dが引っ張られるに伴って、画像読取位置Rの下流側に形成される搬送経路Cで原稿Dが徐々に上方に引き上げられる。さらに、搬送ガイド34の原稿Dを案内する側に形成した案内突部34eに接触して搬送ガイド34の下流側を付勢方向E1に対向する方向(対向方向E2)に押し上げる。搬送ガイド34の下流側が押し上げられると、支持フランジ部34aの支持軸を支点として搬送ガイド34が回動する。
【0039】
搬送ガイド34の回動に伴い、搬送ガイド34の画像読取位置Rより上流側部分が、原稿Dの後端側を原稿ガラス122に加圧する。本実施形態では、搬送ガイド34の原稿ガイド面に案内突部34eを設けたが、搬送ガイド34の下流側案内面を一体的な曲率面に形成してもよい。
【0040】
搬送ガイド34の画像読取位置Rより上流側部分が原稿Dの後端側を加圧することによって、搬送ガイド34と原稿ガラス122との隙間を通過する原稿Dのばたつきが抑制されるので、画像の読取品質が安定する。また、搬送ガイド34の上流側突部34cが原稿ガラス122に当接することで、図5に示すように、搬送ガイド34が過剰に回動することを規制して原稿Dを挟み込まないように支持されている。
【0041】
さらに原稿Dが搬送され、原稿Dの後端が上流ローラ32gから排出される。よって、図6に示すように、原稿Dの後端が上流ローラ32gから排出されると原稿Dの後端は、搬送ガイド34の曲率部に沿って付与されている撓みに対する復元力により、画像読取位置Rの上流側に形成される搬送経路C内を、第1のガイド部材32aとしてのガイド面32k及び原稿ガラス122に接触しながら搬送される。
【0042】
次いで、原稿Dの搬送が進むと、画像読取位置Rから原稿Dの後端が抜け、原稿Dが下流ローラ32hから排紙・スイッチバックローラ32iを介して排紙トレイ33に排出される。又は、原稿Dが下流ローラ32hから排紙・スイッチバックローラ32iを介して反転ローラ32jに搬送される。搬送ガイド34は、付勢部材35の張力によって図3に示す状態に復帰する。
【0043】
図7は、画像読取装置12に備える搬送ガイド34の支持機構、及び付勢機構の一例を示す分解立体図である。
【0044】
ねじ軸Bが、RADF121のフレーム部及び搬送ガイド34の支持フランジ部34aを貫入することで、フレーム部は、支持フランジ部34aを支点として搬送ガイド34を揺動自在に支持する。搬送ガイド34の下流側は、一端がRADF121のフレーム部に係止される付勢部材35の他端を付勢フランジ部34bにフックされている。
【0045】
画像形成装置10に設ける本実施形態の画像読取装置12によると、搬送ガイド34を揺動させることにより、画像読取りにおける原稿Dの搬送がスムーズに行なわれることにより、良好な画像データを取得できる。
【0046】
また、画像形成装置10に設ける本実施形態の画像読取装置12によると、原稿Dが押し付けられながら原稿ガラス122上を通過することによる自掃効果によって、原稿ガラス122表面のクリーニング効果も得られる。
【符号の説明】
【0047】
10 画像形成装置
11 装置本体(画像形成部)
12 画像読取装置
121 画像読取装置(RADF)
122 原稿ガラス
32 搬送機構
32a 第1のガイド部材(外側ガイド部材)
32b 第2のガイド部材(内側ガイド部材)
32g 第1の搬送ローラ(上流ローラ)
32h 第2の搬送ローラ(下流ローラ)
34 搬送ガイド
34a 支持フランジ部
34b 付勢フランジ部
34c 上流側突部
34d 下流側突部
34e 案内突部
35 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される原稿の画像を読み取る画像読取位置に前記原稿を搬送する第1の搬送ローラと、
前記画像読取位置を通過した前記原稿を搬送する第2の搬送ローラと、
前記画像読取位置に配置する透明の原稿受け部材に対向する位置に配置して搬送経路を形成し、前記画像読取位置の下流側に位置する支持軸に回動自在に支持され、前記第1の搬送ローラから搬送される前記原稿を前記第2の搬送ローラに案内する、断面が略円弧状に形成される搬送ガイドと、
前記搬送ガイドの下流側を前記原稿受け部材側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記第2の搬送ローラによる前記原稿の搬送動作に伴って、前記搬送ガイドの下流側が、前記付勢部材の付勢方向に対向する対向方向に前記支持軸を支点に回動する構成とすることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ガイドの下流側が前記対向方向に回動することで、前記搬送ガイドの前記画像読取位置より上流側部分が前記原稿を前記原稿受け部材側に加圧する構成とすることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記搬送ガイドの上流側に、前記搬送ガイドが前記対向方向に回動する場合に前記原稿受け部材と当接して前記対向方向への過剰回動を規制する上流側突部と、
前記搬送ガイドの下流側に、前記搬送ガイドが前記付勢方向に回動する場合に前記原稿受け部材と当接して前記付勢方向への回動を規制する下流側突部と、をさらに設けることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ガイドは、前記原稿が前記画像読取位置を通過して前記第2の搬送ローラに搬送されるまで、前記画像読取位置における前記搬送ガイドと前記原稿受け部材との隙間が最も適正寸法となる形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
原稿の画像面に露光を照射して画像を読取る画像読取装置において、
搬送される前記原稿の画像を流し読み取りする画像読取位置を有する画像読取部と、
前記画像読取位置に配置する透明の原稿受け部材と、
前記原稿を前記画像読取位置に搬送する第1の搬送ローラと、
前記画像読取位置を通過した前記原稿を搬送する第2の搬送ローラと、
前記原稿受け部材と対向する位置に配置して搬送経路を形成し、前記原稿の搬送方向と鉛直方向の断面が円弧状に形成され、前記画像読取位置の下流側に位置する支持軸に回動自在に支持され、前記第1の搬送ローラから搬送される前記原稿を前記第2の搬送ローラに案内する搬送ガイドと、
前記搬送ガイドの下流側を前記画像読取部側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記第2の搬送ローラによる前記原稿の搬送動作に伴って、前記搬送ガイドの下流側が、前記付勢部材の付勢方向に対向する対向方向に前記支持軸を支点に回動する構成とすることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記搬送ガイドの下流側が前記対向方向に回動することで、前記搬送ガイドの前記画像読取位置より上流側部分が前記原稿を前記原稿受け部材側に加圧する構成とすることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記搬送ガイドの上流側に、前記搬送ガイドが前記付勢方向の対向方向に回動する場合に前記原稿受け部材と当接して前記対向方向への過剰回動を規制する上流側突部と、
前記搬送ガイドの下流側に、前記搬送ガイドが前記付勢方向に回動する場合に前記原稿受け部材と当接して前記付勢方向への回動を規制する下流側突部と、をさらに設けることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記搬送ガイドは、前記原稿が前記画像読取位置を通過して前記第2の搬送ローラに搬送されるまで、前記画像読取位置における前記搬送ガイドと前記原稿受け部材との隙間が適正寸法となる形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項9】
第1の搬送ローラにより搬送されて画像読取位置を通過する原稿を案内する搬送ガイドと前記画像読取位置に配置する透明の原稿受け部材との隙間を経て、前記原稿が第2の搬送ローラまで搬送されている間、前記搬送ガイドの下流側部分を前記原稿受け部材側に付勢し、前記搬送ガイドが前記付勢の方向の対向方向に回動することで、前記搬送ガイドの上流側部分が前記原稿を前記原稿受け部材側に加圧することを特徴とする原稿搬送方法。
【請求項10】
前記画像読取位置を通過した前記原稿の先端を挟持し、且つ、搬送する前記第2の搬送ローラの搬送動作に伴って、前記搬送ガイドの下流側が前記対向方向に回動することを特徴とする請求項9に記載の原稿搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−21995(P2010−21995A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142478(P2009−142478)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】