説明

反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置およびセルギャップ検査方法

【課題】基板間に液晶を封入した後の反射型液晶パネルのセルギャップ、さらには、セルギャップばらつきを検査することのできる反射型液晶パネルの検査装置および検査方法を提供すること。
【解決手段】液晶装置の検査装置1は、直線偏光光からなる検査用照明光を出射する偏光照明装置40と、光検出器42と、偏光照明装置40から出射された検査用照明光を反射型の液晶パネル3へ導き、液晶パネル3から反射してきた光を光検出器42へ導く偏光ビームスプリッター44とを有し、偏光ビームスプリッター44と光検出器42との間には第2偏光板45、第1位相差板46、第2位相差板47が配置されている。制御部50は、光検出器42で受光された光の色相を色相値に数値化する色相値算出部501と、色相値を液晶パネル3のセルギャップに変換するセルギャップ導出部502とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の基板間に液晶層が保持された反射型液晶パネルのセルギャップを光学的に検査するセルギャップ検査装置およびセルギャップ検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一対の基板間に液晶層が保持された透過型液晶パネルのセルギャップを検査するためのセルギャップ検査装置およびセルギャップ検査方法として、色相法を利用した構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかるセルギャップ検査装置では、光源と、光源からの光を偏光する第1の偏光板と、第1の偏光板からの偏光が入射される透過型液晶パネルの出射光路上に配置される第2の偏光板と、透過型液晶パネルと第2の偏光板との間の光路上に配置される位相差板と、第2の偏光板を透過した光が入射する光検出部とが設けられている。従って、透過型液晶パネルに直線偏光からなる検査光を照射した際に光検出器で受光した光の色相値を求めれば、かかる色相値から透過型液晶パネルのセルギャップを求めることができるので、セルギャップを検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−198354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のギャップ検査装置では、透過型液晶パネルの検査は可能であるが、反射型液晶パネルについては検査することができないという問題点がある。
【0005】
次に、反射型液晶パネルは、透過型液晶パネルに比して、画像の品位に対するセルギャップの影響が大きいため、液晶パネル内でのセルギャップばらつきも重要な管理ポイントになるが、特許文献1に記載のセルギャップ検査装置およびセルギャップ検査方法では、液晶パネル内におけるセルギャップの平均値しか求めることができず、液晶パネル内でのセルギャップばらつきを検査することができないという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、基板間に液晶を封入した後の反射型液晶パネルのセルギャップを検査することのできる反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置およびセルギャップ検査方法を提供することにある。
【0007】
次に、本発明の課題は、さらに、基板間に液晶を封入した後の反射型液晶パネルのセルギャップばらつきを検査することのできる反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置およびセルギャップ検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置は、直線偏光光からなる検査用照明光を出射する偏光照明装置と、光検出器と、前記偏光照明装置から出射された前記検査用照明光を一対の基板間に液晶層が保持された反射型液晶パネルへ導くとともに、当該反射型液晶パネルから反射してきた光を前記光検出器へ導く偏光ビームスプリッターと、前記偏光ビームスプリッターと前記光検出器とを結ぶ光路に配置された偏光板と、前記光検出器で受光した光の色相を色相値に数値化する色相値算出部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る反射型液晶パネルのセルギャップ検査方法は、直線偏光光からなる検査用照明光を出射する偏光照明装置と、光検出器と、前記偏光照明装置から出射された前記検査用照明光を一対の基板間に液晶層が保持された反射型液晶パネルへ導くとともに、当該反射型液晶パネルから反射してきた光を前記光検出器へ導く偏光ビームスプリッターと、を設けるとともに、前記偏光ビームスプリッターと前記光検出器とを結ぶ光路に偏光板を設け、前記偏光照明装置から出射された前記検査用照明光を前記反射型液晶パネルに照射した際に当該反射型液晶パネルから反射してきた光を前記光検出器で受光する第1工程と、当該光検出器で受光した光の色相を色相値に数値化する第2工程と、を有し、前記色相値の算出結果に基づいて前記反射型液晶パネルのセルギャップを検査することを特徴とする。
【0010】
本発明を適用した反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置および検査方法では、偏光照明装置から出射された検査用照明光を一対の基板間に液晶層が保持された反射型液晶パネルへ導くとともに、反射型液晶パネルから反射してきた光を光検出器へ導く偏光ビームスプリッターが設けられているため、反射型液晶パネルであっても、液晶パネルから出射された光を光検出器によって受光することができる。ここで、光検出器で受光した光の色相を色相値に数値化すると、かかる色相値は、液晶パネルのセルギャップに対応している。従って、色相値、あるいは色相値をセルギャップに変換した値を利用すれば、液晶パネルのセルギャップの良否を判定することができる。
【0011】
本発明に係る反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置において、前記色相値算出部は、前記反射型液晶パネルの複数個所で反射された光毎の前記色相値を算出することが好ましい。本発明に係る反射型液晶パネルのセルギャップ検査方法において、前記第2工程において、前記色相値を算出するにあたっては、前記反射型液晶パネルの複数個所で反射された光毎の色相値を算出することが好ましい。かかる構成によれば、液晶パネル内でのセルギャップばらつきを検査することができる。
【0012】
本発明においては、光検出器で受光した光の色相値に基づいて液晶パネルの良否を判定してもよいが、色相値をセルギャップに変換し、セルギャップに基づいて、液晶パネルのセルギャップの良否を判定することが好ましい。かかる構成は、前記色相値に基づいて前記反射型液晶パネルのセルギャップを導出するセルギャップ導出部を設けることによって実現することができる。
【0013】
本発明において、前記反射型液晶パネルは、例えば、垂直配向モードの反射型液晶パネルである。
【0014】
この場合、前記偏光ビームスプリッターと前記偏光板とを結ぶ光路に位相差板が配置されていることが好ましい。かかる前記位相差板として、λ/4位相差板とλ/2位相差板とが配置されていることが好ましい。偏光ビームスプリッターと、検光子としての偏光板とを結ぶ光路に位相差板を配置すれば、その分、系全体のリタデーションを強めることができるので、セルギャップ変化に対応する色相変化を大きくすることができるので、垂直配向モードの液晶パネル等、セルギャップ変化に対応する色相変化が比較的小さな液晶パネルであってもセルギャップの検査精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した検査装置および検査方法で検査される反射型の液晶装置の説明図。
【図2】図1に示す液晶装置を用いた投射型表示装置の概略構成図。
【図3】本発明を適用した液晶装置の検査装置の概略構成図。
【図4】図3に示す光検出器で取得された画像の分割例を示す図。
【図5】図3に示す光検出器に入射する光の色相値と液晶層の厚みとの相関の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、以下の説明では、本発明を適用した反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置を以下、単に検査装置といい、本発明を適用した反射型液晶パネルのセルギャップ検査方法を以下、単に検査方法という。また、以下の説明では、偏波面が互いに直交する2種類の直線偏光光のうちの一方をP偏光とし、他方をS偏光として説明する。
【0017】
(液晶装置の構成)
図1は、本発明を適用した検査装置および検査方法で検査される反射型の液晶装置2の説明図であり、(A)は、液晶装置2の各構成要素を対向基板6の側から見た平面図、(B)は、(A)のH−H′断面の断面図である。
【0018】
図1において、本発明の検査装置および検査方法が液晶される液晶装置2は、反射型の液晶装置であり、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの反射型の液晶パネル3を有している。液晶パネル3は、その中央領域に複数の画素がマトリクス状に配列された画像表示領域3a(画素配列領域)を備えている。かかる液晶パネル3では、素子基板5と対向基板6とが所定の隙間を介してシール材7によって貼り合わされており、シール材7は対向基板6の外縁に沿うように枠状に設けられている。素子基板5と対向基板6との間のうち、シール材7で囲まれた領域内には液晶層8が保持されている。本形態において、素子基板5および対向基板6は、いずれも四角形であり、液晶パネル3の略中央には、画像表示領域3aが四角形の領域として設けられている。
【0019】
素子基板5において、画像表示領域3aの外側では、素子基板5の一辺に沿ってデータ線駆動回路9および複数の端子10が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路11が形成されている。また、素子基板5では、画像表示領域3aの内側で複数本のデータ線および複数本の走査線が縦横に伸びており、データ線駆動回路9は各データ線に電気的に接続され、走査線駆動回路11は各走査線に電気的に接続されている。端子10には、フレキシブル配線基板(図示省略)が接続されており、素子基板5には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0020】
素子基板5の対向基板6と対向する面側において、画像表示領域3aには、画素トランジスター、および画素トランジスターに対応して設けられた画素電極12がマトリクス状に形成されており、かかる画素電極12の上層側には配向膜13が形成されている。対向基板6において、素子基板5と対向する一方面側には共通電極14が形成されており、共通電極14の上層には配向膜15が形成されている。
【0021】
素子基板5において、シール材7より外側において対向基板6の角部分と重なる領域には、素子基板5と対向基板6との間で電気的導通をとるための基板間導通部16が形成されている。かかる基板間導通部16には、導電粒子を含んだ基板間導通材が配置されており、対向基板6の共通電極14は、基板間導通材を介して素子基板5側に電気的に接続されている。そのため、共通電極14には、素子基板5の側から共通電位Vcomが印加されている。
【0022】
本形態において、液晶パネル3は反射型であるため、共通電極14はITO膜(Indium
Tin Oxide)等の透光性導電膜によって形成され、画素電極12は、アルミニウム膜等の反射性導電膜によって形成されている。そのため、本形態の液晶装置2では、対向基板6側から入射した光は、素子基板5側で反射されて対向基板6側から出射される間に変調される。なお、液晶装置2では、使用する液晶層8の種類や、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル3に対して所定の向きに配置される。
【0023】
本形態の液晶パネル3は、VAモード(垂直配向モード)の液晶パネルであり、液晶層8には、負の誘電率異方性を有する液晶材料が用いられ、配向膜13、15は斜方蒸着された無機膜からなる。かかる液晶パネル3は、ノーマリーブラックモードの液晶パネルであるため、以下に説明する検査工程においては、液晶パネル3を全点灯状態で検査する。このため、液晶パネル3には、全画素がオンになるような画像信号が供給される。
【0024】
(液晶装置の電子機器への搭載例)
図2は、図1に示す液晶装置2を用いた投射型表示装置20の概略構成図である。液晶装置2は、例えば、投射型表示装置20(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いられる。投射型表示装置20において、光源部21は、システム光軸L1に沿って光源22、インテグレーターレンズ23および偏光変換素子24が配置された偏光照明装置25を有している。また、投射型表示装置20は、システム光軸L1に沿って、偏光照明装置25から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面26aにより反射させる偏光ビームスプリッター26と、偏光ビームスプリッター26のS偏光光束反射面26aから反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラー27と、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー28とを有している。
【0025】
また、投射型表示装置20は、各色光が入射する3つの液晶装置2(反射型の液晶装置2R、2G、2B)を備えており、光源部21は、3つの液晶装置2R、2G、2Bに所定の色光を供給する。投射型表示装置20においては、3つの液晶装置2R、2G、2Bにて変調された光をダイクロイックミラー27、28、および偏光ビームスプリッター26にて合成した後、この合成光を投射光学系29によってスクリーン30等の被投射部に投射する。なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0026】
また、液晶装置2は、モバイルコンピューター、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器のカラー表示装置として用いることができる。この場合、対向基板6には、カラーフィルター(図示省略)や保護膜が形成される。
【0027】
(検査装置の構成)
図3は、本発明を適用した検査装置1の概略構成図である。図4は、図3に示す光検出器42で取得された画像の分割例を示す図である。図4は、図3に示す光検出器で取得された画像の分割例を示す図である。
【0028】
図3に示す検査装置1は、液晶パネル3のセルギャップ(素子基板5と対向基板6との隙間/液晶層8の層厚)、およびセルギャップばらつきを検査するための装置であり、直線偏光光からなる検査用照明光を出射する偏光照明装置40を有している。本形態において、偏光照明装置40は、白色光を出射するLEDランプ等の光源41と、第1偏光板43とを有しており、かかる偏光照明装置40からは、S偏光光束からなる検査用照明光が出射される。なお、偏光照明装置40は、第1偏光板43に代えて、偏光変換素子(ポラライジングコンバーター(PLC))を備えていても良い。
【0029】
また、検査装置1は、光検出器42と、偏光照明装置40から出射された検査用照明光を一対の基板間に液晶層が保持された反射型の液晶パネル3へ導くとともに、液晶パネル3から反射してきた光を光検出器42へ導く偏光ビームスプリッター44とを有している。偏光ビームスプリッター44には、第1偏光板43からのS偏光光束を反射させるとともに、液晶パネル3からのP偏光光束を透過させるS偏光光束反射面44aが形成されている。
【0030】
また、検査装置1は、偏光ビームスプリッター44と光検出器42とを結ぶ光路上に、偏光ビームスプリッター44から光検出器42へ向かう光に対する検光子としての第2偏光板45を有しているともに、偏光ビームスプリッター44と第2偏光板45とを結ぶ光路上には、第1位相差板46および第2位相差板47からなる2枚の位相差板を有している。第1位相差板46および第2位相差板47は、偏光ビームスプリッター44から第2偏光板45に向かってこの順番で配置されており、本形態において、第1位相差板46はλ/4位相差板であり、第2位相差板47はλ/2位相差板である。なお、第1位相差板46がλ/2位相差板であり、第2位相差板47がλ/4位相差板であってもよい。第1偏光板43と第2偏光板45とは、互いの偏向軸が直交するクロスニコルに配置されておる。
【0031】
光検出器42は、例えばCCDカメラであり、光検出器42には、制御部50が接続されている。検査装置1において、液晶パネル3はホルダー48に固定され、ホルダー48はステージ49に固定されている。なお、ステージ49には昇降装置(図示せず)が設けられており、ステージ49の高さ位置を変えることによって、CCDカメラからなる光検出器42に対する焦点位置が合わせられる。
【0032】
制御部50は、CPU等の演算手段、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段および入出力手段を備えている。光検出器42は、入射した光に基づくカラー画像を取得し、制御部50へ画像信号を出力する。制御部50は、光検出器42から入力される画像信号に対する所定の処理を行って光検出器42で受光された光の色相を色相値に数値化する色相値算出部501と、色相値を液晶パネル3のセルギャップに変換するセルギャップ導出部502とを有しており、制御部50で求められた色相値、およびセルギャップは、表示部51に表示される。本形態において、色相値は、各色相が円環状に配列された色環において、各色相を0〜255に振り分けた値であり、かかる色相値は、例えば、色相値算出部501において、光検出器42で得られた赤色光の強度、緑色光の強度、および青色光の強度を用いて周知の演算を行うことにより算出される。
【0033】
ここで、液晶層8のリタデーションは、液晶層8の屈折率異方性と液晶層8の層厚(セルギャップ)との積で表わされるため、液晶層8の厚みが変わると液晶パネル3のリタデーションが変化して、液晶パネル3から出射される光の分光特性が変化する。すなわち、液晶層8の層厚が変わると、リタデーションが変化して、液晶パネル3から出射される波長毎の出射光量が変化するため、光検出器42で受光される光の色相値が変化する。それ故、液晶層8の層厚と、光検出器42で受光される光の色相値との関係を予め把握しておき、それに対応する換算テーブルや、換算式を求めておけば、セルギャップ導出部502においては、光検出器42で受光された光の色相値に基づいて、液晶パネル3のセルギャップを導き出すことができる。
【0034】
従って、例えば、制御部50に、光検出器42で受光された光の色相値、あるいは光の色相値から得られた液晶パネル3のセルギャップを所定の管理値と比較する良否判定部を設けておけば、液晶パネル3の良否の判定や良品のランク分けを自動的に行うことができ、かかる良否判定結果を表示部51に表示することができる。また、光検出器42で受光された光の色相値、あるいは光の色相値から得られた液晶パネル3のセルギャップを表示部51に表示し、その表示結果に基づいて、検査員が液晶パネル3の良否の判定や良品のランク分けを行ってもよい。
【0035】
かかるセルギャップの検査を行うにあたって、本形態では、制御部50は、光検出器42で取得された画像を、例えば、図4に示すように、64個の領域に分割し、色相値算出部501は、分割された領域毎の色相値を算出する。このため、色相値算出部501は、液晶パネル3の複数個所で反射された光毎の色相値を算出することになる。また、セルギャップ導出部502は、液晶パネル3の複数個所毎のセルギャップを導き出すことになる。それ故、制御部50の良否判定部、あるいは検査員は、液晶パネル3のセルギャップを評価することができるとともに、液晶パネル3内におけるセルギャップばらつきを評価することができる。また、分割画像の各領域のうち、中心領域における色相値やセルギャップと、端部に位置する領域の色相値やセルギャップとの差等に基づいて、液晶パネル3の良否の判定や良品のランク分けを行うこともできる。また、液晶パネル3の各領域毎の色相値やセルギャップの最大値と最大値、さらには最大値と最小値との差等に基づいて、液晶パネル3の良否の判定や良品のランク分けを行うこともできる。また、図4のX方向やY方向で隣接する領域間での色相値やセルギャップの差等に基づいて、液晶パネル3の良否の判定や良品のランク分けを行うこともできる。さらに、各領域間での色相値やセルギャップの平均値を求め、かかる平均値に基づいて、液晶パネル3の良否の判定や良品のランク分けを行うこともできる。
【0036】
(色相値とセルギャップとの関係)
図5は、図3に示す光検出器に入射する光の色相値と液晶層の厚みとの相関の一例を示すグラフである。
【0037】
図3を参照して説明したように、本形態の検査装置1では、偏光ビームスプリッター44と第2偏光板45との間の光路上に、第1位相差板46(λ/4位相差板)と第2位相差板47(λ/2位相差板)とが配置されているため、系全体のリタデーションを強めることができる。それ故、垂直配向の液晶パネルのように、セルギャップが変動した際の色相値の変化が小さい反射型の液晶パネル3であっても、セルギャップが変動した際の色相値の変化を大きくすることができる。それ故、垂直配向の反射型液晶パネル3であっても、色相法によるセルギャップの検査を行うことができる。
【0038】
その際、第1位相差板46(λ/4位相差板)と第2位相差板47(λ/2位相差板)の位相差軸の方位についても、セルギャップが変動した際の色相値の変化が大きくなるように設定すれば、垂直配向の反射型液晶パネル3のセルギャップの検査を色相法によって行うのに適している。
【0039】
そこで、本形態では、以下の条件等で第1位相差板46および第2位相差板47の位相差軸の方位と、セルギャップが変動した際の色相値の変化との関係を検討し、その検討結果に基づいて、第1位相差板46および第2位相差板47の位相差軸の方位を最適化してある。なお、角度は、第2偏光板45の偏光軸に対して位相差軸がなす角度である。
【0040】
条件1:第1位相差板46(λ/4位相差板)の位相差軸の角度=120°
第2位相差板47(λ/2位相差板)の位相差軸の角度=90°
条件2:第1位相差板46(λ/4位相差板)の位相差軸の角度=120°
第2位相差板47(λ/2位相差板)の位相差軸の角度=60°
条件3:第1位相差板46(λ/4位相差板)の位相差軸の角度=60°
第2位相差板47(λ/2位相差板)の位相差軸の角度=120°
より具体的には、予め、セルギャップが1.608μm、1.967μm、2.16μmの液晶パネル3を製作し、かかる液晶パネル3を用いて各条件1、2、3で、セルギャップが変動した際の色相値の変化との関係を測定し、その相関関係式を求めた。その結果、条件3を採用した場合、セルギャップが変動した際の色相値の変化が最も大であることから、本形態の検査装置1では、第2偏光板45の偏光軸に対して第1位相差板46および第2位相差板47の位相差軸がなす角度を60°、120°(条件3)に設定してある。かかる条件3を採用した場合のセルギャップと色相値との関係を図5に示す。
【0041】
(検査方法)
以上のように構成された検査装置1では、液晶層8の厚みの検査時に、まず、液晶装置2をステージ49に固定し、その後、液晶パネル3の全画素をオン電圧で駆動する。また、液晶パネル3の駆動に連動させて、偏光照明装置40の光源41から光を出射する。光源41から出射された光は、第1偏光板43および偏光ビームスプリッター44を経由した後、液晶パネル3で変調された後、反射され、偏光ビームスプリッター44、第1位相差板46、第2位相差板47および第2偏光板45を経由して、光検出器42に入射する(第1工程)。
【0042】
光検出器42に光が入射すると、制御部50において、色相値算出部501は、図4に示す領域の各々について光検出器42で受光した光の色相を色相値に数値化し、セルギャップ導出部502は、色相値に基づいて図4に示す領域毎のセルギャップを求める(第2工程)。
【0043】
しかる後には、制御部50あるいは検査員は、色相値あるいはセルギャップに基づいて、液晶パネル3の良否の判定や良品のランク分けを行う。
【0044】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の検査装置1および検査方法では、偏光照明装置40から出射された検査用照明光を一対の基板間に液晶層が保持された反射型の液晶パネル3へ導くとともに、反射型の液晶パネル3から反射してきた光を光検出器42へ導く偏光ビームスプリッター44が設けられている、このため、反射型の液晶パネル3であっても、液晶パネル3から出射された光を光検出器42によって受光することができる。ここで、光検出器42で受光した光の色相を色相値に数値化すると、かかる色相値は、液晶パネル3のセルギャップに対応していることになる。従って、色相値、あるいは色相値をセルギャップに変換した値を利用すれば、液晶パネル3のセルギャップの良否を判定することができる。
【0045】
また、本形態の検査装置1および検査方法では、反射型の液晶パネル3の複数個所で反射された光毎の色相値、およびセルギャップを求める。このため、液晶パネル3内でのセルギャップばらつきを検査することができる。
【0046】
さらに、本形態では、偏光ビームスプリッター44と第2偏光板45とを結ぶ光路に位相差板(第1位相差板46(λ/4位相差板)、第2位相差板47(λ/2位相差板))が配置されている。このため、系全体のリタデーションを強めることできるので、セルギャップ変化に対応する色相変化を大きくすることができる。それ故、垂直配向モードの反射型の液晶パネル3等、セルギャップ変化に対応する色相変化が比較的小さな液晶パネルであってもセルギャップの検査精度を高めることができる。
【0047】
(他の実施の形態)
上述した形態では、偏光ビームスプリッター44から第2偏光板45へ向かう光路上に第1位相差板46と第2位相差板47とがこの順番で配置されているが、第1位相差板46と第2位相差板47との配置順は逆であっても良い。また、第1位相差板46または第2位相差板47のいずれか一方のみが偏光ビームスプリッター44から第2偏光板45へ向かう光路上に配置されても良い。また、偏光ビームスプリッター44から第2偏光板45へ向かう光路上に第1位相差板46および第2位相差板47が配置されなくても良い。例えば、液晶パネル3が、TN(Twisted Nematic)モード等の液晶パネルである場合には、偏光ビームスプリッター44から第2偏光板45へ向かう光路上に第1位相差板46および第2位相差板47が配置されなくても良い。また、偏光ビームスプリッター44から第2偏光板45へ向かう光路上に3枚以上の位相差板が配置されても良い。
【符号の説明】
【0048】
1・・・検査装置(反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置)、2・・・液晶装置、3・・・液晶パネル、40・・・偏光光源装置、41・・光源、42・・・光検出器、43・・・第1偏光板、44・・・偏光ビームスプリッター、45・・・第2偏光板、46・・・第1位相差板(λ/4位相差板)、47・・・第2位相差板(λ/2位相差板)、50・・・制御部、501・・・色相値算出部、502・・・セルギャップ導出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏光光からなる検査用照明光を出射する偏光照明装置と、
光検出器と、
前記偏光照明装置から出射された前記検査用照明光を一対の基板間に液晶層が保持された反射型液晶パネルへ導くとともに、当該反射型液晶パネルから反射してきた光を前記光検出器へ導く偏光ビームスプリッターと、
前記偏光ビームスプリッターと前記光検出器とを結ぶ光路に配置された偏光板と、
前記光検出器で受光した光の色相を色相値に数値化する色相値算出部と、
を有することを特徴とする反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置。
【請求項2】
前記色相値算出部は、前記反射型液晶パネルの複数個所で反射された光毎の前記色相値を算出することを特徴とする請求項1に記載の反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置。
【請求項3】
前記色相値に基づいて前記反射型液晶パネルのセルギャップを導出するセルギャップ導出部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置。
【請求項4】
前記反射型液晶パネルは、垂直配向モードの反射型液晶パネルであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置。
【請求項5】
前記偏光ビームスプリッターと前記偏光板とを結ぶ光路に位相差板が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置。
【請求項6】
前記位相差板として、λ/4位相差板とλ/2位相差板とが配置されていることを特徴とする請求項5に記載の反射型液晶パネルのセルギャップ検査装置。
【請求項7】
直線偏光光からなる検査用照明光を出射する偏光照明装置と、光検出器と、前記偏光照明装置から出射された前記検査用照明光を一対の基板間に液晶層が保持された反射型液晶パネルへ導くとともに、当該反射型液晶パネルから反射してきた光を前記光検出器へ導く偏光ビームスプリッターと、を設けるとともに、前記偏光ビームスプリッターと前記光検出器とを結ぶ光路に偏光板を設け、
前記偏光照明装置から出射された前記検査用照明光を前記反射型液晶パネルに照射した際に当該反射型液晶パネルから反射してきた光を前記光検出器で受光する第1工程と、
当該光検出器で受光した光の色相を色相値に数値化する第2工程と、
を有し、
前記色相値の算出結果に基づいて前記反射型液晶パネルのセルギャップを検査することを特徴とする反射型液晶パネルのセルギャップ検査方法。
【請求項8】
前記第2工程において、前記色相値を算出するにあたっては、前記反射型液晶パネルの複数個所で反射された光毎の色相値を算出することを特徴とする請求項7に記載の反射型液晶パネルのセルギャップ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−181171(P2012−181171A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45994(P2011−45994)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】