説明

収容箱

【課題】製造コストが安価で、成形等に長時間を必要とせず、しかも、保管時や搬送時に広いスペースを必要としない収容箱を提供する。
【解決手段】レフィル用中皿5を収容する箱本体1と、この箱本体1に収容され上記レフィル用中皿5を収容保持するボックス状の保持体6とを備えている。そして、この保持体6が、折り曲げ線入りプラスチックシートの上記折り曲げ線を折り曲げたものからなり、上記レフィル用中皿5を収容する収容部8と、この収容部8の外周縁部に折り曲げ線を介して連結され上記収容部8を蓋する蓋部9とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクト容器,化粧皿,レフィル容器,レフィル用中皿等の化粧料容器,化粧品,化粧用具,割れ物,日用品,食料品,雑貨品等の各種の商品を収容するのに用いられる収容箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レフィル容器,レフィル用中皿等の各種化粧料容器を収容する容器として、図13に示すような化粧料の交換用中皿の収納容器が出回っている。この収納容器は、PET樹脂を用い真空成形により作製したものであり、凹所41aが形成された容器本体41と、この容器本体41に折り曲げ自在に連結された蓋体42とを備え、上記容器本体41の凹所41aに、化粧料43を充填した交換用中皿44を嵌合して収納している。そして、閉蓋時には、上記容器本体41側に蓋体42を折り曲げて上記容器本体41の側壁45に蓋体42を外嵌し、上記容器本体41の側壁45に設けた凸部45aに、蓋体42に設けた凹部42aを着脱自在に係合させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。図において、46は上記容器本体41の凹所41aに突設した凸条であり、上記容器本体41の凹所41aに中皿44を収納する際に、この中皿44の外周面に着脱自在に係合する作用をする。このような収納容器は、通常、包装箱等に入れた状態で運搬,販売等されている。
【特許文献1】特開平10−75817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の収納容器は、PET樹脂を用いて真空成形したものであるため、製造コストが高価になるうえ、真空成形に長時間を要する。しかも、上記容器本体41に凸部45a,凸条46を形成し、上記蓋体42に凹部42aを形成しているため、構造が複雑であり、さらに製造コストが高価になる。しかも、上記容器本体41は、中皿44を収納しうる高さに形成されているとともに、上記蓋体42は、上記容器本体41に外嵌しうる形状に形成されているため、上記の収納容器は非常に嵩張り、これを保管し、もしくは(これに中皿44を収納する)工場等に搬送する際に、保管や搬送のために広いスペースが必要となる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、製造コストが安価で、成形等に長時間を必要とせず、しかも、保管時や搬送時に広いスペースを必要としない収容箱の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の収容箱は、物品を収容する箱本体と、この箱本体に収容され上記物品を収容保持するボックス状の保持体とを備え、この保持体が、折り曲げ線入りシートの上記折り曲げ線を折り曲げたものからなり、上記物品を収容する収容部と、この収容部の外周縁部に折り曲げ線を介して連結され上記収容部を蓋する蓋部とを有しているという構成をとる。
【発明の効果】
【0006】
すなわち、本発明の収容箱は、物品を収容する箱本体と、この箱本体に収容され上記物品を収容保持するボックス状の保持体とを備えている。そして、上記保持体が、折り曲げ線入りシートの上記折り曲げ線を折り曲げたものからなり、上記物品を収容する収容部と、この収容部の外周縁部に折り曲げ線を介して連結され上記収容部を蓋する蓋部とを有している。このように、本発明の収容箱では、その箱本体に物品を収容保持するために用いられる保持体は、折り曲げ線入りシートの上記折り曲げ線を折り曲げて作製したものであるため、折り曲げ線入りシートを作製する際には、打ち抜き型でシートに折り曲げ線を形成し、組み立てに際しては、上記折り曲げ線入りシートを組立ライン等に流して自動的に組み立てることができ、従来例のように、真空成形するものと比べ、安価に製造することができるうえ、上記打ち抜き作業や組み立て作業に長時間を要しない。しかも、上記(物品を収容保持した)保持体を箱本体に収容しているため、上記保持体自体が保形性を有していなくても、上記箱本体に収容しうる形状に折り曲げることができれば、箱本体に収容して販売等することができる。したがって、上記保持体は、それ自体が保形性を有している必要がなく、蓋部を収容部側に折り曲げてこの蓋部で収容部を蓋しうる構造であればよいため、構造を簡単にすることができ、さらに製造コストが安価になる。しかも、折り曲げ線入りシートは平板であるため、全く嵩張らず、これを保管し、もしくは組み立て工場等に搬送する際に、保管用や搬送用として広いスペースを必要としない。
【0007】
また、上記保持体の収容部が、上記物品を載置する載置板部と、この載置板部の外周部から上向きに折り曲げられる落下防止板部と、この落下防止板部の上端部から外側に向かって下向き傾斜状に折り曲げられる脚部とを備え、この脚部を上記箱本体の内面上に載置した状態で、上記載置板部と上記箱本体の内面との間に所定の隙間が形成され、上記蓋部が、上記載置板部に載置される商品を覆う天板部と、この天板部の外周部から外側に向かって下向き傾斜状に折り曲げられる裾板部とを備え、この裾板部の下部が上記脚部に沿って配設されていると、上記収容部の載置板部と上記箱本体の内面との間に所定の隙間(すなわち、空気層)を形成することができるうえ、上記蓋部の裾板部を、天板部の外周部から外側に向かって下向き傾斜状に折り曲げ形成しているため、上記裾板部と上記箱本体の内面との間にも空気層を形成することができ、これら空気層は緩衝作用を有していることから、上記箱本体を床上に落とす等して落下時の衝撃が箱本体に作用しても、この衝撃を上記空気層の緩衝作用で緩衝することができ、上記箱本体に収容された商品を保護して、商品が破損,損傷等するのを防ぐことができる。しかも、上記収容部の落下防止板部の上端部と脚部の上端部とを連結する連結部分(折り曲げ部分)が撓みやすく、緩衝作用を有するため、上記連結部分でも上記衝撃を緩衝することができ、より一層商品を保護することができる。
【0008】
また、上記天板部の外周部から縦板部が上向きに折り曲げられ、この縦板部の上端部から外側に向かって下向き傾斜状に裾板部が折り曲げられていると、上記縦板部により上記天板部の上方にも空気層を形成することができ、この空気層の緩衝作用によっても、上記箱本体に収容された商品を保護することができる。しかも、上記蓋部の縦板部の上端部と裾部の上端部とを連結する連結部分(折り曲げ部分)が撓みやすく、この連結部分でも上記衝撃を緩衝することができ、さらに商品を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0010】
図1は本発明の収容箱の一実施の形態を示している。この実施の形態では、上記収容箱に収容される物品として、レフィル用中皿を用いている。図において、1は直方体形状のプラスチック製もしくは紙製の箱本体であり、その上板1aには窓部2が形成されている。また、上記箱本体1の一横側面(図では、前面)は開口しており、この開口部のうち、上記上板1aの端縁から蓋板3が折り曲げ自在に突設されているとともに、左右両側板1bの端縁から左右一対の突片4が折り曲げ自在に突設されている。5は内部にファンデーション等の固形化粧料5a(図7参照)が充填された金属製もしくはプラスチック製のレフィル用中皿である。
【0011】
6はボックス状(箱状)の保持体であり、上記レフィル用中皿5を収容保持した状態で上記箱本体1に収容されている。上記保持体6は、図2に示す折り曲げ線入りプラスチックシート(罫線入りプラスチックシート)7を折り曲げたものであり、上記レフィル用中皿5を収容する皿状の収容部8と、この収容部8の上面を蓋する蓋部9とからなっている(図3参照)。このような折り曲げ線入りプラスチックシート7は、1枚の四角形状の透明プラスチックシート(図示せず)に対し、罫線刃(図示せず)を備えた打ち抜き装置を用いて打ち抜き加工を行ったものであり、所定の外形に形成されているとともに、所定の位置に折り曲げ線(罫線)21〜29が設けられている。
【0012】
すなわち、上記折り曲げ線入りプラスチックシート7は、四角形状の載置板部11と、この載置板部11の前後両側辺から折り曲げ線21を介して延設される前後一対の落下防止板部12と、これら両落下防止板部12の一側辺(前側落下防止板部12の前側辺および後側落下防止板部12の後側辺)から折り曲げ線22を介して延設される前後一対の連結板部13と、これら両連結板部13の一側辺(前側連結板部13の前側辺および後側連結板部13の後側辺)から折り曲げ線23を介して延設される前後一対の脚部14と、上記載置板部11の左右両側辺から折り曲げ線24を介して延設される左右一対の落下防止板部15と、これら両落下防止板部15の一側辺(左側落下防止板部15の左側辺および右側落下防止板部15の右側辺)から折り曲げ線25を介して延設される左右一対の脚部16とを備えており、これら各部11〜16で収容部8が構成されている。
【0013】
また、上記折り曲げ線入りプラスチックシート7は、四角形状の天板部17と、この天板部17の前後両側辺から折り曲げ線26を介して延設される前後一対の裾板部18と、上記天板部17の左右両側辺から折り曲げ線27を介して延設される左右一対の縦板部19と、これら両縦板部19の一側辺(左側縦板部19の左側辺および右側縦板部19の右側辺)から折り曲げ線28を介して延設される左右一対の裾板部20とからなっており、後側の脚部14と前側の裾板部18とが折り曲げ線29を介して一体に連結している。また、上記各部17〜20で上記蓋部9が構成されている。
【0014】
上記折り曲げ線入りプラスチックシート7を用意し、これを組立ラインに供給することにより、箱本体1にレフィル用中皿5を収容することができる。まず、折り曲げ線入りプラスチックシート7を、上記組立ラインに設けた折り曲げ装置(図示せず)に供給し、この折り曲げ装置を通過する間に折り曲げ線入りプラスチックシート7の各折り曲げ線21〜29を折り曲げ、図3〜図6に示すような形状の保持体6に折り曲げ形成し、つぎに、収容部8の載置板部11上にレフィル用中皿5を載置し、つぎに、蓋部9を収容部8側に折り曲げて(図7および図8参照)載置板部11上に載置したレフィル用中皿5を蓋部9で蓋したのち、この閉蓋状態で保持体6を箱本体1内に挿入して収容することを行う(図9および図10参照)。
【0015】
この状態では、上記保持体6(折り曲げられた折り曲げ線入りプラスチックシート7)が、折り曲げられた状態から元の平板の状態に戻ろうとして、上記各部12〜20(載置板部11を除く)が各折り曲げ線21〜29を中心軸として外側に回動して拡がろうとするため、上記箱本体1の底面(底板1cの上面)に各脚部14,16の下端部が押圧状に当接し、上記箱本体1の上面(上板1aの下面)に両裾板部20の上端部(すなわち、両縦板部19の上端部)が押圧状に当接し、上記箱本体1の左右両側面,前後両側面(左右両側板1b,前後両側板1dの内面)に各裾板部18,20の下端部が押圧状に当接している。また、上記箱本体1の底面と収容部8の載置板部11との間、上記箱本体1の左右両側面,前後両側面と各裾板部18,20との間、および上記箱本体1の上面と天板部17との間に空気層が形成されている。また、上記両脚部16の上端部と両落下防止板部15の上端部との連結部分、および両裾板部20の上端部と両縦板部19の上端部との連結部分が、鋭角に折れ曲がった状態で連結されており、撓みやすい構造になっている。
【0016】
上記のように、この実施の形態では、箱本体1にレフィル用中皿5を収容保持するために用いられる保持体6は、折り曲げ線入りプラスチックシート7を折り曲げたものであるため、折り曲げ線入りプラスチックシート7を作製する際には、罫線刃でプラスチックシートを打ち抜き加工したのち、組立ライン等に供給することで自動的に組み立てることができ、従来例のように、真空成形するものと比べ、安価に製造することができるうえ、上記打ち抜き加工や組み立て作業に長時間を要しない。しかも、上記保持体6は、それ自体が保形性を有する必要がないため、蓋部9を折り曲げてこの蓋部9で収容部8を蓋しうる構造であればよく、構造を簡単にすることができ、さらに製造コストが安価になる。しかも、折り曲げ線入りプラスチックシート7は平板であるため、嵩張らず、これを保管し、もしくは組み立て工場等に搬送する際に、保管用や搬送用として広いスペースを必要としない。しかも、上記したように、上記箱本体1に複数の空気層を形成しているため、上記箱本体1を床上に落とす等して落下時の衝撃が箱本体1に作用しても、この衝撃を上記各空気層の緩衝作用で緩衝することができ、上記保持体6に収容保持したレフィル用中皿5を保護し、これに充填した固形化粧料5aが破損,損傷等するのを防ぐことができる。しかも、上記各連結部分が、鋭角に折れ曲がっていて、撓みやすい構造になっているため、上記各連結部分でも上記衝撃を緩衝することができ、より一層レフィル用中皿5を保護することができる。
【0017】
図11および図12は本発明の収容箱の他の実施の形態を示している。この実施の形態では、保持体6に左右一対の縦板部19を設けていない。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、上記実施の形態と同様の作用・効果を奏する。ただし、この実施の形態では、上記箱本体1の上面と天板部17との間に空気層が形成されていないため、上記箱本体1の上面と天板部17との間では、上記緩衝作用を有しない。
【0018】
なお、上記両実施の形態では、上記保持体6として、折り曲げ線入りプラスチックシート7を折り曲げたものを用いているが、これに限定するものではなく、紙製のシートを、罫線刃を備えた打ち抜き装置を用いて打ち抜き加工をし、これを折り曲げたものを用いてもよい。また、上記両実施の形態において、物品として、コンパクト容器,レフィル容器を用いる場合には、皿状(底面があるもの)であってもよいし、枠状(底面がないもの)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の収容箱の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】折り曲げ線入りプラスチックシートの平面図である。
【図3】保持体の斜視図である。
【図4】上記保持体の断面図である。
【図5】上記保持体の要部の断面図である。
【図6】上記保持体の他の要部の断面図である。
【図7】蓋部を収容部側に折り曲げている状態を示す斜視図である。
【図8】上記蓋部を収容部側に折り曲げている状態を示す断面図である。
【図9】箱本体に保持体を収容した状態を示す断面図である。
【図10】上記箱本体に保持体を収容した状態を示す要部の断面図である。
【図11】本発明の収容箱の他の実施の形態を示す断面図である。
【図12】上記収容箱の要部の断面図である。
【図13】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 箱本体
5 レフィル用中皿
6 保持体
8 収容部
9 蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する箱本体と、この箱本体に収容され上記物品を収容保持するボックス状の保持体とを備え、この保持体が、折り曲げ線入りシートの上記折り曲げ線を折り曲げたものからなり、上記物品を収容する収容部と、この収容部の外周縁部に折り曲げ線を介して連結され上記収容部を蓋する蓋部とを有していることを特徴とする収容箱。
【請求項2】
上記保持体の収容部が、上記物品を載置する載置板部と、この載置板部の外周部から上向きに折り曲げられる落下防止板部と、この落下防止板部の上端部から外側に向かって下向き傾斜状に折り曲げられる脚部とを備え、この脚部を上記箱本体の内面上に載置した状態で、上記載置板部と上記箱本体の内面との間に所定の隙間が形成され、上記蓋部が、上記載置板部に載置される商品を覆う天板部と、この天板部の外周部から外側に向かって下向き傾斜状に折り曲げられる裾板部とを備え、この裾板部の下部が上記脚部に沿って配設されている請求項1記載の収容箱。
【請求項3】
上記天板部の外周部から縦板部が上向きに折り曲げられ、この縦板部の上端部から外側に向かって下向き傾斜状に裾板部が折り曲げられている請求項2記載の収容箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−20773(P2007−20773A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205314(P2005−205314)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】