説明

反射型カラー表示装置及びその製造方法

【課題】着色層パターンの画素ズレや画像表示時の混色を極力抑制でき、視認性の良好な反射型カラー表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、外光の反射光を表示用として用いる単色表示可能な反射型表示装置と、この反射型表示装置の表示面側に設けられた着色層パターンとにより、カラー表示が可能な反射型カラー表示装置であって、反射型表示装置の表示面を構成する表面基材の上部に着色層パターンを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型カラー表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビや携帯電話といったあらゆる媒体向けの表示装置として利用されている液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)に代わる情報表示装置として、いわゆる“電子ペーパー”と呼ばれる、外部環境光を光源とすることでバックライトを必要としない、反射型の表示装置が開発されている。
【0003】
電子ペーパーは、通常の紙印刷物に近い視認性を有しており、視野角が広い、消費電力が小さい、電源を切っても一度表示した画像は消えないメモリー性を有する等のメリットがあり、LCDよりも長時間にわたって文書等を読むのに適している。
【0004】
従来提案されている電子ペーパーとしては、電気泳動方式(例えば特許文献1参照)、ツイストボール方式(例えば特許文献2参照)、高分子分散型液晶方式(例えば特許文献3参照)、高分子ネットワーク型液晶方式(例えば特許文献4参照)等の表示方式を用いたものが知られている。この中でも、電気泳動方式による反射型表示装置は、広い視野角を有する等の利点を備えており、この電気泳動方式による反射型表示装置を用いた電子書籍表示装置も市販されるに至っている。
【0005】
電気泳動方式では、単色(モノクロ)表示は比較的容易に実施できるが、カラー表示を実施するためには技術的課題が存在する。これは、多色の電気泳動粒子を予め決められた画素に配置する技術が困難なためである。
【0006】
単色表示の電気泳動方式の反射型表示装置は、カラーフィルタ基板をその表示面上部に重ねることにより、カラー表示の反射型表示装置とすることができる。ここで、カラーフィルタ基板とは、基板上に各画素の色に応じた着色層がパターン形成された基板である。
【0007】
しかし、電気泳動方式の反射型表示装置とカラーフィルタ基板とを重ね合わせる場合、画素ズレを生じることなく高い精度で位置合わせを行うことは困難であり、コスト上昇や歩留まり低下の原因となる。また、カラー画像を表示した際、反射型表示装置を斜めから見ると、カラーフィルタ基板の着色層パターンを通して隣接する副画素の反射型表示装置の表示面を見てしまうために混色が生じるおそれがある。さらに、光源を持たない反射型表示装置では、カラーフィルタ基板を重ねることで反射型表示装置を構成する層数を増やすことになり、結果的にカラー表示可能な反射型表示装置の明るさが低下してしまい、視認性が悪くなってしまうという課題がある。
【0008】
なお、かかる課題は、電気泳動方式による反射型表示装置に限らず、単色(モノクロ)表示が可能な反射型表示装置にカラーフィルタ基板を重ねてカラー表示を可能とする他の方式の反射型表示装置にも同様に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005‐156759号
【特許文献2】特許第2860790号
【特許文献3】特開2001‐92383号
【特許文献4】特許第3178530号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決すべく為されたものであって、その課題とするところは、着色層パターンの画素ズレや画像表示時の混色を極力抑制でき、視認性の良好な反射型カラー表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、外光の反射光を表示用として用いる単色表示可能な反射型表示装置と、この反射型表示装置の表示面側に設けられた着色層パターンとによりカラー表示が可能な反射型カラー表示装置に適用され、そして、反射型表示装置の表示面を構成する表面基材の上部に着色層パターンを形成したことを特徴とする。
【0012】
ここで、着色層パターンを単位画素に区分し、この単位画素を、少なくとも赤色画素用着色層パターン、緑色画素用着色層パターン及び青色画素用着色層パターンの3つの副画素により構成してもよい。あるいは、単位画素を、少なくともシアン画素用着色層パターン、マゼンタ画素用着色層パターン及びイエロー画素用着色層パターンの3つの副画素により構成してもよい。さらには、単位画素が白色画素用着色パターンまたは着色層パターンを備えない副画素を有してもよい。
【0013】
反射型表示装置の表面基材と着色層パターンとの間に樹脂層を介在させても良く、この場合、着色層パターンを樹脂層の上面に直接形成してもよい。あるいは、着色層パターンを反射型表示装置の表面基材の上面に直接形成してもよい。
【0014】
反射型表示装置は、正に帯電する第一の色の電気泳動粒子と負に帯電する第二の色の電気泳動粒子とを液体分散媒中に封入したマイクロカプセルと、マイクロカプセル分散材と備えるマイクロカプセル型電気泳動式の反射型表示装置であってもよく、また、ツイストボール方式、高分子分散型液晶方式、高分子ネットワーク型液晶方式のいずれであってもよい。
【0015】
また、本発明は、外光の反射光を表示用として用いる単色表示可能な反射型表示装置と、この反射型表示装置の表示面側に設けられた着色層パターンとによりカラー表示が可能な反射型カラー表示装置を製造する方法に適用され、そして、反射型表示装置の表示面を構成する表面基材の上部に、印刷法により着色層パターンを形成することを特徴とする。
【0016】
ここで、着色層パターン形成工程に、インキ剥離性のフィルム上に形成したインキ液膜を、着色層パターンに対応した形状を有するインキ除去版により不要部分を除去して所定形状の着色層パターンインキ膜を形成する工程と、フィルムを反射型表示装置の表面基材側に押圧することで所定形状に形成された着色層パターンインキ膜を反射型表示装置に転写して着色層パターンを形成する工程とを設けてもよい。あるいは、着色層パターン形成工程は、インクジェット印刷法によるものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、反射型表示装置の表示面側に着色層パターンを直接設けることで、着色層パターンの画素ズレや画像表示時の混色を極力抑制でき、視認性の良好な反射型カラー表示装置及びその製造方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態である反射型カラー表示装置を示す概略図。
【図2】本発明の第1の実施形態である反射型カラー表示装置の製造方法を示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態である反射型カラー表示装置の構造を説明する図である。この図において、反射型カラー表示装置Cは、単色(モノクロ)表示可能な反射型表示装置40の表示面を構成する表面基材41の上部(図1において上部)に着色層パターン22が形成されて構成されている。反射型表示装置40は、表面基材41と背面基材43との間に多数の電気泳動式粒子が挟持されてなる電気泳動式粒子層42が形成され、さらに背面基材43の電気泳動式粒子層42の反対側の一面に画素電極44が形成されて構成されている。より詳細には、電気泳動式粒子層42は、正に帯電する第一の色の電気泳動粒子と負に帯電する第二の色の電気泳動粒子とを液体分散媒中に封入したマイクロカプセルと、マイクロカプセル分散材とを備える。すなわち、本実施形態の反射型表示装置40は、いわゆるマイクロカプセル型電気泳動式のものである。
【0021】
着色層パターン22は、カラー表示用単位画素に区分され、本実施形態では赤色(R)画素用着色層パターン22R、青色(B)画素用着色層パターン22B及び緑色(G)画素用着色層パターン22Gをそれぞれ副画素とし、3色の副画素により単位画素が構成されている。なお、カラー表示をするための着色層パターン22の構成は、本実施形態のようないわゆるRGB表示に限定されず、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)からなる副画素を備えたものであってもよい。さらには、白色からなる副画素を設けても良く、さらには、副画素として着色層パターン22が配置されない部分があってもよい。
【0022】
次に、図2を参照して、本実施形態の反射型カラー表示装置の製造方法について説明する。まず、図2(a)に示すように、インキ剥離性を有するフィルム10上にインキ液膜20を形成した後に、このインキ液膜20を予備乾燥する。
【0023】
インキ剥離性のフィルム10を用いた凸版反転印刷法は、着色層のパターニング方法として従来用いられているフォトリソグラフィー法と異なり、現像、洗浄などの工程を必要としないため、被印刷基板となる反射型表示装置40への負荷がなく、着色層を設けることが可能であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
透明なフィルム基材上にインキ剥離性のシリコーン層を設けることにより構成されるインキ剥離性のフィルム10上へインキ液膜20を形成する方法としては、インキの粘度や溶媒の乾燥性によって公知の塗工方法を用いることができる。例えば、ディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。中でも、ダイコート、キャップコート、ロールコート、アプリケータ等の塗工方法では、広い範囲の粘度のインキについて均一なインキ液膜を形成する事ができる。
【0025】
後に着色層パターン22となるインキ液膜20に用いられるインキとしては、顔料成分と樹脂成分を溶媒中に溶解、分散させたインキを用いる事ができる。
【0026】
顔料には、例えば、赤、緑、青の各色で使用できる顔料として次のものが挙げられる。顔料の種類は、カラーインデックス(C.I.)No.で示す。赤色顔料として、97、122、123、149、168、177、180、192、208、209、215などが、緑色顔料として7、36などが、青色顔料として、15、15:1、15:3、15:6、22、60、64などが挙げられる。黒顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラックなどが挙げられる。
【0027】
赤色、緑色、青色以外にも、例えば、黄顔料として、13、17、83、109、110、128などが、紫顔料として、19、23などが、白顔料として、18、21、27、28などが、橙顔料として、38、43などが挙げられる。顔料は、単体以外に、顔料を予め分散剤、有機溶剤に分散させた顔料分散体であっても良い。
【0028】
また、シアン;マゼンタ;イエローの3色を含む着色層パターンの場合、シアンインキには前記青色顔料、マゼンタインキには前記赤色顔料、イエローインキには前記黄色顔料をそれぞれ用いる事ができる。
【0029】
インキの樹脂成分には、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等から1つ以上のものが使用される。
【0030】
さらに溶剤には、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤及び炭化水素系溶剤などが使用される。エステル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、アルコール系溶剤として、1-ブタノール、3メトキシー3メチル-1ブタノール、1-ヘキサノール、1,3ブタンジオール、1-ペンタノール、2-メチル1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、エーテル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、炭化水素系溶剤として、ソルベッソ100、ソルベッソ150(エクソン化学社製)などが挙げられる。
【0031】
インキ液膜20の予備乾燥には自然乾燥、冷風・温風乾燥、マイクロ波、減圧乾燥などを用いる事ができ、また、紫外線、電子線などの放射線を用いる事もできる。この予備乾燥では、インキ液膜20の粘度またはチキソトロピー性、脆性を上げる事を目的とするもので、インキ液膜20の完全乾燥はさせない。乾燥が不十分な場合は、後工程で述べるインキ除去版30の凸部に押し当て剥離する際に、インキ液膜20が断裂し不良が発生する。逆に予備乾燥が行き過ぎた場合は、インキ除去版30にインキが転写されない。そのため使用するインキの組成、塗工膜厚によって乾燥状態を調整する。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、予備乾燥が終了したインキ液膜20に、必要な着色層パターン22(図1参照)を凹部としたインキ除去版30を押し当て、余分なインキ液膜をインキ除去版30に転移させて、図2(c)に示すように着色層パターンインキ膜21を形成する。
【0033】
インキ除去版30としては、無アルカリガラス等の低膨張ガラス表面に感光性樹脂を用いてマスクパターンを形成した後、既存のドライエッチング処理やウェットエッチング処理、もしくはサンドブラスト処理を用いて、2μmから30μmの版深を設けたものを用いることができる。あまり版深が浅いと、インキ液膜20がインキ除去版30の版底に接触してパターンの再現が難しくなる。一定以上の版深を有すれば、得られるパターンの形状に変わりはないが、版深を深くすると版に設けるパターンを高解像化できなくなる弊害がある。
【0034】
また、インキ除去版30にはナイロン、アクリル、シリコーン樹脂、スチレン-ジエン共重合体などからなるものを用いることもできる。またエチレン-プロピレン系、ブチル系、ウレタン系ゴムなどのゴム製の版を用いることもできる。このような樹脂製のインキ除去版は、すでに凸版印刷やフレキソ印刷用に用いられており、予め作製した型に所定の樹脂を流し込んで版とする、あるいは彫刻によっても作製する事ができるが、感光性樹脂を用いる方法がより高精度のものを作製できる。
【0035】
続いて、インキ剥離性のフィルム10上に形成した着色層パターンインキ膜21と、反射型表示装置40の表面基材41上に形成された位置合わせ用のマークとの位置合わせ工程を行った後、転写することで、図2(d)に示すように、反射型表示装置40の表面基材41上に着色層パターン22を設ける事ができる。
【0036】
本実施形態の反射型カラー表示装置の製造方法は、反射型表示装置40の表面基材41がガラスやプラスチック、フィルムなどに対しての印刷に適用できる。表面基材41は、反射型表示装置40の表示が可能な透明性を有していれば良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどを表面基材41として用いる事もできる。印刷に適用するインキの乾燥や硬化条件に合わせて選定する事も可能であり、耐熱性材料として好適なポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミドなどを用いる事もできる。
【0037】
また、反射型表示装置40の表面基材41に、樹脂層(図略)を設けることも可能である。この樹脂層には公知の材料を用いることができるが、透明であること、形成する着色層パターンの変色や褪色がないこと、諸耐性があることなどの性能が要求され、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどのビニル樹脂やアクリル共重合体樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂から1つ以 上のものが使用される。
【0038】
また、着色層パターン22を形成した際の解像性及び精細性を高めるために、樹脂層を形成する樹脂に微粒子(フィラー)を含有させることも有効である。フィラーとしては、無機微粒子では微粉末珪酸、有機微粒子ではアクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、フッソ樹脂などから選択して用いる事ができる。また、フィラーの添加量は、樹脂層100重量部に対し1〜10部が好ましい。
【0039】
上記のような材料を用いて反射型表示装置40の表面基材41に樹脂層を形成する際には、インキ剥離性のフィルム10上にインキ液膜20を形成する際と同様に公知の塗工方法を用いることができる。
【0040】
反射型表示装置40へ位置合わせ用のマークを形成する方法として、第一に印刷する着色層パターンインキ膜21のインキを用いて、着色層パターン22と同時に形成する方法、着色層パターン22印刷前に予め形成する方法、反射型表示装置40を駆動させて所望の位置に位置合わせ用のマークを表示させる方法、などの方法を用いる事ができるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
位置合わせ工程時には、インキ剥離性のフィルム10と、反射型表示装置40の表面基材41との間隔は、インキ剥離性のフィルム10の帯電や吸着による基材との接触を起こさないように、また、位置合わせに用いる観察カメラの被写界深度や焦点制御などを考慮し20μmから500μmの距離を保って平行に配置する事が好ましい。
【0042】
そして、この印刷工程を同一の反射型表示装置40の表面基材41に、必要な着色層パターン22の副画素の数だけ繰り返し行うことにより、反射型表示装置40の表面基材41上に図1に示すような着色層パターン22を設ける事ができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、反射型表示装置40の表示面側である表面基材41に直接、あるいは樹脂層を介して着色層パターン22を形成しているので、従来技術のようにカラーフィルタ基板を反射型表示装置40に重ねる場合と比較して、着色層パターン22の画素ズレや画像表示時の混色を極力抑制することができ、また、反射型カラー表示装置全体の層数を削減できて視認性を良好なものとすることができる。加えて、凸版反転印刷法により着色層パターン22を反射型表示装置40の表面基材41上に形成しているので、従来技術のようにカラーフィルタ基板を形成する工程に比較して簡易な工程により着色層パターン22を形成することができ、工程減、コスト減に寄与できる。
【0044】
なお、本発明の反射型カラー表示装置及びその製造方法は、その細部が上述の実施形態に限定されず、種々の変形例が可能である。
一例として、上述の第1の実施形態では反射型表示装置40がマイクロカプセル型電気泳動式のものであったが、他の方式による反射型表示装置、例えばツイストボール方式、高分子分散型液晶方式、高分子ネットワーク型液晶方式による反射型表示装置であってもよい。
【0045】
また、反射型表示装置の表面基材上に直接、あるいは樹脂層に着色層パターンを形成する手法も、上述の一実施形態のように凸版反転印刷法によるものに限定されず、広くインキからなる着色層パターンを形成する手法であれば限定はない。一例として、インクジェット印刷法を含む周知の印刷法が適用可能である。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を更に詳しく説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
実際に作製した着色層パターンは、300mm□の印刷エリア内の中央部に対角6インチの画像表示面を配置してあり、着色層パターンは、赤;緑;青に、着色層を配置しない空白部分を加えた4つの副画素(150μm□)を2×2に配置して成る単位画素を連続して有するパターンとした。
【0048】
(インキ剥離性のフィルム)
インキ剥離性のフィルムとして、基材厚約120μmのシリコーン系離形ポリエステルフィルム:K1504(東洋紡績社製)を用意した。
【0049】
(着色層パターン用インキの調製)
まず、メタクリル酸20重量部、メチルメタクリレート10重量部、ブチルメタクリレート55重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート15重量部を乳酸ブチル100重量部に溶解し、窒素雰囲気下でアゾビスイソブチルニトリル0.75重量部を加え70℃にて5時間の反応によりアクリル共重合樹脂を得た。得られたアクリル共重合樹脂を、樹脂濃度が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにて希釈し、アクリル樹脂ワニスとした。
【0050】
着色分散体として、C.I.Pigment Red 254 (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)18重量部、C.I.Pigment Red 177 (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)2重量部、さらに上記アクリル樹脂ワニス(固形分20%)108重量部を十分混合したものを用いた。
【0051】
上記分散体100重量部に、メチル化メチロールメラミン MW−30(三洋化成社製) 20重量部、紫外光硬化開始剤としてベンジルジメチルケタール3重量部、レベリング剤としてメガファックF−483SF(DIC社製)1重量部、希釈剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル85重量部を混合し、着色層パターン用赤インキとした。緑、青の着色層パターン用インキについても、同様の方法により調製した。
【0052】
まず、上記インキ剥離性のフィルムに、上記着色層パターン用インキを、ダイコートを用いて塗工する。塗工した着色層パターン用インキを2分間室温乾燥させた後、雰囲気70℃のオーブン内で30秒間乾燥させた。
【0053】
つぎに、着色層パターンを凹部とするインキ除去版と、インキ剥離性のフィルム上のインキ膜面を平行に向かい合わせた後、ゴムローラーにて加圧した。インキ除去版は、300mm□のガラス基板に版深5μmのパターンを設けたもので、着色層パターンごとに位置の異なる150μm□サイズの正方形副画素の連続パターンとした。
【0054】
つぎにインキ除去版から、インキ剥離性のフィルムを剥離し、インキ剥離性のフィルム上に、着色層パターンを得た。さらに、着色層パターンが形成されたインキ剥離性のフィルムと反射型表示装置とを平行に向かい合わせ、着色層パターンの外に設けられた位置合わせ用のマークを基準に位置合わせを行った後、ゴムローラーによる加圧を行い、反射型表示装置表面に着色層パターンを転写した。
【0055】
そして、この反射型表示装置に対して、同様の印刷方法により、上記調製した緑、青インキによる着色層パターンを連続して形成した。
【0056】
反射型表示装置表面に得られた着色層パターンインキ膜に紫外光を照射(50mJ/cm2)し、硬化した。
【0057】
作製した赤;緑;青と着色層を配置しない空白部分の4つの副画素からなる着色層パターンは図1に示すように、各色の着色層パターンどうしの位置ズレによる混色や空白など無く印刷されており、印刷した着色層パターンと反射型表示装置、また、印刷した着色層パターンと反射型表示装置背面の画素電極との位置ズレも無く、駆動させると所望のカラー画像が表示可能な反射型カラー表示装置を製造する事ができた。
【比較例】
【0058】
実施例の着色層パターンと同様のデザインでガラス基板上に作製したカラーフィルタを反射型表示装置と貼り合せ、反射型カラー表示装置を作製した。
【0059】
この反射型カラー表示装置をカラー画像表示させると、カラーフィルタのガラス基板の厚みによる反射型表示装置表面と着色層との間のギャップにより、斜めから見た際に混色が生じた。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の反射型カラー表示装置及びその製造方法による反射型カラー表示装置は、種々の用途に利用できるが、とりわけ電子書籍端末や広告媒体に用いる事ができる。
【符号の説明】
【0061】
10 インキ剥離性のフィルム
20 インキ液膜
21 着色層パターンインキ膜
22 着色層パターン
30 インキ除去版
40 反射型表示装置
41 表面基材
42 電気泳動式粒子層
43 背面基材
44 画素電極
C 反射型カラー表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外光の反射光を表示用として用いる単色表示可能な反射型表示装置と、この反射型表示装置の表示面側に設けられた着色層パターンとによりカラー表示が可能な反射型カラー表示装置において、
前記反射型表示装置の表示面を構成する表面基材の上部に前記着色層パターンが形成されたことを特徴とする反射型カラー表示装置。
【請求項2】
前記着色層パターンは単位画素に区分され、この単位画素は、少なくとも赤色画素用着色層パターン、緑色画素用着色層パターン及び青色画素用着色層パターンの3つの副画素により構成されることを特徴とする請求項1に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項3】
前記着色層パターンは単位画素に区分され、この単位画素は、少なくともシアン画素用着色層パターン、マゼンタ画素用着色層パターン及びイエロー画素用着色層パターンの3つの副画素により構成されることを特徴とする請求項1に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項4】
前記着色層パターンは単位画素に区分され、この単位画素は白色画素用着色パターンまたは着色層パターンを備えない副画素を有することを特徴とする請求項1〜3に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項5】
前記反射型表示装置の表面基材と前記着色層パターンとの間に樹脂層が介在されることを特徴とする請求項1〜4に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項6】
前記着色層パターンは前記樹脂層の上面に直接形成されていることを特徴とする請求項5に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項7】
前記着色層パターンは前記反射型表示装置の表面基材の上面に直接形成されていることを特徴とする請求項1〜4に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項8】
前記反射型表示装置は、正に帯電する第一の色の電気泳動粒子と負に帯電する第二の色の電気泳動粒子とを液体分散媒中に封入したマイクロカプセルと、マイクロカプセル分散材と備えるマイクロカプセル型電気泳動式の反射型表示装置であることを特徴とする請求項1〜7に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項9】
前記反射型表示装置が、ツイストボール方式であることを特徴とする請求項1〜7に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項10】
前記反射型表示装置が、高分子分散型液晶方式であることを特徴とする請求項1〜7に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項11】
前記反射型表示装置が、高分子ネットワーク型液晶方式であることを特徴とする請求項1〜7に記載の反射型カラー表示装置。
【請求項12】
外光の反射光を表示用として用いる単色表示可能な反射型表示装置と、この反射型表示装置の表示面側に設けられた着色層パターンとによりカラー表示が可能な反射型カラー表示装置を製造する方法において、
前記反射型表示装置の表示面を構成する表面基材の上部に、印刷法により前記着色層パターンを形成することを特徴とする反射型カラー表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記着色層パターン形成工程は、
インキ剥離性のフィルム上に形成したインキ液膜を、前記着色層パターンに対応した形状を有するインキ除去版により不要部分を除去して所定形状の着色層パターンインキ膜を形成する工程と、
前記フィルムを前記反射型表示装置の表面基材側に押圧することで前記所定形状に形成された着色層パターンインキ膜を前記反射型表示装置に転写して前記着色層パターンを形成する工程と
を備える凸版反転印刷法によることを特徴とする請求項12に記載の反射型カラー表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記着色層パターン形成工程は、インクジェット印刷法によることを特徴とする請求項12に記載の反射型カラー表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−37247(P2013−37247A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174396(P2011−174396)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】