説明

収納室を複数個有する長形ティーバッグ

【課題】ペットボトルの中だけで簡単かつ効率的に飲み物をつくることができるティーバッグを提供する。
【解決手段】ペットボトルの口から出し入れできる太さの細長い筒状体1を複数の収納室2、3、4に仕切り、A収納室2、B収納室3に飲料用原材料を封入して両端を接着する。両収納室接着方法として、A収納室2は一端の接着線5aに対して他端5bを筒状体の軸線を中心に90度回転させて接着し、同様にB収納室3は接着線5bに対して接着線5cを90度回転させて接着する。これによりA収納室2およびB収納室3は内部に立体的な空間が確保され、茶葉等の飲料用原材料が内部でよく開き抽出が促進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットボトルの中でお茶その他の飲み物を浸出するティーバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明はペットボトル用に開発したティーバッグであるが、必ずしもお茶だけを対象とするものではなく、多種の飲料に適用可能なものである。ただし説明の都合上、ここでは茶葉を入れるティーバッグという前提で説明を進める。
【0003】
ペットボトル飲料は、片手で持って飲める適度なサイズ、何回でも小分けして飲めるキャップ付き、落としても割れない軽量の材質、中味を補充すれば何回でも使える手軽さなど、数々の利点から近年人気が高まってきており、空になったペットボトル容器にお茶など好みの飲料を入れて持ち歩く人が増えてきた。
【0004】
現在市販されているティーバッグは四角形の扁平なもの、ピラミッド形の立体的なもの、またはそれらにヒモを付けたものが一般的であり、こうした市販品のティーバッグをペットボトルに入れてお茶をつくろうとしても、乾燥していて柔軟性があるためペットボトルに押し込めば何とか入るが、飲み終わって取り出したいときには、中の茶葉が湯水を吸って膨らむためペットボトルから取り出すのに困難が伴っていた。また扁平形のティーバッグは湯水に浸しても中の茶葉が開きにくく、お茶の浸出が十分にできないという欠点があった。
【0005】
このほかに、これまでに考えられたペットボトル用ティーバッグの発明としては、ペットボトルの口から入れられる大きさを持った筒状ティーバッグの一端につまみ付きの糸を付けたもの(特許文献1参照)や、ティーバッグを筒状にして一端にタブ付きの糸や円盤状の板に糸を付けたもの、帽子型の嵌め込み器具をセットして糸を付けたもの(特許文献2参照)、さらには糸付きの細長いティーバッグの内部を水溶性ののりで二分割し、一方に茶葉を入れてお湯を注ぐことにより茶葉が膨らみのりが溶けて内部スペースが広がるというアイデア(特許文献3参照)などがあるが、上記問題点を完全に解決できる発明は見当たらない。
【特許文献1】実開平5−72768号公報
【特許文献2】特開2003−246365号公報
【特許文献3】特開2003−34360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ペットボトルのファンが多くなってきているのは事実であるが、これとは逆に、一度飲めばペットボトルを捨ててしまうという人も多く、資源を大切にする観点からも空容器の再利用をさらに促すアイデアが望まれるところである。
【0007】
最近、ペットボトルで飲料をつくれるということから、細長いティーバッグに麦茶やウーロン茶を入れて市販されているのを目にする。しかし、お茶を入れたティーバッグの場合、ティーバッグの下の方に入っている茶葉は上に乗っている茶葉に押さえられて開くことができず、お茶の浸出が十分行なわれないという問題が残っている。
【0008】
ペットボトル内に茶葉を直接入れてお茶をつくれば、茶葉が十分に開くスペースもありおいしいお茶が早くできて便利である。しかし、茶葉を入れるときに茶葉をこぼしやすい、飲むときに茶葉が口のところまで寄ってきてわずらわしい、飲んでいる途中で茶葉を取り除きたくてもできず濃度の調節がむずかしい、などの問題点がある。以上挙げた問題点を解消するティーバッグが望まれるところである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、胴体部分の断面積が概ねペットボトルの口部内側の断面積と同等またはそれ以下である筒状体を、軸線方向に対して直角に仕切って複数個の収納室を構成し、飲料用原材料を封入して収納室両端を接着したことを特徴とする収納室を複数個有する長形ティーバッグである。
【0010】
本発明はペットボトルの口から出し入れする細長いティーバッグであるが、ペットボトルのキャップのところに一端を挟み、中に吊るして使用する。ティーバッグは筒状体を複数個の収納室に仕切り、それぞれの収納室に茶葉を入れて接着・封入する。この際、茶葉の開くスペースを確保するため茶葉の量は概ね収納室の容積の三分の一くらいとするのが妥当である。
【0011】
収納室の数は多いほどお茶の出はよいが、あまり数が多すぎるとペットボトル内の湯水の量に対し茶葉量が過多となりお茶が濃く出すぎることがあり、さらにコストも考慮に入れなければならないので、通常市販されている500ml程度のペットボトル用としては収納室数は3〜4室で十分と思われる。このうち2室または3室に茶葉を入れ、1室には何も入れないでおき吊り下げの目的に使用する。ただし、容量が11や21のペットボトル用としては、ティーバッグの収納室数をもっと増やすか、または500ml用ティーバッグを何本か使用する必要がある。
【0012】
茶葉を入れる収納室を複数個設ける理由は、同量の茶葉すべてを1個の収納室に入れるよりも、2室または3室に分けて入れた方が茶葉が開くスペースがすべての茶葉に均等に与えられ、茶葉が早く開いてお茶の浸出が短時間で促進されるからである。1個の収納室にすべての茶葉を入れた場合、下の方に位置する茶葉は上方に乗っている茶葉に押さえつけられて開くことができず、お茶の浸出に時間がかかるのである。収納室を複数個設けている点が、本発明と従来知られている発明(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)との基本的に異なる点である。
【0013】
ペットボトルに入れるときに最上部に来るティーバッグの収納室にも茶葉を入れてもよいが、この部分は茶葉の入った収納室をペットボトル内に吊るすのが主な役目であり、茶葉を無理に入れる必要はない。また、ティーバッグの一端をペットボトルのキャップのところで外に出す理由は、お茶が浸出され適当な濃度になったとき、それ以上の浸出を止めてティーバッグをつまんで取り出すためである。
【0014】
ティーバッグの材質は、紙、化学繊維、綿等の布、不織布またはそれらを組み合わせた材質など通水性を有するすべてのものが適用できる。
【0015】
ティーバッグの大きさとしては、胴回りがペットボトル口部に入る大きさ、収納室1個の長さが数cm、上端の収納室の長さが、他の収納室がペットボトル内の湯水につかる距離を考慮して10cm前後とするのが適当である。
【0016】
ティーバッグの中に入れる飲料用原材料としては、緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶、紅茶、薬草茶、麦茶などのお茶類に限らず、粉末コーヒー、粉末ココア、粉末ジュース、砂糖、クリーム等、湯や水に溶かして飲用に供するものすべてに適用可能である。
【0017】
ティーバッグをペットボトルに入れる場合、ティーバッグの先端部分をペットボトルの口部から外に出してキャップを締めることにより、ティーバッグはペットボトル内の湯水にぶら下がった状態になる。この状態でペットボトルを軽く振ることによりティーバッグ内の茶葉への通水がなされ、お茶の浸出が促進される。お茶が濃く出すぎるのを防ぎたいときは、適当な時間を見計らって先端部分をつまみティーバッグを取り出すことで対応する。
【0018】
請求項2に記載の発明は、飲料用原材料入り収納室一端の接着線に対し、他端を軸線中心に90度回転して接着した請求項1記載の収納室を複数個有する長形ティーバッグである。
【0019】
このティーバッグの両端部分の接着は90度ねじれた状態となっており、内部に空間が保たれるため通常の平たいティーバッグに比べると内部への湯水の浸透がよく、中で茶葉が湯水に十分に触れて開きやすい。特にティーバッグの材質がナイロン等の化学繊維の場合、弾性がありティーバッグがねじれた状態を維持しやすい。
【発明の効果】
本発明の収納室を複数個有する長形ティーバッグは、以上のような構成からなり、以下に記す効果が期待できる。
【0020】
ペットボトルの口から容易に出し入れできる細長い形体のティーバッグであり、急須等を使わずにペットボトルの中に茶葉その他の飲料用原材料を直接入れて好みの飲料をつくることができる。
【0021】
ティーバッグの中の茶葉は、複数の収納室に少しずつ分割して入れられており、湯水に触れる部分が多く、また立体的空間の中で自由に開くことができるためお茶が短時間によく浸出される。
【0022】
お茶の浸出状況を見ながら、ちょうどよい濃さに浸出されたときにティーバッグを取り出すことができるため、お茶が濃くなりすぎるのを防ぎ、その人好みの濃度のお茶を自由につくることができる。
【0023】
ティーバッグは完全にペットボトルの中まで入れておけば、湯水を足すことにより二煎目、三煎目のお茶をつくることも手軽にできる。お茶を飲み終えた後ペットボトルを逆さにして軽く振れば、ティーバッグは容易に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜3を参照にして説明する。
【0025】
図1は本発明の斜視図、図2は本発明の正面図である。両図はティーバッグ本体1を3個の収納室に区分し、1室には茶葉を入れない実施例を示す。A収納室2およびB収納室3には茶葉6をそれぞれ収納室容積の三分の一程度入れ、C収納室4には何も入れない。
【0026】
A収納室2とB収納室3は接着線5bで、B収納室3とC収納室4とは接着線5cの部分で接着されている。接着線5aと5bはティーバッグ本体1の軸線を中心に90度回転した形で接着され、同様に接着線5bと5cも90度回転した状態で接着され、両収納室を立体的に膨らませた状態に保っている。したがって、両収納室内の茶葉6が湯水8に触れて開いた場合、十分にお茶を抽出できる空間を提供する。
【0027】
C収納室4は接着線5cと接着線5dにより接着されているが、両接着線の方向は同じであり、したがってC収納室4は立体的に膨らんでおらず扁平体となっている。この部分は湯水8を入れたペットボトル7に入れた場合に、お茶を浸出する役目よりも、茶葉6を封入したA収納室2およびB収納室3をペットボトル7のキャップのところから湯水8の中に吊り下げる役目を優先させているからである。
【0028】
図3はティーバッグ本体1をペットボトル7のキャップにはさんで中に吊るした状態を示す。この状態では、ティーバッグ本体1のA収納室2およびB収納室3は完全に湯水8内に没している。この状態でペットボトル7を軽く振ることにより、湯水8はA収納室2およびB収納室3内の茶葉6の間を効率的に通水してお茶を浸出しやすくする。
【0029】
ある程度お茶が浸出され、それ以上浸出が進んで濃くなりすぎるのを好まないときは、ペットボトル7のキャップ部に出ているC収納室4の先端をつまんでペットボトル7からティーバッグ本体1ならびにそれに連なった2個の収納体2、3を取り出せばよい。お茶の濃度に関係なく何回も飲みたい場合には、ティーバッグ本体1をキャップのところに留めずにすべてを湯水8内に入れてしまってもよい。一煎目とは違った二煎目のお茶の味を楽しむこともでき、手軽でもあり経済的でもある。
【0030】
1lや2l入りのペットボトルに多量にお茶を浸出したい場合には、ティーバッグ本体1を2本以上使用してペットボトル内に吊るせば、通常のサイズのペットボトルと同じ濃度のお茶を浸出することができる。一度に多数のティーバッグを吊るすことができない場合には、1〜2本ずつ何回かに分けて浸出すれば可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】 不透明包材をティーバッグの材質として使用した場合の本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】 透明包材をティーバッグの材質として使用した場合の本発明の一実施例を示す正面図である。
【図3】 本発明をペットボトルに入れて使用中の正面図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・ティーバッグ本体
2・・・A収納室
3・・・B収納室
4・・・C収納室
5a、5b、5c、5d・・・接着線
6・・・茶葉
7・・・ペットボトル
8・・・湯水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体部分の断面積が概ねペットボトルの口部内側の断面積と同等またはそれ以下である筒状体を、軸線方向に対して直角に仕切って複数個の収納室を構成し、飲料用原材料を封入して収納室両端を接着したことを特徴とする収納室を複数個有する長形ティーバッグ。
【請求項2】
飲料用原材料入り収納室一端の接着線に対し、他端を軸線中心に90度回転して接着した請求項1記載の収納室を複数個有する長形ティーバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−22643(P2007−22643A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230046(P2005−230046)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(398071347)中根製茶株式会社 (3)
【Fターム(参考)】