説明

収納型ディスク装置及びディスク駆動方法

【課題】ディスク選択時のチャッキングミスやディスクの落下等を防止した収納型ディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスクを保持するための複数のトレイを含むディスク収納部と、複数のトレイをディスク面と直交する方向に移動していずれか1つのトレイを選択位置に案内するエレベータ機構と、トレイに対向して配置した複数の保持部材を有しトレイとの間でディスクを保持するチャッキング機構と、ディスクをディスク挿入口とディスク収納部の保持位置との間で移送する移送ユニットと、選択位置にあるディスクを回転駆動する駆動ユニットと、ターゲットのトレイを選択する際に、ターゲットトレイでのディスクの有無を判断し、この判断結果をもとにディスクの駆動を実行する制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disc)等のディスクの再生や記録を可能とするディスク装置に関し、特に、複数のディスクを収納可能な収納型ディスク装置及びディスク駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のディスクを収納することができるチェンジャ型ディスク装置は、ディスク挿入口から挿入されたディスクを移送ユニットによって筐体内部へローディング(搬送)し、ロードされたディスクを、ディスクの厚さ方向に積層されたトレイに収納するようにしている。複数のトレイの中から選択されたディスクは、駆動ユニットにより回転駆動され、光ヘッドによりディスクに記録されたデータの読取り又はディスクへの記録が行われる。
【0003】
特許文献1には、このような収納型ディスク装置について記載されている。
【0004】
しかしながら、従来のディスク装置では、複数のトレイにディスクが保持(チャッキング)されているか否かを、センサ等の検出結果をもとにソフトウェアにて判断しているが、何らかの要因によって誤判断することがある。このため、複数のトレイの中からディスクを選択する際に、実際にはディスクをチャッキングしているにも拘わらず「ディスク無し」と判断して、誤ってチャッキングを解除してしまい、ディスクがトレイから落下することがある。
【0005】
誤判断の要因としては、機構部品のガタツキ、センサの検出出力のチャタリングや、センサヘの塵埃や異物の付着等があるが、トレイ選択時の番地ミスなどもあり得る。このため、一度、ディスクが落下してしまうとメカスタックに至り、正常復帰することが難しくなる。
【特許文献1】特開2007−87507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のディスク装置では、トレイの選択時に誤判断によりディスクがトレイから落下することがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、ディスク選択時のチャッキングミスやディスクの落下等を防止した収納型ディスク装置及びディスク駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明の収納型ディスク装置は、ディスクを保持するためにディスク面と直交する方向に積層配置した複数のトレイを含むディスク収納部と、前記複数のトレイを支持する軸を有し、前記トレイを前記ディスク面と直交する方向に移動していずれか1つのトレイを選択位置に案内するエレベータ機構と、前記トレイに対向して前記軸に回動自在に配置した複数の保持部材を有し、前記保持部材と前記トレイとの間で前記ディスクを保持するチャッキング機構と、前記ディスクをディスク挿入口と前記ディスク収納部の保持位置との間で移送する移送ユニットと、前記選択位置にあるディスクを回転駆動するターンテーブルを有する駆動ユニットと、前記複数のトレイの中からターゲットのトレイを選択し希望するディスクを駆動する際に、前記ターゲットトレイにおけるディスクの有無を判断し、前記判断結果をもとに前記ディスクの駆動を実行する制御部と、を具備することを特徴とする。
【0009】
また請求項11記載の本発明のディスク駆動方法は、ディスクを保持可能な複数のトレイを支持する軸を有し前記トレイを前記軸に沿ってディスク面と直交する方向に移動していずれか1つのトレイを選択位置に案内するエレベータ機構と、前記トレイに対向して前記軸に回動自在に配置した複数の保持部材を有し前記保持部材と前記トレイとの間で前記ディスクを保持するチャッキング機構と、前記選択位置にディスクを回転駆動するターンテーブルを有する駆動ユニットと、を備え、
前記複数のトレイの中からターゲットのトレイを選択し希望するディスクを駆動する際に、前記ターゲットトレイにおけるディスクの有無を判断し、前記ターゲットトレイにディスク有りと判断した場合に、前記ディスクの保持状態を解除し、前記ディスクを前記駆動ユニットによって回転駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の収納型ディスク装置では、トレイにディスクが有るか否かを確認した上でディスクの駆動を行うため、ディスクの落下やメカスタックを未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の収納型ディスク装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
先ず本発明の一実施形態に係る収納型ディスク装置100の構造について説明する。ディスク装置100の基本構造は、特許文献1に記載のものと同様である。
【0013】
図1、図2は収納型ディスク装置100の内部構造を示す平面図であり、主に筐体1内に構成された駆動ユニット10とディスク収納部30を示している。尚、図の右側にディスク挿入口2を有し、ディスクは、図の矢印A方からディスク装置100内に挿入され、矢印B方向に排出される。
【0014】
駆動ユニット10は、一端を支点にして図1で示す退避位置と、図2で示す介入位置との間で回動可能であり、他端にターンテーブル11を備えている。駆動ユニット10は、介入位置にあるときディスク収納部30に収納したディスクを選択してターンテーブル11に載置し、ディスクを回転駆動して再生又は記録を行う。尚、ディスク収納部30は、複数のディスクを収納するため積層型のトレイ31を有するが、詳細な構成は後述する。
【0015】
駆動ユニット10は、図1に示すように、ユニット支持ベース13に支持されている。支持ベース13の内縁13aは円弧状であり、内縁13aはディスク収納部30に支持されたディスクの外周縁から僅かに離れた位置にある。
【0016】
また駆動ユニット10は、細長い駆動ベース12を有している。ユニット支持ベース13の奥側には、支持軸14が上向きに突出しており、駆動ベース12は支持軸14に支持され、この支持軸14を支点にして駆動ユニット10は矢印C方向(図2)に回動する。駆動ユニット10は、駆動スライダ15の移動によって回動し、駆動スライダ15は、第1のモータM1(図示せず)の回転によって移動する。
【0017】
図2に示すように、駆動ユニット10が介入位置へ回動すると、ターンテーブル11が、ディスク収納部30へ移行する。この介入位置では、ターンテーブル11の回転中心がトレイ31に支持されたディスクの中心穴の下側に位置する。
【0018】
駆動ベース12の回動端には、スピンドルモータが取り付けられ、このスピンドルモータのモータ軸11aに、ターンテーブル11が固定されている。ターンテーブル11は、ディスクDの中心穴内に入り込む中心凸部11bと、この中心凸部11bから周囲に延びるフランジ部11cを有している。
【0019】
またターンテーブル11内にはクランプ機構を搭載し、このクランプ機構は、中心凸部11bから放射状に突出するクランプ爪(図示せず)を有している。クランプ爪が中心凸部11b内に退行しているときは非クランプモードである。また、クランプ爪が突出すると、ディスクDの中心穴Daの周縁部が、クランプ爪とフランジ部11cとで挟持され、ディスクDがターンテーブル11にクランプされ、クランプモードとなる。
【0020】
駆動ユニット10の駆動ベース12には、クランプ爪を動作させるクランプ切換え機構が搭載されており、駆動ユニット10が介入位置へ移動した後に、駆動スライダ15の移動によって、クランプ爪が、非クランプモードからクランプモードに切換えられる。
【0021】
さらに駆動ベース12には、ターンテーブル11に隣接して光ヘッド16を載置している。光ヘッド16の上面には対物レンズ17を有し、光ヘッド16をディスクDの径方向に移動させるスレッド機構(図示せず)を設けている。スレッド機構により、対物レンズ17はターンテーブル11にクランプされたディスクDの半径方向に移動することができる。
【0022】
また筐体1の底面上の3箇所には,ダンパー18が固定されている。即ち、支持ベース13の底面の3箇所には支持軸19が下方に向けて固定されており、各支持軸19は各ダンパー18に支持されており、支持ベース13は、各ダンパー18によって筐体1の底面上に弾性的に支持可能となっている。
【0023】
図3は、収納型ディスク装置100の内部構造を示す平面図であり、主にディスク収納部30とディスクDをディスク収納部30に移送する移送ユニット20の構成を示している。図4、図5は、ディスク収納部30へのディスクDの装填(ローディング)動作を示す平面図であり、図6はディスクDの駆動時を示す平面図である。
【0024】
移送ユニット20は、ディスク挿入口2と平行に細長く延びるユニット枠21を有し、ユニット枠21内にはローラ軸22を並行に設け、ローラ軸22の両端はユニット枠21の側面に回動自在に支持されている。
【0025】
ローラ軸22の外周には、天然ゴム等の摩擦係数の高い材料で形成した第1の移送ローラ231と第2の移送ローラ232を設けており、移送ローラ231と232は、軸方向に間隔を空けて配置している。移送ユニット20は、支点軸53を中心に、図3の待機位置と、図4で示す移送位置との間で回動(公転)する
図7は、移送ユニット20内の第1の移送ローラ231とその駆動機構を示す斜視図である。移送ローラ231は、ユニット枠21内に設けた摺動部材24に対向しており、移送ローラ231と摺動部材24(及び移送ローラ232と摺動部材24)との間でディスクDを挟持する。したがって、移送ローラ231,232の回転によってディスクDを筐体1内に搬入し、移送ローラ231,232を逆回転することで、ディスクDを筐体1内から排出することができる。
【0026】
また、ローラ軸22の一端は、ユニット枠21の側面21aに突出しており、突出したローラ軸22に歯車25を固定している。側面21aには、歯車25と噛み合うギヤ26を設けている。さらにユニット枠21の下面には、下方に突出して支持片21bを一体に形成し、この支持片21bに軸27を固定し、軸27に歯車28とウォームホイール29とを一体化したギヤを回転自在に支持している。
【0027】
また、ユニット枠21に設けた軸受部21cには、歯車51及びウォーム歯車52の支点軸53を回動自在に挿入しており、ウォームホイール29とウォーム歯車52が噛み合うようにしている。歯車51とウォーム歯車52は、第3のモータM3(図1参照)によって回転し、ウォームホイール29の回転力は歯車28とギヤ26を介して歯車25に伝達され、ローラ軸22を駆動して移送ローラ231,232を回転させる。
【0028】
図7に示すように、筐体1の底面に固定された支点軸53の下方にある歯車51は、筐体1の底面に設けた中間歯車54(図1)と噛み合っており、第3のモータM3によって駆動される。
【0029】
移送ユニット20は、図3の待機位置では、ディスク収納部30のトレイ31に支持されたディスクDの外周縁から僅かに離れている。一方、図4に示すように、移送ユニット20が支点軸53を中心に移送位置へ回動すると、移送ローラ231,232の軸芯と直交する仮想線(搬送中心線Ob)が、ディスク収納部30の方向に向く。
【0030】
移送ユニット20が、図4の移送位置にあると、移送ローラ231,232によって搬入されたディスクDは、ディスク収納部30のトレイ31に供給され、そのあと図5で示すように、移送ユニット20は待機位置に戻る。
【0031】
図5は、ディスクDがトレイ31に支持(チャッキング)された状態を示している。尚、トレイ31に供給されたディスクDは、トレイ31と保持部材46,47,48によって保持されるが、保持部材46,47,48の動作は後で詳しく説明する。また、図6はディスクDの再生時の状態を示している。ディスクDは、保持部材46,47,48によるチャッキングが解除され、ターンテーブル11に支持される。
【0032】
図8(a),(b)は、ディスク挿入口2に設けたシャッタ開閉機構を示し、筐体1の前面側から見た斜視図である。シャッタ3は例えば薄い金属板で形成し、ディスク挿入口2を覆う細長い形状をしている。シャッタ3の上端裏面には、摺動ピン4a,4bが間隔をおいて固定され、筐体1の前面1aには、上下方向へ長穴5a,5bを形成している。摺動ピン4a,4bを長穴5a,5b内に挿入することで、シャッタ3は、筐体1の前面1aに接した状態で上下に移動する。
【0033】
またシャッタ3の裏面には開閉部材6を設け、開閉部材6には、開閉カム7a,7bを形成している。開閉カム7a,7bは、シャッタ開閉部材6に設けた長穴であり、この開閉カム7a,7bに摺動ピン4a,4bを挿入している。
【0034】
開閉カム7a,7bは、階段状を成し、開閉部材6が矢印X1側に移動しているときは、図8(a)に示すように、摺動ピン4a,4bが押し下げられてシャッタ3が下降し、挿入口2を閉鎖する。また開閉部材6がX2方向に移動すると、図8(b)に示すように摺動ピン4a,4bが押し上げられ、シャッタ3は上方へ移動し、挿入口2を開放する。この状態でディスクDの出し入れが可能となる。なお、開閉部材6を移動するための機構については省略するが、ディスクDの挿入時や排出時にシャッタ3は開放し、その他の状態ではシャッタ3は閉鎖する。
【0035】
次に、ディスク収納部30の構成について説明する。ディスク収納部30は、図9に示すように、筐体8内に設けられ、扇状の複数のディスク支持体(トレイ)31を有している。筐体8は筐体1内にある。各トレイ31は、外縁部の3箇所において軸(選択軸)32a,32b,32cに支持されている。尚、8aは、筐体8の天井部である。
【0036】
図10は、選択軸32a,32b,32cの1つを拡大して示す図であり、図11は、ディスクDがトレイ31の1つに支持された状態を示す図である。尚、以下の説明においては、選択軸32a,32b,32cを総称して選択軸32と呼ぶ場合もある。
【0037】
図10で示すように、選択軸32の外周には、スパイラル状の溝33を形成している。溝33は、選択軸32の上方と下方では密ピッチ33a,33bとなっており、少なくとも5周(5ピッチ)以上の溝を形成している。また選択軸32の中間部では、溝33が疎ピッチ33cとなっており、上方の密ピッチと下方の密ピッチの間で、溝33を1ピッチ分だけ形成している。
【0038】
トレイ31は、例えば薄い金属板で形成され、上下方向に重ねて6枚設けており、それぞれ扇状を成している。図11で示すように、トレイ31には軸受34が固定されており、軸受34は、選択軸32a32b,32cの外周に挿通され、軸受34の内側には係止部(図10の支点34aで示す)が一体に突出して形成され、この係止部が各選択軸32の溝33に摺動自在に係止している。
【0039】
また6枚のトレイ31の各軸受34の係止部34aは、溝33の各ピッチに係止しており、選択軸32が、反時計方向へ回転すると、トレイ31は選択軸32に沿って1枚ずつ下向きに送られ、選択軸32が時計方向へ回転すると、トレイ31は選択軸32に沿って1枚ずつ上向きに送られ、エレベータのように上下動する。したがって、選択軸32や選択軸32を回転する駆動部は、エレベータ機構を構成する。
【0040】
こうして、各トレイ31は選択軸32の回転により上昇または下降し、選択軸32の中央部分の疎ピッチ部33cに位置するトレイ31(選択位置αにあるトレイ31)は、隣接する下方のトレイ31から大きく離れ、そのスペースに駆動ユニット10を進入させることができ、再生や記録が可能となる。
【0041】
図12は、ディスク収納部30の構造を示す斜視図であり、(a)は全体構造を示す斜視図であり、図9の状態から天地を逆にし、天井部8aを下側にして見た図である。尚、説明を分かりやすくするため、トレイ31は1枚のみ図示している。
【0042】
図12(a)に示すように、3つの選択軸32a,32b,32cの上端(天井側)には小歯車35を設けており、天井部8aの内面には大径のリング状歯車36を回転自在に設けている。リング状歯車36は、選択軸32の小歯車35と噛み合っており、リング状歯車36の回転により、全ての小歯車35が同期して回転し、3本の選択軸32a,32b,32cが同期して回転する。
【0043】
また天井部8aの内面には回転軸37が回転自在に支持されている。回転軸37の下端には、伝達歯車38が固定され、回転軸37の上端には、歯車39が固定されており、歯車38がリング状歯車36に噛み合っている。第2のモータM2を始動すると、その動力が歯車39に伝達され、リング状歯車36が駆動される。即ち、移送ユニット20が待機位置(図3)に停止しているときに、第2のモータM2によって歯車39が駆動され、リング状歯車36が回転してトレイ31の選択動作が行われる。
【0044】
また図12(b)に拡大して示すように、天井部8aの内面には回転検出部40を設けている。回転検出部40は、天井部8aに固定された支持軸41を有し、支持軸41には、歯車42と、一部が欠けた歯車43とを一体に形成し、歯車42がリング状歯車36に噛み合っている。
【0045】
歯車43には、切欠き部43aを形成しており、歯車43を挟むように一対の光学センサ44,45を配置している。光学センサ44,45は、それぞれが歯車43の上面に対向する発光素子と歯車43の下面に対向する受光素子とを含む。
【0046】
歯車43の切欠き部43aが光学センサ44,45に対向すると、発光素子から発せられた光が受光素子で受光され、検出出力がONになる。また発光素子から発せられる光が歯車43で遮られると、検出出力がOFFになる。
【0047】
したがって、回転検出部40では、リング状歯車36が回転して各選択軸32が回転し、いずれかのトレイ31が選択位置αに至ったときに、光学センサ44と45が同時にONとなり、さらに回転部材42が1回転して、次に光学センサ44,45がONになると、次のトレイ31が選択位置αに至ったことを検出する。また、光学センサ44と45のどちらが先にON,OFFするかによって、リング状歯車36の回転方向、つまりトレイ31が下方又は上方に移動しているかを認識することができる。
【0048】
また、両光学センサ44,45が同時にONとなったときに、第2のモータM3を止めることにより、トレイ31を選択位置αに停止させることができる。また、両光学センサ44,45が共にONとなる回数をカウントすることで、6枚のトレイ31のどれが選択位置αに至ったかを認識できる。
【0049】
また図12(a)に示すように、トレイ31には3個の保持部材46,47,48を設けている。ただし、図3及び図4〜図6では、説明を分かりやすくするため、トレイ31を透視して保持部材46,47,48を図示している。
【0050】
保持部材46は、選択軸32a上の軸受34の外周に回動可能に支持され、同様に保持部材47は、選択軸32b上の軸受34の外周に、また保持部材48は、選択軸32c上の軸受34の外周にそれぞれ回動可能に支持されている。図3に示すように、各保持部材46,47,48とトレイ31との間にはそれぞれ引っ張りコイルばね49が掛けられている。
【0051】
図13は、保持部材47の構成を示している。尚、図13では図3の状態に対して天地が逆になっている。保持部材47は、例えば合成樹脂材料であり、トレイ31の下面にほぼ密着した状態で、軸受34の外周に回動可能に支持されている。保持部材47は、腕部47aを一体に形成し、腕部47aの先端部に段状の保持爪47bを有している。保持爪47bは、トレイ31の下面との間に間隔Tを空けて対向している。この対向間隔Tは、ディスクDの厚み寸法と同じか、又は僅かに大きい。
【0052】
尚、図13(a)は、トレイ31と保持爪47bとの間にディスクDを保持(チャッキング)した状態を示し、(b)は保持部材47が回動してディスクDが保持爪47bから外れ、チャッキングが解除された状態を示している。
【0053】
また保持部材48の構造も保持部材47と類似しており、図3に示すように、腕部の先部に保持爪48bを有している。保持部材48は、保持爪48bと逆側に延びる検出部48hを一体に有し、この検出部48hの近接位置に、ディスクDが保持(チャッキング)されたことを検出するセンサ50を設けている。センサ50は、例えば発光素子と受光素子を対向配置した光学センサである。また保持部材46の構造も保持部材47と類似しており、腕部の先部に保持爪46bを有している。こうして各保持部材46,47,48は、トレイ31との間でディスクDを保持するチャッキング機構を構成する。
【0054】
以下、ディスク装置100の動作について説明する。
【0055】
先ずディスクDをディスク装置100に装填(ローディング)する時は、図8(b)で示すように、シャッタ3が上昇し、挿入口2が開放する。図3で示すようにディスクDが挿入口2から挿入され、ディスクDの挿入が検出されると、第3のモータM3(図2参照)が始動し、待機位置にある移送ユニット20の移送ローラ231と232が搬入方向に回転し、ディスクDが移送ローラ231,232と挟持部24(図7)とで挟持されて筐体1内に搬入される。このとき保持部材46は、ディスクDのローディングを妨げないように駆動部材56によって、γ1方向へ回動している。
【0056】
さらにディスクDが搬入されると、第2のモータM2が再始動して、移送ユニット20は、支点軸53を中心として、図4に示す移送位置に回動する。移送位置へ回動する間も移送ローラ231,232は回転し続け、ディスクDは、移送ユニット20の回動(公転)と、移送ローラ231,232の自転により、ディスク挿入口2からディスク収納部30の保持位置へ搬入される。図5はディスクDが搬入され、ディスク収納部30に保持された状態を示している。
【0057】
ディスクDの挿入時は、図3に示すように保持部材46は、γ1方向に回動しているが、ディスクDの挿入に伴って駆動部材56による駆動が外れ、ばね49に引っ張られγ2方向に回動する。尚、ディスクDの中心をD0、中心穴をDaで示す。
【0058】
また保持部材47,48もばね49によってγ4方向に回動している。従って、トレイ31に送り込まれるディスクDは、図4で示すように最初に保持部材46に当たり、ばね49の付勢力に抗して保持部材46をγ1の方向へ回動する。
【0059】
さらに移送されたディスクDは、保持部材47と、48に当たる。これにより図5に示すように、ディスクDは、トレイ31の下面と保持爪46b、47b、48bとの間に入り込み、保持部材47,48は、ばね49の付勢力に抗してγ3方向へ回動する。そして、ディスクDの外周縁が、保持部材47、48に位置決めされチャッキングされる。
【0060】
また、トレイ31にディスクDがチャッキングされたことをセンサ50によって検出する。即ち、図5で示すようにセンサ50の発光素子と受光素子の間にあった検出部48hが外れるため、検出出力がONとなる。
【0061】
ディスクDが収納された後、第2のモータM2により移送ユニット20は、移送位置から待機位置へ回動する。移送ユニット20が待機位置に復帰すると、図8(a)に示すように、シャッタ3が閉じ、挿入口2を閉鎖する。この時点でディスクDは、トレイ31の下面と、保持部材46,47,48の保持爪47b,48b,48cとの間に保持される。
【0062】
トレイ31に保持されたディスクDを駆動するときには、図6で示すように、介入位置にある駆動ユニット10に設けたターンテーブル11の中心凸部11b(図1参照)がディスクDの中心穴Daに入り込みディスクDをクランプする。このとき、保持部材47と48は駆動部材55によって、さらにγ3方向へ回動し、保持爪47b,48bがディスクDの外周縁よりも外側へ離れる。保持部材46も駆動部材56によって、さらにγ1方向へ回動し、保持爪46bがディスクDの外周縁よりも外側に離れる。
【0063】
このあと駆動ユニット10は、クランプ動作時よりも底面側へ移動し、ディスクDはトレイ31の下面から離れる。こうしてターンテーブル11にクランプされたディスクDは、回転駆動され、光ヘッド16によってディスクDに記録された信号が読み取られ、あるいはディスクDに信号が記録される。このとき、ユニット支持ベース13がダンパー18によって弾性支持される。
【0064】
一方、再生又は記録が完了したディスクDを排出するときは、スピンドルモータが停止し、ターンテーブル11の回転が停止する。また支持ベース13が持ち上げられて、ディスクDは選択位置αにあるトレイ31の下面に押し付けられる。このとき図5に示すように、保持部材46がγ2方向へ回動し、保持部材47,48がγ4方向へ回動して、ディスクDをトレイ31の下面と各保持爪46b,47b,48bとで保持する。
【0065】
そしてターンテーブル11によるディスクDのクランプが解除され、ユニット支持ベース13と駆動ユニット10が底面に向けて下降し、ディスクDは、ターンテーブル11から抜ける。
【0066】
その後、移送ユニット20が待機位置から移送位置へ移動し、移送ローラ231,232が第3のモータM3によって搬出方向へ回転する。さらに、移送ユニット20が図4から図3の待機位置へ移動することで、ディスクDは搬出方向へ向かい、移送ローラ231,232の回転により挿入口2から排出される。ディスクDが排出されあと、保持爪46b,47b,48bは、ばね49によって図3の状態に戻る。また、シャッタ3が上昇し、挿入口2が閉鎖する。
【0067】
このように収納型ディスク装置100は、ディスク挿入口2から挿入されたディスクDを移送ユニット20によって筐体1の内部へローディング(搬送)し、ディスクの厚さ方向に積層されたトレイ31内に収納することができる。また収納されたトレイ31の中から選択したディスクDを、駆動ユニット10によって回転駆動し、光ヘッド16によってデータの読取りまたはディスクへの記録を行うことができる。
【0068】
図14は、本発明の収納型ディスク装置100の制御系のブロック図である。図14において、ディスク装置100は、マイクロコンピュータで構成された制御部60が装置の全体の動作を制御する。
【0069】
ディスクDは、スピンドルモータ61によって一定の線速度で回転され、ディスクDからの情報の読み取り、或いはディスクDへの情報の記録が光ヘッド16によって行われる。光ヘッド16は、スレッドモータ62によってディスクDの半径方向に移動する。63はサーボコントローラであり、制御部60の制御のもとに、スピンドルモータ61の回転を制御するとともに、光ヘッド16のトラッキング制御、フォーカス制御、及びスレッドモータ62の駆動を制御する。
【0070】
64はRFアンプであり、光ヘッド16によって読出した情報に対応するRF信号を増幅して次段に伝達する。又、RFアンプ64は、RF信号からフォーカス制御用の信号及びトラッキング制御用の信号を分離して、これらの制御信号をサーボコントローラ63に送る。
【0071】
65は、デジタル信号処理回路であり、RFアンプ64から出力されたRF信号をデジタル化し、デジタル化された信号の復調処理と誤り訂正処理等を行う。デジタル信号処理回路65には、SDRAM等のメモリ66が接続されており、例えばMP3による圧縮音楽データ等のファイル情報をメモリ66に読み書き自在に一時記憶する。メモリ66から読み出されたファイル情報は、デコーダ67に供給され、デコーダ66では、例えばMP3圧縮音楽データを伸長して非圧縮の通常の音楽データに変換する。
【0072】
また、制御部60は、カウンタ68を含み、制御部60には、ホストインタフェース69が接続されている。ホストインタフェース69は、ホスト(図示せず)からのコマンドを制御部60に送ったり、ディスク装置100のデータをホストに送る。
【0073】
さらに制御部60には、第1のモータM1、第2のモータM2、第3のモータM3を駆動するモータドライバ70,71,72が接続されている。また制御部60には、センサ50及びセンサ44,45からの検出結果が供給される。センサ50は、ディスクDがディスク収納部30にチャッキングされたか否かを検出するものであり、センサ44,45は、選択軸32の回転数を検出してトレイ31の選択等を行う。
【0074】
第1のモータM1と第2のモータM2は、それぞれモータドライバ70,71によって駆動制御され、駆動ユニット10の回動や、移送ユニット20の公転制御を行う。また選択軸32を回転制御してディスクDの選択等を行う。また、第3のモータM3は、モータドライバ72によって駆動制御され、移送ローラ231,232を回転制御する。また制御部60は、シャッタ3の開閉制御も行う。
【0075】
尚、スピンドルモータ61には、FG(周波数ゼネレータ)が設けられており、スピンドルモータ61の回転数は、FG信号をもとに検出され、その検出信号がサーボコントローラ63に供給される。
【0076】
ところで、収納型ディスク装置100では、ディスク収納部30に収納されたディスクDのいずれかを選択して、再生又は記録を行う際に、選択軸32を回転させてトレイ31を上昇又は下降させ、図12(b)の光学センサ44と45の検出結果を基に、希望するトレイ31が選択位置αに来たことを認識するようにしている。
【0077】
図15は、トレイ31の昇降の動作と、トレイ31の選択動作を説明する図である。図15において、(a)は6枚のディスクの内、5枚が選択軸32の上部にあり、最も下にあるトレイ31が溝33の疎ピッチ33cの部分に移動している状態を示す。尚、図15ではトレイ31の位置を軸受34の支点34aで示している。
【0078】
選択軸32が1回転する都度、6枚のトレイ31は(b)〜(e)に示すように順次に下降し、(f)では、最も上にあるトレイ31が溝33の疎ピッチ33cの部分に移動し、残りの5枚のトレイ31が選択軸32の下部に移動した状態を示している。
【0079】
図15(g)は光学センサ44の検出結果を示し、(h)は光学センサ45の検出結果を示している。図12(b)に示すように、選択軸32が回転すると歯車43が回転し、切り欠き部43aが光学センサ44,45の位置にくると検出出力がON(ローレベルL)になる。したがって、この検出結果(g),(h)をカウントすることで選択軸32が何回転したか、つまり、どのトレイ31が選択位置αにあるかを判断することができる。尚、ディスクDがどのトレイ31に保持されているかを示すディスクの有無情報は制御部60内の記憶部(図示せず)に保管される。
【0080】
また、両光学センサ44,45が同時にONとなったときに、第2のモータM3の回転を止めることにより、トレイ31を選択位置αに停止させることができる。さらに光学センサ44,45の検出出力には、若干の時間差が生じるため、光学センサ44の検出出力(g)が先にLになったときは、トレイ31が下降していると判断する。逆に光学センサ45の検出出力が(h)が先にLになったときは、トレイ31が上昇していると判断する。
【0081】
このような収納型ディスク装置100において、ディスクDを変更(チェンジ)する場合、光学センサ44,45の検出結果等をもとに希望するトレイ31を選択するが、希望するトレイ31にディスのDが保持されているか否かは、ソフトウェア処理によって判断している。ディスクDが保持されていればプレイ状態に移行し、希望するトレイ31にディスクDが無い場合は、シャッタ3をオープンにして図3に示すローディング待機状態に移行する。
【0082】
一方、トレイ31選択時には、光学センサ44,45の検出出力をカウンタ68でカウントしているが、何らかの要因によって検出出力が変動することがある。この場合、誤カウントによって異なるトレイ31を選択してしまい、実際にはディスクDを保持していないトレイを選択することがある。また、ソフトウェア処理では、トレイ31に「ディスク無し」と判断しても、実際にはトレイ31にディスクDが存在するケースも発生する。
【0083】
この場合、「ディスク無し」と判断すると、続く制御においてはローディング待機状態に遷移し、保持部材46が図3で示すようにγ1の方向に開くことになる。ところが、実際にはトレイ31にディスクDが存在する為、保持部材46の保持爪46bが開いて、ディスクDが落下してしまう可能性がある。この状態では、3つの保持部材46,47,48の内、保持爪46bから脱落するだけであるが、以降の動作(ディスクDのローディングやチェンジ等)において、ディスクDが完全に落下する可能性が高くなる。
【0084】
このように、トレイ31の選択を誤ってしまう要因としては、例えば機構部品のカタツキによるバックラッシュが考えられる。上述したように、トレイ31の位置は、2つの光学センサ44,45の検出出力が共に“L”になったときの回数をカウントして検出しているが、エレベータ機構の停止位置が光学センサ44,45の検出範囲のエッジにある場合などは、トレイ31の移動開始時に、バックラッシュを生じてしまう。
【0085】
このため、光学センサ44,45の検出出力が、図15(i)に拡大して示すように一旦“H”から“L”に変動し不要なパルスp1を発生することがある。したがって、この不要パルスp1によってカウント値が1カウントだけアップしてしまう。
【0086】
図15(j)は、カウント値が正常なときのトレイ31の位置(#1〜#6)を示す図であるが、上記したように不要パルスp1を誤カウントすると、図15(k)に示すようにトレイ31の位置を間違って判断してしまう。このため、例えば現トレイを#2とし、次に#5のトレイを選択しようとしても、#4のトレイを#5と誤って選択してしまう。
【0087】
エレベータ機構の部品、例えば選択軸32の溝33と各トレイ31の支点34aは、動作クリアランスを確保するため、ある程度のガタ分が必要であり、振動環境等も考慮するとバックラッシュ自体を無くすことは困難である。
【0088】
また、上記したカウントミスの要因としては、バックラッシュのほかに光学センサ44,45の検出出力にチャタリング等のノイズがあったり、光学センサ44,45ヘの塵埃や異物の付着や、センサを構成する発光素子や受光素子の故障などもある。またトレイ31にディスクDを保持しているか否かの有無情報の食い違いや、保持しているトレイ31の番地ミスなどもあり得る。
【0089】
何れの場合においても、ディスクDが保持部材46等から脱落する可能性があり、一度、ディスクDが落下してしまうとメカスタックに至り、正常復帰することが難しくなる。
【0090】
そこで、本発明の収納型ディスク装置100では、このような判断ミスに伴うディスクDの脱落を防止するため、トレイ31の選択を行った際にターゲットのトレイ31のディスクDの有無を確認し、トレイ31を再選択することを特徴とする。
【0091】
即ち、本発明では、トレイ31のチェンジ動作において、ターゲットのトレイ31にディスクDがチャッキングされているか否か、つまりディスクの有無を以下の方法で確認した上でチェンジするようにしている。
【0092】
先ずトレイ31と保持部材46,47,48によるチャッキングの確認を行う。即ち、選択軸32cに設けた保持部材48には、検出部48hを有しており、ディスクDがトレイ31に保持されている場合は、検出部48hがセンサ50から外れるため(図5参照)、センサ50の発光素子から受光素子に対して光が透過し、センサ50の出力がONとなる。こうしてセンサ50の出力を判断することによりディスクDの有無を判別する。
【0093】
また、スピンドルの回転によりディスクDの有無を確認する。即ち、ディスクがトレイ31に保持されている場合は、駆動ユニット10のスピンドル(ターンテーブル11)を回転させても、ディスクDが保持爪46b,47b,48bに保持され、且つ、トレイ31に圧着されているため回転しない。一方、ディスクDが無い場合にはスピンドルは回転(空転)する。したがって、スピンドルが回転可能か否かを判断することでディスクDの有無を判別する。
【0094】
スピンドルが回転したか否かの判断については、指標となるFG値を用いる。通常、スピンドルモータのドライバから出力される回転パルスは、図16に示すように、スピンドルモータが1回転すると18パルス出力される。したがって、このパルス数をカウントし、例えば6パルス以上である場合にはスピンドルは回転したと判断し、それ以下であればスピンドルは回転しなかったものと判別する。
【0095】
さらに、フォーカス合わせによりディスクDの有無を確認する。駆動ユニット10は、ディスクDに対向して光ヘッド16を有しており、対物レンズ17からディスクDに対してレーザ光を当て、その反射光を読み取っている。また、読取った反射光を利用してフォーカス調整を行うようにしている。
【0096】
したがってディスクDのチャッキング完了後、駆動ユニット10を上昇させてフォーカス調整の処理を試みる。ディスクD が有ればフォーカス調整に成功するが、ディスクDが無ければ、当然フォーカス調整は失敗する。したがって、フォーカス合わせの成否を判断することでディスクDの有無を判別する。
【0097】
こうして、チャッキングの確認、スピンドルの回転、フォーカス合わせによりディスクDの有無を総合判断する。図17A、図17Bは、ディスクDの有無を判断するフローチャートである。ディスクDの有無判断は、制御部60によって行われる。
【0098】
図17Aにおいて、ステップS1はディスク有無判断の開始ステップであり、ステップS2ではカウンタ68のフラグをクリアし、ゼロにする。ステップS3では、センサ50の出力を確認しディスクDのチャッキング状態を確認する。ステップS4では不整合の有無を判断する。不整合とは、ソフトウェアでのディスクの有無情報と実際の確認結果が異なる場合を指し、ディスクDがチャッキングされていない場合、不整合有りとしてステップS5に進む。不整合がない場合はステップS15に移行し、カウンタ68のフラグをクリアし、ゼロにする。
【0099】
ステップS5では、保持部材46,47,48をチャックング状態にし、ステップS6ではスピンドルを回転する。スピンドルが回転(空転)する場合は、ステップS7で不整合有りと判断して次のステップS8に進み、不整合がない場合はステップS15に移行する。
【0100】
ステップS8では、保持部材46,47,48のチャックング状態を確認してフォーカス合わせを行う。フォーカス調整ができない場合は、ステップS9で不整合有りとしてステップS10に進む。不整合がない場合はステップS15に移行する。
【0101】
ステップS10では、保持部材46,47,48によるチャックングを解除し、ステップS11では、カウンタ68をカウントアップして+1とする。次のステップS12では、カウンタ値が所定数、例えば3に到達したかを判断し、否(NO)であればステップS5に戻る。つまり、ステップS5からステップS11の処理を所定回数繰り返し、ディスクDの有無確認を3回以上、リトライする。
【0102】
ステップS12で、カウンタ値が所定数に到達した場合は、ステップS13でトレイ31が再選択されたか否かを判断する。つまり、トレイ変更(チェンジ)の動作は、現在のトレイからターゲットトレイまでの数を相対的にカウントして行うが、ステップS3、ステップS6、ステップS8の3つの処理を行っても、ソフトウェアで認識したディスクDの有無情報と実際の確認結果が異なる場合は、トレイ自体の選択ミスの可能性もあるため、トレイの初期位置から絶対カウント(再選択)を行う。
【0103】
つまり、ステップS13において再選択が行われていない場合は、Aから図17Bの再選択のフローチャートに移行する。再選択では、選択軸32を図15(a)の状態(初期位置)に一旦戻し、そこからターゲットトレイまでの数(検出出力g,hがともにLレベルになる数)をカウントする。
【0104】
即ち、図17Bにおいて、ステップS17は、駆動ユニット10を図1の状態に格納し、ステップS18では全てのトレイ31を図15(a)で示すように上昇させ初期位置に移動させる。次のステップ19では、トレイ31が初期位置に戻ったかを判断し、初期位置に戻った場合は、ステップS20でトレイ31を順次に下降し、ステップS21ではターゲットトレイが選択位置αに到達したか否かを判断する。ターゲットトレイが選択位置αに到達した場合は、ステップS22で駆動ユニット10を介入位置に回動して図17AのステップS3に戻る。
【0105】
一方、ステップS13でトレイ31の再選択を行ったことが判断されると、ステップS14では、ソフトウェアで認識したディスクの有無情報を実際の確認結果に合わせて更新し、ステップS15を介してステップS16に進み、ステップS16では、次動作に移行する。次動作とは、ディスクDが有る場合は、プレイ状態に進み、ディスクDが無い場合は、ローディングの待機状態に進むことを意味する。
【0106】
このように、本発明ではターゲットのトレイ31にディスクDが有るか否かを確認した上でトレイ31の選択を行うため、ディスクDの落下事象と、それに伴うメカスタックを未然に防止することができる。また、トレイ31の選択ミスを防止することができる。また、トレイ31を変更する際にディスクDの有無を再確認した結果、ソフトウェアで認識した情報と実際の情報が異なる場合は、直ちに更新される。
【0107】
尚、以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態に係る収納型ディスク装置の駆動ユニットとディスク収納部を示す平面図。
【図2】駆動ユニットの動きを説明する平面図。
【図3】ディスク収納部と移送ユニットの構成を示す平面図。
【図4】ディスク収納部へのディスクのローディング動作を示す平面図。
【図5】ディスク収納部でのディスクのチャッキング動作を示す平面図。
【図6】ディスクの駆動時を示す平面図。
【図7】移送ユニットの移送ローラの構成を示す斜視図。
【図8】ディスク装置のシャッタの開閉動作を説明する斜視図。
【図9】ディスク収納部の全体的な構成を示す斜視図。
【図10】ディスク収納部の選択軸の構成を示す正面図。
【図11】ディスク収納部でのディスクの保持状態を示す正面図。
【図12】ディスク収納部の具体的な構成を示す斜視図。
【図13】選択軸に取り付けた保持部材の構成を示す斜視図。
【図14】本発明の一実施形態に係る収納型ディスク装置の制御系を示すブロック図。
【図15】トレイのエレベータ機構の動作を説明する説明図。
【図16】スピンドルモータのFG信号波形を示す波形図。
【図17A】ディスクの有無判別動作を説明するフローチャート。
【図17B】トレイの再選択の動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0109】
1…筐体
2…ディスク挿入口
3…シャッタ
10…駆動ユニット
11…ターンテーブル
16…光ヘッド
20…移送ユニット
21…ユニット枠
22…ローラ軸
231,232…移送ローラ
30…ディスク収納部
31…トレイ
32(32a,32b,32c)…選択軸
33(33a,33b,33c)…溝
34…軸受
40…回転検出部
44,45…光学センサ
46,47,48…保持部材
50…チャッキングのセンサ
60…制御部
61…スピンドルモータ
62…スレッドモータ
63…サーボコントローラ
64…RFアンプ
M1,M2,M3…モータ
100…収納型ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを保持するためにディスク面と直交する方向に積層配置した複数のトレイを含むディスク収納部と、
前記複数のトレイを支持する軸を有し、前記トレイを前記ディスク面と直交する方向に移動していずれか1つのトレイを選択位置に案内するエレベータ機構と、
前記トレイに対向して前記軸に回動自在に配置した複数の保持部材を有し、前記保持部材と前記トレイとの間で前記ディスクを保持するチャッキング機構と、
前記ディスクをディスク挿入口と前記ディスク収納部の保持位置との間で移送する移送ユニットと、
前記選択位置にあるディスクを回転駆動するターンテーブルを有する駆動ユニットと、
前記複数のトレイの中からターゲットのトレイを選択し希望するディスクを駆動する際に、前記ターゲットトレイにおけるディスクの有無を判断し、前記判断結果をもとに前記ディスクの駆動を実行する制御部と、を具備する収納型ディスク装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ターゲットトレイの選択時にディスク有りと判断した場合に前記ディスクの保持状態を解除し、前記駆動ユニットによって前記ディスクを回転駆動することを特徴とする請求項1記載の収納型ディスク装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記チャッキング機構によるディスクの保持状態を検出し、前記ディスクが保持されている場合は、ディスク有りと判断することを特徴とする請求項2記載の収納型ディスク装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ディスクの保持が検出されない場合は、前記チャッキング機構を保持状態にして前記ターンテーブルを回転させ、回転数が所定値以下の場合にはディスク有りと判断することを特徴とする請求項3記載の収納型ディスク装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ターンテーブルが空転した場合は、ディスク無しと判断することを特徴とする請求項4記載の収納型ディスク装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ディスクの保持が検出されない場合は、前記駆動ユニットに設けた光ヘッドからの情報をもとにフォーカス調整を行い、フォーカス合わせが実行できたときにはディスク有りと判断することを特徴とする請求項3記載の収納型ディスク装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記フォーカス合わせが実行できないときは、ディスク無しと判断することを特徴とする請求項6記載の収納型ディスク装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ターゲットトレイにディスク無しと判断した場合は、ディスク装填の待機状態に移行することを特徴とする請求項1,5,7のいずれかに記載の収納型ディスク装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ターゲットトレイを選択したときに、前記ディスクの有無判断を所定回数実行し、ディスク無しの判断を行った場合は、前記複数のトレイを初期位置に戻し、前記ターゲットトレイを再選択することを特徴とする請求項1記載の収納型ディスク装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記複数のトレイでのディスクの有無情報を保管する記憶部を有し、前記ターゲットトレイの再選択結果をもとにディスクの有無情報を更新することを特徴とする請求項9記載の収納型ディスク装置。
【請求項11】
ディスクを保持可能な複数のトレイを支持する軸を有し前記トレイを前記軸に沿ってディスク面と直交する方向に移動していずれか1つのトレイを選択位置に案内するエレベータ機構と、前記トレイに対向して前記軸に回動自在に配置した複数の保持部材を有し前記保持部材と前記トレイとの間で前記ディスクを保持するチャッキング機構と、前記選択位置にあるディスクを回転駆動するターンテーブルを有する駆動ユニットと、を備え、
前記複数のトレイの中からターゲットのトレイを選択し希望するディスクを駆動する際に、前記ターゲットトレイにおけるディスクの有無を判断し、
前記ターゲットトレイにディスク有りと判断した場合に、前記ディスクの保持状態を解除し、前記ディスクを前記駆動ユニットによって回転駆動することを特徴とするディスク駆動方法。
【請求項12】
前記ターゲットトレイの選択時に、前記チャッキング機構によるディスクの保持状態を検出し、ディスクが保持されている場合は、ディスク有りと判断することを特徴とする請求項11記載のディスク駆動方法。
【請求項13】
前記ターゲットトレイの選択時に、ディスクの保持が検出できない場合は、前記チャッキング機構を保持状態にして前記ターンテーブルを回転させ、回転数が所定値以下の場合にはディスク有りと判断することを特徴とする請求項11記載のディスク駆動方法。
【請求項14】
前記ターンテーブルが空転した場合は、ディスク無しと判断することを特徴とする請求項13記載のディスク駆動方法。
【請求項15】
前記ターゲットトレイの選択時に、ディスクの保持が検出できない場合は、前記駆動ユニットに設けた光ヘッドからの情報をもとにフォーカス調整を行い、フォーカス合わせが実行できたときにはディスク有りと判断することを特徴とする請求項11記載のディスク駆動方法。
【請求項16】
前記フォーカス合わせが実行できないときは、ディスク無しと判断することを特徴とする請求項15記載のディスク駆動方法。
【請求項17】
前記ターゲットトレイにディスク無しと判断した場合は、ディスク装填の待機状態に移行することを特徴とする請求項11,14,16のいずれかに記載のディスク駆動方法。
【請求項18】
前記ターゲットトレイを選択したときに、前記ディスクの有無判断を所定回数実行し、ディスク無しの判断を行った場合は、前記複数のトレイを初期位置に戻し、前記ターゲットトレイを再選択することを特徴とする請求項11記載のディスク駆動方法。
【請求項19】
前記複数のトレイでのディスクの有無情報を保管する記憶部を有し、
前記ターゲットトレイの再選択結果をもとにディスクの有無情報を更新することを特徴とする請求項18記載のディスク駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【公開番号】特開2010−118119(P2010−118119A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291248(P2008−291248)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】