収納容器、デバイス製造装置及びデバイス製造方法
【課題】収納容器に対するレチクルの位置決めに有利な技術を提供する。
【解決手段】基板に転写すべきパターンと第1マークとが形成されたパターン面を有するレチクルを収納する収納容器であって、前記パターン面を保護するためのベースプレートと、前記ベースプレートに配置され、前記パターン面を介して前記レチクルを支持する支持部と、前記レチクルの前記パターン面とは反対側の面を保護するように、前記ベースプレートに載置されるカバーと、を有し、前記ベースプレートは、前記支持部に支持された前記レチクルの前記第1マークを観察するために光透過部材で構成されたウィンドウ部を含み、前記ウィンドウ部に第2マークが形成されている、ことを特徴とする収納容器を提供する。
【解決手段】基板に転写すべきパターンと第1マークとが形成されたパターン面を有するレチクルを収納する収納容器であって、前記パターン面を保護するためのベースプレートと、前記ベースプレートに配置され、前記パターン面を介して前記レチクルを支持する支持部と、前記レチクルの前記パターン面とは反対側の面を保護するように、前記ベースプレートに載置されるカバーと、を有し、前記ベースプレートは、前記支持部に支持された前記レチクルの前記第1マークを観察するために光透過部材で構成されたウィンドウ部を含み、前記ウィンドウ部に第2マークが形成されている、ことを特徴とする収納容器を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型レチクルを収納する収納容器、デバイス製造装置及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー技術を用いて半導体デバイスを製造する際に、露光装置が使用されている。露光装置は、レチクル(マスク)のパターンを、投影光学系を介して、基板(ウエハなど)に投影してパターンを転写する。近年では、波長10nm乃至15nm程度の波長を有する極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を用いた露光装置(EUV露光装置)の実用化も検討されている。
【0003】
露光装置においては、レチクルのパターン面にパーティクルが付着すると、基板上の各ショット領域の同一位置に欠陥像として転写され、半導体デバイス製造の歩留まりや半導体デバイスの信頼性が大幅に低下してしまう。そこで、g線、i線、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザなどを用いた露光装置においては、レチクルのパターン面から数mm離れた位置にペリクル(透明保護膜)が設けられたレチクルが使用されている。ペリクルに付着したパーティクルは、レチクルのパターン面(即ち、投影光学系の物体面)からデフォーカスしているため、所定の大きさよりも小さいパーティクルであれば、基板上の各ショット領域に欠陥像として転写されることはない。但し、EUV光に対して十分な透過率を有する材料が存在していないため、EUV露光装置に使用されるレチクル(反射型レチクル)には、ペリクルを設けることができない。
【0004】
EUV露光装置では、ハーフピッチ22nmノード世代の半導体デバイスを製造することが考えられる。このようなEUV露光装置において、例えば、100nmのパーティクルがレチクルのパターン面に付着した場合、投影光学系の縮小倍率を1/4倍とすると、基板上では25nmとなるため、半導体デバイスの製造は不可能になる。実際には、EUV露光装置において管理すべきパーティクルの大きさは更に小さく、数十nm以下の大きさの極めて微小なパーティクルを考慮しなければならない。従って、EUV露光装置に使用されるレチクルを保管又は搬送する際には、レチクルへのパーティクルの付着を十分に注意する必要がある。そこで、レチクルを二重の容器で収納してパーティクルの付着を防止する技術(所謂、二重ポッド)が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
二重ポッドでは、レチクルをインナーポッドで収納し、レチクルを収納したインナーポッドをアウターポッドで更に収納する。インナーポッドは、レチクルのパターン面を保護するベースプレートと、レチクルのパターン面とは反対側の面(チャック面)を保護するインナーカバーとを含む。インナーポッドにおいて、ベースプレートの表面(研磨されたメタル表面)とレチクルのパターン面とを近接して(微小なギャップを隔てて)配置することで、パターン面へのパーティクルの付着を防止することが可能となる。インナーカバーには、機械的なガタつきがなく、レチクルを所定の位置に固定するために、チャック面のチャムファー(以下、「C面」と称する)を押し付ける固定部材(固定ピン)が配置されている。また、インナーポッドは、一般的に、標準機構インターフェース(SMIF)を用いてアウターポッドに収納(固定)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−153899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
二重ポッドでは、レチクルのC面を固定ピンで押し付ける際に、レチクルが所定の位置からずれていると、レチクルと固定ピンとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかってしまうため、摩擦及び擦れが大きくなり、パーティクルが発生する原因となる。従って、二重ポッドを用いる際には、レチクルをベースプレート上の所定の位置に正確に位置決めすることが重要である。
【0008】
そこで、特許文献1は、レチクルとベースプレートとの位置ずれを検出し、かかる検出結果に基づいて、レチクルをベースプレート上の所定の位置に位置決めする技術を開示している。具体的には、ベースプレートに配置されたウィンドウを介してレチクルのアライメントマークを第1の計測系で計測し、ベースプレートに配置されたマークを第2の計測系で計測することで、レチクルとベースプレートとの位置ずれを検出している。しかしながら、特許文献1の技術では、独立した2つの計測系でレチクルのアライメントマークとベースプレートに配置されたマークとを計測しているため、計測系や信号処理系の構成が複雑になり、コストアップの要因となってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、収納容器に対するレチクルの位置決めに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての収納容器は、基板に転写すべきパターンと第1マークとが形成されたパターン面を有するレチクルを収納する収納容器であって、前記パターン面を保護するためのベースプレートと、前記ベースプレートに配置され、前記パターン面を介して前記レチクルを支持する支持部と、前記レチクルの前記パターン面とは反対側の面を保護するように、前記ベースプレートに載置されるカバーと、を有し、前記ベースプレートは、前記支持部に支持された前記レチクルの前記第1マークを観察するために光透過部材で構成されたウィンドウ部を含み、前記ウィンドウ部に第2マークが形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、収納容器に対するレチクルの位置決めに有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一側面としての収納容器のインナーポッドの構成を示す概略断面図である。
【図3】図2に示すインナーポッドのベースプレートの構成を示す概略平面図である。
【図4】図2に示すインナーポッドのインナーカバーの構成を示す概略平面図である。
【図5】反射型レチクルのパターン面を示す概略平面図である。
【図6】反射型レチクルがベースプレートに配置された支持ピンに支持される前の状態を示す図である。
【図7】計測部で観察されたアライメントマークの一例を示す図である。
【図8】図1に示す露光装置におけるレチクル搬送系の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示すS202のアライメントマークの相対的な位置ずれの計測を説明するための図である。
【図10】反射型レチクルに形成される一般的なマークの一例を示す図である。
【図11】検査装置におけるレチクル搬送系の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図11に示すS302のアライメントマークの相対的な位置ずれの計測を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の一側面としての露光装置EAの構成を示す概略図である。露光装置EAは、ここでは、10nm以上15nm以下の波長を有するEUV光を露光光として使用し、ステップ・アンド・スキャン方式でレチクルのパターンをウエハ(基板)に転写するEUV露光装置である。但し、露光装置EAには、ステップ・アンド・リピート方式も適用することができる。なお、本実施形態では、露光装置EAを例として本発明を説明するが、本発明はデバイス製造工程においてレチクルを取り扱うデバイス製造装置に適用することができる。従って、デバイス製造装置は、例えば、レチクルを洗浄又は検査する装置であってもよい。
【0016】
ウエハ1に転写すべきパターン(回路パターン)が形成されたパターン面を有する反射型レチクル2は、レチクルチャック7に保持される。反射型レチクル2を保持したレチクルチャック7は、スキャン(走査)方向に粗動及び微動が可能なレチクルステージ3に載置される。レチクルステージ3の位置及び姿勢は、レーザ干渉計(不図示)によって常に監視される。
【0017】
投影光学系5は、反射型レチクル2のパターン面で反射された露光光(EUV光)をウエハ1に投影する(即ち、ウエハ1を露光する)。ウエハ1は、ウエハチャック6に保持される。ウエハチャック6は、6軸方向に粗動及び微動が可能なウエハステージ27に載置される。ウエハステージ27の位置及び姿勢は、レーザ干渉計(不図示)によって常に監視される。
【0018】
投影光学系の縮小倍率を1/β、レチクルステージ3のスキャン速度をVr、ウエハステージ27のスキャン速度をVwとする。レチクルステージ3とウエハステージ27のスキャン動作は、Vr/Vw=βの関係を満たすように同期制御される。レチクルステージ3はレチクルステージ空間4aに配置され、投影光学系5は投影光学系空間4bに配置され、ウエハステージ27はウエハステージ空間4cに配置される。レチクルステージ空間4a、投影光学系空間4b及びウエハステージ空間4cは、それぞれ独立して圧力が制御される。レチクルステージ空間4a乃至ウエハステージ空間4cに配置される構成要素は、レチクルを介して基板を露光する露光部(露光ユニット)を構成する。
【0019】
反射型レチクル2を収納する収納容器31を用いたレチクル搬入方法の一例を説明する。収納容器31は、インナーポッドとアウターポッドとを含み、反射型レチクル2を二重の容器で収納する二重ポッドである。EFEM(Equipment Front−End Module)19において、大気中で収納容器31からインナーポッド10を取り出し、ロボット18を用いてインナーポッド10をロードロックチャンバー23に搬送する。インナーポッド10がロードロックチャンバー23に搬送されると、ロードロックチャンバー23において真空引きがなされる。ロードロックチャンバー23の内部の圧力が所定の圧力に到達すると、ゲートバルブ12aを開き、ロボット22を用いてインナーポッド10をレチクルステージ空間4aとロードロックチャンバー23との間の中間チャンバーに搬送する。インナーポッド10は、ロボット22によってインナーポッドライブラリ25に搬送される。そして、インナーポッド10は、インナーポッド10からインナーカバーを取り外すためのオープナー24に搬送され、インナーカバーが取り外される。その後、ゲートバルブ12cを開き、反射型レチクル2をレチクルプリアライメントステージ20に載置してプリアライメントを行う。プリアライメントが行われたら、反射型レチクル2をレチクルステージ3に搬送し、レチクルチャック7に保持させる。反射型レチクル2を搬出する際には、後述するように、上述したレチクル搬入方法の各工程を逆に行う。
【0020】
また、ウエハ搬入方法の一例を説明する。EFEM(Equipment Front−End Module)14において、大気中でキャリアからウエハ1を取り出し、ロボット13を用いてウエハ1をロードロックチャンバー15に搬送する。ウエハ1がロードロックチャンバー15に搬送されると、ロードロックチャンバー15において真空引きがなされる。ロードロックチャンバー15の内部の圧力が所定の圧力に到達すると、ゲートバルブ11aを開き、ロボット8を用いてウエハ1をウエハステージ空間4cとロードロックチャンバー15との間の中間チャンバーに搬送する。ウエハ1は、ロボット8によってウエハストッカ26に搬送される。その後、ゲートバルブ11cを開き、ウエハ1をウエハプリアライメントステージ30に載置してプリアライメントを行う。プリアライメントが行われたら、ウエハ1をウエハステージ27に搬送し、ウエハチャック6に保持させる。ウエハ1を搬出する際には、上述したウエハ搬入方法の各工程を逆に行う。
【0021】
ここで、反射型レチクル2を収納する収納容器31について詳細に説明する。図2は、収納容器31のインナーポッド10の構成を示す概略断面図である。図3は、インナーポッド10のベースプレート100の構成を示す概略平面図である。図4は、インナーポッド10のインナーカバー104の構成を示す概略平面図である。
【0022】
収納容器31では、ベースプレート100の表面と反射型レチクル2のパターン面2aとを近接して(微小なギャップを隔てて)配置する。これにより、ベースプレート100の表面と反射型レチクル2のパターン面2aとの間の空間にパーティクルが進入することが抑制され、パターン面2aへのパーティクルの付着を防止することができる。
【0023】
反射型レチクル2は、ウエハ1に転写すべきパターンが形成されたパターン面2aを下に向けて、パターン面2aを保護するためのベースプレート100に配置された支持ピン(支持部)102a、102b、102c及び102dに支持される。換言すれば、支持ピン102a乃至102dは、パターン面2aを介して、反射型レチクル2を支持する。
【0024】
ベースプレート100には、支持ピン102a乃至102dに支持された反射型レチクル2の極端な横ずれを防止するポストピン101a、101b、101c、101d、101e、101f、101g及び101hが配置されている。また、ベースプレート100には、反射型レチクル2のパターン面2aに形成されたアライメントマークやIDマークなどのマーク(第1マーク)を観察するために光透過部材で構成されたウィンドウ部106a及び106bが形成されている。
【0025】
インナーカバー104は、反射型レチクル2のパターン面2aとは反対側の面(チャック面)2bを保護するように、ベースプレート100に接続されている。インナーカバー104には、インナーポッド10に反射型レチクル2を収納した際に、インナーポッド10の内部と外部との圧力差を低減する(ゼロにする)ためのクリーンフィルター105a及び105bが設けられている。また、インナーカバー104には、鉛直方向にスライド可能であり、反射型レチクル2のチャック面2b(詳細には、チャムファー(C面))を押し付ける固定ピン103a、103b、103c及び103dが配置されている。固定ピン103a乃至103dは、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10をアウターポッド(不図示)で収納する際に、アウターポッドの内側に設けられたバネなどの弾性部材を介して、所定の力で反射型レチクル2を鉛直下方に押し付ける。一般的に、反射型レチクル2のC面の傾斜角は45°であるため、固定ピン103a乃至103dの反射型レチクル2との接触部の水平面に対する傾斜角は、反射型レチクル2のC面の傾斜角と補角をなす135°となる。従って、反射型レチクル2のC面と固定ピン103a乃至103dの接触部とが接触することで、反射型レチクル2はベースプレート100に対して水平方向に移動し、機械的なガタつきがなく、インナーポッド10の内部に固定される(位置決めされる)。
【0026】
固定ピン103a乃至103dで反射型レチクル2のC面を押し付けて反射型レチクル2をベースプレート100に対して水平方向に移動させることは、反射型レチクル2と支固定ピン103a乃至103dとの間の接触及び摩擦を伴う現象である。従って、周囲の環境や固定ピン103a乃至103d(の接触部)の状態によって、反射型レチクル2を再現性よく位置決めできないことがある。また、反射型レチクル2は、厚さの寸法公差の範囲内で厚さにばらつきがある。このような場合、固定ピン103a乃至103dは、所定の位置よりも高い位置で反射型レチクル2のC面に接触するため、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかってしまう。固定ピン103a乃至103dは、一般的には、真空雰囲気への脱ガスを減少させるために、金属で構成される。従って、ガラスで構成された反射型レチクル2と金属で構成された固定ピン103a乃至103dとの間においては、硬度及び剛性に大きな差が生じている。
【0027】
例えば、ベースプレート100の上の所定の位置に対して、反射型レチクル2がΔxだけ位置ずれしている場合について考える。固定ピン103a乃至103dに接続される弾性部材の剛性をkとすると、反射型レチクル2のC面の傾斜角は45°であるため、k・Δxの力が余分に反射型レチクル2のC面にかかる。固定ピン103a乃至103dに接続される弾性部材の伸縮のストロークは短いため、剛性kは非線形になりやすく、反射型レチクル2のC面にかかる力を見積もることは難しい。弾性部材が設計値よりも圧縮された場合、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかり、摩擦及び擦れが大きくなり、パーティクルが発生する原因となる。
【0028】
そこで、本実施形態では、収納容器31(のインナーポッド10)は、反射型レチクル2とベースプレート100との位置ずれを検出することを可能にする構成を有する。そして、反射型レチクル2とベースプレート100との位置ずれの検出結果に基づいて、反射型レチクル2をベースプレート100の上の所定の位置に位置決めする。
【0029】
具体的には、図3に示すように、ベースプレート100に形成されたウィンドウ部106a及106bのそれぞれに、ベースプレート100の位置を計測するためのアライメントマーク(第2マーク)107a及び107bが形成されている。一方、反射型レチクル2のパターン面2aは、図5に示すように、ウエハ1に転写すべきパターンが描画される描画領域110を有する。描画領域110は、一般的に、104mm×132mm程度の領域である。また、反射型レチクル2のパターン面2aには、反射型レチクル2の位置を計測するためのアライメントマーク112a及び112bが形成されている。アライメントマーク112a及び112bは、ベースプレート100のウィンドウ部106a及び106bのそれぞれを介して反射型レチクル2を観察することができる観察領域111a及び111bに形成される。ここで、アライメントマーク112a及び112bは、レチクルステージ3における反射型レチクル2の相対位置を計測するための通常のアライメントマークとは別に、アライメントマーク107a及び107bのそれぞれに対応させて形成される。これにより、ウィンドウ部106aに形成されたアライメントマーク107aと反射型レチクル2の観察領域111aに形成されたアライメントマーク112aとが対になる。同様に、ウィンドウ部106bに形成されたアライメントマーク107bと反射型レチクル2の観察領域111bに形成されたアライメントマーク112bとが対になる。従って、図6に示すように、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとを、1つの計測部130の1つの視野で(即ち、同時に)観察することができる。同様に、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとを、1つの計測部130の1つの視野で観察することができる。図6は、反射型レチクル2がベースプレート100に配置された支持ピン102a乃至102dに支持される前の状態、即ち、レチクルプリアライメントステージ20に載置された状態を示す図である。
【0030】
計測部130は、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとを観察してアライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置(即ち、ベースプレート100と反射型レチクル2との位置ずれ)を計測する。同様に、計測部130は、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとを観察してアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置(即ち、ベースプレート100と反射型レチクル2との位置ずれ)を計測する。
【0031】
上述したように、ベースプレート100の表面と反射型レチクル2のパターン面2aとは近接して配置されている。従って、反射型レチクル2に形成されたアライメントマーク112a及び112bは、ベースプレート100の表面に近接して、且つ、対向して配置されることになる。これにより、計測部130は、アライメントマーク112a及び112bのそれぞれを、ウィンドウ部106a及び106bを介して、例えば、画像として取得することができる。
【0032】
また、ベースプレート100に形成されたアライメントマーク107aと反射型レチクル2に形成されたアライメントマーク112aとは、計測部130の光軸方向に沿って近接して配置されることになる。従って、計測部130は、アライメントマーク107a及びアライメントマーク112aを同一視野内で観察できるように、深い焦点深度を有する光学系で構成する必要がある。
【0033】
レチクルプリアライメントステージ20は、X軸、Y軸、Z軸及びθ方向に粗微動可能な機構を有する。従って、計測部130の位置を固定し、反射型レチクル2を載置したレチクルプリアライメントステージ20を、例えば、X軸方向に移動させることで、計測部130は、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとを観察することが可能となる。また、計測部130をX軸方向に移動可能な機構を設けてもよい。
【0034】
反射型レチクル2に形成されるアライメントマーク112a及び112b、及び、ベースプレート100に形成されるアライメントマーク107a及び107bについて説明する。図7は、計測部130で観察されるアライメントマーク112a及びアライメントマーク107aの一例を示す図である。図7では、アライメントマーク112a及びアライメントマーク107aは、ボックスマークで構成されている。なお、本実施形態では、アライメントマーク107a及び107bは、反射型レチクル2(アライメントマーク112a及び112b)との相対的な位置を計測する際に使用されるが、これ以外にも使用することが可能である。例えば、インナーポッド10を搬送する際に、搬送経路において、インナーポッド10の有無を判断するために、アライメントマーク107a及び107bを使用することも可能である。
【0035】
アライメントマーク112aは、正四角形形状を有するマークである。また、アライメントマーク107aは、アライメントマーク112aを取り囲む正四角形形状を有するリングマークである。アライメントマーク112a及びアライメントマーク107aを観察して得られる画像の処理方法は幾つか考えられる。例えば、アライメントマーク112a及びアライメントマーク107aの画像を、コントラストについて、閾値を用いて二値化する。このように二値化した画像の特定のX軸方向の画素列に対して、X軸方向のプロファイルを求めると、プロファイルPF1が得られる。プロファイルPF1に基づいて、アライメントマーク107aの座標(位置)x1及びx3と、アライメントマーク112aの座標(位置)x2とから、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとのX軸方向の相対的な位置ずれΔX1を算出する。同様に、二値化した画像の特定のY軸方向の画素列に対して、Y軸方向のプロファイルを求めると、プロファイルPF2が得られる。プロファイルPF2に基づいて、アライメントマーク107aの座標(位置)y1及びy3と、アライメントマーク112aの座標(位置)y2とから、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとのY軸方向の相対的な位置ずれΔY1を算出する。また、同様にして、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとのX軸方向及びY軸方向の相対的な位置ずれΔX2及びΔY2を算出する。
【0036】
このように、ベースプレート100と反射型レチクル2との位置ずれとして、2点の相対的な位置ずれ(ΔX1,ΔY1)及び(ΔX2,ΔY2)を求めることができる。そして、2点の相対的な位置ずれ(ΔX1,ΔY1)及び(ΔX2,ΔY2)から、反射型レチクル2の位置決めに必要となるX軸方向及びY軸方向のシフト成分の補正量Xc及びYc、Z軸回りの成分θの補正量θcが算出される。なお、補正量(Xc、Yc、θc)の算出に関しては、当業界で周知のいかなる方法をも適用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
図8を参照して、露光装置EAにおけるレチクル搬送系の動作について説明する。本実施形態では、露光処理が終了し、反射型レチクル2がインナーポッド10に収納され、最終的に、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10がアウターポッドに収納されるまでの動作について説明する。また、レチクルステージ3(レチクルチャック7)やプリアライメントステージ20などは、反射型レチクル2をインナーポッド10に収納する際に、支持ピン102a乃至102dに支持される反射型レチクル2の位置決めを行う位置決め機構を構成する。
【0038】
露光処理が終了し、反射型レチクル2の搬出が開始されると、S201において、レチクルステージ3は、レチクルチャック7を介して反射型レチクル2を保持した状態で、プリアライメントステージ20が位置するプリアライメント位置に移動する。換言すれば、レチクルステージ3は、反射型レチクル2をプリアライメント位置に搬送する可動の可動部として機能する。ここで、プリアライメントステージ20には、ベースプレート100が保持されているものとする。
【0039】
S202において、計測部130は、ベースプレート100のウィンドウ部106aに形成されたアライメントマーク107aと反射型レチクル2に形成されたアライメントマーク112aとの相対的な位置(位置ずれ)を計測する。具体的には、図9に示すように、レチクルチャック7を介して反射型レチクル2を保持した状態を維持し、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aが計測部130の視野内に位置するように、プリアライメントステージ20がZ軸方向に移動する。そして、計測部130は、上述したように、アライメントマーク107a及びアライメントマーク112aを同時に観察してアライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれを計測する。次に、レチクルチャック7を介して反射型レチクル2を保持した状態を維持し、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bが計測部130の視野内に位置するように、プリアライメントステージ20がX軸方向に移動する。そして、計測部130は、上述したように、アライメントマーク107b及びアライメントマーク112bを同時に観察してアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれを計測する。また、上述したように、計測部130による計測結果に基づいて、反射型レチクル2をベースプレート100の上の所定の位置に位置決めする際に必要となる補正量(Xc、Yc、θc)を算出する。
【0040】
S203において、レチクルステージ3は、レチクルチャック7による反射型レチクル2の保持を開放し、反射型レチクル2をベースプレート100に配置された支持ピン102a乃至102dで支持する。この際、レチクルステージ3は、計測部130による計測結果に基づいて、反射型レチクル2がベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされるように、支持ピン102a乃至102dに対する反射型レチクル2の位置を調整する。具体的には、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれ及びアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれが低減するように、反射型レチクル2の位置を調整する。これにより、反射型レチクル2は、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態で、支持ピン102a乃至102dに支持される。
【0041】
本実施形態では、レチクルステージ3を、反射型レチクル2を支持ピン102a乃至102dに支持させるために反射型レチクル2を保持して駆動する駆動部として機能させ、支持ピン102a乃至102dに対する反射型レチクル2の位置を調整している。但し、ベースプレート100を保持して駆動するプリアライメントステージ20が反射型レチクル2に対するベースプレート100(支持ピン102a乃至102d)の位置を調整してもよい。また、レチクルステージ3及びプリアライメントステージ20が、反射型レチクル2とベースプレート100(支持ピン102a乃至102d)との相対的な位置を調整してもよい。
【0042】
S204において、ロボット22は、支持ピン102a乃至102dで反射型レチクル2を支持したベースプレート100をオープナー24に搬送し、オープナー24は、ベースプレート100にインナーカバー104を接続(載置)する。これにより、反射型レチクル2は、インナーポッド10に収納(保護)される。
【0043】
S205において、ロボット22は、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10をロードロックチャンバー23に搬送する。S206において、インナーポッド10が搬送されたロードロックチャンバー23をベントし、ロードロックチャンバー23を大気圧に開放する。
【0044】
S207において、ロボット18は、インナーポッド10をロードロックチャンバー23からEFEM19に搬送し、インナーポッド10をアウターポッドに収納する。この際、反射型レチクル2は、上述したように、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態となっている。従って、アウターポッドの弾性部材を介して固定ピン103a乃至103dが反射型レチクル2に押し付けられても、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかることはない。これにより、パーティクルを発生することなく、反射型レチクル2がインナーポッド10の内部に固定される(位置決めされる)。
【0045】
このようにして、反射型レチクル2がインナーポッド10に収納され、最終的に、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10がアウターポッドに収納されるまでの動作が終了する。
【0046】
本実施形態では、ベースプレート100のウィンドウ部106a及び106bにアライメントマーク107a及び107bを形成し、反射型レチクル2のパターン面2aに対となるアライメントマーク112a及び112bを形成している。これにより、計測部130の1つの視野で、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとを、及び、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとを観察することができる。換言すれば、1つの計測部130で、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの位置ずれ、及び、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの位置ずれを計測することができる。従って、計測系や信号処理系の構成が複雑になることもなく、コストアップを抑制しながら、ベースプレート100と反射型レチクル2との位置ずれを計測することができる。
【0047】
また、本実施形態では、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれ及びアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれが低減するように、反射型レチクル2を位置決めする。これにより、反射型レチクル2は、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態で、支持ピン102a乃至102に支持される。従って、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかることはなく、摩擦及び擦れによるパーティクルの発生を抑制することができる。
【0048】
本実施形態では、上述したように、レチクルステージ3に一般的に形成されるマークとは別に、アライメントマーク112a及び112bを形成している。但し、アライメントマーク112a及び112bの代わりに、レチクルステージ3に一般的に形成されるマークを使用することも可能である。この場合、反射型レチクル2にアライメントマーク112a及び112bを新たに形成する必要がなくなるため、コストアップを抑えることができる。
【0049】
例えば、反射型レチクル2をレチクルステージ3(レチクルチャック7)に載置する際には、レチクルステージ3における反射型レチクル2の位置を計測するために、ファインアライメントが行われる。ファインアライメントでは、例えば、図10(a)に示すようなファインアライメントマーク160が使用される。アライメントマーク112a及び112bの代わりに、ファインアライメントマーク160を使用する場合には、ファインアライメントマーク160の中心座標(x1、y1)を求めればよい。これにより、ファインアライメントマーク160とアライメントマーク107a又は107bとの相対的な位置(位置ずれ)を計測することができる。
【0050】
また、反射型レチクル2には、レチクルの種別を識別するために、図10(b)に示すようなIDマーク161、或いは、図10(c)に示すようなIDマーク162が形成されている。アライメントマーク112a及び112bの代わりに、IDマーク161又は162を使用する場合には、IDマーク161又は162の中心座標(x1、y1)を求めればよい。これにより、IDマーク161又は162とアライメントマーク107a又は107bとの相対的な位置(位置ずれ)を計測することができる。
【0051】
露光装置EAの露光動作において、光源からの光は、照明光学系(不図示)によって反射型レチクル2を照明する。反射型レチクル2のパターン面2a反射された光は、投影光学系5を介して、ウエハ1の上に結像する。反射型レチクル2は、上述した収納容器31に収納されて搬送されているため、パターン面2aへのパーティクルの付着が防止されている。従って、露光装置EAは、高いスループットで経済性よく高品位なデバイス(半導体デバイス、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。半導体デバイスは、ウエハに集積回路を作る前工程と、前工程で作られたウエハ上の集積回路チップを製品として完成させる後工程とを経ることにより製造される。前工程は、露光装置EAを使用して感光剤が塗布されたウエハを露光する工程と、ウエハを現像する工程とを含む。また、前工程は、反射型レチクルを検査する工程も含む。後工程は、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)と、パッケージング工程(封入)とを含む。液晶表示デバイスは、透明電極を形成する工程を経ることにより製造される。透明電極を形成する工程は、透明導電膜が蒸着されたガラス基板に感光剤を塗布する工程と、露光装置EAを使用して感光剤が塗布されたガラス基板を露光する工程と、ガラス基板を現像する工程とを含む。
【0052】
なお、反射型レチクル2を収納する収納容器31は、露光装置EAのレチクル搬送系だけではなく、反射型レチクル2を検査する検査装置のレチクル搬送系などにも適用することができる。図11を参照して、検査装置におけるレチクル搬送系の動作について説明する。ここでは、検査が終了し、反射型レチクル2がインナーポッド10に収納され、最終的に、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10がアウターポッドに収納されるまでの動作について説明する。
【0053】
検査が終了すると、S301において、ロボットハンドは、検査用ステージに載置されている反射型レチクル2を保持し、検査用ステージから反射型レチクル2を搬出する。ロボットハンドは、反射型レチクル2を保持して可動の可動部として機能する。
【0054】
S302において、計測部130は、ベースプレート100のウィンドウ部106aに形成されたアライメントマーク107aと反射型レチクル2に形成されたアライメントマーク112aとの相対的な位置(位置ずれ)を計測する。具体的には、図12に示すように、ロボットハンド140が反射型レチクル2を保持した状態を維持し、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aが計測部130の視野内に位置するように、ベースプレート支持機構150がZ軸方向に移動する。なお、ベースプレート支持機構150には、ベースプレート100が予め保持されている。そして、計測部130は、上述したように、アライメントマーク107a及びアライメントマーク112aを同時に観察してアライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれを計測する。次に、ロボットハンド140が反射型レチクル2を保持した状態を維持し、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bが計測部130の視野内に位置するように、ベースプレート支持機構150がX軸方向に移動する。そして、計測部130は、上述したように、アライメントマーク107b及びアライメントマーク112bを同時に観察してアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれを計測する。また、上述したように、計測部130による計測結果に基づいて、反射型レチクル2をベースプレート100の上の所定の位置に位置決めする際に必要となる補正量(Xc、Yc、θc)を算出する。
【0055】
S303において、反射型レチクル2をベースプレート100に配置された支持ピン102a乃至102dで支持する。この際、ロボットハンド140は、計測部130による計測結果に基づいて、反射型レチクル2がベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされるように、支持ピン102a乃至102dに対する反射型レチクル2の位置を調整する。具体的には、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれ及びアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれが低減するように、反射型レチクル2の位置を調整する。そして、ベースプレート支持機構150をZ軸方向に移動させることで、反射型レチクル2はロボットハンド140から離れ、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態で、支持ピン102a乃至102dに支持される。
【0056】
ここでは、ロボットハンド140が支持ピン102a乃至102dに対する反射型レチクル2の位置を調整している。但し、ベースプレート支持機構150が反射型レチクル2に対するベースプレート100(支持ピン102a乃至102d)の位置を調整してもよい。また、ロボットハンド140及びベースプレート支持機構150が、反射型レチクル2とベースプレート100(支持ピン102a乃至102d)との相対的な位置を調整してもよい。
【0057】
S304において、ベースプレート100にインナーカバー104を接続(載置)する。これにより、反射型レチクル2は、インナーポッド10に収納(保護)される。S305において、インナーポッド10をアウターポッドに収納する。この際、反射型レチクル2は、上述したように、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態となっている。従って、アウターポッドの弾性部材を介して固定ピン103a乃至103dが反射型レチクル2に押し付けられても、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかることはない。これにより、パーティクルを発生することなく、反射型レチクル2がインナーポッド10の内部に固定される(位置決めされる)。
【0058】
このようにして、反射型レチクル2がインナーポッド10に収納され、最終的に、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10がアウターポッドに収納されるまでの動作が終了する。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型レチクルを収納する収納容器、デバイス製造装置及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー技術を用いて半導体デバイスを製造する際に、露光装置が使用されている。露光装置は、レチクル(マスク)のパターンを、投影光学系を介して、基板(ウエハなど)に投影してパターンを転写する。近年では、波長10nm乃至15nm程度の波長を有する極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を用いた露光装置(EUV露光装置)の実用化も検討されている。
【0003】
露光装置においては、レチクルのパターン面にパーティクルが付着すると、基板上の各ショット領域の同一位置に欠陥像として転写され、半導体デバイス製造の歩留まりや半導体デバイスの信頼性が大幅に低下してしまう。そこで、g線、i線、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザなどを用いた露光装置においては、レチクルのパターン面から数mm離れた位置にペリクル(透明保護膜)が設けられたレチクルが使用されている。ペリクルに付着したパーティクルは、レチクルのパターン面(即ち、投影光学系の物体面)からデフォーカスしているため、所定の大きさよりも小さいパーティクルであれば、基板上の各ショット領域に欠陥像として転写されることはない。但し、EUV光に対して十分な透過率を有する材料が存在していないため、EUV露光装置に使用されるレチクル(反射型レチクル)には、ペリクルを設けることができない。
【0004】
EUV露光装置では、ハーフピッチ22nmノード世代の半導体デバイスを製造することが考えられる。このようなEUV露光装置において、例えば、100nmのパーティクルがレチクルのパターン面に付着した場合、投影光学系の縮小倍率を1/4倍とすると、基板上では25nmとなるため、半導体デバイスの製造は不可能になる。実際には、EUV露光装置において管理すべきパーティクルの大きさは更に小さく、数十nm以下の大きさの極めて微小なパーティクルを考慮しなければならない。従って、EUV露光装置に使用されるレチクルを保管又は搬送する際には、レチクルへのパーティクルの付着を十分に注意する必要がある。そこで、レチクルを二重の容器で収納してパーティクルの付着を防止する技術(所謂、二重ポッド)が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
二重ポッドでは、レチクルをインナーポッドで収納し、レチクルを収納したインナーポッドをアウターポッドで更に収納する。インナーポッドは、レチクルのパターン面を保護するベースプレートと、レチクルのパターン面とは反対側の面(チャック面)を保護するインナーカバーとを含む。インナーポッドにおいて、ベースプレートの表面(研磨されたメタル表面)とレチクルのパターン面とを近接して(微小なギャップを隔てて)配置することで、パターン面へのパーティクルの付着を防止することが可能となる。インナーカバーには、機械的なガタつきがなく、レチクルを所定の位置に固定するために、チャック面のチャムファー(以下、「C面」と称する)を押し付ける固定部材(固定ピン)が配置されている。また、インナーポッドは、一般的に、標準機構インターフェース(SMIF)を用いてアウターポッドに収納(固定)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−153899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
二重ポッドでは、レチクルのC面を固定ピンで押し付ける際に、レチクルが所定の位置からずれていると、レチクルと固定ピンとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかってしまうため、摩擦及び擦れが大きくなり、パーティクルが発生する原因となる。従って、二重ポッドを用いる際には、レチクルをベースプレート上の所定の位置に正確に位置決めすることが重要である。
【0008】
そこで、特許文献1は、レチクルとベースプレートとの位置ずれを検出し、かかる検出結果に基づいて、レチクルをベースプレート上の所定の位置に位置決めする技術を開示している。具体的には、ベースプレートに配置されたウィンドウを介してレチクルのアライメントマークを第1の計測系で計測し、ベースプレートに配置されたマークを第2の計測系で計測することで、レチクルとベースプレートとの位置ずれを検出している。しかしながら、特許文献1の技術では、独立した2つの計測系でレチクルのアライメントマークとベースプレートに配置されたマークとを計測しているため、計測系や信号処理系の構成が複雑になり、コストアップの要因となってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、収納容器に対するレチクルの位置決めに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての収納容器は、基板に転写すべきパターンと第1マークとが形成されたパターン面を有するレチクルを収納する収納容器であって、前記パターン面を保護するためのベースプレートと、前記ベースプレートに配置され、前記パターン面を介して前記レチクルを支持する支持部と、前記レチクルの前記パターン面とは反対側の面を保護するように、前記ベースプレートに載置されるカバーと、を有し、前記ベースプレートは、前記支持部に支持された前記レチクルの前記第1マークを観察するために光透過部材で構成されたウィンドウ部を含み、前記ウィンドウ部に第2マークが形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、収納容器に対するレチクルの位置決めに有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一側面としての収納容器のインナーポッドの構成を示す概略断面図である。
【図3】図2に示すインナーポッドのベースプレートの構成を示す概略平面図である。
【図4】図2に示すインナーポッドのインナーカバーの構成を示す概略平面図である。
【図5】反射型レチクルのパターン面を示す概略平面図である。
【図6】反射型レチクルがベースプレートに配置された支持ピンに支持される前の状態を示す図である。
【図7】計測部で観察されたアライメントマークの一例を示す図である。
【図8】図1に示す露光装置におけるレチクル搬送系の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示すS202のアライメントマークの相対的な位置ずれの計測を説明するための図である。
【図10】反射型レチクルに形成される一般的なマークの一例を示す図である。
【図11】検査装置におけるレチクル搬送系の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図11に示すS302のアライメントマークの相対的な位置ずれの計測を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の一側面としての露光装置EAの構成を示す概略図である。露光装置EAは、ここでは、10nm以上15nm以下の波長を有するEUV光を露光光として使用し、ステップ・アンド・スキャン方式でレチクルのパターンをウエハ(基板)に転写するEUV露光装置である。但し、露光装置EAには、ステップ・アンド・リピート方式も適用することができる。なお、本実施形態では、露光装置EAを例として本発明を説明するが、本発明はデバイス製造工程においてレチクルを取り扱うデバイス製造装置に適用することができる。従って、デバイス製造装置は、例えば、レチクルを洗浄又は検査する装置であってもよい。
【0016】
ウエハ1に転写すべきパターン(回路パターン)が形成されたパターン面を有する反射型レチクル2は、レチクルチャック7に保持される。反射型レチクル2を保持したレチクルチャック7は、スキャン(走査)方向に粗動及び微動が可能なレチクルステージ3に載置される。レチクルステージ3の位置及び姿勢は、レーザ干渉計(不図示)によって常に監視される。
【0017】
投影光学系5は、反射型レチクル2のパターン面で反射された露光光(EUV光)をウエハ1に投影する(即ち、ウエハ1を露光する)。ウエハ1は、ウエハチャック6に保持される。ウエハチャック6は、6軸方向に粗動及び微動が可能なウエハステージ27に載置される。ウエハステージ27の位置及び姿勢は、レーザ干渉計(不図示)によって常に監視される。
【0018】
投影光学系の縮小倍率を1/β、レチクルステージ3のスキャン速度をVr、ウエハステージ27のスキャン速度をVwとする。レチクルステージ3とウエハステージ27のスキャン動作は、Vr/Vw=βの関係を満たすように同期制御される。レチクルステージ3はレチクルステージ空間4aに配置され、投影光学系5は投影光学系空間4bに配置され、ウエハステージ27はウエハステージ空間4cに配置される。レチクルステージ空間4a、投影光学系空間4b及びウエハステージ空間4cは、それぞれ独立して圧力が制御される。レチクルステージ空間4a乃至ウエハステージ空間4cに配置される構成要素は、レチクルを介して基板を露光する露光部(露光ユニット)を構成する。
【0019】
反射型レチクル2を収納する収納容器31を用いたレチクル搬入方法の一例を説明する。収納容器31は、インナーポッドとアウターポッドとを含み、反射型レチクル2を二重の容器で収納する二重ポッドである。EFEM(Equipment Front−End Module)19において、大気中で収納容器31からインナーポッド10を取り出し、ロボット18を用いてインナーポッド10をロードロックチャンバー23に搬送する。インナーポッド10がロードロックチャンバー23に搬送されると、ロードロックチャンバー23において真空引きがなされる。ロードロックチャンバー23の内部の圧力が所定の圧力に到達すると、ゲートバルブ12aを開き、ロボット22を用いてインナーポッド10をレチクルステージ空間4aとロードロックチャンバー23との間の中間チャンバーに搬送する。インナーポッド10は、ロボット22によってインナーポッドライブラリ25に搬送される。そして、インナーポッド10は、インナーポッド10からインナーカバーを取り外すためのオープナー24に搬送され、インナーカバーが取り外される。その後、ゲートバルブ12cを開き、反射型レチクル2をレチクルプリアライメントステージ20に載置してプリアライメントを行う。プリアライメントが行われたら、反射型レチクル2をレチクルステージ3に搬送し、レチクルチャック7に保持させる。反射型レチクル2を搬出する際には、後述するように、上述したレチクル搬入方法の各工程を逆に行う。
【0020】
また、ウエハ搬入方法の一例を説明する。EFEM(Equipment Front−End Module)14において、大気中でキャリアからウエハ1を取り出し、ロボット13を用いてウエハ1をロードロックチャンバー15に搬送する。ウエハ1がロードロックチャンバー15に搬送されると、ロードロックチャンバー15において真空引きがなされる。ロードロックチャンバー15の内部の圧力が所定の圧力に到達すると、ゲートバルブ11aを開き、ロボット8を用いてウエハ1をウエハステージ空間4cとロードロックチャンバー15との間の中間チャンバーに搬送する。ウエハ1は、ロボット8によってウエハストッカ26に搬送される。その後、ゲートバルブ11cを開き、ウエハ1をウエハプリアライメントステージ30に載置してプリアライメントを行う。プリアライメントが行われたら、ウエハ1をウエハステージ27に搬送し、ウエハチャック6に保持させる。ウエハ1を搬出する際には、上述したウエハ搬入方法の各工程を逆に行う。
【0021】
ここで、反射型レチクル2を収納する収納容器31について詳細に説明する。図2は、収納容器31のインナーポッド10の構成を示す概略断面図である。図3は、インナーポッド10のベースプレート100の構成を示す概略平面図である。図4は、インナーポッド10のインナーカバー104の構成を示す概略平面図である。
【0022】
収納容器31では、ベースプレート100の表面と反射型レチクル2のパターン面2aとを近接して(微小なギャップを隔てて)配置する。これにより、ベースプレート100の表面と反射型レチクル2のパターン面2aとの間の空間にパーティクルが進入することが抑制され、パターン面2aへのパーティクルの付着を防止することができる。
【0023】
反射型レチクル2は、ウエハ1に転写すべきパターンが形成されたパターン面2aを下に向けて、パターン面2aを保護するためのベースプレート100に配置された支持ピン(支持部)102a、102b、102c及び102dに支持される。換言すれば、支持ピン102a乃至102dは、パターン面2aを介して、反射型レチクル2を支持する。
【0024】
ベースプレート100には、支持ピン102a乃至102dに支持された反射型レチクル2の極端な横ずれを防止するポストピン101a、101b、101c、101d、101e、101f、101g及び101hが配置されている。また、ベースプレート100には、反射型レチクル2のパターン面2aに形成されたアライメントマークやIDマークなどのマーク(第1マーク)を観察するために光透過部材で構成されたウィンドウ部106a及び106bが形成されている。
【0025】
インナーカバー104は、反射型レチクル2のパターン面2aとは反対側の面(チャック面)2bを保護するように、ベースプレート100に接続されている。インナーカバー104には、インナーポッド10に反射型レチクル2を収納した際に、インナーポッド10の内部と外部との圧力差を低減する(ゼロにする)ためのクリーンフィルター105a及び105bが設けられている。また、インナーカバー104には、鉛直方向にスライド可能であり、反射型レチクル2のチャック面2b(詳細には、チャムファー(C面))を押し付ける固定ピン103a、103b、103c及び103dが配置されている。固定ピン103a乃至103dは、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10をアウターポッド(不図示)で収納する際に、アウターポッドの内側に設けられたバネなどの弾性部材を介して、所定の力で反射型レチクル2を鉛直下方に押し付ける。一般的に、反射型レチクル2のC面の傾斜角は45°であるため、固定ピン103a乃至103dの反射型レチクル2との接触部の水平面に対する傾斜角は、反射型レチクル2のC面の傾斜角と補角をなす135°となる。従って、反射型レチクル2のC面と固定ピン103a乃至103dの接触部とが接触することで、反射型レチクル2はベースプレート100に対して水平方向に移動し、機械的なガタつきがなく、インナーポッド10の内部に固定される(位置決めされる)。
【0026】
固定ピン103a乃至103dで反射型レチクル2のC面を押し付けて反射型レチクル2をベースプレート100に対して水平方向に移動させることは、反射型レチクル2と支固定ピン103a乃至103dとの間の接触及び摩擦を伴う現象である。従って、周囲の環境や固定ピン103a乃至103d(の接触部)の状態によって、反射型レチクル2を再現性よく位置決めできないことがある。また、反射型レチクル2は、厚さの寸法公差の範囲内で厚さにばらつきがある。このような場合、固定ピン103a乃至103dは、所定の位置よりも高い位置で反射型レチクル2のC面に接触するため、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかってしまう。固定ピン103a乃至103dは、一般的には、真空雰囲気への脱ガスを減少させるために、金属で構成される。従って、ガラスで構成された反射型レチクル2と金属で構成された固定ピン103a乃至103dとの間においては、硬度及び剛性に大きな差が生じている。
【0027】
例えば、ベースプレート100の上の所定の位置に対して、反射型レチクル2がΔxだけ位置ずれしている場合について考える。固定ピン103a乃至103dに接続される弾性部材の剛性をkとすると、反射型レチクル2のC面の傾斜角は45°であるため、k・Δxの力が余分に反射型レチクル2のC面にかかる。固定ピン103a乃至103dに接続される弾性部材の伸縮のストロークは短いため、剛性kは非線形になりやすく、反射型レチクル2のC面にかかる力を見積もることは難しい。弾性部材が設計値よりも圧縮された場合、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかり、摩擦及び擦れが大きくなり、パーティクルが発生する原因となる。
【0028】
そこで、本実施形態では、収納容器31(のインナーポッド10)は、反射型レチクル2とベースプレート100との位置ずれを検出することを可能にする構成を有する。そして、反射型レチクル2とベースプレート100との位置ずれの検出結果に基づいて、反射型レチクル2をベースプレート100の上の所定の位置に位置決めする。
【0029】
具体的には、図3に示すように、ベースプレート100に形成されたウィンドウ部106a及106bのそれぞれに、ベースプレート100の位置を計測するためのアライメントマーク(第2マーク)107a及び107bが形成されている。一方、反射型レチクル2のパターン面2aは、図5に示すように、ウエハ1に転写すべきパターンが描画される描画領域110を有する。描画領域110は、一般的に、104mm×132mm程度の領域である。また、反射型レチクル2のパターン面2aには、反射型レチクル2の位置を計測するためのアライメントマーク112a及び112bが形成されている。アライメントマーク112a及び112bは、ベースプレート100のウィンドウ部106a及び106bのそれぞれを介して反射型レチクル2を観察することができる観察領域111a及び111bに形成される。ここで、アライメントマーク112a及び112bは、レチクルステージ3における反射型レチクル2の相対位置を計測するための通常のアライメントマークとは別に、アライメントマーク107a及び107bのそれぞれに対応させて形成される。これにより、ウィンドウ部106aに形成されたアライメントマーク107aと反射型レチクル2の観察領域111aに形成されたアライメントマーク112aとが対になる。同様に、ウィンドウ部106bに形成されたアライメントマーク107bと反射型レチクル2の観察領域111bに形成されたアライメントマーク112bとが対になる。従って、図6に示すように、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとを、1つの計測部130の1つの視野で(即ち、同時に)観察することができる。同様に、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとを、1つの計測部130の1つの視野で観察することができる。図6は、反射型レチクル2がベースプレート100に配置された支持ピン102a乃至102dに支持される前の状態、即ち、レチクルプリアライメントステージ20に載置された状態を示す図である。
【0030】
計測部130は、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとを観察してアライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置(即ち、ベースプレート100と反射型レチクル2との位置ずれ)を計測する。同様に、計測部130は、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとを観察してアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置(即ち、ベースプレート100と反射型レチクル2との位置ずれ)を計測する。
【0031】
上述したように、ベースプレート100の表面と反射型レチクル2のパターン面2aとは近接して配置されている。従って、反射型レチクル2に形成されたアライメントマーク112a及び112bは、ベースプレート100の表面に近接して、且つ、対向して配置されることになる。これにより、計測部130は、アライメントマーク112a及び112bのそれぞれを、ウィンドウ部106a及び106bを介して、例えば、画像として取得することができる。
【0032】
また、ベースプレート100に形成されたアライメントマーク107aと反射型レチクル2に形成されたアライメントマーク112aとは、計測部130の光軸方向に沿って近接して配置されることになる。従って、計測部130は、アライメントマーク107a及びアライメントマーク112aを同一視野内で観察できるように、深い焦点深度を有する光学系で構成する必要がある。
【0033】
レチクルプリアライメントステージ20は、X軸、Y軸、Z軸及びθ方向に粗微動可能な機構を有する。従って、計測部130の位置を固定し、反射型レチクル2を載置したレチクルプリアライメントステージ20を、例えば、X軸方向に移動させることで、計測部130は、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとを観察することが可能となる。また、計測部130をX軸方向に移動可能な機構を設けてもよい。
【0034】
反射型レチクル2に形成されるアライメントマーク112a及び112b、及び、ベースプレート100に形成されるアライメントマーク107a及び107bについて説明する。図7は、計測部130で観察されるアライメントマーク112a及びアライメントマーク107aの一例を示す図である。図7では、アライメントマーク112a及びアライメントマーク107aは、ボックスマークで構成されている。なお、本実施形態では、アライメントマーク107a及び107bは、反射型レチクル2(アライメントマーク112a及び112b)との相対的な位置を計測する際に使用されるが、これ以外にも使用することが可能である。例えば、インナーポッド10を搬送する際に、搬送経路において、インナーポッド10の有無を判断するために、アライメントマーク107a及び107bを使用することも可能である。
【0035】
アライメントマーク112aは、正四角形形状を有するマークである。また、アライメントマーク107aは、アライメントマーク112aを取り囲む正四角形形状を有するリングマークである。アライメントマーク112a及びアライメントマーク107aを観察して得られる画像の処理方法は幾つか考えられる。例えば、アライメントマーク112a及びアライメントマーク107aの画像を、コントラストについて、閾値を用いて二値化する。このように二値化した画像の特定のX軸方向の画素列に対して、X軸方向のプロファイルを求めると、プロファイルPF1が得られる。プロファイルPF1に基づいて、アライメントマーク107aの座標(位置)x1及びx3と、アライメントマーク112aの座標(位置)x2とから、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとのX軸方向の相対的な位置ずれΔX1を算出する。同様に、二値化した画像の特定のY軸方向の画素列に対して、Y軸方向のプロファイルを求めると、プロファイルPF2が得られる。プロファイルPF2に基づいて、アライメントマーク107aの座標(位置)y1及びy3と、アライメントマーク112aの座標(位置)y2とから、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとのY軸方向の相対的な位置ずれΔY1を算出する。また、同様にして、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとのX軸方向及びY軸方向の相対的な位置ずれΔX2及びΔY2を算出する。
【0036】
このように、ベースプレート100と反射型レチクル2との位置ずれとして、2点の相対的な位置ずれ(ΔX1,ΔY1)及び(ΔX2,ΔY2)を求めることができる。そして、2点の相対的な位置ずれ(ΔX1,ΔY1)及び(ΔX2,ΔY2)から、反射型レチクル2の位置決めに必要となるX軸方向及びY軸方向のシフト成分の補正量Xc及びYc、Z軸回りの成分θの補正量θcが算出される。なお、補正量(Xc、Yc、θc)の算出に関しては、当業界で周知のいかなる方法をも適用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
図8を参照して、露光装置EAにおけるレチクル搬送系の動作について説明する。本実施形態では、露光処理が終了し、反射型レチクル2がインナーポッド10に収納され、最終的に、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10がアウターポッドに収納されるまでの動作について説明する。また、レチクルステージ3(レチクルチャック7)やプリアライメントステージ20などは、反射型レチクル2をインナーポッド10に収納する際に、支持ピン102a乃至102dに支持される反射型レチクル2の位置決めを行う位置決め機構を構成する。
【0038】
露光処理が終了し、反射型レチクル2の搬出が開始されると、S201において、レチクルステージ3は、レチクルチャック7を介して反射型レチクル2を保持した状態で、プリアライメントステージ20が位置するプリアライメント位置に移動する。換言すれば、レチクルステージ3は、反射型レチクル2をプリアライメント位置に搬送する可動の可動部として機能する。ここで、プリアライメントステージ20には、ベースプレート100が保持されているものとする。
【0039】
S202において、計測部130は、ベースプレート100のウィンドウ部106aに形成されたアライメントマーク107aと反射型レチクル2に形成されたアライメントマーク112aとの相対的な位置(位置ずれ)を計測する。具体的には、図9に示すように、レチクルチャック7を介して反射型レチクル2を保持した状態を維持し、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aが計測部130の視野内に位置するように、プリアライメントステージ20がZ軸方向に移動する。そして、計測部130は、上述したように、アライメントマーク107a及びアライメントマーク112aを同時に観察してアライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれを計測する。次に、レチクルチャック7を介して反射型レチクル2を保持した状態を維持し、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bが計測部130の視野内に位置するように、プリアライメントステージ20がX軸方向に移動する。そして、計測部130は、上述したように、アライメントマーク107b及びアライメントマーク112bを同時に観察してアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれを計測する。また、上述したように、計測部130による計測結果に基づいて、反射型レチクル2をベースプレート100の上の所定の位置に位置決めする際に必要となる補正量(Xc、Yc、θc)を算出する。
【0040】
S203において、レチクルステージ3は、レチクルチャック7による反射型レチクル2の保持を開放し、反射型レチクル2をベースプレート100に配置された支持ピン102a乃至102dで支持する。この際、レチクルステージ3は、計測部130による計測結果に基づいて、反射型レチクル2がベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされるように、支持ピン102a乃至102dに対する反射型レチクル2の位置を調整する。具体的には、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれ及びアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれが低減するように、反射型レチクル2の位置を調整する。これにより、反射型レチクル2は、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態で、支持ピン102a乃至102dに支持される。
【0041】
本実施形態では、レチクルステージ3を、反射型レチクル2を支持ピン102a乃至102dに支持させるために反射型レチクル2を保持して駆動する駆動部として機能させ、支持ピン102a乃至102dに対する反射型レチクル2の位置を調整している。但し、ベースプレート100を保持して駆動するプリアライメントステージ20が反射型レチクル2に対するベースプレート100(支持ピン102a乃至102d)の位置を調整してもよい。また、レチクルステージ3及びプリアライメントステージ20が、反射型レチクル2とベースプレート100(支持ピン102a乃至102d)との相対的な位置を調整してもよい。
【0042】
S204において、ロボット22は、支持ピン102a乃至102dで反射型レチクル2を支持したベースプレート100をオープナー24に搬送し、オープナー24は、ベースプレート100にインナーカバー104を接続(載置)する。これにより、反射型レチクル2は、インナーポッド10に収納(保護)される。
【0043】
S205において、ロボット22は、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10をロードロックチャンバー23に搬送する。S206において、インナーポッド10が搬送されたロードロックチャンバー23をベントし、ロードロックチャンバー23を大気圧に開放する。
【0044】
S207において、ロボット18は、インナーポッド10をロードロックチャンバー23からEFEM19に搬送し、インナーポッド10をアウターポッドに収納する。この際、反射型レチクル2は、上述したように、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態となっている。従って、アウターポッドの弾性部材を介して固定ピン103a乃至103dが反射型レチクル2に押し付けられても、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかることはない。これにより、パーティクルを発生することなく、反射型レチクル2がインナーポッド10の内部に固定される(位置決めされる)。
【0045】
このようにして、反射型レチクル2がインナーポッド10に収納され、最終的に、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10がアウターポッドに収納されるまでの動作が終了する。
【0046】
本実施形態では、ベースプレート100のウィンドウ部106a及び106bにアライメントマーク107a及び107bを形成し、反射型レチクル2のパターン面2aに対となるアライメントマーク112a及び112bを形成している。これにより、計測部130の1つの視野で、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとを、及び、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとを観察することができる。換言すれば、1つの計測部130で、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの位置ずれ、及び、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの位置ずれを計測することができる。従って、計測系や信号処理系の構成が複雑になることもなく、コストアップを抑制しながら、ベースプレート100と反射型レチクル2との位置ずれを計測することができる。
【0047】
また、本実施形態では、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれ及びアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれが低減するように、反射型レチクル2を位置決めする。これにより、反射型レチクル2は、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態で、支持ピン102a乃至102に支持される。従って、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかることはなく、摩擦及び擦れによるパーティクルの発生を抑制することができる。
【0048】
本実施形態では、上述したように、レチクルステージ3に一般的に形成されるマークとは別に、アライメントマーク112a及び112bを形成している。但し、アライメントマーク112a及び112bの代わりに、レチクルステージ3に一般的に形成されるマークを使用することも可能である。この場合、反射型レチクル2にアライメントマーク112a及び112bを新たに形成する必要がなくなるため、コストアップを抑えることができる。
【0049】
例えば、反射型レチクル2をレチクルステージ3(レチクルチャック7)に載置する際には、レチクルステージ3における反射型レチクル2の位置を計測するために、ファインアライメントが行われる。ファインアライメントでは、例えば、図10(a)に示すようなファインアライメントマーク160が使用される。アライメントマーク112a及び112bの代わりに、ファインアライメントマーク160を使用する場合には、ファインアライメントマーク160の中心座標(x1、y1)を求めればよい。これにより、ファインアライメントマーク160とアライメントマーク107a又は107bとの相対的な位置(位置ずれ)を計測することができる。
【0050】
また、反射型レチクル2には、レチクルの種別を識別するために、図10(b)に示すようなIDマーク161、或いは、図10(c)に示すようなIDマーク162が形成されている。アライメントマーク112a及び112bの代わりに、IDマーク161又は162を使用する場合には、IDマーク161又は162の中心座標(x1、y1)を求めればよい。これにより、IDマーク161又は162とアライメントマーク107a又は107bとの相対的な位置(位置ずれ)を計測することができる。
【0051】
露光装置EAの露光動作において、光源からの光は、照明光学系(不図示)によって反射型レチクル2を照明する。反射型レチクル2のパターン面2a反射された光は、投影光学系5を介して、ウエハ1の上に結像する。反射型レチクル2は、上述した収納容器31に収納されて搬送されているため、パターン面2aへのパーティクルの付着が防止されている。従って、露光装置EAは、高いスループットで経済性よく高品位なデバイス(半導体デバイス、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。半導体デバイスは、ウエハに集積回路を作る前工程と、前工程で作られたウエハ上の集積回路チップを製品として完成させる後工程とを経ることにより製造される。前工程は、露光装置EAを使用して感光剤が塗布されたウエハを露光する工程と、ウエハを現像する工程とを含む。また、前工程は、反射型レチクルを検査する工程も含む。後工程は、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)と、パッケージング工程(封入)とを含む。液晶表示デバイスは、透明電極を形成する工程を経ることにより製造される。透明電極を形成する工程は、透明導電膜が蒸着されたガラス基板に感光剤を塗布する工程と、露光装置EAを使用して感光剤が塗布されたガラス基板を露光する工程と、ガラス基板を現像する工程とを含む。
【0052】
なお、反射型レチクル2を収納する収納容器31は、露光装置EAのレチクル搬送系だけではなく、反射型レチクル2を検査する検査装置のレチクル搬送系などにも適用することができる。図11を参照して、検査装置におけるレチクル搬送系の動作について説明する。ここでは、検査が終了し、反射型レチクル2がインナーポッド10に収納され、最終的に、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10がアウターポッドに収納されるまでの動作について説明する。
【0053】
検査が終了すると、S301において、ロボットハンドは、検査用ステージに載置されている反射型レチクル2を保持し、検査用ステージから反射型レチクル2を搬出する。ロボットハンドは、反射型レチクル2を保持して可動の可動部として機能する。
【0054】
S302において、計測部130は、ベースプレート100のウィンドウ部106aに形成されたアライメントマーク107aと反射型レチクル2に形成されたアライメントマーク112aとの相対的な位置(位置ずれ)を計測する。具体的には、図12に示すように、ロボットハンド140が反射型レチクル2を保持した状態を維持し、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aが計測部130の視野内に位置するように、ベースプレート支持機構150がZ軸方向に移動する。なお、ベースプレート支持機構150には、ベースプレート100が予め保持されている。そして、計測部130は、上述したように、アライメントマーク107a及びアライメントマーク112aを同時に観察してアライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれを計測する。次に、ロボットハンド140が反射型レチクル2を保持した状態を維持し、アライメントマーク107bとアライメントマーク112bが計測部130の視野内に位置するように、ベースプレート支持機構150がX軸方向に移動する。そして、計測部130は、上述したように、アライメントマーク107b及びアライメントマーク112bを同時に観察してアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれを計測する。また、上述したように、計測部130による計測結果に基づいて、反射型レチクル2をベースプレート100の上の所定の位置に位置決めする際に必要となる補正量(Xc、Yc、θc)を算出する。
【0055】
S303において、反射型レチクル2をベースプレート100に配置された支持ピン102a乃至102dで支持する。この際、ロボットハンド140は、計測部130による計測結果に基づいて、反射型レチクル2がベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされるように、支持ピン102a乃至102dに対する反射型レチクル2の位置を調整する。具体的には、アライメントマーク107aとアライメントマーク112aとの相対的な位置ずれ及びアライメントマーク107bとアライメントマーク112bとの相対的な位置ずれが低減するように、反射型レチクル2の位置を調整する。そして、ベースプレート支持機構150をZ軸方向に移動させることで、反射型レチクル2はロボットハンド140から離れ、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態で、支持ピン102a乃至102dに支持される。
【0056】
ここでは、ロボットハンド140が支持ピン102a乃至102dに対する反射型レチクル2の位置を調整している。但し、ベースプレート支持機構150が反射型レチクル2に対するベースプレート100(支持ピン102a乃至102d)の位置を調整してもよい。また、ロボットハンド140及びベースプレート支持機構150が、反射型レチクル2とベースプレート100(支持ピン102a乃至102d)との相対的な位置を調整してもよい。
【0057】
S304において、ベースプレート100にインナーカバー104を接続(載置)する。これにより、反射型レチクル2は、インナーポッド10に収納(保護)される。S305において、インナーポッド10をアウターポッドに収納する。この際、反射型レチクル2は、上述したように、ベースプレート100の上の所定の位置に位置決めされた状態となっている。従って、アウターポッドの弾性部材を介して固定ピン103a乃至103dが反射型レチクル2に押し付けられても、反射型レチクル2と固定ピン103a乃至103dとの間の接触部位に想定以上の圧力がかかることはない。これにより、パーティクルを発生することなく、反射型レチクル2がインナーポッド10の内部に固定される(位置決めされる)。
【0058】
このようにして、反射型レチクル2がインナーポッド10に収納され、最終的に、反射型レチクル2を収納したインナーポッド10がアウターポッドに収納されるまでの動作が終了する。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に転写すべきパターンと第1マークとが形成されたパターン面を有するレチクルを収納する収納容器であって、
前記パターン面を保護するためのベースプレートと、
前記ベースプレートに配置され、前記パターン面を介して前記レチクルを支持する支持部と、
前記レチクルの前記パターン面とは反対側の面を保護するように、前記ベースプレートに載置されるカバーと、
を有し、
前記ベースプレートは、前記支持部に支持された前記レチクルの前記第1マークを観察するために光透過部材で構成されたウィンドウ部を含み、前記ウィンドウ部に第2マークが形成されている、ことを特徴とする収納容器。
【請求項2】
基板に転写すべきパターンと第1マークとが形成されたパターン面を有するレチクルを用いてデバイスを製造するデバイス製造装置であって、
請求項1に記載の収納容器に収納される前記レチクルの前記第1マークと前記収納容器の前記第2マークとの間の相対的な位置を計測する計測部と、
前記計測部で計測された前記相対的な位置に基づいて、前記支持部に支持される前記レチクルの位置決めを行う位置決め機構と、
を有することを特徴とするデバイス製造装置。
【請求項3】
前記位置決め機構は、前記レチクルを保持して可動の可動部を含み、
前記可動部は、前記計測部で計測された前記相対的な位置に基づいて、前記支持部に対する前記レチクルの位置を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス製造装置。
【請求項4】
前記計測部は、前記可動部が前記第1マークと前記第2マークとが1つの視野内に位置するように前記レチクルを保持している状態で前記相対的な位置を計測する、ことを特徴とする請求項3に記載のデバイス製造方法。
【請求項5】
前記位置決め機構は、前記レチクルを保持して可動の可動部と、前記ベースプレートを保持して可動のステージと、を含み、
前記計測部は、前記可動部が前記第1マークと前記第2マークとが1つの視野内に位置するように前記レチクルを保持している状態で前記相対的な位置を計測し、
前記ステージは、前記計測部で計測された前記相対的な位置に基づいて、前記可動部に保持された前記レチクルに対する前記ベースプレートの位置を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス製造装置。
【請求項6】
前記位置決め機構は、前記レチクルを保持して可動の可動部と、前記ベースプレートを保持して可動のステージと、を含み、
前記計測部は、前記可動部が前記第1マークと前記第2マークとが1つの視野内に位置するように前記レチクルを保持している状態で前記相対的な位置を計測し、
前記可動部及び前記ステージは、前記計測部で計測された前記相対的な位置に基づいて、前記レチクルと前記ベースプレートとの間の相対的な位置を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス製造装置。
【請求項7】
前記レチクルを介して基板を露光する露光部を有する、ことを特徴とする請求項2乃至6のうちいずれか1項に記載のデバイス製造装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のうちいずれか1項に記載のデバイス製造装置を用いて基板を露光するステップと、
前記ステップで露光された前記基板を現像するステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項1】
基板に転写すべきパターンと第1マークとが形成されたパターン面を有するレチクルを収納する収納容器であって、
前記パターン面を保護するためのベースプレートと、
前記ベースプレートに配置され、前記パターン面を介して前記レチクルを支持する支持部と、
前記レチクルの前記パターン面とは反対側の面を保護するように、前記ベースプレートに載置されるカバーと、
を有し、
前記ベースプレートは、前記支持部に支持された前記レチクルの前記第1マークを観察するために光透過部材で構成されたウィンドウ部を含み、前記ウィンドウ部に第2マークが形成されている、ことを特徴とする収納容器。
【請求項2】
基板に転写すべきパターンと第1マークとが形成されたパターン面を有するレチクルを用いてデバイスを製造するデバイス製造装置であって、
請求項1に記載の収納容器に収納される前記レチクルの前記第1マークと前記収納容器の前記第2マークとの間の相対的な位置を計測する計測部と、
前記計測部で計測された前記相対的な位置に基づいて、前記支持部に支持される前記レチクルの位置決めを行う位置決め機構と、
を有することを特徴とするデバイス製造装置。
【請求項3】
前記位置決め機構は、前記レチクルを保持して可動の可動部を含み、
前記可動部は、前記計測部で計測された前記相対的な位置に基づいて、前記支持部に対する前記レチクルの位置を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス製造装置。
【請求項4】
前記計測部は、前記可動部が前記第1マークと前記第2マークとが1つの視野内に位置するように前記レチクルを保持している状態で前記相対的な位置を計測する、ことを特徴とする請求項3に記載のデバイス製造方法。
【請求項5】
前記位置決め機構は、前記レチクルを保持して可動の可動部と、前記ベースプレートを保持して可動のステージと、を含み、
前記計測部は、前記可動部が前記第1マークと前記第2マークとが1つの視野内に位置するように前記レチクルを保持している状態で前記相対的な位置を計測し、
前記ステージは、前記計測部で計測された前記相対的な位置に基づいて、前記可動部に保持された前記レチクルに対する前記ベースプレートの位置を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス製造装置。
【請求項6】
前記位置決め機構は、前記レチクルを保持して可動の可動部と、前記ベースプレートを保持して可動のステージと、を含み、
前記計測部は、前記可動部が前記第1マークと前記第2マークとが1つの視野内に位置するように前記レチクルを保持している状態で前記相対的な位置を計測し、
前記可動部及び前記ステージは、前記計測部で計測された前記相対的な位置に基づいて、前記レチクルと前記ベースプレートとの間の相対的な位置を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス製造装置。
【請求項7】
前記レチクルを介して基板を露光する露光部を有する、ことを特徴とする請求項2乃至6のうちいずれか1項に記載のデバイス製造装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のうちいずれか1項に記載のデバイス製造装置を用いて基板を露光するステップと、
前記ステップで露光された前記基板を現像するステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−185400(P2012−185400A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49606(P2011−49606)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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