説明

収納箱

【課題】 収納袋を装着してある容器の脱着操作を、収納ケースの上側開口周縁に引っ掛かることの少ない状態で迅速・容易に行うことのできる使い勝手の良い収納箱を提供する。
【解決手段】 収納ケースAの上側開口部5を通して脱着自在に装着される上側開口の容器6に、これの開口端部に対して脱着自在に嵌合装着可能で、且つその嵌合装着時に容器6内に装着された収納袋14の開口周縁部分14aを該容器6の外面に沿って折り返された状態に維持する環状又は略環状の装着枠体13が設けられているとともに、前記装着枠体13には、把持可能な姿勢と非把持姿勢とに切換自在な把持部材25と、該把持部材25の把持姿勢への切換に連動して前記容器6と装着枠体13と係合連結し、且つ前記把持部材25の非把持姿勢への切換に連動して前記容器6と装着枠体13との係合連結を解除する連動連結手段Bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレや厨房などに設置される汚物入れやゴミ箱等の収納箱で、詳しくは、収納ケースに形成された上側開口部を通して上側開口の容器が脱着自在に装着されている収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の収納箱では、収納ケース内に、一対の吊下げ用把手を備えた上側開口の容器が脱着自在に載置され、前記収納ケースの上端開口部には、収納された容器に対する投入口を備えた箱蓋が脱着自在に設けられているとともに、前記箱蓋には、投入口を閉止する投入蓋が脱着自在に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3131435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来構造では、使用時に、前記容器の内面に沿って合成樹脂製の収納袋を装着し、その収納袋の開口周縁部分を容器の外面に沿って折り返す方法が採られているが、これによる場合は、投入物による容器の汚れを回避することができるものの、断面略U字状に折り返された収納袋の開口周縁部分で一対の吊下げ用把手も同時に覆われるため、収納袋の装着後では吊下げ用把手を実質的に使用することができなくなり、その結果、収納ケース内に容器を装着する場合、或いは収納ケース内から容器を取り出す場合には、収納袋の開口周縁部分を介して容器の開口周縁を把持し、その状態で収納ケースの上側開口を通して差し入れ操作又は抜き出し操作しなければならず、容器の脱着時の取り扱いが不便であるとともに、特に、収納袋の開口周縁部分が投入物と接触している場合には手が汚れる不都合がある。
【0005】
また、前記容器に装着された収納袋の開口周縁部分は、容器の上側開口端部に沿って断面略U字状に折り返されているだけであるため、投入物との接触によって収納袋が容器内にずり落ちる可能性があるとともに、収納袋の開口周縁部分が容器外方に脹れて収納ケースの上側開口周縁に引っ掛かり易く、容器の装着に手間取る要因の一つになっている。特に、引っ掛かった収納袋の開口周縁部分が部分的に容器から外れた場合には、容器を一旦抜き出して収納袋の装着状態を修正する必要がある。
【0006】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、収納袋を装着してある容器の脱着操作を、収納ケースの上側開口周縁に引っ掛かることの少ない状態で迅速・容易に行うことのできる使い勝手の良い収納箱を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収納箱による第1の特徴構成は、収納ケースの上側開口部を通して脱着自在に装着される上側開口の容器に、これの開口端部に対して脱着自在に嵌合装着可能で、且つその嵌合装着時に容器内に装着された収納袋の開口周縁部分を該容器の外面に沿って折り返された状態に維持する環状又は略環状の装着枠体が設けられているとともに、前記装着枠体には、把持可能な姿勢と非把持姿勢とに切換自在な把持部材と、該把持部材の把持姿勢への切換に連動して前記容器と装着枠体と係合連結し、前記把持部材の非把持姿勢への切換に連動して前記容器と装着枠体との係合連結を解除する連動連結手段が設けられている点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、容器内に装着された収納袋の開口周縁部分を該容器の上側開口端部に沿って断面略U字状に折り返し、この状態で容器の開口端部に対して環状又は略環状の装着枠体を嵌合装着することにより、収納袋が容器内にずり落ちたり、収納袋の開口周縁部分が容器外方に脹れ出すことを抑制することができる。
【0009】
しかも、容器の上側開口端部に装着枠体を嵌合装着した状態で、この装着枠体に設けられている把持部材を非把持姿勢から把持姿勢に切換操作すると、この切換操作に連動する連動連結手段により容器と装着枠体とが係合連結されるので、収納ケースの上側開口部に対して、把持姿勢にある把持部材を把持して容器と装着枠体とを一体化状態で出し入れすることができる。
それ故に、容器を保持しながら装着枠体が脱落しないように押え付ける必要がなく、さらに、容器から突出する把持姿勢にある把持部材を把持して操作するので、収納ケースの上側開口部における内面と容器の上側開口端部における外面との間の環状間隙が小さい場合でも、容器を容易に脱着操作することができる。
【0010】
また、収納ケースの上側開口部から取り出した収納袋内の投入物を破棄する場合には、把持姿勢にある把持部材を非把持姿勢に切換操作すると、この切換操作に連動する連動連結手段により容器と装着枠体との係合連結が解除されるので、容器の上側開口端部から装着枠体を簡単に取り外すことができ、投入物を収納袋と一緒に破棄することができる。
【0011】
従って、収納袋を装着してある容器の脱着操作を、容器の上側開口端部に嵌合装着した装着枠体を押え付けることなく、また、収納ケースの上側開口周縁に引っ掛かることの少ない状態で迅速・容易に行うことができる。
【0012】
本発明の収納箱による第2の特徴構成は、前記把持部材が、前記装着枠体の中心位置を挟んで相対向する部位に起伏揺動自在に枢着された把手から構成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、前記容器を収納ケース内に装着する又は収納ケース内の容器を取り出す際、前記装着枠体に枢着されている把手を把持姿勢に起立揺動させるだけで、この起立揺動に連動する連動連結手段により容器と装着枠体とが係合連結され、しかも、前記把手が装着枠体の中心位置を挟んで相対向する部位に枢着されているので、収納ケースの上側開口部に対して、一体状態にある容器と装着枠体とを安定的に吊り下げ支持した状態で容易に出し入れ操作することができる。
【0014】
本発明の収納箱による第3の特徴構成は、前記把持部材が、前記装着枠体に枢着された該装着枠体の開口を開閉する蓋体から構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、前記容器を収納ケース内に装着する又は収納ケース内の容器を取り出す際、前記装着枠体の開口を開閉する蓋体を開き揺動させ、且つその状態で蓋体を把持することにより、この開き揺動に連動する連動連結手段により容器と装着枠体とが係合連結され、収納ケースの上側開口部に対して、一体状態にある容器と装着枠体とを吊り下げ支持した状態で容易に出し入れ操作することができる。
【0016】
本発明の収納箱による第4の特徴構成は、前記連動連結手段が、前記把持部材に設けられた係止部と容器に設けられた被係止部とから構成されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、前記把持部材に設けられた係止部が容器に設けられた被係止部に対して直接的に係脱するから、連動連結手段の構造の簡素化を図ることができる。
【0018】
本発明の収納箱による第5の特徴構成は、前記連動連結手段が、容器に設けられた被係止部と、該被係止部に対して係脱自在で、且つ把持姿勢に切り替えられる把持部材と当接して係合作動される状態で装着枠体に設けられた係止部と、該係止部を係合解除側に移動付勢する付勢体から構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、前記容器を収納ケース内に装着する又は収納ケース内の容器を取り出す際、前記把持部材を非把持姿勢から把持姿勢に切換操作すると、装着枠体に設けられた係止部が、把持姿勢に切り替えられる把持部材と当接して付勢体の付勢力に抗して係合作動され、収納ケースの上側開口部に対して、一体状態にある容器と装着枠体とを吊り下げ支持した状態で容易に出し入れ操作することができる。しかも、前記係止部の係合作動ストロークを把持部材の作動ストロークよりも小に設定することが可能で、把持部材とは別体に構成しながらも連動連結手段のコンパクト化を図り易い。
【0020】
本発明の収納箱による第6の特徴構成は、前記装着枠体が、容器の内周面に沿って入り込む内側環状枠板と、容器の外周面に沿って外套される外側環状枠板とを備え、前記両環状枠板間には、前記把持部材を非把持姿勢で収納する凹部が形成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、前記装着枠体の内側環状枠板と外側環状枠板とにより、容器内に装着された収納袋の開口周縁部分を該容器の上側開口端部における内周面及び外周面に効果的に押えることができるとともに、前記両環状枠板間の空間を利用して形成された凹部内に非把持姿勢の把持部材を体裁良くコンパクトに収納することができる。
【0022】
本発明の収納箱による第7の特徴構成は、前記装着枠体の外側環状枠板に、前記収納ケースの内面と容器の外面との間に入り込むことにより、前記容器に装着された収納袋の開口周縁部分を容器の外面に沿って折り返し状態で押え付ける筒状の袋押え板部が形成され、この袋押え板部の各角部側壁部の最大上下幅が、角部側壁部の隣接間の中間壁部の上下幅よりも大に構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、装着枠体の外側環状枠板に形成されている筒状の袋押え板部を、収納ケースの内面と容器の外面との間に入り込ませることにより、容器に装着された収納袋の開口周縁部分を折り返し状態で押え付けることができる。
【0023】
しかも、前記袋押え板部の各角部側壁部の最大上下幅が、角部側壁部の隣接間の中間壁部の上下幅よりも大に構成されているので、角部側壁部が先行して収納ケースの内面と容器の外面との間に入り込むことになり、前記袋押え板部の軽量化を図りながら容器に装着された収納袋の開口周縁部分を偏りの少ない状態でスムーズに折り返すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
図1〜図14は、収納箱の一例で、トイレ用として使用される清掃具ケースを示し、短辺側の側面及び長辺側の側面が共に外方側に少し湾曲した直方体に近い形状に成形された収納ケースAの下半部に、それの前面板1Aから左右の両側面板1Bの一部に回り込む状態で開口形成された下側開口部3を通して清掃具(洗浄ブラシ等)4のブラシ部(清掃部の一例)4Aを脱着自在に収納する下側収納空間S1が形成されているとともに、前記収納ケースAの上半部には、それの上面全体が開口形成された上側開口部5を通して上方開口の角型の容器6を脱着自在に収納する上側収納空間S2が形成されている。
【0025】
前記下側開口部3を開閉する合成樹脂製の蓋体7の下部には、図2〜図5に示すように、清掃具4のブラシ部4Aから滴下する液体を受止め可能な受液部8が設けられ、前記蓋体7の上部には、該蓋体7を脱着操作するための平面視略Uの字状の把手9と、前記清掃具4の柄4Bを前後方向及び左右方向の移動を規制し且つ吊下げ状態で脱着自在に係止保持する係止保持手段10が設けられている。
【0026】
前記収納ケースAの上側開口部5には、図5〜図14に示すように、水平軸芯周りで上下方向に揺動開閉自在な第2蓋体12を備えた環状の装着枠体13が脱着自在に設けられ、この装着枠体13には、前記収納ケースAの内面と容器6の外面との間に入り込むことにより、前記容器6に装着された収納袋14の開口周縁部分14aを折り返し状態で押え付ける筒状の袋押え部である袋押え板部15が一体形成されている。
【0027】
そして、図13、図14に示すように、前記容器6内に装着された収納袋14の開口周縁部分14aを該容器6の上側開口端部に沿って断面略U字状に折り返し、この状態で容器6の開口端部に対して環状の装着枠体13を嵌合装着することにより、収納袋14が容器6内にずり落ちたり、収納袋14の開口周縁部分が容器6外方に脹れ出すことを抑制することができる。
【0028】
前記収納ケースAは、図1、図2、図5に示すように、前記下側開口部3と上側開口部5とを備え、且つ下方にも開口する合成樹脂製のケース本体1と、該ケース本体1の下部に対して着脱自在に嵌合装着される合成樹脂製の底部材2から構成されているとともに、前記ケース本体1内には、下側収納空間S1と上側収納空間S2とに区画する仕切り壁1Dが形成され、更に、前記前面板1Aには、蓋体7を閉止姿勢にしたとき、該蓋体7の係止保持手段10に係止保持されている清掃具4の柄4Bが前方から入り込む凹部11が形成されている。
【0029】
前記仕切り壁1Dには、図5に示すように、下側収納空間S1と上側収納空間S2とを連通する第1換気孔16が形成されているとともに、前記ケース本体1の後面板1Cには、下側収納空間S1と外部とを連通する第2換気孔17が形成されている。
【0030】
前記ケース本体1の下側開口部3における下部立ち上り壁1Eには、図2に示すように、前記蓋体7の下端面7aに当接する載置面1aが形成され、この載置面1aの前端側の左右中央位置には、前記蓋体7の下端面7aに突設された板状の係合部18が上下方向から抜き差し自在で、かつ、その係合部18の差し込み部位を支点として揺動開閉自在に支持する長方形状の係合孔(係合受け部の一例)19と、平面視において弧状に湾曲する前記蓋体7の前面板7Aにおける下端の開閉移動を許容する、換言すれば、前記蓋体7の前面板7Aにおける下端の開閉移動軌跡と干渉しない為の前下がり傾斜の傾斜面1dが形成されている。
尚、前記傾斜面1dを、蓋体7の前面板7Aにおける下端との当接により該蓋体7を最大開き位置に保持する規制面に構成してもよい。
【0031】
前記収納ケース1の下側開口部3における両側面板1Bの前端には、左右方向での対向間隔W1が前記蓋体7の受液部8の左右方向幅Wよりも狭く設定してあるフランジ部1Fが一体形成され、この両フランジ部1Fの下半側には、前記受液部8の抜き差しを許容するべく、左右方向での対向間隔W2が蓋体7の受液部8の左右方向幅Wよりも大となる切欠き部1bが形成されている。
【0032】
前記切欠き部1bの高さは、図2、図5に示すように、前記蓋体7が係合部18の差し込み部位を支点として開き揺動したとき、前記切欠き部1bの上端となるフランジ部1Fの中間段差個所1fに前記受液部8の上端縁が当接して、前記蓋体7を最大開き位置に保持可能な高さに設定されている。
【0033】
前記蓋体7は、図3、図4に示すように、前面板7Aと左右の側面板7Bとを平面視略コの字状に一体形成してあり、この前面板7Aと両側面板7Bとの下端部に亘って、前記下端面7aが略Uの字状に表れる状態で前記受液部8が一体形成されているとともに、前記受液部8の下面8aと係合部18の下端とを同一高さ位置に設定して、この受液部8の下面8aと係合部18が、前記蓋体7の係止保持手段10に係止保持されている清掃具4の柄4Bが鉛直又は略鉛直方向に向く状態で蓋体7を自立させる脚部に構成されている。
【0034】
そして、前記収納ケースAの係合孔19から係合部18を引抜いて分離された蓋体7を載置すると、この蓋体7は、それに一体形成されている受液部8の下面8aと係合部18の下端とが脚部として接地し、その状態では蓋体7の係止保持手段10に係止保持されている清掃具4の柄4Bが鉛直又は略鉛直方向に向く姿勢となり、清掃具4の重心が受液部8の下面8aと係合部18の下端との間に位置するため、清掃具4の柄4Bを装着した状態でも安定的に自立させることができる。
【0035】
しかも、前記蓋体7に設けられた把手9により、清掃具4を係止保持させたまま蓋体7の脱着操作を簡便に行うことができるばかりでなく、本来の設置個所にある清掃具ケースAから清掃個所まで容易に持ち運ぶことができ、さらに、その持ち運び途中や載置時において振動が作用しても、前記蓋体7の係止保持手段10に係止保持されている清掃具4の柄4Bは、前後方向及び左右方向の移動が規制されているから、蓋体7から清掃具4が脱落することを抑制することができる。
【0036】
前記係止保持手段10は、図2〜図4に示すように、蓋体7の前面板7Aにおける内側面の上端に、清掃具4の柄4Bを構成する小幅の柄本体4aとこれに外嵌したグリップ部4bとの間での段差部4cを受止め可能な一対の係止受け片10aを内方に向って一体的に突出形成するとともに、前記係止受け片10aには、受止められた柄4Bの左右方向での移動を接当規制する第1規制片10bと、受止められた柄4Bの後方側への移動を接当規制する第2規制片10cとが一体形成されている。
【0037】
前記蓋体7の前面板7Aの内面側には、図3、図4に示すように、把手9の両端を蓋体7に取付ける円筒状の取付け部21が、前記係止保持手段10の両係止受け片10aよりも下方位置で、かつ、前記係止保持手段10で吊下げ保持された柄4Bの左右の両側脇位置に突設されている。
【0038】
そして、前記係止保持手段10に吊下げ状態で係止保持されている清掃具4が持ち運び途中での振動によって揺れ動くことを、前記把手9の両端を蓋体7に取付けるための取付け部21を利用した合理的な改良で抑制することができる。
【0039】
前記装着枠体13は、図2、図5〜図8に示すように、容器6の上側開口端縁6aに対して上方から着脱自在に嵌合する嵌合溝13Dを形成する状態で一体成形される外側環状枠板13Aと内側環状枠板13Bならびに環状天板13Cとからなり、後方の短辺側の枠体部分には、前記第2蓋体12の一対の取付けアーム12Aを枢支ピン22周りで上下揺動自在に枢着するための取付け凹部13Eが形成されているとともに、前記外側環状枠板13Aには前記袋押え板部15が一体形成されている。
【0040】
前記装着枠体13には、図11〜図14に示すように、把持可能な姿勢と非把持姿勢とに切換自在な把持部材の一例で、前記装着枠体の中心位置を挟んで左右方向で相対向する部位において前記第2蓋体12の揺動軸芯と平行な水平軸芯周りで起伏揺動自在に枢着された略コの字状の把手25と、該把手25の把持姿勢である起立姿勢への切換に連動して前記容器6と装着枠体13と係合連結し、且つ前記把手25の非把持姿勢である倒伏姿勢への切換に連動して前記容器6と装着枠体13との係合連結を解除する連動連結手段Bが設けられている。
【0041】
図7、図8に示すように、前記装着枠体13の環状天板13Cの前半側部位を略コの字状に窪み形成して、把手25を倒伏姿勢で収納(格納)する凹部26が形成され、この凹部26を形成する内側環状枠板13Bと把手25の基端部との相対向する部位には、水平軸芯周りで起伏揺動自在に嵌合する枢支孔27とピン状の枢支突起28が形成されているとともに、前記把手25における起伏揺動軸芯と平行な把持部分25Aの中央位置には、図9、図10に示すように、凹部26内の把手25を指先でお越し操作するための指掛け突起29が形成され、この指掛け突起29に対応する装着枠体13の前方の短辺側の枠体部分には、指掛け突起29に対する操作用の空間を現出する傾斜面13Fが形成されている。
【0042】
前記連動連結手段Bが、前記容器6の両側面板6Cの外面上部における前後中央位置に突出形成された被係止部の一例である柱状の係止突起30と、該係止突起30に対して係脱可能な状態で把手25の両基端部25Bに一体形成された係止部の一例であるL字状の係止爪31とから構成されているとともに、前記環状天板13Cの前半側部位には、把手25の起伏揺動に伴う前記係止爪31の係脱揺動を許す開口32が形成されている。
【0043】
そして、図12、図14に示すように、前記容器6の上側開口端部に装着枠体13を嵌合装着した状態で、この装着枠体13に設けられている把手25を非把持姿勢である倒伏姿勢から把持姿勢である起立姿勢に切換操作すると、この切換操作Fに連動する連動連結手段Bの係止爪31が容器6の両側面板6Cに形成されている係止突起30に係合して、容器6と装着枠体13とが係合連結されるので、収納ケースAの上側開口部5に対して、起立姿勢にある把手25を把持して容器6と装着枠体13とを一体化状態で出し入れすることができる。
【0044】
それ故に、容器6を保持しながら装着枠体13が脱落しないように押え付ける必要がなく、さらに、容器6から突出する起立姿勢にある把手25を把持して操作するので、収納ケースAの上側開口部5における内面と容器6の上側開口端部における外面との間の環状間隙が小さい場合でも、容器6を容易に脱着操作することができる。
【0045】
また、図13、図14に示すように、前記袋押え板部15の各角部側壁部15Aの最大上下幅Hが、角部側壁部15Aの隣接間に位置する両長辺側中間壁部15Bの上下幅及び両短辺側中間壁部15Cの上下幅よりも大に構成されているとともに、前記角部側壁部15Aのうち、角相当位置Pから両長辺側中間壁部15B側に偏倚した部位15aが最大上下幅Hに構成されている。
【0046】
前記装着枠体13に形成されている筒状の袋押え部15を、ケース本体1の内面と該ケース本体1の仕切り壁1Dに載置されている容器6の外面との間に入り込ませて、容器6に装着された収納袋14の開口周縁部分14aを折り返し状態で押え付ける際、前記袋押え板部15の各角部側壁部15Aの最大上下幅Hが、角部側壁部15Aの隣接間の長辺側中間壁部15Bの上下幅及び両短辺側中間壁部15Cの上下幅よりも大に構成されているので、角部側壁部15Aが先行してケース本体1の内面と容器6の外面との間に入り込むことになり、前記袋押え板部15の軽量化を図りながら容器6に装着された収納袋14の開口周縁部分14aを偏りの少ない状態でスムーズに折り返すことができる。
【0047】
しかも、前記角部側壁部15Aの角相当位置Pから両長辺側中間壁部15B側に偏倚した部位15aが最大上下幅Hに構成されているが故に、前記装着枠体13の筒状の袋押え板部15をケース本体1の内面と容器6の外面との間に入り込ませる初期段階において、この袋押え板部15の各角部側壁部15Aにおける長辺側部位15aと短辺側部位15bとの二面が同時に作用することがなく、前記装着枠体13に一体形成された袋押え板部15の装着操作の容易化を図ることができる。
【0048】
また、図12〜図14に示すように、前記各角部側壁部15Aの短辺側部位15bにおける下端縁は、最大上下幅Hとなる長辺側部位15aの下端縁に対してこれよりも小なる上下幅で弧状に連続形成されているとともに、前記各角部側壁部15Aの短辺側部位15bにおける下端縁と前記短辺側中間壁部15Cの最小上下幅となる部位の下端縁との間が、短辺側中間壁部15C側ほど上方に位置する傾斜端縁に形成され、更に、前記各角部側壁部15Aの長辺側部位15aにおける下端縁と長辺側中間壁部15Bの最小上下幅となる部位の下端縁との間が、長辺側中間壁部15B側ほど上方に位置する弧状縁に構成されている。
【0049】
前記容器6の前面板6Aには、ケース本体1の凹部11の内面側に対して上方から外套可能な凹部6Bが形成されている。
【0050】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、把持可能な姿勢と非把持姿勢とに切換自在な把持部材を、前記装着枠体13に起伏揺動自在に枢着された把手25から構成し、さらに、前記連動連結手段Bを、前記容器6の両側面板6Cの外面上部における前後中央位置に突出形成された被係止部の一例である円柱状の係止突起30と、該係止突起30に対して係脱可能な状態で把手25の両基端部25Bに一体形成された係止部の一例であるL字状の係止爪31とから構成したが、図15に示すように、前記把持部材を、前記装着枠体13に起伏揺動自在に枢着されている第2蓋体12をもって兼用構成するとともに、前記連動連結手段Bを、容器6に設けられた被係止部の一例である係止孔35と、該係止孔35に対して係脱揺動自在で、且つ開き姿勢である起立姿勢(把持姿勢)に切り替えられる第2蓋体12と当接して係合作動される状態で装着枠体13に枢着された係止部の一例である揺動爪36と、該揺動爪36を係合解除側に移動付勢する付勢体の一例である捻りコイルスプリング37から構成してもよい。
【0051】
そして、閉じ姿勢にある第2蓋体12を把持して開き姿勢に起立揺動させると、この第2蓋体12の基端部が係合解除状態にある揺動爪36の上端部に当接し、揺動爪36が捻りコイルスプリング37の弾性付勢力に抗して揺動され、揺動爪36の先端部が容器6の係止孔35に係合し、容器6と装着枠体13とが係合連結される。この状態で把持部材を兼ねる第2蓋体12を持ち上げると、係合連結された容器6と装着枠体13とを収納ケースAから抜き出すことができる。
【0052】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、上述の第2実施形態では、前記付勢体としてコイルスプリング37等の弾性付勢体を用いたが、前記揺動爪36に付設した錘又は該揺動爪36自体の重量を利用して、この揺動爪36を係合解除側に移動付勢してもよい。
【0053】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、清掃具4の清掃部4Aとして、多数のブラシ毛を備えたブラシ部を例に挙げて説明したが、この清掃部4Aとしてはスポンジや布等であってもよく、また、交換可能な使い捨てタイプの清掃部4Aであってもよい。
【0054】
(2)上述の第1実施形態では、汚物等を収納可能な容器6を脱着自在に備えた清掃具ケースAを例に挙げて説明したが、ゴミ箱等の他の収納箱であってもよい。
【0055】
(3)上述の第1実施形態では、前記下側開口部3を開閉する合成樹脂製の蓋体7の下部に、清掃具4のブラシ部4Aから滴下する液体を受止め可能な受液部8を一体形成したが、この蓋体7と受液部8とを別体で結成して接着剤やビス等の適宜手段で固着してもよい。
【0056】
(4)上述の第1実施形態では、前記蓋体7の底面に一つの係合部18を突設したが、この係合部18と係合孔19との差し込み部位を支点として揺動開閉自在に支持することのできる状態であれば、前記係合部18を複数個形成してもよい。
【0057】
(5)上述の第1実施形態では、前記係合部18を板状に形成し、前記係合受け部19を係合孔から構成したが、この係合部18及び係合受け部19としては、抜き差し自在で、かつ、その差し込み部位を支点として蓋体7を揺動開閉自在に支持することのできるものであれば、如何なる構造に構成してもよい。
【0058】
(6)上述の第1実施形態では、前記受液部8の下面8a全体を平滑面に形成したが、この下面8aを凹凸状に形成して実施してもよい。
要するに、前記受液部8の下面8の形状としては、前記係合部18との協働により、前記蓋体7の係止保持手段10に係止保持されている清掃具4の柄4Bが鉛直又は略鉛直方向に向く状態で蓋体7を自立させることのできるものであれば、如何なる形状に構成してもよい。
【0059】
(7)上述の第1実施形態では、前記蓋体7の上部に、該蓋体7を脱着操作するための平面視略Uの字状の把手9を取付けたが、この把手9としては、蓋体7を脱着操作することのできるものであれば、蓋体7の一部を利用して兼用構成してもよい。
【0060】
(8)上述の各実施形態では、容器6の開口端部に対して脱着自在に嵌合装着可能で、且つその嵌合装着時に容器6内に装着された収納袋14の開口周縁部分14aを該容器6の外面に沿って折り返された状態に維持する装着枠体13を環状枠体に構成したが、その環状方向の一箇所が切断されたC字等の略環状枠体に構成してもよい。
【0061】
(9)上述の各実施形態では、前記装着枠体13に設けられる把持部材として起伏揺動自在な把手9又は揺動開閉自在な蓋体12から構成したが、把持部材としては上下方向に出し入れ移動自在なものであってもよい。
要するに、前記把持部材としては、把持可能な姿勢と非把持姿勢とに切換自在なものであれば、如何なる構造に構成してもよい。
(10)前記連動連結手段Bとしては、把持部材の把持姿勢への切換に連動して前記容器6と装着枠体13と係合連結し、且つ前記把持部材の非把持姿勢への切換に連動して前記容器6と装着枠体13との係合連結を解除することのできるものであれば、如何なる構造に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の清掃具ケースの第1実施形態を示す全体の斜視図
【図2】全体の分解斜視図
【図3】清掃具を係止保持する蓋体を自立させたときの断面側面図
【図4】清掃具を係止保持する蓋体を自立させたときの要部の斜視図
【図5】蓋体を開き揺動させたときの一部省略断面側面図
【図6】容器の平面図
【図7】装着枠体の平面図
【図8】図7のVIII−VIII線断面図
【図9】把手の平面図
【図10】把手の一部切欠き側面図
【図11】蓋体を閉じた状態での要部の拡大断面背面図
【図12】蓋体を開いた状態で把手を起立させたときの要部の拡大断面側面図
【図13】容器と装着枠体の分解断面側面図
【図14】収納ケースから容器及び装着枠体を少し引き出したときの要部の斜視図
【図15】本発明の清掃具ケースの第2実施形態の連動連結手段Bを示す非把持操作時(a)と把持操作時(b)の拡大断面側面図
【符号の説明】
【0063】
A 収納ケース
B 連動連結手段
5 上側開口部
6 容器
12 把持部材(蓋体)
13 装着枠体
13A 外側環状枠板
13B 内側環状枠板
14 収納袋
15 袋押え板部
15A 角部側壁部
15B 中間壁部(長辺側中間壁部)
15C 中間壁部(短辺側中間壁部)
25 把持部材(把手)
26 凹部
30 被係止部(係止突起)
31 係止部(係止爪)
35 被係止部(係止孔)
36 係止部(揺動爪)
37 付勢体(コイルスプリング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ケースの上側開口部を通して脱着自在に装着される上側開口の容器に、これの開口端部に対して脱着自在に嵌合装着可能で、且つその嵌合装着時に容器内に装着された収納袋の開口周縁部分を該容器の外面に沿って折り返された状態に維持する環状又は略環状の装着枠体が設けられているとともに、前記装着枠体には、把持可能な姿勢と非把持姿勢とに切換自在な把持部材と、該把持部材の把持姿勢への切換に連動して前記容器と装着枠体と係合連結し、且つ前記把持部材の非把持姿勢への切換に連動して前記容器と装着枠体との係合連結を解除する連動連結手段が設けられている収納箱。
【請求項2】
前記把持部材が、前記装着枠体の中心位置を挟んで相対向する部位に起伏揺動自在に枢着された把手から構成されている請求項1記載の収納箱。
【請求項3】
前記把持部材が、前記装着枠体に枢着された該装着枠体の開口を開閉する蓋体から構成されている請求項1記載の収納箱。
【請求項4】
前記連動連結手段が、前記把持部材に設けられた係止部と容器に設けられた被係止部とから構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の収納箱。
【請求項5】
前記連動連結手段が、容器に設けられた被係止部と、該被係止部に対して係脱自在で、且つ把持姿勢に切り替えられる把持部材と当接して係合作動される状態で装着枠体に設けられた係止部と、該係止部を係合解除側に移動付勢する付勢体から構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の収納箱。
【請求項6】
前記装着枠体が、容器の内周面に沿って入り込む内側環状枠板と、容器の外周面に沿って外套される外側環状枠板とを備え、前記両環状枠板間には、前記把持部材を非把持姿勢で収納する凹部が形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の収納箱。
【請求項7】
前記装着枠体の外側環状枠板には、前記収納ケースの内面と容器の外面との間に入り込むことにより、前記容器に装着された収納袋の開口周縁部分を容器の外面に沿って折り返し状態で押え付ける筒状の袋押え板部が形成され、この袋押え板部の各角部側壁部の最大上下幅が、角部側壁部の隣接間の中間壁部の上下幅よりも大に構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の収納箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−179476(P2009−179476A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22835(P2008−22835)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000100850)アイセン工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】