説明

双方向監視・保安システム

【課題】全ての車両所有者及びその家族が利用可能な手頃な価格の一体化した個人用の双方向監視・保安システムを提供する。
【解決手段】単純化し一体化しそして改良したシステム及び方法である。このシステムと方法は、無線通信装置により車両監視システムと結びついた、手持ちできる装置つまりキーホルダーを介してデータの2方向通信を行なう装置を車両内に具備し、さらに、必要とされる保存と分析と評価のサービスを行い評価結果を返送することのできる遠隔コールセンタを具備する。サービスには機械的ロードサイドアシスタンス、牽引、緊急呼び出しセンタへの(事態の緊急性についての評価も含む)通告、及び危険兆候の通告が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、車の異常監視及び報告と、車の緊急事態通告と、人の身体的な緊急の災難の通告と、車と人の位置通告と、車と人の危険兆候の通告と、車の(ドアロック、ライト、ホーンその他の)遠隔操作とを一体化したものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車(車両)は、車両用電子制御ユニット(VCUs)として知られるオンボードコンピュータシステムにより監視される複雑な機械的システムを具備する。
【0003】
このようなVCUsは、引き続き車両システムシステムの問題を診断するために用いることのできる、パワートレインの性能、クラッシュセンサ、エアバッグ展開等、及び、車両の動きに関して蓄積された符号を含む車両システムのさまざま監視を行なう。
【0004】
これらの符号は一般に、例えば、「エンジン点検」「至急エンジン検査」「オイル補充」のような車両に搭載されたコンソール上のメッセージのトリガとして用いられる。サービスセンタは、一旦契約を締結すると、前記問題とその解決に関するさらに詳細な情報を提供するこれらの符号を解読する診断装置を取り付ける。
【0005】
遠隔診断サービスとして、緊急時対応サービスに加えて、遠隔からの車両へのアクセス、指示、及びその他のサービスが「オンスター(OnStar)」を搭載する車両に対して今や選択可能となっている。緊急時対応及び車の位置に基づくサービスは、個々の人間が自分の車の近くにいるかどうかにかかわらず非常に有用であるが、その車又はその位置に制限され、ユーザがその車両の外にいる場合又は車両から離れている場合は役に立たない。
【0006】
「ライフアラート(Life Alert)」や「ウェリファイ(Wherify)」の製品やサービスのような、緊急時対応及び車の位置に基づくサービスを実現する装置はあるが、これらの製品は、ユーザの車と通信することができずまたクラッシュやエアバッグ展開などの車両内の緊急事態を通告することができず、ましてや他の車の異常監視や報告機能は持っていない。
【0007】
車両の車内及び車外のどちらにも無線通信装置及びプロトコルが存在する。移動電話、携帯電話、パーソナル通信(PCS)電話システムが多くあり、長距離無線通信機能を提供している。加えて、ラジオ周波数プロトコルを用いた短距離通信を行なう他の無線通信プロトコルがある。その一例が「ブルートゥース」プロトコルである。
【0008】
車両の中でのブルートゥースプロトコルは、現在、携帯電話の「ハンズフリー」使用又は携帯音楽又は「MP3」との通信に用いられている。
【0009】
その結果、車の異常監視及び報告と、車の緊急事態通告と、人の身体的な緊急の災難の通告と、車と人の位置通告と、車と人の危険兆候の通告と、車の遠隔操作とを行なうサービス又は装置がほしい場合は、今のところ、これを実現する別々の多数のサービス又は装置を購入しなければならない。しかしながら一般に、ユーザは多数の装置を携行し、多数のサービスに支払いを行なうことを望まない。ポケットに楽に入り、ユーザが要望しそして必要とするものを集積した個人用の小さな装置が望まれている。車両用のOEM製造業者は、GMと競争する製品を提供したいと望んでいるが、「オンスター」タイプの社会基盤を構築する負担と経費の重荷を担いたくはなく、またGMブランドの製品に使用許可を与えることを望んでいない。
【発明の開示】
【0010】
従来の方法及び構成における前述の及びその他の問題に鑑み、本発明の目的は、従来技術と新しい技術とを組み合わせ、全ての車両所有者及びその家族が利用可能な手頃な価格の一体化した個人用のシステムとその方法を提供することである。
【0011】
したがって、本発明は、中央ステーション、ポータブル遠隔ユーザステーション、及びシステムが装備された複数の車両からなる双方向監視・保安システムを対象とする。中央ステーションは各々のポータブル遠隔ユーザステーションとの無線通信及びポータブル遠隔ユーザステーションから受け取ったデータの処理の両方を行なう能力を持つ。一方、各ポータブル遠隔ユーザステーションは、中央ステーションとの無線通信及び車両との無線通信を行なう能力を持つ。最後に、システム中の各車両は車両の色々なシステムを監視するマイクロプロセッサ制御ユニットを具備する。この制御ユニットは、無線通信インターフェースを含むことができ、あるいは、この制御ユニットは、ポータブル遠隔ユーザステーションへの送信及びポータブル遠隔ユーザステーションからの受信のためのインターフェースに有線でつながれている。
【0012】
本発明はまた、このような監視保安システムの操作方法も対象にしている。
【0013】
本発明の第1の特徴はしたがって、ポータブル遠隔ユーザステーションは、車両の近くにあるとき車両との安定した通信を確立する。ポータブル遠隔ユーザステーションは、車両からのオンボード制御ユニットから送信された符号化された情報を受信し、このデータを中央ステーションに転送し、そこでこれを収集、処理及び/又はその情報に基づいて行動する。ポータブル遠隔ユーザステーションとオンボードユニットとの間の通信にはおそらく「ブルートゥース」(又は、必要に応じてRF技術)を用いるであろう。ポータブル遠隔ユーザステーションと中央ステーションとの間の通信には適切な移動通信、携帯電話通信、PCS通信プロトコルを用いる。
【0014】
中央ステーションは、符号化された情報を受信し、ポータブル遠隔ユーザステーションが車両のごく近傍にあるときこのデータを車両のオンボードユニットに転送するポータブル遠隔ユーザステーションとの安定した通信を確立させ、車両は必要に応じてこの符号に基づいて動作する。
【0015】
ユーザは、ユーザが車両の近傍にいるか否かにかかわらず、このポータブル遠隔ユーザステーションの装置を用いて中央ステーションに呼を送信することができる。この装置によりコールセンタがその装置の位置を見つけることができる(GPSトラッキング)。
【0016】
ユーザは、都合の良いときに保存及び再生ができる簡単なメッセージを録音することができる。
【0017】
このシステム及び方法は、顧客の忠誠心を強化し、非常事態に対してタイムリーな対応を行い、技術的及び製造上の問題を解決するためのフィードバックを行なうことにより、車両の製造業者及びサービス会社に利益をもたらす。このシステム及び方法は、ユーザのポケットに楽に納まる装置であって、ユーザが要望しそして必要とするものを集積した個人用の小さな装置を、ユーザの車両内であるいは車両から離れて持つことによりユーザに利益をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図、具体的には図1及び2を参照すると、本発明に係る方法と構成の好ましい実施の形態が示されている。図1に示されているように、本発明の一実施の形態は、中央ステーション10、複数のポータブル遠隔ユーザステーション12、及び、適切に装備された複数の車両14により構成されている。
【0019】
中央ステーション10は、音声通信及び各遠隔ステーション12から送信されたデータを受信するコールセンタを具備する。中央ステーションはまた遠隔ステーションから受信したさまざまなデータを分析するためのデータ処理能力を持っている。中央と遠隔ステーションとの間の音声やデータの全ての送受信は、線16で示した従来の無線通信網により行なわれる。中央ステーション10はまた、GPSによって各遠隔ユーザステーション12の位置を特定する。
【0020】
遠隔ステーション12は多くの形態をとることができる。これらの装置はユーザ個人により完全にポータブルであり手持ちできるものが好ましい。2つの好ましい実施形態は、携帯電話とキーホルダーである。遠隔ステーション12は、中央ステーション10と無線通信することができ、ブルートゥース又はラジオ周波数技術を使って本システムに含まれる車両14と無線通信することができる。中央ステーション10はまたGPS機能と、車のデータとユーザから入力された音声メッセージを保持するための記憶容量とを有する。ポータブル遠隔ステーション12はまた、1以上のファンクションボタンとテキスト通信のためのディスプレイがあることが好ましい。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態で採用された車両14は、操作可能なようにさまざまな車両システム及び機能と結び付けられたマイクロプロセッサ制御ユニット18を具備する。これらのシステムと機能には、エンジン性能パラメータ、燃料とオイルのレベル、エアバッグの準備及び展開、タイヤ圧力、走行距離計とスピードメータの読み、その他が含まれる。車のシステム及び機能は、その車のデータを保存することができ、組み込まれた又は別置きの通信インターフェース20を通じてこのデータを遠隔ユーザステーションに送ることができる制御ユニット18により監視される。通信インターフェース20の好ましい形態は従来のブルートゥース送信器及び受信器である。
【0022】
図2は、キーホルダーの形態にした1つの好ましいポータブル遠隔ユーザステーション22を示す。キーホルダーは、マイクロフォン24、スピーカ25、画像表示26、及びさまざまな機能ボタン27〜30を装備する。これらの機能ボタンにより、中央ステーションとの通信接続が確立し、非常信号が送信され、車のロックとロック解除が行なわれ、本技術分野で周知の他の多くの機能が実行される。
【0023】
本発明の思想から逸脱することなしにここで説明した実施の形態に対して種々の変更及び改良が可能なことは当業者に理解されよう。これらの改良及び変更は添付特許請求の範囲に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の新規性のある特徴は添付した特許請求の範囲に述べられる。しかしながら、本発明の好ましい実施の形態は、さらに目的とそれに付随する効果とあわせて、以下の添付図面と関連させた詳細な説明を参照することによりよりよく理解できるであろう。
【図1】本発明に係る双方向性監視保安システムの一実施の形態の図示したものである。
【図2】本発明従い製造した遠隔ユーザステーションの一実施の形態の透視図である。
【符号の説明】
【0025】
10 中央ステーション
12 ポータブル遠隔ユーザステーション
14 車両
16 無線通信網
18 マイクロプロセッサ制御ユニット
22 キーホルダーの形態にしたポータブル遠隔ユーザステーション
24 マイクロフォン
25 スピーカ
26 画像表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向監視・保安システムであって、
中央通信・データ処理ステーションと、
前記中央通信・データ処理ステーションと通信を行なう複数のポータブル遠隔ユーザステーションと、
複数の車両であって、各車両は、車両システムを監視する制御ユニットと該制御ユニットを動作させることができるように該制御ユニットと結び付けられた通信インターフェースとを有し、各車両の通信インターフェースは前記複数のポータブル遠隔ユーザステーションのうちの1つと無線通信を行う、複数の車両と、
を具備する双方向監視・保安システム。
【請求項2】
前記ポータブル遠隔ユーザステーションはキーホルダーであることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項3】
前記ポータブル遠隔ユーザステーションは携帯電話であることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項4】
前記通信インターフェースと前記ポータブル遠隔ユーザステーションを介して車両データが前記中央通信・データ処理ステーションに送信され、前記車両データは前記中央通信・データ処理ステーションにて処理され、前記車両データに対応した車両の機能を実行させるために、前記中央通信・データ処理ステーションから前記ポータブル遠隔ユーザステーション及び前記通信インターフェースを介して対応指令信号が前記車両に送信されることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項5】
前記中央通信・データ処理ステーションと前記ポータブル遠隔ユーザステーションとは音声による通信を行なうことができることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項6】
前記ポータブル遠隔ユーザステーションは前記中央通信・データ処理ステーションに保安信号を送信するのに適合していることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項7】
前記中央通信・データ処理ステーションは、1以上の前記ポータブル遠隔ユーザステーションの位置を特定するのに適合していることを特徴とする請求項1のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−101507(P2006−101507A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−272464(P2005−272464)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(505352415)
【出願人】(505352426)
【Fターム(参考)】