説明

収納ケース

【課題】収納ケースの内部をケース本体部の側板部から離れた中央付近のみで仕切ることができるようにする。
【解決手段】仕切部材5は、仕切板50と、この仕切板50の一辺側において板厚方向に張り出して設けられた張り出し部51と、張り出し部51下面51aの四隅からそれぞれ突起して形成された4つの凸部52とを一体的に備えている。ケース本体部2の底板部20と一体的に敷設された取付盤6に設けられた凹部6bと、前記の仕切部材5の凸部52とが互いに嵌合することにより、仕切部材5が取付盤6に対して自立状態に保持されている。これにより、蓋部3を開いた状態においても仕切部材5はケース本体部2の側板部21に一切接触することなく自立することが可能である。また、仕切部材5がその板厚方向へ転倒しようとした場合、前記の張り出し部51の下面51aが前記の取付盤6の盤面6aに当接し、転倒が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯工具およびその付属品等の物品を収納するのに好適な収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、底板部と側板部とを有するケース本体部と、このケース本体部の上部に形成される開口部を閉塞する蓋部を備えた収納ケースにおいて、仕切板によりケース本体部の内部を仕切られたものが知られている。このように構成された収納ケースによれば、収容される携帯工具等の物品の外形に合わせて予めケース本体内部に仕切板を設けることにより、収納ケースを持ち運ぶ場合においてその携帯工具等の移動が規制され、収容状態を整然と保つことができる。
【0003】
さらに、この仕切板をケース本体部の複数箇所に対して着脱可能な構成とすれば、この仕切板を収納ケースの別の位置に取り付けることにより、収納ケース内部のレイアウトを自由に変更することができるため、収納したい携帯工具等の物品の種類によらず共通のケース本体部及び仕切板を備えた収納ケースを用いることができる。
【0004】
このような収納ケースは、例えば下記特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された「物品の収納ケース」は、仕切板の長手方向両端部をケース本体の側板部に設けた側板係合部に固定し、幅方向両側部をケース本体底板部の底係合部および蓋の蓋係合部に係合させる構成としている。これにより、蓋を閉じた状態において仕切板がその全周において係合されているため、取り付け状態における仕切板の剛性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−009202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された物品の収納ケースの構成によると、ケース本体の底係合部はV字状の溝部とされ、これに係合する仕切板の下側もV字状の係合突起とされている(特許文献1の図3参照)。このため、蓋を開いた状態において仕切板をケース本体の底板部に対して自立状態で保持させるには、このV字状の溝部に対して係合させるのみでは足りず、側板部に設けられた側板係合部に対して固定することが必須であった。したがって、収納ケースを中央付近のみで仕切れば充分な場合であっても、長手方向両端部(の少なくとも一方)がケース本体の側板部まで至るような冗長な形状の仕切板を用いざるを得ないため、収納ケースを中央付近のみで仕切ることができなかったという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、収納ケースの内部をケース本体部の側板部から離れた中央付近のみで仕切ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の発明に係る収納ケースは、底板部と側板部とを有し上部が開放されたケース本体部と、該ケース本体部を閉塞する蓋部とを備えた収納ケースであって、前記ケース本体部の内部を仕切る仕切板を備えており、前記ケース本体部の底板部と該底板部に面する前記仕切板の一辺側との間に該仕切板を該底板部に対して自立状態に保持する自立手段が設けられており、該自立手段によって該仕切板が該底板部に対して取り付けられることを特徴とする。
この構成によれば、ケース本体部の底板部と仕切板の一辺側との間に設けられた自立手段により、該仕切板が該底板部に対して自立状態に保持されている。これにより、蓋部を開いた状態においても仕切板はケース本体部の側板部に一切接触することなく自立することが可能である。したがって、ケース本体部内部を側板部から離れた中央付近のみで仕切ることが可能である。
【0009】
本発明の第2の発明に係る収納ケースは、第1の発明に係る収納ケースであって、前記仕切板は、前記一辺側において板厚方向に張り出して設けられた張り出し部を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、仕切板の一辺側において張り出し部が厚さ方向に張り出して設けられているため、仕切板が厚さ方向へ転倒しようとした場合、この張り出し部が前記の底板部に当接し、転倒が規制される。したがって、仕切板を安定的に自立状態に保持可能である。
【0010】
本発明の第3の発明に係る収納ケースは、第1又は第2の発明に係る収納ケースであって、前記自立手段は、前記仕切板に設けられた仕切板側係合部と、前記底板部に設けられた複数の底板側係合部とを備えており、前記仕切板側係合部は前記複数の底板側係合部に対して選択的に係合して取り付け可能となっていることを特徴とする。
この構成によれば、仕切板に設けられた仕切板側係合部を係合させる底板側係合部が底板部に複数設けられており、仕切板を底板部に取り付けるに際して仕切板側係合部は底板側係合部に対して選択的に係合可能である。したがって、底板部に対する仕切板の位置変更が可能である。
【0011】
本発明の第4の発明に係る収納ケースは、第3の発明に係る収納ケースであって、前記仕切板に設けられた仕切板側係合部は凸部とされ、前記底板部に設けられた底板側係合部は該凸部に対して嵌合可能な凹部とされていることを特徴とする。
この構成によれば、仕切板側係合部は凸部とされ、底板側係合部は凹部とされ、仕切板側係合部と底板側係合部との係合はこの凸部と凹部との嵌合により行われる。したがって、簡便な構造にて仕切板を底板部に対して自立させることが可能である。
【0012】
本発明の第5の発明に係る収納ケースは、第4の発明に係る収納ケースであって、前記仕切板に設けられた凸部は円柱形状であり、前記底板部に設けられた凹部は角柱形状の凹みであり、前記仕切板の取り付け状態において該円柱形状の凸部は該角柱形状の凹部に内接状態に嵌合していることを特徴とする。
この構成によれば、凸部と凹部はそれぞれ円柱形状と角柱形状であり、これらが互いに内接状態で嵌合してもなお両者の間に空間的な余裕が生じる。この形状設定により、凸部と凹部の寸法誤差は、凸部又は凹部のいずれかが変形することにより吸収される。したがって、寸法誤差に影響されず仕切板を底板部に対して自立させることが可能である。
【0013】
本発明の第6の発明に係る収納ケースは、第1から第5までのいずれかの発明に係る収納ケースであって、前記蓋部には該蓋部を閉じた場合において前記仕切板の対辺側の板厚方向への移動を規制する保持部を有することを特徴とする。
この構成によれば、蓋部を閉じた場合において仕切板の対辺側の板厚方向への移動を規制する保持部が蓋部に設けられているため、仕切板の板厚方向への転倒が規制される。したがって、仕切板をより安定的に自立状態に保持可能である。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明の構成によれば、ケース本体部内部を側板部から離れた中央付近のみで仕切ることが可能である。
第2の発明の構成によれば、仕切板を安定的に自立状態に保持可能である。
第3の発明の構成によれば、底板部に対する仕切板の位置変更が可能である。
第4の発明の構成によれば、簡便な構造にて仕切板を底板部に対して自立させることが可能である。
第5の発明の構成によれば、寸法誤差に影響されず仕切板を底板部に対して自立させることが可能である。
第6の発明の構成によれば、仕切板をより安定的に自立状態に保持可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】蓋部を開いた状態における収納ケースを示す斜視図である。
【図2】蓋部を閉じた状態における収納ケースを一部切断して示す斜視図である。
【図3】図1のIIIに示す仕切部材周辺の拡大図である。
【図4】図1のIVに示す保持部周辺の拡大図である。
【図5】仕切板を示す斜視図である。
【図6】取付盤上の凹部の配置を説明する図である。
【図7】電動工具をケース本体部に収容した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施する形態を、図面を参照しながら説明する。
図1には本実施形態に係る収納ケース1が示されている。収納ケース1は、図7に示すように、携帯用電動工具及びバッテリ等の付属品その他の物品を内部に収納し、持ち運ぶための合成樹脂製ケースである。収納ケース1は、ケース本体部2と蓋部3と仕切部材5とを備える。
ケース本体部2は、物品を収容するための本体となる部分であり上部が開放されている。ケース本体部2は、底板部20とこの底板部20の四辺から立ち上げられた側板部21とを一体的に備える。
蓋部3は、ケース本体部2の開放された端を閉塞するためのものである。蓋部3は、底板部30とこの底板部30の四辺から立ち上げられた側枠部31とを一体的に備える。
側板部21の一辺側と側枠部31の一辺側との間には、ヒンジ部4が設けられている。ヒンジ部4は、蓋部3をケース本体部2に対して開閉可能に連結している。図2には蓋部3をケース本体部2に対して閉じた状態の収納ケース1が一部切断して示されている。
収納ケース1は、蓋部3をケース本体部2に対して閉じた状態において、略直方体形状の内部空間を有する。すなわち、ケース本体部2の底板部20と蓋部3の底板部30は、略矩形板状に形成されており、ケース本体部2の側板部21と蓋部3の側枠部31は、略矩形枠状に形成されている。なお収納ケース1は、内部空間の高さ(側板部21と側枠部31の高さの合計)が縦及び横の長さよりも小さく設定された浅型のケースである。また、ケース本体部2の深さ(側板部21の高さ)が蓋部3の深さ(側枠部31の高さ)よりも大きく設定されている。
【0017】
次に、図1から図3までを参照して取付盤6を説明する。
底板部20の内側には、仕切部材5を取り付けるための取付盤6が一体的に敷設されている。取付盤6はケース本体1の内部空間の底面となる平坦な盤面6aを有し、この盤面6aにはそのほぼ全面にわたって複数の凹部6bが刳り抜かれて形成されている。各凹部6bは、六角柱を刳り抜いた形状とされており、特にその内壁面が六角柱面とされている。この凹部6bが本発明でいう底板側係合部に相当する。なお、盤面6a上における凹部6bの配列については後述する。
【0018】
次に、図4を参照して保持部32を説明する。
蓋部3の底板部30の内側には、複数の保持部32が設けられている。保持部32は、仕切部材5の対辺側50bの板厚方向への移動を規制する機能を有するものである。各保持部32は、底板部30の内側に沿って細長く一体的に形成されている。各保持部32は、長手方向に沿って形成された溝部32aを有しており、略コ字状断面を有している。この仕切板50の対辺側50bは、蓋部3を閉めた状態において、対向位置に形成された保持部32の溝部32aに差し込まれた状態となる。
【0019】
次に、図2、図3及び図5を参照して仕切部材5を説明する。
仕切部材5は、前記の取付盤6に取り付けて収納ケース1の内部空間を仕切るものである。ここで、内部空間を「仕切る」とは、必ずしも内部空間を「複数の空間に分割する」ことを意味せず、収納された電動工具等の物品の自由な移動を規制するように「内部空間の一部を占める」という意味である。仕切部材5は、前記取付盤6に対して取り付けて取り付け状態とし、また取り付け状態から取り外すことが可能となっている。仕切板50は、その周辺部分のうち一辺側50aが取付盤6に面するように取り付けられる。この取り付け状態において蓋部3を閉じた状態とすると、仕切板50はその周辺部分のうち対辺側50bが蓋部3の底板部30に面する。
【0020】
仕切部材5は、合成樹脂製の部材であり、仕切板50と張り出し部51と4つの凸部52とを一体的に備えている。
仕切板50は、収納ケース1の内部空間を仕切る機能を有する仕切部材5の本体であり、長方形板状に形成されている。仕切板50の幅は任意に設定される。図1には、幅の短い仕切板50を有する8枚の仕切部材5と、幅の長い仕切板50を有する1枚の仕切部材5が示されている。また、仕切板50の高さは、ほぼ取付盤6から蓋部3の底板部30までにわたる高さとされている。
張り出し部51は、この仕切板50の一辺側において板厚方向両側に張り出して設けられている。詳しくは、この張り出し部51は、仕切板50と同じ幅で仕切板50の板厚方向の長さを大きくした矩形板状に形成されている。張り出し部51は、仕切板50の一辺側50aの端部に対して垂直に結合されている。仕切部材5の取り付け状態において、張り出し部51はその下面51aが取付盤6の盤面6aと接触している。
凸部52は仕切板50の一辺側において張り出し板51を介して設けられている。詳しくは、凸部52は、張り出し部51下面51aの四隅から、それぞれ突起して形成されている。各凸部52は、略円柱形状に形成され、特にその側面52aが円柱面とされている。なお、この凸部52が本発明でいう仕切板側係合部に相当する。
【0021】
取付盤6に対して取り付け状態とされた仕切部材5は、蓋部3のケース本体部2に対する開閉状態に関わらず、自立手段により取付盤6に対する自立状態が保持されている。本実施形態においては、仕切部材5に設けられた4つの凸部52が、取付盤6に設けられた4箇所の凹部6bにそれぞれ嵌合した状態となることにより、仕切部材5の取付盤6に対する自立状態が保持されている。すなわち、仕切部材5の凸部52と取付盤6の凹部6bとが、本発明でいう自立手段に相当する。また上記の嵌合した状態においては、円柱面とされた凸部52の側面52aは、六角柱面とされた凹部6bに内接した状態となっている。
【0022】
次に、図6を参照して取付盤6における凹部6bの配列を説明する。
取付盤6の盤面6aに形成された前記の複数の凹部6bは、どの1つの凹部6bも他の6つの凹部6bによって取り囲まれるように配列され、全体としていわゆるハニカム構造の様になっている。さらには、図6に示すように、4つの凹部6bが一辺の長さをdとする正方形の各頂点位置に配置され、この正方形が単位となって凹部6bが取付盤6の盤面6a全体にわたって繰り返されている。これに対応して、仕切部材5に設けられた4つの凸部52は、張り出し部51の下面51aにおいて、板厚方向の間隔がd、幅方向の間隔が3d又は4dとなるように配置されている。図1に示されている9枚の仕切部材5のうち、幅の狭い8枚は上記幅方向の間隔が3dとされ、幅の広い1枚は上記幅方向の間隔が4dとされたものである。図6には、これらのうち幅の狭い仕切部材5について、その凸部52が取付盤6の凹部6bに対して嵌合した状態が模式的に示されている。以上の構成により、仕切部材5は取付盤6の複数の位置に、横(図6(A))又は縦(図6(B))のいずれかの向きで、選択的に取り付け可能となっている。
【0023】
次に、図7を参照して本実施形態の収納ケース1への電動工具Tの収納例を説明する。まずケース本体部2に電動工具Tが収容され、この電動工具Tの外形に沿うように複数の仕切部材5が取付盤6上に取り付けられる。ここで、本実施形態の収納ケース1においては、予め収納すべき電動工具の形状及びケース本体部2における収容位置が定められている。したがって、仕切部材5は取付盤6上において上述のように複数の位置及び向きにて取り付け可能となってはいるが、その取り付け位置及び向きは電動工具Tの収容位置に合わせて予定されている。そして、前記の保持部32も、この予定された仕切部材5の取り付け位置及び向きと対応する位置及び向きにて、蓋部3の底板部30の内側に予め一体的に形成されている。したがって、仕切部材5が予定の位置及び向きに取り付けられた場合において、蓋部3を閉じた状態とすると、保持部32は仕切板50の対辺側50bと上下に対向する。このとき、仕切板50の対辺側50bは、対向する保持部32の溝部32aに差し込まれた状態となる。以上により、電動工具Tは収納ケース1の内部空間において仕切部材5によって移動が規制され、整然たる収納状態にて収納ケース1に収納される。
【0024】
以上のように構成される収納ケース1は、次のような作用効果を奏する。
この構成によれば、ケース本体部2の底板部20と一体的に敷設された取付盤6に設けられた凹部6bと、仕切部材5の張り出し部51下面51aに設けられた凸部52とが互いに嵌合することにより、仕切部材5が取付盤6に対して自立状態に保持されている。これにより、蓋部3を開いた状態においても仕切部材5はケース本体部2の側板部21に一切接触することなく自立することが可能である。したがって、収納ケース1の内部空間を側板部21から離れた中央付近のみで仕切ることが可能である。また、凸部52と凹部6bとの嵌合により、簡便な構造にて仕切部材5を取付盤6に対して自立させることが可能である。
【0025】
さらにこの構成によれば、仕切板50の一辺側50aにおいて矩形板状の張り出し部51が仕切板50の板厚方向に張り出して設けられているため、仕切部材5がその板厚方向へ転倒しようとした場合、この張り出し部51の下面51aが底板部30と一体的に敷設された取付盤6の盤面6aに当接し、転倒が規制される。したがって、仕切部材5を安定的に自立状態に保持可能である。また凸部52と凹部6bは、張り出し部51の下面51aが取付盤6の盤面6aに当接するまで嵌合させることができる。したがって、仕切部材5をより安定的に自立状態に保持可能である。
【0026】
さらにこの構成によれば、4つの凹部6bが一辺の長さをdとする正方形の各頂点位置に配置され、この正方形を単位として凹部6bが取付盤6の盤面6a全体にわたって繰り返されて設けられており、仕切部材5に設けられた4つの凸部52はこの凹部6bの配置に対応させて設けられている。したがって、仕切部材5を取付盤6に取り付けるに際して、この凸部52は繰り返し配置された凹部6bに対して選択的に係合可能である。したがって、取付盤6に対する仕切部材5の位置及び向きの変更が可能である。
【0027】
さらにこの構成によれば、円柱面とされた凸部52の側面52aは、六角柱面とされた凹部6bに内接した状態となって嵌合している。このため、両者は互いに6箇所で接触しているのみであり、互いに内接状態で嵌合してもなお両者の間に空間的な余裕が生じている。この形状設定により、凸部52と凹部6bの寸法誤差は、凸部52又は凹部6bのいずれかが変形することにより吸収される。したがって、寸法誤差に影響されず仕切部材5を取付盤6に対して自立させることが可能である。
【0028】
さらにこの構成によれば、蓋部3を閉じた場合において仕切板50の対辺側の板厚方向への移動を規制する保持部32が蓋部に設けられ、予定の位置に取り付けられた仕切板50の対辺側50bは対向する保持部32の溝部32aに差し込まれた状態となっているこのため、仕切部材5の板厚方向への転倒が規制される。したがって、仕切部材5をより安定的に自立状態に保持可能である。
【0029】
なお、本発明に係る収納ケース1は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施できるものである。
本実施形態の収納ケース1は特に携帯用電動工具が収納された例を示したが、これに限らずバッテリ等の電動工具の付属物を収納しても良く、さらには電動工具と関係のない物品を収納するための収納ケースとして用いても良い。
また本実施形態における収納ケース1は略直方体形状の内部空間を有するものであったが、その他の形状であっても良い。
【0030】
また本実施形態における自立手段は、仕切部材5に設けられた4つの凸部52と取付盤6に複数形成された凹部6bとにより構成され、凸部52と凹部6bとの嵌合により仕切部材5を自立させるものであった。しかしこれに限られず、例えば取付盤6を鉄板に置換し、4つの凸部を磁石に置換して、磁石が鉄板を引き付ける磁力により仕切部材5を自立させる構成としても良い。他にも、取付盤6をゴムシートに置換し、4つの凸部52を剣山のように多数設けられる針に置換して、この多数の針をゴムシートに刺すようにして仕切部材5を自立させる構成としても良い。これらの構成によれば、鉄板又はゴムシート上の全く任意の位置に仕切部材5を自立させることが可能である。
また本実施形態における自立手段は、仕切板側係合部が凸部、底板側係合部が複数の凹部として構成されたが、この凸部と凹部の関係を逆にし、仕切板側係合部を凹部、底板側係合部を複数の凸部として構成してもよい。
また本実施形態のように自立手段の仕切板側係合部を凸部、底板側係合部を凹部として構成する場合、本実施形態における凹部6bは内壁面が六角柱面とされたものであったが、四角柱等の他種の角柱面としても良い。他に、凸部を仕切板50を延長した単純な平板状とし、凹部を取付盤6の一端から他端までにわたるコ字状溝とする形態でも良い。
また本実施形態における仕切部材5は、前記取付盤6に対して取り付けて取り付け状態とし、また取り付け状態から取り外すことが可能となっているものであった。しかし、仕切部材5が一度取り付け状態となると、取り外し不可能となる構成としても良い。例えば、仕切部材5の凸部の先端にその径方向外側へ張り出す可撓性を有する爪を設け、取付盤6の凹部の奥部にこの爪の張り出し形状を受け入れ可能な受け部を設け、内側に撓みながら凹部に挿入された前記の爪が、仕切部材5の取り付け状態に至ると同時に前記の受け部に受け入れられてその撓みが解消され、仕切部材5が取り外し不能となる構成としても良い。
また本実施形態における凸部52は、張り出し板51下面51aの四隅からそれぞれ突起して形成されており、すなわち仕切板50の一辺側に張り出し板51を介して設けられているものであった。しかし、特に仕切部材に張り出し部を設けない場合等において、この凸部は仕切板50の一辺側に直接突起して形成されているものであっても良い。また張り出し部51下面51aに設けられる凸部52の数及び配置は本実施形態のものに限られず、取付盤6の凹部6bの配列と対応して配置されて嵌合可能であれば自由に変更可能である。
【0031】
また本実施形態における仕切板50は矩形板状に形成されていたが、この形状に限定されない。まず、仕切板は板状である必要はなく、例えば直方体や円柱等のブロック形状や、丸棒等の棒形状としても良い。仕切板をこのブロック形状又は棒形状として構成する場合、その幅方向、板厚方向を区別できないが、仕切板の一辺側に設けられる張り出し板はいずれの方向に張り出していても良い。
また本実施形態のように仕切板50を板状にて構成する場合には、その形状は例えば三角板状や円板状としても良く、またその板厚は一様であることを要しない。また、仕切板50は平板状である必要はなく、L字状等の屈曲形状、円弧等の湾曲形状、矩形や円形等の枠形状又はこれらの組み合わせとしても良い。
また本実施形態における仕切板50は、取付盤6から蓋部3の底板部30までにわたる高さを有するものであったが、これを例えば取付盤6から蓋部3の底板部30までの半分の高さを有するものとしても良い。
また本実施形態における張り出し部51は矩形板状に形成されて、仕切板50の一辺側50aの端部に対して垂直に結合されているものであった。しかしこれに限定されることなく、張り出し部は例えば仕切板50の一辺側50aから板厚方向両側に張り出して設けられた棒状の突起であっても良い。
【0032】
また本実施形態における取付盤6は、4つの凹部6bが一辺の長さをdとする正方形の各頂点位置に配置され、この正方形が単位となってその盤面6a全体にわたって繰り返されているものであった。しかしこれに代えて、3つの凹部6bが正三角形の各頂点位置に配置され、この正三角形が単位となってその盤面6a全体にわたって繰り返されているものとしてもよい。この構成とすれば、仕切部材5は取付盤6の複数の位置に、60°ごとのいずれかの向きで、選択的に取り付け可能とすることができる。
【0033】
また本実施形態における保持部32は蓋部3と一体的に形成されているものであったが、これを別体として形成される保持部材として構成してもよい。この場合、この保持部材を蓋部3の底板部30の内側に対して、例えば両面テープや面ファスナーといった固定手段により任意の位置を選択して固定できる構成としても良い。また、仕切部材5を取付盤6に対して自立させたのと同様に、保持部材を蓋部3の底板部30の内側に対して凸部と凹部の嵌合により固定できる構成としても良い。
また本実施形態における保持部32は、予定された仕切部材5の取り付け位置及び向きと対応する位置及び向きにて、蓋部3の底板部30の内側に予め一体的に形成されているものであった。しかしこの位置及び向きに限定せず、仕切部材5の取り付け可能な位置及び向きの全てに対応する位置及び向きにて形成しておく構成としても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 収納ケース
2 ケース本体部
20 底板部
21 側板部
3 蓋部
30 底板部
31 側枠部
32 保持部
32a 溝部
4 ヒンジ部
5 仕切部材
50 仕切板
50a 一辺側
50b 対辺側
51 張り出し部
51a 下面
52 凸部
52a 側面
6 取付盤
6a 盤面
6b 凹部
T 電動工具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と側壁部とを有し上部が開放されたケース本体部と、該ケース本体部を閉塞する蓋部とを備えた収納ケースであって、前記ケース本体部の内部を仕切る仕切板を備えており、前記ケース本体部の底板部と該底板部に面する前記仕切板の一辺側との間に該仕切板を該底板部に対して自立状態に保持する自立手段が設けられており、該自立手段によって該仕切板が該底板部に対して取り付けられることを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の収納ケースであって、前記仕切板は、前記一辺側において板厚方向に張り出して設けられた張り出し部を備えていることを特徴とする収納ケース。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の収納ケースであって、前記自立手段は、前記仕切板に設けられた仕切板側係合部と、前記底板部に設けられた複数の底板側係合部とを備えており、前記仕切板側係合部は前記複数の底板側係合部に対して選択的に係合して取り付け可能となっていることを特徴とする収納ケース。
【請求項4】
請求項3に記載の収納ケースであって、前記仕切板に設けられた仕切板側係合部は凸部とされ、前記底板部に設けられた底板側係合部は該凸部に対して嵌合可能な凹部とされていることを特徴とする収納ケース。
【請求項5】
請求項4に記載の収納ケースであって、前記仕切板に設けられた凸部は円柱形状であり、前記底板部に設けられた凹部は角柱形状の凹みであり、前記仕切板の取り付け状態において該円柱形状の凸部は該角柱形状の凹部に内接状態に嵌合していることを特徴とする収納ケース。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の収納ケースであって、前記蓋部には該蓋部を閉じた状態において前記仕切板の対辺側の板厚方向への移動を規制する保持部を有することを特徴とする収納ケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−254814(P2012−254814A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129321(P2011−129321)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】