説明

収容ケース

【課題】 従来の糸玉の収容方法では、容器が倒れ易く、外から内部を見ることができず、内部に収容した糸の束が汚れ易く、デザインも悪かった。
【解決手段】 本件出願の収容ケースは、上部開口の下容器と、下部開口の上容器を備え、下容器は物品を収容可能な収容部を備え、上容器は下容器に収容された物品の上部に被せることのできる空間を備え、上容器の下方開口縁は下容器開口部の内側に差込んで又は外側に被せて下容器に被覆可能であり、上容器の上部に細いつまみ又は引出し部が開口されたものである。前記収容ケースにおいて、上容器と下容器の一方又は双方が透明又は半透明とした。また、下容器の底中央部に、内側上方に突出する凸部を備えた。更に、上容器の上部をつまみ又は引出し部に向けて先細りに形成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収容ケースに関し、毛糸等の手芸用や織物用の糸を巻いた糸玉の芯を抜いて収容すれば、その糸玉から糸を引き出して編んだり織ったりするときに、糸を絡まることなく引出すことができ、糸玉、装飾品、菓子等を収容して店頭に展示したり、室内のディスプレイとして使用したりすることができるものである。
【背景技術】
【0002】
手芸用や織物用の糸は芯に巻いて糸玉として販売されている。その糸を編んだり織ったりするときは、糸玉から糸を引き出しながら使用する。この場合、糸玉をテーブルの上に出したままにして糸を引出したり、糸を使用する人が夫々工夫をした容器に糸玉を入れ、その糸玉から糸を引出したりしている。糸玉の容器として紙製の空の茶筒を使用している例がある。これは、芯を抜いた糸玉を茶筒内に入れ、茶筒の蓋の上面に開けた孔から糸を引き出す方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記方法では次のような課題があった。
1.テーブルの上の糸玉から糸を引出した場合は、糸が絡まったり、汚れたりし易い。
2.茶筒を使用した場合は、茶筒は通常、縦長であるため安定感がなく、糸を引出した際に倒れ易い。また、茶筒内に収容した糸玉が外から見えないため、糸の残量が分からず不便である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の収容ケースは、安定して倒れにくく、内部に収容した物品を外から見ることができ、糸玉が汚れにくく、糸を引き出し易く、陳列容器としてのデザインにも優れたものである。
【0005】
本件出願の収容ケースは、上部開口の下容器と、下部開口の上容器を備え、下容器は物品を収容可能な収容部を備え、上容器は下容器に収容された物品の上部に被せることのできる空間を備え、上容器の下方開口縁は下容器開口部の内側に差込んで又は外側に被せて下容器に被覆可能であり、上容器の上部に細いつまみ又は引出し部が形成されている。上容器と下容器の一方又は双方は透明又は半透明として、内部の収容物を外部から見えるようにすることができる。下容器の底中央部にその内側上方に突出する凸部を設けて、芯を抜いた糸玉を下容器内に収容すると、芯の抜き跡の空間に凸部が嵌るようにすることもできる。上容器の上部がその上方中央部に向けて先細りに形成され、その先につまみ又は引出し部を形成することもできる。
【発明の効果】
【0006】
本件出願の収容ケースは次のような効果がある。
(1)上容器の下方開口縁を、収容部を備えた下容器の開口部の内側に差込んで又は外側に被せて下容器に被覆可能としたので、下容器に被せた上容器が安定する。
(2)上容器に引出し部を設けてあるので、下容器の収容部に糸玉を収容し、それに上容器を被せ、上容器の引出し部から糸を引出せば、糸が絡まることなくスムースに引出され、編み物、織物がし易くなる。
(3)下容器の収容部内に糸玉、装飾品を収容し、その下容器に上容器を被せれば収容物が汚れないので、装飾ケースとして使用することもできる。
(4)上容器の上部に細いつまみを備えたので、つまみを摘んで上容器を着脱できるため、開閉し易くなる。
(5)上容器と下容器の一方又は双方を透明又は半透明とすれば、内部に収容した糸玉の色や糸の残量等を外部から目視して確認することができるため便利である。上容器と下容器の色の組み合わせを変えることによってケースに変化をもたせるとこができ、配色豊かなデザインとなる。
(6)下容器の底中央部に内側上方に突出する凸部を設けた場合は、芯を抜いた糸玉を縦向きに収容すると、その凸部が糸玉の上下に貫通する芯の抜き跡空間に嵌るため、糸玉が安定し、下容器内で型崩れせず、糸がスムースに引出される。
(7)上容器の上部をその上方中央部に向けて先細りにし、その先に、つまみ又は引出し口が形成されているので、ケース全体が大型化せず、体裁が良い。しかも、つまみ又は引出し部が上容器の中心部上方に位置するため上容器自体が安定性に優れ、下容器に被せても容器全体の安定性が良い。また、ケース内に収容された糸が上容器の先細り部分に沿って引出し部に誘引されるため、引出し部で詰まるようなことがなく、糸の引き出しがスムースになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(実施形態1)
本発明の収容ケースの実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図1、図2の収容ケース1は、図3(a)のように芯20の外周に巻かれている手芸用糸又は織物用糸から、芯20を抜いて、図3(b)のように中央部に芯の抜き跡空間21が貫通されている手芸用糸又は織物用糸の糸玉(以下単に「糸玉」という。)4を収容するのに適するものである。
【0008】
この収容ケース1は、図2に示すように、糸玉4を収容可能な収容部15を有する下容器2と、その下容器2に被せる上容器3を備えている。
【0009】
前記下容器2は、図2、図4に示すように、上部開口に形成され、その内部が糸玉4を収容可能な容積の収容部15となっている。この収容部15には図3(a)(b)に示すような糸玉4に限らず、装飾品や菓子等、任意の物品を収容することもできる。下容器2の寸法は、例えば、深さ(高さ)Hを6cm前後、幅Wを11cm前後、奥行きDを8cm前後とすることができる。それらの寸法は前記数値に限られるものではなく、任意の数値とすることができる。下容器2は任意の部材によって形成することができるが、透明又は半透明であって、丈夫で、軽い材料、例えば、プラスチック製とするのが望ましい。
【0010】
下容器2の底中央部には図2、図4に示すように、底面を内側上方に山型に突出させて凸部7が形成されている。この凸部7を設けることにより、図3(a)の芯20を抜いた図3(b)の糸玉4を縦向きに下容器2内に収容したときに、糸玉4の上下に貫通する芯の抜き跡空間21の下端に嵌り、糸玉4が安定し、糸玉が下容器2内で型崩れせず、糸がスムースに引出されるようになる。凸部7の形状は、図に示す山型には限られず、棒状、半球状等、任意の形状とすることができる。凸部7の数も一つには限られず任意の数だけ設けることができる。また、凸部7の形成方法は、図に示すような下容器2との一体成形には限られず、下容器2と別個に成形した凸部7を下容器2の底面に取付けることも可能である。
【0011】
下容器2は透明とか半透明であっても良く、また、全体又は一部分だけ、例えば、開口縁12だけに着色を施すこともできる。色は所望の色とすることができる。一色ではなく、二色以上の組合せとすることもできる。更には、図形、花、動物等の模様、幾何学模様等の各種デザインを施すこともできる。
【0012】
前記上容器3は、図2、図4に示すように、下部開口に形成されており、前記下容器2に被覆可能なサイズとしてある。上容器3の内側には下容器2に収容された糸玉のうち、下容器2の上方に突出している部分に被せることのできる空間16を備えている。上容器3も前記下容器2と同様に任意の材料によって形成することができ、丈夫で、軽い部材、例えばプラスチック等によって形成することが望ましい。上容器3のサイズは、例えば、高さhを8cm前後、幅wを11cm前後、奥行きdを8cm前後とすることができる。これら寸法はそれら数値に限られるものではなく、任意の数値とすることができる。
【0013】
上容器3の開口部9は、図1、図4に示すように、下容器2の開口部8よりも小さく形成されて、上容器3の開口部9の開口縁13を下容器2の開口部8の開口縁12の内側に差込むことができるようにしてある。上容器3の下容器2への差込み深さは、上容器3の開口部9のサイズと下容器2の開口部8のサイズによって決まる。
【0014】
上容器3は図1、図2、図4に示すように、その上部が上方中央部に向けて先細りに形成されており、その上端部に細長のつまみ又は引出し部10を形成してある。引出し部10の場合はその上端を開口させて、下容器2内に収容されている糸玉4から糸を引き出すことができるようにする。つまみの場合はその上端を開口することも閉塞することもできる。つまみ又は引出し部10の寸法も任意にすることができるが、例えばその高さを3cm前後、その直径を2cm前後とすることができる。それら寸法は前記数値に限られるものではなく任意の数値とすることができる。また、つまみ又は引出し部10の外周に螺旋状に突起を形成して、引出し部10から引出した糸5を巻いておくこともできる。つまみ又は引出し部10の形成方法は、図に示すような上容器3との一体成形には限られず、容器3と別個に成形したつまみ又は引出し部10を上容器3に取付けて形成することも可能である。
【0015】
下容器の寸法、上容器の寸法、つまみ又は引出し部の寸法等を前記のようにすれば、ケース全体が安定し、引出し口から糸を引き出し易くなり、糸を引き出すときに容器が倒れにくくなる。また、それら寸法を変えることによってケースのデザインを変えることができ、斬新なデザインのケースを作り出すことができる。
【0016】
引出し部10の開口部6内は、図1、図2に示すように、十字状の仕切り11で四つに区画されている。このようにすれば、ケース内に糸玉4を二以上収容し、夫々の糸玉から引出す糸を別々の区画口から引出することができるため糸が絡まない。仕切り11は開口部6内を複数個に区画できれば他の形状であってもよい。例えばY字状にして開口部を3つに区画したり、一枚にして開口部を2つに区画したりすることができる。もっとも、仕切り11を省略することもできる。また、引出し部10を上容器3と別個に成形した場合には、異なる仕切り11を備える引出し部10と交換することによって、仕切り11を交換することもできる。
【0017】
上容器3も透明とか半透明としたり、全体又は一部分だけ、例えば、開口縁13だけに着色を施したりすることもできる。色は所望の色とすることができる。一色ではなく、二色以上の組合せとすることもできる。更には、図形、花、動物等の模様、幾何学模様等の各種デザインを施すこともできる。
【0018】
(実施形態2)
実施形態1の収容ケースは、多少、横長四角形であるが、その形状は、円形、楕円形、多角形といった各種形状にすることができる。実施形態1ではつまみ又は引出し部10の形状は円筒状であるが、その形状も四角形或は多角形とすることもできる。
【0019】
(実施形態3)
実施形態1の上容器3はその開口部9を、下容器2の開口部8よりも小さくして、下容器2の開口部8内に差込可能としてあるが、上容器3はその開口部9を下容器2の開口部8よりも大きくして、その開口縁13を下容器2の開口部8の外側に被せるようにすることもできる。
【0020】
(実施形態4)
本発明の収容ケースの上容器2及び下容器3は、飲料用のペットボトルや瓶等を底寄りの部分(下部)と、注ぎ口寄りの部分(上部)の二箇所で切断し、その下部と上部の中間部を除き、下部を下容器2とし、上部を上容器3として用いることもできる。この場合は上容器3の開口部9の開口縁13を下容器2の開口部8の開口縁12の内側に差込んで上容器3を下容器2に被覆することができる。また、上容器3及び下容器2の開口縁(切断縁)は丸みを持たせるとか、テープを被せる等して手や指が切れないように安全策を講じておくことが望ましい。
【0021】
(実施形態5)
本発明の収容ケースは、下容器2の底部や凸部7に、下容器2の内側または外側から、ビー玉、着色した砂、粘土等の任意の錘を取付けて、収容ケースをより転倒しにくくすることもできる。その際、図4に示すように、下容器2の内側に突出した凸部7の外側に形成された空間30内に錘を備え、下容器2の外側から蓋をして錘を取付けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の収容ケースは、手芸用や織物用の糸に限らず、布紐、ビニール紐、電気コード、ワイヤー、リボン等、任意の索条や帯状体を収容し、それらを引出すのに使用することもできる。収容ケース内には所望のものを収容して、店内やショーウインドー等に展示することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の収容ケースの実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示す収容ケースを示す分解斜視図。
【図3】(a)は、芯の外周に巻かれている手芸用糸又は織物用糸の糸玉を示す斜視図。(b)は、(a)に示す糸玉から芯を抜き、中央部に芯の抜き跡空間を貫通した糸玉を示す斜視図。
【図4】図1に示す収容ケースの使用の様子を示す側面断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 収容ケース
2 下容器
3 上容器
4 糸玉
5 糸
6 開口部
7 凸部
8 開口部(下容器)
9 開口部(下容器)
10 引出し部(つまみ)
11 仕切り


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口の下容器と、下部開口の上容器を備え、下容器は物品を収容可能な収容部を備え、上容器は下容器に収容された物品の上部に被せることのできる空間を備え、上容器の下方開口縁は下容器開口部の内側に差込んで又は外側に被せて下容器に被覆可能であり、上容器の上部に細いつまみ又は引出し部が形成されたことを特徴とする収容ケース。
【請求項2】
請求項1記載の収容ケースにおいて、上容器と下容器の一方又は双方が透明又は半透明であることを特徴とする収容ケース。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の収容ケースにおいて、下容器の底中央部に、内側上方に突出する凸部を備えたことを特徴とする収容ケース。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3記載の収容ケースにおいて、上容器の上部がその上方中央部に向けて先細りに形成され、その先に、つまみ又は引出し部が形成されたことを特徴とする収容ケース。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−111299(P2006−111299A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299591(P2004−299591)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(304045088)
【Fターム(参考)】