説明

反射光学素子および反射光学系

【課題】広範な波長範囲の光に対しても高い反射率を実現でき、光エネルギの大きい光に対して用いても、前述の熱による損傷を受けることがない新規な反射光学素子・反射光学系を実現する。
【解決手段】光束の進行方向を変換する光学素子であって、入射面SIと反射面SRと射出面SOを有するプリズム状であり、入射面SIから入射する光束を反射面SRで全反射させ、反射した光束を射出面SOから射出させて光束の進行方向を変換する機能を持ち、入射面SIと射出面SOの少なくとも一方に、サブ波長構造による反射防止層SWSが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は反射光学素子および反射光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
光学装置には、一般に、光束の進行方向を転換するための反射手段が多用される。反射手段は高い反射率を必要とする。現在、反射手段は「光学材料または金属材料の表面に誘電体多層膜を形成したミラーやプリズム」が主流である。
【0003】
このような反射手段は、レーザ光に対して用いられる場合に以下の如き問題がある。
【0004】
即ち、高反射率を実現しようとすると、誘電体薄膜の膜数を増やす必要があるが、このようにすると、誘電体多層膜を構成する誘電体薄膜の界面数が増え、多層膜の膜厚が増えるほど「レーザ光の膜内吸収」が増大する。
【0005】
膜内吸収が増大すると、吸収されたレーザ光の光エネルギが熱に変換されて膜内温度を上昇させ、誘電体多層膜に熱ダメージによる損傷を与えやすくなり、反射手段としての寿命を劣化させ易い。
【0006】
また、誘電体多層膜は、使用波長に応じて設計する必要があるが、分光透過率が「十分に高い波長領域」を広くするのが困難であり、反射部材としての汎用性に欠ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、広範な波長範囲の光に対しても高い反射率を実現でき、ハイパワー・レーザ等の「光エネルギの大きい光」に対して用いても、前述の熱ダメージによる損傷を受けることがない新規な反射光学素子・反射光学系の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の反射光学素子は「光束の進行方向を変換する光学素子」であって、以下の如き特徴を有する。
【0009】
即ち、反射光学素子は、入射面と、1以上の反射面と、射出面とを有するプリズム状である。即ち、構造的には、1以上の反射面と、入射面、射出面を有する。
【0010】
機能的には、入射面から入射する光束を、1以上の反射面で全反射させ、反射した光束を射出面から射出させて光束の進行方向を変換する機能を持つ。
【0011】
そして、入射面と射出面とのうち、少なくとも入射面に「サブ波長構造による反射防止層」が形成されている(請求項1)。
【0012】
上記反射面による「全反射」は「スネルの法則による全反射」である。
【0013】
前記「反射面」は、1以上であるから、反射面は1面であることも「複数面」であることもでき、反射面が複数面である場合には、入射光束を順次に全反射する(請求項2)。
【0014】
請求項2記載の反射光学素子における、1以上の反射面、入射面、射出面のうちの1面以上が、パワーを有することができる(請求項3)。
【0015】
この場合、1以上の入射面、反射面、射出面のうちの2面以上がパワーを有し、入射面に入射する平行光束を「入射平行光束と光束径の異なる平行光束」として射出面から射出させるように、上記2面以上の面のパワーが設定されていることができる(請求項4)。
【0016】
この場合、反射光学素子は「ビームエキスパンダ」としての機能を有する。ここに言う「ビームエキスパンダ」は、射出平行光束の光束径が、入射平行光束の光束径よりも大きくなる「光束径拡大機能」を持つこともできるし、逆に、射出平行光束の光束径が、入射平行光束の光束径よりも小さくなる「光束径縮小機能」を持つこともできる。
【0017】
請求項1〜3の任意の1に記載の反射光学素子は「入射光束を発散もしくは集束させて、射出させる機能を有する」ことができる(請求項5)。
【0018】
このような反射光学素子は、入射光束の光束状態(平行光束、発散光束、集束光束)を変換して射出光束とすることができる。例えば、入射する平行光束を発散性もしくは収束性の光束に変換できるし、発散光束もしくは集束光束として入射する光束を、平行光束や「入射光束とは異なる集束光束や発散光束」に変換できる。
【0019】
例えば、平行光束を集光光束(発散光束)に変換する場合であれば、反射光学素子を正レンズ(負レンズ)の代用として用いることができる。
【0020】
この発明の反射光学系は、請求項5記載の反射光学素子と、レンズ素子とを組合せた構成のものである(請求項6)。レンズ素子は「請求項5記載の反射光学素子の、射出面から射出する発散性もしくは収束性の光束の、光束形態を変化させるレンズ」である。レンズ素子は1枚もしくは複数枚のレンズにより構成できる。
【0021】
請求項6の反射光学系は、反射光学素子が「射出面から発散性の光束」を射出させる機能を持ち、レンズ素子が「正のパワーを持つもの」であることができる。
この場合、レンズ素子の正のパワーによっては、例えば、射出光束を平行光束とすることができる。
【0022】
請求項6の反射光学系はまた、反射光学素子が「射出面から収束性の光束」を射出させる機能を持ち、レンズ素子が「負のパワーを持つもの」であることもできる。
この場合、レンズ素子の負のパワーによっては、例えば、射出光束を平行光束とすることができる。
【0023】
反射光学素子が「射出面から収束性の光束」を射出させる機能を持つ場合には、射出光束が収束性であるので、射出面に光のエネルギが集中する場合が考えられ、従って、反射光学素子の射出面にサブ波長構造の反射防止膜を設けることが好ましい(請求項7)。
【0024】
請求項8記載の反射光学素子は「光束の進行方向を変換する光学素子」であって、以下の如き特徴を有する。
即ち、構造的には、1以上の反射面と、入射面と、射出面を有するプリズム状である。
【0025】
機能的には、入射面から入射する光束を、1以上の反射面で全反射させ、反射した光束を射出面から射出させて光束の進行方向を変換する機能を持つ。
【0026】
そして、1以上の反射面、入射面、反射面のうちの2面以上がパワーを持ち、これら2面以上の「パワーを持つ面」のパワーが、入射平行光束の光束径を変換して平行光束を射出させるように設定されている。
【0027】
反射面による「全反射」は「スネルの法則による全反射」である。
【0028】
前記「反射面」は、1以上であるから、反射面は1面であることも「複数面」であることもでき、反射面が複数面である場合には、入射光束を順次に全反射する。
【0029】
請求項8記載の反射光学素子は、前記請求項4の反射光学素子と同様に「ビームエキスパンダ」としての機能を有し、射出平行光束の光束径は、入射平行光束の光束径よりも大きく、あるいは小さくなる。
【0030】
請求項8記載の反射光学素子は「反射面が平面で、入射面、射出面が共に正のパワーを有する」ことができ(請求項9)、また「入射面が平面で、反射面が負のパワーを持ち、射出面が正のパワーを持つ」こともでき(請求項10)、「射出面が平面で、入射面が正のパワーを持ち、反射面が負のパワーを持つ」こともできる(請求項11)。
【0031】
請求項8〜11の任意の1に記載の反射光学素子は「入射面もしくは射出面の、少なくとも一方に、反射防止層が形成されている」ことができる(請求項12)。
【0032】
この場合において、入射面と射出面のうち、少なくとも「光束径の小さい平行光束が通過する方の面」に、サブ波長構造による反射防止層が形成されていることができる(請求項13)。
【0033】
説明を補足する。
「サブ波長構造」は、波長よりも周期の短い微細周期構造(微細凹凸構造)として知られており、微細な凹凸の形状に応じて「入射光から見た微細周期構造の見かけ上の屈折率(以下、「有効屈折率」と言う。)」が変化する。
そこで、光学材料による基板の表面に「例えば、断面三角形状で、1次元もしくは2次元の微細周期構造を形成」すると、微細周期構造の空間周期は、凹凸構造の単位をなす三角形状の頂部から底部へ向かって連続的に変化するので、三角形状の高さ方向に「有効屈折率が連続的に変化する」ようにできる。
【0034】
このようにすると、微細周期構造の部分において「有効屈折率の不連続な階段状変化」が発生しないので「不連続な屈折率変化による反射」が防止されて、良好な反射防止機能を実現できる。
【0035】
このような反射防止機能を提案したものとしては、特許文献1、2記載のものが知られている。「反射防止機能を実現する微細周期構造」の凹凸構造の、単位をなす形状は、有効屈折率が凸部から凹部に向かって連続的に変化するような形状であれば良く、種々の形状が可能であり、上記「断面三角形状」はその1例である。
【0036】
サブ波長構造による反射防止層は、サブ波長構造をなす凹凸を有する「層状の構造」を言うものである。
【0037】
請求項1に記載の反射光学素子は、プリズム形状の「少なくとも入射面」に「サブ波長構造による反射防止層」が形成されるが、サブ波長構造による反射防止層は、微細周期構造の凹凸の周期が波長より小さいことにより「反射防止機能」を発現するものであるから、「微細周期構造の周期より長い波長の光」に対しては、波長を問わず反射防止効果を発現する。
【0038】
従って、請求項1記載の反射光学素子は「広い波長領域の光」に対して使用可能であるという汎用性を備えている。
【0039】
「誘電体多層膜」の場合には、前述の如く、積層される誘電体薄膜の間に界面が存在し、膜内吸収された光エネルギが、熱エネルギに変換されて膜温度を昇温させ「熱ダメージによる損傷」が生じる。
【0040】
これに対し、サブ波長構造による反射防止層はプリズムと同一材料であり、光エネルギを吸収しないので「熱ダメージ」を受けない。
【0041】
請求項3の反射光学素子につき説明を補足すると、請求項3の反射光学素子では、1面以上の反射面のうちの少なくとも1面が「パワーを有する曲面」である。従って、反射面が1面である場合には、この反射面は「パワーを持つ曲面」である。反射面が2以上ある場合には、そのうちの一部の反射面が「パワーを持つ曲面」で、残りの反射面が平面であっても良いし、全ての反射面が「パワーを持つ曲面」であることもできる。
【0042】
「パワーを持つ曲面」による反射面が複数ある場合、各反射面のパワーは「共に正のパワー」でも「共に負のパワー」でも良く、「一部の反射面が正のパワーで、残りの反射面が負のパワー」であっても良い。
請求項4記載の反射光学素子につき説明を補足すると、この反射光学素子ではプリズムの反射面(1面または複数面)がパワーを持つとともに、入射面および射出面の少なくとも一方にパワーを付与し「入射面に入射する平行光束」を「入射光束と光束径の異なる平行光束」として射出面から射出させる。
【0043】
即ち、この反射光学系では、平行光束は、1以上の反射面のパワーと「入射面および/または射出面」のパワーと、により「光束径の変換」が行なわれる。
【0044】
請求項5記載の反射光学素子について説明を補足すると、請求項5記載の反射光学系は「入射光束を発散もしくは集束させて、射出させる機能」を持つが、かかる機能は、1面以上の反射面、入射面、射出面のうちの1面以上に付与されたパワーにより実現できるほか、例えば、フレネルレンズや回折格子を利用できる。
【0045】
フレネルレンズや回折格子の「周期」は、サブ波長構造の周期に比して大きく、従って、同一領域に「これらを同時に形成する」ことができる。また、レンズの厚さが小さい場合であれば、入射面や射出面の面形状としてレンズ面を形成し、このレンズ面上にサブ波長構造による反射防止層を形成することもできる。
【0046】
請求項6以下の反射光学系について説明を補足すると、この反射光学系は、請求項5に記載の反射光学素子、即ち「入射光束を発散もしくは集束させて、射出させる機能」を有する反射光学素子と、レンズ素子を有する構成であり、レンズ素子は「反射光学素子の射出面から射出する、発散性もしくは収束性の光束の、光束形態を変化させる機能」を持ち、上述の如く1枚または複数枚のレンズで構成できる。
【0047】
レンズ素子は、通常のレンズのほか、フレネルレンズや回折格子、屈折率分布レンズ等であることができる。そして、これらレンズ素子の各面にも「サブ波長構造による反射防止層」を形成することが可能である。
【0048】
請求項8以下に記載の反射光学素子について説明を補足すると、請求項8以下に記載の反射光学素子は、入射平行光束と射出平行光束の光束径を変換する機能をもつ。
【0049】
請求項1〜13に記載された反射光学素子は、何れも形態としてはプリズム状であるが、「プリズムの形態」としては、直角プリズムやドーブプリズム、コーナーキューブ、ウエッジプリズム、ペンタプリズム、ルーフプリズム等が可能である。
【0050】
上記反射光学素子における入射面や射出面、あるいは反射面に付与されるパワーは、軸対称にかぎらず「互いに直交する2方向に異なるパワー」が付与されても良い。即ち、パワーを付与された入射面等は、アナモフィックな光学作用を持つことができる。
【0051】
このようにした場合、ビームエキスパンダとして用いられる場合、光束径のみならず、光束断面形状の変換も可能である。
【0052】
上に説明した反射光学素子あるいは反射光学系は「入射側と逆側を逆」にして用いることができる。例えば、請求項4記載の反射光学素子のように、ビームエキスパンダとしての機能を持つものである場合、「光束径の小さい平行光束」を入射させて「光束径の大きい平行光束」を射出させることもできるが、光の進行方向の向きを逆転させて「光束径の大きい平行光束」を入射させて「光束径の小さい平行光束」を射出させることもできる。
【0053】
このような場合、前者の場合における入射面は、後者の場合における射出面である。光エネルギ密度は「光束径の小さい光束」において大きくなり、反射防止膜への影響も大きいので、請求項1において「サブ波長構造による反射防止膜」を形成するのは「光束径の小さい平行光束が通過する方の面」が好ましく、この場合において「サブ波長構造による反射面」が形成される側を「入射面」とする。
【0054】
逆に、光束径の大きい光束(平行光束、発散光束)が通過する面では、光エネルギ密度が小さい場合が多いので、このような光束が通過する面には「誘電体多層膜」を形成しても、光エネルギの集中による「熱ダメージ」による損傷を回避することができる。
即ち、請求項1〜13における反射光学素子は、入射面・射出面のうち「光束径の大きくなる側の面」に、誘電体多層膜による反射防止膜を形成することができる。
【0055】
勿論、このように「誘電体多層膜による反射防止膜」を形成する場合には、誘電体多層膜による反射防止膜は「使用波長に応じて膜設計」する必要があり、広い波長領域に対する汎用性を実現するには、誘電体多層膜の反射防止効果を広い波長領域で実現できるように膜設計を行なう必要がある。
反射防止層は、入射面・射出面ともに形成することにより、高い反射防止効果を実現し、反射光学素子・反射光学系の反射効率を十分に大きく高めることができるが、入射面・射出面の一方にのみ形成しても、入射面もしくは射出面における反射を十分に小さくすることができ、反射光学素子・反射光学系としての反射効率を有効に高めることができる。
【発明の効果】
【0056】
以上に説明したように、この発明の反射光学素子によれば、新規な反射光学素子および反射光学系を実現できる。この発明の反射光学素子・反射光学系は、ハイパワーレーザのような「光エネルギの大きい光束」に対して用いても、熱ダメージを受けない。また、広い波長範囲の光に対して用いることができるので、汎用性に優れている。反射面による反射は「全反射」として行なわれるため、原理的に光損失の無い反射を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】反射光学素子の1例を説明するための図である。
【図2】反射防止膜と反射防止層との分光透過率を比較し、熱によるダメージの程度を説明するための図である。
【図3】反射光学素子の形態例を3例説明するための図である。
【図4】反射光学系の形態例を3例説明するための図である。
【図5】反射面が入射光束を全反射する条件を説明するための図である。
【図6】実施例1〜3を説明するための図である。
【図7】実施例4、5を説明するための図である。
【図8】反射光学素子の別形態例を2例説明するための図である。
【図9】反射光学素子の他の形態例を2例説明するための図である。
【図10】反射光学系の形態例を2例説明するための図である。
【図11】反射光学素子の他の形態例を説明するための図である。
【図12】反射光学素子のさらに他の形態例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、実施の形態を説明する。
【0059】
図8以下に、反射光学素子と、反射光学系の構成の例を数例説明する。
【0060】
なお、繁雑を避けるために、図9〜図12において、符号を共通化し、反射光学素子のプリズムを符号「p」により、その入射面を符号「p1」により、射出面を符号「p2」により、それぞれ示す。
【0061】
さらに、反射面を符号「sr」により示し、入射面p1に設けられる反射防止層を符号「s1」により、射出面p2に設けられる反射防止膜を符号「s2」により示す。また、入射光束を符号「LI」により、また、射出光束を符号「LO」により示す。
【0062】
図8は、反射光学素子の構成例を2例示す。
図8に示す2例は、請求項1記載の反射光学素子の例である。
【0063】
図8(a)において、プリズムpは「直角プリズム」であり、入射光束LIを入射面p1に垂直に入射させると、光束は反射面srで全反射され、射出面p2から射出光束LOとなって射出する。
【0064】
入射面p1には反射防止膜s1が形成されており、反射防止膜s1は「サブ波長構造による反射防止膜」である。射出面p2には、反射防止膜は形成されていない。
【0065】
このような反射光学素子は、入射光束LIが「光束径の小さい平行光束」であるような場合、あるいは、入射光束LIが集束性で、入射面s1の近傍で集光するような場合に有効である。これらの場合は、入射光束LIの光エネルギ密度が高いが、反射防止膜s1は「サブ波長構造によるもの」であるので、熱ダメージを受けることがない。
【0066】
図8(b)に示す例では、図8(a)に示すものに加えて、反射防止膜s2が、射出面p2に形成されている。
この場合、射出面p2から射出する光束が発散性で、射出面s2における光エネルギ密度が小さく、反射防止膜s2が熱ダメージを受ける恐れが無い場合には、反射防止膜s2を「誘電体多層膜」とすることができる。
【0067】
これとは逆に、入射面s1から光束径が大きくて光エネルギ密度が小さい集束光が入射し、射出面s2の近傍では集束により光エネルギ密度が大きくなるような場合であれば、反射防止膜s1を「誘電体多層膜」とし、反射防止膜s2を「サブ波長構造によるもの」とすることができる。
【0068】
勿論、反射防止膜s1、s2を共に「サブ波長構造によるもの」とすることができ、このようにすれば、反射光学素子は、入射光束LI、射出光束LOの光束径体に拘わらず、反射による光損失を軽減できる。
【0069】
図9は、反射光学素子の別の構成例を2例示す。
図9に示す2例は、請求項5記載の反射光学素子の例である。
【0070】
図9(a)において、プリズムpは「入射面p1と射出面p2が直交し、反射面srが凹面で「負のパワー」を有する例である。入射面p1には反射防止層s1が設けられ、射出面p2には反射防止層s2が設けられている。
【0071】
入射光束LIを入射面p1に垂直に入射させると、光束は反射面srで全反射され、射出面p2から射出光束LOとなって射出するが、その際、反射面srの負のパワーの影響を受ける。
【0072】
例えば、入射光束LIが、光束径の小さい「光エネルギ密度の大きい光束」である場合には、反射防止膜s1を「サブ波長構造のもの」とすることにより、入射光束LIによる熱ダメージを防止できる。
【0073】
射出光束LOは、反射面srの負のパワーを受けるので、例えば、図の如くに発散性の光束となる。このようにして、射出面s2から射出する光束が、発散性となって、射出面s2における光エネルギ密度が小さくなる場合は、反射防止層s2は「誘電体多層膜」とすることができる。
【0074】
勿論、反射防止膜s1、s2を共に「サブ波長構造によるもの」とすることができ、このようにすれば、反射光学素子は、入射光束LI、射出光束LOの光束径体に拘わらず、反射による光損失を軽減できる。
【0075】
図9(b)において、プリズムpは「入射面p1と射出面p2が直交し、反射面srが凹面で「正のパワー」を有する例である。入射面p1には反射防止層s1が設けられ、射出面p2には反射防止層s2が設けられている。
【0076】
入射光束LIを入射面p1に垂直に入射させると、光束は反射面srで全反射され、射出面p2から射出光束LOとなって射出するが、その際、反射面srの負のパワーの影響を受ける。
【0077】
例えば、図の例のように、入射光束LIが、光束径の大きい「光エネルギ密度の大きい光束」である場合には、反射防止膜s1を「誘電体多層膜」としても、入射光束LIによる熱ダメージは受けない。
【0078】
射出光束LOは、反射面srの正のパワーを受けるので、例えば、図の如くに集束性の光束となる。このようにして、射出面s2から射出する光束が、集束性となって、射出面s2における光エネルギ密度が大きくなる場合は、反射防止層s2を「サブ波長構造によるもの」とし、熱ダメージを受けないようにする。
【0079】
勿論、反射防止膜s1、s2を共に「サブ波長構造によるもの」とすることができ、このようにすれば、反射光学素子は、入射光束LI、射出光束LOの光束径体に拘わらず、反射による光損失を軽減できる。
【0080】
図10には、反射光学系の構成例を2例示す。
【0081】
図10(a)に示すのは、請求項6記載の反射光学系の構成の1例であり、(b)に示すのは、請求項6記載の反射光学系の構成の他の1例である。
【0082】
図10(a)において、反射光学素子は、図9(a)に示すものと同一であり、プリズムpは「入射面p1と射出面p2が直交し、反射面srが凹面で「負のパワー」を有する例である。入射面p1には反射防止層s1が設けられ、射出面p2には反射防止層s2が設けられている。
【0083】
入射光束LIを入射面p1に垂直に入射させると、光束は反射面srで全反射され、射出面p2から射出光束LOとなって射出するが、その際、反射面srの負のパワーの影響を受ける。
【0084】
例えば、入射光束LIが、光束径の小さい「光エネルギ密度の大きい光束」である場合には、反射防止膜s1を「サブ波長構造のもの」とすることにより、入射光束LIによる熱ダメージを防止できる。
【0085】
射出光束LOは、反射面srの負のパワーを受け、図の如く発散性の光束となる。このようにして、射出面s2から射出する光束が発散性となって、射出面s2における光エネルギ密度が小さくなる場合は、反射防止層s2は「誘電体多層膜」とすることができる。
【0086】
勿論、反射防止膜s1、s2を共に「サブ波長構造によるもの」とすることができ、このようにすれば、反射光学素子は、入射光束LIの光束径体に拘わらず、反射による光損失を軽減できる。
【0087】
このように発散しつつ射出面p2から射出する射出光束は、正のパワーを持つレンズ素子lpにより平行光束化された射出光束LOとなる。
【0088】
この例では、入射光束LIは平行光束、射出光束LOも平行光束であり、反射光学系としては「ビームエキスパンダ」として機能する。
【0089】
図10(b)において、反射光学素子は、図9(b)に示すものと同一であり、プリズムpは「入射面p1と射出面p2が直交し、反射面srが凸面で「正のパワー」を有する例である。入射面p1には反射防止層s1が設けられ、射出面p2には反射防止層s2が設けられている。
【0090】
入射光束LIを入射面p1に垂直に入射させると、光束は反射面srで全反射され、射出面p2から射出光束LOとなって射出するが、その際、反射面srの正のパワーの影響を受ける。
【0091】
例えば、入射光束LIが、光束径の大きい「光エネルギ密度の大きい光束」である場合には、反射防止膜s1を「誘電体多層膜」としても、入射光束LIによる熱ダメージを受けない。
【0092】
反射光学素子からの射出光束は、反射面srの正のパワーを受け、図の如くに集束性の光束となる。このようにして、射出面s2から射出する光束が集束性となって、射出面s2における光エネルギ密度が大きくなる場合は、反射防止層s2を「サブ波長構造によるもの」とする。
【0093】
勿論、反射防止膜s1、s2を共に「サブ波長構造によるもの」とすることができ、このようにすれば、反射光学素子は、入射光束LIの光束径体に拘わらず、反射による光損失を軽減できる。
【0094】
このように集束しつつ射出面p2から射出する射出光束は、負のパワーを持つレンズ素子lnにより平行光束化された射出光束LOとなる。
【0095】
この例でも、入射光束LIは平行光束、射出光束LOも平行光束であり、反射光学系としては「ビームエキスパンダ」として機能する。
【0096】
図11は、反射光学素子の別の構成例を示す。
【0097】
図11の構成例は、請求項9記載の反射光学素子の例である。
【0098】
図11において、プリズムpは「反射面srが平面であり、入射面p1、射出面p2が共に正のパワーを有する」ものである。プリズムpとしては、入射光束LIの方向を直角に偏向させて射出光束LOとして射出させる。入射面p1には反射防止層s1が、射出面p2には反射防止層s2が形成されている。
【0099】
入射面p1、射出面p2のパワーは、図示の如く、平行光束である入射光束LIの光束径を拡大させた平行光束である射出光束LOを射出させるように定められている。
【0100】
平行光束状態の入射光束LIを入射面p1に垂直に入射させると、光束は平面である反射面srで全反射され、射出面p2から射出光束LOとなって射出するが、その際、入射面s1、射出面s2の正のパワーの影響を受ける。
【0101】
即ち、入射光束LIは入射面p1の正のパワーを受けて集束光束となり、反射面srで反射され、発散光束となって射出面p2に入射し、射出面s2の正のパワーにより発散性を抑制され、射出光束LOは平行光束となって射出する。
【0102】
図11の構成例では、射出光束LOは、入射光束LIよりも光束径が拡大されている。
【0103】
従って、入射光束LIの光束径が十分に大きく、入射面s1における光エネルギ密度が小さければ、反射防止層s1、s2ともに「誘電体多層膜」とすることができる。
【0104】
勿論、反射防止膜s1、s2を共に「サブ波長構造によるもの」とすることができ、このようにすれば、反射光学素子は、入射光束LI、射出光束LOの光束径体に拘わらず、反射による光損失を軽減できる。
【0105】
図12は、反射光学素子の他の構成例を示す。
【0106】
図12の構成例は、請求項10記載の反射光学素子の例である。
【0107】
即ち、反射光学素子は、入射面p1が平面で、反射面srが負のパワーを持ち、射出面p2が正のパワーを持つ。
【0108】
入射面p1には反射防止膜s1、射出面p2には反射防止膜s2が形成されている。
【0109】
入射面p1、射出面s2のパワーは、図示の如く、平行光束である入射光束LIの光束径を拡大させた平行光束である射出光束LOを射出させるように定められている。
【0110】
平行光束状態の入射光束LIを入射面p1に垂直に入射させると、光束は凹面である反射面srで全反射され、射出面p2から射出光束LOとなって射出するが、その際、反射面sr、射出面s2の正のパワーの影響を受ける。
【0111】
即ち、入射光束LIは反射面srの負のパワーを受けて発散光束となり、発散しつつ射出面p2に入射し、射出面s2の正のパワーにより発散性を抑制され、射出光束LOは平行光束となって射出する。
【0112】
図12の構成例では、射出光束LOは、入射光束LIよりも光束径が拡大されている。
【0113】
従って、入射光束LIの光束径が十分に大きく、入射面s1における光エネルギ密度が小さければ、反射防止層s1、s2ともに「誘電体多層膜」とすることができる。
【0114】
図12の例では、入射光束LIの光束径が比較的小さい場合を想定しており、入射面p1における光エネルギ密度が大きいことを鑑み、反射防止層s1を「サブ波長構造によるもの」とし、光束径の大きい射出光束LOでは光エネルギ密度が減少していることを鑑みて、反射防止層s2は「誘電体多層膜」としている。
【0115】
勿論、反射防止膜s1、s2を共に「サブ波長構造によるもの」とすることができ、このようにすれば、反射光学素子は、入射光束LI、射出光束LOの光束径体に拘わらず、反射による光損失を軽減できる。
【0116】
上に例示した形態例以外にも、請求項8記載の反射光学素子の形態としては、射出面が平面、入射面が正のパワーを持ち、反射面が負のパワーを持つもの等が可能である。
【0117】
反射防止層は、入射面もしくは射出面の、少なくとも一方に形成されていることができ、上記の如く、入射面と射出面のうち、少なくとも「光束径の小さい平行光束」が通過する方の面の反射防止膜は、サブ波長構造による反射防止層であることが好ましい。
【0118】
以下、具体例を説明する。
【0119】
図1は、反射光学素子の1例である「反射プリズム」を説明するための図である。
【0120】
図1(a)において、反射プリズムPは「直角プリズム」であって、斜面が反射面SRとなっており、反射面SRを挟む2面が、入射面S1、射出面SOとなっている。入射光束LIは入射面SIから入射し、反射面SRで反射され、射出面SOから射出する。
【0121】
図に示す例では、プリズムの入射面SIをなす部分および射出面SOをなす部分は、反射防止面板PI、POをプリズム本体に貼着されている。
反射防止面板PI、POは同一構造のものであり、図1(b)に、反射防止面板PIを例にとって説明図的に示すように、薄い透明平行平板の片面にサブ波長構造による微細周期構造SWSが「反射防止層」として形成されている。
【0122】
反射防止面板PI、POは、プリズム本体と同一材料で構成され、従って、その屈折率はプリズム本体と同一である。そしてこれら反射防止面板PI、POは、微細周期構造SWSを形成された面が外向きとなるようにして、プリズム面に図の如く貼着される。
【0123】
この「貼着」は、「水・加熱接合」やフッ酸接合、陽極接合」などの「接着剤を用いない接合方法」で行なわれており、従って、反射防止面板PI、POとプリズム本体との間には「屈折率が不連続に変化する界面」は存在しない。
【0124】
1例として、石英ガラスによりプリズム本体と反射防止面板を形成し、反射防止面板の片面に微細周期構造として、断面三角形形状の1次元配列を、配列周期を150nm、三角形形状の高さを1200nmとして形成して反射防止層とした。
【0125】
このときの分光透過率を図2(a)に示す。同図において、符号2−1で示す曲線は、市販の誘電体多層膜による反射防止膜の場合の分光透過率で、波長:300nmより大きく700nm以下の光に対しては良好な反射防止機能を示している。
符号2−2で示す曲線は、上記微細凹凸構造による反射防止層の分光透過率であり、波長:250nmより大きい広範な波長領域で良好な反射防止機能を果たしている。
【0126】
上記「誘電体多層膜による反射防止膜」にハイパワーレーザのビームを照射すると、図2(b)の左図のように、ビームを照射された部分で「熱ダメージにより反射防止膜が破壊され」てしまう(図の中央部)。
【0127】
図2(b)の右図は、微細周期構造による反射防止層に、ハイパワーレーザのビームを照射した場合であり、ハイパワーレーザのビームに起因する「熱ダメージによる損傷」は全く生じていない。
【0128】
上に示した例では、プリズム本体に反射防止面板を貼着する場合を用いたが、勿論、プリズム本体の入射面・反射面に直接に「微細周期構造による反射防止層」を形成することができる。微細周期構造の形成は、反射防止面板PI、POの表面に形成する場合と同様である。
【0129】
反射防止面板をプリズム本体に貼着する場合は、微細周期構造の形成を、プリズム本体と拘わりなく実行できるので、複数種のプリズム本体に対して貼着が可能となり、多様な反射光学素子の製造が容易となる。逆に、プリズム本体に直接に微細周期構造による反射防止層を形成する場合には、上記接合の工程を省略でき、製造工程を簡略化できる。
【0130】
図3は、請求項3記載の反射光学素子の実施の形態を3例示している。
【0131】
繁雑を避けるため、これらの例において符号を共通化する。即ち、図1におけると同じく、プリズム状の反射光学素子を符号Pで表し、反射面をSR、入射面をSI、射出面をSO、入射光をLI、射出光をLOで表す。また、入射面SIに形成された微細周期構造をSWSI、射出面SOに形成された微細周期構造による反射防止層をSWSOで表す。
【0132】
図3に示す3種の反射光学素子は何れも「ビームエキスパンダ」として用いられる。
【0133】
図3(a)に示す反射光学素子は、平行光束として入射する入射光束LIの光束径を拡大して平行光束として射出させる。即ち、射出光SOは「光束径を拡大された平行光束」である。入射光束LIは、反射面SRによる反射により進行方向を90度偏向され、光束径を拡大されて射出光束LOとなって射出する。
【0134】
図3(b)の反射光学素子は、入射光束LIの向きを180度偏向させるものである。この反射光学素子Pでは、入射面SIと射出面SOとは「面一」即ち同一面であり、反射面SRは、2面の反射面SR1、SR2で構成されている。
【0135】
入射光束LIは、平行光束として入射面SIから入射するが、その際、微細周期構造SWSIにより反射が防止される。プリズム内に入射した光束は、反射面SR1、SR2により順次に「スネルの法則による全反射」で反射され、進行方向を180度偏向され、射出面SOから射出する。
【0136】
反射面SR1、SR2は凹面であるので、入射光は反射面SR1で全反射されて収束光となり、さらに反射面SR2で反射される。図に示した例では、反射面SR2で反射された光束は「プリズム内で一旦集光したのち、発散」しつつ射出面SOに入射し、微細周期構造SWSOの反射防止機能で「高い透過率」をもって射出する。
【0137】
その際、微細周期構造による反射防止層SWSOの正のパワーにより、実質的な平行光束(図の例では、入射光よりも光束径を拡大されている。)に戻される。
【0138】
図3(c)に示す反射光学素子は、図3(a)に示したのと同様に、入射光束LIは進行方向を90度偏向されるように反射される。
【0139】
この例では、反射面SRが凹面であり、入射面SIから平行光束として入射する入射光束LIは、反射面SRにより反射されて射出面SOに向かう。反射面SRは1面であるが凹面であるので、反射面SRに反射された光束は収束光束となる。
この例の場合も、反射面SRで反射された収束光は、プリズム内で一度集光し、発散光束となって射出面SOに入射し、微細周期構造による反射防止層SWSOの反射防止機能の効果で「高い透過率」をもって射出し、その際に、反射防止層SWSOの正のパワーにより「実質的な平行光束(図の例では、入射光よりも光束径を拡大されている。)」に戻される。
【0140】
図3(b)、(c)に示す例では、反射面SRの負のパワーの大きさによっては、射出光束LOの光束径が入射光の光束径より小さくなる場合もある。
即ち、反射面SRにより全反射された光束が「収束性」を保ったまま、射出面SRに入射するよう場場合には、微細周期構造による反射防止層SWSOに「負のパワー」を与えておくことにより、入射光の光束径よりも小径の平行光束として射出光束LOを射出させることができる。
【0141】
このように、図3に即して上に説明した3例の反射光学素子は何れも、入射光の光束径を変換するビームエキスパンダとしての機能を持ち、反射面SRにより反射された光束は「発散光」として射出面SOに入射し、反射防止層SWSOの作用により「平行光束」に戻されるのであるから、反射防止層SWSOは「正のパワー」を持つ必要がある。
【0142】
これに対し、入射面SIの反射防止層SWSIは「反射防止機能」のみでよい。
【0143】
図3(d)は、入射面SIに形成された反射防止層SWSIを説明するための図であり、上の図は「平面図」、下の図は「断面図」である。反射防止層SWSIを構成する微細周期構造は「微細な断面三角形状(図2(d)下図)の1次元配列(図2(d)上図)」で形成されている。
【0144】
図3(e)は、射出面SOに形成された反射防止層SWSOを説明するための図であり、上の図は「平面図」、下の図は「部分拡大断面図」である。
【0145】
反射防止層SWSOは「正のパワー」を実現できるよう、図3(e)上図に示すように「同心円状の凸レンズ面によるフレネルレンズ」が形成されている。そして、部分拡大図を示す下図のように、フレネルレンズ面とレンズ面間部分とに、微細な三角形状の断面を持つ「サブ波長構造による微細周期構造」が同心円状に「びっしり」と形成されて、反射防止機能を実現している。
【0146】
なお、フレネルレンズのパワーを負とすれば「負のパワーと反射防止機能」を実現できることは勿論である。
【0147】
反射防止層をなす微細周期構造に、このような「パワーを持つ微細凹凸構造」を持たせることができるが、上に説明した図1の反射光学素子Pにおいて、入射面SIに形成される微細周期構造に「負のパワー」を持たせ、射出面SOに形成される微細周期構造に「正のパワー(上記負のパワーを相殺する正のパワー)」を持たせると、入射光束LIの光束径を拡大した平行光束として射出光束LOを取り出すようにすることができる。これは請求項4の反射光学素子の1例である。
【0148】
以下、請求項5以下の反射光学系の実施の形態を、図4を参照して3種説明する。なお、繁雑を避けるため、混同の恐れがないと思われるものについては、図1、図3におけると同一の符号を付する。
【0149】
図4(a)に示す実施の形態は、請求項5、6の反射光学系の実施の形態例を説明図的に示している。
【0150】
符号P1で示す反射光学素子は、形状的には、図3(a)に示す反射光学素子と似通っている。反射光学素子P1は、入射面SI、射出面SO、反射面SRを有するプリズムの、入射面SI、射出面SOに、反射防止層SWSが「サブ波長構造による微細周期構造」としてそれぞれ形成されている。反射防止層SWSは「反射防止機能のみ」を持ち、パワーを持たない。
【0151】
反射光学素子P1の、図における上方には、レンズ素子LNPが配備されている。
【0152】
入射光束LIは、平行光束であって、入射面SIからプリズム内に入射する。このとき、反射防止層SWSによる反射防止機能により「反射」が有効に抑制される。プリズム内に入射した光束は反射面SRにより全反射され、反射面SRの有する負のパワーにより発散性の光束となって、射出面SOから射出する。
【0153】
射出面SOに形成された反射防止層SWSは「パワー」を持たないので、射出光は発散光束として射出し、レンズ素子LNPに入射する。レンズ素子LNPは、その光軸を、射出光の主光線(反射面SRにより、入射光束LIと直交する方向に反射される光線)と平行にして、反射光学素子P1に対し所定の位置関係に配置され、正のパワーを有し、射出面SO側から入射してくる発散光束の発散性を抑制し、平行光束に変換する。
【0154】
このようにして、レンズ素子LNPから射出する射出光束LOは、入射光束LIの光束径を拡大した平行光束となる。
【0155】
図4(b)、(c)に示す実施の形態は、請求項5の反射光学系の実施の形態例を2例、説明図的に示している。
【0156】
図4(b)において、符号P2Aで示す反射光学素子は、形状的には、図3(c)に示す反射光学素子と似通っている。反射光学素子P2Bは、入射面SI、射出面SO、反射面SRを有するプリズムの、入射面SI、射出面SOに、微細周期構造による反射防止層SWSがそれぞれ形成されている。反射防止層SWSは「反射防止機能のみ」を持ち、パワーを持たない。
【0157】
反射光学素子P2Bの、図における上方には、レンズ素子LNN2が配備されている。
【0158】
入射光束LIは平行光束であって、入射面SIからプリズム内に入射する。このとき、反射防止層SWSによる反射防止機能により「反射」が有効に抑制される。プリズム内に入射した光束は反射面SRにより全反射され、反射面SRの有する正のパワーにより収束性の光束となって、射出面SOから射出する。
即ち、反射光学素子P2Bの射出面SOからは「収束性の光束」が射出する。
【0159】
射出面SOに形成された反射防止層SWSは「パワー」を持たないので、射出光は収束光束としてレンズ素子LNN2に入射する。レンズ素子LNN2は、その光軸を、射出光の主光線(反射面SRにより、入射光束LIと直交する方向に反射される光線)と平行にして、反射光学素子P2Bに対し所定の位置関係に配置され、負のパワーを有し、射出面SO側から入射してくる収束光束の収束性を抑制し、平行光束に変換する。
【0160】
このようにして、レンズ素子LNN2から射出する射出光束LOは、入射光束LIの光束径を縮小した平行光束となる。
【0161】
図4(c)に示す形態例は、図4(b)に示す形態例の変形例であり、この例では、負のパワーを持つレンズ素子LNN1が、反射光学素子P2Aの射出面SOの表面形状として形成されている点が図4(b)の例と異なる。
【0162】
反射光学素子P2Aは、入射面SI、射出面SO、反射面SRを有するプリズムの、入射面SI、射出面SOに、微細周期構造による反射防止層SWSがそれぞれ形成されている。反射防止層SWSは、反射防止機能のみを持ち、パワーを持たない。
【0163】
入射光束LIは平行光束であって、入射面SIからプリズム内に入射する。このとき、反射防止層SWSの反射防止機能により「反射」が有効に抑制される。プリズム内に入射した光束は反射面SRにより全反射され、反射面SRの有する正のパワーにより収束性の光束となって、射出面SOに形成されたレンズ素子LNN1に入射し、その射出側レンズ面(凹レンズ面)から射出する。
【0164】
この図4(c)のタイプでは、反射面SRにより反射された光束は「収束性」となってレンズ素子LNN1のみの屈折作用を受けるので、反射防止層SWSは、レンズ素子LNN1の射出面のみに形成しても良い。
【0165】
図4に示す3例では、説明の簡単のために、微細周期構造による反射防止層SWSを、入射面SIの全領域、射出面SOの全領域に形成しているが、入射面においては、入射光の入射領域をカバーできる領域に、また射出面においては射出光の射出領域をカバーできる領域に反射防止層を形成すればよいことは言うまでもない。
【0166】
レンズ素子LNN1は、その光軸を、射出光の主光線(反射面SRにより、入射光束LIと直交する方向に反射される光線)と平行にして、反射光学素子P2Aの射出面SOの所定の位置に形成され、表面形状である凹面の持つ負のパワーにより「反射面SRで反射された光束の収束性を抑制」し、平行光束に変換する。
【0167】
レンズ素子LNN1に形成されている反射防止層SWSもパワーを持たないので、反射面SRで反射された後の収束光束は、レンズ素子LNN1の射出面の有する負のパワーにより平行光束に戻され、平行光束として射出するが、その際、反射が抑制される。
【0168】
このようにして、レンズ素子LNN1から射出する射出光束LOは、入射光束LIの光束径を縮小した平行光束となる。
【0169】
この発明の反射光学素子・反射光学系では、反射光学素子の反射面による「スネルの法則による全反射」が利用されている。反射面がパワーを持つ場合、すなわち、反射面が凹面や凸面である場合には、スネルの法則による全反射は「当然」にはなりたたない。全反射が実現されるには条件が必要である。
【0170】
この「スネルの法則による全反射」を利用できる条件を「反射面が凸面」である場合について、検討する。
【0171】
図5は、そのための説明図である。
【0172】
図5において、符号Sは反射面を表す。符号0は「反射面SRの曲率中心」を現す。
【0173】
また、破線LCは、入射面・射出面(これらは互いに直交する)に直交する平面(図3等で図面に平行な面)内で、入射面・射出面の成す角(90度)を2等分する平面を示しており、曲率中心0は、平面LC内にある。
【0174】
図5に示すように、光束径:φinをもった平行光束が入射光として、入射面から入射し、反射面SRに入射するものとする。この入射は、入射光の主光線(光束中心に合致する光線)が、図の面内で、反射面SRと平面LCとの交点に入射するように行なわれる。
【0175】
即ち、この交点を通り図の面内で反射面SRの接線と上記主光線の成す角は45度である。図の如くに、角:θ、θ、θ、θ、θを設定する。θは45度である。
【0176】
さらに、距離:R(反射面SRの曲率半径)、d1、d2、d3を、図のように設定する。また、プリズムの材質の屈折率を「N」とする。
【0177】
そうすると、これらの距離と角の間に以下の関係が成り立つ。
【0178】
d1=R/√2 、d2=(d1−φin/2) 、d3=(d1+φin/2) 、
θ=arcsin(d2/R) 、θ=arcsin(d3/R) 、
θ=2×θ 、θ=2×θ
【0179】
これらの関係を用いると、スネルの法則により、光束径:φinを持つ平行光束が、図5の如くに反射面SRに入射して「全反射」する条件は、
arcsin(1/N)<arcsin{(R/√2−φin/2)/R} (1)
となる。
【0180】
(1)式から、
1/N<(R/√2−φin/2)/R}
が得られるから、これを光束径:φinについて解くと、
φin<R(√2−2/N) (2)
となる。
【0181】
即ち、プリズムの材質の屈折率:N、反射面SRの曲率半径:R、入射平行光束の光束径:φinが、式(2)を満足すれば、反射面SRによる入射光束の反射は「スネルの法則による全反射」として行なわれることになる。
【0182】
式(2)を満足する「N、R、φin」の組み合わせの例を幾つか挙げる。
【0183】
例1 例2 例3 例4 例5 例6 例7 例8 例9
R 53.7 85.9 143.3 20.3 30.5 50.8 6.9 10.4 17.3
φin 2 3 5 2 3 5 2 3 5
N 1.45 1.45 1.45 1.52 1.52 1.52 1.78 1.78 1.78 。
【0184】
例1〜例9の各々において、反射面SRの曲率半径:Rが上記の各数値より大きくなると「入射光束の全部」は全反射できない。光束径:φinも上記各数値より大きくなると、「入射光束の全部」は全反射できない。また、プリズムの材質の屈折率:Nは、上記各値よりも小さくなると「入射光束の全部」は全反射できない。
【0185】
このように、条件式(2)を満足するように「N、R、φin」の組み合わせを設定することにより反射面SRによる反射を「全反射」として行なうことができる。
【0186】
例えば、プリズムの材質として、BK7(屈折率:1.52)を用いる場合、上記の角:θが、41.1度より小さくなると「入射光束全体の全反射」を実現できない。
【0187】
この場合の全反射の条件は、
41.1度<arcsin{(R/√2−φin/2)/R} (1A)
となる。
【実施例】
【0188】
以下、具体的な実施例を5例挙げる。
【0189】
実施例1〜3は、図4(a)に示すタイプの反射光学系の例であり、実施例4および5は、図4(b)、(c)に示すタイプの例である。
【0190】
実施例1〜3の反射光学系の構成を、図6に示す。この図6において、反射光学素子P1の入射面SI、射出面SOの図面内における長さを「a」とする。また、入射光の光束径を「φ」とする。入射光は平行光束であり、入射面SIに直交するように入射するが、入射位置は、入射光の中心光線の「反射面SRによる入射角」が45度となり、上記中心光線が入射光と90度をなすように反射される位置に入射する。
【0191】
入射光束の、図において下縁部光線の反射角を図の如く「θB」、上縁部光線の反射角を図の如く「θC」とする。反射面SRの曲率半径は「R」であり、曲率中心は、入射面・反射面の角を2等分する面上にある。
【0192】
射出光の光束径を「ψ」とする。
【0193】
レンズ素子LNPの入射側面は平面、射出側面は凸面であり、肉厚を図の如く「d」とする。射出面SOから入射側面までの距離を図の如く「b」とする。また、反射面SRに反射された中心光線と、レンズ素子LNPの光軸とのズレ量を「D」とする。
【0194】
「実施例1」
「入射光」 波長:300nmの平行レーザ光束
入射光の光束径:φ=1mm
「反射光学素子」
材質の屈折率:N=1.52
D:0.0
a:10mm
反射面の曲率半径:25mm
「レンズ素子」
入射側面:平面
射出側面:曲率半径が6.5mmの凸球面
肉厚:d=1.5mm
材質の屈折率:1.52
b=3mm
θB=86.8度
θC=93.3度 。
【0195】
実施例1では、入射平行レーザ光束の光束径(1mm)を、2.2倍に拡大して、光束径:ψ=2.2mmの射出光を得ることができる。反射面による反射はスネルの法則による全反射である。
【0196】
「実施例2」
「入射光」 波長:300nmの平行レーザ光束
入射光の光束径:φ=10mm
「反射光学素子」
材質の屈折率:N=1.45
a:100mm
反射面の曲率半径:300mm
「レンズ素子」
入射側面:平面
射出側面:曲率半径が332mmの凸球面
肉厚:d=15mm
材質の屈折率:1.45
D=0.1mm
b=620mm
θB=87.3度
θC=92.7度 。
【0197】
実施例2では、入射平行レーザ光束の光束径(10mm)を、10倍に拡大して、光束径:ψ=100mmの射出光を得ることができる。反射面による反射はスネルの法則による全反射である。
【0198】
「実施例3」
「入射光」 波長:300nmの平行レーザ光束
入射光の光束径:φ=30mm
「反射光学素子」
材質の屈折率:N=1.82
a:100mm
反射面の曲率半径:120mm
「レンズ素子」
入射側面:平面
射出側面:曲率半径が59.3mmの凸球面
肉厚:d=25mmmm
D=5mm
b=10mm
θB=71.2度
θC=112.6度 。
【0199】
実施例3では、入射平行レーザ光束の光束径(30mm)を、2.67倍に拡大して、光束径:ψ=80mmの射出光を得ることができる。反射面による反射はスネルの法則による全反射である。
【0200】
実施例1〜3では、プリズムの入射面SI、射出面SO共に平面であって、パワーを持たない。また、サブ波長構造による反射防止層SWSは、入射面・射出面側ともパワーを持たず、反射防止機能のみである。
【0201】
実施例1では、入射光束・射出光束ともに光束径が小さく、入射面・射出面における光エネルギ密度は共に高い。従って、反射防止層としては、上記の如く、サブ波長構造によるものが良い。
【0202】
実施例2では、入射光束・射出光束共に比較的大きく、入射面・射出面における光エネルギ密度は高くない。従って、この場合、少なくとも射出面SO側では反射防止膜を「サブ波長構造による反射防止膜SWS」に代えて「誘電体多層膜による反射防止膜」に置き換えても良い。
【0203】
実施例3では、入射光束の光束径が30mmと大きく、反射面により反射された光束は発散しつつ射出面を透過するので、入射面・射出面における光エネルギ密度は高くない。従って、この場合、入射面SI側、射出面SO側ともに、あるいは少なくとも射出面側の反射防止膜を「サブ波長構造による反射防止膜SWS」に代えて「誘電体多層膜による反射防止膜」に置き換えても良い。
【0204】
実施例4、5の反射光学系の構成を、図7に示す。この図7において、反射光学素子P2の入射面SI、射出面SOの図面内における長さを「a」とする。また、入射光の光束径を「φ」、射出光の光束径を「ψ」とする。
入射光は平行光束であり、入射面SIに直交するように入射するが、入射位置は、入射光の中心光線の「反射面SR(入射光に対して凹面)による入射角」が45度となり、上記中心光線が入射光と90度をなすように反射される位置に入射する。
【0205】
入射光束の、図において下縁部光線の反射角を図の如く「θB」、上縁部光線の反射角を図の如く「θC」とする。反射面SRの曲率半径は「R」であり、曲率中心は、入射面・反射面の角を2等分する面上にある。
【0206】
レンズ素子LNNの入射側面は平面、射出側面は凹面であり、肉厚を図の如く「d」とする。射出面SOから入射側面までの距離を図の如く「b」とする。また、反射面SRに反射された中心光線と、レンズ素子LNPの光軸とのズレ量を「D」とする。
【0207】
「実施例4」
「入射光」 波長:300nmの平行レーザ光束
入射光の光束径:φ=10mm
「反射光学素子」
材質の屈折率:N=1.78
a:100mm
反射面の曲率半径:250mm
「レンズ素子」
入射側面:平面
射出側面:曲率半径が13.2mmの凹球面
肉厚:d=1mm
材質の屈折率:1.78
D=0.0mm
b=0.0mm
θB=93.3度
θC=86.8度 。
【0208】
実施例4では、入射平行レーザ光束の光束径(10mm)を、0.3倍に縮小して、光束径:ψ=3mmの射出光を得ることができる。反射面による反射はスネルの法則による全反射である。なお、実施例4では、レンズ素子LNNと反射光学素子P2のプリズムの屈折率が等しく、両者の間隔:b=0であるから、レンズ素子はプリズムの射出面の形状としてプリズムと一体化されたものであり、図4(c)に示すタイプのものとなる。
【0209】
「実施例5」
「入射光」 波長:300nmの平行レーザ光束
入射光の光束径:φ=10mm
「反射光学素子」
材質の屈折率:N=1.45
a:100mm
反射面の曲率半径:500mm
「レンズ素子」
入射側面:平面
射出側面:曲率半径が32.2mmの凸球面
肉厚:d=1.5mmmm
D=0mm
b=10mm
θB=91.6度
θC=88.4度 。
【0210】
実施例5では、入射平行レーザ光束の光束径(10mm)を、0.6倍に縮小して、光束径:ψ=6mmの射出光を得ることができる。反射面による反射はスネルの法則による全反射である。
実施例5は、図4(b)に示すタイプの例である。
実施例4、5でも、プリズムの入射面SI、射出面SO共に平面であって、パワーを持たない。また、サブ波長構造による反射防止層SWSは、入射面・射出面側ともパワーを持たず、反射防止機能のみである。
【0211】
実施例4、5とも、射出光束の光束径が小さいため、射出面における光エネルギ密度は高い。従って、射出面SO側の反射防止層としては、上記の如く、サブ波長構造によるものが良い。
【0212】
しかし、入射光束の光束径は10mmと比較的大きく、入射面SIにおける光エネルギ密度は比較的低いから、入射面SI側では反射防止膜を「サブ波長構造による反射防止膜SWS」に代えて「誘電体多層膜による反射防止膜」に置き換えることも可能である。
【0213】
実施例1〜5とも、反射防止層の反射防止効果で、極めて高い反射光率を実現できる。
【符号の説明】
【0214】
P 反射光学系(反射プリズム)
PI 反射防止面板
PO 反射防止面板
SI 入射面
SO 射出面
SWS サブ波長構造による微細周期構造
【先行技術文献】
【特許文献】
【0215】
【特許文献1】WO2005/010572号公報
【特許文献2】特開2006−185562号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束の進行方向を変換する光学素子であって、
入射面と、1以上の反射面と、射出面とを有するプリズム状であり、
上記入射面から入射する光束を上記1以上の反射面で全反射させ、反射した光束を射出面から射出させて光束の進行方向を変換する機能を持ち、
上記入射面と射出面とのうち、少なくとも入射面に、サブ波長構造による反射防止層が形成されていることを特徴とする反射光学素子。
【請求項2】
請求項1記載の反射光学素子において、
反射面が1面、もしくは入射光束を順次に全反射する複数面であることを特徴とする反射光学素子。
【請求項3】
請求項2記載の反射光学素子において、
1以上の反射面、入射面、射出面のうちの1面以上が、パワーを有することを特徴とする反射光学素子。
【請求項4】
請求項3記載の反射光学素子において、
1以上の入射面、反射面、射出面のうちの2面以上が、パワーを有し、上記入射面に入射する平行光束を、入射平行光束と光束径の異なる平行光束として射出面から射出させるように、2面以上の面のパワーが設定されていることを特徴とする反射光学素子。
【請求項5】
請求項1〜3の任意の1に記載の反射光学系において、
入射光束を発散もしくは集束させて、射出させる機能を有することを特徴とする反射光学系。
【請求項6】
請求項5記載の反射光学素子と、射出面から射出する発散性もしくは収束性の光束の、光束形態を変化させるレンズ素子とを有することを特徴とする反射光学系。
【請求項7】
請求項6記載の反射光学系において、
反射光学素子の射出面に、サブ波長構造の反射防止膜が設けられていることを特徴とする反射光学系。
【請求項8】
光束の進行方向を変換する光学素子であって、
1以上の反射面と、入射面と、射出面を有するプリズム状であり、
上記入射面から入射する光束を、上記1以上の反射面で全反射させ、反射した光束を射出面から射出させて光束の進行方向を変換する機能を持ち、
上記1以上の反射面、入射面、反射面のうちの2面以上がパワーを持ち、
2面以上のパワーを持つ面のパワーが、入射平行光束の光束径を変換して平行光束を射出させるように設定されていることを特徴とする反射光学素子。
【請求項9】
請求項8記載の反射光学素子において、
反射面が平面であり、
入射面、射出面が共に正のパワーを有することを特徴とする反射光学素子。
【請求項10】
請求項8記載の反射光学素子において、
入射面が平面であり、反射面が負のパワーを持ち、射出面が正のパワーを持つことを特徴とする反射光学素子。
【請求項11】
請求項8記載の反射光学素子において、
射出面が平面であり、入射面が正のパワーを持ち、反射面が負のパワーを持つことを特徴とする反射光学素子。
【請求項12】
請求項8〜11の任意の1に記載の反射光学素子において、
入射面もしくは射出面の、少なくとも一方に、反射防止層が形成されていることを特徴とする反射光学素子。
【請求項13】
請求項12記載の反射光学素子において、
入射面と射出面のうち、少なくとも光束径の小さい平行光束が通過する方の面に、サブ波長構造による反射防止層が形成されていることを特徴とする反射光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−230349(P2012−230349A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6002(P2012−6002)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【出願人】(000115728)リコー光学株式会社 (134)
【Fターム(参考)】