説明

収納ケース

【課題】
ケースの収納部から物品を取り出す際、収納部の平坦なトレー上に載せ置かれているコンパクトディスク等の薄板状物品をしっかりと保持できて、取り出しの際の物品の落下事故を低減できる収納ケースを提供できるようにした。
【解決手段】
収納ケースを、収納部3を備えるケース本体1と、ケース本体1における収納部開口4側に接続されて、収納部3上に折り畳めるフラップ片2とより構成し、また収納部3内に、一端をフラップ片2の内方に接続されて、収納部開口4より収納部3内に入る被収納物を載せ置くトレー5を設け、かつトレー5に山折り状の折り目6を設けて、同山折り状の折り目6は、トレー5がフラップ片2を開いてケース本体1の収納部3内より被収納物を取り出す状態において、トレー5における収納部3の外部に出ている部分の両端に渡りフラップ片2の開閉方向に対して略直交方向に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトディスク等の薄板状物品を収納するための収納ケースに関し、より詳しくは、収納する物品を取り出し易くした収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクトディスク等の記録媒体はプラスチックケースに収納するのが主流であったが、環境重視の今日では、環境負荷が大なる前記プラスチック製のケースから環境負荷が小なる紙製のケースに変わりつつある。
【0003】
この紙製のケースにおけるコンパクトディスクの収納形態は、(例えば、特許文献1、2参照)のように、収納部内に有する平坦なトレー上にコンパクトディスクを載せ置いて収納している。
【0004】
そして、ケース内からコンパクトディスクを取り出す際は、ケースの収納部における収納用開口を塞いでいるフラップ片を開け、かつ同フラップ片が邪魔になることからフラップ片を他の指で強制的に収納用開口の下方に押し退けて、同状態を保ったままで、平坦なトレー上に載せ置かれているコンパクトディスクを、同コンパクトディスクにおける中央の通孔に入れた親指と同コンパクトディスクの周縁に係着した人差し指で摘んで取り出していた。
【0005】
しかしながら、コンパクトディスク、トレー上(載せ置き面)ともに平坦であり、また、開放したフラップ片を小指等で強制的に収納用開口の下方に押し退けた状態のままコンパクトディスクを取り出さなければならないので、同平坦なトレー上に載せ置かれているコンパクトディスクを取り出す際、コンパクトディスクは非常に不安定な状態となり、時には、コンパクトディスクを落としてしまうことも多々あった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4028133号公報(第1〜9頁、図1〜10)
【特許文献2】特開2001−48278号公報(第1〜19頁、図1〜39)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ケースの収納部に収納している物品を取り出す際に、同収納部の平坦なトレー上に載せ置かれているコンパクトディスク等の薄板状物品をしっかりと保持できるようにして、取り出しの際における物品の落下事故を低減できる収納ケースを提供できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る収納ケースは、物品を収容する袋状の収納部を備えるケース本体と、同ケース本体における収納部開口側の端辺に続いて折り目を介して接続され、同収納部上に折り畳むことができるフラップ片とよりなり、また前記収納部内には、一端を折り目を介して前記フラップ片の内方に接続して、収納部開口より収納部内に入る被収納物を載せ置くトレーを設けており、かつ同トレーには山折り状の折り目を設けていて、同山折り状の折り目は、フラップ片を開いてケース本体の収納部内より被収納物を取り出す状態において、トレーにおける収納部の外部に出ている部分の両端に渡りフラップ片の開閉方向に対して略直交方向に設けており、被収納物をケース本体の収納部より取り出す際に、ケース本体の収納部上に折り畳まれたフラップ片の開放とともに収納部内より引き出されるトレーが、前記山折り状の折り目より山折れ状態となり、同トレーとともに収納部内より引き出されるトレー上の被収納物における山折り状の折り目よりもフラップ片寄りに位置する部位を、同トレー上より浮き上がらせるように構成したものとしてある。
【0009】
また前記収納部のフラップ片が折り重なる面の開口縁略中央に、同収納部の中心内方に向かって少なくとも指の先端が入る幅の所定長さの切り欠きを設けたものとしてある。
【0010】
また前記トレー上に、被収納物を収容保持するための部屋を複数積層したものとしてある。
【0011】
また、前記部屋を仕切る仕切り板の部屋入り口側の端縁略中央に、同仕切り板の中心内方に向かって少なくとも指の先端が入る幅の所定長さの切り欠きを設けたものとしてある。
【0012】
また前記ケース本体とフラップ片およびフラップ片とトレーを接続する折り目の部分に、被収納物の厚みに対応する幅のまちを設けたものとしてある。
【0013】
また前記ケース本体、フラップ片、トレーの各部を一枚の薄板部材に連設して形成し、所定の折り目で折り上げることにより組み立ててなるようにしたものとしてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の収納ケースによれば、同収納ケースに収納している被収納物を取り出す際に、被収納物の一側を、同被収納物を載せ置いているトレー面より浮き上がるようにしているので、例えば、コンパクトディスク等の薄板状物品を取り出す際も、コンパクトディスクの周縁に指(例えば親指)をしっかりと係着できて、これによってコンパクトディスクの周縁が指(例えば親指)によってしっかりと保持され、同コンパクトディスクにおける中央の通孔にも指(例えば人差し指)をしっかりと入れ込むことができる。
【0015】
したがって、コンパクトディスクを指(例えば親指と人差し指)によってしっかりと保持した状態で、同コンパクトディスクを収納ケースより取り出すことができるので、取り出しの際におけるコンパクトディスク(被収納物)の落下事故を低減することができる。
【0016】
また、ケース本体の収納部上に折り畳んで同収納部開口を塞ぐためのフラップ片を、同開口と反対側の収納部端部付近まで被さるようにして収納ケースを表表紙と裏表紙のあるブック状にしているので、同フラップ片を開けば、同収納ケース内に収納している被収納物をすぐ取り出すことができる。
すなわち、フラップ片を開くワンアクションで被収納物を取り出せる収納ケースである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る開いた状態の収納ケースを示す斜視図。
【図2】収納ケースの閉じた状態を示す斜視図。
【図3】コンパクトディスクを収納している状態を示す一部破断斜視図。
【図4】収納ケースの開放過程を連続的に示した収納ケースを側面より見た図。
【図5】図4中(c)〜(e)図の一部拡大図。
【図6】収納ケースの展開図。
【図7】収納部を2段にした収納ケースを示す斜視図。
【図8】コンパクトディスクを2枚収納している状態を示す一部破断斜視図。
【図9】図7に示した収納ケースの展開図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る収納ケースを、添付図面のコンパクトディスク用に構成している収納ケースを例にして説明する。
【0019】
収納ケースは、コーティング紙等の紙材を用いて形成するのが好ましいが、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製のシートを用いて形成する場合もある。
【0020】
そして収納ケースは、図1に示すように、物品を収容する袋状の収納部3を備えるケース本体1と、同ケース本体1の収納部3上に折り畳むことができるフラップ片2とより構成していて、同ケース本体1とフラップ片2は、折り目7、まち8を介して接続している。
【0021】
またフラップ片2は、図2に示すように、収納部開口4と反対側の収納部3端部付近まで被さるようにしていて、収納ケースを、表表紙と裏表紙のあるブック状スタイルにしている。
【0022】
そして、ケース本体1の収納部3内には、一端をフラップ片2の内方に接続して、収納部開口4より収納部3内に入る被収納物(コンパクトディスク)を載せ置くトレー5を設けていて、同フラップ片2とトレー5も、折り目7、まち8´を介して接続している。
【0023】
さらにトレー5には山折り状の折り目6を設けていて、同山折り状の折り目6は、フラップ片2を開いてケース本体1の収納部3内より被収納物(コンパクトディスク)を取り出す状態(図1に示した状態)において、トレー5における収納部の外部に出ている部分の両端に渡りフラップ片2の開閉方向に対して略直交方向に設けている。
【0024】
また図3に示すように、トレー5の収納部3内に位置する遊端部側には受け片13を設けていて、トレー5上に載せ置かれているコンパクトディスク12が同トレー5上より落ちないようにしている。
【0025】
そして、前記まち8、8´は、実施例で示している収納ケースがコンパクトディスク用に構成しているものなので、まち8、8´の幅を、コンパクトディスクの厚みに対応させた幅にしている。
【0026】
またコンパクトディスク用に構成している収納ケースなので、コンパクトディスク12を取り出す際に同コンパクトディスク12の中心孔に指を掛けられるように、収納部3のフラップ片が折り重なる面の収納部開口4端縁より続く少なくとも指の先端が入る幅の切り欠き9を設けている。
【0027】
次に、収納ケース内より被収納物たるコンパクトディスクを取り出す際における収納ケースの動きを図4中の(a)〜(e)図を用いて説明する。
【0028】
先ず、コンパクトディスク12が収納された収納ケース(図4中(a)図)のケース本体1の収納部3上に折り畳まれたフラップ片2を開放して行くと、同フラップ片2の開放とともに収納部3内よりトレー5が引き出されとくる(図4中(b)図)。
【0029】
さらにフラップ片2を開放して行くと、トレー5上に載せ置かれているコンパクトディスク12が現れてくる(図4中(c)図)。
【0030】
同フラップ片2の開放を続けると、フラップ片2の開放とともに収納部3内よりトレー5に設けている山折り状の折り目6が現れてくる(図4中(d)図)。
【0031】
そして同フラップ片2が、図4中(d)図の開放途中の状態から図4中(e)図のフラップ片2の開放完了の状態になるに従い、トレー5に設けている山折り状の折り目6が山折れ状態になって行き、図4中(e)図に示すように、収納物たるコンパクトディスク12の一側がトレー5上より浮き上がる。
【0032】
したがって、コンパクトディスク12の周縁に指をしっかりと係着することができる。
【0033】
そして本収納ケースは、図6に示すように、ケース本体1、フラップ片2、トレー5の各部を一枚の薄板部材に連設して形成し、所定の折り目で折り上げることにより収納ケーを組み立てられるように構成する場合もある。
【0034】
また、図7に示すように、ケース本体1の収納部3内に設けているトレー5に仕切り板10を設け、同仕切り板10により、トレー5上に被収納物たるコンパクトディスクを収納する部屋を上下2段に設ける場合もある。
【0035】
したがって、図8に示すように、コンパクトディスクをトレー5上に1枚(コンパクトディスク12)と、仕切り板10上に1枚(コンパクトディスク12´)の計2枚のコンパクトディスクが収納できる。
【0036】
またコンパクトディスク用に構成している収納ケースなので、仕切り板10上のコンパクトディスク12´がない場合、仕切り板10下のトレー5上に収納しているコンパクトディスク12を取り出す際に同コンパクトディスク12の中心孔に指を掛けられるように、仕切り板10における収納部開口4側の端縁より続く少なくとも指の先端が入る幅の切り欠き11を設けている。
【0037】
また、図7に示したトレー5上に被収納物たるコンパクトディスクを上下2段に収納できるように構成した収納ケースにおいても、図9に示すように、ケース本体1、フラップ片2、トレー5の各部を一枚の薄板部材に連設して形成し、所定の折り目で折り上げることにより収納ケーを組み立てられるように構成する場合もある。
【0038】
実施例における図9中の符号3´は、収納部3が形成される際の一部分となる収納部の構成片材である。
【符号の説明】
【0039】
1 ケース本体
2 フラップ片
3 収納部
3´ 収納部の構成片材
4 収納部開口
5 トレー
6 山折り状の折り目
7 折り目
8 まち
8´ まち
9 切り欠き
10 仕切り板
11 切り欠き
12 コンパクトディスク
12´ コンパクトディスク
13 受け片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する袋状の収納部を備えるケース本体と、同ケース本体における収納部開口側の端辺に続いて折り目を介して接続され、同収納部上に折り畳むことができるフラップ片とよりなり、また前記収納部内には、一端を折り目を介して前記フラップ片の内方に接続して、収納部開口より収納部内に入る被収納物を載せ置くトレーを設けており、かつ同トレーには山折り状の折り目を設けていて、同山折り状の折り目は、フラップ片を開いてケース本体の収納部内より被収納物を取り出す状態において、トレーにおける収納部の外部に出ている部分の両端に渡りフラップ片の開閉方向に対して略直交方向に設けており、被収納物をケース本体の収納部より取り出す際に、ケース本体の収納部上に折り畳まれたフラップ片の開放とともに収納部内より引き出されるトレーが、前記山折り状の折り目より山折れ状態となり、同トレーとともに収納部内より引き出されるトレー上の被収納物における山折り状の折り目よりもフラップ片寄りに位置する部位を、同トレー上より浮き上がらせるように構成してなる収納ケース。
【請求項2】
前記収納部のフラップ片が折り重なる面の開口縁略中央に、同収納部の中心内方に向かって少なくとも指の先端が入る幅の所定長さの切り欠きを設けてなる請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記トレー上に、被収納物を収容保持するための部屋を複数積層してなる請求項1に記載の収納ケース。
【請求項4】
前記部屋を仕切る仕切り板の部屋入り口側の端縁略中央に、同仕切り板の中心内方に向かって少なくとも指の先端が入る幅の所定長さの切り欠きを設けてなる請求項3に記載の収納ケース。
【請求項5】
前記ケース本体とフラップ片およびフラップ片とトレーを接続する折り目の部分に、被収納物の厚みに対応する幅のまちを設けてなる請求項1に記載の収納ケース。
【請求項6】
前記ケース本体、フラップ片、トレーの各部を一枚の薄板部材に連設して形成し、所定の折り目で折り上げることにより組み立ててなる請求項1に記載の収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−168061(P2010−168061A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11066(P2009−11066)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(509020413)大昭和紙品(香港)有限公司 (1)
【Fターム(参考)】