双対動作周波数を有する焼灼機器、同機器を含むシステム、および同機器を用いて焼灼体積を調節する方法
【課題】焼灼体積を調節する能力がある組織焼灼機器を提供する。
【解決手段】焼灼機器は、遠位端部を有する内側伝導体210、内側伝導体210の周辺で同軸上に配置された外側伝導体260、およびそれらの間に配置された誘電材料を含む給電線と、内側伝導体210の遠位端部に縦方向に配置され、かつ近位端部を有する細長い電気伝導性部材270と、外側伝導体260の第1部分の上方に配置され、かつ、第1バラン構造体B1の遠位端部が電気伝導性部材の近位端部からの第1距離に位置するように位置付けられた第1バラン構造体B1と、外側伝導体260の第2部分の上方に配置され、かつ、第2バラン構造体B2の遠位端部が電気伝導性部材270の近位端部からの第2距離に位置するように位置付けられた第2バラン構造体B2と、を含む。
【解決手段】焼灼機器は、遠位端部を有する内側伝導体210、内側伝導体210の周辺で同軸上に配置された外側伝導体260、およびそれらの間に配置された誘電材料を含む給電線と、内側伝導体210の遠位端部に縦方向に配置され、かつ近位端部を有する細長い電気伝導性部材270と、外側伝導体260の第1部分の上方に配置され、かつ、第1バラン構造体B1の遠位端部が電気伝導性部材の近位端部からの第1距離に位置するように位置付けられた第1バラン構造体B1と、外側伝導体260の第2部分の上方に配置され、かつ、第2バラン構造体B2の遠位端部が電気伝導性部材270の近位端部からの第2距離に位置するように位置付けられた第2バラン構造体B2と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組織焼灼用途における使用に適した電気外科用機器に関し、より具体的には、双対動作周波数を有する焼灼機器、同機器を含むシステム、および同機器を用いて焼灼体積を調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の疾患の治療には、増殖した悪性組織、例えば、腫瘍の破壊が必要とされる。腫瘍細胞を加熱および破壊するために、電磁放射線を用いることができる。治療は、癌性腫瘍が確認されている組織に焼灼探針を挿入することを伴う場合がある。探針が位置付けられた時点で、電磁エネルギーが探針を通じて周囲組織に送られる。
【0003】
癌等の疾患の治療において、特定の種類の腫瘍細胞が、通常は健常細胞に有害な温度よりわずかに低い温度までの昇温で変性することが分かっている。温熱療法等の既知の治療法は、罹患細胞を41℃超過の温度に加熱し、その一方で、隣接する健常細胞を不可逆の細胞破壊が起こる温度未満に維持する。こうした方法は、組織を加熱し、焼灼し、および/または凝固させる電磁放射線を加えることを伴う。マイクロ波エネルギーは、こうした方法を実行するために時々利用される。組織を加熱する電磁放射線を利用する他の処置も、組織の凝固、切断、および/または焼灼を含む。
【0004】
電磁放射線を利用する電気外科用機器は、様々な用法および用途のために開発されてきた。短期間にエネルギーの高爆発を供給し、様々な組織に対して切断効果および凝固効果を実現するために用いることができる、いくつかの機器が利用可能である。焼灼処置を実行するために用いることができる、いくつかの異なる種類の装置がある。典型的には、焼灼処置における使用のためのマイクロ波装置は、エネルギー源として機能するマイクロ波発生器と、エネルギーを標的組織へ向けるためのアンテナ組立体を有するマイクロ波外科器具(例えば、マイクロ波焼灼探針)とを含む。マイクロ波発生器および外科器具は、典型的には、マイクロ波エネルギーを発生器から器具に伝送するために、および、器具と発生器との間で制御信号、帰還信号、および識別信号を通信するために、複数の伝導体を有するケーブル組立体により動作的に連結される。
【0005】
いくつかの種類のマイクロ波探針、例えば、単極子、双極子、および螺旋形のものが用いられており、それらを組織焼灼用途にて用いることができる。単極子または双極子のアンテナ組立体では、マイクロ波エネルギーは一般的に伝導体の軸から離れて垂直に放射する。単極子アンテナ組立体は、典型的には、単一で細長い伝導体を含む。典型的な双極子アンテナ組立体は、互いに対して直線的に整列しかつ端と端を接するように位置付けられる2つの細長い伝導体を、電気絶縁体がそれらの間に設置される状態で含む。螺旋形アンテナ組立体は、様々な寸法、例えば、直径および長さの螺旋形状の伝導体構成を含む。螺旋形アンテナ組立体の動作の主モードは、螺旋により放射された場が螺旋軸に対して垂直な面内で最大である通常モード(ブロードサイド)、および、最大の放射線が螺旋軸に沿っている軸モード(エンドファイア)である。
【0006】
特定の種類の組織焼灼処置は、所望の手術結果を実現するために特定の焼灼体積を要求する場合がある。焼灼体積は、アンテナの設計、アンテナの性能、アンテナのインピーダンス、焼灼時間とワット数、および組織の特性、例えば、組織のインピーダンスと相関する。
【0007】
温熱療法等の電磁放射線を利用する治療法では、熱の転移または拡散が、放射、伝導、および対流の過程により起こる場合がある。「熱放射」および「放射熱伝達」は、(例えば、電磁波理論により予測されるような)電磁波、または(例えば、量子力学により予測されるような)光子の形態にあるエネルギーの伝達を記述するために用いられる2つの用語である。熱伝達の文脈において、用語「伝導」は、概して、粒子間の相互作用に起因する、物質のより大きいエネルギーを有する粒子からより小さいエネルギーを有する粒子へのエネルギーの伝達を指す。用語「対流」は、概して、固体表面と隣接する動流体との間におけるエネルギー伝達を指す。対流熱伝達は、流体内における拡散つまり分子運動と、流体のバルクつまり巨視的運動との組み合わせであり得る。
【0008】
組織加熱の程度は、エネルギーが治療下にある組織により吸収され、または当該組織内に放散される割合を含む、いくつかの要因に依存する場合がある。生物学的組織内における電磁エネルギーの吸収率を、組織により吸収される単位質量当たりのエネルギーの測定基準、比吸収率(SAR)により定量化することができ、通常はキログラム当たりのワット(W/kg)を単位として表現する。SARを決定する1つの方法は、組織の比熱容量の関数として、組織内における温度上昇の割合を測定することである。この方法には、組織の比熱が既知であることが要求される。第2の方法は、組織内における電場強度を測定することによりSARを決定することである。この方法には、組織の伝導度および密度の値が既知であることが要求される。
【0009】
放射線とSARとの間における関係を、
【数1】
として表現することができ、式中、σはメートル当たりのジーメンス(S/m)を単位とする組織の電気伝導度であり、ρは立方メートル当たりのキログラム(kg/m3)を単位とする組織の密度であり、|E|はメートル当たりのボルト(V/m)を単位とする局所電場の大きさである。
【0010】
組織内における初期温度上昇ΔT(℃)と比吸収率との間における関係を、
【数2】
として表現することができ、式中、cは(ジュール/kg‐℃を単位とする)組織の比熱であり、Δtは秒(sec)単位における暴露期間である。等式(1)を等式(2)に代入することにより、組織内において誘起される温度上昇と印加される電場との間における関係が、
【数3】
としてもたらされる。
【0011】
上記の等式から分かるように、局所電場振幅を変化させることにより、局所エネルギー吸収および組織内において誘起される温度上昇は直接影響を及ぼされる。温熱療法等の治療法では、悪性組織を41℃超過の温度に加熱するのに十分な大きさの電場を置き、その一方で、細胞死を引き起こす温度未満に健常細胞を保つように、付近の健常組織内におけるSARの大きさを腫瘍内におけるそれより小さくあるように制限することが、恐らく望ましいだろう。
【0012】
流体冷却されたか誘電的に緩衝されたマイクロ波機器を、焼灼処置において用いることができる。マイクロ波焼灼機器の動作の最中に、適切な冷却が維持されない、例えば、冷却剤または緩衝流体の流れが妨害される場合、マイクロ波焼灼機器は、増加した反射電力から発生される熱に起因する迅速な障害を示す場合がある。焼灼探針を冷却することにより、アンテナの全体の加熱パターンを増強し、アンテナへの損傷を防ぐことができる。
【0013】
特定の処置の最中において、マイクロ波エネルギーが周囲組織内に放射することになる程度を評価することは困難である場合があり、焼灼することになる周囲組織の面積または体積を決定することが困難になる。SARおよび焼灼体積に影響を与える能力がある組織焼灼機器は、より正確な焼灼治療を可能にすることができ、これは、より短い患者の回復時間、望まれない組織の損傷からのより少ない合併症、および改善した患者予後に繋がり得る。
【発明の概要】
【0014】
本開示は、遠位端部を有する内側伝導体と、内側伝導体の周辺で同軸上に配置された外側伝導体と、それらの間に配置された誘電材料とを含む給電線を含む焼灼機器に関する。当該焼灼機器は、内側伝導体の遠位端部に縦方向に配置され、かつ近位端部を有する細長い電気伝導性部材と、外側伝導体の第1部分の上方に配置され、かつ、第1バラン構造体の遠位端部が電気伝導性部材の近位端部からの第1距離に位置するように位置付けられた第1バラン構造体と、外側伝導体の第2部分の上方に配置され、かつ、第2バラン構造体の遠位端部が電気伝導性部材の近位端部からの第2距離に位置するように位置付けられた第2バラン構造体とをも含む。
【0015】
本開示は、発生器組立体と、発生器組立体と動作可能に関連する焼灼機器とを含むシステムに関する。当該焼灼機器は、内側伝導体と、内側伝導体の周辺で同軸上に配置された外側伝導体と、それらの間に配置された誘電材料とを有する給電線を含む。当該焼灼機器は、第1動作周波数と動作可能に関連し、外側伝導体に電気的に連結される第1バラン構造体と、第2動作周波数と動作可能に関連し、外側伝導体に電気的に連結される第2バラン構造体とをも含む。
【0016】
本開示は、第1動作周波数および第2動作周波数で動作する能力がある焼灼機器を組織内に位置付ける最初のステップを含む、焼灼体積を調節する方法にも関する。当該焼灼機器は、第1動作周波数と動作可能に関連する第1バランと、第2動作周波数と動作可能に関連する第2バランとで構成されたアンテナ組立体を含む。当該方法は、第1動作周波数でエネルギーをエネルギー源からアンテナ組立体を通じて組織へ伝送するステップと、第2動作周波数でエネルギーをエネルギー源からアンテナ組立体を通じて組織へ伝送するステップと、をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示の一実施形態に従う、焼灼システムの概略図である。
【図2】本開示に従う、図1に示される焼灼システムのエネルギー印加器の一実施形態の部分的な縦断面図である。
【図3】本開示に従う、焼灼システムの別の実施形態の概略図である。
【図4】本開示の一実施形態に係る、エネルギー印加器の一部の分解部分を有する斜視図である。
【図5】本開示の一実施形態に係る、第1誘電層および第2誘電層がそれぞれ外側伝導体の第1部分および第2部分の周辺に配置された状態で示される、図4のエネルギー印加器の斜視的な組立図である。
【図6A】本開示の一実施形態に係る、第1電気伝導層および第2電気伝導層がそれぞれ第1誘電層および第2誘電層の周辺に配置された状態で示される、図5のエネルギー印加器の斜視図である。
【図6B】本開示の一実施形態に係る第3バラン構造体とともに示される、図6Aのエネルギー印加器の斜視図である。
【図7】本開示に従う、外側誘電層により包囲されかつ外側外被内に配置されて示される、図6Aのエネルギー印加器の一部を含む焼灼機器の一実施形態の部分的な斜視図である。
【図8】本開示の一実施形態に係る、図7の細部の示された領域の拡大された断面図である。
【図9】本開示の一実施形態に係る、図7の細部の示された領域の拡大された断面図である。
【図10】本開示に従う、焼灼パターンを表示および制御するためのユーザインターフェースを含む、マイクロ波焼灼システムの略図を示す。
【図11】本開示に従う、マイクロ波焼灼システムのブロック略図である。
【図12】本開示の一実施形態に係る、エネルギーを組織へ向ける方法を例解する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
目下開示されている、双対動作周波数を有する焼灼機器、同機器を含むシステム、および同機器を用いて焼灼体積を調節する方法の目的および特徴は、それらの様々な実施形態の記述が添付図面を参照して一読される場合、当該技術分野における通常の技術を有する者にとって明白となるだろう。
【0019】
下文にて、目下開示されている、双対動作周波数を有する焼灼機器、同機器を含むシステム、および同機器を用いて焼灼体積を調節する方法の実施形態が、添付図面を参照して記載される。同種の参照番号は、図面の記載の全体にわたって、同様または同一の要素を指す場合がある。図面に示されるように、および本明細書で用いられる際に、および物体上における相対位置付けを指す際に伝統的であるように、用語「近位(の)」は、使用者により近い、焼灼機器のその部分またはその構成部を指し、用語「遠位(の)」は、使用者からより遠い、焼灼機器のその部分またはその構成部を指す。
【0020】
本記述は、語句「一実施形態では」、「複数の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、または「他の実施形態では」を用いる場合があり、これらは、本開示に従う同じまたは異なる実施形態のうち1つ以上をそれぞれ指す場合がある。本記述の目的のために、「A/B」という形態にある語句は、AまたはBを意味する。本記述の目的のために、「Aおよび/またはB」という形態にある語句は、「(A)、(B)、または(AおよびB)」を意味する。本記述の目的のために、「A、B、またはCのうち少なくとも1つ」という形態にある語句は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)」を意味する。
【0021】
電磁エネルギーは、一般的には、エネルギーを増加させるか波長を減少させることにより、ラジオ波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、およびガンマ線に分類される。本明細書で用いられる際に、「マイクロ波」は、概して、300メガヘルツ(MHz)(3×108サイクル/秒)から300ギガヘルツ(GHz)(3×1011サイクル/秒)の周波数範囲内にある電磁波を指す。本明細書で用いられる際に、「焼灼処置」は、概して、マイクロ波焼灼、ラジオ周波数(RF)焼灼、またはマイクロ波焼灼により補助される切除術等の、任意の焼灼処置を指す。本明細書で用いられる際に、「エネルギー印加器」は、概して、マイクロ波またはRFの電気外科用発生器等の発電源から組織へエネルギーを伝達するために用いることができる任意の機器を指す。本明細書で用いられる際に、「エネルギー印加器配列」は、概して1つ以上のエネルギー印加器を指す。本明細書で用いられる際に、「伝送線」は、概して、1つの地点から別の地点への信号の伝搬のために用いることができる任意の伝送媒体を指す。本明細書で用いられる際に、「流体」は、概して、液体、気体、またはそれらの両方を指す。
【0022】
本明細書で用いられる際に、「長さ」は、電気的長さまたは物理的長さを指す場合がある。一般的に、電気的長さは、伝送媒体内に伝搬する信号の波長を単位とする当該媒体の長さの表現である。電気的長さは、通常は、波長、弧度、または度を単位として表現される。例えば、伝送媒体内に伝搬する電磁波または電気信号の波長の倍数または約数として、電気的長さを表現することができる。弧度で、または度等の角度測定の人工単位で、波長を表現することができる。伝送媒体の電気的長さを、(a)媒体を通じる電気信号または電磁信号の伝搬時間の、(b)媒体の物理的長さに等しい距離にわたる自由空間内の電磁波の伝搬時間に対する比率を乗じたその物理的長さとして表現することができる。電気的長さは、一般的に物理的長さと異なる。適当なリアクタンス素子の追加(容量的または誘導的)により、電気的長さを物理的長さより著しく短くすることも長くすることもできる。
【0023】
本開示の様々な実施形態が、組織を治療するための双対動作周波数を有する焼灼機器と、電磁放射線を組織へ向ける方法とを提供する。様々な実施形態に係る目下開示されている焼灼機器は、第1動作周波数と動作可能に関連する第1バラン構造体と、第2動作周波数と動作可能に関連する第2バラン構造体とで構成される。以下の記述は双対動作周波数を有する焼灼機器を説明しているが、本開示の教示は複数の動作周波数を有する焼灼機器に適用することもできる。マイクロ波周波数または他の周波数の電磁放射線を用いて、実施形態を実施することができる。いくつかの実施形態では、目下開示されている焼灼機器は、約915MHzの第1動作周波数と、約2.45GHzの第2動作周波数とで動作することができる。いくつかの実施形態では、第2動作周波数は約5.8GHzであり得る。いくつかの実施形態では、目下開示されている焼灼機器は、約915MHzの第1動作周波数と、約2.45GHzの第2動作周波数と、約5.8GHzの第3動作周波数とで動作することができる。様々な実施形態に係る冷却剤供給システムと流動連通する目下開示されている焼灼機器を含む電気外科用システムは、約500MHzと約10GHzとの間の周波数で動作するように設計および構成される。
【0024】
目下開示されている、双対動作周波数を有する焼灼機器の様々な実施形態は、マイクロ波焼灼と、マイクロ波焼灼により補助される外科的切除術のために組織をあらかじめ凝固させるための使用とに適している。下文に記載されている様々な方法は、マイクロ波焼灼および標的組織の完全な破壊を目標としているが、電磁放射線を向けるための方法を、例えば、心臓組織内において電気的刺激の伝導を防ぐために、標的組織が部分的に破壊または損傷される他の療法とともに用いることができることを理解されたい。加えて、以下の記述は双極子マイクロ波アンテナの使用を説明しているが、本開示の教示は、単極子、螺旋形、または他の適した種類のマイクロ波アンテナに適用することもできる。
【0025】
図1は、エネルギー印加器つまり探針101を含む、本開示の一実施形態に係る電気外科用システム10を示す。本開示に従う、図1の探針101等のエネルギー印加器の一実施形態は、図2でより詳細に示されている。しかしながら、他の探針の実施形態も用いることができることを理解されたい(例えば、図3および図7にそれぞれ示される301および701)。
【0026】
探針101は、概して、給電線110(または心棒)により伝送線15を介して接続器16に接続された放射部分を有するアンテナ組立体12を含み、当該接続器は、探針101を電気外科用電力発生源28、例えば、マイクロ波またはRFの電気外科用発生器にさらに動作可能に接続することができる。図2に示されるように、探針101は、長さ「L4」を有する第1バラン構造体「B1」と、長さ「L6」を有する第2バラン構造体「B2」とを含む場合がある。いくつかの実施形態では、第1バラン構造体「B1」は、4分の1波長の袖状バランまたは2分の1波長の袖状バランであり得る。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体「B2」は、4分の1波長の袖状バランまたは2分の1波長の袖状バランであり得る。本開示で後により詳細に記載される、第1バラン構造体「B1」および第2バラン構造体「B2」の形状、大きさ、および相対位置を、図2に描写されている構成から変化させることができる。
【0027】
給電線110を、適切な柔軟性、半剛性、または剛性のマイクロ波伝導性ケーブルから形成することができ、当該給電線は、電気外科用電力発生源28に直接的に接続することができる。代替的には、給電線110は、伝送線15を介して電気外科用電力発生源28にアンテナ組立体12を電気的に接続することができる。給電線110は、約1インチから約12インチの長さに及ぶ、アンテナ組立体12の近位端部から伝送線15の遠位端部への可変長さを有する場合がある。給電線110を、適切な電気伝導性材料、例えば、銅、金、銀、または、同様の伝導性値を有する他の伝導性の金属または金属合金で形成することができる。給電線110は、一般的に組織および/または皮膚を穿刺するのに要求される強度を提供する、ステンレス鋼で作られる場合がある。給電線110を形成するのに用いられる伝導性材料を、他の材料、例えば、金または銀等の他の伝導性材料で鍍金してその特性を改善し、例えば、伝導性を改善し、エネルギー損失などを減少させることができる。いくつかの実施形態では、給電線110はステンレス鋼を含み、その伝導性を改善するために、ステンレス鋼を銅または金等の伝導性材料の層で被覆することができる。
【0028】
給電線110は、内側伝導体210と、内側伝導体210を同軸上で包囲する誘電材料280と、誘電材料280を同軸上で包囲する外側伝導体260とを含む場合がある。アンテナ組立体12を、給電線110に対して遠位にアンテナ組立体12へと延在する、内側伝導体210の一部から形成することができる。セラミックス、水、雲母、ポリエチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、米国、デラウェア州、ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours and Companyにより製造されているTeflon(登録商標))、ガラス、または金属酸化物類を含むが、それらに限定されない、任意の適切な誘電材料から、誘電材料280を形成することができる。内側伝導体210および外側伝導体260を、任意の適切な電気伝導性材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、内側伝導体210は第1の電気伝導性材料(例えば、ステンレス鋼)から形成され、外側伝導体260は第2の電気伝導性材料(例えば、銅)から形成される。給電線110を、電力操作を改善するために、流体、例えば、生理食塩水、水、または他の適切な冷却剤流体により冷却することができ、当該給電線は、ステンレス鋼のカテーテルを含む場合がある。
【0029】
目下開示されているアンテナ組立体12は、細長い電気伝導性要素270を含む。いくつかの実施形態では、電気伝導性要素270は、内側伝導体210に(例えば、半田により)電気的に連結される固体金属の円筒である。電気伝導性要素270を、任意の適切な長さ「L0」の任意の適切な電気伝導性材料(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅などのような金属)で形成することができる。電気伝導性要素270の形状および大きさは、図2に描写されている構成から変化させることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、電力発生源28は、約500MHzから約2,500MHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成される。他の実施形態では、電力発生源28は、約500MHzから約10GHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成される。様々な周波数の電磁エネルギーを供給するように、電力発生源28を構成することができる。伝送線15は追加的に、あるいは代替的に、冷却剤源18から探針101の1つ以上の構成部へ冷却剤流体を供給するように構成された導管(図示せず)を提供することができる。
【0031】
アンテナ組立体12の遠位端部に位置するエンドキャップつまり先細部分120は、最小の抵抗を伴う組織への挿入を可能にするように、鋭い先端部123内で終端する。エンドキャップつまり先細部分120は、例えば、丸みがあり、平坦で、正方形で、六角形で、または円筒状円錐形である先端部123等の、他の形状を含む場合がある。
【0032】
いくつかの変化形では、アンテナ組立体12は、遠位放射部分105および近位放射部分140を含む。接合部材130を、それぞれ、近位放射部分140と遠位放射部分105との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、遠位放射部分105および近位放射部分140は、一般的に誘電材料、例えば接着剤で作られる接合部材130で整列し、遠位放射部分105を通じて少なくとも部分的に延在する内側伝導体によっても担持される。接合部材130は任意の適切な長さ「L1」を有してよく、当該接合部材を、任意の適切な弾性重合体またはセラミックスの誘電材料から任意の適切な工程により形成することができる。いくつかの実施形態では、接合部材130は過成形により形成され、かつ、例えば、ポリエーテルブロックアミド(例えば、フランス、コロンブのArkema Groupにより製造されているPEBAX(登録商標))、ポリエーテルイミド(例えば、サウジアラビアのSABIC Innovative Plasticsにより製造されているULTEM(登録商標)および/またはEXTEM(登録商標))、および/またはポリイミド系重合体(例えば、米国、デラウェア州、ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours and Companyにより製造されているVESPEL(登録商標))等の熱可塑性弾性重合体を含む。接合部材130を、任意の適切な過成形化合物を用いて任意の適切な工程により形成することができ、当該接合部材は、セラミック基板の使用を含む場合がある。
【0033】
図2に示されているように、目下開示されているアンテナ組立体12は、長さ「L4」を有する第1バラン構造体「B1」と、第1バラン構造体「B1」に対して近位に配置された、長さ「L6」を有する第2バラン構造体「B2」とを含む。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体「B2」は、第1バラン構造体「B1」から長さ「L5」だけ相隔たる場合がある。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体「B2」またはその部分は、第1バラン構造体「B1」またはその部分と重なり合う場合がある。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体「B2」の遠位端部を、第1バラン構造体「B1」の近位端部に対して実質的に隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、第1バラン構造体「B1」は、電気伝導性要素270の近位端部から長さ「L3」だけ相隔たる場合がある。いくつかの実施形態では、第1バラン構造体「B1」は、接合部材130の近位端部から長さ「L2」だけ相隔たる場合がある。
【0034】
様々な実施形態に係る第1バラン構造体「B1」は、外側伝導体260の周辺に配置された第1バラン絶縁体220と、第1バラン絶縁体220またはその部分の周辺に配置された第1電気伝導層240(本明細書では、第1伝導性バラン袖部とも呼ばれる)とを含む。第1伝導性バラン袖部240は、例えば、半田または他の適切な電気的接続により、外側伝導体260に電気的に連結される。様々な実施形態に係る第2バラン構造体「B2」は、外側伝導体260の周辺に配置された第2バラン絶縁体230と、第2バラン絶縁体230またはその部分の周辺に配置された第2電気伝導層250(本明細書では、第2伝導性バラン袖部とも呼ばれる)とを含む。第2伝導性バラン袖部250は、任意の適切な電気的接触を用いて、外側伝導体260に電気的に連結される。いくつかの実施形態では、第1伝導性バラン袖部240の近位端部、および/または、第2伝導性バラン袖部250の近位端部を、例えば、電気的および機械的に、外側伝導体260への接続を可能にするように適合することができる。
【0035】
第1バラン絶縁体220および第2バラン絶縁体230を、それぞれ、セラミックス、水、雲母、ポリエチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、米国、デラウェア州、ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours and Companyにより製造されているTeflon(登録商標))、ガラス、金属酸化物類、または他の適切な絶縁体を含むが、それらに限定されない、任意の適切な絶縁材料で形成することができ、かつ任意の適切な方法で形成することができる。第1バラン絶縁体220および第2バラン絶縁体230を、任意の他の適切な技術により、成長させ、堆積させ、または形成することができる。いくつかの実施形態では、第1バラン絶縁体220および第2バラン絶縁体230は、約1.7から約10の範囲内の誘電定数を有する材料から形成される。第1電気伝導層240および第2電気伝導層250を、それぞれ、任意の適切な電気伝導性材料、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅などのような金属で形成することができ、かつ任意の適切な方法で形成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、アンテナ組立体12に冷却剤室(例えば、図2に示されている271)を設けることができる。加えて、接合部材130は、冷却剤室の中および外への冷却剤の流れを促進する、冷却剤の流入口および流出口(図示せず)を含む場合がある。冷却剤室の例および冷却剤の流入口および流出口の実施形態は、2009年3月10日に出願された、「冷却された誘電緩衝マイクロ波双極子アンテナ(COOLED DIELECTRICALLY BUFFERED MICROWAVE DIPOLE ANTENNA)」という名称の、同一出願人による米国特許出願第12/401,268号と、「マイクロ波アンテナを冷却するための機器および方法(DEVICES AND METHODS FOR COOLING MICROWAVE ANTENNAS)」という名称の米国特許第7,311,703号とに開示されており、それらの開示は本明細書で参照により全体として組み込まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、近位放射部分140、接合130、および/または遠位放射部分105、またはそれらの部分の周辺に配置された外側誘電層(例えば、図2に示されている285)を、アンテナ組立体12に設けることができる。例えば、重合体材料またはセラミックス材料等の任意の適切な材料で、外側誘電層を形成することができる。例えば、熱収縮、過成形、被覆、噴霧、浸漬、粉末被覆、焼き付け、および/または膜蒸着等の任意の適切な方法により、外側誘電層を塗布することができる。
【0038】
図2に示されているように、アンテナ組立体12は外側外被291を含む。外側外被291は、実質的に円筒形または管形の形状を有する場合がある。いくつかの実施形態では、外側外被291の遠位端部は、例えば、Oリング「O」、または他の適切な接続方法または接続機器により、エンドキャップつまり先細部分120に連結可能であるように適合される。外側外被291およびエンドキャップつまり先細部分120を、単一の構造体として形成することができる。外側外被291および先細部分120の形状および大きさを、図2に描写されている構成から変化させることができる。
【0039】
外側外被291は、低い電気伝導性を有する合成材料、例えば、ガラス強化重合体で形成された、流体冷却されたカテーテルである場合がある。本開示の実施形態によれば、冷却剤室271は、外側誘電層285と外側外被291との間に画定される。電気伝導性要素270の周辺に冷却剤流体「F」を循環させるように、冷却剤室271を適合させることができる。冷却剤流体「F」は、探針101を冷却または緩衝するために用いることができる任意の適切な流体、例えば、脱イオン水、または他の適切な冷却媒体であってよい。冷却剤流体「F」は誘電特性を有する場合があり、誘電インピーダンス緩衝をアンテナ組立体12に提供することができる。
【0040】
例えば、電気外科用システム10を用いるマイクロ波焼灼の最中に、探針101が組織内に挿入されるか組織に対し隣接して据えられ、マイクロ波エネルギーがそこへ供給される。超音波誘導または計算断層撮影(CT)誘導を、治療される予定の組織の領域内へ探針101を正確に誘導するために用いることができる。例えば、手術人員による従来の手術手技を用いて、探針101を経皮的または外科的に据えることができる。臨床医は、マイクロ波エネルギーが印加されることになる時間の長さをあらかじめ決定することができる。印加持続時間は、腫瘍の大きさおよび場所、ならびに、腫瘍が続発性癌または原発性癌であったかどうか等の、多くの要因に依存する場合がある。探針101を用いるマイクロ波エネルギー印加の持続時間は、破壊される予定の組織領域および/または周囲組織内における熱分配の進行に依存する場合がある。単一または多数の探針101は、標的組織領域内の癌性細胞を破壊する短い処置時間、例えば数分内に焼灼を提供することができる。特定の腫瘍の治療は、腫瘍が探針より大きいか、あるいは利用可能な探針の幾何形状または放射パターンと一致しない形状を有する場所等で、焼灼処置の最中に探針の再位置付けを伴う場合がある。
【0041】
標的組織領域を実質的に同時に焼灼する、様々に配列された構成内に複数の探針101を据え、より速い処置を可能にすることができる。多数の探針101を用いて、大きい焼灼を相乗的に創出するか、または別個の部位を同時に焼灼することができる。組織焼灼の大きさおよび幾何形状は、エネルギー印加器の設計、同時に用いられるエネルギー印加器の数、焼灼時間とワット数、および組織の特性等の、様々な要因により影響される。
【0042】
動作中に、波長ラムダ(λ)を有するマイクロ波エネルギーがアンテナ組立体12を通じて、例えば、近位放射部分140および遠位放射部分105に沿って伝送され、周囲媒体、例えば組織の中に放射される。効率的な放射のためのアンテナの長さは有効波長λeffに依存する場合があり、当該有効波長は放射される媒体の誘電特性に依存する。それを通じてマイクロ波エネルギーが波長λで伝送されるアンテナ組立体12は、周囲媒体、例えば乳房組織に相対するような肝組織に依存する、異なる有効波長λeffを有する場合がある。
【0043】
図3は、焼灼機器301を含む、本開示の一実施形態に係る電気外科用システム100を示す。焼灼機器301は、鞘部338内に配置されたアンテナ組立体312を含む。様々な実施形態に係る焼灼機器301は、1つの実施形態において、最小の抵抗を伴う組織への挿入を可能にするように、尖端部26で終端する先細端部24を有する先端部48を含む。いくつかの実施形態では、給電線110がアンテナ組立体312を接続中心部322に連結する。本開示で後により詳細に記載される接続中心部322は、概して、ケーブル接続器379および流体口330と332を含む。電気外科用システム100は、概して、冷却剤供給システム313を含む。冷却剤供給システムの実施形態の例は、2009年9月24日に出願された、「焼灼探針に対する断続した流体流の光学検出(OPTICAL DETECTION OF INTERRUPTED FLUID FLOW TO ABLATION PROBE)」という名称の、同一出願人による米国特許出願第12/566,299号に開示されている。アンテナ組立体312は図2に示されているアンテナ組立体12と同様であり、そのさらなる記述は簡潔さのために省略される。
【0044】
鞘部338は、概して、その中にアンテナ組立体312またはその部分を位置付けることができる管腔を画定する、実質的な管状部材339を含む。いくつかの実施形態では、鞘部338は、給電線110、近位放射部分140、および遠位放射部分105の上方に配置され、かつそれらを囲い込む。様々な実施形態に係る鞘部338は、先端部48に連結可能であるように構成することができる、水冷却されたカテーテルである場合がある。図3に示されている実施形態に従い、冷却剤室337は、管状部材339と、給電線110、近位放射部分140、および遠位放射部分105の外面との間に画定される。
【0045】
冷却剤室337は、そこを通じて冷却剤流体「F」を循環させるように適合され、かつ、邪魔板、多数の管腔、流動制限機器、あるいは、それらの形状に依存して流れを向け直し、集中させ、または分散させることができる他の構造体を含む場合がある。冷却剤室の実施形態の例は、2009年1月8日に出願された、「閉塞した誘電装荷先端の双極子マイクロ波アンテナ(CHOKED DIELECTRIC LOADED TIP DIPOLE MICROWAVE ANTENNA)」という名称の、同一出願人による米国特許出願第12/350,292号に開示されている。鞘部338およびそこを通じて延在する冷却剤室337の大きさおよび形状を、図3に描写されている構成から変化させることができる。
【0046】
本開示の一実施形態に従う電気外科用システム100は、電力発生源328と、接続中心部322を介してアンテナ組立体312に冷却剤流体「F」を供給するように適合された冷却剤供給システム313と、冷却剤供給システム313内の気泡を検出することができ、かつ、伝送線301および303を介して電力発生源328に電気的に連結されたセンサ部346とを含む。電気外科用システム100は、センサ部346と動作可能に関連し、かつ、センサ部346と接続中心部322との間に流体連通して配置される、分流器装置350をさらに含む場合がある。いくつかの実施形態では、センサ部346が冷却剤供給システム313内の空気または他の気泡を検出する時、センサ部346は伝送線303を介して電力発生源328および分流器装置350に電気信号を伝送する。
【0047】
冷却剤供給システム313は、概して、冷却剤源336と、冷却剤源336から接続中心部322へ通じる第1冷却剤経路319と、接続中心部322から冷却剤源336へ通じる第2冷却剤経路320とを含む。いくつかの実施形態では、第1冷却剤経路319は、第1冷却剤経路319を通じて冷却剤流体「F」を移動させるように構成された第1流体移動機器344を含み、第2冷却剤経路320は、第2冷却剤経路320を通じて冷却剤流体「F」を移動させるように構成された第2流体移動機器334を含む。
【0048】
冷却剤源336は、冷却剤流体「F」の貯留器を包含する任意の適切な筐体であってよく、冷却剤流体「F」を所定の温度に維持することができる。例えば、冷却剤源336は、アンテナ組立体312から帰還する冷却剤流体「F」を冷却する冷却部(図示せず)を含む場合がある。冷却剤流体「F」は、探針301を冷却または緩衝するために用いることができる任意の適切な流体、例えば、脱イオン水、または他の適切な冷却媒体であってよい。冷却剤流体「F」は誘電特性を有する場合があり、誘電インピーダンス緩衝をアンテナ組立体312に提供することができる。冷却剤流体「F」は、標的組織に運搬し、例えば、インピーダンスに影響を与え、増加した電力を標的組織へ運搬することを可能にすることができる、生理食塩水溶液等の伝導性流体である場合がある。冷却剤流体「F」の組成物は、所望の冷却速度および所望の組織インピーダンス整合特性に依存して変化する場合がある。様々な流体、例えば、水、生理食塩水、Minnesota Mining and Manufacturing Company(3M)により提供されている、市販のFluorinert(登録商標)のパーフルオロカーボン液等のパーフルオロカーボン、液体クロロジフルオロメタンなどを含むが、それらに限定されない液体を用いることができる。他の変化形では、(亜酸化窒素、窒素、二酸化炭素などのような)気体も冷却流体として利用することができる。さらに別の変化形では、例えば、上記に言及されたものを含む液体および/または気体の組み合わせを、冷却剤流体「F」として利用することができる。
【0049】
接続中心部322は、様々な適切な形状、例えば、円筒形、長方形などを有してよい。いくつかの実施形態では、接続中心部322は、ケーブル接続器379と、出口流体口330と、入口流体口332とを含む。接続中心部322は、出口流体口330および入口流体口332をそれぞれ収容するために、ケーブル接続器379および2つの外枝376および378を収容するのに用いられる中枝374を有する、三枝ルアー型接続器372を含む場合がある。接続中心部322を、鞘部338と流体連通して接続されるように適合させることができる。いくつかの実施形態では、鞘部338は接続中心部322および先端部48に連結され、それにより、給電線110、近位放射部分140、および遠位放射部分105の周辺に室337を画定する。接続器379をケーブル316に連結されるように適合し、探針301を電力発生源328に動作可能に接続することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1冷却剤経路319は、冷却剤源336から入口流体口332へ通じる冷却剤供給線386を含む。第1流体移動機器344を、入口流体口332と冷却剤源336との間に流体連通して配置することができる。いくつかの実施形態では、第2冷却剤経路320は、出口流体口330から冷却剤源336へ通じる冷却剤帰還線388を含む。第2流体移動機器334を、出口流体口330と冷却剤源336との間に流体連通して配置することができる。第1流体移動機器344および第2流体移動機器334の位置を、例えば、冷却剤源336に対して、図3に描写された構成から変化させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、分流器装置350と関連する制御装置351は、冷却剤流体「F」の流れを第3冷却剤流体経路321へ転換する流体分流器352を作動させることができる。流体分流器352は、冷却剤流体「F」の流れを選択的に転換するための、任意の適切な機器であってよい。第3冷却剤流体経路321は、分流器装置350から容器390へ通じる場合がある。制御装置351は、任意の種類の計算機器、計算回路、あるいは、制御装置351の記憶装置(図示せず)内に保存される一連の指示を実行することができる、任意の種類の処理装置または処理回路を含んでよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、分流器装置350は、弁本体と、弁本体に動作的に連結された電気機械作動装置とを含む弁(図示せず)を含む。制御装置351は、作動装置を、例えば、所定の弁制御順序に従って作動させることにより、流体分流器352を制御することができる。いくつかの実施形態では、弁制御順序は、冷却剤流体「F」が接続中心部322に向かって流れる第1位置から、その中に取り込まれる空気または他の気泡を有する冷却剤流体「F」が容器390内へ流れる第2位置へ弁を移動させることと、例えば、所定の時間間隔の後に第1位置に帰還し、それにより、接続中心部322に向かう冷却剤流体「F」を復旧することとを伴う場合がある。
【0053】
図4から図7は、本開示に従う、図7で概して701として示されている、焼灼機器または探針を形成する構成部の連続的に例解される組立体を示す。図4では、長さ「L7」を有する、誘電材料422および内側伝導体420の一部421が、外側伝導体424を超えて延在するように、同軸給電線426は外側伝導体424を縮小した状態で示されている。本開示の一実施形態によれば、図4で概して400として示されているエネルギー印加器セグメントは、内側伝導体420の縦軸「A」に沿って延在する電気伝導性要素460を含む。電気伝導性要素460を、焼灼機器701の遠位部分に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、電気伝導性要素460は、内側伝導体420に(例えば、半田により)電気的に連結された一部421の遠位端部に配置された固体金属の円筒である。任意の適切な長さ「L8」の任意の適切な電気伝導性材料(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅などのような金属)で、電気伝導性要素460を形成することができる。電気伝導性要素460の形状および大きさを、図4に描写されている構成から変化させることができる。
【0054】
図5は、外側伝導体424の第1部分424aの周辺に同軸上に配置された第1誘電層520(本明細書では、バラン絶縁体とも呼ばれる)と、外側伝導体424の第2部分424bの周辺に同軸上に配置された第2誘電層530とを除いては、図4のエネルギー印加器セグメント400と同様である、本開示の一実施形態に係るエネルギー印加器セグメント500を示す。第1バラン絶縁体520は、約0.1インチから約3.0インチの範囲内の適切な長さ「L11」を有する場合がある。第1バラン絶縁体520は外側伝導体424の遠位端部425から相隔たり、当該絶縁体を当該端部に対して近位に配置することができる。いくつかの実施形態では、第1バラン絶縁体520の遠位端部521は、長さ「L12」、例えば0.1インチだけ、外側伝導体424の遠位端部425から相隔たる。第2バラン絶縁体530は、約0.1インチから約3.0インチの範囲内の適切な長さ「L9」を有する場合がある。いくつかの実施形態では、第2バラン絶縁体530の遠位端部531を、第1バラン絶縁体520の近位端部522に対して実質的に隣接して配置することができる。図5に示されているように、第2バラン絶縁体530の遠位端部531は、第1バラン絶縁体520の遠位端部522から長さ「L10」だけ相隔たり、当該遠位端部531を当該遠位端部522に対して近位に配置することができる。
【0055】
第1バラン絶縁体520および第2バラン絶縁体530を、セラミックス、水、雲母、ポリエチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、米国、デラウェア州、ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours and Companyにより製造されているTeflon(登録商標))、ガラス、金属酸化物類、または他の適切な絶縁体を含むが、それらに限定されない、任意の適切な絶縁材料で形成することができ、かつ任意の適切な方法で形成することができる。第1誘電層520および第2誘電層530を、任意の他の適切な技術により、成長させ、堆積させ、または形成することができる。いくつかの実施形態では、第1誘電層520は、約1.7から約10の範囲内の誘電定数を有する材料から形成される。第1バラン絶縁体520および第2バラン絶縁体540の形状、大きさ、および相対位置を、図5に描写されている構成から変化させることができる。いくつかの実施形態では、第1バラン絶縁体520は、平衡/不平衡(バラン)構造体(例えば、図6Aに示されている「B1」)内に電流を向けるように、伝導性バラン袖部(例えば、図6Aに示されている640)の遠位端部を超えて遠位に延在する場合がある。
【0056】
図6Aは、第1バラン絶縁体520の周辺に同軸上に配置された第1電気伝導層640(本明細書では、伝導性バラン袖部とも呼ばれる)と、第2バラン絶縁体530の周辺に同軸上に配置された第2電気伝導層650とを除いては、図5のエネルギー印加器セグメント500と同様である、本開示の一実施形態に係るエネルギー印加器セグメント600を示す。図6Aに示されているように、第1電気伝導層640は近位端部641および遠位端部642を含み、第2電気伝導層650は近位端部651および遠位端部652を含む。
【0057】
第1電気伝導層640は任意の適切な長さを有してよい。いくつかの実施形態では、第1電気伝導層640は約0.1インチから約3.0インチの長さを有する。第1電気伝導層640を単一の構造体として形成し、例えば、半田または他の適切な電気的接触により、外側伝導体424に電気的に連結することができる。いくつかの実施形態では、第1電気伝導層640は、第1バラン絶縁体520の近位部分の周辺に同軸上に配置された第1部分643と、外側伝導体424に電気的に連結された第1部分643に対して近位に配置された第2部分644とを含む。第1部分643および第2部分644を、任意の適切な電気伝導性材料、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅などのような金属で形成することができ、かつ任意の適切な方法で形成することができる。第1部分643および第2部分644を互いに別々に形成することができる。第1部分643および第2部分644は、単一で統一された構造体を形成することができる。第2電気伝導層650は図6Aの第1電気伝導層640と同様であり、そのさらなる記述は簡潔さのために省略される。第1電気伝導性バラン袖部640および第2電気伝導性バラン袖部650の形状および大きさを、図6Aに描写されている構成から変化させることができる。
【0058】
図6Bは、第3バラン構造体「B3」を除いては、図6Aのエネルギー印加器セグメント600と同様である、本開示の一実施形態に係るエネルギー印加器セグメント630を示す。第3バラン構造体「B3」は図6Aの第2バラン構造体「B2」と同様であり、そのさらなる記述は簡潔さのために省略される。第1バラン構造体「B1」、第2バラン構造体「B2」、および第3バラン構造体「B3」の形状および大きさを、図6Bに描写されている構成から変化させることができる。
【0059】
図7は、鞘部291内に配置されたアンテナ組立体712を含む、本発明の一実施形態に係る焼灼機器701を示す。アンテナ組立体712は、外側誘電層785を除いては、図6Aに示されているエネルギー印加器セグメント600と同様である。冷却剤流体「F」とアンテナ組立体712との間の直接接触を防ぐように、外側誘電層785を構成することができる。外側誘電層785は、一実施形態において、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の収縮包装の袖部であり、当該誘電層をアンテナ組立体712の全長に塗布することができる。いくつかの実施形態では、焼灼機器701は、最小の抵抗を伴う組織への挿入を可能にするように、尖端部726で終端する先細端部724を有する先端部748を含む。
【0060】
図7および図8に示されているように、双極子の給電間隙「G」は、電気伝導性要素460の近位端部と、外側伝導体424の遠位端部(例えば、図5に示されている425)との間に画定される。いくつかの実施形態では、給電間隙「G」は約1mmから約3mmである場合がある。図7および図9に示されているように、外側伝導体424と、第1バラン構造体「B1」の第1バラン絶縁体520および第1伝導性バラン袖部640とを覆うように、外側誘電層785を構成することができる。
【0061】
図10は、焼灼機器つまり探針101を含む、本開示の一実施形態に係る電気外科用システム1000を概略的に例解する。しかしながら、他の探針の実施形態(例えば、図3および図7にそれぞれ示されている301および701)を用いることもできることを理解されたい。電気外科用システム1000は、ケーブル19により接続器17を介して、図1の電気外科用システム10の発生器組立体28の一実施形態に動作可能に連結された作動装置20を含む。作動装置20は、足動スイッチ、手動スイッチ、噛むことにより動作するスイッチ、または任意の他の適切な作動装置であってよい。ケーブル19は、作動装置20から発生器組立体28へ作動信号を搬送するために、1つ以上の電気伝導体を含む場合がある。一実施形態では、作動装置20は、制限なく、無線周波数または赤外線の接続等の無線接続により、発生器組立体28に動作可能に連結される。使用中に、臨床医はユーザインターフェース25とやりとりし、焼灼機器101の動作特性を予見することができる。
【0062】
様々な実施形態に係る発生器組立体28は、処理装置(例えば、図11に示されている82)と動作可能に連通する発生器モジュール(例えば、図11に示されている86)と、ユーザインターフェース25と、作動装置20とを含む。焼灼機器101は発生器モジュールのエネルギー出力に動作可能に連結され、当該モジュールをRFエネルギーおよび/またはマイクロ波エネルギーの源として構成することができる。作動装置20は、当該処理装置にユーザインターフェース21を介して動作可能に連結される。複数の実施形態では、ケーブル接続または無線接続により、当該処理装置および/または当該発生器モジュールに作動装置20を動作可能に連結することができる。
【0063】
ユーザインターフェース25は、制限なく、少なくとも1つのユーザインターフェース要素23、24を視覚的に表示するように適合された、平面パネルグラフィックLCD(液晶表示装置)等の表示装置21を含む場合がある。一実施形態では、表示装置21は接触画面の機能(図示せず)、例えば、制限なく、尖筆または使用者の指先等の、当該表示装置と物理的に接触する物体から入力を受信する能力を含む。ユーザインターフェース要素23、24は、当該ユーザインターフェース要素と関連する動作領域内で画面に接触することにより、ユーザインターフェース要素23、24と関連する入力がユーザインターフェース25により受信されるように、対応する動作領域を有する場合がある。
【0064】
ユーザインターフェース25は加えて、または代替的に、制限なく、スイッチ(例えば、押しボタンスイッチ、トグルスイッチ、滑動スイッチ)および/または連続作動装置(例えば、回転式または直線式の回転電位差計、回転式または直線式の符号器)を含む場合がある、1つ以上の制御手段22を含む。一実施形態では、制御手段22は専用の機能、例えば、表示装置の明暗差、電源の入/切、および同様のものを有する。制御手段22は、電気外科用システム10の動作モードに従って変化する場合がある機能を有する場合もある。ユーザインターフェース要素23を、その機能を示すように制御手段22に対して実質的に隣接して位置付けることができる。制御手段22は、電光表示器、例えば、単一色または可変色のLED表示器等の表示器を含む場合もある。
【0065】
図11は、図10の電気外科用システム1000の1つの実施形態を示すブロック図表である。一実施形態では、発生器モジュール86は約915MHzのエネルギーを供給するように構成される。加えて、または代替的に、約2,450MHz(2.45GHz)または約5,800MHz(5.8GHz)のエネルギーを供給するように、発生器モジュール86を構成することができる。本開示は、発生器モジュール286が約915MHzまたは約2,450MHzまたは約5,800MHz以外の周波数を発生するように構成される実施形態と、発生器モジュール86が可変周波数のエネルギーを発生するように構成される実施形態とを意図する。発生器組立体28は、ユーザインターフェース21に動作可能に連結される処理装置82を含む。処理装置82は、任意の種類の計算機器、計算回路、あるいは、記憶装置、例えば、記憶機器88または外部機器91内に保存される一連の指示を実行することができる、任意の種類の処理装置または処理回路を含んでよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、記憶機器88は処理装置82に動作可能に連結され、かつ、等速呼出記憶装置(RAM)、読取専用記憶装置(ROM)、および/または不揮発性記憶装置(NV‐RAM、フラッシュ、およびディスク系記憶装置)を含む場合がある。記憶機器88は、本開示に従い、焼灼パターンを表示および制御するための方法を実行するために、処理装置82上で実行可能な一組のプログラム指示を含む場合がある。発生器組立体86は、外部機器91への通信接続を提供するように構成されるデータインターフェース90を含む場合がある。いくつかの実施形態では、データインターフェース90は、USBインターフェース、メモリカード用差し込み口(例えば、SD用差し込み口)、および/またはネットワークインターフェース(例えば、100BaseTイーサネット(登録商標)インターフェースまたは802.11「Wi‐Fi」インターフェース)のうち何れかである場合がある。外部機器91は、USB機器(例えば、メモリスティック)、メモリカード(例えば、SDカード)、および/またはネットワーク接続された機器(例えば、コンピュータまたはサーバ)のうち何れかである場合がある。
【0067】
発生器組立体28は、エネルギー印加器のデータ、例えば、1つ以上のエネルギー印加器(例えば、図11に示されている101)と関連するパラメータを保存および検索するように構成されるデータベース84を含む場合もある。エネルギー印加器、またはエネルギー印加器配列組立体と接続しているデータベース84内に保存されたパラメータとしては、エネルギー印加器(または印加器配列組立体)の識別子、エネルギー印加器(または印加器配列組立体)の寸法、周波数、(例えば、放射部分の長さに関連する)焼灼の長さ、焼灼直径、(例えば、焼灼の幾何形状に関連する)給電点における間隙距離、時間係数、形状の測定基準、および/または周波数の測定基準を挙げることができるが、それらに限定されない。一実施形態では、データベース84、例えば、印加器配列組立体のワイヤフレームモデル、および/またはそれと関連する焼灼パターンの中に、焼灼パターンの位相幾何を含めることができる。
【0068】
データインターフェース90を介して外部機器91により提供されたデータにより、データベース84を少なくとも部分的に維持することもできる。例えば、制限なく、外部機器91からデータベース84へデータインターフェース90を介して、エネルギー印加器のデータをアップロードすることができる。加えて、または代替的に、外部機器91上に保存されたデータおよび/または指示に従い、エネルギー印加器のデータを操作、例えば、追加、修正、または削除することができる。一実施形態では、データベース84内で表された一組のエネルギー印加器のデータは、データインターフェース90に連結(例えば、物理的連結および/または論理的連結)されている外部機器91に応じて、外部機器91内に包含された対応するデータと自動的に同期する。
【0069】
様々な実施形態に係る処理装置82は、ユーザインターフェース25および/または表示装置21を介して、少なくとも1つの焼灼パターン、および/または、印加器配列組立体の一実施形態に対応する他のエネルギー印加器のデータを、使用者が見ることを可能にするようにプログラムされる。例えば、外科医は、実質的に球状の焼灼パターンが必須であることを断定することができる。当該外科医は、発生器組立体28のための動作の「焼灼形状を選択する」モードを作動させ、表示装置21上にてグラフィックおよび文字で提示されたデータを概観することによりエネルギー印加器配列を予見し、随意に、または代替的に、例えば、画像を回転させることによりグラフィック画像を操作し、表示されたパラメータに基づいてエネルギー印加器の配列を選択することができる。その後、当該選択された1つまたは複数のエネルギー印加器を、それを伴う使用のために発生器組立体28に電気的に連結することができる。
【0070】
一実施形態では、外科医は、発生器組立体28に、それに対応する1つ以上の電磁エネルギー運搬機器を提示させる印加器配列のパラメータを、ユーザインターフェース25を介して入力することができる。例えば、外科医は3.0cm×3.0cmの焼灼パターンを必要とし、かつそれに対応する入力を提供する場合がある。それに応じて、発生器組立体28は、当該入力されたパラメータに整合または相関する、対応する部分組の利用可能な電磁エネルギー運搬機器を予見することができる。
【0071】
一実施形態では、外科医はユーザインターフェース25を介して選択された電力出力を入力することができ、電気外科用システム1000は、焼灼機器101の動作周波数を変化させることにより、例えば、電力のレベルおよび/または反射電力のレベルに基づいて、焼灼体積を自動的に調節するように焼灼機器101を制御する。様々な実施形態に係る電気外科用システム1000は、本開示に従う焼灼機器の一実施形態を制御する際の使用に適した、帰還反復処理機構を含む場合がある。当該帰還反復処理機構は、例えば、ネジ山357a、358aの螺合比に基づいて、制限なく、近接センサ、分圧器ネットワーク、放射センサ、および/または帰還爪を含む場合がある。
【0072】
下文において、本開示に従う焼灼体積を調節する方法が、図12を参照することにより記載されている。本明細書で提供されている方法のステップを、本開示の範囲から逸脱することなく、組み合わせて、および本明細書で提示されている順序とは異なる順序で実施することができることを理解されたい。
【0073】
図12は、本開示の一実施形態に係る、焼灼体積を調節する方法を例解する流れ図である。ステップ1210では、第1動作周波数および第2動作周波数で動作することができる焼灼機器(例えば、図7に示されている701)が組織内に位置付けられる。当該焼灼機器を直接的に組織内に挿入し、管腔、例えば、血管、針、またはカテーテルを通じて挿入し、臨床医による手術の最中に体内に据え、あるいは、当該技術分野で知られている他の適切な方法により体内に位置付けることができる。当該焼灼機器は、第1動作周波数と動作可能に関連する第1バラン(例えば、図7に示されている「B1」)と、第2動作周波数と動作可能に関連する第2バラン(例えば、図7に示されている「B2」)とで構成されたアンテナ組立体(例えば、図7に示されている712)を含む。第1バランは4分の1波長の袖状バランであり得る。いくつかの実施形態では、当該焼灼機器は、第3動作周波数と動作可能に関連する第3バラン(例えば、図6Bに示されている「B3」)を含む場合もある。
【0074】
ステップ1220では、エネルギーが、第1動作周波数において、エネルギー源(例えば、図1に示されている28)からアンテナ組立体(例えば、図7に示されている712)を通じて組織へ伝送される。いくつかの実施形態では、第1動作周波数は約915MHzである場合がある。
【0075】
ステップ1230では、エネルギーが、第2動作周波数において、当該エネルギー源から当該アンテナ組立体を通じて組織へ伝送される。いくつかの実施形態では、第2動作周波数は約2.45GHzである場合がある。目下開示されている、エネルギーを組織へ向ける方法の一実施形態に従い、第1動作周波数および第2動作周波数において、エネルギーをアンテナ組立体を通じて組織へ選択的に伝送することにより、当該焼灼機器の少なくとも一部の周辺を放射する焼灼場を調節する。
【0076】
上記に記載した双対動作周波数を有する焼灼機器と、本開示の実施形態に係る焼灼体積を調節する方法とは、臨床医が、焼灼体積を調節することにより、大血管、健常器官、または不可欠な膜障壁等の組織構造体を、焼灼または不必要に加熱することを避けることを可能にすることができる。
【0077】
目下開示されている焼灼機器を含む、上記に記載した電気外科用システムは、1つ以上の焼灼パターン、および/または、特定の焼灼機器に対応する他のエネルギー印加器のデータを、使用者が見ることを可能にすることができ、このことが、臨床医が焼灼体積を予測し、繁雑さを避け、および/または治療の余地を考慮することを可能にすることができる。上記に記載した電気外科用システムを、目下開示されている、双対動作周波数を有する焼灼機器の動作周波数を自動的に調節するように、例えば、焼灼体積を調節するように適合させることができる。
【0078】
約915MHzの第1動作周波数、および約2.45GHzまたは約5.8GHzの第2動作周波数、または任意の他の適用可能な周波数で動作するように、上記に記載した焼灼機器を設計することができる。いくつかの実施形態では、目下開示されている焼灼機器は、第1周波数での動作を可能にするように適合された第1バラン構造体と、第2周波数での動作を可能にするように適合された第2バラン構造体とを含み、同機器を含む電気外科用システムを、遠位放射部分が第1の長さ、例えば約4cmを有する第1周波数、例えば約915MHzと、遠位放射部分が第2の長さ、例えば約2cmを有するように調節される第2周波数、例えば約2.45GHzとで動作させることができる。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体を約5.8GHzの第2周波数での動作を可能にするように適合させることができ、そこで、遠位放射部分は約1cmの長さを有するように調節される。
【0079】
いくつかの実施形態では、目下開示されている焼灼機器は、第1周波数(例えば、約915MHz)での動作を可能にするように適合された第1バラン構造体と、第2周波数(例えば、約2.45GHz)での動作を可能にするように適合された第2バラン構造体と、第3周波数(例えば、約5.8GHz)での動作を可能にするように適合された第3バラン構造体とを含む。
【0080】
例解および記載の目的のために、添付図面を参照して実施形態が詳細に記載されてきたが、本発明の過程および装置は当該実施形態により制限されると解釈されるものでないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に対する様々な修正を行うことができることは、当該技術分野における通常の技術を有する者にとって明白であることである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、組織焼灼用途における使用に適した電気外科用機器に関し、より具体的には、双対動作周波数を有する焼灼機器、同機器を含むシステム、および同機器を用いて焼灼体積を調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の疾患の治療には、増殖した悪性組織、例えば、腫瘍の破壊が必要とされる。腫瘍細胞を加熱および破壊するために、電磁放射線を用いることができる。治療は、癌性腫瘍が確認されている組織に焼灼探針を挿入することを伴う場合がある。探針が位置付けられた時点で、電磁エネルギーが探針を通じて周囲組織に送られる。
【0003】
癌等の疾患の治療において、特定の種類の腫瘍細胞が、通常は健常細胞に有害な温度よりわずかに低い温度までの昇温で変性することが分かっている。温熱療法等の既知の治療法は、罹患細胞を41℃超過の温度に加熱し、その一方で、隣接する健常細胞を不可逆の細胞破壊が起こる温度未満に維持する。こうした方法は、組織を加熱し、焼灼し、および/または凝固させる電磁放射線を加えることを伴う。マイクロ波エネルギーは、こうした方法を実行するために時々利用される。組織を加熱する電磁放射線を利用する他の処置も、組織の凝固、切断、および/または焼灼を含む。
【0004】
電磁放射線を利用する電気外科用機器は、様々な用法および用途のために開発されてきた。短期間にエネルギーの高爆発を供給し、様々な組織に対して切断効果および凝固効果を実現するために用いることができる、いくつかの機器が利用可能である。焼灼処置を実行するために用いることができる、いくつかの異なる種類の装置がある。典型的には、焼灼処置における使用のためのマイクロ波装置は、エネルギー源として機能するマイクロ波発生器と、エネルギーを標的組織へ向けるためのアンテナ組立体を有するマイクロ波外科器具(例えば、マイクロ波焼灼探針)とを含む。マイクロ波発生器および外科器具は、典型的には、マイクロ波エネルギーを発生器から器具に伝送するために、および、器具と発生器との間で制御信号、帰還信号、および識別信号を通信するために、複数の伝導体を有するケーブル組立体により動作的に連結される。
【0005】
いくつかの種類のマイクロ波探針、例えば、単極子、双極子、および螺旋形のものが用いられており、それらを組織焼灼用途にて用いることができる。単極子または双極子のアンテナ組立体では、マイクロ波エネルギーは一般的に伝導体の軸から離れて垂直に放射する。単極子アンテナ組立体は、典型的には、単一で細長い伝導体を含む。典型的な双極子アンテナ組立体は、互いに対して直線的に整列しかつ端と端を接するように位置付けられる2つの細長い伝導体を、電気絶縁体がそれらの間に設置される状態で含む。螺旋形アンテナ組立体は、様々な寸法、例えば、直径および長さの螺旋形状の伝導体構成を含む。螺旋形アンテナ組立体の動作の主モードは、螺旋により放射された場が螺旋軸に対して垂直な面内で最大である通常モード(ブロードサイド)、および、最大の放射線が螺旋軸に沿っている軸モード(エンドファイア)である。
【0006】
特定の種類の組織焼灼処置は、所望の手術結果を実現するために特定の焼灼体積を要求する場合がある。焼灼体積は、アンテナの設計、アンテナの性能、アンテナのインピーダンス、焼灼時間とワット数、および組織の特性、例えば、組織のインピーダンスと相関する。
【0007】
温熱療法等の電磁放射線を利用する治療法では、熱の転移または拡散が、放射、伝導、および対流の過程により起こる場合がある。「熱放射」および「放射熱伝達」は、(例えば、電磁波理論により予測されるような)電磁波、または(例えば、量子力学により予測されるような)光子の形態にあるエネルギーの伝達を記述するために用いられる2つの用語である。熱伝達の文脈において、用語「伝導」は、概して、粒子間の相互作用に起因する、物質のより大きいエネルギーを有する粒子からより小さいエネルギーを有する粒子へのエネルギーの伝達を指す。用語「対流」は、概して、固体表面と隣接する動流体との間におけるエネルギー伝達を指す。対流熱伝達は、流体内における拡散つまり分子運動と、流体のバルクつまり巨視的運動との組み合わせであり得る。
【0008】
組織加熱の程度は、エネルギーが治療下にある組織により吸収され、または当該組織内に放散される割合を含む、いくつかの要因に依存する場合がある。生物学的組織内における電磁エネルギーの吸収率を、組織により吸収される単位質量当たりのエネルギーの測定基準、比吸収率(SAR)により定量化することができ、通常はキログラム当たりのワット(W/kg)を単位として表現する。SARを決定する1つの方法は、組織の比熱容量の関数として、組織内における温度上昇の割合を測定することである。この方法には、組織の比熱が既知であることが要求される。第2の方法は、組織内における電場強度を測定することによりSARを決定することである。この方法には、組織の伝導度および密度の値が既知であることが要求される。
【0009】
放射線とSARとの間における関係を、
【数1】
として表現することができ、式中、σはメートル当たりのジーメンス(S/m)を単位とする組織の電気伝導度であり、ρは立方メートル当たりのキログラム(kg/m3)を単位とする組織の密度であり、|E|はメートル当たりのボルト(V/m)を単位とする局所電場の大きさである。
【0010】
組織内における初期温度上昇ΔT(℃)と比吸収率との間における関係を、
【数2】
として表現することができ、式中、cは(ジュール/kg‐℃を単位とする)組織の比熱であり、Δtは秒(sec)単位における暴露期間である。等式(1)を等式(2)に代入することにより、組織内において誘起される温度上昇と印加される電場との間における関係が、
【数3】
としてもたらされる。
【0011】
上記の等式から分かるように、局所電場振幅を変化させることにより、局所エネルギー吸収および組織内において誘起される温度上昇は直接影響を及ぼされる。温熱療法等の治療法では、悪性組織を41℃超過の温度に加熱するのに十分な大きさの電場を置き、その一方で、細胞死を引き起こす温度未満に健常細胞を保つように、付近の健常組織内におけるSARの大きさを腫瘍内におけるそれより小さくあるように制限することが、恐らく望ましいだろう。
【0012】
流体冷却されたか誘電的に緩衝されたマイクロ波機器を、焼灼処置において用いることができる。マイクロ波焼灼機器の動作の最中に、適切な冷却が維持されない、例えば、冷却剤または緩衝流体の流れが妨害される場合、マイクロ波焼灼機器は、増加した反射電力から発生される熱に起因する迅速な障害を示す場合がある。焼灼探針を冷却することにより、アンテナの全体の加熱パターンを増強し、アンテナへの損傷を防ぐことができる。
【0013】
特定の処置の最中において、マイクロ波エネルギーが周囲組織内に放射することになる程度を評価することは困難である場合があり、焼灼することになる周囲組織の面積または体積を決定することが困難になる。SARおよび焼灼体積に影響を与える能力がある組織焼灼機器は、より正確な焼灼治療を可能にすることができ、これは、より短い患者の回復時間、望まれない組織の損傷からのより少ない合併症、および改善した患者予後に繋がり得る。
【発明の概要】
【0014】
本開示は、遠位端部を有する内側伝導体と、内側伝導体の周辺で同軸上に配置された外側伝導体と、それらの間に配置された誘電材料とを含む給電線を含む焼灼機器に関する。当該焼灼機器は、内側伝導体の遠位端部に縦方向に配置され、かつ近位端部を有する細長い電気伝導性部材と、外側伝導体の第1部分の上方に配置され、かつ、第1バラン構造体の遠位端部が電気伝導性部材の近位端部からの第1距離に位置するように位置付けられた第1バラン構造体と、外側伝導体の第2部分の上方に配置され、かつ、第2バラン構造体の遠位端部が電気伝導性部材の近位端部からの第2距離に位置するように位置付けられた第2バラン構造体とをも含む。
【0015】
本開示は、発生器組立体と、発生器組立体と動作可能に関連する焼灼機器とを含むシステムに関する。当該焼灼機器は、内側伝導体と、内側伝導体の周辺で同軸上に配置された外側伝導体と、それらの間に配置された誘電材料とを有する給電線を含む。当該焼灼機器は、第1動作周波数と動作可能に関連し、外側伝導体に電気的に連結される第1バラン構造体と、第2動作周波数と動作可能に関連し、外側伝導体に電気的に連結される第2バラン構造体とをも含む。
【0016】
本開示は、第1動作周波数および第2動作周波数で動作する能力がある焼灼機器を組織内に位置付ける最初のステップを含む、焼灼体積を調節する方法にも関する。当該焼灼機器は、第1動作周波数と動作可能に関連する第1バランと、第2動作周波数と動作可能に関連する第2バランとで構成されたアンテナ組立体を含む。当該方法は、第1動作周波数でエネルギーをエネルギー源からアンテナ組立体を通じて組織へ伝送するステップと、第2動作周波数でエネルギーをエネルギー源からアンテナ組立体を通じて組織へ伝送するステップと、をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示の一実施形態に従う、焼灼システムの概略図である。
【図2】本開示に従う、図1に示される焼灼システムのエネルギー印加器の一実施形態の部分的な縦断面図である。
【図3】本開示に従う、焼灼システムの別の実施形態の概略図である。
【図4】本開示の一実施形態に係る、エネルギー印加器の一部の分解部分を有する斜視図である。
【図5】本開示の一実施形態に係る、第1誘電層および第2誘電層がそれぞれ外側伝導体の第1部分および第2部分の周辺に配置された状態で示される、図4のエネルギー印加器の斜視的な組立図である。
【図6A】本開示の一実施形態に係る、第1電気伝導層および第2電気伝導層がそれぞれ第1誘電層および第2誘電層の周辺に配置された状態で示される、図5のエネルギー印加器の斜視図である。
【図6B】本開示の一実施形態に係る第3バラン構造体とともに示される、図6Aのエネルギー印加器の斜視図である。
【図7】本開示に従う、外側誘電層により包囲されかつ外側外被内に配置されて示される、図6Aのエネルギー印加器の一部を含む焼灼機器の一実施形態の部分的な斜視図である。
【図8】本開示の一実施形態に係る、図7の細部の示された領域の拡大された断面図である。
【図9】本開示の一実施形態に係る、図7の細部の示された領域の拡大された断面図である。
【図10】本開示に従う、焼灼パターンを表示および制御するためのユーザインターフェースを含む、マイクロ波焼灼システムの略図を示す。
【図11】本開示に従う、マイクロ波焼灼システムのブロック略図である。
【図12】本開示の一実施形態に係る、エネルギーを組織へ向ける方法を例解する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
目下開示されている、双対動作周波数を有する焼灼機器、同機器を含むシステム、および同機器を用いて焼灼体積を調節する方法の目的および特徴は、それらの様々な実施形態の記述が添付図面を参照して一読される場合、当該技術分野における通常の技術を有する者にとって明白となるだろう。
【0019】
下文にて、目下開示されている、双対動作周波数を有する焼灼機器、同機器を含むシステム、および同機器を用いて焼灼体積を調節する方法の実施形態が、添付図面を参照して記載される。同種の参照番号は、図面の記載の全体にわたって、同様または同一の要素を指す場合がある。図面に示されるように、および本明細書で用いられる際に、および物体上における相対位置付けを指す際に伝統的であるように、用語「近位(の)」は、使用者により近い、焼灼機器のその部分またはその構成部を指し、用語「遠位(の)」は、使用者からより遠い、焼灼機器のその部分またはその構成部を指す。
【0020】
本記述は、語句「一実施形態では」、「複数の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、または「他の実施形態では」を用いる場合があり、これらは、本開示に従う同じまたは異なる実施形態のうち1つ以上をそれぞれ指す場合がある。本記述の目的のために、「A/B」という形態にある語句は、AまたはBを意味する。本記述の目的のために、「Aおよび/またはB」という形態にある語句は、「(A)、(B)、または(AおよびB)」を意味する。本記述の目的のために、「A、B、またはCのうち少なくとも1つ」という形態にある語句は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)」を意味する。
【0021】
電磁エネルギーは、一般的には、エネルギーを増加させるか波長を減少させることにより、ラジオ波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、およびガンマ線に分類される。本明細書で用いられる際に、「マイクロ波」は、概して、300メガヘルツ(MHz)(3×108サイクル/秒)から300ギガヘルツ(GHz)(3×1011サイクル/秒)の周波数範囲内にある電磁波を指す。本明細書で用いられる際に、「焼灼処置」は、概して、マイクロ波焼灼、ラジオ周波数(RF)焼灼、またはマイクロ波焼灼により補助される切除術等の、任意の焼灼処置を指す。本明細書で用いられる際に、「エネルギー印加器」は、概して、マイクロ波またはRFの電気外科用発生器等の発電源から組織へエネルギーを伝達するために用いることができる任意の機器を指す。本明細書で用いられる際に、「エネルギー印加器配列」は、概して1つ以上のエネルギー印加器を指す。本明細書で用いられる際に、「伝送線」は、概して、1つの地点から別の地点への信号の伝搬のために用いることができる任意の伝送媒体を指す。本明細書で用いられる際に、「流体」は、概して、液体、気体、またはそれらの両方を指す。
【0022】
本明細書で用いられる際に、「長さ」は、電気的長さまたは物理的長さを指す場合がある。一般的に、電気的長さは、伝送媒体内に伝搬する信号の波長を単位とする当該媒体の長さの表現である。電気的長さは、通常は、波長、弧度、または度を単位として表現される。例えば、伝送媒体内に伝搬する電磁波または電気信号の波長の倍数または約数として、電気的長さを表現することができる。弧度で、または度等の角度測定の人工単位で、波長を表現することができる。伝送媒体の電気的長さを、(a)媒体を通じる電気信号または電磁信号の伝搬時間の、(b)媒体の物理的長さに等しい距離にわたる自由空間内の電磁波の伝搬時間に対する比率を乗じたその物理的長さとして表現することができる。電気的長さは、一般的に物理的長さと異なる。適当なリアクタンス素子の追加(容量的または誘導的)により、電気的長さを物理的長さより著しく短くすることも長くすることもできる。
【0023】
本開示の様々な実施形態が、組織を治療するための双対動作周波数を有する焼灼機器と、電磁放射線を組織へ向ける方法とを提供する。様々な実施形態に係る目下開示されている焼灼機器は、第1動作周波数と動作可能に関連する第1バラン構造体と、第2動作周波数と動作可能に関連する第2バラン構造体とで構成される。以下の記述は双対動作周波数を有する焼灼機器を説明しているが、本開示の教示は複数の動作周波数を有する焼灼機器に適用することもできる。マイクロ波周波数または他の周波数の電磁放射線を用いて、実施形態を実施することができる。いくつかの実施形態では、目下開示されている焼灼機器は、約915MHzの第1動作周波数と、約2.45GHzの第2動作周波数とで動作することができる。いくつかの実施形態では、第2動作周波数は約5.8GHzであり得る。いくつかの実施形態では、目下開示されている焼灼機器は、約915MHzの第1動作周波数と、約2.45GHzの第2動作周波数と、約5.8GHzの第3動作周波数とで動作することができる。様々な実施形態に係る冷却剤供給システムと流動連通する目下開示されている焼灼機器を含む電気外科用システムは、約500MHzと約10GHzとの間の周波数で動作するように設計および構成される。
【0024】
目下開示されている、双対動作周波数を有する焼灼機器の様々な実施形態は、マイクロ波焼灼と、マイクロ波焼灼により補助される外科的切除術のために組織をあらかじめ凝固させるための使用とに適している。下文に記載されている様々な方法は、マイクロ波焼灼および標的組織の完全な破壊を目標としているが、電磁放射線を向けるための方法を、例えば、心臓組織内において電気的刺激の伝導を防ぐために、標的組織が部分的に破壊または損傷される他の療法とともに用いることができることを理解されたい。加えて、以下の記述は双極子マイクロ波アンテナの使用を説明しているが、本開示の教示は、単極子、螺旋形、または他の適した種類のマイクロ波アンテナに適用することもできる。
【0025】
図1は、エネルギー印加器つまり探針101を含む、本開示の一実施形態に係る電気外科用システム10を示す。本開示に従う、図1の探針101等のエネルギー印加器の一実施形態は、図2でより詳細に示されている。しかしながら、他の探針の実施形態も用いることができることを理解されたい(例えば、図3および図7にそれぞれ示される301および701)。
【0026】
探針101は、概して、給電線110(または心棒)により伝送線15を介して接続器16に接続された放射部分を有するアンテナ組立体12を含み、当該接続器は、探針101を電気外科用電力発生源28、例えば、マイクロ波またはRFの電気外科用発生器にさらに動作可能に接続することができる。図2に示されるように、探針101は、長さ「L4」を有する第1バラン構造体「B1」と、長さ「L6」を有する第2バラン構造体「B2」とを含む場合がある。いくつかの実施形態では、第1バラン構造体「B1」は、4分の1波長の袖状バランまたは2分の1波長の袖状バランであり得る。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体「B2」は、4分の1波長の袖状バランまたは2分の1波長の袖状バランであり得る。本開示で後により詳細に記載される、第1バラン構造体「B1」および第2バラン構造体「B2」の形状、大きさ、および相対位置を、図2に描写されている構成から変化させることができる。
【0027】
給電線110を、適切な柔軟性、半剛性、または剛性のマイクロ波伝導性ケーブルから形成することができ、当該給電線は、電気外科用電力発生源28に直接的に接続することができる。代替的には、給電線110は、伝送線15を介して電気外科用電力発生源28にアンテナ組立体12を電気的に接続することができる。給電線110は、約1インチから約12インチの長さに及ぶ、アンテナ組立体12の近位端部から伝送線15の遠位端部への可変長さを有する場合がある。給電線110を、適切な電気伝導性材料、例えば、銅、金、銀、または、同様の伝導性値を有する他の伝導性の金属または金属合金で形成することができる。給電線110は、一般的に組織および/または皮膚を穿刺するのに要求される強度を提供する、ステンレス鋼で作られる場合がある。給電線110を形成するのに用いられる伝導性材料を、他の材料、例えば、金または銀等の他の伝導性材料で鍍金してその特性を改善し、例えば、伝導性を改善し、エネルギー損失などを減少させることができる。いくつかの実施形態では、給電線110はステンレス鋼を含み、その伝導性を改善するために、ステンレス鋼を銅または金等の伝導性材料の層で被覆することができる。
【0028】
給電線110は、内側伝導体210と、内側伝導体210を同軸上で包囲する誘電材料280と、誘電材料280を同軸上で包囲する外側伝導体260とを含む場合がある。アンテナ組立体12を、給電線110に対して遠位にアンテナ組立体12へと延在する、内側伝導体210の一部から形成することができる。セラミックス、水、雲母、ポリエチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、米国、デラウェア州、ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours and Companyにより製造されているTeflon(登録商標))、ガラス、または金属酸化物類を含むが、それらに限定されない、任意の適切な誘電材料から、誘電材料280を形成することができる。内側伝導体210および外側伝導体260を、任意の適切な電気伝導性材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、内側伝導体210は第1の電気伝導性材料(例えば、ステンレス鋼)から形成され、外側伝導体260は第2の電気伝導性材料(例えば、銅)から形成される。給電線110を、電力操作を改善するために、流体、例えば、生理食塩水、水、または他の適切な冷却剤流体により冷却することができ、当該給電線は、ステンレス鋼のカテーテルを含む場合がある。
【0029】
目下開示されているアンテナ組立体12は、細長い電気伝導性要素270を含む。いくつかの実施形態では、電気伝導性要素270は、内側伝導体210に(例えば、半田により)電気的に連結される固体金属の円筒である。電気伝導性要素270を、任意の適切な長さ「L0」の任意の適切な電気伝導性材料(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅などのような金属)で形成することができる。電気伝導性要素270の形状および大きさは、図2に描写されている構成から変化させることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、電力発生源28は、約500MHzから約2,500MHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成される。他の実施形態では、電力発生源28は、約500MHzから約10GHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成される。様々な周波数の電磁エネルギーを供給するように、電力発生源28を構成することができる。伝送線15は追加的に、あるいは代替的に、冷却剤源18から探針101の1つ以上の構成部へ冷却剤流体を供給するように構成された導管(図示せず)を提供することができる。
【0031】
アンテナ組立体12の遠位端部に位置するエンドキャップつまり先細部分120は、最小の抵抗を伴う組織への挿入を可能にするように、鋭い先端部123内で終端する。エンドキャップつまり先細部分120は、例えば、丸みがあり、平坦で、正方形で、六角形で、または円筒状円錐形である先端部123等の、他の形状を含む場合がある。
【0032】
いくつかの変化形では、アンテナ組立体12は、遠位放射部分105および近位放射部分140を含む。接合部材130を、それぞれ、近位放射部分140と遠位放射部分105との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、遠位放射部分105および近位放射部分140は、一般的に誘電材料、例えば接着剤で作られる接合部材130で整列し、遠位放射部分105を通じて少なくとも部分的に延在する内側伝導体によっても担持される。接合部材130は任意の適切な長さ「L1」を有してよく、当該接合部材を、任意の適切な弾性重合体またはセラミックスの誘電材料から任意の適切な工程により形成することができる。いくつかの実施形態では、接合部材130は過成形により形成され、かつ、例えば、ポリエーテルブロックアミド(例えば、フランス、コロンブのArkema Groupにより製造されているPEBAX(登録商標))、ポリエーテルイミド(例えば、サウジアラビアのSABIC Innovative Plasticsにより製造されているULTEM(登録商標)および/またはEXTEM(登録商標))、および/またはポリイミド系重合体(例えば、米国、デラウェア州、ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours and Companyにより製造されているVESPEL(登録商標))等の熱可塑性弾性重合体を含む。接合部材130を、任意の適切な過成形化合物を用いて任意の適切な工程により形成することができ、当該接合部材は、セラミック基板の使用を含む場合がある。
【0033】
図2に示されているように、目下開示されているアンテナ組立体12は、長さ「L4」を有する第1バラン構造体「B1」と、第1バラン構造体「B1」に対して近位に配置された、長さ「L6」を有する第2バラン構造体「B2」とを含む。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体「B2」は、第1バラン構造体「B1」から長さ「L5」だけ相隔たる場合がある。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体「B2」またはその部分は、第1バラン構造体「B1」またはその部分と重なり合う場合がある。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体「B2」の遠位端部を、第1バラン構造体「B1」の近位端部に対して実質的に隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、第1バラン構造体「B1」は、電気伝導性要素270の近位端部から長さ「L3」だけ相隔たる場合がある。いくつかの実施形態では、第1バラン構造体「B1」は、接合部材130の近位端部から長さ「L2」だけ相隔たる場合がある。
【0034】
様々な実施形態に係る第1バラン構造体「B1」は、外側伝導体260の周辺に配置された第1バラン絶縁体220と、第1バラン絶縁体220またはその部分の周辺に配置された第1電気伝導層240(本明細書では、第1伝導性バラン袖部とも呼ばれる)とを含む。第1伝導性バラン袖部240は、例えば、半田または他の適切な電気的接続により、外側伝導体260に電気的に連結される。様々な実施形態に係る第2バラン構造体「B2」は、外側伝導体260の周辺に配置された第2バラン絶縁体230と、第2バラン絶縁体230またはその部分の周辺に配置された第2電気伝導層250(本明細書では、第2伝導性バラン袖部とも呼ばれる)とを含む。第2伝導性バラン袖部250は、任意の適切な電気的接触を用いて、外側伝導体260に電気的に連結される。いくつかの実施形態では、第1伝導性バラン袖部240の近位端部、および/または、第2伝導性バラン袖部250の近位端部を、例えば、電気的および機械的に、外側伝導体260への接続を可能にするように適合することができる。
【0035】
第1バラン絶縁体220および第2バラン絶縁体230を、それぞれ、セラミックス、水、雲母、ポリエチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、米国、デラウェア州、ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours and Companyにより製造されているTeflon(登録商標))、ガラス、金属酸化物類、または他の適切な絶縁体を含むが、それらに限定されない、任意の適切な絶縁材料で形成することができ、かつ任意の適切な方法で形成することができる。第1バラン絶縁体220および第2バラン絶縁体230を、任意の他の適切な技術により、成長させ、堆積させ、または形成することができる。いくつかの実施形態では、第1バラン絶縁体220および第2バラン絶縁体230は、約1.7から約10の範囲内の誘電定数を有する材料から形成される。第1電気伝導層240および第2電気伝導層250を、それぞれ、任意の適切な電気伝導性材料、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅などのような金属で形成することができ、かつ任意の適切な方法で形成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、アンテナ組立体12に冷却剤室(例えば、図2に示されている271)を設けることができる。加えて、接合部材130は、冷却剤室の中および外への冷却剤の流れを促進する、冷却剤の流入口および流出口(図示せず)を含む場合がある。冷却剤室の例および冷却剤の流入口および流出口の実施形態は、2009年3月10日に出願された、「冷却された誘電緩衝マイクロ波双極子アンテナ(COOLED DIELECTRICALLY BUFFERED MICROWAVE DIPOLE ANTENNA)」という名称の、同一出願人による米国特許出願第12/401,268号と、「マイクロ波アンテナを冷却するための機器および方法(DEVICES AND METHODS FOR COOLING MICROWAVE ANTENNAS)」という名称の米国特許第7,311,703号とに開示されており、それらの開示は本明細書で参照により全体として組み込まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、近位放射部分140、接合130、および/または遠位放射部分105、またはそれらの部分の周辺に配置された外側誘電層(例えば、図2に示されている285)を、アンテナ組立体12に設けることができる。例えば、重合体材料またはセラミックス材料等の任意の適切な材料で、外側誘電層を形成することができる。例えば、熱収縮、過成形、被覆、噴霧、浸漬、粉末被覆、焼き付け、および/または膜蒸着等の任意の適切な方法により、外側誘電層を塗布することができる。
【0038】
図2に示されているように、アンテナ組立体12は外側外被291を含む。外側外被291は、実質的に円筒形または管形の形状を有する場合がある。いくつかの実施形態では、外側外被291の遠位端部は、例えば、Oリング「O」、または他の適切な接続方法または接続機器により、エンドキャップつまり先細部分120に連結可能であるように適合される。外側外被291およびエンドキャップつまり先細部分120を、単一の構造体として形成することができる。外側外被291および先細部分120の形状および大きさを、図2に描写されている構成から変化させることができる。
【0039】
外側外被291は、低い電気伝導性を有する合成材料、例えば、ガラス強化重合体で形成された、流体冷却されたカテーテルである場合がある。本開示の実施形態によれば、冷却剤室271は、外側誘電層285と外側外被291との間に画定される。電気伝導性要素270の周辺に冷却剤流体「F」を循環させるように、冷却剤室271を適合させることができる。冷却剤流体「F」は、探針101を冷却または緩衝するために用いることができる任意の適切な流体、例えば、脱イオン水、または他の適切な冷却媒体であってよい。冷却剤流体「F」は誘電特性を有する場合があり、誘電インピーダンス緩衝をアンテナ組立体12に提供することができる。
【0040】
例えば、電気外科用システム10を用いるマイクロ波焼灼の最中に、探針101が組織内に挿入されるか組織に対し隣接して据えられ、マイクロ波エネルギーがそこへ供給される。超音波誘導または計算断層撮影(CT)誘導を、治療される予定の組織の領域内へ探針101を正確に誘導するために用いることができる。例えば、手術人員による従来の手術手技を用いて、探針101を経皮的または外科的に据えることができる。臨床医は、マイクロ波エネルギーが印加されることになる時間の長さをあらかじめ決定することができる。印加持続時間は、腫瘍の大きさおよび場所、ならびに、腫瘍が続発性癌または原発性癌であったかどうか等の、多くの要因に依存する場合がある。探針101を用いるマイクロ波エネルギー印加の持続時間は、破壊される予定の組織領域および/または周囲組織内における熱分配の進行に依存する場合がある。単一または多数の探針101は、標的組織領域内の癌性細胞を破壊する短い処置時間、例えば数分内に焼灼を提供することができる。特定の腫瘍の治療は、腫瘍が探針より大きいか、あるいは利用可能な探針の幾何形状または放射パターンと一致しない形状を有する場所等で、焼灼処置の最中に探針の再位置付けを伴う場合がある。
【0041】
標的組織領域を実質的に同時に焼灼する、様々に配列された構成内に複数の探針101を据え、より速い処置を可能にすることができる。多数の探針101を用いて、大きい焼灼を相乗的に創出するか、または別個の部位を同時に焼灼することができる。組織焼灼の大きさおよび幾何形状は、エネルギー印加器の設計、同時に用いられるエネルギー印加器の数、焼灼時間とワット数、および組織の特性等の、様々な要因により影響される。
【0042】
動作中に、波長ラムダ(λ)を有するマイクロ波エネルギーがアンテナ組立体12を通じて、例えば、近位放射部分140および遠位放射部分105に沿って伝送され、周囲媒体、例えば組織の中に放射される。効率的な放射のためのアンテナの長さは有効波長λeffに依存する場合があり、当該有効波長は放射される媒体の誘電特性に依存する。それを通じてマイクロ波エネルギーが波長λで伝送されるアンテナ組立体12は、周囲媒体、例えば乳房組織に相対するような肝組織に依存する、異なる有効波長λeffを有する場合がある。
【0043】
図3は、焼灼機器301を含む、本開示の一実施形態に係る電気外科用システム100を示す。焼灼機器301は、鞘部338内に配置されたアンテナ組立体312を含む。様々な実施形態に係る焼灼機器301は、1つの実施形態において、最小の抵抗を伴う組織への挿入を可能にするように、尖端部26で終端する先細端部24を有する先端部48を含む。いくつかの実施形態では、給電線110がアンテナ組立体312を接続中心部322に連結する。本開示で後により詳細に記載される接続中心部322は、概して、ケーブル接続器379および流体口330と332を含む。電気外科用システム100は、概して、冷却剤供給システム313を含む。冷却剤供給システムの実施形態の例は、2009年9月24日に出願された、「焼灼探針に対する断続した流体流の光学検出(OPTICAL DETECTION OF INTERRUPTED FLUID FLOW TO ABLATION PROBE)」という名称の、同一出願人による米国特許出願第12/566,299号に開示されている。アンテナ組立体312は図2に示されているアンテナ組立体12と同様であり、そのさらなる記述は簡潔さのために省略される。
【0044】
鞘部338は、概して、その中にアンテナ組立体312またはその部分を位置付けることができる管腔を画定する、実質的な管状部材339を含む。いくつかの実施形態では、鞘部338は、給電線110、近位放射部分140、および遠位放射部分105の上方に配置され、かつそれらを囲い込む。様々な実施形態に係る鞘部338は、先端部48に連結可能であるように構成することができる、水冷却されたカテーテルである場合がある。図3に示されている実施形態に従い、冷却剤室337は、管状部材339と、給電線110、近位放射部分140、および遠位放射部分105の外面との間に画定される。
【0045】
冷却剤室337は、そこを通じて冷却剤流体「F」を循環させるように適合され、かつ、邪魔板、多数の管腔、流動制限機器、あるいは、それらの形状に依存して流れを向け直し、集中させ、または分散させることができる他の構造体を含む場合がある。冷却剤室の実施形態の例は、2009年1月8日に出願された、「閉塞した誘電装荷先端の双極子マイクロ波アンテナ(CHOKED DIELECTRIC LOADED TIP DIPOLE MICROWAVE ANTENNA)」という名称の、同一出願人による米国特許出願第12/350,292号に開示されている。鞘部338およびそこを通じて延在する冷却剤室337の大きさおよび形状を、図3に描写されている構成から変化させることができる。
【0046】
本開示の一実施形態に従う電気外科用システム100は、電力発生源328と、接続中心部322を介してアンテナ組立体312に冷却剤流体「F」を供給するように適合された冷却剤供給システム313と、冷却剤供給システム313内の気泡を検出することができ、かつ、伝送線301および303を介して電力発生源328に電気的に連結されたセンサ部346とを含む。電気外科用システム100は、センサ部346と動作可能に関連し、かつ、センサ部346と接続中心部322との間に流体連通して配置される、分流器装置350をさらに含む場合がある。いくつかの実施形態では、センサ部346が冷却剤供給システム313内の空気または他の気泡を検出する時、センサ部346は伝送線303を介して電力発生源328および分流器装置350に電気信号を伝送する。
【0047】
冷却剤供給システム313は、概して、冷却剤源336と、冷却剤源336から接続中心部322へ通じる第1冷却剤経路319と、接続中心部322から冷却剤源336へ通じる第2冷却剤経路320とを含む。いくつかの実施形態では、第1冷却剤経路319は、第1冷却剤経路319を通じて冷却剤流体「F」を移動させるように構成された第1流体移動機器344を含み、第2冷却剤経路320は、第2冷却剤経路320を通じて冷却剤流体「F」を移動させるように構成された第2流体移動機器334を含む。
【0048】
冷却剤源336は、冷却剤流体「F」の貯留器を包含する任意の適切な筐体であってよく、冷却剤流体「F」を所定の温度に維持することができる。例えば、冷却剤源336は、アンテナ組立体312から帰還する冷却剤流体「F」を冷却する冷却部(図示せず)を含む場合がある。冷却剤流体「F」は、探針301を冷却または緩衝するために用いることができる任意の適切な流体、例えば、脱イオン水、または他の適切な冷却媒体であってよい。冷却剤流体「F」は誘電特性を有する場合があり、誘電インピーダンス緩衝をアンテナ組立体312に提供することができる。冷却剤流体「F」は、標的組織に運搬し、例えば、インピーダンスに影響を与え、増加した電力を標的組織へ運搬することを可能にすることができる、生理食塩水溶液等の伝導性流体である場合がある。冷却剤流体「F」の組成物は、所望の冷却速度および所望の組織インピーダンス整合特性に依存して変化する場合がある。様々な流体、例えば、水、生理食塩水、Minnesota Mining and Manufacturing Company(3M)により提供されている、市販のFluorinert(登録商標)のパーフルオロカーボン液等のパーフルオロカーボン、液体クロロジフルオロメタンなどを含むが、それらに限定されない液体を用いることができる。他の変化形では、(亜酸化窒素、窒素、二酸化炭素などのような)気体も冷却流体として利用することができる。さらに別の変化形では、例えば、上記に言及されたものを含む液体および/または気体の組み合わせを、冷却剤流体「F」として利用することができる。
【0049】
接続中心部322は、様々な適切な形状、例えば、円筒形、長方形などを有してよい。いくつかの実施形態では、接続中心部322は、ケーブル接続器379と、出口流体口330と、入口流体口332とを含む。接続中心部322は、出口流体口330および入口流体口332をそれぞれ収容するために、ケーブル接続器379および2つの外枝376および378を収容するのに用いられる中枝374を有する、三枝ルアー型接続器372を含む場合がある。接続中心部322を、鞘部338と流体連通して接続されるように適合させることができる。いくつかの実施形態では、鞘部338は接続中心部322および先端部48に連結され、それにより、給電線110、近位放射部分140、および遠位放射部分105の周辺に室337を画定する。接続器379をケーブル316に連結されるように適合し、探針301を電力発生源328に動作可能に接続することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1冷却剤経路319は、冷却剤源336から入口流体口332へ通じる冷却剤供給線386を含む。第1流体移動機器344を、入口流体口332と冷却剤源336との間に流体連通して配置することができる。いくつかの実施形態では、第2冷却剤経路320は、出口流体口330から冷却剤源336へ通じる冷却剤帰還線388を含む。第2流体移動機器334を、出口流体口330と冷却剤源336との間に流体連通して配置することができる。第1流体移動機器344および第2流体移動機器334の位置を、例えば、冷却剤源336に対して、図3に描写された構成から変化させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、分流器装置350と関連する制御装置351は、冷却剤流体「F」の流れを第3冷却剤流体経路321へ転換する流体分流器352を作動させることができる。流体分流器352は、冷却剤流体「F」の流れを選択的に転換するための、任意の適切な機器であってよい。第3冷却剤流体経路321は、分流器装置350から容器390へ通じる場合がある。制御装置351は、任意の種類の計算機器、計算回路、あるいは、制御装置351の記憶装置(図示せず)内に保存される一連の指示を実行することができる、任意の種類の処理装置または処理回路を含んでよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、分流器装置350は、弁本体と、弁本体に動作的に連結された電気機械作動装置とを含む弁(図示せず)を含む。制御装置351は、作動装置を、例えば、所定の弁制御順序に従って作動させることにより、流体分流器352を制御することができる。いくつかの実施形態では、弁制御順序は、冷却剤流体「F」が接続中心部322に向かって流れる第1位置から、その中に取り込まれる空気または他の気泡を有する冷却剤流体「F」が容器390内へ流れる第2位置へ弁を移動させることと、例えば、所定の時間間隔の後に第1位置に帰還し、それにより、接続中心部322に向かう冷却剤流体「F」を復旧することとを伴う場合がある。
【0053】
図4から図7は、本開示に従う、図7で概して701として示されている、焼灼機器または探針を形成する構成部の連続的に例解される組立体を示す。図4では、長さ「L7」を有する、誘電材料422および内側伝導体420の一部421が、外側伝導体424を超えて延在するように、同軸給電線426は外側伝導体424を縮小した状態で示されている。本開示の一実施形態によれば、図4で概して400として示されているエネルギー印加器セグメントは、内側伝導体420の縦軸「A」に沿って延在する電気伝導性要素460を含む。電気伝導性要素460を、焼灼機器701の遠位部分に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、電気伝導性要素460は、内側伝導体420に(例えば、半田により)電気的に連結された一部421の遠位端部に配置された固体金属の円筒である。任意の適切な長さ「L8」の任意の適切な電気伝導性材料(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅などのような金属)で、電気伝導性要素460を形成することができる。電気伝導性要素460の形状および大きさを、図4に描写されている構成から変化させることができる。
【0054】
図5は、外側伝導体424の第1部分424aの周辺に同軸上に配置された第1誘電層520(本明細書では、バラン絶縁体とも呼ばれる)と、外側伝導体424の第2部分424bの周辺に同軸上に配置された第2誘電層530とを除いては、図4のエネルギー印加器セグメント400と同様である、本開示の一実施形態に係るエネルギー印加器セグメント500を示す。第1バラン絶縁体520は、約0.1インチから約3.0インチの範囲内の適切な長さ「L11」を有する場合がある。第1バラン絶縁体520は外側伝導体424の遠位端部425から相隔たり、当該絶縁体を当該端部に対して近位に配置することができる。いくつかの実施形態では、第1バラン絶縁体520の遠位端部521は、長さ「L12」、例えば0.1インチだけ、外側伝導体424の遠位端部425から相隔たる。第2バラン絶縁体530は、約0.1インチから約3.0インチの範囲内の適切な長さ「L9」を有する場合がある。いくつかの実施形態では、第2バラン絶縁体530の遠位端部531を、第1バラン絶縁体520の近位端部522に対して実質的に隣接して配置することができる。図5に示されているように、第2バラン絶縁体530の遠位端部531は、第1バラン絶縁体520の遠位端部522から長さ「L10」だけ相隔たり、当該遠位端部531を当該遠位端部522に対して近位に配置することができる。
【0055】
第1バラン絶縁体520および第2バラン絶縁体530を、セラミックス、水、雲母、ポリエチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、米国、デラウェア州、ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours and Companyにより製造されているTeflon(登録商標))、ガラス、金属酸化物類、または他の適切な絶縁体を含むが、それらに限定されない、任意の適切な絶縁材料で形成することができ、かつ任意の適切な方法で形成することができる。第1誘電層520および第2誘電層530を、任意の他の適切な技術により、成長させ、堆積させ、または形成することができる。いくつかの実施形態では、第1誘電層520は、約1.7から約10の範囲内の誘電定数を有する材料から形成される。第1バラン絶縁体520および第2バラン絶縁体540の形状、大きさ、および相対位置を、図5に描写されている構成から変化させることができる。いくつかの実施形態では、第1バラン絶縁体520は、平衡/不平衡(バラン)構造体(例えば、図6Aに示されている「B1」)内に電流を向けるように、伝導性バラン袖部(例えば、図6Aに示されている640)の遠位端部を超えて遠位に延在する場合がある。
【0056】
図6Aは、第1バラン絶縁体520の周辺に同軸上に配置された第1電気伝導層640(本明細書では、伝導性バラン袖部とも呼ばれる)と、第2バラン絶縁体530の周辺に同軸上に配置された第2電気伝導層650とを除いては、図5のエネルギー印加器セグメント500と同様である、本開示の一実施形態に係るエネルギー印加器セグメント600を示す。図6Aに示されているように、第1電気伝導層640は近位端部641および遠位端部642を含み、第2電気伝導層650は近位端部651および遠位端部652を含む。
【0057】
第1電気伝導層640は任意の適切な長さを有してよい。いくつかの実施形態では、第1電気伝導層640は約0.1インチから約3.0インチの長さを有する。第1電気伝導層640を単一の構造体として形成し、例えば、半田または他の適切な電気的接触により、外側伝導体424に電気的に連結することができる。いくつかの実施形態では、第1電気伝導層640は、第1バラン絶縁体520の近位部分の周辺に同軸上に配置された第1部分643と、外側伝導体424に電気的に連結された第1部分643に対して近位に配置された第2部分644とを含む。第1部分643および第2部分644を、任意の適切な電気伝導性材料、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅などのような金属で形成することができ、かつ任意の適切な方法で形成することができる。第1部分643および第2部分644を互いに別々に形成することができる。第1部分643および第2部分644は、単一で統一された構造体を形成することができる。第2電気伝導層650は図6Aの第1電気伝導層640と同様であり、そのさらなる記述は簡潔さのために省略される。第1電気伝導性バラン袖部640および第2電気伝導性バラン袖部650の形状および大きさを、図6Aに描写されている構成から変化させることができる。
【0058】
図6Bは、第3バラン構造体「B3」を除いては、図6Aのエネルギー印加器セグメント600と同様である、本開示の一実施形態に係るエネルギー印加器セグメント630を示す。第3バラン構造体「B3」は図6Aの第2バラン構造体「B2」と同様であり、そのさらなる記述は簡潔さのために省略される。第1バラン構造体「B1」、第2バラン構造体「B2」、および第3バラン構造体「B3」の形状および大きさを、図6Bに描写されている構成から変化させることができる。
【0059】
図7は、鞘部291内に配置されたアンテナ組立体712を含む、本発明の一実施形態に係る焼灼機器701を示す。アンテナ組立体712は、外側誘電層785を除いては、図6Aに示されているエネルギー印加器セグメント600と同様である。冷却剤流体「F」とアンテナ組立体712との間の直接接触を防ぐように、外側誘電層785を構成することができる。外側誘電層785は、一実施形態において、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の収縮包装の袖部であり、当該誘電層をアンテナ組立体712の全長に塗布することができる。いくつかの実施形態では、焼灼機器701は、最小の抵抗を伴う組織への挿入を可能にするように、尖端部726で終端する先細端部724を有する先端部748を含む。
【0060】
図7および図8に示されているように、双極子の給電間隙「G」は、電気伝導性要素460の近位端部と、外側伝導体424の遠位端部(例えば、図5に示されている425)との間に画定される。いくつかの実施形態では、給電間隙「G」は約1mmから約3mmである場合がある。図7および図9に示されているように、外側伝導体424と、第1バラン構造体「B1」の第1バラン絶縁体520および第1伝導性バラン袖部640とを覆うように、外側誘電層785を構成することができる。
【0061】
図10は、焼灼機器つまり探針101を含む、本開示の一実施形態に係る電気外科用システム1000を概略的に例解する。しかしながら、他の探針の実施形態(例えば、図3および図7にそれぞれ示されている301および701)を用いることもできることを理解されたい。電気外科用システム1000は、ケーブル19により接続器17を介して、図1の電気外科用システム10の発生器組立体28の一実施形態に動作可能に連結された作動装置20を含む。作動装置20は、足動スイッチ、手動スイッチ、噛むことにより動作するスイッチ、または任意の他の適切な作動装置であってよい。ケーブル19は、作動装置20から発生器組立体28へ作動信号を搬送するために、1つ以上の電気伝導体を含む場合がある。一実施形態では、作動装置20は、制限なく、無線周波数または赤外線の接続等の無線接続により、発生器組立体28に動作可能に連結される。使用中に、臨床医はユーザインターフェース25とやりとりし、焼灼機器101の動作特性を予見することができる。
【0062】
様々な実施形態に係る発生器組立体28は、処理装置(例えば、図11に示されている82)と動作可能に連通する発生器モジュール(例えば、図11に示されている86)と、ユーザインターフェース25と、作動装置20とを含む。焼灼機器101は発生器モジュールのエネルギー出力に動作可能に連結され、当該モジュールをRFエネルギーおよび/またはマイクロ波エネルギーの源として構成することができる。作動装置20は、当該処理装置にユーザインターフェース21を介して動作可能に連結される。複数の実施形態では、ケーブル接続または無線接続により、当該処理装置および/または当該発生器モジュールに作動装置20を動作可能に連結することができる。
【0063】
ユーザインターフェース25は、制限なく、少なくとも1つのユーザインターフェース要素23、24を視覚的に表示するように適合された、平面パネルグラフィックLCD(液晶表示装置)等の表示装置21を含む場合がある。一実施形態では、表示装置21は接触画面の機能(図示せず)、例えば、制限なく、尖筆または使用者の指先等の、当該表示装置と物理的に接触する物体から入力を受信する能力を含む。ユーザインターフェース要素23、24は、当該ユーザインターフェース要素と関連する動作領域内で画面に接触することにより、ユーザインターフェース要素23、24と関連する入力がユーザインターフェース25により受信されるように、対応する動作領域を有する場合がある。
【0064】
ユーザインターフェース25は加えて、または代替的に、制限なく、スイッチ(例えば、押しボタンスイッチ、トグルスイッチ、滑動スイッチ)および/または連続作動装置(例えば、回転式または直線式の回転電位差計、回転式または直線式の符号器)を含む場合がある、1つ以上の制御手段22を含む。一実施形態では、制御手段22は専用の機能、例えば、表示装置の明暗差、電源の入/切、および同様のものを有する。制御手段22は、電気外科用システム10の動作モードに従って変化する場合がある機能を有する場合もある。ユーザインターフェース要素23を、その機能を示すように制御手段22に対して実質的に隣接して位置付けることができる。制御手段22は、電光表示器、例えば、単一色または可変色のLED表示器等の表示器を含む場合もある。
【0065】
図11は、図10の電気外科用システム1000の1つの実施形態を示すブロック図表である。一実施形態では、発生器モジュール86は約915MHzのエネルギーを供給するように構成される。加えて、または代替的に、約2,450MHz(2.45GHz)または約5,800MHz(5.8GHz)のエネルギーを供給するように、発生器モジュール86を構成することができる。本開示は、発生器モジュール286が約915MHzまたは約2,450MHzまたは約5,800MHz以外の周波数を発生するように構成される実施形態と、発生器モジュール86が可変周波数のエネルギーを発生するように構成される実施形態とを意図する。発生器組立体28は、ユーザインターフェース21に動作可能に連結される処理装置82を含む。処理装置82は、任意の種類の計算機器、計算回路、あるいは、記憶装置、例えば、記憶機器88または外部機器91内に保存される一連の指示を実行することができる、任意の種類の処理装置または処理回路を含んでよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、記憶機器88は処理装置82に動作可能に連結され、かつ、等速呼出記憶装置(RAM)、読取専用記憶装置(ROM)、および/または不揮発性記憶装置(NV‐RAM、フラッシュ、およびディスク系記憶装置)を含む場合がある。記憶機器88は、本開示に従い、焼灼パターンを表示および制御するための方法を実行するために、処理装置82上で実行可能な一組のプログラム指示を含む場合がある。発生器組立体86は、外部機器91への通信接続を提供するように構成されるデータインターフェース90を含む場合がある。いくつかの実施形態では、データインターフェース90は、USBインターフェース、メモリカード用差し込み口(例えば、SD用差し込み口)、および/またはネットワークインターフェース(例えば、100BaseTイーサネット(登録商標)インターフェースまたは802.11「Wi‐Fi」インターフェース)のうち何れかである場合がある。外部機器91は、USB機器(例えば、メモリスティック)、メモリカード(例えば、SDカード)、および/またはネットワーク接続された機器(例えば、コンピュータまたはサーバ)のうち何れかである場合がある。
【0067】
発生器組立体28は、エネルギー印加器のデータ、例えば、1つ以上のエネルギー印加器(例えば、図11に示されている101)と関連するパラメータを保存および検索するように構成されるデータベース84を含む場合もある。エネルギー印加器、またはエネルギー印加器配列組立体と接続しているデータベース84内に保存されたパラメータとしては、エネルギー印加器(または印加器配列組立体)の識別子、エネルギー印加器(または印加器配列組立体)の寸法、周波数、(例えば、放射部分の長さに関連する)焼灼の長さ、焼灼直径、(例えば、焼灼の幾何形状に関連する)給電点における間隙距離、時間係数、形状の測定基準、および/または周波数の測定基準を挙げることができるが、それらに限定されない。一実施形態では、データベース84、例えば、印加器配列組立体のワイヤフレームモデル、および/またはそれと関連する焼灼パターンの中に、焼灼パターンの位相幾何を含めることができる。
【0068】
データインターフェース90を介して外部機器91により提供されたデータにより、データベース84を少なくとも部分的に維持することもできる。例えば、制限なく、外部機器91からデータベース84へデータインターフェース90を介して、エネルギー印加器のデータをアップロードすることができる。加えて、または代替的に、外部機器91上に保存されたデータおよび/または指示に従い、エネルギー印加器のデータを操作、例えば、追加、修正、または削除することができる。一実施形態では、データベース84内で表された一組のエネルギー印加器のデータは、データインターフェース90に連結(例えば、物理的連結および/または論理的連結)されている外部機器91に応じて、外部機器91内に包含された対応するデータと自動的に同期する。
【0069】
様々な実施形態に係る処理装置82は、ユーザインターフェース25および/または表示装置21を介して、少なくとも1つの焼灼パターン、および/または、印加器配列組立体の一実施形態に対応する他のエネルギー印加器のデータを、使用者が見ることを可能にするようにプログラムされる。例えば、外科医は、実質的に球状の焼灼パターンが必須であることを断定することができる。当該外科医は、発生器組立体28のための動作の「焼灼形状を選択する」モードを作動させ、表示装置21上にてグラフィックおよび文字で提示されたデータを概観することによりエネルギー印加器配列を予見し、随意に、または代替的に、例えば、画像を回転させることによりグラフィック画像を操作し、表示されたパラメータに基づいてエネルギー印加器の配列を選択することができる。その後、当該選択された1つまたは複数のエネルギー印加器を、それを伴う使用のために発生器組立体28に電気的に連結することができる。
【0070】
一実施形態では、外科医は、発生器組立体28に、それに対応する1つ以上の電磁エネルギー運搬機器を提示させる印加器配列のパラメータを、ユーザインターフェース25を介して入力することができる。例えば、外科医は3.0cm×3.0cmの焼灼パターンを必要とし、かつそれに対応する入力を提供する場合がある。それに応じて、発生器組立体28は、当該入力されたパラメータに整合または相関する、対応する部分組の利用可能な電磁エネルギー運搬機器を予見することができる。
【0071】
一実施形態では、外科医はユーザインターフェース25を介して選択された電力出力を入力することができ、電気外科用システム1000は、焼灼機器101の動作周波数を変化させることにより、例えば、電力のレベルおよび/または反射電力のレベルに基づいて、焼灼体積を自動的に調節するように焼灼機器101を制御する。様々な実施形態に係る電気外科用システム1000は、本開示に従う焼灼機器の一実施形態を制御する際の使用に適した、帰還反復処理機構を含む場合がある。当該帰還反復処理機構は、例えば、ネジ山357a、358aの螺合比に基づいて、制限なく、近接センサ、分圧器ネットワーク、放射センサ、および/または帰還爪を含む場合がある。
【0072】
下文において、本開示に従う焼灼体積を調節する方法が、図12を参照することにより記載されている。本明細書で提供されている方法のステップを、本開示の範囲から逸脱することなく、組み合わせて、および本明細書で提示されている順序とは異なる順序で実施することができることを理解されたい。
【0073】
図12は、本開示の一実施形態に係る、焼灼体積を調節する方法を例解する流れ図である。ステップ1210では、第1動作周波数および第2動作周波数で動作することができる焼灼機器(例えば、図7に示されている701)が組織内に位置付けられる。当該焼灼機器を直接的に組織内に挿入し、管腔、例えば、血管、針、またはカテーテルを通じて挿入し、臨床医による手術の最中に体内に据え、あるいは、当該技術分野で知られている他の適切な方法により体内に位置付けることができる。当該焼灼機器は、第1動作周波数と動作可能に関連する第1バラン(例えば、図7に示されている「B1」)と、第2動作周波数と動作可能に関連する第2バラン(例えば、図7に示されている「B2」)とで構成されたアンテナ組立体(例えば、図7に示されている712)を含む。第1バランは4分の1波長の袖状バランであり得る。いくつかの実施形態では、当該焼灼機器は、第3動作周波数と動作可能に関連する第3バラン(例えば、図6Bに示されている「B3」)を含む場合もある。
【0074】
ステップ1220では、エネルギーが、第1動作周波数において、エネルギー源(例えば、図1に示されている28)からアンテナ組立体(例えば、図7に示されている712)を通じて組織へ伝送される。いくつかの実施形態では、第1動作周波数は約915MHzである場合がある。
【0075】
ステップ1230では、エネルギーが、第2動作周波数において、当該エネルギー源から当該アンテナ組立体を通じて組織へ伝送される。いくつかの実施形態では、第2動作周波数は約2.45GHzである場合がある。目下開示されている、エネルギーを組織へ向ける方法の一実施形態に従い、第1動作周波数および第2動作周波数において、エネルギーをアンテナ組立体を通じて組織へ選択的に伝送することにより、当該焼灼機器の少なくとも一部の周辺を放射する焼灼場を調節する。
【0076】
上記に記載した双対動作周波数を有する焼灼機器と、本開示の実施形態に係る焼灼体積を調節する方法とは、臨床医が、焼灼体積を調節することにより、大血管、健常器官、または不可欠な膜障壁等の組織構造体を、焼灼または不必要に加熱することを避けることを可能にすることができる。
【0077】
目下開示されている焼灼機器を含む、上記に記載した電気外科用システムは、1つ以上の焼灼パターン、および/または、特定の焼灼機器に対応する他のエネルギー印加器のデータを、使用者が見ることを可能にすることができ、このことが、臨床医が焼灼体積を予測し、繁雑さを避け、および/または治療の余地を考慮することを可能にすることができる。上記に記載した電気外科用システムを、目下開示されている、双対動作周波数を有する焼灼機器の動作周波数を自動的に調節するように、例えば、焼灼体積を調節するように適合させることができる。
【0078】
約915MHzの第1動作周波数、および約2.45GHzまたは約5.8GHzの第2動作周波数、または任意の他の適用可能な周波数で動作するように、上記に記載した焼灼機器を設計することができる。いくつかの実施形態では、目下開示されている焼灼機器は、第1周波数での動作を可能にするように適合された第1バラン構造体と、第2周波数での動作を可能にするように適合された第2バラン構造体とを含み、同機器を含む電気外科用システムを、遠位放射部分が第1の長さ、例えば約4cmを有する第1周波数、例えば約915MHzと、遠位放射部分が第2の長さ、例えば約2cmを有するように調節される第2周波数、例えば約2.45GHzとで動作させることができる。いくつかの実施形態では、第2バラン構造体を約5.8GHzの第2周波数での動作を可能にするように適合させることができ、そこで、遠位放射部分は約1cmの長さを有するように調節される。
【0079】
いくつかの実施形態では、目下開示されている焼灼機器は、第1周波数(例えば、約915MHz)での動作を可能にするように適合された第1バラン構造体と、第2周波数(例えば、約2.45GHz)での動作を可能にするように適合された第2バラン構造体と、第3周波数(例えば、約5.8GHz)での動作を可能にするように適合された第3バラン構造体とを含む。
【0080】
例解および記載の目的のために、添付図面を参照して実施形態が詳細に記載されてきたが、本発明の過程および装置は当該実施形態により制限されると解釈されるものでないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に対する様々な修正を行うことができることは、当該技術分野における通常の技術を有する者にとって明白であることである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端部を有する内側伝導体と、前記内側伝導体の周辺で同軸上に配置された外側伝導体と、それらの間に配置された誘電材料とを含む給電線と、
前記内側伝導体の前記遠位端部に縦方向に配置され、かつ近位端部を有する細長い電気伝導性部材と、
前記外側伝導体の第1部分の上方に配置され、かつ、第1バラン構造体の遠位端部が前記電気伝導性部材の前記近位端部からの第1距離に位置するように位置付けられた前記第1バラン構造体と、
前記外側伝導体の第2部分の上方に配置され、かつ、第2バラン構造体の遠位端部が前記電気伝導性部材の前記近位端部からの第2距離に位置するように位置付けられた前記第2バラン構造体と、
を備える、焼灼機器。
【請求項2】
前記第1バラン構造体が第1動作周波数と動作可能に関連する、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項3】
前記第1バラン構造体が4分の1波長の袖状バランである、請求項2に記載の焼灼機器。
【請求項4】
前記第1動作周波数が約915MHzである、請求項2に記載の焼灼機器。
【請求項5】
前記第2バラン構造体が第2動作周波数と動作可能に関連する、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項6】
前記第2動作周波数が約2.45GHzである、請求項5に記載の焼灼機器。
【請求項7】
前記内側伝導体の一部および前記給電線の前記誘電材料が、前記給電線の遠位端部にある前記外側伝導体を超えて延在する、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項8】
その中に管腔を画定する実質的な管状部材を含む鞘部をさらに備え、前記管腔が前記焼灼機器の少なくとも一部をその中に包含するように構成される、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項9】
前記管腔が、前記細長い電気伝導性部材と、前記第1バラン構造体と、前記第2バラン構造体とをその中に包含するように構成される、請求項8に記載の焼灼機器。
【請求項10】
前記管状部材と、前記細長い電気伝導性部材と、前記第1バラン構造体と、前記第2バラン構造体との間に画定された冷却剤室をさらに備える、請求項9に記載の焼灼機器。
【請求項11】
前記細長い電気伝導性部材の少なくとも一部と、前記第1バラン構造体と、前記第2バラン構造体との上方に配置された外側誘電層をさらに備える、請求項10に記載の焼灼機器。
【請求項12】
第3バラン構造体をさらに備え、前記第3バラン構造体が第3動作周波数と動作可能に関連する、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項13】
発生器組立体と、
前記発生器組立体と動作可能に関連する焼灼機器であって、前記焼灼機器が、
内側伝導体と、前記内側伝導体の周辺で同軸上に配置された外側伝導体と、それらの間に配置された誘電材料とを有する給電線と、
第1動作周波数と動作可能に関連し、前記外側伝導体に電気的に連結される、第1バラン構造体と、
第2動作周波数と動作可能に関連し、前記外側伝導体に電気的に連結される、第2バラン構造体と、
を含む、焼灼機器と、
を備える、システム。
【請求項14】
前記焼灼機器が、その中に管腔を画定する実質的な管状部材を含む鞘部をさらに含み、前記管腔が前記焼灼機器の少なくとも一部をその中に包含するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記管腔と流体連通している冷却剤供給システムをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項1】
遠位端部を有する内側伝導体と、前記内側伝導体の周辺で同軸上に配置された外側伝導体と、それらの間に配置された誘電材料とを含む給電線と、
前記内側伝導体の前記遠位端部に縦方向に配置され、かつ近位端部を有する細長い電気伝導性部材と、
前記外側伝導体の第1部分の上方に配置され、かつ、第1バラン構造体の遠位端部が前記電気伝導性部材の前記近位端部からの第1距離に位置するように位置付けられた前記第1バラン構造体と、
前記外側伝導体の第2部分の上方に配置され、かつ、第2バラン構造体の遠位端部が前記電気伝導性部材の前記近位端部からの第2距離に位置するように位置付けられた前記第2バラン構造体と、
を備える、焼灼機器。
【請求項2】
前記第1バラン構造体が第1動作周波数と動作可能に関連する、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項3】
前記第1バラン構造体が4分の1波長の袖状バランである、請求項2に記載の焼灼機器。
【請求項4】
前記第1動作周波数が約915MHzである、請求項2に記載の焼灼機器。
【請求項5】
前記第2バラン構造体が第2動作周波数と動作可能に関連する、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項6】
前記第2動作周波数が約2.45GHzである、請求項5に記載の焼灼機器。
【請求項7】
前記内側伝導体の一部および前記給電線の前記誘電材料が、前記給電線の遠位端部にある前記外側伝導体を超えて延在する、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項8】
その中に管腔を画定する実質的な管状部材を含む鞘部をさらに備え、前記管腔が前記焼灼機器の少なくとも一部をその中に包含するように構成される、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項9】
前記管腔が、前記細長い電気伝導性部材と、前記第1バラン構造体と、前記第2バラン構造体とをその中に包含するように構成される、請求項8に記載の焼灼機器。
【請求項10】
前記管状部材と、前記細長い電気伝導性部材と、前記第1バラン構造体と、前記第2バラン構造体との間に画定された冷却剤室をさらに備える、請求項9に記載の焼灼機器。
【請求項11】
前記細長い電気伝導性部材の少なくとも一部と、前記第1バラン構造体と、前記第2バラン構造体との上方に配置された外側誘電層をさらに備える、請求項10に記載の焼灼機器。
【請求項12】
第3バラン構造体をさらに備え、前記第3バラン構造体が第3動作周波数と動作可能に関連する、請求項1に記載の焼灼機器。
【請求項13】
発生器組立体と、
前記発生器組立体と動作可能に関連する焼灼機器であって、前記焼灼機器が、
内側伝導体と、前記内側伝導体の周辺で同軸上に配置された外側伝導体と、それらの間に配置された誘電材料とを有する給電線と、
第1動作周波数と動作可能に関連し、前記外側伝導体に電気的に連結される、第1バラン構造体と、
第2動作周波数と動作可能に関連し、前記外側伝導体に電気的に連結される、第2バラン構造体と、
を含む、焼灼機器と、
を備える、システム。
【請求項14】
前記焼灼機器が、その中に管腔を画定する実質的な管状部材を含む鞘部をさらに含み、前記管腔が前記焼灼機器の少なくとも一部をその中に包含するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記管腔と流体連通している冷却剤供給システムをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−167513(P2011−167513A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−29431(P2011−29431)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(510171885)ヴィヴァン メディカル,インコーポレイテッド (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29431(P2011−29431)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(510171885)ヴィヴァン メディカル,インコーポレイテッド (34)
【Fターム(参考)】
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