説明

反射神経の測定装置

【課題】
被検者の反射神経を正確かつ容易に測定でき、かつ、簡易な構成からなる反射神経の測定装置を提供する。
【解決手段】
LED発光体21の選択発光により、例えば赤であれば被検者の左手に把持される左手用パッド9Aを左方検知領域18Aに、緑であれば右手用パッド9Bを右方検知領域18Bに、黄であれば左手用パッド8Aを左方検知領域18Aとともに右手用パッド8Bを右方検知領域18Bに、それぞれ近接あるいは接触させる各行為を選択的に指示し、判別手段50により被検者が該指示に対応する行為を行ったか否かを判別させることで、被検者の反射神経の測定を可能とする。ここで左方検知領域18Aと右方検知領域18Bに左手用パッド9Aの下面に配設された金属板11の近接、接触状態のみを検知する近接センサ20(左右判別センサ)とパッドの左右に関係なくその近接、接触状態を検知する光電センサ19(有無判別センサ)をそれぞれ配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の指示に対して、被検者に該指示に対応する左右の手による所定の手動操作を求めることにより、被検者の反射神経を測定する反射神経の測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の指示に対して、被検者に該指示に対応する左右の手による所定の手動操作を求めることにより、被検者の反射神経を測定する反射神経の測定装置については、健常者に正答数に応じた得点を与え反射神経を競わせる遊具装置や、運動神経上の障害や老化による運動神経の後退に対して、症状ごとに適した運動を要求する医療用の訓練器具など、従来、様々なものが存在する。
【0003】
例えば、特開2000−14827号公報に記載された発明においては、盤面上に置かれた手の各指先に対応する位置に、ランダムに発光するランプを兼ねるスイッチを配置し、このランプの発光に応じた箇所のスイッチを対応する指で押させ、その早さと予め集計された平均的なデータとを比較することにより、被検者の反射神経に対する評価を与えることとしている。こうした左右各手の指先に対応する発光箇所の発光指示に基づき、被検者に対応するスイッチを押動させるタイプの測定装置は、もっぱら左右各手における反射神経を被検者の指先動作の俊敏性を測定することにより求めるものである。ただ、本来手の反射神経は、人の基本動作に係る脳の指令に基づく左右の手全体の動きの俊敏性を検知、検出させることにより正確な値が求められるところであり、上記従来の装置はこうした点で、必ずしもその人の反射神経を正確に測定し得るものではなかった。
【特許文献1】特開2000−14827号
【0004】
加えて上記従来の装置にあっては、被検者の指先に存在するスイッチの押動操作で被検者の反射神経を測定するものであるため、操作が複雑で、例えば、老人、中高年層の人など様々な年齢層の人達の誰もがいきなり操作をマスターできるものでなく、こうした点から老若男女の誰もが初めてでも簡単に操作することができ、しかも簡単な構造からなる反射神経の測定装置の提供が期待されるところである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものであり、被検者の反射神経を正確かつ容易に測定でき、かつ、簡易な構成からなる反射神経の測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
こうした課題を解決するため、本願の請求項1に記載される発明は、被検者の左右それぞれの手に把持されるそれぞれのパッドと、被検者の左手に把持されるパッドの近接あるいは接触状態を検知する左方検知領域並びに被検者の右手に把持されるパッドの近接あるいは接触状態を検知する右方検知領域を備えた検知体と、被検者に対し、
(1)被検者の左手に把持されるパッドを左方検知領域に近接あるいは接触させる行為
(2)被検者の右手に把持されるパッドを右方検知領域に近接あるいは接触させる行為
(3)被検者の左手に把持されるパッドを左方検知領域に近接あるいは接触させ、かつ被検者の右手に把持されるパッドを把持させるパッドを右方検知領域に近接あるいは接触させる行為
のいずれかを被検者に実行させるための指示手段と、上記検知体の左右各検知領域における対応するパッドの近接あるいは接触状態を検知し、上記(1)ないし(3)の各指示に対応する行為が行われたか否かを判別する判別手段を備え、被検者の左手に把持されるパッド、あるいは被検者の右手に把持されるパッドのいずれか一方における、検知体の対応する左右の検知領域に対する近接あるいは接触する部位に、パッドの左右を判別させるための金属体を備えることとし、一方検知体における左右の各検知領域には、上記(1)ないし(3)の各指示に対応する行為に基づく対応するパッドの近接あるいは接触状態を検知する光電センサを配設するとともに、左右の検知領域のいずれかのうち、上記各パッドのうち被検者の左手に把持されるパッドに金属体が備えられる場合は左方検知領域に、被検者の右手に把持されるパッドに金属体が備えられる場合は右方検知領域に、パッドの金属体の近接あるいは接触状態を検知する金属体検知用の近接センサを配設し、上記判別手段は各検知領域に配設される光電センサから出力されるパッドの近接あるいは接触状態、並びに近接センサから出力されるパッドの近接あるいは接触状態に基づき、上記(1)ないし(3)の各指示に対応する行為が行われたか否かを判別することとしたことを特徴とする反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、検知体は基板状またはシート状からなる面状のものとされ、該面状からなる検知体において、左右の各検知領域を複数対備えることとしてなる請求項1に記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、指示手段は、左右一対の各検知領域に対応して、上記(1)ないし(3)のいずれかを被検者に実行させるため、(1)ないし(3)の各行為別に赤、緑、黄の各配色を対応させ、いずれかの色彩からなる発光を可能とするLED発光体の選択発光に基づき、上記(1)ないし(3)のいずれかの実行を被検者に指示することとした請求項1あるは請求項2のいずれかに記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、指示手段が予め定められた一定の時間内において、上記(1)ないし(3)の各行為をランダムに、あるいはアトランダムに被検者に実行を指示させるべく、指示手段による指示状態を制御するコントロール部を備えた請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、コントロール部が、予め定められた一定の時間内において、上記(1)ないし(3)の各行為をランダムに、あるいはアトランダムに被検者に実行を指示させるべく、指示手段による指示状態を制御することとし、かつ該一定時間内における指示の回数を、予め記憶部に記憶された任意の値に基づき、被検者が選択するための選択手段を備えた請求項4に記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、コントロール部が、予め定められた一定の時間内において、上記(1)ないし(3)の各行為をランダムに、あるいはアトランダムに被検者に実行を指示させるべく、指示手段による指示状態を制御することとし、一定時間の開始を被検者が入力するための開始スイッチを備えるとともに、該開始から一定時間が経過したことを報知する報知手段を備えた請求項4または請求項5に記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0012】
請求項7に係る発明は、判別手段が判別した判別結果を、被検者が把持するパッドの対応する検知領域への近接あるいは接触動作の度に、被検者に報知する報知手段を備えた請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0013】
請求項8に係る発明は、指示手段が、予め定められた一定の時間内に実行した指示に基づく、被検者の判別結果を記憶し、一定時間内の指示の回数に占める被検者の正答数を表示する表示手段を備えた請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0014】
請求項9に係る発明は、指示手段が、上記(1)ないし(3)の各行為をランダムに、あるいはアトランダムに被検者に実行を指示させるべく、指示手段による指示状態を制御するコントロール部を備え、該コントロール部は指示手段の指示に基づく、被検者の判別結果を順次記憶し、該判別結果のうちの正答数が、予め定められた値を達成した状態において、その状態を表示する表示手段、あるいはその状態を報知する手段を備えてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【0015】
請求項10に係る発明は、基板状またはシート状からなる検知体は、ヒンジを中心に開閉可能とされる容器の内面部に備えられ、使用時には該容器を開状態とし、収納時には閉状態として可搬可能としてなる請求項2に記載の反射神経の測定装置を提供することとしたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、被検者の反射神経を正確かつ容易に測定でき、かつ、簡易な構成からなる反射神経の測定装置を提供することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、被検者に対して、より多様な応答行為を求めることとなり、被検者の備える反射神経をさらに正確かつ容易に測定することが可能となる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、被検者に対し視覚を通じた反射神経の測定を行うことが可能となるため、聴覚に障害をもつ人を含め、様々な被検者を対象とした反射神経の測定が可能となる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、指示手段による指示状態をコントロール部による制御により、指示される行為がランダムあるいはアトランダムに変化させることができるため、一定時間内における被検者の反射神経を正確かつ容易に測定でき、さらにこうしたデータの蓄積に基づき多くの被検者の測定統計を集積することが可能となる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、指示手段による指示状態をコントロール部による制御により、一定時間における指示回数を任意に設定することができるため、例えば年齢、病気の状態が異なる様々な被検者の反射神経の測定が可能となる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、被検者が測定開始から測定終了までのプロセスを知ることができ、利便性の高い反射神経の測定装置の提供が可能となる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、被検者の指示行為に基づく動作の判別結果を直ちに認識することができ、利便性の高い反射神経の測定装置の提供が可能となる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、被検者が測定結果を直ちに認識でき、被検者自身を含め反射神経を容易に知ることができる。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、正答数が、予め定められた値に達成したか否かを被検者に知らせることができる。このため、被検者が一定の正答数を正解した場合の達成状態を被検者に知らせることができ、利便性の高い反射神経の測定装置を提供することが可能となる。
【0025】
請求項10に係る発明によれば、容器を閉状態とすることで可搬できるため、例えば該閉状態の容器を管理者が様々な施設に持ち運び閉状態にセットすることのみで利用することができ、極めて利便性の高い反射神経の測定装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の最良の実施形態に係る反射神経の測定装置を図1ないし図9に基づいて説明する。
反射神経の測定装置1は、図2に示すように全体アタッシュケース状の容器からなる測定装置本体2と、全体函形の表示機3、さらに測定装置本体2と表示機3を接続する2本の接続ケーブル4とにより構成される。
【0027】
測定装置本体2、表示機3、並びに接続ケーブル4とにより構成される測定装置1は、学校、老人ホームなど、様々な場所に持ち運び、図1に示すようにしてセットして使用することが可能とされる。
【0028】
測定装置本体2(以下単に本体2という)は、図2に示すヒンジ5を中心に矢印A方向に開閉可能とされ、本体2は図1に示す開状態において、例えばテーブル、床などの支持面6上に載置することが可能とされる。こうして図1に示すように開状態にセットされた本体2は、支持面6上に載置された状態で本体2の2つの内面部2A並びに2Bを略水平にすることができ、この状態において同じく支持面6上に載置された表示機3と本体2とを2つの接続ケーブル4で電気的に接続して全体を測定装置として使用することが可能とされる。
【0029】
また、本体2は図2に示すヒンジ5を中心とする閉状態において、本体2の全体を収納状態で手で可搬可能とされ、持ち運び用の把手7が備えられる。
【0030】
図2に示す収納状態から、図11に示す使用状態に左右の各内面部2A、2Bが開放された本体2の右側内面部2Bには、2つの円形からなるパッド収納穴部8A、8Bが備えられる。このパッド収納穴部8A、8Bは、被検者の左右の手に把持されるそれぞれのパッド9A、9Bが図2に示す収納状態において内部に収納される(図4参照)。
【0031】
各パッド9A、9Bは、図5に示すように下方を円板状としてなり、上方に被検者が手で把持するための把持部10が備えられる。パッド9A、9Bは、被検者の左手に把持されるための左手用パッド9Aと、被検者の右手に把持されるための右手用パッド9Bとがあり、左手用パッド9Aは2つのパッド収納穴部8A、8Bのうちの左手パッド収納穴部8Aに、右手用パッド9Bは右手収納穴部8Bに収納可能とされる(図4参照)。
【0032】
各パッド9A、9Bは全体を木、プラスチックなどの非導電性材料で形成され、このうち左手用パッド9Aの下面部には図5の(A)に示すように鉄板、アルミニウム板などからなる金属板11(金属体)が被着される。
【0033】
測定装置1は、図1に示す使用状態において、各パッド9A、9Bを対応する収納穴部8A、8Bから矢印B方向に取り出し、被検者が把持部10を把持する状態で使用される。一方、図1に示す状態で支持面6上に広げられ、各内面部2A、2Bが開放された本体2には、左側内面部2Aを構成する基板に第1検知面12、第2検知面13、第3検知面14のそれぞれが、右側内面部2Bを構成する基板に第4検知面15、第5検知面16、第6検知面17のそれぞれが備えられる。
【0034】
内面部2A、2Bを構成する基板に、配設される各検知面12ないし17には、それぞれ被検知者の左手に把持される左手用パッド9Aの近接あるいは接触状態を検知する左方検知領域18Aと、被検者の右手に把持される右手用パッド9Bの近接あるいは接触状態を検知する右方検知領域18Bとが備えられ、左右一対をなす各検知領域18A、18Bは平面円形状とされる。
【0035】
パッド9A、9Bの下面と略同径の円形状をなし、各パッド9A、9Bの下面部の近接・接触状態を検知する検知体としての各検知領域18A、18Bには、それぞれ2つのセンサ19、20が配設され、そのうち一つのセンサ19は被検者が把持するパッド9A、9Bの下面部が近接あるいは接触された状態において、その状態を検知可能とする光電センサ19とされる。もう一つのセンサ20は、被検者が把持するパッド9A、9Bの下面部が近接あるいは接触された状態において、パッドの下面部において金属板11が備えられる左手用パッド9Aの近接・接触状態のみを検知可能とする金属体検知用の近接センサ20とされる。
【0036】
すなわち光電センサ19は、被検者が把持するパッドの左右に関係なく、左右の各パッド9A、9Bの下面部が近接あるいは接触される状態をセンサ19の発光部から発光される検知光の反射状態をセンサ19の受光部で検知するものとされ、例えばパッド9A、9Bがセンサ19に対して25mm以内に近接される状態から接触状態に至ると検知光の反射光が一定レベル以上に達したことをもってパッドの近接・接触状態を検知することとしている。
【0037】
一方、近接センサ20の方は、左右のパッド9A、9Bのうち、被検者が把持する左手用パッド9Aの下面に備えられる金属板11の近接・接触状態を検知するものとされ、例えば金属体としてのパッド9A下面の金属板11が25mm以内に近接された状態において、発生する渦電流が所定値以上となることに基づき、金属板11の近接あるいは接触状態を検知するものとされる。
【0038】
すなわち、近接センサ20は前記光電センサ19と異なり、各検知領域18A、18Bに対するパッド9A、9Bへの近接(例えば25mm以内)・接触状態において金属板11を備えた左手用パッド9Aの近接・接触状態のみを検知する左右のパッド判別用センサとされる。
【0039】
第1ないし第6のそれぞれの検知面12〜17において、左右対をなす検知領域18A、18Bの間には、LED発光体21が配設される。このLED発光体21は、赤、緑、黄のいずれかの色彩を選択的に発光可能とし、該選択発光に基づき被検者に対して対応する検知面12〜17における、対応するパッド9A、9Bの対応する領域への近接あるいは接触動作の実行を促し、指示するものとされる。
【0040】
すなわち、被検者の左右それぞれの手に把持されるパッド9A、9Bを、対応検知面12〜17における、対応領域18A、18Bに近接あるいは接触させるについては、
(1)被検者の左手に把持される左手用パッド9Aを対応する検知面12〜17の左手検知領域18Aに近接あるいは接触させる行為の指示
(2)被検者の右手に把持される右手用パッド9Bを対応する検知面12〜17の右方検知領域18Bに近接あるいは接触させる行為の指示
(3)被検者の左手に把持される左手用のパッド9Aを対応する検知面12〜17の左方検知領域18Aに近接あるいは接触させ、かつ被検者の右手に把持させる右手用パッド9Bを同じ対応検知面12〜17の右方検知領域18Bに近接あるいは接触させる行為の指示
の3つの指示パターンが存在し、被検者に行為の実行を指示する指示手段としてのLED発光体21は、対応する検知面12〜17における赤、緑、黄の選択発光に基づき、
赤が選択発光される場合は、対応検知面12〜17において被検者に(1)の行為の実行指示を、
緑が選択発光される場合は、対応検知面12〜17において被検者に(2)の行為の実行指示を、
黄が選択発光される場合は、対応検知面12〜17において被検者に(3)の行為の実行指示を、
それぞれ促すものとする。
【0041】
こうして(1)ないし(3)の各行為別に赤、緑、黄の各配色が対応され、いずれかの色彩が対応検知面12〜17で選択発光されることで、対応検知面において上記(1)ないし(3)のいずれかの行為の実行を被検者に指示するようにしている。
【0042】
上記指示手段としてのLED発光体21の選択発光が意味するルールについては、左側内面部2Aの第1検知面12の上方に備えられる表示板22に筒略的に記載して表示され(図3参照)、(1)の行為の実行指示については「赤=左手」の文字で、(2)の行為の実行指示については「緑=右手」の文字で、(3)の行為の実行指示については「黄=両手」の文字で、ルール説明を行っている。
【0043】
右側内面部2Bのパッド収納穴部8A 、8Bの左方位置には、図3に示すように操作盤23が備えられ、該操作盤23には測定開始スイッチとしてのスタートボタン24、Aコースを選択するための選択ボタン25、Bコースを選択するための選択ボタン26、さらにレベルボタン27のそれぞれが備えられる。
【0044】
スタートボタン24は、その押動により測定開始を後述するコントロール部に対して発信するものであり、これに基づきコントロール部34は測定開始を被検者に指示し、被検者の反射神経の測定をこの測定装置1により実行開始するものとしている。スタートボタン24は、押動により発光する照光スイッチとされ、該発光は測定終了まで行われるようにしている。
【0045】
Aコースでは選択ボタン25、Bコース選択ボタン26のそれぞれは、いずれかのボタン25、26を押すことで、押されない他のコースが選択されるのを排除するものとされ、例えばAコース選択ボタンを押すことで後述するAコースの測定選択が行われてBコース測定選択が排除され、逆にBコース選択ボタンを押すことで後述するBコースの測定選択が行われてAコースの測定選択が排除されるようにしている。各コース選択ボタン25、26も、押動により発光する照光スイッチとされ、該発光も選択されたコースにより測定が終了するまで行われるようにしている。
【0046】
レベルボタン27は、その押動により後述する測定の難易度をノーマルレベルにするか、あるいはハイレベルにするかを選択するものであり、例えば1回の押動作によりハイレベルが、2回の押動作によりノーマルレベルが選択されるよう押動により測定難易度が変更できるようにするものである。ちなみに、レベルボタン27にも、照光スイッチが用いられるが、発光は押動によりハイレベルが選択される場合にのみ行われ、測定が終了すると発光は終了し、レベルもノーマルレベルになるよう後述するコントロール部34が予め設定している。
【0047】
上記構成からなる本体2と、図1に示す使用状態において、2つの接続ケーブル4により電気的に接続される表示機3は、正面部の下方にスピーカ28が配設される。このスピーカ28からは、後述するように、例えば被検者に測定開始を報知する報知音、測定終了を報知する報知音、対応するパッドが指示どおりに検知領域に近接あるいは接触され、あるいは指示どおりに検知領域あるいは接触されなかった判別結果を報知する報知音、等を出力可能とするものである。
【0048】
表示機3における正面部の上方右側には、上方にタイム表示部29、下方にタッチ回数表示部30がそれぞれ配設される。タイム表示部29は、対応するパット9A、9Bの対応する検知領域18A、18Bへの近接あるいは接触が、被検者により予め設定された規定回数(例えば30回の正解)に達したまでの秒数を、測定結果として表示するもので、このタイム表示部29には直前に測定が行われた被検者の測定タイム(測定結果)が表示される。一方タッチ回数表示部30は、対応するパッド9A、9Bの対応する検知領域18A、18Bへの近接あるいは接触が、被検者により制限時間(例えば60秒)内に行われた回数(正解タッチ回数)を測定結果として表示するもので、このタッチ回数表示部30においても直前に測定が行われた被検者の測定回数(測定結果)が表示されるようにしている。
【0049】
一方表示機3における正面部上方左側には、上方に最高タイム表示部31、下方に最高タッチ回数表示部32がそれぞれ配設される。最高タイム表示部31には、一定のグループに係る各被検者の測定タイムあるいは特定被検者が行った複数の測定タイム(上記タイム表示部29に表示され、後述するメモリに記憶される一定範囲の測定結果)のうち、最も成績のよい最高タイムが表示されるようにしている。また最高タッチ回数表示部32には、一定のグループに係る各被検者の測定回数あるいは特定被検者が行った複数の測定値(制限時間内の正解タッチ回数)のうち、最も成績のよい最高タッチ回数が表示されるようにしている。
【0050】
各表示部29、30、31、32は、LED表示体、7セグメントの電極管等で構成され、設定される数値を対応表示可能としている。
【0051】
次に上記測定装置1の回路構成、並びに動作系統を図8に基づいて説明する。測定装置1は、接続ケーブル4により電気的に接続される本体2と表示機3とにより、図9に示す回路を構成してなる。該回路を構成する各手段は、電源33から供給される電力によりそれぞれ駆動可能とされる。
【0052】
測定装置1は、コントロール部34を備えてなり、該コントロール部34は判別手段36を介して、指示手段としての第1ないし第6検知面12〜17に配設されるLED表示体21に指示信号を送信可能としている。すなわち指示信号は、いずれかの検知面のLED表示体21に向けて、該表示体21において赤、緑、黄のいずれかの選択発光が行われるべく、動作指令を行うものとされる。
【0053】
一方、第1ないし第6検知面12〜17の各左方検知領域18Aから判別手段36に対しては、当該領域18Aに配設される光電センサ19並びに近接センサ20の検知信号が入力可能とされる。さらに第1ないし第6検知面12〜17の各右方検知領域18Bから判別手段36に対しては、当該領域18Bに配設される光電センサ19並びに近接センサ20での検知信号が入力可能とされる。
【0054】
すなわち、コントロール部34から判別手段36を介して、対応する検知面(例えば第3検知面14)のLED表示体21に
(1)赤の選択発光
(2)緑の選択発光
(3)黄の選択発光
のいずれかの指示信号が送信されると、該対応する表示体21が上記対応する選択発光を行うこととなる。これにより被検者は、選択発光の指示に基づき、左手に把持する左手用パッド9A、右手に把持する右手用パッド9Bを、LED表示体21の発光が行われた対応する検知面(例えば第3検知面14)の検知領域18A、18Bに近接あるいは接触させる動作を行うこととなる。
【0055】
例えば、第3検知面14の表示体21において、被検者は、赤の選択発光が行われた場合、左手用パッド9Aを左方検知領域18Aに、緑の選択発光が行われた場合、右手用パッド9Bを右方検知領域18Bに、黄の選択発光が行われ場合、左手用パッド9Aを左方検知領域18Aに、かつ右手用パッド9Bを右方検知領域18Bに、それぞれ近接あるいは接触する動作を行うことになる。
【0056】
判別手段36は、こうして被検者が対応する左右のパッド9A、9Bを対応する検知領域18A、18Bに近接あるいは接触させた動作に基づき、左右いずれかの光電センサ19から検知信号を入力することとなり、先ず該入力により左右いずれかのパッド9A、9Bが検知領域18A、18Bに近接あるいは接触された状態を判別する。加えて被検者が左手用パッド9Aを対応する左方検知領域18Aに近接あるいは接触させた動作が行われると、該左方検知領域18の近接センサ20がパッド9Aの下面に被着される金属板11の近接・接触状態を認識し、近接センサ20から検知信号が発信されて、該信号が判別手段36に入力されることとなる。すなわち判別手段36は該信号の入力により、対応する検知面(例えば第3検知面14)における対応する左方検知領域18Aに、被検者の左手用パッド9Aが近接あるいは接触させた状態を判別することとなる。ちなみに実施形態においては左方検知領域18Bにおいても近接センサ20を配設し、左手用パッド9Aが対応する右方検知領域18Bに近接あるいは接触させた状態において、その状態を該領域18Bに存在する近接センサ20が検知信号を判断手段36に発信するようにしている。すなわち、実施形態で判別手段36は、該センサ20からの信号入力に基づき、LED発光体21の選択発光に基づく指示を被検者が誤り、誤作動を行ったものとして認識することとしているが、各左方検知領域18Bにおいては、必ずしも近接センサ20を配設せず、右方検知領域18Bの光電センサ19からの信号入力状態並びに左方検知領域18Aの光電センサ19と近接センサ20からの信号とのAND入力状態の有無により、対応するパッド9A、9Bが対応する検知領域18A、18Bに近接あるいは接触させたものとして認識させるようにしてもよい。
【0057】
このように判別手段36は、対応する検知面12〜17におけるLED発光体21の選択発光に基づき、該検知面の各領域18A、18Bに存在するセンサ19、20から検知信号を入力して次の処理を行うようにしている。
(1)LED発光体21が赤の選択発光を行う指示においては、左方検知領域18Aの各センサ19、20からの検知信号のAND入力が上記LED発光体21の発光タイミングから規定の時間内(例えば5秒以内)に行われた状態を判別し、その状態をもって被検者により正解動作が行われたものと認知して、該認知状態をコントロール部34に出力する。これに対し、左方検知領域18Aの各センサ19、20から検知信号のAND入力が上記LED発光体21の発光タイミングから規定の時間内に行われなかった場合や、同様の規定時間内に右方検知領域18Bの各センサ19、20から検知信号が入力される場合、被検者により不正解動作が行われたものと認知して、該認知状態をコントロール部34に出力する。
(2)LED発光体21が緑の選択発光を行う指示においては、右方検知領域18Bの光電センサ19のみからの検知信号の、上記LED発光体21の発光タイミングから規定時間内(例えば5秒)においての入力状態を判別し、その状態をもって被検者により正解動作が行われたものと認知して、該認知状態をコントロール部34に出力する。これに対し、右方検知領域18Bの光電センサ19から上記規定時間内に検知信号が入力されなかったり、左方検知領域18Aの各センサ19、20から検知信号が入力される場合や、右方検知領域18Bの各センサ19、20から上記規定時間内に検知信号がAND入力される場合、被検者により不正解動作が行われたものと認知して該認知状態をコントロール部34に出力する。
(3)LED発光体21が黄の選択発光を行う指示においては、左方検知領域18Aの各センサ19、20からの検知信号の、上記LED発光体21の発光タイミングから規定内(例えば5秒)においてAND入力が行われ、かつ右方検知領域18Bの発光センサ19からの、上記同様の規定時間内に行われる検知信号の入力状態を判別し、その状態をもって被検者により正解動作が行われたものと認知して、該認知状態をコントロール部34に出力する。これに対し、各検知領域18A、18Bの各センサ19、20から上記規定の時間内に検知信号の入力が行われなかった場合や、左方検知領域18Aの光電センサ19のみから上記規定時間内に検知信号が入力される場合や、右方検知領域18Bの各センサ19、20から上記規定時間内に検知信号のAND入力がなされる場合、被検者により不正解動作が行われたものと認知して、該認知状態をコントロール部34に出力する。
【0058】
コントロール部34は、図1に示す操作盤23からの信号を入力可能としている。すなわち操作盤23には、前記のとおりスタートボタン24、Aコース選択ボタン25、Bコース選択ボタン26、レベルボタン27が配設され、コントロール部34は、被検者が押動操作する各ボタン24〜27の入力状態を認識して次の動作を実行するようにしている。
【0059】
先ずスタートボタン24が押動された場合、被検者が選択ボタン25、26並びにレベルボタン27で選択され、予めメモリ35に記憶された選択コースからなる、動作順序のプログラムが実行されることとなり、判別手段36を介して対応する検知面12〜17のLED表示体21に対し、順次選択発光に係る指示を実行するための動作指令がスタートすることとなる。
【0060】
ここで、Aコース選択ボタン24並びにBコース選択ボタン25は、上記スタートボタン24の押動により、実行される測定装置1の測定プログラムを選択する手段に係り、該実行されるプログラムは予めメモリ35に記憶される。加えてレベルボタン27は、AB各コースにおけるレベル選択を行う手段に係り、通常の状態(押さない状態)でノーマルレベルが、1回押す状態でハイレベルが選択されるようにしている。A、B各コースにおけるハイレベルとノーマルレベルの測定プログラムはこのように予めメモリ35に記憶されてなり、各コースの測定プログラムは次のようにして実行される。
「Aコース、ノーマルレベル」
制限時間60秒以内において、各検知面12〜17のLED発光体21をランダムに、あるいはアトランダムに順次選択発光させ、これに基づく被検者の規定時間内(5秒以内)の正解動作、不正解動作を順次コントロール部34で認知する。ノーマルレベルでのLED発光体21の順次選択発光させる点滅間隔は、5秒間とし、60秒間に12回、点滅するようにしている。
「Aコース、ハイレベル」
制限時間60秒以内において、各検知面12〜17のLED発光体21をランダムに、あるいはアトランダムに順次選択発光させ、これに基づく被検者の規定時間内(3秒以内)の正解動作、不正解動作を順次コントロール部34で認知する。ハイレベルでのLED発光体21の順次選択発光させる点滅間隔は、3秒間とし、60秒間に20回、点滅するようにしている。
「Bコース、ノーマルレベル」
各検知面12〜17のLED発光体21をランダムに、あるいはアトランダムに、赤あるいは緑のいずれかの色彩で順次一定時間間隔(例えば5秒)をもって選択発光させ、これに基づき、被検者が規定回数(30回)の正答動作がコントロール部34で認知されるまでの時間を計測する。
「Bコース、ハイレベル」
各検知面12〜17のLED発光体21をランダムに、あるいはアトランダムに赤、緑、黄のいずれかの色彩で順次一定の時間間隔(例えば5秒)をもって選択発光させ、これに基づき、被検者が規定回数(30回)の正解動作がコントロール部34で認知されるまでの時間を計測する。
【0061】
こうして、各コース選択ボタン25、26並びにレベルボタン27を押すことで上記4つの各コースの選択が可能となる。ちなみに選択された状態は、前述のとおり照光スイッチとしての各ボタン25、26、27の選択的照光状態により視認可能とすることができる。
【0062】
コントロール部34には音声合成装置37を介してスピーカ28が接続される。コントロール部34の次の状態において、音声合成装置37に対しスピーカ28からの対応する発声が実行されるべく出力を行うようにしている。
(i)被検者等がスタートボタン24を押動した状態に基づき、測定開始を被検者に報知するためのスタート開始音、の発声の指示出力
(ii)Aコース選択ボタン25によりAコースを選択した場合において、制限時間60秒が経過したことを被検者に報知するための終了音、の発声の指示出力
(iii)Bコース選択ボタン26によりBコースを選択した場合において、規定回数(30回)がクリアされたことを被検者に報知するためのクリヤ音、の発声の指示出力
(iv)被検者が把持する対応するパッド9A、9Bの対応する検知領域18A、18Bへの近接あるいは接触動作の度にコントロール部34で規定時間内において認知される正解動作、不正解動作に対応し、規定時間内において正解動作が認知された場合は
正解音、規定時間内において不正解動作が認知された場合は不正解音、の発声の指示出力
【0063】
音声合成装置37には、ボリュームスイッチが備えられ、該スイッチの操作によりスピーカ28から発声される音の音量の大きさが調整可能とされる。
【0064】
こうして各コース別に被検者が把持するパッド9A、9Bが対応する検知面12〜17の検知領域18A、18Bに近接あるいは接触させた動作に基づき、その判断結果を順次メモリ35に出力して記憶させることが可能となる。この結果、コースを選択した被検者における、反射神経の測定結果を、Aコースの場合はタッチ回数で、Bコースの場合は時間(秒数)で表示し、知らせることが可能となる。Aコースで実行された測定結果は、「ただいまの記録」としてタッチ回数表示部30で表示されることとなる(図6参照)。またBコースで実行された測定結果についても、「ただいまの記録」としてタイム表示部29で表示されることとなる(図6参照)。
【0065】
被検者の測定結果については、メモリ35に複数記憶させることが可能となり、これにより複数の被検者からなるグループメンバーの測定結果や同じ被検者が複数回行った測定結果についてメモリ35に記憶可能となる。
【0066】
こうした複数の測定結果のうち「最高記録」については、Aコースの場合は最高タッチ回数表示部32で、Bコースの場合は最高タイム表示部31にそれぞれ表示することが可能とされ、例えばグループメンバー間での最高記録や同じ被検者の最高記録を認識可能にしている。
【0067】
上記実施形態に係る測定装置1においての請求項記載の主たる構成要素については、図9に示すとおりの相関関係を有するものとされる。すなわち、コントロール部34から判別手段36を介して指示手段40に、被検者にパッドの近接あるいは接触実行のための指示が行うようにされ、この指示手段40については前記実施形態の場合、LED発光体21とされる。しかし指示手段40についてはこのようなものに限定されず、例えば被検者に、左右いずれかのパッド9A、9Bを対応する領域に近接あるいは接触させるため、スピーカ28から検知体の場所を表す数字と、「右」「左」、「両手」などの音声を発声させるものとしてもよく、さらにテレビモニタでこうしたアナウンスや表示を行うようにしてもよい。
【0068】
図9に示すように、本発明では検知体41から判別手段36に、検知体41で検知された信号を順次入力して検知状態の判別を行うようとしている。上記実施形態において、左右検知領域18A、18Bを備えた検知体として、第1ないし第6の検知面12〜17を本体2の左右の内面部2A、2Bに6つ備えることとしている。しかし検知体は、1つでもよく、また難易度を増すべく7つ以上の左右の検知領域を複数対備えるものとしてもよい。さらに左右の検知領域9A、9Bを備えた検知体について、上記実施形態では内面部2A、2Bを構成する基板(プリント基板)上に配設するようにしているが、感知シートや電極パッドなどシート状からなる面状体上に配設するようにしてもよい。
【0069】
図9に示すように、本発明では選択手段42において、
(1)被検者の左手に把持されるパッドを左方検知領域に近接あるいは接触させる行為
(2)被検者の右手に把持されるパッドを右方検知領域に近接あるいは接触させる行為
(3)被検者の左手に把持されるパッドを左方検知領域に近接あるいは接触させ、かつ被検者の右手に把持されるパッドを把持させるパッドを右方検知領域に近接あるいは接触させる行為
のいずれかを被検者にランダムに、あるいはアトランダムに実行させるようにし(請求項5参照)、これによりコントロール部34において、メモリ35に予め記憶された値に基づき、指示手段40による指示状態の制御、あるいは一定時間内における指示回数の設定を可能にしている。
【0070】
上記実施形態の場合、選択手段42として、各コース選択ボタン25、26並びにレベルボタン27を選択操作して合計4つのコースを選択する例が示されているが、本発明はこのような例を限定されるものではなく、例えば規定回数を可変に選択可能にしたり、制限時間当たりのLED表示体21の点滅間隔を可変に選択できるようにしてもよい。
【0071】
さらに上記実施形態では、
(1)被検者の左手に把持されるパッドを左方検知領域に近接あるいは接触させる行為
(2)被検者の右手に把持されるパッドを右方検知領域に近接あるいは接触させる行為
(3)被検者の左手に把持されるパッドを左方検知領域に近接あるいは接触させ、かつ被検者の右手に把持されるパッドを把持させるパッドを右方検知領域に近接あるいは接触させる行為
のいずれかを被検者に実行させるべく、LED発光体21の3色を選択発光させる例を中心に説明を行っているが、上記行為のうち(1)、(2)のいずれかの行為を行わせるべく、LED発光体21を赤か緑のいずれかに選択発光させるだけのものであってもよい。
【0072】
図9に示すように本発明では、コントロール部34より報知手段43に対し、判別手段36が判別した結果等を報知することとしている(請求項7参照)。この報知手段43として、上記実行形態ではスピーカ28から発声される音声に基づき被検者への報知が行われるようにしている。しかし報知手段としては、このようなものに限定されず、例えば色彩が変化する発光体、テレビモニタでの報知など様々なものが採用可能とされる。
【0073】
また上記実施形態では、測定結果の表示を各表示29、30、31、32に表示することで行うようにしているが、こうした表示に加えて、測定結果のアナウンスを報知手段としてのスピーカ28から発声させるようにしてもよい。
【0074】
図9に示すように本発明では、コントロール部34より表示手段44に対し、被検者の測定結果に係る正答数等を出力するようにしている(請求項8、9)。この表示手段44として、上記実施形態では各表示29〜32を備えた表示機3を例に挙げているが、本発明の表示手段44はこのようなものに限定されるものではなく、例えば液晶モニタ、CRTなどの表示手段を用いることとしてもよい。
【0075】
さらに、上記実施形態では、左手用パッド9Aの下面部に金属板11を被着し、左方検知領域18Aに配設される各センサ19、20から出力される検知信号に基づき、判別手段36においてその存在を認識するようにしているが、これとは別に右手用パッド9Bの下面部のみ金属板11を被着し、右方検知領域18Bに配設される各センサ19、20から出力される検知信号に基づき、判別手段36にてその近接・接触を認知させることとしてもよい。
【0076】
さらに、左手用パッド9Aの下面部に被着される金属体は、必ずしも金属板である必要はなく、要は近接センサ20により検知できる金属材であればどのような形状でもよい。
【0077】
本発明は、簡易に被検者の左右の手の動作能力としての反射神経を測定することができ、老人の健康診断用の機器として利用することが可能である。また、本発明の機器をリハビリテーション用として継続して使用することで、加齢による脳内運動プログラム消失(判断能力の遅延)を食い止めることができるばかりでなく、消失した脳内運動プログラムの代替構築効果も期待できる。さらに、本発明は、年齢に関係なく反射神経を測定するための遊具としても利用することができるので、発育期の幼児、児童、生徒にとっては、遊びながらにして脳内運動プログラム構築促進効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の最良の実施形態に係り、反射神経の測定装置の使用状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す測定装置の収納状態を示す斜視図である。
【図3】測定装置本体の内面部を広げ、支持面上に支持した状態を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う拡大断面図である。
【図5】左手用パッド並びに右手用パッドを示す正面図である。
【図6】表示機の正面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】測定装置の回路構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の各請求項において示される構成要素の関連を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0079】
1 反射神経の測定装置
2 測定装置本体
2A、2B 内面部
3 表示機
4 接続ケーブル
5 ヒンジ
6 支持面
7 把手
8A 左収納穴部
8B 右収納穴部
9A 左手用パッド
9B 右手用パッド
10 把持部
11 金属板
12 第1検知面
13 第2検知面
14 第3検知面
15 第4検知面
16 第5検知面
17 第6検知面
18A 左方検知領域(検知体)
18B 右方検知領域(検知体)
19 光電センサ
20 近接センサ
21 LED発光体(指示手段)
22 表示板
23 操作盤
24 スタートボタン
25 Aコース選択ボタン
26 Bコース選択ボタン
27 レベルボタン
28 スピーカ
29 タイム表示部
30 タッチ回数表示部
31 最高タイム表示部
32 最高タッチ回数表示部
33 電源
34 コントロール部
35 メモリ
36 判別手段
37 音声合成装置
40 指示手段
41 検知体
42 選択手段
43 報知手段
44 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の左右それぞれの手に把持されるそれぞれのパッドと、
被検者の左手に把持されるパッドの近接あるいは接触状態を検知する左方検知領域並びに被検者の右手に把持されるパッドの近接あるいは接触状態を検知する右方検知領域を備えた検知体と、
被検者に対し、
(1)被検者の左手に把持されるパッドを左方検知領域に近接あるいは接触させる行為
(2)被検者の右手に把持されるパッドを右方検知領域に近接あるいは接触させる行為
(3)被検者の左手に把持されるパッドを左方検知領域に近接あるいは接触させ、かつ被検者の右手に把持されるパッドを把持させるパッドを右方検知領域に近接あるいは接触させる行為
のいずれかを被検者に実行させるための指示手段と、
上記検知体の左右各検知領域における対応するパッドの近接あるいは接触状態を検知し、上記(1)ないし(3)の各指示に対応する行為が行われたか否かを判別する判別手段を備え、
被検者の左手に把持されるパッド、あるいは被検者の右手に把持されるパッドのいずれか一方における、検知体の対応する左右の検知領域に対する近接あるいは接触する部位に、パッドの左右を判別させるための金属体を備えることとし、
一方検知体における左右の各検知領域には、上記(1)ないし(3)の各指示に対応する行為に基づく対応するパッドの近接あるいは接触状態を検知する光電センサを配設するとともに、左右の検知領域のいずれかのうち、上記各パッドのうち被検者の左手に把持されるパッドに金属体が備えられる場合は左方検知領域に、被検者の右手に把持されるパッドに金属体が備えられる場合は右方検知領域に、パッドの金属体の近接あるいは接触状態を検知する金属体検知用の近接センサを配設し、上記判別手段は各検知領域に配設される光電センサから出力されるパッドの近接あるいは接触状態、並びに近接センサから出力されるパッドの近接あるいは接触状態に基づき、上記(1)ないし(3)の各指示に対応する行為が行われたか否かを判別することとしたことを特徴とする反射神経の測定装置。
【請求項2】
検知体は基板状またはシート状からなる面状のものとされ、該面状からなる検知体において、左右の各検知領域を複数対備えることとしてなる請求項1に記載の反射神経の測定装置。
【請求項3】
指示手段は、左右一対の各検知領域に対応して、上記(1)ないし(3)のいずれかを被検者に実行させるため、(1)ないし(3)の各行為別に赤、緑、黄の各配色を対応させ、いずれかの色彩からなる発光を可能とするLED発光体の選択発光に基づき、上記(1)ないし(3)のいずれかの実行を被検者に指示することとした請求項1あるは請求項2のいずれかに記載の反射神経の測定装置。
【請求項4】
指示手段が予め定められた一定の時間内において、上記(1)ないし(3)の各行為をランダムに、あるいはアトランダムに被検者に実行を指示させるべく、指示手段による指示状態を制御するコントロール部を備えた請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の反射神経の測定装置。
【請求項5】
コントロール部が、予め定められた一定の時間内において、上記(1)ないし(3)の各行為をランダムに、あるいはアトランダムに被検者に実行を指示させるべく、指示手段による指示状態を制御することとし、かつ該一定時間内における指示の回数を、予め記憶部に記憶された任意の値に基づき、被検者が選択するための選択手段を備えた請求項4に記載の反射神経の測定装置。
【請求項6】
コントロール部が、予め定められた一定の時間内において、上記(1)ないし(3)の各行為をランダムに、あるいはアトランダムに被検者に実行を指示させるべく、指示手段による指示状態を制御することとし、一定時間の開始を被検者が入力するための開始スイッチを備えるとともに、該開始から一定時間が経過したことを報知する報知手段を備えた請求項4または請求項5に記載の反射神経の測定装置。
【請求項7】
判別手段が判別した判別結果を、被検者が把持するパッドの対応する検知領域への近接あるいは接触動作の度に、被検者に報知する報知手段を備えた請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の反射神経の測定装置。
【請求項8】
指示手段が、予め定められた一定の時間内に実行した指示に基づく、被検者の判別結果を記憶し、一定時間内の指示の回数に占める被検者の正答数を表示する表示手段を備えた請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の反射神経の測定装置。
【請求項9】
指示手段が、上記(1)ないし(3)の各行為をランダムに、あるいはアトランダムに被検者に実行を指示させるべく、指示手段による指示状態を制御するコントロール部を備え、該コントロール部は指示手段の指示に基づく、被検者の判別結果を順次記憶し、該判別結果のうちの正答数が、予め定められた値を達成した状態において、その状態を表示する表示手段、あるいはその状態を報知する手段を備えてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の反射神経の測定装置。
【請求項10】
基板状またはシート状からなる検知体は、ヒンジを中心に開閉可能とされる容器の内面部に備えられ、使用時には該容器を開状態とし、収納時には閉状態として可搬可能としてなる請求項2に記載の反射神経の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−215895(P2007−215895A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41876(P2006−41876)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【出願人】(593072794)株式会社丹青社 (5)
【Fターム(参考)】