説明

原稿読取装置

【課題】簡単な構成で、読み取る原稿の厚さ毎に設置することなく、単に、原稿を一対の搬送ローラ間に食い込ませるのみで原稿を読み取ることができる原稿読取装置を提供する。
【解決手段】読取部100に原稿Pを搬送する搬送口10に設けられた一対の搬送ローラ200と、読取部100で原稿Pが読み取られた後に排出される排出口に設けられた一対の排出ローラ300と、搬送される原稿Pの方向に、搬送ローラおよび排出ローラを付勢する付勢手段と、一対の搬送ローラ200の隙間と、一対の排出ローラ300の隙間Sを、原稿Pの厚さに応じて、調整するリンク機構とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厚みの異なる原稿上のデータを読み取る原稿読取装置として特許文献1のようなものがある。
【特許文献1】特開平6−276371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この構成は、読み取る原稿の厚さ毎に設定しなければならず、連続して異なる厚さの原稿を読み取ることが難しいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、原稿のデータを読取部で読み取る原稿搬送装置において、読取部に原稿を搬送する搬送口に設けられた一対の搬送ローラと、読取部で原稿が読み取られた後に排出される排出口に設けられた一対の排出ローラと、搬送される原稿の方向に、搬送ローラおよび排出ローラを付勢する付勢手段と、一対の搬送ローラの隙間と、一対の一対の排出ローラの隙間を、原稿の厚さに応じて、調整するリンク機構とを有し、一対の搬送ローラは、第一駆動軸に軸支された搬送駆動ローラと、第一従動軸に軸支され、該搬送駆動ローラの回転に追従する搬送従動ローラとを備え、一対の排出ローラは、第二駆動軸に軸支された排出駆動ローラと、第二従動軸に軸支され、該排出駆動ローラの回転に追従する排出従動ローラとを備え、リンク機構は、第一従動軸を支持する第一リンクと、第二従動軸を支持する第二リンクと、該第一リンクと第二リンクとを軸支して、第一従動軸と第二従動軸を連結する支軸とを備え、リンク機構は、原稿の厚さに応じて、搬送従動ローラを搬送駆動ローラから離間させるとともに、搬送従動ローラを搬送駆動ローラとの離間動作に追従して、排出従動ローラを排出駆動ローラから離間させることを特徴とする。
【0005】
また、搬送駆動ローラと排出駆動ローラが配置された本体部と、読取部およびリンク機構が配置された蓋部とからなり、蓋部には、搬送従動ローラと、排出従動ローラの各々を、原稿が搬送される側に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする。
【0006】
さらに、搬送駆動ローラ、搬送従動ローラ、排出駆動ローラおよび出駆動ローラは、軸線方向に二つ以上配置されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、本発明によれば、簡単な構成で、読み取る原稿の厚さ毎に設置することなく、単に、原稿を一対の搬送ローラ間に食い込ませるのみで原稿を読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の形態を、図を参照して説明する。図1に本発明の画像読取装置の概略図を示す。この装置は、例えばA0サイズまでの大判用紙サイズの原稿Pを読み取るLEDプリンタ等の印字出力装置に接続可能なイメージスキャナであり、スキャナ部とプリンタ部が一体となった複写機においても利用される。
【0009】
このイメージスキャナは、図1に本発明の画像読取装置の構成は、搬送口10から原稿Pを挿入して一対の搬送ローラ200に突き当てた後、一対の搬送ローラ200により原稿Pを読取部100へ搬送し、原稿Pに記載されたデータを読取部100で読み取った後、一対の排出ローラ300により外部に排出する構成となっている。
【0010】
なお、原稿Pに記載されたデータとは、イメージや文字、またはこれらが含まれたものをさす。さらに、詳しく説明すると、本発明の画像読取装置は、本体部600と蓋部20とリンク機構500とからなる。
【0011】
図2に示すように、本体部600は、搬送駆動ローラ210と排出駆動ローラ310と原稿導入部700とを備える。搬送駆動ローラ210は、一対の搬送ローラ200の一方のローラであり、第一駆動軸230に軸支されている。
【0012】
さらに、搬送駆動ローラ210は第一駆動軸230に二つ以上配置されている。また、第一駆動軸230は図示しない駆動源に連結され、第一駆動軸230をこの駆動源の駆動力を伝達し、搬送駆動ローラ210を回転させる。
【0013】
排出駆動ローラ310は、一対の排出ローラ300の一方のローラであり、第二駆動軸330に軸支されている。排出駆動ローラ310は、搬送駆動ローラ210と同様に、第二駆動軸330に二つ以上配置されている。また、第二駆動軸330は図示しない駆動源に連結され、第二駆動軸330をこの駆動源の駆動力を伝達し、排出駆動ローラ310を回転させる。
【0014】
原稿導入部700は、一対の搬送ローラ200から繰り出される原稿Pを読取部100に密接させるものである。このため、原稿導入部700は、読取部100と対向する位置、つまり、本実施の形態では、千鳥状に配置されている。
【0015】
さらに、原稿導入部700には、原稿導入部700が蓋部20側に付勢するようにバネや弾性体が設けられている。以上の構成により、正確に、読取部100で、原稿Pに記載されたデータの読み取りができる。
【0016】
次に、蓋部20は、読取部100と搬送従動ローラ220と排出従動ローラ320とを備える。読取部100は、原稿Pに記載されたデータを読むものであり、CCDまたはCISが千鳥状に配置され、原稿Pを読み取る時には、原稿導入部700と対向する位置となる。
【0017】
読取部100は、具体的には、CCD(Chage Coupled Device:CCDセンサ方式)、またはCIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ方式)が適用される。
【0018】
また、原稿導入部700と対向する面にはプラテンガラス800が設けられている。これにより、原稿Pが読取部100を通過するときに、バネや弾性体の付勢力の作用により、原稿導入部700が、所定圧で、プラテンガラス800に突き当たり、原稿Pがプラテンガラス800に密着し、正確に、原稿Pに記載されたデータの読み取りができる。
【0019】
さらに、プラテンガラス800の原稿Pの挿入側には、原稿Pが読取部100側に搬送やすいようにガイド部810が設けられている。このガイド部810は、搬送方向に徐々に幅が狭くなるように形成され、一定以上の厚みがある原稿Pの搬送を規制している。
【0020】
搬送従動ローラ220と排出従動ローラ320は、読取部100の両側に位置し、搬送駆動ローラ210と排出駆動ローラ310と協働して原稿Pの搬送を行うものである。搬送従動ローラ220は、一対の搬送ローラ200の他方のローラであり、第一従動軸240に軸支されている。搬送従動ローラ220と搬送駆動ローラ210とにより一対の搬送ローラ200となる。
【0021】
さらに、搬送従動ローラ220は、図2に示された搬送駆動ローラ210と同様に、第一従動軸240に二つ以上配置されている。各搬送従動ローラ220は、原稿Pを介して搬送駆動ローラ210、または、直接、搬送駆動ローラ210の回転に追従して回転する。
【0022】
排出従動ローラ320は、図2に示された搬送従動ローラ220と同様に、第二従動軸340に二つ以上配置されている。各排出従動ローラ320は、搬送従動ローラ220と同様に、原稿Pを介して排出駆動ローラ310、または、直接、排出駆動ローラ310の回転に追従して回転する。
【0023】
リンク機構500は、搬送駆動ローラ210と搬送従動ローラ220の隙間S、および排出駆動ローラ310と排出従動ローラ320の隙間Sを、原稿Pの厚さに応じて、調整するものである。
【0024】
図3に示すように、リンク機構500は、第一リンク510と第二リンク520とからなる。第一リンク510および第二リンク520の各々一端は支軸で連結されている。一方、第一リンク510および第二リンク520の他端は、各々、第一従動軸240および第二従動軸340を支持している。
【0025】
図3から明らかなように、第一従動軸240および第二従動軸340の支持は、第一従動軸240および第二従動軸340の両側から行われている。
【0026】
さらに、蓋部20には、搬送従動ローラ220と排出従動ローラ320の位置する上方に付勢手段400が設けられている。付勢手段400は、搬送される原稿Pの方向に、搬送従動ローラ220および排出従動ローラ320を付勢するものである。この付勢手段400の付勢力により、搬送駆動ローラ210と搬送従動ローラ220との間、および搬送従動ローラ220と排出従動ローラ320との間に、所定圧で押圧し、良好な原稿Pの搬送を実現することができる。
【0027】
以上、述べた、搬送駆動ローラ210と排出駆動ローラ310の組、搬送従動ローラ220と排出従動ローラ320の組、第一駆動軸230と第一従動軸240と第二駆動軸330と第二従動軸340の組は、同じ構成であり、部品の共通化を図って、製造原価のコストを削減することができる。
【0028】
次に、動作について述べる。以上の構成のもと、原稿Pの先端を挿入口(符号なし)に挿入すると、原稿Pの厚さ分だけ、搬送駆動ローラ210と搬送従動ローラ220の隙間Sが形成される。この時、付勢手段400により、搬送従動ローラ220が原稿P(下方)側に付勢されるため、所定圧で原稿Pが搬送される。
【0029】
これに伴い、リンク機構500により、搬送駆動ローラ210と搬送従動ローラ220の隙間Sの分だけ、排出従動ローラ320が上方にシフトする。
【0030】
さらに、一対の搬送ローラ200により原稿Pが繰り出されると、原稿Pの先端がガラスプラテンのガイド部に突き当たり、原稿Pの先端が矯正されて、プラテンガラス800と原稿導入部700との間に搬送される。
【0031】
この時、原稿Pは、ばねや弾性体等により原稿導入部700が上方に付勢され、所定圧でプラテンガラス800に押圧された状態になる。この結果、原稿Pの読み取り不良となる皺やカールなどが確実に矯正され、読取部100で原稿Pに記載されたデータを正確に読み取ることができる。
【0032】
さらに、繰り出された原稿Pは、一対の排出ローラ300を通過するときに、付勢手段400により従動排出ローラが、原稿P(下方)側に付勢され、排出駆動ローラ310に対して、所定圧で押圧し、良好な搬送力で原稿Pを繰り出すことができる。一対の排出ローラ300を通過した原稿Pは装置外へと排出される。
【0033】
このように、簡単な構成で、読み取る原稿Pの厚さ毎に設置することなく、単に、原稿Pを一対の搬送ローラ200間に食い込ませるのみで原稿Pを読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の画像読取装置の概略図。
【図2】本体部の上面図。
【図3】リンク機構の主要部の斜視図。
【符号の説明】
【0035】
10 搬送口
100 読取部
200 一対の搬送ローラ
210 搬送駆動ローラ
220 搬送従動ローラ
230 第一駆動軸
240 第一従動軸
300 一対の排出ローラ
310 排出駆動ローラ
320 排出従動ローラ
330 第二駆動軸
340 第二従動軸
400 付勢手段
500 リンク機構
510 第一リンク
520 第二リンク
P 原稿
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿のデータを読取部で読み取る原稿搬送装置において、
前記読取部に原稿を搬送する搬送口に設けられた一対の搬送ローラと、前記読取部で原稿が読み取られた後に排出される排出口に設けられた一対の排出ローラと、搬送される前記原稿の方向に、前記搬送ローラおよび前記排出ローラを付勢する付勢手段と、
前記一対の搬送ローラの隙間と、前記一対の排出ローラの隙間を、前記原稿の厚さに応じて、調整するリンク機構とを有し、
前記一対の搬送ローラは、第一駆動軸に軸支された搬送駆動ローラと、第一従動軸に軸支され、該搬送駆動ローラの回転に追従する搬送従動ローラとを備え、
前記一対の排出ローラは、第二駆動軸に軸支された排出駆動ローラと、第二従動軸に軸支され、該排出駆動ローラの回転に追従する排出従動ローラとを備え、
前記リンク機構は、前記第一従動軸を支持する第一リンクと、前記第二従動軸を支持する第二リンクと、該第一リンクと第二リンクとを軸支して、前記第一従動軸と前記第二従動軸を連結する支軸とを備え、
前記リンク機構は、前記原稿の厚さに応じて、前記搬送従動ローラを前記搬送駆動ローラから離間させるとともに、前記搬送従動ローラを前記搬送駆動ローラとの離間動作に追従して、前記排出従動ローラを前記排出駆動ローラから離間させることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記搬送駆動ローラと前記排出駆動ローラが配置された本体部と、前記読取部および前記リンク機構が配置された蓋部とからなり、
前記蓋部には、前記搬送従動ローラと、前記排出従動ローラの各々を、前記原稿が搬送される側に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記搬送駆動ローラ、前記搬送従動ローラ、前記排出駆動ローラおよび前記出駆動ローラは、軸線方向に二つ以上配置されていることを特徴とする請求項1記載の原稿搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−95532(P2013−95532A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237596(P2011−237596)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】