説明

収納体

【課題】使用時においては内部に充分な大きさの収納空間が形成されるが、運搬時等の非使用時においては占有空間を少なくできる構造の収納体を提供すること。
【解決手段】本発明の収納体は、多面体の各表面を構成する各多角形状の平面部材のうち、互いに連結された少なくとも3つの平面部材の連結部分を分離して、前記少なくとも3つの平面部材を平面状に展開し得るように構成するとともに、前記分離した連結部分を、ほぼ多面体状に組み立てた状態で互いに掛止させて保持するための掛止保持手段を備えている。また、編目状の通気部が形成され、吊手部材を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時においては内部に収納空間が形成され、運搬時等の非使用時においては占有空間が少なくできる構造の収納体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部に収納空間が形成された箱状の収納体が種々使用されている。例えば、絵の具等の学習用具を収納するための道具収納箱や、小型犬等の生物を移動させるときに使用するペット用の運搬ボックス等がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述したような従来の道具収納箱やペット用の運搬ボックス等は、運搬時等の非使用時においては、占有空間が大きいので邪魔になるという問題がある。従って、遠隔地の工場で製造した多数の道具収納箱を輸送する場合には、輸送費用がかさむという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、使用時においては内部に充分な大きさの収納空間が形成されるが、運搬時等の非使用時においては占有空間を少なくできる構造の収納体を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる請求項1の収納体は、
内部に収納空間が形成され、ほぼ多面体状に組み立て得る収納体であって、
該多面体の各表面を構成する各多角形状の平面部材のうち、互いに連結された少なくとも3つの平面部材の連結部分を分離して、前記少なくとも3つの平面部材を平面状に展開し得るように構成するとともに、前記分離した連結部分を、ほぼ多面体状に組み立てた状態で互いに掛止させて保持するための掛止保持手段を備えたことを特徴としている。
請求項2では、
前記平面部材のうち、ほぼ多面体に組み立てた状態で底面以外の表面を構成する平面部材の少なくとも1つに編目状の通気部を形成したことを特徴としている。
請求項3では、
前記収納体は直方体状とし、底面と左右両側面と天面を構成する4つの平面部材を、一列で平面状に展開し得るように構成したことを特徴としている。
請求項4では、
ほぼ多面体状に組み立てた状態で吊り下げるため吊手部材を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる収納体によれば、該多面体の各表面を構成する各多角形状の平面部材のうち、互いに連結された少なくとも3つの平面部材の連結部分を分離して、前記少なくとも3つの平面部材を平面状に展開し得るように構成するとともに、前記分離した連結部分を、ほぼ多面体状に組み立てた状態で互いに掛止させて保持するための掛止保持手段を備えたので、使用するときには組み立てた状態で保持され、展開すると板状になり占有空間が大変少なくなる。従って、輸送や保管等においては、場所をとらずコストも節減できる。
また、編目状の通気部を形成したので、湿ったものを収納しても湿気がこもらず、小動物等の生物を入れても呼吸できる。
また、収納体は直方体状とし、底面と左右両側面と天面を構成する4つの平面部材を、一列で平面状に展開し得るように構成すると、使用しやすい。
また、吊手部材を備えると持ち運びしやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明にかかる収納体を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
図1の収納体10は、組み立てた使用状態においては無蓋の直方体状になるものであり、内部に収納空間11が形成され、湿気を含んだ絵筆等の画材を収納することができる。
前記収納体10の各表面を構成する5面の長方形状の平面部材12、13、14、15、16のうち、互いに連結された3つの平面部材12、13、14の3つの連結部分10A、10B、10Cを分離することによって、図2に示したように、前記3つの平面部材12、13、14を平面状に展開し得るように構成した。
【0008】
そして、前記分離した連結部分10A、10B、10Cには、ほぼ直方体状に組み立てた状態で、前記分離した連結部分10A、10B、10Cを互いに掛止させて保持するための掛止保持手段17A、17B、17Cを備えた。
これらの掛止保持手段17A、17B、17Cは、互いに掛止する他部材の部分に、それぞれ対をなして備えられたものであり、例えば、それぞれ掛止側と被掛止側とが対をなしている面ファスナー等で構成することができる。即ち、例えば前記掛止保持手段17Aは、一方の平面部材の掛止部分に備えられた掛止側の面ファスナー17Aaと、一方の平面部材の掛止部分に備えられた被掛止側の面ファスナー17Abとで構成されている。
なお、前記掛止保持手段としては、面ファスナーに限らず、通常のファスナーやボタンやホックや爪等のように種々の手段を採用することができる。何れにしても、掛止保持状態と、解除状態とが可能な手段であればよい。
【0009】
以上のように構成された前記収納体10は、使用時には内部の収納空間に収納することができ、非使用時には前記3つの連結部分10A、10B、10Cの掛止保持手段17A、17B、17Cをそれぞれ掛止解除して分離することによって、図2に示したように、3つの平面部材12、13、14を平面状に展開できる。
図2のような状態に一部を展開すると、図3に示したように、多数の同種の収納体10、10、10、・・・を積み重ねることができる。従って、1つの収納体当たりの占有空間を小さくして、多数の収納体を効果的に格納、運搬することができる。
従って、多数の収納体をまとめて運搬するときの運搬費用も節減できる。
【0010】
図2の状態の収納体10を、再び収納するために使用するときには、分離していた前記3つの連結部分10A、10B、10Cの掛止保持手段17A、17B、17Cを互いに掛止させて組み立てた状態を保持することによって、図1に示したように、無蓋の直方体状の収納体とすることができるのである。
【0011】
以上においては、無蓋の直方体状の収納体を例にとって説明したが、有蓋の直方体状の収納体の場合には、図4に示した収納体40のように、底面と左右両側面と天面を構成する4つの平面部材42、43、44、45を、一列で平面状に展開し得るように構成するとよい。この場合には、展開するときに分離される連結部分40A,40B,40C,40D,40E,40Fにそれぞれ掛止保持手段の対を設ける。
図4のように、平面状に展開し得る構成とすると、図5に示したように、多数の同種の収納体40、40、40、・・・を展開して積み重ねても占有空間は極めて小さなものとなる。
【0012】
図4の収納体40の場合には、前後の側面を構成する平面部材46、47にはメッシュ状の通気部46A、47Aを設けて通気性を良くするとよい。
また、直方体状に組み立てた状態で吊り下げるため吊手部材48を設けるとよい。この場合、肩から下げるための長い吊手部材と、手で持って下げるための短い吊手部材を設けると、種々の使用形態で便利である。
【0013】
なお、本発明の収納体は、六面体状のものに限定されるものではなく、図6に示したように、底面が三角形である四面体状のものや、底面が五角形である七面体状等の多面体状のものとすることができる。また、何れかの面を平面でなく曲面で構成してもよい。
【0014】
以上の各収納体には、濡れたままでまだ湿気を含んだ絵筆やパレット等の画材を収納すると、これらの収納体は通気性が良いため、濡れたままの画材も乾きやすいという効果が得られる。また、前記格納体は、使用しないときは、平面状に展開できるので、かさばらないという効果が得られる。従って、遠隔地の工場で製造したものを輸送するときの輸送費用も節減できるという効果が得られる。
【0015】
また、前記収納体は、通気性が優れているので、小型犬等のペットを入れて移動させるときにも便利である。
【実施例1】
【0016】
以下に、本発明の収納体の実施例を図7、8、9を参照して説明する。
組み立て状態の斜視図を示した図7において、
70は本発明の実施例1にかかる収納体であり、ほぼ直方体状であり、内部に直方体状の収納空間が形成されている。
前記収納体70には手に持って下げるための一対の吊手部材78Aが取り付けられており、肩から掛けるための長めの吊手部材78Bも着脱可能になっている。長めの吊手部材78Bの方は、前記一対の吊手部材78Aの4つの取り付け部のうち、対角線上の2つの取り付け部に装着するとバランスがよい。
また、前記収納体70が不用意に開かないように掛合・離脱自在な留め具79を備えている。さらには、ファスナーを備えたサイドポケットやカード差し込み部(図示せず)等を備えている。
【0017】
前記収納体70を平面状に展開した状態の斜視図を示した図8において、
平面部材73は収納体70の底面を形成し、平面部材72、74は収納体70の左右の側面を形成し、平面部材71、75は重なって収納体70の天面を形成し、平面部材76、77は収納体70の前後の側面を形成する。
そして、前記平面部材76、77には編目状の通気部76A、77Bが形成されている。(図7参照。)
【0018】
また、展開するときに分離される連結部70A、70B、70C、70Dには、組み立てた状態で保持するための掛止保持手段71A、71B、71C、71Dの対が設けられている。
これらの掛止保持手段71A、71B、71C、71Dはそれぞれ掛止側と被掛止側とが対をなしている面ファスナー等で構成することができる。即ち、例えば前記掛止保持手段71Aは、一方の平面部材72の掛止部分に備えられた掛止側の面ファスナー71Aaと、他方の平面部材76の掛止部分に備えられた被掛止側の面ファスナー71Abとで構成されている。
また、前記底面を構成する平面部材73には複数の小孔73Aを設け、通気や排水に供するとよい。
なお、図8においては、吊手部材の一部は隠れている。
【0019】
前記収納体70を平面状に展開した状態では、図9に示した側面図のように、ほぼ平面状になり、厚さも薄くなる。従って、図5で示したように、収納体70を展開すると多数重ねても占有空間は極めて少ないものとなる。
なお、図9においては、長めの吊手部材は取り外してある。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の収納体は、画材等の無生物や小動物等の生物等の収納に供することができる。
また、収納体の素材としては、樹脂、紙、木、金属等を用途に応じて単独もしくは組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる収納体の実施の形態の斜視図である。
【図2】前記収納体の一部を展開した状態の斜視図である。
【図3】前記収納体を展開して重ねた状態の斜視図である。
【図4】本発明にかかる収納体の別実施形態を説明するための斜視図である。
【図5】前記収納体を展開して重ねた状態の斜視図である。
【図6】本発明にかかる収納体の種々の実施形態の斜視図である。
【図7】本発明にかかる収納体の実施例1の斜視図である。
【図8】前記収納体を平面状に展開した状態の斜視図である。
【図9】前記収納体を平面状に展開した状態の側面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 収納体
12、13、14、15、16 平面部材
10A、10B、10C 連結部分
17A、17B、17C 掛止保持手段
40 収納体
42、43、44、45、46、47 平面部材
40A、40B、40C、40D、40E、40F 連結部分
70 収納体
71、72、73、74、75、76、77 平面部材
70A、70B、70C、70D 連結部分
71A、71B、71C、71D 掛止保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納空間が形成され、ほぼ多面体状に組み立て得る収納体であって、
該多面体の各表面を構成する各多角形状の平面部材のうち、互いに連結された少なくとも3つの平面部材の連結部分を分離して、前記少なくとも3つの平面部材を平面状に展開し得るように構成するとともに、前記分離した連結部分を、ほぼ多面体状に組み立てた状態で互いに掛止させて保持するための掛止保持手段を備えたことを特徴とする収納体。
【請求項2】
前記平面部材のうち、ほぼ多面体に組み立てた状態で底面以外の表面を構成する平面部材の少なくとも1つに編目状の通気部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の収納体。
【請求項3】
前記収納体は直方体状とし、底面と左右両側面と天面を構成する4つの平面部材を、一列で平面状に展開し得るように構成したことを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の収納体。
【請求項4】
ほぼ多面体状に組み立てた状態で吊り下げるため吊手部材を備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−248599(P2006−248599A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71142(P2005−71142)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(593157736)株式会社アーテック (12)
【Fターム(参考)】