説明

双極性障害および随伴症状の治療

本発明は、ヒトを含む哺乳動物における双極性障害を治療するための方法およびキットに関するものであって、前記治療法は、急速交代型を含む双極性障害の治療、急性躁病または軽躁病および鬱病を含む双極性障害の症状ならびに急性躁病または軽躁病および鬱病の両方を含むエピソードまたは発生の治療;気分安定化に奏効するための治療;双極性障害のエピソードへの再発を防ぐための治療および双極性障害に伴う自殺思考および自殺傾向の治療;を含み、これらの治療は前記哺乳動物に、式(I)の化合物またはそれの薬学的に許容できる塩、溶媒和化合物、水和物または光学異性体の有効量を投与することを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトを含むほ乳動物における双極性障害の治療に関する。より具体的に、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における急速交代型を含む双極性障害の治療を目的とし、および急性躁病または軽躁病および鬱病を含む双極性障害の症状、ならびに急性躁病または軽躁病および鬱病を含むエピソードまたは発生の治療のためである。本発明はまた、双極性障害に罹患している患者における気分安定化に奏効するための治療方法を目的とする。本発明は更に、双極性障害に罹患している患者において、双極性エピソードにいたる、急性躁病または軽躁病および鬱病を含む気分の不安定の再発を防止する方法に関する。本発明は更に、双極性障害に罹患している患者における自殺思考および自殺傾向を治療することを目的とする。本発明は更に、少なくとも別の1つの共存症のまたは随伴性の疾病、状態または障害を伴う双極性障害の治療を目的とする。本発明はまた、以下に規定するようにアセナピンとしても知られる、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールの新しい治療用途にも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の式Iの化合物は、米国特許第4,145,434号および第5,763,476号に開示されている。これらの化合物のための一定の治療についても、米国特許第4,145,434号および第5,763,476号に開示されている。この段落に載せた特許は、本明細書に参照によりその全部が取り込まれる。
【発明の開示】
【0003】
(発明の要約)
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における双極性障害を治療するための方法における、以下に規定される式Iの化合物の使用に関する。具体的に、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における急速交代型双極性障害を含む双極性障害の治療のための方法;急性躁病、軽躁病、鬱病からなる群より選択される双極性障害の症状ならびに急性躁病または軽躁病および鬱病の両方を含むエピソードもしくは発生の治療のための方法;双極性障害に罹患している患者における気分の安定化に奏効する治療のための方法;双極性障害に罹患している患者における急性躁病または軽躁病および鬱病を含む気分の不安定の再発を防止する治療のための方法;双極性障害に罹患している患者における自殺思考および自殺傾向の治療のための方法;少なくとも1つの別の共存症のまたは随伴性の疾患、状態または障害を伴う双極性障害を治療するための方法を、目的とする。前記の双極性障害に随伴する状態、疾患または障害には、抑鬱病;メランコリー;疲労;回避的人格障害、境界性人格障害、統合失調型人格障害、および強迫性人格障害を含む人格障害;間欠性爆発性障害および器質性人格症候群を含む攻撃的障害;反抗挑戦性障害;非定型循環精神病;運動性精神病;錯乱精神病;不安至福精神病;認知症;およびせん妄が含まれるが、これらに限られるものではなく、それらの治療法は、薬学的に有効な量の、式I:
【0004】
【化7】

(式中R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、炭素数1から6のアルコキシ、炭素数1から6のアルキルチオおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される1員を表し、およびRは、水素、炭素数1から6のアルキルまたは7から10の炭素原子を有するアラルキルを表す。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくは光学異性体を投与することを含む。
【0005】
本発明の1つの態様は、ヒトを含む哺乳動物における急速交代型を含む双極性障害の治療のための方法;急性躁病または軽躁病および鬱病からなる群より選択される双極性障害の症状ならびに急性躁病または軽躁病および鬱病の両方を含むエピソードもしくは発生の治療のための方法;双極性障害に罹患している患者における気分の安定化に奏功する治療のための方法;双極性障害に罹患している患者における双極性障害エピソードへの再発を防止する治療のための方法;双極性障害に罹患している哺乳動物における自殺思考および自殺傾向の治療のための方法を目的とし、そのような治療には、前記哺乳動物にアセナピン(トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール)または薬学的に許容できるその塩の有効量を投与することを含む。
【0006】
本明細書において、用語「アセナピン」は、別に指示がない限り、化合物アセナピン(前段落において名付けられた。)の遊離塩基およびその全ての薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物および光学異性体を包含する。アセナピンは当分野においてOrg5222としても知られている。
【0007】
薬学的に許容できる付加塩には、とりわけマレイン酸塩、メシル酸塩、エシル酸塩および塩酸塩などの式Iの化合物の塩が含まれるがそれらに限られず、およびそのような塩の多形な形態も含むことができる。
【0008】
本発明のなおもう1つの態様において、上記の治療は、双極性障害に罹患した患者の状態または上記の双極性障害に随伴する症状を、例えばアセナピンなどの式Iの化合物の第1回の投与から約96時間以内に改善する。しかしながら、そのような改善は、より急速に、すなわち、例えばアセナピンなどの式Iの化合物の投与後約24から96時間以内に実現することができる。
【0009】
本発明はまた、双極性障害および本明細書に記載された全ての他の適応症を治療するための薬剤の製造への、上記に規定したような式Iの化合物の使用にも関する。
【0010】
本明細書で言及される精神障害および精神状態は当業者に既知であり、例えば本明細書に参照によりその全部が取り込まれる「精神障害の診断および統計マニュアル、第4版、American Psychiatric Association,1994(DSM−IV)」などの当分野で評価されている医学教科書において定義されている。
【0011】
本明細書において、用語「治療すること」は、その用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つまたはそれ以上の症状の進行を逆行させる、軽減させるもしくは阻害すること、またはそれらの再発を防止すること、またはそれら自体を防止することを指す。本明細書において、用語「治療」は、「治療すること」が直前に定義されたような「治療すること」の行為を指す。用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、防止的な(例えば予防的な)および対症的な治療または防止的なもしくは対症的な治療を提供する行為を含む。
【0012】
「それを必要とする患者」という句は、本明細書に記載されるような状態を有するかまたはその危険性にある患者である。
【0013】
用語「患者」は動物、特に哺乳動物を意味する。好ましい患者はヒトである。
【0014】
用語「薬学的に有効な量」は、本明細書において、ヒトを含む哺乳動物において、双極性障害、急性躁病もしくは軽躁病および鬱病またはそれらの組み合わせを含む双極性障害の症状を治療するために;気分安定化に奏効するために;双極性エピソードへの再発を阻止するために;ならびに自殺思考および自殺傾向の治療のために充分である化合物の量を指す。
【0015】
本明細書において、用語「有効量」は上記の状態を治療することができる化合物の量を意味する。本発明に従って投与される化合物の具体的な用量は、もちろん、例えば投与される化合物、投与経路および治療される状態の重度を含むその症例の置かれた特定の状況により決定される。
【0016】
DSM−IVに提供されているように、急速交代型双極性障害の特定子は双極I型障害または双極II型障害に適用することができる。急速交代型双極性障害の本質的な特徴は、過去12ヶ月間に4つまたはそれ以上の気分のエピソードが発生することである。
【0017】
「急性躁病および鬱病からなる群より選択される双極性障害の症状」は、それぞれ、双極性障害の、場合により、躁病のエピソードまたは鬱病のエピソードに関連しているかも知れない1つまたはそれ以上の症状を指す。
【0018】
本明細書において、「気分の安定化」は、治療の対象における気分正常状態を維持するための、躁病症状および鬱病症状の抑制を指す。
【0019】
本明細書において、用語「再発予防」は、過去にエピソードの同じ種類の少なくとも1つを経験した対象においてエピソードの1つの種類の再発を防止することを指す。「再発予防」の1例は、過去に1つまたはそれ以上の躁病エピソードを経験した対象において、躁病エピソードの再発を予防することである。
【0020】
「自殺思考および自殺傾向」の治療は、双極性障害に罹患した対象における、自殺の企てを抑制することを更なる目標にする自殺念慮の抑制を指す。
【0021】
アラルキル基は、好ましくはベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルまたは1−メチルフェニルエチルなどの炭素数7から10のフェニルアルキル基を意味する。
【0022】
本発明はまた、双極性障害の治療に用いるためのキットを提供し、そのキットは、
A)式I:
【0023】
【化8】

(式中、R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、炭素数1から6のアルコキシ、炭素数1から6のアルキルチオおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1員を表し、Rは、水素、炭素数1から6のアルキルまたは7から10の炭素原子を有するアラルキルを表す。)
の化合物またはそれらの薬学的に許容できる塩もしくはそれらの光学異性体を含む医薬品組成物、
および
B)双極性障害を治療するために、式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容できる塩もしくはそれらの光学異性体を含む医薬品組成物を、それを必要とする患者に投与するための指示書、
を含む。
【0024】
(発明の詳細)
薬学的に許容できる酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)およびp−トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)などの塩類が含まれるが、これらに限られない。
【0025】
本発明の化合物の薬学的に許容できる酸付加塩は、化合物それ自体から、またはそのエステルのいずれかから形成することが可能であり、および薬剤化学においてしばしば用いられる、薬学的に許容できる塩を含む。例えば塩類は、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸およびトルエンスルホン酸などの薬剤を含むスルホン酸、硫酸、硝酸、リン酸、酒石酸、ピロ硫酸、メタリン酸、コハク酸、蟻酸、フタル酸、乳酸などの無機酸または有機酸でもって、最も好ましくは塩酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、酢酸またはプロピオン酸でもって形成することができる。
【0026】
塩基性化合物の塩類は該化合物を適切な酸と反応させることにより形成することができる。該塩類は通常、中程度の温度で高収率で形成され、しばしば、合成の最終段階として、適切な酸洗いから該化合物を単離することにより調製される。塩を形成する酸は、適切な有機溶媒または、例えばアルカノール、ケトンまたはエステルなどの水性有機溶媒に溶解させる。一方、化合物を遊離塩基の形にしておくことが望ましい場合、化合物を塩基性の最終洗浄段階から単離することができる。塩酸塩を調製するための1つの技術は、遊離塩基を適切な溶媒に溶解し、得られた溶液を分子ふるい上で完全に乾燥させた後、溶液に塩化水素ガスを通気することである。無定形の形状の該化合物を投与可能であることも、認識されるであろう。
【0027】
当分野の業者には、本発明の一定の化合物が、特定の立体化学的、互変的、または幾何学的配置にある1つまたはそれ以上の原子を含み、立体異性体、互変異性体および配置異性体を生じさせることを理解されるであろう。全てのそのような互変異性体および異性体、ならびにそれらの混合物が本発明に含まれる。本発明の該化合物の水和物および溶媒和物もまた含まれる。
【0028】
対象発明はまた、同位体で標識した化合物を含み、それらは通常自然界に見出される原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子により1つまたはそれ以上の原子が置換されている事実を除き、上記に開示されたものと構造的に同一である。本発明の化合物に取り込むことができる同位体の例としては、例えばそれぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36CIなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体が挙げられる。前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含む、本発明の化合物、それらのプロドラッグならびに前記化合物および前記プロドラッグの薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲に包含される。例えばHおよび14Cなどの放射性同位体を中に組み込んだ化合物などの、本発明の同位体で標識された一定の化合物は薬剤および/または基質の組織分布のアッセイにおいて有用である。トリチウム(すなわちH)および炭素14(すなわち14C)同位体は、それらの調製と検出の容易さゆえ、特に好ましい。更に、重水素(すなわちH)などの重い同位体による置換は、代謝安定性がより大きくなった結果である一定の治療的利点、例えばインビボ半減期の増加または用量要求性の減少などを提供することができ、従ってある状況において好ましい可能性がある。本発明の同位体で標識した化合物およびそのプロドラッグは一般に、既知のまたは引用した方法を実施することおよび非同位体標識試薬を容易に入手できる同位体で標識した試薬で置換することにより調製することができる。
【0029】
当業者には、利用できるヒドロキシ基を有する生理的に活性な化合物は、薬学的に許容できるエステルの形で投与可能であることが理解されるであろう。本発明の化合物はそのヒドロキシ基に形成したエステルとして有効に投与することができる。エステル基の適切な選択により、該化合物の作用の速度または持続期間を調節することができる。
【0030】
対象に投与する本発明の化合物の用量はかなり広く変更可能であり、診療する医師の判断に任される。化合物を、例えばラウリル酸塩などのかなりの分子量を有する部分を形成する塩の形で投与する場合、化合物の用量を調整する必要があるかも知れないことに注意すべきである。
【0031】
以下の投与量は、約65kgから約70kgの体重を有する平均的なヒト対象のためのものである。当業者は、体重が65kgから70kgの範囲の外にある対象に要求される投与量を、対象の病歴に基づいて容易に決定することができる。本明細書に記載される全ての用量は、遊離塩基または遊離酸の形での1日当たりの用量である。例えば塩類や水和物類などの遊離塩基または遊離酸の形態の他の形態の用量の計算は、関与している化学種の分子量に対する単純な比例により容易に行うことができる。
【0032】
式Iの化合物の効果的な投与比率の一般的範囲は、約0.1mg/日から約100mg/日である。もちろん、化合物の1日の用量を1日の種々の時間帯で、分割投与することが実用的であることが多い。しかしながら、いかなる特定の症例においても、投与される化合物の量は、例えば特定の化合物の力価、該化合物の溶解度、用いられる薬剤組成および投与経路などの因子に依存する。
【0033】
本発明の効果的な化合物を、その徴候が精神症状または行動障害を含む精神状態を治療するためにヒト対象において用いる場合、通常、処方する医師が1日用量を決定する。更に、用量は個々の患者の年齢、体重および応答、ならびに患者の症状の重度に応じて変える。しかしながら、ほとんどの場合、本明細書に記載される精神状態を治療するための有効量は、1日用量が約0.5から約500mgの範囲、より特定すれば1日当たり約10mgから約200mg、更により特定すれば1日当たり約5mgから約10mgであり、単回または分割投与で、経口的または非経口的に投与する。ある場合には、この限度を超えた用量を使用する必要がありうる。
【0034】
式Iの化合物は、米国特許第4,145,434号および第5,763,476号において記載されたまたは引用された合成法の1つまたはそれ以上により調製することができる。米国特許第4,145,434および第5,763,476号はその全体を参照により本明細書に組み込まれる。化合物アセナピン(トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール)は、米国特許第4,145,434号において記載されたまたは引用された合成法の1つまたはそれ以上により調製することができ、その全体を参照によりて本明細書に組み込まれる。
【0035】
式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容できる塩(以後、「本発明の有効化合物」として集団的に呼ぶ)は、ヒト対象に単独で、または好ましくは医薬品組成物中で薬学的に許容できる担体または希釈剤と組み合わせて投与することができる。そのような化合物は、舌下、側頬または舌上に投与することができる。例として、米国特許5,763,476号を参照のこと。
【0036】
加えて、本発明の有効化合物を含む医薬品組成物において、有効成分の担体に対する重量比は、通常1:6から2:1、好ましくは1:4から1:1の範囲にある。しかしながら、いかなる特定の場合においても、選択される比は、例えば有効成分の溶解度、予定の用量および正確な投与経路などの要素に依存する。
【0037】
その徴候が精神症状または行動障害を含む精神状態の治療における舌下、側頬および舌上の使用のために、本発明の有効化合物は、例えば錠剤もしくはトローチ剤または水溶液もしくは懸濁液の形状で投与することができる。経口用の錠剤の場合は、用いることのできる担体として乳糖およびコーンスターチが挙げられ、例えばステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を加えることができる。カプセル剤形での経口投与のために有用な希釈剤は、乳糖および乾燥コーンスターチである。経口用の水性懸濁液が必要な場合、有効成分は乳化剤および懸濁剤と組み合わせることができる。望むならば、一定の甘味剤および/または香味料を加えることができる。筋肉内、非経口的および静脈内使用のために、有効成分の無菌溶液を調製することができ、およびそのpHは、適切に調整、緩衝されるべきである。静脈内使用のために、溶質の総濃度は、その製剤が等張になるように調節されるべきである。
【0038】
1つの実施形態において、本発明の医薬品組成物は、錠剤またはトローチ剤であり、薬学的に許容できる水溶性または水分散性の担体材料の急速に崩壊する組成物を含む。薬学的に許容できる水溶性または水分散性の担体材料の急速に崩壊する組成物を含む錠剤またはトローチ剤は、例えば米国特許第4,371,516号において開示されているように当分野において公知である。そのような錠剤は、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール、水溶性または水分散性の担体材料、および場合により、薬学的に許容できる賦形剤を含む水溶液の凍結乾燥により調製することができる。そのような賦形剤は、当分野において公知であり(例えばRemingtonのPharmaceutical Sciences、第18版(A.R. Genaro編集)、1990、pp1635−1638を参照のこと)、および、例えば界面活性剤、着色剤、香味料、保存剤などの医薬品組成物において通常用いられている。水溶性または水分散性の担体材料は、好ましくは水溶性である。適した水溶性担体材料は、例えば加水分解デキストラン、デキストリン、マニトールおよびアルギン酸塩などの(多)糖類またはそれらの混合物またはそれらと、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの他の材料との混合物、および、例えばヒドロキシプロピルセルローズなどの水溶性セルローズ誘導体との混合物である。
【0039】
1つの実施形態において、担体材料は、ゼラチンであり、特に部分的に加水分解されたゼラチンである。部分的に加水分解されたゼラチンは、ゼラチンの水溶液を、例えばオートクレーブ中、約120℃で2時間まで加熱することにより調製することができる。加水分解されたゼラチンは、約1から6%(W/V)の濃度、好ましくは約2から4%(W/V)の濃度で用いられる。
【0040】
本発明の組成物の剤形、すなわち錠剤またはトローチ剤は、当分野において公知の方法により調製することができる。例えば、英国特許2,111,423において開示されている方法に従って、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールの所定量、薬学的に許容できる水溶性または水分散性担体材料ならびに場合により薬学的に許容できる補助剤および賦形剤を含む水性組成物を型に移し、その後組成物を凍らせ、好ましくは凍結乾燥により溶媒を昇華させる。組成物は好ましくは、例えばTween 80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)などの界面活性剤を含むが、この界面活性剤は凍結乾燥産物が鋳型の表面に付着するのを防ぐ助けになることができる。
【0041】
前記の鋳型は、一連の円筒形または他の形状の凹部を含むことができ、そのそれぞれが剤形の望ましい寸法に対応する寸法を有する。あるいは、型は、剤形の望ましい寸法より大きな寸法を有することができ、内容物を凍結乾燥後、製品を望ましい寸法に切り分けることができる。好ましくは剤形は、液球(lyosphere)の形状で凍結乾燥された、有効成分を含む凍結乾燥球形小滴である。
【0042】
型は、例えば米国特許第4,305,502号および第5,046,618号に開示されているように、フィルム材のシートの凹部に対応するであろう。フィルム材は、従来のブリスター包装に用いられるものと同様であることができる。
【0043】
本発明の医薬品組成物の各剤形は、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールの1用量単位を有効成分として含む。1用量単位は、有効成分の0.005mgと20mgとの間を含むことができる。好ましくは、用量単位は、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールの5から10mgを含む。
【0044】
本発明はまた、双極性障害を治療するために使用するためのキットを提供する。
【0045】
キットは、A)式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容できる塩もしくは光学異性体を含む医薬品組成物;およびB)双極性障害を治療するための、前記の医薬品組成物を使用する方法を記載した指示書、を含む。キットの実施形態の1つにおいて、化合物は、5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールもしくは薬学的に許容できるそれらの塩、またはトランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールもしくは薬学的に許容できるそれらの塩である。
【0046】
即時適用において用いられる「キット」は、医薬品組成物を含む容器を含み、および、例えば分離瓶または分離箔包装などの分離された容器を含んでも良い。容器は、薬学的に許容できる材料で製造される、当分野で公知の、従来のいかなる形態および形状でもあることができ、例えば、紙またはボール紙箱、ガラスまたはプラスチックの瓶または広口瓶、再封止可能な袋(例えば錠剤の「詰め替え」を異なった容器に入れて保持するための)、または治療計画に従って、パックから押し出すための個々の用量を入れたブリスター包装である。用いられる容器は、中に含まれる正確な剤形に依存することができ、例えば従来のボール紙箱は、懸濁液体を保持するためには、一般に使われないであろう。単一の剤形を市販するために、単一の包装中に1つを超える容器を共に用いることも可能である。例えば、瓶に錠剤を入れ、それらを今度は箱に入れても良い。
【0047】
そのようなキットの1つの例は、いわゆるブリスター包装である。ブリスター包装は、包装業において周知であり、薬剤単位用量剤形(錠剤、カプセル剤等)の包装に広く用いられている。ブリスター包装は一般に、好ましくは透明なプラスチック材の箔で覆われた、比較的硬い材料のシートからなる。包装工程の間にプラスチック箔に窪みを形成する。窪みは、包装される個々の錠剤またはカプセル剤の寸法と形状を有しているか、または包装される多数の錠剤および/またはカプセル剤を収納する寸法と形状を有することができる。次に錠剤とカプセル剤を窪みに対応させて置き、窪みが形成された方向とは反対側の箔の面に、比較的硬い材料のシートがプラスチック箔に対して封着される。その結果、錠剤またはカプセル剤は、プラスチック箔の窪みとシートとの間に、所望により個々にまたは集合的に密封される。好ましくは、シートの強度は、手で窪みに圧力をかけ、それにより、窪みの位置のシートに開口が形成されることによりブリスター包装から錠剤またはカプセル剤を取り出すことができる程度である。錠剤またはカプセル剤は、次に前記開口から取り出すことができる。
【0048】
医師、薬剤師または対象のための情報および/または指示を含む種類の文字で書かれた記憶補助(例えば、錠剤またはカプセル剤の隣に付けられた番号の形であり、その番号は、錠剤またはカプセル剤を摂取すべきであると特定された投薬計画の日付に相当する)または同じ種類の情報を含むカードを提供することが望ましい。そのような記憶補助の別の例は、例えば下記がカード上に印刷されているカレンダーである:「第1週、月曜、火曜、」・・・等、「第2週、月曜、火曜、・・・」等。記憶補助の他の種類は容易に明らかとなる。「1日用量」は、ある特定の日に摂取すべき単一の錠剤もしくはカプセル剤または幾つかの錠剤もしくはカプセル剤であることができる。
【0049】
キットのもう1つの特定の実施形態は、1日の用量を一度に1つ分配するように設計された分配器である。好ましくは、投薬計画に従うことを更に容易にするために、その分配器は記憶補助を備えている。そのような記憶補助の一例は、分配された1日用量の数を表示する機械的な計数器である。そのような記憶補助のもう1つの例は、液晶表示または可聴の注意信号と組み合わせた、電池により作動するマイクロチップ記憶装置であって、例えば最後の1日用量が摂取された日付を表示しおよび/または次の用量を摂取すべき時を思い出させる。
【0050】
(実施例)
本発明は、以下の実施例により例示される。
【実施例1】
【0051】
a:加水分解ゼラチン(3% W/V)の調製
ゼラチン(30g)を、加熱下および均一の撹拌下、蒸留水の1lに溶解した。得られた溶液を121℃(10Pa)で1時間高圧滅菌し、その後溶液を室温に放冷して、加水分解ゼラチン(3% W/V)を得た。
【0052】
b:固形医薬品剤形の調製
円筒形の窪みを有するポリ塩化ビニル(PVC)のシートを固体二酸化炭素を用いて冷却した。Org 5222、マレイン酸5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(1:1)の0.2gを、撹拌しながら加水分解ゼラチンの1lに溶解した。撹拌を続けながら、窪みのそれぞれに溶液の0.5mlを入れた。窪みの内容物が凍結した時、PVCのシートを凍結乾燥系内に置いた。凍結乾燥した医薬品剤形を含む窪みを閉鎖するために、アルミニウム箔を最終的にシートに封着した。各窪みは、マレイン酸5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(1:1)の0.10mgを含む薬剤単位用量を含む。
【実施例2】
【0053】
実施例1bに記載されたような方法で、以下を含む医薬品組成物を調製した。
マレイン酸5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(1:1)(Org 5222)の0.2g、Tween80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)の0.50g、ショ糖の30gおよび加水分解ゼラチン(3% W/V)の1l。
【実施例3】
【0054】
実施例1bに記載されたような方法で、以下を含む医薬品組成物を調製した。
マレイン酸5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(1:1)(Org 5222)の2g、Tween80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)の0.50g、ショ糖の30gおよび加水分解ゼラチン(3% W/V)の1l。
【実施例4】
【0055】
以下を含む医薬品組成物を調製した。
マレイン酸5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(1:1)(Org 5222)の0.2g、アルギン酸ナトリウムの17g、デキストラン(分子量約40,000)の35g、ブドウ糖の17.5gおよび蒸留水を1lの容量になるまで加えて、この組成物を単位用量剤形に凍結乾燥した。
【実施例5】
【0056】
以下を含む医薬品組成物を調製した。
マレイン酸5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(1:1)(Org 5222)の0.4g、デキストリンの50g、Tween80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)の0.20g、ポリビニルピロリジンの30gおよび蒸留水を1lの容量になるまで加えて、この組成物を単位用量剤形に凍結乾燥した。
【実施例6】
【0057】
ショ糖の138.9g、クエン酸ナトリウムの40.8g、およびポリソルベート20の111mgを蒸留水の300mlに溶解し、1N塩酸および1N水酸化ナトリウムを用いて溶液のpHを7に調節し水を加えて500mlにすることにより、液球(lyosphere)を調製した。溶液を撹拌することにより均質化し、滅菌した0.22μmフィルターに通した後、溶液を0.1mlの液滴になるように凍らせ、その液滴を凍った状態で凍結乾燥機に移し、凍結乾燥し、医薬を含まない球形の凍結乾燥された単位用量(液球(lyosphere))にした。
マレイン酸5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(1:1)(Org 5222)の120mgをエタノールの1mlに溶解し、この溶液の83.mu.lを1つの液球(lyosphere)に加え、その後エタノールを穏やかに加熱することにより除き、Org 5222の 10mg含む1個の液球(lyosphere)を得た。Org 5222のそれぞれ1および0.1mgを含む液球(lyosphere)を、Org 5222の60mgまたは6mgをそれぞれエタノールの1mlに溶解し、この溶液16.6μlを1つの液球(lyosphere)に加えることによる同様な方法で調製した。
【実施例7】
【0058】
以下を含む医薬品組成物を調製した。
マレイン酸5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(1:1)(Org 5222)の0.094g、マンニトールの30g、ゼラチンの40gおよび蒸留水を1lの容量になるまで加えて、この組成物を実施例1bの方法に従って凍結乾燥し、各々がOrg 5222の10μgを含む複数の単位用量剤形にした。
【実施例8】
【0059】
急性躁病エピソードを有する入院患者における舌下アセナピンの安全性および有効性を実証する、無作為、プラセボ対照二重盲検治験。
【0060】
適応症である双極I型障害の急性躁病のおよび混合型のエピソードに対する試験を行う(400から500対象)。試験の第1の目的は、双極I型障害に関連した躁病のまたは混合型のエピソードを有する対象について、Young−Mania評価尺度(Y−MRS)のベースラインからの変化において舌下アセナピンの安全性と有効性をプラセボ対照に対して実証することである。第二の目的は、アセナピンの治療効果をプラセボを対照として以下の項目に関して評価することを含む。
・双極性障害に用いるための臨床全般印象尺度(CGI−BP)
・Montgomery−Asberg鬱病評価尺度(MADRS)
・PANSS
・安全性および許容性
治験は、3週間の無作為、プラセボ対照、二重盲検,二重ダミー、多施設、平行グループ治験である。対象は、ランダムにアセナピンまたはプラセボ治療に割り当てられる。
【0061】
治験は、7日間(まで)の単一盲検のプラセボ洗浄期間を含み、その期間、躁病のまたは混合型のエピソードを経験した対象は、単一盲検のプラセボ投与を受ける。実質治療期間は、第1日にプラセボまたはアセナピン10mg BID投与で開始する。その後、治療は、可変用量(5から10mg BID)のアセナピンまたはプラセボで継続する。対象は、少なくとも7日間(第7日まで)研究用の入院施設内に留まらなければならないが、治験者により臨床的に安定であると見なされれば、その後退院してよい。
【0062】
スクリーニングの後、排除されるべき薬剤のいかなる追加の洗い出し、患者の保持および臨床検査結果の受けとりを考慮に入れるために、対象は7日までの単一盲検プラセボ投与を受けた。
【0063】
洗い出し期間後、資格のある対象は、無作為に可変用量のアセナプチンまたはプラセボ投与に割付けられる。
【0064】
試験薬剤は、活性およびプラセボの迅速溶解性アセナピン錠剤を含む。アセナピンおよびプラセボの迅速溶解性錠剤は、外見上同一であり、二重ダミー様式で投与される。
【0065】
効果は、次の複数の測定の1つまたはそれ以上において観察することができる。
ベースラインからの変異、直前の評価時点の値をその後の値として代用し集計する(LOCF)、3週Y−M評価尺度、応答者および寛解者の百分率Y−M評価尺度、CGI−BPについてのベースラインからの変異、MADRS、PANSS下位尺度(Marder陽性、陰性、思考混乱、敵意/興奮、および不安/鬱症状のスコア)。有効性尺度は全評価時点で分析することができる。
【0066】
曝露期間3週間中、アセナピンは、安全性と許容性に関してプラセボと比較して評価することができる。
【0067】
評価は以下に記載する:
有効性:
・Y−M評価尺度:躁病の症状を評価するための、11項目の臨床医評価の手段。
・CGI−BP:急性エピソードの治療中の、または長期疾患の予防法における、双極性障害の躁病、鬱病および総合的な症状の疾患の重度および先行する位相からの変異を評価するための、7点の臨床医評価の尺度。
・PANSS:精神病性または統合失調性症状を評価するための、30項目の臨床医評価の手段。
・MADRS:鬱病の症状の重度を評価するための、10項目の臨床医評価の尺度。
・安全性を以下により評価する:併用薬の使用、有害事象(AEs)、体重、バイタルサイン(心拍数、血圧および呼吸数)、健康診断、心電図(ECG)および臨床試験所見(血液学、生化学および尿検査)およびEPS評価に用いられる3尺度に関するスコア:Barnes Akathisia評価尺度(BARS)、異常不随意運動尺度(AIMS)およびSimpson Angus評価尺度(SARS)。
【0068】
追跡安全性評価:治験への参加を早期に打ち切るか、または急性型の治験は終了したが延長治験を継続しない対象は、最終治療(EOT)来院の7日後に、何らかの進行中のAEsまたは重篤なAEs(SAEs)に関する経過観察のために連絡を受ける。患者はEOTの30日後に、いずれかの付加的なSAEsについて記録するために連絡を受けることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における双極性障害を治療するための医薬品製剤の製造のための、式I:
【化1】

(式中R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、炭素数1から6のアルコキシ、炭素数1から6のアルキルチオおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1員を表し、およびRは、水素、炭素数1から6のアルキルまたは7から10の炭素原子を有するアラルキルを表す。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくは光学異性体の使用。
【請求項2】
急性躁病、軽躁病、鬱病、急速交代型および自殺思考または自殺傾向からなる群より選択される双極性障害の症状を治療するための医薬品製剤の製造のための、式I
【化2】

(式中R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、炭素数1から6のアルコキシ、炭素数1から6のアルキルチオおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1員を表し、およびRは、水素、炭素数1から6のアルキルまたは7から10の炭素原子を有するアラルキルを表す。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくは光学異性体の使用。
【請求項3】
前記症状が、急性躁病または軽躁病および鬱病からなる群より選択される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記症状が、急速交代型である、請求項2に記載の使用。
【請求項5】
前記症状が、自殺思考または自殺傾向である、請求項2に記載の使用。
【請求項6】
双極性障害に罹患している哺乳動物において、気分を安定化するための、または双極性エピソードへの再発を予防するための医薬品製剤の製造のための、式I
【化3】

(式中R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、炭素数1から6のアルコキシ、炭素数1から6のアルキルチオおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1員を表し、およびRは、水素、炭素数1から6のアルキルまたは7から10の炭素原子を有するアラルキルを表す。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくは光学異性体の使用。
【請求項7】
気分を安定化するための医薬品製剤の製造のための、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
双極性エピソードへの再発を予防するための医薬品製剤の製造のための、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
双極性障害および少なくとも1つの別の共存性のまたは随伴性の疾患、状態または障害を治療するための医薬品製剤の製造のための、式I
【化4】

(式中R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、炭素数1から6のアルコキシ、炭素数1から6のアルキルチオおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1員を表し、およびRは、水素、炭素数1から6のアルキルまたは7から10の炭素原子を有するアラルキルを表す。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくは光学異性体の使用。
【請求項10】
前記疾患、状態または障害が、抑鬱病;メランコリー;疲労;回避的人格障害、境界性人格障害、統合失調型人格障害および強迫性人格障害を含む人格障害;間欠性爆発性障害および器質性人格症候群を含む攻撃的障害;反抗挑戦性障害;非定型循環精神病;運動性精神障害;錯乱性精神病;不安至福精神病;認知症;およびせん妄から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記化合物が、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールである、先の請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記化合物が、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールであり、1日当たりの用量が約0.5mgから約500mgで投与される、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記化合物が、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールであり、前記その医薬品製剤が、舌下、側頬または舌上に投与される、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記化合物を投与してから約96時間以内に、治療が哺乳動物において改善効果をもたらす、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記化合物を投与してから約24から約96時間以内に、治療が哺乳動物において改善効果をもたらす、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
治療を必要とする哺乳動物において双極性障害を治療する方法であって、前記哺乳動物に、式I
【化5】

(式中R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、炭素数1から6のアルコキシ、炭素数1から6のアルキルチオおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1員を表し、およびRは、水素、炭素数1から6のアルキルまたは7から10の炭素原子を有するアラルキルを表す。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくは光学異性体の、薬学的に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項17】
双極性障害の治療において用いるためのキットであって、
A)式I:
【化6】

(式中R、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1から6のアルキル、炭素数1から6のアルコキシ、炭素数1から6のアルキルチオおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される1員を表し、およびRは、水素、炭素数1から6のアルキルまたは7から10の炭素原子を有するアラルキルを表す。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくは光学異性体、
および
B)双極性障害を治療するために、投与を必要とする患者に、式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくは光学異性体を投与するための指示書、
を含むキット。

【公表番号】特表2008−516925(P2008−516925A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536162(P2007−536162)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055149
【国際公開番号】WO2006/040314
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】